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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】吸水性組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 1/28 20060101AFI20241008BHJP
   C08L 1/02 20060101ALI20241008BHJP
   C08J 3/215 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C08L1/28
C08L1/02
C08J3/215 CEP
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020149374
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2021042376
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2019163118
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】幸田 拓也
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-503704(JP,A)
【文献】国際公開第2015/107995(WO,A1)
【文献】特開2020-139089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08J3/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースナノファイバー及び水溶性高分子を含有し、比表面積が14/g以上であり、
前記水溶性高分子は、セルロース誘導体又はその塩であり、該セルロース誘導体又はその塩のエーテル化度が0.4以上1.0以下であり、
前記水溶性高分子は、1質量%水溶液の25℃における粘度が5000mPa・s以上である、吸水性組成物であって、
前記吸水性組成物における前記セルロースナノファイバーの含有量をC1とし、該吸水性組成物における前記水溶性高分子の含有量をC2としたとき、C1とC2との比率であるC1:C2が、1:0.5~1:20である、吸水性組成物。
【請求項2】
前記比表面積が、200m/g以下である、請求項に記載の吸水性組成物。
【請求項3】
前記セルロース誘導体又はその塩が、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びこれらの塩からなる群から選択される1種以上である、請求項1又は2に記載の吸水性組成物。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1に記載の吸水性組成物の製造方法であって、
前記セルロースナノファイバー及び前記水溶性高分子を液中で混合し、得られた混合溶液を凍結乾燥する、吸水性組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸水性組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつ等の吸収性物品に用いられる吸収性材料として、セルロースナノファイバーは、パルプ等から得られる微細な繊維であり、生産時又は廃棄時における環境への負荷が少ない素材として知られている。セルロースナノファイバーは、親水性が高く、優れた増粘性を有しており、食品、医療品、塗料等の幅広い分野に利用されることが期待されている。しかし、乾燥状態のセルロースナノファイバーは、凝集力が高いため、水に対する分散性が低い。このような問題を解決する技術として、特許文献1には、所定の平均繊維径を有する微小セルロース繊維から構成され、所定の見掛け密度であることを特徴とする、セルロース多孔質体が記載されている。また、特許文献2には、所定の固形分濃度のセルロースナノファイバーと、所定濃度の水及び水溶性有機溶媒の混合分散媒とを含有する混合液を凍結乾燥する工程を具備する、セルロース多孔質体の製造方法が記載されている。また、特許文献3には、アニオン変性セルロースナノファイバーに対して、水溶性高分子を所定量含有している、乾燥固形物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-215872号公報
【文献】特開2013-253137号公報
【文献】国際公開2015/107995号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セルロースナノファイバーは、おむつ等の吸収性物品に用いられる吸収性材料としての機能が期待されている。しかしながら、乾燥状態のセルロースナノファイバーは、前述したように凝集し易く、水に対する分散性が低いので、吸液性や、吸液後の液を保持する液保持性が低く、吸収性能が不十分であった。特許文献1~3は、前記吸収性材料として十分な液保持性を有する、セルロースナノファイバー含有組成物を開示するものではない。
【0005】
したがって、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸水性組成物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、セルロースナノファイバー及び水溶性高分子を含有し、比表面積が1.0m/g以上である、吸水性組成物を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、前記吸水性組成物の製造方法であって、前記セルロースナノファイバー及び前記水溶性高分子を液中で混合し、得られた混合溶液を凍結乾燥する、吸水性組成物の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸水性組成物は、優れた液保持性を有する。
本発明の吸水性組成物の製造方法によれば、優れた液保持性を有する吸水性組成物を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の吸水性組成物は、セルロースナノファイバー及び水溶性高分子を含有している。以下、本発明の吸水性組成物を単に「吸水性組成物」ともいい、セルロースナノファイバーを「CNF」ともいう。CNFは、その繊維径が3nm以上500nm以下であり、繊維長が500nm以上1000nm以下である、微細なセルロース繊維である。
【0010】
CNFは、原料セルロース繊維に微細化処理を施す方法や、酢酸菌等のバクテリアによって合成する方法等の公知の方法によって製造することができる。前記微細化処理としては、高圧ホモジナイザー等の解繊装置を用いた物理的処理や、セルラーゼ等の酵素や触媒を用いた酸化反応によってセルロース繊維をほぐす化学的処理が挙げられ、これらの処理は組み合わせて用いることができる。
前記原料セルロース繊維としては、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ等の木材パルプ;コットンリンター、コットンリントのような綿系パルプ;麦わらパルプ、バガスパルプ等の非木材系パルプ等の天然セルロース繊維が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
CNFは、セルロース分子鎖におけるセルロースの水酸基が変性されたものであってもよい。このようなCNFとしては、セルロースの水酸基が、カルボキシ基などに酸化されたものや、エステル化されたもの、エーテル化されたもの等、セルロース繊維に他の官能基が導入されたものが挙げられる。CNFの分散性を向上させる観点から、CNFは、アニオン性基が導入された、アニオン変性CNFであることが好ましい。アニオン変性CNFに含まれるアニオン性基としては、アルデヒド基、カルボキシ基、硫酸基、及びリン酸基などが挙げられるが、より微細なCNFが得られる観点から、カルボキシ基、リン酸基であることが好ましい。
【0012】
アニオン変性CNFは、セルロースの水酸基を酸化してアニオン性基に変換する方法や、アニオン性基を有する化合物、その酸無水物、又はそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種をセルロースの水酸基に反応させる方法等の公知の方法によって得られる。例えば、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシル(TEMPO)を触媒として、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤及び臭化ナトリウム等の臭化物を反応させて、セルロースの水酸基を酸化処理する方法(特開2011-140632号公報)等が挙げられる。
【0013】
水溶性高分子は、水に溶解し得る高分子であり、25℃の水100gに対する溶解度が0.5g以上である。前記溶解度の測定方法は以下のとおりである。100mLのガラスビーカー(5mmΦ)に対象物を所定量、25℃の50mLイオン交換水に添加混合し、長さ20mm、幅7mmのスターラーチップを入れ、アズワン株式会社製マグネチックスターラーHPS-100を用いて600rpm撹拌する。次いで、添加した対象物の全量が24時間以内に水に溶解するか否かを確認する。斯かる一連の作業を、対象物の総重量(前記ビーカーへの投入量)が異なる複数のサンプルについて行い、該対象物の全量が溶解した複数のサンプルのうち、その溶解量が最大であったサンプルにおける対象物の総重量の2倍の値を、前記溶解度とする。前記溶解度は、好ましくは1g以上、さらに好ましくは5g以上、一層好ましくは10g以上である。
【0014】
吸水性組成物の液保持性を向上させる観点から、水溶性高分子は、1質量%水溶液の25℃における粘度が好ましくは5000mPa・s以上、より好ましくは6000mPa・s以上、さらに好ましくは7500mPa・s以上であり、また好ましくは30000mPa・s以下、より好ましくは20000mPa・s以下であり、さらに好ましくは15000mPa・s以下であり、また好ましくは5000mPa・s以上30000mPa・s以下、より好ましくは6000mPa・s以上20000mPa・s以下、さらに好ましくは7500mPa・s以上15000mPa・s以下である。水溶性高分子の1質量%水溶液の25℃における粘度は、B型粘度計(東機産業株式会社製、TVB-10)を用いて、ローターNo.4、回転速度30rpm、60秒間の測定条件で測定される。
【0015】
水溶性高分子としては、例えばセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、デキストリン、ポリエチレンオキシド、水溶性ナイロン、天然多糖類等が挙げられる。天然多糖類としては、アルギン酸ナトリウム、トラガカントガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、カラギーナン、ガラクトマンナン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、プルプラン等が挙げられる。吸水性組成物には、これら成分から選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
後述するCNFの水に対する分散性を高める観点から、水溶性高分子は、セルロース誘導体又はその塩であることが好ましい。セルロース誘導体及びその塩としては、セルロースを部分的に変性したものであり、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びこれらの塩等が挙げられる。前記塩としては、水溶性塩が好ましく用いられ、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩や、カルシウム塩やマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩等から選択される一種以上の金属塩が挙げられる。吸水性組成物には、これら成分から選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。CNFの凝集を効果的に抑制する観点から、セルロース誘導体は、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、及びカルボキシエチルセルロース塩からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
【0016】
吸水性組成物の液保持性を向上させる観点から、セルロース誘導体は、エーテル化度が好ましくは1.0以下、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下であり、また好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは0.6以上であり、また好ましくは0.4以上1.0以下、より好ましくは0.4以上0.9以下、さらに好ましくは0.6以上0.8以下である。上記と同様の観点から、セルロース誘導体塩のエーテル化度も前記の範囲内であることが好ましい。前記エーテル化度は、以下の測定方法により測定される。
【0017】
〔エーテル化度の測定方法〕
エーテル化度は、灰化測定法を用いて測定される。試料(セルロース誘導体又はその塩)約0.7gを精秤し、ろ紙に包んで磁性ルツボ中に入れ、600℃で充分に灰化させる。これを冷却後、500mLビーカーに移し、水約250mL、さらに0.05モル/L硫酸35mLを加えて30分間煮沸した後、冷却する。これにフェノールフタレイン指示薬を加えて、過剰の酸を0.1モル/L水酸化カリウムで逆滴定して、次式によりエーテル化度を算出する。
エーテル化度=162×A/(10000-80×A)
式中のAは試料1g中の結合アルカリに消費された0.05モル/L硫酸のmL数である。
【0018】
CNFと水溶性高分子とは、ろ過処理によって、吸水性組成物から分離可能である。前記ろ過処理は以下のとおりである。CNFと水溶性高分子とからなる吸水性組成物を、イオン交換水に対して該吸水性組成物の濃度が0.1質量%になるように希釈し、希釈水溶液を作製する。希釈水溶液に対し、孔径0.5μmのポリテトラフルオロエチレン製のろ過フィルターを使用して、遠心加速度12000×gで10分間の遠心ろ過を行う。遠心ろ過を行うと、CNFはろ過フィルターにとどまり、水溶性高分子はろ過フィルターを通過する。これにより、CNFと水溶性高分子とを分離することができる。
吸水性組成物に用いられる水溶性高分子の粘度や、セルロース誘導体のエーテル化度等の各種特性は、該吸水性組成物から分離した水溶性高分子やセルロース誘導体を用いて測定することができる。
【0019】
本発明の吸水性組成物は、比表面積が1.0m/g以上であり、好ましくは5.0m/g以上、より好ましくは10.0m/g以上、さらに好ましくは15.0m/g以上である。また、製造上の観点から比表面積は200m/g以下が好ましく、より好ましく150m/g以下、より好ましくは100m/g以下であり、より好ましくは50m/g以下である。比表面積は、窒素ガス吸着装置(例えば、日本ベル株式会社製のBelsorpII)を用いて、吸着等温線を得ることにより導出できる。
【0020】
本発明者らは、CNFの液保持性について鋭意検討した結果、CNFと共に水溶性高分子、好ましくはセルロース誘導体を含有し、且つ前述した比表面積を有する吸水性組成物が、液保持性に優れることを見出した。斯かる吸水性組成物は、おむつ等の吸収性物品の吸収性材料として好ましく用いることができる。
【0021】
液保持性をより向上させる観点から、吸水性組成物におけるセルロースナノファイバーの含有量をC1とし、該吸水性組成物における前記水溶性高分子の含有量をC2としたとき、C1とC2との比率であるC1:C2が、好ましくは1:0.5~1:20、より好ましくは1:0.8~1:15、さらに好ましくは1:1~1:10である。特に断りがない限り、本明細書において含有量は質量基準である。吸水性組成物に含まれる水溶性高分子が複数種類ある場合、C2は、複数種類の水溶性高分子の合計含有量である。
前記C1:C2の比率は、後述する混合溶液におけるCNFと水溶性高分子との含有量を調整することによって、上述した範囲にすることができる。
【0022】
CNFの水に対する分散性をより向上させる観点から、セルロース誘導体は、質量平均分子量(Mw)が好ましくは5000以上100万以下、より好ましくは1万以上80万以下、さらに好ましくは10万以上60万以下である。)質量平均分子量は、一般的なゲル浸透クロマトグラフィ(例えば東ソー社製HLC-8020)を用いて測定できる。尚、測定の際に使用するカラムは、予想される質量平均分子量やイオン性を考慮し、適宜使い分ける。
【0023】
吸水速度を向上させて、液保持性を向上させる観点から、CNFは、以下の特性を有することが好ましい。
CNFの平均繊維長は、好ましくは500nm以上、より好ましくは5000nm以上であり、また好ましくは1000nm以下、より好ましくは3000nm以下であり、また好ましくは500nm以上5000nm以下、より好ましくは1000nm以上3000nm以下である。
CNFの平均繊維径は、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上であり、また好ましくは300nm以下、より好ましくは100nm以下であり、また好ましくは3nm以上300nm以下、より好ましくは5nm以上100nm以下である。
【0024】
前記の平均繊維長及び平均繊維径は、例えば以下の方法により測定する。水性組成物に、水又はエタノールを加え固形分濃度0.0001質量%の分散液を調製し、該分散液を、マイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料とする。この観察試料を原子間力顕微鏡(AFM、Nanoscope III Tapping mode AFM、Digital instrument社製、プローブはナノセンサーズ社製Point Probe (NCH)を使用)を用いて観察し、該観察試料中に含まれる5本以上の任意のCNFを選択して、平均繊維長及び平均繊維径を測定する。
【0025】
液保持性を向上させる観点から、CNFの平均アスペクト比、すなわち繊維長/繊維径の値は、好ましくは50以上2500以下、より好ましくは75以上2000以下、さらに好ましくは100以上1500以下である。
【0026】
吸水性組成物は、前記のCNF及び水溶性高分子以外の他の成分を含んでいてもよく、例えば、フィラー、顔料、染料、防腐剤、酸化防止剤、香料、消臭剤、抗菌剤等を含んでいてもよい。他の成分を含む場合、吸水性組成物中の他の成分の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。他の成分を複数種類含む場合、これらの合計含有量が、上記の範囲内であることが好ましい。
【0027】
吸水性組成物は、乾燥により形成された固形物である。例えば、吸水性組成物は、粒子状、粉末状、薄片状、繊維状又は多孔状の乾燥固形物として用いられる。吸水性組成物は、造粒や粉砕等の加工方法によって、比表面積をコントロールすることができる。比表面積を大きくする観点から、吸水性組成物は、粒子状、薄片状、又は多孔状の乾燥固形物であることが好ましい。吸収性材料として、容易に取り扱う観点から、吸水性組成物に含まれる水分量は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
【0028】
吸水性組成物が薄片状の乾燥固形物である場合、該吸水性組成物の厚みは、好ましくは0.1μm以上100μm以下、より好ましくは1μm以上50μm以下、さらに好ましくは3μm以上10以下μmである。斯かる厚みは、任意に選択された10個以上の乾燥固形物の平均厚みである。
【0029】
吸水性組成物が粉末状の乾燥固形物である場合、水の吸収量を向上させる観点から、吸水性組成物の粒子の平均粒径は、100μm以上500μm以下であることが好ましく、200μm以上400μm以下であることがより好ましい。前記粒径は、粉体の形態における最大長さをいい、例えば篩による分級、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。
【0030】
吸水性組成物は、好ましくは自重の10倍以上、より好ましくは自重の15倍以上、より好ましくは自重の20倍以上、さらに好ましくは自重の30倍以上の人工尿を吸収して保持できるものであることが好ましい。この人工尿を吸収して保持し得る量の上限値に特に制限はないが、自重の150倍を上限の目安とすることができる。人工尿を吸収して保持し得る量は、例えば、後述する実施例の〔ゲル化の評価〕における最大液保持量として求められる。人工尿の組成は後述する。
【0031】
前述したように、本発明の吸水性組成物は、おむつ等の吸収性物品の吸収性材料として好ましく用いられる。吸収性物品は、主として尿、経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。吸収体は、吸収性物品における主たる吸液部位であり、吸収性材料を含んでいる。吸収性物品はさらに、その具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。
【0032】
次に、本発明の吸水性組成物の製造方法を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本製造方法では、前述したCNF及び水溶性高分子を水等の分散媒からなる液中で混合し、得られた混合溶液を乾燥して、吸水性組成物を製造する。以下、本製造方法において、CNF及び水溶性高分子を液中で混合して、混合溶液を得る工程を「混合工程」、該混合用液を乾燥する工程を「乾燥工程」ともいう。
【0033】
本製造方法において、吸水性組成物の原料となるCNF及び水溶性高分子は、市販のものを購入して使用することができる。CNFの市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製の「レオクリスタ」、スギノマシン社製の「BiNFi-S」、ダイセルファインケム社製の「セリッシュ」等が挙げられる。CNFは、一般的に水に分散した状態で市販されている。
水溶性高分子である、セルロース誘導体の市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製の「セロゲン」及び「BSH-12」、三晶社製の「CEKOL」、ダイセルファインケム社製の「CMCダイセル」等が挙げられる。
【0034】
本製造方法では、前述したCNF及び水溶性高分子を用いる。CNFは、水等の分散媒に分散した状態のもの、即ちCNF分散液を用いる。混合工程では、CNF分散液と、セルロース誘導体とを混合して、混合溶液を得る。この際、水やアルコール系分散媒を加えて、混合溶液を調製してもよい。アルコール系分散媒としては、エタノール、2-プロパノール、メタノール、ブタノール等の1価のアルコールや、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。
【0035】
CNF及び水溶性高分子の混合を容易に行う観点から、混合溶液におけるCNFの含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であり、また好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下であり、また好ましくは0.1質量%以上1質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上0.8質量%以下である。上記と同様の観点から、混合溶液における水溶性高分子の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であり、また好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下であり、また好ましくは0.1質量%以上1質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上0.8質量%以下である。
【0036】
混合溶液中のCNFの含有量及び水溶性高分子の含有量は、吸水性組成物中のこれらの各含有量の比率(C1:C2)が、上述した範囲内となるようにすることが好ましい。
【0037】
混合溶液中にCNF及びセルロース誘導体を均一に分散させる観点から、混合溶液における分散媒は、水を主体とすることが好ましい。具体的には、混合溶液における水の含有量が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、また好ましくは100質量%未満、であり、また好ましくは80質量%以上100質量%未満、より好ましくは90質量%以上100質量%未満である。
【0038】
混合工程では、CNF及び水溶性高分子を分散媒中に溶解させて、混合溶液を得る。本工程において、分散媒中にCNF及び水溶性高分子を溶解、即ち分散させる方法は、特に制限されず、公知の分散方法を用いることができる。公知の分散方法としては、せん断処理、超音波処理、高圧噴射処理、振とう処理等の分散処理が挙げられる。混合工程では、これら処理から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて行うことができる。せん断処理には、撹拌機等のせん断処理装置を用いることができる。超音波処理には、超音波ホモジナイザー等の超音波処理装置等を用いることができる。高圧噴射処理には、圧力式ホモジナイザー等の高圧噴射処理装置を用いることができる。振とう処理には、ペイントシェーカー等の振とう処理装置を用いることができる。混合工程は、CNF及びセルロース誘導体の分散処理を常温(25℃)で行ってもよく、混合槽を加温(40℃程度)して行ってもよい。
【0039】
混合工程において、CNF及び水溶性高分子を分散媒中に分散させる順番は特に制限されない。即ち、CNFを分散させた分散液に、水溶性高分子を加えて混合してもよく、水溶性高分子を分散させた分散液に、CNFを加えて混合してもよい。また、分散媒が入った混合槽に、CNFと水溶性高分子とを同時に加えてもよい。
【0040】
乾燥工程は、混合溶液を乾燥して、吸水性組成物を得る。乾燥工程に用いられる乾燥方法は、吸水性組成物の品質を維持できる方法であれば特に制限されず、例えば熱風やヒーター、真空による凍結乾燥、フリーズドライ、スプレードライ等の方法が挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて用いことができる。吸水性組成物は、乾燥工程に用いられる乾燥方法に応じて、シート状、粉末状等の種々の形態の乾燥固形物として得られる。乾燥固形物が薄片状である場合、吸収性材料としての取り扱い性を向上させる観点から、当該乾燥固形物を1mm~3mm角に裁断することが好ましい。
【0041】
吸水性組成物を容易に製造する観点から、乾燥工程において、混合溶液は凍結乾燥することが好ましい。また、上記と同様の観点から、凍結乾燥は以下の条件で行うことが好ましい。凍結温度は、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-50℃以下である。凍結温度の下限は、特に制限されないが、製造上の観点から、好ましくは-100℃以上である。凍結乾燥における圧力は、凍結温度に合わせて選択すればよい。
【0042】
本製造方法は、乾燥工程で得られた吸水性組成物を粉砕する、粉砕工程を備えることが好ましい。粉砕工程は、比表面積を前述した範囲内とする点で有効であり、凍結乾燥以外の方法で吸水性組成物を製造する場合に特に有効である。粉砕工程では、吸水性組成物を乾式粉砕により粉砕する。乾式粉砕に用いられる粉砕装置としては例えばローラーミル、転動ボールミル、振動ボールミル、振動ロッドミル、振動チューブミル、遊星ボールミル又は遠心流動化ミル等の容器駆動媒体ミル、塔式粉砕機、攪拌槽式ミル、流通槽式ミル又はアニュラー式ミル等の媒体攪拌式ミル、高速遠心ローラーミルやオングミル等の圧密せん断ミル、乳鉢、石臼、マスコロイダー、フレットミル、エッジランナーミル、ナイフミル、ピンミル、カッターミル又はハンマーミル等が挙げられる。
粉砕工程を経て得られた吸水性組成物は、必要に応じ、所望の粒度に篩い分けされてもよい。
【0043】
また、吸水性組成物に前述した他の成分を含有させる場合、混合工程の混合溶液に当該他の成分を含有させてもよく、乾燥工程で得られた吸水性組成物に当該他の成分を添加してもよい。
【0044】
以上、本発明について説明したが、本発明は前述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0045】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の吸水性組成物及びその製造方法を開示する。
<1>
セルロースナノファイバー及び水溶性高分子を含有し、比表面積が1.0m/g以上である、吸水性組成物。
<2>
前記比表面積が、5.0m/g以上、好ましくは10.0m/g以上、より好ましくは15.0m/g以上であり、また200m/g以下、好ましくは150m/g以下、より好ましくは100m/g以下、さらに好ましくは50m/g以下である、前記<1>に記載の吸水性組成物。
<3>
前記比表面積が、200m/g以下、好ましくは150m/g以下、より好ましくは100m/g以下、さらに好ましくは50m/g以下である、前記<1>又は<2>に記載の吸水性組成物。
<4>
前記比表面積が、1.0m/g以上200m/g以下、好ましくは5.0m/g以上150m/g以下、より好ましくは10.0m/g以上100m/g以下、さらに好ましくは15.0m/g以上50m/g以下である、前記<1>に記載の吸水性組成物。
<5>
前記水溶性高分子は、1質量%水溶液の25℃における粘度が5000mPa・s以上、好ましくは5000mPa・s以上30000mPa・s以下、より好ましくは6000mPa・s以上20000mPa・s以下、さらに好ましくは7500mPa・s以上15000mPa・s以下である、前記<1>~<4>のいずれか1項に記載の吸水性組成物。
<6>
前記水溶性高分子が、セルロース誘導体又はその塩である、前記<1>~<5>のいずれか1項に記載の吸水性組成物。
<7>
前記セルロース誘導体又はその塩が、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びこれらの塩からなる群から選択される1種以上である、前記<6>に記載の吸水性組成物。
<8>
前記セルロース誘導体のエーテル化度が1.0以下、好ましくは0.4以上1.0以下、より好ましくは0.4以上0.9以下、さらに好ましくは0.6以上0.8以下である、前記<6>又は<7>に記載の吸水性組成物。
<9>
前記吸水性組成物における前記セルロースナノファイバーの含有量をC1とし、該吸水性組成物における前記水溶性高分子の含有量をC2としたとき、C1とC2との比率であるC1:C2が、1:0.5~1:20、好ましくは1:0.8~1:15、より好ましくは1:1~1:10である、前記<1>~<8>のいずれか1項に記載の吸水性組成物。
<10>
前記<1>~<9>のいずれか1項に記載の吸水性組成物の製造方法であって、
前記セルロースナノファイバー及び前記水溶性高分子を液中で混合し、得られた混合溶液を凍結乾燥する、吸水性組成物の製造方法。
【実施例
【0046】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。なお、実施例1及び3は参考例である。
【0047】
〔実施例1〕
CNFとして、カルボキシ基を導入したCNFの水分散液(CNF2.5質量%、商品名「レオクリスタ」、第一工業製薬株式会社製)と、水溶性高分子として、カルボキシメチルセルロースナトリウム(商品名「セロゲンMP―60」、第一工業製薬株式会社製)とを用意した。以下、カルボキシメチルセルロースナトリウムをCMC-Naともいう。CNFの水分散液に、CMC-Naとイオン交換水とを混合し、CNFとCMC-Naとの混合溶液を調製した。この混合溶液中のCNFの含有量、及びセルロース誘導体の含有量はそれぞれ0.01質量%であった。次いで、280mm×200mm、深さ20mmの金属プレート上にテフロン(登録商標)シート(TOMBO9001、ニチアス株式会社製)を敷き、その上からおよそ50mLの混合溶液を注ぎ、これを105℃に設定された電気乾燥炉の中で約5時間乾燥させ、その後常温環境下で約30分間放置し、前記プレート上に平均厚み4.9μmのフィルム状の乾燥物を形成した。得られたフィルム状の乾燥物を、はさみを用いて1.0mm角程度に細かく裁断して薄片物を得た。次いで、薄片物を開き目4μmの篩にかけ、該篩を通過した乾燥物を実施例1の吸水性組成物とした。
【0048】
〔実施例2〕
混合溶液中のCNFの含有量、及びセルロース誘導体の含有量をそれぞれ0.4質量%とした点以外は、実施例1と同様の方法により混合溶液を調整した。次いで、当該混合溶液を、金属製型(株式会社三商 ステンレス製筒形バット 直径×深さ=72mm×53mm)に入れ、-80℃の冷凍庫で1時間凍結させた。その後、凍結乾燥機で乾燥が完了するまで、概ね48時間かけて凍結乾燥を施した。冷凍庫は、株式会社カノウ冷機、ディープフリーザーLAB-11を用い、凍結乾燥機には、東京理化器械株式会社製凍結乾燥機FDU-1200を用いた。この凍結乾燥後に得られた乾燥物を実施例2における吸水性組成物とした。
【0049】
〔実施例3及び4〕
実施例3では、水溶性高分子として、カルボキシメチルセルロースナトリウム(商品名「BSH-12」、第一工業製薬株式会社製)を用いて、セルロース誘導体の1質量%水溶液の25℃における粘度を表1に示すように異ならせた点以外は、実施例1と同様の方法によって、吸水性組成物を得た。吸水性組成物を得る過程で作製したフィルム状の乾燥物の平均厚みは6.1μmであった。
実施例4では、実施例3のセルロース誘導体を用いた点以外は、実施例2と同様の方法によって、吸水性組成物を得た。
【0050】
〔比較例1及び2〕
比較例1では、電気炉で乾燥させる前における混合溶液中のCNFの含有量、及びセルロース誘導体の含有量をそれぞれ0.6質量%とした点以外は、実施例1と同様の方法によって、吸水性組成物を得た。その結果、比較例1では、電気乾燥炉で乾燥させて得られたフィルム状の乾燥物の平均厚みが15.2μmであり、実施例1のサンプルよりも厚みが厚いものとなった。斯かる乾燥物は、表1で示したとおり、比表面積が実施例1よりも小さい吸水性組成物となった。
比較例2では、実施例3のセルロース誘導体を用いた点以外は、比較例1と同様の方法によって、吸水性組成物を得た。吸水性組成物を得る過程で作製したフィルム状の乾燥物の平均厚みは17.8μmであった。
【0051】
〔参考例〕
吸水性組成物として、ポリアクリル酸ナトリウム塩重合体を用いた。斯かる重合体は、花王株式会社2018年製メリーズパンツの吸水性ポリマーとして用いられている。
【0052】
各実施例、各比較例、及び参考例の吸水性組成物について、その比表面積、セルロース誘導体の1質量%水溶液の25℃における粘度、及び該セルロース誘導体のエーテル化度を、前述した測定方法により測定した。これら測定結果を下記表1に示す。また、混合溶液中の含有量に基づく、CNFの含有量C1とセルロース誘導体の含有量C2との比率(C1:C2)を、下記表1に示す。
【0053】
〔ゲル化の評価〕
20mL用のバイアル瓶(商品名「スクリュー瓶」、マルエム株式会社製)に、0.03gの吸水性組成物を入れ、さらに人工尿を所定量加えた。人工尿の組成は、尿素1.940質量%、塩化ナトリウム0.795質量%、硫酸マグネシウム0.111質量%、塩化カルシウム0.062質量%、硫酸カリウム0.198質量%、赤色2号(染料)0.005質量%、水(96.882質量%)及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(0.007質量%)であり、表面張力を53±1dyne/cm(23℃)に調整した。次いで、20mL用のバイアル瓶を、蓋を鉛直方向の上、底面を鉛直方向の下にした状態で、手で5秒間振とうさせてバイアル瓶の中身を十分混合させ、該中身がゲル化しているか否かを目視で確認した後、さらに手で振とうし続け、バイアル瓶の中身がゲル化しているか否かを10秒毎に目視で確認した。この目視確認では、バイアル瓶の蓋が鉛直方向の下、底面が鉛直方向の上になるように、バイアル瓶を上下逆に静置して、該バイアル瓶の中身の一部が30秒の間に底面から蓋側へ落下してこなかった場合を、「ゲル化した」と判断した。ゲル化が確認されたサンプルについて、液を注入してからゲル化するまでの時間から、バイアル瓶の中身が落下しないことを確認するために要した30秒を減算した時間を「ゲル化時間」として計測した。振とう開始から60分間経過してもゲル化しなかったものは、ゲル化しないと判断した。この評価及び計測を、吸水性組成物の自重に対する人工尿の量を17倍量、33倍量、50倍量、66倍量、80倍量(2.4g)にして順次行った。また、人工尿を加え、振とう開始から60分間経過してもゲル化しなかった場合、吸水性組成物の最大液保持量を測定した。具体的には、バイアル瓶を上下逆に静置した状態で、落下した該バイアル瓶の中身、即ち液だれをした液量を測定し、振とう前にバイアル瓶に加えた人工尿の量から、該液だれをした液量を減算して、これを吸水性組成物の最大液保持量とした。最大液保持量は、吸水性組成物の自重に対する比率(倍量)で示す。各サンプルのゲル化の有無、ゲル化時間、及び最大液保持量を下記表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1~4の吸水性組成物は、自重の33倍量以上の人工尿をゲル化することができた。即ち、実施例1~4の吸水性組成物は、自重の33倍量以上の水を吸収し且つ保持できた。これは、吸水性組成物中のCNFの水に対する分散性及び接触効率が高いことに起因すると考えられる。したがって、表1に示す結果
より、実施例1~4の吸水性組成物は、おむつ等の吸収性物品に用いられる吸収性材料として、十分な吸収性能を有し得ることが示された。また、実施例1~4の結果より、吸水性組成物の比表面積が高いほど、吸水性組成物の液保持性を向上させるのに有効であることが示された。さらに、吸水性組成物の比表面積が14m/g以上であると、参考例の吸水性ポリマーよりも高い液保持性を示す結果となった。
また、実施例2の吸水性組成物に対し、自重の80倍の水を加えてゲル化の有無を試験したところ、バイアル瓶の中身、即ち吸水性組成物と水との混合物がゾル状となり、該バイアル瓶を上下逆に静置するとその中身全体が落下した。実施例4の吸水性組成物についても、自重の50倍の水を加えた試験で同様の現象が見られた。これらのサンプルでは、吸水性組成物と水との混合物からの離水が観察されず、前記の液だれを測定することができなかった。表1における実施例2及び4の最大液保持量については、ゲル化の有無の試験にてゲル化が確認された水の量(自重の66倍量、自重の50倍量)を記載する。