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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】放射線装置及び故障予測装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20241008BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A61B6/03 533B
A61B6/03 577
A61N5/10 S
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020051371
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021146087
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 慎二
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/182317(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0090840(US,A1)
【文献】特開2013-198519(JP,A)
【文献】特開2010-167282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
A61N 5/00-5/10
H05G 1/00-2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的な動作を実行可能な可動部と、前記可動部を動作させる駆動装置とを含む可動装置と、
前記可動装置を制御して放射線治療又は画像収集を実行する制御部と、
前記可動装置の故障を予測するように機能付けられた学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、
前記可動部の動作に関する第1情報と、前記可動部が動作した際の環境を示す第2情報とを前記学習済みモデルに入力することにより、前記可動装置の故障を予測する予測部と、
前記予測部による故障の予測結果を出力する出力部と
を備え、
前記制御部は、前記可動部を撮像した画像データに基づく画像情報と、前記放射線治療又は前記画像収集を実行した際に使用した術式を示す術式情報とを記録部に記録し、
前記予測部は、前記第1情報として、前記記録部に記録された前記画像情報を前記学習済みモデルに入力し、前記第2情報として、前記術式情報を前記学習済みモデルに入力する、放射線装置。
【請求項2】
機械的な動作を実行可能な可動部と、前記可動部を動作させる駆動装置とを含む可動装置と、
前記可動装置を制御して放射線治療又は画像収集を実行する制御部と、
前記可動装置の故障を予測するように機能付けられた学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、
前記可動部の動作に関する第1情報と、前記可動部が動作した際の環境を示す第2情報とを前記学習済みモデルに入力することにより、前記可動装置の故障を予測する予測部と、
前記予測部による故障の予測結果を出力する出力部と
を備え、
前記制御部は、前記可動部を撮像した画像データに基づく画像情報と、前記放射線治療又は前記画像収集を実行した際に使用された放射線の量を示す放射線情報とを記録部に記録し、
前記予測部は、前記第1情報として、前記記録部に記録された前記画像情報を前記学習済みモデルに入力し、前記第2情報として、前記放射線情報を前記学習済みモデルに入力する、放射線装置。
【請求項3】
前記制御部は、更に、前記放射線治療又は前記画像収集を実行した際に使用した術式を示す術式情報を記録部に記録し
前記予測部は、更に、前記第2情報として、前記術式情報を前記学習済みモデルに入力する、請求項2に記載の放射線装置。
【請求項4】
前記制御部は、更に、重力方向に対する前記可動部の傾きを示す傾斜情報を記録部に記録し、
前記予測部は、更に、前記第2情報として、前記傾斜情報を前記学習済みモデルに入力する、請求項1~3のいずれか一項に記載の放射線装置。
【請求項5】
前記予測部は、前記可動装置の故障として、複数の前記可動装置のうち故障が生じる前記可動装置を予測し、又は前記可動装置のうち故障が生じる箇所を予測する、請求項1~4のいずれか一項に記載の放射線装置。
【請求項6】
前記予測部は、更に、前記可動装置の故障が生じる時期を予測する、請求項5に記載の放射線装置。
【請求項7】
機械的な動作を実行可能な可動部と、前記可動部を動作させる駆動装置とを含む可動装置と、
前記可動装置を制御して放射線治療又は画像収集を実行する制御部と、
前記可動部の動作を検出するセンサの故障を予測するように機能付けられた学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、
前記可動部の動作に関する第1情報と、前記可動部が動作した際の環境を示す第2情報とを前記学習済みモデルに入力することにより、前記センサの故障を予測する予測部と、
前記予測部による故障の予測結果を出力する出力部と
を備え、
前記制御部は、前記可動部の動作を複数の前記センサにより検出した検出結果の複数の前記センサの間での差異を示す差異データと、前記放射線治療又は前記画像収集を実行した際に使用された放射線の量を示す放射線情報とを記録部に記録し、
前記予測部は、前記第1情報として、前記記録部に記録された前記差異データを前記学習済みモデルに入力し、前記第2情報として、前記放射線情報を前記学習済みモデルに入力する、放射線装置。
【請求項8】
機械的な動作を実行可能な可動部と、前記可動部を動作させる駆動装置とを含む可動装置と、
前記可動装置を制御して放射線治療又は画像収集を実行する制御部と、
前記可動部の動作を検出するセンサの故障を予測するように機能付けられた学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、
前記可動部の動作に関する第1情報と、前記可動部が動作した際の環境を示す第2情報とを前記学習済みモデルに入力することにより、前記センサの故障を予測する予測部と、
前記予測部による故障の予測結果を出力する出力部と
を備え、
前記制御部は、前記可動部の動作を複数の前記センサにより検出した検出結果の複数の前記センサの間での差異を示す差異データを記録部に記録し、
前記予測部は、前記第1情報として、前記記録部に記録された前記差異データを前記学習済みモデルに入力することにより、前記センサの故障として、前記可動部の動作を検出する複数の前記センサのうち故障が生じる前記センサを予測する、放射線装置。
【請求項9】
前記予測部は、前記センサの故障として、前記可動部の動作を検出する複数の前記センサのうち故障が生じる前記センサを予測する、請求項7に記載の放射線装置。
【請求項10】
前記予測部は、更に、前記センサの故障が生じる時期を予測する、請求項8又は9に記載の放射線装置。
【請求項11】
前記差異データは、種類が異なる複数の前記センサの間での検出結果の差異を示すデータである、請求項7~10のいずれか一項に記載の放射線装置。
【請求項12】
前記可動部は、前記機械的な動作として、移動又は回転の動作を実行する、請求項1~11のいずれか一項に記載の放射線装置。
【請求項13】
前記学習済みモデルを生成して前記モデル記憶部に記憶させるモデル生成部を更に備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の放射線装置。
【請求項14】
前記学習済みモデルを生成して前記モデル記憶部に記憶させるモデル生成部を更に備え、
前記モデル生成部は、前記可動装置の故障が発生した時期を出力側教師データとして用いて、前記学習済みモデルを生成する、請求項1~6のいずれか一項に記載の放射線装置。
【請求項15】
前記学習済みモデルを生成して前記モデル記憶部に記憶させるモデル生成部を更に備え、
前記モデル生成部は、前記センサの故障が発生した時期を出力側教師データとして用いて、前記学習済みモデルを生成する、請求項7~11のいずれか一項に記載の放射線装置。
【請求項16】
機械的な動作を実行可能な可動部と前記可動部を動作させる駆動装置とを含む可動装置と、前記可動装置を制御して放射線治療又は画像収集を実行する制御部とを備える放射線装置に接続された故障予測装置であって、
前記可動装置の故障を予測するように機能付けられた学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、
前記可動部の動作に関する第1情報と、前記可動部が動作した際の環境を示す第2情報とを前記学習済みモデルに入力することにより、前記可動装置の故障を予測する予測部と、
前記予測部による故障の予測結果を出力する出力部と
を備え、
前記予測部は、前記可動部を撮像した画像データに基づく画像情報を、前記第1情報として前記学習済みモデルに入力し、前記放射線治療又は前記画像収集を実行した際に使用した術式を示す術式情報を、前記第2情報として前記学習済みモデルに入力する、故障予測装置。
【請求項17】
機械的な動作を実行可能な可動部と前記可動部を動作させる駆動装置とを含む可動装置と、前記可動装置を制御して放射線治療又は画像収集を実行する制御部とを備える放射線装置に接続された故障予測装置であって、
前記可動装置の故障を予測するように機能付けられた学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、
前記可動部の動作に関する第1情報と、前記可動部が動作した際の環境を示す第2情報とを前記学習済みモデルに入力することにより、前記可動装置の故障を予測する予測部と、
前記予測部による故障の予測結果を出力する出力部と
を備え、
前記予測部は、前記可動部を撮像した画像データに基づく画像情報を、前記第1情報として前記学習済みモデルに入力し、前記放射線治療又は前記画像収集を実行した際に使用された放射線の量を示す放射線情報を、前記第2情報として前記学習済みモデルに入力する、故障予測装置。
【請求項18】
機械的な動作を実行可能な可動部と前記可動部を動作させる駆動装置とを含む可動装置と、前記可動装置を制御して放射線治療又は画像収集を実行する制御部とを備える放射線装置に接続された故障予測装置であって、
前記可動部の動作を検出するセンサの故障を予測するように機能付けられた学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、
前記可動部の動作に関する第1情報と、前記可動部が動作した際の環境を示す第2情報とを前記学習済みモデルに入力することにより、前記センサの故障を予測する予測部と、
前記予測部による故障の予測結果を出力する出力部と
を備え、
前記予測部は、前記可動部の動作を複数の前記センサにより検出した検出結果の複数の前記センサの間での差異を示す差異データを、前記第1情報として前記学習済みモデルに入力し、前記放射線治療又は前記画像収集を実行した際に使用された放射線の量を示す放射線情報を、前記第2情報として前記学習済みモデルに入力する、故障予測装置。
【請求項19】
機械的な動作を実行可能な可動部と前記可動部を動作させる駆動装置とを含む可動装置と、前記可動装置を制御して放射線治療又は画像収集を実行する制御部とを備える放射線装置に接続された故障予測装置であって、
前記可動部の動作を検出するセンサの故障を予測するように機能付けられた学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、
前記可動部の動作に関する第1情報と、前記可動部が動作した際の環境を示す第2情報とを前記学習済みモデルに入力することにより、前記センサの故障を予測する予測部と、
前記予測部による故障の予測結果を出力する出力部と
を備え、
前記予測部は、前記可動部の動作を複数の前記センサにより検出した検出結果の複数の前記センサの間での差異を示す差異データを、前記第1情報として前記学習済みモデルに入力することにより、前記センサの故障として、前記可動部の動作を検出する複数の前記センサのうち故障が生じる前記センサを予測する、故障予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書等に開示の実施形態は、放射線装置及び故障予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療装置や放射線診断装置といった各種の放射線装置には、通常、移動や回転等の機械的な動作を実行可能な可動部が含まれる。例えば、放射線装置は、放射線の照射範囲を制御するために移動するリーフを備える。また、放射線装置は、被検体を載置するとともに、移動したり回転(傾斜)したりする天板を備える。
【0003】
このよう可動部を含む可動装置においては、使用を重ねるごとに摩耗が蓄積していくため、適切に使用をしていても故障が発生する場合がある。また、可動装置に関する故障が発生した場合、部品の交換や修理がなされるまで放射線装置は使用できなくなる。即ち、可動装置の故障により、放射線装置はシステムダウンする。放射線装置がシステムダウンすれば、予定されていた放射線治療や画像収集を実行することができなくなり、治療や診断も遅延することとなる。また、故障のタイミングによっては来院した患者に後日改めて来院してもらうこととなり、患者にとっての負担となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-130908号公報
【文献】特開2018-192256号公報
【文献】特開2005-110794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、放射線装置のシステムダウンを回避することである。ただし、本明細書等に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を、本明細書等に開示の実施形態が解決する他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のデータ選別装置は、可動装置と、制御部と、モデル記憶部と、予測部と、出力部とを備える。可動装置は、機械的な動作を実行可能な可動部と、前記可動部を動作させる駆動装置とを含む。制御部は、前記可動装置を制御して放射線治療又は画像収集を実行する。モデル記憶部は、前記可動装置に関する故障を予測するように機能付けられた学習済みモデルを記憶する。予測部は、前記可動部の動作に関する第1情報、及び、前記可動部が動作した際の環境を示す第2情報の少なくとも一方を前記学習済みモデルに入力することにより、前記可動装置に関する故障を予測する。出力部は、前記予測部による故障の予測結果を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る放射線治療装置の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る放射線治療装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る放射線絞り器の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る学習済みモデルの生成処理の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る学習済みモデルの使用例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る放射線治療装置の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
図7図7は、第2の実施形態に係るX線CT装置の構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、第3の実施形態に係る放射線システムの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、放射線装置及び故障予測装置の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、放射線装置の一例として、放射線治療を実行可能な放射線治療装置10について説明する。
【0010】
まず、図1を用いて、放射線治療装置10の概要を説明する。図1は、第1の実施形態に係る放射線治療装置10の一例を示す図である。例えば、放射線治療装置10は、図1に示すように、寝台16と、治療用の放射線を発生する放射線発生器171と、放射線絞り器172と、回転ガントリ19とを有する。
【0011】
例えば、放射線治療装置10は、治療計画に沿って、寝台16や放射線発生器171、放射線絞り器172、回転ガントリ19等の動作を制御し、放射線治療を実行する。一例を挙げると、放射線治療装置10は図示しない放射線治療計画用CT(Computed Tomography)装置と接続され、放射線治療計画用CT装置から送信された治療計画に沿って放射線発生器171から治療対象部位に対して放射線を照射し、放射線治療を実行する。
【0012】
また、放射線治療装置10は、図1に示すように、撮像用の放射線を照射する放射線発生器181と、撮像用の放射線を検出する検出器182とをさらに備える。例えば、放射線治療の開始前において、放射線治療装置10は、回転ガントリ19を回転させながら放射線発生器181から患者P1に対して放射線を照射し、患者P1を透過した放射線を検出器182によって検出する。また、放射線治療装置10は、検出器182による検出結果に基づいてコーンビームCT画像を生成し、ディスプレイ12に表示させる。これにより、放射線治療装置10のユーザは、放射線治療の開始時における治療対象部位の位置を確認することができる。また、放射線発生器181及び検出器182は、放射線治療中の治療対象部位の位置の確認に用いることも可能である。すなわち、放射線発生器171によって治療用の放射線が照射されている間に、放射線発生器181が放射線を患者P1に照射してX線画像を収集することで、治療時の治療対象部位の位置を確認することが可能となる。
【0013】
次に、図2を用いて、放射線治療装置10の構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係る放射線治療装置10の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、放射線治療装置10は、入力インタフェース11と、ディスプレイ12と、記憶回路13と、モデル記憶回路14と、処理回路15と、寝台16と、放射線発生装置17とを有する。
【0014】
なお、図2では省略しているが、放射線治療装置10は図1に示した回転ガントリ19を更に有し、放射線発生装置17は、回転ガントリ19によって患者P1の周囲を回転可能に保持される。同様に、放射線治療装置10は、撮像用の放射線を照射する放射線発生器181と、撮像用の放射線を検出する検出器182とを更に有する。
【0015】
入力インタフェース11は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路15に出力する。例えば、入力インタフェース11は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インタフェース11は、放射線治療装置10本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インタフェース11は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、放射線治療装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路15へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース11の例に含まれる。
【0016】
ディスプレイ12は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ12は、処理回路15による制御の下、放射線発生器181及び検出器182を用いて収集されたコーンビームCT画像を表示する。また、例えば、ディスプレイ12は、入力インタフェース11を介してユーザから各種の指示や設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。また、例えば、ディスプレイ12は、予測機能153による故障の予測結果を表示する。なお、予測機能153による故障予測については後述する。例えば、ディスプレイ12は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ12は、デスクトップ型でもよいし、放射線治療装置10本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0017】
記憶回路13及びモデル記憶回路14は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、記憶回路13は、放射線治療装置10に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。また、例えば、モデル記憶回路14は、モデル生成機能152によって生成された学習済みモデルM1を記録する。なお、学習済みモデルM1については後述する。記憶回路13とモデル記憶回路14とについては統合することとしても構わない。
【0018】
処理回路15は、制御機能151、モデル生成機能152、予測機能153及び出力機能154を実行することで、放射線治療装置10全体の動作を制御する。ここで、制御機能151は、制御部の一例である。また、モデル生成機能152は、モデル生成部の一例である。また、予測機能153は、予測部の一例である。また、出力機能154は、出力部の一例である。
【0019】
例えば、処理回路15は、制御機能151に対応するプログラムを記憶回路13から読み出して実行することにより、放射線治療を実行する。例えば、制御機能151は、寝台16が有する天板161に患者P1が載置された後、寝台16を制御して、放射線発生装置17に対する患者P1の位置や角度を調整する。即ち、制御機能151は、寝台16を制御して、患者P1を載置した状態の天板161を移動させたり回転(傾斜)させたりする。また、例えば、制御機能151は、放射線絞り器172を制御して、放射線絞り器172が有するリーフ(絞り羽根)1721を移動させることで、放射線照射範囲の大きさ及び形状を制御する。また、例えば、制御機能151は、放射線発生器171に対する高電圧の供給を制御することで、治療用の放射線を発生させる。一例を挙げると、制御機能151は、治療計画に沿った線量の放射線が発生するように、図示しない高電圧発生器を制御して、放射線発生器171に対する印加電圧や印加時間等を制御する。
【0020】
また、処理回路15は、モデル生成機能152に対応するプログラムを記憶回路13から読み出して実行することにより、学習済みモデルM1を生成する。また、処理回路15は、予測機能153に対応するプログラムを記憶回路13から読み出して実行することにより、学習済みモデルM1を用いて、可動装置に関する故障を予測する。また、処理回路15は、出力機能154に対応するプログラムを記憶回路13から読み出して実行することにより、予測機能153による故障の予測結果を出力する。なお、モデル生成機能152、予測機能153及び出力機能154による処理については後述する。
【0021】
図1に示す放射線治療装置10においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路13へ記憶されている。処理回路15は、記憶回路13からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路15は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0022】
なお、図1においては単一の処理回路15にて、制御機能151、モデル生成機能152、予測機能153及び出力機能154が実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路15を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0023】
また、図1においては、単一の記憶回路13が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数の記憶回路13を分散して配置し、処理回路15は、個別の記憶回路13から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、記憶回路13にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0024】
寝台16は、患者P1が載置される天板161を有するベッドである。なお、患者P1は、放射線治療装置10に含まれない。例えば、寝台16は、図示しない寝台駆動装置162を含み、患者P1を載置した状態で天板161を移動させたり回転(傾斜)させたりする。例えば、寝台駆動装置162は、制御機能151による制御の下、モータ等のアクチュエータを駆動することにより、天板161を移動又は回転させる。
【0025】
換言すると、天板161は、移動や回転等の機械的な動作を実行可能な部品であり、可動部の一例である。また、寝台駆動装置162は、天板161を動作させる装置であり、駆動装置の一例である。また、天板161及び寝台駆動装置162を含む寝台16は、可動装置の一例である。
【0026】
例えば、寝台16には、天板161の動作を検出するセンサが設けられる。一例を挙げると、寝台16には、ロータリーエンコーダやポテンションメータ等のセンサが設けられる。ここで、ロータリーエンコーダによれば、天板161の移動量や回転量を検出することが可能である。即ち、ロータリーエンコーダによれば、初期位置に対する移動後の天板161の相対位置や、重力方向に対する天板161の傾き等を検出することが可能である。また、ポテンションメータによれば、天板161の絶対位置を検出することが可能である。例えば、制御機能151は、センサによって天板161の現在の位置及び傾きを確認しながら寝台16を制御し、目標の位置及び傾きとなるように、天板161を移動させたり回転させたりする。
【0027】
放射線発生装置17は、図2に示すように、放射線発生器171及び放射線絞り器172を有する。
【0028】
放射線発生器171は、電子銃と加速管を備える。電子銃は、熱電子を発生させる。また、加速管は、電子銃から発生した熱電子を加速させる。例えば、放射線発生器171は、制御機能151による制御の下、図示しない高電圧発生器から高電圧の供給を受けて熱電子を加速させる。そして、放射線発生器171は、加速させた熱電子をタングステンターゲットに衝突させて、治療用の放射線を発生させる。
【0029】
放射線絞り器172は、治療用の放射線の照射範囲を制御するリーフ1721と、リーフ1721を動作させるリーフ駆動装置1722とを有する。例えば、放射線絞り器172は、放射線発生器171に対して移動可能な複数のリーフ1721を有する。また、リーフ駆動装置1722は、制御機能151による制御の下、モータ等のアクチュエータを駆動することにより、複数のリーフ1721をそれぞれ移動させる。即ち、制御機能151は、放射線絞り器172を制御して複数のリーフ1721の各々を移動させることで、放射線照射範囲の大きさ及び形状を制御する。
【0030】
換言すると、リーフ1721は、移動の動作を実行可能な部品であり、可動部の一例である。また、リーフ駆動装置1722は、リーフ1721を動作させる装置であり、駆動装置の一例である。また、リーフ1721及びリーフ駆動装置1722を含む放射線絞り器172は、可動装置の一例である。
【0031】
ここで、放射線絞り器172の一例について図3を用いて説明する。図3は、第1の実施形態に係る放射線絞り器172の一例を示す図である。なお、図3においては、放射線絞り器172が、複数のリーフ1721を備えたマルチリーフコリメータ(MLC)である場合について説明する。また、図3においては、X線の照射方向をZ軸方向とし、Z軸方向に直交するようにX軸方向及びY軸方向を定義して説明する。
【0032】
図3に示すように、放射線絞り器172は、複数のリーフ1721として、リーフLa01~リーフLa02の2枚のリーフ及びリーフLb01~リーフLb24の24枚のリーフから成る計26枚のリーフを備える。リーフLa01~リーフLa02は、図3のY軸方向に移動可能であり、Y軸方向における放射線照射範囲を制御する。リーフLb01~リーフLb24は、図3のX軸方向に移動可能であり、X軸方向における放射線照射範囲を制御する。ここで、制御機能151は、リーフLb01~リーフLb24を個別に移動させることで、図3においてドットのパターンで示すように、放射線照射範囲の形状を制御することができる。例えば、制御機能151は、患者P1の治療対象部位の形状に応じて、放射線照射範囲の形状を制御する。
【0033】
例えば、図3に示す放射線絞り器172には、リーフの動作を検出するセンサが設けられる。かかるセンサは、例えば、図3に示すリーフのそれぞれに対して設けられる。一例を挙げると、リーフには、ロータリーエンコーダやポテンションメータ等のセンサが設けられる。例えば、制御機能151は、センサによって複数のリーフそれぞれの現在位置を確認しながら放射線絞り器172を制御し、目標位置まで複数のリーフをそれぞれ移動させる。
【0034】
なお、図3においては、リーフLa01~リーフLa02及びリーフLb01~リーフLb24の計26枚のリーフによって放射線照射範囲を制御するものとして説明したが、リーフの数については特に限定されるものではない。例えば、放射線絞り器172は、放射線照射範囲を制御するため、160枚のリーフを備えることとしてもよい。放射線絞り器172が備えるリーフの数が多いほど、放射線照射範囲の形状をより詳細に制御することが可能となる。
【0035】
以上、放射線治療装置10の構成の一例について説明した。ここで、寝台16や放射線絞り器172のような可動装置については、使用上、故障が生じる場合がある。例えば、天板161を動作させる寝台駆動装置162や、リーフ1721を動作させるリーフ駆動装置1722等の駆動装置においては、使用するごとに摩耗が発生し、機械的なガタが増加して故障に至る場合がある。或いは、可動装置それ自体が故障しない場合でも、可動部の動作を検出するセンサに故障が生じる場合もある。以下では、可動装置の故障とセンサの故障とを総称して、可動装置に関する故障と記載する。
【0036】
特に、放射線絞り器172がマルチリーフコリメータである場合、放射線絞り器172は、可動部であるリーフ1721を多数有することとなる。そして、リーフ1721の数が多いほど多数のリーフ駆動装置1722が必要なり、可動装置の故障が発生するリスクは高まることとなる。或いは、1つのリーフ駆動装置1722が複数のリーフ1721を動作させる構成の場合には、リーフ1721の数が多いほどリーフ駆動装置1722が複雑化し、可動装置の故障が発生するリスクは高まることとなる。また、リーフに対しては個別にセンサが設けられている場合が多い。従って、リーフの数が多いほど、センサの故障が発生するリスクも高まることとなる。
【0037】
更に、センサの故障を検出するため、1つの可動部に対して複数のセンサが設けられている場合もある。即ち、複数のセンサによる検出結果が互いに一致しなければこれら複数のセンサのうちいずれかが故障していると容易に判定できるため、故障の発生を見落とすリスクを低減し、放射線治療装置10の安全性を高めることができる。しかしながら、この場合にはセンサの数が増大するため、センサの故障が発生するリスクも高まることとなる。
【0038】
可動装置に関する故障に対処するため、エラーログを記録することが考えられる。即ち、放射線治療装置10がシステムダウンしてから復旧するまでの時間を短縮するため、復旧のためのヒントとしてエラーログを残しておくことが考えられる。しかしながら、復旧までの時間を短縮できたとしても、放射線治療装置10がシステムダウンしている以上、治療計画への影響が生じることは不可避である。
【0039】
そこで、放射線治療装置10においては、以下詳細に説明する処理回路15の処理により、可動装置に関する故障を予測して、放射線治療装置10のシステムダウンを回避する。
【0040】
まず、モデル生成機能152は、学習済みモデルM1を生成して、モデル記憶回路14に記憶させる。ここで、学習済みモデルM1は、一種の人工知能(AI:Artificial Intelligence)であり、可動装置に関する故障を予測するように機能付けられる。以下、モデル生成機能152による学習済みモデルM1の生成処理について、図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態に係る学習済みモデルM1の生成処理の一例を示す図である。
【0041】
図4においては、学習済みモデルM1をニューラルネットワーク(Neural Network)により構成する場合について説明する。ニューラルネットワークとは、層状に並べた隣接層間が結合した構造を有し、情報が入力層側から出力層側に伝播するネットワークである。例えば、モデル生成機能152は、図4に示す学習用データ(入力側教師データ及び出力側教師データ)を用いて多層のニューラルネットワークについて深層学習(ディープラーニング)を実行することで、学習済みモデルM1を生成する。なお、多層のニューラルネットワークは、例えば、入力層と、複数の中間層(隠れ層)と、出力層とにより構成される。
【0042】
ここで、図4に示す各種の学習用データについて説明する。図4においては、学習用データとして、センサ情報、付帯情報及び故障履歴情報を例示する。センサ情報及び付帯情報は、例えば、放射線治療装置10が使用されるごとに制御機能151によって収集され、記憶回路13において記憶される。また、故障履歴情報は、例えば、可動装置に関する故障が発生するごとに制御機能151によって収集され、記憶回路13において記憶される。
【0043】
図4に示すセンサ情報は、可動部の動作をセンサにより検出した検出結果に基づいて取得した情報である。なお、センサ情報は、可動部の動作に関する第1情報の一例である。例えば、天板161やリーフ1721といった可動部を動作させる際、制御機能151は、ロータリーエンコーダやポテンションメータ等のセンサによって可動部の現在の位置や傾きを確認しながら、可動部を移動させたり回転させたりする。ここで、制御機能151は、センサによる検出結果に基づいてセンサ情報を取得し、記憶回路13に記憶させる。
【0044】
より具体的には、センサ情報の例としては、図4に示す積算移動量が挙げられる。即ち、可動部を移動させる際にその位置データをセンサで検出していた場合、制御機能151は、この位置データに基づいて可動部が移動した距離を算出することができる。例えば、制御機能151は、経時的に収集された複数の位置データのうち連続する2つの位置データの間で変位量を算出し、変位量の総和を可動部が移動した距離として算出することができる。また、制御機能151は、放射線治療装置10が使用されるごとに可動部が移動した距離を算出し、過去に可動部が移動した距離と合算することで、可動部の積算移動量を算出することができる。そして、制御機能151は、算出した積算移動量を、センサ情報として記憶回路13に記憶させる。
【0045】
また、センサ情報の他の例としては、図4に示す差異データが挙げられる。例えば、1つの可動部に対して複数のセンサが設けられている場合において、制御機能151は、複数のセンサによる検出結果の間で差異データを算出し、差異データが閾値を超えるか否かを判定することで、センサの故障を監視する。
【0046】
一例を挙げると、可動部A1に対してセンサB1及びセンサB2が設けられている場合において、制御機能151は、可動部A1の動作をセンサB1により検出した検出結果に基づいて可動部A1が移動した距離C1を算出し、可動部A1の動作をセンサB2により検出した検出結果に基づいて可動部A1が移動した距離C2を算出する。次に、制御機能151は、距離C1と距離C2とを差分して、差異データD1を算出する。そして、制御機能151は、差異データD1が閾値を超えるか否かを判定することで、センサB1及びセンサB2について故障が発生しているか否かを判定する。更に、制御機能151は、差異データD1を、センサ情報として記憶回路13に記憶させる。
【0047】
なお、センサB1及びセンサB2は同種のセンサであってもよいし、異なる種類のセンサであってもよい。例えば、制御機能151は、1つの可動部の動作を、ロータリーエンコーダであるセンサB1と、ポテンションメータであるセンサB2とにより検出する場合であってもよい。
【0048】
また、センサ情報の他の例としては、図4に示す画像情報が挙げられる。ここで、画像情報とは、例えば、可動部を撮像した画像データに基づいて取得した、可動部の位置データである。一例を挙げると、制御機能151は、センサとしてカメラを使用し、可動部を移動させる際に連続的に可動部を撮像して、複数フレームの画像データを収集する。また、制御機能151は、収集した画像データそれぞれから可動部を抽出することで、各フレームにおける可動部の位置データを取得し、センサ情報として記憶回路13に記憶させる。ここで、制御機能151は、更に、各フレームにおける可動部の位置データから、可動部の積算移動量を算出することもできる。或いは、制御機能151は、複数のカメラを用いて可動部を撮像することにより、各カメラにより撮像された画像データに基づいて複数の位置データを取得し、取得した複数の位置データの間の差異を示す差異データを算出することもできる。
【0049】
また、図4に示す付帯情報は、可動部が動作した際の環境を示す情報である。なお、付帯情報は、第2情報の一例である。即ち、可動部は、可動部それ自体がどのような動作を行なうかに関わらず、様々な環境の下で動作することとなる。制御機能151は、可動部が動作した際の環境を示す情報を、例えば治療計画に基づいて取得して、記憶回路13に記憶させる。
【0050】
例えば、患者P1に対する放射線の照射方向に応じて、放射線発生装置17は患者P1の周囲を回転移動し、これに伴ってリーフ1721に対する重力の加わり方も変化する。そこで、制御機能151は、重力方向に対するリーフ1721の傾きを示す傾斜情報を取得し、付帯情報として記憶回路13に記憶させる。なお、放射線の照射方向は、治療計画として事前に設定されるものである。従って、制御機能151は、治療計画に基づいて放射線の照射方向を取得し、放射線の照射方向に基づいて、重力方向に対するリーフ1721の傾きを示す傾斜情報を取得することができる。
【0051】
また、例えば、放射線治療には種々の術式があり、術式ごとに、可動装置において生じる摩耗の程度も変化する。例えば、多門照射による放射線治療では、放射線発生装置17を患者P1の周囲で回転移動させて放射線の照射方向を変化させ、複数の照射方向から所定の放射線を照射する。即ち、多門照射による放射線治療では、放射線の照射方向の変化に伴ってリーフ1721を移動させる必要はないため、リーフ1721を動作させるリーフ駆動装置1722や、リーフ1721の動作を検出するセンサに生じる摩耗の程度は比較的小さい。
【0052】
一方で、強度変調放射線治療(IMRT:Intensity Modulated Radiation Therapy)では、放射線発生装置17を患者P1の周囲で回転移動させて放射線の照射方向を変化させ、各照射方向について設定された放射線照射範囲に応じて複数のリーフ1721をそれぞれ移動させて、放射線を照射する。また、強度変調回転放射線治療(VMAT:Volumetric Modulated Arc Therapy)では、放射線発生装置17を患者P1の周囲で回転移動させて放射線の照射方向を変化させるとともに、複数のリーフ1721をそれぞれ移動させて放射線照射範囲を変化させながら、放射線の照射を行なう。即ち、IMRTやVMATにおいて、リーフ1721は放射線の照射方向の変化に伴って移動する必要があるため、リーフ駆動装置1722やセンサに生じる摩耗の程度は比較的大きなものとなる。
【0053】
そこで、制御機能151は、放射線治療を実行した際に使用した術式を示す術式情報を取得し、付帯情報として記憶回路13に記憶させる。なお、術式は、治療計画として事前に設定されるものである。従って、制御機能151は、治療計画に基づいて術式情報を取得し、記憶回路13に記憶させることができる。
【0054】
また、例えば、放射線治療が実行される際には、放射線発生器171から照射された放射線又はこの放射線に基づく散乱線が、可動装置やセンサに照射されてしまう場合がある。そして、放射線によって可動装置やセンサにおける各種の部品が劣化し、可動装置に関する故障を引き起こすケースがある。
【0055】
例えば、放射線絞り器172において、リーフ1721は一般に金属で作成されるため、放射線による劣化は生じない。しかしながら、リーフ1721を動作させるリーフ駆動装置1722や、リーフ1721の動作を検出するセンサには半導体の部品が使用されている場合がある。そして、半導体の部品は放射線が照射されることで劣化し、放射線絞り器172に関する故障の一因となるケースがある。
【0056】
そこで、制御機能151は、放射線治療を実行した際に使用された放射線の量を示す放射線情報を取得し、付帯情報として記憶回路13に記憶させる。なお、放射線治療において使用する放射線の強度及び照射時間は、治療計画として事前に設定されるものである。従って、制御機能151は、治療計画に基づいて放射線の強度及び照射時間を取得し、放射線の量を算出して、放射線情報として記憶回路13に記憶させることができる。
【0057】
また、図4に示す故障履歴情報は、エラーログである。可動装置に関する故障が発生した場合、制御機能151は、少なくとも故障時期を含むエラーログを作成して、記憶回路13に記憶させる。
【0058】
また、制御機能151は、故障時期とともに、可動装置の故障に関する情報や、センサの故障に関する情報を記憶回路13に記憶させる。
【0059】
例えば、可動装置の故障が発生した場合、制御機能151は、可動装置の故障に関する情報として、放射線治療装置10が備える複数の可動装置のうち故障が生じた可動装置を示す情報を、故障時期に対応付けて記憶回路13に記憶させる。例えば、放射線治療装置10が寝台16や放射線発生装置17といった複数の可動装置を備える場合において、制御機能151は、放射線治療装置10が備える複数の可動装置のうちいずれが故障したのかを示す情報を、故障時期に対応付けて記憶回路13に記憶させる。
【0060】
また、例えば、制御機能151は、可動装置の故障に関する情報として、可動装置のうち故障が生じた個所を示す情報を、故障時期に対応付けて記憶回路13に記憶させる。例えば、放射線絞り器172が複数のリーフ1721及びリーフ1721のそれぞれに対応した複数のリーフ駆動装置1722を備える場合において、制御機能151は、複数のリーフ駆動装置1722のうちいずれが故障したのかを示す情報を、故障時期に対応付けて記憶回路13に記憶させる。また、例えば、天板161を動作させる寝台駆動装置162は、天板161を水平方向に移動させるための軸と、天板161を鉛直方向に移動させるための軸とを有している場合がある。ここで、寝台16の故障が発生した場合、制御機能151は、天板161を水平方向に移動させるための軸、及び、天板161を鉛直方向に移動させるための軸のいずれにおいて故障が発生したのかを示す情報を、故障時期に対応付けて記憶回路13に記憶させる。
【0061】
また、例えば、センサの故障が発生した場合、制御機能151は、センサの故障に関する情報として、天板161やリーフ1721等の可動部の動作を検出するために設けられた複数のセンサのうち故障が生じたセンサを示す情報を、故障時期に対応付けて記憶回路13に記憶させる。
【0062】
以上、学習済みモデルM1の生成処理に使用する学習用データの例について説明した。なお、図4は学習用データの例を列挙したものであり、学習済みモデルM1を生成する上で図4の学習用データの全てを使用する必要はない。例えば、可動装置の故障が発生しておらず、センサの故障のみが発生している場合、モデル生成機能152は、出力側教師データの例として図4に記載した「可動装置の故障に関する情報」の使用を省略することができる。同様に、モデル生成機能152は、入力側教師データの例として図4に記載した積算移動量、差異データ、画像情報、傾斜情報、術式情報及び放射線情報のうちの一部の使用を適宜省略することが可能である。
【0063】
また、図4は学習用データを例示したものであり、学習済みモデルM1を生成する上で使用可能な学習用データは、これらに限定されるものではない。例えば、モデル生成機能152は、入力側教師データとして、更に、速度情報を使用してもよい。ここで、速度情報とは、可動部が移動した際の速度を示す情報である。例えば、可動部を移動させる際にその位置データをセンサで検出していた場合、制御機能151は、この位置データを時間で微分することで、可動部が移動した際の速度を算出することができる。即ち、速度情報は、可動部の動作をセンサにより検出した検出結果に基づいて取得することのできるセンサ情報である。一般に、速度が大きいほど生じる摩耗は大きく、可動装置に関する故障が生じるリスクも高くなる。
【0064】
なお、リーフ1721を移動させる速度に関しては、術式によっては一定の場合もあれば、動的に変化する場合もある。例えば、多門照射やIMRTでは、目標の大きさ及び形状の放射線照射範囲を形成することができるように、リーフ1721を一定の速度で移動させる場合が多い。一例を挙げると、多門照射やIMRTでは、時間短縮のため、リーフ駆動装置1722によって実現可能な最高速度でリーフ1721を移動させる。一方で、VMATでは、放射線治療の間、放射線照射範囲の大きさ及び形状を連続的に変化させるため、複数のリーフ1721それぞれを個別に且つ速度を動的に変化させながら移動させることとなる。
【0065】
例えば、モデル生成機能152は、図4に示した入力側教師データと出力側教師データとの組を複数取得し、学習用データセットを生成する。なお、入力側教師データと出力側教師データとの組は、可動装置に関する故障が一回発生するごとに、複数生成することもできる。例えば、モデル生成機能152は、まず、記憶回路13から取得した入力側教師データと、出力側教師データとの組を作成して、学習用データセットに追加する。ここで、モデル生成機能152は、更に、記憶回路13から取得した入力側教師データの一部を省略したデータと、出力側教師データとの組を作成して、学習用データセットに追加することができる。
【0066】
次に、モデル生成機能152は、生成した学習用データセットに基づく機械学習を実行して、学習済みモデルM1を生成する。具体的には、モデル生成機能152は、まず、入力側教師データをニューラルネットワークに入力する。ここで、ニューラルネットワークにおいては、入力層側から出力層側に向かって一方向に隣接層間でのみ結合しながら情報が伝播し、出力層からは、可動装置に関する故障の推定結果が出力される。例えば、ニューラルネットワークの出力層からは、放射線治療装置10に含まれる可動装置及びセンサのうちいずれにおいて故障が発生するかの推定結果、及び、その故障が発生する時期の推定結果が出力される。なお、入力層側から出力層側に向かって一方向に情報が伝播するニューラルネットワークについては、畳み込みニューラルネットワーク(Convlutional Neural Network:CNN)とも呼ばれる。
【0067】
モデル生成機能152は、入力側教師データを入力した際にニューラルネットワークが好ましい結果を出力することができるよう、ニューラルネットワークのパラメータを調整することで、学習済みモデルM1を生成する。例えば、モデル生成機能152は、放射線治療装置10に含まれる可動装置及びセンサのうちいずれにおいて故障が発生するかについて、ニューラルネットワークによる推定結果と出力側教師データ(正解データ)とが一致するように、ニューラルネットワークのパラメータを調整しながら処理を繰り返す。また、モデル生成機能152は、故障が発生する時期について、ニューラルネットワークによる推定結果と出力側教師データ(正解データ)との差が閾値を下回るまで、ニューラルネットワークのパラメータを調整しながら処理を繰り返す。これにより、モデル生成機能152は、可動装置に関する故障を予測するように機能付けられた学習済みモデルM1を生成する。
【0068】
なお、学習済みモデルM1が畳み込みニューラルネットワーク(CNN)により構成されるものとして説明したが、モデル生成機能152は、全結合ニューラルネットワークや、再帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network:RNN)等の他種のニューラルネットワークにより学習済みモデルM1を構成してもよい。
【0069】
また、モデル生成機能152は、ニューラルネットワーク以外の機械学習手法により、学習済みモデルM1を生成してもよい。例えば、モデル生成機能152は、ロジスティック(Logistic)回帰分析、非線形判別分析、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)、ランダムフォレスト(Random Forest)、ナイーブベイズ(Naive Bayes)等のアルゴリズムを用いて機械学習を行ない、学習済みモデルM1を生成することとしても構わない。
【0070】
また、モデル生成機能152は、複数の学習済みモデルM1を生成することとしてもよい。例えば、モデル生成機能152は、寝台16に関する故障を予測するように機能付けられた学習済みモデルM11と、放射線絞り器172に関する故障を予測するように機能付けられた学習済みモデルM12とをそれぞれ生成することとしてもよい。
【0071】
モデル生成機能152は、生成した学習済みモデルM1をモデル記憶回路14に記憶させる。その後、予測機能153は、例えば放射線治療装置10が使用されるごとに、学習済みモデルM1をモデル記憶回路14から読み出して可動装置に関する故障を予測する。
【0072】
例えば、制御機能151は、放射線治療装置10が使用されるごとに、まず、積算移動量や差異データ、画像情報等のセンサ情報、及び、傾斜情報、術式情報及び放射線情報等の付帯情報を取得して、記憶回路13に記憶させる。
【0073】
なお、故障が発生したことによって駆動装置やセンサ等の交換又は修理が行われた場合、制御機能151は、交換又は修理された部品に関するセンサ情報及び付帯情報を記憶回路13から削除することとしてもよい。即ち、制御機能151は、交換又は修理が行われるまでに収集されたセンサ情報及び付帯情報をリセットし、交換又は修理が行われた後のセンサ情報及び付帯情報を新たに蓄積し始めるように制御してもよい。同様に、故障が予測されたことによって、駆動装置やセンサ等の交換又は調整が行われた場合、制御機能151は、交換又は調整された部品に関するセンサ情報及び付帯情報を記憶回路13から削除することとしてもよい。なお、駆動装置やセンサ等の調整とは、例えば、清掃や校正等の保守作業である。
【0074】
また、予測機能153は、図5に示すように、センサ情報及び付帯情報を記憶回路13から取得して、モデル記憶回路14から読み出した学習済みモデルM1に入力する。ここで、学習済みモデルM1は、これらの入力データに基づいて、可動装置に関する故障を予測する。即ち、予測機能153は、可動部の動作に関する第1情報、及び、可動部が動作した際の環境を示す第2情報を学習済みモデルM1に入力することにより、可動装置に関する故障を予測する。具体的には、学習済みモデルM1は、図5に示すように、故障時期、可動装置の故障に関する情報及びセンサの故障に関する情報等を含んだ故障予測情報を生成して出力する。なお、図5は、第1の実施形態に係る学習済みモデルM1の使用例を示す図である。
【0075】
そして、出力機能154は、予測機能153による故障の予測結果を出力する。例えば、出力機能154は、予測機能153による故障の予測結果をディスプレイ12に表示させる。なお、故障が生じないと予測された場合、出力機能154は、故障の予測結果として故障が生じないことを示す情報をディスプレイ12に表示させてもよいし、故障の予測結果の表示を省略することとしてもよい。
【0076】
例えば、出力機能154は、予測結果として、放射線治療装置10に含まれる複数の可動装置のうち、故障が発生する可動装置を示す情報をディスプレイ12に表示させる。一例を挙げると、放射線治療装置10が寝台16や放射線発生装置17等の複数の可動装置を備えている場合において、出力機能154は、予測結果として、これら複数の可動蔵置のうちいずれが故障するかを示す情報をディスプレイ12に表示させる。また、出力機能154は、予測結果として、その故障が生じる時期をディスプレイ12に表示させる。
【0077】
また、例えば、出力機能154は、予測結果として、可動装置のうち故障が生じる箇所を示す情報をディスプレイ12に表示させる。一例を挙げると、放射線絞り器172が複数のリーフ1721及びリーフ1721のそれぞれに対応した複数のリーフ駆動装置1722を備えている場合において、出力機能154は、予測結果として、複数のリーフ駆動装置1722のうちいずれが故障するかを示す情報をディスプレイ12に表示させる。また、一例を挙げると、出力機能154は、寝台駆動装置162が有する複数の軸(例えば、天板161を水平方向に移動させるための軸及び天板161を鉛直方向に移動させるための軸)のいずれにおいて故障が発生するかを示す情報をディスプレイ12に表示させる。また、出力機能154は、予測結果として、その故障が生じる時期をディスプレイ12に表示させる。
【0078】
また、例えば、出力機能154は、予測結果として、天板161やリーフ1721等の可動部の動作を検出するために設けられた複数のセンサのうち故障が生じるセンサを示す情報をディスプレイ12に表示させる。また、出力機能154は、予測結果として、その故障が生じる時期をディスプレイ12に表示させる。
【0079】
なお、予測機能153による故障の予測結果をディスプレイ12において表示するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、出力機能154は、予測機能153による故障の予測結果をネットワークを介して他の装置に送信し、当該他の装置が、予測機能153による故障の予測結果の表示を行なう場合であってもよい。
【0080】
即ち、出力機能154は、予測機能153による故障の予測結果をユーザに対して通知する。ここで、ユーザは、故障の予測結果を参考に、放射線治療装置10の状態を適切に管理することができる。例えば、近い時期に故障が発生すると予測された場合、ユーザは、故障が発生すると予測された駆動装置やセンサ等の交換又は調整を業者に依頼して、可動装置に関する故障の発生を事前に防ぐことができる。即ち、処理回路15は、可動装置に関する故障を予測してユーザに通知することにより、放射線治療装置10のシステムダウンを回避することができる。一方で、故障が発生すると予測されたもののその時期が遠い場合や、故障が生じないと予測された場合、ユーザは、放射線治療装置10の使用を安心して継続することができる。
【0081】
なお、ユーザとは、例えば、放射線治療装置10が設置された医療施設における医師や技師等であってもよいし、放射線治療装置10のメーカから医療施設に対して派遣されたサービスマン等であってもよい。
【0082】
次に、放射線治療装置10による処理の手順の一例を、図6を用いて説明する。図6は、第1の実施形態に係る放射線治療装置10の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS101、ステップS102、ステップS103、ステップS107、ステップS108、ステップS109、ステップS112及びステップS113は、制御機能151に対応する。ステップS110及びステップS111は、モデル生成機能152に対応する。ステップS104は、予測機能153に対応する。ステップS105及びステップS106は、出力機能154に対応する。
【0083】
まず、処理回路15は、寝台16や放射線絞り器172等の可動装置を制御して、放射線治療を実行する(ステップS101)。また、処理回路15は、記憶回路13に第1情報及び第2情報を記憶させる(ステップS102)。例えば、処理回路15は、ステップS101の放射線治療の間、可動部の動作をセンサにより検出した検出結果に基づいて図4に示した各種のセンサ情報を取得し、第1情報として記憶回路13に記憶させる。また、例えば、処理回路15は、ステップS101の放射線治療の治療計画に基づいて図4に示した各種の付帯情報を取得し、第2情報として記憶回路13に記憶させる。
【0084】
次に、処理回路15は、ステップS101の放射線治療において、可動装置に関する故障が生じたか否かを判定する(ステップS103)。故障が生じなかった場合(ステップS103否定)、処理回路15は、モデル記憶回路14から学習済みモデルM1を読み出し、学習済みモデルM1に対して第1情報及び第2情報を入力することにより、可動装置に関する故障を予測する(ステップS104)。ここで、処理回路15は、故障が生じると予測したか否かを判定し(ステップS105)、故障が生じると予測した場合(ステップS105肯定)、故障の予測結果を出力する(ステップS106)。
【0085】
故障が生じる旨の予測結果の通知を受けたユーザは、故障が発生すると予測された駆動装置やセンサ等の交換又は調整を業者に依頼することができる。但し、故障が生じると予測された時期が遠い場合等には、ユーザは、交換又は調整を保留にすることもできる。そこで、処理回路15は、故障又は調整が実際に行なわれたか否かを判定する(ステップS107)。交換又は調整が行われた場合(ステップS107肯定)、処理回路15は、記憶回路13から、交換又は調整された部品に関する第1情報及び第2情報を削除する(ステップS108)。
【0086】
一方で、ステップS101の放射線治療において故障が発生した場合(ステップS103肯定)、処理回路15は、図4に示した各種の故障履歴情報を取得して、記憶回路13に記憶させる(ステップS109)。例えば、可動装置の故障が発生した場合、処理回路15は、可動装置の故障に関する情報と故障が発生した時期とを対応付けた故障履歴情報を取得し、記憶回路13に記憶させる。また、例えば、センサの故障が発生した場合、処理回路15は、センサの故障に関する情報と故障が発生した時期とを対応付けた故障履歴情報を取得し、記憶回路13に記憶させる。
【0087】
次に、処理回路15は、図4に示した入力側教師データと出力側教師データとの組を複数含む学習用データセットを生成する。例えば、処理回路15は、過去に生成された学習用データセットに対して、ステップS102において記憶回路13に記憶された第1情報及び第2情報と、ステップS109において記憶回路13に記憶された故障履歴情報との組を追加して、新たな学習用データセットを生成する(ステップS110)。
【0088】
次に、処理回路15は、モデル記憶回路14に記憶された学習済みモデルM1を更新する(ステップS111)。即ち、処理回路15は、ステップS110において生成した学習用データセットに基づく機械学習を実行して新たな学習済みモデルM1を生成し、モデル記憶回路14に記憶させる。また、学習済みモデルM1を更新した後、処理回路15は、故障が発生した部品について交換又は修理が行われたか否かを判定し(ステップS112)、交換又は修理が行われていない場合には待機状態となる(ステップS112否定)。
【0089】
ステップS108の後、ステップS105において故障が生じないと予測した場合、又は、ステップS112において交換又は修理が行われたと判定した場合、処理回路15は、次の放射線治療が予定されているか否かを判定し(ステップS113)、次の放射線治療が予定されている場合には再度ステップS101に移行する(ステップS113肯定)。一方で、次の放射線治療が予定されていない場合には(ステップS113否定)、処理回路15は、処理を終了する。
【0090】
なお、図6のフローチャートについては適宜変形が可能である。例えば、処理回路15は、ステップS105を省略し、故障が生じると予測したか否かに関わらず、故障の予測結果を出力することとしてもよい。また、例えば、処理回路15は、ステップS108を省略し、第1情報及び第2情報を記憶回路13に記憶させておくこととしてもよい。
【0091】
また、図6のフローチャートにおいては第1情報及び第2情報の双方を用いて故障予測を行なうものとして説明したが、処理回路15は、第1情報及び第2情報の一方を用いて故障予測を行なうこともできる。例えば、処理回路15は、第1情報として図5に示した積算移動量のみを学習済みモデルM1に入力して、可動装置に関する故障を予測することもできる。
【0092】
上述したように、第1の実施形態によれば、制御機能151は、寝台16や放射線発生装置17等の可動装置を制御して、放射線治療を実行する。また、モデル記憶回路14は、可動装置の故障を予測するように機能付けられた学習済みモデルM1を記憶する。また、予測機能153は、リーフ1721や天板161等の可動部の動作に関する第1情報、及び、可動部が動作した際の環境を示す第2情報の少なくとも一方を学習済みモデルM1に入力することにより、可動装置に関する故障を予測する。また、出力機能154は、予測機能153による故障の予測結果を出力する。従って、第1の実施形態に係る放射線治療装置10は、可動装置に関する故障を予測してユーザに通知することにより、故障が発生する前に部品の修理や調整を行なうことを可能として、システムダウンを回避することができる。
【0093】
なお、これまで、可動装置の例として寝台16及び放射線絞り器172について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、放射線治療装置10が有する回転ガントリ19は、回転の動作を実行可能な可動部の一例である。また、放射線治療装置10は、図示しない回転ガントリ駆動装置191を有し、回転ガントリ駆動装置191は、モータ等のアクチュエータを駆動することにより、回転ガントリ19を回転させる。
ここで、放射線治療装置10は、寝台16及び放射線絞り器172の場合と同様に、回転ガントリ19及び回転ガントリ駆動装置191からなる可動装置に関する故障を予測し、ユーザに通知することができる。
【0094】
また、これまで、放射線治療装置10において学習済みモデルM1の生成処理を実行する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、放射線治療装置10は、処理回路15がモデル生成機能152を実行することに代えて、外部装置において生成された学習済みモデルM1を取得して、モデル記憶回路14に記憶させることとしてもよい。
【0095】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、放射線装置の一例として、放射線治療を実行可能な放射線治療装置について説明した。これに対し、第2の実施形態では、放射線を用いた画像収集を実行可能な放射線診断装置について説明する。
【0096】
以下、放射線診断装置の一例として、図7に示すX線CT装置20について説明する。図7は、第2の実施形態に係るX線CT装置20の構成の一例を示すブロック図である。図7に示すように、X線CT装置20は、架台装置210と、寝台230と、コンソール装置240とを有する。
【0097】
図7においては、傾斜していない状態での回転フレーム213の回転軸又は寝台230の天板233の長手方向をZ軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とする。なお、図7は、説明のために架台装置210を複数方向から描画したものであり、X線CT装置20が架台装置210を1つ有する場合を示す。
【0098】
架台装置210は、X線管211と、X線検出器212と、回転フレーム213と、X線高電圧装置214と、制御装置215と、ウェッジ装置216と、コリメータ217と、DAS218とを有する。
【0099】
X線管211は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管211は、X線高電圧装置214からの高電圧の印加により、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することで、患者P2に対し照射するX線を発生する。
【0100】
X線検出器212は、X線管211から照射されて患者P2を通過したX線を検出し、検出したX線量に対応した信号をDAS218へと出力する。X線検出器212は、例えば、X線管211の焦点を中心とした1つの円弧に沿ってチャンネル方向(チャネル方向)に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。X線検出器212は、例えば、チャネル方向に複数の検出素子が配列された検出素子列が列方向に複数配列された構造を有する。なお、列方向については、スライス方向、row方向、又はセグメント方向とも記載する。また、列方向は、図7に示す患者P2の体軸方向(Z軸方向)に対応する。
【0101】
例えば、X線検出器212は、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、フォトダイオード等の光センサを有する。なお、X線検出器212は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0102】
回転フレーム213は、X線管211とX線検出器212とを対向支持し、制御装置215によってX線管211とX線検出器212とを回転させる円環状のフレームである。例えば、回転フレーム213は、アルミニウムを材料とした鋳物である。なお、回転フレーム213は、X線管211及びX線検出器212に加えて、X線高電圧装置214やウェッジ装置216、コリメータ217、DAS218等を更に支持することもできる。更に、回転フレーム213は、図7において図示しない種々の構成を更に支持することもできる。以下では、架台装置210において、回転フレーム213、及び、回転フレーム213と共に回転移動する部分を、回転部とも記載する。
【0103】
X線高電圧装置214は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管211に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管211が発生するX線に応じた出力電圧の制御を行なうX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。なお、X線高電圧装置214は、回転フレーム213に設けられてもよいし、図示しない固定フレームに設けられても構わない。
【0104】
制御装置215は、架台装置210の回転部を動作させる。例えば、制御装置215は、処理回路245による制御の下、モータ等のアクチュエータを駆動することにより、架台装置210の回転部を回転させる。また、例えば、制御装置215は、処理回路245による制御の下、回転部を傾斜させる。一例を挙げると、制御装置215は、回転部を傾斜させる制御として、入力インタフェース241を介して入力された傾斜角度(チルト角度)情報により、X軸方向に平行な軸を中心に回転部を傾斜させる。
【0105】
即ち、架台装置210の回転部は、回転や傾斜といった機械的な動作を実行可能な部品であり、可動部の一例である。また、制御装置215は、回転部を動作させる装置であり、駆動装置の一例である。また、回転部及び制御装置215を含む架台装置210は、可動装置の一例である。
【0106】
ウェッジ装置216は、例えば、移動又は回転の動作を実行可能なウェッジ2161と、ウェッジ2161を動作させるウェッジ駆動装置2162とを含む。ここで、ウェッジ2161は、X線管211から照射されたX線量を調節するためのX線フィルタである。具体的には、ウェッジ2161は、X線管211から患者P2へ照射されるX線が予め定められた分布になるように、X線管211から照射されたX線を減衰させるX線フィルタである。例えば、ウェッジ2161は、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウム等を加工して作製される。また、ウェッジ駆動装置2162は、モータ等のアクチュエータを駆動することによって、ウェッジ2161を動作させる。
【0107】
即ち、ウェッジ2161は、移動や回転といった機械的な動作を実行可能な部品であり、可動部の一例である。また、ウェッジ駆動装置2162は、ウェッジ2161を動作させる装置であり、駆動装置の一例である。また、ウェッジ2161及びウェッジ駆動装置2162を含むウェッジ装置216は、可動装置の一例である。
【0108】
コリメータ217は、例えば、移動の動作を実行可能な絞り羽根2171と、絞り羽根2171を動作させる絞り羽根駆動装置2172とを含む。ここで、絞り羽根2171は、ウェッジ2161を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等である。例えば、コリメータ217は複数の絞り羽根2171を含み、これら複数の絞り羽根2171の組み合わせによってスリットを形成する。また、絞り羽根駆動装置2172は、モータ等のアクチュエータを駆動することによって絞り羽根2171を動作させる。
【0109】
即ち、絞り羽根2171は、移動可能な部品であり、可動部の一例である。また、絞り羽根駆動装置2172は、絞り羽根2171を動作させる装置であり、駆動装置の一例である。また、絞り羽根2171及び絞り羽根駆動装置2172を含むコリメータ217は、可動装置の一例である。
【0110】
なお、図7においては、X線管211とコリメータ217との間にウェッジ装置216が配置される場合を示すが、X線管211とウェッジ装置216との間にコリメータ217が配置される場合であってもよい。この場合、ウェッジ2161は、X線管211から照射され、コリメータ217により照射範囲が制限されたX線を透過して減衰させる。
【0111】
DAS218は、X線検出器212が有する各検出素子によって検出されるX線の信号を収集する。例えば、DAS218は、各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行なう増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS218は、例えば、プロセッサにより実現される。
【0112】
DAS218が生成したデータは、回転フレーム213に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を有する送信機から、光通信によって、架台装置210の非回転部分(例えば、固定フレーム等。図1での図示は省略している)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置240へと転送される。ここで、非回転部分とは、例えば、回転フレーム213を回転可能に支持する固定フレーム等である。なお、回転フレーム213から架台装置210の非回転部分へのデータの送信方法は、光通信に限らず、非接触型の如何なるデータ伝送方式を採用してもよいし、接触型のデータ伝送方式を採用しても構わない。
【0113】
寝台230は、患者P2が載置されるベッドであり、基台231と、寝台駆動装置232と、天板233と、支持フレーム234とを有する。なお、患者P2は、X線CT装置20に含まれない。基台231は、支持フレーム234を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。また、支持フレーム234は、天板233を長軸方向に移動可能に支持するフレームである。
【0114】
例えば、寝台駆動装置232は、処理回路245による制御の下、モータ等のアクチュエータを駆動することにより、支持フレーム234を鉛直方向に移動させる。また、例えば、寝台駆動装置232は、天板233を長軸方向に移動させる。なお、寝台駆動装置232は、天板233に加え、支持フレーム234を天板233の長軸方向に移動してもよい。
【0115】
即ち、天板233及び支持フレーム234は、移動可能な部品であり、可動部の一例である。また、寝台駆動装置232は、天板233及び支持フレーム234を動作させる装置であり、駆動装置の一例である。また、寝台駆動装置232、天板233及び支持フレーム234を含む寝台230は、可動装置の一例である。
【0116】
コンソール装置240は、入力インタフェース241と、ディスプレイ242と、記憶回路243と、モデル記憶回路244と、処理回路245とを有する。なお、コンソール装置240は架台装置210とは別体として説明するが、架台装置210にコンソール装置240又はコンソール装置240の各構成要素の一部が含まれてもよい。
【0117】
入力インタフェース241は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路245に出力する。例えば、入力インタフェース241は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インタフェース241は、架台装置210に設けられてもよい。また、入力インタフェース241は、コンソール装置240本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インタフェース241は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、コンソール装置240とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路245へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース241の例に含まれる。
【0118】
ディスプレイ242は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ242は、処理回路245による制御の下、X線管211及びX線検出器212を用いて収集されたCT画像を表示する。また、例えば、ディスプレイ242は、入力インタフェース241を介してユーザから各種の指示や設定等を受け付けるためのGUIを表示する。また、例えば、ディスプレイ242は、予測機能245cによる故障の予測結果を表示する。例えば、ディスプレイ242は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイである。ディスプレイ242は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置240本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0119】
記憶回路243及びモデル記憶回路244は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、記憶回路243は、X線CT装置20に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。また、例えば、モデル記憶回路244は、モデル生成機能245bによって生成された学習済みモデルM2を記録する。なお、記憶回路243とモデル記憶回路244とについては統合することとしても構わない。
【0120】
処理回路245は、制御機能245a、モデル生成機能245b、予測機能245c及び出力機能245dを実行することで、X線CT装置20全体の動作を制御する。ここで、制御機能245aは、制御部の一例である。また、モデル生成機能245bは、モデル生成部の一例である。また、予測機能245cは、予測部の一例である。また、出力機能245dは、出力部の一例である。
【0121】
例えば、処理回路245は、制御機能245aに相当するプログラムを記憶回路243から読み出して実行することにより、画像収集を実行する。なお、画像収集を実行するか放射線治療を実行するかという点を除いて、制御機能245aは、上述した制御機能151と同様の機能である。
【0122】
例えば、制御機能245aは、ウェッジ装置216を制御し、ウェッジ2161を移動させたり回転させたりする。また、例えば、制御機能245aは、コリメータ217を制御し、絞り羽根2171を移動させて開口度等を調整する。また、例えば、制御機能245aは、架台装置210を制御し、回転部を傾斜させたり回転させたりする。また、例えば、制御機能245aは、寝台230を制御し、天板233及び支持フレーム234を移動させる。
【0123】
また、例えば、制御機能245aは、X線高電圧装置214を制御することにより、X線管211に高電圧を供給する。これにより、X線管211は、患者P2に対し照射するX線を発生する。また、患者P2に対するX線の照射が行なわれている間、DAS218は、X線検出器212における各検出素子からX線の信号を収集し、検出データを生成する。また、制御機能245aは、DAS218から出力された検出データに対して、前処理を施す。例えば、制御機能245aは、DAS218から出力された検出データに対して、対数変換処理やオフセット補正処理、チャンネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施す。なお、前処理を施した後のデータについては生データとも記載する。また、前処理を施す前の検出データ及び前処理を施した後の生データを総称して、投影データとも記載する。
【0124】
また、制御機能245aは、前処理後の投影データに基づいて画像データを生成する。例えば、制御機能245aは、投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法、逐次近似応用再構成法等を用いた再構成処理を行なうことにより、CT画像データ(ボリュームデータ)を生成する。また、制御機能245aは、機械学習の手法による再構成処理を行なって、CT画像データを生成することもできる。例えば、制御機能245aは、DLR(Deep Learning Reconstruction)法により、CT画像データを生成する。
【0125】
また、処理回路245は、モデル生成機能245bに対応するプログラムを記憶回路243から読み出して実行することにより、学習済みモデルM2を生成する。なお、モデル生成機能245bは、上述したモデル生成機能152と同様の機能である。また、学習済みモデルM2は、上述した学習済みモデルM1と同様にして生成されるAIであり、可動装置に関する故障を予測するように機能付けられる。即ち、学習済みモデルM1は放射線治療装置10が備える可動装置に関する故障を予測するように機能付けられたAIであるのに対し、学習済みモデルM2は、X線CT装置20が備える可動装置に関する故障を予測するように機能付けられたAIである。
【0126】
また、処理回路245は、予測機能245cに対応するプログラムを記憶回路243から読み出して実行することにより、学習済みモデルM2を用いて、可動装置に関する故障を予測する。なお、予測機能245cは、上述した予測機能153と同様の機能である。
【0127】
また、処理回路245は、出力機能245dに対応するプログラムを記憶回路243から読み出して実行することにより、予測機能245cによる故障の予測結果を出力する。なお、出力機能245dは、上述した出力機能154と同様の機能である。
【0128】
図7に示すX線CT装置20においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路243へ記憶されている。処理回路245は、記憶回路243からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路245は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0129】
なお、図7においては単一の処理回路245にて、制御機能245a、モデル生成機能245b、予測機能245c及び出力機能245dが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路245を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0130】
また、図7においては、単一の記憶回路243が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数の記憶回路243を分散して配置し、処理回路245は、個別の記憶回路243から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、記憶回路243にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0131】
以上、X線CT装置20の構成の一例について説明した。放射線治療装置10の場合と同様、ウェッジ装置216やコリメータ217、架台装置210、寝台230のような可動装置については、使用上、故障が生じる場合がある。或いは、可動装置それ自体が故障しない場合でも、可動部の動作を検出するセンサに故障が生じる場合もある。そこで、X線CT装置20においては、以下で説明する処理回路245の処理により、可動装置に関する故障を予測して、X線CT装置20のシステムダウンを回避する。
【0132】
まず、モデル生成機能245bは、可動装置に関する故障を予測するように機能付けられた学習済みモデルM2を生成して、モデル記憶回路244に記憶させる。ここで、モデル生成機能245bは、モデル生成機能152による学習済みモデルM1の生成処理と同様にして、学習済みモデルM2を生成することができる。
【0133】
例えば、制御機能245aは、ウェッジ装置216のウェッジ2161や、コリメータ217の絞り羽根2171、架台装置210の回転部、寝台230の天板233及び支持フレーム234といった可動部の動作をセンサにより検出した検出結果に基づいてセンサ情報を取得し、記憶回路243に記憶させる。なお、センサ情報の例としては、積算移動量や差異データ、画像情報等が挙げられる。また、センサ情報は、第1情報の一例である。
【0134】
また、例えば、制御機能245aは、撮像条件に基づいて各種の付帯情報を取得し、記憶回路243に記憶させる。なお、付帯情報の例としては、傾斜情報や術式情報、放射線情報等が挙げられる。また、付帯情報は、第2情報の一例である。
【0135】
一例を挙げると、架台装置210の回転部をX軸方向に平行な軸を中心に傾斜させて画像収集を行なう場合、回転部の傾斜角度は、撮像条件として事前に設定される。従って、制御機能245aは、撮像条件に基づいて、重力方向に対する可動部の傾きを示す傾斜情報を取得し、記憶回路243に記憶させることができる。
【0136】
また、一例を挙げると、画像収集を実行する際には、コンベンショナルスキャン、ヘリカルスキャン、ステップアンドシュートといった種々の術式が使用される。ここで、術式は、撮像条件として事前に設定されるものである。従って、制御機能245aは、撮像条件に基づいて、画像収集を実行した際に使用した術式を示す術式情報を取得し、記憶回路243に記憶させることができる。
【0137】
また、一例を挙げると、画像収集のため使用されるX線の強度及び照射時間は、撮像条件として事前に設定されるものである。従って、制御機能245aは、撮像条件に基づいてX線の強度及び照射時間を取得し、X線の量を算出して、放射線情報として記憶回路243に記憶させることができる。
【0138】
また、例えば、制御機能245aは、可動装置に関する故障が発生するごとに故障履歴情報を取得し、記憶回路243に記憶させる。故障履歴情報の例としては、故障時期や可動装置の故障に関する情報、センサの故障に関する情報等が挙げられる。
【0139】
例えば、モデル生成機能245bは、上述したセンサ情報及び付帯情報を入力側教師データとして取得し、故障履歴情報を出力側教師データとして取得する。また、モデル生成機能245bは、このような入力側教師データと出力側教師データとの組を複数取得し、学習用データセットを生成する。更に、モデル生成機能245bは、生成した学習用データセットに基づく機械学習を実行して学習済みモデルM2を生成し、モデル記憶回路244に記憶させる。
【0140】
モデル生成機能245bが学習済みモデルM2を生成してモデル記憶回路244に記憶させた後、予測機能245cは、例えばX線CT装置20が使用されるごとに、学習済みモデルM2をモデル記憶回路244から読み出して可動装置に関する故障を予測する。
【0141】
例えば、まず、制御機能245aは、X線CT装置20が使用されるごとに、積算移動量や差異データ、画像情報等のセンサ情報、及び、傾斜情報、術式情報及び放射線情報等の付帯情報を取得して、記憶回路243に記憶させる。また、予測機能245cは、センサ情報及び付帯情報を記憶回路243から取得して、モデル記憶回路244から読み出した学習済みモデルM2に入力する。ここで、学習済みモデルM2は、これらの入力データに基づいて、可動装置に関する故障を予測する。即ち、予測機能245cは、可動部の動作に関する第1情報、及び、可動部が動作した際の環境を示す第2情報を学習済みモデルM2に入力することにより、可動装置に関する故障を予測する。
【0142】
そして、出力機能245dは、予測機能245cによる故障の予測結果を出力する。例えば、出力機能245dは、予測機能245cによる故障の予測結果をディスプレイ242に表示させる。或いは、出力機能245dは、予測機能245cによる故障の予測結果をネットワークを介して他の装置に送信し、当該他の装置が、予測機能245cによる故障の予測結果の表示を行なう場合であってもよい。
【0143】
上述した処理回路245による処理によって、X線CT装置20のユーザは、故障の予測結果を参考にしつつ、X線CT装置20の状態を適切に管理することができる。例えば、近い時期に故障が発生すると予測された場合、ユーザは、故障が発生すると予測された駆動装置やセンサ等の交換又は調整を業者に依頼して、可動装置に関する故障の発生を事前に防ぐことができる。即ち、処理回路245は、可動装置に関する故障を予測してユーザに通知することにより、X線CT装置20のシステムダウンを回避することができる。一方で、故障が発生すると予測されたもののその時期が遠い場合や、故障が生じないと予測された場合、ユーザは、X線CT装置20の使用を安心して継続することができる。
【0144】
(第3の実施形態)
上述した第1~第2の実施形態では、予測機能153又は予測機能245cが可動装置に関する故障を予測するものとして説明した。即ち、上述した第1~第2の実施形態では、放射線治療装置10やX線CT装置20といった放射線装置が自ら、可動装置に関する故障を予測するものとして説明した。これに対し、第3の実施形態では、放射線装置と異なる他の装置が、放射線装置が備える可動装置に関する故障を予測する場合について説明する。以下、第1~第2の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図2又は図7と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0145】
第3の実施形態では、図8に示すように、放射線治療装置10、X線CT装置20及び故障予測装置30を含んだ放射線システム1について説明する。図8は、第3の実施形態に係る放射線システム1の構成の一例を示すブロック図である。図8に示すように、放射線治療装置10、X線CT装置20及び故障予測装置30は、ネットワークNWを介して相互に接続される。ネットワークNWは、施設内で閉じたローカルネットワークにより構成されてもよいし、インターネットを介したネットワークであってもよい。
【0146】
故障予測装置30は、放射線治療装置10又はX線CT装置20が備える可動装置に関する故障を予測する装置である。例えば、故障予測装置30は、図8に示すように、入力インタフェース31と、ディスプレイ32と、記憶回路33と、モデル記憶回路34と、処理回路35とを有する。
【0147】
入力インタフェース31は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路35に出力する。例えば、入力インタフェース31は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インタフェース31は、故障予測装置30本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インタフェース31は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、故障予測装置30とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路35へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース31の例に含まれる。
【0148】
ディスプレイ32は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ32は、処理回路35による制御の下、入力インタフェース31を介してユーザから各種の指示や設定等を受け付けるためのGUIを表示する。また、例えば、ディスプレイ32は、予測機能352による故障の予測結果を表示する。例えば、ディスプレイ32は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイである。ディスプレイ32は、デスクトップ型でもよいし、故障予測装置30本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0149】
記憶回路33及びモデル記憶回路34は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、記憶回路33は、故障予測装置30に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。また、例えば、モデル記憶回路34は、モデル生成機能351によって生成された学習済みモデルM1又は学習済みモデルM2を記録する。なお、記憶回路33とモデル記憶回路34とについては統合することとしても構わない。
【0150】
処理回路35は、モデル生成機能351、予測機能352及び出力機能353を実行することで、故障予測装置30全体の動作を制御する。ここで、モデル生成機能351は、モデル生成部の一例である。また、予測機能352は、予測部の一例である。また、出力機能353は、出力部の一例である。
【0151】
例えば、処理回路35は、モデル生成機能351に対応するプログラムを記憶回路33から読み出して実行することにより、学習済みモデルM1又は学習済みモデルM2を生成する。なお、モデル生成機能351は、上述したモデル生成機能152又はモデル生成機能245bと同様の機能である。また、学習済みモデルM1は、上述したように、放射線治療装置10が備える可動装置に関する故障を予測するように機能付けられたAIである。また、学習済みモデルM2は、上述したように、X線CT装置20が備える可動装置に関する故障を予測するように機能付けられたAIである。
【0152】
また、処理回路35は、予測機能352に対応するプログラムを記憶回路33から読み出して実行することにより学習済みモデルM1又は学習済みモデルM2を用いて、放射線治療装置10又はX線CT装置20が備える可動装置に関する故障を予測する。なお、予測機能352は、上述した予測機能153又は予測機能245cと同様の機能である。
【0153】
また、処理回路35は、出力機能353に対応するプログラムを記憶回路33から読み出して実行することにより、予測機能352による故障の予測結果を出力する。なお、出力機能353は、上述した出力機能154又は出力機能245dと同様の機能である。
【0154】
図8に示す故障予測装置30においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路33へ記憶されている。処理回路35は、記憶回路33からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路35は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0155】
なお、図8においては単一の処理回路35にて、モデル生成機能351、予測機能352及び出力機能353が実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路35を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0156】
また、図8においては、単一の記憶回路33が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数の記憶回路33を分散して配置し、処理回路35は、個別の記憶回路33から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、記憶回路33にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0157】
まず、故障予測装置30は、学習済みモデルM1又は学習済みモデルM2を生成してモデル記憶回路34に記憶させる。例えば、モデル生成機能351は、放射線治療装置10から、学習済みモデルM1の生成処理に使用する学習用データを取得する。一例を挙げると、モデル生成機能351は、ネットワークNWを介して、図4に示したセンサ情報や付帯情報、故障履歴情報等を学習用データとして取得する。また、モデル生成機能351は、放射線治療装置10から取得した学習用データに基づいて、学習用データセットを生成する。そして、モデル生成機能351は、生成した学習用データセットに基づく機械学習を実行して、学習済みモデルM1を生成する。同様にして、モデル生成機能351は、X線CT装置20から学習済みモデルM2の生成処理に使用する学習用データを取得し、学習済みモデルM2を生成することもできる。また、モデル生成機能351は、生成した学習済みモデルM1又は学習済みモデルM2をモデル記憶回路34に記憶させる。
【0158】
なお、モデル生成機能351が学習済みモデルM1又は学習済みモデルM2を生成する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、故障予測装置30は、処理回路35がモデル生成機能351を実行することに代えて、外部装置において生成された学習済みモデルM1又は学習済みモデルM2を取得して、モデル記憶回路34に記憶させることとしてもよい。一例を挙げると、故障予測装置30は、放射線治療装置10において生成された学習済みモデルM1をネットワークNWを介して取得して、モデル記憶回路34に記憶させることとしてもよい。また、一例を挙げると、故障予測装置30は、X線CT装置20において生成された学習済みモデルM2をネットワークNWを介して取得して、モデル記憶回路34に記憶させることとしてもよい。
【0159】
次に、故障予測装置30は、放射線治療装置10又はX線CT装置20が備える可動装置に関する故障を予測する。例えば、予測機能352は、学習済みモデルM1を用いて、放射線治療装置10が備える可動装置に関する故障を予測する。一例を挙げると、予測機能352は、放射線治療装置10において放射線治療が実行されるごとに、ネットワークNWを介して、放射線治療装置10から、センサ情報及び付帯情報を取得する。次に、予測機能352は、モデル記憶回路34から学習済みモデルM1を読み出し、取得したセンサ情報及び付帯情報を学習済みモデルM1に入力する。ここで、学習済みモデルM1は、これらの入力データに基づいて、可動装置に関する故障を予測する。即ち、予測機能153は、センサ情報及び付帯情報を放射線治療装置10から取得して学習済みモデルM1に入力することにより、放射線治療装置10が備える可動装置に関する故障を予測することができる。同様にして、予測機能153は、センサ情報及び付帯情報をX線CT装置20から取得して学習済みモデルM2に入力することにより、X線CT装置20が備える可動装置に関する故障を予測することができる。
【0160】
そして、出力機能353は、予測機能352による故障の予測結果を出力する。例えば、出力機能353は、予測機能352による故障の予測結果をディスプレイ32に表示させる。或いは、出力機能353は、予測機能352による故障の予測結果をネットワークNWを介して他の装置に送信し、当該他の装置が、予測機能352による故障の予測結果の表示を行なう場合であってもよい。
【0161】
例えば、予測機能352によって放射線治療装置10が備える可動装置に関する故障の予測が行なわれた場合、出力機能353は、予測機能352による故障の予測結果をネットワークNWを介して放射線治療装置10に送信する。この場合、放射線治療装置10における出力機能154は、予測機能352による故障の予測結果をディスプレイ12に表示させることができる。
【0162】
また、例えば、予測機能352によってX線CT装置20が備える可動装置に関する故障の予測が行なわれた場合、出力機能353は、予測機能352による故障の予測結果をネットワークNWを介してX線CT装置20に送信する。この場合、X線CT装置20における出力機能245dは、予測機能352による故障の予測結果をディスプレイ242に表示させることができる。
【0163】
なお、図8においては放射線治療装置10及びX線CT装置20を示したが、これら放射線装置の一方については省略することとしても構わない。即ち、故障予測装置30は、放射線治療装置10及びX線CT装置20のいずれか一方のみと接続されることとしても構わない。
【0164】
また、図8においては放射線治療装置10を1つのみ示したが、故障予測装置30は、複数の放射線治療装置10と接続されることとしても構わない。同様に、故障予測装置30は、複数のX線CT装置20と接続されることとしても構わない。
【0165】
また、図7及び図8においては、画像収集を実行可能な放射線診断装置の一例として、X線CT装置20について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、X線診断装置等の各種の放射線診断装置においても、X線CT装置20の場合と同様に、可動装置に関する故障を予測することが可能である。また、故障予測装置30は、PET装置、SPECT装置、X線診断装置置等の各種の放射線診断装置が備える可動装置に関する故障を予測することが可能である。なお、故障予測装置30は、複数種類の放射線診断装置と接続されることとしても構わない。
【0166】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0167】
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0168】
また、上述した実施形態で説明した故障予測方法は、予め用意された故障予測プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この故障予測プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この故障予測プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0169】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、放射線装置のシステムダウンを回避することができる。
【0170】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0171】
1 放射線システム
10 放射線治療装置
14 モデル記憶回路
15 処理回路
151 制御機能
152 モデル生成機能
153 予測機能
154 出力機能
16 寝台
161 天板
162 寝台駆動装置
17 放射線発生装置
171 放射線発生器
172 放射線絞り器
20 X線CT装置
210 架台装置
211 X線管
212 X線検出器
213 回転フレーム
214 X線高電圧装置
215 制御装置
216 ウェッジ装置
2161 ウェッジ
2162 ウェッジ駆動装置
217 コリメータ
2171 絞り羽根
2172 絞り羽根駆動装置
218 DAS
230 寝台
231 基台
232 寝台駆動装置
233 天板
234 支持フレーム
240 コンソール装置
244 モデル記憶回路
245 処理回路
245a 制御機能
245b モデル生成機能
245c 予測機能
245d 出力機能
30 故障予測装置
34 モデル記憶回路
35 処理回路
351 モデル生成機能
352 予測機能
353 出力機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8