(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】熱交換コア、熱交換器及び熱交換コアの製造方法
(51)【国際特許分類】
F28D 9/02 20060101AFI20241008BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20241008BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20241008BHJP
F28F 3/00 20060101ALI20241008BHJP
F28F 9/02 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
F28D9/02
B33Y10/00
B33Y80/00
F28F3/00 311
F28F9/02 301J
(21)【出願番号】P 2021027454
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2020031513
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】畑中 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】中拂 博之
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
(72)【発明者】
【氏名】上藤 陽一
(72)【発明者】
【氏名】江口 駿作
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓央
(72)【発明者】
【氏名】谷本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】北村 仁
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-025087(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108819152(CN,A)
【文献】特開2008-180428(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0283810(US,A1)
【文献】国際公開第2010/098479(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0133527(US,A1)
【文献】米国特許第05309637(US,A)
【文献】中国実用新案第204830955(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0315538(US,A1)
【文献】国際公開第2013/160198(WO,A1)
【文献】特開2016-204750(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0144574(US,A1)
【文献】特表2018-511767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/00 - 99/00
F28D 1/00 - 21/00
B33Y 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に延在する複数の内部流路と、
前記複数の内部流路の延在方向における前記複数の内部流路の端部において、該複数の内部流路に連通するヘッダ流路と、
前記複数の内部流路を有する本体部と、
前記本体部の少なくとも一方の端部側において前記ヘッダ流路を有するヘッダ部と、
を備え、
前記ヘッダ流路の少なくとも一部は、前記複数の内部流路の延在方向から視た平面視において前記複数の内部流路の配置領域から外側に外れたヘッダ領域に位置し、
前記本体部は、前記平面視において前記ヘッダ領域のうち前記配置領域から最も外側に離れた部位よりも前記配置領域よりにおいて前記内部流路の延在方向に沿って延在する本体部側面を有し、
前記ヘッダ流路の内壁は、
前記複数の内部流路の前記延在方向における一方側に位置する第1領域と、
前記延在方向における他方側に位置し、前記延在方向に対してなす角度が60度以下である傾斜面を含む第2領域と、
を有する、
熱交換コア。
【請求項2】
互いに平行に延在する複数の内部流路と、
前記複数の内部流路の延在方向における前記複数の内部流路の端部において、該複数の内部流路に連通するヘッダ流路と、
を備え、
前記ヘッダ流路の内壁は、
前記複数の内部流路の前記延在方向における一方側に位置する第1領域と、
前記延在方向における他方側に位置し、前記延在方向に対してなす角度が60度以下である傾斜面を含む第2領域と、
を有し、
前記複数の内部流路の端部に隣接して設けられる中間流路を備え、
前記ヘッダ流路と他方の流体が流れる
前記中間流路との間の隔壁は、前記複数の内部流路の延在方向に沿っている
、
熱交換コア。
【請求項3】
互いに平行に延在する複数の内部流路と、
前記複数の内部流路の延在方向における前記複数の内部流路の端部において、該複数の内部流路に連通するヘッダ流路と、
を備え、
前記ヘッダ流路の内壁は、
前記複数の内部流路の前記延在方向における一方側に位置する第1領域と、
前記延在方向における他方側に位置し、前記延在方向に対してなす角度が60度以下である傾斜面を含む第2領域と、
を有し、
前記複数の内部流路の端部に隣接して設けられる中間流路を備え、
前記ヘッダ流路の内壁は、円弧形状を有する湾曲面を含み、前記ヘッダ流路と他方の流体が流れる
前記中間流路との間の隔壁は湾曲面の一部を表面に有し、
前記湾曲面の曲率中心は、前記複数の内部流路の延在方向において、前記中間流路の形成範囲内に位置する
、
熱交換コア。
【請求項4】
前記ヘッダ流路は、少なくとも部分的に、前記延在方向における前記複数の内部流路の形成範囲内に配置される、
請求項1
から3のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【請求項5】
前記複数の内部流路の両端側にそれぞれ位置する一対の前記ヘッダ流路を含み、一対の前記第2領域は前記第1領域に対して同じ側に設けられる、
請求項1
から4のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【請求項6】
前記第1領域は、横断面が円弧形状に形成された溝型に形成される、請求項1から
5のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【請求項7】
前記複数の内部流路と前記ヘッダ流路を連通させるための中間流路を備え、
前記中間流路を外部から隔絶する外壁は、前記ヘッダ部に対して前記中間流路の延在方向に沿って内部流路側に向かって凹んでいる、
請求項
1に記載の熱交換コア。
【請求項8】
前記ヘッダ流路は、少なくとも部分的に、前記延在方向において、前記中間流路を挟んで前記内部流路の反対側に位置している、
請求項
7に記載の熱交換コア。
【請求項9】
前記ヘッダ流路は、複数であって、
複数の前記ヘッダ流路は、流路開口形状が互いに異なる
請求項1から
8のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【請求項10】
前記ヘッダ流路の内壁は、前記複数の内部流路の流路壁よりも大きな表面粗さを有する、
請求項1から
9のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【請求項11】
前記第1領域は、第1表面粗さを有する一方、
前記第2領域は、前記第1表面粗さ以上の第2表面粗さを有し、
前記第1表面粗さは、前記複数の内部流路の流路壁の表面粗さよりも大きい
請求項1から
10のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【請求項12】
前記ヘッダ部から前記ヘッダ流路の延在方向に突出する接続配管を備え、
前記接続配管は、前記ヘッダ流路に連通する接続流路を有する、請求項
1に記載の熱交換コア。
【請求項13】
請求項
12に記載の熱交換コアと、
前記熱交換コアが収容される筐体と、
を備え、
前記筐体は、
前記熱交換コアが収容された場合に前記接続配管が嵌合される嵌合凹部と、
前記嵌合凹部に前記接続配管が嵌合された場合に前記接続流路が連通する流路と、
を有する、熱交換器。
【請求項14】
互いに平行に延在する複数の内部流路と、
前記複数の内部流路の延在方向における前記複数の内部流路の端部において、前記複数の内部流路と連通するヘッダ流路と
、
前記複数の内部流路を有する本体部と、前記本体部の少なくとも一方の端部側において前記ヘッダ流路を有するヘッダ部と、
を備え
、
前記ヘッダ流路の少なくとも一部は、前記複数の内部流路の延在方向から視た平面視において前記複数の内部流路の配置領域から外側に外れたヘッダ領域に位置し、
前記本体部は、前記平面視において前記ヘッダ領域のうち前記配置領域から最も外側に離れた部位よりも前記配置領域よりにおいて前記内部流路の延在方向に沿って延在する本体部側面を有する熱交換コアの製造方法であって、
前記内部流路の延在方向に沿って積層造形を行うことで、前記内部流路を形成するステップと、
前記延在方向に沿って積層造形を行うことで、前記ヘッダ流路を形成するステップと、を備え、
前記ヘッダ流路の内壁は、
前記複数の内部流路の前記延在方向における一方側に位置する第1領域と、
前記延在方向における他方側に位置し、前記延在方向に対してなす角度が60度以下である傾斜面を含む第2領域と、
を有する、
熱交換コアの製造方法。
【請求項15】
互いに平行に延在する複数の内部流路と、
前記複数の内部流路の延在方向における前記複数の内部流路の端部において、該複数の内部流路に連通するヘッダ流路と、
を備え、
前記ヘッダ流路の内壁は、
前記複数の内部流路の前記延在方向における一方側に位置する第1領域と、
前記延在方向における他方側に位置し、前記延在方向に対してなす角度が60度以下である傾斜面を含む第2領域と、
を有し、
前記複数の内部流路の端部に隣接して設けられる中間流路を備え、
前記ヘッダ流路と他方の流体が流れる前記中間流路との間の隔壁は、前記複数の内部流路の延在方向に沿っている熱交換コアの製造方法であって、
前記内部流路の延在方向に沿って積層造形を行うことで、前記内部流路を形成するステップと、
前記延在方向に沿って積層造形を行うことで、前記ヘッダ流路を形成するステップと、を備える、
熱交換コアの製造方法。
【請求項16】
互いに平行に延在する複数の内部流路と、
前記複数の内部流路の延在方向における前記複数の内部流路の端部において、該複数の内部流路に連通するヘッダ流路と、
を備え、
前記ヘッダ流路の内壁は、
前記複数の内部流路の前記延在方向における一方側に位置する第1領域と、
前記延在方向における他方側に位置し、前記延在方向に対してなす角度が60度以下である傾斜面を含む第2領域と、
を有し、
前記複数の内部流路の端部に隣接して設けられる中間流路を備え、
前記ヘッダ流路の内壁は、円弧形状を有する湾曲面を含み、前記ヘッダ流路と他方の流体が流れる前記中間流路との間の隔壁は湾曲面の一部を表面に有し、
前記湾曲面の曲率中心は、前記複数の内部流路の延在方向において、前記中間流路の形成範囲内に位置する熱交換コアの製造方法であって、
前記内部流路の延在方向に沿って積層造形を行うことで、前記内部流路を形成するステップと、
前記延在方向に沿って積層造形を行うことで、前記ヘッダ流路を形成するステップと、を備える、
熱交換コアの製造方法。
【請求項17】
前記ヘッダ流路の内壁は、
前記内部流路の流路壁よりも大きな表面粗さを有する、
請求項
14から16のいずれか一項に記載の熱交換コアの製造方法。
【請求項18】
前記積層造形は、
金属粉末を敷き詰めるステップと前記金属粉末にエネルギを付与して前記金属粉末を溶融凝固するステップを一連のサイクルとする繰り返しを含み、
前記ヘッダ流路は、少なくとも部分的に、前記延在方向における前記複数の内部流路の形成範囲に配置され、
前記ヘッダ流路が設けられる部分と前記複数の内部流路が設けられる部分とが前記一連のサイクルによって造形される、
請求項
14から17のいずれか一項に記載の熱交換コアの製造方法。
【請求項19】
前記金属粉末を溶融凝固するステップにおいて、前記ヘッダ流路が設けられる部分に付与されるエネルギの付与頻度が前記内部流路が設けられる部分よりも少ない、
請求項
18に記載の熱交換コアの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換コア、熱交換器及び熱交換コアの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、付加製造によって製造された熱交換器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1が示す付加製造(積層造形)では、積層方向に対して下向きの面を有するオーバハング形状が崩れて造形不良が発生する、造形時に生じる残留応力に起因した造形品の反りが発生し精度が低下する、等の課題がある。よって、ヘッダ流路よりも内部流路を優先して内部流路の延在方向を積層方向とした場合にヘッダ流路も含めて積層造形することは難しい。
【0005】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述する事情に鑑みてなされたもので、ヘッダ流路よりも内部流路を優先して内部流路の延在方向を積層方向とした場合にヘッダ流路も含めて積層造形できる熱交換コア、熱交換器及び熱交換コアの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る熱交換コアは、
互いに平行に延在する複数の内部流路と、
前記複数の内部流路の延在方向における前記内部流路の端部において、該複数の内部流路に連通す
るヘッダ流路と、
を備え、
前記ヘッダ流路の内壁は、
前記複数の内部流路の前記延在方向における一方側に位置する第1領域と、
前記延在方向における他方側に位置し、前記延在方向に対してなす角度が60度以下である傾斜面を含む第2領域と、
を有する。
【0007】
また、本開示に係る熱交換コアの製造方法は、
互いに平行に延在する複数の内部流路と、前記複数の内部流路と連通するヘッダ流路とを備える熱交換コアの製造方法であって、
前記内部流路の延在方向に沿って積層造形を行うことで、前記内部流路を形成するステップと、
前記延在方向に沿って積層造形を行うことで、前記ヘッダ流路を形成するステップと、を備え、
前記ヘッダ流路の内壁は、
前記複数の内部流路の前記延在方向における一方側に位置する第1領域と、
前記延在方向における他方側に位置し、前記延在方向に対してなす角度が60度以下である傾斜面を含む第2領域と、
を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の熱交換コアによれば、内部流路の延在方向に対してヘッダ流路の第2領域の傾斜面がなす角度が60度以下であるから、ヘッダ流路よりも内部流路を優先して内部流路の流路方向を積層方向とした場合にヘッダ流路も含めて積層造形できる。
【0009】
また、本開示の熱交換コアの製造方法によれば、内部流路の延在方向に対してヘッダ流路の第2の傾斜面がなす角度が60度以下であるから、ヘッダ流路よりも内部流路を優先して流路方向に積層していく場合であっても、オーバハングの問題を回避しながらヘッダ流路も含めて積層造形できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態による熱交換コアの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した熱交換コアのII-II線断面図である。
【
図3】
図1に示した熱交換コアのIII-III線断面図である。
【
図4】
図2に示した熱交換コアのIV-IV線断面図である。
【
図5】
図2に示した熱交換コアのV-V線断面図である。
【
図6】一実施形態に係る熱交換コアの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図7】流路断面形状を変換するアダプタを概略的に示す斜視図である。
【
図8】一実施形態に係る熱交換器を説明するための図である。
【
図9】一実施形態による熱交換コアの製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態による熱交換コア1、熱交換器6及び熱交換コア1の製造方法について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
[熱交換コア1の概略構成]
本開示の実施形態による熱交換コア1は、単独で、又は熱交換器6に組み込まれて用いられる構成要素であり、熱交換コア1に供給される第1流体と第2流体との間で熱交換が行われる。熱交換コア1に供給される第1流体及び第2流体はそれぞれ液体であってもよいし気体であってもよいが、通常は両者の温度は異なっている。
【0013】
図1に示すように、本開示の実施形態による熱交換コア1は、本体部11とヘッダ部12とを備える。例えば、熱交換コア1は直方体形状とすることができるが、これに限定されるものではない。例えば、熱交換コア1が直方体形状である場合、本体部11が直方体の胴部に設けられ、ヘッダ部12が直方体の一端部(上端部)と他端部(下端部)とにそれぞれ一対設けられる。例えば、直方体の一端部と他端部とにそれぞれ一対設けられるヘッダ部12は、直方体の同一平面において四隅に位置する。
【0014】
例えば、熱交換コア1が直方体形状である場合、ヘッダ部12は直方体の外側に設けることができるが、これに限られるものではない。例えば、直方体の一端部と他端部とにそれぞれ一対設けられるヘッダ部12が直方体の外側に設ける場合、直方体の幅方向外側に張り出すように設けられる。そして、直方体の一端部に設けられるヘッダ部121,122がそれぞれ第1ヘッダ部121,第2ヘッダ部122となり、他端部に設けられるヘッダ部123,124がそれぞれ第3ヘッダ部123,第4ヘッダ部124となる。
【0015】
ヘッダ部12にはヘッダ流路3が設けられる。上述したように、例えば、熱交換コア1が直方体形状であり、直方体の一端部と他端部とにそれぞれ一対設けられるヘッダ部12が直方体の幅方向外側に張り出すように設けられる場合、直方体の一端部と他端部とにそれぞれ設けられる一対のヘッダ部12にそれぞれヘッダ流路3が設けられる。そして、第1ヘッダ部121に設けられるヘッダ流路31が第1ヘッダ流路31となり、第2ヘッダ部122に設けられるヘッダ流路32が第2ヘッダ流路32となる。また、第3ヘッダ部123に設けられるヘッダ流路33が第3ヘッダ流路33となり、第4ヘッダ部124に設けられるヘッダ流路34が第4ヘッダ流路34となる。
【0016】
そして、第1流体と第2流体とが互いに向かい合う方向に流れる熱交換コア1(以下「対向流の熱交換コア1」という)では、第1ヘッダ流路31が第1流体を本体部11に供給するための流路となり、第2ヘッダ流路32が第2流体を本体部11から排出するための流路となる。また、第3ヘッダ流路33が第1流体を本体部11から排出するための流路となり、第4ヘッダ流路34が第2流体を本体部11に供給するための流路となる。尚、第1流体と第2流体とが同じ方向に流れる熱交換コア1(以下「並流の熱交換コア1」という)では第2ヘッダ流路32が第2流体を本体部11に供給するための流路となり、第4ヘッダ流路34が第2流体を本体部11から排出するための流路となる。
【0017】
上述したように、ヘッダ流路3は複数であって、図には明示しないが、複数のヘッダ流路3は、流路開口形状を互いに異ならせることができる。例えば、上述したように、熱交換コア1のヘッダ流路3は、第1ヘッダ流路31、第2ヘッダ流路32、第3ヘッダ流路33及び第4ヘッダ流路34の四つであり、これら四つのヘッダ流路3、すなわち、第1ヘッダ流路31、第2ヘッダ流路32、第3ヘッダ流路33及び第4ヘッダ流路34の流路開口形状を互いに異ならせることができる。
【0018】
このようにヘッダ流路3が複数であって、複数のヘッダ流路3の開口形状が互いに異なると熱交換コア1に配管を接続するときに、流路開口形状の違いにより接続間違いをより確実に防止できる。
【0019】
図2に示すように、本開示の実施形態による熱交換コア1は、本体部11に複数の内部流路2を有する。複数の内部流路2は互いに平行に延在する流路であって、複数の内部流路2の延在方向における複数の内部流路2の端部において該複数の内部流路2が上述したヘッダ流路3に連通する。例えば、熱交換コア1が直方体形状である場合、複数の内部流路2は直方体の長手方向に沿って設けられ、直方体の長手方向と直交する方向に沿って上述したヘッダ流路3が設けられる。そして、複数の内部流路2の一端部と他端部とにおいて該複数の内部流路2が上述したヘッダ流路3に連通する。
【0020】
図3に示すように、複数の内部流路2は、第1流体が流通する複数の第1流路21と第2流体が流通する複数の第2流路22とを構成する。複数の第1流路21のそれぞれと複数の第2流路22のそれぞれは直方体の長手方向と直交する断面において奥行き方向(
図3においてY方向)に交互に配置され、互いに隣り合う第1流路21と第2流路22とは隔壁23によって隔てられている。尚、複数の第1流路21及び複数の第2流路22の数、すなわち、隔壁23の数は、
図3に示す数に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
【0021】
例えば、複数の第1流路21と複数の第2流路22はそれぞれ複数の分割流路211,221に区画されるが、これに限定されるものではない。複数の第1流路21と複数の第2流路22とがそれぞれ複数の分割流路211,221に区画される場合、複数の第1流路21と複数の第2流路22のそれぞれ複数の分割流路211,221は直方体と直交する断面において幅方向(
図3においてX方向)に沿って配置され、互いに隣り合う分割流路211(221)と分割流路211(221)とは区画壁24によって隔てられている。尚、複数の第1流路21と複数の第2流路22のそれぞれの分割流路211,221の数、すなわち、複数の第1流路21と複数の第2流路22とにそれぞれ設けられる区画壁24の数は、
図3に示す数に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
【0022】
図4は、後述するように、第1ヘッダ流路31と第1流路21とを連通する中間流路41を示す図であり、
図5は、後述するように、第1ヘッダ流路31と第2流路22とを連通しない中間流路42を示す図である。
図4及び
図5に示すように、複数の第1流路21と複数の第2流路22がそれぞれ複数の分割流路211,221に区画される場合、複数の第1流路21と複数の第2流路22のそれぞれの一端部と他端部にそれぞれ中間流路4を備える。
【0023】
図4に示すように、第1流路21の一端部(上端部)に設けられた中間流路41(以下「第1中間流路41」という)は、第1流路21に区画された複数の分割流路211の延在方向(第1流路21の延在方向)における複数の分割流路211の一端部(上端部)において該複数の分割流路211に連通する。そして、第1中間流路41は第1流路21の一端部(上端部)に開口する一方、外壁(上壁)116によって外部から隔てられている。
図5に示すように、第2流路22の一端部(上端部)に設けられた中間流路42(以下「第2中間流路42」という)は第2流路22に区画された複数の分割流路221の延在方向(第2流路22の延在方向)における複数の分割流路221の一端部(上端部)において該複数の分割流路221に連通する。そして、第2中間流路42は第2流路22の一端部(上端部)に開口する一方、外壁(上壁)116によって外部から隔てられている。図示しないが、第1流路21の他端部(下端部)に設けられた中間流路(以下「第3中間流路」という)は、第1流路21に区画された複数の分割流路211の延在方向(第1流路21の延在方向)における複数の分割流路211の他端部(下端部)において該複数の分割流路211に連通する。そして、第3中間流路は第1流路21の他端部(下端部)に開口する一方、外壁(底壁)111によって外部から隔てられている。第2流路22の他端部(下端部)に設けられた中間流路(以下「第4中間流路」という)は、第2流路22に区画された複数の分割流路221の延在方向(第2流路22の延在方向)における複数の分割流路221の他端部(下端部)において該複数の分割流路221に連通する。そして、第4中間流路は第2流路22の他端部(下端部)に開口する一方、外壁(底壁)111によって外部から隔てられている。
【0024】
図4に示すように、第1ヘッダ流路31は、第1流路21の延在方向における第1流路21の一端部(上端部)において、第1流路21の延在方向と直交する方向に延在し、第1中間流路41を介して第1流路21に連通する。
図5に示すように、第2ヘッダ流路32は、第2流路22の延在方向における第2流路22の一端部(上端部)において、第2流路22の延在方向と直交する方向に延在し、第2中間流路42を介して第2流路22に連通する。図示しないが、第3ヘッダ流路33は、第1流路21の延在方向における第1流路21の他端部(下端部)において、第1流路21の延在方向と直交する方向に延在し、第3中間流路を介して第1流路21に連通する。第4ヘッダ流路34は、第2流路22の延在方向における第2流路22の他端部(下端部)において、第2流路22の延在方向と直交する方向に延在し、第4中間流路を介して第2流路22に連通する。
【0025】
図2に示すように、ヘッダ流路3と他方の流体が流れる中間流路4との間には隔壁4aが設けられている。隔壁4aは、異種流体を隔てるものであり、例えば、第1ヘッダ流路31と第2中間流路42との間には第2流体を隔てるための隔壁42aが設けられ、第2ヘッダ流路32と第1中間流路41との間には第1流体を隔てるための隔壁41aが設けられている。また、図示はしないが、例えば、第3ヘッダ流路33と第4中間流路との間には第2流体を隔てるための隔壁が設けられ、第4ヘッダ流路34と第3中間流路との間には第1流体を隔てるための隔壁が設けられている。ヘッダ流路3と他方の流体が流れる中間流路4との間の隔壁4aは、内部流路2の延在方向に沿っている(
図5参照)。例えば、第1ヘッダ流路31と第2流体が流れる第2中間流路42との間の隔壁42aは、第2流路22の延在方向に沿っている。また、例えば、第2ヘッダ流路32と第1流体が流れる第1中間流路41との間の隔壁41aは、第1流路21の延在方向に沿っている。また、図示はしないが、例えば、第3ヘッダ流路33と第2流体が流れる第4中間流路との間の隔壁は、第2流路22の延在方向に沿っている。また、例えば、第4ヘッダ流路34と第1流体が流れる第1流路21との間の隔壁は、第1流路21の延在方向に沿っている。
【0026】
図5に示すように、このように内部流路2の延在方向に沿った隔壁4aを有する熱交換コア1によれば、異種流体を隔てる隔壁4aがオーバハング形状とならないので隔壁を薄肉化できる。このため、ヘッダ流路3を内部流路配置領域側へと内側に寄せることができ、熱交換コア1のコンパクト化を実現できる。
【0027】
例えば、
図5に示す例では、ヘッダ流路3と中間流路4との間の隔壁4aは薄肉化され、中間流路4をヘッダ流路3に近づけている。また、隔壁4aの中間流路側は中間流路4と直交する方向から視て矩形断面で構成されるが、中間流路側に傾斜する、例えば45度の傾斜面を設けてもよい。
【0028】
[ヘッダ流路3の内壁3a]
ヘッダ流路3の内壁3aは、内部流路2の流路壁2aよりも大きな表面粗さを有する。例えば、第1ヘッダ流路31、第2ヘッダ流路32、第3ヘッダ流路33及び第4ヘッダ流路34を直方体の外側に設けた場合にこれらの第1ヘッダ流路31、第2ヘッダ流路32、第3ヘッダ流路33及び第4ヘッダ流路34の内壁31a,32a,33a,34aは、第1流路21及び第2流路22の流路壁21a,22aよりも大きな表面粗さを有する。
【0029】
例えば、日本工業規格(JIS)には、表面粗さを表すパラメータとして、算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)、十点平均粗さ(Rz)、凹凸の平均間隔(Sm)、局部山頂の平均間隔(S)及び負荷長さ率(tp)の定義並びに表示について規定されており、表面粗さは、対象物の表面からランダムに抜き取った各部分におけるそれぞれの算術平均値である、とされている。
【0030】
このようなヘッダ流路3の内壁3aを有する熱交換コア1によれば、ヘッダ流路3の内壁3aは内部流路2の流路壁2aよりも大きな表面粗さを有するので、積層造形によって熱交換コア1を造形する場合において、ヘッダ流路3が設けられる部分の単位体積当たりの造形時間を内部流路2が設けられる部分よりも短くできる。よって、熱交換コア1は全体でも造形時間が短くできるので、熱交換コア1の製造コストを低減できる。
【0031】
複数の内部流路2は互いに平行に延在し、ヘッダ流路3の内壁3aは第1領域3a1と第2領域3a2とを含む。第1領域3a1は、複数の内部流路2の延在方向における一方側に位置する非オーバハング領域であり、第1表面粗さを有する。第2領域3a2は、複数の内部流路2における他方側に位置するオーバハング領域であり、第1表面粗さ以上の第2表面粗さを有する。そして、ヘッダ流路3の内壁3aの第1表面粗さは、複数の内部流路2の流路壁2aの表面粗さよりも大きい。
【0032】
このような第1領域3a1と第2領域3a2とを含むヘッダ流路3の内壁3aを有する熱交換コア1によれば、ヘッダ流路3の第2領域(オーバハング領域)3a2の第2表面粗さは第1領域(非オーバハング領域)3a1の第1表面粗さ以上であり、ヘッダ流路3の第1領域(非オーバハング領域)3a1は複数の内部流路2の流路壁2aの表面粗さよりも大きい。
よって、
第2領域3a2の第2表面粗さ≧第1領域3a1の第1表面粗さ>複数の内部流路2の流路壁の表面粗さ
となる。
すなわち、第1領域(非オーバハング領域)3a1の第1表面粗さは第2領域(オーバハング領域)3a2の第2表面粗さと同等以下であり、第1領域3a1が設けられる部分の単位面積当たりの造形時間を複数の内部流路2が設けられる部分よりも短くできる。よって、熱交換コア1は全体でも造形時間が短くできるので、熱交換コア1の製造コストを低減できる。
【0033】
図4及び
図5に示すように、第2領域3a2は、複数の内部流路2の延在方向に対してなす角度θが60度以下、好ましくは45度以下である傾斜面を含む。
【0034】
図1に示すように、第1ヘッダ流路31、第2ヘッダ流路32、第3ヘッダ流路33及び第4ヘッダ流路34の内壁31a,32a,33a,34aは、第1領域3a1となる下半部分と第2領域3a2となる上半部分とを含む。下半部分は第1流路21の延在方向における一方側(下方側)に位置し、上半部分は第1流路21の延在方向における他方側(上方側)に位置する。そして、上半部分は、第1流路21の延在方向に対してなす角度θが60度以下、好ましくは45度以下である傾斜面を含む。
【0035】
例えば、下半部分は横断面が円弧形状に形成された湾曲した溝型に形成されるが、これに限られるものではなく、例えば、横断面が矩形の溝型、横断面が逆三角形の溝型等に形成されてもよい。このようにすれば、横断面が矩形の溝型、横断面が逆三角形の溝型等よりも大きな流路断面積を確保しつつ第1領域3a1の肉厚を抑制できる。また、上半部分は横断面が二等辺三角形に形成された屋根型に形成されるが、これに限られるものではない。
【0036】
このようなヘッダ流路3の内壁3aを有する熱交換コア1によれば、複数の内部流路2の延在方向に対してヘッダ流路3の第2領域3a2をなす傾斜面がなす角度が60度、好ましくは45度以下であるから、積層造形によって熱交換コア1を造形する場合においてヘッダ流路3よりも内部流路2を優先して内部流路2の延在方向を積層方向とした場合にオーバハング形状が崩れて造形不良が発生する、造形時に生じる残留応力に起因した造形品の反りが発生し精度が低下する、等の課題(以下「オーバーハングの課題」という)を回避しながらヘッダ流路3も含めて積層造形できる。また、ヘッダ流路3の第2領域3a2がどちらに位置するかを目安に熱交換コア1の天地を判断できるので、熱交換コア1の天地を間違えて設置する虞を低減できる。
【0037】
[ヘッダ流路3の配置]
図4に示すように、ヘッダ流路3は、少なくとも部分的に複数の内部流路2の延在方向における複数の内部流路2の形成範囲2A内に配置される。例えば、第1ヘッダ流路31は、少なくとも部分的に第1流路21の延在方向における第1流路21の形成範囲2Aに配置される。これにより、第1ヘッダ流路31は第1流路21の延在方向において第1流路21とオーバラップする。図示しないが、例えば、第2ヘッダ流路32は、少なくとも部分的に第2流路22の延在方向における第2流路22の形成範囲内に配置される。これにより、第2ヘッダ流路32は第2流路22の延在方向において第2流路22とオーバラップする。例えば、第3ヘッダ流路33は、少なくとも部分的に第1流路21の延在方向における第1流路21の形成範囲に配置される。これにより、第3ヘッダ流路33は第1流路21の延在方向において第1流路21とオーバラップする。例えば、第4ヘッダ流路34は少なくとも部分的に第2流路22の延在方向における第2流路22の形成範囲内に配置される。これにより、第4ヘッダ流路34は第2流路22の延在方向において第2流路22とオーバラップする。
【0038】
このようなヘッダ流路3の配置の熱交換コア1によれば、ヘッダ流路3は複数の内部流路2の延在方向の形成範囲2A内に配置されるので、複数の内部流路2の延在方向における熱交換コア1の寸法を抑制し、熱交換コア1のコンパクト化を図ることができる。複数の内部流路2の形成範囲2A内にヘッダ流路3が形成されていることからヘッダ流路3のオーバハングが課題となるが、上記ヘッダ流路3の内壁3aが有する第2領域3a2の傾斜面によってオーバハングの課題は解消できる。よって、オーバハングの課題を回避しながら、コンパクトな熱交換コア1を積層造形で効率的に製造できる。
【0039】
[ヘッダ流路3の内壁3aの湾曲面3a3]
図4及び
図5に示すように、熱交換コア1は内部流路2の端部に隣接する中間流路4を備える。ヘッダ流路3の内壁3aは、円弧形状を有する湾曲面3a3を含んでいて、隔壁4aは湾曲面3a3の一部を表面に有している。そして、湾曲面3a3の曲率中心3a31は、内部流路2の延在方向において、中間流路4の形成範囲4A内に位置する。
【0040】
このような内壁湾曲面のヘッダ流路3を有する熱交換コア1によれば、円弧形状の湾曲面3a3を有するヘッダ流路3の内壁3aにおいて、円弧形状の接線方向を内部流路2の延在方向に沿わせることができ、隔壁4aの薄肉化を簡素なヘッダ流路形状により実現できる。
【0041】
[複数のヘッダ流路3]
図1に示すように、熱交換コア1は、複数の内部流路2の両端側にそれぞれ位置する一対のヘッダ流路3を含む。そして、一対の第2領域3a2は第1領域3a1に対して同じ側に設けられる。例えば、熱交換コア1は、第1流路21の両端側に位置する一対のヘッダ流路3、第1ヘッダ流路31と第3ヘッダ流路33とを含む。そして、第1ヘッダ流路31の第2領域3a2と第3ヘッダ流路33の第2領域3a2は第1領域3a1に対して同じ側に設けられる。例えば、第1ヘッダ流路31と第3ヘッダ流路33は、それぞれ重力方向下方側に第1領域3a1が設けられ、上方側に第2領域3a2が設けられる。また、例えば、熱交換コア1は、第2流路22の両端側に位置する一対のヘッダ流路3、第2ヘッダ流路32と第4ヘッダ流路34とを含む。そして、第2ヘッダ流路32の第2領域3a2と第4ヘッダ流路34の第2領域3a2は第1領域3a1に対して同じ側に設けられる。例えば、第2ヘッダ流路32と第4ヘッダ流路34は、それぞれ重力方向下方側に第1領域3a1が設けられ、上方側に第2領域3a2が設けられる。
【0042】
このような複数のヘッダ流路3を含む熱交換コア1によれば、一対のヘッダ流路3の第2領域3a2が第1領域3a1に対して同じ側に設けられるので、ヘッダ流路3よりも内部流路2を優先して内部流路2の延在方向を積層方向とした場合であっても、オーバハングの課題を回避しながら一対のヘッダ流路3も含めて積層造形できる。また、ヘッダ流路3の第2領域3a2がどちらに位置するかを目安に熱交換コア1の天地を判断できるので、熱交換コア1の天地を間違えて設置する虞を低減できる。
【0043】
[熱交換コア1の本体部側面]
図2に示すように、ヘッダ流路3の少なくとも一部は、複数の内部流路2の延在方向から視た平面視において、複数の内部流路2の配置領域から外側に外れたヘッダ領域に位置する。そして、本体部11は、平面視においてヘッダ領域のうち内部流路2の配置領域から最も外側に外れた部位よりも内部流路2の配置領域よりにおいて内部流路2に沿って延在する本体部側面を有する(
図4及び
図5参照)。
【0044】
このような本体部側面を有する熱交換コア1によれば、本体部側面が平面視においてヘッダ領域のうち配置領域から最も外側に離れた部位よりも配置領域よりにおいて内部流路2の延在方向に沿って延在する本体部側面を有するので、当該本体部側面を含む外壁(側壁)の肉厚を薄くすることができ、本体部側面を含む外壁の造形に要する時間を短縮できる。これにより、熱交換コア1の製造コストも低減できる。
【0045】
[熱交換コア1の外壁(上壁)116]
図4及び
図5に示すように、熱交換コア1は、複数の内部流路2とヘッダ流路3を連通させるための中間流路4を備える。中間流路4は複数の内部流路2に開口する一方、外壁(上壁)116によって外部と隔てられている。そして、中間流路4と外部とを隔てる外壁(上壁)116はヘッダ部12に対して中間流路4の延在方向に沿って内部流路2側に向かって凹んでいる。
【0046】
このような外壁(上壁)116を有する熱交換コア1によれば、中間流路4と外部とを隔てる外壁(上壁)116が内部流路2側に向かって凹んでいるので、外壁(上壁)116が内部流路2側に向かって凹んでいない場合に比べて外壁(上壁)116を軽量化できる。
【0047】
[内部流路2、中間流路4及びヘッダ流路3の位置関係]
図4に示すように、ヘッダ流路3は、少なくとも部分的に、内部流路2の延在方向において、中間流路4を挟んで内部流路2の反対側に位置している。
【0048】
このような内部流路2、中間流路4及びヘッダ流路3の位置関係を有する熱交換コア1によれば、ヘッダ流路3の断面積を十分に確保しながら、中間流路4と外部とを隔てる外壁の肉厚を抑制できる。このように肉厚を抑制することで、造形体積が小さくなるので、造形時間も短くなり、使用金属量を少なくできる。これにより熱交換コア1の製造コストも低減できる。
【0049】
[熱交換コア1の追加構成]
図6に示すように、熱交換コア1は、ヘッダ部12からヘッダ流路3の延在方向に突出する接続配管13を備えるものであってもよい。接続配管13は、ヘッダ流路3に連通する接続流路5を有する。このように接続配管13を備える熱交換コア1は、流体供給源に接続された流体供給配管(流体供給路)、又は、流体排出先に接続された流体排出配管(流体排出路)を熱交換コア1(接続配管13)に簡単に接続することができる。
【0050】
図6に示すように、接続流路5の内壁5aは、第3領域5a3と第4領域5a4とを含む。第3領域5a3は、ヘッダ流路3の第1領域3a1に連なり、複数の内部流路2の延在方向における一方側に位置する非オーバハング領域である。第4領域5a4は、ヘッダ流路3の第2領域3a2に連なり、複数の内部流路2の延在方向における他方側に位置するオーバハング領域である。第4領域5a4は、ヘッダ流路3の第2領域3a2と同様に、複数の内部流路2の延在方向に対してなす角度が60度以下、好ましくは45度以下である傾斜面を含む。
【0051】
例えば、接続配管13の肉厚は一定であって、下半部分の断面が円弧状であり、上半部分の断面が山形状であるが、これに限られるものではなく、接続配管13の外周は断面が円形であってもよい。
【0052】
また、接続配管13は、接続配管13をヘッダ部12から支持する支持部14を有するものであってもよい。このように接続配管13をヘッダ部12から支持する支持部14を有する接続配管13は、積層造形によって熱交換コア1の本体部とともに製造可能である。
【0053】
このような接続流路5の内壁5aを有する熱交換コア1によれば、複数の内部流路2の延在方向に対して接続流路5の第4領域5a4をなす傾斜面がなす角度が60度、好ましくは45度以下であるから、積層造形によって熱交換コア1とともに接続配管13を造形する場合においてオーバハングの課題を回避しながら積層造形できる。また、接続配管13の第4領域5a4がどちらに位置するかを目安に熱交換コア1の天地を判断できるので、熱交換コア1の天地を間違えて設置する虞を低減できる。
【0054】
[複数の接続配管13]
図6に示すように、熱交換コア1は、複数の内部流路2の両端側にそれぞれ位置する一対の接続配管13を含む。そして、一対の第4領域5a4は第3領域5a3に対して同じ側に設けられる。例えば、熱交換コア1は、第1流路21の両端側に位置する一対の接続配管13、第1接続配管131と第3接続配管133とを含む。そして、第1接続配管131の第4領域5a4と第3接続配管133の第4領域5a4は第3領域5a3に対して同じ側に設けられる。例えば、第1接続配管131と第3接続配管133は、それぞれ重力方向下方側に第3領域5a3が設けられ、上方側に第4領域5a4が設けられる。また、例えば、熱交換コア1は、第2流路22の両端側に位置する一対の接続配管13、第2接続配管132と第4接続配管134とを含む。そして、第2接続配管132の第4領域5a4と第4接続配管134の第4領域5a4は第3領域5a3に対して同じ側に設けられる。例えば、第2接続配管132と第4接続配管134は、それぞれ重力方向下方側に第3領域5a3が設けられ、上方側に第4領域5a4が設けられる。
【0055】
このような複数の接続配管13を含む熱交換コア1によれば、一対の接続配管13の第4領域5a4が第3領域5a3に対して同じ側に設けられるので、接続配管13よりも内部流路2を優先して内部流路2の延在方向を積層方向とした場合であっても、オーバハングの課題を回避しながら一対の接続配管13も含めて積層造形できる。また、接続配管13の第4領域5a4がどちらに位置するかを目安に熱交換コア1の天地を判断できるので、熱交換コア1の天地を間違えて設置する虞を低減できる。
【0056】
[熱交換コア1のアダプタ15]
図7に示すように、熱交換コア1は、ヘッダ部12にアダプタ15を備えるものであってもよい。アダプタ15は、流体供給配管16又は流体排出配管17とヘッダ部12との間で流路断面形状を変換するものであって、例えば、熱交換コア1のヘッダ部12に接合される。アダプタ15は、流体供給配管16又は流体排出配管17側に流体供給配管16又は流体排出配管17と同一の流路断面形状15aを有し、ヘッダ部12側にヘッダ流路3と同一の流路断面形状15bを有する。アダプタ15の流体供給配管16又は流体排出配管17側とヘッダ部12側は連通しており、流体供給配管16又は流体排出配管17側からヘッダ部12側に向けて流路断面積を維持しつつ流路断面形状が変化する。
【0057】
このようなアダプタ15を備えた熱交換コア1によれば、流体供給配管16又は流体排出配管17の流路断面形状とヘッダ流路3の流路断面形状とが異なる場合でも流体供給配管16又は流体排出配管17とヘッダ部12とを接続することができる。そして、流体供給配管16又は流体排出配管17側からヘッダ部12側に向けて流路断面積を維持しつつ流路断面形状が変化するので、流体供給配管16からヘッダ流路3に流れる流体、又は、ヘッダ流路3から流路排出配管に流れる流体の圧力損失を抑制できる。
【0058】
[熱交換器6]
図8に示すように、本開示の実施形態による熱交換器6は、上述した熱交換コア1と、該熱交換コア1が収容される筐体7と、を備える。筐体7は、熱交換コア1が収容された場合に接続配管13が嵌合される嵌合凹部71と、嵌合凹部71に接続配管13が嵌合された場合に接続流路5が連通する流路72とを備える。尚、接続配管13が支持部14を有する場合に、筐体7は、熱交換コア1が収容された場合に支持部14を含み接続配管13が嵌合凹部71に嵌合される。
【0059】
このような熱交換器6によれば、筐体7に熱交換コア1が収容され、接続配管13が嵌合凹部71に嵌合されることで、流路72に接続流路5が連通するので、筐体7に熱交換コア1を収容することで、流路72に接続流路5を接続することができる。また、接続配管13が嵌合凹部71に嵌合されるので、接続配管13と嵌合凹部71との間のガタが小さく、微調整等の必要がない。
【0060】
また、特に図示はしないが、筐体7に複数の収容凹部を設け、筐体7に複数の熱交換コア1を収容することで一つの熱交換器6を構成することとすれば、熱交換器6が熱交換する熱交換量を大きくすることができる(スケールアップが可能)。
【0061】
また、例えば、接続配管13の肉厚が一定であって、下半部分の断面が円弧状であり、上半部分の断面が山形状である場合には、熱交換コア1の天地を間違えると接続配管13が嵌合凹部71につかえて嵌合されないので、熱交換コア1の天地を間違えたままにするのを防止できる。
【0062】
また、図示はしないが、上述した熱交換コア1がアダプタ15を備える場合に、筐体7は、熱交換コア1が収容された場合に、嵌合凹部71にアダプタ15が嵌合するものとしてもよい。このようにすれば、筐体7に熱交換コア1が収容され、アダプタ15が嵌合凹部71に嵌合されることで、流路72にヘッダ流路3が連通するので、筐体7に熱交換コア1を収容することで、流路72にヘッダ流路3を接続することができる。この例において、嵌合凹部71にアダプタ15との間のシール機能を設けることが可能である。
【0063】
[熱交換コア1の製造方法]
本開示の実施形態による熱交換コア1の製造方法は、互いに平行に延在する複数の内部流路2と、複数の内部流路2と連通するヘッダ流路3とを備える熱交換コア1の製造方法である。熱交換コア1の製造方法は、内部流路2の延在方向に沿って積層造形を行うことで、内部流路2を形成するステップと、内部流路2の延在方向に沿って積層造形を行うことで、ヘッダ流路3を形成するステップと、を備える。この熱交換コア1の製造方法において、ヘッダ流路3の内壁3aは、内部流路2の流路壁2aよりも大きな表面粗さを有する。
【0064】
このような熱交換コア1の製造方法によれば、ヘッダ流路3の内壁3aは内部流路2の流路壁2aよりも大きな表面粗さを有するので、ヘッダ流路3を形成するステップにおける単位体積当たりの造形時間を内部流路2が設けられる部分よりも短くできる。よって、熱交換コア1全体の造形時間を短くできるので、熱交換コア1の製造コストを低減できる。
【0065】
また、この熱交換コア1の製造方法において、ヘッダ流路3の内壁3aは、第1領域3a1と第2領域3a2とを有する。第1領域3a1は、複数の内部流路2の延在方向における一方側に位置し、第2領域3a2は、複数の内部流路2の延在方向における他方側に位置し、複数の内部流路2の延在方向に対してなす角度が60度以下、好ましくは45度以下である傾斜面を含む。
【0066】
このような熱交換コア1の製造方法によれば、内部流路2の延在方向に対してヘッダ流路3の第2領域3a2の傾斜面がなす角度が60度以下、好ましくは45度以下であるから、ヘッダ流路3よりも内部流路2を優先して流路方向に積層して行く場合であっても、オーバハングの問題を回避しながらヘッダ流路3を含めて積層造形できる。
【0067】
[内部流路2とヘッダ流路3の積層造形]
内部流路2とヘッダ流路3の積層造形は、金属粉末を敷き詰めるステップと金属粉末にエネルギを付与して金属粉末を溶融凝固する一連のサイクルとする繰り返しを含む。
図9に示すように、この積層造形において、ヘッダ流路3は、少なくとも部分的に、複数の内部流路2の延在方向における複数の内部流路2の形成範囲2A内に配置され、ヘッダ流路3が設けられる部分(ヘッダ部12)と複数の内部流路2が設けられる部分(本体部11)とが一連のサイクルによって造形される。
【0068】
このような熱交換コア1の製造方法によれば、ヘッダ流路3は複数の内部流路2の延在方向の形成範囲2A内に配置され、ヘッダ流路3が設けられる部分と複数の内部流路2が設けられる部分が一連のサイクルによって造形されるので、内部流路2の延在方向における熱交換コア1の寸法を抑制し、熱交換コア1のコンパクト化を図ることができ、熱交換コア1の造形時間を短くできる。
【0069】
[エネルギの付与頻度]
金属粉末を溶融凝固するステップにおいてヘッダ流路3が設けられる部分(ヘッダ部12)に付与されるエネルギの付与頻度が複数の内部流路2が設けられる部分(本体部11)よりも少ない。例えば、上述した内部流路2とヘッダ流路3の積層造形において金属粉末をレーザ照射により溶融凝固する場合に、内部流路2が設けられる部分(本体部11)の積層造形において金属粉末にレーザを照射する回数を金属粉末を敷き詰める回数と同じにする一方、ヘッダ流路3が設けられる部分(ヘッダ部12)の積層造形において金属粉末にレーザを照射する回数を金属粉末を敷き詰める回数の半分にする。すなわち、本体部11の積層造形では金属粉末を敷き詰める回数1回に対してレーザを照射する回数を1回にする一方、ヘッダ部12の積層造形では金属粉末を敷き詰める回数2回に対してレーザを照射する回数を1回にする。言い換えると、本体部11の積層造形では金属粉末を敷き詰めるごとにレーザを照射する一方、ヘッダ部12の積層造形ではレーザの照射を2回に1回スキップする。
【0070】
このような熱交換コア1の製造方法によれば、ヘッダ流路3が設けられる部分に付与されるエネルギの付与頻度が内部流路2が設けられる部分よりも少ないので、ヘッダ流路3が設けられる部分の単位面積当たりの造形時間を内部流路2が設けられる部分よりも短くできる。よって、熱交換コア1全体の造形時間を短くできるので、熱交換コア1の製造コストを低減できる。すなわち、上述した例では、本体部11の積層造形では金属粉末を敷き詰めるごとにレーザを照射する一方、ヘッダ部12の積層造形ではレーザの照射を2回に1回スキップするので、1回スキップする分だけ造形時間を短くでき、熱交換コア1の製造コストを低減できる。
【0071】
また、ヘッダ流路3の第1領域3a1をなす部分に付与されるエネルギの付与頻度が第2領域3a2をなす部分よりも少ない。例えば、ヘッダ流路3の積層造形において金属粉末をレーザ照射により溶融凝固する場合に、第2領域3a2をなす部分の積層造形において金属粉末にレーザを照射する回数を金属粉末を敷き詰める回数と同じにする一方、第1領域3a1をなす部分の積層造形において金属粉末にレーザを照射する回数を金属粉末を敷き詰める回数の半分にする。すなわち、第2領域3a2の積層造形では金属粉末を敷き詰める回数1回に対してレーザを照射する回数を1回にする一方、第1領域3a1の積層造形では金属粉末を敷き詰める回数2回に対してレーザを照射する回数を1回にする。言い換えると、第2領域3a2の積層造形では金属粉末を敷き詰めるごとにレーザを照射する一方、第1領域3a1の積層造形ではレーザの照射を2回に1回スキップする。
【0072】
このような熱交換コア1の製造方法によれば、第1領域3a1をなす部分に付与されるエネルギの付与頻度が第2領域3a2をなす部分よりも少ないので、第1領域3a1をなす部分の単位面積当たりの造形時間を第2領域3a2をなす部分よりも短くできる。よって、熱交換コア1全体の造形事件を短くできるので、熱交換コア1の製造コストを低減できる。すなわち、上述した例では、第2領域3a2の積層造形では金属粉末を敷き詰めるごとにレーザを照射する一方、第1領域3a1の積層造形ではレーザの照射を2回に1回スキップするので、1回スキップする分だけ造形時間を短くでき、熱交換コア1の製造コストを低減できる。
【0073】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0074】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば、以下のように把握される。
【0075】
[1]一の態様に係る熱交換コア(1)は、
互いに平行に延在する複数の内部流路(2)と、
前記複数の内部流路(2)の延在方向における前記複数の内部流路(2)の端部において、該複数の内部流路(2)に連通するヘッダ流路(3)と、
を備え、
前記ヘッダ流路(3)の内壁(3a)は、
前記複数の内部流路(2)の前記延在方向における一方側に位置する第1領域(3a1)と、
前記延在方向における他方側に位置し、前記延在方向に対してなす角度が60度以下である傾斜面を含む第2領域(3a2)と、
を有する。
【0076】
このような構成によれば、複数の内部流路(2)の延在方向に対してヘッダ流路(3)の第2領域(3a2)の傾斜面がなす角度が60度以下であるから、ヘッダ流路(3)よりも複数の内部流路(2)を優先して複数の内部流路(2)の延在方向を積層方向とした場合でもオーバハングの課題を回避しながらヘッダ流路(3)も含めて積層造形できる。
また、ヘッダ流路(3)の第2領域(3a2)がどちらに位置するかを目安に熱交換コア(1)の天地を判断できるので、熱交換コア(1)の天地を間違えて設置する虞を低減できる。
【0077】
[2]別の態様に係る熱交換コア(1)は、[1]に記載の熱交換コア(1)であって、
前記ヘッダ流路(3)は、少なくとも部分的に、前記複数の内部流路(2)の延在方向における前記複数の内部流路(2)の形成範囲(2A)内に配置される。
【0078】
このような構成によれば、ヘッダ流路(3)は複数の内部流路(2)の延在方向における複数の内部流路(2)の形成範囲(2A)内に配置されるので、複数の内部流路(2)の延在方向における熱交換コア(1)の寸法を抑制し、熱交換コア(1)のコンパクト化を図ることができる。複数の内部流路(2)の延在方向における複数の内部流路(2)の形成範囲(2A)内にヘッダ流路(3)が形成されていることからヘッダ流路(3)のオーバハングが問題となるが、上記[6]の構成によってオーバハングの問題は解消できる。よって、オーバハングの課題を回避しながらコンパクトな熱交換コア(1)を積層造形で効率的に製造できる。
【0079】
[3]別の態様に係る熱交換コア(1)は、[1]又は[2]に記載の熱交換コア(1)であって、
前記複数の内部流路(2)の両端側にそれぞれ位置する一対の前記ヘッダ流路(3)を含み、一対の前記ヘッダ流路(3)の前記第2領域(3a2)は前記第1領域(3a1)に対して同じ側に設けられる。
【0080】
このような構成によれば、一対のヘッダ流路(3)の第2領域(3a2)は第1領域(3a1)に対して同じ側に設けられるので、ヘッダ流路(3)よりも複数の内部流路(2)を優先して複数の内部流路(2)の延在方向を積層方向とした場合でもオーバハングの課題を回避しながら一対のヘッダ流路(3)も含めて積層造形できる。また、ヘッダ流路(3)の第2領域(3a2)がどちらに位置するかを目安に熱交換コア(1)の天地を判断できるので、熱交換コア(1)の天地を間違えて設置する虞を低減できる。
【0081】
[4]また別の態様に係る熱交換コア(1)は、[1]から[3]のいずれか一つに記載の熱交換コア(1)であって、
前記第1領域(3a1)は、横断面が円弧形状に形成された溝型に形成される。
【0082】
このような構成によれば、第1領域(3a1)は、横断面が円弧形状に形成された溝型に形成されるので、横断面が矩形の溝形、横断面が逆三角形の溝形等よりも大きな流路断面積を確保しつつ第1領域(3a1)の肉厚を抑制できる。
【0083】
[5]別の態様に係る熱交換コア(1)は、[1]から[4]のいずれか一つに記載の熱交換コア(1)であって、
前記複数の内部流路(2)を有する本体部(11)と、
前記本体部(11)の少なくとも一方の端部側において前記ヘッダ流路(3)を有するヘッダ部(12)と、
を備え、
前記ヘッダ流路(3)の少なくとも一部は、前記複数の内部流路(2)の延在方向から視た平面視において前記複数の内部流路(2)の配置領域から外側に外れた領域に位置し、
前記本体部(11)は、前記平面視において前記ヘッダ流路(3)のうち前記配置領域から最も外側に離れた部位よりも前記配置領域寄りにおいて前記複数の内部流路(2)の延在方向に沿って延在する本体部側面を有する。
【0084】
このような構成によれば、本体部(11)は、複数の内部流路(2)の延在方向から視た平面視においてヘッダ流路(3)のうち配置領域から最も外側に離れた部位よりも配置領域よりにおいて複数の内部流路(2)の延在方向に沿って延在する本体部側面を有するので、配置領域と本体部側面との距離を抑制できる。よって、本体部側面の肉厚を抑制でき、熱交換コア(1)を軽量化できる。
【0085】
[6]別の態様に係る熱交換コア(1)は、[5]に記載の熱交換コア(1)であって、
前記複数の内部流路(2)と前記ヘッダ流路(3)を連通させるための中間流路(4)を備え、
前記中間流路(4)と外部とを隔てる外壁(上壁)(116)は、前記ヘッダ部(12)に対して中間流路(4)の延在方向に向かって凹んでいる。
【0086】
このような構成によれば、中間流路(4)と外部とを隔てる外壁(上壁)(116)は、ヘッダ部(12)に対して中間流路(4)の延在方向に向かって凹んでいるので、外壁(上壁)(116)が中間流路(3)の延在方向に向かって凹んでいない場合に比べて中間領域を軽量化できる。
【0087】
[7]別の態様に係る熱交換コア(1)は、[6]に記載の熱交換コア(1)であって、
前記ヘッダ流路(3)は、少なくとも部分的に、前記延在方向において、前記中間流路(4)を挟んで前記複数の内部流路(2)の反対側に位置している。
【0088】
このような構成によれば、ヘッダ流路(3)の断面積を十分に確保しながら、中間流路(4)と外部とを隔てる外壁の肉厚が過剰となりコスト増になる問題も解消できる。
【0089】
[8]別の態様に係る熱交換コア(1)は、[1]から[7]のいずれか一つに記載の熱交換コア(1)であって、
前記ヘッダ流路(3)は、複数であって、
複数の前記ヘッダ流路(3)は、流路開口形状が互いに異なる。
【0090】
このような構成によれば、熱交換コア(1)に配管を接続するときに、流路開口形状の違いにより接続間違いを防止できる。
【0091】
[9]別の態様に係る熱交換コア(1)は、[1]から[8]のいずれか一つに記載の熱交換コア(1)であって、
前記ヘッダ流路(3)の内壁(3a)は、前記複数の内部流路(2)の流路壁(2a)よりも大きな表面粗さを有する。
【0092】
例えば、日本工業規格(JIS)には、表面粗さを表すパラメータとして、算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)、十点平均粗さ(Rz)、凹凸の平均間隔(Sm)、局部山頂の平均間隔(S)及び負荷長さ率(tp)の定義並びに表示について規定されており、表面粗さは、対象物の表面からランダムに抜き取った各部分におけるそれぞれの算術平均値である、とされている。
【0093】
このような構成によれば、ヘッダ流路(3)の内壁(3a)は複数の内部流路(2)の流路壁(2a)よりも大きな表面粗さを有するので、積層造形によって熱交換コア(1)を造形する場合において、ヘッダ流路(3)が設けられる部分の単位体積当たりの造形時間を内部流路(2)が設けられる部分よりも短くできる。よって、熱交換コア(1)全体でも造形時間が短くできるので、熱交換コア(1)の製造コストを低減できる。
【0094】
[10]別の態様に係る熱交換コア(1)は、[1]から[9]のいずれか一つに記載の熱交換コア(1)であって、
前記第1領域(非オーバハング領域)(3a1)は、第1表面粗さを有する一方、
前記第2領域(オーバハング領域)(3a2)は、前記第1表面粗さ以上の第2表面粗さを有し、
前記第1表面粗さは、前記複数の内部流路(2)の前記流路壁(2a)の表面粗さよりも大きい。
【0095】
このような構成によれば、ヘッダ流路(3)の第2領域(オーバハング領域)(3a2)の第2表面粗さは第1領域(非オーバハング領域)(3a1)の第1表面粗さ以上であり、ヘッダ流路(3)の第1領域(非オーバハング領域)(3a1)は複数の内部流路(2)の流路壁(2a)の表面粗さよりも大きい。
よって、
第2領域(3a2)の第2表面粗さ≧第1領域(3a1)の第1表面粗さ>複数の内部流路(2)の流路壁(2a)の表面粗さ
となる。
すなわち、第1領域(非オーバハング領域)(3a1)の第1表面粗さは第2領域(オーバハング領域)(3a2)の第2表面粗さと同等以下であり、第1領域(3a1)が設けられる部分の単位面積当たりの造形時間を複数の内部流路(2)が設けられる部分よりも短くできる。よって、熱交換コア(1)は全体でも造形時間が短くできるので、熱交換コア(1)の製造コストを低減できる。
【0096】
[11]別の態様に係る熱交換コア(1)は、[1]から[10]のいずれか一つに記載の熱交換コア(1)であって、
ヘッダ流路(3)と他方の流体が流れる中間流路(4)との間の隔壁(4a)は、前記複数の内部流路(2)の延在方向に沿っている。
【0097】
このような構成によれば、異種流体を隔てる隔壁(4a)がオーバハング形状とならないので隔壁(4a)を薄肉化できる。このため、ヘッダ流路(3)を複数の内部流路(2)配置領域側へと内側に寄せることができ、熱交換コア(1)のコンパクト化を実現できる。
【0098】
[12]別の態様に係る熱交換コア(1)は、[1]から[11]のいずれか一つに記載の熱交換コア(1)であって、
前記複数の内部流路(2)の端部に隣接して設けられる中間流路(4)を備え、
ヘッダ流路(3)の内壁(3a)は、円弧形状を有する湾曲面(3a3)を含んでいて、隔壁(4a)は湾曲面(3a3)の一部を表面に有し、
前記湾曲面(3a3)の曲率中心(3a31)は、前記複数の内部流路(2)の延在方向において、中間流路(4)の形成範囲(4A)内に位置する。
【0099】
このような構成によれば、円弧形状の湾曲面(3a3)を有するヘッダ流路(3)の内壁において、円弧形状の接線方向を複数の内部流路(2)の延在方向に沿わせることができ、隔壁(4a)の薄肉化を簡素なヘッダ流路形状により実現できる。
【0100】
[13]別の態様に係る熱交換コア(1)は、[5]から[7]のいずれか一つに記載の熱交換コア(1)であって、
前記ヘッダ部(12)から前記ヘッダ流路(3)の延在方向に突出する接続配管(13)を備え、
前記接続配管(13)は、前記ヘッダ流路(3)に連通する接続流路(5)を有する。
【0101】
このような構成によれば、流体供給源に接続された流体供給配管(16)、又は、流体排出先に接続された流体排出配管(17)を熱交換コア(1)(接続配管(13))に簡単に接続することができる。
【0102】
[14]一の態様に係る熱交換器(6)は、
[13]に記載の熱交換コア(1)と、
前記熱交換コア(1)が収容される筐体(7)と、
を備え、
前記筐体(7)は、
前記熱交換コア(1)が収容された場合に前記接続配管(13)が嵌合される嵌合凹部(71)と、
前記嵌合凹部(71)に前記接続配管(13)が嵌合された場合に前記接続流路(5)が連通する流路(72)と、
を有する。
【0103】
このような構成によれば、筐体(7)に熱交換コア(1)が収容され、接続配管(13)が嵌合凹部(71)に嵌合されることで、流路(72)に接続流路(5)が連通するので、筐体(7)に熱交換コア(1)を収容することで、流路(72)に接続流路(5)を接続することができる。
【0104】
[15]一の態様に係る熱交換コア(1)の製造方法は、
互いに平行に延在する複数の内部流路(2)と、前記複数の内部流路(2)と連通するヘッダ流路(3)とを備える熱交換コア(1)の製造方法であって、
前記複数の内部流路(2)の延在方向に沿って積層造形を行うことで、前記複数の内部流路(2)を形成するステップと、
前記延在方向に沿って積層造形を行うことで、前記ヘッダ流路(3)を形成するステップと、
を備え、
前記ヘッダ流路(3)の内壁(3a)は、
前記複数の内部流路(2)の前記延在方向における一方側に位置する第1領域(3a1)と、
前記延在方向における他方側に位置し、前記延在方向に対してなす角度が60度以下である傾斜面を含む第2領域(3a2)と、
を有する。
【0105】
このような製造方法によれば、複数の内部流路(2)の延在方向に対してヘッダ流路(3)の内壁(3a)の第2領域(3a2)の傾斜面がなす角度が60度以下であるから、ヘッダ流路(3)よりも複数の内部流路(2)を優先して複数の内部流路(2)の延在方向を積層方向とした場合でもオーバハングの問題を回避しながらヘッダ流路(3)を含めて積層造形できる。
【0106】
[16]別の態様に係る熱交換コア(1)の製造方法は、上記[15]に記載の熱交換コア(1)の製造方法であって、
前記ヘッダ流路(3)の内壁(3a)は、
前記複数の内部流路(2)の流路壁(2a)よりも大きな表面粗さを有する。
【0107】
本開示に係る熱交換コア(1)の製造方法によれば、ヘッダ流路(3)の内壁(3a)は内部流路(2)の流路壁(2a)よりも大きな表面粗さを有するので、ヘッダ流路(3)を形成するステップにおける単位体積当たりの造形時間を複数の内部流路(2)が設けられる部分よりも短くできる。よって、熱交換コア(1)は全体の造形時間を短くできるので、熱交換コア(1)の製造コストを低減できる。
【0108】
[17]別の態様に係る熱交換コア(1)の製造方法は、[15]又は[16]に記載の熱交換コア(1)の製造方法であって、
前記積層造形は、
金属粉末を敷き詰めるステップと前記金属粉末にエネルギを付与して前記金属粉末を溶融凝固するステップを一連のサイクルとする繰り返しを含み、
前記ヘッダ流路(3)は、少なくとも部分的に、前記延在方向における前記複数の内部流路(2)の形成範囲(2A)に配置され、
前記ヘッダ流路(3)が設けられる部分と前記複数の内部流路(2)が設けられる部分とが前記一連のサイクルによって造形される。
【0109】
このような製造方法よれば、ヘッダ流路(3)は複数の内部流路(2)の延在方向における複数の内部流路(2)の形成範囲(2A)に配置され、ヘッダ流路(3)が設けられる部分と複数の内部流路(2)が設けられる部分とが一連のサイクルによって造形されるので、複数の内部流路(2)の延在方向における熱交換コア(1)の寸法を抑制し、熱交換コア(1)のコンパクト化を図ることができ、熱交換コア(1)の造形時間を短くできる。
【0110】
[18]別の態様に係る熱交換コア(1)は、[17]に記載の熱交換コア(1)の製造方法であって、
前記金属粉末を溶融凝固するステップにおいて前記ヘッダ流路(3)が設けられる部分に付与されるエネルギの付与頻度が前記複数の内部流路(2)が設けられる部分よりも少ない。
【0111】
このような製造方法によれば、ヘッダ流路(3)が設けられる部分に付与されるエネルギの付与頻度が複数の内部流路(2)が設けられる部分よりも少ないので、ヘッダ流路(3)が設けられる部分の単位面積当たりの造形時間を複数の内部流路(2)が設けられる部分よりも短くできる。よって、熱交換コア(1)全体の造形時間を短くできるので、熱交換コア(1)の製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0112】
1 熱交換コア
11 本体部
111 外壁(底壁)
112 外壁(側壁)
116 外壁(上壁)
12 ヘッダ部
121 第1ヘッダ部
122 第2ヘッダ部
123 第3ヘッダ部
124 第4ヘッダ部
13 接続配管
131 第1接続配管
132 第2接続配管
133 第3接続配管
134 第4接続配管
14 支持部
15 アダプタ
16 流体供給配管
17 流体排出配管
2 内部流路
2A 内部流路の形成範囲
2a 流路壁
21 第1流路
21a 流路壁
211 分割流路
22 第2流路
22a 流路壁
221 分割流路
23 隔壁
24 区画壁
3 ヘッダ流路
3a ヘッダ流路の内壁
3a1 第1領域
3a2 第2領域
3a3 湾曲面
3a31 曲率中心
31 第1ヘッダ流路
31a 内壁
32 第2ヘッダ流路
32a 内壁
33 第3ヘッダ流路
33a 内壁
34 第4ヘッダ流路
34a 内壁
4 中間流路
4A 中間流路の形成範囲
4a 隔壁
41 第1中間流路
41a 隔壁
42 第2中間流路
42a 隔壁
5 接続流路
5a 接続流路の内壁
5a3 第3領域
5a4 第4領域
6 熱交換器
7 筐体
71 嵌合凹部
72 流路