(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ワンピース多機能ナノ積層化複合材窓ペイン
(51)【国際特許分類】
B64C 1/14 20060101AFI20241008BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20241008BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20241008BHJP
B32B 3/08 20060101ALI20241008BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20241008BHJP
B32B 17/10 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B64C1/14
B60J1/00 H
E06B9/24 Z
B32B3/08
B32B9/00 A
B32B17/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020081611
(22)【出願日】2020-05-02
【審査請求日】2023-05-02
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ジアンティエン
(72)【発明者】
【氏名】ノードマン, ポール エス.
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105452102(CN,A)
【文献】特表2007-516147(JP,A)
【文献】国際公開第2016/116120(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0097018(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0219906(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0097551(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0088431(US,A1)
【文献】特表2018-535131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/14
B60J 1/00
E06B 9/24
B32B 3/08
B32B 9/00
B32B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護パネル縁部(212、512)を備え
、電磁効果(EME)、着氷、及び腐食のうち1つ以上に対する耐性を提供し、複数のナノ積層化層を備える保護パネル(211、511)と、
前記保護パネル(211、511)上に配置された構造パネル(213、513)であって、前記保護パネル縁部(212、512)を越えて延在する構造パネル縁部(214、514)を備え、207MPa(30ksi)から13,790MPa(2,000ksi)の引張応力を有
し、複数のナノ積層化層を備える、構造パネル(213、513)と
を備え
る窓アセンブリ(210、510)であって、
前記構造パネル(213、513)が、
底表面保護層(450)、
前記底表面保護層(450)上に配置された構造層(430、440)、及び
前記構造層(430、440)上に配置された透明導電性コーティング層(420)を備え、
前記構造層(430、440)が、
各層がAl
2
O
3
、グラフェン、又はSiO
2
を含む1以上の第1の構造補強層(431)、
前記1以上の第1の構造補強層(431)上に配置され、熱可塑性材料を含む構造透明ポリマー層(432、442)、及び
前記構造透明ポリマー層(432、442)上に配置され、各層がAl
2
O
3
、グラフェン、又はSiO
2
を含む1以上の第2の構造補強層(433)を備え、
前記窓アセンブリ(210、510)が、可視光に対して45%から99%の透過率を有
し、
前記複数のナノ積層化層が、20nmから1000nmの厚さを有し、
前記窓アセンブリ(210、510)が、自立式であり、前記保護パネル縁部(212、512)を越えて延在する前記構造パネル縁部(214、514)を使用することにより、枠を必要とせずに前記窓アセンブリ(210、510)を航空機に取り付けることができるようになっている、窓アセンブリ(210、510)。
【請求項2】
前記保護パネル(211、511)が
、0.127cm(0.05インチ)から2.03cm(0.80インチ)の厚さを有する、請求項1に記載の窓アセンブリ(210、510)。
【請求項3】
前記構造パネル(213、513)が
、0.102cm(0.04インチ)から1.524cm(0.60インチ)の厚さを有する、請求項1又は2に記載の窓アセンブリ(210、510)。
【請求項4】
前記保護パネル縁部(212、512)が、30から80度の角度を有するテーパ付けされた縁部(512)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の窓アセンブリ(210、510)。
【請求項5】
前記構造パネル縁部(214、514)が、12から90度の角度を有するテーパ付けされた縁部(514)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の窓アセンブリ(210、510)。
【請求項6】
エレクトロクロミックガラス又はエレクトロクロミック膜を備えたスマートセンサベースの電子シェード(599)を更に備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の窓アセンブリ(210、510)。
【請求項7】
前記保護パネル(211、511)
が、
表面バリア層(330)、及び
前記表面バリア層(330)上に配置された電磁効果(EME)保護層(320)を備え
る、請求項1から6のいずれか一項に記載の窓アセンブリ(210、510)。
【請求項8】
前記表面バリア層(330)が、
熱可塑性材料を含む表面バリア透明ポリマー層(332、342、352)と、
前記表面バリア透明ポリマー層(332、342、352)上に配置された1以上の表面バリア補強層(331、341、351)であって、それぞれがAl
2O
3又はグラフェンを含み、前記EME保護層(320)が上に配置されている、1以上の表面バリア補強層(331、341、351)と
を備える、請求項7に記載の窓アセンブリ(210、510)。
【請求項9】
前記保護パネル(211、511)が、0.127cm(0.05インチ)から2.03cm(0.80インチ)の厚さを有し、前記構造パネル(213、513)が、0.102cm(0.04インチ)から1.524cm(0.60インチ)の厚さを有する、請求項7又は8に記載の窓アセンブリ(210、510)。
【請求項10】
前記表面バリア層(330、340、350)が、
20から2000nmの厚さを有する前記表面バリア透明ポリマー層(332、342、352)と、
20から2000nmの厚さを有する前記1以上の表面バリア補強層(331、341、351)と、
50から20,000nmの厚さを有する前記EME保護層(320)とを備える、請求項8に記載の窓アセンブリ(210、510)。
【請求項11】
前記底表面保護層(450)が、
200から50,000nmの厚さを有する底表面補強層(452)と、
20から1000nmの厚さを有する底表面透明ポリマー層(451)とを備え、
前記構造層(430、440)が、
20から1000nmの厚さを有する1以上の第1の構造補強層(431)と、
20から1000nmの厚さを有する構造透明ポリマー層(432、442)と、
20から1000nmの厚さを有する1以上の第2の構造補強層(433)とを備え、
前記透明導電性コーティング層(420)が、20から1000nmの厚さを有する、請求項7から10のいずれか一項に記載の窓アセンブリ(210、510)。
【請求項12】
前記EME保護層(320)が、カーボンナノチューブ又はインジウムスズ酸化物(ITO)とグラフェンを含む、請求項7から11のいずれか一項に記載の窓アセンブリ(210、510)。
【請求項13】
前記熱可塑性材料が、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルイミド(PEI)、又はそれらの混合物である、請求項7から12のいずれか一項に記載の窓アセンブリ(210、510)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、広くは、窓アセンブリに関し、特に、枠なし構造窓アセンブリ向けの方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 輸送体又は構造体用の窓アセンブリは、通常、枠内に取り付けられたガラス、プラスチック、又は複合材料から作製された窓を含む。枠は、窓を支持し、内部に窓が設置される輸送体又は構造体内の切り欠き(cutout)を補強する。例えば、航空機窓アセンブリは、概して、金属枠内に取り付けられたアクリル製の2つのペイン(pane)から形成された窓を含む。窓は、航空機外板内の切り欠きの中にフィットし、金属枠が、胴体を形成している航空機外板に機械的に取り付けられる。枠は、アクリルの窓の代わりに枠によって構造的な負荷が生じることを保証する。
図1は、窓アセンブリ110の拡大された断面図を含む航空機100を描いている。窓アセンブリ110は、両方ともアクリルから形成された内側窓120と外側窓125から構成される。内側窓120と外側窓125は、枠130に取り付けられ且つ枠130によって支持される。枠130は、複数のファスナ185によって、航空機100の航空機外板190に取り付けられる。
【0003】
[0003] しかし、枠を含む窓アセンブリは、幾つかの制限を有する。切り欠きは、例えば航空機外板内の局所的な応力を高め得る。そして、アクリルの窓と金属枠との間の材料特性のミスマッチは、切り欠きで局所的な応力を生成し得る。枠は、窓アセンブリに対する構造的な支持を提供する一方で、重量も追加し、窓のサイズを限定する。
【0004】
[0004] 航空機の用途に対して特に、アクリルの窓は理想的なものではない。というのも、アクリルは、熱伝導率が低く且つ強度が低いからである。結果として、窓のサイズは概して小さく、乗客の体験に影響を与える。そして、アクリルの窓は、導電性ではないので、窓及び枠に更なる電磁効果(EME)の解決策を加える必要がある。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本教示によれば、窓アセンブリが提供される。窓アセンブリは、保護パネル縁部を備えた保護パネル、及び保護パネル上に配置された構造パネルを含む。構造パネルは、保護パネル縁部を越えて延在する構造パネル縁部を備える。構造パネルは、約30ksiから約2,000ksiの引張応力を有し、窓アセンブリは、可視光に対して約45%から約99%の透過率を有する。
【0006】
[0006] 本教示によれば、別の窓アセンブリが提供される。窓アセンブリは、表面バリア層、及び、表面バリア層上に配置された電磁効果(EME)保護コーティングを備えた、保護パネルを含む。窓アセンブリは、保護パネル上に配置された構造パネルを更に含む。構造パネルは、底表面保護層、底表面保護層上に配置された構造層、及び構造層上に配置された透明導電性コーティング層を備える。窓アセンブリは、可視光に対して約45%から約99%の透過率を有する。
【0007】
本教示によれば、枠なしナノ積層化窓アセンブリを作製するための方法が提供される。該方法は、Al2O3の1以上の層、グラフェン(graphene)の1以上の層、又はAl2O3とグラフェンの1以上の層を備えた、第1の補強層を堆積させ、次いで、熱可塑性材料を含む第1の透明ポリマー層を、第1の補強層上に堆積させることによって、底表面保護層を形成することを含む。該方法は更に、Al2O3の1以上の層、グラフェンの1以上の層、SiO2の1以上の層、又はそれらの組み合わせを備えた、第2の補強層を堆積させ、次いで、熱可塑性材料を含む第2の透明ポリマー層を第2の補強層上に堆積させ、Al2O3の1以上の層、グラフェンの1以上の層、又はAl2O3とグラフェンの1以上の層を備えた、第3の補強層を、第2の透明ポリマー層上に堆積させることによって、底表面保護層上に配置された構造層を形成することを含む。該方法は更に、ITOとグラフェンのうちの1以上を含む透明導電性コーティング層を、第3の補強層上に形成することを含む。該方法は更に、熱可塑性材料を含む第3の透明ポリマー層を、透明導電性コーティング層上に堆積させ、Al2O3の1以上の層、グラフェンの1以上の層、又はAl2O3とグラフェンの1以上の層を備えた、第4の補強層を、第3の透明ポリマー層上に堆積させることによって、表面バリア層を透明導電性コーティング層上に形成することを含む。該方法は更に、電磁効果コーティングを第4の補強層上に堆積させることを含む。
【0008】
[0007] 先述の一般的な記載と後述の詳細な記載の両方は、例示及び説明のためだけのものであり、特許請求される開示を限定しようとするものではないことは、理解されるべきである。
【0009】
[0008] 本明細書に組み込まれ、且つ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示を例示しており、説明部分と共に、本開示の原理を説明する役割を果たしている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0009] 航空機内に取り付けられた従来の窓アセンブリ、及び従来の窓アセンブリの拡大された断面図を概略的に描く。
【
図2】[0010] 本教示による、ナノ積層化窓を概略的に描く。
【
図3】[0011] 本教示による、保護パネルを形成する複数のナノ積層化層を概略的に描く。
【
図4】[0012] 本教示による、構造パネルを形成する複数のナノ積層化層を概略的に描く。
【
図5】[0013] 本教示による、ナノ積層化窓の断面図を概略的に描く。
【
図6】[0014] 本教示による、ナノ積層化窓アセンブリを作製するための方法を描くフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0015] 次に、その実施例が添付図面で示されているところの本開示の例示的な実施態様を、詳細に参照することになる。可能なときは何時でも、同じ又は類似する部分を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。後述の説明では、本開示の一部分を形成する添付図面を参照する。これらの添付図面は、本開示が実施され得る、特定の例示的な実施態様を説明するために示されている。これらの実施態様は、当業者が本開示を実施することができるよう十分詳細に記載されており、他の実施態様が利用可能であること、本開示の精神及び範囲から逸脱せずに変更を加え得ることが理解されるであろう。したがって、以下の説明は単なる例示にすぎない。
【0012】
[0016] 現在、窓アセンブリは、枠内に取り付けられた透明窓を含む。枠は、窓アセンブリ向けの構造的な支持を提供する一方で、重量も追加し、窓のサイズを限定する。ガラス、プラスチック、又は複合材の窓材料は、概して、強度が低く、氷の蓄積を防止しEMEに対する保護を提供するための更なるコーティングも必要とし得る。本開示の実施態様は、枠なしに、例えば輸送体、装備、又は構造体に直接取り付けられ得る、ワンピース構造窓の必要性に対処する。
【0013】
[0017] 開示されるナノ積層化窓アセンブリは、自立式であり、したがって、支持用の枠を必要としない。航空機などの特定の用途では、ナノ積層化窓の自立式の特性のおかげで、航空機外板に直接取り付けて、構造的な支持及び負荷を支える能力を提供することができる。枠を必要としないので、開示されるナノ積層化窓は、低減された重量でより大きな窓面積を提供することもできる。そして、ワンピース多機能設計は、耐衝撃保護、氷の蓄積防止、及びEME保護のうちの1以上を提供することができる。
【0014】
[0018] 本明細書で使用される際に、「ナノ積層体」及び「ナノ積層化」という用語は、約20nmから約1,000nmの範囲内の厚さを有する材料の交互層によって形成された複合材料を指す。本開示の窓アセンブリ内でナノ積層化層を使用することによって、厚さ、組成、等方性剛性(isotropic stiffness)、及び強度のうちの1以上を含む、窓アセンブリの特定の特性を調整することができる。
【0015】
[0019]
図2は、本教示による、窓アセンブリ210を描いている。窓アセンブリ210は、航空機の窓に関して説明されるが、本開示の窓アセンブリは、非限定的に、輸送体、装備、及び建造物、並びに他の構造体を含む、他の目的向けに使用されてよいことを、当業者は理解するだろう。窓アセンブリ210のワンピースの設計は、保護パネル211及び構造パネル213を含む。構造パネル213は、窓アセンブリ210向けの構造的な支持及び耐衝撃保護を提供する。更に、窓アセンブリ210は、枠を使用することなしに取り付けることが可能である。保護パネル211は、電磁効果(EME)、着氷、引っかき傷、及び腐食のうちの1以上に対する耐性を提供する。構造パネル213は、保護パネル211上に配置され、保護パネル211に取り付けられる。保護パネル211と構造パネル213の両方は、複数のナノ積層化層から形成される。構造パネル213は、保護パネル211より大きいので、構造パネル縁部214は、保護パネル縁部212を越えて延在する。以下で更に説明されるように、保護パネル縁部212を越えて延在する構造パネル213の一部分は、枠を必要とすることなしに、例えば胴体を形成する航空機外板に、窓アセンブリ210を取り付けるために使用することができる。保護パネル211は、切り欠きを満たし、例えば航空機の胴体の外側と面一になるようにサイズ決定される。保護パネル211は、航空機の胴体を貫通する視野を提供し、空力抵抗を抑制し、EME、氷、及び腐食からの表面保護を提供する。構造パネル213は、窓アセンブリ210に負荷を支える能力を提供し、例えば胴体を形成する航空機外板に窓アセンブリ210を取り付けるための場所を提供する。
【0016】
[0020] 窓として機能するために、窓アセンブリ210は、可視光に対して約45%から約99%の透過率を有するように透明である。任意選択的に、窓アセンブリ210は、可視光に対して、約55%から約98%、又は約65%から約95%の透過率を有してよい。窓アセンブリ210の形状は、概して、多角形状又は角が丸められた多角形状である。その場合、丸められた角は、約0.25インチ以上の等半径円弧rcを有する。窓アセンブリ210の形状は、約5インチ以上の半径Rを有する凸形状から無限の半径を有する本質的に平坦な形状までの範囲内にあってもよい。これによって、窓アセンブリ210は、例えば湾曲を有する航空機の胴体又は湾曲を有さない装備/構造体と面一に取り付けることができる。
【0017】
[0021]
図3で示されているように、保護パネル211は、表面バリア層330、及び電磁効果(EME)保護層320を含んでよい。EME保護層320は、約50nmから約20,000nmの厚さを有し、カーボンナノチューブ又はインジウムスズ酸化物(ITO)とグラフェンから形成されている。EME保護層320は、表面バリア層330上に配置されている。
【0018】
[0022] 表面バリア層330は、表面バリア補強層331を含む、複数のナノ積層化層から形成されている。表面バリア補強層331は、Al2O3又はグラフェンから形成され、約500nmから約50,000nmの厚さを有する。表面バリア補強層331は、腐食保護用の防湿バリアとして働き、衝撃、引っかき傷、及び焼き切れ(burn thorough)からの保護を提供する。表面バリア補強層331は、表面バリア透明ポリマー層332上に配置されている。表面バリア透明ポリマー層332は、約20nmから約2,000nmの厚さを有し、非限定的に、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルイミド(PEI)、及びそれらの混合物を含む、華氏約120度から華氏約750度のガラス転移温度Tgを有する高温熱可塑性材料から形成されている。
【0019】
[0023] 保護パネル211は、任意選択的に、
図3で示されているように、表面バリア層330と類似した厚さ及び組成を有する、1以上の更なる表面バリア層を含んでよい。更なる1以上の表面バリア層は、腐食、引っかき傷、衝撃、及び焼き切れ(burn through)に対抗する、フェールセーフ層として働くことができる。
図3で描かれているように、保護パネル211は、2以上の表面バリア層、例えば表面バリア層340と表面バリア層350を含んでよい。表面バリア層340は、Al
2O
3又はグラフェンから形成され且つ約500nmから約50,000nmの厚さを有する、表面バリア補強層341を含んでよい。表面バリア補強層341は、表面バリア透明ポリマー層342上に配置されてよく、約20nmから約2,000nmの厚さを有してよく、非限定的に、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルイミド(PEI)、及びそれらの混合物を含む、高温熱可塑性材料から形成されてよい。同様に、表面バリア層350は、Al
2O
3又はグラフェンから形成された表面バリア補強層351を含んでよく、約500nmから約50,000nmの厚さを有してよい。表面バリア補強層351は、表面バリア透明ポリマー層352上に配置されてよく、約20nmから約2,000nmの厚さを有してよく、非限定的に、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルイミド(PEI)、及びそれらの混合物を含む、高温熱可塑性材料から形成されてよい。保護パネル211は更に、任意選択的に、更なる表面バリア補強層又は表面バリア透明ポリマー層を含んでよい。
【0020】
[0024] 保護パネル211は、約0.05から約0.8インチの厚さを有し、EME、着氷、及び腐食のうちの1以上に対する耐性を提供する。窓アセンブリ210が航空機内で使用されるときに、保護パネル211は、航空機の外側の広げられた視野を提供するようにサイズ決定されてよく、空力抵抗を抑制するために胴体の外側と面一に取り付けられてよい。
【0021】
[0025]
図4で示されているように、構造パネル213は、透明導電性コーティング(TCC)層420、構造層430、及び底表面保護層450を含んでよい。構造パネル213は、複数のナノ積層化層から形成され、約0.04インチから約0.6インチの厚さを有する。
【0022】
[0026] TCC層420は、約50nmから約10,000nmの厚さを有し、EME保護を提供するために、カーボンナノチューブ又はITOとグラフェンから形成されてよい。TCC層420は、構造層430上に配置されている。
【0023】
[0027] 構造層430は、複数のナノ積層化層から形成され、1以上の第1の構造補強層431を含む。その場合、各第1の構造補強層は、約20nmから約1,000nmの厚さを有する。1以上の第1の構造補強層431は、約20nmから約1,000nmの厚さを有する、構造透明ポリマー層432上に配置されている。構造透明ポリマー層432は、1以上の第2の構造補強層433上に配置されている。その場合、各第2の構造補強層は、約20nmから約1,000nmの厚さを有する。第1の構造補強層431及び第2の構造補強層433は、Al2O3、SiO2、又はグラフェンから形成されてよい。構造透明ポリマー層432は、非限定的に、ポリスチレン(PS)及びポリエーテルイミド(PEI)を含む、高温熱可塑性材料から形成されてよい。高温熱可塑性材料は、少なくとも華氏120度以上のガラス転移温度を有してよい。
【0024】
[0028] 構造パネル213は、任意選択的に、1以上の更なる構造層を含んでよい。例えば、構造パネル213は、
図4で示されているように、構造層440などの2以上の構造層を含んでよい。構造層440は、i)それぞれが、約20nmから約1,000nmの厚さを有し、Al
2O
3若しくはグラフェン又はSiO
2から形成された、1以上の第1の構造補強層441、ii)約20nmから約1,000nmの厚さを有し、非限定的にポリスチレン(PS)及びポリエーテルイミド(PEI)を含む、高温熱可塑性材料から形成された、構造透明ポリマー層442、及びiii)それぞれが、約20nmから約1,000nmの厚さを有し、Al
2O
3、SiO
2、又はグラフェンから形成された、1以上の第2の構造補強層443を含んでよい。
【0025】
[0029] 構造パネル213は更に、複数のナノ積層化層から形成された底表面保護層450を更に含む。底表面保護層450は、非限定的に、ポリスチレン(PS)及びポリエーテルイミド(PEI)を含む、高温熱可塑性材料から形成された、底表面透明ポリマー層451であって、約20nmから約1,000nmの厚さを有する、底表面透明ポリマー層451を含む。底表面透明ポリマー層451は、底表面補強層452上に配置されている。底表面補強層452は、Al2O3又はグラフェンから形成され、約20nmから約1,000nmの厚さを有してよい。
【0026】
[0030] 窓アセンブリ210が、輸送体、装備、又は構造体に取り付けられたときに、構造パネル213は負荷を支える。したがって、構造パネル213は、約33%から約90%の体積分率のAl2O3及び/若しくはグラフェン、又は少なくとも約5%から約30%の体積分率のAl2O3を伴ったSiO2を含んでよい。構造パネル213は、約30ksiから約2,000ksiの引張強度、約50ksi以上の支圧強度、約3msiから約30msiの弾性率、及び/又は摂氏約100度以上のガラス転移温度(Tg)を有してよい。構造パネル213の引張強度は、例えばASTM-D3039を使用して測定されてよく、支圧強度は、例えばASTM-D5961を使用して測定されてよい。材料の特性のミスマッチを最小化するために、構造パネル213は、約5から約20ppm in/in/°Fの熱膨張率を有してよい。構造パネル213は、約10ksiから約200ksiのミーゼス応力(von Mises stress)を有してよい。ミーゼス応力は、例えば、ダッソーシステムズ(Dassault Systemes)(ロードアイランド州ジョンストン)から購入可能なAbaqus FEAソフトウェアを使用して特定されてよい。
【0027】
[0031]
図5は、本開示の教示による、航空機内に取り付けられた窓アセンブリ510の断面図を描いている。窓アセンブリ510は、保護パネル511及び構造パネル513を含む。窓アセンブリ510は、例えば構造パネル513を航空機外板590に取り付けるための1以上のファスナ585及び/又は接着剤を使用して、枠の使用なしに、例えば胴体を形成する航空機外板590に取り付けられる。構造パネルは、約12から約90度の角度を有するテーパ付けされた縁部514を含んでよい。テーパ付けされた縁部514は、構造パネル513の縁部及びその近傍における局所的な応力を最小化する。保護パネル511は、航空機外板590内の切り欠きの中にフィットするようにサイズ決定されてよい。更に、保護パネル511は、約30から約80度の角度を有するテーパ付けされた縁部512を含んでよい。テーパ付けされた縁部512によって、窓アセンブリ510が、航空機外板590に取り付けられ、航空機外板590をしっかりと密封することが可能になる。航空機外板590が、湾曲した表面を有するので、窓アセンブリ510は、航空機外板590に合致するように、凸形状及び曲率半径Rを有してよい。保護パネル511と構造パネル513の両方は、少なくとも0.25インチの等半径円弧rcによって接続された複数の縁部を有する多角形状を有する。枠なしに航空機外板590に取り付けられることを可能にするために、縁部512から縁部514までの距離519は、0.375インチ以上であってよい。
【0028】
[0032] 窓アセンブリ510は、任意選択的に、窓アセンブリ510を貫通して航空機の内装に到達する光の量を低減させるために、電子シェード599、例えばスマート(すなわち、コンピュータで制御された)センサベースの電子シェードを含んでよい。電子シェード599は、窓アセンブリ510の内側515に堆積されたエレクトロクロミックガラス層、又は窓アセンブリ510の内側515に取り付けられた自己粘着性エレクトロクロミック膜から作製されてよい。電子シェード599は、例えば、太陽光の量を低減させるために透明から濃紺又は灰色に変化することによって、窓アセンブリ510を貫通して入って来る太陽光の量を低減させ又は増加させるための、スマート光センサ516によって制御されてよい。
【0029】
[0033] 複数のナノ積層化層を堆積させることによって窓アセンブリ510を形成するための方法600が、
図6で示されている。複数のナノ積層化層のそれぞれは、非限定的に、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、パルスレーザー蒸着(PLD)、及び/又は真空噴霧(vacuum spraying)を含む、真空蒸着プロセスを使用して堆積されてよい。
【0030】
[0034] 構造パネル、例えば
図2及び
図3で示されている構造パネル213又は
図5で示されている構造パネル513は、底表面保護層、1以上の構造層、及び透明導電性コーティング(TCC)層を形成するために、複数のナノ積層化層を堆積させることによって形成されてよい。
【0031】
[0035] 方法600の610では、Al2O3の1以上の層、グラフェンの1以上の層、又はAl2O3とグラフェンの1以上の層を備えた、第1の補強層を堆積させることによって、底表面保護層が形成される。方法600の620では、次いで、熱可塑性材料を含む第1の透明ポリマー層が、第1の補強層上に堆積される。
【0032】
[0036] 方法600の630では、Al
2O
3の1以上の層、グラフェンの1以上の層、SiO
2の1以上の層、又はそれらの組み合わせを備えた、第2の補強層を、底表面保護層上に堆積させることによって、1以上の構造層が底表面保護層上に形成されてよい。方法600の640では、熱可塑性材料を含む第2の透明ポリマー層が、第2の補強層上に堆積されてよい。方法600の650では、Al
2O
3の1以上の層、グラフェンの1以上の層、又はAl
2O
3とグラフェンの1以上の層を備えた、第3の補強層が、第2の透明ポリマー層上に堆積されてよい。
図6で示されているように、方法600の630から650を繰り返すことによって、更なる構造層が形成されてよい。
【0033】
[0037] 方法600の660では、第3の補強層上のITOとグラフェンのうちの1以上を含む透明導電性層が、第3の補強層上に形成される。
【0034】
[0038] 次いで、保護パネル、例えば
図2及び
図3で示されている保護パネル211又は
図5で示されている保護パネル511が、構造パネル上に形成されてよい。
【0035】
[0039] 方法600の670では、熱可塑性材料を含む第3の透明ポリマー層を、透明導電性コーティング層上に堆積させることによって、表面バリア層が形成される。方法600の680では、Al2O3の1以上の層、グラフェンの1以上の層、又はAl2O3とグラフェンの1以上の層を備えた、第4の補強層が、第3の透明ポリマー層上に堆積される。方法600の670から680を繰り返すことによって、更なる表面バリア層が形成されてよい。
【0036】
[0040] 方法600の690で示されているように、電磁効果コーティングを第4の補強層上に堆積させることによって、保護パネルが完成する。
【0037】
[0041] 方法600を使用するワンピース多機能窓アセンブリ510の製造は、保護パネルを形成した後で構造パネルを形成することによって完了し得ることが、当業者によって理解されるだろう。言い換えると、方法600の670から690は、方法600の630から660が実行される前に実行されてよい。更に、構造パネル及び/又は保護パネルの製造は、断片的なやり方(piecemeal manner)であってよい。言い換えると、幾つかの層の第1の群が堆積されてよく、それとは別に幾つかの層の第2の群が堆積されてよい。次いで、層の第1の群は、層の第2の群に接合されてよい。例えば、層の第1の群を含む第1の構造層は、
図6で示されている方法600の630から650を実行することによって形成されてよい。次いで、それとは別に、層の第2の群を含む第2の構造層が、方法600の630から650を実行することによって形成されてよい。次いで、第1の構造層と第2の構造層が共に接合されて、構造パネル、例えば
図5で示されている構造パネル513の一部分を形成してよい。接合は、例えば、構造パネル及び/又は保護パネルを形成する透明熱可塑性材料と比較して、同様な透過率及び同様な又はそれより高いガラス転移温度Tgを有する糊(glue)を使用することができる。
【0038】
[0042] ワンピース多機能窓アセンブリ510を形成するために方法600を使用することによって、層の数、互いに対する層の配置、層の組成、及び層の厚さが制御可能になる。これによって、特定の用途や環境に対して調整され得る、等方性剛性及び強度並びに欠陥の低減を含む、改善された特性がもたらされ得る。更に、方法600を使用して、所望の寸法の正味形状(net-shape)又は正味形状に近い窓アセンブリを形成することができるので、事前のトリミング又は事後のトリミングが必要ない。
【0039】
[0043] 更に、本開示は、以下の条項による実施例を含む。
条項1.
保護パネル縁部を備えた保護パネルと、前記保護パネル上に配置された構造パネルであって、前記保護パネル縁部を越えて延在する構造パネル縁部を備え、約30ksiから約2,000ksiの引張応力を有する、構造パネルとを備え、可視光に対して約45%から約99%の透過率を有する、窓アセンブリ。
条項2.
前記窓アセンブリの形状が、約5インチ以上の半径Rを有する凸状であるか、又は本質的に平坦である、条項1に記載の窓アセンブリ。
条項3.
前記構造パネルが、約50ksi以上の支圧強度、約3msiから約30msiの弾性率、華氏約100度以上のガラス転移温度(Tg)、及び約5から約20ppm/in/in/°Fの熱膨張率、のうちの1以上を有する、条項1又は2の窓アセンブリ。
条項4.
前記保護パネルが、電磁効果、着氷、及び腐食のうちの1以上に対する耐性を提供する、条項1から3のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
条項5.
前記保護パネルが、航空機外板の切り欠き内にフィットするようにサイズ決定され、前記保護パネル縁部を超えて延在する構造パネルの一部分が、0.375インチ以上の距離を有し、前記航空機外板に直接取り付けられるように構成されている、条項1から4のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
条項6.
前記保護パネルが、複数のナノ積層化層を備え、約0.05から約0.80インチの厚さを有する、条項1から5のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
条項7.
前記構造パネルが、複数のナノ積層化層を備え、約0.04から約0.60インチの厚さを有する、条項1から6のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
条項8.
前記保護パネル縁部が、約30から約80度の角度を有するテーパ付けされた縁部を備える、条項1から7のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
条項9.
前記構造パネル縁部が、約12から約90度の角度を有するテーパ付けされた縁部を備える、条項1から8のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
条項10.
エレクトロクロミックガラス又はエレクトロクロミック膜を備えたスマートセンサベースの電子シェードを更に備える、条項1から9のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
条項11.
前記窓アセンブリが、自立式であり、枠を必要としない、条項1から10のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
条項12.
表面バリア層、及び前記表面バリア層上に配置された電磁効果(EME)保護層を備えた、保護パネルと、前記保護パネル上に配置された構造パネルであって、底表面保護層、前記底表面保護層上に配置された構造層、及び前記構造層上に配置された透明導電性コーティング層を備えた、構造パネルとを備え、可視光に対して約45%から約99%の透過率を有する、窓アセンブリ。
条項13.
前記表面バリア層が、熱可塑性材料を含む表面バリア透明ポリマー層と、前記表面バリア透明ポリマー層上に配置された1以上の表面バリア補強層であって、それぞれがAl2O3又はグラフェンを含み、前記EME保護層が上に配置されている、1以上の表面バリア補強層とを備える、条項12に記載の窓アセンブリ。
条項14.
前記底表面保護層が、Al2O3又はグラフェンを含む底表面補強層と、熱可塑性材料を含み且つ前記底表面補強層上に配置された底表面透明ポリマー層とを備える、条項12又は13に記載の窓アセンブリ。
条項15.
前記構造層が、1以上の第1の構造補強層であって、それぞれがAl2O3、グラフェン、又はSiO2を含む、1以上の第1の構造補強層と、前記1以上の第1の構造補強層上に配置された、熱可塑性材料を含む構造透明ポリマー層と、前記構造透明ポリマー層上に配置された1以上の第2の構造補強層であって、それぞれがAl2O3、グラフェン、又はSiO2を含む、1以上の第2の構造補強層とを備える、条項14に記載の窓アセンブリ。
条項16.
前記保護パネルが、約0.05から約0.80インチの厚さを有し、前記構造パネルが、約0.04から約0.60インチの厚さを有する、条項12から15のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
条項17.
前記表面バリア層が、約20から約2000nmの厚さを有する表面バリア透明ポリマー層と、約20から約2000nmの厚さを有する1以上の表面バリア補強層と、約50から約20,000nmの厚さを有する前記EME保護層とを備える、条項12から16のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
条項18.
前記底表面保護層が、約200から約50,000nmの厚さを有する底表面補強層と、約20から約1000nmの厚さを有する底表面透明ポリマー層とを備え、前記構造層が、約20から約1000nmの厚さを有する1以上の第1の構造補強層と、約20から約1000nmの厚さを有する構造透明ポリマー層と、約20から約1000nmの厚さを有する1以上の第2の構造補強層とを備え、前記透明導電性コーティング層が、約20から約1000nmの厚さを有する、条項12から17のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
条項19.
前記保護パネルが、2以上の表面バリア層を更に備える、条項12から18のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
条項20.
前記構造パネルが、2以上の構造層を更に備える、条項12から19のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
条項21.
枠なしナノ積層化窓アセンブリを作製するための方法であって、Al2O3の1以上の層、グラフェンの1以上の層、又はAl2O3とグラフェンの1以上の層を備えた、第1の補強層を堆積させ、熱可塑性材料を含む第1の透明ポリマー層を、前記第1の補強層上に堆積させることによって、底表面保護層を形成することと、Al2O3の1以上の層、グラフェンの1以上の層、SiO2の1以上の層、又はそれらの組み合わせを備えた、第2の補強層を堆積させ、熱可塑性材料を含む第2の透明ポリマー層を、前記第2の補強層上に堆積させ、Al2O3の1以上の層、グラフェンの1以上の層、又はAl2O3とグラフェンの1以上の層を備えた、第3の補強層を、前記第2の透明ポリマー層上に堆積させることによって、前記底表面保護層上に配置された構造層を形成することと、ITOとグラフェンのうちの1以上を含む透明導電性コーティング層を、前記第3の補強層上に形成することを含む、方法。
条項22.
熱可塑性材料を含む第3の透明ポリマー層を、前記透明導電性コーティング層上に堆積させ、Al2O3の1以上の層、グラフェンの1以上の層、又はAl2O3とグラフェンの1以上の層を備えた、第4の補強層を、前記第3の透明ポリマー層上に堆積させ、電磁効果コーティングを前記第4の補強層上に堆積させることによって、表面バリア層を前記透明導電性コーティング層上に形成することを更に含む、条項21に記載の方法。
【0040】
[0044] 1以上の実施形態に関連して本明細書の教示を例示してきたが、付随する特許請求の主旨及び範囲から逸脱しなければ、実施例に変更及び/又は改変がなされ得る。例えば、プロセスを一連の作用又はイベントとして説明しているが、本書の教示はかかる作用又はイベントの順序により限定されるわけではないことが、理解されよう。一部の作用は、本明細書に記載のものとは異なる順序で、且つ/又は本明細書に記載のもの以外の作用若しくはイベントと同時に生じ得る。例えば、該方法のステップは、第1、第2、第3などとして説明されたが、これらの用語は、互いに関する相対的な順序を指すのみであり、例えば、第1は第2の後に生じる。また、本明細書の教示の1以上の態様又は実施態様に従って方法を実装するために、全てのプロセス段階が必要になるわけではないこともある。構造的構成要素及び/若しくは処理段階が追加され得ること、又は既存の構造的構成要素及び/若しくは処理段階が除去若しくは改変され得ることが認識されよう。更に、本明細書に示された作用のうちの1以上は、1以上の別の作用及び/又はフェーズにおいて実施されることもある。更に、「含む(including/includes)」、「有する(having/has)」、「伴う(with)」という語、又はこれらの後の変化形は、本明細書と特許請求の範囲のいずれかで使用される限りにおいて、「備える(comprising)」という語と同様の意味で、包括的であることが意図されている。「~の少なくとも1つ、~のうちの少なくとも1つ(at least one of)」という表現は、列挙されたアイテムのうちの一又は複数が選択されうることを意味するために、使用される。本明細書で使用される際に、例えば、A及びBなどの項目の列挙に関する「~の1以上、~のうちの1以上」という用語は、Aだけ、Bだけ、又はAとBを意味する。「~のうちの少なくとも1つ」という用語は、挙げられた項目のうちの1以上が選択され得ることを意味するために使用される。更に、本明細書の説明及び特許請求の範囲において、2つの材料に関連して使用される「上に(on)」という語(一方が他方の「上に」ある、など)は、材料間に少なくともいくらかの接触があることを意味するのに対し、「上方に(over)」は、複数の材料が近接しているが、1以上の更なる介在材料を伴う可能性があることにより、接触は可能だが必須ではないことを意味する。「上に」と「上方に」のいずれも、本明細書で使用される場合、何らかの方向性を示唆するものではない。「約(about)」という語は、例示している実行形態にプロセス又は構造上の不適合が生じない限り、列挙された値に何らかの変更を加え得ることを示している。最後に、「例示的な(exemplary)」は、記述が、理想的であることを示唆するよりはむしろ、一例として使用されていることを示すものである。本明細書の検討及び本明細書の開示の実践により、当業者には、本明細書の教示の他の実行形態も自明となろう。本明細書及び例は例示にすぎないと見なされることが意図されており、本書の教示の真の範囲及び主旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。