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  • 特許-貯湯式給湯装置 図1
  • 特許-貯湯式給湯装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】貯湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20220101AFI20241008BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20241008BHJP
【FI】
F24H1/18 G
F24H1/18 A
F24H1/00 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021034486
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022134957
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】大平 晃寛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 元泰
(72)【発明者】
【氏名】阿部 基
(72)【発明者】
【氏名】大桃 正己
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-108704(JP,A)
【文献】特開2005-016274(JP,A)
【文献】特開2016-095081(JP,A)
【文献】特開2004-190967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H1/18
F24D17/00
E03B11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を貯湯する貯湯タンクと、
飲料用の水を貯水する貯水タンクと、
前記貯湯タンクの下部と前記貯水タンクの上部とを連結する連結管と、
前記貯湯タンクから取り出した水を加熱する加熱手段と、
前記貯湯タンク下部から前記加熱手段を介して前記貯湯タンク上部に戻す経路である加熱循環回路と、
前記貯湯タンク上部から出湯する出湯管と、
前記貯水タンク下部に給水する給水管と、
前記連結管から分岐した給水バイパス管と、
前記出湯管の高温水と前記給水バイパス管の給水とを混合する給湯混合弁と、
前記給湯混合弁で混合した混合水を給湯する給湯管とを備え、
前記貯水タンクの容量は、前記貯湯タンクの容量よりも小さくし、
前記連結管には、前記連結管を介した湯水の流れを遮断することができると共に、手動で開閉可能な非常用バルブを有し、
前記貯水タンクの上部には、手動で開閉可能な開閉弁を設け、
前記貯水タンクの下部には、前記貯水タンク内の水を取り出し可能な非常用取水栓が連通され
前記連結管には、前記貯湯タンク内の水が前記貯水タンク内に流入しないようにする逆止弁を設けたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断水時でも貯水タンク内に蓄えられた水を使用することができる貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、貯湯式給湯機のレジリエンス対応が求められており、雷や地震などで断水や停電になってしまっても貯湯タンク内に溜まった湯水を使用することができる貯湯式給湯装置が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1のように、非常時は、タンクユニット上部に備えられている逃し弁を開き、タンクユニット下部に備えられている非常用取水栓を開くことで、逃し弁から貯湯タンク内に空気が流入させ、貯湯タンク内の湯水を非常用取水栓からバケツ等に取水することができるものが知られている(特許文献1)。
【0004】
また、貯湯式給湯機の貯湯タンクの水は一度沸き上げを行うため水道水に含まれるカルキなどの消毒が抜けてしまい、高温に沸き上げるため滅菌処理はされるが飲料水として用いるのは推奨されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-217619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように地震などによる断水発生時、貯湯タンク内の湯水を取り出すことができても生活用水としての用途の水であり、加熱してしまった水は飲料水としては推奨されていないため断水時には貯湯タンク以外での飲料水の確保が重要な課題であった。
【0007】
また、給湯運転等により貯湯タンク内の湯水が消費されると、その分給水管から水がタンク内に給水されるが、長時間滞留している可能性のある湯水と混ざってしまうので、飲料水として用いるのは推奨されておらず、飲料水として用いる場合は、加熱してしまった湯水と混合させず、かつ、長時間滞留していた可能性のある湯水と混合させないようにする必要があるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、温水を貯湯する貯湯タンクと、飲料用の水を貯水する貯水タンクと、前記貯湯タンクの下部と前記貯水タンクの上部とを連結する連結管と、前記貯湯タンクから取り出した水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク下部から前記加熱手段を介して前記貯湯タンク上部に戻す経路である加熱循環回路と、前記貯湯タンク上部から出湯する出湯管と、前記貯水タンク下部に給水する給水管と、前記連結管から分岐した給水バイパス管と、前記出湯管の高温水と前記給水バイパス管の給水とを混合する給湯混合弁と、前記給湯混合弁で混合した混合水を給湯する給湯管とを備え、前記貯水タンクの容量は、前記貯湯タンクの容量よりも小さくし、前記連結管には、前記連結管を介した湯水の流れを遮断することができると共に、手動で開閉可能な非常用バルブを有し、前記貯水タンクの上部には、手動で開閉可能な開閉弁を設け、前記貯水タンクの下部には、前記貯水タンク内の水を取り出し可能な非常用取水栓が連通され、前記連結管には、前記貯湯タンク内の水が前記貯水タンク内に流入しないようにする逆止弁を設けた
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、貯水タンク2の容量は貯湯タンク1の容量よりも小さく、給湯運転等で貯湯タンク1の湯が使用されると、その分貯水タンクの下部から給水が行われ、貯水タンク2内の水は新しい水に入れ替わるので、長時間水を滞留させることを防止しつつ、突然の落雷や地震等の災害により停電及び断水になってしまった場合でも、飲料水として利用できる新鮮な水を貯水タンク内に確保することができる。
【0011】
また、雷や地震などで停電及び断水になってしまっても、沸き上げた湯を貯める貯湯タンクとは別に飲料用の水を貯水しておく貯水タンクを設け、貯湯タンクと貯水タンクを連結する連結管には非常用バルブを設けて、取水時に非常用バルブを閉じることで貯水タンク内に貯湯タンク内の湯水が流入してしまわないようにして、貯水タンク内の水のみを飲料水として取水することができると共に、非常用取水栓から貯水タンクの水を容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の第一実施形態の概略説明図
図2】この発明の第二実施形態の概略説明図
図3】この発明の手動式の加圧式ポンプの一例
図4】この発明の第三実施形態の概略説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の貯湯式給湯機の実施形態を図1に基づいて説明する。
図1において、1は貯湯式給湯機の湯水を貯湯する貯湯タンク、2は飲料用の水を貯水する貯水タンク、3は貯水タンク2底部に給水する給水管、4は貯湯タンク1頂部から出湯する出湯管、5は貯湯タンク1の水を加熱するヒートポンプ式の加熱手段、6は貯湯タンク1の下部と加熱手段5に接続する加熱往き管6は加熱往き管6の途中に設けられた加熱循環ポンプ、8は加熱手段5と貯湯タンク1の上部を接続する加熱戻り管、9は貯湯タンク1の下部と貯水タンク2の上部を連結する連結管である。
【0014】
また、加熱循環回路は貯湯タンク1、加熱往き管6、加熱手段5、加熱戻り管7で構成されたものであり、貯湯タンク1には加熱手段5により沸き上げられた湯水が貯湯されるが、加熱循環回路を通過した水は貯水タンク2には貯水されない。
【0015】
10は加熱手段5に備えられた外気温度を検出する外気温度サーミスタ、11は貯湯タンク1の側面上下に複数設けられ貯湯タンク1内の貯湯温度を検出する貯湯温度サーミスタである。
【0016】
12は連結管9からバイパスされた給水バイパス管、13は出湯管4からの高温湯と給水バイパス管12からの水とを混合し、その混合比を制御して所望の給湯設定温度を給湯するための給湯混合弁、14は給湯混合弁13で混合された湯を給湯栓15に給湯するための給湯管である。
【0017】
この給湯混合弁13は、内部に備えた弁の開度を高温側(出湯管4側)と水側(給水バイパス管12側)に切り替えることで混合比率を変え、混合水の温度を調整して出湯することができる。
【0018】
16は給湯管14途中に設けられ給湯流量を内部の羽根車の回転数により検出する給湯流量センサ、17は給湯温度を検出する給湯温度サーミスタ、18は給水管3途中に設けられ市水を一定の給水圧に減圧する給水減圧弁、19は給水管3の途中に設けられ市水の温度を検出する給水サーミスタ、20は給水管3途中に設けられた給水を遮断する給水遮断弁、21は貯湯タンク1の上部に連通して設けられ手動で開閉可能な逃し弁である。
【0019】
22は給湯の制御を行う制御装置で、外気温度サーミスタ10、貯湯温度サーミスタ11、給湯流量センサ16、給湯温度サーミスタ17、給水サーミスタ19の検出値が入力され、加熱循環ポンプ8、給湯混合弁13を駆動するものである。
【0020】
次に、沸き上げ運転について説明する。
沸き上げ要求があると、制御装置22は、貯湯タンク1と加熱手段5を繋ぐ加熱往き管6の途中にある加熱循環ポンプ8を駆動して、貯湯タンク1内下部から水をくみ上げ、加熱手段5で温めて加熱戻り管7を介して貯湯タンク1上部に戻す動作を続ける事により徐々に貯湯タンク1内の水が高温水へと沸き上げる。
【0021】
次に、給湯運転ついて説明する。
給湯栓15が開かれると給水管3から給水され、貯水タンク2の下部からに流入した分だけ貯水タンク2の上部から水が押し出される。そして、連結管9を経由して貯湯タンク1下部に流入すると共に給水バイパス管12を通り、貯湯タンク1上部から押し出された高温水と給水バイパス管12の給水が給湯混合弁13で混ぜ合わされ、給湯設定温度と給湯温度サーミスタ17で検出された温度が同じなるように調整された湯水が給湯栓15から給湯される。
【0022】
次に本発明の特徴的な貯湯タンク1と貯水タンク2との容量の違いについて説明する。
貯水タンク2の容量は貯湯タンク1の容量よりも小さく、内部に貯留する液体の量も貯水タンク2の方が少ない(ここでは、貯湯タンク1=350L、貯水タンク2=50L)。
【0023】
ここで、貯水タンク2の容量は50Lとしているが、これに限られず、目安としては非常時下での1日に1人3L必要として、4日分×3L=12L(1人分、4日間)
家族4人の場合は、4人分×12L=48L(家族4人分、4日間)が必要となるので、約50Lとしている。このように、貯水タンク2の容量は家族構成や確保しておきたい日数に応じて適宜決めて良い。
【0024】
また、貯湯タンク1の上流側に連結管9を介して貯水タンク2があるため、貯湯タンク1の上部からの高温水と給水バイパス管12からの給水を混合して給湯管14から給湯する給湯運転を行うと、貯湯タンク1の下部から流入する分と、給水バイパス管12から給湯混合弁13に流入する分との水が貯水タンク2内から送出されるため、給湯運転で利用された水の量だけ貯水タンク2内から水が送出され、給水管3から新たな給水が行われる。
【0025】
ここで、貯水タンク2の容量の上限として、貯水タンク2の容量は使用者が1日に使用する給湯量よりも少ない量にすることが望ましく、1日の給湯量よりも貯水タンク2内に貯められる量が少なければ、給湯運転によって、毎日貯水タンク2内のすべての水が入れ替わることになるので貯水タンク2内に新鮮な水を確保しておくことができる。したがって、貯水タンク2の容量の上限としては1日の給湯量よりも少ない容量が好ましい。また、飲料用としては長期間貯水タンク2内に滞留することを防ぐため、貯水している水が少なくとも3~4日程度で消費できる量が好ましい。
【0026】
このように、貯水タンク2の容量は貯湯タンク1の容量よりも小さく、給湯運転等で貯湯タンク1の湯が使用されると、その分貯水タンク2の下部から給水が行われ、貯水タンク2内の水は新しい水に入れ替わるので、長時間水を滞留させることを防止しつつ、突然の落雷や地震等の災害により停電及び断水になってしまった場合でも、飲料水として利用できる新鮮な水を確保することができる。
【0027】
次に本発明の特徴的な構成である停電及び断水時に貯水タンク2内の飲料水を取り出すための構成について図1に基づいて第一実施形態を説明する。
【0028】
23は貯湯タンク1と貯水タンク2とを連結する連結管9に設けられた逆止弁であり、貯湯タンク1内の湯水が飲料用の貯水タンク内に流入するのを防止している。
【0029】
24は連結管9に設けられ、貯水タンク2の水及び空気が貯湯タンク1内に送出されるのを閉止するか否かを切り替え可能な非常用バルブであり、25は貯水タンク2の上部に連通して設けられ手動で開閉可能な開閉弁である。
【0030】
26は貯水タンクの下部に連通して設けられた非常用取水管、27は非常用取水管の下流側に設けられた非常用取水栓であり、手動で開閉可能である。
【0031】
次に貯水タンク2内の飲料水を取り出す場合の作業を説明する。
落雷や地震等の災害により停電及び断水になってしまった場合、非常用バルブ24を閉じ、貯水タンク2の上部の開閉弁25を開き、貯水タンク2の下部の非常用取水栓27を開くことで貯水タンク2内に溜まった水は非常用取水栓27から取り出せる。
【0032】
このように、雷や地震などで停電及び断水になってしまっても、沸き上げた湯を貯める貯湯タンクとは別に飲料用の水を貯水しておく貯水タンクを設け、貯湯タンクと貯水タンクを連結する連結管には非常用バルブを設けて、取水時に非常用バルブを閉じることで貯水タンク内に貯湯タンク内の湯水が流入してしまわないようにして、貯水タンク内の水のみを飲料水として取水することができると共に、非常用取水栓から貯水タンクの水を容易に取り出すことができる。
【0033】
また、この貯水タンク2内の水は、加熱手段5による沸き上げ経路(加熱往き管6、加熱手段5、加熱戻り管7、貯湯タンク1)とは縁切りされているため、飲料水として利用できるので、断水時でも飲料水を確保することができると共に、生活用水としての湯水を取り出すために貯湯タンク1の下部に別途非常用取水栓を設けることで貯湯タンク1からも生活用水を取り出すこともできる。
【0034】
また、貯水タンク2の容量は貯湯タンク1の容量よりも小さく、貯湯タンク1の上流側に連結管9を介して貯水タンク2があるため使用者が貯湯タンク1の湯水を使用すると、貯水タンク2内の水が貯湯タンク1に流入され、貯水タンク2内には新たな給水が行われるため長期間貯水タンク2内に水が滞留してしまうのを防ぐことができ、貯水タンク2内の水を新鮮な水に保つことができる。
【0035】
また、連結管9には逆止弁23が設けられているので、取水時に貯水タンク2内の水が少なくなっても貯湯タンク1内の湯水が連結管9を介して貯水タンク2に逆流してしまうことがないため、貯水タンク2内の水を飲料水として利用できる状態を保つことができる。
【0036】
また、連結管9には、逆止弁23を設けているので、貯湯タンク1内の湯水が飲料用の貯水タンク2内に流入されるのを防止することができ、貯水タンク2は沸き上げ経路と縁切りされているので、貯水タンク2内の水のカルキなどの消毒が抜けてしまわないため飲料に適した水を確保することができる。
【0037】
次に、加圧式ポンプを用いた場合での断水時に貯水タンク2内の水を取り出すための構成と作業について図2に基づいて第二実施形態を説明する。
ここでは第一実施形態と同一のものは同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0038】
28は貯湯タンク1及び貯水タンク2を内包する貯湯ケースユニットであり、29は貯水タンク2内に空気を送り込み、送り込んだ空気の圧力により貯水タンク2内の水を押し出す加圧式ポンプである。この加圧式ポンプ29は、本体部30と、送出側ホース31とにより構成されている。また、本体部30の駆動機構は手動式でも電動式でも良く、貯水タンク2内に空気を送り込むものならばよい。
【0039】
32は送出側ホース31を接続するために貯湯ケースユニット28に設けられた接続部、33は一端を接続部32と接続し、他端を貯水タンク2に接続した空気導入管である。そして、加圧式ポンプ29を駆動させて発生させた空気は送出側ホース31、接続部32、空気導入管33と経由して貯水タンク2内に送出させることが可能である。
【0040】
加圧式ポンプ29を用いて貯水タンク2内に空気を送出しても連結管9を介して貯湯タンク1側や給水バイパス管12側に空気が漏れてしまうのを非常用バルブ24を閉じておくことで防止する。
【0041】
また、非常用バルブ24と開閉弁25と非常用取水栓27とは手動による切り替えが可能であり、停電時でも容易に流路の切り替えを行うことができる。
【0042】
次に、貯水タンク2内の飲料水を取り出す場合の作業を説明する。
落雷や地震等の災害により停電及び断水になってしまった場合、加圧式ポンプ29の送出側ホース31を接続部32に接続し、非常用バルブ24を閉じ、非常用取水栓27を開方向に切り替える。
【0043】
そして、加圧式ポンプ29を駆動させることで、貯水タンク2内に空気が送出され、貯水タンク2内に送出された空気圧により、貯水タンク2の下部から非常用取水管26を介して非常用取水栓27から送出される。
【0044】
このようにして、落雷や地震等の災害により停電及び断水になってしまった場合でも容易に貯水タンク2に溜まった水を取り出すことができる。
【0045】
次に手動式の加圧式ポンプ29の一例を図3に基づいて説明すると、291は手動による上下に往復させることが可能はピストン部、292は開閉可能で送出側にしか空気が流れないようにする逆止弁の機能を有した蓋部、293は蓋部を備えたガスケット部である。
【0046】
図3のように、ピストン部291を上方向に引っ張ると、蓋部292が開き、空気が本体部30の下部に流入していく。その後ピストン部291を下方向に押し込みはじめる と、蓋部292が閉まり、本体部30の下部の空気が押し出され、送出側ホース31から送出される。この動作を繰り返すことにより送出側ホース31から貯水タンク2へと空気が送られていく。
【0047】
次に、断水時に貯水タンク2内の水を給湯栓15から取り出すための構成と作業について図4に基づいて第三実施形態を説明する。
ここでは第一実施形態と同一のものは同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0048】
34は給湯管14の上流側または非常用取水管26側に手動による切り替えが可能な取水三方弁であり、第三実施形態では非常用取水管26の一端を貯水タンク2の下部に接続し、他端を取水三方弁34に接続している。また、第三実施形態では給湯栓15を貯水タンク2の水を取水する第二の非常用取水栓としている。
【0049】
次に、貯水タンク2内の飲料水を取り出す場合の作業を説明する。
貯水タンク2内の水を貯水タンク2の下部から非常用取水管26を介して給湯栓15(第二の非常用取水栓)から取水する場合は、非常用バルブ24を閉じ、取水三方弁34を非常用取水管26側に切り替え、加圧式ポンプ29を駆動させることで、貯水タンク2内に空気が溜まり、溜まった空気に押し出されて非常用取水管26を経由し、取水三方弁34から給湯管14に合流して給湯栓15(第二の非常用取水栓)から貯水タンク2内の水を取り出す。
【0050】
このように、給湯栓15(第二の非常用取水栓)を代用することで、貯水タンク2の下部から非常用取水管26を介して貯水タンク2内の水を取り出すことができ、衛生的に良い屋内の給湯栓15から取水することができる。
【0051】
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変する事を妨げるものではなく、例えば、本発明では加圧式ポンプ29の例として手動式の加圧式ポンプ29を記したが、これに限られるものではなく、遠心力や回転を利用したものや、電動式の加圧式ポンプ29、汲み上げ式のポンプなどがある。なお、本発明は停電時及び断水時に貯水タンク2内の水を飲料水として取水するため、電動式の加圧式ポンプ29の駆動源は予備電源等により供給可能なものが好ましい。
【符号の説明】
【0052】
1 貯湯タンク
2 貯水タンク
3 給水管
4 出湯管
5 加熱手段
9 連結管
12 給水バイパス管
13 給湯混合弁
14 給湯管
15 給湯栓(第二の非常用取水栓)
23 逆止弁
24 非常用バルブ
25 開閉弁
26 非常用取水管
27 非常用取水栓
28 貯湯ケースユニット
29 加圧式ポンプ
30 本体部
31 送出側ホース
32 接続部
33 空気導入管
34 取水三方弁
図1
図2
図3
図4