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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ごみ焼却施設
(51)【国際特許分類】
   G01N 22/04 20060101AFI20241008BHJP
   F23G 5/50 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G01N22/04 Z
F23G5/50 Q ZAB
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020184120
(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公開番号】P2022074241
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 滋敏
(72)【発明者】
【氏名】藤平 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】宍田 健一
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-178844(JP,A)
【文献】特開2015-161597(JP,A)
【文献】特開2003-083507(JP,A)
【文献】特開2019-178847(JP,A)
【文献】特開2017-180963(JP,A)
【文献】特開2019-178850(JP,A)
【文献】特開2006-118853(JP,A)
【文献】特開平08-219428(JP,A)
【文献】特開昭51-115896(JP,A)
【文献】特開昭61-017051(JP,A)
【文献】特開平08-233242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N22/00-G01N22/04
F23G 5/00
F23G 5/40-F23G 5/42
F23G 5/50
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパを介して燃焼室に供給されたごみを燃焼するように構成される焼却炉を備えたごみ焼却施設であって、
前記焼却炉は、前記燃焼室内への再循環排ガスの供給量を調節する再循環排ガス用ダンパを有し、
非接触式水分計を含み、前記ホッパ内のごみの水分率を計測するホッパごみ水分率計測手段と、
前記ホッパごみ水分率計測手段によって計測される水分率に応じて、前記再循環排ガス用ダンパによる前記燃焼室内への再循環排ガスの供給量を調整する燃焼状態制御手段と、
を備え、
前記非接触式水分計は、
前記ホッパ内のごみに照射するためのマイクロ波を発信するマイクロ波発信部と、
前記ホッパ内のごみに照射されて当該ごみを通過したマイクロ波を受信するマイクロ波受信部と、
前記発信・受信されたマイクロ波の振幅変化と位相差との比に基づいて前記ホッパ内のごみの水分率を算出するホッパごみ水分率算出部と、
を備え、
前記燃焼状態制御手段は、前記ホッパごみ水分率算出部によって算出されたごみの水分率から、ごみの発熱量の増加傾向を予測した場合、前記焼却炉内の温度下降させて過剰燃焼を抑制するように前記燃焼室内への再循環排ガスの供給量を調整するごみ焼却施設。
【請求項2】
ホッパを介して燃焼室に供給されたごみを燃焼するように構成される焼却炉を備えたごみ焼却施設であって、
前記焼却炉は、前記燃焼室内への再循環排ガスの供給量を調節する再循環排ガス用ダンパを有し、
非接触式水分計を含み、前記ホッパ内のごみの水分率を計測するホッパごみ水分率計測手段と、
前記ホッパごみ水分率計測手段によって計測される水分率に応じて、前記再循環排ガス用ダンパによる前記燃焼室内への再循環排ガスの供給量を調整する燃焼状態制御手段と、
を備え、
前記非接触式水分計は、
前記ホッパ内のごみに照射するためのマイクロ波を発信するとともに、当該ごみを透過し、且つ反射したマイクロ波を受信するマイクロ波発信・受信部と、
前記発信・受信されたマイクロ波の振幅変化と位相差との比に基づいて前記ホッパ内のごみの水分率を算出するホッパごみ水分率算出部と、
を備え、
前記燃焼状態制御手段は、前記ホッパごみ水分率算出部によって算出されたごみの水分率から、ごみの発熱量の増加傾向を予測した場合、前記焼却炉内の温度下降させて過剰燃焼を抑制するように前記燃焼室内への再循環排ガスの供給量を調整するごみ焼却施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみの水分率を計測する非接触式水分計、及び当該非接触式水分計を備えるごみ焼却施設に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ焼却施設において、燃焼運転の安定性を乱す大きな要因として、焼却炉で燃焼されるごみの性状が一定でないということが挙げられる。ごみの性状が一定でない場合、ごみの発熱量が変動し、燃焼が不安定になる。ごみの性状のうち、発熱量を大きく左右する因子は、ごみの水分率である。そこで、焼却炉で燃焼される前のごみの水分率を計測し、計測した水分率に応じて燃焼制御を行えば、燃焼運転が安定化することになる。
【0003】
特許文献1には、廃棄物を燃焼室へ落下供給するシュートにおいて、減衰式のマイクロ波透過式水分率計、又は位相式のマイクロ波透過式水分率計によって、ごみの水分率を計測する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-178844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で開示されている減衰式や位相式のマイクロ波透過式水分率計では、シュート内のごみの体積充填率(ごみと空気等との混合率)が変動した場合、計測値が変化してしまい、ごみの水分率を精度良く計測することができないという問題がある。ごみ焼却施設において、より安定した燃焼制御を実現するためには、ごみの体積充填率の変動に影響されずに、ごみの水分率を精度良く計測することが求められる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ごみの体積充填率の変動に影響されずに、ごみの水分率を精度良く計測することができる非接触式水分計、及び当該非接触式水分計を備えたごみ焼却施設を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係る非接触式水分計の特徴構成は、
燃焼室にごみを供給する給じん装置にごみを送り込むためのホッパに配設され、前記ホッパ内のごみの水分率を計測する非接触式水分計であって、
前記ホッパ内のごみに照射するためのマイクロ波を発信するマイクロ波発信部と、
前記ホッパ内のごみに照射されて当該ごみを通過したマイクロ波を受信するマイクロ波受信部と、
前記発信・受信されたマイクロ波の振幅変化と位相差との比に基づいて前記ホッパ内のごみの水分率を算出するホッパごみ水分率算出部と、
を備えることにある。
【0008】
計測対象(ホッパ内のごみ)の体積充填率(ごみと空気等との混合率)の変化は、マイクロ波の振幅変化(減衰量)と位相差(位相遅れ)との比(振幅変化/位相差)として検出される。そこで、計測対象の体積充填率を変えてマイクロ波の振幅変化と位相差とを測定しプロットすれば一直線上に並ぶこととなり、この直線の式の傾きは計測対象の体積充填率の変化に影響されない。従って、予め既知の種々の水分率の値のごみを、各水分率で体積充填率を変えてマイクロ波の振幅変化と位相差とを測定し、各水分率における直線の式の傾きを求め、更に、前記傾きと水分率との関係を予め求めておく。次に、計測対象に、マイクロ波を照射し、計測対象を透過したマイクロ波の振幅変化と位相差とを測定し、振幅変化と位相差との傾き(比)を求め、求めた傾きの値を予め求めておいた傾きと水分率との関係にあてはめれば、計測対象の体積充填率の変化に影響されずに、ごみの水分率を正確に求めることができる。
【0009】
本構成の非接触式水分計によれば、マイクロ波発信部から発信されたマイクロ波がホッパ内のごみに照射され、ごみを通過したマイクロ波がマイクロ波受信部で受信される。そして、発信・受信されたマイクロ波の振幅変化と位相差との比に基づいてホッパ内のごみの水分率がホッパごみ水分率算出部によって算出される。従って、ごみの体積充填率の変動に影響されずに、ごみの水分率を精度良く計測することができ、これによってより安定した燃焼制御を実現することができる。
【0010】
本発明に係る非接触式水分計において、
前記ホッパはシュート部を備え、
前記マイクロ波発信部から発信されたマイクロ波は前記シュート部内のごみを透過して前記マイクロ波受信部に受信されることが好ましい。
【0011】
本構成の非接触式水分計によれば、ホッパのシュート部内のごみを透過したマイクロ波によってシュート部内のごみの水分率を計測する透過式の非接触式水分計を採用することにより、シュート部内のごみとの間に空気層が存在したとしても、シュート部内のごみの水分率を正確に計測することができる。
【0012】
本発明に係る非接触式水分計において、
前記シュート部は、互いに対向し平行をなす一対の壁部を含み、
前記マイクロ波発信部は、前記シュート部の一側の壁部に形成される開口部に装着された電磁波透過部材の背面側に配設され、
前記マイクロ波受信部は、前記シュート部の他側の壁部に形成される開口部に装着された電磁波透過部材の背面側に配設されることが好ましい。
【0013】
本構成の非接触式水分計によれば、ホッパのシュート部は、互いに対向し平行をなす一対の壁部を含み、壁部に設けられた開口部に電磁波透過部材が装着され、この電磁波透過部材を通してマイクロ波発信部及びマイクロ波受信部によりマイクロ波が発信・受信されて、ホッパのシュート部内のごみの水分率が計測される。マイクロ波発信部及びマイクロ波受信部は、電磁波透過部材の存在によってホッパのシュート部内のごみに直接的に接触されない。このため、マイクロ波発信部及びマイクロ波受信部の汚染や破損を未然に防ぐことができる。なお、電磁波透過部材が耐食性を有している場合、電磁波透過部材の腐食が抑えられることになり、マイクロ波の発信・受信不良を未然に防ぐことができる。従って、正確な計測値を長期に亘って安定的に得ることができる。
【0014】
本発明に係る非接触式水分計において、
前記マイクロ波発信部及び前記マイクロ波受信部は、前記ホッパ内のごみ層表面から下方向に3m以内の高さ位置に配置されることが好ましい。
【0015】
本構成の非接触式水分計によれば、マイクロ波発信部及びマイクロ波受信部が、ホッパ内のごみ層表面から下方向に3m以内の高さ位置に配置されるので、ホッパ内のごみ堆積空間に空隙が多い場合であっても、精度良くごみの水分率を計測することができる。
【0016】
次に、上記課題を解決するための本発明に係る非接触式水分計の特徴構成は、
燃焼室にごみを供給する給じん装置にごみを送り込むためのホッパに配設され、前記ホッパ内のごみの水分率を計測する非接触式水分計であって、
前記ホッパ内のごみに照射するためのマイクロ波を発信するとともに、当該ごみを透過し、且つ反射したマイクロ波を受信するマイクロ波発信・受信部と、
前記発信・受信されたマイクロ波の振幅変化と位相差との比に基づいて前記ホッパ内のごみの水分率を算出するホッパごみ水分率算出部と、
を備えることにある。
【0017】
本構成の非接触式水分計によれば、マイクロ波発信・受信部から発信されたマイクロ波がホッパ内のごみに照射され、ごみを通過し、且つ反射したマイクロ波がマイクロ波発信・受信部で受信される。そして、発信・受信されたマイクロ波の振幅変化と位相差との比に基づいてホッパ内のごみの水分率がホッパごみ水分率算出部によって算出される。従って、ごみの体積充填率の変動に影響されずに、ごみの水分率を精度良く計測することができ、これによってより安定した燃焼制御を実現することができる。また、本構成の非接触式水分計によれば、マイクロ波を受信するためだけの受信部を別途設ける必要がなくなるため、構造をより簡素化することができる。
【0018】
本発明に係る非接触式水分計において、
前記ホッパはシュート部を備え、
前記マイクロ波発信・受信部から発信されたマイクロ波は前記シュート部内のごみを透過し、且つ反射して前記マイクロ波発信・受信部に受信されることが好ましい。
【0019】
本構成の非接触式水分計によれば、ホッパのシュート部内のごみを透過し、且つ反射したマイクロ波によってホッパのシュート部内のごみの水分率を計測する反射式の非接触式水分計を採用することにより、シュート部内のごみの水分率を正確に計測し、且つ構造をより簡素化することができる。
【0020】
本発明に係る非接触式水分計において、
前記シュート部は、互いに対向し平行をなす一対の壁部を含み、
前記マイクロ波発信・受信部は、前記シュート部の一側の壁部に形成される開口部に装着された電磁波透過部材の背面側に配設されることが好ましい。
【0021】
本構成の非接触式水分計によれば、ホッパのシュート部は、互いに対向し平行をなす一対の壁部を含み、壁部に設けられた開口部に電磁波透過部材が装着され、この電磁波透過部材を通してマイクロ波発信・受信部によりマイクロ波が発信・受信されて、ホッパのシュート部内のごみの水分率が計測される。マイクロ波発信・受信部は、電磁波透過部材の存在によってホッパのシュート部内のごみに直接的に接触されない。このため、マイクロ波発信・受信部の汚染や破損を未然に防ぐことができる。なお、電磁波透過部材が耐食性を有している場合、電磁波透過部材の腐食が抑えられることになり、マイクロ波の発信・受信不良を未然に防ぐことができる。従って、正確な計測値を長期に亘って安定的に得ることができる。
【0022】
本発明に係る非接触式水分計において、
前記マイクロ波発信・受信部は、前記ホッパ内のごみ層表面から下方向に3m以内の高さ位置に配置されることが好ましい。
【0023】
本構成の非接触式水分計によれば、マイクロ波発信・受信部が、ホッパ内のごみ層表面から下方向に3m以内の高さ位置に配置されるので、ホッパ内のごみ堆積空間に空隙が多い場合であっても、精度良くごみの水分率を計測することができる。
【0024】
次に、上記課題を解決するための本発明に係るごみ焼却施設の特徴構成は、
ホッパを介して前記燃焼室に供給されたごみを燃焼するように構成される焼却炉を備えたごみ焼却施設であって、
前記焼却炉は、前記ホッパから前記燃焼室内へとごみを供給する給じん装置、前記燃焼室内でごみを送る火格子、前記燃焼室内への燃焼空気の供給量を調整する燃焼空気用ダンパ、及び前記燃焼室内への再循環排ガスの供給量を調節する再循環排ガス用ダンパのうちの少なくとも一つを有し、
上記非接触式水分計を含み、前記ホッパ内のごみの水分率を計測するホッパごみ水分率計測手段と、
前記ホッパごみ水分率計測手段によって計測される水分率に応じて、前記給じん装置による前記燃焼室内へのごみの供給量、前記火格子による前記燃焼室内でのごみの送り速度、前記燃焼空気用ダンパによる前記燃焼室内への燃焼空気の供給量、及び前記再循環排ガス用ダンパによる前記燃焼室内への再循環排ガスの供給量のうちの少なくとも一つを調整する燃焼状態制御手段と、
を備えることにある。
【0025】
本構成のごみ焼却施設によれば、焼却炉は、ホッパから燃焼室内へとごみを供給する給じん装置、燃焼室内でごみを送る火格子、燃焼室内への燃焼空気の供給量を調整する燃焼空気用ダンパ、及び燃焼室内への再循環排ガスの供給量を調節する再循環排ガス用ダンパのうちの少なくとも一つを有している。焼却炉においては、給じん装置によりホッパから燃焼室内へとごみが供給され、燃焼室内において燃焼空気の供給を受けながら火格子により送られて燃焼される。そして、燃焼状態制御手段は、ホッパごみ水分率計測手段によって計測されるホッパ内のごみの水分率に応じて、給じん装置による燃焼室内へのごみの供給量、火格子による燃焼室内でのごみの送り速度、燃焼空気用ダンパによる燃焼室内への燃焼空気の供給量、及び再循環排ガス用ダンパによる燃焼室内への再循環排ガスの供給量のうちの少なくとも一つを調整する。これにより、燃焼運転を確実に安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るごみクレーンを備えたごみ焼却施設の概略構成を示す模式図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るごみクレーンのバケットの構造を示す模式図である。
図3図3は、焼却炉におけるホッパのシュート部の部分拡大断面の模式図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係るごみ焼却施設における燃焼制御システムの概略構成を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係るごみ焼却施設における燃焼制御システムの機能ブロック図である。
図6図6は、ごみピット内の所定領域の画像解析により複数の小領域の水分率を算出した結果を示す水分率分布図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係るごみ焼却施設におけるごみクレーンの制御手順を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明の一実施形態に係るごみ焼却施設における燃焼制御手順を示すフローチャートである。
図9図9は、マイクロ波の振幅位相比と公定法水分率(乾燥重量法)との相関関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。
【0028】
<ごみ焼却施設の全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るごみクレーンを備えたごみ焼却施設の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、ごみ焼却施設1は、主として、ごみ受入設備2、焼却炉3、ボイラ4、エコノマイザ5を備えている。ごみ受入設備2で受け入れられたごみは、焼却炉3で燃焼される。焼却炉3での燃焼に伴い発生した排ガスは、図示されない誘引ファンの誘引作用により、ボイラ4やエコノマイザ5に送り込まれて熱回収される。その後、排ガスは、減温塔(図示省略)で減温されてバグフィルタ(図示省略)で除塵処理された後に、煙突(図示省略)を介して外部へと放出される。
【0029】
ごみ受入設備2は、主として、ごみピット10とごみクレーン20とにより構成されている。
【0030】
<ごみピット>
ごみピット10は、ごみ収集車(図示省略)により集められたごみを受け入れる複数の搬入口11と所要の内容積の形状とを有し、ごみ収集車から搬入口11を通して投入されたごみを、焼却炉3で焼却するまでの間、一時的に貯留できるように構成されている。
【0031】
<ごみクレーン>
ごみクレーン20は、ごみピット10や焼却炉3のホッパ56等を覆う建屋8内に配設されている。ごみクレーン20は、ガーダー21、トロリ22、昇降装置23及びバケット24を備えている。ガーダー21は、複数の搬入口11が並ぶ方向(図1の紙面を垂直に貫く方向)と直交する水平方向に沿って延びるように建屋8の天井部近傍に配設され、複数の搬入口11が並ぶ方向に沿って移動自在とされている。トロリ22は、ガーダー21の長手方向に移動自在にガーダー21上に配設されている。昇降装置23は、トロリ22上に設置されている。昇降装置23は、図示されないドラムに巻回されたワイヤロープ25の巻き取り、繰り出しにより、ワイヤロープ25を介して接続されたバケット24を昇降する。
【0032】
ごみクレーン20は、ごみを撹拌するごみ撹拌動作と、ごみを焼却炉3に投入するごみ投入動作とを実施可能なように構成されている。ここで、ごみ撹拌動作とは、バケット24を開いた状態で、ごみピット10内の一の領域のごみ上に降ろした後、バケット24を閉じて所定量のごみを掴んで掬い取る動作と、ごみを掬い取ったバケット24を吊り上げ、ごみピット10内の他の領域の上方に移動した後、バケット24を開いてごみを投下する動作とを繰り返し、必要に応じて、他の領域にごみを投下した後、他の領域のごみをバケット24で掴んで掬い取り、バケット24を所定高さまで上昇させて、バケット24を開き、ごみを他の領域に投下する動作を繰り返し実施することよって、ごみピット10内のごみを積み替え撹拌する動作のことを指す。このようなごみ撹拌動作により、ごみピット10内のごみ質(ごみ種の構成割合や水分率)が均一化される。一方、ごみ投入動作とは、バケット24を開いた状態で、ごみピット10内のごみ上に降ろした後、バケット24を閉じて所定量のごみを掴んで掬い取り、ごみを掬い取ったバケット24を吊り上げ、焼却炉3のホッパ56の上方に移動した後、バケット24を開いてごみを投下し、ごみをホッパ56内に投入する動作のことを指す。これにより、焼却炉3にてごみが燃焼される。
【0033】
ごみピット10と焼却炉3のホッパ56との間には、ごみピット10の内部を撮影することができる適所に所要(1台又は複数台)のごみピット撮影カメラ15が設置されている。
【0034】
<バケット>
図2は、本発明の一実施形態に係るごみクレーンのバケットの構造を示す模式図である。図2(a)に示すように、バケット24は、バケットフレーム30、一側バケット部31、他側バケット部32及び開閉駆動装置33を備えた開閉式のバケットである。バケットフレーム30は、昇降自在にワイヤロープ25によって吊り下げ状態で支持されている。一側バケット部31は、バケット24の開閉方向一側に配されている。他側バケット部32は、バケット24の開閉方向他側に配されている。一側バケット部31及び他側バケット部32は何れも、上側アーム状部35、肘状部36及び下側アーム状部37が一体的に連設されてなるものである。一側バケット部31は、肘状部36が外側に張り出した略くの字状に形成されている。他側バケット部32は、肘状部36が外側に張り出した略逆くの字状に形成されている。一側バケット部31及び他側バケット部32は、両者間の中心位置における鉛直方向の軸線を基準とした場合に、対称を呈する形状とされ、これらバケット部31,32が閉じたときに、その内部に所定容量のごみを抱持できる大きさ及び形状に形成されている。
【0035】
一側バケット部31及び他側バケット部32は何れも、上側アーム状部35の基端部(上端部)が枢支軸38を介してバケットフレーム30に連結され、枢支軸38を支点に上下方向に揺動可能とされている。
【0036】
開閉駆動装置33は、図示による詳細説明は省略するが、電動モータや油圧シリンダー等のアクチュエータと、アクチュエータからの回転動力や直線的推力を、一側バケット部31及び他側バケット部32をそれぞれ枢支軸38の回りに回動させる回動力に変換してその回動力をそれらバケット部31,32に伝達する動力伝達機構とを備え、一側バケット部31及び他側バケット部32を枢支軸38を支点に上下方向に揺動させて、バケット24を開閉駆動することができるように構成されている。
【0037】
<電磁波透過部材>
一側バケット部31の上側アーム状部35には、開口部40が形成されている。他側バケット部32の下側アーム状部37には、開口部40が形成されている。開口部40には、バケット24の内面と面一となるように板状の電磁波透過部材41が装着されている。電磁波透過部材41は、周波数が300MHzから300GHz程度(波長:1mから1mm程度)の電磁波であるマイクロ波が透過可能な耐食性を有する素材から構成されている。電磁波透過部材41を構成する素材としては、マイクロ波が透過可能で耐食性を有していれば特に限定されるものではないが、耐食性を有する樹脂が好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂や液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が挙げられ、これらのうち、特に、テフロン(登録商標)の商品名で知られるポリテトラフルオロエチレン樹脂が好ましい。
【0038】
<非接触式水分計>
バケット24には、バケット24内のごみに電磁波を照射してバケット24内のごみを透過した電磁波によってバケット24内のごみの水分率を計測する透過式の非接触式水分計45が装着されている。透過式の非接触式水分計45を採用することにより、バケット24内のごみとの間に空気層が存在したとしても、バケット24内のごみの水分率を正確に計測することができる。
【0039】
非接触式水分計45は、マイクロ波発信部45aとマイクロ波受信部45bと後述するバケットごみ水分率算出部122(図5参照)とを有している。マイクロ波発信部45aは、一側バケット部31の上側アーム状部35に装着された電磁波透過部材41の背面側に配設されている。マイクロ波受信部45bは、他側バケット部32の下側アーム状部37に装着された電磁波透過部材41の背面側に配設されている。マイクロ波発信部45aから発信されたマイクロ波は、一側バケット部31の上側アーム状部35に装着された電磁波透過部材41を通してバケット24内の図2中記号Gで示すごみに照射される。照射されたマイクロ波は、バケット24内のごみを透過し、他側バケット部32の下側アーム状部37に装着された電磁波透過部材41を通してマイクロ波受信部45bに受信される。バケットごみ水分率算出部122(図5参照)は、マイクロ波受信部45bで受信されたマイクロ波に基づいて、バケット24内のごみの水分率を算出する。
【0040】
図2(a)に示す非接触式水分計45においては、バケット24における開閉方向一側に配される一側バケット部31の上部(上側アーム状部35)と、開閉方向他側に配される他側バケット部32の下部(下側アーム状部37)との間でマイクロ波がバケット24内のごみに照射されるようにマイクロ波発信部45aとマイクロ波受信部45bとが配設されている。この場合、マイクロ波発信部45aからのマイクロ波が、バケット24の開閉方向に対し斜め方向に照射されてマイクロ波受信部45bで受信されることになる。このため、バケット24内のごみに対する、マイクロ波の透過距離がより長くなり、バケット24内のごみの水分率について、より正確な計測値を得ることができる。
【0041】
なお、図2(a)に示すようなバケット24の構造に限定されるものではなく、図2(b)~(d)に示すようなバケット24の構造を採用してもよい。なお、以下の図2(b)~(d)に示すバケット24の構造の説明において、図2(a)に示すバケット24の構造と同一又は同様のものについては、図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略し、以下においては、図2(a)に示すバケット24の構造と異なる部分を中心に説明することとする。
【0042】
図2(b)に示すバケット24においては、一側バケット部31の下側アーム状部37に開口部40が形成されて、開口部40に電磁波透過部材41が装着されている。マイクロ波発信部45aは、一側バケット部31の下側アーム状部37に装着された電磁波透過部材41の背面側に配設されている。そして、マイクロ波発信部45aから発信されたマイクロ波は、一側バケット部31の下側アーム状部37に装着された電磁波透過部材41を通してバケット24内のごみに照射される。照射されたマイクロ波は、バケット24内のごみを透過し、他側バケット部32の下側アーム状部37に装着された電磁波透過部材41を通してマイクロ波受信部45bに受信される。
【0043】
図2(c)に示すバケット24おいては、バケット24内のごみに照射されてバケット24内のごみを透過し、且つ反射した電磁波によってバケット24内のごみの水分率を計測する反射式の非接触式水分計48が採用されている。非接触式水分計48は、マイクロ波発信部及びマイクロ波受信部の機能を兼ね備えたマイクロ波発信・受信部48aとバケットごみ水分率算出部122(図5参照)とを有している。マイクロ波発信・受信部48aは、一側バケット部31の上側アーム状部35に装着された電磁波透過部材41の背面側に配設されている。
【0044】
図2(c)に示すバケット24おいて、マイクロ波発信・受信部48aから発信されたマイクロ波は、一側バケット部31の上側アーム状部35に装着された電磁波透過部材41を通してバケット24内のごみに照射される。照射されたマイクロ波は、バケット24内のごみを透過し、ごみと他側バケット部32の下側アーム状部37との境界で反射し、バケット24内のごみを再度通過して、マイクロ波発信・受信部48aに受信される。バケットごみ水分率算出部122は、マイクロ波発信・受信部48aで受信されたマイクロ波に基づいて、バケット24内のごみの水分率を算出する。
【0045】
図2(c)に示すバケット24の構造によれば、図2(a)に示すバケット24と同様に、バケット24の開閉方向に対し斜め方向にマイクロ波が照射されるため、バケット24内のごみに対する、マイクロ波の透過距離がより長くなり、バケット24内のごみの水分率について、より正確な計測値を得ることができることに加えて、図2(a)に示すバケット24において設けられているマイクロ波受信部45bを別途設ける必要がなくなるため、他側バケット部32の下側アーム状部37に開口部40や電磁波透過部材41等を設けなくて済み、構造をより簡素化することができる。
【0046】
図2(d)に示すバケット24においても、反射式の非接触式水分計48が採用されており、マイクロ波発信・受信部48aは、一側バケット部31の下側アーム状部37に装着された電磁波透過部材41の背面側に配設されている。マイクロ波発信・受信部48aから発信されたマイクロ波は、一側バケット部31の下側アーム状部37に装着された電磁波透過部材41を通してバケット24内のごみに照射される。このように、バケット24の開閉方向に対し斜め方向にマイクロ波が照射される。照射されたマイクロ波は、バケット24内のごみを透過し、ごみと他側バケット部32の上側アーム状部35との境界で反射し、バケット24内のごみを再度通過して、マイクロ波発信・受信部48aに受信される。バケットごみ水分率算出部122は、マイクロ波発信・受信部48aで受信されたマイクロ波に基づいて、バケット24内のごみの水分率を算出する。
【0047】
なお、図2(a)~(d)に示すバケット24の構造に対し、バケット24の開閉方向に対称な構造の態様もあり得る。
【0048】
<焼却炉>
図1に示すように、焼却炉3は、一次燃焼室51及び二次燃焼室52を有する炉本体50を備えている。炉本体50の一側(図1において左側)には、炉本体50内にごみを供給するための給じん装置55が配設されるとともに、給じん装置55にごみを送り込むためのホッパ56が配設されている。ホッパ56は、逆四角錐状の受入部56a、及び受入部56aに一体的に垂設される四角筒状のシュート部56bを有し、ごみの送り込み方向に受入部56aとシュート部56bとがこの記載順に配されて構成されている。炉本体50の下部側には、ストーカ60が配設されるとともに、ストーカ60に一次燃焼空気を供給するための一次燃焼空気供給装置61が配設されている。焼却炉3において、二次燃焼室52には、二次燃焼空気供給装置62によって二次燃焼空気が供給されるようになっている。また、焼却炉3において、再循環排ガス供給装置63によって再循環排ガスが焼却炉3内に供給されるようになっている。
【0049】
給じん装置55は、プッシャー65の往復動により、シュート部56b内のごみを炉本体50内に押し込むプッシャー方式の供給装置である。プッシャー65は、油圧シリンダー等のプッシャー駆動装置66によって往復動する。
【0050】
<火格子>
ストーカ60は、可動火格子70aと固定火格子70bとが交互に階段状に配列された階段式ストーカである。ストーカ60は、乾燥段を形成する乾燥ストーカ71、燃焼段を形成する燃焼ストーカ72、及び後燃焼段を形成する後燃焼ストーカ73が、ごみ送り方向の上流側から下流側に向けて、この記載順に区分けされている。乾燥ストーカ71には、当該乾燥ストーカ71における可動火格子70aを往復動させる乾燥ストーカ駆動装置75が連結されている。燃焼ストーカ72には、当該燃焼ストーカ72における可動火格子70aを往復動させる燃焼ストーカ駆動装置76が連結されている。後燃焼ストーカ73には、当該後燃焼ストーカ73における可動火格子70aを往復動させる後燃焼ストーカ駆動装置77が連結されている。
【0051】
乾燥ストーカ71、燃焼ストーカ72及び後燃焼ストーカ73のそれぞれの下部側には、風箱78が付設されている。そして、一次燃焼空気供給装置61からの一次燃焼空気が、風箱78を介して、乾燥ストーカ71、燃焼ストーカ72及び後燃焼ストーカ73にそれぞれ供給される。
【0052】
<一次燃焼空気供給装置>
一次燃焼空気供給装置61は、一次燃焼空気を送り出す送風機79と、送風機79からの一次燃焼空気が流通される主管路80と、主管路80から分岐して乾燥ストーカ71、燃焼ストーカ72及び後燃焼ストーカ73のそれぞれに対応する風箱78に繋がる第一分岐管路81、第二分岐管路82及び第三分岐管路83とを備え、送風機79からの一次燃焼空気を、主管路80から第一分岐管路81、第二分岐管路82及び第三分岐管路83を介して乾燥ストーカ71、燃焼ストーカ72及び後燃焼ストーカ73へとそれぞれ供給することができるように構成されている。
【0053】
主管路80には、主流量調節ダンパ装置85が介設されている。また、第一分岐管路81、第二分岐管路82及び第三分岐管路83には、それぞれ第一流量調節ダンパ装置86、第二流量調節ダンパ装置87及び第三流量調節ダンパ装置88が介設されている。
【0054】
<二次燃焼空気供給装置>
二次燃焼空気供給装置62は、二次燃焼空気を送り出す送風機90と、この送風機90からの二次燃焼空気を二次燃焼室52へと導く管路91とを備え、送風機90からの二次燃焼空気を、管路91を通して二次燃焼室52内に供給することができるように構成されている。管路91には、流量調節ダンパ装置92が介設されている。
【0055】
<再循環排ガス供給装置>
再循環排ガス供給装置63は、煙突(図示省略)から大気中へ排出される低温の排ガスの一部を再循環排ガスとして送り出す送風機95と、この送風機95からの再循環排ガスを焼却炉3内へと導く管路96とを備え、送風機95からの再循環排ガスを、管路96を通して焼却炉3内に供給することができるように構成されている。管路96には、流量調節ダンパ装置97が介設されている。
【0056】
図3は、焼却炉におけるホッパのシュート部の部分拡大断面の模式図である。図3(a)に示すように、シュート部56bにおける互いに対向し平行をなす一対の壁部57,58においては、一側の壁部57に形成された開口部100に壁部57の内面と面一となるように板状の電磁波透過部材101が装着され、一側の壁部57に形成された開口部100と対向するように他側の壁部58に形成された開口部100に壁部58の内面と面一となるように板状の電磁波透過部材101が装着されている。なお、電磁波透過部材101は、前述した電磁波透過部材41と同様に、マイクロ波が透過可能な耐食性を有する素材から構成されている。
【0057】
<非接触式水分計>
シュート部56bには、当該シュート部56b内のごみに電磁波を照射してシュート部56b内の図3中記号Gで示すごみを透過した電磁波によってシュート部56b内のごみの水分率を計測する透過式の非接触式水分計105が装着されている。透過式の非接触式水分計105を採用することにより、シュート部56b内のごみとの間に空気層が存在したとしても、シュート部56b内のごみの水分率を正確に計測することができる。
【0058】
非接触式水分計105は、マイクロ波発信部105aとマイクロ波受信部105bと後述するホッパごみ水分率算出部123(図5参照)とを有している。マイクロ波発信部105aは、シュート部56bの一側の壁部57に装着された電磁波透過部材101の背面側に配設されている。マイクロ波受信部105bは、シュート部56bの他側の壁部58に装着された電磁波透過部材101の背面側に配設されている。マイクロ波発信部105aから発信されたマイクロ波は、シュート部56bの一側の壁部57に装着された電磁波透過部材101を通してシュート部56b内のごみに照射される。照射されたマイクロ波は、シュート部56b内のごみを透過し、シュート部56bの他側の壁部58に装着された電磁波透過部材101を通してマイクロ波受信部105bに受信される。ホッパごみ水分率算出部123は、マイクロ波受信部105bで受信されたマイクロ波に基づいて、シュート部56b内のごみの水分率を算出する。
【0059】
図3(a)に示すシュート部56bの構造に限定されるものではなく、図3(b)に示すようなシュート部56bの構造を採用してもよい。なお、以下の図3(b)に示すシュート部56bの構造の説明において、図3(a)に示すシュート部56bの構造と同一又は同様のものについては、図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略し、以下においては、図3(a)に示すシュート部56bの構造と異なる部分を中心に説明することとする。
【0060】
図3(b)においては、シュート部56b内のごみに照射されてシュート部56b内のごみを透過し、且つ反射したマイクロ波によってシュート部56b内のごみの水分率を計測する反射式の非接触式水分計108が採用されている。非接触式水分計108は、マイクロ波発信部及びマイクロ波受信部の機能を兼ね備えたマイクロ波発信・受信部108aとホッパごみ水分率算出部123(図5参照)とを有している。マイクロ波発信・受信部108aは、シュート部56bの一側の壁部57に装着された電磁波透過部材101の背面側に配設されている。
【0061】
マイクロ波発信・受信部108aから発信されたマイクロ波は、シュート部56bの一側の壁部57に装着された電磁波透過部材101を通してシュート部56b内のごみに照射される。照射されたマイクロ波は、シュート部56b内のごみを透過し、ごみとシュート部56bの他側の壁部58との境界で反射し、シュート部56b内のごみを再度通過して、マイクロ波発信・受信部108aに受信される。ホッパごみ水分率算出部123は、マイクロ波発信・受信部108aで受信されたマイクロ波に基づいて、シュート部56b内のごみの水分率を算出する。
【0062】
図3(b)に示すシュート部56bの構造によれば、図3(a)に示すシュート部56bの構造では設けられているマイクロ波受信部105bを別途設ける必要がなくなるため、シュート部56bの他側の壁部58に開口部100や電磁波透過部材101等を設けなくて済み、構造をより簡素化することができる。
【0063】
なお、図3(a)及び(b)に示すシュート部56bの構造に対し、図の左右方向に対称な構造の態様もあり得る。
【0064】
また、マイクロ波発信部45a,105a、マイクロ波受信部45b,105b、及びマイクロ波発信・受信部48a,108aは、ホッパ56内のごみ層表面から下方向に3m以内の高さ位置に配置するのが好ましい。こうすることにより、ホッパ56内のごみ堆積空間に空隙が多い場合であっても、精度良くごみの水分率を計測することができる。
【0065】
図4は、本発明の一実施形態に係るごみ焼却施設における燃焼制御システムの概略構成を示すブロック図である。ごみ焼却施設1は、図4に示すような燃焼制御システム110を備えている。図4に示すごみ燃焼制御システム110は、CPU111aやメモリ111b、I/Oポート111c等を内蔵するマイクロコンピュータを主体に構成される制御装置111と、制御装置111に信号伝達可能に接続される各種機器112とを備えて構成されている。各種機器112としては、ごみピット撮影カメラ15、ガーダー21、トロリ22、昇降装置23、開閉駆動装置33、非接触式水分計45,48,105,108、プッシャー駆動装置66、乾燥ストーカ駆動装置75、燃焼ストーカ駆動装置76、後燃焼ストーカ駆動装置77、一次燃焼空気供給に関わる流量調節ダンパ装置85~88、二次燃焼空気供給に関わる流量調節ダンパ装置92、再循環排ガス供給に関わる流量調節ダンパ装置97等が挙げられる。
【0066】
制御装置111において、メモリ111bには、図7及び図8のフローチャートに示されるアルゴリズムに従って作成された所定プログラム等や、ごみの種類(紙やプラスチック等)と水分率との相関関係のデータ、マイクロ波発信部45a,105a(マイクロ波発信・受信部48a,108a)から発信されたマイクロ波に対するマイクロ波受信部45b,105b(マイクロ波発信・受信部48a,108a)で受信されたマイクロ波に関する、図9に示すような、振幅変化と位相差との比(振幅位相比)と、公定法水分率(乾燥重量法)との正の相関関係のデータ、その他、燃焼制御等に必要なデータ等が記憶されている。制御装置111においては、メモリ111bに格納されている所定プログラム等や各種データ等をCPU111aが読み込んで所定の処理を実行することにより、図5の機能ブロック図に示される各種機能部の機能が発揮される。
【0067】
図5は、本発明の一実施形態に係るごみ焼却施設における燃焼制御システムの機能ブロック図である。図5の機能ブロック図に示される制御装置111の各種機能部としては、画像処理部120、ピットごみ水分率算出部121、バケットごみ水分率算出部122、ホッパごみ水分率算出部123、クレーン制御部124、プッシャー制御部125、ストーカ制御部126、ダンパ制御部127、目標水分率算出部128及び記憶部130が挙げられる。
【0068】
図6は、ごみピット内の所定領域の画像解析により複数の小領域の水分率を算出した結果を模式的に示す水分率分布図である。ここで、ごみピット10内の所定領域とは、ごみピット10内の全部の領域という意味と、ごみピット10内の全部の領域のうちの特定部分の領域という意味との両方を包含する。
【0069】
図5に示す画像処理部120は、ごみピット撮影カメラ15が撮影したごみピット10内の所定領域の画像を、図6に示すように、例えば、4行4列の合計16個の小領域(A1領域~A16領域)に分割し、各小領域に対して画像解析処理を行う。画像処理部120は、画像からごみの種類を特定するために必要なデータを記憶部130から読み出し、読み出したデータを参照して各小領域に存在するごみの種類を判別するとともに、各小領域に存在するごみの種類毎の割合を算出する。なお、ごみピット撮影カメラ15が、本発明の「撮影手段」に相当する。また、画像処理部120が、本発明の「画像処理手段」に相当する。
【0070】
図5に示すピットごみ水分率算出部121は、予め記憶部130に記憶されている、ごみの種別と水分率との相関関係のデータを読み出し、読み出したデータと、画像処理部120が判別・算出した各小領域に存在するごみの種類とその割合とに基づいて演算を行い、各小領域におけるごみの水分率を算出する。なお、ピットごみ水分率算出部121が、本発明の「ピットごみ水分率算出手段」に相当する。
【0071】
図9は、マイクロ波の振幅位相比と公定法水分率(乾燥重量法)との相関関係を示すグラフである。非接触式水分計45,48,105,108の計測対象(バケット24内のごみ、シュート部56b内のごみ)の体積充填率(ごみと空気等との混合率)の変化は、マイクロ波の振幅変化(減衰量)と位相差(位相遅れ)との比(振幅変化/位相差)として検出される。そこで、計測対象の体積充填率を変えてマイクロ波の振幅変化と位相差とを測定しプロットすれば一直線上に並ぶこととなり、この直線の式の傾きは計測対象の体積充填率の変化に影響されない。従って、予め既知の種々の水分率の値のごみを、各水分率で体積充填率を変えてマイクロ波の振幅変化と位相差とを測定し、各水分率における直線の式の傾きを求め、更に、前記傾きと水分率との関係を予め求めておく。次に、計測対象に、マイクロ波を照射し、計測対象を透過したマイクロ波の振幅変化と位相差とを測定し、振幅変化と位相差との傾き(振幅位相比)を求め、求めた傾きの値を、予め求めておいた傾き(振幅位相比)と水分率との関係、すなわち図9に示すグラフにあてはめれば、計測対象の体積充填率の変化に影響されずに水分率を正確に求めることができる。
【0072】
透過式の非接触式水分計45が用いられている場合、バケットごみ水分率算出部122は、予め記憶部130に記憶されている、マイクロ波発信部45aから発信されたマイクロ波に対するマイクロ波受信部45bで受信されたマイクロ波に関する、振幅位相比と、公定法水分率(乾燥重量法)との正の相関関係のデータ(図9参照)を記憶部130から読み出し、読み出したデータと、マイクロ波発信部45a及びマイクロ波受信部45bにより発信・受信されたマイクロ波の振幅位相比とに基づいて、バケット24内のごみの水分率を算出する。
【0073】
反射式の非接触式水分計48が用いられている場合、バケットごみ水分率算出部122は、予め記憶部130に記憶されている、マイクロ波発信・受信部48aから発信されたマイクロ波に対するマイクロ波発信・受信部48aで受信されたマイクロ波に関する、振幅位相比と、公定法水分率(乾燥重量法)との正の相関関係のデータ(図9参照)を記憶部130から読み出し、読み出したデータと、マイクロ波発信・受信部48aにより発信・受信されたマイクロ波の振幅位相比とに基づいて、バケット24内のごみの水分率を算出する。
【0074】
透過式の非接触式水分計105が用いられている場合、ホッパごみ水分率算出部123は、予め記憶部130に記憶されている、マイクロ波発信部105aから発信されたマイクロ波に対するマイクロ波受信部105bで受信されたマイクロ波に関する、振幅位相比と、公定法水分率(乾燥重量法)との正の相関関係のデータ(図9参照)を記憶部130から読み出し、読み出したデータと、マイクロ波発信部105a及びマイクロ波受信部105bにより発信・受信されたマイクロ波の振幅位相比とに基づいて、シュート部56b内のごみの水分率を算出する。
【0075】
反射式の非接触式水分計108が用いられている場合、ホッパごみ水分率算出部123は、予め記憶部130に記憶されている、マイクロ波発信・受信部108aから発信されたマイクロ波に対するマイクロ波発信・受信部108aで受信されたマイクロ波に関する、振幅位相比と、公定法水分率(乾燥重量法)との正の相関関係のデータ(図9参照)を記憶部130から読み出し、読み出したデータと、マイクロ波発信・受信部108aにより発信・受信されたマイクロ波の振幅位相比とに基づいて、シュート部56b内のごみの水分率を算出する。
【0076】
クレーン制御部124は、ピットごみ水分率算出部121やバケットごみ水分率算出部122、ホッパごみ水分率算出部123によって算出された水分率等に基づいて、所定の制御信号をガーダー21、トロリ22、昇降装置23及び開閉駆動装置33のそれぞれに送信する。これにより、複数の搬入口11が並ぶ方向やそれと直交する水平方向へのバケット24の移動や、バケット24の昇降動作、バケット24の開閉動作がそれぞれ制御されて、ごみ撹拌動作や、ごみ投入動作が実施される。
【0077】
プッシャー制御部125は、ホッパごみ水分率算出部123によって算出された水分率に基づいて、所定の制御信号をプッシャー駆動装置66に送信する。これにより、プッシャー65のストローク、作動速度、作動間隔が調節されて、ごみの供給量が制御される。
【0078】
ストーカ制御部126は、ホッパごみ水分率算出部123によって算出された水分率に基づいて、所定の制御信号を乾燥ストーカ駆動装置75、燃焼ストーカ駆動装置76及び後燃焼ストーカ駆動装置77に送信する。これにより、乾燥ストーカ71、燃焼ストーカ72及び後燃焼ストーカ73のそれぞれの可動火格子70aが往復動する速度、すなわちストーカ71,72,73による炉本体50内でのごみの送り速度が制御される。
【0079】
ダンパ制御部127は、ホッパごみ水分率算出部123によって算出された水分率に基づいて、所定の制御信号を各流量調節ダンパ装置85~88,92,97に送信する。これにより、一次燃焼空気や二次燃焼空気、再循環排ガスの供給量が制御される。
【0080】
目標水分率算出部128は、焼却炉3での燃焼状況監視情報、例えば、ボイラ4での蒸発量、燃焼室51,52内の温度(炉内温度)、排ガスO濃度、排ガスCO濃度、排ガスNO濃度等に基づいて、燃焼制御が最適となるごみの水分率を算出する。
【0081】
記憶部130は、CPU111aが所定の演算処理を行う場合に使用するデータ、例えば、ごみの種類(紙やプラスチック等)と水分率との相関関係のデータ、マイクロ波発信部45a,105a(マイクロ波発信・受信部48a,108a)から発信されたマイクロ波に対するマイクロ波受信部45b,105b(マイクロ波発信・受信部48a,108a)で受信されたマイクロ波に関する、振幅位相比と、公定法水分率(乾燥重量法)との正の相関関係のデータ(図9参照)、その他、燃焼制御等に必要なデータ等を保持するストレージとして機能する。
【0082】
図7は、本発明の一実施形態に係るごみ焼却施設におけるごみクレーンの制御手順を示すフローチャートである。ごみクレーンの制御手順について、主に、図5図7を用いて説明する。なお、図7のフローチャートにおいて、図中記号「S」はステップを表す(図8のフローチャートにおいても同様)。
【0083】
(ステップS1~S2)
図7に示すフローチャートのステップS1において、ごみピット撮影カメラ15は、ごみピット10内の所定領域を撮影する。画像処理部120は、ごみピット撮影カメラ15が撮影したごみピット10内の所定領域の画像を、図6に示すように、例えば、4行4列の合計16個の小領域(A1領域~A16領域)に分割し、各小領域に対して画像解析処理を行う。画像処理部120は、画像からごみの種類を特定するために必要なデータを記憶部130から読み出し、読み出したデータを参照して各小領域に存在するごみの種類を判別するとともに、各小領域に存在するごみの種類及びその割合とを算出する。そして、ステップS2において、算出された各小領域におけるごみの水分率が所定範囲内である場合(S2において「YES」)、ステップS3へと進む。一方、算出された各小領域におけるごみの水分率が所定範囲内でない場合(S2において「NO」)、ステップS4へと進む。
【0084】
(ステップS3)
クレーン制御部124は、ごみ投入動作を実施するための所定の制御信号をガーダー21、トロリ22、昇降装置23及び開閉駆動装置33のそれぞれに送信する(S3)。これにより、バケット24を開いた状態で、ごみピット10内におけるごみの水分率が所定範囲内である所定領域のごみ上にバケット24を降ろした後、バケット24を閉じて所定量のごみを掴んで掬い取り、ごみを掬い取ったバケット24を吊り上げ、焼却炉3のホッパ56の上方に移動した後、バケット24を開いてごみを投下し、ごみをホッパ56内に投入するごみ投入動作が実施される。
【0085】
(ステップS4~S6)
ステップS2において、算出された各小領域におけるごみの水分率が所定範囲内でない場合(S2において「NO」)、クレーン制御部124は、ピットごみ水分率算出部121によって算出されるごみピット10内における複数の小領域のごみの水分率が所定範囲内となるように、ごみピット10内の複数の小領域から選択される一の小領域のごみを他の小領域に移動させて混合するような所定の制御信号をガーダー21、トロリ22、昇降装置23及び開閉駆動装置33のそれぞれに送信する。これにより、次のようにして、ごみ撹拌動作が実施される。すなわち、例えば、図6に示す4行4列の合計16個の小領域(A1領域~A16領域)のうち、図6において網掛ハッチングが付されたA1領域は、ピットごみ水分率算出部121によって算出されるごみの水分率が所定範囲の下限値未満であり、図6において右傾斜ハッチングが付されたA7領域及びA9領域は、ピットごみ水分率算出部121によって算出されるごみの水分率が所定範囲内の上限値近傍であり、図6においてハッチングが付されていないその他の小領域は、ピットごみ水分率算出部121によって算出されるごみの水分率が所定範囲内の中間値以下である場合において、バケット24を開いた状態で、例えば、A7領域のごみ上にバケット24を降ろし、バケット24を閉じて所定量のごみを掴んで掬い取る(S4)。ごみを掬い取ったバケット24を吊り上げている間に、バケット24内のごみの水分率を非接触式水分計45(48)により計測する(S5)。非接触式水分計45(48)による計測結果に基づいて、現在バケット24で掴んでいるごみが、A1領域に加わったと仮定したときに水分率が所定範囲内となるか否かを判断する(S6)。
【0086】
(ステップS7)
ステップS6において、水分率が所定範囲内となると判断した場合、言い換えれば、非接触式水分計45(48)によって計測されるバケット24内のごみの水分率が、A1領域の水分率を所定範囲内とするのに適していると判断した場合、ごみを掬い取ったバケット24をA1領域の上方に移動した後、バケット24を開いてごみをA1領域に投下する(S7)。
【0087】
一方、ステップS6において、水分率が所定範囲内とならない判断した場合、言い換えれば、非接触式水分計45(48)によって計測されるバケット24内のごみの水分率が、A1領域の水分率を所定範囲内とするのに適していないと判断した場合、バケット24を開いて掬い取ったごみをA7領域に戻し、バケット24を開いた状態で、例えば、A9領域のごみ上にバケット24を降ろし、バケット24を閉じて所定量のごみを掴んで掬い取る(S4)。ごみを掬い取ったバケット24を吊り上げている間に、バケット24内のごみの水分率を非接触式水分計45(48)により計測する(S5)。非接触式水分計45(48)による計測結果に基づいて、現在バケット24で掴んでいるごみが、A1領域に加わったと仮定したときに水分率が所定範囲内となるか否かを判断する(S6)。
【0088】
(ステップS7)
ステップS6において、水分率が所定範囲内となると判断した場合、言い換えれば、非接触式水分計45(48)によって計測されるバケット24内のごみの水分率が、A1領域の水分率を所定範囲内とするのに適していると判断した場合、ごみを掬い取ったバケット24をA1領域の上方に移動した後、バケット24を開いてごみをA1領域に投下する(S7)。
【0089】
一方、ステップS6において、水分率が所定範囲内とならない判断した場合、言い換えれば、非接触式水分計45(48)によって計測されるバケット24内のごみの水分率が、A1領域の水分率を所定範囲内とするのに適していないと判断した場合、バケット24を開いて掬い取ったごみをA9領域に戻し、バケット24を開いた状態で、A7領域及びA9領域以外の図6においてハッチングが付されていないその他の小領域のごみ上にバケット24を降ろし、バケット24を閉じて所定量のごみを掴んで掬い取る(S4)。ごみを掬い取ったバケット24を吊り上げている間に、バケット24内のごみの水分率を非接触式水分計45(48)により計測する(S5)。非接触式水分計45(48)による計測結果に基づいて、現在バケット24で掴んでいるごみが、A1領域に加わったと仮定したときに水分率が所定範囲内となるか否かを判断する(S6)。
【0090】
要するに、非接触式水分計45(48)によって計測されるバケット24内のごみの水分率に基づいて、A1領域のごみの水分率を所定範囲内とするのに適したごみを、本例の場合、A7領域、A9領域及び図6においてハッチングが付されていないその他の小領域のうちから選別してA1領域に移動させて混合する。
【0091】
バケット24内のごみの水分率は、バケット24に設けられた開口部100に装着される電磁波透過部材41を通してバケット24内のごみに対し電磁波を照射する非接触式水分計45(48)によって計測される。これにより、バケット24内のごみの水分率を正確に計測することができる。このことから、ステップS1,S2,S4~S7を繰り返し実行することにより、ごみピット10内の複数の小領域におけるごみの水分率のばらつきを確実に小さくすることができ、ごみピット10内の複数の小領域におけるごみの水分率を所定範囲内の一定値に確実に近づけることができる。
【0092】
バケット24で掴んだごみと非接触式水分計45(48)とは、電磁波透過部材41の存在により直接的に接触されておらず、しかも電磁波透過部材41は耐食性を有しているため、非接触式水分計45(48)の破損を未然に防ぐことができることに加え、電磁波透過部材41の腐食が抑えられることになり、マイクロ波の発信・受信不良を未然に防ぐことができる。従って、正確な計測値を長期に亘って安定的に得ることができることになり、燃焼運転の安定化が可能となる。
【0093】
図8は、本発明の一実施形態に係るごみ焼却施設における燃焼制御手順を示すフローチャートである。ごみ焼却施設における燃焼制御の手順について、主に、図5及び図8を用いて説明する。
【0094】
(ステップS11~S12)
図8に示すフローチャートのステップS11において、シュート部56b内のごみの水分率を非接触式水分計105(108)により計測する。ステップS12において、プッシャー制御部125、ストーカ制御部126及びダンパ制御部127は、ステップS11において算出されたシュート部56b内のごみの水分率に応じて、以下に例示するように、焼却炉3での燃焼を制御する。
【0095】
例えば、ステップS11において算出されたシュート部56b内のごみの水分率から、ごみの発熱量の増加傾向を予測できれば、炉本体50内に発熱量の大きいごみが供給される前に、プッシャー制御部125は、ごみの供給量を減じるような所定の制御信号をプッシャー駆動装置66に送信し、ごみの供給量を減少させる。これにより、過剰燃焼を抑制することができ、燃焼運転を安定化させることができる。
【0096】
例えば、ステップS11おいて算出されたシュート部56b内のごみの水分率から、ごみの発熱量の増加傾向を予測できれば、ストーカ制御部126は、可動火格子70aによるごみの送り速度を調整するための所定の制御信号を、乾燥ストーカ駆動装置75、燃焼ストーカ駆動装置76、及び後燃焼ストーカ駆動装置77のうちの少なくとも一つに送信する。これにより、可動火格子70aが往復動する速度、即ち可動火格子70aによるごみの送り速度が変化する。これにより、過剰燃焼を抑制することができ、燃焼運転を安定化させることができる。
【0097】
例えば、ステップS11おいて算出されたシュート部56b内のごみの水分率から、ごみの発熱量の増加傾向を予測できれば、ダンパ制御部127は、炉本体50内の温度が下降するように再循環排ガスの供給量を調整するための所定の制御信号を流量調節ダンパ装置97に送信し、流量調節ダンパ装置97のダンパ開度を変化させる。これにより、過剰燃焼を抑制することができ、燃焼運転を安定化させることができる。
【0098】
例えば、ステップS11において算出されたシュート部56b内のごみの水分率から、ごみの発熱量の減少傾向を予測できれば、炉本体50内に発熱量の小さいごみが供給される前に、ダンパ制御部127は、燃焼室51、52内の温度を上昇するように燃焼空気供給量を調整するための所定の制御信号を各流量調節ダンパ装置85~88,92に送信し、各流量調節ダンパ装置85~88,92のダンパ開度を変化させる。これにより、燃焼が不活発になることを抑制することができ、燃焼運転を安定化させることができる。
【0099】
例えば、ステップS11においてシュート部56b内のごみの水分率から、ごみの発熱量の減少傾向を予測できれば、ストーカ制御部126は、可動火格子70aのごみの送り速度を調整するための所定の制御信号を、乾燥ストーカ駆動装置75、燃焼ストーカ駆動装置76、及び後燃焼ストーカ駆動装置77のうちの少なくとも一つに送信する。これにより、可動火格子70aが往復動する速度、即ち可動火格子70aによるごみの送り速度が変化する。これにより、水分率が高いために発熱量の小さいごみが不活発に燃焼することを抑制することができ、燃焼運転を安定化させることができる。
【0100】
なお、上記に例示した燃焼制御を適宜に組み合わせて実施してもよい。
【0101】
(ステップS13)
ステップS13において、目標水分率算出部128は、焼却炉3での燃焼状況監視情報、例えば、ボイラ4での蒸発量、燃焼室51,52内の温度(炉内温度)、排ガスO濃度、排ガスCO濃度、排ガスNO濃度等に基づいて、燃焼制御が最適となるごみの水分率を算出する。算出されたごみの水分率は、目標水分率として、クレーン制御部124に送信される。クレーン制御部124は、ごみピット10内の所定領域におけるごみの水分率が目標水分率に近づくようなごみ撹拌動作が実施されるような所定の制御信号を、ガーダー21、トロリ22、昇降装置23及び開閉駆動装置33のそれぞれに送信する。
【0102】
以上に述べた燃焼制御により、炉本体50内の温度や排ガス量が安定し、燃焼運転を安定化させることができる。燃焼運転の安定化により、ボイラ4での蒸気発生量が安定するため、熱回収量も安定する。なお、ボイラ4での蒸気発生量を抑えたいときには、水分率の高いごみを選択的にホッパ56に投入すればよい。さらに、燃焼運転の安定化により、各種機器への負荷が一定となり、機器の損耗や作動量を低減できる。作動量低減により、動力コストを削減することができる。なお、燃焼制御の自動化とAI(人工知能)の学習機能の活用により、より最適な燃焼運転を実現することができ、運転コストを大幅に削減することが可能となる。
【0103】
また、ごみ焼却施設1においては、非接触式水分計45,48,105,108を用いて、ごみを透過したマイクロ波に関する振幅位相比と、公定法水分率との相関関係データ(図9参照)に基づいて、ごみの水分率を計測するようにしている。このような振幅位相比に基づく水分率の計測によれば、計測対象(バケット24内のごみ、シュート部56b内のごみ)の体積充填率の変動に影響されずに、ごみの水分率を精度良く計測することができ、これによって、より安定した燃焼制御を実現することができる。
【0104】
以上、本発明の非接触式水分計、及びごみ焼却施設について、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の非接触式水分計、及びごみ焼却施設は、ごみ焼却施設において、ごみの燃焼運転を安定化させる用途において利用可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 ごみ焼却施設
3 焼却炉
51,52 燃焼室
55 給じん装置
56 ホッパ
70a 可動火格子
70b 固定火格子
85~88 流量調節ダンパ装置(一次燃焼空気用ダンパ)
92 流量調節ダンパ装置(二次次燃焼空気用ダンパ)
97 流量調節ダンパ装置(再循環排ガス用ダンパ)
100 開口部
101 電磁波透過部材(ホッパごみ水分率計測手段)
105 非接触式水分計(ホッパごみ水分率計測手段(透過式))
105a マイクロ波発信部
105b マイクロ波受信部
108 非接触式水分計(ホッパごみ水分率計測手段(反射式))
108a マイクロ波発信・受信部
123 ホッパごみ水分率算出部
125 プッシャー制御部(燃焼状態制御手段)
126 ストーカ制御部(燃焼状態制御手段)
127 ダンパ制御部(燃焼状態制御手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9