IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニの特許一覧

特許7568506ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体
<>
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図1
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図2
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図3
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図4
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図5
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図6
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図7
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図8
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図9
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図10
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図11
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図12
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図13
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図14
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図15
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図16
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図17
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図18
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図19
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図20
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図21
  • 特許-ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ディスクブレーキディスク用固定キャリパ本体
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/02 20060101AFI20241008BHJP
   F16D 55/228 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
F16D65/02 C
F16D65/02 E
F16D55/228
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020544481
(86)(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 IB2019051419
(87)【国際公開番号】W WO2019162871
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】102018000002973
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ピエトロ・バラーレ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・ミラネージ
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0231354(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第04324988(DE,A1)
【文献】特表平05-503345(JP,A)
【文献】特表2004-501329(JP,A)
【文献】国際公開第2017/021874(WO,A1)
【文献】実開平02-058126(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第102008029582(DE,A1)
【文献】特開2009-275856(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第01160713(GB,A)
【文献】独国特許出願公開第10133404(DE,A1)
【文献】米国特許第05257679(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0178261(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02225396(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/02
F16D 55/228
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクブレーキ(2)用の固定キャリパ本体(1)であって、
前記ディスクブレーキ(2)は、対向するブレーキ面(3,4)と、軸方向(X-X)の回転軸(A-A)を中心に回転するように構成された軸対称のディスク本体(5)を有し、
前記ディスク本体(5)は、前記軸方向(X-X)に直交する径方向(R-R)に沿って、また、前記軸方向(X-X)と前記径方向(R-R)の両方に直交する周方向(C-C)に沿って延在しており、
前記固定キャリパ本体(1)は、
第1スラスト装置(8)に第1ブレーキ動作を生成させる少なくとも第1ハウジング(7)を有する第1本体半部(6)であって、前記ディスクブレーキ(2)の前記対向するブレーキ面(3,4)のうちの第1ブレーキ面(3)に直接又は間接に対向するように構成されている、第1本体半部(6)と、
第2スラスト装置(11)に第2ブレーキ動作を生成させる少なくとも第2ハウジング(10)を有する第2本体半部(9)であって、前記ディスクブレーキ(2)の前記対向するブレーキ面(3,4)のうちの第2ブレーキ面(4)に直接又は間接に対向するように構成されている、第2本体半部(9)と、
前記第2本体半部(9)を前記第1本体半部(6)に連結するための第1ブリッジ要素(12)であって、前記第1ブリッジ要素(12)は、第1静止面(14)に沿って延在する第1ブリッジ面(13)と第2静止面(16)に沿って延在する第2ブリッジ面(15)を有する、第1ブリッジ要素(12)を備えており、
前記第1本体半部(6)は、前記第2本体半部(9)に向かって前記軸方向(X-X)に片持ち状態で突出する第1突出部(17)を有し、
前記第2本体半部(9)は、前記第1本体半部(6)に向かって前記軸方向(X-X)に片持ち状態で突出する第2突出部(18)を有し、
前記第1本体半部(6)、前記第2本体半部(9)、及び前記第1ブリッジ要素(12)は、3つの互いに分離可能な部材であり、
前記第1本体半部(6)の前記第1突出部(17)は、前記第1ブリッジ要素(12)が前記第1本体半部(6)に連結されている状態で前記第1ブリッジ要素(12)の前記第1静止面(14)に沿って延在し且つ前記第1ブリッジ要素(12)の第1ブリッジ面(13)に平行な第1案内面(19)を有し、
前記第2本体半部(9)の前記第2突出部(18)は、前記第1ブリッジ要素(12)が前記第2本体半部(9)に連結されている状態で前記第1ブリッジ要素(12)の前記第2静止面(16)に沿って延在し且つ前記第1ブリッジ要素(12)の第2ブリッジ面(15)に平行な第2案内面(20)を有し、
前記第1ブリッジ要素(12)は、前記第1ブリッジ要素(12)を前記第1本体半部(6)に連結することによって、前記第1本体半部(6)の前記第1案内面(19)に対して前記第1ブリッジ面(13)を静止させて、前記第1ブリッジ要素(12)を前記周方向(C-C)に静止させ、
前記第1ブリッジ要素(12)は、前記第1ブリッジ要素(12)を前記第2本体半部(9)に連結することによって、前記第2本体半部(9)の前記第2案内面(20)に対して前記第2ブリッジ面(15)を静止させて、前記第1ブリッジ要素(12)を前記周方向(C-C)に静止させ、
前記第1本体半部(6)の前記第1突出部(17)と前記第2本体半部(9)の前記第2突出部(18)の少なくとも一方はパッド支持面(34)を有し、
前記パッド支持面(34)は、前記対向するブレーキ面(3,4)を横断する方向に向けて延在し、少なくとも一つのブレーキパッド(35)を周方向に静止させるように受ける、固定キャリパ本体(1)。
【請求項2】
前記固定キャリパ本体(1)は、前記第2本体半部(9)を前記第1本体半部(6)に連結して支持させる第2ブリッジ要素(21)を有し、
前記第2ブリッジ要素(21)は、第3静止面(23)に沿って延在する第3ブリッジ面(22)と、第4静止面(25)に沿って延在する第4ブリッジ面(24)を有し、
前記第1本体半部(6)は、前記第2本体半部(9)に向かって前記軸方向(X-X)に片持ち状態で突出する第3突出部(26)を有し、
前記第2本体半部(9)は、前記第1本体半部(6)に向かって前記軸方向(X-X)に片持ち状態で突出する第4突出部(27)を有し、
前記第1本体半部(6)の前記第3突出部(26)は、前記第2ブリッジ要素(21)が前記第1本体半部(6)に連結された状態で、前記第2ブリッジ要素(21)の前記第3静止面(23)に沿って延在し且つ前記第2ブリッジ要素(21)の前記第3ブリッジ面(22)に平行な第3案内面(28)を有し、
前記第2本体半部(9)の前記第4突出部(27)は、前記第2ブリッジ要素(21)が前記第2本体半部(9)に連結された状態で、前記第2ブリッジ要素(21)の前記第4静止面(25)に沿って延在し且つ前記第2ブリッジ要素(21)の前記第4ブリッジ面(24)に平行な第4案内面(29)を有し、
前記第2ブリッジ要素(21)は、前記第2ブリッジ要素(21)を前記第1本体半部(6)に連結することによって、前記第1本体半部(6)の前記第3案内面(28)に対して前記第3ブリッジ面(22)を静止させて、前記第2ブリッジ要素(21)を前記周方向(C-C)に静止させ、
前記第2ブリッジ要素(21)は、前記第2ブリッジ要素(21)を前記第2本体半部(9)に連結することによって、前記第2本体半部(9)の前記第4案内面(29)に対して前記第4ブリッジ面(24)を静止させて、前記第2ブリッジ要素(21)を前記周方向(C-C)に静止させる、請求項1に記載の固定キャリパ本体(1)。
【請求項3】
前記第1ブリッジ要素(12)は第1静止ブリッジ面(30)を有し、
前記第2ブリッジ要素(21)は第2静止ブリッジ面(31)を有し、
前記第1ブリッジ要素(12)と前記第2ブリッジ要素(21)が前記第1本体半部(6)及び前記第2本体半部(9)に連結された状態で、前記第1静止ブリッジ面(30)及び前記第2静止ブリッジ面(31)は前記径方向(R-R)と前記周方向(C-C)に延在し、
前記第1本体半部(6)は2つの第1の径方向に延在する静止面(32)を有し、
前記第2本体半部(9)は2つの第2の径方向に延在する静止面(33)を有し、
前記第1ブリッジ要素(12)は、前記第1ブリッジ要素(12)を前記第1本体半部(6)及び前記第2本体半部(9)に連結することによって、前記第1静止ブリッジ面(30)及び前記第2静止ブリッジ面(31)を前記第1本体半部(6)の一方の前記第1の径方向に延在する静止面(32)と前記第2本体半部(9)の一方の前記第2の径方向に延在する静止面(33)に静止させて、前記第1ブリッジ要素(12)を前記軸方向(X-X)に静止させ、
前記第2ブリッジ要素(21)は、前記第2ブリッジ要素(21)を前記第1本体半部(6)及び前記第2本体半部(9)に連結することによって、前記第1静止ブリッジ面(30)及び前記第2静止ブリッジ面(31)を前記第1本体半部(6)の他方の前記第1の径方向に延在する静止面(32)と前記第2本体半部(9)の他方の前記第2の径方向に延在する静止面(33)に静止させて、前記第2ブリッジ要素(21)を前記軸方向(X-X)に静止させる、請求項2に記載の固定キャリパ本体(1)。
【請求項4】
前記第1本体半部(6)及び前記第2本体半部(9)は第1材料で作られており、
前記第1ブリッジ要素(12)及び前記第2ブリッジ要素(21)は、前記第1材料とは異なる第2材料で作られている、請求項3に記載の固定キャリパ本体(1)。
【請求項5】
前記第1材料はアルミニウムであり、
前記第2材料は、炭素繊維、ガラス、玄武岩、アルミニウム、炭化ケイ素、又はシリコン繊維で補強されたセラミック又はポリマーであり、
前記第1材料は前記第2材料よりも高密度であり、
前記第2材料は、前記第1材料の弾性率よりも大きな弾性率を有する、請求項4に記載の固定キャリパ本体(1)。
【請求項6】
前記第1本体半部(6)において、前記第1案内面(19)と前記第1の径方向に延在する静止面(32)は、互いに直交する平坦な面であり、隣接して縁を形成し、
前記第2本体半部(9)において、前記第2案内面(20)と前記第2の径方向に延在する静止面(32)は、互いに直交する平坦な面であり、隣接して縁を形成し、
前記第1ブリッジ要素(12)において、前記第1ブリッジ面(13)と前記第1静止ブリッジ面(30)は、互いに直交する平坦な面であり、隣接して縁を形成し、
前記第2ブリッジ要素(21)において、前記第2ブリッジ面(15)と前記第2静止ブリッジ面(31)は、互いに直交する平坦な面であり、隣接して縁を形成し、
前記第1ブリッジ要素(12)と前記第2ブリッジ要素(21)は、前記ディスクブレーキ(2)を跨いで配置されるように構成されている逆U形状のブリッジハウジング(39)を形成し、
前記ブリッジハウジング(39)は、前記ディスクブレーキ(2)に対向する箇所が、前記第1ブリッジ要素(12)又は前記第2ブリッジ要素(21)に固定された熱保護シート(44)によって遮蔽されており、
前記第1ブリッジ要素(12)及び前記第2ブリッジ要素(12)はそれぞれ、前記第1本体半部(6)と前記第2本体半部(9)のそれぞれに少なくとも一部が対向する第1ブリッジ側壁(36)及び第2ブリッジ側壁(37)と、前記第1ブリッジ側壁(36)と前記第2ブリッジ側壁(37)を連結するブリッジ(38)を有し、
前記第1ブリッジ側壁(36)は、前記第1ブリッジ要素(12)の前記第1静止ブリッジ面(30)を形成し、
前記第2ブリッジ側壁(37)は、前記第2ブリッジ要素(21)の前記第2静止ブリッジ面(31)を形成する、請求項3に記載の固定キャリパ本体(1)。
【請求項7】
前記第1本体半部(6)及び前記第2本体半部(9)はそれぞれ本体半部貫通孔(40)を有し、
前記第1ブリッジ要素(12)及び前記第2ブリッジ要素(21)はそれぞれねじ孔付ブリッジハウジング(41)を有し、
前記固定キャリパ本体(1)は、前記本体半部貫通孔(40)に収容され且つ前記ねじ孔付ブリッジハウジング(41)にねじ込まれ、前記第1ブリッジ要素(12)及び前記第2ブリッジ要素(21)を前記第1本体半部(6)及び前記第2本体半部(9)に連結するスタッド(42)を有し、
前記第1本体半部(6)の前記第1の径方向に延在する静止面(32)及び前記第2本体半部(9)の前記第2の径方向に延在する静止面(33)はそれぞれ、前記本体半部貫通孔(40)を有し、
前記第1ブリッジ要素(12)の前記第1静止ブリッジ面(30)及び前記第2ブリッジ要素(21)の前記第2静止ブリッジ面(31)はそれぞれ、前記ねじ孔付ブリッジハウジング(41)を有し、
前記スタッド(42)が、前記本体半部貫通孔(40)に収容され、前記ねじ孔付ブリッジハウジング(41)にねじ込まれ、前記第1ブリッジ要素(12)と前記第2ブリッジ要素(21)を前記第1本体半部(6)及び前記第2本体半部(9)に連結する、請求項3-6のいずれかに記載の固定キャリパ本体(1)。
【請求項8】
前記ねじ孔付ブリッジハウジング(41)は、前記第1ブリッジ要素(12)及び前記第2ブリッジ要素(21)にキー結合された又は埋め込まれた若しくは成形されたねじ付ブッシュ(43)を有し、
前記本体半部貫通孔(40)と前記ねじ孔付ブリッジハウジング(41)は、前記軸方向(X-X)に沿って延在し、前記ディスクブレーキ(2)の前記ブレーキ面(3,4)に対向するように構成されている、請求項7に記載の固定キャリパ本体(1)。
【請求項9】
前記第1本体半部(6)及び前記第2本体半部(9)は、前記第1ハウジング(7)及び前記第2ハウジング(10)にブレーキ流体を供給し、前記ディスクブレーキ(2)の前記ブレーキ面(3,4)に当接するように構成されたブレーキパッド(35)上の第1スラスト装置(8)及び第2スラスト装置(11)にスラスト動作を加えてブレーキ動作を加えるように設けられ、
前記第1本体半部(6)は、乗物に対向して配置されてブレーキシステムに流体連結されており、
前記第1本体半部(6)及び前記第2本体半部(9)は、前記第1ブリッジ要素(12)及び前記第2ブリッジ要素(21)の少なくとも一方を外側から包む、又は前記第1ブリッジ要素(12)及び前記第2ブリッジ要素(21)の少なくとも一方に一緒に整形され又は溶接された、若しくは前記第1ブリッジ要素(12)及び前記第2ブリッジ要素(21)の少なくとも一方に孔をあけて得られた、ブレーキ流体供給パイプ(45、46、48)によって相互に流体連結されている、請求項2-8のいずれかに記載の固定キャリパ本体(1)。
【請求項10】
前記第1ブリッジ要素(12)及び前記第2ブリッジ要素(21)はブリッジクロスバー(49)によって相互に連結されており、又は
前記第1ブリッジ要素(12)及び前記第2ブリッジ要素(21)は、ブリッジクロスバー(49)によって相互に連結されて、前記第1ブリッジ要素(12)と前記第2ブリッジ要素(21)と前記ブリッジクロスバー(49)は一つの部品となっている、請求項2-9のいずれかに記載の固定キャリパ本体(1)。
【請求項11】
前記ブリッジクロスバー(49)は、乗物に対向し、前記固定キャリパ本体(1)をハブホルダに連結するように構成されており、
前記ブリッジクロスバー(49)は、前記固定キャリパ本体(1)をハブホルダに連結するねじを受けるように構成された連結ハウジング(50)を有し、
前記連結ハウジング(50)は、前記固定キャリパ本体(1)を前記ハブホルダに連結するねじを受けるように構成された連結ブッシュ(51)を有する、請求項10に記載の固定キャリパ本体(1)。
【請求項12】
前記連結ブッシュ(51)は、前記連結ハウジング(50)に固定される、又は、埋め込まれる、若しくは一緒に成形されるか一緒に溶接されている、請求項11に記載の固定キャリパ本体。
【請求項13】
前記第1ブリッジ要素(12)及び前記第2ブリッジ要素(21)は、異なる構成要素で、それぞれが前記第1本体半部(6)及び前記第2本体半部(9)に連結されており、
前記第1本体半部(6)は、乗物に対向し、前記固定キャリパ本体(1)をハブホルダに連結するねじを受けるように構成された本体連結ハウジング(53)を形成する本体連結伸長部(52)を有する、請求項に記載の固定キャリパ本体。
【請求項14】
記ディスクブレーキ(2)の前記ブレーキ面(3,4)にある関連するブレーキパッド(35)に複数のスラスト動作を適用するように、前記第1本体半部(6)は前記第1スラスト装置(8)を収容する前記第1ハウジング(7)を有し、前記第2本体半部(9)は前記第2スラスト装置(11)を収容する前記第2ハウジング(10)を有する、請求項1に記載の固定キャリパ本体(1)。
【請求項15】
請求項1-14のいずれかに記載の固定キャリパ本体と、スラスト装置(8,11)と少なくとも2つの対向するブレーキパッド(35)を有する、ブレーキキャリパ(54)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
【0002】
本発明は、乗物、必ずしも限定されるものではないが、特に高性能自動車に使用される、好ましくは、固定キャリパ式のディスクブレーキキャリパ本体に関する。
【0003】
本発明はまた、ディスクブレーキキャリパ、及び上述の型式のキャリパ本体を有するディスクブレーキアセンブリに関する。
【発明の背景】
【0004】
発明の背景
【0005】
ディスクブレーキにおいて、ブレーキキャリパは一般に、軸方向(X-X)を定義する回転軸(A-A)を中心に回転するように構成されたブレーキディスクの外周領域を跨いで配置される。ディスクブレーキにおいて、実質的に軸方向(X-X)に直交する径方向(R-R)と、軸方向(X-X)と径方向(R-R)の両方に直交する接線方向又は周方向(C-C)が定義される。
【0006】
固定キャリパディスクブレーキのキャリパ本体は、ディスクからの距離が変わらないようにディスクに関連付けされ得る。既知のキャリパ本体は、ブレーキ動作を発生するための第1手段を収容するように構成されてディスククの外側の第1ブレーキ面に対向して配置された第1本体半部、ブレーキ動作を発生するための第2手段を収容するように構成されてディスクの内側の第2ブレーキ面に対向して配置された第2本体半部を有する。第1と第2本体半部は、固定手段によって、ディスクを跨いで配置された2つのブリッジ要素に連結されている。
【0007】
「外側」の表現は、ホイールのハブとスタッドアクスル(すなわち、ハブホルダ)に取り付けられた状態で、乗物の外側に向かって対向するディスクブレーキアセンブリの側を意味する。同様に、「内側」の表現は、ホイールハブに取り付けられた状態で、乗物の内側に向かって対向するアセンブリの側を意味する。
【0008】
知られているように、ディスクブレーキ用のディスクは、そこからキャリパのパッドと協働する環状部(ブレーキバンドと名称)が伸びている乗物ハブにディスクを関連付けるように構成されたベルを有する。
【0009】
ブレーキバンドは、乗物にブレーキ動作を加えるように構成されたディスクブレーキ用キャリパと協働し、これにより、パッドによって、二つのブレーキ板(ブレーキ面と呼ばれる。)の両面に摩擦を加える、ことが意図されている。
【0010】
ブレーキの動作中、ブレーキキャリパのパッドとブレーキングバンドのブレーキ面との間の摩擦は、廃棄すべき大量の熱を発生する。
【0011】
確かに、発生した熱は多くの好ましくない現象(例えば、ブレーキングバンドの変形、ブレーキ面上におけるクラックの形成、又はブレーキバンドの劣化を招くブレーキバンドを構成する材料の局部的な状態変化。)を生じる。
【0012】
上述のように、乗物のブレーキング中、キャリパ本体を押す大きな力がクランプ動作とブレーキ動作である。これらの動作は、ブレーキ動作を生じるように構成された手段(例えば、本体半部に収容された少なくとも一対のピストンとシリンダのアセンブリであって、そのピストンはディスクの両ブレーキ面上のパッドによって動作するもの。)によって生み出される。
【0013】
ディスクのブレーキ面に対するパッドのクランプ動作は、軸方向に向けられ、ディスクを跨いで配置されたキャリパ本体の構造によってバランスが保たれる。特に、そのような動作は、ディスクを囲繞することによって閉鎖された力のループを形成するブリッジ要素によって対比される。この動作は、キャリパ本体を付勢し、ブリッジ要素を広げる、すなわち、換言すると、軸に沿って接線方向に沿って、または径方向の軸を中心とする窪みと一緒に、キャリパ本体を曲げる。
【0014】
代わりに、ブレーキ動作は、接線方向、特にディスクの回転方向に向けられる。この動作は、ディスクによってパッドに伝達され、ブリッジ要素に設けられた肩部によって対比され、例えば乗物ホイールのスタブアクスル又はハブキャリアに堅固に連結されたキャリパ本体の支持手段に向けて解放される。この動作がブリッジ要素を付勢し、これによって、本体半部を連結するために必要な部分を変形する。さらに、ブレーキ動作は、ディスクの内側に対向するキャリパ本体側にある支持手段に解放し、これによって、径方向軸を中心にキャリパ本体を曲げる。
【0015】
上述の動作は、キャリパ本体上で均一に分配されず、その大きさは時間の経過とともに変化し、これにより、ディスクブレーキが正しく動作するうえで受け入れ難いキャリパ本体の変形に加えて、振動や望ましくない甲高い音を生じる。
【0016】
したがって、従来技術に関して説明した上述の問題を解消し、特にキャリパ本体を軽量化し、ディスクブレーキを跨いで配置されたブリッジ要素を強化し、キャリパ本体の構造及びスラスト装置ハウジング(例えば、ブレーキパッドを付勢するように構成されたスラストピストンを収容するように構成されたシリンダのハウジング)の特に動作を簡略化する構造及び機能特性を有する、固定式のキャリパディスクブレーキのキャリパ本体を提案する必要性がある。
【0017】
いくつかの従来の解決策において、特に中低位性能の乗物では、フローティング式キャリパ型式のディスクブレーキを使用することが知られている。この解決策において、一つのピストン又はすべてがディスクブレーキの同じ側に配置された複数のピストンを有するキャリパは、ブレーキキャリパが支持要素(すなわち、ブラケット)に対して自由に動くことができる状態で支持されている。支持要素は、対をなすブレーキパッドを支持するために、乗物の固定部(例えば、ハブホルダ)に、支持要素をディスクに対して自由に浮遊又は移動させるスライド規制部と共に、固定されている。上述のように、浮遊式キャリパを備えたディスクブレーキの場合、ピストンはロータの片側にのみ配置されている。すなわち、ピストンは、ディスクの内側(乗物側)にのみ配置されている。
【0018】
高性能乗物の場合、高効率性によって優れたブレーキ力を生じることから、対向式ピストンディスクブレーキが一般的になっている。対向式ピストンディスクブレーキの場合、ピストンはディスクブレーキの両側に設けられている。ブレーキ動作中、一対のパッドは、両ピストンによってディスクブレーキロータの両ブレーキ面に対して押し付けられる。両ピストン式ディスクブレーキにおいて、ブレーキディスクのロータはピストンを収容するように構成されたシリンダの間に配置され、シリンダの開放側が対向している。
【0019】
したがって、これらの高性能乗物の場合、ブリッジ要素とブレーキディスクのブレーキ面に対向する本体半部との間の直交性を維持することができる大きな剛性がキャリパ本体に強く必要とされる。
【0020】
フレニ・ブレンボ株式会社の文献GB2214581は、対向ピストン又は固定キャリパ本体を有する単一ブロック式ブレーキキャリパ本体解決策を示している。
【0021】
確かに、この単一ブロック型のキャリパ本体は、ディスクブレーキに対向する細長い部分が単一の部材に一体化された複数のシリンダを有する。しかし、上述の特許公報に記載された構造は、シリンダを動作したり、単一ブロックに作られた対向ピストン方のディスクブレーキを組み合わせるために時間を要し且つ複雑な特別な方法を必要とするという欠点がある。したがって、製造コストが上昇することは避けられない。
【0022】
シリンダの動作を簡略化するために、キャリパを2つの半部で構成して連結する解決策が知られている。
【0023】
この場合、複数のシリンダを有する本体が、乗物の固定部(例えば、ハブホルダ)に連結される取付部又はアタッチメント本体半部を有するとともに内側前部のシリンダを有し、内側前部にシリンダを有する部分又は外側本体とを有する、複数の半部に分割されている。二つの本体部が必要とされるシリンダを形成するように動作されると、本体半部がボルトによって相互に連結されて固定される。
【0024】
キャリパ本体の例が、ダンロップ・ラバー・コーポレーションによる英国特許第936222号、ベンディックス・コーポレーションによる米国特許第3,261,429号公報、デイトン・ワルサー・コーポレーションによる米国特許第5,538,105号公報、ロバート・ヌルによる米国特許第5,81,886号公報から知られている。
【0025】
しかし、2つの部分からなるキャリパの上述の構造において、内側本体と外側本体を互いに取り付けて固定するためのボルトが、外側ブレーキパッドによって与えられとともに外側本体のピストンによって付勢されるブレーキトルクを受け、摩擦によって生じるブレーキ動作がロータ又はディスクブレーキの外側面と外側パッドとの間に生じる。したがって、ボルトはブレーキトルクに耐える必要がある。また、ボルトの径を大きくしなければならず、そのためにキャリパ本体が大きく且つ重くなる。乗物のアングル部又はコーナー部の端部に支持されたディスクブレーキの重量がばね下重量になり、それは弾性及び/又は緩衝要素によって止めることができない。したがって、ディスクブレーキの重量が僅かに増加した場合でも、乗物の走行性能がばね下重量の増加によって大きく影響を受ける。
【0026】
したがって、固定ブレーキキャリパの全体重量を減少させることの必要性が強く感じられる。
【0027】
この要求は、キャリパ本体を硬くする必要性とスラスト手段の動作を簡略化することの必要性に合わせて、これらの相対立する要求を最適化するものでないいくつかの公知の解決策につながる。
【0028】
例えば、2部品キャリパのアケボノ・ブレーキ・インコーポレイテッドによる米国特許第6,260,670号の解決策、3部品キャリパのフレニ・ブレンボ株式会社による欧州特許第1303708B1の解決策、3部品キャリパのコンチネンタル・テベス有限合名会社、ワレンによる米国特許出願公開公報第2006-231354号の解決策、ロバート・ビッグスによる米国特許出願公開公報第2010-170755号の解決策、及びフランコ・イオリオによる国際特許公開第2014-91423号による解決策がある。
【0029】
ギリランドによる米国特許第5,515,948号の解決策はまた、ディスクブレーキを跨いで延びるピンによって互いに連結された複数の部分からなるキャリパを示している。この公知の解決策は、所望の強度と機械的な剛性を得るために、大きな径を有する異なる部分の間にピンを設けて連結する必要がある。これにより、キャリパの径方向の寸法が全体として著しく大きくなる。その結果、その解決策は、ブレーキ動作の範囲を大きくするように構成された大型ブレーキディスクロータの現在の要求に適わず、乗物ホイールのリムの内側表面との間にほとんどスペースを残さないものであった。したがって、この公知の解決策は、大きなスチールピンを必要として、ブレーキキャリパの全体重量を減少させるという必要性に適さない。
【0030】
したがって、別々の部品からなる固定キャリパ本体であって、ブリッジと細長い部材が正確に配列され、それにより、複数の部品間の直交性が完全に保証され、その直交性によってパッドに対する問題(ジャミング、不均一な摩耗)を生じることの無い、固定キャリパ本体の提供が強く望まれている。
【0031】
また、本体半部とブリッジによって得られる平行度を高めるために、連結部材(すなわち、ブリッジ)が本体半部に連結される精度を改善することが強く望まれている。さらに、ブレーキ動作の開放面に平行又は垂直なブリッジ連結要素の支持面を提供することの必要が強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明の課題は、上述の要求を満足するとともに従来の技術にまつわる上述の問題を解消する構造上及び機能上の特性を有する固定キャリパ本体とキャリパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0033】
課題を解決するための手段
【0034】
本発明の目的は、上述の相反する要求を達成し最適化する、固定キャリパ本体、ブレーキキャリパ、及びブレーキ装置を提供することである。
【0035】
その他の目的と利点は、請求項1のキャリパ本体及び請求項10のブレーキキャリパによって達成される。
【0036】
いくつかの好適な実施形態は、従属請求項の発明である。
【0037】
この解決策を分析することにより、提案された解決策により、軽量で且つ過度に変形することなく又全体の寸法を大きくすることなくブレーキ動作を支持できるキャリパ本体を得ることができる。
【0038】
また、提案された解決策により、キャリパの本体半部の動作を著しく簡略化できる。
【0039】
さらに、提案された解決策により、従来の解決策よりも快適なブレーキ動作を得ることができ、その結果、振動が減衰し、甲高い音を発生する振動をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図面の説明
【0041】
ブレーキディスクの装置と方法の特徴と利点は、非限定的な実施例を通じて、添付図面を参照することにより、好適な実施例に関する以下の説明から明らかになる。
【0042】
図1図1は、本発明に係る固定ブレーキキャリパの乗物側斜視図である。
【0043】
図2図2は、図1のキャリパを乗物の別の視点から見た斜視図である。
【0044】
図3図3は、図1のキャリパを車輪側斜視図である。
【0045】
図4図4は、ディスク外側の回転軸から図1のキャリパを径方向図である。
【0046】
図5図5は、図1のキャリパの分解斜視図である。
【0047】
図6図6は、図1に示すキャリパ本体の部品を乗物側斜視図で、特に、ブリッジクロスバーによって連結された第1と第2のブリッジ要素を示す。
【0048】
図7図7は、図6に示すキャリパの部材の車輪側斜視図で、特に、ブリッジクロスバーによって連結された第1及び第2ブリッジ要素を示す。
【0049】
図8図8は、本体半部に対する細長い要素とハブホルダのキャリパ本体の連結ブッシュを分離した図6における部材を斜視図である。
【0050】
図9図9は、別の実施例に係るブレーキキャリパを乗物側から見た斜視図である。
【0051】
図10図10は、図9に係るキャリパの異なる角度の乗物側斜視図である。
【0052】
図11図11は、ディスクの外側の回転軸から図9におけるキャリパの径方向図である。
【0053】
図12図12は、図9に示すキャリパの分解斜視図を示す。
【0054】
図13図13は、ブッシュを強調したブリッジ要素の部分透視斜視図である。
【0055】
図14図14は、図13の要素の周方向に沿った斜視図である。
【0056】
図15図15は、他の実施例に係るキャリパのブレーキディスク側分解斜視図で、そこでは、熱保護シートがブリッジ要素に設けられ、ブレーキ動作中にブレーキディスクのブレーキ面とブレーキパッドの摩擦によって生じる熱からブリッジ要素を保護している。
【0057】
図16図6は、他の実施例に係るブレーキキャリパを車輪側斜視図で、そこでは、ブリッジ要素は繊維強化複合材料で作られ、本体半部がハブホルダとの接続部を有する。
【0058】
図17図17は、他の実施例に係るブレーキキャリパを乗物側斜視図で、そこでは、ブリッジ要素が繊維強化複合材で作られ、ブリッジ要素の連結クロスバーがハブホルダに対する連結部を有する。
【0059】
図18図18は、本発明に係るキャリパ本体の本体半部をディスク側斜視図である。
【0060】
図19図19は、図18の本体半部の分解斜視図で、そこでは、ブリッジ要素に本体半部の連結ねじがそれぞれの部分に設けられている。
【0061】
図20図20は、ブリッジ要素の連結ねじを本体半部に並列に固定する2つのブッシュを備えたブリッジ要素の斜視図である。
【0062】
図21図21は、別の実施形態に係る斜視図で、そこでは、本体半部から反対側の本体半部にブレーキ流体を供給するパイプが点線で示されており、ブリッジ要素を横切るパイプの一部がブリッジ要素と一体成型されて形成されている。
【0063】
図22図22は、別の実施例に係る乗物側斜視図で、そこでは、本体半部から反対の本体半部にブレーキ流体を供給するパイプが点線で示されており、ブリッジ要素を横切るパイプの一部がブリッジ要素を貫通して形成されている。
【好ましい実施形態の説明】
【0064】
好ましい実施形態の説明
【0065】
一般的な実施形態によれば、ディスクブレーキ用ディスク2が提供される。
【0066】
ディスク2は、対向するブレーキ面3、4と、軸方向X-Xを定義する回転軸A-Aを中心に回転するように構成された軸対称のディスク本体5を有する。ディスク本体5は、軸方向X-Xに直交する径方向R-Rに沿って、また、軸方向X-Xと径方向R-Rに直交する周方向C-Cに沿って、径方向に展開している。
【0067】
固定キャリパ本体1は、第1本体半部(ハーフボディ)6を有する。第1本体半部6は、ディスク2のブレーキング面3,4の第1ブレーキング面3に直接又は間接に対向するように構成されている。
【0068】
第1本体半部は、第1付勢(バイアス)装置8が、ブレーキパッドに圧力を加えることによって第1ブレーキ動作を生成するとともに該ブレーキパッドをブレーキディスク2の第1ブレーキング面3に当てるために、少なくとも一つの第1ハウジング7を有する。
【0069】
固定キャリパ本体1は、第2スラスト装置11が第2付勢(バイアス)動作を生成するための、少なくとも一つの第2ハウジング10を備えた第2本体半部(ハーフボディ)9を有する。
【0070】
第2本体半部9は、ディスク2のブレーキ面3,4の第2ブレーキ面に直接又は間接に対向するように構成されている。
【0071】
固定キャリパ本体1は、第2本体半部9を第1本体半部6に連結して支持するために、少なくとも一つの第2ブリッジ要素12を有する。少なくとも一つのブリッジ要素12は、第1所定静止面14に従って方向付けられた少なくとも一つの第1案内及び静止ブリッジ面13と、第2所定静止面16に従って方向付けられた少なくとも一つの第2案内及び静止ブリッジ面15を有する。
【0072】
第1本体半部6は、少なくとも一つの第1突出部17を有する。第1突出部17は、キャリパが乗物に取り付けられた状態で、反対側の第2本体半部9に向けて、又は、ブレーキディスク2に向けて、軸方向X-Xに片持ち状態で突出する。
【0073】
第2本体半部9は、少なくとも一つの第2突出部18を有する。第2突出部は、反対側の第1本体半部6に向けて、軸方向X-Xに片持ち状態で突出する。
【0074】
第1本体半部6、第2本体半部9、及び少なくとも一つのブリッジ要素12は、3つの互いに分離可能な部材である。これらの本体半部とキャリパのモジュール方式によって、スラスト装置に対してハウジングを迅速かつ正確に動作することが可能である。これにより、キャリパ本体1における、組立公差を減らし、スラスト精度を改善し、好ましくない非対称な変形を減少する。
【0075】
ブリッジ要素12が第1本体半部6に接続され、かつ、キャリパが作動状態にあるとき、少なくとも一つの第1ブリッジ面13に平行な第1所定静止面14にしたがって、少なくとも一つの第1突出部17は、方向付けられる第1案内及び静止本体半部表面9の範囲を定める。
【0076】
少なくとも一つの第2突出部18は、ブリッジ要素12が第2本体半部9に接続されたとき、第2所定静止面16に従って少なくとも一つの第2ブリッジ面15に平行に方向付けられた第2案内及び静止本体半部面20の範囲を定める。
【0077】
少なくとも一つのブリッジ要素12は、該少なくとも一つのブリッジ要素12を第1本体半部6に接続して方向付けることによって、その少なくとも一つのブリッジ表面13を第1本体半部表面19に対してしっかりと静止させて、少なくとも一つのブリッジ要素12を周方向C-Cに静止させることが好ましい。
【0078】
少なくとも一つのブリッジ要素12は、該少なくとも一つのブリッジ要素12を第2本体半部9に接続して周方向C-Cに方向付けることによって、その少なくとも一つのブリッジ表面15を第2本体半部表面20に対してしっかりと静止させることが好ましい。
【0079】
一実施例によれば、固定キャリパ本体1は、第2本体半部9を第1本体半部6に接続して支持するために、少なくとも一つの第1ブリッジ要素21を有する。少なくとも一つのブリッジ要素21は、第3の所定静止面23に方向付けられた少なくとも一つの第3の案内及び静止ブリッジ表面22と、第4の所定静止面25に方向付けられた少なくとも一つの第4の案内及び静止ブリッジ表面24を有する、ことが好ましい。
【0080】
第1本体半部6は少なくとも一つの第3突出部26を有する。第3突出部26は、片持ち状態で軸方向X-Xに、反対側の第2本体半部9に向かって突出する。
【0081】
第2本体半部9は少なくとも一つの第4突出部26を有する。第4突出部26は、片持ち状態で軸方向X-Xに、反対側の第1本体半部6に向かって突出する。
【0082】
少なくとも一つ第3突出部26は、ブリッジ要素21が第1本体半部6に接続された状態で、第3の所定静止面23に向けられて少なくとも一つの第3ブリッジ表面22に平行な第3案内静止本体半部表面28の範囲を定める。
【0083】
少なくとも一つ第4突出部27は、ブリッジ要素21が第2本体半部9に接続された状態で、第4の所定静止面25に向けられて少なくとも一つの第4ブリッジ表面24に平行な第4案内静止本体半部表面29の範囲を定める。
【0084】
少なくとも一つのブリッジ要素21は、該少なくとも一つのブリッジ要素21を第1本体半部6に接続して方向付けることによって、その少なくとも一つの第3ブリッジ表面22を第3本体半部表面28に対してしっかりと静止させて、少なくとも一つのブリッジ要素21を周方向C-Cに静止させることが好ましい。
【0085】
少なくとも一つのブリッジ要素21は、該少なくとも一つのブリッジ要素21を第2本体半部9に接続して周方向C-Cに方向付けることによって、その少なくとも一つの第4ブリッジ表面24を第2本体半部表面29に対してしっかりと静止させる。
【0086】
一実施例によれば、少なくとも一つの第1及び/又は第2ブリッジ要素12はそれぞれ、第1及び第2案内及び径方向静止ブリッジ表面30,31を有し、ブリッジ要素12,21が第1及び第2本体半部6,9に接続された状態で、ブリッジ表面30,31は径方向R-Rと周方向C-Cに向けられる。
【0087】
第1及び第2本体半部6,9は、2つの第1及び第2案内及び径方向静止本体半部表面32,33を有する。
【0088】
少なくとも一つの第1及び/又は第2ブリッジ要素12,21は、該少なくとも一つの第1及び/又は第2ブリッジ要素12、21を第1及び第2本体半部6、9に接続して方向付けることによって、その第1及び第2案内及び径方向静止ブリッジ表面30,31を第1及び第2案内及び径方向静止本体半部表面32,33に対してしっかりと静止させて、少なくとも一つのブリッジ要素21を軸方向X-Xに静止させる。
【0089】
一実施例によれば、突出部17,18,19,27の少なくとも一つは、反対側のブレーキ面3,4に対して横方向に配置されて、少なくとも一つのブレーキパッド35を周方向C-Cに静止させるように構成された少なくとも一つのパッド支持面34を有する。
【0090】
一実施例において、第1及び第2本体半部6,9は第1材料で作られており、ブリッジ要素12,21の少なくとも一方は第1材料とは異なる少なくとも一つの第2材料で作れている。
【0091】
例えば、第1材料はアルミニウムである。
【0092】
一実施例によれば、第2材料は繊維補強複合材料である。
【0093】
一実施例によれば、基材は、セラミック及び/又はカーボン補強型ポリマ繊維及び/又はガラス及び/又は玄武岩及び/又は酸化アルミニウム及び/又はシリコンカーバイド及び/又はシリコンファイバであってもよい。実施例によれば、基材は、高剛性セラミックプリフォームを作られ、例えば溶融アルミニウム、例えば共溶融物の基材に挿入されたた挿入物で補強してもよい。
【0094】
一実施例によれば、第1材料は、第2材料よりも高密度である。
【0095】
一実施例によれば、第2材料は、第1材料の弾性率よりも大きな弾性率を有する。
【0096】
一実施例によれば、各本体半部6,9において、第1及び/又は第2案内静止本体半部表面19,20と第1及び/又は第2案内及び径方向静止本体半部表面32,33は、平坦な表面である。
【0097】
一実施例によれば、各本体半部6,9において、第1案内及び静止本体半部表面19,20と第1案内及び径方向静止本体半部表面32,33は互いに直交する表面である。
【0098】
一実施例によれば、各本体半部6,9において、第2案内及び静止本体半部表面19,20と第2案内及び径方向静止本体半部表面32,33は互いに直交する表面である。
【0099】
一実施例によれば、各本体半部6,9において、第1及び/又は第2案内及び静止本体半部表面19,20と第1及び/又は第2案内及び径方向静止本体半部表面32,33は隣接する対をなして縁を形成する。
【0100】
一実施例によれば、第1及び/又は第2案内及び静止本体半部面19,20と第1及び/又は第2径方向案内及び静止本体半部面32,33は、隣接して対をなす面で、本体半部6,9に対するブリッジ要素12,21のセンタリングシステムを形成し、これにより、特に硬い特性を有するとともに径方向R-Rに極めて小さな寸法を有する平行四辺形の構造を形成する。
【0101】
一実施例によれば、各ブリッジ要素12,21において、第1及び/又は第2案内及び静止ブリッジ表面13,15と第1及び/又は第2案内及び径方向静止ブリッジ表面30,31は、平坦な表面である。
【0102】
一実施例によれば、各ブリッジ要素12,21において、第1案内及び静止ブリッジ表面13,15と第1案内及び径方向静止ブリッジ表面30,31は、互いに直交する表面である。
【0103】
一実施例によれば、各ブリッジ要素12,21において、第2案内及び静止ブリッジ表面13,15と第2案内及び径方向静止ブリッジ表面30,31は互いに直交する表面である。
【0104】
一実施例によれば、各ブリッジ要素12,21において、第1及び/又は第2案内及び静止ブリッジ表面13,15と第1及び/又は第2案内及び径方向静止ブリッジ表面30,31は、隣接して対をなして縁を形成する。一実施例によれば、第1及び/又は第2案内及び静止ブリッジ表面13,15と第1及び/又は第2径方向案内及び静止ブリッジ表面30,31は平坦な表面であるが、ブリッジ要素12,21を第1及び第2本体半部6,9のセンタリングを容易にするために、例えば円筒形又はテーパ形状等のその他の形状であってもよい。
【0105】
一実施例によれば、第1及び/又は第2案内及び静止ブリッジ表面13,15と第1及び/又は第2径方向案内及び静止ブリッジ表面30,31は、隣接して対をなす表面で、本体半部6,9に対するブリッジ要素12,21のセンタリングシステムを形成し、これにより、特に硬い特性を有するとともに径方向R-Rに極めて小さな寸法を有する平行四辺形を形成する。
【0106】
一実施例によれば、少なくとも一つのブリッジ要素12,21は、ブレーキディスク2を跨いで配置されるように構成された逆Uブリッジハウジング39を形成する。
【0107】
一実施例によれば、ブリッジハウジング39は、ブレーキディスク2に対向する部分が、例えば固定ねじによって少なくともブリッジ要素12,21に固定された熱保護シート44によって保護されている。例えば、熱保護シートを用いることは、本件出願人によるWO2017/021874A1によって知られている。
【0108】
一実施例によれば、少なくとも一つのブリッジ要素12,21は、第1と第2ブリッジ側壁36,37を有する。側壁36,37は、少なくとも一部が第1及び第2本体半部6,9と、ブリッジ38における弧状接続部に対向している。
【0109】
一実施例によれば、第1と第2ブリッジ側壁36,37は、第1と第2反対側の案内及び径方向静止ブリッジ面30,31を形成する。
【0110】
一実施例によれば、第1と第2本体半部6,9は本体半部貫通孔40を有する。
【0111】
一実施例によれば、第1と第2ブリッジ要素12,21はねじ付きブリッジハウジング41を有する。
【0112】
一実施例によれば、固定キャリパ本体1は少なくとも一つのスタッド42を有する。スタッド42は、本体半部貫通孔40に収容されて、少なくとも一つのブリッジ要素12,21を本体半部6,9にしっかりと接続するブリッジ41のねじ付きハウジングにねじ込まれている。
【0113】
一実施例によれば、第1及び第2本体半部6,9の第1及び/又は第2案内及び径方向静止本体半部表面32,33は、本体半部40の貫通孔を有する。
【0114】
一実施例によれば、第1及び第2ブリッジ要素12,21の第1及び/又は第2案内及び径方向静止ブリッジ表面30,31は、ブリッジねじ付きハウジング41を有する。
【0115】
一実施例によれば、少なくとも2つのスタッド42が、本体半部貫通孔40に収容されて対向するブリッジねじ付きハウジング41にしっかりとねじ止めされ、第1及び第2ブリッジ要素12,21を第1及び第2本体半部6,9に接続する。
【0116】
一実施例によれば、ねじ付きブリッジハウジング41は、第1及び/又は第2ブリッジ要素12,21の本体に設けられたハウジングに固定されたブリッジねじ付きブッシュ43を有する。
【0117】
一実施例によれば、ねじ付きブリッジハウジング41は、第1及び/又は第2ブリッジ要素12,21に埋め込まれたねじ付きブリッジブッシュ43を有する。
【0118】
一実施例によれば、ねじ付きブリッジハウジング41は、第1及び/又は第2ブリッジ要素12,21と共に成形されたねじ付きブリッジブッシュ43を有する。
【0119】
一実施例によれば、本体半部貫通孔40とブリッジねじ付きハウジング41は、軸方向X-Xに向けられており、ブレーキディスク2のブレーキ面3,4に対向するように構成されている。
【0120】
一実施例によれば、第1及び第2本体半部6,9が供給されており、少なくとも第1及び第2ハウジング7,10にブレーキ流体を供給して、ブレーキディスク2のブレーキ面3,4に当接するように構成されたブレーキパッド35の上の少なくとも第1及び第2スラスト要素8,11にスラスト動作を加える。
【0121】
一実施例によれば、第1本体半部6は、乗物に対向して配置され、ブレーキシステムに流体連結されている。第1及び第2本体半部6,9は、ブリッジ要素12及び/又は21の少なくとも一方を外側から包むブレーキ流体供給パイプ45によって相互に流体連結されている。
【0122】
一実施例によれば、第1本体半部6は、乗物に対向して配置され、ブレーキシステムに流体連結されている。第1及び第2本体半部6,9は、ブリッジ要素12及び/又は21の少なくとも一方と共に埋め込まれた(例えば、一緒に成形された、又は一緒に溶接された)ブレーキ流体供給パイプ45によって相互に流体連結されている。
【0123】
一実施例によれば、第1本体半部6は、乗物に対向して配置され、ブレーキシステムに流体連結されている。第1及び第2本体半部6,9は、ブリッジ要素12及び/又は21の少なくとも一方に穴をあけることによって得られた作動ブレーキ流体供給パイプによって相互に流体連結されている。
【0124】
一実施例によれば、第1及び第2ブリッジ要素12,21は、ブリッジクロスバー49によって互いに連結されている。
【0125】
一実施例によれば、第1及び第2ブリッジ要素12,21は、ブリッジクロスバー49によって互いに連結され、第1及び第2ブリッジ要素12,21とブリッジクロスバー49は一つの部部材となっている。
【0126】
一実施例によれば、ブリッジクロスバー49は、乗物に対向し、固定されたキャリパ本体1をハブホルダに連結するように構成されている。
【0127】
一実施例によれば、ブリッジクロスバー49は、ハブバーに対するブリッジクロスバー連結ハウジング50を有し、ハブホルダに対する固定キャリパ本体1の連結ねじを受けるように構成されている。
【0128】
一実施例によれば、ブリッジクロスバー連結ハウジング50は、ハブホルダ連結ブッシュ51を有し、ハブホルダに対する固定キャリパ本体の連結ねじを受けるように構成されている。
【0129】
一実施例によれば、ハブホルダ連結ブッシュ51は、ブリッジクロスバー連結ハウジング50に固定されている。
【0130】
一実施例によれば、ハブホルダ連結ブッシュ51は、ブリッジクロスバー49に埋め込まれている。
【0131】
一実施例によれば、ハブホルダ連結ブッシュ51は、ブリッジクロスバー49に一緒に成形されるか一緒に溶接されている。
【0132】
一実施例によれば、第1及び第2ブリッジ要素12,21は互いに分離された部材で、それぞれが第1及び第2本体半部6,9に連結されている。
【0133】
一実施例によれば、第1本体半部6は、固定キャリパ本体1をハブホルダに連結するねじを受けるように構成された本体連結ハウジング53を形成する本体連結伸長部52を有する。
【0134】
一実施例によれば、第1及び/又は第2本体半部6,9はそれぞれ、少なくとも2つの第1及び/又は第2スラストデバイス8,11を収容するための2つの第1及び/又は第2ハウジング7,10を有し、ディスクブレーキ2の対向するそれぞれのブレーキ面3,4上の関連するブレーキパッド35に複数のスラスト動作を与えるようになっている。
【0135】
本発明はさらに、上述のいずれかのキャリパ本体を有し、少なくとも2つの対向するスラスト装置8,11と少なくとも2つの対向するブレーキパッド35を有するブレーキキャリパ54に関する。
【0136】
当業者は、特許請求の範囲から逸脱することなく、不測の必要性に応じて、上述の実施例に多くの変更や改変を加えることができ、又は、いくつかの要素を機能的に同等の別の要素に置換することができる。
【符号の説明】
【0137】
1:固定キャリパ本体
2:ディスクブレーキディスク
3:反対ブレーキ面
4:反対ブレーキ面
5:ディスク本体
6:第1本体半部
7:第1ハウジング
8:第1スラスト装置
9:第2本体半部
10:第2ハウジング
11:第2スラストデバイス
12:第1ブリッジ要素
13:第1案内及び静止ブリッジ面
14:第1所定静止平面
15:第2案内及び静止ブリッジ面
16:第2所定静止平面
17:第1突出部
18:第2突出部
19:第1案内及び静止本体半部面
20:第2案内及び静止本体半部面
21:第2ブリッジ要素
22:第3案内及び静止ブリッジ面
23:第3所定静止平面
24:第4案内及び静止ブリッジ面
25:第4所定静止平面
26:第3突出部
27:第4突出部
28:第3案内及び静止本体半部面
29:第4案内及び静止本体半部面
30:第1径方向案内及び静止ブリッジ面
31:第2径方向案内及び静止ブリッジ面
32:第1径方向案内及び静止本体半部面
33:第2径方向案内及び静止本体半部面
34:パッド静止面
35:ブレーキパッド
36:第1側部ブリッジ側壁
37:第2ブリッジ側壁
38:ブリッジ連結部
39:ブリッジハウジング
40:本体半部貫通孔
41:ブリッジねじ付きハウジング
42:スタッド
43:ブリッジねじ付きブッシュ
44:熱保護シート
45:外側ブレーキ流体供給パイプ
46:内側ブレーキ流体供給パイプ
47:内側ブレーキ流体供給パイプ
48:作動ブレーキ流体供給パイプ
49:ブリッジクロスバー
50:ブリッジクロスバー連結ハウジング
51:ハブホルダ連結ブッシュ
52:本体連結伸長部
53:本体連結ハウジング
54:ブレーキキャリパ
A-A:方向軸及び回転軸
X-X:軸方向
R-R:径方向
C-C:周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22