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特許7568501外部監査装置、外部監視システム、外部監査方法、及び外部監査プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】外部監査装置、外部監視システム、外部監査方法、及び外部監査プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20241008BHJP
【FI】
G06Q40/12
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020216145
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022101827
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】514086916
【氏名又は名称】マネーツリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】チャップマン ポール アシュリー
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-193449(JP,A)
【文献】特開2019-101479(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0322485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被監査企業及び前記被監査企業の取引金融機関とネットワーク回線により接続される外部監視装置であって、
前記被監査企業から前記被監査企業の取引情報を取得する取引情報取得部と、
前記取引金融機関から前記被監査企業の残高情報を取得する残高情報取得部と、
前記取引情報及び前記残高情報を蓄積して前記被監査企業の通常取引情報を生成する通常取引情報生成部と、
前記通常取引情報から乖離した前記被監査企業の前記取引情報または前記残高情報のいずれかもしくは両方が存在するか否かを判定する判定部と、
前記被監査企業の前記取引情報または前記残高情報のいずれかもしくは両方が前記通常取引情報から乖離している場合に異常情報を生成する異常情報生成部と、
前記異常情報を前記被監査企業に通報する通報部と、を備える
ことを特徴とする外部監査装置。
【請求項2】
前記被監査企業と前記取引金融機関との間のアクセスの遮断、または、前記被監査企業と前記外部監視装置との間のアクセスの遮断を検出する遮断検出部と、が備えられ、
前記通報部は、検出された前記アクセスの遮断を前記異常情報として前記被監査企業に通報する請求項1に記載の外部監査装置。
【請求項3】
前記取引情報取得部に取得された後の前記取引情報の変更を検出する変更検出部と、が備えられ、
前記通報部は、検出された前記取引情報の変更を前記異常情報として前記被監査企業に通報する請求項1または2に記載の外部監査装置。
【請求項4】
前記通報部は、前記異常情報を前記被監査企業と契約の監査法人に通報する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の外部監査装置。
【請求項5】
前記通常取引情報生成部は、所定期間に亘り前記取引情報及び前記残高情報を蓄積して前記通常取引情報を生成する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の外部監査装置。
【請求項6】
前記通常取引情報生成部は機械学習部を備え、
前記機械学習部は、所定期間に亘り前記取引情報を蓄積するとともに所定期間に亘り前記残高情報を蓄積して前記通常取引情報を生成する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の外部監査装置。
【請求項7】
前記取引情報は、前記被監査企業の決済記録、在庫記録、受発注記録、損益計算書記録、または、貸借対照表記録を含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の外部監査装置。
【請求項8】
前記取引情報取得部は、前記被監査企業が子会社または持分法適用会社を有している場合には、前記被監査企業の前記子会社または前記持分法適用会社の取引情報を取得する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の外部監査装置。
【請求項9】
被監査企業及び前記被監査企業の取引金融機関とネットワーク回線により接続される外部監視装置における外部監査方法であって、
前記外部監視装置のコンピュータ部は、
前記被監査企業から前記被監査企業の取引情報を取得する取引情報取得ステップと、
前記取引金融機関から前記被監査企業の残高情報を取得する残高情報取得ステップと、
前記取引情報及び前記残高情報を蓄積して前記被監査企業の通常取引情報を生成する通常取引情報生成ステップと、
前記通常取引情報から乖離した前記被監査企業の前記取引情報または前記残高情報のいずれかもしくは両方が存在するか否かを判定する判定ステップと、
前記被監査企業の前記取引情報または前記残高情報のいずれかもしくは両方が前記通常取引情報から乖離している場合に異常情報を生成する異常情報生成ステップと、
前記異常情報を前記被監査企業に通報する通報ステップと、を実行する
ことを特徴とする外部監査方法。
【請求項10】
被監査企業及び前記被監査企業の取引金融機関とネットワーク回線により接続される外部監視装置における外部監査プログラムであって、
前記外部監視装置のコンピュータ部に、
前記被監査企業から前記被監査企業の取引情報を取得する取引情報取得機能と、
前記取引金融機関から前記被監査企業の残高情報を取得する残高情報取得機能と、
前記取引情報及び前記残高情報を蓄積して前記被監査企業の通常取引情報を生成する通常取引情報生成機能と、
前記通常取引情報から乖離した前記被監査企業の前記取引情報または前記残高情報のいずれかもしくは両方が存在するか否かを判定する判定機能と、
前記被監査企業の前記取引情報または前記残高情報のいずれかもしくは両方が前記通常取引情報から乖離している場合に異常情報を生成する異常情報生成機能と、
前記異常情報を前記被監査企業に通報する通報機能と、を実現させる
ことを特徴とする外部監査プログラム。
【請求項11】
被監査企業と、前記被監査企業の取引金融機関と、前記被監査企業の外部監視装置とをネットワーク回線により接続してなる外部監視システムであって、
前記外部監視装置は、
前記被監査企業から前記被監査企業の取引情報を取得する取引情報取得部と、
前記取引金融機関から前記被監査企業の残高情報を取得する残高情報取得部と、
前記取引情報及び前記残高情報を蓄積して前記被監査企業の通常取引情報を生成する通常取引情報生成部と、
前記通常取引情報から乖離した前記被監査企業の前記取引情報または前記残高情報のいずれかもしくは両方が存在するか否かを判定する判定部と、
前記被監査企業の前記取引情報または前記残高情報のいずれかもしくは両方が前記通常取引情報から乖離している場合に異常情報を生成する異常情報生成部と、
前記異常情報を前記被監査企業に通報する通報部と、を備える
ことを特徴とする外部監査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部監査装置、外部監視システム、外部監査方法、及び外部監査プログラムに関し、特に企業の監査業務を支援するための外部監査装置、外部監視システム、外部監査方法、及び外部監査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業が業績を好調に見せるための会計情報の粉飾(粉飾決算)、または、企業の従業員による経理上をはじめとする不正行為は、依然として存在する。また、隠蔽が巧妙であるほど発覚が遅れる。企業の不正行為が発覚すれば、企業自体の信用の失墜、取引先との関係悪化、企業が上場していれば上場廃止等の多くの問題が生じ、企業の従業員、当該企業への投資家、取引銀行等の多くの関係者に影響が生じる。
【0003】
現状、企業内における内部監査、さらに、外部の監査法人による企業への監査は実施されている。しかしながら、日々の膨大な取引、決済の中から、不正行為を検出することは容易ではない。また、常時、内部及び外部により監視、監査することはできない。例えば、企業と取引のある銀行(取引金融機関)から決済の記録を取得することに時間がかかる。内部及び外部の監査には人手が多く要する。仮に、取引明細を取得できたとしても、詳細な情報を確認することができない。取引金融機関側も人力により記録を取得するため、誤りが皆無ではない。そのため、全取引等の監査では無く、部分的に抽出した案件についての監査に限られているのが実情である。
【0004】
そこで、企業内における金銭管理の不正を自動的に検出するため方策が検討されてきた。例えば、現金の取引に関する取引情報と、取引情報に紐づけられた利用者の前記利用者情報とから所定の取引パターンを持つ取引を異常取引として検知する検知部する利用者情報管理装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1の利用者情報管理装置によると、同装置の利用企業における異常取引の検知に一定の効果が期待される。しかしながら、特許文献1の利用者情報管理装置は当該企業の従業員による不正の検知に留まり、企業自体、企業の部門による大きな不正行為の検知までは対応していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-164662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、人力に依存すること無く、しかも、企業の幅広い取引について常時の監査が可能であり、監査の結果を企業に早期に通報して企業の不正な取引の拡大を防ぐための外部監査装置と、そのシステム、方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、実施形態の外部監視装置は、被監査企業及び被監査企業の取引金融機関とネットワーク回線により接続されていて、被監査企業から被監査企業の取引情報を取得する取引情報取得部と、取引金融機関から被監査企業の残高情報を取得する残高情報取得部と、取引情報及び残高情報を蓄積して被監査企業の通常取引情報を生成する通常取引情報生成部と、通常取引情報から乖離した被監査企業の取引情報または残高情報のいずれかもしくは両方が存在するか否かを判定する判定部と、被監査企業の取引情報または残高情報のいずれかもしくは両方が通常取引情報から乖離している場合に異常情報を生成する異常情報生成部と、異常情報を被監査企業に通報する通報部とを備えることを特徴とする。
【0009】
さらに、被監査企業と取引金融機関との間のアクセスの遮断、または、被監査企業と外部監視装置との間のアクセスの遮断を検出する遮断検出部が備えられ、通報部は、検出されたアクセスの遮断を異常情報として被監査企業に通報することとしてもよい。
【0010】
さらに、取引情報取得部に取得された後の取引情報の変更を検出する変更検出部が備えられ、通報部は、検出された取引情報の変更を異常情報として被監査企業に通報することとしてもよい。
【0011】
さらに、通報部は、異常情報を被監査企業と契約の監査法人に通報することとしてもよい。
【0012】
さらに、通常取引情報生成部は、所定期間に亘り取引情報及び残高情報を蓄積して通常取引情報を生成することとしてもよい。
【0013】
さらに、通常取引情報生成部は機械学習部を備え、機械学習部は、所定期間に亘り取引情報及び残高情報を蓄積して通常取引情報を生成することとしてもよい。
【0014】
さらに、取引情報は、被監査企業の決済記録、在庫記録、受発注記録、損益計算書記録、または、貸借対照表記録を含むものとしてもよい。
【0015】
取引情報取得部は、被監査企業が子会社または持分法適用会社を有している場合には、被監査企業の子会社または持分法適用会社の取引情報を取得することとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の外部監査装置によると、被監査企業及び被監査企業の取引金融機関とネットワーク回線により接続されていて、被監査企業から被監査企業の取引情報を取得する取引情報取得部と、取引金融機関から被監査企業の残高情報を取得する残高情報取得部と、取引情報及び残高情報を蓄積して被監査企業の通常取引情報を生成する通常取引情報生成部と、通常取引情報から乖離した被監査企業の取引情報または残高情報のいずれかもしくは両方が存在するか否かを判定する判定部と、被監査企業の取引情報または残高情報のいずれかもしくは両方が通常取引情報から乖離している場合に異常情報を生成する異常情報生成部と、異常情報を被監査企業に通報する通報部とを備えるため、人力に依存すること無く、しかも、企業の幅広い取引について常時の監査が可能であり、監査の結果を企業に早期に通報して企業の不正な取引の拡大を防ぐことができる。併せて、外部監査システム、外部監査方法、外部監査プログラムにおいても、同様の効果が見込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】外部監査装置を含む外部監査システムの構成を示す模式図である。
図2】外部監査装置の構成を示す概略ブロック図である。
図3】外部監査装置の機能部を示す概略ブロック図である。
図4】取引情報の取得と残高情報の取得を示す模式図である。
図5】(A)商品販売数、(B)在庫記録、及び(C)残高情報よりなる通常取引情報であり、異常時の(D)商品販売数、(E)在庫記録、及び(F)残高情報の模式図である。
図6】取引情報と残高情報を示す模式図である。
図7】異常情報の通報の例の表示画面である。
図8】アクセスの遮断を示す模式図である。
図9】機械学習部による通常取引情報の生成を示す模式図である。
図10】被監査企業の他の実施形態の模式図である。
図11】外部監査方法の処理を説明する第1フローチャートである。
図12】外部監査方法の処理を説明する第2フローチャートである。
図13】外部監査方法の処理を説明する第3フローチャートである。
図14】外部監査方法の処理を説明する第4フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施形態の外部監査システムは外部監視装置を備え、依頼者である被監査企業の外部から当該被監査企業の取引、会計等の企業内の不正行為を監査、監視する。そして、不正が予見される段階、ないしは不正の初期の段階において被監査企業、さらには監査法人に対して、所定の通報を行う。こうして、不正のおそれに対する注意喚起が促され、または初期に発覚した不正行為への企業の対策が促される。
【0019】
実施形態の外部監査システム1の概要構成は、図1の模式図として表される。外部監査システム1において、被監査企業3と、その被監査企業3の取引金融機関4はネットワーク回線Ntにより接続され、さらに、被監査企業3及び取引金融機関4は外部監査装置2とネットワーク回線Ntにより接続される。このように、各所はネットワーク回線Ntにより相互接続されている。
【0020】
各所を接続するネットワーク回線Ntには、公知のインターネット回線が利用される。加えて、被監査企業3、取引金融機関4、及び外部監査装置2の間のデータの送受信を確保するための専用回線が設置されて運用されても良い。
【0021】
被監査企業3は、いわゆる会社であり、外部監査システム1のサービスを利用し被監査企業3の外部に置かれている外部監査装置2を通じて、自企業内の取引、会計等の不正の監査、監視をしてもらう企業であり、上場企業、非上場企業を問わない。また、株式会社、合同会社、有限会社等の形態も任意である。さらには、社団法人、財団法人、医療法人、農事法人等の法人各を有する組織も含められる。また、後述するとおり、被監査企業3が子会社または持分法適用会社を有している場合、当該被監査企業3の子会社または持分法適用会社も被監査企業3に含められる。
【0022】
取引金融機関4は、被監査企業3の当座預金または普通預金を扱う金融機関であり、主に銀行である。さらに取引金融機関4に信用金庫、信用組合等の金融機関も含められる。なお、取引金融機関4の数は一行の銀行に限られず、複数行としてもよい。
【0023】
外部監査装置2は、被監査企業3から当該被監査企業3における取引情報を取得し、さらに、取引金融機関4から被監査企業3の残高情報を取得し、相互に照合する機能を備える。そして、異常な取引を検出した場合に被監査企業3に通報する機能を備える。外部監査装置2の詳細については、図2以降を用い詳述する。
【0024】
図1の模式図のとおり、被監査企業3、取引金融機関4、及び外部監査装置2は相互にネットワーク回線Ntにより接続される。ここで、被監査企業3から取引金融機関4への入出金等の各種データの送信には、例えば、API(Application Programming Interface)認証等の処理が用いられ、相互のデータの授受の安全性(データ送信のセキュリティ)が高められている。被監査企業3から外部監査装置2への各種データの送信に際しても、適宜の承諾承認が設定される。そして、取引金融機関4から外部監査装置2へは、当該取引金融機関4に記録された被監査企業3の残高情報が提供される。
【0025】
さらに、図1の模式図から理解されるように、外部監査装置2における判定結果となる異常情報は、被監査企業3と契約の監査法人5に通報される。その上で、判定結果となる異常情報は、被監査企業3の内部監査の担当者6、さらには、監査法人5に属する被監査企業3を担当する公認会計士7に連絡される。図中、監査法人5にはサーバ5aが接続されている。
【0026】
実施形態の外部監査システム1は、外部監査装置2と監査法人5を別に分けて構成している。図示の外部監査システム1では、同システムの外部監査装置2が、複数の被監査企業3と複数の監査法人5に対して外部監査のサービスを提供する形態である。これに代えて、監査法人5自体が外部監査装置2を備え、当該監査法人5が外部監査装置2を用いて担当する被監査企業3(クライアント企業)の監査をする形態としてもよい。
【0027】
外部監査装置2は、図2の概略ブロック図に示されるように、ハードウェア的には、インプット/アウトプットインターフェイス11(I/Oバッファ)、ROM12、RAM13、記憶部14、CPU15等を実装するコンピュータ部10である。ソフトウェア的には、メインメモリにロードされた外部監査プログラム等により実現される。外部監査装置2(コンピュータ部10)は、具体的には、パーソナルコンピュータ(PC)、メインフレーム、ワークステーション、クラウドコンピューティングシステム等、種々の電子計算機(計算リソース)である。
【0028】
図1及び図2の外部監査装置2(コンピュータ部10)の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、外部監査装置2は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行することで実現される。このプログラムを格納する記録媒体は、「一時的でない有形の媒体」、例えば、CD、DVD、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、このプログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワーク、放送波等)を介して外部監査システム1の外部監査装置2に供給されてもよい。
【0029】
外部監査装置2(コンピュータ部10)の記憶部14は、HDDまたはSSD等の公知の記憶装置である。記憶部14は、各種のデータ、情報、外部監査プログラム、同プログラムの実行に必要な各種のデータ等を記憶する。また、各種の算出、演算等の演算実行する各機能部はCPU15等の演算素子である。加えて、キーボード、マウス等の入力装置、ディスプレイ等の表示装置、データ類を出力する出力装置等も適式のコンピュータ部10のインプット/アウトプットインターフェイス11に接続される。
【0030】
外部監査装置2(コンピュータ部10)のCPU101における各機能部は、図3の概略ブロック図のとおり、取引情報取得部110、残高情報取得部120、通常取引情報生成部130、判定部140、遮断検出部150、変更検出部160、異常情報生成部170、通報部180、そして、機械学習部190を備える。外部監査装置2の動作、実行は、ソフトウェア的に、メインメモリにロードされた外部監査プログラム等により実現される。
【0031】
外部監査システム1における外部監査装置2について、図4以降の図面を交えて説明する。
【0032】
取引情報取得部110は、被監査企業3から、当該被監査企業の取引情報30を取得する。取引情報30とは、被監査企業3の企業活動に伴い生じる各種の情報であり、具体的には、図4の模式図のとおり、商品またはサービスに関しての購入または販売の決済記録31(現金、預金、売掛金、買掛金、前払費用、前受金等)、被監査企業3の倉庫等に存在する在庫記録32(棚卸資産)、商品またはサービスに関する受発注記録33、さらには、被監査企業3の損益計算書34(P/L)、貸借対照表35(B/S)等の会計資料も含められる。加えて、取引情報30には、証券(株式)、債券(公社債)、金融派生商品(デリバティブズ)等の各種金融商品の購入、売却、発行、起債等の数量、金額の情報、税金(所得税、法人税、消費税、地方税等の各種の税金)の種類、金額の情報も含められる。
【0033】
例えば、被監査企業3が製造業の企業であれば、在庫記録32として、製品(最終製品、半製品、仕掛品)の数量の把握、製品製造のための原材料仕入高、製品出荷数、在庫数となる。被監査企業3の損益計算書34(P/L)及び貸借対照表35(B/S)については、月次決算であれば1箇月毎、四半期決算であれば3箇月毎、半期決算であれば半年ごと、通期決算であれば期末の計上値である。
【0034】
被監査企業3の取引情報30には、被監査企業3の日常の企業活動が反映されている。そこで、被監査企業3の取引情報30を常時の監査の対象とすることにより、企業活動における不正の発見、さらには初期の段階における検出に役立つ。
【0035】
残高情報取得部120は、取引金融機関4から被監査企業3の残高情報40を取得する。取引金融機関4は被監査企業3の当座預金を管理する立場にある。そのため、取引金融機関4は被監査企業3の決済の情報を把握することができる。そこで、被監査企業3の残高情報40の常時追跡により、仮に通常の企業活動とは異なる不自然な入金、出金の監視が可能となる。むろん、取引金融機関4が複数行存在する場合には、各行の残高情報40が取得される。
【0036】
通常取引情報生成部130は、取引情報30及び残高情報40を蓄積して被監査企業の通常取引情報50を生成する。図4のとおり、被監査企業3からの取引情報30(31ないし35)及び取引金融機関4からの残高情報40が外部監査装置2に送信(取得)される。ここで言う通常取引情報50とは、被監査企業3の営業活動に伴う製品の販売及びサービスの提供、資産(動産、不動産)の購入または売却等の企業活動全般の行為と、当該行為に伴った金銭の入出金とを連携(紐付け)して、企業活動の内容とその入出金量を把握できるようにした情報である。
【0037】
判定部140は、通常取引情報50から乖離した被監査企業3の取引情報30または残高情報40のいずれかもしくは両方が存在するか否かを判定する。
【0038】
異常情報生成部170は、被監査企業3の取引情報30または残高情報40のいずれかもしくは両方が50通常取引情報から逸脱している場合に異常情報60(図5図6参照)を生成する。
【0039】
通報部180は、異常情報60を被監査企業3に通報する。
【0040】
外部監査装置2における通常取引情報50の生成に際し、図5の模式図が参照される。図5の形態では、一例として、所定期間として前期までの1会計年度(12箇月)に亘る取引情報30及び残高情報40が蓄積され、商品販売数、出庫数、残高の推移が示されている。図中の1Q、2Q、3Q、4Qは四半期を示す。
【0041】
図5(A)は被監査企業3からの取引情報30に含まれる商品販売数(販売の決済記録31)の年間推移である。図5(B)は在庫記録32の年間推移である。通常季節性商品の場合、販売量が増加する時期に先だって生産量を増やして在庫を増す。そして、図5(C)は残高情報40の年間推移である。実際の販売の場合、現金決済よりも売掛金として手形決済が多い。そのため、売上の計上時と実際の手形振り出しの入金時に3箇月前後の時期ずれが生じる。図5(A)、(B)、及び(C)の商品販売数、在庫記録、及び残高情報(前期までの平均)が正常時の被監査企業3の通常取引情報50となる。取引情報30と残高情報40が所定期間に亘り蓄積され、例えば、商品販売数であれば前期、前々期等と比較して各月での平均が求められる。在庫記録及び残高情報も同様である。そうすると、複数会計年分の変動が緩和されて、被監査企業3の通常取引情報50が生成される。
【0042】
図5(D)、(E)、及び(F)は、図5(A)、(B)、及び(C)の商品販売数、在庫記録、及び残高情報の項目と対応する。双方とも、期初から期末までの年間推移が示される。図5(D)は今期の商品販売数(販売の決済記録31)の年間推移である。図5(A)との比較から上振れているため販売が好調である。また、図5(F)の残高情報40も増加している。この場合、被監査企業3の業績向上が見込まれる。しかし、図5(E)の在庫記録32によると、図5(B)との変化が少ない。図5(D)、(E)、及び(F)の破線は図5(A)、(B)、及び(C)の通常取引情報を示し、差分を明示するための表示である。
【0043】
図5の場合、被監査企業3の製品単価の値上げ以外として、在庫記録に大きな変化が無いことから、実際に製品出荷が行われてはおらず、単に伝票操作だけの可能性があり、被監査企業3が主体となる循環取引等の不正会計処理の存在が疑われる。図示を省略するが、原材料仕入高の取引情報30も検証に考慮される。実際の製品販売数量は例年通りでありながら、製品出荷を帳簿上で増やして売上計上した可能性が考えられる。
【0044】
そこで、判定部140は、「図5(A)、(B)、及び(C)の商品販売数、在庫記録、及び残高情報が正常時の被監査企業3の通常取引情報50(複数年の平均化したもの)」と、「図5(D)、(E)、及び(F)の商品販売数、在庫記録、及び残高情報(或る期の疑義があるもの)」とを比較する。在庫記録(図5(E))は通常取引情報の在庫記録(図5(B))と大きく変動していない。しかし、商品販売数(図5(D))と残高情報(図5(F))は大きく伸びている。本来ならば在庫記録も相応に進捗しているはずである。つまり、商品販売数と在庫数との間に矛盾が生じている(取引情報が通常取引情報から乖離している。)。具体的には、通常取引情報50に含まれる同月の商品販売数及び残高情報と、図5(D)と(F)の商品販売数及び残高情報との差分がそれぞれ求められる。すると、本来、現れるはずの在庫記録の増加が存在しないことから矛盾が発覚する。
【0045】
この比較から判定部140は、「常取引情報からの逸脱あり」とする判定結果を生成する。そして、異常情報生成部170は、常取引情報からの逸脱の証拠として、図5(D)、(E)、及び(F)の商品販売数、在庫記録、及び残高情報が被監査企業3の異常情報60として生成する。
【0046】
通常取引情報50の生成に際しては、図5の所定期間とせずに、毎日、毎時の逐次の取引情報30と残高情報40の照合の記録とすることができる。例えば、図6の模式図は、或る日(20xx年yy月zz日)における被監査企業3の取引情報30に含まれる商品販売数(販売の決済記録31)が示される。そして、同日の取引金融機関4の残高情報40が示される。この例では、当該日(20xx年yy月zz日)における被監査企業3の取引情報30に含まれる商品販売数(販売の決済記録31)と、残高情報40の組み合わせが通常取引情報50となる。
【0047】
商品販売数が現金決済である場合、販売と同時に販売価格×販売数の金額が売上として、残高情報40に加算される。当然ながら、販売価格と販売数は判明している。対応する売上金額が残高情報40に存在していなければ、不当廉売または架空取引の可能性がある。具体的には、本来の正常な売上金額は判明しており、本来の正常な売上金額の増加が見込まれる残高情報と、実際の残高情報との差分から、異常の検出が可能となる。このような毎日の企業活動における取引情報30と残高情報40の照合の記録も被監査企業3の異常情報60として生成される。
【0048】
外部監査装置2の通報部180は、クライアントである被監査企業3に対し、判定部140において検出された通常取引情報50からの乖離ありの結果、及び異常情報60を通報する。また、通報部180は被監査企業3に加えて、当該被監査企業3と契約の監査法人5に対しても同様の乖離ありの結果及び異常情報60を通報することとしてもよい。その後、監査法人5から被監査企業3の内部監査の担当者6、さらには、監査法人5に属する被監査企業3を担当する公認会計士7に連絡される。
【0049】
通報部180からの通報の例(表示画面の例)として、図7(A)は前出の図5の所定期間に亘る追跡から発覚した不正行為の通報例に対応する。被監査企業3の内部監査の担当者6または被監査企業3を担当する公認会計士7の端末の表示装置(図示せず)に、『警告!AAA社の20aa年bb月からcc月の商品PPの販売数量、在庫、売掛金を確認してください。』という表示が現れる。
【0050】
また、図7(B)は前出の図6の或る1日の追跡から発覚した不正行為の通報例に対応する。被監査企業3の内部監査の担当者6または被監査企業3を担当する公認会計士7の端末の表示装置(図示せず)に、『警告!BBB社の20xx年yy月zz日の商品QQの販売数量を確認してください。』という表示が現れる。
【0051】
こうして、被監査企業3に生じた不正発生の事実、不正の兆候等が被監査企業3をはじめとする関係者の間に共有され、迅速に不正問題への対処が可能となる。なお、外部監査装置2自体が監査法人5の内部に設置される場合であっても、同様に逸脱ありの結果及び異常情報60は通報される。
【0052】
実施形態の外部監査システム1(外部監査装置2)には遮断検出部150と変更検出部160が備えられる。
【0053】
遮断検出部150は、被監査企業3と取引金融機関4との間のアクセスの遮断、または、被監査企業3と外部監査装置2との間のアクセスの遮断を検出する。実施形態の外部監査システム1では、被監査企業3、取引金融機関4、外部監査装置2は相互にネットワーク回線Ntにより接続されている(図1参照)。仮に、図8の模式図のように、被監査企業3と取引金融機関4との間にアクセスの遮断(図中のX)が生じる場合、その間の入出金の記録(残高情報40)が取引金融機関4に残らず、被監査企業3は何らかの秘匿したい入出金を行った可能性がある。
【0054】
また、被監査企業3と外部監査装置2(監査法人5内の設置の場合も含まれる)との間にアクセスの遮断(図中のX)が生じる場合、その間の取引情報30の記録が取引金融機関4に残らず、被監査企業3は何らかの秘匿したい取引を行った可能性がある。
【0055】
各所間のアクセスの遮断が生じること自体が極めて不自然であるとみなすことができる。そこで、通報部180は、検出されたアクセスの遮断を異常情報60の一態様として被監査企業3、さらには監査法人5に通報する。このような通報を受けた被監査企業3または監査法人5は、内部調査を行い不正取引が少ない段階または予兆の段階で対策を講ずることができる。
【0056】
変更検出部160は、取引情報取得部110に取得された後の取引情報30(31ないし35)の変更を検出する。被監査企業3において、一度、商品の販売、仕入等の取引が成立した後は、返品、値引等の正規の処理を経なければ、みだりに取引情報30の変更は認められるべきではない。すると、社内の規定、会計上の規約に則った処理無く取引情報30の変更が生じたときとは、被監査企業3における取引、会計上の違法な改竄である可能性が高い。
【0057】
そこで、通報部180は、検出された取引情報30の変更を異常情報60の一態様として被監査企業3、さらには監査法人5に通報する。このような通報を受けた被監査企業3または監査法人5は、内部調査を行い取引、会計上の違法な改竄が少ない段階または予兆の段階で対策を講ずることができる。
【0058】
実施形態の外部監査システム1(外部監査装置2)の変形例として、通常取引情報生成部130は機械学習部190を備える。機械学習部190は、図5のように、所定期間に亘り取引情報30及び残高情報40を蓄積することにより、被監査企業3の取引活動から妥当な取引量と残高量を推定する。この推定値が通常取引情報50として生成される。図9は機械学習部190の概略を示す模式図である。
【0059】
被監査企業3の取引情報30として、決済記録31、在庫記録32、受発注記録33、さらには、損益計算書34、貸借対照表35等の会計資料が含められ、これらは、取引情報取得部110を通じて機械学習部190に入力される。また、取引金融機関4から被監査企業3の残高情報40は残高情報取得部120を通じて機械学習部190に入力される。各種の入力された情報に基づいて、機械学習部190ではサポートベクター(Support Vector Machine:SVM)、モデルツリー、決定ツリー、ニューラルネットワーク、多重線形回帰、局部的重み付け回帰、確立サーチ方法等の機械学習の手法が用いられ、推定値としての通常取引情報50が生成される。
【0060】
例えば、ニューラルネットワークが用いられる場合、取引情報30として、決済記録31、在庫記録32、受発注記録33、残高情報40等の金額から、当該被監査企業3の所定期間の標準的な取引活動として通常取引情報50が生成される。そこで、この通常取引情報50から逸脱する量の取引が生じるような場合、何らかの不正取引の介在が疑われる。さらには、前出の図5(A)、(B)及び(C)から導き出される通常取引情報50と、図5(D)、(E)及び(F)の異常が疑われる(異常情報60)の例も、機械学習のデータとして活用される。
【0061】
機械学習部190において機械学習を実行させることにより、取引情報30の中に複数種類存在する個々の記録等同士の追跡が容易となる。通常取引情報50を生成する場合、取引情報30の中の記録の種類に偏りが生じやすい。その点、機械学習では、重み付けの軽重はあるものの、客観的な推定が可能である。
【0062】
被監査企業3の企業形態も多様化しており、単独の企業体である他に、複数の企業をグループ企業として有している場合がある。その場合、当該被監査企業3のみならずグループ企業を含めた監査、監視が求められる。現状、株式の支配関係によりグループ企業には連結決算が適用される。すると、グループ企業に属する1社において不正行為、不正会計が発覚すると、グループ企業全体に影響が及ぶ。
【0063】
被監査企業3のグループ企業を網羅するにしても、際限なく広げると煩雑さが増す。そこで、被監査企業3のグループ企業は株式の出資割合、資本の支配比率によりまとめられる。具体的には、被監査企業3が子会社または持分法適用会社を有している場合には、子会社または持分法適用会社についても、既述のとおり被監査企業3と同様に子会社または持分法適用会社についてもそれらの企業の取引情報30と残高情報40が外部監査装置2により取得される。
【0064】
図10の模式図は、被監査企業3に加えて、被監査企業3の子会社3aと持分法適用会社3bが存在する状況を示す。被監査企業3、子会社3a、及び持分法適用会社3bは、外部監査装置2(監査法人5内の設置の場合も含まれる)とネットワーク回線Ntにより接続されている。そして、被監査企業3、子会社3a、及び持分法適用会社3bはそれぞれ取引金融機関4とネットワーク回線Ntにより接続されている。このため、被監査企業3とそのグループ企業内の不正取引の監査にも対応できる。
【0065】
一連の説明にあるとおり、実施形態の外部監査システム1並びに外部監査装置2は、通常人力に依存する監査業務について、人力に依存せずシステムとして自動的に不正の可能性が疑われる取引を検出して通報する。このため、不正な取引の発覚から企業及び監査法人の対応が速まる。特に、現状、監査法人から金融機関に残高確認状を依頼すると、署名または押印の確認に手間取ることに加え、郵送時間の損失、郵送物の亡失等の問題がある。そのため、既存の監査の仕方では、常時(リアルタイム)の確認は困難である。そのため、本来的には全部の取引の監査が望ましいながら、一部取引のみの抽出により監査の適正さを図ることに留まっていた。これに対し、実施形態では、自動化されているので、常時(リアルタイム)の確認が実現する。また、従前困難であった全部の取引の監査も可能となる。特に、外国の金融機関の場合、残高確認状が発行されることはほとんど無く、海外との取引においては照合する方法が無い。しかし、実施形態の外部監査システム1並びに外部監査装置2が導入されると、金融機関の作業負担も無く監査業務への協力の障壁も低くなる。
【0066】
これより、図11ないし図14のフローチャートを用い、外部監査システム1(外部監査装置2)における外部監査方法と外部監査プログラムをともに説明する。外部監査方法は、外部監査プログラムに基づいて、外部監査装置2(コンピュータ部10)のCPU15により実行される。外部監査プログラムは、図2の外部監査装置2(コンピュータ部10)に対して、取引情報取得機能、残高情報取得機能、通常取引情報生成機能、判定機能、異常情報生成機能、通報機能、さらには、遮断検出機能、変更検出機能、機械学習機能の各種機能を実行させる。各機能は前述の外部監査装置2の説明と重複するため、詳細は省略する。
【0067】
図11のフローチャートより、外部監査装置2(コンピュータ部10)の処理は、取引情報取得ステップ(S110)、残高情報取得ステップ(S120)、通常取引情報生成ステップ(S130)、判定ステップ(S140)、異常情報生成ステップ(S170)、通報ステップ(S180)を備える。さらに、外部監査装置2(コンピュータ部10)は、図12のフローチャートより遮断検出ステップ(S150)、図13のフローチャートより変更検出ステップ(S160)、図14のフローチャートより機械学習ステップ(S190)の各種ステップを備える。むろん、外部監査装置2(コンピュータ部10)自体の可動に必要な各種ステップは当然に含まれる。
【0068】
取引情報取得機能は、被監査企業3から被監査企業3の取引情報30を取得する(S110;取引情報取得ステップ)。残高情報取得機能は、取引金融機関4から被監査企業3の残高情報40を取得する(S120;残高情報取得ステップ)。通常取引情報生成機能は、取引情報30及び残高情報40を蓄積して被監査企業3の通常取引情報50を生成する(S130;通常取引情報生成ステップ)。判定機能は、通常取引情報50から乖離した被監査企業3の取引情報30または残高情報40のいずれかもしくは両方が存在するか否かを判定する。被監査企業3の取引情報30または残高情報40のいずれかもしくは両方が通常取引情報50から外れているか否かを判定する(S140;判定ステップ)。異常情報生成機能は、被監査企業3の取引情報30または残高情報40のいずれかもしくは両方が通常取引情報50から外れている場合に異常情報60を生成する(S170;異常情報生成ステップ)。通報機能は、異常情報60を被監査企業3に通報する(S180;通報ステップ)。これらの各機能は外部監査装置2(コンピュータ部10)のCPU15により実行される。
【0069】
遮断検出機能は、被監査企業3と取引金融機関4との間のアクセスの遮断、または、被監査企業3と外部監査装置2との間のアクセスの遮断を検出する(S150;遮断検出ステップ)。変更検出機能は、取引情報取得部110に取得された後の取引情報30の変更を検出する(S160;変更検出ステップ)。機械学習機能は、所定期間に亘り取引情報30を蓄積するとともに、所定期間に亘り残高情報40を蓄積して通常取引情報50を生成する。これらの各機能は外部監査装置2(コンピュータ部10)のCPU15により実行される。
【0070】
上述した本発明のコンピュータプログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。
【0071】
なお、上記コンピュータプログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の外部監査装置並びに外部監査システムによると、企業の取引について常時の監査を可能とし、監査の結果を企業にいち早く通報することができることから、企業は不正な取引、問題ある会計処理への対処を迅速に行うことができる。併せて、外部監査方法及び外部監査プログラムにおいても、同様の効果が見込まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 外部監査システム
2 外部監査装置
3 被監査企業
4 取引金融機関
5 監査法人
6 内部監査の担当者
7 公認会計士
10 コンピュータ部
11 インプット/アウトプットインターフェイス
12 ROM
13 RAM
14 記憶部
15 CPU
30 取引情報
40 残高情報
50 通常取引情報
60 異常情報
110 取引情報取得部
120 残高情報取得部
130 通常取引情報生成部
140 判定部
150 遮断検出部
160 変更検出部
170 異常情報生成部
180 通報部
190 機械学習部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14