(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/06 20060101AFI20241008BHJP
B65H 29/58 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B65H5/06 P
B65H29/58 B
(21)【出願番号】P 2020164300
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】氏家 英之
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-307892(JP,A)
【文献】特開2019-011146(JP,A)
【文献】特開2016-179873(JP,A)
【文献】特開平08-026541(JP,A)
【文献】特開2005-072894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
B65H 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の搬送経路において互いに対向して配置され、前記媒体をニップしつつ搬送する第1搬送部材及び第2搬送部材と、
前記第2搬送部材が取り付けられ前記第2搬送部材を前記第1搬送部材から離隔させる開放位置と、前記第2搬送部材を前記第1搬送部材に接近させる閉鎖位置とに開閉する開閉扉と、
前記搬送経路において前記媒体を支持する媒体支持部とを備え、
前記搬送経路は、湾曲部分を有し、
前記媒体支持部は、前記媒体に当接する当接部材を有し、
前記当接部材は、前記開閉扉が前記閉鎖位置にあるときには前記媒体に当接しても当該媒体が前記搬送経路上を搬送されることを妨げず、且つ、前記開閉扉が前記開放位置に開くことで前記第1搬送部材及び前記第2搬送部材によりニップされなくなり少なくとも一部が前記湾曲部分に位置する
前記媒体が前記搬送経路に沿って落下しないように、前記媒体を、対向する前記搬送経路との間に挟持する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記開閉扉は、前記開放位置において前記搬送経路を外部に開放し、前記閉鎖位置において前記搬送経路を閉鎖するものであり、
前記媒体支持部は、弾性体を有し、前記当接部材を前記弾性体に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送経路は、前記湾曲部分が設けられたスイッチバック経路を有し、
前記第1搬送部材及び前記第2搬送部材は、前記媒体を第1搬送方向にニップしつつ搬送するとともに、前記媒体をスイッチバックし第2搬送方向にニップしつつ搬送し、
前記湾曲部分は、前記第1搬送部材及び前記第2搬送部材により前記第1搬送方向から前記第2搬送方向へ搬送方向が切り替えられるスイッチバック位置における前記媒体の少なくとも一部を収容する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記当接部材は、前記媒体の進入方向とその反対方向の双方向に向かって、前記媒体の狭持領域に対する前記搬送経路とのガイド隙間が漸減する
ことを特徴とする請求項3記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送経路を外部に開放する開閉扉を備える搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等に用いられる搬送装置において用紙等の媒体に両面印刷を行うために、媒体の搬送経路に、媒体の表裏を反転させるための循環経路が設けられる。この循環経路には、媒体を一時停止させ、逆方向に媒体をニップしつつ搬送するスイッチバックローラ対が配置される。このスイッチバックローラ対の一方のスイッチバックローラは、ジャムの解除のために循環経路を開放可能な開閉扉に取り付けられることがある。
【0003】
この循環経路においてスイッチバックされる過程(スイッチバックの前後)で媒体にジャムが発生し、このジャムの解除のために上記の開閉扉が開くと、スイッチバックローラ対により媒体がニップされなくなる。
【0004】
このように、開閉扉が開くことによって媒体がニップされなくなると、媒体が自重で落下し、開閉扉から媒体を取り除くことができなくなることがある。
【0005】
ところで、従来、板バネ等の付勢部材が開閉扉に設けられ、開閉扉が開いた状態では付勢部材が媒体を挟持する搬送機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、付勢部材が開閉扉に設けられた上記の搬送機構では、媒体の搬送が行われる開閉扉の閉鎖時には、媒体の搬送の妨げにならないように付勢部材を退避させるための退避機構が必須となり、構造が複雑化してコストが上昇する。また、付勢部材を退避させずに常時挟持する形態とした場合、媒体の搬送の妨げにならないようにするために十分な挟持力が得られなかったり、付勢力を大きくして挟持力を強くしすぎると挟持力が媒体搬送を不安定にしてしまったりする問題がある。
【0008】
本発明の目的は、開閉扉が開くことで搬送部材により狭持されなくなる媒体を、簡素な構成で安定して搬送することができる搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、搬送装置は、媒体の搬送経路において互いに対向して配置され、前記媒体をニップしつつ搬送する第1搬送部材及び第2搬送部材と、前記第2搬送部材が取り付けられ前記第2搬送部材を前記第1搬送部材から離隔させる開放位置と、前記第2搬送部材を前記第1搬送部材に接近させる閉鎖位置とに開閉する開閉扉と、前記搬送経路において前記媒体を支持する媒体支持部とを備え、前記搬送経路は、湾曲部分を有し、前記媒体支持部は、前記媒体に当接する当接部材を有し、前記開閉扉が前記開放位置に開くことで前記第1搬送部材及び前記第2搬送部材によりニップされなくなり少なくとも一部が前記湾曲部分に位置する前記媒体を、対向する前記搬送経路との間に挟持する。
【発明の効果】
【0010】
前記態様によれば、開閉扉が開くことで搬送部材により狭持されなくなる媒体を、簡素な構成で安定して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施の形態に係る搬送装置が用いられた画像形成装置を示す構成図である。
【
図2】一実施の形態に係る搬送装置が用いられた画像形成装置を示す制御ブロック図である。
【
図3】一実施の形態に係る搬送装置が用いられた画像形成装置の循環搬送部を示す拡大図である。
【
図4】一実施の形態における閉鎖位置の開閉扉等を示す図である。
【
図5】一実施の形態における開放位置の開閉扉等を示す図である。
【
図6】一実施の形態における媒体支持部及び搬送ガイドを示す斜視図である。
【
図7】一実施の形態における媒体支持部及び一部の搬送ガイドを示す斜視図である。
【
図8】一実施の形態における媒体支持部を示す斜視図(その1)である。
【
図9】一実施の形態における媒体支持部を示す斜視図(その2)である。
【
図10】一実施の形態における媒体支持部を示す正面図である。
【
図11】一実施の形態における媒体支持部による用紙の狭持を説明するための説明図である。
【
図12】一実施の形態における用紙の挟持領域に対する送り量を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る搬送装置が用いられた画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、一実施の形態に係る搬送装置が用いられた画像形成装置1を示す構成図である。
【0014】
図2は、画像形成装置1を示す制御ブロック図である。
【0015】
図3は、画像形成装置1の循環搬送部6を示す拡大図である。
【0016】
以下の説明において、
図1における紙面の上下左右を上下左右方向とし、
図1の紙面に直交する方向を前後方向とする。また、以下の説明における上流及び下流は、搬送経路における上流及び下流を意味する。
【0017】
図1において、媒体の一例である用紙Pを搬送するための搬送経路を太線で示す。また、搬送経路のうち、印刷経路RPを実線で示し、循環経路RCを一点鎖線で示し、第1排紙経路RD1及び第2排紙経路RD2を破線で示し、外部給紙経路RS1及び内部給紙経路RS2を二点鎖線で示す。なお、媒体について用紙Pを一例として説明するが、媒体は、紙以外の素材からなる媒体や、封筒などの折り返し部分を有する媒体などであってもよい。
【0018】
図1及び
図2に示すように、画像形成装置1は、筐体2と、給紙部3と、ベルトプラテン搬送部4と、印刷部5と、循環搬送部6と、排紙部7と、操作パネル15と、制御部16とを備える。なお、給紙部3、ベルトプラテン搬送部4、循環搬送部6、及び排紙部7は、用紙P(媒体)を搬送する搬送部の一例として機能する。
【0019】
図1に示す筐体2は、画像形成装置1の各部を収容又は保持する。筐体2は、
図1に破線で示す前扉17を有する。この前扉17は、筐体2の前面を開閉する。前扉17を開くことにより、ユーザが画像形成装置1の内部にアクセスできる。
【0020】
給紙部3は、未印刷の用紙Pをベルトプラテン搬送部4に給紙する。また、給紙部3は、両面印刷時に片面印刷後の用紙Pをベルトプラテン搬送部4に再給紙する。給紙部3は、外部給紙台21と、外部給紙ローラ22と、第1及び第2内部給紙台23,24と、第1及び第2内部給紙ローラ25,26と、第1及び第2内部給紙モータ27,28と、第1~第3内部給紙搬送ローラ対29~31と、内部給紙搬送モータ32と、縦搬送ローラ対33と、縦搬送モータ34と、レジストローラ対35と、レジストモータ36と、用紙センサ37~40とを有する。
【0021】
外部給紙台21には、印刷に用いられる用紙Pが積載される。外部給紙台21は、一部が筐体2の外部に露出して設置されている。
【0022】
外部給紙ローラ22は、外部給紙台21に積層された用紙Pを1枚ずつ繰り出し、外部給紙経路RS1に沿ってレジストローラ対35へ向けて搬送する。
【0023】
第1及び第2内部給紙台23,24には、印刷に用いられる用紙Pが積載される。第1内部給紙台23の下方に第2内部給紙台24が配置されている。第1及び第2内部給紙台23,24は、筐体2の内部に配置されている。
【0024】
第1内部給紙ローラ25は、第1内部給紙台23に積層された用紙Pを1枚ずつ繰り出し、第1内部給紙搬送ローラ対29へ搬送する。第2内部給紙ローラ26は、第2内部給紙台24に積層された用紙Pを1枚ずつ繰り出し、第2内部給紙搬送ローラ対30へ搬送する。
【0025】
図2に示す第1内部給紙モータ27は、第1内部給紙ローラ25を駆動させ、第2内部給紙モータ28は、第2内部給紙ローラ26を駆動させる。
【0026】
図1に示す第1内部給紙搬送ローラ対29及び第2内部給紙搬送ローラ対30は、それぞれ第1内部給紙ローラ25又は第2内部給紙ローラ26により第1内部給紙台23又は第2内部給紙台24から繰り出された用紙Pを第3内部給紙搬送ローラ対31へ搬送する。第3内部給紙搬送ローラ対31は、第1内部給紙搬送ローラ対29又は第2内部給紙搬送ローラ対30により搬送されてきた用紙Pを縦搬送ローラ対33へ搬送する。第3内部給紙搬送ローラ対31は、内部給紙経路RS2の第1内部給紙ローラ25から延びる部分と第2内部給紙ローラ26から延びる部分との合流地点の下流側近傍に配置されている。
【0027】
第1内部給紙搬送ローラ対29、第2内部給紙搬送ローラ対30、及び第3内部給紙搬送ローラ対31は、用紙Pをニップしつつ搬送する。
【0028】
図2に示す内部給紙搬送モータ32は、第1~第3内部給紙搬送ローラ対29~31を駆動させる。
【0029】
図1に示す縦搬送ローラ対33は、内部給紙経路RS2に沿って第1~第3内部給紙搬送ローラ対29~31により搬送されてきた用紙Pをレジストローラ対35へ搬送する。また、縦搬送ローラ対33は、両面印刷時に循環経路RCに沿って搬送された片面印刷後の用紙Pをレジストローラ対35へ搬送する。縦搬送ローラ対33は、内部給紙経路RS2に循環経路RCが合流する地点の下流側において、内部給紙経路RS2に沿って配置されている。縦搬送ローラ対33は、用紙Pをニップしつつ搬送する。
【0030】
図2に示す縦搬送モータ34は、縦搬送ローラ対33を駆動させる。また、縦搬送モータ34は、外部給紙ローラ22を駆動させる。縦搬送モータ34は、縦搬送ローラ対33及び外部給紙ローラ22にそれぞれ図示しないワンウェイクラッチを介して接続されている。これにより、縦搬送モータ34の一方向の回転により縦搬送ローラ対33が駆動され、縦搬送モータ34の他方向の回転により外部給紙ローラ22が駆動されるようになっている。
【0031】
図1に示すレジストローラ対35は、外部給紙ローラ22又は縦搬送ローラ対33により搬送されてきた用紙Pを一旦止めて斜行補正した後、ベルトプラテン搬送部4へ搬送する。レジストローラ対35は、外部給紙経路RS1と内部給紙経路RS2との合流地点の下流側近傍の印刷経路RP上に配置されている。レジストローラ対35は、用紙Pをニップしつつ搬送する。
【0032】
図2に示すレジストモータ36は、レジストローラ対35を駆動させる。
【0033】
図1に示すように、用紙センサ37は、第1内部給紙台23から繰り出されて第3内部給紙搬送ローラ対31へ搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ37は、第1内部給紙搬送ローラ対29の下流側近傍に配置されている。用紙センサ38は、第2内部給紙台24から繰り出され、第3内部給紙搬送ローラ対31へ搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ38は、第2内部給紙搬送ローラ対30の下流側近傍に配置されている。用紙センサ39は、第3内部給紙搬送ローラ対31から縦搬送ローラ対33へ搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ39は、第3内部給紙搬送ローラ対31の下流側近傍に配置されている。
【0034】
用紙センサ40は、縦搬送ローラ対33からレジストローラ対35へ搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ40は、縦搬送ローラ対33の下流側近傍に配置されている。用紙センサ41は、外部給紙ローラ22又は縦搬送ローラ対33により搬送されてレジストローラ対35に進入する用紙Pを検出する。用紙センサ41は、レジストローラ対35の上流側近傍に配置されている。
【0035】
ベルトプラテン搬送部4は、給紙部2から搬送されてきた用紙Pを循環搬送部6又は排紙部7へ搬送する。ベルトプラテン搬送部4は、給紙部2の下流側に配置されている。ベルトプラテン搬送部4は、ベルトプラテン46と、ベルトプラテンモータ47と、用紙センサ48とを有する。
【0036】
ベルトプラテン46は、レジストローラ対35により搬送されてきた用紙Pをベルト上に吸着保持して搬送する。ベルトプラテン46は、後述する昇降駆動部52により昇降可能になっている。
【0037】
ベルトプラテンモータ47は、ベルトプラテン46のベルトを駆動させる。
【0038】
用紙センサ48は、レジストローラ対35からベルトプラテン46へ搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ48は、レジストローラ対35とベルトプラテン46の上流端との間に配置されている。
【0039】
印刷部5は、用紙Pに印刷を行う。本実施の形態では、印刷部5による印刷方式がインクジェット方式である例を説明するが、印刷方式は特に制限されない。
【0040】
印刷部5は、ベルトプラテン46の上方に配置されている。印刷部5は、ヘッドユニット51と、昇降駆動部52とを有する。
【0041】
ヘッドユニット51は、ベルトプラテン46により搬送される用紙Pにインクを吐出して画像を印刷する。ヘッドユニット51は、複数のインクジェットヘッド53と、ヘッドホルダ54とを有する。
【0042】
インクジェットヘッド53は、前後方向(主走査方向)に沿って配置された複数のノズルを有し、ノズルからインクを吐出する。複数のインクジェットヘッド53は、用紙Pの搬送方向(左右方向)に沿って並列配置されている。
【0043】
ヘッドホルダ54は、インクジェットヘッド53を保持する。ヘッドホルダ54は、筐体2内の所定位置に固定されている。
【0044】
昇降駆動部52は、ベルトプラテン46を昇降させる。昇降駆動部52は、ヘッドホルダ54内に配置されている。昇降駆動部52は、ワイヤ、プーリ、モータ等を有し、ワイヤによりベルトプラテン46を吊り下げ支持している。昇降駆動部52は、モータによりプーリを回転させてワイヤの巻き取り及び繰り出しを行うことで、ベルトプラテン46を昇降させる。
【0045】
図1~
図3に示す循環搬送部6は、両面印刷時に片面印刷後の用紙Pを、ベルトプラテン46の下流端から縦搬送ローラ対33へ循環経路RCに沿って搬送する。循環搬送部6は、第1及び第2中間搬送ローラ対56,57と、中間搬送モータ58と、スイッチバックローラ対59と、反転モータ60と、第1~第3水平搬送ローラ対61~63と、水平搬送モータ64と、上昇搬送ローラ対65と、上昇搬送モータ66と、用紙センサ67~70と、媒体支持部8と、搬送ガイド9,10,12,13と、開閉扉11とを有する。ここで、本実施の形態に係る搬送装置は、少なくとも、スイッチバックローラ対59と、開閉扉11と、媒体支持部8とを備える。また、搬送ガイド9,10,12,13は、媒体の搬送経路の一部を構成する。なお、
図3においては、
図1に示す用紙センサ67~70の図示を省略する。
【0046】
図1及び
図3に示す第1及び第2中間搬送ローラ対56,57は、両面印刷時に表面印刷後の用紙Pをスイッチバックローラ対59へ搬送する。第1及び第2中間搬送ローラ対56,57は、ベルトプラテン46とスイッチバックローラ対59との間の循環経路RCに沿って配置されている。
【0047】
第1中間搬送ローラ対56及び第2中間搬送ローラ対57は、用紙Pをニップしつつ搬送する。第2中間搬送ローラ対57は、第1中間搬送ローラ対56の下流側に配置されている。
【0048】
図2に示す中間搬送モータ58は、第1及び第2中間搬送ローラ対56,57を駆動させる。また、中間搬送モータ58は、後述する第1後処理排紙ローラ対75、並びに第1及び第2排紙台排紙ローラ対78,79を駆動させる。
【0049】
図3に示すように、スイッチバックローラ対59は、循環経路RCに沿って、第2中間搬送ローラ対57の第1搬送方向D1における下流側に配置されている。スイッチバックローラ対59は、後述する
図4及び
図5に一部のカバーを取り外して第2スイッチバックローラ59bを示すように、第1スイッチバックローラ59a及び第2スイッチバックローラ59bの対により構成され、用紙Pをニップしつつ搬送する。なお、第1スイッチバックローラ59a及び第2スイッチバックローラ59bは、用紙Pの搬送経路(本実施の形態では、循環経路RCのうち用紙Pを反転させるためのスイッチバック経路RCa)において互いに対向して配置され、用紙をニップしつつ搬送する第1搬送部材及び第2搬送部材の一例である。これらの第1搬送部材及び第2搬送部材は、ベルトなどのローラ以外の搬送部材であってもよい。
【0050】
図3に示すように、スイッチバックローラ対59は、循環経路RCのスイッチバック経路RCaにおいて、第2中間搬送ローラ対57により第1搬送方向D1に搬送されてきた用紙Pをスイッチバックし第2搬送方向D2に第1水平搬送ローラ対61へ搬送する。第2スイッチバックローラ59bは、後述する開閉扉11に取り付けられている。
【0051】
図2に示す反転モータ60は、スイッチバックローラ対59の第1スイッチバックローラ59aを駆動させる。
【0052】
図1及び
図3に示す第1~第3水平搬送ローラ対61~63は、スイッチバックローラ対59によりスイッチバックされた用紙Pを上昇搬送ローラ対65へ搬送する。第1~第3水平搬送ローラ対61~63は、スイッチバックローラ対59と循環経路RCの内部給紙経路RS2への合流地点との間における循環経路RCの上流部に沿って配置されている。
【0053】
第1水平搬送ローラ対61、第2水平搬送ローラ対62、及び第3水平搬送ローラ対63は、用紙Pをニップしつつ搬送する。第2水平搬送ローラ対62は、第1水平搬送ローラ対61の下流側に配置されている。第3水平搬送ローラ対63は、第2水平搬送ローラ対62の下流側に配置されている。
【0054】
図2に示す水平搬送モータ64は、第1及び第2水平搬送ローラ対61,62を駆動させる。なお、第3水平搬送ローラ対63は、上昇搬送モータ66により駆動される。
【0055】
図1及び
図3に示す上昇搬送ローラ対65は、第1~第3水平搬送ローラ対61~63により搬送されてきた用紙Pを縦搬送ローラ対33へ搬送する。上昇搬送ローラ対65は、スイッチバックローラ対59と循環経路RCの内部給紙経路RS2への合流地点との間における循環経路RCの下流部に沿って配置されている。上昇搬送ローラ対65は、用紙Pをニップしつつ搬送する。
【0056】
図2に示す上昇搬送モータ66は、上昇搬送ローラ対65及び第3水平搬送ローラ対63を駆動させる。
【0057】
図1に示すように、用紙センサ67,68は、第1及び第2中間搬送ローラ対56,57によりスイッチバックローラ対59へ搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ67,68は、それぞれ第1中間搬送ローラ対56、第2中間搬送ローラ対57の下流側近傍に配置されている。用紙センサ68,69は、スイッチバックローラ対59によるスイッチバック後、循環経路RCに沿って縦搬送ローラ対33へ搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ68,69は、それぞれ第1水平搬送ローラ対61、上昇搬送ローラ対65の下流側近傍に配置されている。
【0058】
図3に示す媒体支持部8、搬送ガイド9,10,12,13、及び開閉扉11については後述する。
【0059】
図1及び
図2に示す排紙部7は、印刷済みの用紙Pを排紙する。排紙部7は、切替部71,72と、ソレノイド73,74と、第1及び第2後処理排紙ローラ対75,76と、後処理排紙モータ77と、第1~第3排紙台排紙ローラ対78~80と、排紙台排紙モータ81と、用紙センサ82~85と、排紙台86とを有する。
【0060】
図1に示す切替部71は、用紙Pの搬送経路を第1排紙経路RD1と循環経路RCとの間で切り替える。第1排紙経路RD1は、印刷経路RPの下流端から、画像形成装置1の右側に配置された後処理装置(図示せず)へ向かって延びる経路である。切替部71は、第1排紙経路RD1と循環経路RCとの分岐地点に配置されている。
【0061】
切替部72は、用紙Pの搬送経路を第1排紙経路RD1と第2排紙経路RD2との間で切り替える。第2排紙経路RD2は、第1排紙経路RD1と循環経路RCとの分岐地点の下流側において、第1排紙経路RD1から分岐して排紙台86へ向かう経路である。切替部72は、第2排紙経路RD2が第1排紙経路RD1から分岐する分岐地点に配置されている。
【0062】
図2に示すソレノイド73,74は、それぞれ切替部71,72を駆動させる。
【0063】
図1に示す第1及び第2後処理排紙ローラ対75,76は、ベルトプラテン46から搬送されてくる用紙Pを後処理装置へ排紙する。第1及び第2後処理排紙ローラ対75,76は、第1排紙経路RD1に沿って配置されている。
【0064】
第1後処理排紙ローラ対75及び第2後処理排紙ローラ対76は、用紙Pをニップしつつ搬送する。第2後処理排紙ローラ対76は、第1後処理排紙ローラ対75の下流側に配置されている。
【0065】
図2に示す後処理排紙モータ77は、第2後処理排紙ローラ対76を駆動させる。なお、第1後処理排紙ローラ対75は、中間搬送モータ58により駆動される。
【0066】
図1に示す第1~第3排紙台排紙ローラ対78~80は、ベルトプラテン46から搬送されてくる用紙Pを排紙台86へ排紙する。第1~第3排紙台排紙ローラ対78~80は、第2排紙経路RD2に沿って配置されている。
【0067】
第1排紙台排紙ローラ対78、第2排紙台排紙ローラ対79、及び第3排紙台排紙ローラ対80は、用紙Pをニップしつつ搬送する。第2排紙台排紙ローラ対79は、第1排紙台排紙ローラ対78の下流側に配置されている。第3排紙台排紙ローラ対80は、第2排紙台排紙ローラ対79の下流側に配置されている。
【0068】
図2に示す排紙台排紙モータ81は、第3排紙台排紙ローラ対80を駆動させる。なお、第1及び第2排紙台排紙ローラ対78,79は、中間搬送モータ58により駆動される。
【0069】
図1に示すように、用紙センサ82は、第1排紙経路RD1に沿って搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ82は、第1後処理排紙ローラ対75の下流側近傍に配置されている。用紙センサ83~85は、第2排紙経路RD2に沿って搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ83は、第2排紙経路RD2の第1排紙経路RD1からの分岐地点と第1排紙台排紙ローラ対78との間に配置されている。用紙センサ84は、第2排紙台排紙ローラ対79の下流側近傍に配置されている。用紙センサ85は、第3排紙台排紙ローラ対80の上流側近傍に配置されている。
【0070】
排紙台86には、第1~第3排紙台排紙ローラ対78~80により排紙された用紙Pが積載される。排紙台86は、第2排紙経路RD2の下流端に配置されている。
【0071】
操作パネル15は、各種の入力画面等を表示するとともに、ユーザによる入力操作を受け付ける。操作パネル15は、表示部91と、入力部92とを有する。
【0072】
表示部91は、例えば液晶表示パネルを有し、各種の入力画面等を表示する。
【0073】
入力部92は、ユーザによる入力操作を受け付け、操作に応じた操作信号を出力する。入力部92は、各種の操作キー、タッチパネル等を有する。
【0074】
制御部16は、演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶部(例えばメモリ)を有し、画像形成装置1全体の動作を制御する。
【0075】
図4は、閉鎖位置C1の開閉扉11等を示す図である。
【0076】
図5は、開放位置C2の開閉扉11等を示す図である。
【0077】
図6は、媒体支持部8及び搬送ガイド9,10,12,13を示す斜視図である。
【0078】
図7は、媒体支持部8及び一部の搬送ガイド9,12を示す斜視図である。
【0079】
【0080】
【0081】
なお、
図6においては、搬送ガイド10を透明に表すことによって、搬送ガイド10で隠れて表れなくなる媒体支持部8の一部などを透視的に示している。
【0082】
図8~
図10に示すように、媒体支持部8は、当接部材8aと、弾性体8bとを有する。
図6及び
図7に示すように、媒体支持部8は、前後方向に2つ並んで配置されている。なお、媒体支持部8の数は、1つ以上の任意の数とすることができる。
【0083】
当接部材8aは、弾性体8bに取り付けられ、用紙Pに当接する。当接部材8aは、例えば、プラスチック等の非弾性体である。また、当接部材8aは、
図4及び
図5に示すように、進入方向(第1搬送方向D1)及び搬送ガイド10に垂直な方向の厚さ(左右方向の厚さ)が、進入方向に進むにつれて漸増した後、漸減するブロック状を呈する。或いは、当接部材8aは、用紙Pの摺動による摩耗が進むにつれて用紙Pとの接触面積が増加する形状を呈する。例えば、当接部材8aは、
図4及び
図5の正面視において1辺が上下方向に平行で反対側の右端である先端(正面視における頂点)が搬送ガイド10側に位置する三角柱形状を呈する。また、当接部材8aの先端は、丸みを帯びて曲面部分となっている。当接部材8aは、三角柱形状を呈することによって、後述する
図11に示すように、搬送ガイド10との押さえ点である狭持領域A(
図12参照)に対するガイド隙間が用紙Pの進入方向(第1搬送方向D1)に向かって漸減する(角度θ1)ように案内面を構成するとよい。また、当接部材8aは、搬送ガイド10との狭持領域Aに対するガイド隙間が進入方向とは反対方向(第2搬送方向D2)に向かっても漸減する(角度θ2)ように案内面を構成するとよい。これらの角度θ1,θ2は、用紙Pに対して45度以下、より望ましくは30度以下であるとよい。すなわち、当接部材8aは、用紙Pの進入方向(第1搬送方向D1)とその反対方向の双方向に向かって、狭持領域Aに対する搬送経路(スイッチバック経路RCa)とのガイド隙間が漸減する。なお、当接部材8aは、従動コロ等であってもよい。
【0084】
弾性体8bは、例えば板バネであり、下部の右側面に当接部材8aが取り付けられている。また、弾性体8bは、上部右側面において、例えば接着によって搬送ガイド9の左側面に固定されている。
【0085】
図4~
図6に示すように、搬送ガイド9,10,12,13のうち搬送ガイド9,12,13は、スイッチバック経路RCaの左側において、第1搬送方向D1の上流から搬送ガイド12、搬送ガイド9、搬送ガイド13の順に配置され、搬送ガイド10は、スイッチバック経路RCaの右側において搬送ガイド9及び搬送ガイド13に対向するように配置されている。
【0086】
搬送ガイド9は、2つの当接部材8aを貫通させるための2つの矩形の開口部9aが前後方向に並んで設けられている。
【0087】
搬送ガイド10は、第1搬送方向D1に向かって、鉛直下方から水平に湾曲する湾曲部分10aを有する。これにより、用紙Pの搬送経路(循環経路RCのスイッチバック経路RCa)も湾曲部分10aを有するといえる。この湾曲部分10aは、第1スイッチバックローラ59a及び第2スイッチバックローラ59bにより第1搬送方向D1から第2搬送方向D2へ搬送方向が切り替えられるスイッチバック位置における用紙Pの少なくとも一部を収容する。なお、上述の媒体支持部8(当接部材8a)は、湾曲部分10aにおいて、用紙Pを搬送ガイド10との間に狭持する。
【0088】
搬送ガイド12は、第1搬送方向D1に向かって、水平方向から鉛直下方に湾曲する。
【0089】
搬送ガイド13は、スイッチバック経路RCaの奥である水平部分において搬送ガイド10に対向するように配置されている。なお、
図4~
図6においては、搬送ガイド13と搬送ガイド9との間に大きな隙間が設けられているが、この隙間にも搬送ガイドが配置されていてもよい。
【0090】
図4及び
図5に示す開閉扉11は、例えば、用紙Pのジャム発生後におけるジャム解除の作業のために、ユーザがスイッチバック経路RCaを含む循環経路RCにアクセスするための扉であり、ユーザの手動で又は自動で開閉される。また、開閉扉11には、上述のように第2スイッチバックローラ59bが取り付けられている。これにより、開閉扉11は、
図5に示す開放位置C2に開いたとき、スイッチバック経路RCaを筐体2或いは画像形成装置1の外部に開放し、第2スイッチバックローラ59bを第1スイッチバックローラ59aから離隔させる。また、開閉扉11は、
図4に示す閉鎖位置C1に閉じたとき、スイッチバック経路RCaを閉鎖し、第2スイッチバックローラ59bを第1スイッチバックローラ59aに接近させることで、スイッチバックローラ対59を、用紙Pをニップ可能な状態に遷移させる。
【0091】
なお、開閉扉11は、
図4に示すように閉鎖位置C1において鉛直状態となり、スイッチバック経路RCaを閉鎖する。また、開閉扉11は、一例ではあるが、下端の回転軸部を回転中心として水平になるまで時計回りに回転し、
図5に示すように開放位置C2において水平状態となる。
【0092】
媒体支持部8は、第1搬送方向D1におけるスイッチバックローラ対59の下流側に配置され、開閉扉11が開放位置C2に開くことでスイッチバックローラ対59によりニップされなくなる用紙Pを、搬送ガイド10との間に狭持する。媒体支持部8は、開閉扉11が閉鎖位置C1及び開放位置C2のどちらにあるときにも用紙Pを搬送ガイド10との間に挟持する。すなわち、媒体支持部8は、常に搬送ガイド10との間に用紙Pを挟持可能な状態といえる。但し、媒体支持部8は、例えば開閉扉11に設けられ、開閉扉11が開放位置C2に移動する動作に連動して、搬送ガイド10との間に用紙Pを狭持する位置に移動してもよい。
【0093】
また、媒体支持部8は、上述のようにスイッチバック経路RCa(搬送ガイド10)の湾曲部分10aにおいて用紙Pを搬送ガイド10との間に狭持するため、媒体支持部8及び搬送ガイド10によって狭持される用紙Pは、少なくとも一部が湾曲部分10aに位置するといえる。なお、媒体支持部8が湾曲部分10aよりも第1搬送方向D1の上流側において用紙Pを狭持する場合であっても、画像形成装置1において用いられる最大サイズの用紙Pの長さ分未満だけ湾曲部分10aと離れていれば、媒体支持部8は、湾曲部分10aに一部が位置する用紙Pを搬送ガイド10との間に狭持することができる。なお、媒体支持部8は、望ましくは第1搬送方向D1における半分以上、より望ましくは3分の2以上の長さ湾曲部分10aに位置する用紙Pを搬送ガイド10との間に挟持する位置に配置されているとよい。
【0094】
湾曲部分10aは、スイッチバックローラ対59により第1搬送方向D1から第2搬送方向D2へ搬送方向が切り替えられるスイッチバック位置における用紙Pの少なくとも一部を収容する。但し、媒体支持部8によって搬送ガイド10との間に狭持されるときに用紙Pの少なくとも一部が位置する湾曲部分10aとしては、スイッチバック経路RCa以外の搬送経路に設けられたものであってもよい。
【0095】
以下、画像形成装置1における印刷動作について説明する。
【0096】
図1及び
図2に示す制御部16は、印刷ジョブが入力されると、用紙Pの給紙、搬送、及び排紙を行うよう給紙部3、ベルトプラテン搬送部4、循環搬送部6、及び排紙部7を制御する。また、制御部16は、印刷ジョブに含まれる画像データに所定の画像処理を施した後、画像処理を施した画像データに基づき、ベルトプラテン46により搬送される用紙Pにインクを吐出して画像を印刷するようヘッドユニット51のインクジェットヘッド53を制御する。
【0097】
ここで、片面印刷の場合、
図1に示すように、給紙部3において、外部給紙台21並びに第1及び第2内部給紙台23,24のいずれかから未印刷の用紙Pが順次繰り出され、ベルトプラテン46において所定の紙間で各用紙Pが搬送されるようなタイミングで順次給紙される。給紙された用紙Pは、ベルトプラテン46において所定の印刷搬送速度で搬送されつつ、インクジェットヘッド53から吐出されるインクにより印刷される。印刷された用紙Pは、排紙部7により排紙される。
【0098】
排紙先が後処理装置である場合、印刷済みの用紙Pは、切替部71,72により第1排紙経路RD1へ導かれる。そして、用紙Pは、第1及び第2後処理排紙ローラ対75,76により後処理装置へ排紙される。排紙先が排紙台86である場合、印刷済みの用紙Pは、切替部71,72により第2排紙経路RD2へ導かれる。そして、用紙Pは、第1~第3排紙台排紙ローラ対78~80により排紙台86へ排紙される。
【0099】
両面印刷の場合、給紙部3により、片面印刷時の給紙タイミングに対して、各用紙Pの給紙タイミング間の時間が2倍となるタイミングで未印刷の用紙Pが順次給紙される。給紙された用紙Pは、片面印刷時と同様に、ベルトプラテン46により搬送されつつ印刷される。
【0100】
片面印刷後の用紙Pは、切替部71により循環経路RCに導かれ、第1及び第2中間搬送ローラ対56,57によりスイッチバックローラ対59へ搬送される。スイッチバックローラ対59に到達すると、用紙Pは、スイッチバックローラ対59によりスイッチバックされる。この用紙Pの搬送中において、媒体支持部8は、上述のように搬送ガイド10との間に用紙Pを挟持している。
【0101】
次いで、用紙Pは、第1~第3水平搬送ローラ対61~63及び上昇搬送ローラ対65により縦搬送ローラ対33へ搬送される。そして、用紙Pは、縦搬送ローラ対33及びレジストローラ対35によりベルトプラテン46に再給紙される。
【0102】
ここで、片面印刷後の用紙Pは、順次給紙される未印刷の用紙Pと交互にベルトプラテン46に送られるようなタイミングで再給紙される。上述のように、両面印刷では、片面印刷の場合の給紙タイミングに対して、各用紙Pの給紙タイミング間の時間が2倍である。このため、未印刷の用紙Pの間に片面印刷後の用紙Pを挿入し、未印刷の用紙Pの給紙と交互に片面印刷後の用紙Pを再給紙することが可能になっている。
【0103】
片面印刷後の用紙Pは、スイッチバックローラ対59によりスイッチバックされた後、未印刷面を上向きにしてベルトプラテン46へ送られる。片面印刷後の用紙Pは、ベルトプラテン46により搬送されつつ未印刷面に印刷される。そして、両面印刷済みの用紙Pは、排紙部7により後処理装置又は排紙台86へ排紙される。
【0104】
上述のように、両面印刷では、未印刷の用紙Pの給紙と交互に片面印刷後の用紙Pの再給紙が行われることで、ベルトプラテン46上で、未印刷の用紙Pの一方の面への印刷と、片面印刷後の用紙Pの未印刷面への印刷とが交互に行われる。これにより、片面印刷時と同等の片面あたりの生産性で両面印刷が行われる。
【0105】
搬送経路において用紙Pのジャムが発生したことは、用紙センサ37~40,48,67~70,82~85の少なくともいずれかにおいて、用紙Pの検出タイミングとその理論値との誤差が閾値以上となった場合、制御部16が、ジャムが発生したと判断する。
【0106】
用紙Pがスイッチバック経路RCaにおいてスイッチバックされる過程でジャムが発生した場合では、制御部16は、特に用紙センサ68,69による用紙Pの検出タイミングに基づき、開閉扉11によって開放される領域に用紙Pがあるか否かを判断することができる。
【0107】
そして、制御部16は、用紙Pの搬送を停止させる。具体的には、制御部16は、給紙部3、ベルトプラテン搬送部4、循環搬送部6、及び排紙部7の動作を停止させる。
【0108】
用紙Pの搬送が停止すると、制御部16は、ジャム解除画面(図示せず)を表示部91に表示させる。ジャム解除画面は、搬送経路上に残留している用紙Pを除去するようユーザに通知する画面である。ジャム解除画面により、ユーザは、開閉扉11や他の部位に配置される開閉扉のうち必要なものを開いて用紙Pを除去するよう指示される。ユーザは、ジャム解除画面を見て、搬送経路上に残留している用紙Pを除去するジャム解除の作業を行う。
【0109】
ここで、ジャム発生時点において、スイッチバックローラ対59によってニップされている用紙Pがある場合、
図5に示すように開閉扉11が開放位置C2に開くと、用紙Pは、スイッチバックローラ対59によるニップが解除される。しかし、用紙Pは、媒体支持部8及び搬送ガイド10によって狭持された状態で搬送されているため、そのまま媒体支持部8及び搬送ガイド10によって狭持される。したがって、用紙Pは、スイッチバック経路RCaに沿って落下しない。このときの用紙Pの狭持について、
図11及び
図12を参照しながら説明する。
【0110】
図11は、媒体支持部8による用紙Pの狭持を説明するための説明図である。
【0111】
図12は、用紙Pの挟持領域Aに対する送り量を説明するための説明図である。
【0112】
上述のように、開閉扉11が
図4に示す閉鎖位置C1にあるときにも常に媒体支持部8及び搬送ガイド10によって用紙Pを狭持する態様では、
図11に示す媒体支持部8及び搬送ガイド10が用紙Pを狭持する狭持力が強すぎると、媒体支持部8の当接部材8aが摩耗したり、用紙Pの破損や搬送抵抗が生じたりする。一方、狭持力が弱いと、開閉扉11が
図5に示す開放位置C2にあるときに、用紙Pが落下するおそれがある。
【0113】
この点、本実施の形態では、媒体支持部8が搬送ガイド10との間に狭持している用紙Pは、少なくとも一部が湾曲部分10aに位置するため、例えば坪量1平方メートル当たり60グラム以上のコシのある厚紙である場合、湾曲部10aにおいて湾曲した状態から平面状態に戻ろうとする曲げこわさ(曲げ強度)による反発力が強く働き、用紙Pが湾曲部分10aに押し付けられることで摩擦が強くなり、弱い狭持力でも用紙Pの落下が抑制される。この反発力は、湾曲部分10aの曲率半径が小さいほど或いは用紙Pが湾曲部分10aに位置する領域が広いほど、強めることができる。
【0114】
また、例えば坪量1平方メートル当たり60グラム未満のコシが弱い普通紙や薄紙である場合、湾曲部10aにおいて湾曲した状態から平面状態に戻ろうとする上記の反発力は相対的に弱まるが、用紙Pの重量が相対的に小さいため、弱い狭持力でも用紙Pの落下が抑制される。
【0115】
ところで、媒体支持部8及び搬送ガイド10がスイッチバック経路RCaへの進入方向である第1搬送方向D1における用紙Pの上流側部分を狭持し(
図12に示す挟持領域A参照)、用紙Pの全体が湾曲部分10aに位置する場合、
図12の左図のように用紙Pの短手方向が第1搬送方向D1に平行であると、用紙Pの挟持領域Aからの送り量が小さく湾曲部分10aに位置する領域が狭くなる。一方、
図12の右図のように用紙Pの長手方向が第1搬送方向D1に平行であると、用紙Pの挟持領域Aからの送り量が大きく湾曲部分10aに位置する領域が広くなる。
【0116】
このように用紙Pが媒体支持部8及び搬送ガイド10によって狭持されているとき、用紙Pが湾曲部分10aに位置する領域が広いほど、湾曲部10aにおいて湾曲した状態から平面状態に戻ろうとする上記の反発力が強くなる。
【0117】
以上説明した本実施の形態では、搬送装置は、第1スイッチバックローラ59a(第1搬送部材の一例)及び第2スイッチバックローラ59b(第2搬送部材の一例)と、開閉扉11と、媒体支持部8とを備える。スイッチバックローラ対59(第1スイッチバックローラ59a及び第2スイッチバックローラ59b)は、用紙P(媒体の一例)のスイッチバック経路RCa(搬送経路の一例)において互いに対向して配置され、用紙Pをニップしつつ搬送する。開閉扉11は、第2スイッチバックローラ59bが取り付けられ第2スイッチバックローラ59bを第1スイッチバックローラ59aから離隔させる開放位置C2と、第2スイッチバックローラ59bを第1スイッチバックローラ59aに接近させる閉鎖位置C1に開閉する。媒体支持部8は、搬送経路(スイッチバック経路RCa)において用紙Pを支持する。スイッチバック経路RCaは、湾曲部分10aを有する。媒体支持部8は、用紙Pに当接する当接部材8aを有し、開閉扉11が開放位置C2に開くことでスイッチバックローラ対59によりニップされなくなり少なくとも一部が湾曲部分10aに位置する用紙Pを、対向する搬送ガイド10(搬送経路の一例)との間に挟持する。例えば、開閉扉11は、開放位置C2においてスイッチバック経路RCaを外部に開放し、閉鎖位置C1においてスイッチバック経路RCaを閉鎖するものであり、媒体支持部8は、弾性体8bを有し、当接部材8aを弾性体8bに取り付けたものである。
【0118】
そのため、開閉扉11が開放位置C2に開くことで用紙Pが第1スイッチバックローラ59a及び第2スイッチバックローラ59bによってニップされなくなっても、用紙Pが湾曲部10aにおいて湾曲した状態から平面状態に戻ろうとする曲げこわさ(曲げ強度)による反発力が働き、用紙Pが湾曲部分10aに押し付けられる。そのため、媒体支持部8と搬送ガイド10とによる狭持力が弱くても、用紙Pを狭持し、用紙Pが開閉扉11から取り除くことができない位置まで落下するのを抑制することができる。したがって、媒体支持部8と搬送ガイド10とによる狭持力を強めた場合に生じる、媒体支持部8(当接部材8a)の摩耗や、用紙Pの破損や搬送抵抗の増大などを抑制することができる。また、弾性体8bが用紙Pに当接する態様と比較して、耐摩耗性を持たせた進退両方向に案内性の良い専用の当接部材8aを設置することができるため、弱い狭持力との相乗効果で当接部材8aの摩耗を防止したり、封筒などの折り返し部分を有するジャムが発生した媒体を取り除く際に媒体が当接部材8aに引っ掛かるのを防止したりしやすくすることもできる。更には、媒体支持部8と搬送ガイド10とが弱い狭持力で用紙Pを狭持することができるため、用紙Pの搬送中も媒体支持部8を退避させずに用紙Pを狭持する構成を採用することができる。この構成を採用する場合には、開閉扉11が閉鎖位置C1に位置する際に媒体支持部8を退避させる退避機構を省略し、構造の複雑化ひいてはコスト上昇を抑制することができる。
【0119】
以上より、本実施の形態によれば、開閉扉11が開くことでスイッチバックローラ対59(搬送部材)により狭持されなくなる用紙P(媒体)を、簡素な構成で安定して搬送することができる。
【0120】
また、本実施の形態では、用紙Pの搬送経路は、湾曲部分10aが設けられたスイッチバック経路RCaを有し、スイッチバックローラ対59は、用紙Pを第1搬送方向D1にニップしつつ搬送するとともに、用紙Pをスイッチバックし第2搬送方向D2にニップしつつ搬送する。湾曲部分10aは、スイッチバックローラ対59により第1搬送方向D1から第2搬送方向D2へ搬送方向が切り替えられるスイッチバック位置における用紙Pの少なくとも一部を収容する。
【0121】
これにより、ジャムが発生しやすいスイッチバック経路RCaにおいて、ジャム解除を円滑に行うことができる。
【0122】
また、本実施の形態では、媒体支持部8は、湾曲部分10aにおいて、用紙Pを搬送ガイド10との間に挟持する。
【0123】
これにより、媒体支持部8及び搬送ガイド10(搬送経路の一部)によって挟持される用紙Pのうち湾曲部分10aに位置する領域を広くすることができるため、用紙Pが湾曲部10aにおいて湾曲した状態から平面状態に戻ろうとする曲げこわさ(曲げ強度)による反発力をより高めることができる。したがって、媒体支持部8及び搬送ガイド10による狭持力をより一層弱めることができる。
【0124】
また、本実施の形態では、当接部材8aは、用紙Pの進入方向(第1搬送方向D1)とその反対方向(第2搬送方向D2)の双方向に向かって、用紙Pの狭持領域Aに対する搬送ガイド10(搬送経路の一例)とのガイド隙間が漸減する。
【0125】
そのため、第2搬送方向D2に向かってガイド隙間が漸減することで、封筒などの折り返し部分を有する媒体を取り除く際に媒体が当接部材8aに引っ掛かるのを抑制することができ、且つ、第1搬送方向D1に向かってガイド隙間が漸減することで、用紙Pが搬送中に当接部材8aに引っ掛かるのを抑制することができる。
【0126】
また、本実施の形態では、当接部材8aは、搬送ガイド10及び進入方向(第1搬送方向D1)に垂直な方向の厚さが、進入方向に進むにつれて漸増した後、漸減するブロック状を呈する。或いは、当接部材8aは、用紙Pの摺動による摩耗が進むにつれて用紙Pとの接触面積が増加する形状を呈する。
【0127】
これにより、当接部材8aの摩耗が進むにつれ、当接部材8aの用紙Pとの当接面積が増えるため、厚み方向の摩耗速度が相対的に遅くなることで媒体支持部8及び搬送ガイド10による用紙Pの狭持力が低下するのを抑制することができる。
【0128】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0129】
[付記1]
媒体の搬送経路において互いに対向して配置され、前記媒体をニップしつつ搬送する第1搬送部材及び第2搬送部材と、
前記第2搬送部材が取り付けられ前記第2搬送部材を前記第1搬送部材から離隔させる開放位置と、前記第2搬送部材を前記第1搬送部材に接近させる閉鎖位置とに開閉する開閉扉と、
前記搬送経路において前記媒体を支持する媒体支持部とを備え、
前記搬送経路は、湾曲部分を有し、
前記媒体支持部は、前記媒体に当接する当接部材を有し、前記開閉扉が前記開放位置に開くことで前記第1搬送部材及び前記第2搬送部材によりニップされなくなり少なくとも一部が前記湾曲部分に位置する前記媒体を、対向する前記搬送経路との間に挟持する
ことを特徴とする搬送装置。
【0130】
[付記2]
前記開閉扉は、前記開放位置において前記搬送経路を外部に開放し、前記閉鎖位置において前記搬送経路を閉鎖するものであり、
前記媒体支持部は、弾性体を有し、前記当接部材を前記弾性体に取り付けたことを特徴とする付記1記載の搬送装置。
【0131】
[付記3]
前記搬送経路は、前記湾曲部分が設けられたスイッチバック経路を有し、
前記第1搬送部材及び前記第2搬送部材は、前記媒体を第1搬送方向にニップしつつ搬送するとともに、前記媒体をスイッチバックし第2搬送方向にニップしつつ搬送し、
前記湾曲部分は、前記第1搬送部材及び前記第2搬送部材により前記第1搬送方向から前記第2搬送方向へ搬送方向が切り替えられるスイッチバック位置における前記媒体の少なくとも一部を収容する
ことを特徴とする付記1又は2記載の搬送装置。
【0132】
[付記4]
前記当接部材は、前記媒体の進入方向とその反対方向の双方向に向かって、前記媒体の狭持領域に対する前記搬送経路とのガイド隙間が漸減する
ことを特徴とする付記3記載の搬送装置。
【符号の説明】
【0133】
1 画像形成装置
6 循環搬送部
8 媒体支持部
8a 当接部材
8b 弾性体
9,10,12,13 搬送ガイド
9a 開口部
10b 湾曲部分
11 開閉扉
59 スイッチバックローラ対
59a 第1スイッチバックローラ
59b 第2スイッチバックローラ
A 挟持領域
C1 閉鎖位置
C2 開放位置
D1 第1搬送方向
D2 第2搬送方向
RC 循環経路
RCa スイッチバック経路