(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】回路キット
(51)【国際特許分類】
G09B 23/18 20060101AFI20241008BHJP
G09B 9/00 20060101ALI20241008BHJP
H01H 9/54 20060101ALI20241008BHJP
B61L 19/06 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G09B23/18 B
G09B9/00 Z
H01H9/54 C
B61L19/06
(21)【出願番号】P 2021008916
(22)【出願日】2021-01-22
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】島添 敏之
(72)【発明者】
【氏名】高野 求
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 匠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 渉
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-052321(JP,A)
【文献】特開2002-149055(JP,A)
【文献】特開平04-143163(JP,A)
【文献】実開昭52-037557(JP,U)
【文献】実公昭48-028463(JP,Y1)
【文献】実公昭47-035875(JP,Y1)
【文献】国際公開第2017/208421(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112083250(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
17/00-19/26
23/00-29/14
B61L 1/00-99/00
G06F 17/00-17/18
G06Q 50/20
H01H 9/54- 9/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを任意の端子に接続することで電気回路を形成し、
当該電気回路の動作を学習又は検証するための鉄道信号設備に関わる回路キットであって、
前記ケーブルを接続可能な前記端子および操作スイッチが配置され、ユーザが学習用又は検証用の取り扱いを行うための取り扱い部と、
リレー接点およびリレーコイルを有する鉄道信号用リレーが配置されたリレー配置部と、
を具備し、
前記取り扱い部は、
電源の端子が配置された電源端子部と、
前記操作スイッチおよび前記操作スイッチへの入力端子および出力端子が配置されたスイッチ操作部と、
前記リレー接点への入力端子および出力端子が配置されたリレー接点端子部と、
前記リレーコイルへの接続端子が配置されたコイル端子部と、
を備える、
回路キット。
【請求項2】
前記取り扱い部は、左から順に、前記電源端子部と、前記スイッチ操作部と、前記リレー接点端子部と、前記コイル端子部とを、横方向に配置して備える、
請求項1に記載の回路キット。
【請求項3】
前記リレー配置部は、前記ユーザが前記取り扱い部の取り扱い中に前記鉄道信号用リレーの動作を視認可能な位置であって、前記取り扱い部の操作面側に配置されている、
請求項1又は2に記載の回路キット。
【請求項4】
前記鉄道信号用リレーは、1つのリレーコイルと、当該1つのリレーコイルに対するリレー接点とを有し、
前記リレー配置部は、前記鉄道信号用リレーを複数配置して備え、
前記リレー接点端子部は、前記鉄道信号用リレー毎に、当該鉄道信号用リレーのリレーコイルに対するリレー接点それぞれへの入力端子および出力端子の組み合わせを一群に配置して有する、
請求項1~3の何れか一項に記載の回路キット。
【請求項5】
前記リレー接点端子部は、前記組み合わせ毎に、当該組み合わせに対応するリレー接点の図記号と、対応するリレーコイルの識別記号とを含む表記を有する、
請求項4に記載の回路キット。
【請求項6】
前記スイッチ操作部は、1つの操作スイッチに対して、当該操作スイッチが定位に切り替えられた時に導通する出力端子と、当該操作スイッチが反位に切り替えられた時に導通する出力端子とを有する、
請求項1~5の何れか一項に記載の回路キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路キットに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道では、列車の運転や車両の入換等における安全を確保するために、信号機や転てつ機等の現場機器を所定の論理に従って制御する連動装置が用いられている。例えば、現場機器の相互間を連鎖させるのにリレー(鉄道信号用リレー)を使用した継電連動装置等の鉄道信号設備がある。
【0003】
一方で、従来から、教育目的等での使用を想定した学習のための各種キットが知られている。例えば、特許文献1には、学習者が所定の入出力端子間を接続線で接続することで実験回路を完成させることができ、メカトロニクスの技術を体験的に学習可能な教育実験装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
継電連動装置のように鉄道信号用リレーを用いた鉄道信号設備等の開発・設計等にあたっては、リレー回路の理解が必須となる。しかし、これまでに鉄道信号用リレーに特化したキット等の提案はなかった。そのため、学習目的で動作を確認するためには、実機相当の大がかりな設備を使用してシミュレーションを行うしか方法がなく、実質、無理であった。特に、学習時に机上等で当該動作を手軽に確認することができれば好適であるが、その実現手段が無かった。また、新たなリレー回路を開発する際に、当該リレー回路の動作検証や、当該リレー回路で各リレーがどのような挙動をするかを考察するためには、実際に回路を作成してみることしか手段が無かった。
【0006】
本発明の課題は、リレー回路を自由に組み替えることが可能で、その動作を容易に確認することができる鉄道信号設備に関わる回路キットを実現するための技術を提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の発明は、ケーブルを任意の端子に接続することで電気回路を形成し、その動作を学習又は検証するための鉄道信号設備に関わる回路キットであって、前記ケーブルを接続可能な前記端子および操作スイッチが配置され、ユーザが学習用又は検証用の取り扱いを行うための取り扱い部と、リレー接点およびリレーコイルを有する鉄道信号用リレーが配置されたリレー配置部と、を具備し、前記取り扱い部は、電源の端子が配置された電源端子部と、前記操作スイッチおよび前記操作スイッチへの入力端子および出力端子が配置されたスイッチ操作部と、前記リレー接点への入力端子および出力端子が配置されたリレー接点端子部と、前記リレーコイルへの接続端子が配置されたコイル端子部と、を備える、回路キットである。
【0008】
第1の発明によれば、ユーザは、取り扱い部において任意の端子間をケーブル接続する配線の作業を行うことでリレー回路となる電気回路を任意に形成する(回路を組むともいう)ことが可能となり、更には操作スイッチを操作することで、鉄道信号用リレーの動作を目視によって確認することができる。これによれば、ユーザは、鉄道信号用リレーの動作を簡易に且つ体験的に確認し、検証することが可能となる。よって、新人の技術者等の学習者にあっては、鉄道信号設備の論理や当該論理を図式化したリレー結線図の作成について効率よく学習できる。熟練者にとっても、当該回路キットを利用して鉄道信号用リレーの動作を手軽に確認等しながら、開発・設計等の参考にすることができる。
【0009】
また、第2の発明は、前記取り扱い部が、左から順に、前記電源端子部と、前記スイッチ操作部と、前記リレー接点端子部と、前記コイル端子部とを、横方向に配置して備える、第1の発明の回路キットである。
【0010】
第2の発明によれば、電源端子部と、スイッチ操作部と、リレー接点端子部と、コイル端子部と、を左からこの順番に配置して取り扱い部を構成することができる。このため、新人の技術者等の学習者にあっては、回路要素の標準的な配置順に沿った各要素の並びを自然と身につけることができる。また、熟練者にとっても、リレー回路の構成や動作の確認を容易に判断・理解することができる。
【0011】
また、第3の発明は、前記リレー配置部が、前記ユーザが前記取り扱い部の取り扱い中に前記鉄道信号用リレーの動作を視認可能な位置であって、前記取り扱い部の操作面側に配置されている、第1又は第2の発明の回路キットである。
【0012】
第3の発明によれば、ユーザは、取り扱い部における配線作業や操作スイッチの操作をしながら、鉄道信号用リレーの動作を目視で確認することができる。したがって、学習効果をより一層向上させることができる。
【0013】
また、第4の発明は、前記鉄道信号用リレーが、1つのリレーコイルと、当該1つのリレーコイルに対するリレー接点とを有し、前記リレー配置部は、前記鉄道信号用リレーを複数配置して備え、前記リレー接点端子部は、前記鉄道信号用リレー毎に、当該鉄道信号用リレーのリレーコイルに対するリレー接点それぞれへの入力端子および出力端子の組み合わせを一群に配置して有する、第1~第3の何れかの発明の回路キットである。
【0014】
第4の発明によれば、リレー配置部が備える複数の鉄道信号用リレー毎のリレー接点それぞれへの入力端子および出力端子の組み合わせを一群に配置して、リレー接点端子部を構成することができる。したがって、各組み合わせを自由に選んで配線しながら鉄道信号用リレーの動作を確認・検証することが可能となる。
【0015】
また、第5の発明は、前記リレー接点端子部が、前記組み合わせ毎に、当該組み合わせに対応するリレー接点の図記号と、対応するリレーコイルの識別記号とを含む表記を有する、第4の発明の回路キットである。
【0016】
第5の発明によれば、リレー接点端子部に配置された入力端子および出力端子の組み合わせについて、対応するリレー接点の確認や、対応するリレーコイルがリレー配置部における何れの鉄道信号用リレーのものなのかの確認を容易に行える。
【0017】
また、第6の発明は、前記スイッチ操作部が、1つの操作スイッチに対して、当該操作スイッチが定位に切り替えられた時に導通する出力端子と、当該操作スイッチが反位に切り替えられた時に導通する出力端子とを有する、第1~第5の何れかの発明の回路キットである。
【0018】
第6の発明によれば、スイッチ操作部に、出力端子として、操作スイッチが定位の時に導通する出力端子および操作スイッチが反位の時に導通する出力端子の両方を有する操作スイッチを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】回路キットの全体構成例を説明するための概略斜視図。
【
図5】端子に対する他のケーブルの接続例を示す図。
【
図6】回路キットによって形成した電気回路に係るリレー結線図の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付す。
【0021】
図1は、本実施形態における回路キット1の全体構成例を説明するための概略斜視図である。また、
図2は、回路キット1を構成する取り扱い部100の盤面101を示す図であり、
図3は、回路キット1を構成するリレー配置部300の構成を模式的に示す正面図である。回路キット1は、鉄道信号設備に関わるリレー回路について学習又は検証するためのものであり、ユーザは、
図4および
図5を参照して後述するケーブル5aやケーブル5bを任意の端子に接続し、電気回路を形成して学習又は検証を行う。具体的には、回路キット1は、
図1に示すように、ユーザが学習用又は検証用の取り扱いを行うための取り扱い部100と、鉄道信号用リレー30が配置されたリレー配置部300と、を回路キット1に向かって左右に具備する。
【0022】
取り扱い部100は、その盤面101において、ケーブル5a,5bを接続可能な各種端子や動作てこを備える。本実施形態では、取り扱い部100は、
図2に向かって左から順に、電源端子部110と、スイッチ操作部130と、リレー接点端子部150と、コイル端子部170とを、横方向に配置して備える。各部110,130,150,170が備える端子のそれぞれには、識別のための通し番号(
図2では1~50)が付されている。各部110,130,150,170の配置順は、リレー回路の回路要素の標準的な配置順とも言えるため、新人の技術者等の学習者にあっては、各要素の並びを自然と身につけることができる。また、熟練者にとっても、リレー回路の構成や動作の確認を容易に判断・理解することができる。
【0023】
電源端子部110は、電源スイッチ111と、電源の端子(電源端子)11と、を備える。例えば、電源端子部110には、複数(
図2では6つ)の電源端子11が縦方向に並べて配置されている。
【0024】
スイッチ操作部130は、操作スイッチの一例である動作てこ131と、当該動作てこ131への入力端子12および出力端子13と、を備える。本実施形態では、スイッチ操作部130には、3つの動作てこ131(131a,131b,131c)が、縦方向に並べて配置されている。動作てこ131は、そのつまみを直立させた状態に対応する定位(N)と、下段の動作てこ131cのように右に倒した状態に対応する反位(R)と、の切り替えが可能なスイッチである。そして、スイッチ操作部130には、それら動作てこ131(131a,131b,131c)毎に、入力端子12と、対応する出力端子13との組み合わせが2組ずつ配置されている。より詳細には、動作てこ131a,131bについては、例えば(7)と(8)が付された組み合わせのように、出力端子13として動作てこ131aが反位の時に導通する出力端子13bを有する組み合わせが2組配置されている。一方、動作てこ131cについては、例えば(15)~(17)が付された組み合わせのように、出力端子13として動作てこ131cが定位の時に導通する出力端子13aおよび動作てこ131cが反位の時に導通する出力端子13bの両方を有する組み合わせが2組配置されている。
【0025】
そして、このスイッチ操作部130には、出力端子13毎に、対応する動作てこ131が定位の時に導通する出力端子13aなのか反位の時に導通する出力端子13bなのかを示す識別記号が表記されている。出力端子13bを有する(7)と(8)の組み合わせに着目すると、動作てこ131aが反位の時に、てこの接点が導通することを示すシンボル(Rの丸囲み)が表記されている。一方、(15)~(17)の組み合わせに着目すると、一方の出力端子13aについては動作てこ131cが定位の時に導通することを示すシンボル(Nの丸囲み)が表記され、他方の出力端子13bについては動作てこ131cが反位の時に導通することを示すシンボル(Rの丸囲み)が表記されている。
【0026】
リレー接点端子部150は、鉄道信号用リレー30を構成するリレー接点33への入力端子14および出力端子15を備える。より詳細には、リレー接点端子部150は、リレー配置部300の鉄道信号用リレー30毎に、当該鉄道信号用リレー30のリレーコイル31に対する扛上接点および落下接点それぞれへの入力端子14および出力端子15の組み合わせを、一群に配置して有する。扛上接点は、鉄道信号用リレーが励磁され、動作したときに閉成する接点をさし、F接点とも呼ばれる。落下接点は、鉄道信号用リレーが励磁され、動作したときに開成する接点をさし、B接点とも呼ばれる。なお、鉄道信号用リレーに磁気保持リレー等の他のリレーを用いた場合は、そのリレーが有する接点を同様に配置すればよい。
【0027】
本実施形態では、リレー接点端子部150には、3つの鉄道信号用リレー30毎に、そのリレーコイル31(
図3等を参照)に対する扛上接点への入力端子14および出力端子15の組み合わせ(例えば最上段の(21)と(22)の組み合わせ)が2組と、落下接点への入力端子14および出力端子15の組み合わせ(例えば最下段の(43)と(44)の組み合わせ)が2組の合計4組が、縦方向に並べて配置されている。
【0028】
そして、このリレー接点端子部150には、入力端子14および出力端子15の組み合わせ毎に、当該組み合わせに対応する扛上接点又は落下接点の図記号と、対応するリレーコイル31の識別記号と、が表記されている。例えば、(21)と(22)の組み合わせには、扛上接点の図記号M1と、対応するリレーコイル31の識別記号(1R)と、が表記されている。一方、(43)と(44)の組み合わせには、落下接点の図記号M3と、対応するリレーコイル31の識別記号(3R)と、が表記されている。
【0029】
コイル端子部170は、鉄道信号用リレー30を構成するリレーコイル31への接続端子16を備える。例えば、コイル端子部170には、3つの鉄道信号用リレー30(30a,30b,30c)のリレーコイル31(1R,2R,3R)毎に、接続端子16が2つずつ縦方向に並べて配置されている。
【0030】
そして、このコイル端子部170には、各接続端子16に対し、対応するリレーコイル31(1R,2R,3R)の識別番号が表記されている。例えば、上段の2つの接続端子16に対しては、対応するリレーコイル31の識別番号(1R)が表記されている。また、コイル端子部170には、リレーコイル31毎の接続端子16に対応させて、該当する鉄道信号用リレー30(30a,30b,30c)の動作状態を示す表示灯171(171a,171b,171c)が配置されている。例えば、中段の表示灯171bは、識別番号(2R)の鉄道信号用リレー30bが励磁されると点灯し、当該鉄道信号用リレー30bが無励磁となると消灯するようになっている。
【0031】
図1に戻り、リレー配置部300は、複数(本実施形態では3つ)の鉄道信号用リレー30(30a,30b,30c)が配置されて構成されている。各鉄道信号用リレー30(30a,30b,30c)のそれぞれは、
図3に示すように、1つのリレーコイル31(1R,2R,3R)と、当該1つのリレーコイル31に対する扛上接点および落下接点それぞれのリレー接点33と、を有する。
【0032】
より詳細には、それら3つの鉄道信号用リレー30(30a,30b,30c)を有するリレー配置部300は、取り扱い部100の操作面側において、ユーザが取り扱い部100の取り扱い中に各鉄道信号用リレー30(30a,30b,30c)の動作を視認可能な位置に配置されている。本実施形態では、リレー配置部300は、取り扱い部100の右側に配置されており、3つの鉄道信号用リレー30(30a,30b,30c)を横方向に配置して備える。
【0033】
したがって、例えば、この回路キット1を使用して学習するユーザは、コイル端子部170における表示灯171(171a,171b,171c)の表示(点灯/消灯)と併せて、鉄道信号用リレー30(30a,30b,30c)の動作状態を目視で確認しながら学習することが可能となる。
【0034】
以上のように構成される回路キット1のユーザは、鉄道信号設備に関わるリレー回路の学習等にあたって取り扱い部100の任意の端子間をケーブル5a,5bで接続し、任意の電気回路を形成する。
図4は、取り扱い部100に配置された上記各種端子のうちの1つを示す端子10に対するケーブル5aの接続例を示す図である。また、
図5は、当該端子10に対するケーブル5bの接続例を示す図である。本実施形態では、取り扱い部100の端子間を接続するためのケーブルとして、
図4に示すケーブル5aと、
図5に示すケーブル5bとが用意される。
【0035】
具体的には、ケーブル5aは、
図4において一端側を示すように、両端にバナナプラグ51が取り付けられて構成されており、各バナナプラグ51のそれぞれを任意の端子10に挿入することで当該端子10間が電気的に接続される。
【0036】
また、ケーブル5bは、
図5において一端側を示すように、その一端又は両端に分岐コネクタ53を有し、分岐コネクタ53を介してバナナプラグ51が取り付けられて構成されている。先ず、このバナナプラグ51を端子10に挿入することで他端側が挿入された端子10との間が電気的に接続される。そして、分岐コネクタ53には、1つ以上(例えば
図5では1つ)の分岐用端子531が設けられており、分岐用端子531に別のケーブル5a又はケーブル5b(例えば
図5ではケーブル5a)のバナナプラグ51を挿入することで、1つの端子10に2本以上のケーブル5a又はケーブル5bを接続することができる。
【0037】
これによれば、ユーザは、取り扱い部100の盤面101に配置された各種端子に対してケーブル5aやケーブル5bのバナナプラグ51を抜き差しすることによって、端子間の配線を容易に行うことができる。
【0038】
図6は、端子間をケーブル5aで接続して形成した電気回路のリレー結線図の一例を示す図である。
図6中、ケーブル5aによる接続部分を太線で示している。すなわち、
図6のリレー結線図は、取り扱い部100(
図2を参照)において(1)の電源端子11と(7)の入力端子12、(8)の出力端子13bと(21)の入力端子14、および(22)の出力端子15と(45)の接続端子16をそれぞれケーブル5aで接続することで形成された電気回路を示している。この電気回路では、電源端子11とリレーコイル31(1R)との間に当該リレーコイル31(1R)の扛上接点が直列に挿入されているため、動作てこ131aが定位(N)にあるのか反位(R)にあるのかに関わらず鉄道信号用リレー30aは落下したままとなる。ユーザは、動作てこ131aを操作し、表示灯171aや鉄道信号用リレー30aを目視で確認することによって、その動作状態(落下のままであること)を簡易に且つ体験的に確認することができる。
【0039】
ここで、回路キット1を使用した教育の場では、学習者に
図6を参照して説明した動作確認をさせた後で、「動作てこ131aを反位(R)に切り替える操作で鉄道信号用リレー30aが動作するように電気回路を修正すること」を課題として出題するといったことが行える。当該課題に対する回答例を
図7に示す。
図7に示すように、例えば、
図6の状態から一部のケーブル5aを外し、(8)の出力端子13bと(45)の接続端子16を接続して配線を変更すると、課題を満足する修正が行える。
【0040】
なお、
図6および
図7にリレー結線図として示した電気回路は一例であって、本実施形態の回路キット1によれば、端子間を自由に配線することで様々な電気回路を形成し、その鉄道信号用リレー30の動作をその都度確認・検証することができる。
図8に、他の電気回路の例(配線例)を示す。また、
図9は、ケーブル5bを用いた配線例を示している。
図9では、分岐コネクタ53を介して(12)の出力端子13bに2本のケーブル5a,5bを接続し、一方の他端を(25)の入力端子14に接続するとともに、他方の他端を(29)の入力端子14に接続した配線例を示している。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の回路キット1によれば、ユーザは、ケーブル5a,5bを用いて各種端子間を自由に接続して配線し、また当該配線を変更する配線作業を行ってリレー回路となる電気回路を任意に形成することができる。そして、電源スイッチ111で電源を投入し、動作てこ131を操作することで、鉄道信号用リレー30の動作を簡易且つ体験的に確認することができる。想定した通りに動作しない場合の検証も可能である。よって、新人の技術者等の学習者にあっては、鉄道信号設備の論理や当該論理を図式化したリレー結線図の作成について効率よく学習できる。例えば、継電連動装置の基本的な回路(例えば定位鎖錠や反位鎖錠等)を形成し、鉄道信号用リレーの動作を目視や動作音で確認しながら連動論理について学習することができる。或いは、取り扱い部100の配線をもとにリレー結線図を作成するといった学習も可能であり、学習効果が高い。一方で、教師にとっても、学習者のユーザに課す課題を自由に作成できる。また、教育の場での使用に限らず、新たなリレー回路を開発する際に当該回路キットを利用することにより、リレー回路の検証を簡単に行うことができるだけでなく、当該リレー回路で各リレーがどのような挙動をするか考察することも簡単に行うことができる。
【0042】
なお、上記した実施形態では、スイッチ操作部130は動作てこ131を備えた構成として例示したが、動作てこ131にかえて、オルタネイト式の押しボタンスイッチや、トグルスイッチ等の操作用のスイッチ(操作スイッチ)を配置した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 回路キット、100 取り扱い部、110 電源端子部、111 電源スイッチ、11 電源端子、130 スイッチ操作部、131(131a,131b,131c) 動作てこ、12 入力端子、13(13a,13b) 出力端子、150 リレー接点端子部、14 入力端子、15 出力端子、170 コイル端子部、16 接続端子、171(171a,171b,171c) 表示灯、300 リレー配置部、30(30a,30b,30c) 鉄道信号用リレー、31 リレーコイル、33 リレー接点、5a,5b ケーブル、51 バナナプラグ、53 分岐コネクタ、531 分岐用端子