(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ケーブル分岐部接続構造
(51)【国際特許分類】
H01R 4/242 20180101AFI20241008BHJP
H02G 15/10 20060101ALI20241008BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20241008BHJP
H01R 31/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01R4/242
H02G15/10
H02G1/14
H01R31/00 A
(21)【出願番号】P 2020191633
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】西村 光司
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 慶紀
(72)【発明者】
【氏名】朝日 昴
(72)【発明者】
【氏名】内田 桂
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 渉
(72)【発明者】
【氏名】田澤 和俊
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0030199(US,A1)
【文献】特開2003-272742(JP,A)
【文献】特開平03-067474(JP,A)
【文献】特開2005-310665(JP,A)
【文献】特開2019-003906(JP,A)
【文献】実開昭51-020182(JP,U)
【文献】特開平11-074008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/242
H02G 15/10
H02G 1/14
H01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間のシースを皮剥きして複数の絶縁線心を露出させた幹線ケーブルと、
端末のシースを皮剥きして複数の絶縁線心を露出させた分岐線ケーブルと、
前記幹線ケーブルの複数の絶縁線心を収納する幹線絶縁線心収納溝を有すると共に、前記分岐線ケーブルの複数の絶縁線心を収納する分岐線絶縁線心収納溝を前記幹線絶縁線心収納溝に対して垂直方向に有するケーブルホルダと、
前記幹線ケーブルの複数の絶縁線心と前記分岐線ケーブルの複数の絶縁線心とを圧接接続する圧接刃を有する複数の圧接端子と、を備え、
前記幹線絶縁線心収納溝は、前記幹線ケーブルの複数の絶縁線心をそれぞれ分離した位置に配置する離隔リブを複数有し、
前記ケーブルホルダは、前記幹線ケーブルの長手方向に延び、前記幹線絶縁線心収納溝を有する第1ホルダ本体と、前記第1ホルダ本体から垂直方向に突出形成され、前記分岐線絶縁線心収納溝を有する第2ホルダ本体とを備え、
前記幹線絶縁線心収納溝及び前記分岐線絶縁線心収納溝は、前記第1ホルダ本体及び前記第2ホルダ本体により互いに分離して
おり、
各圧接端子は、天板部と、前記天板部の一端に設けられ、前記幹線ケーブルの各絶縁線心の線心と接触する幹線ケーブル接続用圧接刃と、前記天板部の他端に設けられ、前記分岐線ケーブルの各絶縁線心の線心と接触する分岐線ケーブル接続用圧接刃と、を備えており、
前記第1ホルダ本体の前記幹線絶縁線心収納溝には、前記幹線ケーブル接続用圧接刃が収納される圧接刃収納溝が形成され、
前記第2ホルダ本体の前記分岐線絶縁線心収納溝には、前記分岐線ケーブル接続用圧接刃が収納される圧接刃収納溝が形成されている、ケーブル分岐部接続構造。
【請求項2】
複数の前記離隔リブは、前記幹線ケーブルの各絶縁線心を前記幹線絶縁線心収納溝へ案内する傾斜面を有する、請求項1に記載のケーブル分岐部接続構造。
【請求項3】
前記ケーブルホルダは、前記幹線ケーブルのシースを収納する幹線シース収納部を有すると共に、前記分岐線ケーブルのシースを収納する分岐線シース収納部を有する、請求項1又は2に記載のケーブル分岐部接続構造。
【請求項4】
前記幹線シース収納部及び前記分岐線シース収納部は、前記幹線ケーブルのシース及び前記分岐線ケーブルのシースを保持するシース保持部をそれぞれ有する、請求項3に記載のケーブル分岐部接続構造。
【請求項5】
前記ケーブルホルダに組み付けられるカバーを備え、
前記カバーの裏面に前記複数の圧接端子が取り付けられ、
前記ケーブルホルダに前記カバーを組み付ける際に、前記幹線ケーブルの複数の絶縁線心の各被覆と対応する前記分岐線ケーブルの複数の絶縁線心の各被覆を前記複数の圧接端子の各圧接刃でそれぞれ切断しながら前記対応する各絶縁線心の線心と前記各圧接刃が接触することで電気的に接続されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のケーブル分岐部接続構造。
【請求項6】
前記幹線ケーブルの絶縁線心と前記分岐線ケーブルの絶縁線心とは、前記ケーブルホルダの内部で交差していない、請求項1から
5のいずれか1項に記載のケーブル分岐部接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幹線ケーブルの中間に分岐線ケーブルを接続するケーブル分岐部接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、照明用の分岐ケーブルを幹線ケーブルの中間に接続するようにしたケーブルの分岐接続構造として、特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載のケーブルの分岐接続構造は、幹線ケーブルの中間に接続されたコネクタを介して中継ケーブルが分岐され、この中継ケーブルの先端に中継コンセントとプラグ及び分岐コードを介して照明用の分岐ケーブルが接続されている。そして、照明用の分岐ケーブルの一端に照明機器が接続され、他端にコンセントが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のケーブルの分岐接続構造では、幹線ケーブルの中間から中継ケーブルと分岐コードを介して照明用の分岐ケーブルを接続しているため、照明機器までの電線長が長くなる。また、照明機器に至るまでの各種ケーブルの接続箇所が複数箇所あるため、接続作業が煩雑となり、施工時間も長時間を要する。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、ケーブルの分岐接続を簡単かつ短時間で行うことができ、接続機器までの電線長を短くすることができる接続信頼性及び接続作業性に優れたケーブル分岐部接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るケーブル分岐部接続構造は、中間のシースを皮剥きして複数の絶縁線心を露出させた幹線ケーブルと、端末のシースを皮剥きして複数の絶縁線心を露出させた分岐線ケーブルと、前記幹線ケーブルの複数の絶縁線心を収納する幹線絶縁線心収納溝を有すると共に、前記分岐線ケーブルの複数の絶縁線心を収納する分岐線絶縁線心収納溝を前記幹線絶縁線心収納溝に対して垂直方向に有するケーブルホルダと、前記幹線ケーブルの複数の絶縁線心と前記分岐線ケーブルの複数の絶縁線心とを圧接接続する圧接刃を有する複数の圧接端子と、を備え、前記幹線絶縁線心収納溝は、前記幹線ケーブルの複数の絶縁線心をそれぞれ分離した位置に配置する離隔リブを複数有するものである。
【0007】
前記複数の離隔リブは、前記幹線ケーブルの各絶縁線心を前記幹線絶縁線心収納溝へ案内する傾斜面を有することが好ましい。
【0008】
前記ケーブルホルダは、前記幹線ケーブルのシースを収納する幹線シース収納部を有すると共に、前記分岐線ケーブルのシースを収納する分岐線シース収納部を有することが好ましい。
【0009】
前記幹線シース収納部及び前記分岐線シース収納部は、前記幹線ケーブルのシース及び前記分岐線ケーブルのシースを保持するシース保持部をそれぞれ有することが好ましい。
【0010】
前記ケーブルホルダに組み付けられるカバーを備え、前記カバーの裏面に前記複数の圧接端子が取り付けられ、前記ケーブルホルダに前記カバーを組み付ける際に、前記幹線ケーブルの複数の絶縁線心の各被覆と対応する前記分岐線ケーブルの複数の絶縁線心の各被覆を前記複数の圧接端子の各圧接刃でそれぞれ切断しながら前記対応する各絶縁線心の線心と前記各圧接刃が接触することで電気的に接続されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ケーブルの分岐接続を簡単かつ短時間で行うことができ、接続機器までの電線長を短くすることができる接続信頼性及び接続作業性に優れたケーブル分岐部接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るケーブル分岐部接続構造の一例を示す斜視図である。
【
図2】上記ケーブル分岐部接続構造の分解斜視図である。
【
図3】(a)は上記ケーブル分岐部接続構造に用いられるケーブルホルダの平面図、(b)は同
図3(a)中のB部分の拡大平面図である。
【
図4】(a)は上記ケーブルホルダの幹線絶縁線心収納溝及び幹線シース収納部の周辺部分の拡大斜視図、(b)は
図3(a)中IV-IV線に沿う断面図である。
【
図5】上記ケーブル分岐部接続構造に用いられる圧接端子の斜視図である。
【
図6】上記ケーブル分岐部接続構造に用いられるカバーの底面図である。
【
図7】上記ケーブルホルダに幹線ケーブルと分岐線ケーブルとをT字状に配線した状態を示す平面図である。
【
図8】(a)は上記幹線絶縁線心収納溝に幹線ケーブルの絶縁線心を収納する前の状態を示す断面図、(b)は同幹線絶縁線心収納溝に幹線ケーブルの絶縁線心を収納した状態を示す断面図である。
【
図9】(a)~(d)は上記ケーブルホルダの幹線シース収納部及び分岐線シース収納部における各ケーブルのシースを保持するシース保持部の断面図である。
【
図10】上記カバーの裏面に圧接端子を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図11】上記ケーブル分岐部接続構造の分岐線ケーブルに照明機器を接続した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るケーブル分岐部接続構造について詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係るケーブル分岐部接続構造の一例を示す斜視図である。
図2はケーブル分岐部接続構造の分解斜視図である。
図3(a)はケーブル分岐部接続構造に用いられるケーブルホルダの平面図である。
図3(b)は
図3(a)中のB部分の拡大平面図である。
図4(a)はケーブルホルダの幹線絶縁線心収納溝及び幹線シース収納部の周辺部分の拡大斜視図である。
図4(b)は
図3(a)中IV-IV線に沿う断面図である。
図5はケーブル分岐部接続構造に用いられる圧接端子の斜視図である。
図6はケーブル分岐部接続構造に用いられるカバーの底面図である。
図7はケーブルホルダに幹線ケーブルと分岐線ケーブルとをT字状に配線した状態を示す平面図である。
図8(a)は幹線絶縁線心収納溝に幹線ケーブルの絶縁線心を収納する前の状態を示す断面図である。
図8(b)は幹線絶縁線心収納溝に幹線ケーブルの絶縁線心を収納した状態を示す断面図である。
図9(a)~(d)はケーブルホルダの幹線シース収納部及び分岐線シース収納部における各ケーブルのシースを保持するシース保持部の断面図である。
図10はカバーの裏面に圧接端子を取り付けた状態を示す斜視図である。
図11はケーブル分岐部接続構造の分岐線ケーブルに照明機器を接続した状態を示す斜視図である。
【0015】
図1、
図2に示すように、ケーブル分岐部接続構造1は、3芯の幹線ケーブル2と、3芯の分岐線ケーブル6と、平面T字形のケーブルホルダ10と、3つの圧接端子30と、ケーブルホルダ10に取り付けられる平面T字形のカバー40と、を備えている。
【0016】
図2、
図7、
図8(a),(b)に示すように、幹線ケーブル2は、3芯の平形ケーブル(VVFケーブル)であり、その中間3aのシース3を皮剥きして3つの絶縁線心4を露出させている。この各絶縁線心4は、被覆5aで覆われた線心(導体)5bを有している。また、
図2、
図7、
図9(a)に示すように、分岐線ケーブル6は、3芯の平形ケーブル(VVFケーブル)であり、その端末7aのシース7を皮剥きして3つの絶縁線心8を露出させている。この各絶縁線心8は、被覆9aで覆われた線心(導体)9bを有している。
【0017】
図2、
図3(a)、
図4(a)に示すように、ケーブルホルダ10は、合成樹脂製で平面T字形に形成されている。すなわち、ケーブルホルダ10は、幹線ケーブル2の長手方向に延びる第1ホルダ本体11と、この第1ホルダ本体11の中央から垂直方向に一体突出形成された第2ホルダ本体21と、を有している。そして、第1ホルダ本体11の中央には、幹線ケーブル2の3つの絶縁線心4を収納する幹線絶縁線心収納溝12を有している。
【0018】
図4(a),(b)、
図8(a),(b)に示すように、ケーブルホルダ10の第1ホルダ本体11の幹線絶縁線心収納溝12は、幹線ケーブル2の3つの絶縁線心4をそれぞれ分離した位置に配置する一対の離隔リブ13,13を有している。この一対の離隔リブ13,13は、その各頂部から外側の中央にかけて、幹線ケーブル2の各絶縁線心4を各離隔リブ13で区画された3つの幹線絶縁線心収納溝12へ案内する傾斜面13aをそれぞれ有している。
【0019】
また、
図3(a),(b)に示すように、第1ホルダ本体11の幹線絶縁線心収納溝12には、後述する3つの圧接端子30の幹線ケーブル2の絶縁線心4の接続用の各圧接刃33が収納される圧接刃収納溝14が形成されている。さらに、第1ホルダ本体11の幹線絶縁線心収納溝12には、後述するカバー40の各圧接端子30の離隔用の各離隔リブ44が収納される離隔リブ収納溝15が形成されている。
【0020】
さらに、
図2、
図3(a)に示すように、ケーブルホルダ10の第1ホルダ本体11の両端側には、幹線ケーブル2のシース3を収納する一対の幹線シース収納部16,16を有している。この各幹線シース収納部16は、幹線ケーブル2のシース3を保持する保持アーム(シース保持部)17を有している。この保持アーム17は、
図9(a)に示すように、幹線ケーブル2のシース3に合わせた形状になっており、先端内側の突起17aがシース3に噛み込むことで、機械的に保持する構造となっている。なお、保持アーム17の形状は、
図9(b)に示すように、シース3の外径より狭い幅の弾性を有した円弧状のアーム17bに形成され、この円弧状のアーム17bでシース3を圧入して挟み込むことでより強く固定するようにしても良い。また、
図9(c)に示すように、シース3の外径より狭い幅の弾性を有した保持アーム17で、保持突起17cとの挟み込みによりシース3をより強く固定するようにしても良い。さらに、
図9(d)に示すように、シース3の外径より狭い幅の弾性を有した保持アーム17及び圧入時の力を低減させるために設けた複凸状の保持突起17dとの噛み込みによりシース3を保持するようにしても良い。
【0021】
さらに、
図2、
図3(a)、
図4(a)に示すように、ケーブルホルダ10の第1ホルダ本体11の中央の外側の2箇所及び保持アーム17の両外側には、後述するカバー40のロック爪47が係止される係止部18がそれぞれ形成されている。
【0022】
図2、
図3(a)、
図4(a)に示すように、ケーブルホルダ10の第2ホルダ本体21の中央より第1ホルダ本体11側には、分岐線ケーブル6の3つの絶縁線心8を収納する3つの分岐線絶縁線心収納溝22を幹線絶縁線心収納溝12に対して垂直方向に有している。3つの分岐線絶縁線心収納溝22のうちの中央に位置する分岐線絶縁線心収納溝22は、幹線絶縁線心収納溝12に対して垂直方向に一直線状に延びている。また、3つの分岐線絶縁線心収納溝22のうちの両側に位置する一対の分岐線絶縁線心収納溝22,22は、第2ホルダ本体21の端側においてへ字状に折り曲げられ、中央から幹線絶縁線心収納溝12側にかけて中央の分岐線絶縁線心収納溝22と平行になるように延びている。
【0023】
また、
図3(a),(b)に示すように、第2ホルダ本体21の3つの分岐線絶縁線心収納溝22には、後述する3つの圧接端子30の分岐線ケーブル6の絶縁線心8の接続用の各圧接刃33が収納される圧接刃収納溝24が形成されている。さらに、第2ホルダ本体21の3つの分岐線絶縁線心収納溝22には、後述するカバー40の各圧接端子30の離隔用の各離隔リブ44が収納される離隔リブ収納溝25が形成されている。
【0024】
図2、
図3(a)に示すように、ケーブルホルダ10の第2ホルダ本体21の端側には、分岐線ケーブル6のシース7を収納する分岐線シース収納部26を有している。この分岐線シース収納部26は、分岐線ケーブル6のシース7を保持する保持アーム(シース保持部)27を有している。この保持アーム27は、
図9(a)に示すように、分岐線ケーブル6のシース7に合わせた形状になっており、先端内側の突起27aがシース7に噛み込むことで、機械的に保持する構造となっている。なお、保持アーム27の形状は、
図9(b)に示すように、シース7の外径より狭い幅の弾性を有した円弧状のアーム27bに形成され、この円弧状のアーム27bでシース7を圧入して挟み込むことでより強く固定するようにしても良い。また、
図9(c)に示すように、シース7の外径より狭い幅の弾性を有した保持アーム27で、保持突起27cとの挟み込みによりシース7をより強く固定するようにしても良い。さらに、
図9(d)に示すように、シース7の外径より狭い幅の弾性を有した保持アーム27及び圧入時の力を低減させるために設けた複凸状の保持突起27dとの噛み込みによりシース7を保持するようにしても良い。
【0025】
さらに、
図2、
図3(a)、
図7に示すように、ケーブルホルダ10の第2ホルダ本体21の中央の両外側及び保持アーム27の両外側には、後述するカバー40のロック爪47が係止される係止部28がそれぞれ形成されている。
【0026】
図5に示すように、圧接端子30は、3つの固定孔32を有した天板部31と、この天板部31の両端において幹線ケーブル2の接続用と分岐線ケーブル6の接続用として直角に向くように設けられた各一対の圧接刃33,33と、を備えている。すなわち、圧接端子30は、天板部31の両端側に、幹線ケーブル2の各絶縁線心4と分岐線ケーブル6の各絶縁線心8に対して差し込むことで、それぞれの絶縁線心4,8の被覆5a,9aを切断しつつ線心(導体)5b,9bと接触する圧接刃33を設けている。天板部31の両端に設けられた各圧接刃33は、幹線ケーブル2の接続用と分岐線ケーブル6の接続用として直角に相対向するように配置されている。また、圧接端子30の天板部31に設けられた固定孔32は、カバー40に設けられた圧接端子固定部43に嵌め込まれて固定されるようになっている。なお、カバー40に圧接端子30を固定する方法は、インサート成形や一体成型であっても良い。
【0027】
図1、
図2、
図6、
図10に示すように、カバー40は、合成樹脂製で平面T字形に形成されている。すなわち、カバー40は、ケーブルホルダ10の第1ホルダ本体11に組み付けられる第1カバー本体41と、この第1カバー本体41の中央から垂直方向に一体突出形成され、第2ホルダ本体21に組み付けられる第2カバー本体42と、を有している。
【0028】
図6、
図10に示すように、カバー40の第1カバー本体41の裏面41bの中央から第2カバー本体42の裏面42bの基部側にかけて、3つの圧接端子30の各固定孔32が嵌合する円柱状の各3つの圧接端子固定部43を並列段差状に有している。また、各3つの圧接端子固定部43の両側の上下の位置には、各圧接端子30を離隔して保護する離隔リブ44を有している。このカバー40の裏面41b,42bに取り付けられた各圧接端子30の圧接刃33と離隔リブ44は、カバー40をケーブルホルダ10に組み付けた際に、ケーブルホルダ10の圧接刃収納溝14,24と離隔リブ収納溝15,25に対応する位置に設けられている。
【0029】
また、
図6、
図10に示すように、カバー40の第1カバー本体41の裏面41bの両側には、幹線ケーブル2のシース3を保持する複数のシース保持用リブ45を有している。さらに、カバー40の第2カバー本体42の裏面42bの端部側には、分岐線ケーブル6のシース7を保持する複数のシース保持用リブ46を有している。
【0030】
さらに、
図2、
図10に示すように、カバー40の第1カバー本体41の中央の外側の2箇所及び第1カバー本体41の両端の外側には、第1ホルダ本体11の係止部18に係止されるロック爪47がそれぞれ一体突出形成されている。また、カバー40の第2カバー本体42の基部の両外側及び第2カバー本体42の端部の外側には、第2ホルダ本体21の係止部28に係止されるロック爪47がそれぞれ一体突出形成されている。
【0031】
そして、ケーブルホルダ10にカバー40を嵌合する際に、幹線ケーブル2の各絶縁線心4の被覆5aと対応する分岐線ケーブル6の各絶縁線心8の被覆9aを各圧接端子30の圧接刃33で切断して圧接刃33が各絶縁線心4,8の線心5b,9bに接触する。これにより、幹線ケーブル2のシース3の中間3aにおいて幹線ケーブル2の3つ絶縁線心4と分岐線ケーブル6の3つ絶縁線心8とが3つの圧接端子30を介して電気的に分岐されて接続されるようになっている。この幹線ケーブル2の中間に一端側が分岐接続された分岐線ケーブル6の他端側には、
図11に示すように、接続機器としての照明機器50が接続される。
【0032】
以上実施形態のケーブル分岐部接続構造1によれば、幹線ケーブル2の中間に分岐線ケーブル6の一端側の端末を接続する場合には、まず、
図2、
図7に示すように、幹線ケーブル2の中間3aのシース3を皮剥きして3つの絶縁線心4を露出させておく。同様に、分岐線ケーブル6の端末7aのシース7を皮剥きして3つの絶縁線心8を露出させておく。
【0033】
次に、
図7に示すように、ケーブルホルダ10の幹線絶縁線心収納溝12に幹線ケーブル2の3つの絶縁線心4を収納する。同様に、ケーブルホルダ10の第1ホルダ本体11の両端側の一対の幹線シース収納部16,16に幹線ケーブル2の両側のシース3,3を収納する。さらに、ケーブルホルダ10の3つの分岐線絶縁線心収納溝22に分岐線ケーブル6の絶縁線心8を収納する。同様に、ケーブルホルダ10の分岐線シース収納部26に分岐線ケーブル6の端末7aのシース7を収納する。これにより、ケーブルホルダ10の表面に幹線ケーブル2と分岐線ケーブル6はT字状に配線される。
【0034】
図8(a),(b)に示すように、幹線絶縁線心収納溝12に幹線ケーブル2の各絶縁線心4を収納する際に、絶縁線心4が離隔リブ13の傾斜面13aで案内されて離隔リブ13で区画された各幹線絶縁線心収納溝12内の正規の位置に簡単かつ確実に収納される。これにより、ケーブルホルダ10にカバー40を組み付ける際に、絶縁線心4をケーブルホルダ10とカバー40との間で挟み込むことが無いため、絶縁線心4の損傷を防止することができる。
【0035】
また、
図2、
図9(a)に示すように、幹線シース収納部16に幹線ケーブル2のシース3を収納する際、及び、分岐線シース収納部26に分岐線ケーブル6のシース7を収納する際に、各シース3,7は、各保持アーム17,27で確実に保持されて固定される。このように、各ケーブル2,6のシース3,7を各保持アーム17,27でより強固に固定できるため、各ケーブル2,6に掛かる自重や引っ張りによる負荷による各シース収納部16,26からの各ケーブル2,6の離脱を防止することができる。この際、各ケーブル2,6に掛かる負荷は、内線規程の範囲内である10[N]程度(例えば3芯の場合9.42[N])であり、各ケーブル2,6のシース3,7を各保持アーム17,27で強固に固定することで、この負荷に十分に耐えることができる。なお、各ケーブル2,6に掛かる自重方向以外の負荷においても同様の効果が期待できるものとなる。これにより、カバー40の組み付け中、つまり圧接端子30の各圧接刃33が各ケーブル2,6の絶縁線心4,8を切断して線心5b,9bと接触する時は、各ケーブル2,6は十分に固定され、圧接刃33の破損や線心5b,9bの損傷を確実に防ぐことができる。つまり、各ケーブル2,6が動くことによる圧接刃33の破損や線心5b,9bの損傷の発生がなくなり、圧接刃33と線心5b,9bの接点不良や導通不良等を解消することができ、安定した接続が可能となり、接続品質を高品質に保つことができる。
【0036】
そして、
図1に示すように、圧接端子30が取り付けられたカバー40をケーブルホルダ10に組み付けると、圧接端子30の圧接刃33が幹線ケーブル2と分岐線ケーブル6の各絶縁線心4,8の被覆5a,9aを切断し線心(導体)5b,9bに接触する。この圧接刃33と線心5b,9bの接触により、幹線ケーブル2と分岐線ケーブル6の所定の線心5b,9b間が電気的に接続される。この接続により、ケーブルの分岐接続作業を短時間で容易に行うことができる。
【0037】
このように、ケーブル分岐部接続構造1において、ケーブルホルダ10と圧接端子30を取り付けたカバー40とから成る分岐接続コネクタを使用することで、
図11に示すような配線が可能となる。この配線方式より、幹線ケーブル2と分岐線ケーブル6を別に用意することができるため、分岐線ケーブル6のケーブルサイズは、照明機器50の許容電流に合わせて、幹線ケーブル2より小さくすることができる。すなわち、照明機器50に対して真直ぐに分岐線ケーブル6を配線することができ、照明機器50までの電線長を短くすることができる。さらに、照明機器50へのケーブルの接続が1箇所になるため、施工時間も短縮することができ、短時間で施工することができる。
【0038】
また、ケーブルホルダ10に幹線ケーブル2と分岐線ケーブル6をT字状に配線した後で、ケーブルホルダ10にカバー40を組み付けるだけで幹線ケーブル2に分岐線ケーブル6を分岐接続できるため、接続作業に技術が要らず施工が容易である。すなわち、カバー40の裏面に3つの圧接端子30を固定しておくことで、ケーブルホルダ10へカバー40を組み付ける時に、3つの圧接端子30の各圧接刃33を各ケーブル2,6の各線心5b,9bに同時に接続可能となり、接続の施工性が向上する。さらに、各ケーブル2,6の各線心5b,9bに同時に接続できるため、施工時の作業時間を削減できる。
【0039】
また、
図11に示すように、配線された幹線ケーブル2から分岐線ケーブル6を分岐し、照明機器50と接続するため、照明機器50の設置にかかわらず、幹線ケーブル2の配線が可能となる。したがって、照明機器50の設置前に予め分岐線ケーブル6を配線することも可能になり、施工の自由度が高くなる。
【0040】
さらに、
図10に示すように、カバー40の裏面の圧接端子30の周囲には、圧接端子30を隔てる離隔リブ44が配置されているため、ケーブルホルダ10にカバー40を組み付ける前には、不意な要因による圧接端子30の損傷や変形を防ぐことができる。さらに、ケーブルホルダ10にカバー40を組み付けた後には、各圧接端子30間の空間距離を確保して絶縁性能を向上させることができる。
【0041】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0042】
すなわち、前記実施形態によれば、幹線ケーブル及び分岐線ケーブルとも3芯の平形ケーブル(VVFケーブル)を用いたが、2芯の平形ケーブルやアース線を含む4芯以上の平形ケーブルでも良く、また、ケーブルは平形でなくとも良い。
【0043】
また、前記実施形態によれば、圧接端子の圧接刃の方向とケーブルの絶縁線心を収納する溝が垂直であるが、照明配線経路に合わせて、幹線ケーブルから分岐線ケーブルが斜めに分岐されるような圧接刃の方向とケーブルの絶縁線心を収納する溝であっても良い。
【0044】
また、前記実施形態によれば、圧接端子の圧接刃は、1本のケーブルの絶縁線心に対して2枚であるが、1枚刃若しくは3枚刃以上であっても良い。
【0045】
さらに、前記実施形態によれば、分岐線ケーブルは幹線ケーブルよりもサイズダウンしているが、資材調達や品種の調達等の関係から、同一サイズを使用しても良い。
【0046】
さらに、前記実施形態によれば、分岐線ケーブルに照明機器を接続するようにしたが、分岐線ケーブルに接続される接続機器は、照明機器に限らず、コンセント等の他の接続機器でも良い。
【0047】
また、前記実施形態によれば、カバーを合成樹脂により平面T字形に形成したが、カバーを透明な合成樹脂により平面T字形に形成して、ケーブルの配線色を確認できるような構造にしても良い。
【符号の説明】
【0048】
1 ケーブル分岐部接続構造
2 幹線ケーブル
3 シース
3a 中間
4 絶縁線心
5a 被覆
5b 線心(導体)
6 分岐線ケーブル
7 シース
7a 端末
8 絶縁線心
9a 被覆
9b 線心(導体)
10 ケーブルホルダ
12 幹線絶縁線心収納溝
13 離隔リブ
13a 傾斜面
16 幹線シース収納部
17 保持アーム(シース保持部)
22 分岐線絶縁線心収納溝
26 分岐線シース収納部
27 保持アーム(シース保持部)
30 圧接端子
33 圧接刃
40 カバー
41b,42b 裏面
50 照明機器(接続機器)