(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】パッチアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
H01Q13/08
(21)【出願番号】P 2021028974
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2024-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 仁
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-312112(JP,A)
【文献】Amit A. Deshmukh and K. P. Ray,Multi-Band Configurations of Stub-Loaded Slotted Rectangular Microstrip Antennas,IEEE Antennas and Propagation Magazine,Vol.52, No.1,米国,2010年02月,pp.89-103
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電ピンにおいて給電線路によってプローブ給電され、共振方向における1辺の長さが中心周波数に対応する実効的な波長の0.5倍の長さより長いパッチと、
前記パッチの形成平面と同一の平面において形成され、前記パッチの共振方向と垂直な1辺において接続され、前記パッチと前記給電線路との間の整合を図るスタブと、
を備え
、
前記パッチは、2点の前記給電ピンにおいて2本の前記給電線路によって90度の位相差でもってプローブ給電され、円偏波を有する電波を放射及び/又は受信し、
2本の前記スタブは、前記パッチの各共振方向と垂直な各辺において接続される各一端の近傍において、前記パッチの各共振方向と垂直な各辺と平行な方向に折り曲げられる
ことを特徴とするパッチアンテナ。
【請求項2】
2本の前記スタブは、前記パッチに接続される各一端と反対側の各他端を遠ざけられる
ことを特徴とする、請求項
1に記載のパッチアンテナ。
【請求項3】
給電ピンにおいて給電線路によってプローブ給電され、共振方向における1辺の長さが中心周波数に対応する実効的な波長の0.5倍の長さより長いパッチと、
前記パッチの形成平面と同一の平面において形成され、前記パッチの共振方向と垂直な1辺において接続され、前記パッチと前記給電線路との間の整合を図るスタブと、
を備え
、
前記パッチは、1点の前記給電ピンにおいて1本の前記給電線路によってプローブ給電され、直線偏波又は円偏波を有する電波を放射及び/又は受信し、
1本の前記スタブは、前記パッチの共振方向と垂直な1辺において接続される一端の近傍において、前記パッチの共振方向と垂直な1辺と平行な方向に折り曲げられる
ことを特徴とするパッチアンテナ。
【請求項4】
前記パッチの共振方向における1辺の長さは、前記パッチの中心周波数に対応する実効的な波長と比べて、0.5倍の長さより長く0.75倍の長さ以下である
ことを特徴とする、請求項1
から3のいずれかに記載のパッチアンテナ。
【請求項5】
前記スタブは、前記給電ピンから前記パッチの共振方向へと延長した直線と、前記パッチの共振方向と垂直な1辺と、の間の交点において接続される
ことを特徴とする、請求項1
から4のいずれかに記載のパッチアンテナ。
【請求項6】
前記スタブは、前記パッチに接続される一端と反対側の他端をオープンにされる
ことを特徴とする、請求項1から
5のいずれかに記載のパッチアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パッチアンテナを高利得化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パッチアンテナを高利得化する技術が、特許文献1等に開示されている。特許文献1では、パッチアンテナを高利得化しながら、グランド面積を削減可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パッチアンテナを高利得化するために、アレイ化を図ることが考えられるが、開口面積を広くすることも考えられる。そして、パッチアンテナの開口面積を広くするために、共振方向長さを実効波長の0.5倍より長くすることが考えられる。
【0005】
ここで、パッチアンテナは並列共振回路と等価であり、共振方向長さを実効波長の0.5倍より長くしたときに、インダクタンスは誘導性リアクタンスを有する。よって、パッチアンテナの共振方向長さを実効波長の0.5倍より長くしたときに、給電ピン位置を調整するのみでは、パッチアンテナと給電線路との間の整合を図ることができない。
【0006】
そこで、パッチアンテナの共振方向長さを実効波長の0.5倍より長くしたときに、外付整合回路を配置することにより、パッチアンテナと給電線路との間の整合を図ることが考えられる。しかし、パッチアンテナが複雑化するため、製造及び設計が困難になる。
【0007】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、パッチアンテナを高利得化するために、開口面積を広くするにあたり、パッチアンテナを複雑化することなく、製造及び設計を容易にしたうえで、パッチアンテナと給電線路との間の整合を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来技術では、パッチと給電線路との間の整合を図るスタブを、給電線路から見てパッチと並列に挿入している。前記課題を解決するために、本開示では、パッチと給電線路との間の整合を図るスタブを、パッチと同一平面に形成しパッチと一体化している。
【0009】
具体的には、本開示は、給電ピンにおいて給電線路によってプローブ給電され、共振方向における1辺の長さが中心周波数に対応する実効的な波長の0.5倍の長さより長いパッチと、前記パッチの形成平面と同一の平面において形成され、前記パッチの共振方向と垂直な1辺において接続され、前記パッチと前記給電線路との間の整合を図るスタブと、を備えることを特徴とするパッチアンテナである。
【0010】
この構成によれば、パッチアンテナの共振方向長さを実効波長の0.5倍より長くしたときも、外付整合回路を配置することなく、パッチと一体化したスタブを配置することにより、パッチアンテナと給電線路との間の整合を図ることができる。
【0011】
また、本開示は、前記パッチの共振方向における1辺の長さは、前記パッチの中心周波数に対応する実効的な波長と比べて、0.5倍の長さより長く0.75倍の長さ以下であることを特徴とするパッチアンテナである。
【0012】
この構成によれば、グレーティングローブに電力を分散させることなく、メインローブに電力を集中させることができ、パッチアンテナを高利得化することができる。
【0013】
また、本開示は、前記スタブは、前記給電ピンから前記パッチの共振方向へと延長した直線と、前記パッチの共振方向と垂直な1辺と、の間の交点において接続されることを特徴とするパッチアンテナである。
【0014】
この構成によれば、給電線路から見てパッチと並列に挿入したスタブと同様な方法により、パッチと同一平面に形成しパッチと一体化したスタブを設計することができる。
【0015】
また、本開示は、前記スタブは、前記パッチに接続される一端と反対側の他端をオープンにされることを特徴とするパッチアンテナである。
【0016】
この構成によれば、オープンスタブのオープンにされた端部を製造段階で少しずつ切り取ることにより、パッチアンテナと給電線路との間の整合を微調整することができる。
【0017】
また、本開示は、前記パッチは、2点の前記給電ピンにおいて2本の前記給電線路によって90度の位相差でもってプローブ給電され、円偏波を有する電波を放射及び/又は受信し、2本の前記スタブは、前記パッチの各共振方向と垂直な各辺において接続される各一端の近傍において、前記パッチの各共振方向と垂直な各辺と平行な方向に折り曲げられることを特徴とするパッチアンテナである。
【0018】
この構成によれば、2点給電の円偏波パッチアンテナを高利得化及び小型化することができ、パッチアンテナと周辺部品との間の干渉を低減することができる。
【0019】
また、本開示は、2本の前記スタブは、前記パッチに接続される各一端と反対側の各他端を遠ざけられることを特徴とするパッチアンテナである。
【0020】
この構成によれば、2本のスタブの間の電磁結合を低減することができ、2点給電の円偏波パッチアンテナの軸比特性(円偏波の歪み程度)を向上させることができる。
【0021】
また、本開示は、前記パッチは、1点の前記給電ピンにおいて1本の前記給電線路によってプローブ給電され、直線偏波又は円偏波を有する電波を放射及び/又は受信し、1本の前記スタブは、前記パッチの共振方向と垂直な1辺において接続される一端の近傍において、前記パッチの共振方向と垂直な1辺と平行な方向に折り曲げられることを特徴とするパッチアンテナである。
【0022】
この構成によれば、1点給電の直線偏波/円偏波パッチアンテナを高利得化及び小型化することができ、パッチアンテナと周辺部品との間の干渉を低減することができる。
【発明の効果】
【0023】
このように、本開示は、パッチアンテナを高利得化するために、開口面積を広くするにあたり、パッチアンテナを複雑化することなく、製造及び設計を容易にしたうえで、パッチアンテナと給電線路との間の整合を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の第1の2点給電の円偏波パッチアンテナの構成を示す図である。
【
図2】本開示の第2の2点給電の円偏波パッチアンテナの構成を示す図である。
【
図3】本開示の第3の2点給電の円偏波パッチアンテナの構成を示す図である。
【
図4】本開示の第4の2点給電の円偏波パッチアンテナの構成を示す図である。
【
図5】本開示の第1の2点給電の円偏波パッチアンテナの指向性を示す図である。
【
図6】本開示の1点給電の直線偏波パッチアンテナの構成を示す図である。
【
図7】本開示の第1の1点給電の円偏波パッチアンテナの構成を示す図である。
【
図8】本開示の第2の1点給電の円偏波パッチアンテナの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0026】
(本開示の2点給電の円偏波パッチアンテナ)
本開示の第1の2点給電の円偏波パッチアンテナの構成を
図1に示す。
図1に示したパッチアンテナPは、パッチ1及びスタブ2x、2yを備える。パッチ1の中心において、xy座標の原点が位置し、パッチ1の各辺と平行に、xy座標の各軸が位置する。
【0027】
パッチ1は、2点の給電ピン3x、3yにおいて2本の給電線路(不図示)によって90度の位相差でもってプローブ給電され、円偏波を有する電波を放射及び/又は受信する。給電ピン3xの座標は、(b、0)であり、給電ピン3yの座標は、(0、b)である。
【0028】
ここで、パッチアンテナPを高利得化するために、アレイ化を図ることが考えられるが、開口面積を広くすることも考えられる。そして、パッチアンテナPの開口面積を広くするために、共振方向長さを実効波長の0.5倍より長くすることが考えられる。
【0029】
パッチ1のx軸と平行な共振方向における1辺の長さ2aは、パッチ1のx軸と平行な偏波方向における中心周波数fに対応する実効的な波長λg(=真空中の波長λ/√(実効的な誘電率εr))と比べて、0.5λg<2a≦0.75λgを満たしている。パッチ1のy軸と平行な共振方向における1辺の長さ2aは、パッチ1のy軸と平行な偏波方向における中心周波数fに対応する実効的な波長λg(=真空中の波長λ/√(実効的な誘電率εr))と比べて、0.5λg<2a≦0.75λgを満たしている。
【0030】
ここで、パッチアンテナPは並列共振回路と等価であり、共振方向長さを実効波長の0.5倍より長くしたときに、インダクタンスは誘導性リアクタンスを有する。よって、パッチアンテナPの共振方向長さを実効波長の0.5倍より長くしたときに、給電ピン位置を調整するのみでは、パッチアンテナPと給電線路との間の整合を図ることができない。
【0031】
スタブ2xは、パッチ1の形成平面(xy座標内)と同一の平面において形成され、パッチ1のx軸と平行な共振方向と垂直な1辺(x=a)において接続され、パッチ1と給電線路(不図示)との間の整合を図る。スタブ2yは、パッチ1の形成平面(xy座標内)と同一の平面において形成され、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)において接続され、パッチ1と給電線路(不図示)との間の整合を図る。
【0032】
ここで、従来技術では、パッチと給電線路との間の整合を図るスタブを、給電線路から見てパッチと並列に挿入している。一方で、本開示では、パッチ1と給電線路との間の整合を図るスタブ2x、2yを、パッチ1と同一平面に形成しパッチ1と一体化している。
【0033】
そして、スタブ2xの長さは、パッチ1と給電線路との間の整合を図るように、パッチ1の大きさ2a、給電ピン3xの位置(b、0)、実効的な誘電率εr及びスタブ2xの端部の状態(例えば、オープン又はショート等。)に応じて、適切に設計すればよい。さらに、スタブ2yの長さは、パッチ1と給電線路との間の整合を図るように、パッチ1の大きさ2a、給電ピン3yの位置(0、b)、実効的な誘電率εr及びスタブ2yの端部の状態(例えば、オープン又はショート等。)に応じて、適切に設計すればよい。
【0034】
よって、パッチアンテナPの共振方向長さを実効波長の0.5倍より長くしたときも、外付整合回路を配置することなく、パッチ1と一体化したスタブ2x、2yを配置することにより、パッチアンテナPと給電線路との間の整合を図ることができる。
【0035】
そして、グレーティングローブに電力を分散させることなく、メインローブに電力を集中させることができ、パッチアンテナPを高利得化することができる。
【0036】
これらのことをまとめると、パッチアンテナPを高利得化するために、開口面積を広くするにあたり、パッチアンテナPを複雑化することなく、製造及び設計を容易にしたうえで、パッチアンテナPと給電線路との間の整合を図ることができる。
【0037】
スタブ2xは、給電ピン3xからパッチ1のx軸と平行な共振方向へと延長した直線(y=0、つまりx軸)と、パッチ1のx軸と平行な共振方向と垂直な1辺(x=a)と、の間の交点(a、0)において接続される。スタブ2yは、給電ピン3yからパッチ1のy軸と平行な共振方向へと延長した直線(x=0、つまりy軸)と、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)と、の間の交点(0、a)において接続される。
【0038】
つまり、スタブ2xは、パッチ1と同一平面に形成されたうえで、パッチ1と一体化しているとともに、(b、0)から(a、0)までの長さ領域をパッチ1と共有している。そして、スタブ2yは、パッチ1と同一平面に形成されたうえで、パッチ1と一体化しているとともに、(0、b)から(0、a)までの長さ領域をパッチ1と共有している。
【0039】
よって、給電線路から見てパッチと並列に挿入したスタブと同様な方法により、パッチ1と同一平面に形成しパッチ1と一体化したスタブ2x、2yを設計することができる。
【0040】
スタブ2xは、パッチ1に接続される一端(a、0)と反対側の他端を、ショートにされるのではなく、オープンにされる。スタブ2yは、パッチ1に接続される一端(0、a)と反対側の他端を、ショートにされるのではなく、オープンにされる。
【0041】
ここで、スタブ2x、2yのショートにされた端部を設計段階で厳密に位置調整しなければ、パッチアンテナPと給電線路との間の整合を微調整することができない。
【0042】
一方で、スタブ2x、2yのオープンにされた端部を製造段階で少しずつ切り取ることにより、パッチアンテナPと給電線路との間の整合を微調整することができる。
【0043】
スタブ2xは、パッチ1のx軸と平行な共振方向と垂直な1辺(x=a)において接続される一端(a、0)の近傍において、パッチ1のx軸と平行な共振方向と垂直な1辺(x=a)と平行な方向に折り曲げられる。スタブ2yは、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)において接続される一端(0、a)の近傍において、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)と平行な方向に折り曲げられる。
【0044】
図1に示した本開示の第1の2点給電の円偏波パッチアンテナの構成との比較対象として、本開示の第2の2点給電の円偏波パッチアンテナの構成を
図2に示す。
【0045】
図2では、
図1との相違点として、スタブ2xは、パッチ1のx軸と平行な共振方向と垂直な1辺(x=a)において接続される一端(a、0)の近傍において、折り曲げられることなく、
図1と同様な長さだけ、x軸方向に延びている。スタブ2yは、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)において接続される一端(0、a)の近傍において、折り曲げられることなく、
図1と同様な長さだけ、y軸方向に延びている。
【0046】
図1では、2点給電の円偏波のパッチアンテナPを高利得化及び小型化することができ、パッチアンテナPと周辺部品との間の干渉を低減することができる。
【0047】
スタブ2x、2yは、パッチ1に接続される各一端(a、0)、(0、a)と反対側の各他端を、x軸の負の方向及びy軸の負の方向に向けられるため、互いに遠ざけられる。
【0048】
図1に示した本開示の第1の2点給電の円偏波パッチアンテナの構成との比較対象として、本開示の第3、4の2点給電の円偏波パッチアンテナの構成を
図3、4に示す。
【0049】
図3では、
図1との相違点として、スタブ2x、2yは、パッチ1に接続される各一端(a、0)、(0、a)と反対側の各他端を、x軸の正の方向及びy軸の正の方向に向けられるため、互いに近づけられる。
図4では、
図1との相違点として、スタブ2x、2yは、パッチ1に接続される各一端(a、0)、(0、a)と反対側の各他端を、x軸の負の方向及びy軸の正の方向に向けられるため、
図1、3の中間的な位置関係にある。
【0050】
図1では、2本のスタブ2x、2yの間の電磁結合を低減することができ、2点給電の円偏波のパッチアンテナPの軸比特性(円偏波の歪み程度)を向上させることができる。
【0051】
本開示の第1の2点給電の円偏波パッチアンテナの指向性を
図5に示す。従来技術の2点給電の円偏波パッチアンテナでは、パッチの1辺の長さは2a=0.5λ
gであり、スタブは接続されていない。本開示の第1の2点給電の円偏波パッチアンテナでは、パッチ1の1辺の長さは2a=0.6λ
gであり、スタブ2x、2yが接続されている。
【0052】
本開示の第1の2点給電の円偏波パッチアンテナでは、従来技術の2点給電の円偏波パッチアンテナと比べて、ビーム幅が狭いことに伴って、高利得化が図られている。
【0053】
(本開示の1点給電の直線偏波パッチアンテナ)
本開示の1点給電の直線偏波パッチアンテナの構成を
図6に示す。
図6に示したパッチアンテナPは、パッチ1及びスタブ2yを備える。パッチ1の中心において、xy座標の原点が位置し、パッチ1の各辺と平行に、xy座標の各軸が位置する。パッチ1は、1点の給電ピン3yにおいて1本の給電線路(不図示)によってプローブ給電され、直線偏波を有する電波を放射及び/又は受信する。給電ピン3yの座標は、(0、b)である。
【0054】
パッチ1のy軸と平行な共振方向における1辺の長さ2aは、パッチ1のy軸と平行な偏波方向における中心周波数fに対応する実効的な波長λg(=真空中の波長λ/√(実効的な誘電率εr))と比べて、0.5λg<2a≦0.75λgを満たしている。
【0055】
スタブ2yは、パッチ1の形成平面(xy座標内)と同一の平面において形成され、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)において接続され、パッチ1と給電線路(不図示)との間の整合を図る。スタブ2yは、給電ピン3yからパッチ1のy軸と平行な共振方向へと延長した直線(x=0、つまりy軸)と、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)と、の間の交点(0、a)において接続される。
【0056】
スタブ2yは、パッチ1に接続される一端(0、a)と反対側の他端を、ショートにされるのではなく、オープンにされる。スタブ2yは、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)において接続される一端(0、a)の近傍において、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)と平行な方向に折り曲げられる。
【0057】
よって、1点給電の直線偏波のパッチアンテナPを高利得化及び小型化することができ、パッチアンテナPと周辺部品との間の干渉を低減することができる。
【0058】
(本開示の1点給電の円偏波パッチアンテナ)
本開示の第1の1点給電の円偏波パッチアンテナの構成を
図7に示す。
図7に示したパッチアンテナPは、パッチ1及びスタブ2yを備える。パッチ1の中心において、xy座標の原点が位置し、パッチ1の各辺と平行に、xy座標の各軸が位置する。パッチ1は、1点の給電ピン3yにおいて1本の給電線路(不図示)によってプローブ給電され、円偏波を有する電波を放射及び/又は受信する。給電ピン3yの座標は、(0、b)である。
【0059】
パッチ1のx軸と平行な共振方向における1辺の長さ2aは、パッチ1のx軸と平行な偏波方向における中心周波数fに対応する実効的な波長λg(=真空中の波長λ/√(実効的な誘電率εr))と比べて、0.5λg<2a≦0.75λgを満たしている。パッチ1のy軸と平行な共振方向における1辺の長さ2aは、パッチ1のy軸と平行な偏波方向における中心周波数fに対応する実効的な波長λg(=真空中の波長λ/√(実効的な誘電率εr))と比べて、0.5λg<2a≦0.75λgを満たしている。パッチ1の(a、-a)及び(-a、a)の近傍において、切り欠き4が形成されている。
【0060】
スタブ2yは、パッチ1の形成平面(xy座標内)と同一の平面において形成され、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)において接続され、パッチ1と給電線路(不図示)との間の整合を図る。スタブ2yは、給電ピン3yからパッチ1のy軸と平行な共振方向へと延長した直線(x=0、つまりy軸)と、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)と、の間の交点(0、a)において接続される。
【0061】
スタブ2yは、パッチ1に接続される一端(0、a)と反対側の他端を、ショートにされるのではなく、オープンにされる。スタブ2yは、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)において接続される一端(0、a)の近傍において、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)と平行な方向に折り曲げられる。
【0062】
よって、1点給電の円偏波のパッチアンテナPを高利得化及び小型化することができ、パッチアンテナPと周辺部品との間の干渉を低減することができる。
【0063】
本開示の第2の1点給電の円偏波パッチアンテナの構成を
図8に示す。
図8に示したパッチアンテナPは、パッチ1及びスタブ2yを備える。パッチ1の中心において、xy座標の原点が位置し、パッチ1の各辺と平行に、xy座標の各軸が位置する。パッチ1は、1点の給電ピン3dにおいて1本の給電線路(不図示)によってプローブ給電され、円偏波を有する電波を放射及び/又は受信する。給電ピン3dの座標は、(b’、b)である。
【0064】
パッチ1のx軸と平行な共振方向における1辺の長さ2a’は、パッチ1のx軸と平行な偏波方向における中心周波数f’に対応する実効的な波長λg’(=真空中の波長λ’/√(実効的な誘電率εr))と比べて、0.5λg’<2a’≦0.75λg’を満たしている。パッチ1のy軸と平行な共振方向における1辺の長さ2aは、パッチ1のy軸と平行な偏波方向における中心周波数fに対応する実効的な波長λg(=真空中の波長λ/√(実効的な誘電率εr))と比べて、0.5λg<2a≦0.75λgを満たしている。
【0065】
スタブ2yは、パッチ1の形成平面(xy座標内)と同一の平面において形成され、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)において接続され、パッチ1と給電線路(不図示)との間の整合を図る。スタブ2yは、給電ピン3dからパッチ1のy軸と平行な共振方向へと延長した直線(x=b’)と、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)と、の間の交点(b’、a)において接続される。
【0066】
スタブ2yは、パッチ1に接続される一端(b’、a)と反対側の他端を、ショートにされるのではなく、オープンにされる。スタブ2yは、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)において接続される一端(b’、a)の近傍において、パッチ1のy軸と平行な共振方向と垂直な1辺(y=a)と平行な方向に折り曲げられる。
【0067】
よって、1点給電の円偏波のパッチアンテナPを高利得化及び小型化することができ、パッチアンテナPと周辺部品との間の干渉を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示のパッチアンテナは、小型化を要求される車載ETCアンテナと、円偏波を利用する衛星通信アンテナと、等において、パッチアンテナを高利得化することができる。
【符号の説明】
【0069】
P:パッチアンテナ
1:パッチ
2x、2y:スタブ
3x、3y、3d:給電ピン
4:切り欠き