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特許7568426医用情報処理装置、X線診断装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、X線診断装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/46 20240101AFI20241008BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20241008BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A61B6/46 506B
A61B6/00 560
A61B6/03 560T
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020090854
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021185969
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翔
(72)【発明者】
【氏名】長江 亮一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真吾
(72)【発明者】
【氏名】竹元 久人
(72)【発明者】
【氏名】藤戸 智生
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-076192(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196069(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0134562(US,A1)
【文献】特開2011-142974(JP,A)
【文献】特開2020-058779(JP,A)
【文献】特開2020-005785(JP,A)
【文献】特開2017-202583(JP,A)
【文献】特開2017-202307(JP,A)
【文献】特表2012-515964(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0052033(US,A1)
【文献】特開2010-035940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0037702(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元データに基づく画像と2次元X線画像とを合成した合成画像を表示させる表示制御部と、
前記合成画像を参照したユーザから、前記2次元X線画像に対する前記3次元データの配置を調整する調整操作を受け付ける受付部と、
前記3次元データと、前記2次元X線画像と、前記調整操作の結果とを記憶部に保存させる制御部と、
前記3次元データと前記2次元X線画像と前記調整操作の結果とを学習データとした機械学習を実行することにより、入力3次元データ及び入力2次元X線画像に基づいて当該入力2次元X線画像に対する当該入力3次元データの配置を調整するよう機能付けられた学習済みモデルを生成するモデル生成部と
を備える、医用情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、特定の操作が所定の時間に亘って行われなかった場合に前記調整操作の結果を特定し、前記記憶部に保存させる、請求項に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ユーザによって調整された前記3次元データの配置に応じた変換行列を、前記調整操作の結果として前記記憶部に保存させる、請求項1又は2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ユーザによって調整された前記3次元データの配置に応じて生成された合成画像を、前記調整操作の結果として前記記憶部に保存させる、請求項1又は2に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
入力3次元データ及び入力2次元X線画像に基づいて当該入力2次元X線画像に対する当該入力3次元データの配置を調整するよう機能付けられた学習済みモデルを保存するモデル記憶部と、
前記学習済みモデルに対して3次元データ及び2次元X線画像を入力し、当該2次元X線画像に対する当該3次元データの配置の調整結果の出力を受けて、当該3次元データに基づく画像と当該2次元X線画像とを合成した合成画像を表示させる表示制御部と、
を備える、医用情報処理装置。
【請求項6】
2次元X線画像を収集する収集部と、
3次元データに基づく画像と前記2次元X線画像とを合成した合成画像を表示させる表示制御部と、
前記合成画像を参照したユーザから、前記2次元X線画像に対する前記3次元データの配置を調整する調整操作を受け付ける受付部と、
前記3次元データと、前記2次元X線画像と、前記調整操作の結果とを記憶部に保存させる制御部と、
前記3次元データと前記2次元X線画像と前記調整操作の結果とを学習データとした機械学習を実行することにより、入力3次元データ及び入力2次元X線画像に基づいて当該入力2次元X線画像に対する当該入力3次元データの配置を調整するよう機能付けられた学習済みモデルを生成するモデル生成部と
を備える、X線診断装置。
【請求項7】
入力3次元データ及び入力2次元X線画像に基づいて当該入力2次元X線画像に対する当該入力3次元データの配置を調整するよう機能付けられた学習済みモデルを保存するモデル記憶部と、
2次元X線画像を収集する収集部と、
前記学習済みモデルに対して3次元データ及び前記2次元X線画像を入力し、当該2次元X線画像に対する当該3次元データの配置の調整結果の出力を受けて、当該3次元データに基づく画像と当該2次元X線画像とを合成した合成画像を表示させる表示制御部と、
を備える、X線診断装置。
【請求項8】
3次元データに基づく画像と2次元X線画像とを合成した合成画像を表示させ、
前記合成画像を参照したユーザから、前記2次元X線画像に対する前記3次元データの配置を調整する調整操作を受け付け、
前記3次元データと、前記2次元X線画像と、前記調整操作の結果とを記憶部に保存させ、
前記3次元データと前記2次元X線画像と前記調整操作の結果とを学習データとした機械学習を実行することにより、入力3次元データ及び入力2次元X線画像に基づいて当該入力2次元X線画像に対する当該入力3次元データの配置を調整するよう機能付けられた学習済みモデルを生成する
各処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項9】
入力3次元データ及び入力2次元X線画像に基づいて当該入力2次元X線画像に対する当該入力3次元データの配置を調整するよう機能付けられた学習済みモデルをモデル記憶部から読み出し、
前記学習済みモデルに対して3次元データ及び2次元X線画像を入力し、当該2次元X線画像に対する当該3次元データの配置の調整結果の出力を受けて、当該3次元データに基づく画像と当該2次元X線画像とを合成した合成画像を表示させる
各処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書等に開示の実施形態は、医用情報処理装置、X線診断装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の血管や臓器等について3次元データを収集し、2次元で収集されたX線画像に対して3次元データに基づく画像を合成表示する技術が知られている。また、このような合成表示を行なう際には、2次元X線画像に対する3次元データの位置や向き、大きさ等の調整が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2012/0130243号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、2次元X線画像と3次元データとの合成表示の精度を向上させることである。ただし、本明細書等に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を、本明細書等に開示の実施形態が解決する他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の医用情報処理装置は、表示制御部と、受付部と、制御部とを備える。表示制御部は、3次元データに基づく画像と2次元X線画像とを合成した合成画像を表示させる。受付部は、前記合成画像を参照したユーザから、前記2次元X線画像に対する前記3次元データの配置を調整する調整操作を受け付ける。制御部は、前記3次元データと、前記2次元X線画像と、前記調整操作の結果とを記憶部に保存させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る調整操作の受け付けについて説明するための図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
図5図5は、第1の実施形態に係る学習済みモデルの生成処理の一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
図7図7は、第2の実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、医用情報処理装置、X線診断装置及びプログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、図1に示す医用情報処理システム1を例として説明する。例えば、医用情報処理システム1は、X線診断装置10と、医用情報処理装置30とを備える。また、X線診断装置10と医用情報処理装置30とは、ネットワークNWを介して相互に接続される。なお、図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0009】
X線診断装置10は、被検体P1からX線画像を収集する装置である。例えば、X線診断装置10は、被検体P1に対する血管内治療の手技が行なわれている間、被検体P1から経時的に2次元X線画像を収集し、収集した2次元X線画像を医用情報処理装置30に順次送信する。なお、X線診断装置10の構成については後述する。
【0010】
医用情報処理装置30は、X線診断装置10によって収集された2次元X線画像に基づいて、後述する各種の処理を行なう。例えば、医用情報処理装置30は、図1に示すように、入力インタフェース31と、ディスプレイ32と、メモリ33と、処理回路34とを有する。
【0011】
入力インタフェース31は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路34に出力する。例えば、入力インタフェース31は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行なうタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インタフェース31は、処理回路34と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インタフェース31は、モーションキャプチャによりユーザからの入力操作を受け付ける回路であっても構わない。一例を挙げると、入力インタフェース31は、トラッカーを介して取得した信号やユーザについて収集された画像を処理することにより、ユーザの体動や視線等を入力操作として受け付けることができる。また、入力インタフェース31は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、医用情報処理装置30本体とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を医用情報処理装置30本体へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース31の例に含まれる。
【0012】
ディスプレイ32は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ32は、処理回路34による制御の下、各種の医用画像を表示する。一例を挙げると、ディスプレイ32は、3次元データに基づく画像と、2次元X線画像とを合成した合成画像を表示する。なお、ディスプレイ32における合成画像の表示については後述する。また、例えば、ディスプレイ32は、入力インタフェース31を介してユーザから各種の指示や設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。例えば、ディスプレイ32は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ32は、デスクトップ型でもよいし、医用情報処理装置30本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0013】
なお、図1においては医用情報処理装置30がディスプレイ32を備えるものとして説明するが、医用情報処理装置30は、ディスプレイ32に代えて又は加えて、プロジェクタを備えてもよい。プロジェクタは、処理回路34による制御の下、スクリーンや壁、床、被検体P1の体表面等に対して投影を行なうことができる。一例を挙げると、プロジェクタは、プロジェクションマッピングによって、任意の平面や物体、空間等への投影を行なうこともできる。例えば、処理回路34は、後述する合成画像をプロジェクタに表示させることとしても構わない。
【0014】
メモリ33は、処理回路34による制御の下、各種データの保存を行なう。なお、メモリ33におけるデータの保存については後述する。また、メモリ33は、医用情報処理装置30に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶することもできる。例えば、メモリ33は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。或いは、メモリ33は、医用情報処理装置30とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
【0015】
処理回路34は、制御機能34a、表示制御機能34b、受付機能34c及びモデル生成機能34dを実行することで、医用情報処理装置30全体の動作を制御する。ここで、制御機能34aは、制御部の一例である。また、表示制御機能34bは、表示制御部の一例である。また、受付機能34cは、受付部の一例である。また、モデル生成機能34dは、モデル生成部の一例である。
【0016】
例えば、処理回路34は、制御機能34aに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、ネットワークNWを介したデータの送受信、及び、メモリ33におけるデータ管理を制御する。また、処理回路34は、表示制御機能34bに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、ディスプレイ32における表示を制御する。また、処理回路34は、受付機能34cに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、入力インタフェース31を介してユーザから入力操作を受け付ける。また、処理回路34は、モデル生成機能34dに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、機械学習を実行して、学習済みモデルの生成処理を行なう。なお、制御機能34a、表示制御機能34b、受付機能34c及びモデル生成機能34dによる処理の詳細については後述する。
【0017】
図1に示す医用情報処理装置30においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ33へ記憶されている。処理回路34は、メモリ33からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、プログラムを読み出した状態の処理回路34は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0018】
なお、図1においては単一の処理回路34にて、制御機能34a、表示制御機能34b、受付機能34c及びモデル生成機能34dが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路34を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路34が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0019】
また、処理回路34は、ネットワークNWを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路34は、メモリ33から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、医用情報処理装置30とネットワークNWを介して接続されたサーバ群(クラウド)を計算資源として利用することにより、図1に示す各機能を実現する。
【0020】
次に、X線診断装置10について、図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置10の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、X線診断装置10は、X線高電圧装置101と、X線管102と、X線絞り器103と、天板104と、Cアーム105と、X線検出器106と、入力インタフェース107と、ディスプレイ108と、メモリ109と、処理回路110とを備える。
【0021】
X線高電圧装置101は、処理回路110による制御の下、X線管102に高電圧を供給する。例えば、X線高電圧装置101は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管102に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管102が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。なお、高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。
【0022】
X線管102は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管102は、X線高電圧装置101から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、X線を発生する。
【0023】
X線絞り器103は、X線管102により発生されたX線の照射範囲を絞り込むコリメータと、X線管102から曝射されたX線を調節するフィルタとを有する。
【0024】
X線絞り器103におけるコリメータは、例えば、スライド可能な4枚の絞り羽根を有する。コリメータは、絞り羽根をスライドさせることで、X線管102が発生したX線を絞り込んで被検体P1に照射させる。ここで、絞り羽根は、鉛などで構成された板状部材であり、X線の照射範囲を調整するためにX線管102のX線照射口付近に設けられる。
【0025】
X線絞り器103におけるフィルタは、被検体P1に対する被曝線量の低減とX線画像の画質向上を目的として、その材質や厚みによって透過するX線の線質を変化させ、被検体P1に吸収されやすい軟線成分を低減したり、X線画像のコントラスト低下を招く高エネルギー成分を低減したりする。また、フィルタは、その材質や厚み、位置などによってX線の線量及び照射範囲を変化させ、X線管102から被検体P1へ照射されるX線が予め定められた分布になるようにX線を減衰させる。
【0026】
例えば、X線絞り器103は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることによりX線の照射を制御する。例えば、X線絞り器103は、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、コリメータの絞り羽根の開度を調整して、被検体P1に対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、例えば、X線絞り器103は、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、フィルタの位置を調整することで、被検体P1に対して照射されるX線の線量の分布を制御する。
【0027】
天板104は、被検体P1を載せるベッドであり、図示しない寝台の上に配置される。なお、被検体P1は、X線診断装置10に含まれない。例えば、寝台は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることにより、天板104の移動・傾斜を制御する。例えば、寝台は、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、天板104を移動させたり、傾斜させたりする。
【0028】
Cアーム105は、X線管102及びX線絞り器103と、X線検出器106とを、被検体P1を挟んで対向するように保持する。例えば、Cアーム105は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることにより、回転したり移動したりする。例えば、Cアーム105は、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、X線管102及びX線絞り器103と、X線検出器106とを被検体P1に対して回転・移動させ、X線の照射位置や照射角度を制御する。なお、図2では、X線診断装置10がシングルプレーンの場合を例に挙げて説明しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、バイプレーンの場合であってもよい。
【0029】
X線検出器106は、例えば、マトリクス状に配列された検出素子を有するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)である。X線検出器106は、X線管102から照射されて被検体P1を透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号を処理回路110へと出力する。なお、X線検出器106は、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器であってもよいし、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0030】
入力インタフェース107は、上述した入力インタフェース31と同様にして構成することができる。例えば、入力インタフェース107は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路110に出力する。
【0031】
ディスプレイ108は、上述したディスプレイ32と同様にして構成することができる。例えば、ディスプレイ108は、処理回路110による制御の下、医用画像やGUIの表示を行なう。また、X線診断装置10は、ディスプレイ108に代えて又は加えて、プロジェクタを備えることとしてもよい。
【0032】
メモリ109は、上述したメモリ33と同様にして構成することができる。例えば、メモリ109は、処理回路110による制御の下で各種データの保存を行なったり、X線診断装置10に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶したりする。
【0033】
処理回路110は、制御機能110a、表示制御機能110b及び収集機能110cを実行することで、X線診断装置10全体の動作を制御する。なお、制御機能110aは、制御部の一例である。また、表示制御機能110bは、表示制御部の一例である。また、収集機能110cは、収集部の一例である。
【0034】
例えば、処理回路110は、制御機能110aに対応するプログラムをメモリ109から読み出して実行することにより、ネットワークNWを介したデータの送受信、及び、メモリ109におけるデータ管理を制御する。また、例えば、処理回路110は、表示制御機能110bに対応するプログラムをメモリ109から読み出して実行することにより、ディスプレイ108における表示を制御する。また、例えば、処理回路110は、収集機能110cに対応するプログラムをメモリ109から読み出して実行することにより、被検体P1からの画像収集を実行する。なお、制御機能110a、表示制御機能110b及び収集機能110cによる処理の詳細については後述する。
【0035】
図2に示すX線診断装置10においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ109へ記憶されている。処理回路110は、メモリ109からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、プログラムを読み出した状態の処理回路110は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0036】
なお、図2においては単一の処理回路110にて、制御機能110a、表示制御機能110b及び収集機能110cが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路110を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路110が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0037】
また、処理回路110は、ネットワークNWを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路110は、メモリ109から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、X線診断装置10とネットワークNWを介して接続されたサーバ群を計算資源として利用することにより、図2に示す各機能を実現する。
【0038】
以上、医用情報処理システム1の構成例について説明した。かかる構成の下、医用情報処理システム1における医用情報処理装置30は、処理回路34による処理によって、2次元X線画像と3次元データとの合成表示の精度を向上させる。
【0039】
まず、3次元データについて説明する。3次元データとは、例えば、被検体P1の血管や臓器等を示す3次元モデルである。例えば、3次元データは、被検体P1から収集された3次元医用画像に基づいて生成される。ここで、3次元医用画像は、例えば、図示しないX線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等によって収集される。
【0040】
一例を挙げると、3次元データは、医用情報処理装置30において生成される。例えば、制御機能34aは、まず、ネットワークNWを介して3次元医用画像を取得し、メモリ33に保存させる。例えば、X線CT装置やMRI装置等によって収集された被検体P1の3次元医用画像は、患者情報等の付帯情報とともに、図示しない画像保管装置において保管される。このような画像保管装置の例としては、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)のサーバが挙げられる。この場合、制御機能34aは、ネットワークNWを介して画像保管装置から3次元医用画像を取得し、メモリ33に保存させることができる。なお、制御機能34aは、他の装置を介することなく、X線CT装置やMRI装置等から直接的に3次元医用画像を取得しても構わない。
【0041】
次に、制御機能34aは、取得した3次元医用画像に基づいて、3次元データの生成処理を行なう。例えば、制御機能34aは、3次元医用画像におけるボクセル値について閾値処理を行ない、血管に相当するボクセルを抽出することで、血管を示す3次元モデルを生成する。また、制御機能34aは、生成した3次元データをメモリ33に保存させる。
【0042】
なお、3次元データは、X線診断装置10によって収集された3次元X線画像に基づいて生成されても構わない。例えば、収集機能110cは、Cアーム105の動作を制御して被検体P1の周囲でX線管102を回転させつつ、所定のフレームレートでX線パルスを照射させることで、X線照射方向を変化させた複数の投影データを収集する。即ち、収集機能110cは、被検体P1に対する回転撮影を実行する。そして、収集機能110cは、複数の投影データに基づいて3次元X線画像を再構成する。この場合、制御機能34aは、ネットワークNWを介して3次元X線画像を取得し、3次元データの生成処理を行なうことができる。なお、3次元X線画像以外の3次元医用画像に基づいて3次元データを生成し、2次元X線画像に合成して表示する技術については、MMR(Multi Modality Roadmap)とも呼ばれる。
【0043】
また、3次元データは、医用情報処理装置30以外の他の装置において生成されてもよい。例えば、X線CT装置やMRI装置、X線診断装置10等の医用画像診断装置が、3次元医用画像の収集を行なうとともに、3次元医用画像に基づく3次元データの生成処理を実行しても構わない。この場合、制御機能34aは、ネットワークNWを介して3次元データを取得し、メモリ33に保存させることができる。
【0044】
制御機能34aが3次元データを取得してメモリ33に保存させた後、X線診断装置10は、被検体P1からの2次元X線画像の収集を実行する。例えば、収集機能110cは、被検体P1の腹部血管内へのステントグラフト留置術が実行される間において、2次元X線画像を経時的に収集する。
【0045】
具体的には、収集機能110cは、X線高電圧装置101を制御し、X線管102に供給する電圧を調整することで、被検体P1に対して照射されるX線量やオン/オフを制御する。また、収集機能110cは、X線絞り器103の動作を制御し、コリメータが有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体P1に対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、収集機能110cは、X線絞り器103の動作を制御し、フィルタの位置を調整することで、X線の線量の分布を制御する。また、収集機能110cは、Cアーム105の動作を制御することで、Cアーム105を回転させたり、移動させたりする。また、例えば、収集機能110cは、寝台の動作を制御することで、天板104を移動させたり、傾斜させたりする。また、収集機能110cは、X線検出器106から受信した検出信号に基づいて2次元X線画像を生成する。なお、収集機能110cは、生成した2次元X線画像に対して各種画像処理を行なってもよい。例えば、収集機能110cは、2次元X線画像に対して、画像処理フィルタによるノイズ低減処理や、散乱線補正を実行することができる。
【0046】
次に、制御機能34aは、X線診断装置10によって収集された2次元X線画像を、ネットワークNWを介して取得する。例えば、まず、制御機能110aは、収集機能110cによって収集された2次元X線画像を、ネットワークNWを介して画像保管装置に送信する。この場合、制御機能34aは、ネットワークNWを介して画像保管装置から2次元X線画像を取得し、メモリ33に保存させることができる。或いは、制御機能34aは、他の装置を介することなく、X線診断装置10から直接的に2次元X線画像を取得しても構わない。
【0047】
次に、表示制御機能34bは、3次元データに基づく画像と2次元X線画像とを合成した合成画像を表示させる。言い換えると、表示制御機能34bは、3次元データに基づく画像と2次元X線画像との重畳画像を表示させる。例えば、表示制御機能34bは、まず、2次元X線画像に対する3次元データの配置を自動調整する。具体的には、表示制御機能34bは、3次元データの配置として、2次元X線画像に対する3次元データの位置、向き、及び大きさの少なくとも1つを調整する。
【0048】
なお、2次元X線画像に対する3次元データの位置とは、2次元X線画像の縦方向、横方向及び奥行き方向の位置である。例えば、表示制御機能34bは、2次元X線画像における注目部位の3次元空間上での位置を推定し、推定した位置に合わせて3次元データの配置を3次元的に調整する。また、以下では、2次元X線画像に対する3次元データの配置を調整する処理を、単に位置合わせとも記載する。
【0049】
ここで、表示制御機能34bは、任意の手法により、3次元データと2次元X線画像とを自動で位置合わせすることができる。例えば、表示制御機能34bは、3次元データ及び2次元X線画像のそれぞれから解剖学的特徴点を抽出し、特徴点の対応関係に基づいて変換行列を算出する。具体的には、表示制御機能34bは、3次元データを、2次元X線画像と同じ位置、向き、及び大きさの2次元画像に変換するための変換行列を算出する。そして、表示制御機能34bは、変換行列によって3次元データ上の各点を座標変換した2次元画像を生成し、2次元X線画像と合成して、ディスプレイ32に表示させる。
【0050】
また、3次元X線画像に基づいて3次元データが生成されている場合、表示制御機能34bは、天板104等の制御情報に基づいて変換行列を算出することもできる。即ち、3次元データの生成に用いた3次元X線画像と2次元X線画像とが同じ装置によって収集されている場合、表示制御機能34bは、天板104等の制御情報に基づいて3次元データと2次元X線画像との位置関係を取得し、変換行列を算出することができる。そして、表示制御機能34bは、変換行列によって3次元データ上の各点を座標変換した2次元画像を生成し、2次元X線画像と合成して、ディスプレイ32に表示させる。
【0051】
なお、表示制御機能34bは、変換行列によって、3次元データの表面領域のみを座標変換することとしてもよいし、内部領域を含めて座標変換することとしてもよい。即ち、表示制御機能34bは、3次元データに基づく画像として、サーフェスレンダリング画像を生成してもよいし、ボリュームレンダリング画像を生成してもよい。
【0052】
上述した通り、表示制御機能34bは、3次元データと2次元X線画像とを自動で位置合わせし、3次元データに基づく画像と2次元X線画像とを合成した合成画像を表示させることができる。例えば、手技が行なわれている間、収集機能110cは経時的に2次元X線画像を収集する。また、表示制御機能34bは、収集された2次元X線画像に対して、3次元データに基づく画像を順次合成し、生成した合成画像をディスプレイ32に順次表示させる。即ち、表示制御機能34bは、合成画像をリアルタイム表示させることができる。
【0053】
しかしながら、種々の要因により、3次元データと2次元X線画像とを適切に位置合わせすることができない場合がある。例えば、3次元医用画像と2次元X線画像とでは、画像のコントラストや明るさ、生じるノイズの種類等が異なっているため、対応する特徴点を特定できない場合がある。特に、X線CT画像やMR画像等に基づいて3次元データが生成されている場合、モダリティ種別が異なるため、対応する特徴点を特定することは容易でない。また、3次元X線画像に基づいて3次元データが生成され、天板104等の制御情報に基づいて位置合わせを行なう場合であっても、被検体P1の体動等によって位置合わせの精度が低下してしまう場合がある。
【0054】
また、3次元データの作成条件も、位置合わせの精度に影響を及ぼす場合がある。例えば、3次元データを閾値処理により作成する場合において、閾値を変更すれば、生成される3次元データの形状やサイズも変化する。その他、3次元データの作成時においては、技師等が経験的に作成条件を調整する場合もある所、作成者によって3次元データの形状やサイズにばらつきが生じる。そして、3次元データの形状やサイズが変化することにより、2次元X線画像に対する位置合わせの精度が低下してしまう場合がある。
【0055】
また、2次元X線画像の縦方向及び横方向について適切に位置合わせできているケースであっても、奥行方向の推定誤差が生じてしまう場合がある。このような場合、例えばCアーム105を回転させて2次元X線画像の撮影角度を変化させた際に、3次元データが奥行方向にずれて表示されてしまうこととなる。
【0056】
自動での位置合わせが適切に行われていない場合、ユーザは、手動で位置合わせを行なうことができる。例えば、ユーザは、ディスプレイ32に表示されている合成画像を参照しつつ、3次元データを平行移動させたり回転させたり拡大/縮小させたりして、2次元X線画像に対する3次元データの配置を調整する。しかしながら、手技の間にこのような手動操作を行なうことはユーザにとって負担となる。また、手動での位置合わせの精度については、ユーザの経験の多寡による差も生じる。特に、奥行方向の位置合わせについては経験によるところが大きく、ユーザごとに精度がばらつきやすい。
【0057】
ここで、2次元X線画像に対する3次元データの位置合わせを、機械学習の手法によって実行することが考えられる。しかしながら、どのようなデータが学習データとして適切であるかの判断は難しく、また、学習済みモデルの品質を担保するために必要な数の学習データを収集することは容易ではない。
【0058】
そこで、処理回路34は、以下で説明する処理によって、2次元X線画像と3次元データとの合成表示の精度を向上させる。具体的には、処理回路34は、合成画像を参照したユーザから、2次元X線画像に対する3次元データの配置を調整する調整操作を受け付け、3次元データと2次元X線画像と調整操作の結果とを保存させる。これにより、処理回路34は、2次元X線画像に対する3次元データの配置を調整する学習済みモデルについて適切な学習を行なわせることを可能とし、合成表示の精度を向上させる。
【0059】
以下、処理回路34が行なう処理について、図3を用いて説明する。図3は、第1の実施形態に係る調整操作の受け付けについて説明するための図である。例えば、表示制御機能34bは、まず、2次元X線画像I11に対して3次元データD11を自動で位置合わせする。例えば、表示制御機能34bは、3次元データD11を、2次元X線画像I11と同じ位置、向き、及び大きさの2次元画像に変換するための変換行列Aを算出する。また、表示制御機能34bは、変換行列Aを3次元データD11に適用することで、3次元データD11に基づく画像I21を生成し、2次元X線画像I11と画像I21とを合成した合成画像I31をディスプレイ32に表示させる。
【0060】
なお、自動位置合わせの手法については特に限定されるものではない。例えば、表示制御機能34bは、3次元データD11及び2次元X線画像I11のそれぞれから解剖学的特徴点を抽出し、対応する特徴点の組み合わせに基づいて、変換行列Aを算出する。また、例えば、3次元X線画像に基づいて3次元データD11が生成されている場合、表示制御機能34bは、天板104等の制御情報に基づいて変換行列Aを算出することもできる。
【0061】
ここで、受付機能34cは、合成画像I31を参照したユーザから、2次元X線画像I11に対する3次元データD11の配置を調整する調整操作を受け付けることができる。例えば、合成画像I31を参照したユーザは、位置合わせが適切になされていないと判断した場合、入力インタフェース31を介して、2次元X線画像I11に対する3次元データD11の配置を調整する調整操作を入力する。
【0062】
具体的には、ユーザは、2次元X線画像I11に対して3次元データD11の位置がずれていると判断した場合、3次元データD11を平行移動させて、3次元データD11の位置を調整する。ここで、ユーザは、2次元X線画像I11の縦方向、横方向、及び奥行き方向といった任意の方向に、3次元データD11を平行移動させることができる。また、ユーザは、2次元X線画像I11に対する3次元データD11の向きがずれていると判断した場合、3次元データD11を回転させて、3次元データD11の角度を調整する。ここで、ユーザは、2次元X線画像I11の縦方向、横方向、及び奥行き方向といった任意方向の回転軸で、3次元データD11を3次元的に回転させることができる。また、ユーザは、2次元X線画像I11と3次元データD11との間で拡大率が一致していないと判断した場合、3次元データD11を拡大又は縮小させて、3次元データD11のサイズを調整する。
【0063】
受付機能34cがユーザから調整操作を受け付けている間、表示制御機能34bは、調整された3次元データの配置に応じて、変換行列を変化させる。即ち、表示制御機能34bは、2次元X線画像I11に対する3次元データD11の配置がユーザの所望する通りに変化するよう、変換行列を変化させる。また、表示制御機能34bは、変換行列を変化させるごとに変換行列を3次元データD11に適用し、ディスプレイ32に表示させる合成画像を更新する。
【0064】
図3においては、手動位置合わせの結果が合成画像I41であるものとして説明する。例えば、表示制御機能34bは、ユーザから受け付けた調整操作に基づく変換行列A’を3次元データD11に適用して合成画像I41を生成し、ディスプレイ32に表示させる。また、制御機能34aは、合成画像I41が表示されている間にユーザによる調整操作が完了したと判定した場合、調整操作の結果として変換行列A’を取得し、メモリ33に保存させる。また、制御機能34aは、変換行列A’とともに、2次元X線画像I11及び3次元データD11を、メモリ33に保存させる。即ち、制御機能34aは、学習済みモデルM1の生成に使用可能な学習データとして、変換行列A’、2次元X線画像I11及び3次元データD11をデータベースに登録する。なお、学習済みモデルM1の生成処理については後述する。
【0065】
ここで、ユーザによる調整操作が完了したか否かを判定する処理の一例を、図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置30の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
【0066】
まず、表示制御機能34bは、2次元X線画像I11に対して3次元データD11を自動位置合わせし、3次元データD11に基づく画像と2次元X線画像I11とを合成した合成画像をディスプレイに表示させる(ステップS101)。次に、表示制御機能34bは、合成画像の表示を継続するか否かを判定し(ステップS102)、継続する場合には(ステップS102肯定)、ステップS103に移行する。
【0067】
ステップS103において、受付機能34cは、手動で位置合わせしたか否かを判定する。即ち、受付機能34cは、合成画像を参照したユーザから、2次元X線画像I11に対する3次元データD11の配置を調整する調整操作を受け付けたか否かを判定する。なお、手動で位置合わせされない場合(ステップS103否定)、受付機能34cは、ステップS102に再度移行する。
【0068】
手動で位置合わせされた場合(ステップS103肯定)、制御機能34aは、一定時間指定の操作がないかを判定する(ステップS104)。より具体的には、受付機能34cは、合成画像を参照したユーザから、2次元X線画像I11に対する3次元データD11の配置を調整する調整操作を受け付け、表示制御機能34bは、調整操作に応じて変化させた変換行列を3次元データD11に適用してディスプレイ32に表示させる合成画像を更新し、制御機能34aは、更新された合成画像がディスプレイ32に表示された状態において一定時間指定の操作がないかを判定する。
【0069】
ここで、ステップS104の判定に用いる一定時間については、プリセットされた長さの時間であってもよいし、ユーザが設定した長さの時間であってもよい。また、一定時間については、過去にユーザが調整操作を再入力した際に要した時間の長さ等に基づいて、制御機能34aが自動で調整してもよい。なお、ステップS104の一定時間は、所定時間の一例である。
【0070】
また、ステップS104の判定に用いる指定の操作とは、例えば、2次元X線画像I11に対する3次元データD11の配置を調整する調整操作である。即ち、ステップS104において、制御機能34aは、調整操作が再入力されたか否かを判定する。また、ステップS104の判定に用いる指定の操作とは、例えば、Cアーム105を回転させる操作や、天板104を移動させる操作である。
【0071】
例えば、ユーザは、Cアーム105を回転させることで、奥行方向の位置合わせが適切になされているか否かを判断することができる。即ち、ユーザは、アーム105を回転させて2次元X線画像I11の撮影角度を変化させる。また、表示制御機能34bは、撮影角度の変化に応じて3次元データD11を回転移動させ、ディスプレイ32に表示させる合成画像を更新する。ここで、奥行方向の位置合わせが適切になされていない場合には3次元データD11が奥行方向にずれて表示されてしまう所、Cアーム105を回転させてもずれが生じなければ、ユーザは、奥行方向の位置合わせが適切になされていると判断することができる。なお、ステップS104の指定の操作は、特定操作の一例である。
【0072】
ステップS104において一定時間指定の操作がなかった場合(ステップS104肯定)、制御機能34aは、3次元データD11、2次元X線画像I11及び変換行列A’をデータベースに登録する(ステップS105)。即ち、合成画像I41が表示されている間に一定時間指定の操作がなかった場合、制御機能34aは、ユーザによる調整操作が完了したと判定し、調整操作の結果として変換行列A’を特定して、3次元データD11及び2次元X線画像I11とともにデータベースに登録する。例えば、制御機能34aは、3次元データD11及び2次元X線画像I11を特定するための付帯情報を変換行列A’に付して、メモリ33に保存させる。なお、ステップS105の後、制御機能34aは、ステップS102に再度移行する。
【0073】
一方で、一定時間内に指定の操作がなされた場合(ステップS104否定)、制御機能34aは、ステップS104の判定を継続するか否かを判定し(ステップS106)、継続する場合には(ステップS106肯定)、ステップS104に再度移行する。一方で、ステップS104の判定を継続しない場合(ステップS106否定)、制御機能34aは、ステップS102に再度移行する。例えば、アーチファクト等によって3次元データD11と2次元X線画像I11との位置合わせが困難であるとユーザが判断した場合、制御機能34aは、データベースへの登録を行なうことなく、ステップS102に再度移行する。また、ステップS102において表示を継続しないと判定した場合(ステップS102否定)、処理回路34は、処理を終了する。
【0074】
上述した通り、制御機能34aは、ユーザによる調整操作が完了したか否かを判定し、完了したと判定した場合には、学習済みモデルM1の生成に使用可能な学習データとして、変換行列A’、2次元X線画像I11及び3次元データD11をデータベースに登録する。これにより、制御機能34aは、学習済みモデルM1について適切な学習を行なわせることを可能とし、合成表示の精度を向上させることができる。
【0075】
なお、図4のフローチャートは一例であり、種々の変形が可能である。例えば、制御機能34aは、調整操作が完了した旨の入力操作が行われた場合に調整操作が完了したと判定し、データベースへの登録を行なうこととしてもよい。
【0076】
次に、図5を用いて、学習済みモデルM1の生成処理について説明する。図5は、第1の実施形態に係る学習済みモデルM1の生成処理の一例を示す図である。なお、本実施形態においては、医用情報処理装置30におけるモデル生成機能34dが学習済みモデルM1を生成するものとして説明する。
【0077】
また、図5においては、機械学習手法の一例として、ニューラルネットワークについて説明する。即ち、モデル生成機能34dは、3次元データD11及び2次元X線画像I11を入力側データ(Input)とし、変換行列A’を出力側データ(Output)としてニューラルネットワークを学習させることにより、学習済みモデルM1を生成する。なお、図5においては説明の便宜のため、入力側データと出力側データとの組み合わせを1つのみ示すが、モデル生成機能34dは、入力側データと出力側データとの組み合わせを複数用いて、ニューラルネットワークを繰り返し学習させることができる。
【0078】
具体的には、モデル生成機能34dは、3次元データD11及び2次元X線画像I11をニューラルネットワークに入力する。ここで、ニューラルネットワークにおいては、入力層側から出力層側に向かって一方向に隣接層間でのみ結合しながら情報が伝播し、出力層からは、変換行列の推定結果が出力される。例えば、ニューラルネットワークの出力層からは、2次元X線画像I11に対して3次元データD11を適切に配置するために使用される変換行列の推定結果が出力される。なお、入力層側から出力層側に向かって一方向に情報が伝播するニューラルネットワークについては、畳み込みニューラルネットワーク(Convlutional Neural Network:CNN)とも呼ばれる。
【0079】
モデル生成機能34dは、入力側データを入力した際にニューラルネットワークが好ましい結果を出力することができるよう、ニューラルネットワークのパラメータを調整することで、学習済みモデルM1を生成する。例えば、モデル生成機能34dは、入力側データに基づいて推定された変換行列と、出力側データとして入力した変換行列A’との差が閾値を下回るまで、ニューラルネットワークのパラメータを調整しながら処理を繰り返す。これにより、モデル生成機能34dは、2次元X線画像に対する3次元データの配置を調整するよう機能付けられた学習済みモデルM1を生成することができる。例えば、図5に示す場合、学習済みモデルM1は、3次元データ及び2次元X線画像の入力を受けて、入力された2次元X線画像に対して3次元データを適切に配置するための変換行列を推定するように機能付けられる。
【0080】
なお、学習済みモデルM1が畳み込みニューラルネットワーク(CNN)により構成されるものとして説明したが、モデル生成機能34dは、全結合ニューラルネットワークや、再帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network:RNN)等の他種のニューラルネットワークにより学習済みモデルM1を構成してもよい。また、モデル生成機能34dは、ニューラルネットワーク以外の機械学習手法により、学習済みモデルM1を生成してもよい。例えば、モデル生成機能34dは、ロジスティック(Logistic)回帰分析、非線形判別分析、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)、ランダムフォレスト(Random Forest)、ナイーブベイズ(Naive Bayes)等のアルゴリズムを用いて機械学習を行ない、学習済みモデルM1を生成することとしても構わない。
【0081】
また、モデル生成機能34dは、複数種類の学習済みモデルM1を生成することとしても構わない。例えば、モデル生成機能34dは、血管や臓器といった部位ごとに、学習済みモデルM1を生成してもよい。また、例えば、モデル生成機能34dは、3次元X線画像に基づく3次元データを学習データとして用いた学習済みモデルM11、X線CT画像に基づく3次元データを学習データとして用いた学習済みモデルM12、MRI画像に基づく3次元データを学習データとして用いた学習済みモデルM13等をそれぞれ生成してもよい。
【0082】
制御機能34aは、生成された学習済みモデルM1をメモリ33に記憶させる。その後、被検体P1又は他の被検体について2次元X線画像と3次元データとの合成表示を行なう際、表示制御機能34bは、学習済みモデルM1をメモリ33から読み出して使用することができる。
【0083】
以下、図6を参照して、学習済みモデルM1を用いて2次元X線画像と3次元データとの合成表示を行なう場合の処理について説明する。図6は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置30の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。なお、図6においては、被検体P1と異なる被検体P2について、2次元X線画像I12と3次元データD12との合成表示を行なうものとして説明する。3次元データD12は、例えば、被検体P2から収集された3次元医用画像に基づいて生成される。また、2次元X線画像I12は、例えば、被検体P2に対する手技において、X線診断装置10によって経時的に収集される。
【0084】
まず、表示制御機能34bは、3次元データD12の状態を取得し(ステップS201)、学習済みモデルM1をメモリ33から読み出す。例えば、表示制御機能34bは、3次元データD12の状態として、3次元データD12が示す部位や、3次元データD12の生成に使用した3次元医用画像の種別等の情報を取得する。そして、表示制御機能34bは、3次元データD12の状態に応じた学習済みモデルM1をメモリ33から読み出す。
【0085】
次に、表示制御機能34bは、3次元データD12及び2次元X線画像I12を学習済みモデルM1に対して入力する(ステップS202)。ここで、学習済みモデルM1は、2次元X線画像I12に対して3次元データD12を適切に配置するための変換行列を推定して出力する。次に、表示制御機能34bは、学習済みモデルM1から出力された変換行列を3次元データD12に適用することで、3次元データD12に基づく画像を生成する(ステップS203)。そして、表示制御機能34bは、3次元データD12に基づく画像と2次元X線画像I12とを合成した合成画像をディスプレイ32に表示させる(ステップS204)。即ち、表示制御機能34bは、学習済みモデルM1に対して3次元データD12及び2次元X線画像I12を入力し、2次元X線画像I12に対する3次元データD12の配置の調整結果の出力を受けて、3次元データD12に基づく画像と2次元X線画像I12とを合成した合成画像を表示させる。
【0086】
次に、表示制御機能34bは、合成画像の表示を継続するか否かを判定する(ステップS205)。ここで、表示を継続する場合(ステップS205肯定)、表示制御機能34bは、再度ステップS204に移行する。
【0087】
なお、合成画像の表示を継続している間において、天板104やCアーム105の移動・回転をユーザが指示する場合がある。例えば、ユーザは、手技における注目部位を別角度で観察するため、アーム105を回転させて2次元X線画像の撮影角度を変化させる場合がある。このような場合、表示制御機能34bは、撮影角度の変化に応じて3次元データD12を回転移動させ、ディスプレイ32に表示させる合成画像を更新することができる。
【0088】
例えば、X線診断装置10は、撮影システムにおける座標系の情報を2次元X線画像I12に付帯させた状態で、医用情報処理装置30に送信する。ここで、座標系の情報とは、例えば天板104やCアーム105等、撮影位置や撮影角度を制御する機械系の制御情報である。表示制御機能34bは、2次元X線画像I12に付帯した座標系の情報に基づいて、合成画像を更新することができる。例えば、アーム105を回転する制御が行なわれた場合、表示制御機能34bは、座標系の情報に基づき、アーム105の回転量に応じて3次元データD12を回転移動させる。そして、表示制御機能34bは、回転移動後の3次元データD12に基づく画像と2次元X線画像I12とを合成した合成画像を、ディスプレイ32に表示させる。
【0089】
即ち、手技中に2次元X線画像I12の撮影位置や撮影角度が変化した場合において学習済みモデルM1を繰り返し使用する必要はなく、表示制御機能34bは、座標系の情報に基づいて2次元X線画像I12に対する3次元データD12の配置を再調整し、合成画像を迅速に更新することができる。
【0090】
なお、被検体P2の体動があった場合等、座標系の情報に基づいて配置の再調整を行なうことができないケースも想定される。このような場合においては、表示制御機能34bは、ステップS202に再度移行し、学習済みモデルM1を使用して、2次元X線画像I12に対する3次元データD12の配置を再調整することができる。例えば、医用情報処理装置30は、再調整用のボタンを有する。また、ユーザは、被検体P2の体動があったと判断した場合に、再調整用のボタンを押下する。そして、再調整用のボタンが押下された場合、表示制御機能34bは、学習済みモデルM1を使用した再調整を実行する。
【0091】
上述したように、第1の実施形態によれば、表示制御機能34bは、3次元データに基づく画像と2次元X線画像とを合成した合成画像を表示させる。また、受付機能34cは、合成画像を参照したユーザから、2次元X線画像に対する3次元データの配置を調整する調整操作を受け付ける。また、制御機能34aは、3次元データと、2次元X線画像と、受付機能34cが受け付けた調整操作の結果とをメモリ33に保存させる。これにより、医用情報処理装置30は、2次元X線画像に対する3次元データの配置を調整する学習済みモデルM1について適切な学習を行なわせることを可能とし、合成表示の精度を向上させることができる。
【0092】
即ち、解剖学的特徴点を抽出して位置合わせを行なう場合等、一定のルールで、3次元データと2次元X線画像との位置合わせを精度良く行なうことは難しい。例えば、2次元画像同士の位置合わせでは奥行方向を考慮する必要がなく、縦及び横の2方向のみ調整すればよいため、一定のルールでの位置合わせを行なう場合でも高い精度を担保することが可能である。また、例えば、3次元画像同士の位置合わせでは、各画像が3次元の情報を有しているため、一定のルールでの位置合わせを行なう場合でも高い精度を担保することが可能である。これに対し、3次元データと2次元X線画像との位置合わせでは、2次元X線画像に対する3次元データの奥行方向の位置を推定する必要があり、位置合わせの精度を担保することは容易でない。また、医師や技師等のユーザであれば、感覚や経験に基づいて、2次元X線画像と3次元データとの位置合わせを適当に行なうことが可能である。しかしながら、合成表示を行なうごと手動位置合わせを行なうことは、ユーザにとって負担となる。
【0093】
これに対し、第1の実施形態に係る医用情報処理装置30によれば、ユーザによる手動位置合わせの結果を、学習データとして収集することができる。ひいては、医用情報処理装置30は、ユーザの感覚や経験を学習済みモデルM1に学習させ、一定ルールの位置合わせ処理では得られない高い精度で、3次元データと2次元X線画像との位置合わせを実現することができる。
【0094】
また、医用情報処理装置30は、位置合わせの精度を向上させることで、被ばく量の低減を実現することができる。例えば、3次元データと2次元X線画像とが適切に位置合わせされていない場合、ユーザは、ディスプレイ32に表示された2次元X線画像を参照しつつ、手動で3次元データを位置合わせする。これに対し、位置合わせが十分に高い精度で実現されれば、手動での位置合わせを行なう機会は減少すると言える。そして、手動での位置合わせを行なうための2次元X線画像を収集する必要がなくなり、2次元X線画像の収集枚数が減少することで、被ばく量を低減することができる。
【0095】
また、学習済みモデルM1を生成した後、3次元データと2次元X線画像との位置合わせは、学習済みモデルM1に対して3次元データ及び2次元X線画像とを入力することで実現される。即ち、医用情報処理装置30は、例えば位置ずれ検知や描画処理などの複雑な処理を行なうことなく、高い精度での位置合わせを実現することができる。従って、医用情報処理装置30は、2次元X線画像と3次元データとの合成表示を行なう際の計算コストを低減することができる。
【0096】
(第2の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0097】
例えば、上述した実施形態では、調整操作の結果の一例として変換行列について説明した。例えば、図3において、制御機能34aは、受付機能34cが受け付けた調整操作の結果として変換行列A’を取得し、メモリ33に保存させるものと説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、制御機能34aは、受付機能34cが受け付けた調整操作の結果として、図3の合成画像I41をメモリ33に保存させてもよい。即ち、制御機能34aは、ユーザによって調整され3次元データの配置に応じて生成された合成画像を、調整操作の結果としてメモリ33に保存させてもよい。この場合、学習済みモデルM1は、例えば、合成画像I41を出力側データ(Output)としてニューラルネットワークを学習させることにより生成される。
【0098】
また、上述した実施形態において、制御機能34aは、3次元データと、2次元X線画像と、受付機能34cが受け付けた調整操作の結果とをメモリ33に保存させるものとして説明した。即ち、上述した実施形態では、3次元データと2次元X線画像と調整操作の結果とを保存する記憶部の一例として、メモリ33について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、制御機能34aは、ネットワークNWを介して接続された外部装置に、3次元データと2次元X線画像と調整操作の結果とを保存させることとしても構わない。かかる外部装置は、記憶部の一例である。
【0099】
また、上述した実施形態において、制御機能34aは、学習済みモデルM1をメモリ33に保存させるものとして説明した。即ち、上述した実施形態では、学習済みモデルM1を保存するモデル記憶部の一例として、メモリ33について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、制御機能34aは、ネットワークNWを介して接続された外部装置に、学習済みモデルM1を保存させることとしても構わない。かかる外部装置は、モデル記憶部の一例である。
【0100】
また、図1においては単一のメモリ33を示したが、複数のメモリ33を分散して配置することとしても構わない。例えば、医用情報処理装置30は、メモリ33として、第1のメモリ331と、第2のメモリ332と、第3のメモリ333とを備える。ここで、第1のメモリ331は、例えば、医用情報処理装置30に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを保存する。また、第2のメモリ332は、制御機能34aによる制御の下、3次元データと、2次元X線画像と、受付機能34cが受け付けた調整操作の結果とを保存する。また、第3のメモリ333は、制御機能34aによる制御の下、学習済みモデルM1を保存する。かかる場合において、第2のメモリ332は、記憶部の一例である。また、第3のメモリ333は、モデル記憶部の一例である。
【0101】
また、上述した実施形態では、学習済みモデルM1の生成処理を、医用情報処理装置30のモデル生成機能34dが実行するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、学習済みモデルM1は、図示しない他の装置において生成されても構わない。この場合、制御機能34aは、ネットワークNWを介して学習済みモデルM1を取得し、メモリ33等のモデル記憶部に保存させることができる。
【0102】
また、上述した実施形態では、医用情報処理装置30が合成画像の表示を行なうものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述した制御機能34a、表示制御機能34b、受付機能34c、モデル生成機能34dに相当する機能を、X線診断装置10の処理回路110が実行しても構わない。以下、この点について図7を用いて説明する。図7は、第2の実施形態に係るX線診断装置10の構成の一例を示すブロック図である。図7に示すように、処理回路110は、制御機能110a、表示制御機能110b、収集機能110c、受付機能110d、及びモデル生成機能110eを実行する。なお、受付機能110dは、受付部の一例である。また、モデル生成機能110eは、モデル生成部の一例である。
【0103】
例えば、表示制御機能110bは、まず、3次元データD11に基づく画像と2次元X線画像I11とを合成した合成画像をディスプレイ108に表示させる。次に、受付機能110dは、合成画像を参照したユーザから、2次元X線画像I11に対する3次元データD11の配置を調整する調整操作を受け付ける。次に、制御機能110aは、3次元データD11と、2次元X線画像I11と、受付機能110dが受け付けた調整操作の結果とを、メモリ109に保存させる。そして、モデル生成機能110eは、3次元データD11と2次元X線画像I11と調整操作の結果とを学習データとした機械学習を実行することにより、学習済みモデルM1を生成する。
【0104】
また、制御機能110aは、学習済みモデルM1を、例えば、メモリ109に保存させる。その後、収集機能110cは、2次元X線画像I12を収集する。例えば、図7に示す被検体P1に代えて被検体P2が天板104に載置され、収集機能110cは、被検体P2から2次元X線画像I12を収集する。また、表示制御機能110bは、メモリ109から学習済みモデルM1を読み出し、学習済みモデルM1に対して、3次元データD12及び2次元X線画像I12を入力する。ここで、学習済みモデルM1は、2次元X線画像I12に対する3次元データD12の配置の調整結果を出力する。また、表示制御機能110bは、学習済みモデルM1からの出力を受けて3次元データD12に基づく画像を生成し、2次元X線画像I12と合成して、合成画像をディスプレイ108に表示させる。
【0105】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0106】
また、図1においては、単一のメモリ33が処理回路34の各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。また、図2及び図7においては、単一のメモリ109が処理回路110の各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数のメモリ33を分散して配置し、処理回路34は、個別のメモリ33から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。同様に、複数のメモリ109を分散して配置し、処理回路110は、個別のメモリ109から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、メモリにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0107】
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0108】
また、上述した実施形態で説明した医用情報処理方法は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0109】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、2次元X線画像と3次元データとの合成表示の精度を向上させることができる。
【0110】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0111】
1 医用情報処理システム
10 X線診断装置
110 処理回路
110a 制御機能
110b 表示制御機能
110c 収集機能
110d 受付機能
110e モデル生成機能
30 医用情報処理装置
34 処理回路
34a 制御機能
34b 表示制御機能
34c 受付機能
34d モデル生成機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7