(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】FGFR阻害剤の塩
(51)【国際特許分類】
C07D 471/14 20060101AFI20241008BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20241008BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241008BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C07D471/14 102
C07D471/14 CSP
A61K31/5377
A61P35/00
A61P35/02
(21)【出願番号】P 2020561731
(86)(22)【出願日】2019-05-03
(86)【国際出願番号】 US2019030578
(87)【国際公開番号】W WO2019213506
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-27
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505193450
【氏名又は名称】インサイト・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INCYTE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ジョンジアン・ジア
(72)【発明者】
【氏名】ジアチェン・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】リー・チュン
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-521600(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0260168(US,A1)
【文献】Journal of Pharmaceutical Sciences,1977年,Vol.66, No.1,p.1-19
【文献】PHARM TECH JAPAN,2002年,Vol.18, No.10,pp.81-96
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/14
A61K 31/5377
A61K 31/519
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造:
【化1】
を有する3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オンの酸性塩である塩、またはその水和物もしくは溶媒和物であって、前記塩が、結晶であり、
a)前記塩が、
3.8°±0.2°(2θ)、8.5°±0.2°(2θ)、9.1°±0.2°(2θ)、10.3°±0.2°(2θ)、及び12.0°±0.2°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン L-(+)-酒石酸塩であるか、または
b)前記塩が、
7.4°±0.2°(2θ)、10.5°±0.2°(2θ)、12.9°±0.2°(2θ)、13.6°±0.2°(2θ)、14.8°±0.2°(2θ)、及び16.4°±0.2°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン D-(-)-酒石酸塩である、
前記塩、またはその水和物もしくは溶媒和物。
【請求項2】
前記塩が、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン L-(+)-酒石酸塩である、請求項
1に記載の塩。
【請求項3】
前記塩が、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン D-(-)-酒石酸塩である、請求項
1に記載の塩。
【請求項4】
3.8°±0.2°(2θ)、8.5°±0.2°(2θ)、9.1°±0.2°(2θ)、10.3°±0.2°(2θ)、及び12.0°±0.2°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する、請求項
2に記載の塩。
【請求項5】
図6:
に示される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する、請求項
2に記載の塩。
【請求項6】
7.4°±0.2°(2θ)、10.5°±0.2°(2θ)、12.9°±0.2°(2θ)、13.6°±0.2°(2θ)、14.8°±0.2°(2θ)、及び16.4°±0.2°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する、請求項
3に記載の塩。
【請求項7】
図2:
に示される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する、請求項
3に記載の塩。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載の塩と、医薬的に許容可能な担体または医薬品添加物と、を含む、医薬組成物。
【請求項9】
請求項
8に記載の医薬組成物を含む、固体経口剤形。
【請求項10】
FGFRを阻害するための医薬であって、請求項1~
7のいずれか1項に記載の塩を含む、前記医薬。
【請求項11】
がんの治療のための医薬であって、請求項1~
7のいずれか1項に記載の塩を含む、前記医薬。
【請求項12】
前記がんが、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、小腸の癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肝癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、子宮癌、外陰癌、食道癌、胆嚢癌、膵癌、甲状腺癌、皮膚癌、脳癌、白血病、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性リンパ腫、成人T細胞白血病、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、骨髄増殖性新生物、慢性骨髄性リンパ腫、急性リンパ芽球性リンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、膠芽腫、メラノーマ、横紋筋肉腫、リンパ肉腫、及び骨肉腫から選択される、請求項
11に記載の医薬。
【請求項13】
前記がんが、膀胱癌である、請求項
11に記載の医薬。
【請求項14】
前記肝癌が、胆管細胞癌である、請求項
12に記載の医薬。
【請求項15】
前記骨髄増殖性新生物が、8p11骨髄増殖性症候群である、請求項
12に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤(3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン)の塩形態(その調製方法を含む)に関し、この化合物は、FGFR介在性疾患(がんなど)の治療において有用である。
【背景技術】
【0002】
線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)は、線維芽細胞増殖因子(FGF)リガンドに結合する受容体型チロシンキナーゼである。リガンド結合能力を有するFGFRタンパク質は4つ存在し(FGFR1~4)、これらのFGFRタンパク質は、組織発達、血管新生、創傷治癒、及び代謝制御を含めて、多くの生理学的プロセスの制御に関与する。こうした受容体は、リガンドと結合すると二量体化し、リン酸化を受け、これによってタンパク質キナーゼ活性が刺激され、多くの細胞内ドッキングタンパク質が動員される。こうした相互作用は、細胞の成長、増殖、及び生存に重要な細胞内シグナル伝達経路(Ras-MAPK、AKT-PI3K、及びホスホリパーゼCを含む)のアレイの活性化を促進する(Eswarakumar et al.Cytokine & Growth Factor Reviews,2005に概説されている)。この経路が、FGFリガンドもしくはFGFRの過剰発現またはFGFRの活性化変異によって異常に活性化されると、腫瘍形成、腫瘍進行、及び通常のがん治療に対する腫瘍抵抗性が生じ得る。ヒトのがんでは、遺伝子増幅、染色体転座、及び体細胞変異を含めて、リガンド非依存的受容体活性化を引き起こす遺伝的変化が報告されている。ヒトのがんにおいて最も高頻度で変異するものの1つがFGFR経路の構成要素であることが、数千の腫瘍試料の大規模DNAシークエンシングから明らかとなっている。こうした活性化変異の多くが、骨格形成異常症候群を引き起こす生殖細胞変異と同一のものである。ヒト疾患において異常なリガンド依存的シグナル伝達を引き起こす機構には、FGFが過剰発現すること、及びFGFRスプライシングが変化して受容体の乱雑なリガンド結合能力が強まること、が含まれる(Knights and Cook Pharmacology & Therapeutics,2010、Turner and Grose,Nature Reviews Cancer,2010に概説されている)。したがって、FGFRを標的とする阻害剤を開発することは、FGFまたはFGFRの活性が上昇している疾患の臨床的治療において有用であり得る。
【0003】
FGF/FGFRが関与するがん型には、限定されないが、癌腫(例えば、膀胱、乳房、子宮頸部、結腸直腸、子宮内膜、胃、頭頸部、腎臓、肝臓、肺、卵巣、前立腺のもの)、造血器悪性腫瘍(例えば、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性リンパ腫、成人T細胞白血病、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、骨髄増殖性新生物、及びワルデンストレームマクログロブリン血症)、ならびに他の新生物(例えば、膠芽腫、メラノーマ、及び横紋筋肉腫)が含まれる。発がん性新生物における役割に加えて、FGFRの活性化は、骨格障害及び軟骨細胞障害にも関与しており、こうした障害には、限定されないが、軟骨無形成症症候群及び頭蓋骨癒合症症候群が含まれる。
【0004】
具体的には、FGFR4-FGF19シグナル伝達系は、肝細胞癌を含めて、いくつかのがんの病態形成に関与している(Heinzle et al.,Cur.Pharm.Des.2014,20:2881)。トランスジェニックマウスにおいてFGF19が異所発現すると、肝臓に腫瘍が形成されることが示され、FGF19の中和抗体が、マウスにおいて腫瘍増殖を阻害することが明らかとなった。さらに、肝細胞癌、結腸直腸癌、乳癌、膵癌、前立腺癌、肺癌、及び甲状腺癌を含めて、複数の腫瘍型においてFGFR4の過剰発現が観測されている。さらに、横紋筋肉腫では、FGFR4に活性化変異が存在することが報告されている(Taylor et al.JCI 2009,119:3395)。
【0005】
現在、がんを治療するために、FGFRの阻害剤が開発されている。例えば、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン分子、及びFGFRの他の小分子阻害剤が報告されており、こうした報告は、例えば、米国公開公報第2012/0165305号、同第2014/0045814号、同第2013-0338134号、同第2014/0171405号、同第2014/0315902号、同第2016/0115164号、同第2016/0244448号、同第2016/0244449号、及び同第2016/0244450号に見られる。したがって、適切な特性(例えば、安全、有効、かつ高品質な医薬品の製造の容易化と関連する特性)を有する医薬的に有用な製剤及び剤形を調製するための新たなFGFR阻害分子塩が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オンの塩を対象とする。
【0007】
本発明は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オンのD-(-)-酒石酸塩をさらに対象とする。
【0008】
本発明は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オンのL-(+)-酒石酸塩をさらに対象とする。
【0009】
本発明は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オンのサリチル酸塩をさらに対象とする。
【0010】
本発明は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オンの塩酸塩をさらに対象とする。
【0011】
本発明は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オンの臭化水素酸塩をさらに対象とする。
【0012】
本発明は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オンのフマル酸塩をさらに対象とする。
【0013】
本発明は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オンのリン酸塩をさらに対象とする。
【0014】
本発明は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オンのベンゼンスルホン酸塩をさらに対象とする。
【0015】
本発明は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オンのエタンスルホン酸塩をさらに対象とする。
【0016】
本発明は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オンのマレイン酸塩をさらに対象とする。
【0017】
本発明は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オンのアジピン酸塩をさらに対象とする。
【0018】
本発明は、本明細書に記載の塩の結晶形態をさらに対象とする。
【0019】
本発明は、本明細書に記載の塩または結晶形態と、少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体と、を含む医薬組成物をさらに対象とする。
【0020】
本発明は、本明細書に記載の塩及び結晶形態を使用する治療方法をさらに対象とする。本開示は、治療において使用するための薬剤の製造における本明細書に記載の塩及び結晶形態の使用も提供する。本開示は、治療において使用するための本明細書に記載の塩及び結晶形態も提供する。
【0021】
本発明は、本明細書に記載の塩及び結晶形態を調製するためのプロセスをさらに対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】化合物1 D-(-)-酒石酸塩の
1H NMRを示す。
【
図2】化合物1 D-(-)-酒石酸塩のXRPDパターンを示す。
【
図3】化合物1 D-(-)-酒石酸塩のDSCサーモグラムを示す。
【
図4】化合物1 D-(-)-酒石酸塩のTGAサーモグラムを示す。
【
図5】化合物1 L-(+)-酒石酸塩の
1H NMRを示す。
【
図6】化合物1 L-(+)-酒石酸塩のXRPDパターンを示す。
【
図7】化合物1 L-(+)-酒石酸塩のDSCサーモグラムを示す。
【
図8】化合物1 L-(+)-酒石酸塩のTGAサーモグラムを示す。
【
図9】化合物1 サリチル酸塩の
1H NMRを示す。
【
図10】化合物1 サリチル酸塩のXRPDパターンを示す。
【
図11】化合物1 サリチル酸塩のDSCサーモグラムを示す。
【
図12】化合物1 サリチル酸塩のTGAサーモグラムを示す。
【
図13】化合物1 塩酸塩のXRPDパターンを示す。
【
図14】化合物1 塩酸塩のDSCサーモグラムを示す。
【
図15】化合物1 塩酸塩のTGAサーモグラムを示す。
【
図16】化合物1 臭化水素酸塩の
1H NMRを示す。
【
図17】化合物1 臭化水素酸塩のXRPDパターンを示す。
【
図18】化合物1 臭化水素酸塩のDSCサーモグラムを示す。
【
図19】化合物1 臭化水素酸塩のTGAサーモグラムを示す。
【
図20】化合物1 フマル酸塩の
1H NMRを示す。
【
図21】化合物1 フマル酸塩のXRPDパターンを示す。
【
図22】化合物1 フマル酸塩のDSCサーモグラムを示す。
【
図23】化合物1 フマル酸塩のTGAサーモグラムを示す。
【
図24】化合物1 リン酸塩の
1H NMRを示す。
【
図25】化合物1 リン酸塩のXRPDパターンを示す。
【
図26】化合物1 リン酸塩のDSCサーモグラムを示す。
【
図27】化合物1 リン酸塩のTGAサーモグラムを示す。
【
図28】化合物1 ベンゼンスルホン酸塩の
1H NMRを示す。
【
図29】化合物1 ベンゼンスルホン酸塩のXRPDパターンを示す。
【
図30】化合物1 ベンゼンスルホン酸塩のDSCサーモグラムを示す。
【
図31】化合物1 ベンゼンスルホン酸塩のTGAサーモグラムを示す。
【
図32】化合物1 エタンスルホン酸塩の
1H NMRを示す。
【
図33】化合物1 エタンスルホン酸塩のXRPDパターンを示す。
【
図34】化合物1 エタンスルホン酸塩のDSCサーモグラムを示す。
【
図35】化合物1 エタンスルホン酸塩のTGAサーモグラムを示す。
【
図36】化合物1 マレイン酸塩の
1H NMRを示す。
【
図37】化合物1 マレイン酸塩のXRPDパターンを示す。
【
図38】化合物1 マレイン酸塩のDSCサーモグラムを示す。
【
図39】化合物1 マレイン酸塩のTGAサーモグラムを示す。
【
図40】化合物1 アジピン酸塩のXRPDパターンを示す。
【
図41】化合物1 アジピン酸塩のDSCサーモグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、とりわけ、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン(化合物1)の塩を対象とし、化合物1の構造は、以下に示される。
【化1】
化合物1は、米国特許第9,611,267号に記載されており、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書では、化合物1の塩の水和物及び溶媒和物も提供される。
【0024】
化合物1及びその塩は、1つ以上の固体形態として単離され得る。本明細書に記載の固体形態(例えば、結晶形態)は、多くの利点を有しており、例えば、望ましい特性(取り扱いのしやすさ、加工のしやすさ、貯蔵安定性、及び精製のしやすさなど)を有する。さらに、結晶形態は、医薬品の能力特徴(溶解プロファイル、有効期間、及びバイオアベイラビリティなど)の改善に有効であり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、化合物1の塩は、化合物1の酸性塩である。いくつかの実施形態では、酸は、L-(+)-酒石酸、D-(-)-酒石酸、サリチル酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、エタンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸、及びリン酸から選択される。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明の塩は、化合物1の酒石酸塩(D-(-)-酒石酸塩形態またはD-酒石酸塩形態など)である。化合物1のD-酒石酸塩形態は、本明細書では「化合物1 D-酒石酸塩(Compound 1 D-tartaric acid salt)」、「化合物1 D-(-)-酒石酸塩形態」、「化合物1 D-酒石酸」、または「化合物1 D-酒石酸塩(Compound 1 D-tartrate)」と称される。この塩の別名は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン D-酒石酸塩である。
【0027】
いくつかの実施形態では、本発明の塩は、化合物1の酒石酸塩(L-(+)-酒石酸塩形態またはL-酒石酸塩形態など)である。化合物1のL-酒石酸塩形態は、本明細書では「化合物1 L-酒石酸塩(Compound 1 L-tartaric acid salt)」、「化合物1 L-(+)-酒石酸塩形態」、「化合物1 L-酒石酸」、または「化合物1 L-酒石酸塩(Compound 1 L-tartrate)」と称される。この塩の別名は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン L-酒石酸塩である。
【0028】
いくつかの実施形態では、本発明の塩は、化合物1のサリチル酸塩である。化合物1のサリチル酸塩形態は、本明細書では「化合物1 サリチル酸塩(Compound 1 salicylic acid salt)」、「化合物1 サリチル酸」、または「化合物1 サリチル酸塩(Compound 1 salicylate)」と称される。この塩の別名は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン サリチル酸塩である。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明の塩は、化合物1の塩酸塩(塩酸塩形態など)である。化合物1の塩酸塩形態は、本明細書では「化合物1 塩酸塩(Compound 1 hydrochloric acid salt)」、「化合物1 塩酸」、または「化合物1 塩酸塩(Compound 1 hydrochloride)」と称される。この塩の別名は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン 塩酸塩である。
【0030】
いくつかの実施形態では、本発明の塩は、化合物1の臭化水素酸塩である。化合物1の臭化水素酸塩形態は、本明細書では「化合物1 臭化水素酸塩(Compound 1 hydrobromic acid salt)」、「化合物1 臭化水素酸」、または「化合物1 臭化水素酸塩(Compound 1 hydrobromide)」と称される。この塩の別名は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン 臭化水素酸塩である。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明の塩は、化合物1のフマル酸(トランス-ブテン二酸)塩である。化合物1のフマル酸塩形態は、本明細書では「化合物1 フマル酸塩(Compound 1 fumaric acid salt)」、「化合物1 フマル酸」、または「化合物1 フマル酸塩(Compound 1 fumarate)」と称される。この塩の別名は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン フマル酸塩である。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明の塩は、化合物1のリン酸塩である。化合物1のリン酸塩形態は、本明細書では「化合物1 リン酸塩(Compound 1 phosphoric acid salt)」、「化合物1 リン酸」、または「化合物1 リン酸塩(Compound 1 phosphate)」と称される。この塩の別名は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン リン酸塩である。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明の塩は、化合物1のベンゼンスルホン酸塩である。化合物1のベンゼンスルホン酸塩形態は、本明細書では「化合物1 ベンゼンスルホン酸塩」、「化合物1 ベンゼンスルホン酸」、または「化合物1 ベシル酸塩」と称される。この塩の別名は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン ベシル酸塩である。
【0034】
いくつかの実施形態では、本発明の塩は、化合物1のエタンスルホン酸塩である。化合物1のエタンスルホン酸塩形態は、本明細書では「化合物1 エタンスルホン酸塩(Compound 1 ethanesulfonic acid salt)」、「化合物1 エタンスルホン酸」、または「化合物1 エタンスルホン酸塩(Compound 1 esylate)」と称される。この塩の別名は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン エタンスルホン酸塩である。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明の塩は、化合物1のマレイン酸塩である。化合物1のマレイン酸塩形態は、本明細書では「化合物1 マレイン酸塩(Compound 1 maleic acid salt)」、「化合物1 マレイン酸」、または「化合物1 マレイン酸塩(Compound 1 maleate)」と称される。この塩の別名は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン マレイン酸塩である。
【0036】
いくつかの実施形態では、本発明の塩は、化合物1のアジピン酸塩である。化合物1のアジピン酸塩形態は、本明細書では「化合物1 アジピン酸塩(Compound 1 adipic acid salt)」、「化合物1 アジピン酸」、または「化合物1 アジピン酸塩(Compound 1 adipate)」と称される。この塩の別名は、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン アジピン酸塩である。
【0037】
本発明の塩は、1つ以上の固体形態として単離され得る。本明細書で使用される「固体形態」という語句は、非晶質状態または結晶状態(「結晶形態」もしくは「結晶固体」)のいずれかにある本発明の塩を指し、結晶状態の本発明の塩は、結晶格子内に溶媒または水を任意選択で含み得ることで、例えば、溶媒和結晶形態または水和結晶形態を形成する。いくつかの実施形態では、本発明の塩は、本明細書に記載の結晶状態にある。本明細書で使用される「水和」という用語は、1つ以上の水分子を結晶格子に含む結晶形態を指すことが意図される。「水和」結晶形態の例としては、半水和物、一水和物、二水和物、及び同様のものが挙げられる。この用語の意味には、他の水和形態(チャネル水和物(channel hydrate)及び同様のものなど)も含まれる。
【0038】
いくつかの実施形態では、本発明の塩は、酸付加塩を調製するための任意の適切な方法によって調製され得る。例えば、溶媒または融解物において遊離塩基の化合物1と所望の酸とが混合され得る。あるいは、陰イオン交換によって、化合物1の酸付加塩が、異なる酸付加塩に変換され得る。溶媒系において調製される本発明の塩は、溶媒から沈降させることによって単離され得る。沈降及び/または結晶化を誘導することができ、この誘導は、例えば、蒸発、温度降下、貧溶媒の添加、またはそれらの組み合わせによって行われる。
【0039】
いくつかの実施形態では、本発明の塩は、結晶であり、こうした結晶には、無水結晶形態、水和結晶形態、非溶媒和結晶形態、または溶媒和結晶形態が含まれる。水和物の例としては、半水和物、一水和物、二水和物、及び同様のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、結晶塩は、無水かつ溶媒和していないものである。「無水」は、結晶塩が結晶格子構造中に結合水を含まないことを意味し、すなわち、こうした化合物は、結晶水和物を形成しない。
【0040】
いくつかの実施形態では、本発明の塩は、実質的に単離される。「実質的に単離される」は、塩が、それが形成または検出される環境から少なくとも部分的または実質的に分離されることを意味する。部分的な分離には、例えば、組成物における本発明の塩の含量が高められることが含まれ得る。実質的な分離には、組成物における塩の含有重量%が、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%となることが含まれ得る。
【0041】
本発明の塩には、そうした塩に原子の同位体を含むものもすべて含まれる。同位体には、原子番号が同じであるが、質量数が異なる原子が含まれる。例えば、水素の同位体には、三重水素及び重水素が含まれる。
【0042】
本発明の塩形態は、高度に結晶性であり、望ましい特性を有することが明らかとなっており、こうした望ましい特性は、例えば、結晶化及び必要に応じて再結晶化などすることによって薬物の精製を容易にし得る特性である。さらに、結晶形態は、安定性が向上している傾向を有し、薬物の製剤化時に粉砕または微粒子化することがより容易であり得る。結晶塩は、溶解性に関しても優れた特性を有する傾向を有し、明確な酸/塩基比で再現性よく製造する上でもより適していることから、経口用途ならびに静脈内用途のための液状製剤を調製することが容易となり得る。
【0043】
本明細書で使用される「結晶」または「結晶形態」という用語は、化合物の結晶固体形態を指し、こうした結晶固体形態には、限定されないが、構成要素が単一の結晶形態または構成要素が複数の結晶形態(例えば、溶媒和物、水和物、包接物、及び共結晶を含む)が含まれる。本明細書で使用される「結晶形態」は、結晶物質のある特定の格子配置を指すことが意図される。同じ物質の異なる結晶形態は、典型的には、異なる結晶格子(例えば、単位胞)を有し、こうした結晶格子差異は、そうした結晶形態のそれぞれに特有の異なる物理特性に帰する。場合によっては、異なる格子配置は、水含量または溶媒含量が異なる。異なる結晶格子は、固体状態を特徴付ける方法(粉末X線回折(XRPD)など)によって同定され得る。特徴付けを行うための他の方法(示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、動的蒸気吸脱着測定(DVS)、固体NMR、及び同様のものなど)もまた、結晶形態の同定ならびに安定性及び溶媒/水含量の決定にさらに役立つ。
【0044】
物質の結晶形態には、溶媒和(例えば、水和)形態及び非溶媒和(例えば、無水)形態の両方が含まれる。水和形態は、結晶格子に水を含む結晶形態である。水和形態は、化学量論的水和物であり得、こうした水和物では、半水和物、一水和物、二水和物などに見られるように、ある特定の水/分子比で格子に水が存在する。水和形態は、非化学量論的なものでもあり得、こうしたものでは、水含量は可変であり、外部条件(湿度など)に依存する。
【0045】
本明細書で使用される「実質的に結晶」という用語は、本発明の塩(またはその水和物もしくは溶媒和物)の試料または調製物の重量の大部分が結晶であり、試料の残りの部分が、同じ化合物の非結晶形態(例えば、非晶質形態)であることを意味する。いくつかの実施形態では、実質的に結晶の試料は、結晶化度が少なくとも約95%であり(例えば、約5%が、同じ化合物の非結晶形態である)、好ましくは結晶化度が少なくとも約96%であり(例えば、約4%が、同じ化合物の非結晶形態である)、より好ましくは結晶化度が少なくとも約97%であり(例えば、約3%が、同じ化合物の非結晶形態である)、さらにより好ましくは結晶化度が少なくとも約98%であり(例えば、約2%が、同じ化合物の非結晶形態である)、さらにより好ましくは結晶化度が少なくとも約99%であり(例えば、約1%が、同じ化合物の非結晶形態である)、最も好ましくは結晶化度が約100%である(例えば、約0%が、同じ化合物の非結晶形態である)。いくつかの実施形態では、「十分に結晶」という用語は、結晶化度が少なくとも約99%または約100%であることを意味する。
【0046】
結晶形態は、最も一般的には、XRPDによって特徴付けられる。XRPDの反射(ピーク)パターンは、典型的には、特定の結晶形態のフィンガープリントであると考えられる。XRPDピークの相対強度は、とりわけ、試料調製手法、結晶サイズ分布、フィルター、試料のマウント手順、及び特定の利用装置によって大きく変動し得ることが広く知られている。場合によっては、装置の型、または設定(例えば、Niフィルターが使用されるか否か)によって、ピークが新たに観測され得るか、または現存ピークが消失し得る。本明細書で使用される「ピーク」という用語は、最大ピーク高/強度の少なくとも約4%の相対高/強度を有する反射を指す。さらに、装置差異及び他の因子が、2θ値に影響し得る。したがって、ピークの帰属(本明細書で報告されるものなど)は、±約0.2°(2θ)変動し得、XRPDと関連して本明細書で使用される「実質的に」という用語は、上述の変動を包含することが意図される。
【0047】
同様に、DSC、TGA、または他の熱的実験と関連する温度観測値は、装置、特定の設定、試料の調製などによって約±3℃変動し得る。例えば、DSCでは、観測温度が、温度変化速度、ならびに試料調製手法及び特定の利用装置に依存することになることが知られている。それ故に、DSCサーモグラムに関して本明細書で報告される値は、上記のように、±3℃変動し得る。したがって、図のいずれかに「実質的に」に示されるDSCサーモグラムを有する本明細書に報告される結晶形態は、そのような変動を含むものと理解されたい。
【0048】
本明細書に開示の塩及び化合物には、それらに原子の同位体を含むものがすべて含まれ得る。同位体には、原子番号が同じであるが、質量数が異なる原子が含まれる。例えば、水素の同位体には、三重水素及び重水素が含まれる。本発明の塩及び化合物には、中間体または最終化合物に原子の同位体を含むものもすべて含まれ得る。同位体には、原子番号が同じであるが、質量数が異なる原子が含まれる。例えば、水素の同位体には、三重水素及び重水素が含まれる。本発明の化合物の構成原子の1つ以上が、天然または非天然の存在比となるように、当該原子の同位体と交換されるか、または当該原子の同位体で置き換えられ得る。いくつかの実施形態では、化合物は、少なくとも1つの重水素原子を含む。例えば、本開示の化合物における1つ以上の水素原子が、重水素によって交換されるか、または置き換えられ得る。いくつかの実施形態では、化合物は、2つ以上の重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つの重水素原子を含む。当該技術分野では、有機化合物に同位体を含めるための合成方法が知られている。
【0049】
本明細書で使用される「約」という用語は、別段の指定がない限り、特定の固体形態を説明するために与えられる数値または値の範囲(例えば、特定の温度もしくは温度範囲(融解、脱水、もしくはガラス転移を説明するものなど)、質量変化(温度もしくは湿度に応じた質量変化など)、溶媒含量もしくは水含量(例えば、質量またはパーセントに関するもの)、またはピーク位置(分析(例えば、13C NMR、DSC、TGA、及びXRPDによるもの)におけるものなど)と関連して使用される場合、そうした値または値の範囲が、当業者が合理的であると見なす程度に逸脱するが、依然として特定の固体形態を説明するものであり得ることを示す。具体的には、「約」という用語は、この文脈で使用される場合、数値または値の範囲が、記載の値または値の範囲の5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、または0.1%の変動を伴うが、依然として特定の固体形態を説明するものであり得ることを示す。「約」という用語は、°(2θ)値に関して使用される場合、+/-0.2°(2θ)を指す。
【0050】
「医薬的に許容可能」という語句は、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、健全な医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織と接触させて使用する上で、化合物、材料、組成物、及び/または剤形が適しており、合理的な利益/リスク比に見合うものであることを指すために本明細書で用いられる。
【0051】
本明細書で使用される「融点」という用語は、吸熱事象(endothermic event)または吸熱事象(endothermal event)(例えば、DSC実験において観測されるもの)を指す。吸熱事象は、試料が、その周囲からエネルギー(例えば、DSC実験で見られるような熱形態のエネルギー)を吸収するプロセスまたは反応である。発熱事象は、試料がエネルギーを放出するプロセスまたは反応である。熱の吸収プロセス及び放出プロセスは、DSCによって検出され得る。いくつかの実施形態では、「融点」という用語は、特定のDSCサーモグラムに現れる主要な吸熱事象を説明するために使用される。
【0052】
本明細書で使用される「室温」という用語は、当該技術分野で理解されるものであり、一般に、反応が実施される部屋の温度とほぼ同じ温度(例えば、反応温度)を指し、こうした温度は、例えば、約20℃~約30℃の温度である。
【0053】
本明細書で使用される「高温」という用語は、当該技術分野で理解されるものであり、一般に、室温を超える温度(例えば、反応温度)を指し、こうした温度は、例えば、30℃超の温度である。
【0054】
D-(-)-酒石酸塩
化合物1のD-(-)-酒石酸塩は、D-(-)-酒石酸付加塩を調製するための任意の適切な方法によって調製され得る。例えば、結晶化溶媒において化合物1とD-(-)-酒石酸(例えば、約1.0モル当量以上)とを混合することができ、得られる塩を溶液からろ過することによって当該塩を単離することができる。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約2モル当量のD-(-)-酒石酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約1.5モル当量のD-(-)-酒石酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1.1モル当量のD-(-)-酒石酸と混合される。
【0055】
結晶化溶媒は、化合物1を少なくとも部分的に溶解させることが可能な任意の溶媒または溶媒混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、アルコールを含む。適切なアルコールには、メタノール、エタノール、2-ニトロエタノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1-プロパノール、イソプロパノール(イソプロピルアルコール、2-プロパノール)、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、もしくは3-ペンタノール、ネオ-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、またはグリセロールが含まれる。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、またはイソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタンを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、メタノールとジクロロメタンとの1:1(v/v)混合物である。
【0057】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、少なくとも約50℃の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、約50℃~約80℃の温度が使用される。例えば、約40℃~約60℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃~約55℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、または約80℃の温度が使用される。
【0058】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、実用的な速度で結晶化を誘導し得る温度に加熱される。いくつかの実施形態では、結晶化は、約12~約48時間以内に完了するが、結晶化溶媒及び温度の選択に応じて時間の延長及び短縮が可能である。
【0059】
D-(-)-酒石酸塩の沈降及び/または結晶化は、いくつかの実施形態では、当該塩を溶液からろ過することによって実施される。
【0060】
化合物1の結晶D-(-)-酒石酸塩形態は、その特有のシグネチャー(例えば、粉末X線回折、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、及び固体NMRに関するもの)によって同定され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、結晶D-(-)-酒石酸塩は、
図2に実質的に示される粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられ得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、化合物1のD-(-)-酒石酸塩は、約7.4°(2θ)、約10.5°(2θ)、約12.9°(2θ)、約13.6°(2θ)、約14.8°(2θ)、及び約16.4°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、化合物1のD-(-)-酒石酸塩は、約7.4°(2θ)、約10.5°(2θ)、約12.9°(2θ)、約13.6°(2θ)、約14.8°(2θ)、及び約16.4°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、化合物1のD-(-)-酒石酸塩は、約7.4°(2θ)、約10.5°(2θ)、約12.9°(2θ)、約13.6°(2θ)、約14.8°(2θ)、及び約16.4°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0065】
いくつかの実施形態では、化合物1のD-(-)-酒石酸塩は、約7.4°(2θ)、約10.5°(2θ)、約12.9°(2θ)、約13.6°(2θ)、約14.8°(2θ)、約16.4°(2θ)、約18.9°(2θ)、約21.3°(2θ)、約22.1°(2θ)、約22.8°(2θ)、約25.0°(2θ)、約25.8°(2θ)、約26.6°(2θ)、及び約27.4°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、化合物1のD-(-)-酒石酸塩は、約7.4°(2θ)、約10.5°(2θ)、約12.9°(2θ)、約13.6°(2θ)、約14.8°(2θ)、約16.4°(2θ)、約18.9°(2θ)、約21.3°(2θ)、約22.1°(2θ)、約22.8°(2θ)、約25.0°(2θ)、約25.8°(2θ)、約26.6°(2θ)、及び約27.4°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、化合物1のD-(-)-酒石酸塩は、約7.4°(2θ)、約10.5°(2θ)、約12.9°(2θ)、約13.6°(2θ)、約14.8°(2θ)、約16.4°(2θ)、約18.9°(2θ)、約21.3°(2θ)、約22.1°(2θ)、約22.8°(2θ)、約25.0°(2θ)、約25.8°(2θ)、約26.6°(2θ)、及び約27.4°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、D-(-)-酒石酸塩は、約276℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、D-(-)-酒石酸塩は、
図3に実質的に示されるDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、D-(-)酒石酸塩は、
図4に実質的に示されるTGAサーモグラムを有する。
【0069】
いくつかの実施形態では、化合物1のD-(-)-酒石酸塩は、約7.4、約10.5、約12.9、約13.6、約14.8、及び約16.4から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有し、約276℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【0070】
いくつかの実施形態では、化合物1のD-(-)-酒石酸塩は、実質的に結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、水和物である。いくつかの実施形態では、塩は、溶媒和物である。
【0071】
L-(+)-酒石酸塩
化合物1のL-(+)-酒石酸塩は、L-(+)-酒石酸付加塩を調製するための任意の適切な方法によって調製され得る。例えば、結晶化溶媒において化合物1とL-(+)-酒石酸(例えば、約1.0モル当量以上)とを混合することができ、得られる塩を溶液からろ過することによって当該塩を単離することができる。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約2モル当量のL-(+)-酒石酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約1.5モル当量のL-(+)-酒石酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1.1モル当量のL-(+)-酒石酸と混合される。
【0072】
結晶化溶媒は、化合物1を少なくとも部分的に溶解させることが可能な任意の溶媒または溶媒混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、アルコールを含む。適切なアルコールには、メタノール、エタノール、2-ニトロエタノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1-プロパノール、イソプロパノール(イソプロピルアルコール、2-プロパノール)、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、もしくは3-ペンタノール、ネオ-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、またはグリセロールが含まれる。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、またはイソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタンを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、メタノールとジクロロメタンとの1:1(v/v)混合物である。
【0074】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、少なくとも約50℃の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、約50℃~約80℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約40℃~約60℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃~約55℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、または約80℃の温度が使用される。
【0075】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、実用的な速度で結晶化を誘導し得る温度に加熱される。いくつかの実施形態では、結晶化は、約12~約48時間以内に完了するが、結晶化溶媒及び温度の選択に応じて時間の延長及び短縮が可能である。
【0076】
L-(+)-酒石酸塩の沈降及び/または結晶化は、いくつかの実施形態では、当該塩を溶液からろ過することによって実施される。
【0077】
化合物1の結晶L-(+)-酒石酸塩形態は、その特有のシグネチャー(例えば、粉末X線回折、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、及び固体NMRに関するもの)によって同定され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、結晶L-(+)-酒石酸塩は、
図6に実質的に示される粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられ得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、化合物1のL-(+)-酒石酸塩は、約3.8°(2θ)、約8.5°(2θ)、約9.1°(2θ)、約10.3°(2θ)、及び約12.0°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0080】
いくつかの実施形態では、化合物1のL-(+)-酒石酸塩は、約3.8°(2θ)、約8.5°(2θ)、約9.1°(2θ)、約10.3°(2θ)、及び約12.0°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0081】
いくつかの実施形態では、化合物1のL-(+)-酒石酸塩は、約3.8°(2θ)、約8.5°(2θ)、約9.1°(2θ)、約10.3°(2θ)、及び約12.0°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0082】
いくつかの実施形態では、化合物1のL-(+)-酒石酸塩は、約3.8°(2θ)、約4.5°(2θ)、約8.5°(2θ)、約9.1°(2θ)、約10.3°(2θ)、約12.0°(2θ)、約12.3°(2θ)、約14.3°(2θ)、約15.7°(2θ)、約18.2°(2θ)、約18.8°(2θ)、約20.2°(2θ)、約21.3°(2θ)、及び約22.5°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0083】
いくつかの実施形態では、化合物1のL-(+)-酒石酸塩は、約3.8°(2θ)、約4.5°(2θ)、約8.5°(2θ)、約9.1°(2θ)、約10.3°(2θ)、約12.0°(2θ)、約12.3°(2θ)、約14.3°(2θ)、約15.7°(2θ)、約18.2°(2θ)、約18.8°(2θ)、約20.2°(2θ)、約21.3°(2θ)、及び約22.5°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、化合物1のL-(+)-酒石酸塩は、約3.8°(2θ)、約4.5°(2θ)、約8.5°(2θ)、約9.1°(2θ)、約10.3°(2θ)、約12.0°(2θ)、約12.3°(2θ)、約14.3°(2θ)、約15.7°(2θ)、約18.2°(2θ)、約18.8°(2θ)、約20.2°(2θ)、約21.3°(2θ)、及び約22.5°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0085】
いくつかの実施形態では、L-(+)-酒石酸塩は、約90℃、約211℃、及び約266℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、吸熱ピークは、約90℃の温度に位置する。いくつかの実施形態では、吸熱ピークは、約211℃の温度に位置する。いくつかの実施形態では、吸熱ピークは、約266℃の温度に位置する。いくつかの実施形態では、L-(+)-酒石酸塩は、
図7に実質的に示されるDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、L-(+)-酒石酸塩は、
図8に実質的に示されるTGAサーモグラムを有する。
【0086】
いくつかの実施形態では、化合物1のL-(+)-酒石酸塩は、約3.8、約8.5、約9.1、約10.3、及び約12.0から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有し、このL-(+)-酒石酸塩は、約90℃、約211℃、及び約266℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【0087】
いくつかの実施形態では、化合物1のL-(+)-酒石酸塩は、実質的に結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、水和物である。いくつかの実施形態では、塩は、溶媒和物である。
【0088】
サリチル酸塩
化合物1のサリチル酸塩は、サリチル酸付加塩を調製するための任意の適切な方法によって調製され得る。例えば、結晶化溶媒において化合物1とサリチル酸(例えば、約1.0モル当量以上)とを混合することができ、得られる塩を溶液からろ過することによって当該塩を単離することができる。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約2モル当量のサリチル酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約1.5モル当量のサリチル酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1.2モル当量のサリチル酸と混合される。いくつかの実施形態では、化合物1は、約1.3モル当量のサリチル酸と混合される。
【0089】
結晶化溶媒は、化合物1を少なくとも部分的に溶解させることが可能な任意の溶媒または溶媒混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、アルコールを含む。適切なアルコールには、メタノール、エタノール、2-ニトロエタノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1-プロパノール、イソプロパノール(イソプロピルアルコール、2-プロパノール)、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、もしくは3-ペンタノール、ネオ-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、またはグリセロールが含まれる。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、またはイソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタンを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、メタノールである。
【0091】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、少なくとも約50℃の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、約50℃~約80℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約40℃~約60℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃~約55℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、または約80℃の温度が使用される。
【0092】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、実用的な速度で結晶化を誘導し得る温度に加熱される。いくつかの実施形態では、結晶化は、約12~約48時間以内に完了するが、結晶化溶媒及び温度の選択に応じて時間の延長及び短縮が可能である。
【0093】
サリチル酸塩の沈降及び/または結晶化は、いくつかの実施形態では、当該塩を溶液からろ過することによって実施される。
【0094】
化合物1の結晶サリチル酸塩形態は、その特有のシグネチャー(例えば、粉末X線回折、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、及び固体NMRに関するもの)によって同定され得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、結晶サリチル酸塩は、
図10に実質的に示される粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられ得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、化合物1のサリチル酸塩は、約10.4°(2θ)、約11.8°(2θ)、約12.1°(2θ)、約13.4°(2θ)、及び約13.9°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0097】
いくつかの実施形態では、化合物1のサリチル酸塩は、約10.4°(2θ)、約11.8°(2θ)、約12.1°(2θ)、約13.4°(2θ)、及び約13.9°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0098】
いくつかの実施形態では、化合物1のサリチル酸塩は、約10.4°(2θ)、約11.8°(2θ)、約12.1°(2θ)、約13.4°(2θ)、及び約13.9°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0099】
いくつかの実施形態では、化合物1のサリチル酸塩は、約10.4°(2θ)、約11.8°(2θ)、約12.1°(2θ)、約13.4°(2θ)、約13.9°(2θ)、約15.1°(2θ)、約18.2°(2θ)、約20.1°(2θ)、約21.7°(2θ)、約22.6°(2θ)、約23.2°(2θ)、約24.3°(2θ)、約24.8°(2θ)、約27.0°(2θ)、及び約27.4°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0100】
いくつかの実施形態では、化合物1のサリチル酸塩は、約10.4°(2θ)、約11.8°(2θ)、約12.1°(2θ)、約13.4°(2θ)、約13.9°(2θ)、約15.1°(2θ)、約18.2°(2θ)、約20.1°(2θ)、約21.7°(2θ)、約22.6°(2θ)、約23.2°(2θ)、約24.3°(2θ)、約24.8°(2θ)、約27.0°(2θ)、及び約27.4°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、化合物1のサリチル酸塩は、約10.4°(2θ)、約11.8°(2θ)、約12.1°(2θ)、約13.4°(2θ)、約13.9°(2θ)、約15.1°(2θ)、約18.2°(2θ)、約20.1°(2θ)、約21.7°(2θ)、約22.6°(2θ)、約23.2°(2θ)、約24.3°(2θ)、約24.8°(2θ)、約27.0°(2θ)、及び約27.4°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0102】
いくつかの実施形態では、サリチル酸塩は、約212℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、サリチル酸塩は、
図11に実質的に示されるDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、サリチル酸塩は、
図12に実質的に示されるTGAサーモグラムを有する。
【0103】
いくつかの実施形態では、化合物1のサリチル酸塩は、約10.4、約11.8、約12.1、約13.4、及び約13.9から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有し、このサリチル酸塩は、約212℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【0104】
いくつかの実施形態では、化合物1のサリチル酸塩は、実質的に結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、水和物である。いくつかの実施形態では、塩は、溶媒和物である。
【0105】
塩酸塩
化合物1の塩酸塩は、塩酸付加塩を調製するための任意の適切な方法によって調製され得る。例えば、結晶化溶媒において化合物1と塩酸(例えば、約1.0モル当量以上)とを混合することができ、得られる塩を溶液からろ過することによって当該塩を単離することができる。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約2モル当量の塩酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約1.5モル当量の塩酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1.25当量の塩酸と混合される。
【0106】
結晶化溶媒は、化合物1を少なくとも部分的に溶解させることが可能な任意の溶媒または溶媒混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、アルコールを含む。適切なアルコールには、メタノール、エタノール、2-ニトロエタノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1-プロパノール、イソプロパノール(イソプロピルアルコール、2-プロパノール)、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、もしくは3-ペンタノール、ネオ-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、またはグリセロールが含まれる。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、またはイソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタンを含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、メタノールである。
【0108】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、少なくとも約50℃の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、約50℃~約80℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約40℃~約60℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃~約55℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、または約80℃の温度が使用される。
【0109】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、実用的な速度で結晶化を誘導し得る温度に加熱される。いくつかの実施形態では、結晶化は、約12~約48時間以内に完了するが、結晶化溶媒及び温度の選択に応じて時間の延長及び短縮が可能である。
【0110】
塩酸塩の沈降及び/または結晶化は、いくつかの実施形態では、当該塩を溶液からろ過することによって実施される。
【0111】
化合物1の結晶塩酸塩形態は、その特有のシグネチャー(例えば、粉末X線回折、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、及び固体NMRに関するもの)によって同定され得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、結晶塩酸塩は、
図13に実質的に示される粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられ得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、化合物1の塩酸塩は、約6.8°(2θ)、約9.2°(2θ)、約12.9°(2θ)、約15.6°(2θ)、及び約16.1°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、化合物1の塩酸塩は、約6.8°(2θ)、約9.2°(2θ)、約12.9°(2θ)、約15.6°(2θ)、及び約16.1°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0115】
いくつかの実施形態では、化合物1の塩酸塩は、約6.8°(2θ)、約9.2°(2θ)、約12.9°(2θ)、約15.6°(2θ)、及び約16.1°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0116】
いくつかの実施形態では、化合物1の塩酸塩は、約4.2°(2θ)、約6.8°(2θ)、約9.2°(2θ)、約12.9°(2θ)、約15.6°(2θ)、約16.1°(2θ)、約17.2°(2θ)、約21.6°(2θ)、約22.2°(2θ)、約23.4°(2θ)、約24.7°(2θ)、約26.5°(2θ)、及び約27.4°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0117】
いくつかの実施形態では、化合物1の塩酸塩は、約4.2°(2θ)、約6.8°(2θ)、約9.2°(2θ)、約12.9°(2θ)、約15.6°(2θ)、約16.1°(2θ)、約17.2°(2θ)、約21.6°(2θ)、約22.2°(2θ)、約23.4°(2θ)、約24.7°(2θ)、約26.5°(2θ)、及び約27.4°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0118】
いくつかの実施形態では、化合物1の塩酸塩は、約4.2°(2θ)、約6.8°(2θ)、約9.2°(2θ)、約12.9°(2θ)、約15.6°(2θ)、約16.1°(2θ)、約17.2°(2θ)、約21.6°(2θ)、約22.2°(2θ)、約23.4°(2θ)、約24.7°(2θ)、約26.5°(2θ)、及び約27.4°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0119】
いくつかの実施形態では、塩酸塩は、約120℃、約189℃、及び約274℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、塩酸塩は、約120℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、塩酸塩は、約189℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、塩酸塩は、約274℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、塩酸塩は、
図14に実質的に示されるDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、塩酸塩は、
図15に実質的に示されるTGAサーモグラムを有する。
【0120】
いくつかの実施形態では、化合物1の塩酸塩は、約6.8、約9.2、約12.9、約15.6、及び約16.1から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有し、この塩酸塩は、約120℃、約189℃、及び約274℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【0121】
いくつかの実施形態では、化合物1の塩酸塩は、実質的に結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、水和物である。いくつかの実施形態では、塩は、溶媒和物である。
【0122】
臭化水素酸塩
化合物1の臭化水素酸塩は、臭化水素酸付加塩を調製するための任意の適切な方法によって調製され得る。例えば、結晶化溶媒において化合物1と臭化水素酸(例えば、約1.0モル当量以上)とを混合することができ、得られる塩を溶液からろ過することによって当該塩を単離することができる。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約2モル当量の臭化水素酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約1.5モル当量の臭化水素酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1.2モル当量の臭化水素酸と混合される。
【0123】
結晶化溶媒は、化合物1を少なくとも部分的に溶解させることが可能な任意の溶媒または溶媒混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、アルコールを含む。適切なアルコールには、メタノール、エタノール、2-ニトロエタノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1-プロパノール、イソプロパノール(イソプロピルアルコール、2-プロパノール)、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、もしくは3-ペンタノール、ネオ-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、またはグリセロールが含まれる。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、またはイソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタンを含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、メタノールである。
【0125】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、約50℃の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、約50℃~約80℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約40℃~約60℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃~約55℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、または約80℃の温度が使用される。
【0126】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、実用的な速度で結晶化を誘導し得る温度に加熱される。いくつかの実施形態では、結晶化は、約12~約24時間以内に完了するが、結晶化溶媒及び温度の選択に応じて時間の延長及び短縮が可能である。
【0127】
臭化水素酸塩の沈降及び/または結晶化は、いくつかの実施形態では、当該塩を溶液からろ過することによって実施される。
【0128】
化合物1の化合物の結晶臭化水素酸塩形態は、その特有のシグネチャー(例えば、粉末X線回折、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、及び固体NMRに関するもの)によって同定され得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、結晶臭化水素酸塩は、
図17に実質的に示される粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられ得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、化合物1の臭化水素酸塩は、約7.3°(2θ)、約9.3°(2θ)、約13.9°(2θ)、約14.5°(2θ)、及び約16.1°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0131】
いくつかの実施形態では、化合物1の臭化水素酸塩は、約7.3°(2θ)、約9.3°(2θ)、約13.9°(2θ)、約14.5°(2θ)、及び約16.1°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0132】
いくつかの実施形態では、化合物1の臭化水素酸塩は、約7.3°(2θ)、約9.3°(2θ)、約13.9°(2θ)、約14.5°(2θ)、及び約16.1°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0133】
いくつかの実施形態では、化合物1の臭化水素酸塩は、約6.8°(2θ)、約7.3°(2θ)、約9.3°(2θ)、約13.9°(2θ)、約14.5°(2θ)、約16.1°(2θ)、約21.5°(2θ)、約23.3°(2θ)、約23.8°(2θ)、約25.3°(2θ)、及び約28.1°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0134】
いくつかの実施形態では、化合物1の臭化水素酸塩は、約6.8°(2θ)、約7.3°(2θ)、約9.3°(2θ)、約13.9°(2θ)、約14.5°(2θ)、約16.1°(2θ)、約21.5°(2θ)、約23.3°(2θ)、約23.8°(2θ)、約25.3°(2θ)、及び約28.1°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0135】
いくつかの実施形態では、化合物1の臭化水素酸塩は、約6.8°(2θ)、約7.3°(2θ)、約9.3°(2θ)、約13.9°(2θ)、約14.5°(2θ)、約16.1°(2θ)、約21.5°(2θ)、約23.3°(2θ)、約23.8°(2θ)、約25.3°(2θ)、及び約28.1°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0136】
いくつかの実施形態では、臭化水素酸塩は、約84℃及び約235℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、臭化水素酸塩は、約84℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、臭化水素酸塩は、約235℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、臭化水素酸塩は、
図18に実質的に示されるDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、臭化水素酸塩は、
図19に実質的に示されるTGAサーモグラムを有する。
【0137】
いくつかの実施形態では、化合物1の臭化水素酸塩は、約7.3、約9.3、約13.9、約14.5、及び約16.1から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有し、この臭化水素酸塩は、約84℃及び約235℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【0138】
いくつかの実施形態では、化合物1の臭化水素酸塩は、実質的に結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、水和物である。いくつかの実施形態では、塩は、溶媒和物である。
【0139】
フマル酸塩
化合物1のフマル酸塩は、フマル酸付加塩を調製するための任意の適切な方法によって調製され得る。例えば、結晶化溶媒において化合物1とフマル酸(例えば、約1.0モル当量以上)とを混合することができ、得られる塩を溶液からろ過することによって当該塩を単離することができる。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約2モル当量のフマル酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約1.5モル当量のフマル酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1.2モル当量のフマル酸と混合される。
【0140】
結晶化溶媒は、化合物1を少なくとも部分的に溶解させることが可能な任意の溶媒または溶媒混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、アルコールを含む。適切なアルコールには、メタノール、エタノール、2-ニトロエタノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1-プロパノール、イソプロパノール(イソプロピルアルコール、2-プロパノール)、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、もしくは3-ペンタノール、ネオ-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、またはグリセロールが含まれる。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、またはイソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタンを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、メタノールである。
【0142】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、約50℃の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、約50℃~約80℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約40℃~約60℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃~約55℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、または約80℃の温度が使用される。
【0143】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、実用的な速度で結晶化を誘導し得る温度に加熱される。いくつかの実施形態では、結晶化は、約12~約24時間以内に完了するが、結晶化溶媒及び温度の選択に応じて時間の延長及び短縮が可能である。
【0144】
フマル酸塩の沈降及び/または結晶化は、いくつかの実施形態では、当該塩を溶液からろ過することによって実施される。
【0145】
化合物1の結晶フマル酸塩形態は、その特有のシグネチャー(例えば、粉末X線回折、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、及び固体NMRに関するもの)によって同定され得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、結晶フマル酸塩は、
図21に実質的に示される粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられ得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、化合物1のフマル酸塩は、約6.3°(2θ)、約7.1°(2θ)、約7.8°(2θ)、及び約12.7°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0148】
いくつかの実施形態では、化合物1のフマル酸塩は、約6.3°(2θ)、約7.1°(2θ)、約7.8°(2θ)、及び約12.7°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0149】
いくつかの実施形態では、化合物1のフマル酸塩は、約6.3°(2θ)、約7.1°(2θ)、約7.8°(2θ)、及び約12.7°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0150】
いくつかの実施形態では、化合物1のフマル酸塩は、約6.3°(2θ)、約7.1°(2θ)、約7.8°(2θ)、約12.7°(2θ)、約16.5°(2θ)、約18.8°(2θ)、約21.2°(2θ)、約21.8°(2θ)、約22.6°(2θ)、約23.5°(2θ)、約25.1°(2θ)、約25.5°(2θ)、及び約25.9°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0151】
いくつかの実施形態では、化合物1のフマル酸塩は、約6.3°(2θ)、約7.1°(2θ)、約7.8°(2θ)、約12.7°(2θ)、約16.5°(2θ)、約18.8°(2θ)、約21.2°(2θ)、約21.8°(2θ)、約22.6°(2θ)、約23.5°(2θ)、約25.1°(2θ)、約25.5°(2θ)、及び約25.9°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0152】
いくつかの実施形態では、化合物1のフマル酸塩は、約6.3°(2θ)、約7.1°(2θ)、約7.8°(2θ)、約12.7°(2θ)、約16.5°(2θ)、約18.8°(2θ)、約21.2°(2θ)、約21.8°(2θ)、約22.6°(2θ)、約23.5°(2θ)、約25.1°(2θ)、約25.5°(2θ)、及び約25.9°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0153】
いくつかの実施形態では、フマル酸塩は、約214℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、フマル酸塩は、
図22に実質的に示されるDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、フマル酸塩は、
図23に実質的に示されるTGAサーモグラムを有する。
【0154】
いくつかの実施形態では、化合物1のフマル酸塩は、約6.3、約7.1、約7.8、及び約12.7から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有し、このフマル酸塩は、約214℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【0155】
いくつかの実施形態では、化合物1のフマル酸塩は、実質的に結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、水和物である。いくつかの実施形態では、塩は、溶媒和物である。
【0156】
リン酸塩
化合物1のリン酸塩は、リン酸付加塩を調製するための任意の適切な方法によって調製され得る。例えば、結晶化溶媒において化合物1とリン酸(例えば、約1.0モル当量以上)とを混合することができ、得られる塩を溶液からろ過することによって当該塩を単離することができる。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約2モル当量のリン酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約1.5モル当量のリン酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1.2モル当量のリン酸と混合される。
【0157】
結晶化溶媒は、化合物1を少なくとも部分的に溶解させることが可能な任意の溶媒または溶媒混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、アルコールを含む。適切なアルコールには、メタノール、エタノール、2-ニトロエタノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1-プロパノール、イソプロパノール(イソプロピルアルコール、2-プロパノール)、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、もしくは3-ペンタノール、ネオ-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、またはグリセロールが含まれる。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、またはイソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタンを含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、メタノールである。
【0159】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、約50℃の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、約50℃~約80℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約40℃~約60℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃~約55℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、または約80℃の温度が使用される。
【0160】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、実用的な速度で結晶化を誘導し得る温度に加熱される。いくつかの実施形態では、結晶化は、約12~約24時間以内に完了するが、結晶化溶媒及び温度の選択に応じて時間の延長及び短縮が可能である。
【0161】
リン酸塩の沈降及び/または結晶化は、いくつかの実施形態では、当該塩を溶液からろ過することによって実施される。
【0162】
化合物1の化合物の結晶リン酸塩形態は、その特有のシグネチャー(例えば、粉末X線回折、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、及び固体NMRに関するもの)によって同定され得る。いくつかの実施形態では、結晶リン酸塩は、
図25に実質的に示される粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられ得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、化合物1のリン酸塩は、約3.9°(2θ)、約7.7°(2θ)、約10.4°(2θ)、及び約12.6°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0164】
いくつかの実施形態では、化合物1のリン酸塩は、約3.9°(2θ)、約7.7°(2θ)、約10.4°(2θ)、及び約12.6°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0165】
いくつかの実施形態では、化合物1のリン酸塩は、約3.9°(2θ)、約7.7°(2θ)、約10.4°(2θ)、及び約12.6°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0166】
いくつかの実施形態では、化合物1のリン酸塩は、約3.9°(2θ)、約7.7°(2θ)、約10.4°(2θ)、約12.6°(2θ)、約14.3°(2θ)、約16.9°(2θ)、約19.7°(2θ)、約20.8°(2θ)、約23.2°(2θ)、約25.1°(2θ)、約27.2°(2θ)、約28.6°(2θ)、及び約30.0°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0167】
いくつかの実施形態では、化合物1のリン酸塩は、約3.9°(2θ)、約7.7°(2θ)、約10.4°(2θ)、約12.6°(2θ)、約14.3°(2θ)、約16.9°(2θ)、約19.7°(2θ)、約20.8°(2θ)、約23.2°(2θ)、約25.1°(2θ)、約27.2°(2θ)、約28.6°(2θ)、及び約30.0°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0168】
いくつかの実施形態では、化合物1のリン酸塩は、約3.9°(2θ)、約7.7°(2θ)、約10.4°(2θ)、約12.6°(2θ)、約14.3°(2θ)、約16.9°(2θ)、約19.7°(2θ)、約20.8°(2θ)、約23.2°(2θ)、約25.1°(2θ)、約27.2°(2θ)、約28.6°(2θ)、及び約30.0°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0169】
いくつかの実施形態では、リン酸塩は、約215℃及び約221℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、リン酸塩は、約215℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、リン酸塩は、約221℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、リン酸塩は、
図26に実質的に示されるDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、リン酸塩は、
図27に実質的に示されるTGAサーモグラムを有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、化合物1のリン酸塩は、約3.9、約7.7、約10.4、及び約12.6から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有し、このリン酸塩は、約215℃及び約221℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【0171】
いくつかの実施形態では、化合物1のリン酸塩は、実質的に結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、水和物である。いくつかの実施形態では、塩は、溶媒和物である。
【0172】
ベンゼンスルホン酸塩
化合物1のベンゼンスルホン酸塩は、ベンゼンスルホン酸付加塩を調製するための任意の適切な方法によって調製され得る。例えば、結晶化溶媒において化合物1とベンゼンスルホン酸(例えば、約1.0モル当量以上)とを混合することができ、得られる塩を溶液からろ過することによって当該塩を単離することができる。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約2モル当量のベンゼンスルホン酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約1.5モル当量のベンゼンスルホン酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1.2モル当量のベンゼンスルホン酸と混合される。
【0173】
結晶化溶媒は、化合物1を少なくとも部分的に溶解させることが可能な任意の溶媒または溶媒混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、アルコールを含む。適切なアルコールには、メタノール、エタノール、2-ニトロエタノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1-プロパノール、イソプロパノール(イソプロピルアルコール、2-プロパノール)、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、もしくは3-ペンタノール、ネオ-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、またはグリセロールが含まれる。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、またはイソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタンを含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、メタノールである。
【0175】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、約50℃の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、約50℃~約80℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約40℃~約60℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃~約55℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、または約80℃の温度が使用される。
【0176】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、実用的な速度で結晶化を誘導し得る温度に加熱される。いくつかの実施形態では、結晶化は、約12~約24時間以内に完了するが、結晶化溶媒及び温度の選択に応じて時間の延長及び短縮が可能である。
【0177】
ベンゼンスルホン酸塩の沈降及び/または結晶化は、いくつかの実施形態では、当該塩を溶液からろ過することによって実施される。
【0178】
化合物1の結晶ベンゼンスルホン酸塩形態は、その特有のシグネチャー(例えば、粉末X線回折、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、及び固体NMRに関するもの)によって同定され得る。
【0179】
いくつかの実施形態では、結晶ベンゼンスルホン酸塩は、
図29に実質的に示される粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられ得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩は、約3.8°(2θ)、約6.7°(2θ)、約7.4°(2θ)、約9.8°(2θ)、約11.0°(2θ)、及び約13.0°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0181】
いくつかの実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩は、約3.8°(2θ)、約6.7°(2θ)、約7.4°(2θ)、約9.8°(2θ)、約11.0°(2θ)、及び約13.0°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0182】
いくつかの実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩は、約3.8°(2θ)、約6.7°(2θ)、約7.4°(2θ)、約9.8°(2θ)、約11.0°(2θ)、及び約13.0°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0183】
いくつかの実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩は、約3.8°(2θ)、約6.7°(2θ)、約7.4°(2θ)、約9.8°(2θ)、約11.0°(2θ)、約13.0°(2θ)、約13.4°(2θ)、約15.1°(2θ)、約16.0°(2θ)、約16.9°(2θ)、約19.4°(2θ)、約20.6°(2θ)、約21.0°(2θ)、約22.3°(2θ)、約23.6°(2θ)、約25.6°(2θ)、約26.1°(2θ)、及び約30.1°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0184】
いくつかの実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩は、約3.8°(2θ)、約6.7°(2θ)、約7.4°(2θ)、約9.8°(2θ)、約11.0°(2θ)、約13.0°(2θ)、約13.4°(2θ)、約15.1°(2θ)、約16.0°(2θ)、約16.9°(2θ)、約19.4°(2θ)、約20.6°(2θ)、約21.0°(2θ)、約22.3°(2θ)、約23.6°(2θ)、約25.6°(2θ)、約26.1°(2θ)、及び約30.1°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0185】
いくつかの実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩は、約3.8°(2θ)、約6.7°(2θ)、約7.4°(2θ)、約9.8°(2θ)、約11.0°(2θ)、約13.0°(2θ)、約13.4°(2θ)、約15.1°(2θ)、約16.0°(2θ)、約16.9°(2θ)、約19.4°(2θ)、約20.6°(2θ)、約21.0°(2θ)、約22.3°(2θ)、約23.6°(2θ)、約25.6°(2θ)、約26.1°(2θ)、及び約30.1°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0186】
いくつかの実施形態では、ベンゼンスルホン酸塩は、約105℃、約190℃、約222℃、及び約241℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、ベンゼンスルホン酸塩は、約105℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、ベンゼンスルホン酸塩は、約190℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、ベンゼンスルホン酸塩は、約222℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、ベンゼンスルホン酸塩は、約241℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、ベンゼンスルホン酸塩は、
図30に実質的に示されるDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、ベンゼンスルホン酸塩は、
図31に実質的に示されるTGAサーモグラムを有する。
【0187】
いくつかの実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩は、約3.8、約6.7、約7.4、約9.8、約11.0、及び約13.0から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有し、このベンゼンスルホン酸塩は、約105℃、約190℃、約222℃、及び約241℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【0188】
いくつかの実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩は、実質的に結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、水和物である。いくつかの実施形態では、塩は、溶媒和物である。
【0189】
エタンスルホン酸塩
化合物1のエタンスルホン酸塩は、エタンスルホン酸付加塩を調製するための任意の適切な方法によって調製され得る。例えば、結晶化溶媒において化合物1とエタンスルホン酸(例えば、約1.0モル当量以上)とを混合することができ、得られる塩を溶液からろ過することによって当該塩を単離することができる。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約2モル当量のエタンスルホン酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約1.5モル当量のエタンスルホン酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1.2モル当量のエタンスルホン酸と混合される。
【0190】
結晶化溶媒は、化合物1を少なくとも部分的に溶解させることが可能な任意の溶媒または溶媒混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、アルコールを含む。適切なアルコールには、メタノール、エタノール、2-ニトロエタノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1-プロパノール、イソプロパノール(イソプロピルアルコール、2-プロパノール)、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、もしくは3-ペンタノール、ネオ-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、またはグリセロールが含まれる。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、またはイソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタンを含む。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、イソプロパノールを含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、メタノールである。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、メタノールとイソプロパノールとの混合物である。
【0192】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、約50℃の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、約50℃~約80℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約40℃~約60℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃~約55℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、または約80℃の温度が使用される。
【0193】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、実用的な速度で結晶化を誘導し得る温度に加熱される。いくつかの実施形態では、結晶化は、約12~約24時間以内に完了するが、結晶化溶媒及び温度の選択に応じて時間の延長及び短縮が可能である。
【0194】
エタンスルホン酸塩の沈降及び/または結晶化は、いくつかの実施形態では、当該塩を溶液からろ過することによって実施される。
【0195】
化合物1の結晶エタンスルホン酸塩形態は、その特有のシグネチャー(例えば、粉末X線回折、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、及び固体NMRに関するもの)によって同定され得る。
【0196】
いくつかの実施形態では、結晶エタンスルホン酸塩は、
図33に実質的に示される粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられ得る。
【0197】
いくつかの実施形態では、化合物1のエタンスルホン酸塩は、約4.5°(2θ)、約7.3°(2θ)、約9.0°(2θ)、約14.7°(2θ)、及び約15.9°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0198】
いくつかの実施形態では、化合物1のエタンスルホン酸塩は、約4.5°(2θ)、約7.3°(2θ)、約9.0°(2θ)、約14.7°(2θ)、及び約15.9°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0199】
いくつかの実施形態では、化合物1のエタンスルホン酸塩は、約4.5°(2θ)、約7.3°(2θ)、約9.0°(2θ)、約14.7°(2θ)、及び約15.9°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0200】
いくつかの実施形態では、化合物1のエタンスルホン酸塩は、約4.5°(2θ)、約7.3°(2θ)、約9.0°(2θ)、約14.7°(2θ)、約15.9°(2θ)、約18.0°(2θ)、約18.9°(2θ)、約19.4°(2θ)、約21.4°(2θ)、約22.1°(2θ)、約25.3°(2θ)、約27.7°(2θ)、及び約31.6°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0201】
いくつかの実施形態では、化合物1のエタンスルホン酸塩は、約4.5°(2θ)、約7.3°(2θ)、約9.0°(2θ)、約14.7°(2θ)、約15.9°(2θ)、約18.0°(2θ)、約18.9°(2θ)、約19.4°(2θ)、約21.4°(2θ)、約22.1°(2θ)、約25.3°(2θ)、約27.7°(2θ)、及び約31.6°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0202】
いくつかの実施形態では、化合物1のエタンスルホン酸塩は、約4.5°(2θ)、約7.3°(2θ)、約9.0°(2θ)、約14.7°(2θ)、約15.9°(2θ)、約18.0°(2θ)、約18.9°(2θ)、約19.4°(2θ)、約21.4°(2θ)、約22.1°(2θ)、約25.3°(2θ)、約27.7°(2θ)、及び約31.6°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0203】
いくつかの実施形態では、エタンスルホン酸塩は、約227℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、エタンスルホン酸塩は、
図34に実質的に示されるDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、エタンスルホン酸塩は、
図35に実質的に示されるTGAサーモグラムを有する。
【0204】
いくつかの実施形態では、化合物1のエタンスルホン酸塩は、約4.5、約7.3、約9.0、約14.7、及び約15.9から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有し、このエタンスルホン酸塩は、約227℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【0205】
いくつかの実施形態では、化合物1のエタンスルホン酸塩は、実質的に結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、水和物である。いくつかの実施形態では、塩は、溶媒和物である。
【0206】
マレイン酸塩
化合物1のマレイン酸塩は、マレイン酸付加塩を調製するための任意の適切な方法によって調製され得る。例えば、結晶化溶媒において化合物1とマレイン酸(例えば、約1.0モル当量以上)とを混合することができ、得られる塩を溶液からろ過することによって当該塩を単離することができる。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約2モル当量のマレイン酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約1.5モル当量のマレイン酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1.2モル当量のマレイン酸と混合される。
【0207】
結晶化溶媒は、化合物1を少なくとも部分的に溶解させることが可能な任意の溶媒または溶媒混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、アルコールを含む。適切なアルコールには、メタノール、エタノール、2-ニトロエタノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1-プロパノール、イソプロパノール(イソプロピルアルコール、2-プロパノール)、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、もしくは3-ペンタノール、ネオ-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、またはグリセロールが含まれる。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、またはイソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、ジクロロメタンを含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、メタノールである。
【0209】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、約50℃の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、約50℃~約80℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約40℃~約60℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃~約55℃の温度が使用される。いくつかの実施形態では、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、または約80℃の温度が使用される。
【0210】
いくつかの実施形態では、結晶化溶媒は、実用的な速度で結晶化を誘導し得る温度に加熱される。いくつかの実施形態では、結晶化は、約12~約24時間以内に完了するが、結晶化溶媒及び温度の選択に応じて時間の延長及び短縮が可能である。
【0211】
マレイン酸塩の沈降及び/または結晶化は、いくつかの実施形態では、当該塩を溶液からろ過することによって実施される。
【0212】
化合物1の結晶マレイン酸塩形態は、その特有のシグネチャー(例えば、粉末X線回折、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、及び固体NMRに関するもの)によって同定され得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、結晶マレイン酸塩は、
図37に実質的に示される粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられ得る。
【0214】
いくつかの実施形態では、化合物1のマレイン酸塩は、約6.6°(2θ)、約8.4°(2θ)、約8.9°(2θ)、約13.1°(2θ)、及び約13.5°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0215】
いくつかの実施形態では、化合物1のマレイン酸塩は、約6.6°(2θ)、約8.4°(2θ)、約8.9°(2θ)、約13.1°(2θ)、及び約13.5°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0216】
いくつかの実施形態では、化合物1のマレイン酸塩は、約6.6°(2θ)、約8.4°(2θ)、約8.9°(2θ)、約13.1°(2θ)、及び約13.5°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0217】
いくつかの実施形態では、化合物1のマレイン酸塩は、約6.6°(2θ)、約8.4°(2θ)、約8.9°(2θ)、約12.7°(2θ)、約13.1°(2θ)、約13.5°(2θ)、約14.6°(2θ)、約15.3°(2θ)、約19.7°(2θ)、約21.2°(2θ)、約25.7°(2θ)、約26.4°(2θ)、及び約26.8°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0218】
いくつかの実施形態では、化合物1のマレイン酸塩は、約6.6°(2θ)、約8.4°(2θ)、約8.9°(2θ)、約12.7°(2θ)、約13.1°(2θ)、約13.5°(2θ)、約14.6°(2θ)、約15.3°(2θ)、約19.7°(2θ)、約21.2°(2θ)、約25.7°(2θ)、約26.4°(2θ)、及び約26.8°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0219】
いくつかの実施形態では、化合物1のマレイン酸塩は、約6.6°(2θ)、約8.4°(2θ)、約8.9°(2θ)、約12.7°(2θ)、約13.1°(2θ)、約13.5°(2θ)、約14.6°(2θ)、約15.3°(2θ)、約19.7°(2θ)、約21.2°(2θ)、約25.7°(2θ)、約26.4°(2θ)、及び約26.8°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0220】
いくつかの実施形態では、マレイン酸塩は、約205℃及び約280℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、マレイン酸塩は、約205℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、マレイン酸塩は、約280℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、マレイン酸塩は、
図38に実質的に示されるDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、マレイン酸塩は、
図39に実質的に示されるTGAサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、化合物1のマレイン酸塩は、約6.6、約8.4、約8.9、約13.1、及び約13.5から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有し、このマレイン酸塩は、約205℃及び約280℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【0221】
いくつかの実施形態では、化合物1のマレイン酸塩は、実質的に結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、水和物である。いくつかの実施形態では、塩は、溶媒和物である。
【0222】
アジピン酸塩
化合物1のアジピン酸塩は、アジピン酸付加塩を調製するための任意の適切な方法によって調製され得る。例えば、結晶化溶媒において化合物1とアジピン酸(例えば、約1.0モル当量以上)とを混合することができ、得られる塩を溶液からろ過することによって当該塩を単離することができる。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約2モル当量のアジピン酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約1.5モル当量のアジピン酸と混合される。ある特定の実施形態では、化合物1は、約1~約1.25モル当量のアジピン酸と混合される。
【0223】
化合物1の結晶アジピン酸塩形態は、その特有のシグネチャー(例えば、粉末X線回折、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、及び固体NMRに関するもの)によって同定され得る。いくつかの実施形態では、結晶アジピン酸塩は、
図40に実質的に示される粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられ得る。
【0224】
いくつかの実施形態では、化合物1のアジピン酸塩は、約6.7°(2θ)、約8.9°(2θ)、約16.2°(2θ)、及び約17.8°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0225】
いくつかの実施形態では、化合物1のアジピン酸塩は、約6.7°(2θ)、約8.9°(2θ)、約16.2°(2θ)、及び約17.8°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0226】
いくつかの実施形態では、化合物1のアジピン酸塩は、約6.7°(2θ)、約8.9°(2θ)、約16.2°(2θ)、及び約17.8°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0227】
いくつかの実施形態では、化合物1のアジピン酸塩は、約6.7°(2θ)、約8.9°(2θ)、約16.2°(2θ)、約17.8°(2θ)、約19.9°(2θ)、約21.4°(2θ)、約22.0°(2θ)、約22.5°(2θ)、約23.9°(2θ)、約24.4°(2θ)、及び約25.6°(2θ)から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0228】
いくつかの実施形態では、化合物1のアジピン酸塩は、約6.7°(2θ)、約8.9°(2θ)、約16.2°(2θ)、約17.8°(2θ)、約19.9°(2θ)、約21.4°(2θ)、約22.0°(2θ)、約22.5°(2θ)、約23.9°(2θ)、約24.4°(2θ)、及び約25.6°(2θ)から選択される少なくとも2つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0229】
いくつかの実施形態では、化合物1のアジピン酸塩は、約6.7°(2θ)、約8.9°(2θ)、約16.2°(2θ)、約17.8°(2θ)、約19.9°(2θ)、約21.4°(2θ)、約22.0°(2θ)、約22.5°(2θ)、約23.9°(2θ)、約24.4°(2θ)、及び約25.6°(2θ)から選択される少なくとも3つの特徴的なXRPDピークを有する。
【0230】
いくつかの実施形態では、アジピン酸塩は、約62℃及び約271℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、アジピン酸塩は、約62℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、アジピン酸塩は、約271℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。いくつかの実施形態では、アジピン酸塩は、
図41に実質的に示されるDSCサーモグラムを有する。
【0231】
いくつかの実施形態では、化合物1のアジピン酸塩は、約6.7、約8.9、約16.2、及び約17.8から選択される少なくとも1つの特徴的なXRPDピークを有し、このアジピン酸塩は、約62℃及び約271℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【0232】
いくつかの実施形態では、化合物1のアジピン酸塩は、実質的に結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、結晶である。いくつかの実施形態では、塩は、水和物である。いくつかの実施形態では、塩は、溶媒和物である。
【0233】
使用方法
化合物1及び本明細書に記載の塩は、FGFR酵素の活性を阻害し得る。例えば、化合物1は、FGFR酵素を阻害することが必要な細胞または個体または患者における当該酵素の活性を、そうした細胞、個体、または患者に化合物1を阻害量で投与することによって阻害するために使用され得る。
【0234】
化合物1及びその塩は、FGFR酵素またはFGFRリガンドの発現異常または活性異常と関連するさまざまな疾患の治療においてFGFR阻害剤として有用である。FGFRを阻害する化合物は、具体的には血管新生を阻害することによって、腫瘍の増殖阻止手段または腫瘍のアポトーシス誘導手段を提供する上で有用なものとなる。それ故に、化合物1及びその塩は、増殖性疾患(がんなど)の治療または予防において有用であることが明らかになると見込まれる。受容体型チロシンキナーゼの活性化変異体を含む特定の腫瘍、または受容体型チロシンキナーゼが上方制御されている特定の腫瘍は、こうした阻害剤に対して特に感受性であり得る。
【0235】
ある特定の実施形態では、本開示は、FGFR介在性障害の治療が必要な患者における当該障害を治療するための方法を提供し、この方法は、化合物1の塩またはその医薬組成物を患者に投与するステップを含む。
【0236】
例えば、化合物1、その塩、及びそれらの固体形態は、がんの治療において有用である。がんの例としては、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、小腸の癌、結腸癌、直腸癌、肛門の癌、子宮内膜癌、胃癌、頭頸部癌(例えば、喉頭、下咽頭、鼻咽頭、中咽頭、唇、及び口の癌、頭頸部扁平上皮癌)、腎癌、肝癌(例えば、肝細胞癌、胆管細胞癌)、肺癌(例えば、腺癌、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌、小細胞癌及び非小細胞癌、気管支癌、気管支腺腫、胸膜肺芽腫)、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、子宮癌、外陰癌、食道癌、胆嚢癌、膵癌(例えば、膵外分泌癌)、胃癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、皮膚癌(例えば、扁平上皮癌、カポジ肉腫、メルケル細胞皮膚癌)、ならびに脳癌(例えば、星細胞腫、髄芽腫、上衣腫、神経外胚葉性腫瘍、松果体腫瘍)が挙げられる。
【0237】
がんのさらなる例としては、造血器悪性腫瘍が挙げられ、こうした造血器悪性腫瘍は、白血病またはリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性リンパ腫、成人T細胞白血病、B細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫、骨髄増殖性新生物(例えば、8p11骨髄増殖性症候群、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、及び原発性骨髄線維症)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、ヘアリー細胞リンパ腫、慢性骨髄性リンパ腫、急性リンパ芽球性リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、ならびにバーキットリンパ腫などである。
【0238】
ある特定の実施形態では、がんの治療方法が本明細書で提供され、この方法は、それを必要とする患者に対して化合物1、その塩、及びそれらの固体形態を治療的に有効な量で投与することを含む。ある特定の実施形態では、がんは、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、小腸の癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肝癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、子宮癌、外陰癌、食道癌、胆嚢癌、膵癌、甲状腺癌、皮膚癌、脳癌、白血病、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性リンパ腫、成人T細胞白血病、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、骨髄増殖性新生物、慢性骨髄性リンパ腫、急性リンパ芽球性リンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、膠芽腫、メラノーマ、横紋筋肉腫、リンパ肉腫、及び骨肉腫から選択される。ある特定の実施形態では、がんは、膀胱癌である。ある特定の実施形態では、肝癌は、胆管細胞癌である。
【0239】
化合物1、その塩、またはそれらの固体形態を用いて治療することが可能な他のがんには、眼の腫瘍、膠芽腫、メラノーマ、横紋筋肉腫、リンパ肉腫、及び骨肉腫が含まれる。
【0240】
化合物1、その塩、またはそれらの固体形態は、腫瘍転移の抑制においても有用であり得る。
【0241】
いくつかの実施形態では、化合物1または本明細書に記載の固体形態は、アルツハイマー病、HIV、または結核の治療に使用され得る。
【0242】
本明細書で使用される「8p11骨髄増殖性症候群」という用語は、好酸球増多症及びFGFR1異常と関連する骨髄系/リンパ系新生物を指すことが意図される。
【0243】
本明細書で使用される「細胞」という用語は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボの細胞を指すことが意図される。いくつかの実施形態では、エクスビボの細胞は、生物(哺乳類など)から切除された組織試料の一部であり得る。いくつかの実施形態では、インビトロの細胞は、細胞培養物中の細胞であり得る。いくつかの実施形態では、インビボの細胞は、生物(哺乳類など)中の生細胞である。
【0244】
本明細書で使用される「接触させること」という用語は、インビトロ系またはインビボ系において指定部分を引き合わせることを指す。例えば、FGFR酵素を、本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1の塩)と「接触させること」は、FGFRを有する個体または患者(ヒトなど)に対して本明細書に記載の化合物を投与すること、ならびに例えば、FGFR酵素を含む細胞調製物または精製調製物を含む試料に対して本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1の塩)を導入すること、を含む。
【0245】
本明細書で使用される「個体」または「患者」という用語は、互換的に使用され、任意の動物を指し、こうした動物には、哺乳類が含まれ、こうした哺乳類は、好ましくはマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類であり、最も好ましくはヒトである。
【0246】
本明細書で使用される「治療的に有効な量」という語句は、研究者、獣医師、医師、または他の臨床医によって探求されている組織、系、動物、個体、またはヒトにおいて生物学的または薬物的な応答を誘発する活性化合物または医薬品の量(本明細書に開示の固体形態またはその塩のいずれかの量など)を指す。任意の個々の症例における適切な「有効」量は、当業者に知られる手法を使用して決定され得る。
【0247】
「医薬的に許容可能」という語句は、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー応答、免疫原性、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、健全な医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織と接触させて使用する上で、化合物、材料、組成物、及び/または剤形が適しており、合理的な利益/リスク比に見合うものであることを指すために本明細書で使用される。
【0248】
本明細書で使用される「医薬的に許容可能な担体または医薬品添加物」という語句は、医薬的に許容可能な材料、組成物、または媒体(液体または固体の賦形剤、希釈剤、溶媒、または封入材料など)を指す。医薬品添加物または担体は、一般に、安全であり、毒性を有さず、生物学的にもその他の様式でも有害ではないものであり、こうした医薬品添加物または担体には、獣医学的な使用ならびにヒトに対する医薬的な使用向けに許容可能な医薬品添加物または担体が含まれる。1つの実施形態では、各成分は、本明細書に定義されるように「医薬的に許容可能」である。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st ed.;Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia,Pa.,2005、Handbook of Pharmaceutical Excipients,6th ed.;Rowe et al.,Eds.;The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2009、Handbook of Pharmaceutical Additives,3rd ed.;Ash and Ash Eds.;Gower Publishing Company:2007、Pharmaceutical Preformulation and Formulation,2nd ed.;Gibson Ed.;CRC Press LLC:Boca Raton,Fla.,2009を参照のこと。
【0249】
本明細書で使用される「治療すること」または「治療」という用語は、疾患を抑制すること(例えば、疾患、状態、または障害の病態または総体症状を患っているか、または示している個体における疾患、状態、または障害を抑制すること(すなわち、病態及び/または総体症状のさらなる進行を抑止すること))を指すか、あるいは疾患を軽快させること(例えば、疾患、状態、または障害の病態または総体症状を患っているか、または示している個体における疾患、状態、または障害を軽快させること(すなわち、病態及び/または総体症状を改善させること)(疾患の重症度を低減することなど))を指す。
【0250】
本発明のある特定の特徴は、明確化のために、個別の実施形態と関連付けて説明されるが、単一の実施形態において組み合わせて提供されることもあり得ると理解されたい(一方で、こうした実施形態は、あたかも掛け合わせに依存する形態であるかのごとくに組み合わせることが意図される)。逆に、本発明のさまざまな特徴は、簡潔化のために、単一の実施形態と関連付けて説明されるが、別々に提供されるか、または任意の適切な部分的組み合わせにおいても提供され得る。
【0251】
併用療法
FGFRと関連する疾患、障害、もしくは状態、または本明細書に記載の疾患もしくは状態を治療するために、1つ以上の追加の医薬品または治療方法(例えば、抗ウイルス剤、化学療法剤もしくは他の抗がん剤、免疫賦活剤、免疫抑制剤、放射線、抗腫瘍ワクチン及び抗ウイルスワクチン、サイトカイン治療(例えば、IL2、GM-CSFなど)、及び/またはチロシンキナーゼ阻害剤など)が、化合物1またはその塩と併用され得る。こうした薬剤は、単一の剤形において本発明の化合物と併用され得るか、またはこうした薬剤は、別の剤形として同時もしくは連続的に投与され得る。
【0252】
本明細書に記載のFGFR阻害剤(化合物1)の塩は、複数のシグナル伝達経路によって影響を受ける疾患(がんなど)を治療するために、1つ以上の他のキナーゼ阻害剤と併用され得る。例えば、組み合わせは、がんを治療するために、下記のキナーゼの阻害剤を1つ以上含み得る:Akt1、Akt2、Akt3、TGF-βR、Pim、PKA、PKG、PKC、CaM-キナーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、MEKK、ERK、MAPK、mTOR、EGFR、HER2、HER3、HER4、INS-R、IGF-1R、IR-R、PDGFαR、PDGFβR、CSFIR、KIT、FLK-II、KDR/FLK-1、FLK-4、flt-1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、c-Met、Ron、Sea、TRKA、TRKB、TRKC、FLT3、VEGFR/Flt2、Flt4、EphA1、EphA2、EphA3、EphB2、EphB4、Tie2、Src、Fyn、Lck、Fgr、Btk、Fak、SYK、FRK、JAK、ABL、ALK、及びB-Raf。さらに、本明細書に記載のFGFR阻害剤の塩は、PIK3/Akt/mTORシグナル伝達経路と関連するキナーゼ(PI3K、Akt(Akt1、Akt2、及びAkt3を含む)、ならびにmTORキナーゼなど)の阻害剤と併用され得る。
【0253】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物1の塩は、疾患及び障害を治療するために、酵素またはタンパク質受容体(HPK1、SBLB、TUT4、A2A/A2B、CD47、CDK2、STING、ALK2、LIN28、ADAR1、MAT2a、RIOK1、HDAC8、WDR5、SMARCA2、及びDCLK1など)の阻害剤の1つ以上と併用され得る。疾患及び障害の例としては、がん、感染症、炎症、及び神経変性障害が挙げられる。
【0254】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物1の塩は、エピジェネティック制御因子を標的とする治療剤と併用され得る。エピジェネティック制御因子の例としては、ブロモドメイン阻害物質、ヒストンリジンメチルトランスフェラーゼ、ヒストンアルギニンメチルトランスフェラーゼ、ヒストン脱メチル化酵素、ヒストンデアセチラーゼ、ヒストンアセチラーゼ、及びDNAメチルトランスフェラーゼが挙げられる。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤には、例えば、ボリノスタットが含まれる。
【0255】
がん及び他の増殖性疾患の治療については、本明細書に記載の化合物1の塩は、標的化治療剤と併用され得る。こうした標的化治療剤には、JAKキナーゼ阻害剤(ルキソリチニブ、追加として使用される、JAK1/2選択的及びJAK1選択的なバリシチニブまたはINCB39110)、Pimキナーゼ阻害剤(例えば、INCB53914)、PI3キナーゼ阻害剤(PI3K-デルタ選択的阻害剤及び広域スペクトルを有するPI3K阻害剤(例えば、INCB50465及びINCB54707)、PI3K-ガンマ阻害剤(PI3K-ガンマ選択的阻害剤など)を含む)、MEK阻害剤、CSF1R阻害剤、TAM受容体型チロシンキナーゼ阻害剤(Tyro-3、Axl、及びMer(例えば、INCB81776))、血管新生阻害剤、インターロイキン受容体阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、BRAF阻害剤、mTOR阻害剤、プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ)、HDAC阻害剤(パノビノスタット、ボリノスタット)、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、デキサメタゾン、BET(bromo and extra terminal)ファミリーのメンバーの阻害剤(例えば、ブロモドメイン阻害剤、またはBET阻害剤であるINCB54329もしくはINCB57643)、LSD1阻害剤(INCB59872またはINCB60003)、アルギナーゼ阻害剤(INCB1158)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ阻害剤(エパカドスタット、NLG919、またはBMS-986205)、ならびにPARP阻害剤(例えば、オラパリブまたはルカパリブ)が含まれる。
【0256】
がん及び他の増殖性疾患の治療については、本明細書に記載の化合物1の塩は、化学療法剤、核内受容体のアゴニストもしくはアンタゴニスト、または他の抗増殖剤と併用され得る。化合物1の塩は、医学的治療(手術または放射線療法(例えば、ガンマ線照射、中性子線放射線療法、電子線放射線療法、陽子線療法、密封小線源療法、及び全身性放射性同位体療法)など)とも併用され得る。適切な化学療法剤の例としては、以下のうちのいずれも挙げられる:アバレリックス、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、バリシチニブ、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ(bortezombi)、ボルテゾミブ(bortezomib)、静注ブスルファン、経口ブスルファン、カルステロン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルテパリンナトリウム、ダサチニブ、ダウノルビシン、デシタビン、デニロイキン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エクリズマブ、エピルビシン、エルロチニブ、エストラムスチン、リン酸エトポシド、エトポシド、エキセメスタン、クエン酸フェンタニル、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、酢酸ゴセレリン、酢酸ヒストレリン、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、メシル酸イマチニブ、インターフェロンアルファ2a、イリノテカン、二トシル酸ラパチニブ、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、酢酸ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトキサレン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、ネララビン、ニラパリブ、ノフェツモマブ、オラパリブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロン酸、パノビノスタット、パニツムマブ、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、ルカパリブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、リンゴ酸スニチニブ、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ボリノスタット、ベリパリブ、タラゾパリブ、及びゾレドロネート。
【0257】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物1の塩は、免疫チェックポイント阻害剤と併用され得る。免疫チェックポイント阻害剤の例としては、免疫チェックポイント分子に対する阻害剤が挙げられ、こうした免疫チェックポイント分子は、CD20、CD28、CD40、CD122、CD96、CD73、CD47、GITR、CSF1R、JAK、PI3Kデルタ、PI3Kガンマ、TAM、アルギナーゼ、HPK1、CD137(4-1BBとしても知られる)、ICOS、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、LAG3、TIM3、VISTA、TIGIT、PD-1、PD-L1、及びPD-L2などである。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、CD27、CD28、CD40、ICOS、OX40、GITR、及びCD137から選択される刺激性チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、PD-1、TIM3、TIGIT、及びVISTAから選択される抑制性チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される本開示の化合物は、KIR阻害剤、TIGIT阻害剤、LAIR1阻害剤、CD160阻害剤、2B4阻害剤、及びTGFRベータ阻害剤から選択される1つ以上の薬剤と併用され得る。
【0258】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、免疫チェックポイント分子(例えば、OX40、CD27、GITR、及びCD137(4-1BBとしても知られる))のアゴニストの1つ以上と併用され得る。
【0259】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、抗PD1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CTLA-4抗体である。
【0260】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、小分子PD-L1阻害剤である。いくつかの実施形態では、小分子PD-L1阻害剤のIC50は、米国特許公開公報第US20170107216号、同第US20170145025号、同第US20170174671号、同第US20170174679号、同第US20170320875号、同第US20170342060号、同第US20170362253号、及び同第US20180016260(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によってあらゆる目的のために組み込まれる)に記載のPD-L1アッセイにおいて試験すると、1μM未満、100nM未満、10nM未満、または1nM未満である。
【0261】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1の阻害剤(例えば、抗PD-1モノクローナル抗体)である。いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ(MK-3475としても知られる)、デュルバルマブ(Imfinzi(登録商標))、ピディリズマブ、SHR-1210、PDR001、MGA012、PDR001、AB122、またはAMP-224である。いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブまたはペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD1抗体は、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、MGA012である。いくつかの実施形態では、抗PD1抗体は、SHR-1210である。他の抗がん剤(複数可)には、抗体医薬(4-1BBに対するもの(例えばウレルマブ、ウトミルマブ)など)が含まれる。
【0262】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、抗PD1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CTLA-4抗体である。
【0263】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1の阻害剤(例えば、抗PD-1モノクローナル抗体)である。いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ(MK-3475としても知られる)、デュルバルマブ(Imfinzi(登録商標))、ピディリズマブ、SHR-1210、PDR001、MGA012、PDR001、AB122、またはAMP-224である。いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブまたはペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD1抗体は、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、MGA012である。いくつかの実施形態では、抗PD1抗体は、SHR-1210である。他の抗がん剤(複数可)には、抗体医薬(4-1BBに対するもの(例えばウレルマブ、ウトミルマブ)など)が含まれる。
【0264】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-L1の阻害剤(例えば、抗PD-L1モノクローナル抗体)である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1モノクローナル抗体は、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280A(RG7446としても知られる)、またはMSB0010718Cである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1モノクローナル抗体は、MPDL3280AまたはMEDI4736である。
【0265】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1及びPD-L1の阻害剤(例えば、抗PD-1/PD-L1モノクローナル抗体)である。いくつかの実施形態では、抗PD-1/PD-L1は、MCLA-136である。
【0266】
いくつかの実施形態では、阻害剤は、MCLA-145である。
【0267】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CTLA-4の阻害剤(例えば、抗CTLA-4抗体)である。いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ、トレメリムマブ、AGEN1884、またはCP-675,206である。
【0268】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、LAG3の阻害剤(例えば、抗LAG3抗体)である。いくつかの実施形態では、抗LAG3抗体は、BMS-986016、LAG525、またはINCAGN2385である。
【0269】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、TIM3の阻害剤(例えば、抗TIM3抗体)である。いくつかの実施形態では、抗TIM3抗体は、INCAGN2390、MBG453、またはTSR-022である。
【0270】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、GITRの阻害剤(例えば、抗GITR抗体)である。いくつかの実施形態では、抗GITR抗体は、TRX518、MK-4166、INCAGN1876、MK-1248、AMG228、BMS-986156、GWN323、またはMEDI1873である。
【0271】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、OX40のアゴニスト(例えば、OX40アゴニスト抗体またはOX40L融合タンパク質)である。いくつかの実施形態では、抗OX40抗体は、MEDI0562、MOXR-0916、PF-04518600、GSK3174998、またはBMS-986178である。いくつかの実施形態では、OX40L融合タンパク質は、MEDI6383である。
【0272】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD20の阻害剤(例えば、抗CD20抗体)である。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体は、オビヌツズマブまたはリツキシマブである。
【0273】
本開示の化合物は、二重特異性抗体と併用され得る。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体のドメインのうちの1つは、PD-1、PD-L1、CTLA-4、GITR、OX40、TIM3、LAG3、CD137、ICOS、CD3、またはTGFβ受容体を標的とする。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、1つ以上の代謝酵素阻害剤と併用され得る。いくつかの実施形態では、代謝酵素阻害剤は、IDO1、TDO、またはアルギナーゼの阻害剤である。IDO1阻害剤の例としては、エパカドスタット、NLG919、BMS-986205、PF-06840003、IOM2983、RG-70099、及びLY338196が挙げられる。
【0274】
全体を通じて記載されるように、こうした追加の化合物、阻害剤、薬剤などは、単一の剤形もしくは連続式の剤形において本発明の化合物と併用され得るか、または別の剤形として同時もしくは連続的に投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物1の塩は、疾患(がんなど)を治療するための1つ以上の薬剤と併用され得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、アルキル化剤、プロテアソーム阻害剤、副腎皮質ステロイド、または免疫調節剤である。アルキル化剤の例としては、シクロホスファミド(CY)、メルファラン(MEL)、及びベンダムスチンが挙げられる。いくつかの実施形態では、プロテアソーム阻害剤は、カルフィルゾミブである。いくつかの実施形態では、副腎皮質ステロイドは、デキサメタゾン(DEX)である。いくつかの実施形態では、免疫調節剤は、レナリドミド(LEN)またはポマリドミド(POM)である。
【0275】
化合物1またはその塩との併用が企図される適切な抗ウイルス剤は、ヌクレオシド及びヌクレオチド系の逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤、ならびに他の抗ウイルス剤を含み得る。
【0276】
適切なNRTIの例としては、ジドブジン(AZT)、ジダノシン(ddl)、ザルシタビン(ddC)、スタブジン(d4T)、ラミブジン(3TC)、アバカビル(1592U89)、アデホビルジピボキシル[ビス(POM)-PMEA]、ロブカビル(BMS-180194)、BCH-10652、エムトリシタビン[(-)-FTC]、ベータ-L-FD4(ベータ-L-D4Cとも呼ばれ、名称は、ベータ-L-2’,3’-ジクレオキシ-5-フルオロ-シチデンである)、DAPD,((-)-ベータ-D-2,6,-ジアミノ-プリンジオキソラン)、及びロデノシン(FddA)が挙げられる。典型的な適切なNNRTIには、ネビラピン(BI-RG-587)、デラビルジン(BHAP,U-90152)、エファビレンツ(DMP-266)、PNU-142721、AG-1549、MKC-442(1-(エトキシ-メチル)-5-(1-メチルエチル)-6-(フェニルメチル)-(2,4(1H,3H)-ピリミジンジオン)、ならびに(+)-カラノリドA(NSC-675451)及びBが含まれる。典型的な適切なプロテアーゼ阻害剤には、サキナビル(Ro 31-8959)、リトナビル(ABT-538)、インジナビル(MK-639)、ネルフィナビル(AG-1343)、アンプレナビル(141W94)、ラシナビル(BMS-234475)、DMP-450、BMS-2322623、ABT-378、及びAG-1549が含まれる。他の抗ウイルス剤には、ヒドロキシ尿素、リバビリン、IL-2、IL-12、ペンタフシド(pentafuside)、及びYissumプロジェクト第11607号が含まれる。
【0277】
がんの治療のために化合物1またはその塩との併用に適した薬剤には、化学療法剤、標的化がん治療、免疫療法、または放射線療法が含まれる。化合物1及びその塩は、乳癌及び他の腫瘍を治療するための抗ホルモン剤との併用において有効であり得る。適切な例は、抗エストロゲン剤(限定されないが、タモキシフェン及びトレミフェンを含む)、アロマターゼ阻害剤(限定されないが、レトロゾール、アナストロゾール、及びエキセメスタンを含む)、副腎皮質ステロイド(例えばプレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、酢酸メガストロール(megastrol acetate))、ならびにエストロゲン受容体アンタゴニスト(例えばフルベストラント)である。前立腺癌及び他のがんの治療に使用される適切な抗ホルモン剤もまた、化合物1及びその塩と併用され得る。こうした抗ホルモン剤には、抗アンドロゲン剤(限定されないが、フルタミド、ビカルタミド、及びニルタミドを含む)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体(ロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、及びヒストレリンを含む)、LHRHアンタゴニスト(例えば、デガレリクス)、アンドロゲン受容体遮断剤(例えば、エンザルタミド)、ならびにアンドロゲン産生を抑制する薬剤(例えば、アビラテロン)が含まれる。
【0278】
化合物1及びその塩は、標的化治療に対する抵抗性が最初から存在するか、またはそうした抵抗性を獲得している患者を特に対象として、膜受容体キナーゼに対する他の薬剤と併用または連続使用され得る。こうした治療剤には、EGFR、Her2、VEGFR、c-Met、Ret、IGFR1、またはFlt-3に対する阻害剤または抗体、ならびにがん関連融合タンパク質キナーゼ(Bcr-Abl及びEML4-Alkなど)に対する阻害剤または抗体が含まれる。EGFRに対する阻害剤には、ゲフィチニブ及びエルロチニブが含まれ、EGFR/Her2に対する阻害剤には、限定されないが、ダコミチニブ、アファチニブ、ラピチニブ(lapitinib)、及びネラチニブが含まれる。EGFRに対する抗体には、限定されないが、セツキシマブ、パニツムマブ、及びネシツムマブが含まれる。c-Metの阻害剤がFGFR阻害剤と併用され得る。こうしたc-Met阻害剤には、オナルツムズマブ(onartumzumab)、チバンチニブ、及びINC-280が含まれる。Abl(またはBcr-Abl)に対する薬剤には、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、及びポナチニブが含まれ、Alk(またはEML4-ALK)に対する薬剤には、クリゾチニブが含まれる。
【0279】
血管新生阻害剤は、FGFR阻害剤と併用すると、いくつかの腫瘍において有効であり得る。こうした血管新生阻害剤には、VEGFもしくはVEGFRに対する抗体、またはVEGFRのキナーゼ阻害剤が含まれる。VEGFに対する抗体または他の治療タンパク質には、ベバシズマブ及びアフリベルセプトが含まれる。VEGFRキナーゼの阻害剤、及び他の抗血管新生阻害剤には、限定されないが、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ、セジラニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ブリバニブ、及びバンデタニブが含まれる。
【0280】
がんにおいては、細胞内シグナル伝達経路が頻繁に活性化されており、こうした経路の構成要素を標的とする薬剤を、受容体を標的とする薬剤と併用することで、有効性を高め、抵抗性を低減することが行われている。化合物1またはその塩と併用され得る薬剤の例としては、PI3K-AKT-mTOR経路の阻害剤、Raf-MAPK経路の阻害剤、JAK-STAT経路の阻害剤、ならびにタンパク質シャペロン及び細胞周期進行の阻害剤が挙げられる。
【0281】
PI3キナーゼに対する薬剤には、限定されないが、ピララリシブ、イデラリシブ、ブパリシブが含まれる。mTORの阻害剤(ラパマイシン、シロリムス、テムシロリムス、及びエベロリムスなど)が、FGFR阻害剤と併用され得る。他の適切な例としては、限定されないが、ベムラフェニブ及びダブラフェニブ(Raf阻害剤)、ならびにトラメチニブ、セルメチニブ、及びGDC-0973(MEK阻害剤)が挙げられる。1つ以上のJAKに対する阻害剤(例えば、ルキソリチニブ、バリシチニブ、トファシチニブ)、1つ以上のHsp90に対する阻害剤(例えば、タネスピマイシン)、1つ以上のサイクリン依存性キナーゼに対する阻害剤(例えば、パルボシクリブ)、1つ以上のHDACに対する阻害剤(例えば、パノビノスタット)、1つ以上のPARPに対する阻害剤(例えば、オラパリブ)、及び1つ以上のプロテアソームに対する阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ)もまた、化合物1またはその塩と併用され得る。いくつかの実施形態では、JAK阻害剤は、JAK2及びJAK3と比較してJAK1に選択的である。
【0282】
化合物1またはその塩との併用に適した他の薬剤には、肺癌及び他の固形腫瘍において使用される併用化学療法((プラチナベースの二剤併用療法)(シスプラチンもしくはカルボプラチン+ゲムシタビン、シスプラチンもしくはカルボプラチン+ドセタキセル、シスプラチンもしくはカルボプラチン+パクリタキセル、シスプラチンもしくはカルボプラチン+ペメトレキセド)、またはゲムシタビン+パクリタキセル結合粒子(Abraxane(登録商標))など)が含まれる。
【0283】
適切な化学療法剤または他の抗がん剤には、例えば、アルキル化剤(限定されないが、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、スルホン酸アルキル、ニトロソ尿素、及びトリアゼンを含む)が含まれ、こうしたアルキル化剤は、ウラシルマスタード、クロルメチン、シクロホスファミド(Cytoxan(商標))、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレン-メラミン、トリエチレンチオホスホロアミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、及びテモゾロミドなどである。
【0284】
化合物1またはその塩との併用に適した他の薬剤には、ダカルバジン(DTIC)(任意選択で他の化学療法剤(カルムスチン(BCNU)及びシスプラチンなど)と併用される);「Dartmouthレジメン」(DTIC、BCNU、シスプラチン、及びタモキシフェンからなる);シスプラチン、ビンブラスチン、及びDTICの組み合わせ;またはテモゾロミドが含まれる。化合物1は、免疫療法剤とも併用することができ、こうした免疫療法剤には、サイトカイン(インターフェロンアルファ、インターロイキン2、及び腫瘍壊死因子(TNF)など)が含まれる。
【0285】
適切な化学療法剤または他の抗がん剤には、例えば、代謝拮抗剤(限定されないが、葉酸アンタゴニスト、ピリミジン類似体、プリン類似体、及びアデノシンデアミナーゼ阻害剤を含む)が含まれ、こうした代謝拮抗剤は、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、及びゲムシタビンなどである。
【0286】
適切な化学療法剤または他の抗がん剤には、例えば、ある特定の天然物及びその誘導体(例えば、ビンカアルカロイド、抗腫瘍抗生物質、酵素、リンホカイン、及びエピポドフィロトキシン)がさらに含まれ、こうした天然物及びその誘導体は、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ara-C、パクリタキセル(TAXOL(商標))、ミスラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、インターフェロン(特にIFN-a)、エトポシド、及びテニポシドなどである。
【0287】
他の細胞傷害性剤には、ナベルベン(navelbene)、CPT-11、アナストラゾール(anastrazole)、レトラゾール(letrazole)、カペシタビン、レロキサフィン(reloxafine)、シクロホスファミド、イホサミド(ifosamide)、及びドロロキサフィン(droloxafine)が含まれる。
【0288】
エピドフィロトキシン(epidophyllotoxin)、抗悪性腫瘍酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、プロカルバジン、ミトキサントロン、プラチナ配位錯体(シスプラチン及びカルボプラチンなど)、生物学的応答調節剤、増殖阻害剤、抗ホルモン治療剤、ロイコボリン、テガフール、ならびに造血成長因子などの細胞傷害性剤も適する。
【0289】
他の抗がん剤(複数可)には、抗体医薬が含まれ、こうした抗体医薬は、トラスツズマブ(Herceptin)、共刺激分子に対する抗体(CTLA-4抗体、4-1BB抗体、PD-L1抗体、及びPD-1抗体など)、またはサイトカイン(IL-10、TGF-βなど)に対する抗体などである。
【0290】
他の抗がん剤には、免疫細胞の遊走を遮断するもの(ケモカイン受容体(CCR2及びCCR4を含む)に対するアンタゴニストなど)も含まれる。
【0291】
他の抗がん剤には、免疫系を増強するもの(アジュバント、またはT細胞の養子移入など)も含まれる。
【0292】
抗がんワクチンには、樹状細胞、合成ペプチド、DNAワクチン、及び組換えウイルスが含まれる。
【0293】
こうした化学療法剤のほとんどについて、安全かつ有効に投与するための方法が当業者に知られている。さらに、そうしたものの投与については、標準的な文献にも記載されている。例えば、化学療法剤の多くの投与については、“Physicians’Desk Reference”(PDR、例えば、1996 edition,Medical Economics Company,Montvale,NJ)に記載されており、当該文献の開示内容は、その全体が示されるのと同様に、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0294】
製剤、剤形、及び投与
本明細書に記載の本発明の塩は、医薬品として利用される場合、医薬組成物(本明細書に記載の化合物1の塩と、少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体と、の組み合わせを指す)の形態で投与され得る。こうした組成物は、医薬分野でよく知られる様式で調製することができ、望まれる治療が局所治療または全身治療であるかどうか、及び治療対象領域に応じて、さまざまな投与経路で投与することができる。投与は、局所投与(経眼投与、及び粘膜に対する投与(鼻腔内送達、膣内送達、及び直腸内送達を含む)を含む)、肺内投与(例えば、粉末もしくはエアロゾルの吸入もしくは吹送による投与(噴霧器によるものを含む)、気管内投与、鼻腔内投与、皮下投与、及び経皮投与)、点眼、経口投与、または非経口投与であり得る。経眼送達のための方法には、局所投与(点眼)、結膜下注射、眼周囲注射、もしくは硝子体内注射、または結膜嚢に外科的に留置されたバルーンカテーテルもしくは眼内挿入物による導入が含まれ得る。非経口投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、もしくは筋肉内への注射もしくは注入、または頭蓋内(例えば、くも膜下腔内もしくは脳室内)への投与が含まれる。非経口投与は、単回のボーラス用量の形態のものであり得るか、または例えば、連続注入ポンプによるものであり得る。局所投与のための医薬組成物及び製剤には、経皮吸収パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、坐剤、スプレー、液体、及び粉末が含まれ得る。通常の医薬的な担体、水性基剤、粉末基剤、または油性基剤、増粘剤、及び同様のものが必要であるか、または望ましくあり得る。
【0295】
本開示は、1つ以上の医薬的に許容可能な担体と併せて、化合物1の塩を活性成分として含む医薬組成物も含む。本明細書に記載の組成物の調製においては、活性成分は、典型的には、医薬品添加物と混合されるか、医薬品添加物によって希釈されるか、またはそのような担体内に、例えば、カプセル、サシェ、紙、もしくは他の容器の形態で封入される。医薬品添加物が希釈剤として働く場合、そうした医薬品添加物は、固体材料、半固体材料、または液体材料であり得、こうした材料は、活性成分の媒体、担体、または媒介物として働く。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、粉末、トローチ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液、乳濁液、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてのもの、または液体媒体におけるもの)、軟膏(例えば、活性化合物を最大で10重量%含むもの)、ソフトゼラチンカプセル及びハードゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射用溶液、ならびに滅菌包装粉末の形態をとり得る。
【0296】
製剤の調製においては、活性化合物は、粉砕して適切な粒度にしてから他の成分と混合され得る。活性化合物が実質的に不溶性であるならば、そうした活性化合物は、200メッシュ未満の粒度に粉砕され得る。活性化合物が実質的に水溶性であるならば、粉砕によって粒度を調整することで(例えば、約40メッシュ)、そうした活性化合物を製剤中で実質的に均一に分布させることができる。
【0297】
適切な医薬品添加物の例のいくつかとしては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが挙げられる。製剤は、滑沢剤(タルク、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなど)、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、保存剤(ヒドロキシ安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸プロピルなど)、甘味剤、ならびに香味剤を追加で含み得る。本明細書に記載の組成物は、当該技術分野で知られる手順を用いることによって患者に投与された後、活性成分の放出が迅速化、持続、または遅延するように製剤化され得る。
【0298】
組成物は、単位剤形において製剤化することができ、各用量は、活性成分を約5~約100mg含み、より通常は約10~約30mg含む。「単位剤形」という用語は、ヒト対象及び他の哺乳類のための単位用量として適切な物理的に個別の単位を指し、各単位は、適切な医薬品添加物と結び付いた状態で、所望の治療効果が得られるように計算された所定量の活性物質を含む。
【0299】
活性化合物は、広い用量範囲にわたって有効であり得、一般に、医薬的に有効な量で投与される。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、通常、治療されるべき状態、選択される投与経路、実際に投与される化合物、個々の患者の年齢、体重、及び応答、患者の症状の重症度、ならびに同様のものを含めて、関連する状況に応じて医師によって決定されることになることが理解されよう。
【0300】
固体組成物(錠剤など)の調製については、主要活性成分を医薬品添加物と混合することで、化合物1の塩の均一混合物を含む固体の製剤化前組成物が形成される。こうした製剤化前組成物が均一と称される場合、典型的には、等しく有効な単位剤形(錠剤、丸剤、及びカプセルなど)へと組成物を容易に細分割することが可能なように組成物全体にわたって活性成分が均等に分散している。次に、この製剤化前固体は、上記の型の単位剤形(例えば、本開示の活性成分を0.1~約500mg含むもの)へと細分割される。
【0301】
本開示の錠剤または丸剤は、コートするか、またはその他の様式の処理を施すことで、作用延長という利点が得られる剤形となり得る。例えば、錠剤または丸剤は、内部用量成分及び外部用量成分を含み得、外部用量成分は、内部用量成分を包む外被膜の形態をとる。これら2つの成分は、胃における崩壊に抵抗するように働くと共に、内部成分がそのままの状態で十二指腸に届くことを可能にするか、または内部成分の放出を遅らせることを可能にする腸溶層によって分離され得る。そのような腸溶層または腸溶コーティングには、さまざまな材料を使用することができ、そのような材料には、いくつかのポリマー酸、ならびにセラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロースなどの材料とポリマー酸との混合物が含まれる。
【0302】
本明細書に記載の化合物1の塩、または組成物が経口投与または注射投与のために組み込まれ得る液体形態には、水性溶液、適切に香味付けされたシロップ、水性懸濁液または油性懸濁液、及び食用油(綿実油、ゴマ油、ヤシ油、またはピーナッツ油など)で香味付けされた乳濁液、ならびにエリキシル剤及び同様の医薬媒体が含まれる。
【0303】
吸入または吹送のための組成物には、医薬的に許容可能な水性溶媒もしくは有機溶媒またはそれらの混合物における溶液及び懸濁液、ならびに粉末が含まれる。液体組成物または固体組成物は、前述の適切な医薬的に許容可能な医薬品添加物を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、局所作用または全身作用を得るために経口経路または経鼻呼吸器経路によって投与される。組成物は、不活性ガスを使用することによって噴霧され得る。噴霧装置から噴霧溶液が直接的に呼吸吸入され得るか、またはフェイスマスクテントもしくは間欠陽圧呼吸器に噴霧装置が取り付けられ得る。溶液組成物、懸濁液組成物、または粉末組成物は、適切な様式で製剤を送達する装置から経口的または経鼻的に投与され得る。
【0304】
患者に投与される化合物または組成物の量は、投与されるもの、投与の目的(予防または治療など)、患者の状態、投与の様式、及び同様のものによって変わることになる。治療用途では、既に疾患を患っている患者に対して、そうした疾患及びその合併症の症状を治癒させるか、または少なくとも部分的に抑止する上で十分な量で組成物が投与され得る。有効用量は、治療される病状、ならびに複数の因子(疾患の重症度、患者の年齢、体重、及び全身状態、ならびに同様のものなど)に応じた担当医師の判断に依存することになる。
【0305】
患者に投与される組成物は、上記の医薬組成物の形態をとり得る。こうした組成物は、通常の滅菌手法によって滅菌され得るか、またはろ過滅菌され得る。水性溶液は、そのまま使用するために包装されるか、または凍結乾燥させることができ、凍結乾燥調製物は、滅菌水性担体と混合してから投与される。化合物調製物のpHは、典型的には、3~11であり、より好ましくは5~9であり、最も好ましくは7~8とされる。前述の医薬品添加物、担体、または安定剤の使用によっては、結果的に医薬塩が形成されることになることが理解されよう。
【0306】
化合物1の塩の治療用量は、例えば、治療が行われる特定の用途、化合物の投与様式、患者の健康及び状態、ならびに処方する医師の判断に応じて変わり得る。医薬組成物における化合物1の塩の割合または濃度は、用量、化学的特徴(例えば、疎水性)、及び投与経路を含めて、いくつかの因子によって変わり得る。例えば、化合物1の塩は、非経口投与向けに、化合物を約0.1~約10%w/v含む水性の生理学的緩衝液において提供され得る。典型的な用量範囲のいくつかは、約1μg/体重kg/日~約1g/体重kg/日である。いくつかの実施形態では、用量範囲は、約0.01mg/体重kg/日~約100mg/体重kg/日である。用量は、疾患または障害の型及び進行度、特定の患者の総体的な健康状態、選択される化合物の相対的な生物学的効力、医薬品添加物の製剤、ならびにその投与経路などの変数に依存する可能性がある。有効用量は、インビトロまたは動物モデルの試験系から得られる用量反応曲線から外挿され得る。
【0307】
化合物1の塩は、任意の医薬品(抗ウイルス剤、ワクチン、抗体、免疫賦活剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、及び同様のものなど)を含み得る1つ以上の追加の活性成分と組み合わせて製剤化されることもあり得る。
【実施例】
【0308】
実施例1
実験方法
以下の実験では、Rigaku MiniFlex X-ray Powder Diffractometer(XRPD)装置で粉末X線回折分析を実施した。XRPDの一般的な実験方法は、以下の通りである:(1)銅をX線源としてX線照射を実施(波長1.054056Å、Kβフィルター使用)(2)X線出力30KV、15mA、及び(3)無反射試料ホルダー上に試料粉末を散布。XRPDの一般的な測定条件は、以下の通りである:開始角度3°;終了角度45°;サンプリング0.02°;走査速度2°/分
【0309】
示差走査熱量測定(DSC)は、TA Instruments Differential Scanning Calorimetry,Model Q200(オートサンプラー付き)で実施した。DSC装置条件は、以下の通りである:10℃/分で30~300℃;Tzeroアルミニウム試料パン及びフタ;窒素ガス流量50mL/分。
【0310】
熱重量分析(TGA)は、TA Instrument Thermogravimetric Analyzer,Model Q500で実施した。TGAの一般的な実験条件は、以下の通りである:昇温範囲20℃~600℃(20℃/分);窒素パージ(ガス流量40mL/分で実施し、このパージ流量で天秤側も実施);試料パージ流量60mL/分;白金試料パン。
【0311】
実施例2
D-(-)-酒石酸塩の調製
メタノールとジクロロメタンとの1:1(v/v)混合物(2.4mL)中に化合物1(94.55mg、0.194mmol)を含む溶液に対してD-(-)-酒石酸(32.55mg、0.217mmol、1.12当量)を添加した。この反応混合物を攪拌すると粘性スラリーが得られた。このスラリーを50℃で1.5時間攪拌した後、室温に冷却し、一晩攪拌した。このスラリーをろ過し、固体を減圧下、36~40℃で一晩(16時間)乾燥させることで、化合物1 D-(-)-酒石酸塩(104.6mg、収率84%)を得た。
【0312】
化合物1とD-(-)-酒石酸との化学量論比を
1H NMR(
図1)によって1:1と決定した。化合物1 D-(-)-酒石酸塩の結晶化度をXRPD(
図2)によって確認し、DSC(
図3)及びTGA(
図4)によってさらに裏付けた。XRPD、DSC、及びTGAによる特徴付けを含めて、この生成物に関して収集した分析データは、実施例1に記載のように得た。このD-(-)-酒石酸塩は、約276℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【表1】
【0313】
実施例3
L-(+)-酒石酸塩の調製
メタノールとジクロロメタンとの1:1混合物(2.4mL)中に化合物1(85.01mg、0.174mmol)を含む溶液に対してL-(-)-酒石酸(32.85mg、0.218mmol、1.25当量)を添加した。この反応混合物を攪拌するとスラリーが得られた。このスラリーを50℃で50分間攪拌した後、室温に冷却し、一晩攪拌した。このスラリーをろ過し、固体をメチルt-ブチルエーテルで洗浄し、減圧下、36~40℃で一晩(16時間)乾燥させることで、化合物1 L-(-)-酒石酸塩(104.6mg、収率84%)を得た。
【0314】
化合物1とL-(+)-酒石酸との化学量論比を
1H NMR(
図5)によって1:1と決定した。化合物1 L-(+)-酒石酸塩の結晶化度をXRPD(
図6)によって確認し、DSC(
図7)によってさらに裏付けた。この塩のTGAは、
図8に示される。XRPD、DSC、及びTGAによる特徴付けを含めて、この生成物に関して収集した分析データは、実施例1に記載のように得た。このL-(+)-酒石酸塩は、約90℃、約211℃、及び約266℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【表2】
【0315】
実施例4
サリチル酸塩の調製
ジクロロメタン(1.5mL)及びメタノール(1.0mL)の混合物中に化合物1(94.42mg、0.193mmol)を含む溶液に対してサリチル酸(33.8、0.245mmol、1.26当量)を添加した。この反応混合物を攪拌すると清澄な溶液が得られた。この溶液を蒸発させてジクロロメタンを除去するとスラリーが得られた。このスラリーを50℃で50分間攪拌した後、室温に冷却し、一晩攪拌した。このスラリーをろ過し、固体をメチルt-ブチルエーテルで洗浄した。この固体を減圧下、36~40℃で一晩(16時間)乾燥させることで、化合物1 サリチル酸塩(111.7mg、収率92%)を得た。
【0316】
化合物1とサリチル酸との化学量論比を
1H NMR(
図9)によって1:1と決定した。化合物1 サリチル酸塩の結晶化度をXRPD(
図10)によって確認し、DSC(
図11)によってさらに裏付けた。このサリチル酸塩のTGAは、
図12に示される。XRPD、DSC、及びTGAによる特徴付けを含めて、この生成物に関して収集した分析データは、実施例1に記載のように得た。このサリチル酸塩は、約212℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【表3-1】
【表3-2】
【0317】
実施例5
塩酸塩の調製
ジクロロメタン(1.5mL)とメタノール(1.0mL)との混合物中に化合物1(94.49mg、0.194mmol)を含む溶液に対して塩酸(0.25mL、2-プロパノール/水中1M、0.25mmol、1.25当量)を添加した。この反応混合物を攪拌すると清澄な溶液が得られた。この溶液を蒸発させてジクロロメタンを除去するとスラリーが得られた。このスラリーを50℃で50分間攪拌した後、室温に冷却し、一晩攪拌した。このスラリーをろ過し、固体をメチルt-ブチルエーテルで洗浄した。この固体を減圧下、36~40℃で一晩(16時間)乾燥させることで、化合物1 塩酸塩(88.2mg、収率87%)を得た。
【0318】
化合物1 塩酸塩の結晶化度をXRPD(
図13)によって確認し、DSC(
図14)によってさらに裏付けた。
図15は、TGAの結果を示す。XRPD、DSC、及びTGAによる特徴付けを含めて、この生成物に関して収集した分析データは、実施例1に記載のように得た。この塩酸塩は、約120℃、約189℃、及び約274℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【表4】
【0319】
実施例6
臭化水素酸塩の調製
ジクロロメタン(3.6mL)とメタノール(4.0mL)との混合物中に化合物1(0.3g)を含む溶液に対して臭化水素酸(水中48%、0.084mL、1.2当量)を添加した。この反応液を50℃に加熱し、蒸留によってジクロロメタンを除去した。この混合物を50℃で約1時間攪拌した。この混合物を室温に冷却し、さらに1.5時間攪拌した。この反応液をろ過し、固体をメチルt-ブチルエーテル(1.5mL)で洗浄した。この固体を減圧下、40℃で一晩乾燥させることで、化合物1 臭化水素酸塩(0.32g、収率91.4%)を得た。
【0320】
図16は、化合物1 臭化水素酸塩の
1H NMRを示す。化合物1 臭化水素酸塩の結晶化度をXRPD(
図17)によって確認した。
図18は、化合物1 臭化水素酸塩のDSCサーモグラムを示す。
図19は、化合物1 臭化水素酸塩のTGAサーモグラムを示す。XRPD及びDSCによる特徴付けを含めて、この生成物に関して収集した分析データは、実施例1に記載のように得た。この臭化水素酸塩は、約84℃及び約235℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【表5】
【0321】
実施例7
フマル酸塩の調製
ジクロロメタン(3.6mL)とメタノール(4.0mL)との混合物中に化合物1(0.3g)を含む溶液に対してフマル酸(.086g、1.2当量)を添加した。この反応液を50℃に加熱し、蒸留してジクロロメタンを除去した。この混合物を50℃で約1時間攪拌した。この混合物を室温に冷却し、さらに1.5時間攪拌した。この反応液をろ過し、固体をメチルt-ブチルエーテル(1.5mL)で洗浄した。この固体を減圧下、40℃で一晩乾燥させることで、化合物1 フマル酸塩(0.34g、収率91.6%)を得た。
【0322】
図20は、化合物1 フマル酸塩の
1H NMRを示す。
図21は、化合物1 フマル酸塩のXRPDパターンを示す。
図22は、化合物1 フマル酸塩のDSCサーモグラムを示す。
図23は、化合物1 フマル酸塩のTGAサーモグラムを示す。XRPD及びDSCによる特徴付けを含めて、この生成物に関して収集した分析データは、実施例1に記載のように得た。このフマル酸塩は、約214℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【表6】
【0323】
実施例8
リン酸塩の調製
ジクロロメタン(3.6mL)とメタノール(4.0mL)との混合物中に化合物1(0.3g)を含む溶液に対してリン酸(水中85%、0.051mL、1.2当量)を添加した。この反応液を50℃に加熱し、蒸留してジクロロメタンを除去した。この混合物を50℃で約1時間攪拌した。この混合物を室温に冷却し、さらに1.5時間攪拌した。この反応液をろ過し、固体をメチルt-ブチルエーテル(1.5mL)で洗浄した。この固体を減圧下、40℃で一晩乾燥させることで、化合物1 リン酸塩(0.35g、収率97.2%)を得た。
【0324】
図24は、化合物1 リン酸塩の
1H NMRを示す。
図25は、化合物1 リン酸塩のXRPDパターンを示す。
図26は、化合物1 リン酸塩のDSCサーモグラムを示す。
図27は、化合物1 リン酸塩のTGAサーモグラムを示す。XRPD及びDSCによる特徴付けを含めて、この生成物に関して収集した分析データは、実施例1に記載のように得た。このリン酸塩は、約215℃及び約221℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【表7】
【0325】
実施例9
ベンゼンスルホン酸塩の調製
ジクロロメタン(3.6mL)とメタノール(4.0mL)との混合物中に化合物1(0.3g)を含む溶液に対してベンゼンスルホン酸(94%、0.124g、1.2当量)を添加した。この反応液を50℃に加熱し、蒸留してジクロロメタンを除去した。この混合物を50℃で約1時間攪拌した。この混合物を室温に冷却し、さらに1.5時間攪拌した。この反応液をろ過し、固体をメチルt-ブチルエーテル(1.5mL)で洗浄した。この固体を減圧下、40℃で一晩乾燥させることで、化合物1 ベンゼンスルホン酸塩(0.28g、収率70.5%)を得た。
【0326】
図28は、化合物1 ベンゼンスルホン酸塩の
1H NMRを示す。
図29は、化合物1 ベンゼンスルホン酸塩の固体形態のXRPDパターンを示す。
図30は、化合物1 ベンゼンスルホン酸塩の固体形態のDSCサーモグラムを示す。
図31は、化合物1 ベンゼンスルホン酸塩の固体形態のTGAサーモグラムを示す。XRPD、DSC、及びTGAによる特徴付けを含めて、この生成物に関して収集した分析データは、実施例1に記載のように得た。このベンゼンスルホン酸塩は、約105℃、約190℃、約222℃、及び約241℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【表8】
【0327】
実施例10
エタンスルホン酸塩の調製
ジクロロメタン(3.6mL)とメタノール(4.0mL)との混合物中に化合物1(0.3g)を含む溶液に対してエタンスルホン酸(95%、0.063mL、1.2当量)を添加した。この反応液を50℃に加熱し、蒸留してジクロロメタンを除去した。イソプロピルアルコール(3mL)を添加した。この混合物を50℃で約1時間攪拌した。この混合物を室温に冷却し、さらに1.5時間攪拌した。この反応液をろ過し、固体をメチルt-ブチルエーテル(1.5mL)で洗浄した。この固体を減圧下、40℃で一晩乾燥させることで、化合物1 エタンスルホン酸塩(0.27g、収率73.4%)を得た。
【0328】
図32は、化合物1 エタンスルホン酸塩の
1H NMRを示す。
図33は、化合物1 エタンスルホン酸塩のXRPDパターンを示す。
図34は、化合物1 エタンスルホン酸塩の固体形態のDSCサーモグラムを示す。
図35は、化合物1 エタンスルホン酸塩の固体形態のTGAサーモグラムを示す。XRPD、DSC、及びTGAによる特徴付けを含めて、この生成物に関して収集した分析データは、実施例1に記載のように得た。このエタンスルホン酸塩は、約227℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【表9】
【0329】
実施例11
マレイン酸塩の調製
ジクロロメタン(3.6mL)とメタノール(4.0mL)との混合物中に化合物1(0.3g)を含む溶液に対してマレイン酸(0.086g、1.2当量)を添加した。この反応液を50℃に加熱し、蒸留してジクロロメタンを除去した。この混合物を50℃で約1時間攪拌した。この混合物を室温に冷却し、さらに1.5時間攪拌した。この反応液をろ過し、固体をメチルt-ブチルエーテル(1.5mL)で洗浄した。この固体を減圧下、40℃で一晩乾燥させることで、化合物1 マレイン酸塩(0.38g、収率102.7%[生成物は、残留溶媒を含み得る])を得た。
【0330】
図36は、化合物1 マレイン酸塩の
1H NMRを示す。
図37は、化合物1 マレイン酸塩のXRPDパターンを示す。
図38は、化合物1 マレイン酸塩のDSCサーモグラムを示す。
図39は、化合物1 マレイン酸塩のTGAサーモグラムを示す。XRPD、DSC、及びTGAによる特徴付けを含めて、この生成物に関して収集した分析データは、実施例1に記載のように得た。このマレイン酸塩は、約205℃及び約280℃の温度に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを示す。
【表10】
【0331】
実施例12
アジピン酸塩の調製
化合物1をアジピン酸と反応させることで、対応するアジピン酸塩を得た。この生成物に関して収集した分析データは、実施例1に記載のように得た。
図26は、化合物1 アジピン酸塩の固体形態のXRPDパターンを示す。
図27は、化合物1 アジピン酸塩の固体形態のDSCサーモグラムを示す。
【表11】
【0332】
実施例A
FGFR酵素アッセイ
FRET測定を使用してペプチドリン酸化を測定することで生成物の形成を検出する酵素アッセイにおいて化合物1の阻害剤効力を測定した。化合物1をDMSOで段階希釈し、0.5μL体積を384ウェルプレートのウェルに移した。FGFR3については、アッセイ緩衝液(50mMのHEPES、10mMのMgCl2、1mMのEGTA、0.01%のTween-20、5mMのDTT、pH7.5)で希釈したFGFR3酵素(Millipore)をプレートに10μL体積添加し、事前に5~10分インキュベートした。適切な対照(酵素ブランク及び阻害剤を含まない酵素)をプレートに含めた。ビオチン化EQEDEPEGDYFEWLEペプチド基質(配列番号:1)及びATP(最終濃度は、それぞれ500nM及び140μM)をアッセイ緩衝液中に含む溶液をウェルに10μL添加することによってアッセイを開始した。プレートを25℃で1時間インキュベートした。反応停止溶液(50mMのTris、150mMのNaCl、0.5mg/mLのBSA、pH7.8;Perkin Elmer Lance Reagent(Eu-抗体PY20(3.75nM)及びAPC-ストレプトアビジン(180nM))を含む30mMのEDTA)を10μL/ウェルで添加することによって反応を停止させた。プレートを約1時間平衡化させた後、PheraStarプレートリーダー(BMG Labtech)でウェルのスキャンを行った。
【0333】
FGFR1及びFGFR2の測定については、酵素濃度及びATP濃度に変更を加えて(FGFR1については、それぞれ0.02nM及び210μMに変更し、FGFR2については、それぞれ0.01nM及び100μMに変更した)同等条件下で実施した。これらの酵素は、MilliporeまたはInvitrogenから購入した。
【0334】
データの解析には、GraphPad prism3を使用した。IC50値は、可変勾配を有するシグモイド用量反応に対する方程式にデータをフィッティングすることによって導き出した。Y=最小値+(最大値-最小値)/(1+10^((LogIC50-X)*Hill勾配))(式中、Xは濃度の対数であり、Yは反応である)。IC50が1μM以下である化合物は活性を有すると考えられる。
【0335】
本発明の化合物1は、上記のアッセイによれば、FGFR1、FGFR2、及びFGFR3のうちの1つ以上の阻害剤であることが明らかとなった。IC
50は、以下の表12に示される。「+」記号は、IC
50が100nM未満であることを示し、「++」記号は、IC
50が100~500nMであることを示す。
【表12】
【0336】
実施例B
FGFR細胞増殖/生存アッセイ
FGFRシグナル伝達に生存を依存する細胞の増殖を例示化合物が阻害する能力を、生死判別アッセイを使用して測定した。全長ヒトFGFR3をコードするプラスミドをマウスのプロB Ba/F3細胞(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenから入手した)に安定的にトランスフェクトすることによって、ヒトFGFR3を過剰発現する組換え細胞株を創出した。ピューロマイシン耐性を有し、ヘパリン及びFGF1の存在下で増殖する細胞を連続的に選択した。単一の細胞クローンを単離し、FGFR3の機能的発現を特徴付けた。このBa/F3-FGFR3クローンが細胞増殖アッセイに使用され、化合物は、それが細胞の増殖/生存を阻害する能力についてスクリーニングされる。このBa/F3-FGFR3細胞は、2%のFBS、20μg/mLのヘパリン、及び5ng/mLのFGF1を含むRPMI1640培地を含む96ウェルの黒色細胞培養プレートに3500個細胞/ウェルで播種される。段階希釈(5mMのDSMO溶液から血清非含有培地で希釈した)した10×濃度の化合物10μLを、最終体積が100μL/ウェルとなるように用いて細胞を処理した。72時間のインキュベートの後、細胞のATPレベルを測定するCell Titer Glo(登録商標)試薬(Promega Corporation)が各ウェルに100μL添加される。振とうしながら20分間インキュベートした後、プレートリーダーで発光の読み取りが行われる。発光の読み取り値は、DMSO処理対照ウェルに対する阻害パーセントに変換され、可変勾配を有するシグモイド用量反応に対する方程式にデータをフィッティングすることによってGraphPad Prismソフトウェアを使用してIC50値が計算される。IC50が10μM以下である化合物は活性を有すると考えられる。さまざまな腫瘍型を代表する細胞株(KMS-11(多発性骨髄腫、FGFR3転座)、RT112(膀胱癌、FGFR3過剰発現)、KatoIII(胃癌、FGFR2遺伝子増幅)、及びH-1581(肺、FGFR1遺伝子増幅)を含む)が、同様の増殖アッセイにおいて使用される。いくつかの実験では、Cell Titer Gloの代わりにMTS試薬(Cell Titer 96(登録商標)AQueous One Solution Reagent(Promega Corporation))が最終濃度333μg/mLで添加され、プレートリーダーで490/650nmでの読み取りが行われる。IC50が5μM以下の化合物は活性を有すると考えられる。
【0337】
実験C
細胞ベースのFGFRリン酸化アッセイ
関連細胞株(Ba/F3-FGFR3がん細胞株、KMS-11がん細胞株、RT112がん細胞株、KatoIIIがん細胞株、H-1581がん細胞株、及びHUVEC細胞株)におけるFGFRリン酸化に対する化合物の阻害作用を、FGFRリン酸化に特異的な免疫測定法を使用して評価することができる。FGF1を含まない低血清濃度(0.5%)培地において細胞株に応じて4~18時間、細胞が飢餓条件下に置かれた後、個々の阻害剤をさまざまな濃度で用いて細胞が1~4時間処理される。いくつかの細胞株(Ba/F3-FGFR3及びKMS-11など)については、ヘパリン(20μg/mL)及びFGF1(10ng/mL)で細胞が10分間刺激される。プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤[50mMのHEPES(pH7.5)、150mMのNaCl、1.5mMのMgCl2、10%のグリセロール、1%のTriton X-100、1mMのオルトバナジウム酸ナトリウム、1mMのフッ化ナトリウム、アプロチニン(2μg/mL)、ロイペプチン(2μg/mL)、ペプスタチンA(2μg/mL)、及びフッ化フェニルメチルスルホニル(1mM)]を含む溶解緩衝液において4℃でのインキュベートを行うことによって全細胞タンパク質抽出物が調製される。タンパク質抽出物は、14,000×gで10分間遠心分離することによって細胞残屑を除去して清澄化され、BCA(ビシンコニン酸)マイクロプレートアッセイ試薬(Thermo Scientific)を使用して定量化される。
【0338】
タンパク質抽出物におけるFGFR受容体のリン酸化は、免疫測定法(ウエスタンブロット、酵素結合免疫測定法(ELISA)、またはビーズベースの免疫測定法(Luminex)を含む)を使用して決定した。リン酸化FGFR2の検出については、市販のELISAキット(DuoSet IC Human Phospho-FGF R2α ELISAアッセイ(R&D Systems,Minneapolis,MN))を使用することができる。このアッセイについては、FBSが0.2%添加されたイスコフ培地に含めたKatoIII細胞が96ウェル平底組織培養処理済プレート(Corning,Corning,NY)に蒔かれ(50,000個細胞/ウェル/100μL)、一定濃度範囲の試験化合物の存在下または非存在下、37℃、5%CO2雰囲気下で4時間インキュベートされる。このアッセイの停止は、冷却PBSを200μL添加し、遠心分離することによって行われる。洗浄された細胞は、プロテアーゼ阻害剤(Calbiochem、番号535140)及びPMSF(Sigma、番号P7626)を含む細胞溶解緩衝液(Cell Signaling、番号9803)において濡れた氷の上で30分間溶解される。細胞可溶化液は、DuoSet IC Human Phospho-FGF R2α ELISAアッセイキットを用いて一定分量を試験するまで-80℃で凍結した。データの解析には、GraphPad prism3を使用した。IC50値は、可変勾配を有するシグモイド用量反応に対する方程式にデータをフィッティングすることによって導き出した。
【0339】
リン酸化FGFR3の検出については、ビーズベースの免疫測定法を開発した。抗ヒトFGFR3マウスmAb(R&D Systems、カタログ番号MAB7661)をLuminex MAGplexマイクロスフェア(ビーズリージョン20)に結合させ、捕捉抗体として使用した。RT-112細胞をマルチウェル組織培養プレートに播種し、70%コンフルエンスになるまで培養した。細胞をPBSで洗浄し、FBSを0.5%含むRPMIにおいて18時間、飢餓条件下に置いた。段階希釈した10×濃度の化合物10μLを用いて、37℃、5%CO2雰囲気下で細胞を1時間処理してから、10ng/mLのヒトFGF1及び20μg/mLのヘパリンを用いて細胞を10分間刺激した。細胞を冷却PBSで洗浄し、Cell Extraction Buffer(Invitrogen)を用いて溶解させ、遠心分離した。清澄化した上清を分析まで-80℃で凍結した。
【0340】
このアッセイについては、細胞可溶化液がアッセイ希釈液で1:10希釈され、96ウェルフィルタープレートにおいて捕捉抗体結合ビーズと共にプレート振とう機上で、室温で2時間インキュベートされる。真空マニホールドを使用してプレートが3回洗浄され、抗ホスホ-FGF R1-4(Y653/Y654)ウサギポリクローナル抗体(R&D Systems カタログ番号AF3285)と共に振とうしながら室温で1時間インキュベートされる。プレートが3回洗浄される。希釈されたレポーター抗体(ヤギ抗ウサギ-RPE結合型抗体(Invitrogen カタログ番号LHB0002))が添加され、振とうしながら30分間インキュベートされる。プレートが3回洗浄される。洗浄緩衝液において振とうしながらビーズが室温で5分間懸濁された後、試料当たり50のイベントを数えるように設定されたLuminex 200装置(ゲート設定7500~13500)で読み取られる。データは、平均蛍光強度(MFI)として示される。化合物で処理した試料に由来するMFIを、DMSO対照に由来するMFI値によって割ることで阻害パーセントが決定され、GraphPad Prismソフトウェアを使用してIC50値が計算される。IC50が1μM以下である化合物は活性を有すると考えられる。
【0341】
実施例D
細胞ベースのFGFRシグナル伝達アッセイ
FGFRが活性化されるとErkタンパク質がリン酸化される。製造者のプロトコールに従ってCellu’Erk HTRF(均一時間分解蛍光)アッセイ(CisBio)を使用してpErkの検出が監視される。FBSを0.25%含むRPMI培地を含む96ウェルプレートにKMS-11細胞が40,000個細胞/ウェルで播種され、飢餓条件下に2日間置かれる。この培地が吸引除去され、段階希釈(5mMのDSMO溶液から血清非含有培地で希釈した)した1×濃度の化合物30μLを、最終体積が30μL/ウェルとなるように用いて細胞が処理され、室温で45分間インキュベートされる。ヘパリン(100μg/mL)及びFGF1(50ng/mL)を含む10μL溶液を各ウェルに添加することによって細胞が刺激され、室温で10分間インキュベートされる。溶解後、一定分量の細胞抽出物が384ウェル低容量プレートに移され、検出試薬が4μL添加された後、室温で3分間インキュベートされる。HTRFの設定を行ったPheraStar装置でのプレートの読み取りが行われる。正規化された蛍光読み取り値が、DMSO処理対照ウェルに対する阻害パーセントに変換され、GraphPad Prismソフトウェアを使用してIC50値が計算される。IC50が1μM以下である化合物は活性を有すると考えられる。
【0342】
実施例E
VEGFR2キナーゼアッセイ
黒色の384ウェルポリスチレンプレートにおいて40μLの酵素反応が25℃で1時間行われる。試験化合物を含むDMSO(0.8μL)がウェルに添加される。アッセイ緩衝液は、50mMのTris(pH7.5)、0.01%のTween-20、10mMのMgCl2、1mMのEGTA、5mMのDTT、0.5μMのビオチン標識EQEDEPEGDYFEWLEペプチド基質(配列番号1)、1mMのATP、及び0.1nMの酵素(Milliporeカタログ番号14-630)を含む。反応停止は、225nMのLANCE Streptavidin Surelight(登録商標)APC(PerkinElmerカタログ番号CR130-100)及び4.5nMのLANCE Eu-W1024抗リン酸化チロシン(PY20)抗体(PerkinElmerカタログ番号AD0067)を含む停止緩衝液(50mMのTris(pH=7.8)、150mMのNaCl、0.5mg/mLのBSA、45mMのEDTA)を20μL添加することによって行われる。室温での20分間のインキュベート後、PheraStar FSプレートリーダー(BMG Labtech)でプレートの読み取りが行われる。可変勾配を有するシグモイド用量反応に対する方程式にデータをフィッティングすることによってGraphPad Prismを使用してIC50値が計算できる。IC50が1μM以下である化合物は活性を有すると考えられる。
【0343】
前述の説明から、本明細書に記載のものに加えて、本発明のさまざまな改変が当業者には明らかであろう。そのような改変もまた、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。特許、特許出願、及び刊行物をすべて含めて、本出願で引用される参考文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
本願は下記の態様も包含する。
[態様1]
下記の構造:
【化2】
を有する3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オンの酸性塩である塩、またはその水和物もしくは溶媒和物。
[態様2]
前記塩が、実質的に結晶である、態様1に記載の塩。
[態様3]
前記塩が、結晶である、態様1に記載の塩。
[態様4]
前記酸が、L-(+)-酒石酸、D-(-)-酒石酸、サリチル酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、エタンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸、及びリン酸から選択される、態様1~3のいずれか1つに記載の塩。
[態様5]
水和物である、態様1~4のいずれか1つに記載の塩。
[態様6]
溶媒和物である、態様1~4のいずれか1つに記載の塩。
[態様7]
前記塩が、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン L-(+)-酒石酸塩である、態様1~6のいずれか1つに記載の塩。
[態様8]
前記塩が、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン D-(-)-酒石酸塩である、態様1~6のいずれか1つに記載の塩。
[態様9]
前記塩が、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン サリチル酸塩である、態様1~6のいずれか1つに記載の塩。
[態様10]
前記塩が、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン フマル酸塩である、態様1~6のいずれか1つに記載の塩。
[態様11]
前記塩が、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン ベシル酸塩である、態様1~6のいずれか1つに記載の塩。
[態様12]
前記塩が、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン エタンスルホン酸塩である、態様1~6のいずれか1つに記載の塩。
[態様13]
前記塩が、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン 塩酸塩である、態様1~6のいずれか1つに記載の塩。
[態様14]
前記塩が、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン 臭化水素酸塩である、態様1~6のいずれか1つに記載の塩。
[態様15]
前記塩が、3-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-エチル-8-(モルホリン-4-イルメチル)-1,3,4,7-テトラヒドロ-2H-ピロロ[3’,2’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-オン リン酸塩である、態様1~6のいずれか1つに記載の塩。
[態様16]
図6に実質的に示される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する、態様7に記載の塩。
[態様17]
図2に実質的に示される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する、態様8に記載の塩。
[態様18]
図10に実質的に示される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する、態様9に記載の塩。
[態様19]
図21に実質的に示される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する、態様10に記載の塩。
[態様20]
図29に実質的に示される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する、態様11に記載の塩。
[態様21]
図33に実質的に示される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する、態様12に記載の塩。
[態様22]
図13に実質的に示される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する、態様13に記載の塩。
[態様23]
図17に実質的に示される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する、態様14に記載の塩。
[態様24]
図25に実質的に示される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する、態様15に記載の塩。
[態様25]
態様1~24のいずれか1つに記載の塩と、医薬的に許容可能な担体または医薬品添加物と、を含む、医薬組成物。
[態様26]
態様25に記載の医薬組成物を含む、固体経口剤形。
[態様27]
FGFRの阻害方法であって、前記方法が、前記FGFRを、態様1~24のいずれか1つに記載の塩と接触させることを含む、前記方法。
[態様28]
がんの治療方法であって、前記方法が、それを必要とする患者に対して、態様1~24のいずれか1つに記載の塩を治療的に有効な量で投与することを含む、前記方法。
[態様29]
前記がんが、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、小腸の癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肝癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、子宮癌、外陰癌、食道癌、胆嚢癌、膵癌、甲状腺癌、皮膚癌、脳癌、白血病、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性リンパ腫、成人T細胞白血病、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、骨髄増殖性新生物、慢性骨髄性リンパ腫、急性リンパ芽球性リンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、膠芽腫、メラノーマ、横紋筋肉腫、リンパ肉腫、及び骨肉腫から選択される、態様28に記載の方法。
[態様30]
前記がんが、膀胱癌である、態様29に記載の方法。
[態様31]
前記肝癌が、胆管細胞癌である、態様29に記載の方法。
[態様32]
前記骨髄増殖性新生物が、8p11骨髄増殖性症候群である、態様29に記載の方法。
【配列表】