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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】トラックボール装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0354 20130101AFI20241008BHJP
【FI】
G06F3/0354 431
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021010326
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022114154
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000220491
【氏名又は名称】東京測定器材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】安藤 憲司
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-141834(JP,A)
【文献】特表2011-515764(JP,A)
【文献】特開2003-143285(JP,A)
【文献】実開平6-023375(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/033 - 3/039
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状に形成された透明なインナケースと、
前記インナケースの内部に回転可能に収容された球状の球体と、
前記インナケース及び前記球体を収容すると共に、前記球体の一部を外部へ操作可能に露出させる露出部を有するハウジングと、
前記インナケースの外周部に設けられ、前記インナケースを介して前記球体の外表面に対向して配置され、前記球体の回転を検出するセンサと、
弾性変形可能に構成され、弾性変形することで前記センサを前記球体側へ押付けて前記インナケースの外周部に当接させる押付部材と、
を備えたトラックボール装置。
【請求項2】
前記押付部材は、
弾性変形可能に構成され、弾性変形した状態で前記インナケースに取付けられたアーム部と、
前記センサに対して前記球体とは反対側に配置され、前記アーム部が弾性変形することで前記センサを前記球体側へ押付ける本体部と、
を含んで構成されている請求項1に記載のトラックボール装置。
【請求項3】
前記本体部には、前記球体とは反対側へ突出した取手部が形成されており、取手部がリブ状に形成されている請求項2に記載のトラックボール装置。
【請求項4】
前記インナケースには、センサ取付部が形成されており、前記センサ取付部は、前記センサが嵌入される凹状に形成され、
前記センサ取付部の底面が、前記センサが当接される取付面として構成されている請求項1~請求項3の何れか1項に記載のトラックボール装置。
【請求項5】
前記センサは、
光学式のセンサとして構成され、前記球体の中心に光を照射し前記球体によって反射された光を受光すると共に、前記取付面に当接されたセンサ本体と、
前記センサ本体に接続されたセンサ基板と、
を含んで構成されている請求項4に記載のトラックボール装置。
【請求項6】
前記インナケースの外周部には、回路基板が固定されており、前記センサが前記回路基板に接続されている請求項5に記載のトラックボール装置。
【請求項7】
前記回路基板には、切欠部が形成されており、
前記センサ基板の一部が前記切欠部内に挿入されて、前記回路基板と前記センサ基板とが前記センサ基板の幅方向に係合している請求項6に記載のトラックボール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックボール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1のトラックボール装置では、球体が、筐体(ハウジング)の凹部内に回転可能に設けられており、当該凹部内に設けられた検出手段(センサ)によって、球体の回転を検出する。このトラックボール装置では、異物が球体と凹部との間に侵入した場合には、当該異物によって検出手段が汚れて、検出手段の誤検出を招く可能性があった。
【0003】
このため、例えば、凹部を有する透明のケースを筐体内に収容し、光学式の検出手段をケースの外周部に設ける構造にすることで、球体と凹部との間に侵入した異物による検出手段の汚れを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007―304941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この構造のトラックボール装置では、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、この構造では、検出装置を凹部内に配置する構造と比べて、検出手段と球体との間の距離が長くなる。また、検出手段の組立誤差や部品公差等によって、検出手段の取付位置バラツキが生じる。このため、この取付位置バラツキを考慮して、検出手段の取付位置を設定する必要があり、検出手段と球体との間の距離がさらに長くなる。これにより、検出手段の検出精度が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、球体の回転を良好に検出することができるトラックボール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、凹状に形成された透明なインナケースと、前記インナケースの内部に回転可能に収容された球状の球体と、前記インナケース及び前記球体を収容すると共に、前記球体の一部を外部へ操作可能に露出させる露出部を有するハウジングと、前記インナケースの外周部に設けられ、前記インナケースを介して前記球体の外表面に対向して配置され、前記球体の回転を検出するセンサと、弾性変形可能に構成され、弾性変形することで前記センサを前記球体側へ押付けて前記インナケースの外周部に当接させる押付部材と、を備えたトラックボール装置である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記押付部材は、弾性変形可能に構成され、弾性変形した状態で前記インナケースに取付けられたアーム部と、前記センサに対して前記球体とは反対側に配置され、前記アーム部が弾性変形することで前記センサを前記球体側へ押付ける本体部と、を含んで構成されているトラックボール装置である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記本体部には、前記球体とは反対側へ突出した取手部が形成されており、取手部がリブ状に形成されているトラックボール装置である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記インナケースには、センサ取付部が形成されており、前記センサ取付部は、前記センサが嵌入される凹状に形成され、前記センサ取付部の底面が、前記センサが当接される取付面として構成されているトラックボール装置である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記センサは、光学式のセンサとして構成され、前記球体の中心に光を照射し前記球体によって反射された光を受光すると共に、前記取付面に当接されたセンサ本体と、前記センサ本体に接続されたセンサ基板と、を含んで構成されているトラックボール装置である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記インナケースの外周部には、回路基板が固定されており、前記センサが前記回路基板に接続されているトラックボール装置である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記回路基板には、切欠部が形成されており、前記センサ基板の一部が前記切欠部内に挿入されて、前記回路基板と前記センサ基板とが前記センサ基板の幅方向に係合しているトラックボール装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、球体の回転を良好に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施の形態に係るトラックボール装置を示す斜視図である。
図2図1に示されるトラックボール装置を、ハウジングを取り除いた状態で且つセンサユニット及びセンサホルダをインナケースから分解した状態で示す分解斜視図である。
図3図1に示されるトラックボール装置の縦断面図(図1の3-3線断面図)である。
図4図1に示されるトラックボール装置の縦断面図(図1の4-4線断面図)である。
図5図1に示されるトラックボール装置の第1方向一方側部分を、ハウジングを取り除いた状態で示す直交方向一方側から見た斜視図である。
図6図3に示されるセンサユニットのインナケースへの取付状態を示す断面図(図3の6-6線断面図)である。
図7】(A)は、図2に示されるセンサホルダを示す直交方向他方側から見た斜視図であり、(B)は、(A)のセンサホルダの直交方向一方側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本実施の形態に係るトラックボール装置10について説明する。なお、図面に適宜示される矢印Aは、トラックボール装置10の上側を示しており、以下の説明において、上下の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、トラックボール装置10の上下方向を示すものとする。また、以下の説明では、上下方向に対して直交する方向を第1方向(図1及び図2の矢印B方向及び矢印C方向)とし、上下方向及び第1方向に対して直交する方向を第2方向(図1及び図2の矢印D方向及び矢印E方向)としている。
【0017】
図1図4に示されるように、トラックボール装置10は、ハウジング20と、インナケース30と、回路基板50と、センサとしての一対のセンサユニット60と、押付部材としての一対のセンサホルダ70と、を含んで構成されている。また、トラックボール装置10は、ハウジング20内に収容された球体40を有している。以下、トラックボール装置10の各構成について説明する。
【0018】
(ハウジング20について)
図1図3、及び図4に示されるように、ハウジング20は、トラックボール装置10の外郭を構成している。ハウジング20は、全体として、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。ハウジング20は、ハウジング20の上部を構成する上側ハウジング部材22と、ハウジング20の下部を構成する下側ハウジング部材24と、を含んで構成されており、上側ハウジング部材22及び下側ハウジング部材24を互いに組付けることで、ハウジング20が構成されている。上側ハウジング部材22の直径は、下側ハウジング部材24の直径よりも小さく設定されており、ハウジング20が、略段付き円筒状に形成されている。上側ハウジング部材22の上端部には、径方向内側へ屈曲した屈曲部22Aが形成されており、屈曲部22Aは、上側ハウジング部材22の周方向全周に亘って形成されている。これにより、ハウジング20の上端部には、屈曲部22Aに対してハウジング20の径方向内側において、上下方向に貫通された露出部としての露出孔22Bが形成されている。
【0019】
(インナケース30について)
図2図6に示されるように、インナケース30は、透明な樹脂材によって構成されると共に、上側へ開放された凹状に形成されている。具体的には、インナケース30は、上側へ開放された略椀形状に形成されると共に、インナケース30の下端部を構成する底部31と、底部31から上側へ延出された側壁32と、を含んで構成されている。底部31は、上側へ開放された比較的底の浅い略有底円筒状に形成されており、底部31の底壁が、インナケース30の底壁を構成している。側壁32は、インナケース30の径方向外側から見た側断面視で、階段状に形成されている。具体的には、側壁32は、側壁32の上端部を構成する第1段差部32Aと、側壁32の上下方向中間部を構成する第2段差部32Bと、側壁32の下端部を構成するスロープ部32Cと、を含んで構成されている。スロープ部32Cは、側断面視で、下側へ向かうに従い径方向内側へ傾斜しており、スロープ部32Cの下端部が、底部31の上端部に接続されている。そして、インナケース30が、下側ハウジング部材24内に収容されて、下側ハウジング部材24に爪嵌合等によって取付けられている。これにより、インナケース30の底壁が、ハウジング20の露出孔22Bの下側に配置されている。
【0020】
インナケース30の底壁には、ハウジング20の露出孔22Bからインナケース30内に侵入した塵埃等の異物を排出するための複数(本実施の形態では、4箇所)の排出孔33(図4及び図5参照)が貫通形成されている。排出孔33は、第1方向に延在された長孔状に形成されて、第2方向に等間隔毎に並んでいる。また、排出孔33における第2方向一方側(図4の矢印D方向側)の内周面は、傾斜面としての第1傾斜面33Aとして構成され、排出孔33における第2方向他方側(図4の矢印E方向側)の内周面は、傾斜面としての第2傾斜面33Bとして構成されている。
【0021】
排出孔33の長手方向から見て、第1傾斜面33Aは、下側へ向かうに従い第2方向一方側へ傾斜している。第2傾斜面33Bは、第1傾斜面33Aと平行に配置されている。すなわち、排出孔33の長手方向から見て、排出孔33が上下方向に対して傾斜する方向に開口しており、排出孔33におけるインナケース30の内周側の内側開口部33C(図4参照)の面積と、排出孔33におけるインナケース30の外周側の外側開口部33D(図4参照)の面積と、が同じに設定されている。また、上側から見た平面視で、第1傾斜面33Aと第2傾斜面33Bとが重なっておらず、第1傾斜面33Aと第2傾斜面33Bとの間には、第2方向(排出孔33の短手方向)において、微小隙間Gが形成されている。すなわち、第1傾斜面33A及び第2傾斜面33Bが、上下方向において、互いにアンダーカット形状にならないように構成されている。さらに、微小隙間Gは、内側開口部33Cの第2方向の長さLの1/4以下に設定されている。
【0022】
図4に示されるように、インナケース30の第2段差部32Bには、複数(本実施の形態では、3箇所)の支持部34が形成されており、支持部34は、インナケース30の周方向に120度毎に配置されている(図4では、1箇所の支持部34のみが図示されている)。支持部34は、第2段差部32Bの内周面に対して、径方向内側へ突出しており、支持部34の内周面は、側断面視で、上側へ向かうに従い径方向外側へ傾斜している。支持部34の内周面には、支持凹部34Aが形成されており、支持凹部34Aは、上側へ開放された略半球凹状に形成されている。支持凹部34A内には、支持ボール42が収容されており、支持ボール42は、球状に形成されると共に、支持凹部34Aに固定されている。
【0023】
そして、インナケース30の内部に、球状の球体40が収容されており、球体40は、支持ボール42の上側に設置されて、支持ボール42に回転可能に支持されている。また、球体40の上部は、インナケース30から上側へ突出している。具体的には、球体40の中心CPが、インナケース30よりも上側に配置されている。球体40の上端部は、ハウジング20の露出孔22Bから上側へ突出して、ハウジング20の外部に回転操作可能に露出している(図1及び図3参照)。
【0024】
インナケース30の第2段差部32Bには、支持部34に対応する位置において、後述する回路基板50を固定するための固定ボス35が形成されている。固定ボス35は、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、第2段差部32Bから下側へ突出している。
【0025】
図2図6に示されるように、インナケース30には、後述するセンサユニット60を取付けるための一対の取付機構部36が設けられており、一対の取付機構部36は、インナケース30における第1方向一方側(図3の矢印B方向側)部分の外周部及び第2方向一方側部分の外周部に形成されている。以下、第1方向一方側部分に形成された取付機構部36を用いて、取付機構部36の構成について説明する。
【0026】
取付機構部36は、インナケース30の外周部に形成されたセンサ取付部37を有しており、センサ取付部37は、第2方向から見た断面視で、球体40の径方向外側へ開放された略矩形凹状に形成されている。センサ取付部37の底面は、取付面37Aとして構成されており、取付面37Aは、第2方向から見た断面視で、第1方向一方側へ向かうに従い下側へ傾斜している(図3参照)。そして、取付面37Aに対して直交する方向を直交方向(図3の矢印F方向及び矢印G方向)とすると、取付面37Aの中央部と球体40の中心CPとを通過する架空線LNが、直交方向に沿って延在するように、取付面37Aが第2方向から見て傾斜している。すなわち、取付面37Aが、球体40の中心CPよりも下側に配置されると共に、球体40の径方向に対して直交する面に沿って形成されている。
【0027】
取付機構部36は、一対の係止部38を有しており、係止部38は、センサ取付部37に対して、インナケース30の周方向一方側及び他方側にそれぞれ配置されている。係止部38は、上下方向に延在された略矩形柱状に形成されて、インナケース30の側壁32から第1方向一方側へ突出している。係止部38には、係止孔38Aが第2方向に貫通形成されており、係止孔38Aは、上下方向を長手方向とする長孔状に形成されている。係止孔38Aの下端部における第1方向一方側の面は、係止面38Bとして構成されており、係止面38Bは、第2方向から見て、下側へ向かうに従い第1方向他方側へ傾斜している。具体的には、係止面38Bが取付面37Aと平行に配置されている。
【0028】
係止部38の下端部には、第2方向内側へ突出したストッパ部38C(図2参照)が形成されている。ストッパ部38Cは、第1方向に延在された略台形ブロック状に形成されており、ストッパ部38Cの第1方向他方側端部が、係止孔38Aの下側に隣接して配置されている。ストッパ部38Cの上面における第1方向一方側部分は、第2方向から見て、直交方向に沿うように傾斜している。
【0029】
(回路基板50について)
回路基板50は、上下方向を板厚方向とする略円板状に形成されると共に、インナケース30の下側に配置されている。回路基板50の中央部には、略円形状の挿通孔50Aが貫通形成されており、インナケース30の底部31が挿通孔50A内に配置されている。そして、インナケース30の底壁が、回路基板50よりも下側に配置されている。また、回路基板50には、インナケース30の固定ボス35に対応する位置において、固定孔50B(図4参照)が貫通形成されており、固定ネジ52が、固定孔50B内に下側から挿入され、固定ボス35に螺合されることで、回路基板50がインナケース30に固定されている。
【0030】
回路基板50の外周部には、第1方向一方側部分及び第2方向一方側部分において、切欠部50Cが形成されており、切欠部50Cは、回路基板50の径方向外側へ開放された凹状に形成されている。また、回路基板50の外周部の上面には、第2方向他方側の部分において、コネクタ54が設けられており、コネクタ54によって、トラックボール装置10を外部機器に接続するように構成されている。
【0031】
(センサユニット60について)
一対のセンサユニット60は、後述するセンサホルダ70を用いて、インナケース30のセンサ取付部37に、それぞれ取付けられている。以下、インナケース30の第1方向一方側のセンサ取付部37に取付けられるセンサユニット60を用いて、センサユニット60の構成について説明する。
【0032】
センサユニット60は、光学式のセンサとして構成されて、球体40の回転量を検出するセンサとして構成されている。センサユニット60は、センサ基板62と、センサ本体64と、を含んで構成されている。センサ基板62は、直交方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されて、センサ取付部37に対して直交方向一方側(図3の矢印F方向側)に配置されている。センサ基板62の下端部は、回路基板50の切欠部50C内に挿入されて、センサ基板62と回路基板50とが第2方向に係合可能に構成されている。また、センサ基板62が、その下端部において、回路基板50に電気的に接続されている。さらに、センサ基板62の下部には、円形状の位置決め孔62Aが貫通形成されている。
【0033】
センサ本体64は、直交方向を厚み方向とする略直方体状に形成されると共に、センサ基板62に接続されて、センサ基板62から直交方向一方側及び他方側へ突出している。センサ本体64は、図示しない投光部及び受光部を有している。そして、投光部から光を球体40の中心CPへ向けて照射し、球体40の外表面によって反射された光を受光部によって受光して、センサ本体64が球体40の回転量を検出するようになっている。また、前述した架空線LNが、センサ本体64の中央部を通過するように、センサ本体64が配置されている。
【0034】
また、センサ本体64の直交方向他方側端部の外周部には、フランジ64Aが形成されており、フランジ64Aは、センサ本体64の周方向全周に亘って形成されている。そして、フランジ64Aが、インナケース30のセンサ取付部37内に嵌入されて、センサ本体64におけるインナケース30の周方向及び上側への移動が、センサ取付部37によって制限されている。また、センサ本体64の直交方向他方側の端面は、当接面64Bとして構成されて、当接面64Bは、取付面37Aに対して直交方向一方側に隣接して配置されている。
【0035】
(センサホルダ70について)
図2図7に示されるように、一対のセンサホルダ70は、インナケース30における取付機構部36の係止部38にそれぞれ取付けられ、センサユニット60を保持する部材として構成されている。以下、インナケース30の第1方向一方側の取付機構部36に取付けられるセンサホルダ70を用いて、センサホルダ70の構成について説明する。
【0036】
センサホルダ70は、本体部としてのホルダ本体部72と、一対のアーム部74と、を含んで構成されている。ホルダ本体部72は、直交方向を板厚方向とし、第2方向を幅方向とする略矩形板状に形成されている。ホルダ本体部72の上下方向中間部には、クランク状のクランク部72Aが形成されており、ホルダ本体部72の上部が、ホルダ本体部72の下部に対して直交方向一方側に配置されている。そして、ホルダ本体部72が、センサユニット60の直交方向一方側に隣接して配置されている。
【0037】
ホルダ本体部72の下部には、位置決めピン72Bが形成されており、位置決めピン72Bは、直交方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、ホルダ本体部72から直交方向他方側へ突出している。そして、位置決めピン72Bがセンサ基板62の位置決め孔62A内に嵌入されて、センサユニット60に対するセンサホルダ70の相対位置が決定されている。また、ホルダ本体部72の幅方向中央部には、取手部72Cが形成されており、取手部72Cは、ホルダ本体部72の幅方向を板厚方向とするリブ状に形成されて、センサ本体64から直交方向一方側へ突出している。これにより、作業者が取手部72Cを把持して、センサホルダ70をインナケース30に取付けるように構成されている。取手部72Cの先端部の上部は、ハウジング20の内周面と所定の隙間を空けて第1方向に対向配置されている。
【0038】
一対のアーム部74は、直交方向を板厚方向とし第2方向を長手方向とする略長尺板状に形成されて、ホルダ本体部72の上部から第2方向一方側及び他方側へ延出している。アーム部74の先端側部分は、直交方向他方側へ屈曲しており、アーム部74の先端部が、インナケース30の係止部38の第2方向内側に隣接配置されている。アーム部74の先端部には、第2方向外側へ突出した係止フック74Aが形成されており、係止フック74Aが、インナケース30の係止孔38A内に挿入されて、係止孔38Aの係止面38Bに係止されている。これにより、センサホルダ70がインナケース30に取付けられている。
【0039】
また、アーム部74は、直交方向に弾性変形可能に構成されている。そして、センサホルダ70のインナケース30への取付状態では、アーム部74の先端部が直交方向他方側へ変位するように、アーム部74が弾性変形している。これにより、ホルダ本体部72がセンサユニット60を直交方向他方側(球体40側)へ押付けるように構成されている。すなわち、センサ本体64の当接面64Bがインナケース30の取付面37Aに当接した状態で、センサユニット60がインナケース30に取付けられている。また、アーム部74の先端部は、インナケース30のストッパ部38Cの上側に隣接配置されている。これにより、センサユニット60及びセンサホルダ70の下側への移動が制限されている。
【0040】
なお、センサホルダ70の材質については、特に規定していないが、センサホルダ70を樹脂材によって構成して、アーム部74を直交方向に弾性変形可能に構成してもよい。また、センサホルダ70をゴム等の弾性材によって構成して、センサホルダ70全体を弾性変形可能に構成してもよい。
【0041】
(作用効果)
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0042】
上記のように構成されたトラックボール装置10では、透明なインナケース30内に球体40が回転可能に収容されており、球体40の上端部が、ハウジング20の露出孔22Bから回転操作可能に露出している。また、インナケース30の外周部には、センサユニット60が設けられており、センサユニット60は、光学式のセンサとして構成されている。これにより、センサユニット60をインナケース30の内周部に配置する構成と比べて、インナケース30の内部に侵入した塵埃等によるセンサユニット60の汚れを抑制することができる。そして、センサ本体64の投光部から球体40に向けて光が照射されと、光が、透明なインナケース30を透過して、球体40によって反射される。球体40によって反射された光は、インナケース30を透過し、センサ本体64の受光部によって受光される。これにより、センサユニット60によって、球体40の回転量を検出することができる。
【0043】
ここで、センサユニット60は、センサホルダ70によってインナケース30の外周部に取付けられている。センサホルダ70は、センサユニット60の直交方向一方側に配置されたホルダ本体部72と、ホルダ本体部72から延出され且つインナケース30の係止部38に取付けられた一対のアーム部74と、を含んで構成されている。そして、アーム部74が直交方向他方側へ弾性変形した状態でインナケース30に取付けられて、ホルダ本体部72が、センサユニット60を球体40側へ押付けている。
【0044】
このため、センサユニット60のセンサ本体64の当接面64Bを、インナケース30の取付面37Aに当接させた状態で、センサユニット60をインナケース30に取付けることができる。すなわち、インナケース30やセンサユニット60の寸法公差やセンサユニット60のインナケース30への取付誤差等よるセンサユニット60の取付位置バラツキを、アーム部74の弾性変形によって吸収して、センサユニット60をインナケース30に取付けることができる。これにより、センサ本体64とインナケース30の取付面37Aとの間に隙間がない状態で、センサユニット60がインナケース30に取付けられるため、球体40の径方向において、センサユニット60を球体40に対して最も近接させた位置に配置することができる。したがって、センサユニット60を、インナケース30の外周部に設けた構成にしても、球体40の回転を良好に検出することができる。
【0045】
また、センサホルダ70のホルダ本体部72には、取手部72Cが形成されており、取手部72Cは、直交方向一方側へ突出したリブ状に形成されている。これにより、作業者が、取手部72Cを把持して、センサホルダ70をインナケース30に取付けることができると共に、取手部72Cを活用して、センサユニット60を押付けるホルダ本体部72の剛性を高くすることができる。したがって、センサホルダ70によってセンサユニット60を良好に保持することができる。
【0046】
また、インナケース30には、センサ取付部37が形成されている。センサ取付部37は、直交方向一方側及び下側へ開放された凹状に形成されており、センサ本体64のフランジ64Aがセンサ取付部37内に嵌入されている。具体的には、センサ取付部37が、球体40の中心CPよりも下側に配置されると共に、球体40の径方向外側へ開放された凹状に形成されている。これにより、センサユニット60におけるインナケース30の周方向及び上側への移動を規制しながら、センサホルダ70をインナケース30に取付けることができる。したがって、センサホルダ70の取付性を向上することができる。
【0047】
また、センサ基板62には、位置決め孔62Aが形成されており、センサホルダ70には、位置決め孔62A内に挿入される位置決めピン72Bが形成されている。これにより、位置決めピン72Bを位置決め孔62A内に挿入した状態で、センサユニット60及びセンサホルダ70をインナケース30に取付けることができる。すなわち、センサホルダ70をセンサユニット60に仮組した状態で、両者をインナケース30に取付けることができる。したがって、センサホルダ70及びセンサユニット60のインナケース30への取付性を一層向上することができる。
【0048】
また、センサユニット60は、球体40の中心CPに向けて光を照射し且つインナケース30の取付面37Aに当接されたセンサ本体64と、センサ本体64に接続されたセンサ基板62と、を含んで構成されている。さらに、インナケース30の下側には、回路基板50が設けられており、回路基板50の外周部には、径方向外側へ開放された切欠部50Cが形成されている。そして、センサ基板62の下端部が、切欠部50C内に挿入されて、センサ基板62が回路基板50に接続されている。これにより、切欠部50Cによってセンサ基板62の取付位置を容易に認識することができる。また、インナケース30の周方向におけるセンサ基板62の下端部の移動を、切欠部50Cによって制限することができる。したがって、センサ基板62を回路基板50に接続するときの作業性を向上することができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、センサホルダ70のアーム部74が弾性変形可能に構成されており、アーム部74が弾性変形することで、ホルダ本体部72がセンサユニット60を球体40側へ押付ける構成になっているが、センサユニット60を押付ける構成はこれに限らない。例えば、センサホルダ70において、アーム部74を弾性変形不能に構成して、エラストマ等によって構成された押圧部をホルダ本体部72に一体形成して、当該押圧部をホルダ本体部72とセンサユニット60との間に配置する構成にしてもよい。この場合には、押圧部が弾性変形可能に構成されており、センサホルダ70の取付状態において、ホルダ本体部72及びセンサユニット60によって押圧部を圧縮させるように弾性変形させることで、押圧部によってセンサユニット60を球体40側へ押付けることができる。
【符号の説明】
【0050】
10 トラックボール装置
20 ハウジング
22B 露出孔(露出部)
37 センサ取付部
40 球体
50 回路基板
50C 切欠部
60 センサユニット(センサ)
64 センサ本体
70 センサホルダ(押付部材)
72 ホルダ本体部(本体部)
72C 取手部
74 アーム部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7