(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】電力線接続を通じたデータ転送のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H04B 3/54 20060101AFI20241008BHJP
B64F 1/36 20240101ALI20241008BHJP
【FI】
H04B3/54
B64F1/36
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020085232
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-05-11
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グェン, ニャ タン
(72)【発明者】
【氏名】ヤー, ソフィープ
(72)【発明者】
【氏名】クマール, アニール
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-230481(JP,A)
【文献】特表2015-537480(JP,A)
【文献】特開2019-057909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/54
B64F 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線ブロードバンド(BPL:broadband over powerline)ユニット(202)であって、
少なくとも1つのプロセッサ(204)と、
前記少なくとも1つのプロセッサ(204)と通信する少なくとも1つのメモリデバイス(218)と、
前記少なくとも1つのプロセッサ(204)と通信する電力線送受信機(206)と
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサ(204)は、前記電力線送受信機(206)を介して、電力線(102)を通じてデータを送信及び受信するようプログラムされ、前記電力線(102)は、三相電力線(102)であり、
前記少なくとも1つのプロセッサ(204)は、
第1の仮想マシン(220)、第2の仮想マシン(222)、及び第3の仮想マシン(224)を実行し、前記第1の仮想マシン(220)が前記三相電力線(102)の第1の位相(414)に関連付けされ、前記第2の仮想マシン(222)が前記三相電力線(102)の第2の位相(416)に関連付けされ、前記第3の仮想マシン(224)が前記三相電力線(102)の第3の位相(418)に関連付けされ、
前記第1の仮想マシン(220)を介して、前記電力線送受信機(206)を介した送信のための第1の複数のデータを受信し、
前記第2の仮想マシン(222)を介して、前記電力線送受信機(206)を介した送信のための第2の複数のデータを受信し、
前記第3の仮想マシン(224)を介して、前記電力線送受信機(206)を介した送信のための第3の複数のデータを受信し、
前記電力線送受信機(206)を介して、前記第1の複数のデータを
前記第1の位相
(414)を介して送信し、
前記電力線送受信機(206)を介して、前記第2の複数のデータを
前記第2の位相
(416)を介して送信
し、
前記電力線送受信機(206)を介して、前記第3の複数のデータを前記第3の位相(418)を介して送信する
ようさらにプログラムされる、電力線ブロードバンド(BPL:broadband over powerline)ユニット(202)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサ(204)が、前記第1の複数のデータ、前記第2の複数のデータ、及び前記第3の複数のデータを同時に送信するようさらにプログラムされる、請求項
1に記載のBPLユニット(202)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサ(204)が、
前記第1の複数のデータ及び前記第2の複数のデータの送信が終了したと判定し、
前記電力線送受信機(206)を介して、残りの前記第3の複数のデータを、前記第1の位相、前記第2の位相、及び前記第3の位相を介して送信する
ようさらにプログラムされる、請求項
2に記載のBPLユニット(202)。
【請求項4】
前記第1の複数のデータが、第1の優先度と関連付けられ、前記第2の複数のデータが、第2の優先度と関連付けられ、前記第1の優先度及び前記第2の優先度が、前記電力線送受信機(206)を介した送信時に符号化される、請求項1から
3のいずれか一項に記載のBPLユニット(202)。
【請求項5】
前記第1の仮想マシン(220)が、第1の暗号方式を用いて前記第1の複数のデータを暗号化する、請求項1から
4のいずれか一項に記載のBPLユニット(202)。
【請求項6】
前記第2の仮想マシン(222)が、第2の暗号方式を用いて前記第2の複数のデータを暗号化し、前記第2の暗号方式は、前記第1の暗号方式とは異なる、請求項
5に記載のBPLユニット(202)。
【請求項7】
前記電力線送受信機(206)は、第3の暗号方式を用いて、送信されるデータを暗号化するよう構成される、請求項
6に記載のBPLユニット(202)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサ(204)は、
前記第1の複数のデータの送信が終了したと判定し、
前記電力線送受信機(206)を介して、残りの前記第2の複数のデータを、前記第1の位相及び前記第2の位相を介して送信する
ようさらにプログラムされる、請求項1から
7のいずれか一項に記載のBPLユニット(202)。
【請求項9】
前記BPLユニット(202)は、航空機(110)上に実装されて配置され、BPL接続(208)を介し航空機電気アンビリカル(102)を通じた地上装置とのデータ通信を可能とするために、電力線送受信機(206)を利用して通信するよう構成され、前記航空機電気アンビリカル(102)は、前記航空機(110)が地上にあるときには前記航空機(110)に接続され、三相電力が、地上の電力システムによって、前記航空機電気アンビリカル(102)を介して前記航空機(110)に供給される、請求項1から
8のいずれか一項に記載のBPLユニット(202)。
【請求項10】
前記BPLユニット(202)は、航空機(110)に搭載されるか、前記航空機(110)と通信できる状態で地上に存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載のBPLユニット(202)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプロセッサ(204)は、
前記電力線送受信機(206)を介して、第4の複数のデータを受信し、
どの仮想マシンに、前記第4の複数のデータをルーティングするかを決定し、
前記第4の複数のデータを、対応する仮想マシンへとルーティングする
ようさらにプログラムされる、請求項1から10のいずれか一項に記載のBPLユニット(202)。
【請求項12】
BPLユニット(202)によって実装されるBPL接続(208)を介して通信する方法であって、前記BPLユニット(202)は、少なくとも1つのメモリデバイス(218)と通信する少なくとも1つのプロセッサ(204)を備え、
前記方法は、
第1の仮想マシン(220)
、第2の仮想マシン(222)
、及び第3の仮想マシン(224)を実行することであって、前記第1の仮想マシン(220)が三相電力線(102)の第1の位相(414)に関連付けされ、前記第2の仮想マシン(222)が前記三相電力線(102)の第2の位相(416)に関連付けされ、前記第3の仮想マシン(224)が前記三相電力線(102)の第3の位相(418)に関連付けされる、第1の仮想マシン(220)、第2の仮想マシン(222)、及び第3の仮想マシン(224)を実行することと、
前記第1の仮想マシン(220)を介して、前記BPL接続(208)を介した送信のための第1の複数のデータを受信することと、
前記第2の仮想マシン(222)を介して、前記BPL接続(208)を介した送信のための第2の複数のデータを受信することと、
前記第3の仮想マシン(224)を介して、前記BPL接続(208)を介した送信のための第3の複数のデータを受信することと、
前記BPL接続(208)を介して、前記BPL接続(208)と関連付けられた
前記三相電力線(102)の
前記第1の位相を介して、前記第1の複数のデータを送信することと、
前記BPL接続(208)を介して、前記BPL接続(208)と関連付けられた前記
三相電力線(102)の
前記第2の位相を介して、前記第2の複数のデータを送信すること
と、
前記BPL接続(208)を介して、前記BPL接続(208)と関連付けられた前記三相電力線(102)の前記第3の位相を介して、前記第3の複数のデータを送信すること
を含む、方法。
【請求項13】
前記第1の複数のデータ及び前記第2の複数のデータの送信が終了したと判定することと、
前記BPL接続(208)を介して、残りの前記第3の複数のデータを、前記第1の位相、前記第2の位相、及び前記第3の位相を介して同時に送信すること
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の複数のデータが、第1の優先度と関連付けられ、前記第2の複数のデータが、第2の優先度と関連付けられ、前記第1の優先度及び前記第2の優先度が、前記BPL接続(208)を介した送信時に符号化される、請求項
12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の仮想マシン(220)を介して、第1の暗号方式を用いて前記第1の複数のデータを暗号化することと、
前記第2の仮想マシン(222)を介して、第2の暗号方式を用いて前記第2の複数のデータを暗号化することをさらに含み、
前記第2の暗号方式は、前記第1の暗号方式とは異なる、請求項
12から
14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術分野は、概して、安全なデータ通信のための方法及びシステムに関し、特に、三相電力システムでの通信におけるデータ伝送速度を上げ、安全性を向上させるための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
民間航空機、軍用機、無人航空機といった車両、及びこれらに搭載された様々なシステムは、相当な量のデータを生成して消費する。例えば、エンジンが、全動作段階において監視されており、その結果、著しい量のデータが生成されることになる。このようなエンジン監視データには、例えば、圧縮比、回転率(RPM)、温度、及び振動のデータが含まれるが、これらには限定されない。さらに、燃料に関連するデータ、保守、エアプレーン・ヘルス・モニタリング(AHM:Airplane Health Monitoring)、運用情報、ケータリングデータ、機内エンターテイメント機器(IFE:In-flight Entertainment Equipment)の更新、及び、免税ショッピングのような乗客データが、定期的かつ典型的に、航空機上で生成される。
【0003】
上記システムのうち少なくとも幾つかは、データ送信及び受信のための中央航空機サーバ及び中央送受信機を通じて、地上システムに無線接続する。しかしながら、或る特定の重要なシステム及び重要なデータが、無線によるデータ転送のために構成されていない。従って、航空機がゲートに到着したときに、上記データの大半が航空機から手動でダウンロードされる。具体的には、データ記録装置が、航空機上のインタフェースへと手動で接続され、上記データが、管理部門への転送及び処理のために、様々なデータ生成器又は飛行日誌から収集される。さらに、管理部門機能が、更新されたデータ一式、例えば、航空機の次のフライトに関するデータを、その航空機に送信する。
【0004】
追加的な通信チャネル及びデータ転送に対する需要によって、このような通信との接続における急速な変化が促されている。このように増大した需要は、例えば、地上システムが航空機からのデータに益々依存していること、及び、航空機乗務員、客室乗務員、及び、乗客の通信へのニーズが増大したことに起因する。さらに、広範な航空機の運航プロセス及びビジネスプロセスの支援においてデータを生成及び消費するアプリケーションの数が増加したことに伴うデータの多様性によって、通信に対する需要が更に加わっている。しかしながら、上記の追加的な通信チャネルの多くによって、既存のリソースを利用する代わりに、航空機に更なる孔を開けることが必要となるであろう。さらに、許可された人物が安全なデータにアクセスすること、又は航空機システムの中に悪意のあるデータが導入されることを防止するために、転送されるデータが保護されていることが極めて重要である。
【発明の概要】
【0005】
一態様において、電力線ブロードバンド(BPL:broadband over powerline)ユニットが提供される。BPLユニットは、第1の仮想マシン及び第2の仮想マシンを実行するようプログラムされた少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサと通信する少なくとも1つのメモリデバイスと、少なくとも1つのプロセッサと通信する電力線送受信機と、を備える。少なくとも1つのプロセッサが、電力線送受信機を介して、電力線を通じてデータを送信及び受信するようプログラムされる。電力線は、三相電力線である。少なくとも1つのプロセッサはまた、第1の仮想マシンを介して、電力線送受信機を介した送信のための第1の複数のデータを受信するようプログラムされる。少なくとも1つのプロセッサは、第2の仮想マシンを介して、電力線送受信機を介した送信のための第2の複数のデータを受信するようさらにプログラムされる。さらに、少なくとも1つのプロセッサは、電力線送受信機を介して、第1の複数のデータを第1の位相を介して送信するようプログラムされる。さらに、少なくとも1つのプロセッサは、電力線送受信機を介して、第2の複数のデータを第2の位相を介して送信するようプログラムされる。
【0006】
他の態様において、BPL接続を介して通信する方法が提供される。本方法は、少なくとも1つのメモリデバイスと通信する少なくとも1つのプロセッサを備えたBPLユニットによって実装される。本方法は、第1の仮想マシン及び第2の仮想マシンを実行することを含む。本方法はまた、第1の仮想マシンを介して、BPL接続を介した送信のための第1の複数のデータを受信することを含む。本方法は、第2の仮想マシンを介して、BPL接続を介した送信のための第2の複数のデータを受信することをさらに含む。さらに、本方法は、BPL接続を介して、第1の複数のデータを、BPL接続と関連付けられた電力線の第1の位相を介して送信することを含む。さらに、本方法は、BPL接続を介して、第2の複数のデータを、BPL接続と関連付けられた電力線の第2の位相を介して送信することを含む。
【0007】
更に別の態様において、BPLシステムが提供される。BPLシステムは、第1の集合の3つの仮想マシンを実行する第1のBPLユニットと、第2の集合の3つの仮想マシンを実行する第2のBPLユニットと、を備える。第2のBPLシステムは、BPL接続を介して第1のBPLユニットと通信する。BPL接続は、三相電力線を介する。第1のBPLユニットにより実行される第1の集合の3つの仮想マシンのそれぞれは、三相電力線の異なる位相と関連付けられている。第2のBPLユニットにより実行される第2の集合の3つの仮想マシンのそれぞれは、三相電力線の異なる位相と関連付けられている。第1のBPLユニットと第2のBPLユニットとは、三相電力線の3つの位相を介して同時に通信する。
【0008】
上記の特徴、機能、及び利点は、様々な実施形態において単独で実現可能であるか、または、さらに別の実施形態において組み合わされてよい。これらの実施形態のさらなる詳細は、下記の説明及び図面を参照することによって理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】電力及びデジタル通信送信システムのブロック図を示す。
【
図2】
図1に示した電力及びデジタル通信送信システム内のマスタ制御システムのブロック図を示す。
【
図3】
図1に示した電力及びデジタル通信送信システム内のスレーブ制御システムのブロック図を示す。
【
図4】
図1に示した電力及びデジタル通信送信システムを用いた、三相データ転送システムの簡素化されたフロー図を示す。
【
図5】本開示の一実施形態に係る、
図1及び
図4に示したクライアントシステムの例示の構成を示す。
【
図6】本開示の一実施形態に係る、
図1及び
図4に示したサーバシステムの例示の構成を示す。
【
図7】
図1に示した電力及びデジタル通信送信システム及び
図4に示した三相データ転送システムを用いて通信するためのプロセスのフローチャートである。
【
図8】
図4に示した三相データ転送システムを通じたデータトラフィックを管理するための例示のプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特に指示がない限り、本明細書において提供される図面は、本開示の実施形態の特徴を図示することが意図されている。上記の特徴は、本開示の1つ以上の実施形態を含む多種多様なシステムにおいて適用可能と考えられる。従って、図面は、本明細書に記載の実施形態を実施するために必要となる、当業者には公知の全ての従来の特徴を含むことが意図されていない。
【0011】
記載される実施形態によって、データネットワークとの安全な車両ブロードバンド通信が可能となる。より具体的には、本開示は、安全で効率の良い、航空機の情報交換を可能とするための、電力線ブロードバンド(BPL:broadband over powerline)通信による三相電力の利用を対象とする。電力線通信の技術は、飛行機から飛行機の管理部門への、及びその逆方向におけるデータ送信を改善しデータの安全性を向上させるために利用されうる。
【0012】
本明細書には、BPLマスタ・コンピュータ装置及びBPLスレーブ・コンピュータ装置といったコンピュータシステム、並びに、関係するコンピュータシステムが記載されている。本明細書では、このようなコンピュータシステムの全てが、プロセッサ及びメモリを備えている。しかしながら、本明細書で言及するコンピュータ装置内のいずれのプロセッサも、1つ以上のプロセッサを指すことも可能であり、ここで、プロセッサは、1つのコンピュータ装置内、又は、並行して動作する複数のコンピュータ装置内にあってよい。追加的に、本明細書で言及するコンピュータ装置内のいずれのメモリも、1つ以上のメモリを指すことも可能であり、ここで、メモリは、1つのコンピュータ装置内、又は、並行して動作する複数のコンピュータ装置内にあってよい。
【0013】
さらに、本明細書において、「マスタ(master)」及び「スレーブ(slave)」という用語は、様々なコンピュータ装置を説明するために利用されており、幾つかの実施形態では、上記様々な装置は、マスタ装置にスレーブ装置を制御させるというよりは、同様な装置として見做される。幾つかの実施形態において、マスタ装置が、スレーブ装置によって制御されうる。本開示の目的のために、スレーブ装置は車両上の装置であり、マスタ装置は、地上の装置であり、又は、その車両が現在ドックに入り若しくは停止している位置にある装置である。
【0014】
本明細書では、プロセッサは、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC:reduced instruction set circuit)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、論理回路、及び、本明細書に記載の機能を実行することが可能な他の任意の回路又はプロセッサを用いるシステムを備えた任意のプログラム可能なシステムを含みうる。上記の実施例は、「プロセッサ(processor)」という用語の定義及び/又は意味をいかなる形でも限定することを意図していない。
【0015】
本明細書では、「データベース」(database)という用語は、データ本体、関係型データベース管理システム(RDBMS:relational database management system)、又は、その両方を指しうる。本明細書では、データベースは、階層型データベース、関係型データベース、カード型データベース、オブジェクト関係データベース、オブジェクト指向型データベース、及び、コンピュータシステムに格納されたレコード又はデータの、他の任意の構造化され又は構造化されていない集合を含む、データの如何なる集合も含みうる。上記の実施例は、データベースという用語の定義及び/又は意味をいかなる形でも限定することを意図していない。RDBMSの例には、オラクル(登録商標)データベース、MySQL、IBM(登録商標)DB2、マイクロソフト(登録商標)SQLサーバ、サイベース(登録商標)、及びPostgreSQLが含まれるが、これらに限定されない。しかしながら、本明細書に記載のシステム及び方法を可能とする如何なるデータベースも利用されうる。(オラクル(Oracle)は、オラクル株式会社(Oracle Corporation、Redwood Shores、California)の登録商標であり、IBMは、International Business Machines Corporation(Armonk、New York)の登録商標であり、マイクロソフト(Microsoft)は、マイクロソフト株式会社(Microsoft Corporation)(Redmond、Washington)の登録商標であり、サイベース(Sybase)は、サイベース(Sybase、Dublin、California)の登録商標である。)
【0016】
一実施形態において、コンピュータプログラムが提供され、このプログラムは、コンピュータ可読媒体に具現化される。例示の実施形態において、システムが、サーバコンピュータへの接続を必要とせずに、1つのコンピュータシステム上で実行される。更なる別の実施形態において、システムは、ウィンドウズ(Windows)(登録商標)の環境において駆動する(ウィンドウズ(Windows)は、マイクロソフト株式会社(Microsoft Corporation)、Redmond、Washingtonの登録商標である)。更に別の実施形態において、システムは、メインフレーム環境、及び、UNIX(登録商標)サーバ環境において駆動する(UNIXは、X/Open Company Limited(Reading、Berkshire、United Kingdomに所在)の登録商標である)。アプリケーションはフレキシブルであり、如何なる主要な機能も妥協することなく、様々な異なる環境において実行されるよう設計されている。幾つかの実施形態において、システムは、複数のコンピュータ装置のうち、記載される複数の構成要素を含む。1つ以上の構成要素は、コンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータで実行可能な命令の形態でありうる。
【0017】
本明細書では、単数形で記載され「1つの(「a」又は「an」)」という用語の後に続く要素又はステップは、それを除外すると明示的に記載しない限り、複数の要素又はステップを除外しないものと理解されたい。更に、本開示の「例示の実施形態(example embodiment)」又は「一実施形態(one embodiment)」への言及は、記載されている特徴を同様に包含する追加の実施形態の存在を除外するものと解釈されることを意図していない。
【0018】
本明細書では、「ソフトウェア(software)」及び「ファームウェア(firmware)」という用語は入れ替え可能であり、かつ、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び、非揮発性RAM(NVRAM)メモリを含む、コンピュータによる実行のためにメモリに格納された任意のコンピュータプログラムを含む。上記メモリの種類は例示に過ぎず、従って、コンピュータプログラムを記憶するために使用可能なメモリの種類について限定するものではない。
【0019】
さらに、本明細書では、「リアルタイム(real-time)」という用語は、関連し合うイベントの発生時間、所定データの測定及び収集の時間、データを処理するための時間、及び、上記イベント及び上記環境へのシステム応答の時間のうちの少なくとも1つを指している。本明細書に記載される実施形態において、これらのアクティビティ及びイベントは、実質的に瞬時に発生する。
【0020】
システム及びプロセスは、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されない。さらに、各システムの構成要素及び各プロセスは、別々に実施可能であり、本明細書に記載される他の構成要素及びプロセスとは別個のものである。各構成要素及び各プロセスは、他のアセンブリのパッケージ及びプロセスと組み合わせて利用することも可能である。
【0021】
図1は、本開示の例示の実施形態に係る電力及びデジタル通信送信システム100のブロック図である。例示の実施形態において、電力及びデジタル通信送信システム100は、航空機電気アンビリカル102を備え、この航空機電気アンビリカル102は、供給末端104と、プラグ末端106と、これらの間に延びる導線108と、を含む。プラグ末端106は、航空機110といった車両と接続するよう構成されており、これにより、電力が、供給末端104から導線108を通じて航空機110に供給される。地上において民間航空機に電力供給するために利用される電気エネルギーは、115Vacで400Hzの三相電力であり、中性線が含まれる。例示の実施形態では、供給末端104は、空港ターミナルゲート114の地上電力システム112に接続している。地上電力システム112は、電力供給コンジット115を通じて、電力供給源から電力を受け取るよう構成される。他の実施形態において、地上電力システム112が、ボート、荷船、又は船(図示せず)に接続するために埠頭に位置している。更に別の実施形態において、地上電力システム112が、ガレージ又はサービス施設に配置されており、車輪付き乗り物、例えば、限定するものではないが、自動車、キャンピングカー(RV:recreational vehicle)、又は列車に接続されるよう構成される。更に、地上電力システム112は、宇宙船、潜水機又は海洋船舶といった他の車両を含むことが可能であり、ここで、1つ又は2つの車両が、アンビリカル102を通じて接続されている間、互いに対して及び/又は自身の周辺環境に対して移動する。
【0022】
電力及びデジタル通信送信システム100は、供給末端104に電気的に接続された第1のインタフェース機器116も備える。例示の実施形態において、第1のインタフェース機器116は、電力供給コンジット115及び地上電力システム112を通じて、供給末端104に電気的に接続されており、ここで、インタフェース機器116は、地上電力システム112がそれを通じて電力を受け取る電力供給コンジット115に電気的に接続されている。代替的な実施形態において、第1のインタフェース機器116が、地上電力システム112の下流の供給末端104に電気的に接続されている。一実施形態において、地上電力システム112は、航空機110とは互換性のない電圧で稼働する分散電力システムである。このような実施形態では、ユースポイント電力システム117が、航空機110と互換性があるレベルに電圧を段階付けるために利用される。他の代替的な実施形態において、第1のインタフェース機器116が、地上電力システム112内で導線108に電気的に接続されている。第1のインタフェース機器116はまた、有線ネットワークアクセスポイント120又は無線通信リンク122を通じて、ネットワーク118に接続している。
【0023】
電力及びデジタル通信送信システム100は、第2のインタフェース機器124も備え、この第2のインタフェース機器124は、アンビリカル102が航空機110に接続されているときには、プラグ末端106に電気的に接続される。例示の実施形態において、第2のインタフェース機器124は、航空機110の胴体128の壁を貫通するアンビリカルプラグ126を通じて、プラグ末端106を通して、搭載電力バス125に電気的に接続されている。第2のインタフェース機器124はまた、搭載有線ネットワークアクセスポイント130又は搭載無線通信リンク132を通じて、搭載ネットワーク129にも接続されている。幾つかの状況では、搭載無線リンク132は、車両自体からの減衰に因り、車両から当該車両の外部への送信が可能ではないこともある。搭載無線リンク132の例には、BLE(Bluetooth Low-Energy)、Zigbee、Wi-Fi、及びBluetoothを通じたIoT(Internet of Things、モノのインタネット)アプリケーションといった、データレートが60GHz以下の無線が含まれうるが、これらには限定されない。
【0024】
第1のインタフェース機器116は、電力が導線108を通じて航空機110に供給される間に、導線108を通じてデータ搬送波信号を送信及び受信するよう構成される。第1のインタフェース機器116はまた、ネットワーク上の所定のデータ形式から又は当該所定のデータ形式へとデータ搬送波信号を変換するよう構成される。第2のインタフェース機器124は、アンビリカル102が航空機110に接続されているときには、プラグ末端106に電気的に接続される。第2のインタフェース機器124(例えば、受信機及び送信機、搭載送受信機)は、電力が導線108を通じて航空機110に供給される間に、第1のインタフェース機器116と搭載ネットワーク129との間のアンビリカル102を介して、データ搬送波信号を送信及び受信するよう構成される。例示の実施形態において、第1のインタフェース機器116と第2のインタフェース機器124とのそれぞれは、導線を通じて確立された通信リンクを検出して、そのリンクをシステム100に報告するよう構成されている。インタフェース機器116及び124は、限定するものではないが、配線のサイズ、シールド、長さ、電圧、負荷、周波数、接地を含むアンビリカル102の特性と電気的に合致している。
【0025】
例示の実施形態において、所定のデータ形式は、限定するものではないが、インタネットネットワークプトロコル、ゲートリンクネットワークプロトコル、ATN(Aeronautical Telecommunications Network)プロトコル、及び、ACARS(Aircraft Communication Addressing and Reporting Sytem)ネットワークプトロコルを含む様々なネットワークプロトコルと互換性がある。
【0026】
例示の実施形態において、空港のターミナルゲートといったサービスロケーションに駐機される間の航空機110への高速ネットワークサービスが、航空機の地上電力アンビリカルの導線を通じて、例えば、電力線ブロードバンド(BPL:Broadband Power Line)、X10、又は同様の技術を用いて提供される。この技術の利用によって、空港及び航空機は、ゲートにおける航空機アンビリカルに簡素なインタフェースを追加することが可能となり、航空機の製造業者にとっては、航空機内で合致したインタフェースを提供することが可能となり、アンビリカルにおける航空機電力リンクを通じて、航空機へのブロードバンドインタネットサービスが可能となる。
【0027】
電力線ブロードバンド(BPL:Broadband over Power Line)は、インタネットデータを電力線を通じて送信することを可能にする技術である。(BPLは、電力線通信(Power-line Communications)又はPLCと称されることもある。)インタネットからのデジタル信号を含む変調された無線周波数信号が、例えば誘導結合又は容量結合を用いて、電力線へと注入/追加/変調される。上記の無線周波数信号が、1つ以上の特定のポイントで電力導線を介して送られる交流電力の波形へと注入又は重畳される。無線周波数信号は、上記電気導線に沿って、ユースポイントへと移動する。BPLの送信を可能とするために、たとえあったとしても僅かな変更がアンビリカルに対して必要である。アンビリカルにおける周波数分離によって、BPL信号と他の無線サービスとの間のクロストーク及び/又は干渉が実質的に最小に抑えられる。BPLによって、無線による方法よりも高速でより信頼性の高い航空機へのインタネット及びデータネットワークサービスが可能となる。BPLを利用することによってまた、航空機110に追加的な別のケーブルを接続する必要性が無くなる。なぜならば、BPLによって、同じ配線を通じて、航空機の電力とインタネット/データサービスとが結び付けられるからである。システム100は、例えば、約2.0MHzから約80.0MHzの周波数を利用し、又は、アンビリカル102の特性及びシールド、並びに、その特定の環境において許容可能なRFI/EMIレベルにより定められ設計された厳密な周波数範囲が利用されるX10の同様の範囲を利用する。
【0028】
一実施形態において、対称的な高速ブロードバンドBPLが、アンビリカル102において利用され、毎秒数十又は数百メガバイト(Mbps)の速度による航空機110との通信速度で、データ通信信号が送信される。BPLリンクは、1つの航空機110にのみ固有のものであり、無線のように共有されないため、現在のスループットが、同じ環境における無線によるスループットの2~10倍となりうる。さらに、上記スループットは空港環境で安定しており信頼性が高いが、既存の無線ゲートリンクサービスは、各空港における干渉及び輻輳の量により変わる。
【0029】
例示の実施形態において、電力の3つの位相のそれぞれが、データを送信及び受信するために利用されうる。この検討のために、上記3つの位相が、位相A、位相B、及び位相Cとして記載されうる。これら3つの位相のそれぞれが、別々のデータを同時に送信しうる。本明細書では、位相Aは、フライトのクリティカルな安全性データを送信することが可能であり、位相Bは、航空会社の特定のデータを送信していることが可能であり、位相Cは、映画又は音声といったエンターテイメントデータを送信している。一実施例において、位相Aは、0~10MHzの周波数の範囲内でデータを送信し、位相Bは、11~20MHzのデータを送信し、位相Cは、21~30MHzの間で送信する。例示の実施形態において、3つの位相は、周波数帯域、時間、及び、暗号化に基づいて分けられている。
【0030】
さらに、データは、GBMP(Ground Base Management Protocol)/SNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて送信されうる。例えば、GBMP/SNMPは、TRAP、GET、GET-RESPONSE、及びSETといった、通信するための4つのメッセージを利用しうる。本例では、TRAPメッセージは、電源の故障、奇妙なメッセージ、及び、間違った秘密鍵といった状況のために利用されうる。
【0031】
さらに、電力線を通じて送信されるデータが暗号化されうる。例示の実施形態において、第1のインタフェース機器116は、電力コンジット115を通じて送信される前にデータを暗号化しうる。本実施形態において、第2のインタフェース機器124は、受信されたデータを復号して、適切な位置へとルーティングする。幾つかの実施形態において、3つの位相のそれぞれを介すデータが、異なるやり方で、例えば異なる秘密鍵/公開鍵の対を利用することにより、復号される。データが第2のインタフェース機器124から第1のインタフェース機器116へと送信されるときには、本明細書に記載するように、第2のインタフェース機器124はデータを暗号化し、第1のインタフェース機器116はデータを復号する。
【0032】
図2は、
図1に示した電力及びデジタル通信送信システム100内のマスタ制御システム200のブロック図を示している。例示の実施形態において、マスタ制御システム200は、マスタ制御ユニット202を備えている。例示の実施形態において、マスタ制御ユニット202は、電力コンジット115に接続されており、(
図1に示した)第1のインタフェース機器116として機能する。
【0033】
マスタ制御ユニット202は、中央処理ユニット(CPU:central processing unit)204を備え、中央処理ユニット(CPU)204は、(電力線送受信機としても知られる)電力線回路基板206と通信する。電力線回路基板206によって、CPU204が、電力線及びBPL接続208を通じて他の装置と通信することが可能となる。BPL接続208は、(
図1に示した)航空機電気アンビリカル102と同様の電力線を利用する。
【0034】
マスタ制御ユニット202はまた、第1の無線接続212を介して遠隔装置と通信するためのWi-Fiカード210(Wi-Fi送受信機としても知られる)も含む。マスタ制御ユニット202は、第2の無線接続216を介して遠隔装置と通信するためのセルモデムカード214(セルラーモデムとしても知られる)をさらに備える。幾つか実施形態では、マスタ制御ユニット202は、着脱可能なメモリ218を含む。着脱可能なメモリ218は、限定するものではないが、USB(universal serial bus)フラッシュドライブ、外部ハードドライブ、及び非磁性媒体を含む、マスタ制御ユニットに着脱可能に取り付けられる任意のメモリカード及びメモリデバイスを含む。CPU204は、電力線回路基板206、Wi-Fiカード210、セルモデムカード214、及び着脱可能なメモリ218と通信し、これらを制御する。上記のWi-Fi接続カード210及びセルラー接続カード214は、限定するものではないが、60Ghz帯のAeroMACS、WiMAX、Whitespace、及びBluetoothを含む他の方法を通じても、無線により接続しうる。
【0035】
例示の実施形態において、CPU204は、BPL接続208を通じて、(
図1に示した)第2のインタフェース機器124といった他の装置と接続されていることを検出する。CPU204は、BPL接続208及び電力線送受信機206を介して、複数のデータを受信する。CPU204は、複数のデータのための宛先を決定する。幾つかの実施形態において、宛先は他のコンピュータである。他の実施形態において、宛先は、複数のコンピュータ、又は、コンピュータネットワークである。幾つかの実施形態において、宛先は、航空機、空港、及び/又は運用管理部門と関連付けられた1つ以上のコンピュータシステムである。マスタ制御ユニット202は、宛先からは遠く離れている。例示の実施形態において、マスタ制御ユニット202は、1つ以上の無線ネットワークを介して宛先に遠隔で接続することが可能である。これらの実施形態において、CPU204は、複数のデータを、第1の無線送受信機(すなわち、Wi-Fiカード210)又は第2の無線送受信機(すなわち、セルモデムカード214)を通じてルーティングすべきかどうかを判定する。第1及び第2の無線送受信機は、60Ghz帯のAeroMACS、WiMAX、Whitespace、及びBluetoothを用いても接続しうる。
【0036】
幾つかの実施形態において、CPU204は、第1の無線接続212及び第2の無線接続216の信号強度を検査する。CPU204は、第1の無線接続212の信号強度と第2の無線接続216の信号強度とを比較して、複数のデータを宛先に送信するためにどの接続を利用するかを決定する。その後、CPU204は、決定された無線接続を用いて、宛先へと複数のデータをルーティングする。幾つかの更なる実施形態において、マスタ制御ユニット202はまた、どの無線接続を利用するかを決定する際に、第1の無線接続212及び第2の無線接続216の信頼性に考慮する。
【0037】
幾つかの実施形態において、第1の無線接続212の信号強度と、第2の無線接続216の信号強度の双方が、対応する所定閾値を下回る場合には、CPU204は、複数のデータを着脱可能なメモリ218に格納する。幾つかの更なる実施形態において、CPU204は、第1の無線接続212及び第2の無線接続216の一方の信号強度が、各所定閾値を超えたときには、後の時間に複数のデータを宛先へと送信する。
【0038】
幾つかの更なる実施形態において、CPU204は、BPL接続208の電圧、電流、及び位相を、当該BPL接続208がパラメータの範囲内であるかを判定するために検査する。CPU204は、上記検査に基づいて、複数のデータを送信すべきか否かを判定しうる。さらに、CPU204は、BPL接続208がパラメータの範囲内にないと判定した場合には、BPL接続208を通じてデータを受信すべきか否かを判定しうる。このことによって、複数のデータの送信前にBPL接続208が適切に接続されることが保証され、接続の安全性と、マスタ制御ユニット202により受信されるデータの整合性と、の双方が保証される。
【0039】
幾つかの更なる実施形態において、マスタ制御ユニット202は、限定するものではないが、1つ以上のシステムのソフトウェアの更新、追加的な映画及び/又は他のエンターテイメントオプション、飛行経路、及び天候情報といった将来の航空機の運航についてのデータを、BPL接続208を通じてスレーブユニットへと送信する。これらの実施形態において、マスタ制御ユニット202が、スレーブユニットにアップロードするためのデータを、空港、航空機、又は運用管理部門から受け取ってしまっていることもある。
【0040】
幾つかの追加的な実施形態において、マスタ制御ユニット202は、航空機110に格納されている。航空機110が、既存BPLシステムを持たない空港に着陸したときには、マスタ制御ユニット202が、空港において1つ以上の無線ネットワークに接続するために利用される。幾つかの更なる実施形態において、マスタ制御ユニット202は、許可ユーザによるアクセスを保証するために、パスワードで保護されている。
【0041】
例示の実施形態において、マスタ制御ユニット202は、3つの仮想マシン(VM:virtual machine)220、222、及び224を実行する。上記仮想マシンのそれぞれは、BPL接続208を通じて、異なる位相を用いて、データを送信及び受信するよう構成されている。本検討のために、VM220は、位相Aと関連付けられており、VM222は、位相Bと関連付けられており、VM224は、位相Cと関連付けられている。例示の実施形態において、3つのVM220、222、及び224によって、3つの位相を通じて送信するための3対のハードウェアアダプタが必要となるのではなく、ソフトウェアソルーションが可能となる。このことによって、仮想マシンにより利用され誘導される単一の対のハードウェアアダプタが可能となる。
【0042】
幾つかの実施形態において、3つのVM220、222、及び224は、別々のプロセッサによって実行される。他の実施形態において、単一のプロセッサが、1つより多くのVMを実行しうる。さらに、幾つかの実施形態において、3つのVM220、222、及び224が、単一の仮想マシンに繋がれうる。
【0043】
例示の実施形態において、各VM220、222、及び224は、タグが付いたメッセージを符号化し、上記タグは、どの位相で当該メッセージが送信されるか又は当該メッセージがどのVMと関連しているかを表わしている。例示の実施形態において、3つのVMはそれぞれ或る優先度と関連付けられており、VM220は、優先度が高いデータを送信及び受信し、VM222は、優先度が中程度のデータを送信及び受信し、VM224は、優先度が低いデータを送信及び受信する。本実施形態において、優先度が高い情報は、例えば、航空電子機器データ、乗客の個人データといった、フライトの重要な安全性データである。優先度が中程度のデータは、航空会社の所有物のデータ、航空会社の監視データ、及び、優先度が高いと見做されるデータよりも重要性が低い他の航空機データである。優先度が低いデータは、映像、音声、及び映画といった、エンターテイメントデータを含んでいる。本明細書に記載する実施例では、3つのVM/位相を分けるために優先度が利用されるが、他のスキームも利用することが可能であり、他の実施形態において、データは、他の基準に基づいて分割されうる。
【0044】
例示の実施形態において、BPL接続208を通じて送信されるデータは、許可されていないアクセスを防止するために暗号化される。例示の実施形態において、マスタ制御ユニット202は、送信の前に、限定するものではないが、128ーAES(advanced encryption standard)、及び、秘密鍵/公開鍵による符号化といった第1の暗号方式を用いて、全てのデータを暗号化する。幾つかの実施形態において、ペイロードのみが暗号化される。他の実施形態において、全メッセージが暗号化される。本実施形態は、フレームに基づく送信と共に利用されうる。
【0045】
マスタ制御ユニット202により提供される暗号化に加えて、VM220、222、及び224もデータを暗号化しうる。例示の実施形態において、優先度が高いデータが、限定するものではないが、128-AESといった他の暗号方式を用いて暗号化される。このことは、優先度が高いデータは二重に暗号化されることを意味している。本実施形態において、優先度が中程度のデータは、限定するものではないが、64-AESといった異なる暗号方式を用いて暗号化されうる。例示の実施形態において、優先度が低いデータは、追加的に暗号化されない。例えば、優先度が高いデータは、送信前に、VM220によって最初に暗号化され、その後、マスタ制御ユニット202によって追加的に暗号化される。他の実施形態において、3つの位相を通して送信されるデータを暗号化するための他の暗号方式及びスキームが利用されうる。
【0046】
データの送信に加えて、3つのVM220、222、及び224は、BPL接続208を通じてマスタ制御ユニット202に送信されたデータを受信して復号する。
【0047】
例示の実施形態において、3つのVM220、222、及び224は、互いに通信可能である。VM220、222、及び224のうちの1つが自身のデータ送信を終了した場合には、そのVMは他のVMに報知し、他のVMは、自身に割り当てられた位相の帯域幅を利用することが可能となる。例えば、VM222が、他の2つのVM220及び224が未だ自身のデータを送信している間に、優先度が中程度データの送信を終了した場合には、VM222は、VM220及び224にメッセージを送信する。本実施形態において、VM220は、位相A及び位相Bを通して優先度が高いデータを送信し始め、VM224は、位相Cを利用し続ける。本例において、VM220は、位相A及びBを通して送信されるデータを、同じ暗号方式を用いて暗号化する。本実施形態では、本明細書で記載するように、優先度に基いて追加の帯域幅が割り当てられる。しかしながら、他の実施形態において、帯域幅を割り当てる他の方法が利用されうる。
【0048】
幾つかの更なる実施形態において、CPU204は、3つの位相のために帯域幅を割り当てる。これらの実施形態では、VM222がもはや送信していないとCPU204が判定したときには、CPU204は、位相Bの帯域幅をVM220に割り当てる。他の実施形態において、CPU204は、どのくらいの量のデータを各VM220、222、及び224が送信する必要があるかが分かっており、対応するデータ量に基づいて帯域幅をどのような最善の形で割り当てるかを決定する。
【0049】
図3は、
図1に示した電力及びデジタル通信送信システム100内のスレーブ制御システム300のブロック図を示している。例示の実施形態において、スレーブシステム300は、車両に搭載されうるスレーブユニット302を備えている。例示の実施形態において、スレーブユニット302は、(
図1に示した)第2のインタフェース機器124と同様である。
【0050】
スレーブユニット302は、(電力線送受信機としても知られる)電力線回路基板306と通信するプロセッサ又は中央処理ユニット(CPU)304を備えている。電力線回路基板306によって、CPU304は、BPL接続308を通して他の装置と通信することが可能となる。BPL接続308は、(
図1に示した)航空機電気アンビリカル102と同様の電力線を利用する。
【0051】
幾つか実施形態において、スレーブユニット302は、着脱可能なメモリ310を備える。着脱可能なメモリ310は、限定するものではないが、USB(universal serial bus)フラッシュドライブ、外部ハードドライブ、及び非磁性媒体を含む、マスタ制御ユニットに着脱可能に取り付けられる任意のメモリカード及びメモリデバイスを含む。プロセッサ又はCPU304は、電力線回路基板306及び着脱可能なメモリ310と通信し、これらを制御する。幾つかの実施形態において、スレーブユニット302は、航空機110に搭載されており、航空機内の複数のシステムへの接続312を有している。これらの実施形態において、スレーブユニット302は、上記複数のシステムから、航空機の運航についてのデータを受信する。
【0052】
例示の実施形態において、CPU304は、接続312を通じて、上記複数のシステムから複数のデータを受信する。CPU304は、(
図2に示した)マスタ制御ユニット202といった他の装置との接続が、BPL接続308を通じて行われているかどうかを判定する。接続が行われている場合には、CPU304は、電力線送受信機306を介して、複数のデータをBPLマスタ制御ユニット202へと送信する。接続が存在しない場合には、CPU304は、着脱可能なメモリ310に複数のデータを格納する。
【0053】
例示的な実施形態において、航空機に搭載されたスレーブユニット302のプロセッサ又はCPU304は、電力線送受信機306がマスタ制御ユニット202に接続されているか否かを判定する前に、航空機110が地上にいるかどうかを判定する。幾つかの実施形態において、CPU304は、複数のシステムからデータを連続的に受信する。CPU304は、そのデータを着脱可能なメモリ310に格納する。CPU304が、航空機が地上におりマスタ制御ユニット202に接続されていると判定したときには、CPU304は、BPL接続308を介して、着脱可能なメモリ310からマスタ制御ユニット202へとデータを転送する。
【0054】
幾つかの更なる実施形態において、CPU304は、接続がパラメータの範囲内であるかを判定するために、BPL接続308の電圧、電流、及び位相を検査する。CPU304は、上記検査に基づいて、複数のデータを送信するか否かを判定しうる。さらに、CPU304は、BPL接続308がパラメータの範囲内にないと判定した場合には、BPL接続308を通じてデータを受信すべきか否かを判定しうる。このことによって、複数のデータの送信前にBPL接続308が適切に行われることが保証され、接続の安全性と、マスタ制御ユニット202に送信され及びマスタ制御ユニット202から受信されるデータの整合性と、の双方が保証される。
【0055】
幾つかの更なる実施形態において、マスタ制御ユニット202は、限定するものではないが、1つ以上のシステムのソフトウェアの更新、追加的な映画及び/又は他のエンターテイメントオプション、飛行経路、及び天候情報といった将来の航空機の運用についてのデータを、BPL接続308を通じてスレーブユニット302へと送信する。幾つかの実施形態において、スレーブユニット302は、車両上の適切なシステムへのデータのルーティングを行う。他の実施形態において、スレーブユニット302は、車両のネットワークへの通過点(pass-through)として作用する。
【0056】
幾つかの更なる実施形態において、スレーブユニット302は、許可ユーザによるアクセスを保証するために、パスワードで保護されている。
【0057】
例示の実施形態において、スレーブユニット302は、3つの仮想マシン(VM:virtual machine)314、316、及び318を実行する。上記仮想マシンのそれぞれは、BPL接続308を通じて、異なる位相を用いて、データを送信及び受信するよう構成されている。本検討のために、VM314は、位相Aと関連付けられており、VM316は、位相Bと関連付けられており、VM318は、位相Cと関連付けられている。例示の実施形態において、3つのVM314、316、及び318によって、3つの位相を通じて送信するための3対のハードウェアアダプタが必要となるのではなく、ソフトウェアソルーションが可能となる。このことによって、仮想マシンにより利用され誘導される単一の対のハードウェアアダプタが可能となる。
【0058】
幾つかの実施形態において、3つのVM314、316、及び318は、別々のプロセッサにより実行される。他の実施形態において、単一のプロセッサが、1つより多くのVMを実行しうる。さらに、幾つかの実施形態において、3つのVM314、316、及び318が、単一の仮想マシンに繋がれうる。
【0059】
例示の実施形態において、各VM314、316、及び318は、タグが付いたメッセージを符号化し、上記タグは、どの位相で当該メッセージが送信されるか又は当該メッセージがどのVMと関連しているかを表わしている。本明細書に記載するように、例示の実施形態において、3つのVMはそれぞれ、或る優先度と関連付けられており、VM314は、優先度が高いデータを送信及び受信し、VM316は、優先度が中程度のデータを送信及び受信し、VM318は、優先度が低いデータを送信及び受信する。本実施形態において、優先度が高い情報は、例えば、航空電子機器データ、乗客の個人データといった、フライトの重要な安全性データである。優先度が中程度のデータは、航空会社の所有物のデータ、航空会社の監視データ、及び、優先度が高いと見做されるデータよりも重要性が低い他の航空機データである。優先度が低いデータは、映像、音声、及び映画といった、エンターテイメントデータを含んでいる。
【0060】
例示の実施形態において、BPL接続308を通じて送信されるデータは、許可されていないアクセスを防止するために暗号化される。例示の実施形態において、スレーブユニット302は、送信の前に、限定するものではないが、128-AES(advanced encryption standard)及び秘密鍵/公開鍵による符号化といった第1の暗号方式を用いて、全てのデータを暗号化する。幾つかの実施形態において、ペイロードのみが暗号化される。他の実施形態において、全メッセージが暗号化される。本実施形態は、フレームに基づく送信と共に利用されうる。
【0061】
スレーブユニット302により提供される暗号化に加えて、VM314、316、及び318もまた、データを暗号化しうる。例示の実施形態において、優先度が高いデータが、限定するものではないが、128-AESといった他の暗号方式を用いて暗号化される。このことは、優先度が高いデータは二重に暗号化されることを意味している。本実施形態において、優先度が中程度のデータは、限定するものではないが、64-AESといった異なる暗号方式を用いて暗号化されうる。例示の実施形態において、優先度が低いデータは、追加的に暗号化されない。例えば、優先度が高いデータが、送信前に、VM314によって最初に暗号化され、その後、スレーブユニット302によって追加的に暗号化される。他の実施形態において、3つの位相を通じて送信されるデータを暗号化するための他の暗号方式及びスキームが利用されうる。
【0062】
データを送信することに加えて、3つのVM314、316、及び318は、BPL接続308を通じてスレーブユニット302に送信されたデータを受信して復号する。
【0063】
例示の実施形態において、3つのVM314、316、及び318は、互いに通信可能である。VM314、316、及び318のうちの1つが自身のデータ送信を終了した場合には、そのVMは他のVMに報知し、他のVMは、自身に割り当てられた位相の帯域幅を利用することが可能となる。例えば、VM316が、他の2つのVM314及び318が未だ自身のデータを送信している間に、優先度が中程度のデータの送信を終了した場合には、VM316は、VM314及び318にメッセージを送信する。本実施形態において、VM314は、位相A及び位相Bを通して優先度が高いデータを送信し始め、VM318は、位相Cを利用し続ける。本例において、VM314は、位相A及びBを通して送信されるデータを、同じ暗号方式を用いて暗号化する。本実施形態では、本明細書で記載するように、優先度に基いて追加の帯域幅が割り当てられる。しかしながら、他の実施形態において、帯域幅を割り当てる他の方法が利用されうる。
【0064】
幾つかの更なる実施形態において、CPU304は、3つの位相のために帯域幅を割り当てる。これらの実施形態において、CPU304が、VM316はもはや送信していないと判定したときには、CPU304は、位相Bの帯域幅をVM314に割り当てる。他の実施形態において、CPU304は、どのくらいの量のデータを各VM314、316、及び318が送信する必要があるかが分かっており、対応するデータ量に基づいて帯域幅をどのような最善の形で割り当てるかを決定する。
【0065】
図4は、
図1に示した電力及びデジタル通信送信システム100を用いた、三相データ転送システム400の簡素化されたフロー図を示している。例示の実施形態において、システム400は第1の装置402を備え、第1の装置402は、BPL接続406を通じて第2の装置404と通信する。第1の装置は、(
図1に示した)第1のインタフェース機器116及び(
図2に示した)マスタ制御ユニット202と同様でありうる。第2の装置404は、(
図1に示した)第2のインタフェース機器124及び(
図3に示した)スレーブユニット302と同様でありうる。BPL接続406は、(
図2に示した)BPL接続208及び(
図3に示した)BPL接続308と同様であってよく、(
図1に示した)航空機電気アンビリカル102と同様の電力線を利用する。
【0066】
例示の実施形態において、第1の装置402及び第2の装置404は、BPL接続406を通じて通信するよう構成されている。第1の装置402から第2の装置404へと伝えられるデータは、航空会社の事務所又は他の地上の計算装置から提供される。第2の装置404から第1の装置402へと伝えられるデータは、(
図1に示した)航空機110自身によって提供されうる。例えば、上記データは、航空機110に搭載されたフライトレコーダ、航空機センサ、及び他のコンピュータ装置からでありうる。幾つかの実施形態において、第1の装置402及び第2の装置404は、これらがBPL接続406を通じて通信することを可能とするハードウェアアダプタ(図示せず)を含む。他の実施形態において、第1の装置402及び第2の装置404はそれぞれ、BPLモデム又は(
図2及び
図3にそれぞれ示した)電力線送受信機206及び306といったハードウェアアダプタにより通信する。
【0067】
第1の装置402は、3つの仮想マシン408、410、及び412を含み、3つの仮想マシン408、410、及び412はそれぞれ、BPL接続406の異なる位相と関連付けられている。VM408は、位相A414と関連付けられており、VM410は、位相B416と関連付けられており、VM412は、位相C418と関連付けられている。第2の装置404は、3つの仮想マシン420、422、及び424を含み、3つの仮想マシン420、422、及び424はそれぞれ、BPL接続406の異なる位相と関連付けられている。VM420は、位相A414と関連付けられており、VM422は、位相B416と関連付けられており、VM424は、位相C418と関連付けられている。
【0068】
例示の実施形態において、航空機110が着陸するときには、アンビリカル102がその航空機110に接続される。第2の装置404は、航空機110に搭載されており、第1の装置402は、ゲートといった地上にある1つ以上のコンピュータと関連付けられている。BPL接続406が一旦確立されると、第2の装置404は、航空機のコンピュータから地上の第1の装置402及びコンピュータへとデータを送信(ダウンロード)し始める。
【0069】
例示の実施形態において、VM420は、位相A414を通じて優先度が高いデータを送信する。VM422は、位相B416を通じて、優先度が中程度のデータを送信する。VM424は、位相C418を通じて、優先度が低いデータを送信する。VM420は、第1の暗号方式を用いて、優先度が高いデータを暗号化する。VM422は、第1の暗号方式とは異なる第2の暗号方式を用いて、優先度が中程度のデータを暗号化する。VM424は、優先度が低いデータを暗号化しない。第2の装置404の電力線送受信機(又は、BPL接続406における他のハードウェア/ソフトウェア)は、第1及び第2の暗号方式とは異なる第3の暗号方式を用いて、送信前にデータを暗号化する。このことは、優先度が高いデータ及び優先度が中程度のデータが2回暗号化されていることを意味している。優先度が低いデータは、1回だけ暗号化されている。
【0070】
第1の装置402は、第2の装置404から送信されたデータを受信する。受信されたデータは、第1の装置402と関連付けられた電力線送受信機206によって、第3の方式を用いて復号され、関連付けられた優先度に基づいて、3つのVM408、410、及び412のうちの1つへとルーティングされる。例えば、各データパケットは、それがどの優先度に属するかを表すタグを含みうる。他の実施形態において、各VM408、410、412、420、422、及び424は、自身と関連付けられたIP(Internet Protocol)を有しており、データパケットは、宛先であるVMのIPアドレスを含んでいる。受信VMは、必要である場合にはデータを復号し、そのデータを適切なロケーションへとルーティングする。例えば、航空会社固有のデータが、航空会社管理部門と関連付けられた1つ以上のコンピュータへとルーティングされうる。
【0071】
3つのVM420、422、及び424のうちの1つが、他の2つのVMの少なくとも1つが終える前に自身のデータの全てを送信する場合には、そのVMの位相が、他の2つのVMのうちの1つによって利用されうる。例えば、VM420が、優先度が高いデータの全ての送信を完了している場合には、VM422は、位相A414及びB416で、優先度が中程度のデータを送信し始める。VM422は、第2の暗号方式を用いて、位相414及び416の両方で、優先度が中程度のデータを送信する。第1の装置402は、位相A414及びB416のデータを優先度が中程度のデータとして検知し、そのデータをVM410へとルーティングする。本例において、VM422は、位相A414で優先度が中程度のデータを送信して、VM424が、位相B416及びC418で同時に優先度が低いデータを送信することを可能にすることも可能であろう。他の例において、VM420及び422の両方が自身の送信を完了している場合には、VM424は、3つの位相414、416、及び418の全てを同時に利用しうる。幾つかの実施形態において、異なるVMが、どのようにデータを送信するかを決定することが可能であり、どの位相を利用するのかは、BPL接続406を通じて送信されるデータの1つ以上の属性、送信されるデータの大きさ、及びユーザの選択に基づきうる。
【0072】
第2の装置404のVM420、422、及び424の全てが、航空機110からのデータの送信を終了しているときには、第1の装置402が、航空機110へとデータを送信し始める。第1の装置402は、先に第2の装置404について説明したのと同じ方法を利用し、役割が正に逆になる。
【0073】
幾つかの実施形態において、異なるVM420、422、及び424が、異なる時間に送信を開始しうる。例えば、VM420及び424は、時間0に送信を開始することが可能であるが、VM422は、その5分後まで送信を開始しない。このことによって、他のVM420及び424のうちの1つが、その5分間の間に、利用されていない位相B416を利用することが可能となりうる。他の例において、VM420が、時間ゼロに送信を開始しうる。VM422は、VM420の5分後に送信を開始しうる。VM424は、VM422の5分後に送信を開始しうる。このことによって、送信VMが、他の位相の利用されていない帯域幅を利用することを可能となりうる。
【0074】
図5は、本開示の一実施形態に係る、
図1及び
図4に示したクライアントシステムの例示の構成を示している。ユーザコンピュータ装置502が、ユーザ501によって操作される。ユーザコンピュータ装置502は、第1のインタフェース機器116、第2のインタフェース機器124(両方とも
図1に図示)、マスタ制御ユニット202(
図2に図示)、スレーブユニット302(
図3に図示)、第1の装置402、及び第2の装置404(両方とも
図4に図示)を備えうる。ユーザコンピュータ装置502は、命令を実行するためのプロセッサ505を備えている。幾つかの実施形態において、実行可能な命令が、メモリ領域510に格納されている。プロセッサ505は、1つ以上の処理ユニット(例えば、マルチコア構成)を備えうる。メモリ領域510は、実行可能な命令及び/又は商取引データといった情報を格納し取り出すことを可能とする任意の装置である。メモリ領域510は、1つ以上のコンピュータ可読媒体を含みうる。
【0075】
ユーザコンピュータ装置502はまた、ユーザ501に情報を提示するための少なくとも1つの媒体出力構成要素515を含む。媒体出力構成要素515は、ユーザ501に情報を伝えることが可能な任意の構成要素である。幾つかの実施形態において、媒体出力構成要素515は、映像アダプタ及び/又は音声アダプタといった出力アダプタ(図示せず)を含む。出力アダプタは、プロセッサ505に動作可能に接続されており、かつ、表示装置(例えば、陰極線管(CRT:cathode ray tube)、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、LED(light emitting diode)ディスプレイ、又は、「電子インク(electronic ink)」ディスプレイ)、又は、音声出力装置(例えば、スピーカ若しくはヘッドホン)といった出力装置に動作可能に接続されている。幾つかの実施形態において、媒体出力構成要素515は、グラフィカルユーザインタフェース(例えば、ウェブブラウザ及び/又はクライアントアプリケーション)をユーザ501に提示するよう構成されている。グラフィカルユーザインタフェースは、例えば、電力ケーブルを介して他の装置に接続し及び/又は認証情報を受信するための1つ以上の設定を含みうる。幾つかの実施形態において、ユーザコンピュータ装置502は、ユーザ501から入力を受信するための入力装置520を備える。ユーザ501は、限定するものではないが、ネットワークのための設定を選択及び/又は入力するために、入力装置520を利用しうる。入力装置520は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、マウス、スタイラス、タッチパネル(例えば、タッチパッド又はタッチスクリーン)、ジャイロスコープ、加速度計、位置検出器、生体入力デバイス、及び/又は、音声入力デバイスを含みうる。タッチスクリーンといった単一の構成要素が、媒体出力構成要素515の出力装置と入力装置の双方として機能しうる。
【0076】
ユーザコンピュータ装置502は、マスタ制御ユニット202、スレーブユニット302、第1の装置402、又は第2の装置404といった遠隔装置に通信可能に接続される通信インタフェース525も含みうる。通信インタフェース525は、例えば、有線又は無線ネットワークアダプタ、及び/又は、移動体通信ネットワークと共に利用するための無線データ送受信機を含みうる。
【0077】
メモリ領域510には、例えば、媒体出力構成要素515を介してユーザ501にユーザインタフェースを提供し、及び任意に、入力装置520からの入力を受信して処理するためのコンピュータ可読な命令が格納されている。ユーザインタフェースは、幾つかある可能性のうち、ウェブブラウザ、及び/又は、クライアントアプリケーションを含みうる。ウェブブラウザによって、ユーザ501といったユーザが、マスタ制御ユニット202、スレーブユニット302、第1の装置402、又は第2の装置404からのウェブページ又はウェブサイトに典型的に埋め込まれた媒体及び他の情報を表示して連携することが可能となる。クライアントアプリケーションによって、ユーザ501は、例えば、マスタ制御ユニット202、スレーブユニット302、第1の装置402、又は第2の装置404と連携することが可能となる。例えば、命令は、クラウドサービスにより格納され、当該命令の実行の出力が、媒体出力構成要素515に送信されうる。
【0078】
図6は、本開示の一実施形態に係る、
図1及び
図4に示したサーバシステムの例示の構成を示している。サーバコンピュータ装置601は、第1のインタフェース機器116、第2のインタフェース機器124(両方とも
図1に図示)、マスタ制御ユニット202(
図2に図示)、スレーブユニット302(
図3に図示)、第1の装置402、及び第2の装置404(両方とも
図4に図示)を含みうるが、これらに限定されない。サーバコンピュータ装置601はまた、命令を実行するためのプロセッサ605も備える。命令は、メモリ領域610に格納されうる。プロセッサ605は、1つ以上の処理ユニット(例えば、マルチコア構成)を備えうる。
【0079】
プロセッサ605は、通信インタフェース615に動作可能に接続されており、これにより、サーバコンピュータ装置601は、他のサーバコンピュータ装置601、マスタ制御ユニット202、スレーブユニット302、第1の装置402、及び第2の装置404といった遠隔装置と通信することが可能である。例えば、通信インタフェース615は、インタネットを介して、マスタ制御ユニット202に接続されたコンピュータ装置から天候情報を受信しうる。
【0080】
プロセッサ605はまた、記憶デバイス634に動作可能に接続されうる。記憶デバイス634は、データベースと関連付けられたデータといったデータを格納及び/又は取り出すために適した、コンピュータにより操作される任意のハードウェアである。幾つかの実施形態において、記憶デバイス634は、サーバコンピュータ装置601に組み込まれている。例えば、サーバコンピュータ装置601が、記憶デバイス634として、1つ以上のハードディスクドライブを含みうる。他の実施形態において、記憶デバイス634は、サーバコンピュータ装置601の外部にあり、複数のサーバコンピュータ装置601によりアクセスされうる。例えば、記憶デバイス634は、SAN(storage area network)、NAS(network attached storage)システム、及び/又は、RAID(redundant array of inexpensive disk)構成によるハードディスク及び/又はソリッドステートディスクといった複数の記憶ユニットを含みうる。
【0081】
幾つかの実施形態において、プロセッサ605が、記憶インタフェース620を介して、記憶デバイス634に動作可能に接続されている。記憶インタフェース620は、プロセッサ605に記憶デバイス634へのアクセスを提供することが可能な任意の構成要素である。記憶インタフェース620は、例えば、ATA(Advanced Technology Attachment)アダプタ、シリアルATA(SATA:Serial ATA)アダプタ、SCSI(Small Computer System Interface)アダプタ、RAIDコントローラ、SANアダプタ、ネットワークアダプタ、及び/又は、プロセッサ605に記憶デバイス634へのアクセスを提供する任意の構成要素を含みうる。
【0082】
プロセッサ605は、本開示の態様を実装するための、コンピュータにより実行可能な命令を実行する。幾つかの実施形態において、プロセッサ605が、コンピュータにより実行可能な命令を実行することで又はそうでなければプログラミングされることで、専用マイクロプロセッサに変換される。例えば、プロセッサ605は、以下に図示するような命令によりプログラミングされる。
【0083】
図7は、
図1に示した電力及びデジタル通信送信システム100及び
図4に示した三相データ転送システム400を用いて通信するためのプロセス700のフローチャートである。例示の実施形態において、プロセス700は、第1のインタフェース機器116、第2のインタフェース機器124、マスタ制御ユニット202(
図2に図示)、スレーブユニット302(
図3に図示)、第1の装置402、又は第2の装置404(両方とも
図4に図示)のうちの少なくとも1つによって実行される。
【0084】
例示の実施形態において、第1の装置402が、705において、第1の仮想マシン408及び第2の仮想マシン410を実行する(両方とも
図4に図示)。第1の仮想マシン408が、BPL接続406の第1の位相414と関連付けられている(両方とも
図4に図示)。第2の仮想マシン410が、BPL接続406の第2の位相416と関連付けられている(
図4に図示)。例示の実施形態において、第1の装置402はまた、第3の位相418と関連付けられた第3の仮想マシン412を実行する(両方とも
図4に図示)。
【0085】
例示の実施形態において、第1の装置402は、710において、第1の仮想マシン408から、BPL接続406を介した送信のための第1の複数のデータを受信する。第1の装置402は、715において、第2の仮想マシン410から、BPL接続406を介した送信のための第2の複数のデータを受信する。幾つかの実施形態において、第1の装置402は、第3の仮想マシン412から、BPL接続406を介した送信のための第3の複数のデータを受信する。
【0086】
例示の実施形態において、第1の装置402は、720において、BPL接続406と関連付けられた電力線(例えば、
図1に示した電力コンジット115)の第1の位相を介して、BPL接続406を通じて第1の複数のデータを送信する。第1の装置402は、725において、BPL接続406と関連付けられた電力線の第2の位相を介して、BPL接続406を通じて第2の複数のデータを送信する。幾つかの実施形態において、第1の装置402は、BPL接続406と関連付けられた電力線の第3の位相を介して、BPL接続406を通じて第3の複数のデータを送信する。幾つかの実施形態において、第1の装置402は、第1の複数のデータ、第2の複数のデータ、及び第3の複数のデータを同時に送信する。
【0087】
幾つかの実施形態において、第1の装置402は、第1の複数のデータの送信が終了していると判定する。その後で、第1の装置402は、残りの第2の複数のデータを、第1の位相414及び第2の位相416を介して送信する。幾つかの更なる実施形態において、第1の装置402が、第1の複数のデータ及び第2の複数のデータの送信が終了していると判定する。その後で、第1の装置402は、残りの第3の複数のデータを、第1の位相414、第2の位相416、及び第3の位相418を介して送信する。
【0088】
幾つかの実施形態において、第1の複数のデータは、第1の優先度と関連付けられており、第2の複数のデータは、第2の優先度と関連付けられている。第1の優先度及び第2の優先度は、BPL接続406を介した送信時に符号化される。幾つかの更なる実施形態において、第3の複数のデータは、第3の優先度と関連付けられており、第3の複数のデータもまた、BPL接続406を介した送信時に符号化される。
【0089】
幾つかの実施形態において、第1の仮想マシン408は、第1の暗号方式を用いて第1の複数のデータを暗号化する。第2の仮想マシン410は、第2の暗号方式を用いて第2の複数のデータを暗号化する。これらの実施形態において、第2の暗号方式は、第1の暗号方式とは異なっている。幾つかの追加的な実施形態において、第1の装置402と関連付けられた電力線送受信機206が、第3の暗号方式を用いて、送信されるデータを暗号化する。
【0090】
第1の装置402は、電力線送受信機206を介して第4の複数のデータを受信する。第1の装置402は、どの仮想マシンが第4の複数のデータをルーティングするのかを決定する。その後で、第1の装置402は、第4の複数のデータを、対応する仮想マシンへとルーティングする。
【0091】
図8は、
図4に示した三相データ転送システム400を介したデータトラフィックを管理するための例示のプロセス800のフローチャートである。例示の実施形態において、プロセス800は、第1のインタフェース機器116、第2のインタフェース機器124、マスタ制御ユニット202(
図2に図示)、スレーブユニット302(
図3に図示)、第1の装置402、又は第2の装置404(両方とも
図4に図示)のうちの少なくとも1つによって実行される。
【0092】
例示の実施形態において、プロセス800が802において、以下のことにより開始され、即ち、システム400が、804において、優先度が高いデータを位相A414(
図4に図示)を通して送信し、806において、優先度が中程度のデータを位相B416(
図4に図示)を通して送信し、及び、808において、優先度が低いデータを位相C418(
図4に図示)を通して送信することで開始される。
【0093】
システム400が、810において、優先度が高いデータの送信が完了しているかどうかを判定するために確認する。優先度が高いデータの送信が完了していない場合には、システム400は、優先度が高いデータ802の送信を継続する。優先度が高いデータの送信が完了している場合には、812において、システム400は、優先度が中程度のデータが未だ送信されているかどうかを確認する。優先度が中程度のデータが未だ送信されている場合には、システム400は、814において、位相A414及び位相B416を通して、優先度が中程度のデータを送信する。優先度が中程度データの送信が完了している場合には、システム400は、816において、優先度が低いデータが未だ送信されているかどうかを確認する。優先度が低いデータが未だ送信されている場合には、システム400は、818において、位相A414、B416、及びC418を通して、優先度が低いデータを送信する。
【0094】
システム400が、820において、優先度が中程度のデータの送信が完了しているかどうかを判定するために確認する。優先度が中程度のデータの送信が完了していない場合には、システム400は、804において、優先度が中程度のデータの送信を継続する。優先度が中程度のデータの送信が完了している場合には、システム400は、822において、優先度が高いデータが未だ送信されているかどうかを確認する。優先度が高いデータが未だ送信されている場合には、システム400は、824において、位相A414及び位相B416を通して、優先度が高いデータを送信する。優先度が高いデータの送信が完了している場合には、システム400は、826において、優先度が低いデータが未だ送信されているかどうかを確認する。優先度が低いデータが未だ送信されている場合には、システム400は、828において、位相A414、B416、及びC418を通して、優先度が低いデータを送信する。
【0095】
システム400が、830において、優先度が低いデータの送信が完了しているかどうかを判定するために確認する。優先度が低いデータの送信が完了していない場合には、システム400は、806において、優先度が低いデータの送信を継続する。優先度が低いデータの送信が完了している場合には、システム400は、832において、優先度が高いデータが未だ送信されているかどうかを確認する。優先度が高いデータが未だ送信されている場合には、システム400は、834において、位相A414、及びC418を通して、優先度が高いデータを送信する。優先度が高いデータの送信が完了している場合には、システム400は、836において、優先度が中程度データが未だ送信されているかどうかを確認する。優先度が中程度のデータが未だ送信されている場合には、システム400は、838において、位相A414、B416、及びC418を通して、優先度が中程度のデータを送信する。
【0096】
上記のプロセス800は、データトラフィックを管理するための例示のプロセスである。送信されるデータを焼灼する方法といった他のプロセスが、他の状況において利用されうる。
【0097】
本システムにより提供される、技術的問題に対する技術的解決策の少なくとも1つは、以下を含み、即ち、(i)BPLシステムの向上した安全性、(ii)BPLシステムの改善されたデータ転送速度、(iii)BPLシステムの向上した信頼性、(iv)車両への及び車両からの安全なデータ転送を可能とすること、(v)データ転送システムにおける向上したフレキシビリティ、(vi)動的な帯域幅の割り当て、及び、(vi)航空機システムの向上した安全性を含みうる。
【0098】
本明細書に記載される方法及びシステムは、コンピュータプログラミングを用いて、又は、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、若しくはそれらの部分集合の任意の組み合わせを含む工学技術を用いて実装されうる。先に開示したように、従来のシステムの少なくとも1つの技術的問題は、BPL通信のための費用効率が良く信頼性が高いやり方についてシステムへのニーズが存在することである。本明細書に記載されるシステム及び方法は、この技術的問題に対処する。技術的な効果が、以下のステップのうちの少なくとも1つ、即ち、(a)第1の仮想マシン及び第2の仮想マシンを実行するステップ、(b)第1の仮想マシンを介して、BPL接続を介した送信のための第1の複数のデータを受信するステップ、(c)第2の仮想マシンを介して、BPL接続を介した送信のための第2の複数のデータを受信するステップ、(d)BPL接続を介して、BPL接続と関連付けられた電力線の第1の位相を介して、第1の複数のデータを送信するステップ、及び、及び、(e)BPL接続を介して、BPL接続と関連付けられた電力線の第2の位相を介して、第2の複数のデータを送信するステップを実行することで実現される。
【0099】
航空機の電力線ブロードバンドの適用に関して記載してきたが、本開示の実施形態は、波止場又は埠頭に係留された船、荷船、ボートといった他の車両、及び、サービスエリアに駐車された他の車輪付き乗り物にも適用可能である。
【0100】
高速インタネットサービスを提供するための、送電及びデジタル通信のための上記の方法及びシステムは、ゲートにいる間航空機を直接的に支援し、コスト効率が良く、信頼性が高い。上記方法及びシステムは、航空機及び空港の基盤設備へのBPL、又はX10、類似した技術の統合及び利用を含み、航空機の基盤設備への最小の影響かつ最小コストで、ブロードバンドインタネット及びデータを支援する。空港及び航空機にBPL、X10、又は類似した技術を組み込むことによって、既存の航空機のゲートのアンビリカルを用いて、高速で信頼性の高いインタネット及びデータサ-ビスを、空港のゲートから航空機に提供することが可能となる。従って、上記方法及びシステムによって、安全で、費用効率が良く、信頼性が高いやり方で、送電及びデジタル通信が促進される。
【0101】
本明細書で検討するコンピュータにより実装される方法は、本明細書において別に検討したアクションを含む追加的又は代替的なアクションを含みうる。上記方法は、1つ以上のローカル又はリモートのプロセッサ、送受信機、サーバ、及び/又はセンサ(例えば、車両若しくは携帯機器に取り付けられ又はスマートな基盤設備又はリモートサーバと関連付けられたプロセッサ、送受信機、サーバ、及び/又はセンサ)を介して、及び/又は、非一過性のコンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータにより実行可能な命令を介して実装されうる。更に、本明細書で検討したコンピュータシステムは、ここ以外のところで検討したものを含む追加的な機能、より少ない機能、又は代替的な機能を含みうる。本明細書で検討したコンピュータシステムは、非一過性のコンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータにより実行可能な命令を含み、又は、当該命令を介して実装されうる。
【0102】
本明細書では、「非一過性のコンピュータ可読媒体(non-transitory computer-readable media)」という用語は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール及びサブモジュール、又は、任意の装置内の他のデータといった情報の、短期記憶及び長期記憶のための任意の方法又は技術により実装される、任意の有形のコンピュータベースの装置を表すことが意図されている。本明細書に記載された方法は、限定するものではないが、記憶デバイス及び/又はメモリデバイスを含む、非一過性の有形のコンピュータ可読記憶媒体で具現化される実行可能な命令として符号化されうる。このような命令は、プロセッサによって実行されると、本明細書に記載された方法の少なくとも一部をプロセッサに実行させる。更に、本明細書では、「非一過性のコンピュータ可読媒体(non-transitory computer-readable media)」という用語は、全ての有形のコンピュータ可読媒体を含み、コンピュータ可読媒体は、限定するものではないが、非一過性のコンピュータ記憶デバイスを含み、非一過性のコンピュータ記憶デバイスは、限定するものではないが、ファームウェア、物理的及び仮想的ストレージ、CD-ROM、DVDといった揮発性及び不揮発性の媒体並びに着脱可能及び着脱不可能な媒体、並びに、ネットワーク又はインタネットといった任意の他のデジタルソースと同様に、やがて開発されるデジタル手段も含み、ここで、唯一の例外が一時的な伝搬信号である。
【0103】
先に記載したように、記載した実施形態によって、データネットワークとの安全な車両ブロードバンド通信が可能となる。より具体的には、本開示は、増大した速度で航空機の情報交換を行うこと可能とするための電力線ブロードバンド(BPL)通信の利用を対象とし、ここで、従来のデータ交換サービスは利用可能ではないこともある。より具体的には、地上のマスタ制御ユニットと、航空機上のスレーブユニットとが、1つ以上の電力線を通じて双方向の通信チャネルを設定し、電力線を通じて転送されるデータの安全性及び整合性を保証する。マスタ制御ユニットはまた、最も効率が良い無線ネットワークを介して、意図された宛先にデータが送信されることを保証する。
【0104】
BPL通信のための上記の方法及びシステムは、費用効率が良く、安全で、信頼性が高い。上記の方法及びシステムは、第1の仮想マシン及び第2の仮想マシンを実行することと、第1の仮想マシンを介して、BPL接続を介した送信のための第1の複数のデータを受信することと、第2の仮想マシンを介して、BPL接続を介した送信のための第2の複数のデータを受信することと、BPL接続を介して、BPL接続と関連付けられた電力線の第1の位相を介して第1の複数のデータを送信することと、BPL接続を介して、BPL接続と関連付けられた電力線の第2の位相を介して、第2の複数のデータを送信することを含む。従って、上記システム及び方法によって、115Vacで400Hzの三相電力システムを介して通信するというBPL通信システムの能力を改善することで、BPL通信の利用、効率、及び安全性を向上させることが促進される。
【0105】
さらに、本開示は、以下の条項に係る実施形態を含む。
【0106】
条項1.電力線ブロードバンド(BPL:broadband over powerline)ユニット(202)であって、
第1の仮想マシン(220)及び第2の仮想マシン(222)を実行するようプログラムされた少なくとも1つのプロセッサ(204)と、
少なくとも1つのプロセッサ(204)と通信する少なくとも1つのメモリデバイス(218)と、
少なくとも1つのプロセッサ(204)と通信する電力線送受信機(206)と
を備え、
少なくとも1つのプロセッサ(204)は、電力線送受信機(206)を介して、電力線(102)を通じてデータを送信及び受信するようプログラムされ、電力線(102)は、三相電力線(102)であり、
少なくとも1つのプロセッサ(204)は、
第1の仮想マシン(220)を介して、電力線送受信機(206)を介した送信のための第1の複数のデータを受信し、
第2の仮想マシン(222)を介して、電力線送受信機(206)を介した送信のための第2の複数のデータを受信し、
電力線送受信機(206)を介して、第1の複数のデータを第1の位相を介して送信し、
電力線送受信機(206)を介して、第2の複数のデータを第2の位相を介して送信する
ようさらにプログラムされる、電力線ブロードバンド(BPL:broadband over powerline)ユニット(202)。
【0107】
条項2.少なくとも1つのプロセッサ(204)が、
第3の仮想マシン(224)を実行し、
第3の仮想マシン(224)を介して、電力線送受信機(206)を介した送信のための第3の複数のデータを受信し、
電力線送受信機(206)を介して、第3の複数のデータを第3の位相を介して送信する
ようさらにプログラムされる、条項1に記載のBPLユニット(202)。
【0108】
条項3.少なくとも1つのプロセッサ(204)が、第1の複数のデータ、第2の複数のデータ、及び第3の複数のデータを同時に送信するようさらにプログラムされる、条項2に記載のBPLユニット(202)。
【0109】
条項4.少なくとも1つのプロセッサ(204)が、
第1の複数のデータ及び第2の複数のデータの送信が終了したと判定し、
電力線送受信機(206)を介して、残りの第3の複数のデータを、第1の位相、第2の位相、及び第3の位相を介して送信する
ようさらにプログラムされる、条項3に記載のBPLユニット(202)。
【0110】
条項5.第1の複数のデータが、第1の優先度と関連付けられ、第2の複数のデータが、第2の優先度と関連付けられ、第1の優先度及び第2の優先度が、電力線送受信機(206)を介した送信時に符号化される、条項1に記載のBPLユニット(202)。
【0111】
条項6.第1の仮想マシン(220)が、第1の暗号方式を用いて第1の複数のデータを暗号化する、条項1に記載のBPLユニット(202)。
【0112】
条項7.第2の仮想マシン(222)が、第2の暗号方式を用いて第2の複数のデータを暗号化し、第2の暗号方式は、第1の暗号方式とは異なる、条項6に記載のBPLユニット(202)。
【0113】
条項8.電力線送受信機(206)は、第3の暗号方式を用いて、送信されるデータを暗号化するよう構成される、条項7に記載のBPLユニット(202)。
【0114】
条項9.少なくとも1つのプロセッサ(204)が、
第1の複数のデータの送信が終了したと判定し、
電力線送受信機(206)を介して、残りの第2の複数のデータを、第1の位相及び第2の位相を介して送信する
ようさらにプログラムされる、条項1に記載のBPLユニット(202)。
【0115】
条項10.BPLユニット(202)は、航空機(110)に搭載されることと、航空機(110)と通信できる状態で地上に存在することのうちの1つのである、条項1に記載のBPLユニット(202)。
【0116】
条項11.BPLユニット(202)は、航空機(110)上に実装されて配置され、BPL接続(208)を介し航空機電気アンビリカル(102)を通じた地上装置とのデータ通信を可能とするために、電力線送受信機(206)を利用して通信するよう構成され、航空機電気アンビリカル(102)は、航空機(110)が地上にあるときには航空機(110)に接続され、三相電力が、地上の電力システムによって、航空機電気アンビリカル(102)を介して航空機(110)に供給される、条項1に記載のBPLユニット(202)。
【0117】
条項12.少なくとも1つのプロセッサ(204)が、
電力線送受信機(206)を介して、第4の複数のデータを受信し、
どの仮想マシンが、第4の複数のデータをルーティングするかを決定し、
第4の複数のデータを、対応する仮想マシンへとルーティングする
ようさらにプログラムされる、条項1に記載のBPLユニット(202)。
【0118】
条項13.BPLユニット(202)によって実装されるBPL接続(208)を介して通信する方法であって、BPLユニット(202)は、少なくとも1つのメモリデバイス(218)と通信する少なくとも1つのプロセッサ(204)を備え、
方法は、
第1の仮想マシン(220)及び第2の仮想マシン(222)を実行することと、
第1の仮想マシン(220)を介して、BPL接続(208)を介した送信のための第1の複数のデータを受信することと、
第2の仮想マシン(222)を介して、BPL接続(208)を介した送信のための第2の複数のデータを受信することと、
BPL接続(208)を介して、BPL接続(208)と関連付けられた電力線(102)の第1の位相を介して、第1の複数のデータを送信することと、
BPL接続(208)を介して、BPL接続(208)と関連付けられた電力線(102)の第2の位相を介して、第2の複数のデータを送信すること
を含む、方法。
【0119】
条項14.第3の仮想マシン(224)を実行することと、
第3の仮想マシン(224)を介して、BPL接続(208)を介した送信のための第3の複数のデータを受信することと、
BPL接続(208)を介して、BPL接続(208)と関連付けられた電力線(102)の第3の位相を介して、第3の複数のデータを送信すること
をさらに含む、条項13に記載の方法。
【0120】
条項15.第1の複数のデータ及び第2の複数のデータの送信が終了したと判定することと、
BPL接続(208)を介して、残りの第3の複数のデータを、第1の位相、第2の位相、及び第3の位相を介して同時に送信すること
をさらに含む、条項14に記載の方法。
【0121】
条項16.第1の複数のデータが、第1の優先度と関連付けられ、第2の複数のデータが、第2の優先度と関連付けられ、第1の優先度及び第2の優先度が、BPL接続(208)を介した送信時に符号化される、条項13に記載の方法。
【0122】
条項17.第1の仮想マシン(220)を介して、第1の暗号方式を用いて第1の複数のデータを暗号化することと、
第2の仮想マシン(222)を介して、第2の暗号方式を用いて第2の複数のデータを暗号化することをさらに含み、
第2の暗号方式は、第1の暗号方式とは異なる、条項13に記載の方法。
【0123】
条項18.第1の複数のデータの送信が終了したと判定し、
BPL接続(208)を介して、残りの第2の複数のデータを、第1の位相、及び第2の位相を介して送信すること
をさらに含む、条項13に記載の方法。
【0124】
条項19.BPL接続(208)を介して、第4の複数のデータを受信し、
どの仮想マシンが、第4の複数のデータをルーティングするかを決定し、
第4の複数のデータを、対応する仮想マシンへとルーティングすること
をさらに含む、条項13に記載の方法。
【0125】
条項20.BPLシステム(400)であって、
第1の集合の3つの仮想マシンを実行する第1のBPLユニット(402)と、
第2の集合の3つの仮想マシンを実行し、BPL接続(406)を介して第1のBPLユニット(402)と通信する第2のBPLユニット(404)であって、BPL接続(406)は三相電力線(102)を介する、第2のBPLユニット(404)と
を備え、
第1のBPLユニット(402)により実行される第1の集合の3つの仮想マシンのそれぞれは、三相電力線(102)の異なる位相と関連付けられ、
第2のBPLユニット(404)により実行される第2の集合の仮想マシンのそれぞれは、三相電力線(102)の異なる移送と関連付けられ、
第1のBPLユニット(402)と第2のBPLユニット(404)とは、三相電力線(102)の3つの位相を介して同時に通信する、BPLシステム(400)。
【0126】
ここに記載した説明では、ベストモードを含む様々な実施形態を開示し、且つ当業者が任意の装置又はシステムの作成及び使用、並びに組込まれた任意の方法の実行を含め、様々な実装態様を実施することを可能にするために実施例を使用している。本開示の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想到する他の実施例を含みうる。こうした他の実施例は、実施例が特許請求の範囲の文言と相違しない構造要素を有する場合、又は、実施例が、特許請求の範囲の文言とごくわずかな相違しかない均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図されている。