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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】基板用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20241008BHJP
【FI】
H01R12/71
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021009771
(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公開番号】P2022113489
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 敏明
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-146592(JP,A)
【文献】特開2007-066890(JP,A)
【文献】特開2016-018723(JP,A)
【文献】特開2006-127974(JP,A)
【文献】特開2006-031944(JP,A)
【文献】特開2014-049331(JP,A)
【文献】特表平07-500691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を収容して基板に固定される絶縁樹脂製のハウジングと、
前記基板に垂直な前記ハウジングの一対の平行な側面にそれぞれ固定され、前記ハウジングを前記基板に固定する一対の固定金具と、
を備え、
前記固定金具は、
コネクタ嵌合方向に離間して前記側面に固定される一対の係止部が両側に形成される本体板部と、
前記本体板部の前記基板に対向する下端部に接続され、前記側面に対して平行に前記基板に向かって延びる裾広がりの接続板部と、
前記接続板部の下端から前記側面に向かって折り曲げられて前記基板と平行となり、前記基板に対向する面が基板固定面となる固定板部と、を有し、
前記一対の係止部のコネクタ嵌合方向における外側端同士は、前記基板に垂直な上下方向に延在して相互に平行に延び、
前記固定板部のコネクタ嵌合方向における外側端同士は、上下方向及びコネクタ嵌合方向に垂直な幅方向に延在して相互に平行に延び、
前記一対の係止部のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離がA、
前記固定板部のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離がBであるとき、
A<Bの関係を満たす基板用コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、
コネクタ嵌合方向に離間して前記側面から突出する一対の挟持リブを有し、
前記一対の係止部が前記一対の挟持リブの間に保持され、
前記一対の挟持リブのコネクタ嵌合方向における外側端同士は、上下方向に延在して相互に平行に延び、
前記一対の挟持リブのコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離がCであるとき、
A<C<Bの関係を満たす請求項1に記載の基板用コネクタ。
【請求項3】
前記接続板部が、前記本体板部の下端部に接続されて前記側面に対して平行に垂下する垂下部と、前記垂下部の垂下端に接続されて前記側面から離れる方向に張り出す張り出し部と、を有し、
前記固定板部が、前記張り出し部の下端から前記側面に向かって折り曲げられて前記基板と平行となる請求項1または請求項2に記載の基板用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板(以下、「基板」とも称す。)上に表面実装される基板用コネクタが知られている(例えば特許文献1参照)。図6に示すように、この基板用コネクタ501は、合成樹脂製のハウジング503を基板505に固定するための固定部508(固定金具)を備える。固定部508は、金属板からなり、本体部506がハウジング503に装着された後に、半田付け部507が基板505に対して半田付けにより固定される。ハウジング503には、複数の端子金具509が装着される。
【0003】
図7に示すように、ハウジング503には、前方(Y軸方向の反対方向)へ突出するフード部511と、後面から露出する端子金具509(図6参照)を保護するために後方(Y軸方向)へ向けて突出する一対の保護壁513とが形成される。また、ハウジング503には、固定部508が装着される装着溝515が設けられている。装着溝515は、本体部506の両側縁部が挿入可能とされる本体部収容溝516と、半田付け部507が挿入可能とされる半田付け部収容溝517とからなる。
【0004】
基板用コネクタ501は、基板505上に載置された状態で、リフロー処理が行われる。すなわち、基板505に設けられている固定用パッド上には、予め半田ペースト(不図示)が塗布されており、半田ペースト上に、固定部508の半田付け部507が載置された状態で、リフロー処理が行われる。そして、半田ペーストが溶融し、固化することで、半田付け部507と固定用パッドとが半田を介して固定(接合)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-324189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の基板用コネクタ501は、図8に示すように、リフロー処理によって、固定部508における半田付け部507の周縁に半田によるフィレット520が成形される。この基板用コネクタ501では、基板505に実装された状態において、固定部508の半田付け部507は、フード部511と保護壁513との間で凹設される装着溝515に三方が隣接して配置される。そのため、基板505の垂直方向上方(Z軸方向の反対方向)から固定部508を撮像した場合、固定部508の周縁に成形されたフィレット520の内、コネクタ嵌合方向(Y軸に沿う方向)となる固定部508の前後側がフード部511と保護壁513とに隠れる。よって、基板実装状態の基板用コネクタ501における半田の接合状態を検査するために画像検査が行われた場合、フード部511と保護壁513とに邪魔される部位Jが検査不能となった。その結果、従来の基板用コネクタ501では、画像検査によっては、基板505に対する固定部508の固定(接合)強度の信頼性が保証できない場合があった。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、実装部の画像検査を行うときの視認性を確保できる基板用コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 端子を収容して基板に固定される絶縁樹脂製のハウジングと、前記基板に垂直な前記ハウジングの一対の平行な側面にそれぞれ固定され、前記ハウジングを前記基板に固定する一対の固定金具と、を備え、前記固定金具は、コネクタ嵌合方向に離間して前記側面に固定される一対の係止部が両側に形成される本体板部と、前記本体板部の前記基板に対向する下端部に接続され、前記側面に対して平行に前記基板に向かって延びる裾広がりの接続板部と、前記接続板部の下端から前記側面に向かって折り曲げられて前記基板と平行となり、前記基板に対向する面が基板固定面となる固定板部と、を有し、前記一対の係止部のコネクタ嵌合方向における外側端同士は、前記基板に垂直な上下方向に延在して相互に平行に延び、前記固定板部のコネクタ嵌合方向における外側端同士は、上下方向及びコネクタ嵌合方向に垂直な幅方向に延在して相互に平行に延び、前記一対の係止部のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離がA、前記固定板部のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離がBであるとき、A<Bの関係を満たす基板用コネクタ。
【0009】
上記(1)の構成の基板用コネクタによれば、ハウジングが、一対の固定金具により基板に固定される。固定金具は、一対の係止部が設けられた上部の本体板部がコネクタ嵌合方向において幅狭となり、固定板部が設けられた下部がコネクタ嵌合方向において幅広となる。即ち、固定金具は、側面視が台形状となっている。
本構成の基板用コネクタでは、固定金具の下部に形成された固定板部のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離Bが、固定金具の上部に形成された本体板部における一対の係止部のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離Aよりも大きい(A<Bである)。そのため、固定金具は、基板に対する垂直方向上方からの撮像によっても、特にコネクタ嵌合方向においては、固定板部のコネクタ嵌合方向の両端が一対の係止部の輪郭から大きくはみ出し、固定板部周縁のフィレットが視認しやすくなる。このため、本構成の基板用コネクタでは、固定板部の周縁に成形されたフィレット全体(コネクタの前後側及び幅方向外側)を確認することができ、基板との固定(接合)強度の信頼性が検査によって保証されやすくなる。
【0010】
(2) 前記ハウジングは、コネクタ嵌合方向に離間して前記側面から突出する一対の挟持リブを有し、前記一対の係止部が前記一対の挟持リブの間に保持され、前記一対の挟持リブのコネクタ嵌合方向における外側端同士は、上下方向に延在して相互に平行に延び、前記一対の挟持リブのコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離がCであるとき、A<C<Bの関係を満たす上記(1)に記載の基板用コネクタ。
【0011】
上記(2)の構成の基板用コネクタによれば、一対の挟持リブのコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離がCとなる。一対の挟持リブにおける外側端同士の距離Cは、一対の係止部のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離Aよりも大きく、固定板部のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離Bよりも小さい(すなわち、A<C<Bとなる)。これにより、固定金具は、基板に垂直方向上方からの撮像によっても、特にコネクタ嵌合方向においては、固定板部のコネクタ嵌合方向の両端が一対の挟持リブの輪郭からはみ出し、固定板部周縁のフィレットが視認可能となっている。このため、本構成の基板用コネクタでは、一対の係止部のコネクタ嵌合方向における外側端が一対の挟持リブにより挟まれる構造であっても、固定板部の周縁に成形されたフィレット全体(コネクタの前後側及び幅方向外側)を確認することができ、基板との固定(接合)強度の信頼性が検査によって保証されやすくなっている。
【0012】
(3) 前記接続板部が、前記本体板部の下端部に接続されて前記側面に対して平行に垂下する垂下部と、前記垂下部の垂下端に接続されて前記側面から離れる方向に張り出す張り出し部と、を有し、前記固定板部が、前記張り出し部の下端から前記側面に向かって折り曲げられて前記基板と平行となる上記(1)又は(2)に記載の基板用コネクタ。
【0013】
上記(3)の構成の基板用コネクタによれば、固定金具における接続板部の張り出し部が、本体板部よりもハウジングの側面から離間して配置される。接続板部の張り出し部がハウジングの側面から張り出した状態の固定金具は、接続板部の下端が側面に向かって直角に折り曲げられて固定板部となる。本構成の基板用コネクタでは、コネクタ幅方向(ハウジングの一対の側面と直交するX軸に沿う方向)において、フィレットをより幅方向外側に成形させることができる。また、本構成の基板用コネクタでは、接続板部の張り出し部が、ハウジングの側面から離間して配置されるので、固定金具の張り出し部とハウジングの側面との間の隙間から、ハウジングの側面に対向する固定板部の周縁の一部分に成形されたフィレットも、撮像や目視により視認が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る基板用コネクタによれば、実装部の画像検査を行うときの視認性を確保できる。
【0015】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る基板用コネクタが基板に固定された状態の斜視図である。
図2図1に示したハウジングの要部拡大図である。
図3図1に示した固定金具をハウジング側より見た斜視図である。
図4図1の側面図である。
図5図1の平面図である。
図6】従来の基板用コネクタが基板に固定された状態の平面図である。
図7図6に示した基板用コネクタの側面図である。
図8図6の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板用コネクタ11が基板13に固定された状態の斜視図である。図2は、図1に示したハウジング15の要部拡大図である。なお、明細書中においてXYZの各方向は、図中の矢印の向きに従う。X軸は左右(幅)方向、Y軸は前後(コネクタ嵌合)方向、Z軸は上下方向を示す。
本実施形態に係る基板用コネクタ11は、図1に示すように、ハウジング15と、固定金具17と、を主要な構成として有する。固定金具17は、更に、係止部19が形成される本体板部21と、接続板部22と、固定板部25と、を有する。
【0018】
ハウジング15は、端子27を収容して、基板13に固定される。ハウジング15は、電気絶縁性の合成樹脂(絶縁樹脂)により直方体状に形成される。ハウジング15の長手(コネクタ嵌合)方向の一端面には、相手コネクタ(図示略)が嵌合する結合開口部29が開口する。結合開口部29を挟むハウジング15の左右両側の側面31には、固定金具17を係止する被係止部33が形成される。
【0019】
被係止部33は、図2に示すように、基板13に垂直な方向に延在する凸条41と、凸条41を挟んで形成されて側面31よりも凹んだ一対の縦溝39と、ハウジング15のコネクタ嵌合方向に離間して側面31から突出する一対の挟持リブ35とを有する。
【0020】
凸条41は、平面視で脚部43が側面31から突出し、両翼部がコネクタ嵌合方向に延出した押さえ板部45となる断面T字状に形成されている。一対の挟持リブ35は、上下方向に延在して相互に平行なリブとなる。一対の挟持リブ35と押さえ板部45との外表面は、ハウジング15の側面31から同一距離で(面一となって)突出している。
そして、これら凸条41、縦溝39及び挟持リブ35によって、ハウジング15の左右両側の側面31には、平面視L字状の挿入空間49が画成されている。
【0021】
押さえ板部45のコネクタ嵌合方向の両端と、一対の挟持リブ35との間には、上下に延在する一対の挿入溝47が形成される。挿入溝47の下部は、底壁部51により閉塞されている。挿入空間49には、固定金具17の係止部19が上方から挿入される。挿入空間49に挿入された固定金具17は、底壁部51に当接して挿入が止まる。
【0022】
ハウジング15には、一対の挟持リブ35の内、結合開口部29側となる挟持リブ35の近傍に、側面31から突出する膨出凸条部53が近接して形成される。結合開口部29側の挟持リブ35と、この挟持リブ35との間には、視認用間隙55が設けられている。
【0023】
図3は、図1に示した固定金具17をハウジング15側より見た斜視図である。
固定金具17は、ハウジング15の一対の側面31にそれぞれが固定され、ハウジング15を基板13に固定する。固定金具17は、上部がコネクタ嵌合方向に長い側面視で長方形の本体板部21となる。本体板部21の長手方向両側の縦辺部は、ハウジング15に向かって直角に折り曲げられた後、更に相互に接近して側面31と平行となるように折り曲げられている。これにより、本体板部21は、長手方向両側のそれぞれがU字状に折り曲げられて全体の平面視では略C字状となっている。
【0024】
本体板部21の両側には、それぞれがU字状に折り曲げられた屈曲部57の先端同士に、コネクタ嵌合方向(Y軸に沿う方向)に離間する一対の係止部19のそれぞれが形成されている。屈曲部57は、X軸に沿う方向の距離がWで形成される。一対の係止部19は、上方に向かうに従って相互に接近する傾斜面59と、この傾斜面59の上端からコネクタ嵌合方向に沿って屈曲部57に向かう係止面61と、からなる係止爪63を有する係止腕部である。この一対の係止部19は、凸条41の脚部43の両側に設けられた被係止突起(図示略)に係止されて本体板部21の上方への抜けが規制されることで、固定金具17が被係止部33に固定される。
【0025】
本体板部21の基板13に対向する下端部には、垂下部23及び張り出し部26により形成された接続板部22が接続される。本体板部21の下端部に接続された垂下部23は、ハウジング15の側面31に対して平行に垂下する。そして、垂下部23の垂下端には、側面31から離れる方向に張り出す張り出し部26が接続される。この接続板部22は、側面視で裾広がり(台形状)となって形成される。
【0026】
張り出し部26の下端からは、固定板部25が側面31に向かって直角に折り曲げられて形成される。固定板部25は、基板13と平行となり、基板13に対向する下面が基板固定面28となる。
固定板部25は、張り出し部26の下端から側面31に向かって直角に折り曲げられて基板13と平行となる。固定板部25は、X軸に沿う方向の距離がW1で形成される。従って、固定金具17は、本体板部21および接続板部22が側面31から離間して側面31と平行に配置され、固定板部25が接続板部22の下端から側面31に向かって直角に折り曲げられている。この固定板部25の基板13に対向する面は、基板固定面28となる。固定板部25は、この基板固定面28および周縁が、半田によるフィレット65(図4参照)により基板13の固定用パッド(図示略)やフットパターン(図示略)等に固定(接合)される。
【0027】
固定金具17は、一対の係止部19のそれぞれが、挿入空間49の上方から挿入されることにより、係止爪63が脚部43の被係止突起(図示略)に係止されて、上方への抜けが規制されて被係止部33に固定される。側面31に固定された固定金具17は、固定板部25がハウジング15から、距離W1だけ張り出す。
【0028】
本実施形態の基板用コネクタ11は、一対の係止部19のコネクタ嵌方向(Y軸に沿う方向)における外側端同士の距離がA、固定板部25のコネクタ嵌合方向(Y軸に沿う方向)における外側端同士の距離がBであるとき、A<Bの関係を満たすように固定金具17が形成されている。
【0029】
図4は、図1の側面図である。
また、基板用コネクタ11は、一対の挟持リブ35が、コネクタ嵌合方向に離間してハウジング15の側面31から突出する。一対の挟持リブ35の間には、一対の係止部19が保持される。ここで、一対の挟持リブ35のコネクタ嵌合方向(Y軸に沿う方向)における外側端同士の距離がCであるとき、ハウジング15および固定金具17は、A<C<Bの関係を満たすように形成されている。
【0030】
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る基板用コネクタ11では、ハウジング15が、一対の固定金具17により基板13に固定される。固定金具17は、ハウジング15における両側の側面31に、それぞれが固定される。ハウジング15の側面31は、基板13に垂直な方向(Z軸に沿う方向)と、コネクタ嵌合方向(Y軸に沿う方向)とを含む面となる。
【0031】
固定金具17は、上部に一対の係止部19を有する。一対の係止部19は、コネクタ嵌合方向に離間している。
また、固定金具17は、一対の係止部19が設けられた本体板部21の下端部に、裾広がりの接続板部22が接続される。接続板部22の下端には、ハウジング15の側面31に向かって直角に折り曲げられて、基板13と平行となる固定板部25が接続される。
【0032】
従って、本実施形態の固定金具17は、一対の係止部19が設けられた上部の本体板部21がコネクタ嵌合方向において幅狭となり、固定板部25が設けられた下部がコネクタ嵌合方向において幅広となる。即ち、本実施形態の固定金具17は、側面視で略台形状となっている。
固定金具17は、一対の係止部19のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離がA、固定板部25のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離がBであるとき、A<Bの関係を満たす。
【0033】
ところで、基板用コネクタ11は、基板13に対する固定強度確保の信頼性を向上させるため、半田づけ部の状態が検査用カメラを用いることにより画像検査される。この際の検査用カメラによる画像検査方向(撮像方向)は、固定板部25の周縁に成形されるフィレット65(図4図5参照)が最も確認しやすい基板13の垂直方向上方(Z軸方向の反対方向)からとなる。
【0034】
そこで、本実施形態の基板用コネクタ11では、固定金具17の下部に形成された固定板部25のコネクタ嵌合方向における図4に示す外側端同士の距離Bが、固定金具17の上部に形成された本体板部21における一対の係止部19のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離Aよりも大きい(A<Bである)。そのため、固定金具17は、基板13に対する垂直方向上方からの撮像によっても、特にコネクタ嵌合方向においては、固定板部25のコネクタ嵌合方向の両端が一対の係止部19の輪郭から大きくはみ出し、固定板部周縁のフィレット65が視認しやすくなっている。
【0035】
図5は、図1の平面図である。
また、被係止部33(特に、挟持リブ35)は、一対の固定金具17の外側両面間の距離Dの内側に位置している。これによっても、固定板部25のコネクタ幅方向(X軸に沿う方向)の両端に形成されるフィレット65が視認しやすくなっている。
【0036】
このため、本実施形態の基板用コネクタ11では、固定板部25の周縁に成形されフィレット65全体(コネクタの前後側及び幅方向外側)を確認することができ、基板13との固定(接合)強度の信頼性が検査によって保証されやすくなっている。
【0037】
また、本実施形態の基板用コネクタ11では、一対の係止部19が、側面31から突出する一対の挟持リブ35の間に保持される。一対の挟持リブ35は、コネクタ嵌合方向に離間し、その離間空間に、一対の係止部19を保持する。
【0038】
ここで、一対の挟持リブ35のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離は、Cとなる。一対の挟持リブ35における外側端同士の距離Cは、一対の係止部19のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離Aよりも大きく、固定板部25のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離Bよりも小さい(すなわち、A<C<Bとなる)。
【0039】
これにより、固定金具17は、基板13に垂直方向上方からの撮像によっても、特にコネクタ嵌合方向においては、固定板部25のコネクタ嵌合方向の両端が一対の挟持リブ35の輪郭からはみ出し、固定板部周縁のフィレット65が視認可能となっている。
【0040】
このため、本実施形態の基板用コネクタ11では、一対の係止部19のコネクタ嵌合における外側端が一対の挟持リブ35により挟まれる構造であっても、固定板部25の周縁に成形されたフィレット65全体(コネクタの前後側及び幅方向外側)を確認することができ、基板13との固定(接合)強度の信頼性が検査によって保証されやすくなっている。
【0041】
また、本実施形態の基板用コネクタ11では、固定金具17における接続板部22が、本体板部21の下端部に接続されて側面31に対して平行に垂下する垂下部23と、垂下部23の垂下端に接続されて側面31から離れる方向に張り出す張り出し部26と、を有し、固定板部25が、張り出し部26の下端から31側面に向かって直角に折り曲げられて基板13と平行となる。
これにより、固定金具17における接続板部22の張り出し部26が、本体板部21よりもハウジング15の側面31から離間して配置される。つまり、固定金具17は、接続板部22の張り出し部26がハウジング15の側面31よりも外側に張り出した状態で一対の係止部19により側面31に固定されている。接続板部22の張り出し部26がハウジング15の側面31から張り出した状態の固定金具17は、接続板部22の下端が側面31に向かって直角に折り曲げられた固定板部25となる。
【0042】
本実施形態の基板用コネクタ11では、コネクタ幅方向(ハウジング15の一対の側面31と直交するX軸に沿う方向)において、フィレット65をより幅方向外側に成形させることができる。
また、本実施形態の基板用コネクタ11では、接続板部22の張り出し部26が、ハウジング15の側面31から離間して配置されるので、側面31と接続板部22との間の隙間に対応する視認用間隙55から、ハウジング15の側面31に対向する固定板部25の周縁の一部分に成形されたフィレット65も、目視や検査用カメラによる撮像によって視認が可能となる。
【0043】
従って、本実施形態に係る基板用コネクタ11によれば、実装部の画像検査を行うときの視認性を確保できる。
【0044】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0045】
ここで、上述した本発明に係る基板用コネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 端子(27)を収容して基板(13)に固定される絶縁樹脂製のハウジング(15)と、
前記基板に垂直な前記ハウジングの一対の平行な側面(31)にそれぞれ固定され、前記ハウジングを前記基板に固定する一対の固定金具(17)と、
を備え、
前記固定金具は、
コネクタ嵌合方向に離間して前記側面に固定される一対の係止部(19)が両側に形成される本体板部(21)と、
前記本体板部の前記基板に対向する下端部に接続され、前記側面に対して平行に前記基板に向かって延びる裾広がりの接続板部(22)と、
前記接続板部の下端から前記側面に向かって折り曲げられて前記基板と平行となり、前記基板に対向する面が基板固定面(28)となる固定板部(25)と、を有し、
前記一対の係止部のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離がA、
前記固定板部のコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離がBであるとき、
A<Bの関係を満たす基板用コネクタ(11)。
[2] 前記ハウジング(15)は、
コネクタ嵌合方向に離間して前記側面(31)から突出する一対の挟持リブ(35)を有し、
前記一対の係止部(19)が前記一対の挟持リブの間に保持され、
前記一対の挟持リブのコネクタ嵌合方向における外側端同士の距離がCであるとき、
A<C<Bの関係を満たす上記[1]に記載の基板用コネクタ(11)。
[3] 前記接続板部(22)が、前記本体板部(21)の下端部に接続されて前記側面(31)に対して平行に垂下する垂下部(23)と、前記垂下部の垂下端に接続されて前記側面から離れる方向に張り出す張り出し部(26)と、を有し、
前記固定板部(25)が、前記張り出し部の下端から前記側面に向かって折り曲げられて前記基板(13)と平行となる上記[1]または[2]に記載の基板用コネクタ(11)。
【符号の説明】
【0046】
11…基板用コネクタ
13…基板
15…ハウジング
17…固定金具
19…係止部
21…本体板部
22…接続板部
23…垂下部
25…固定板部
26…張り出し部
27…端子
28…基板固定面
31…側面
35…挟持リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8