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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】燃料電池ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2465 20160101AFI20241008BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20241008BHJP
【FI】
H01M8/2465
H01M8/04 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021005163
(22)【出願日】2021-01-15
(65)【公開番号】P2022109703
(43)【公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直行
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-257804(JP,A)
【文献】特開2010-287385(JP,A)
【文献】特開2013-180643(JP,A)
【文献】特開2012-059563(JP,A)
【文献】特開2003-151613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/24
H01M 8/02
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の燃料電池セルを有する燃料電池と、
全ての前記燃料電池セルの状態を監視するセルモニタと、
全ての前記燃料電池セルのコネクタと前記セルモニタのコネクタとを電気的に接続するケーブルとを含む燃料電池ユニットであって、
全ての前記燃料電池セルが積層される方向を積層方向とすると、
前記燃料電池は、
全ての前記燃料電池セルが積層されてなる積層面であり、且つ鉛直方向に位置する第1面と、
全ての前記燃料電池セルが積層されてなる積層面であり、且つ鉛直方向と前記積層方向とに直交する方向である交差方向に位置する第2面と、
前記積層方向における最も外側に位置する2つの第3面とを有し、
全ての前記燃料電池セルのコネクタは、前記第1面に配置され、
前記セルモニタは、前記第2面又は前記第3面に対向するように配置され、
前記燃料電池ユニットは、
前記2つの第3面に対向するように配置され、且つ前記積層方向で前記燃料電池を挟持する挟持部と、
前記ケーブルを前記挟持部に固定する固定部とを備え、
前記ケーブルは、前記固定部により前記第1面に沿って前記積層方向に延びる状態に維持されており、
前記第1面は、前記燃料電池における鉛直方向の上側に位置する面であり、
前記セルモニタのコネクタにおける前記ケーブルの接続部は、鉛直方向の下向きの状態であり、
前記セルモニタは、前記第2面に対向するように配置され、前記ケーブルは、前記第1面から前記固定部を介して前記積層方向で前記セルモニタに隣接する位置を通過して前記セルモニタのコネクタまで延びていることを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項2】
前記燃料電池ユニットは、前記第2面に対向する位置に設けられ、且つ前記挟持部に固定される固定ブラケットを備え、
前記セルモニタは、前記固定ブラケットに固定され、
前記セルモニタと前記第2面とは離間していることを特徴とする請求項に記載の燃料電池ユニット。
【請求項3】
前記第1面は、前記燃料電池における鉛直方向の上側に位置する面であり、
前記セルモニタのコネクタにおける前記ケーブルの接続部は、鉛直方向の下向きの状態であり、
前記ケーブルは、前記第1面から前記固定部を介して前記積層方向で前記セルモニタに隣接する位置を通過して前記セルモニタのコネクタまで延び、
前記固定ブラケットは、前記積層方向で前記セルモニタと対向する対向部を有し、
前記固定部を第1固定部とすると、
前記燃料電池ユニットは、前記ケーブルを前記対向部に固定する第2固定部を更に備えることを特徴とする請求項に記載の燃料電池ユニット。
【請求項4】
前記ケーブルは、全ての前記燃料電池セルのコネクタに電気的に接続される複数の導線を有し、
前記複数の導線は、前記積層方向における前記燃料電池の第1端から第2端に向けて寄せ集められ、
全ての前記導線における前記固定部から全ての前記燃料電池セルのコネクタまでの端部を比較すると、前記積層方向で隣り合う前記端部のうち、前記燃料電池の前記第2端寄りの前記端部の長さが、前記燃料電池の前記第1端寄りの前記端部の長さよりも短くなることを特徴とする請求項1~請求項のいずれか一項に記載の燃料電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載される燃料電池ユニットが知られている。
上記燃料電池ユニットは、燃料電池車両の床下空間に配置される。燃料電池ユニットは、積層された複数の燃料電池セルを有する燃料電池と、全ての燃料電池セルの状態を監視するセルモニタと、燃料電池及びセルモニタを収容する燃料電池ケースとを含んでいる。全ての燃料電池セルのそれぞれのコネクタとセルモニタのコネクタとは、ケーブルにより接続されている。
【0003】
全ての燃料電池セルのコネクタは、複数の燃料電池セルの積層面のうち鉛直方向の下側の領域に配置されている。セルモニタは、複数の燃料電池の積層面のうち燃料電池の側方領域に配置されている。セルモニタのコネクタは、全ての燃料電池セルのコネクタに最も近い位置にある鉛直方向の下側の側面に配置されている。このため、ケーブルは、燃料電池セルのコネクタ及びセルモニタのコネクタのいずれか一方から他方に向けて曲げられた状態で、両方のコネクタに架け渡されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6290522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、ケーブルが、ケーブル自身の曲がりを元に戻す復元力により燃料電池から鉛直方向の下方に膨らむように張り出してしまうと、燃料電池ケースに接触する虞がある。ケーブルと燃料電池ケースとの接触を避けるために、燃料電池ケースの鉛直方向における高さ寸法を大きくする手法が考えられる。しかし、一般的に燃料電池車両の床下空間における鉛直方向の高さ寸法には制限があり、燃料電池ケースの鉛直方向における高さ寸法を大きくしてしまうと、燃料電池ユニットを燃料電池車両の床下空間に配置し難くなる。
【0006】
また、仮に燃料電池ケースを割愛して、燃料電池及びセルモニタが燃料電池ケースに収容されていない様態を採用したとする。この様態であっても、ケーブルが、ケーブル自身の曲がりを元に戻す復元力により燃料電池から鉛直下向き方向に膨らむように張り出してしまうと、燃料電池ユニットの鉛直方向における高さ寸法が大きくなる。そのため、燃料電池ユニットを燃料電池車両の床下空間に配置し難くなる。このことは、全ての燃料電池セルのコネクタが、複数の燃料電池セルの積層面のうち鉛直方向の上側の領域に配置され、ケーブルが、燃料電池から鉛直上向きに膨らむように張り出してしまう場合においても同様に生じる虞がある。よって、ケーブル自身の復元力により、燃料電池ユニットの鉛直方向における高さ寸法が大きくなる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する燃料電池ユニットは、積層された複数の燃料電池セルを有する燃料電池と、全ての前記燃料電池セルの状態を監視するセルモニタと、全ての前記燃料電池セルのコネクタと前記セルモニタのコネクタとを電気的に接続するケーブルとを含む燃料電池ユニットであって、全ての前記燃料電池セルが積層される方向を積層方向とすると、前記燃料電池は、全ての前記燃料電池セルが積層されてなる積層面であり、且つ鉛直方向に位置する第1面と、全ての前記燃料電池セルが積層されてなる積層面であり、且つ鉛直方向と前記積層方向とに直交する方向である交差方向に位置する第2面と、前記積層方向における最も外側に位置する2つの第3面とを有し、全ての前記燃料電池セルのコネクタは、前記第1面に配置され、前記セルモニタは、前記第2面又は前記第3面に対向するように配置され、前記燃料電池ユニットは、前記2つの第3面に対向するように配置され、且つ前記積層方向で前記燃料電池を挟持する挟持部と、前記ケーブルを前記挟持部に固定する固定部とを備え、前記ケーブルは、前記固定部により前記第1面に沿って前記積層方向に延びる状態に維持されている。
【0008】
これによれば、固定部によりケーブルが挟持部に固定され、且つケーブルが第1面に沿って積層方向に延びる状態に維持される。そのため、ケーブルが、ケーブル自身の曲げを元に戻す復元力により燃料電池の第1面から鉛直方向に膨らむように張り出すことを抑制できる。したがって、燃料電池ユニットの鉛直方向における高さ寸法を抑制できる。
【0009】
上記の燃料電池ユニットにおいて、前記第1面は、前記燃料電池における鉛直方向の上側に位置する面であり、前記セルモニタのコネクタにおける前記ケーブルの接続部は、鉛直方向の下向きの状態であり、前記セルモニタは、前記第2面に対向するように配置され、前記ケーブルは、前記第1面から前記固定部を介して前記積層方向で前記セルモニタに隣接する位置を通過して前記セルモニタのコネクタまで延びているとよい。
【0010】
これによれば、水滴が燃料電池ユニット内に浸入し、且つセルモニタ近傍に到達したとしても、セルモニタのコネクタにおけるケーブルの接続部が鉛直方向の下向きの状態である。そのため、セルモニタのコネクタに水滴が滴下され難くなる。すなわち、セルモニタのコネクタの防水性をより向上させることができる。
【0011】
さらに、ケーブルが積層方向でセルモニタに隣接する位置を通過するように延びている。そのため、セルモニタにおける燃料電池の第2面とは反対側にケーブルが引き回される場合と比較して、ケーブルの引き回しによる燃料電池ユニットの交差方向における大型化も抑制できる。
【0012】
上記の燃料電池ユニットにおいて、前記燃料電池ユニットは、前記第2面に対向する位置に設けられ、且つ前記挟持部に固定される固定ブラケットを備え、前記セルモニタは、前記固定ブラケットに固定され、前記セルモニタと前記第2面とは離間しているとよい。
【0013】
これによれば、燃料電池の発電により発生する熱をセルモニタに伝達し難くできる。
上記の燃料電池ユニットにおいて、前記第1面は、前記燃料電池における鉛直方向の上側に位置する面であり、前記セルモニタのコネクタにおける前記ケーブルの接続部は、鉛直方向の下向きの状態であり、前記ケーブルは、前記第1面から前記固定部を介して前記積層方向で前記セルモニタに隣接する位置を通過して前記セルモニタのコネクタまで延び、前記固定ブラケットは、前記積層方向で前記セルモニタと対向する対向部を有し、前記固定部を第1固定部とすると、前記燃料電池ユニットは、前記ケーブルを前記対向部に固定する第2固定部を更に備えるとよい。
【0014】
これによれば、ケーブルが固定ブラケットにも固定されるため、ケーブルがなりゆきで積層方向に移動してセルモニタに接触することを抑制できる。すなわち、ケーブルとセルモニタとの短絡を抑制できる。
【0015】
上記の燃料電池ユニットにおいて、前記ケーブルは、全ての前記燃料電池セルのコネクタに電気的に接続される複数の導線を有し、前記複数の導線は、前記積層方向における前記燃料電池の第1端から第2端に向けて寄せ集められ、全ての前記導線における前記固定部から全ての前記燃料電池セルのコネクタまでの端部を比較すると、前記積層方向で隣り合う前記端部のうち、前記燃料電池の前記第2端寄りの前記端部の長さが、前記燃料電池の前記第1端寄りの前記端部の長さよりも短くなるとよい。
【0016】
これによれば、全ての導線において固定部から複数の燃料電池セルのコネクタまでの長さが異なるため、複数の燃料電池セルのコネクタのそれぞれに接続する導線の間違いを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、燃料電池ユニットの鉛直方向における高さ寸法を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】燃料電池ユニットの分解斜視図。
図2】燃料電池の斜視図。
図3】固定ブラケット及びセルモニタの斜視図。
図4】燃料電池ユニットの上面図。
図5】燃料電池ユニットの側面図。
図6図4の6-6線で切断したときの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、燃料電池ユニットを具体化した一実施形態を図1図6にしたがって説明する。
図1に示すように、燃料電池ユニット1は、積層された複数の燃料電池セル11を有する燃料電池10と、挟持部20と、天板部30と、固定ブラケット40とを備えている。
【0020】
図2に示すように、全ての燃料電池セル11は、平面視で矩形をなす板状である。全ての燃料電池セル11のそれぞれは、2つの長縁部11aと、2つの短縁部11bと、2つの板面11cとを有している。長縁部11a及び短縁部11bは、平面であってもよいし、多少の起伏のある略平面であってもよい。2つの板面11cは、互いに平行をなす平面である。2つの板面11cは、平面視において、長辺と短辺を有する長方形をなしている。2つの長縁部11aは、板面11cの長辺に連続している。2つの短縁部11bは、板面11cの短辺に連続している。互いに交差する長縁部11aと短縁部11bとは連続している。2つの長縁部11aの一方を第1長縁部111aとし、他方を第2長縁部112aとする。2つの短縁部11bの一方を第1短縁部111bとし、他方を第2短縁部112bとする。燃料電池セル11における2つの板面11cに直交する方向を燃料電池セル11の厚さ方向とする。
【0021】
全ての燃料電池セル11は、燃料電池セル11の厚さ方向に積層されている。全ての燃料電池セル11が積層される方向を積層方向Aとする。燃料電池10は、全ての第1長縁部111aが積層方向Aに積層されてなる積層面である上面SUを有している。燃料電池10は、全ての第2長縁部112aが積層方向Aに積層されてなる積層面である下面SDを有している。燃料電池10は、全ての第1短縁部111bが積層方向Aに積層されてなる積層面である第1側面SRを有している。燃料電池10は、全ての第2短縁部112bが積層方向Aに積層されてなる積層面である第2側面SLを有している。燃料電池10は、積層方向Aで最も外側に位置する燃料電池セル11の板面11cである第3側面SF及び第4側面SBを有している。
【0022】
上面SUは、燃料電池10における鉛直方向Vdの上側に位置する面である。下面SDは、燃料電池10における鉛直方向Vdの下側に位置する面である。上面SU及び下面SDは、鉛直方向Vdに位置する面である。本実施形態において、上面SU及び下面SDは、水平に延びる面であるが、水平に限らず、若干の傾きを有していてもよい。上面SUは第1面の一例である。第1側面SR及び第2側面SLは、鉛直方向Vdと積層方向Aとに直交する方向である交差方向Bに位置している。第1側面SR及び第2側面SLは、上面SU及び下面SDに連続する面である。本実施形態において、第1側面SR及び第2側面SLは、上面SU及び下面SDに直交している。すなわち、第1側面SR及び第2側面SLは、上面SU及び下面SDに対して垂直に延びる面をなしている。第1側面SR及び第2側面SLは、上面SU及び下面SDに対して垂直に延びる面であるが、垂直に限らず、上面SU及び下面SDに対して交差していればよい。第1側面SRは、第2面の一例である。第3側面SFは、上面SU及び下面SDと連続している。第4側面SBは、上面SU及び下面SDと連続している。
【0023】
全ての燃料電池セル11の第1長縁部111aには、コネクタ12が設けられている。全てのコネクタ12は、第1長縁部111aから鉛直方向Vdの上向きに突出している。全てのコネクタ12は、交差方向Bにおける第1長縁部111aの中間よりも第1短縁部111b寄りに設けられている。全てのコネクタ12は、積層方向Aに積層されている。全てのコネクタ12は、燃料電池10の上面SUに配置されている。
【0024】
燃料電池10は、2つのエンドプレート13を有している。2つのエンドプレート13は、平面視で矩形をなす板状である。2つのエンドプレート13のそれぞれは、2つの長縁部13aと、2つの短縁部13bと、2つの板面13cとを有している。長縁部13a及び短縁部13bは、平面であってもよいし、多少の起伏のある略平面であってもよい。2つの板面13cは、互いに平行をなす平面である。2つの板面13cは、平面視において、長辺と短辺を有する長方形をなしている。2つの板面13cの面積は、第3側面SF及び第4側面SBの面積と同じである。2つの長縁部13aは、板面13cの長辺に連続している。2つの短縁部13bは、板面13cの短辺に連続している。互いに交差する長縁部13aと短縁部13bとは連続している。2つの長縁部13aのうちの一方を第1長縁部131aとし、他方を第2長縁部132aとする。2つの短縁部13bのうちの一方を第1短縁部131bとし、他方を第2短縁部132bとする。エンドプレート13における2つの板面13cに直交する方向をエンドプレート13の厚さ方向とする。
【0025】
2つのエンドプレート13のうちの一方を第1エンドプレート13Aとし、他方を第2エンドプレート13Bとする。第1エンドプレート13Aは、その厚さ方向を積層方向Aに一致させた状態で第3側面SFに積層されている。第2エンドプレート13Bは、その厚さ方向を積層方向Aに一致させた状態で第4側面SBに積層されている。2つのエンドプレート13の第1長縁部131aは、燃料電池10の上面SUと面一となる。2つのエンドプレート13の第2長縁部132aは、燃料電池10の下面SDと面一となる。2つのエンドプレート13の第1短縁部131bは、燃料電池10の第1側面SRと面一となる。2つのエンドプレート13の第2短縁部132bは、燃料電池10の第2側面SLと面一となる。2つのエンドプレート13は、積層方向Aにおいて全ての燃料電池セル11を挟み込むように設けられている。なお、燃料電池10は、図示しない締結部材を有しており、2つのエンドプレート13は、締結部材により締結されることにより全ての燃料電池セル11を積層方向Aで挟み込んだ状態に維持している。
【0026】
燃料電池10は、第1エンドプレート13Aの積層方向Aにおける外側に位置する板面13cである第1外面S1を有している。燃料電池10は、第2エンドプレート13Bの積層方向Aにおける外側に位置する板面13cである第2外面S2を有している。第1外面S1及び第2外面S2は、積層方向Aにおける燃料電池10の最も外側に位置する面である。第1外面S1及び第2外面S2は、積層方向Aにおける最も外側に位置する2つの第3面の一例である。
【0027】
図1に示すように、燃料電池10は、挟持部20と、天板部30と、固定ブラケット40とにより囲まれる。以下、具体的に説明する。
挟持部20は、2つの板部21により構成されている。2つの板部21は、平面視で矩形をなす板状である。2つの板部21のそれぞれは、2つの長縁部21aと、2つの短縁部21bと、2つの板面21cとを有している。長縁部21a及び短縁部21bとは、平面であってもよいし、多少の起伏のある略平面であってもよい。2つの板面21cは、互いに平行をなす平面である。2つの板面21cは、平面視において、長辺と短辺を有する長方形をなしている。2つの板面21cの面積は、第1外面S1及び第2外面S2の面積よりも大きい。2つの長縁部21aは、板面21cの長辺に連続している。2つの短縁部21bは、板面21cの短辺に連続している。互いに交差する長縁部21aと短縁部21bとは連続している。2つの長縁部21aの一方を第1長縁部211aとし、他方を第2長縁部212aとする。2つの短縁部21bの一方を第1短縁部211bとし、他方を第2短縁部212bとする。2つの板部21における2つの板面21cに直交する方向を板部21の厚さ方向とする。2つの板部21の一方を第1板部21Aとし、他方を第2板部21Bとする。
【0028】
第1板部21Aは、その厚さ方向を積層方向Aに一致させた状態で第1外面S1に積層される。第2板部21Bは、その厚さ方向を積層方向Aに一致させた状態で第2外面S2に積層される。全ての第1長縁部211aは、板部21における鉛直方向Vdの上側に位置している。全ての第2長縁部212aは、板部21における鉛直方向Vdの下側に位置している。全ての第1短縁部211bは、交差方向Bにおいて、燃料電池10の第1側面SRと同じ方向に向いている。全ての第2短縁部212bは、交差方向Bにおいて、燃料電池10の第2側面SLと同じ方向に向いている。交差方向Bにおける第1板部21Aの長さ、及び交差方向Bにおける第2板部21Bの長さは、交差方向Bにおける燃料電池セル11及びエンドプレート13の長さよりも長い。鉛直方向Vdにおける第1板部21Aの高さ、及び鉛直方向Vdにおける第2板部21Bの高さは、鉛直方向Vdにおける燃料電池10の下面SDからコネクタ12の先端までの高さよりも高い。
【0029】
第2板部21Bの積層方向Aにおける内側の板面21cには、支持突部22が設けられている。支持突部22は、第2板部21Bの積層方向Aにおける内側の板面21cから突出する板状をなしている。支持突部22は、平面視で矩形をなす板状である。支持突部22は、2つの長縁部22aと、2つの短縁部22bと、1つの板面22cとを有している。長縁部21a及び短縁部22bとは、平面であってもよいし、多少の起伏のある略平面であってもよい。板面22cは、平面視において、長辺と短辺を有する長方形をなしている。板面22cの面積は、第2板部21Bの板面21cの面積よりも小さい。2つの長縁部22aは、板面22cの長辺に連続している。2つの短縁部22bは、板面22cの短辺に連続している。互いに交差する長縁部22aと短縁部22bとは連続している。
【0030】
支持突部22の2つの長縁部22aは、鉛直方向Vdにおいて、第2板部21Bの第1長縁部211a及び第2長縁部212aよりも中央寄りに位置し、支持突部22の2つの短縁部22bは、交差方向Bにおいて、第2板部21Bの第1短縁部211b及び第2短縁部212bよりも中央寄りに位置している。
【0031】
図4に示すように、第1板部21Aが第1外面S1に積層されたとき、第1板部21Aの積層方向Aにおける内側の板面21cが第1外面S1に重ね合わされる。第2板部21Bが第2外面S2に積層されたとき、支持突部22の板面22cは、第2外面S2に当接する。図示しないが、第2板部21Bの積層方向Aにおける外側の板面21cには、燃料電池10に供給する水素、酸素、冷却水等を供給するための配管が接続される。支持突部22の内部には、配管に接続される流路が設けられる。
【0032】
図1に示すように、第1板部21Aには、8つの雌ねじH1が設けられている。8つの雌ねじH1は、第1板部21Aを厚さ方向に貫通している。8つの雌ねじH1のうち4つは、板面21cにおける第1長縁部211a寄りの長辺に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。8つの雌ねじH1のうち残りの4つは、板面21cにおける第2長縁部212a寄りの長辺に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。
【0033】
第2板部21Bには、8つの貫通孔N1が設けられている。8つ貫通孔N1は、第2板部21Bを厚さ方向に貫通している。8つの貫通孔N1のうち4つは、板面21cにおける第1長縁部211a寄りの長辺に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。8つの貫通孔N1のうち残りの4つは、板面21cにおける第2長縁部212a寄りの長辺に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。
【0034】
第1板部21Aの第1長縁部211a寄りの長辺に沿って配置される4つの雌ねじH1と、第2長縁部212a寄りの長辺に沿って配置される4つの雌ねじH1との鉛直方向Vdの間隔は、鉛直方向Vdにおける燃料電池10の下面SDからコネクタ12の先端までの高さよりも大きい。第2板部21Bの第1長縁部211a寄りの長辺に沿って配置される4つの貫通孔N1と、第2長縁部212a寄りの長辺に沿って配置される4つの貫通孔N1との鉛直方向Vdの間隔は、鉛直方向Vdにおける燃料電池10の下面SDからコネクタ12の先端までの高さよりも大きい。第1板部21Aに設けられる8つの雌ねじH1と、第2板部21Bに設けられる8つの貫通孔N1とは、板部21の厚さ方向において互いに対応する位置に配置されている。
【0035】
図1及び図5に示すように、2つの板部21が第1外面S1及び第2外面S2に積層されたとき、板面21cを平面視すると、燃料電池10が板面21cの領域内に収まるように配置されている。鉛直方向Vdにおいて、第1長縁部211a寄りの長辺に沿って配置される4つの雌ねじH1と、第2長縁部212a寄りの長辺に沿って配置される4つの雌ねじH1との間に燃料電池10が位置する。鉛直方向Vdにおいて、第1長縁部211a寄りの長辺に沿って配置される4つの貫通孔N1と、第2長縁部212a寄りの長辺に沿って配置される4つの貫通孔N1との間に支持突部22が位置する。また、交差方向Bにおいて、第1短縁部211bと第2短縁部212bとの間に燃料電池10が位置する。
【0036】
図4に示すように、板部21の厚さ方向において互いに対応する位置に配置された第2板部21Bの8つの貫通孔N1には、ボルトB1が挿通される。ボルトB1の先端は、第1板部21Aの8つの雌ねじH1に螺着される。ボルトB1の雌ねじH1に対する螺着により2つの板部21が燃料電池10を挟み込んだ状態に維持される。すなわち、挟持部20は、積層方向Aで燃料電池10を挟持する。なお、図4には、説明の便宜上、2つの貫通孔N1、2つの雌ねじH1、及び2つのボルトB1のみを図示しているが、残りの貫通孔N1にもボルトB1が挿通され、且つ全てのボルトB1の先端が雌ねじH1に螺合されている。
【0037】
図1に示すように、天板部30は、平面視で矩形をなす板状である。天板部30は、2つの長縁部30aと、2つの短縁部30bと、2つの板面30cとを有している。長縁部30a及び短縁部30bとは、平面であってもよいし、多少の起伏のある略平面であってもよい。2つの板面30cは、互いに平行をなす平面である。2つの板面30cは、平面視において、長辺と短辺を有する長方形をなしている。2つの長縁部30aは、板面30cの長辺に連続している。2つの短縁部30bは、板面30cの短辺に連続している。互いに交差する長縁部30aと短縁部30bとは連続している。天板部30における2つの板面30cに直交する方向を天板部30の厚さ方向とする。
【0038】
図4図5、及び図6に示すように、天板部30は、その厚さ方向を鉛直方向Vdに一致させた状態で2つの板部21のそれぞれが有する第1長縁部211aに載置される。天板部30は、2つの板部21のそれぞれにおける第1長縁部211aに固定されている。天板部30は、上面SUに対向するように配置される。図1に示すように、交差方向Bにおける天板部30の長さは、交差方向Bにおける第1板部21Aの長さよりも若干長い。交差方向Bにおける天板部30の長さは、交差方向Bにおける燃料電池10の長さよりも長い。そのため、図4に示すように、鉛直方向Vdにおいて上面SUを正面に見たときに天板部30は、燃料電池10を覆うように配置されている。
【0039】
図1及び図3に示すように、固定ブラケット40は、L字形の板状である。固定ブラケット40は、交差方向Bに厚さを有する矩形状の固定板部41と、固定板部41の積層方向Aにおける第1端部から固定板部41の厚さ方向に延びる矩形状の対向部42とを有している。固定板部41の積層方向Aにおける第2端部は、第1板部21Aの第1短縁部211bに固定されている。すなわち、固定ブラケット40は、挟持部20に固定されている。固定板部41の鉛直方向Vdの高さは、対向部42の鉛直方向Vdの高さと同じである。
【0040】
図4に示すように、対向部42の交差方向Bにおける先端は、第2板部21Bの第1短縁部211bに対向している。固定ブラケット40は、第1側面SRに対向する位置に設けられている。固定板部41は、第1側面SRに対向する第1板面41aと、第1板面41aと反対側に位置する第2板面41bとを有している。対向部42は、第1板面41aと直交するように連続する第1板面42aと、第1板面42aと反対側に位置する第2板面42bとを有している。
【0041】
燃料電池ユニット1は、セルモニタ50を備えている。セルモニタ50は、全ての燃料電池セル11の電圧、全ての燃料電池セル11に流れる電流、及び全ての燃料電池セル11の温度等を監視する電子機器である。すなわち、セルモニタ50は、全ての燃料電池セル11の状態を監視する。セルモニタ50は、固定ブラケット40の固定板部41の第1板面41aに固定されている。すなわち、セルモニタ50は、燃料電池10の第1側面SRに対向するように配置されている。なお、交差方向Bにおける天板部30の長さは、交差方向Bにおける第1板部21Aの長さと、固定ブラケット40の固定板部41の厚さとの和よりも大きい。よって、図4の二点鎖線で示すように、天板部30は、鉛直方向Vdにおいて、燃料電池10だけでなく固定ブラケット40も覆うように配置されている。すなわち、天板部30は、鉛直方向Vdにおいて上面SUを正面に見たときに燃料電池10及びセルモニタ50を覆うように配置されている。
【0042】
図3及び図4に示すように、セルモニタ50は、基板51と、コネクタ52とを有している。基板51は、固定板部41の第1板面41aに複数のスペーサ53を介して重ねられている。基板51は、複数のボルトによりスペーサ53とともに固定板部41に固定されている。基板51は、固定板部41とは反対側に位置する第1面51aを有している。第1面51aは、平面視において、長辺と短辺を有する長方形をなしている。第1面51aは、2つの長辺が鉛直方向Vdに延び、2つの短辺が積層方向Aに延びる長方形をなしている。コネクタ52は、基板51の第1面51aに電気的に接続されている。コネクタ52は、第1面51aの鉛直方向Vdにおける下側に位置する短辺に沿って配置されている。コネクタ52の入力端子は、鉛直方向Vdの下向きの状態である。なお、コネクタ52は、後述する全ての導線61aが電気的に接続できる程度の数の入力端子を有している。また、コネクタ52の入力端子とは、後述するケーブル60の接続部の一例である。
【0043】
セルモニタ50は、積層方向Aにおいて、対向部42の第1板面42aに対向している。セルモニタ50は、積層方向Aにおいて、対向部42の第1板面42aから離間している。セルモニタ50と燃料電池10の第1側面SRとは交差方向Bにおいて離間している。
【0044】
図4図5、及び図6に示すように、燃料電池ユニット1は、全ての燃料電池セル11のコネクタ12とセルモニタ50のコネクタ52とを電気的に接続するケーブル60を有している。全ての燃料電池セル11とセルモニタ50とがケーブル60により電気的に接続されることにより、全ての燃料電池セル11から出力される信号は、ケーブル60を介してセルモニタ50に入力される。そのため、セルモニタ50が、全ての燃料電池セル11の状態を監視できる。燃料電池ユニット1は、第1固定部71と、第2固定部72とを備えている。
【0045】
ケーブル60は、複数の導線61aと、被覆部61bとを有している。ケーブル60は、複数の導線61aの両端部が露出し、複数の導線61aの中間部が被覆部61bにより覆われている。
【0046】
図4に示すように、全ての導線61aの第1端611aは、全ての燃料電池セル11のコネクタ12に電気的に接続されている。1つのコネクタ12には、複数の導線61aが電気的に接続されている。全ての導線61aの第1端611aを含む第1端部は、燃料電池10の上面SUに沿って第1エンドプレート13Aから第2エンドプレート13Bに向けて寄せ集められている。第1エンドプレート13Aは、積層方向Aにおける燃料電池10の第1端の一例であり、第2エンドプレート13Bは、積層方向Aにおける燃料電池10の第2端の一例である。全ての導線61aの第1端部は、積層方向Aにおいて、第2板部21Bの積層方向Aにおける内側の板面21cの近傍まで寄せ集められている。全ての導線61aは、第2板部21Bの積層方向Aにおける内側の板面21cの近傍で被覆部61bに被覆される。
【0047】
図4及び図5に示すように、第1固定部71は、ケーブル60を支持する支持部71aと、支持部71aを第2板部21Bに取り付ける取付部71bと、を有する。第1固定部71は、取付部71bを第2板部21Bに取り付けることで第2板部21Bに固定されている。第1固定部71は、積層方向Aにおいて、コネクタ12と並ぶ位置に配置されている。第1固定部71は、鉛直方向Vdにおいて、コネクタ12の先端と同程度の高さに位置している。全ての燃料電池セル11のコネクタ12から第2板部21Bの積層方向Aにおける内側の板面21cの近傍まで延びた全ての導線61aを被覆部61bにより被覆したケーブル60は、第1固定部71の支持部71aに粘着テープ71cにより固定されている。粘着テープ71cによって支持部71aに固定されたケーブル60は、鉛直方向Vd及び積層方向Aに向けての移動が規制される。すなわち、ケーブル60は、第1固定部71により第2板部21Bに固定される。第1固定部71は、全ての導線61aの第1端部を燃料電池10の上面SUに沿って積層方向Aに延びる状態に維持する固定部である。全ての導線61aにおける第1固定部71から全ての燃料電池セル11のコネクタ12までの端部を比較すると、積層方向Aで隣り合う導線61aの端部のうち、第2エンドプレート13B寄りの導線61aの端部の長さが、第1エンドプレート13A寄りの導線61aの端部の長さよりも短くなる。なお、第1固定部71によって、ケーブル60の鉛直方向Vd及び積層方向Aに向けての移動が規制できれば、第1固定部71に対するケーブル60の固定方法は適宜変更してもよい。
【0048】
ケーブル60は、第2板部21Bの積層方向Aにおける内側の板面21cに沿って交差方向Bで粘着テープ71cから固定ブラケット40に向けて延びている。ケーブル60は、対向部42の第1板面42aが臨む位置に延びている。
【0049】
図6に示すように、ケーブル60は、対向部42の第1板面42aの臨む位置を鉛直方向Vdの下方に向けて延びている。
図3図5、及び図6に示すように、第2固定部72は、ケーブル60を支持する支持部72aと、支持部72aを対向部42に取り付ける取付部72bと、を有する。第2固定部72は、取付部72bを対向部42に取り付けることで対向部42に固定されている。第2固定部72は、鉛直方向Vdにおいて、対向部42の中間に設けられている。
【0050】
図6に示すように、対向部42の第1板面42aに臨む位置を鉛直方向Vdの下方に延びるケーブル60は、第2固定部72の支持部72aに粘着テープ72cにより固定されている。粘着テープ72cによって支持部72aに固定されたケーブル60は、積層方向A及び交差方向Bに向けての移動が規制される。すなわち、ケーブル60は、第2固定部72により対向部42に固定される。なお、第2固定部72によって、ケーブル60の積層方向A及び交差方向Bに向けての移動が規制できれば、第2固定部72に対するケーブル60の固定方法は適宜変更してもよい。
【0051】
ケーブル60は、燃料電池10の上面SUから第1固定部71を介して積層方向Aでセルモニタ50に隣接する位置を鉛直方向Vdの下方に向けて延びている。第2固定部72を通過したケーブル60は、セルモニタ50のコネクタ52まで延びている。全ての導線61aの第2端612aは、セルモニタ50のコネクタ52に電気的に接続されている。コネクタ52の入力端子が、鉛直方向Vdの下向きの状態であるため、全ての導線61aの第2端612aを含む第2端部は、鉛直方向Vdの下方から鉛直方向Vdの上方に向けて湾曲している。なお、全ての導線61aの第2端部の長さは、全ての導線61aの第2端部が、2つの板部21の第2長縁部212aよりも鉛直方向Vdの下方に張り出さない程度に設定されている。
【0052】
本実施形態の作用を説明する。
第1固定部71によりケーブル60が第2板部21Bに固定され、且つケーブル60が上面SUに沿って積層方向Aに延びる状態に維持される。そのため、ケーブル60が、ケーブル60自身の曲げを元に戻す復元力により燃料電池10の上面SUから鉛直方向Vdの上向きに膨らむように張り出すことが抑制される。
【0053】
本実施形態の効果を説明する。
(1)第1固定部71によりケーブル60が、ケーブル60自身の曲げを元に戻す復元力により燃料電池10の上面SUから鉛直方向Vdの上向きに膨らむように張り出すことを抑制できる。したがって、燃料電池ユニット1の鉛直方向Vdにおける高さ寸法を抑制できる。
【0054】
(2)燃料電池ユニット1に天板部30を設けることにより、鉛直方向Vdの上方から燃料電池セル11のコネクタ12及びセルモニタ50のコネクタ52に水滴が滴下され難くなる。
【0055】
また、本実施形態において、セルモニタ50は燃料電池10よりも交差方向Bにおける外側に位置している。そのため、仮に天板部30を伝って水滴が燃料電池ユニット1内に浸入し、且つセルモニタ50近傍に到達したとしても、セルモニタ50のコネクタ52におけるケーブル60の接続部が鉛直方向Vdの下向きの状態である。そのため、セルモニタ50のコネクタ52に水滴がより滴下され難くなる。すなわち、セルモニタ50のコネクタ52の防水性をより向上させることができる。
【0056】
さらに、ケーブル60が積層方向Aでセルモニタ50に隣接する位置を通過するように延びている。そのため、例えば、固定ブラケット40の固定板部41の第2板面41b側にケーブル60が引き回される場合と比較して、ケーブル60の引き回しによる燃料電池ユニット1の交差方向Bにおける大型化も抑制できる。
【0057】
(3)交差方向Bにおいて、セルモニタ50と燃料電池10の第1側面SRとは離間している。そのため、燃料電池10の発電により発生する熱をセルモニタ50に伝達し難くできる。
【0058】
(4)第2固定部72によりケーブル60が固定ブラケット40にも固定されるため、ケーブル60がなりゆきで積層方向Aに移動することでセルモニタ50に接触することを抑制できる。すなわち、ケーブル60とセルモニタ50との短絡を抑制できる。
【0059】
(5)全ての導線61aにおいて第1固定部71から全ての燃料電池セル11のコネクタ12までの長さが異なるため、全ての燃料電池セル11のコネクタ12のそれぞれに接続する導線61aの間違いを抑制できる。
【0060】
(6)燃料電池ユニット1を燃料電池車両の床下空間に搭載する場合を考える。燃料電池車両に燃料電池ユニット1を搭載すると、燃料電池ユニット1の鉛直方向Vdの上方及び下方の少なくとも一方にその他搭載部品が配置されることが多く、燃料電池ユニット1の鉛直方向Vdに向けた高さ寸法の増大が特に問題となる。その点、本実施形態では、ケーブル60が燃料電池10の上面SUから鉛直方向Vdの上向きに膨らむように張り出すことを抑制できる。そのため、燃料電池ユニット1の鉛直方向Vdの上方への高さ寸法の増大を抑制できる。したがって、燃料電池ユニット1の鉛直方向Vdの上方及び下方の少なくとも一方にその他搭載部品が搭載されても、ケーブル60の張り出しを原因とした高さ寸法の増大を抑制して、燃料電池ユニット1全体の鉛直方向Vdへの高さ寸法の増大を抑制できる。
【0061】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
○ 積層方向Aで隣り合う導線61aの端部のうち、第2エンドプレート13B寄りの導線61aの端部の長さが、第1エンドプレート13A寄りの導線61aの端部の長さよりも長くなってもよい。
【0062】
○ 第2固定部72は、割愛してもよい。
○ 固定ブラケット40の対向部42を割愛してもよい。
○ 積層方向Aにおいて、第1固定部71の位置とコネクタ12の位置とがずれていてもよい。
【0063】
○ 第1固定部71は、鉛直方向Vdにおいて、燃料電池10の上面SUと同程度の高さに位置していてもよい。
○ セルモニタ50のコネクタ52におけるケーブル60の接続部は、鉛直方向Vdの上向きの状態としてもよい。
【0064】
○ 全てのコネクタ12は、第2長縁部112aに設けられていてもよい。すなわち、全てのコネクタ12は、燃料電池10の下面SDに配置されていてもよい。このとき、燃料電池10の下面SDが、第1面の一例である。このように変更する場合、鉛直方向Vdにおいて、第1固定部71は、燃料電池10の下面SDと同じ程度の高さに位置するように変更し、ケーブル60が鉛直方向Vdの下方に向けて張り出すことを抑制できるように変更する。
【0065】
○ 固定ブラケット40は、第1側面SRに対向する位置に設けられていたが、第2側面SLに対向する位置に設けられてもよい。この場合、第2側面SLが第2面の一例である。
【0066】
○ 固定ブラケット40の固定板部41が第1板部21Aに固定されていたが、これに限らず、固定ブラケット40の対向部42を第2板部21Bに固定してもよい。また、固定板部41の第1板部21Aへの固定手段は適宜変更してもよい。対向部42を第2板部21Bに固定するときの固定手段も同様に変更してもよい。
【0067】
○ 固定ブラケット40に固定されたセルモニタ50と、燃料電池10の第1側面SRとは離間していたが、接触していてもよい。
○ 固定ブラケット40を割愛してもよい。セルモニタ50は、固定ブラケット40に固定されていたが、例えば、セルモニタ50を燃料電池10の第1側面SRに直接固定してもよい。
【0068】
○ ケーブル60は、積層方向Aでセルモニタ50と隣接する位置を鉛直方向Vdの下方に向けて延びていたが、これに限らない。固定ブラケット40の鉛直方向Vdにおける長さを短くして、ケーブル60を固定板部41の第2板面41b側から引き回してもよい。このように変更する場合、第1固定部71を通過したケーブル60は、交差方向Bにおける外側に延び、鉛直方向Vdの上方に向けて張り出さないようにする。
【0069】
○ 燃料電池セル11、エンドプレート13、第1板部21A、第2板部21B、及び天板部30は、矩形状をなしていたが、略矩形状であってもよく、形状は適宜変更してもよい。
【0070】
○ 天板部30は割愛してもよい。
○ 第2板部21Bには、支持突部22が設けられていたが、支持突部22は割愛してもよい。例えば、第2板部21Bの積層方向Aにおける内側の板面21cを第2外面S2に重ね合わせてもよい。この場合、燃料電池10に水素、酸素、冷却水を供給する配管の配置を適宜変更する。
【0071】
○ 2つのエンドプレート13を割愛してもよい。第3側面SF及び第4側面SBを2つの第3面の一例としてもよい。
○ エンドプレート13と第3側面SFとの間、及びエンドプレート13と第4側面SBとの間の少なくとも一方に、発電しないダミーセルを配置してもよい。
【0072】
○ エンドプレート13を割愛し、第3側面SF及び第4側面SBに、発電しないダミーセルを積層してもよい。
○ 固定ブラケット40は、第1板部21A又は第2板部21Bにおける積層方向Aの外側の板面21cに固定され、この固定ブラケット40にセルモニタ50が固定されていてもよい。又はセルモニタ50は、第1板部21A又は第2板部21Bにおける積層方向Aの外側の板面21cに固定されていてもよい。この場合、セルモニタ50は、燃料電池10の積層方向Aにおける最も外側に位置する第3面である第1外面S1又は第2外面S2に対し、第1板部21A又は第2板部21Bを介して対向するように配置される。
【0073】
このように、セルモニタ50が第1外面S1又は第2外面S2に対向するように配置されていても、第1固定部71によりケーブル60が、ケーブル60自身の曲げを元に戻す復元力により燃料電池10の上面SUから鉛直方向Vdの上向きに膨らむように張り出すことを抑制できる。したがって、燃料電池ユニット1の鉛直方向Vdにおける高さ寸法を抑制できる。
【符号の説明】
【0074】
1…燃料電池ユニット、10…燃料電池、11…燃料電池セル、12…燃料電池セルのコネクタ、20…挟持部、30…天板部、40…固定ブラケット、42…対向部、50…セルモニタ、51…基板、52…セルモニタのコネクタ、60…ケーブル、61a…導線、71…第1固定部、72…第2固定部、Vd…鉛直方向、A…積層方向、B…交差方向、SU…上面、SD…下面、SR…第1側面、SL…第2側面、S1…第1外面、S2…第2外面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6