(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】野菜収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 25/00 20060101AFI20241008BHJP
A01D 33/02 20060101ALI20241008BHJP
A01D 33/06 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A01D25/00
A01D33/02
A01D33/06
(21)【出願番号】P 2021047956
(22)【出願日】2021-03-22
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 章人
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 晴三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝康
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕治
(72)【発明者】
【氏名】高田 研人
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-048642(JP,A)
【文献】実公昭56-012894(JP,Y2)
【文献】特開2018-014901(JP,A)
【文献】特開2021-040602(JP,A)
【文献】実開平05-037015(JP,U)
【文献】特開平05-316848(JP,A)
【文献】実公昭64-006023(JP,Y2)
【文献】中国特許出願公開第110122042(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 13/00 - 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜を土壌から引き抜いて収穫する野菜収穫機であって、
土壌から野菜を引き抜き、引き抜いた野菜の茎葉部を挟持しながら後上方に向けて搬送する引抜搬送装置と、
前記引抜搬送装置によって搬送される野菜の茎葉部から野菜本体部を切り離して落下させる茎葉切断装置と、
前記茎葉切断装置により切り離された野菜本体部を受け、野菜本体部に付着している土や泥を落としながら野菜本体部を後方へ送る土落とし装置と、
前記土落とし装置から野菜本体部を受け取り、野菜本体部を後上方に搬送する搬送装置と、
左右方向について前記土落とし装置の幅の範囲外の位置で前記茎葉切断装置により切り離されて落下する野菜本体部を、前記土落とし装置へと案内する落下案内装置と、を備える
ことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項2】
前記土落とし装置は、
野菜本体部を転動させることで前記土や泥を落とす土落とし部と、
野菜本体部を前記土落とし部から前記搬送装置へと移送する移送部と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の野菜収穫機。
【請求項3】
前記土落とし装置は、回転軸方向視で放射状に突出した複数の突起部を有するローラを、左右方向を回転軸方向として複数並べた構成を有し、
前記移送部をなす前記ローラは、前記土落とし部をなす前記ローラよりも高い位置に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の野菜収穫機。
【請求項4】
前記移送部をなす前記ローラと前記搬送装置との間に設けられた案内部材を有する
ことを特徴とす
る請求項3に記載の野菜収穫機。
【請求項5】
左右一対のクローラ走行装置を備え、
左右の前記クローラ走行装置は、前記引抜搬送装置の左右方向の幅の範囲内に設けられており、
前記土落とし装置および前記搬送装置は、左右方向について左右の前記クローラ走行装置の間に設けられている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の野菜収穫機。
【請求項6】
野菜を土壌から引き抜いて収穫する野菜収穫機であって、
土壌から野菜を引き抜き、引き抜いた野菜の茎葉部を挟持しながら後上方に向けて搬送する引抜搬送装置と、
前記引抜搬送装置によって搬送される野菜の茎葉部から野菜本体部を切り離して落下させる茎葉切断装置と、
前記茎葉切断装置により切り離された野菜本体部を受け、野菜本体部に付着している土や泥を落としながら野菜本体部を後方へ送る土落とし装置と、
前記土落とし装置から野菜本体部を受け取り、野菜本体部を後上方に搬送する搬送装置と、
前記土落とし装置の上側に設けられ、前記土落とし装置から前記搬送装置に送られる野菜に前記搬送装置への送り作用を与える補助搬送装置と、を備える
ことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項7】
前記補助搬送装置は、回転軸方向視で放射状に突出した複数の突起部を有するローラを含み、
前記ローラは、前記複数の突起部により野菜が後方に搬送される方向に回転駆動するように設けられている
ことを特徴とする請求項
6に記載の野菜収穫機。
【請求項8】
前記ローラは、前記土落とし装置に対して近接・離間する方向に移動可能に設けられている
ことを特徴とする請求項
7に記載の野菜収穫機。
【請求項9】
前記補助搬送装置は、前記搬送装置から取り出された動力により駆動するように構成されており、前記搬送装置の動力を取り出す動力取出軸を回動中心として上下方向に回動可能に設けられている
ことを特徴とする請求項
6~
8のいずれか1項に記載の野菜収穫機。
【請求項10】
前記ローラは、前記ローラの回転軌跡が前記土落とし装置から前記搬送装置への野菜の移動経路を通るように設けられている
ことを特徴とする請求項
7または請求項
8に記載の野菜収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニンニク、タマネギ、百合根等の鱗茎菜やニンジン等の根菜を収穫する野菜収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ニンニク、タマネギ、百合根等の鱗茎菜(鱗茎作物)等の野菜を収穫対象の作物とした野菜収穫機として、圃場に栽培された野菜を土壌から引き抜いたり掘り起こしたりしてから搬送して収穫する構成のものが知られている。この種の野菜収穫機には、野菜に付着している土を落とすための構成を備えたものがある。
【0003】
特許文献1および特許文献2には、土落としの構成として、機体左右方向を回転軸方向とする土落とし用の複数の搬送ローラを野菜の搬送方向に連続的に設けたコンベアを備えた構成が開示されている。コンベアを構成する搬送ローラは、その回転軸方向視で放射状に突出したゴム等の弾性材からなる複数の突起を有し、回転しながら突起を野菜に作用させる。コンベアは、後方に向けて上り傾斜状に配され、野菜を後上方へと搬送するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-48642号公報
【文献】特開2018-134065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2に開示された土落としの構成によれば、放射状に突出した複数の突起を有する搬送ローラを連設してコンベアを構成しているため、コンベアの後上方への傾斜角度に限界がある。すなわち、土落としの機能を有する複数の搬送ローラにより構成されたコンベアにおいては、後方への野菜の搬送に関して良好な搬送作用を得る観点から、後上方への緩やかな傾斜角度を保持する必要がある。
【0006】
このため、例えば、野菜の搬送先の位置が高くなるほど、コンベアの全長が長くなりやすく、機体のコンパクト化が難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、良好な土落とし性能を得ることができるとともに、機体をコンパクトにすることができる野菜収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る野菜収穫機は、野菜を土壌から引き抜いて収穫する野菜収穫機であって、土壌から野菜を引き抜き、引き抜いた野菜の茎葉部を挟持しながら後上方に向けて搬送する引抜搬送装置と、前記引抜搬送装置によって搬送される野菜の茎葉部から野菜本体部を切り離して落下させる茎葉切断装置と、前記茎葉切断装置により切り離された野菜本体部を受け、野菜本体部に付着している土や泥を落としながら野菜本体部を後方へ送る土落とし装置と、前記土落とし装置から野菜本体部を受け取り、野菜本体部を後上方に搬送する搬送装置と、を備えるものである。
【0009】
本発明の他の態様に係る野菜収穫機は、前記野菜収穫機において、前記土落とし装置は、野菜本体部を転動させることで前記土や泥を落とす土落とし部と、野菜本体部を前記土落とし部から前記搬送装置へと移送する移送部と、を有するものである。
【0010】
本発明の他の態様に係る野菜収穫機は、前記野菜収穫機において、前記土落とし装置は、回転軸方向視で放射状に突出した複数の突起部を有するローラを、左右方向を回転軸方向として複数並べた構成を有し、前記移送部をなす前記ローラは、前記土落とし部をなす前記ローラよりも高い位置に設けられているものである。
【0011】
本発明の他の態様に係る野菜収穫機は、前記野菜収穫機において、前記移送部をなす前記ローラと前記搬送装置との間に設けられた案内部材を有するものである。
【0012】
本発明の他の態様に係る野菜収穫機は、前記野菜収穫機において、左右一対のクローラ走行装置を備え、左右の前記クローラ走行装置は、前記引抜搬送装置の左右方向の幅の範囲内に設けられており、前記土落とし装置および前記搬送装置は、左右方向について左右の前記クローラ走行装置の間に設けられているものである。
【0013】
本発明の他の態様に係る野菜収穫機は、前記野菜収穫機において、左右方向について前記土落とし装置の幅の範囲外の位置で前記茎葉切断装置により切り離されて落下する野菜本体部を、前記土落とし装置へと案内する落下案内装置を備えるものである。
【0014】
本発明の他の態様に係る野菜収穫機は、前記野菜収穫機において、前記土落とし装置の上側に設けられ、前記土落とし装置から前記搬送装置に送られる野菜に前記搬送装置への送り作用を与える補助搬送装置と、を備えるものである。
【0015】
本発明の他の態様に係る野菜収穫機は、前記野菜収穫機において、前記補助搬送装置は、回転軸方向視で放射状に突出した複数の突起部を有するローラを含み、前記ローラは、前記複数の突起部により野菜が後方に搬送される方向に回転駆動するように設けられているものである。
【0016】
本発明の他の態様に係る野菜収穫機は、前記野菜収穫機において、前記ローラは、前記土落とし装置に対して近接・離間する方向に移動可能に設けられているものである。
【0017】
本発明の他の態様に係る野菜収穫機は、前記野菜収穫機において、前記補助搬送装置は、前記搬送装置から取り出された動力により駆動するように構成されており、前記搬送装置の動力を取り出す動力取出軸を回動中心として上下方向に回動可能に設けられているものである。
【0018】
本発明の他の態様に係る野菜収穫機は、前記野菜収穫機において、前記ローラは、前記ローラの回転軌跡が前記土落とし装置から前記搬送装置への野菜の移動経路を通るように設けられているものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、良好な土落とし性能を得ることができるとともに、機体をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る野菜収穫機の左前方斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る野菜収穫機の右前方斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る野菜収穫機の左側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る野菜収穫機の平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る野菜収穫機の左側面断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る搬送切断ユニット構成を示す左側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る搬送切断ユニット構成を示す後方斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る引抜搬送装置の搬送始端部の構成を示す正面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る野菜収穫機の正面断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る土落とし装置およびコンベヤの構成を示す上方斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る土落とし装置およびコンベヤの構成を示す左側面断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る土落とし装置およびコンベヤの構成を示す平面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る土落とし装置およびコンベヤの構成を示す左前方斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る補助搬送ホイルの支持構成についての説明図である。
図14Aは左側面図であり、
図14Bは右側面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る野菜収穫機における動力伝達構成を示す図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係る野菜収穫機が備える茎葉排出構成を示す上方斜視図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係る放出ガイド装置、側方排葉シュータ、およびガイド板の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、鱗茎菜等の野菜を収穫する野菜収穫機において、野菜に付着している土を落として搬送するための構成を工夫することにより、土落とし性能の向上と機体のコンパクト化を図ろうとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
以下に説明する本発明の実施の形態では、本発明に係る野菜収穫機として、収穫対象の野菜を鱗茎菜の一種であるタマネギとするタマネギ収穫機を例にとって説明する。ただし、本発明に係る野菜収穫機は、ニンニクや百合根等の他の鱗茎菜やニンジン等の根菜を収穫する野菜収穫機として広く適用可能である。
【0023】
図1から
図5に示すように、本実施形態に係る野菜収穫機1は、圃場に植えられているタマネギ2を土壌から引き抜いて収穫するタマネギ収穫機である。圃場において、タマネギ2は直線に沿って連続的に条植えされている。なお、本実施形態の説明では、タマネギ2が栽培されている圃場を、畝の無いいわゆる連続条の圃場とする。また、以下の説明では、野菜収穫機1の前方に向かって左側(
図4における下側)および右側(
図4における上側)を、それぞれ野菜収穫機1における左側および右側とする。
【0024】
野菜収穫機1は、まず、土壌に植えられているタマネギ2を、土壌内の鱗茎部2aから地上に延び出ている茎葉部2bを挟持しながら引き抜き、茎葉部2bを挟持した状態のタマネギ2の吊下げ姿勢を保ったままで後上方に向けて搬送し、その搬送中に茎葉部2bを切断して鱗茎部2aから切り離し、鱗茎部2aを収穫する。鱗茎部2aから切り離された茎葉部2bは、野菜収穫機1における所定の部位に対して排出される。野菜収穫機1は、このような収穫作業を、タマネギ2の条植えのラインに沿って走行しながら行う。
【0025】
本実施形態に係る野菜収穫機1は、6条分のタマネギ2を同時的に引き抜き搬送して収穫していく6条用の構成を有する。野菜収穫機1は、タマネギ2のうちの鱗茎部2aを収穫対象部分とし、この鱗茎部2aが野菜本体部に相当する。
【0026】
野菜収穫機1は、左右一対の走行装置としてのクローラ走行装置4を有する走行機体3と、野菜収穫機1の運転者(作業者)により野菜収穫機1の走行操作や収穫操作等の各種操作が行われる操作部5と、タマネギ2を収穫する収穫部6と、収穫部6で収穫されたタマネギ2を搬送する搬送装置としてのコンベヤ7と、コンベヤ7により搬送されたタマネギ2を所定の回収容器に収容するための収容部8とを備える。
【0027】
走行機体3は、複数のフレーム部材により立体的に枠組み構成された機体フレーム9を備え、機体フレーム9の左右両側にクローラ走行装置4を配置させている。機体フレーム9に対して、操作部5、収穫部6、コンベヤ7、および収容部8が設けられている。
【0028】
クローラ走行装置4は、クローラ式の走行装置であり、走行機体3において機体を移動させるためのクローラ部を構成している。クローラ走行装置4は、機体フレーム9の後下部に支持された駆動輪4aと、駆動輪4aの下方の高さ位置において機体フレーム9の前後の下部に支持された従動輪4bと、前後の従動輪4bの間に設けられた複数の転動輪4cと、これらの車輪に巻回された履帯4dとを有する。クローラ走行装置4は、側面視において、後上部に位置する駆動輪4aの近傍部分を頂部とした略三角形状を有し、駆動輪4aと、前側の従動輪4bとの間の履帯4dは、前下がりの傾斜状に配されている。左右のクローラ走行装置4は、野菜収穫機1が備えるエンジン10により駆動する。
【0029】
エンジン10は、走行機体3の後部左側に搭載されている。エンジン10の前下方の位置であって左右のクローラ走行装置4の後上部の間には、トランスミッション11が設けられている。トランスミッション11は、エンジン10からの動力を適宜変速して左右のクローラ走行装置4に伝達する。
【0030】
操作部5は、走行機体3の後部において左側に設けられている。操作部5は、野菜収穫機1を操作する部分であり、レバーやスイッチ等の各種操作具を配設した操作ボックス12を有する。操作部5は、操作ボックス12の後側に立つ作業者によって操作される。操作ボックス12は、左側のクローラ走行装置4の後端部の上方の位置において、作業者の胸辺りとなる高さ位置に設けられている。
【0031】
操作ボックス12には、走行クラッチおよび作業クラッチを兼ねた走行・作業クラッチレバー13、機体の走行についての変速レバー14、作業部を昇降させる昇降レバー15、左右のサイドクラッチレバー16、およびエンジン10を停止させるエンジン停止スイッチ17が設けられている。操作ボックス12の後側には、平面視で略「U」字型をなす枠状のハンドル18が設けられている。ハンドル18には、アクセルレバー19が設けられている。
【0032】
収穫部6は、分草装置21と、掻込み装置22と、掘起し装置23と、引抜搬送装置24と、肩揃え装置25と、茎葉切断装置26と、土落とし装置27とを備える。これらの装置は、野菜収穫機1が備える作業部フレーム30に対して支持されている。
【0033】
作業部フレーム30は、左右外側の部分を構成する側部フレーム部31,31と、左右の側部フレーム部31,31の上部同士を連結する前横フレーム部32と、左右の側部フレーム部31,31の後部同士を連結する後横フレーム部33とを有する。
【0034】
側部フレーム部31は、側面視で略三角形状をなすように枠組み構成された部分を含む(
図3参照)。側部フレーム部31は、略三角形状の側面視形状をなすフレーム部として、前傾状の前フレーム部31aと、前フレーム部31aの上端部から後下りの傾斜状に配された上フレーム部31bと、前フレーム部31aの下端部と上フレーム部31bの後端部とをつなぐように後上がりの傾斜状に配され鈍角状に屈曲した下フレーム部31cとを有する。
【0035】
作業部フレーム30は、コンベヤ7に対して左右方向を回動軸方向として上下回動可能に支持されている。具体的には、作業部フレーム30は、前横フレーム部32の左右中間部から後下方に延出された左右一対の前傾支持フレーム部34を有する。前傾支持フレーム部34の下端部が、コンベヤ7の始端部(前側端部)に設けられた支持部材を介して、コンベヤ7の始端部に位置する回動軸34aを中心に、コンベヤ7に対して回動可能に連結されている。
【0036】
作業部フレーム30は、コンベヤ7を構成するフレーム部分に支持されており、コンベヤ7は、油圧シリンダである昇降シリンダ35により、機体フレーム9に対して左右方向を回動軸方向として昇降回動するように設けられている(
図5参照)。昇降シリンダ35は、コンベヤ7と機体フレーム9との間に前後に架設された状態で設けられており、昇降シリンダ35の伸縮動作によって、コンベヤ7、作業部フレーム30、および作業部フレーム30に支持された収穫部6の各種装置が一体的に昇降回動する。
【0037】
昇降シリンダ35は、ボトム側を後側として、シリンダチューブの後端部を、機体フレーム9に設けられたブラケット36に対して左右方向を回動軸方向として回動可能に連結させている。また、昇降シリンダ35は、ロッド側を前側として、ピストンロッドの先端部を、コンベヤ7の背面側に配された横フレーム部37に対してブラケット38等を介して左右方向を回動軸方向として回動可能に連結させている。
【0038】
昇降シリンダ35の伸縮動作によって昇降回動する一体的な装置部分は、作物処理ユニットとして、機体フレーム9に対するコンベヤ7の回動支持部39を中心として回動する。回動支持部39は、機体フレーム9の後部に立設された左右の縦フレーム部40間に設けられており、コンベヤ7の終端部(後側端部)を回動可能に支持している。回動支持部39を中心とした作物処理ユニットの回動により、野菜収穫機1による地面に対するタマネギ2の引抜き位置等が調整される。
【0039】
作業部フレーム30は、機体フレーム9に対して左右両側に設けられたリンク45により連結されている。リンク45は、他端部同士を回動可能に連結させて側面視で略「V」字状をなす2つのリンクアームを有する。一方のリンクアームは、一端側を側部フレーム部31の後端部に対して支持部材を介して回動可能に連結させている。他方のリンクアームは、一端側を機体フレーム9に対して支持部材を介して回動可能に連結させている。リンク45をなす2つのリンクアームの回動により、作物処理ユニットの回動にともなう機体フレーム9に対する作業部フレーム30の移動が許容される。また、作業部フレーム30とコンベヤ7との間には、左右一対の棒状の連結部材46が架設されている。
【0040】
以下、野菜収穫機1が備える収穫部6の各装置、コンベヤ7、収容部8等について、
図1から
図18を用いて説明する。
【0041】
[分草装置]
分草装置21は、圃場に植わっているタマネギ2の茎葉部2bを上方に持ち上げてタマネギ2を条ごとに分けるための装置である。分草装置21は、条間を通過しながら、圃場に倒伏した状態のタマネギ2の茎葉部2bを上方に持ち上げることで分草する。分草装置21は、タマネギ2を条ごとに分けるために、左右方向に連続した6条に対応して各条を挟むように7個設けられている。すなわち、N条用の構成において、分草装置21は、N+1個設けられる。
【0042】
分草装置21は、長手状の分草ケース51と、分草ケース51から突出した複数のタイン52とを有する。分草ケース51は、左右方向を板厚方向とした細長い厚板状の外形を有する。分草ケース51は、側面視において長手方向を後上がり方向に傾斜させて傾斜状に設けられている。分草ケース51の水平方向に対する傾斜角度は例えば約60°である。
【0043】
タイン52は、分草ケース51の周縁部から突出している。複数のタイン52は、分草ケース51の長手方向の両端部において左右方向を回転軸方向として設けられた前後のスプロケット53a,53bに巻回されたチェン54に対して所定の間隔で固設されている(
図15参照)。
【0044】
7個の分草装置21は、左右方向について所定の間隔を隔てて平行状に設けられている。7個の分草装置21は、左右方向に延伸した共通の前処理駆動軸55に、後側のスプロケット53bを固設させており、前処理駆動軸55の回転動力を受けてチェン54とともに複数のタイン52を縦回動させる。前処理駆動軸55は、7個の分草装置21の後端部同士を連結させる前処理軸ケース56に内装されており、エンジン10からの動力の伝達を受けて回転する。分草装置21は、回動する複数のタイン52によってタマネギ2の茎葉部2bを持ち上げることで分草する。
【0045】
7個の分草装置21のうち、左右両端の分草装置21以外の中間部に位置する5個の分草装置21は、前横フレーム部32の前側に固定された支持板58および支持板58から前下方に向けて延出した支持アーム59を介して、前横フレーム部32に支持されている。支持アーム59は、上端部を支持板58の後側に固定させており、下端部を分草装置21の分草ケース51の上部の後側に固定させている。
【0046】
また、7個の分草装置21のうち、左右両端の分草装置21は、側部フレーム部31の前部から前下方に向けて延設された外側支持フレーム部60を介して、側部フレーム部31に支持されている。外側支持フレーム部60は、複数のフレーム部材により構成されており、後側を側部フレーム部31の前下部に連結させ、前側を分草装置21の分草ケース51の左右外側の側面部に固定させている。
【0047】
左右両端の支持板58からは、所定の屈曲形状を有する棒状の支持棒61が左右外側かつ前下側に向けて延出している。支持棒61の先端部は、左右両端の分草装置21から左右外側に突出した前処理軸ケース56の端部に固定されている。
【0048】
[掻込み装置]
掻込み装置22は、分草装置21の後側に設けられている。掻込み装置22は、タマネギ2の茎葉部2bを機体前側より掻き込んで引抜搬送装置24に受け渡し、引抜搬送装置24による引抜きを補助するための装置である。掻込み装置22は、左右方向について、左右に隣り合う分草装置21の間に設けられている。したがって、7個の分草装置21を備えた構成において、6個の掻込み装置22が設けられている。掻込み装置22は、一対で機能するように構成されている。つまり、野菜収穫機1は、一対の掻込み装置22を1組として、横並びに並設された左側、中間、右側の3組の掻込み装置22を備えている。
【0049】
6条のタマネギ2に対して、左側の一対の掻込み装置22は、左側の2条分のタマネギ2の茎葉部2bをまとめて掻き込み、左側の引抜搬送装置24に受け渡す。同様に、中間の一対の掻込み装置22は、中間の2条分のタマネギ2の茎葉部2bをまとめて掻き込み、中間の引抜搬送装置24に受け渡す。また、右側の一対の掻込み装置22は、右側の2条分のタマネギ2の茎葉部2bをまとめて掻き込み、右側の引抜搬送装置24に受け渡す。
【0050】
掻込み装置22は、長手状の掻込みフレーム65と、掻込みフレーム65から突出した複数のタイン66とを有する。掻込みフレーム65は、細長い厚板状の外形を有し、側面視において長手方向を後上がり方向に傾斜させて傾斜状に設けられており、分草装置21と平行状となっている。
【0051】
タイン66は、掻込みフレーム65の周縁部から突出している。複数のタイン66は、掻込みフレーム65の長手方向の両端部において掻込みフレーム65の板面に対して垂直な方向を回転軸方向として設けられた前後のプーリ67a,67bに巻回されたベルト68に対して所定の間隔で固設されている(
図15参照)。
【0052】
各組の一対の掻込み装置22は、正面視で下側から上側にかけて互いの間の間隔を徐々に狭くしており、略逆「V」字状をなすように設けられている。掻込み装置22は、掻込み駆動軸69を介して前処理駆動軸55の回転動力の伝達を受けて駆動する(
図15参照)。掻込み駆動軸69は、前処理駆動軸55から後下方に向けて延出している。前処理駆動軸55の回転動力は、ベベルギア70a,70bを介して掻込み駆動軸69に伝達される。
【0053】
掻込み装置22は、掻込み駆動軸69に、後側のプーリ67bを固設させており、掻込み駆動軸69の回転動力を受けてベルト68とともに複数のタイン66を横回動させる。掻込み駆動軸69は、前処理軸ケース56から後下方に向けて延出して前処理軸ケース56と掻込みフレーム65とを互いに連結させた掻込み駆動軸ケース71に内装されている。
【0054】
また、掻込みフレーム65の下端部は、その掻込みフレーム65の略前方に位置する対応した分草ケース51の下端部との間に支持プレート72を介在させている。支持プレート72により、掻込みフレーム65の下端部が、分草ケース51の下端部に対して連結支持されている。
【0056】
[掘起し装置]
掘起し装置23は、掻込み装置22の下方に設けられている。掘起し装置23は、いわゆるサブソイラであり、引抜搬送装置24によりタマネギ2を引き抜きやすくするためにタマネギ2の下側に入り込んで土を崩すための装置である。
【0057】
掘起し装置23は、正面視略「U」字状の掘起し刃75と、掘起し刃75の左右両側を支持する刃支持体76と、左右の刃支持体76をそれぞれ支持する縦フレーム部77とを有する。
【0058】
掘起し刃75は、正面視で略「U」字状をなす部分として、左右方向に延伸した横刃部と、横刃部の両端から立ち上がった縦刃部とを有し、縦刃部の上部を、刃支持体76に連結支持させている。掘起し刃75は、左右方向について、両端部を、左右両端の分草装置21と略同じ位置に位置させるように延伸状に設けられている。
【0059】
刃支持体76は、外側支持フレーム部60の所定の部位に支持されている。刃支持体76の上端部に、縦フレーム部77の下端部が連結されている。縦フレーム部77は、刃支持体76の上方に位置する前横フレーム部32の左右両端部から下方に向けて延設されている。縦フレーム部77は、前横フレーム部32に内装された掘取駆動軸78の端部に連結され、掘取駆動軸78の回転動力の伝達を受けて左右方向を回動軸方向として回動するように設けられている。掘取駆動軸78は、エンジン10からの動力の伝達を受けて回転する。
【0060】
このような構成により、縦フレーム部77の回動にともなって刃支持体76と掘起し刃75が一体的に左右方向を回動軸方向として前後に揺動する。掘起し装置23は、野菜収穫機1の前進にともない、前後に揺動する掘起し刃75を土中に差し込んでタマネギ2の鱗茎部2aよりも下方に位置させることで、土壌を柔らかくして6条分の掘り起こしを行う。掘起し装置23における掘起し刃75の左右方向の寸法が、掘起し装置23による掘起し幅となる。
【0062】
[引抜搬送装置]
引抜搬送装置24は、土壌からタマネギ2を引き抜き、引き抜いたタマネギ2の茎葉部2bを挟持しながら後上方に向けて搬送する装置である。引抜搬送装置24は、掻込み装置22の後側に設けられており、掻込み装置22から受け渡された茎葉部2bを挟持し、茎葉部2bを後上方(後斜め上方)へ搬送しながらタマネギ2を引き抜き、タマネギ2を起立姿勢のまま後上方へ向けて搬送する。
【0063】
引抜搬送装置24は、掻込み装置22の下部の直後方の位置から後上方に向かって傾斜状に設けられている。引抜搬送装置24の水平方向に対する傾斜角度は例えば約45°である。引抜搬送装置24は、1組の掻込み装置22に対応して設けられている。したがって、野菜収穫機1は、横並びに並設された左側、中間、右側の3個の引抜搬送装置24を備えている。
【0064】
図6および
図7に示すように、引抜搬送装置24は、引抜搬送装置24の搬送上手側の部分を構成する上流側挟持搬送装置81と、引抜搬送装置24の搬送下手側の部分を構成する下流側挟持搬送装置82とを有し、これらの搬送装置によって前後2段の搬送部を構成している。上流側挟持搬送装置81および下流側挟持搬送装置82は、それぞれ引抜搬送装置24全体としての傾斜方向に沿うように延伸しており、側面視における延伸方向を互いに平行ないし略平行としている。
【0065】
上流側挟持搬送装置81は、土壌からタマネギ2を引き抜き、引き抜いたタマネギ2の茎葉部2bを挟持しながら後上方に向けて搬送する。上流側挟持搬送装置81は、一対の無端回動帯である搬送ベルト83を、それぞれ、搬送下手側となる後側に設けられた駆動輪である駆動プーリ84、および搬送上手側となる前側に設けられた従動輪である従動プーリ85に巻き掛けた構成を有する。すなわち、上流側挟持搬送装置81は、駆動プーリ84および従動プーリ85に搬送ベルト83を巻回させた上流側ベルト挟持体81Aを左右一対備え、左右の上流側ベルト挟持体81A間に茎葉部2bを挟持して搬送するように構成されている。
【0066】
一対の搬送ベルト83は、互いに対向する部分によって茎葉部2bを挟持し、駆動プーリ84の回転駆動力により、互いに対向する側を搬送方向に移動させる向きに回動する。駆動プーリ84および従動プーリ85は、機体側面視において上流側挟持搬送装置81の傾斜に直交する方向を回転軸方向とする。なお、搬送ベルト83に対しては、テンションプーリやガイドローラ等が設けられている。
【0067】
上流側挟持搬送装置81は、その前端部において一対の搬送ベルト83の対向面により茎葉部2bを挟持し、搬送ベルト83の回動動作によってタマネギ2を土壌から引き抜く。引き抜かれたタマネギ2は、一対の搬送ベルト83により茎葉部2bの部分が挟持された状態のまま、ほぼ垂直に吊り下げられた姿勢で後上方へと搬送される。
【0068】
下流側挟持搬送装置82は、上流側挟持搬送装置81と同様に一対の搬送ベルト86を有するベルト搬送装置である。下流側挟持搬送装置82は、上流側挟持搬送装置81により搬送されたタマネギ2の茎葉部2bを受け継いでタマネギ2の茎葉部2bを挟持しながら搬送する。
【0069】
下流側挟持搬送装置82は、上流側挟持搬送装置81の搬送終端部の下側に搬送始端部を位置させている。つまり、上流側挟持搬送装置81の後端部の下側に、下流側挟持搬送装置82の前端部が位置しており、上段搬送部としての上流側挟持搬送装置81に対して下流側挟持搬送装置82が下段搬送部をなすように、両搬送装置が段違い状に設けられている。下流側挟持搬送装置82は、搬送終端部(後端部)を野菜収穫機1における前後方向の略中央部に位置させるように延設されている。
【0070】
下流側挟持搬送装置82は、一対の無端回動帯である搬送ベルト86を、それぞれ、搬送下手側に設けられた駆動輪である駆動プーリ87、および搬送上手側に設けられた従動輪である従動プーリ88に巻き掛けた構成を有する。すなわち、下流側挟持搬送装置82は、駆動プーリ87および従動プーリ88に搬送ベルト86を巻回させた下流側ベルト挟持体82Aを左右一対備え、左右の下流側ベルト挟持体82A間に茎葉部2bを挟持して搬送するように構成されている。そして、左右の上流側ベルト挟持体81Aそれぞれの後端部の下側に、下流側ベルト挟持体82Aの前端部が位置している。
【0071】
一対の搬送ベルト86は、互いに対向する部分によって茎葉部2bを挟持し、駆動プーリ87の回転駆動力により、互いに対向する側を搬送方向に移動させる向きに回動する。駆動プーリ87および従動プーリ88は、機体側面視において下流側挟持搬送装置82の傾斜に直交する方向を回転軸方向とする。なお、搬送ベルト86に対しては、テンションプーリやガイドローラ等が設けられている。
【0072】
下流側挟持搬送装置82は、その前端部において、一対の搬送ベルト86の対向面により、上流側挟持搬送装置81により搬送されたタマネギ2の茎葉部2bを挟持し、上流側挟持搬送装置81の搬送終端部からタマネギ2を受け継ぐ。下流側挟持搬送装置82に受け継がれたタマネギ2は、一対の搬送ベルト86により茎葉部2bの部分が挟持された状態のまま、ほぼ垂直に吊り下げられた姿勢で後上方へと搬送される。
【0073】
下流側挟持搬送装置82の駆動プーリ87は、エンジン10からの動力の伝達を受けて回転する搬送入力軸89に固設されており、搬送入力軸89と一体的に回転駆動する。搬送入力軸89は、駆動プーリ87の後側において後斜め下方に延びており、搬送入力軸89の軸方向に沿う筒状の搬送入力軸ケース90に内装されている。駆動プーリ87が回転駆動することで、搬送ベルト86の回動をともなって従動プーリ88が回転する。下流側挟持搬送装置82の回転動力は、上流側挟持搬送装置81に伝達され、上流側挟持搬送装置81を回転駆動させる。
【0074】
下流側挟持搬送装置82の従動プーリ88と、上流側挟持搬送装置81の駆動プーリ84とは、同一の支持軸91に支持されている(
図16参照)。下流側ベルト挟持体82Aの従動プーリ88、および上流側ベルト挟持体81Aの駆動プーリ84は、いずれも支持軸91に固設されており、支持軸91と一体的に回転する。つまり、従動プーリ88および駆動プーリ84は、搬送入力軸89と軸方向を平行とする支持軸91により同軸回転するように設けられている。これにより、従動プーリ88の回転が、支持軸91を介して駆動プーリ84に伝達され、上流側挟持搬送装置81が回転駆動する。
【0075】
このように、上流側挟持搬送装置81は、各上流側ベルト挟持体81Aを、支持軸91を介して下流側挟持搬送装置82の各下流側ベルト挟持体82Aに連結させており、下流側挟持搬送装置82の回転動力の伝達を受けて回転駆動するように構成されている。すなわち、引抜搬送装置24は、左右の上流側ベルト挟持体81Aのそれぞれの後端部と、左右の下流側ベルト挟持体82Aのそれぞれの前端部とを上下に重ねており、その重なり部分において、駆動プーリ84および従動プーリ88を支持する共通の支持軸91を介して、下流側ベルト挟持体82Aの回転動力を上流側ベルト挟持体81Aに伝達させるように構成されている。
【0076】
このように、引抜搬送装置24は、上流側ベルト挟持体81Aの後端部と下流側ベルト挟持体82Aの前端部とを、支持軸91を介して連結させた段違い状のベルト挟持体24Aを、左右一対備えている。
【0077】
また、野菜収穫機1において、左側、中央、右側の3組設けられた引抜搬送装置24の配置に関し、
図4に示すように、中央の引抜搬送装置24は、平面視において、直線状の搬送方向を前後方向に沿わせ、前後方向に沿って延伸するように設けられている。これに対し、左側および右側の引抜搬送装置24は、平面視において、直線状の搬送方向を左右外側から左右内側に向くように傾斜させており、前側から後側にかけて左右外側から左右内側に向けて傾斜状に設けられている。つまり、野菜収穫機1の正面視において、左右の引抜搬送装置24は、下側から上側にかけて左右外側から左右内側に向かうように傾斜状に設けられている。なお、左右の引抜搬送装置24は、左右方向について対称的に設けられている。
【0078】
このような引抜搬送装置24の配置構成においては、左右の引抜搬送装置24は、平面視における傾斜配置により、搬送終端部を、中央の引抜搬送装置24の搬送終端部に対して近接させながら、搬送始端部を、中央の引抜搬送装置24の搬送始端部に対して離間させている。したがって、3組の引抜搬送装置24は、全体として、左右方向について後側から前側にかけて徐々に外側に広がっている。このように左右方向の幅を後側から前側にかけて徐々に広げた前広がりの引抜搬送装置24の配置構成は、6条用の7個の分草装置21および6個の掻込み装置22の配置に対応したものである。
【0079】
[肩揃え装置]
肩揃え装置25は、引抜搬送装置24の後側に設けられている。具体的には、肩揃え装置25は、引抜搬送装置24の下流側挟持搬送装置82の下側に設けられている。
【0080】
肩揃え装置25は、位置揃え装置の一例であり、引抜搬送装置24の下流側挟持搬送装置82により搬送されているタマネギ2の鱗茎部2aの高さ位置を揃えるための装置である。肩揃え装置25は、タマネギ2の鱗茎部2aの上側の部分を肩部として、下流側挟持搬送装置82により搬送されるタマネギ2の肩部の高さを揃える。
【0081】
肩揃え装置25は、側面視において引抜搬送装置24の傾斜よりも緩やかな後上がりの傾斜平面に沿って設けられている。肩揃え装置25の水平方向に対する傾斜角度は例えば約20°である。肩揃え装置25は、各引抜搬送装置24に対応して設けられている。したがって、野菜収穫機1は、横並びに並設された左側、中間、右側の3個の肩揃え装置25を備えている。
【0082】
肩揃え装置25は、一対の無端回動帯である搬送ベルト94を、それぞれ、搬送上手側となる前側に設けられた駆動輪である駆動プーリ95、および搬送下手側となる後側に設けられた従動輪である従動プーリ96に巻き掛けた構成を有する。すなわち、肩揃え装置25は、駆動プーリ95および従動プーリ96に搬送ベルト94を巻回させたベルト搬送体25Aを左右一対備え、左右のベルト搬送体25A間に茎葉部2bを位置させて搬送するように構成されている。
【0083】
一対の搬送ベルト94は、互いに対向する部分によって茎葉部2bを挟持し、駆動プーリ95の回転駆動により、互いに対向する側を茎葉部2bの搬送方向に移動させる向きに回動する。駆動プーリ95および従動プーリ96は、機体側面視において肩揃え装置25の傾斜に直交する方向を回転軸方向とする。なお、搬送ベルト94に対してはテンションプーリ等が設けられている。一対の搬送ベルト94の対向面間の隙間は、一般的なタマネギ2の鱗茎部2aよりも狭く設定されている。
【0084】
肩揃え装置25は、各ベルト搬送体25Aの前端部を、下流側挟持搬送装置82の各下流側ベルト挟持体82Aの前端部の直下に位置させている。これにより、肩揃え装置25の前端部に位置する左右の駆動プーリ95は、それぞれ下流側挟持搬送装置82の前端部に位置する左右の従動プーリ88の下方の近傍に位置している。肩揃え装置25は、側面視において、下流側挟持搬送装置82との間の傾斜角度の差により、下流側挟持搬送装置82とともに略「V」字状をなし、下流側挟持搬送装置82との間の上下の間隔を前側から後側にかけて徐々に広げている。
【0085】
肩揃え装置25は、引抜搬送装置24に連動連結されており、引抜搬送装置24から動力の伝達を受け、引抜搬送装置24と同期して駆動する。左右のベルト搬送体25Aは、それぞれ対応するベルト挟持体24Aに連動連結されている。肩揃え装置25の左右のベルト搬送体25Aの駆動プーリ95は、それぞれ引抜搬送装置24のベルト挟持体24Aから伝達される回転動力によって回転駆動する。肩揃え装置25の駆動プーリ95は、各ベルト挟持体24Aにおいて下流側ベルト挟持体82Aと上流側ベルト挟持体81Aを互いに連動連結させる支持軸91に連動連結されており、支持軸91から駆動力の入力を受ける。
【0086】
支持軸91の回転動力は、第1ギア97および第2ギア98を介して、一端側に駆動プーリ95を固設させた入力軸99に伝達される(
図16参照)。第1ギア97は、支持軸91の下端部に固設されている。第2ギア98は、駆動プーリ95から上側に延出した入力軸99の上端部に固設されている。支持軸91および入力軸99は、引抜搬送装置24および肩揃え装置25の傾斜角度の違いに応じて、互いの軸方向を異ならせている。第1ギア97および第2ギア98は、支持軸91および入力軸99同士の軸方向の違いに応じて傾斜状に噛合するように構成されている。
【0087】
このように、引抜搬送装置24および肩揃え装置25は、下流側挟持搬送装置82の従動プーリ88から、上流側挟持搬送装置81および肩揃え装置25の駆動力を取り出すように構成されている。すなわち、従動プーリ88の支持軸91のうち、従動プーリ88から上側への延出部分に、上流側挟持搬送装置81の駆動プーリ84が固設されており、上流側挟持搬送装置81に対する駆動力が取り出される。また、従動プーリ88の支持軸91のうち、従動プーリ88から下側への延出部分に、肩揃え装置25の駆動プーリ95を支持する入力軸99に固設された第2ギア98に噛合する第1ギア97が固設されており、肩揃え装置25への駆動力が取り出される。
【0088】
肩揃え装置25は、上流側挟持搬送装置81から下流側挟持搬送装置82に受け継がれたタマネギ2の茎葉部2bを一対の搬送ベルト94間に位置させ、一対の搬送ベルト94によりタマネギ2の鱗茎部2aの肩部を押さえることで、鱗茎部2aの高さ位置を所定の高さ位置に揃える。すなわち、肩揃え装置25は、下流側挟持搬送装置82の搬送ベルト86に対して緩やかな傾斜で配設された一対の搬送ベルト94の下側に鱗茎部2aを位置させ、一対の搬送ベルト86によるタマネギ2の搬送にともない、一対の搬送ベルト94を鱗茎部2aの両肩部に当接させて搬送移動中のタマネギ2を上方移動について係止させ、扱く態様でタマネギ2の高さ位置を揃える(
図6におけるタマネギ2の移動軌跡S1参照)。ここで、肩揃え装置25の一対の搬送ベルト94の挟持力よりも、下流側挟持搬送装置82の一対の搬送ベルト86の挟持力が大きく設定されているため、タマネギ2に対する扱く作用が得られる。高さ位置が揃えられたタマネギ2は、後方の茎葉切断装置26に導かれる。
【0089】
[茎葉切断装置]
茎葉切断装置26は、肩揃え装置25の後上部に設けられており、下流側挟持搬送装置82の搬送方向の中間部の下方に配置されている。茎葉切断装置26は、引抜搬送装置24によって搬送されるタマネギ2の茎葉部2bを切断し、茎葉部2bから鱗茎部2aを切り離して落下させるための装置である。茎葉切断装置26は、肩揃え装置25によって肩部の高さが揃えられたタマネギ2の茎葉部2bを、茎葉部2bが略同じ長さで鱗茎部2a側に残るように切断する。
【0090】
茎葉切断装置26は、肩揃え装置25の各ベルト搬送体25Aにおいて従動プーリ96と同軸上に設けられた一対の円板状の回転刃100を有する。一対の回転刃100は、外縁部同士をわずかにオーバーラップさせた状態で、タマネギ2の移動経路を挟んで略左右対称に設けられている。本実施形態では、右側の回転刃100の左側の端部が、左側の回転刃100の右側の端部の上に重なっている(
図7参照)。
【0091】
回転刃100は、従動プーリ96の支持軸96aに支持されており、従動プーリ96に対して平行状に従動プーリ96の直上に設けられている。回転刃100は、引抜搬送装置24から回転動力の伝達を受けて動作する肩揃え装置25の従動プーリ96と一体的に回転する。
【0092】
下流側挟持搬送装置82による搬送作用として後斜め上方に移動中のタマネギ2が、肩揃え装置25によって上方移動について係止されて上下方向について位置決めされた状態で、一対の回転刃100間の位置に誘導される。肩揃え装置25の一対の搬送ベルト94の間に位置する茎葉部2bが、一対の回転刃100の間に達することで、回転する回転刃100によって切断される。ここで、茎葉部2bは、下流側挟持搬送装置82および肩揃え装置25により挟持されながら引っ張られた状態で回転刃100の作用を受けるので、良好に切断される。一対の回転刃100により茎葉部2bから切り離された鱗茎部2aは、落下して所定の場所へと導かれる。
【0093】
以上のように、本実施形態に係る野菜収穫機1は、引抜搬送装置24、肩揃え装置25、および茎葉切断装置26を含んで構成されたユニット構成を、左側、中間、右側の3組備えている。以下では、引抜搬送装置24、肩揃え装置25、および茎葉切断装置26を含んで構成されたユニット構成を「搬送切断ユニット構成80」とする。なお、
図6および
図7には、左側の搬送切断ユニット構成80が示されている。
【0094】
[土落とし装置]
土落とし装置27は、土壌から引き抜かれたタマネギ2を受け、タマネギ2に付着している土や泥を落としながらタマネギ2を後方へ送る。すなわち、土落とし装置27は、茎葉切断装置26により切り離された鱗茎部2aを受け、鱗茎部2aに付着している土や泥を落としながら鱗茎部2aを後方へ送る装置である。
【0095】
土落とし装置27は、肩揃え装置25および茎葉切断装置26の下方において、機体の左右中間部に設けられている。土落とし装置27は、作業部フレーム30に対して支持された状態で設けられている。土落とし装置27は、3組の搬送切断ユニット構成80に対して共通の構成として設けられている。すなわち、土落とし装置27は、左右両側および中央の各搬送切断ユニット構成80から茎葉部2bを切断することで落下してくる鱗茎部2aを受けて、鱗茎部2aの土落としを行いながら鱗茎部2aを後側に搬送する。
【0096】
土落とし装置27は、土落とし回転体として、3つの土落としホイル110(110A,110B,110C)を有し、土落としホイル110を鱗茎部2aに作用させることで、鱗茎部2aに付着している土や泥を叩き落す。土落としホイル110は、機体左右方向を回転軸方向とする回転体である。3つの土落としホイル110の上側が、鱗茎部2aの搬送面側となり、3つの土落としホイル110の作用によって、鱗茎部2aが後方に搬送される。したがって、回転駆動する3つの土落としホイル110の回転方向は、いずれも左側面視において時計方向(右回り方向)である(
図11、矢印X1参照)。
【0097】
3つの土落としホイル110は、前側から後側に並設されている。3つの土落としホイル110を、前側から順に、第1土落としホイル110A、第2土落としホイル110B、第3土落としホイル110Cとする。
【0098】
3つの土落としホイル110は、左右の土落としフレーム111間に架設された状態で回転可能に設けられている。土落としフレーム111は、縦板状のフレーム部分であり、側面視において、3つの土落としホイル110の配置に応じて、土落としホイル110の大部分を被覆するように設けられている。
【0099】
また、左右の土落としフレーム111の前端部間には、前壁部112が設けられている。前壁部112は、土落としフレーム111と略同じ高さを有する。左右の土落としフレーム111と前壁部112により囲まれた部分の下側には、複数の開口部が形成された穴開き板である底板113が設けられている。なお、前壁部112には、前傾支持フレーム部34の下端部が支持されている。
【0100】
このように、左右の土落としフレーム111、前壁部112、および底板113により、後側を開放させた箱状のフレーム部分が構成されており、このフレーム部分の内部に、3つの土落としホイル110が設けられている。そして、この箱状のフレーム部分の後側に、コンベヤ7が繋がっている。
【0101】
土落としホイル110は、エンジン10からの動力の伝達を受けて回転する駆動軸115と、棒状の突起部を放射状に配置して形成した複数のホイル本体116とを有する。駆動軸115および複数のホイル本体116は、一体的に回転するように設けられている。
【0102】
土落としホイル110の駆動軸115は、中間部において矩形状の横断面形状を有する軸部分を含む棒状の部材である。ホイル本体116は、ゴム等の弾性体からなる一体の部材として構成されている。ホイル本体116を構成する弾性体としては、弾性変形可能であって、鱗茎部2aを傷付けることがないような素材のものが採用される。
【0103】
ホイル本体116は、回転基部116aと、回転基部116aから放射状に突出した複数の突起部116bとを有する。回転基部116aは、駆動軸115を貫通させる略円筒状の部分である。回転基部116aは、駆動軸115の横断面形状に対応した矩形状の断面形状をなす貫通孔部を有する。突起部116bは、回転基部116aの径方向に沿うように直線状に形成されており、駆動軸115の軸方向視(側面視)において、基部側から先端側にかけて徐々に幅を狭くしたテーパ形状を有する。突起部116bは、回転基部116aの軸方向の中央部に設けられている。
【0104】
複数の突起部116bは、回転基部116aの周方向について等間隔に設けられている。本実施形態では、6本の回転基部116aが約60°間隔に設けられている。このように、ホイル本体116は、複数の(6本の)突起部116bを放射状に突出させたいわゆるスターホイル形状を有する。土落としホイル110において、複数のホイル本体116は、左右の土落としフレーム111の間において左右方向の略全体にわたる範囲に設けられている。
【0105】
3つの土落としホイル110は、隣り合う土落としホイル110間で、側面視において突起部116bの回転軌跡の外周部同士をオーバーラップさせる位置関係で設けられている。
図11に示すように、第1土落としホイル110Aの突起部116bの先端が描く回転軌跡A1の後部と、第2土落としホイル110Bの突起部116bの先端が描く回転軌跡A2の前側とがオーバーラップしている。また、第2土落としホイル110Bの回転軌跡A2の後部と、第3土落としホイル110Cの突起部116bの先端が描く回転軌跡A3の前側とがオーバーラップしている。隣り合う土落としホイル110同士のオーバーラップ量は、例えば突起部116bの長さの半分程度である。
【0106】
隣り合う土落としホイル110は、突起部116b同士を干渉させないように、複数のホイル本体116を、駆動軸115の軸方向について互い違いに位置させている。本実施形態では、第1土落としホイル110Aおよび第3土落としホイル110Cは、9個のホイル本体116を有し、これらの間に位置する第2土落としホイル110Bは、8個のホイル本体116を有する。つまり、第2土落としホイル110Bは、9個のホイル本体116を有する前後の土落としホイル110(110A,110C)に対し、駆動軸115の軸方向についてホイル本体116の突起部116bを互い違いに位置させるように、8個のホイル本体116を有する。
【0107】
各土落としホイル110が有する複数のホイル本体116は、形状・寸法を共通とする。また、各土落としホイル110において、複数のホイル本体116は、土落としホイル110の回転方向について共通の位相で設けられている。つまり、複数のホイル本体116は、駆動軸115の軸方向視において、6つの突起部116bが重なるように設けられている。なお、各土落としホイル110における複数のホイル本体116の位相は異なっていてもよい。
【0108】
3つの土落としホイル110は、エンジン10からの動力の伝達を受けて駆動するコンベヤ7から取り出された回転駆動力の伝達を受けて回転駆動する。3つの土落としホイル110の駆動軸115は、右側の土落としフレーム111から右方に向けて突出しており、この駆動軸115の右方への突出部分に、動力伝達のためのスプロケット等が設けられている。
【0109】
図15に示すように、第3土落としホイル110Cの駆動軸115には、コンベヤ7から取り出された回転駆動力の伝達を受けるための入力スプロケット118aと、第2土落としホイル110Bの駆動軸115に回転動力を伝達するための出力スプロケット118bとが設けられている。第2土落としホイル110Bの駆動軸115には、出力スプロケット118bとともにチェンの巻回を受ける入力スプロケット119aと、第1土落としホイル110Aの駆動軸115に回転動力を伝達するための出力スプロケット119bとが設けられている。第1土落としホイル110Aの駆動軸115には、出力スプロケット119bとともにチェンの巻回を受ける入力スプロケット120が設けられている。
【0110】
以上のような構成を備えた土落とし装置27において、落下してきた鱗茎部2aは、回転する3つの土落としホイル110からホイル本体116の突起部116bの作用を受けることで、土落としされながら後側のコンベヤ7へ向けて搬送される。ここで、土落とし装置27に落下した鱗茎部2aは、左右の土落としフレーム111および前壁部112によって構成される枠状の部分により、土落としホイル110上から外側へと落ちることなく受け止められるとともに、土落としホイル110による土落としの作用と搬送作用を確実に受ける。鱗茎部2aから落とされた土等は、底板113の開口部から落下して圃場に排出される。なお、土落としホイル110が有するホイル本体116は、本実施形態のようにスターホイル形状のものに限らず、例えば羽根状の突片部を有するものや多角形ローラ等であってもよい。
【0111】
[コンベヤ]
コンベヤ7は、引抜搬送装置24により搬送されたタマネギ2を受け取って後上方(後斜め上方)に向けて搬送する装置である。野菜収穫機1において、コンベヤ7は、土落とし装置27から、茎葉切断装置26により茎葉部2bが切断された鱗茎部2aを受け取り、鱗茎部2aを後上方に搬送する。
【0112】
コンベヤ7は、土落とし装置27の後側に設けられており、土落とし装置27における鱗茎部2aの搬送経路と同じ幅で連続した搬送経路をなすように設けられている。コンベヤ7は、土落とし装置27の後側から後斜め上方への搬送路を形成している。コンベヤ7の搬送経路の水平方向に対する傾斜角度は、例えば引抜搬送装置24の傾斜角度と同程度である。コンベヤ7は、搬送始端部を、土落とし装置27の後側に位置させ、搬送終端部を、操作ボックス12の右方に位置させるように、後上がりの傾斜状に延設されている。
【0113】
コンベヤ7は、左右方向を延伸方向とした複数のバー121を有するバーコンベヤである。コンベヤ7は、複数のバー121において、所定の間隔毎に、複数の突起122を有する突起バー121Aを含む。本実施形態では、突起バー121Aは、3本置きに設けられている。
【0114】
突起122は、側面視で細長い略三角形状を有し、コンベヤ7の搬送面に対して略垂直方向に向けて突出している。突起バー121Aにおいて、突起122は突起バー121Aの軸方向に所定の間隔を隔てて8箇所に設けられている。
【0115】
バー121の両端は、コンベヤ7の左右両側に設けられたチェンケース125内に配された無端状のチェン126に固定されている。つまり、バー121は、左右のチェン126間に架設された状態で設けられている。
【0116】
左右のチェンケース125は、コンベヤ7の左右の側壁部をなしている。左右のチェンケース125の前側には、それぞれ土落とし装置27の左右の側壁部をなす土落としフレーム111が連結されている。これにより、土落とし装置27とコンベヤ7とが1つのユニットとして構成されている。
【0117】
コンベヤ7は、後上側に位置する搬送後端部に設けられたコンベヤ入力軸127と、前下側に位置する搬送始端部に設けられたコンベヤ従動軸128とを有する。コンベヤ入力軸127は、エンジン10からの回転動力の伝達を受けて回転駆動する。コンベヤ入力軸127の右側の端部には、エンジン10からの回転動力の伝達を受けるための入力スプロケット129が固設されている(
図15参照)。
【0118】
コンベヤ入力軸127の回転動力は、複数のバー121を支持する左右のチェン126を介して、コンベヤ従動軸128に伝達される。このため、コンベヤ入力軸127およびコンベヤ従動軸128の各軸には、左右のチェン126の巻回を受けるスプロケット131,132が固設されている。
【0119】
このような構成を備えたコンベヤ7において、左右のチェン126の回動にともなってバー121が移動することで、鱗茎部2aは、突起バー121Aの複数の突起122により係止されながら後斜め上方へと搬送される。
【0120】
コンベヤ7のコンベヤ従動軸128は、第3土落としホイル110Cの直後方に位置している。
図11に示すように、コンベヤ7は、コンベヤ従動軸128の軸回りの突起122の先端の回動軌跡B1を、第3土落としホイル110Cの回転軌跡A3に隣接させるように設けられている。つまり、コンベヤ7による回動軌跡B1の前側は、第3土落としホイル110Cの回転軌跡A3の後側の近傍に位置している。このような構成により、第3土落としホイル110C上からコンベヤ7の搬送始端部へと連続的な搬送面が形成され、鱗茎部2aが土落とし装置27からコンベヤ7へと受け継がれる。
【0121】
土落とし装置27からコンベヤ7への受継ぎ部分には、櫛状案内体135が設けられている。櫛状案内体135は、櫛状の外形を有する板状の部材であり、土落とし装置27からコンベヤ7への搬送面に沿うように設けられている。櫛状案内体135は、例えば鉄板等により形成された金属製の部材である。ただし、櫛状案内体135は、樹脂製の部材であってもよい。櫛状案内体135は、上面視において、第3土落としホイル110Cと、複数の突起122をコンベヤ従動軸128の前側に位置させた状態のコンベヤ7との間の隙間を埋めるような形状を有する。
【0122】
櫛状案内体135は、前側については、第3土落としホイル110Cの回転にともなって移動する突起部116bに干渉しないように櫛歯状の形状を有し、後側については、コンベヤ7の駆動にともなって移動する突起バー121Aの突起122に干渉しないように櫛歯状の形状を有する。櫛状案内体135は、左右方向に延びた直線状の基部136と、基部136から前側に突出した複数の前側突片部137と、基部136から後側に突出した複数の後側突片部138とを有する。基部136、前側突片部137、および後側突片部138は、共通の平面に沿う板状の部分である。
【0123】
複数の前側突片部137は、平面視で第3土落としホイル110Cの複数の突起部116bの移動軌跡の間の隙間を埋めるように設けられている。隣り合う前側突片部137によって形成される凹部137aにより、第3土落としホイル110Cの複数の突起部116bの移動経路が確保される。複数の後側突片部138は、平面視でコンベヤ従動軸128の前側における複数の突起122の移動軌跡の間の隙間を埋めるように設けられている。隣り合う後側突片部138によって形成される凹部138aにより、コンベヤ従動軸128の前側における複数の突起122の移動経路が確保される。基部136は、複数の前側突片部137および複数の後側突片部138を繋ぐ中間部分である。
【0124】
本実施形態では、前側突片部137は、9個のホイル本体116を有する第3土落としホイル110Cに対し、隣り合う突起部116bの移動軌跡の間の8箇所の隙間に対応して8本形成されている。後側突片部138は、隣り合う突起122の移動軌跡の間の7箇所の隙間に対応して7本形成されている。
【0125】
櫛状案内体135は、
図11に示すように、第3土落としホイル110Cの中心軸C3と、コンベヤ従動軸118の中心軸D1とを通る仮想平面E1に対して上側の位置に設けられている。また、櫛状案内体135は、仮想平面E1と略平行な面に沿うように設けられている。櫛状案内体135は、左右両端部に、基部136に対して直角状に屈曲した固定面部139を有し、この固定面部139を左右の土落としフレーム111等に対してボルト等の固定具により固定させることで、固定状態で設けられている。
【0126】
このように、野菜収穫機1は、第3土落としホイル110Cとコンベヤ7との間において、これらの間の隙間を埋めるように設けられた案内部材として、櫛状案内体135を有する。櫛状案内体135により、土落とし装置27からコンベヤ7への受継ぎ部において搬送される鱗茎部2aが落下することなくスムーズに移送される。
【0127】
土落とし装置27は、回転軸方向視で放射状に突出した複数の突起部116bを有するローラである土落としホイル110を、左右方向を回転軸方向として複数並べた構成を有する。このような構成を備えた土落とし装置27は、コンベヤ7との関係において、3つの土落としホイル110の配置を工夫している。
【0128】
土落とし装置27において、3つの土落としホイル110のうち、前側の2つの土落としホイル110、つまり第1土落としホイル110Aおよび第2土落としホイル110Bは、同じ高さまたは略同じ高さ位置に設けられている。すなわち、第1土落としホイル110Aの中心軸C1および第2土落としホイル110Bの中心軸C2を通る仮想平面E2は、水平または略水平な面となる。
【0129】
前側の2つの土落としホイル110に対し、後側に位置する第3土落としホイル110Cは、前側の2つの土落としホイル110よりも高い位置に設けられている。具体的には、上下方向について、第3土落としホイル110Cは、下端を、前側の2つの土落としホイル110の中心軸と略同じ高さあるいはその中心軸よりも下方に位置させる高さに設けられている。また、側面視において、第2土落としホイル110Bの中心軸C2と第3土落としホイル110Cの中心軸C3とを結ぶ直線F1は、水平方向に対して略30°をなしている。
【0130】
このような3つの土落としホイル110の配置構成において、前側に位置する第1土落としホイル110Aおよび第2土落としホイル110Bは、鱗茎部2aを転動させることで鱗茎部2aに付着している土や泥を落とす土落とし部として主に機能する。また、後側に位置する第3土落としホイル110Cは、鱗茎部2aを土落とし部からコンベヤ7へと移送する移送部として機能する。
【0131】
このように土落とし装置27は、3つの土落としホイル110による機能部として、略同じ高さ位置に設けられた第1土落としホイル110Aおよび第2土落としホイル110Bによる土落とし部と、第3土落としホイル110Cによる移送部とを有する。そして、移送部をなす第3土落としホイル110Cは、土落とし部をなす第1土落としホイル110Aおよび第2土落としホイル110Bよりも高い位置に設けられている。
【0132】
[補助搬送装置]
図11および
図13に示すように、野菜収穫機1は、土落とし装置27の上側に設けられた補助搬送装置140を備えている。補助搬送装置140は、土落とし装置27からコンベヤ7に送られる鱗茎部2aにコンベヤ7への送り作用を与えるための構成である。補助搬送装置140は、その装置本体部として補助搬送ホイル141を有する。
【0133】
補助搬送ホイル141は、第3土落としホイル110Cとコンベヤ7の搬送始端部との間の受渡し部分の上方に設けられている。補助搬送ホイル141は、土落とし装置27からコンベヤ7に対して鱗茎部2aを掻き込む掻込みホイルとして機能する。
【0134】
補助搬送ホイル141は、機体左右方向を回転軸方向とする回転体であり、土落としホイル110と同様の構成を有する。補助搬送ホイル141は、エンジン10からの動力の伝達を受けて回転する駆動軸142と、棒状の突起部を放射状に配置して形成した複数のホイル本体143とを有する。駆動軸142および複数のホイル本体143は、一体的に回転するように設けられている。
【0135】
駆動軸142は、中間部において矩形状の横断面形状を有する軸部分を含む棒状の部材である。ホイル本体143は、ゴム等の弾性体からなる一体の部材として構成されている。ホイル本体143を構成する弾性体としては、弾性変形可能であって、鱗茎部2aを傷付けることがないような素材のものが採用される。
【0136】
ホイル本体143は、回転基部143aと、回転基部143aから放射状に突出した複数の突起部143bとを有する。回転基部143aは、駆動軸142を貫通させる略円筒状の部分である。回転基部143aは、駆動軸142の横断面形状に対応した矩形状の断面形状をなす貫通孔部を有する。突起部143bは、回転基部143aの径方向に沿うように直線状に形成されており、駆動軸142の軸方向視(側面視)において、基部側から先端側にかけて徐々に幅を狭くしたテーパ形状を有する。突起部143bは、回転基部143aの軸方向の中央部に設けられている。
【0137】
複数の突起部143bは、回転基部143aの周方向について等間隔に設けられている。本実施形態では、6本の回転基部143aが約60°間隔に設けられている。このように、ホイル本体143は、複数の(6本の)突起部143bを放射状に突出させたいわゆるスターホイル形状を有する。補助搬送ホイル141において、複数のホイル本体143は、左右方向について土落としホイル110におけるホイル本体116と同様の範囲に設けられている。なお、補助搬送ホイル141のホイル本体143は、土落としホイル110のホイル本体116と同等のものとしてもよい。
【0138】
このように、補助搬送装置140は、回転軸方向視で放射状に突出した複数の突起部143bを有するローラ(本体ローラ)である補助搬送ホイル141を含んで構成されている。そして、補助搬送ホイル141は、複数の突起部143bにより鱗茎部2aが後方に搬送される方向に回転駆動するように設けられている。
【0139】
補助搬送ホイル141は、第3土落としホイル110Cからコンベヤ7に受け継がれる鱗茎部2aに対して上側から突起部143bを作用させ、鱗茎部2aをコンベヤ7側へと送る。したがって、回転駆動する補助搬送ホイル141の回転方向は、土落としホイル110とは反対方向であり、左側面視において反時計方向(左回り方向)である(
図11、矢印Y1参照)。
【0140】
補助搬送ホイル141は、コンベヤ7の左側のチェンケース125の外側から前側に延出したチェンケース145と、コンベヤ7の右側のチェンケース125の外側から前側に延出した回動支持アーム146とにより、左右の両端で支持されている。
【0141】
チェンケース145は、左右方向を板厚方向とする細長い板状の外形を有し、後端部を左側のチェンケース125に対して回動可能に支持させている。チェンケース145は、前端部に、補助搬送ホイル141の駆動軸142の左側の端部を支持している。回動支持アーム146は、直線状のアーム本体部146sの後端部を右側のチェンケース125に対して回動可能に支持させている。回動支持アーム146は、アーム本体部146sの先端側に軸支持部146aを有し、軸支持部146aにより、補助搬送ホイル141の駆動軸142の右側の端部を支持している。
【0142】
このように、補助搬送ホイル141は、チェンケース145および回動支持アーム146の先端部間に、左右方向を回転軸方向として回転可能に支持されている。チェンケース145および回動支持アーム146は、コンベヤ7に対して、左右方向に沿う共通の回動軸線G1を中心に回動可能に支持されている(
図11参照)。チェンケース145および回動支持アーム146は、補助搬送ホイル141を介して互いに連結されており、回動軸線G1を中心に一体的に回動するように設けられている。
【0143】
チェンケース145および回動支持アーム146の回動軸線G1を中心とした回動動作により、これらの間に支持された補助搬送ホイル141が、鱗茎部2aの搬送面に対して略上下方向に移動する。チェンケース145および回動支持アーム146の回動動作による補助搬送ホイル141の位置の調整により、土落とし装置27とコンベヤ7との間における鱗茎部2aの搬送面に対する補助搬送ホイル141の高さが調整される。
【0144】
このように、補助搬送ホイル141は、チェンケース145および回動支持アーム146の回動動作により、土落とし装置27に対して近接・離間する方向に移動可能に設けられている。すなわち、補助搬送ホイル141の高さ調整において、補助搬送ホイル141の下方への移動が、土落とし装置27に対して近接する方向への移動となり、補助搬送ホイル141の上方への移動が、土落とし装置27に対して離間する方向への移動となる。補助搬送ホイル141の上下動の方向は、側面視において、櫛状案内体135の基部136等が沿う面の方向に対して略直交する方向となる。
【0145】
チェンケース145および回動支持アーム146は、それぞれ、コンベヤ7に対して、補助搬送ホイル141を下方へ移動させる向き、つまり土落とし装置27に対して近接する方向に付勢されている。
【0146】
図14Aに示すように、チェンケース145は、コンベヤ7との間に設けられた付勢バネ147の弾性力により、回動軸線G1の軸回りに、前側を下方に移動させる向きに付勢されている。付勢バネ147は、チェンケース145の後側において、側面視で左側のチェンケース125の下側に支持された状態で設けられている。
【0147】
付勢バネ147は、両端にフック状の係止部を有するコイルスプリングであり、側面視において、伸縮方向をコンベヤ7の傾斜方向(搬送方向)に沿わせた状態で設けられている。付勢バネ147は、左側のチェンケース125に対して、チェンケース125の左側面に取り付けられた支持板341、支持板341の下部に固定されたL字状の取付金具342、および取付金具342の下側の面部を貫通する支持棒343を介して支持されている。
【0148】
支持棒343は、直線棒状の部材であり、支持板341の下側から突片状に突出した取付金具342を貫通した状態で、ナット等の固定具によって取付金具342に固定された状態で設けられている。支持棒343は、軸方向をコンベヤ7の傾斜方向(搬送方向)に沿わせた状態で設けられている。支持棒343の前側の端部形成された係止孔343aに、付勢バネ147の後側の係止部が係止支持されている。
【0149】
付勢バネ147の前側は、チェンケース145の後面部145aに固定された係止部材344に係止支持されている。係止部材344は、チェンケース145において回動軸線G1よりも後側に位置する後面部145aの下部から下側に向けて突出しており、下端部に形成された孔部344aに付勢バネ147の前側の係止部を係止させている。
【0150】
このようにコンベヤ7とチェンケース145との間に設けられた付勢バネ147の弾性力により、チェンケース145は、回動軸線G1よりも後側の部分から後斜め上方に引っ張られている。これにより、チェンケース145は、回動軸線G1を中心とした回動について、補助搬送ホイル141を下方へ移動させる下降方向に付勢されている(
図14A、矢印L1参照)。
【0151】
チェンケース145の下降方向の回動については、チェンケース145の前部と左側のチェンケース125(コンベヤ7の左側面部)との間に設けられたストッパ支持棒345により、所定の位置で回動が規制されている。ストッパ支持棒345は、コンベヤ7の左側面部に固定されたL字状の取付金具346に対して設けられている。
【0152】
ストッパ支持棒345は、直線棒状の部材であり、略上下方向を軸方向として、コンベヤ7の左側から突片状に突出した取付金具346を貫通した状態で、ナット等の固定具によって取付金具346に固定された状態で設けられている。
【0153】
ストッパ支持棒345の上端部は、チェンケース145の下面部145bを貫通してチェンケース145内に挿入されている。ストッパ支持棒345において、チェンケース145の下面部145bの下側の部位には、ナットを螺合させること等によって形成された拡径状の部分である下係止部347が設けられている。下係止部347がストッパとして機能し、チェンケース145の下降回動が規制される。
【0154】
チェンケース145内に挿入されたストッパ支持棒345の上端部には、下係止部347と同様の拡径状の部分である上係止部348が設けられている。上係止部348は、ストッパ支持棒345の抜け止部として機能する。ストッパ支持棒345における下係止部347の位置の調整により、自然状態におけるチェンケース145の高さが調整される。また、ストッパ支持棒345における下係止部347と上係止部348の間隔により、チェンケース145の回動範囲が規定される。
【0155】
図14Bに示すように、回動支持アーム146は、チェンケース145と同様に、コンベヤ7との間に設けられた付勢バネ148の弾性力により、回動軸線G1の軸回りに、前側を下方に移動させる向きに付勢されている。付勢バネ148は、回動支持アーム146の後側において、側面視で右側のチェンケース125の下側に支持された状態で設けられている。
【0156】
付勢バネ148は、付勢バネ147と同様のコイルスプリングであり、付勢バネ147の支持構成と左右対称で同様の構成により、コンベヤ7に対して支持されている。すなわち、付勢バネ148は、右側のチェンケース125に対して、支持板341、取付金具342および支持棒343を介して支持されている。
【0157】
付勢バネ148の前側は、回動支持アーム146において回動支持アーム146の後側に延出した付勢用アーム部146cに係止支持されている。付勢用アーム部146cは、回動支持アーム146のアーム本体部146sと回動軸線G1回りに一体的に回動する部分として、アーム本体部146sの基端部から後下方へと延出している。付勢用アーム部146cの先端部に形成された孔部146dに付勢バネ148の前側の係止部が係止されている。
【0158】
このようにコンベヤ7と回動支持アーム146との間に設けられた付勢バネ148の弾性力により、回動支持アーム146は、回動軸線G1よりも後側の部分から後斜め上方に引っ張られている。これにより、回動支持アーム146は、回動軸線G1を中心とした回動について、補助搬送ホイル141を下方へ移動させる下降方向に付勢されている(
図14B、矢印L2参照)。
【0159】
回動支持アーム146の下降方向の回動については、チェンケース145と同様の構成が用いられ、回動支持アーム146のアーム本体部146sの中央部と右側のチェンケース125(コンベヤ7の右側面部)との間に設けられたストッパ支持棒350により、所定の位置で回動が規制されている。ストッパ支持棒350は、コンベヤ7の右側面部に固定されたL字状の取付金具351に対して設けられている。
【0160】
ストッパ支持棒350の上端部は、回動支持アーム146の下面部146eを貫通して中空状に構成された回動支持アーム146のアーム本体部146s内に挿入されている。ストッパ支持棒350において、回動支持アーム146の下面部146eの下側の部位には、下降回動を規制するストッパとして機能する下係止部352が設けられており、回動支持アーム146内に挿入された上端部には、抜け止部として機能する上係止部353が設けられている。ストッパ支持棒350における下係止部352の位置の調整により、自然状態における回動支持アーム146の高さが調整される。また、ストッパ支持棒350における下係止部352と上係止部353の間隔により、回動支持アーム146の回動範囲が規定される。
【0161】
以上のように、補助搬送装置140においては、左右の付勢バネ147,148によってそれぞれコンベヤ7に対して弾性支持されたチェンケース145および回動支持アーム146により、補助搬送ホイル141は、回動軸線G1回りに上下揺動可能に支持されている(
図14A、
図14B、矢印L3参照)。補助搬送ホイル141は、回動軸線G1回りに上昇する際、左右の付勢バネ147,148の付勢力に抗して回動することになる。
【0162】
補助搬送装置140は、コンベヤ7から取り出された動力により駆動するように構成されている。つまり、補助搬送装置140は、コンベヤ7からの動力の伝達を受けて補助搬送ホイル141を回転駆動させる。
【0163】
図15に示すように、コンベヤ7の動力は、動力取出軸151により回転動力として取り出され、チェンケース145内に設けられたチェン伝動機構152により、補助搬送ホイル141の駆動軸142に伝達される。動力取出軸151は、右側の部分を左側のチェンケース125内に位置させ、動力取出軸151の右端部に固設された入力スプロケット153を、チェンケース125内のチェン126に係合させている。
【0164】
入力スプロケット153は、コンベヤ7の下部において、鱗茎部2aの搬送面側と反対側、つまりチェン126の下側における外周側からチェン126に係合している(
図11参照)。左側のチェンケース125内において、入力スプロケット153の前方の近傍には、チェン126の内周側からチェン126に係合したテンションローラ154が設けられている。このように、補助搬送ホイル141の動力は、コンベヤ7の中途部からコンベヤ7の搬送方向に対して逆回転で取り出される。
【0165】
動力取出軸151は、軸心をチェンケース145の回動軸線G1に一致させている。つまり、チェンケース145は、動力取出軸151を回動軸として、コンベヤ7に対して回動可能に支持されている。一方、回動支持アーム146は、右側のチェンケース125に対して、回動軸線G1を回動軸心とする軸支部146bにより回動可能に支持されている。このように、チェンケース145、回動支持アーム146および補助搬送ホイル141を含む補助搬送装置140は、コンベヤ7の動力を取り出す動力取出軸151を回動中心として上下方向に回動可能に設けられている。
【0166】
チェン伝動機構152は、
図15に示すように、動力取出軸151の左端部に固設された駆動スプロケット156と、補助搬送ホイル141の駆動軸142の左端部に固設された従動スプロケット157と、これらのスプロケットに巻回された無端状のチェン158とを有する。このような構成において、コンベヤ7の左側のチェン126の回動にともなう動力取出軸151の回転により、動力取出軸151と一体的に駆動スプロケット156が回転し、チェン158および従動スプロケット157を介して、駆動軸142が回転し、補助搬送ホイル141が回転駆動する。
【0167】
補助搬送ホイル141は、補助搬送ホイル141の回転軌跡が土落とし装置27からコンベヤ7への鱗茎部2aの移動経路を通るように設けられている。つまり、補助搬送ホイル141は、第3土落としホイル110Cからコンベヤ7へと受け継がれる鱗茎部2aに突起部143bを接触作用させるように設けられている。
【0168】
具体的には、
図11に示すように、補助搬送ホイル141は、側面視において、突起部143bの先端の回転軌跡H1が、第3土落としホイル110Cの突起部116bの先端の回転軌跡A3に接するような位置あるいは略接するような位置に設けられている。なお、補助搬送ホイル141は、前後方向について、第3土落としホイル110Cに対して、平面視で前側の大部分を重ねる位置に設けられている。また、補助搬送ホイル141は、側面視において、回転軌跡H1がコンベヤ7による回動軌跡B1との間にわずかな間隔を隔てるような位置に設けられている。
【0169】
補助搬送ホイル141は、第2土落としホイル110Bと同様に、ホイル本体143の突起部143bを、9個のホイル本体116を有する第3土落としホイル110Cの突起部116bに対して互い違いに位置させるように、8個のホイル本体143を有する。また、補助搬送ホイル141において、複数のホイル本体143は、形状・寸法を共通とし、補助搬送ホイル141の回転方向について共通の位相で設けられている。なお、補助搬送ホイル141における複数のホイル本体143の位相は異なっていてもよい。
【0170】
以上のような補助搬送装置140を備えた構成において、土落とし装置27の第3土落としホイル110Cからコンベヤ7の搬送始端部に受け継がれる鱗茎部2aは、補助搬送ホイル141の突起部143bの作用を受けることで、後側に押されてコンベヤ7へと導かれる。鱗茎部2aは、コンベヤ7に受け継がれるに際し、第3土落としホイル110Cおよび補助搬送ホイル141により挟み込まれた態様で、コンベヤ7へと送出される。ここで、櫛状案内体135上の鱗茎部2aも補助搬送ホイル141によりコンベヤ7へと送出される。
【0171】
また、チェンケース145および回動支持アーム146を介して補助搬送ホイル141をコンベヤ7に対して左右の付勢バネ147,148によって弾性支持した構成により、補助搬送ホイル141が自動的に昇降することになる。すなわち、比較的大きい鱗茎部2aがコンベヤ7へと送出される場合は、補助搬送ホイル141が逃げることで付勢力に抗して持ち上がり、比較的小さい鱗茎部2aがコンベヤ7へと送出される場合は、付勢力により補助搬送ホイル141が下側に位置することになる。なお、補助搬送ホイル141が有するホイル本体143は、本実施形態のようにスターホイル形状のものに限らず、例えば羽根状の突片部を有するものや多角形ローラ等であってもよい。
【0172】
以上のような構成を備えた土落とし装置27およびコンベヤ7は、左右方向について左右のクローラ走行装置4の間に設けられている。ここで、野菜収穫機1が備える左右のクローラ走行装置4の配置構成について説明する。
【0173】
野菜収穫機1において、左右のクローラ走行装置4は、引抜搬送装置24の左右方向の幅の範囲内に設けられている。上述のとおり、3組の引抜搬送装置24の左右方向の幅は、後側から前側にかけて徐々に広がっている。このような構成において、3組の引抜搬送装置24の左右方向の最大幅は、左側の引抜搬送装置24の上流側挟持搬送装置81の前端部の左端と、右側の引抜搬送装置24の上流側挟持搬送装置81の前端部の右端との間の幅P1となる(
図4参照)。
【0174】
このような3組の引抜搬送装置24についての幅P1の範囲内に、左右のクローラ走行装置4が配置されている。すなわち、左右方向について、左側のクローラ走行装置4の左外側の縁端(位置Q1参照)は、3組の引抜搬送装置24についての幅P1を規定する左端よりも左右内側(右側)に位置している。また、左右方向について、右側のクローラ走行装置4の右外側の縁端(位置Q2参照)は、3組の引抜搬送装置24についての幅P1を規定する右端よりも左右内側(左側)に位置している。したがって、
図4に示すように、左右方向について、左右のクローラ走行装置4の左右方向の幅P2が、3組の引抜搬送装置24についての幅P1の範囲内に納まっている。
【0175】
このような構成においては、左右一対のクローラ走行装置4は、機体幅方向(左右方向)について、引抜搬送装置24によるタマネギ2の収穫範囲内に位置していることになる。
図4に示すように、野菜収穫機1において、タマネギ2の収穫範囲は、左右方向について、左端の分草装置21の分草ケース51の左側面部と、右端の分草装置21の分草ケース51の右側面部との間の幅(収穫幅R1)となる。つまり、左右方向について、左右のクローラ走行装置4の左右方向の幅P2が、タマネギ2の収穫範囲に対応した幅である収穫幅R1の範囲内に納まっている。
【0176】
特に、本実施形態では、3組の引抜搬送装置24についての幅P1は、収穫幅R1の範囲内に納まっており、3組の引抜搬送装置24についての幅P1の範囲内に、左右のクローラ走行装置4の左右方向の幅P2が納まっている。収穫幅R1は、掘起し装置23による掘起し幅と略一致している。
【0177】
以上のようなクローラ走行装置4の配置構成を備えた野菜収穫機1は、茎葉切断装置26から落下する鱗茎部2aを土落とし装置27へと案内する落下案内装置160を備えている。落下案内装置160は、左右方向について土落とし装置27の幅の範囲外の位置で茎葉切断装置26により切り離されて落下する鱗茎部2aを、土落とし装置27へと案内するための装置である。
【0178】
野菜収穫機1において、左右両側の搬送切断ユニット構成80を構成する茎葉切断装置26による茎葉部2bの切断位置は、左右方向について、土落とし装置27の幅の範囲に対して、左右方向について外側の位置となる。
【0179】
具体的には、
図9に示すように、土落とし装置27の幅である土落とし装置幅T0は、左側の土落としフレーム111の左右外側となる左側面と、右側の土落としフレーム111の左右外側となる右側面との間の幅である。土落とし装置幅T0は、コンベヤ7の装置幅と同じまたは略同じとなっている。また、左右の搬送切断ユニット構成80において、左右方向について、茎葉切断装置26による茎葉部2bの切断位置は、肩揃え装置25による茎葉部2bの挟持位置であり、左右の回転刃100の重なり部分の位置となる。
【0180】
左右方向について、左側(
図9において右側)の茎葉切断装置26による茎葉部2bの切断位置U1は、土落とし装置幅T0の左端位置T1よりも左右外側(左側)に位置している。同様に、左右方向について、右側(
図9において左側)の茎葉切断装置26による茎葉部2bの切断位置U2は、土落とし装置幅T0の右端位置T2よりも左右外側(右側)に位置している。左側の切断位置U1と右側の切断位置U2との間の幅が、作物落下位置幅U0となる。
【0181】
このように、茎葉部2bの切断位置U1,U2が土落とし装置幅T0の左右外側に位置する構成において、切断位置U1,U2からそのまま下方に向けて落下する鱗茎部2aは、土落とし装置27に受け入れられないことになる。そこで、落下案内装置160により、左右両側の茎葉切断装置26から落下する鱗茎部2aが土落とし装置27へと案内される。
【0182】
したがって、落下案内装置160は、左右両側の搬送切断ユニット構成80それぞれに対して設けられている。すなわち、野菜収穫機1は、落下案内装置160として、左側の搬送切断ユニット構成80を構成する茎葉切断装置26から落下する鱗茎部2aを土落とし装置27へと案内する左側の落下案内装置160Lと、右側の搬送切断ユニット構成80を構成する茎葉切断装置26から落下する鱗茎部2aを土落とし装置27へと案内する右側の落下案内装置160Rとを備えている。
【0183】
落下案内装置160は、
図9および
図10に示すように、鱗茎部2aの案内面をなす装置本体としてのガイド部材161を有する。ガイド部材161は、左右の茎葉切断装置26の下側から落下した鱗茎部2aを受けて左右中間部に位置する土落とし装置27へと導くように、左右外側から左右内側に向けて下る斜面をなすように傾斜状に設けられている。
【0184】
ガイド部材161は、傾斜状の案内面162aをなす案内面部162と、案内面部162の後側の縁部に沿って設けられた後壁部163と、案内面部162の左右外側の縁部に沿って設けられた側壁部164とを含んで構成されている。
【0185】
案内面部162の上側の面である案内面162aは、正面視において上側から下側にかけて左右外側から左右内側へ向かう傾斜面となっている。つまり、案内面部162は、左右外側から左右内側に向けて下り傾斜した坂をなす部分として設けられている。
【0186】
案内面部162は、左右方向について、左右外側の縁部、つまり上側の縁部を、茎葉切断装置26による茎葉部2bの切断位置U1,U2よりも左右外側に位置させるように設けられている。ここで、案内面部162は、例えば一般的なタマネギ2の鱗茎部2aの直径分、左右外側の縁部を切断位置U1,U2に対して左右外側に位置させるように設けられる。これにより、茎葉切断装置26による茎葉部2bの切断により肩揃え装置25の搬送終端部近傍の位置から落下する鱗茎部2aが案内面部162上に落下することになる。
【0187】
また、案内面部162は、前後方向について、茎葉切断装置26による茎葉部2bの切断により落下する鱗茎部2aを受ける範囲をカバーする長さを有する。案内面部162は、前後方向について、第1土落としホイル110Aおよび第2土落としホイル110Bそれぞれのホイル本体116の回転基部116aを含む範囲にわたる長さを有する。
【0188】
後壁部163は、案内面部162の後縁部から鉛直状に立ち上がった縦面部であり、案内面部162の後縁部の左右方向の全体にわたる範囲に形成されている。後壁部163により、案内面部162上から後側への鱗茎部2aの落下が規制される。
【0189】
側壁部164は、案内面部162の左右外側の縁部から鉛直状に立ち上がった縦面部であり、案内面部162の左右外側の縁部の前後方向の全体にわたる範囲に形成されている。側壁部164の後側は、後壁部163の左右外側に繋がっている。側壁部164により、案内面部162上から左右外側への鱗茎部2aの落下が規制される。
【0190】
ガイド部材161は、下端部を、左右の土落としフレーム111の左右内側に位置させ、土落としフレーム111に対してボルト等の固定具によって固定支持させている。一方、ガイド部材161の上側は、支持棒165を介して、作業部フレーム30を構成する所定のフレーム部分に対して連結支持されている(
図10参照)。支持棒165の一端側には図示せぬ支持板部が設けられており、この支持板部が、ガイド部材161の側壁部164に対して外側からボルト等の固定具によって固定支持されている。支持棒165の他端側には、支持板部165aが設けられており、この支持板部165aが、作業部フレーム30を構成する所定のフレーム部分に対してボルト等の固定具等を介して固定支持されている。
【0191】
以上のように左右の落下案内装置160を備えた構成によれば、
図9に示すように、左側の茎葉切断装置26による茎葉部2bの切断により落下する鱗茎部2aは、そのまま落下することで、ガイド部材161の案内面部162の左右外側の部分の上に落下する(矢印V1参照)。案内面部162上に落下した鱗茎部2aは、案内面部162の傾斜により自重によって案内面162a上を滑り落ち、土落とし装置27へと流れ込む(
図9、
図10、矢印V2参照)。
【0192】
なお、中央の搬送切断ユニット構成80を構成する茎葉切断装置26による茎葉部2bの切断位置は、左右方向について、土落とし装置幅T0の中央部に位置する。このため、中央の茎葉切断装置26による茎葉部2bの切断によって落下する鱗茎部2aは、土落とし装置27上に直接落下する(
図9、矢印V3参照)。
【0193】
[収容部]
収容部8は、コンベヤ7の後側に設けられている。収容部8は、走行機体3の後側において、操作部5の右方であって、左右方向の中間部に設けられている。収容部8は、コンベヤ7の搬送終端部から鱗茎部2aを落下させ、回収容器としての収穫ネット170へと収容するための構成である(
図5参照)。
【0194】
収容部8は、コンベヤ7の終端から流下する鱗茎部2aを受け入れる排出ホッパ171を有する。排出ホッパ171は、左右方向についてコンベヤ7の搬送幅の全体を含む開口幅で上側を開放させた投入口部172をなすホッパ本体部173と、ホッパ本体部173の下側に設けられた案内部174とを有する。排出ホッパ171は、案内部174の下側において、投入口部172よりも小さい開口部である排出口部175を有する。
【0195】
収穫ネット170は、ネットにより袋状に形成された収穫袋である。収穫ネット170は、開放側を上側として、排出ホッパ171の内部に連通するように排出口部175に取り付けられている。
【0196】
排出ホッパ171の下方には、排出口部175に取り付けられた状態の収穫ネット170を下側から支持する支持台176が設けられている。支持台176は、水平状の支持面176aを有する。支持台176は、走行機体3から支持部材を介して後方に向けて水平状に突出するように設けられている。支持台176は、支持面176aをなす水平状の支持面部177と、支持面部177の左右両側に設けられた側壁部178とを有する。
【0197】
このような構成の収容部8において、コンベヤ7により後上方に搬送され(
図5、矢印W1参照)、コンベヤ7の搬送終端部から後側に落下する鱗茎部2aは(
図5、矢印W2参照)、投入口部172から排出ホッパ171に投入され、排出ホッパ171内を通過して収穫ネット170内に収容されていく。鱗茎部2aで満杯となった収穫ネット170は適宜交換される。なお、回収容器として、収穫ネット170の代わりに、支持台176上にコンテナを載置し、排出ホッパ171から排出される鱗茎部2aをコンテナ内に収容していってもよい。
【0198】
[動力伝達構成]
本実施形態に係る野菜収穫機1における動力伝達構成について、
図15および
図16を用いて説明する。なお、
図16は、
図15の一部分拡大図であり、搬送切断ユニット構成80についての動力伝達構成を示す図である。
【0199】
図15に示すように、エンジン10の出力軸10aの回転駆動力は、第1チェン伝動機構201により、エンジン10の近傍に搭載された油圧ポンプ200の入力軸200aに入力される。
【0200】
また、エンジン10の出力軸10aの回転駆動力は、第2チェン伝動機構202により、左右方向を軸方向として設けられたカウンタ軸203に入力される。エンジン10の動力は、カウンタ軸203を介して、クローラ走行装置4を駆動させる走行駆動系と、各作業部を駆動させる作業駆動系とに二分される。
【0201】
走行駆動系に関し、カウンタ軸203の回転動力は、第1ベルト伝動機構205により、トランスミッション11の入力軸11aに伝達される。第1ベルト伝動機構205には、走行・作業クラッチレバー13により操作される走行クラッチ206が設けられている。トランスミッション11の入力軸11aに入力された回転動力は、トランスミッション11が有する伝動機構によってトランスミッション11の左右の車軸11bに伝達される。車軸11bの両端部には、クローラ走行装置4の駆動輪4aが取り付けられている。
【0202】
作業駆動系に関し、カウンタ軸203の回転動力は、第2ベルト伝動機構207により、左右方向を軸方向として設けられた作業部入力軸208に入力される。第2ベルト伝動機構207には、走行・作業クラッチレバー13により操作される作業クラッチ209が設けられている。
【0203】
作業部入力軸208の左端部と、コンベヤ入力軸127との間には、入力スプロケット129を含む第3チェン伝動機構210が設けられており、第3チェン伝動機構210により、作業部入力軸208の回転動力がコンベヤ入力軸127に伝達される。コンベヤ入力軸127の回転駆動力は、左右のチェン126を含むチェン伝動機構によって、コンベヤ従動軸128に伝達され、コンベヤ7が駆動する。
【0204】
コンベヤ従動軸128の回転動力は、入力スプロケット118aを含むチェン伝動機構211により、第3土落としホイル110Cの土落とし駆動軸115に伝達される。第3土落としホイル110Cの駆動軸115の回転動力は、出力スプロケット118bを含むチェン伝動機構によって第2土落としホイル110Bに伝達され、第2土落としホイル110Bの回転動力は、出力スプロケット119bを含むチェン伝動機構によって第1土落としホイル110Aに伝達される。また、コンベヤ7の左側のチェン126の回動動力は、動力取出軸151により取り出され、チェン伝動機構152によって補助搬送ホイル141に伝達される。
【0205】
一方、作業部入力軸208の回転動力は、作業部入力軸208の右端部に固設されたベベルギア215およびこれに噛合するベベルギア216を介して、走行機体3の右側において平面視で前後方向に沿うように配された作業部伝達軸217に伝達される。作業部伝達軸217の回転動力は、作業部伝達軸217の前端部に固設されたベベルギア218およびこれに噛合するベベルギア219を介して、機体左右方向を軸方向として配された作業部入力軸220に伝達される。
【0206】
作業部入力軸220の回転動力は、
図16に示すように、作業部入力軸220に設けられたウォーム223、およびこれに噛合するウォームホイル224からなるウォームギア222を介して、各搬送切断ユニット構成80における左右の搬送入力軸89のうち、右側のベルト挟持体24Aの搬送入力軸89Aに伝達される。搬送入力軸89Aの回転動力は、左右方向に配された連結軸225を介して、左側のベルト挟持体24Aの搬送入力軸89Bに伝達される。連結軸225の両端部には、それぞれ搬送入力軸89A,89Bに固設されたベベルギア226に噛合するベベルギア227が設けられている。
【0207】
左右のベルト挟持体24Aそれぞれの搬送入力軸89の回転動力により、引抜搬送装置24、肩揃え装置25および茎葉切断装置26が駆動する。なお、連結軸225およびベベルギア226,227は、左右の搬送入力軸ケース90の下端部間に架設された連結軸ケース228内に収納されている(
図7参照)。
【0208】
また、作業部入力軸220の回転動力は、作業部入力軸220の右端部に固設されたスプロケット229を含む第4チェン伝動機構230により、掘取駆動軸78に伝達される。掘取駆動軸78の回転動力により、掘起し装置23が駆動する。また、掘取駆動軸78の回転動力は、掘取駆動軸78の右端部に固設されたスプロケット231を含む第5チェン伝動機構232により、前処理駆動軸55に伝達される。前処理駆動軸55の回転動力により、6条用の分草装置21および掻込み装置22が駆動する。
【0209】
[茎葉排出構成]
野菜収穫機1は、茎葉切断装置26によって鱗茎部2aから切り離した茎葉部2bを所定の場所へと排出するための茎葉排出構成を備えている。野菜収穫機1は、左右両側の搬送切断ユニット構成80で生じる茎葉部2bを排出するための構成と、中央の搬送切断ユニット構成80で生じる茎葉部2bを排出するための構成との2種類の茎葉排出構成を備えている。
【0210】
野菜収穫機1は、
図17に示すように、引抜搬送装置24として、左右外側に位置する外側引抜搬送装置24Xと、左右中間部に位置する中央の内側引抜搬送装置24Yとを備える。そして、野菜収穫機1は、各搬送切断ユニット構成80において茎葉切断装置26によって切断された茎葉部2bを左右外側に排出する排葉装置として、外側引抜搬送装置24Xによって搬送されるタマネギ2から切断された茎葉部2bを排出する第1の排葉装置である放出ガイド装置240と、内側引抜搬送装置24Yによって搬送されるタマネギ2から切断された茎葉部2bを左右一側である右側に排出する第2の排葉装置である排葉搬送装置250とを備える。
【0211】
図7および
図18に示すように、放出ガイド装置240は、外側引抜搬送装置24Xの搬送終端部、つまり下流側挟持搬送装置82の後端部に設けられている。放出ガイド装置240は、上下一対の放出ガイド体241と、放出ホイル242とを有する。放出ガイド装置240は、下流側挟持搬送装置82を構成する左右の下流側ベルト挟持体82Aのうち、主に左右外側に位置する下流側ベルト挟持体82Aの後端部に対して設けられている。なお、左側の外側引抜搬送装置24Xに対して設けられた放出ガイド装置240と、右側の外側引抜搬送装置24Xに対して設けられた放出ガイド装置240とは、左右対称に構成されている。
【0212】
放出ガイド体241は、所定の湾曲形状を有する棒状の部材により構成されている。放出ガイド体241は、左右外側の下流側ベルト挟持体82Aの後端部に位置する駆動プーリ87の外形に沿うように円弧状に湾曲した形状を有する。放出ガイド体241は、左右外側の下流側ベルト挟持体82Aの後端部に位置する駆動プーリ87の下側において、駆動プーリ87を軸支する搬送入力軸89の軸方向に対して垂直な平面に大部分を沿わせるように設けられている。
【0213】
放出ガイド体241の左右内側の端部は、左右の下流側ベルト挟持体82A間において前方に延設され、左右内側の下流側ベルト挟持体82Aの駆動プーリ87の前下方の位置において、左右内側の下流側ベルト挟持体82Aを構成する所定のフレーム部分に対して支持プレート243等を介してボルト等の固定具によって固定支持されている(
図7参照)。放出ガイド体241は、左右内側の下流側ベルト挟持体82Aに対する固定部分から、左右外側の下流側ベルト挟持体82Aの搬送ベルト86の回動方向に沿うように左右外側に回り込み、駆動プーリ87の外形に沿う円弧状の部分を延出し、端部を左右外側に向けている。
【0214】
すなわち、放出ガイド体241は、搬送入力軸89の軸方向視において、支持プレート243による基端部の固定部分から、左右の駆動プーリ87,87の間を通り、左右外側の駆動プーリ87の円周形状に沿うように下流側ベルト挟持体82Aの後側に回り込み、下流側ベルト挟持体82Aの後端部の左右外側に先端部を位置させている。
【0215】
放出ガイド体241は、搬送入力軸89の軸方向視において、左右外側の下流側ベルト挟持体82Aの後端部を外側から囲むように、搬送ベルト86よりも外周側に位置している。上下の放出ガイド体241は、搬送入力軸89の軸方向視で重なるように互いに同じ湾曲形状を有し、搬送入力軸89の軸方向に所定の間隔を隔てた位置に固定状態で支持されている。
【0216】
放出ホイル242は、左右外側の下流側ベルト挟持体82Aの下側において、搬送入力軸89の軸方向について、上下の放出ガイド体241の間に設けられている。放出ホイル242は、左右外側の下流側ベルト挟持体82Aの搬送入力軸89と同軸心上に位置し、左右外側の下流側ベルト挟持体82Aの駆動プーリ87と連動して同じ方向に回転するように設けられている。
【0217】
放出ホイル242は、茎葉部2bに作用させる部分として、径方向外側に向けて突出した複数の突起部242aを有し、いわゆるスターホイル形状を有する。複数の突起部242aは、放出ホイル242の回転による突起部242aの先端部の軌跡が放出ガイド体241の円弧状の湾曲部に略一致するように、詳細には突起部242aの先端部がわずかに放出ガイド体241からはみ出るように設けられている。
【0218】
以上のような構成を備えた放出ガイド装置240によれば、茎葉切断装置26によって切断されて下流側挟持搬送装置82に挟持された状態の茎葉部2bが、上下の放出ガイド体241の基端部側から放出ガイド体241の内周側に導かれる。放出ガイド体241の内周側に導かれた茎葉部2bは、放出ホイル242の作用により、放出ガイド体241の湾曲形状に沿って移動し、放出ガイド体241の左右外側の端部と放出ホイル242との間から左右外側に向けて放出される(
図4、
図9、矢印J1参照)。
【0219】
排葉搬送装置250は、内側引抜搬送装置24Yの後側に設けられている。排葉搬送装置250は、ベルト搬送部として構成されており、互いに対向する側において後方に回動する一対の無端状の排葉ベルト251を有する。排葉ベルト251は、排葉搬送装置250の搬送始端部に設けられた駆動プーリ252と、排葉搬送装置250の搬送終端部に設けられた従動プーリ253に巻き掛けられている(
図9参照)。このように、排葉搬送装置250は、駆動プーリ252および従動プーリ253に排葉ベルト251を巻回させたベルト挟持体250Aを左右一対備え、左右のベルト挟持体250A間に茎葉部2bを挟持して搬送するように構成されている。なお、排葉ベルト251に対しては、複数のテンションプーリ等が設けられている。
【0220】
駆動プーリ252は、搬送入力軸89に対して設けられており、搬送入力軸89の回転にともなって下流側挟持搬送装置82の駆動プーリ87とともに回転駆動する(
図15参照)。駆動プーリ252は、駆動プーリ87の下側に設けられている。つまり、排葉搬送装置250は、その搬送始端部を、内側引抜搬送装置24Yの搬送終端部の下側に位置させている。したがって、排葉搬送装置250は、左右のベルト挟持体250Aの前側の端部を、それぞれ内側引抜搬送装置24Yの左右の下流側ベルト挟持体82Aの後端部の下側に位置させている。
【0221】
排葉搬送装置250は、茎葉部2bの搬送方向を、内側引抜搬送装置24Yの搬送終端部から、後右斜め上方に向けるように傾斜状に設けられている。排葉搬送装置250は、側面視において、茎葉部2bの搬送方向となる延伸方向の水平方向に対する傾斜角度を、引抜搬送装置24の傾斜角度と同程度としている。また、排葉搬送装置250は、平面視において、茎葉部2bの搬送方向を、内側引抜搬送装置24Yの搬送終端部から、右斜め後方に向けるように傾斜状に設けられている。
【0222】
以上のような構成を備えた排葉搬送装置250によれば、茎葉切断装置26によって切断されて下流側挟持搬送装置82に挟持された状態の茎葉部2bが、排葉搬送装置250に受け継がれ、左右一対の排葉ベルト251間に挟持された状態で後右斜め上方へと搬送される。排葉搬送装置250により搬送される茎葉部2bは、排葉搬送装置250の終端部において放出される(
図4、
図9、矢印J2参照)。
【0223】
以上のように左右の外側引抜搬送装置24Xに対して設けられた放出ガイド装置240によって放出される茎葉部2b、および中央の内側引抜搬送装置24Yに対して設けられた排葉搬送装置250によって放出される茎葉部2bは、それぞれ、野菜収穫機1が備える排葉シュータにより、クローラ走行装置4上に落下するように案内される。野菜収穫機1は、左右の放出ガイド装置240および中央の排葉搬送装置250のそれぞれから排出される茎葉部2bを、左右のクローラ走行装置4の上面4eへ向けて案内するガイド部として、左右の側方排葉シュータ261(261L,261R)と、後方排葉シュータ263とを備える。
【0224】
左側の側方シュータ261Lは、左側の放出ガイド装置240から放出された茎葉部2bを、左側のクローラ走行装置4上に落下するように案内する。右側の側方シュータ261Rは、右側の放出ガイド装置240から放出された茎葉部2bを、右側のクローラ走行装置4に落下するように案内する。左右の側方排葉シュータ261は、略左右対称に構成されている。
【0225】
側方排葉シュータ261は、放出ガイド装置240によって左右外側の下流側挟持搬送装置82の後端部から左右外側に向けて放出される茎葉部2bを、クローラ走行装置4よりも左右外側の位置で受け、クローラ走行装置4上に茎葉部2bが乗るように、茎葉部2bを左右内側に向けて落下させる。側方排葉シュータ261は、平面視において左右内側を開放させた略「コ」字状ないし略「U」字状をなす樋状の部分である。
【0226】
側方排葉シュータ261は、左右方向を板厚方向とする鉛直状の側面部265と、側面部265の下側に連続した下案内面部266と、側面部265の上側に連続した上案内面部267と、前後方向を板厚方向とした前面部268および後面部269とを含んで構成されている。
【0227】
下案内面部266は、正面視において上側から下側にかけて左右外側から左右内側へ向かう傾斜面部となっている。つまり、下案内面部266は、左右外側から左右内側に向けて下り傾斜した斜面をなす部分として設けられている。上案内面部267は、下案内面部266と同じ向きに傾斜した面部である。
【0228】
側方排葉シュータ261は、放出ガイド装置240によって左右外側に向けて放出される茎葉部2bを受ける範囲を主に側面部265によりカバーするように設けられている。側方排葉シュータ261は、前後方向について、クローラ走行装置4の前半部の中間部に位置するように設けられている。また、側方排葉シュータ261は、下縁部を、側方排葉シュータ261の下方に位置するクローラ走行装置4の部分よりも上方に位置させている。また、側方排葉シュータ261は、上縁部を、放出ガイド装置240の近傍の高さに位置させている。
【0229】
前面部268は、側面部265および下案内面部266の前縁部の略全体にわたる範囲から左右内側に向けて形成されている。前面部268により、茎葉部2bの前方への飛散が規制される。後面部269は、下案内面部266の後縁部から左右内側に向けて形成されている。後面部269により、茎葉部2bの後方への飛散が規制される。
【0230】
側方排葉シュータ261は、作業部フレーム30を構成する下フレーム部31cの左右内側に位置しており、下フレーム部31cに対して固定された状態で設けられている。側方排葉シュータ261は、側面部265および下案内面部266の部分を、それぞれ支持部材270a、270b等を介してボルト等の固定具によって下フレーム部31cに固定させている(
図17参照)。
【0231】
また、左右の側方排葉シュータ261それぞれの後部の左右内側であって放出ガイド装置240の後方の位置には、放出ガイド装置240から放出される茎葉部2bに対するガイド板271が設けられている。左右のガイド板271は、略左右対称に構成されている。ガイド板271は、前下がりの傾斜面をなす傾斜面部272と、傾斜面部272の上側に連続した上縦面部273と、傾斜面部272の下側に連続した下縦面部274とを有する屈曲板状の部材である。
【0232】
傾斜面部272は、側面視において下流側挟持搬送装置82と平行状となるように傾斜しており、連結軸ケース228との干渉をさけつつ、搬送入力軸89の軸方向視で、下流側挟持搬送装置82の後端部の後側から左右外側にわたる範囲で放出ガイド装置240の後下側をカバーしている。上縦面部273は、前後方向を板厚方向とする鉛直板状の部分であり、下流側挟持搬送装置82の搬送終端部よりも高い位置まで延出している。下縦面部274は、前後方向を板厚方向とする鉛直板状の部分であり、前後方向について、側方排葉シュータ261の後面部269と略同一平面上に位置しており、左右方向について、後面部269の左右内側に位置している。
【0233】
以上のように側方排葉シュータ261およびガイド板271を備えた構成によれば、側方排葉シュータ261およびガイド板271により囲まれた空間部分が、放出ガイド装置240から放出された茎葉部2bの排出経路となる。すなわち、放出ガイド装置240から放出された茎葉部2bは、側方排葉シュータ261およびガイド板271により囲まれた空間部分に投入され、側方排葉シュータ261のガイド作用を受けながら滑り落ち、クローラ走行装置4の上面4e上に落下する。なお、クローラ走行装置4の上面4eは、履帯4dのうち、駆動輪4aと前側の従動輪4bとの間の前下がりの傾斜状の部分の上側の面である。
【0234】
クローラ走行装置4の上面4e上に落下した茎葉部2bは、圃場を走行するクローラ走行装置4において、上面4eの前下がりの傾斜により、あるいは履帯4dの回動により前側に送られ、クローラ走行装置4の前側に落下し、野菜収穫機1の前進にともなってクローラ走行装置4によって踏まれることになる。
【0235】
後方排葉シュータ263は、排葉搬送装置250によって中央の下流側挟持搬送装置82の後端部から後斜め右上方に向けて放出される茎葉部2bを、右側のクローラ走行装置4よりも左右内側(左側)の位置で受け、右側のクローラ走行装置4上に茎葉部2bが乗るように、茎葉部2bを左右外側に案内して落下させる。
【0236】
後方排葉シュータ263は、右側にかけて下り傾斜状に設けられた案内面部275と、案内面部275の下側に連続した下縦面部276とを含んで構成されている(
図17参照)。
【0237】
案内面部275は、正面視において上側から下側にかけて左右内側から左右外側へ向かう傾斜面部となっている。つまり、案内面部275は、左右内側から左右外側に向けて下り傾斜した斜面をなす部分として設けられている。
【0238】
案内面部275は、略矩形状の外形を有し、左右方向の内側の部分を、コンベヤ7の右側の部分の上方に位置させ、排葉搬送装置250から放出される茎葉部2bを受ける範囲をカバーするように設けられている。排葉搬送装置250の茎葉部2bの放出位置は、左右方向について、コンベヤ7の右端と略同じ位置に位置しており、案内面部275は、排葉搬送装置250から放出される茎葉部2bを、コンベヤ7の右側の上方の位置で受けて、右下方へと案内して落下させる。
【0239】
案内面部275は、その外縁に沿うように形成された比較的高さの低い側壁部277を有する。側壁部277は、案内面部275の下縁部以外の縁部に、案内面部275の上面側(受面側)に立ち上がるように形成されている。案内面部275は、側壁部277を有することで、トレー状のガイド板として構成されている。側壁部277により、案内面部275が受けた茎葉部2bが案内面部275の周囲に飛散することが抑制される。
【0240】
下縦面部276は、左右方向を板厚方向とする鉛直状の略矩形板状の部分であり、案内面部275の下側に連結されている。下縦面部276は、前後方向について、案内面部275の下端縁と略同じ幅を有する。
【0241】
後方排葉シュータ263は、案内面部275の下部の前縁部を、右側のガイド板271の左右内側(左側)の縁部に連続させるように設けられている。後方排葉シュータ263は、案内面部275の前部を、排葉搬送装置250の搬送後端部の後下方に位置させている。
【0242】
後方排葉シュータ263は、案内面部275の前部に形成された凹状の切欠部275sに取り付けられた支持ステー278を介して、排葉搬送装置250の後端部の下側のフレーム部分に対してボルト等の固定具によって固定支持されている。また、後方排葉シュータ263は、下縦面部276の下端部を、機体フレーム9を構成する所定のフレームに対してボルト等の固定具によって固定支持させている。
【0243】
また、後方排葉シュータ263の右方の位置には、後方排葉シュータ263によって案内される茎葉部2bに対するガイド板281が設けられている。ガイド板281は、左右方向を板厚方向とする鉛直状の略矩形板状の部分である本体面部282と、本体面部282の上側に連続した上傾斜面部283とを含んで構成されている(
図17参照)。
【0244】
本体面部282は、後方排葉シュータ263の案内面部275の下端部および下縦面部276に対向するように、後方排葉シュータ263の右方に設けられている。上傾斜面部283は、後方排葉シュータ263の傾斜に対して略左右対称となる傾斜角度で傾斜した面部となっている。
【0245】
ガイド板281は、コンベヤ7の右方において前後方向に延伸状に設けられた四角柱状の軸ケース285の左右内側に、本体面部282を固定させることで、固定状態で設けられている。軸ケース285は、コンベヤ7の後端部の右方に設けられたギアケース286の前方において前後方向に延伸状に設けられており、作業部伝達軸217(
図15参照)を内装している。
【0246】
以上のように後方排葉シュータ263およびガイド板281を備えた構成によれば、案内面部275上の空間部分、および後方排葉シュータ263とガイド板281とにより挟まれた空間部分が、排葉搬送装置250から放出された茎葉部2bの排出経路となる。すなわち、排葉搬送装置250から放出された茎葉部2bは、案内面部275上に受けられ、案内面部275のガイド作用を受けながら滑り落ち、後方排葉シュータ263とガイド板281の間の空間部分を介して、右側のクローラ走行装置4の上面上に落下する。
【0247】
クローラ走行装置4の上面4e上に落下した茎葉部2bは、圃場を走行するクローラ走行装置4において履帯4dの回動によって前側に送られ、クローラ走行装置4の前側に落下し、野菜収穫機1の前進にともなってクローラ走行装置4によって踏まれることになる。
【0248】
[補助操作部]
野菜収穫機1においては、走行機体3の後部に設けられた操作部5に加え、走行機体3の左側に、野菜収穫機1を操作する補助操作部300が設けられている。ここで、走行機体3に対する補助操作部300の配置に関し、走行機体3に対する排葉搬送装置250による茎葉部2bの排出側である右側を左右一側とした場合、走行機体3に対する補助操作部300の配設側である左側は左右他側となる。補助操作部300は、主に野菜収穫機1によるタマネギ2の収穫作業時において引抜搬送装置24等の操作に用いられる操作部となる。
【0249】
補助操作部300は、左右方向について、排葉搬送装置250による茎葉部2bの排出側と反対側である左側に設けられている。すなわち、中央の内側引抜搬送装置24Yから茎葉部2bを受け継ぐ排葉搬送装置250を、左右のうち右側に茎葉部2bを搬送して放出するように設けた構成において、補助操作部300は、走行機体3に対し、左右方向について排葉搬送装置250による茎葉部2bの放出側と反対側である左側に設けられている。補助操作部300は、左右方向について、排葉搬送装置250による茎葉部2bの放出側と反対側である左側に位置する左側のクローラ走行装置4の上方に設けられている。
【0250】
補助操作部300は、レバーやスイッチ等の各種操作具を配設した直方体状の操作ボックス301を有する。操作ボックス301には、作業部を昇降させる昇降レバー302、左右のサイドクラッチレバー303、およびエンジン10を停止させるエンジン停止スイッチ304が設けられている。
【0251】
操作ボックス301は、前後方向について、走行機体3の略中央部に設けられており、排葉搬送装置250の左方に位置している。操作ボックス301は、上下方向について、排葉搬送装置250の上端よりも高い位置に設けられている。
【0252】
操作ボックス301は、左右方向について、操作部5の操作ボックス12と同様に走行機体3の左側に設けられており、操作ボックス12の前方に位置している。また、操作ボックス301は、左右方向について、左側のクローラ走行装置4の履帯4dの幅の範囲内に、少なくとも一部を位置させるように設けられている。本実施形態では、左右方向について、操作ボックス301の大部分が、履帯4dの幅の範囲内に位置している。
【0253】
補助操作部300は、前後方向について操作ボックス301の後側に、操作ボックス301を操作する作業者310が立った状態で乗る搭乗用ステップ311を有する(
図3参照)。搭乗用ステップ311上に立つ作業者310により、操作ボックス301が操作される。搭乗用ステップ311は、機体フレーム9に対して支持固定された状態で、機体フレーム9から左方に向けて水平状に設けられている。搭乗用ステップ311の大部分はメッシュ状の部分となっている。
【0254】
搭乗用ステップ311は、平均的な身長の作業者310が搭乗用ステップ311上に立った状態で、作業者310の腹部辺りの高さに操作ボックス301が位置するような高さ位置に設けられている。搭乗用ステップ311は、クローラ走行装置4の上端の高さよりもわずかに高い位置に位置している。
【0255】
搭乗用ステップ311は、平面視において、右側の略半分を、左側のクローラ走行装置4の上方に位置させている。搭乗用ステップ311は、前後方向について、クローラ走行装置4の後部の上方の位置であって、コンベヤ7の下部の左方の位置に設けられている。搭乗用ステップ311の乗降側となる左側の下方には、搭乗用ステップ311に対する乗降用の補助ステップ312が設けられている。
【0256】
搭乗用ステップ311の前後には、棒状の部材によって枠状に構成された前部フレーム313および後部フレーム314が立設されている。前部フレーム313および後部フレーム314は、それぞれ、棒状の部材により形成された部分として左右の支柱部および上辺部を有する。前部フレーム313および後部フレーム314は、搭乗用ステップ311に対する乗降時には手摺として機能し、作業中には搭乗用ステップ311上の作業者310によって把持される部分となる。
【0257】
前部フレーム313の上部は、前傾状に屈曲しており、前部フレーム313の上端部から前方に向けて水平状に前支持台315が設けられている。前支持台315上に、操作ボックス301が搭載されている。前支持台315は、前部フレーム313の上部から支持部材等を介して前上方に延出した支持フレーム部316によって支持されている。前部フレーム313の上辺部の前支持台315よりも左側の部分には、アクセルレバー317が設けられている。
【0258】
後部フレーム314の上下の中央部から後方に向けて水平状に後支持台318が設けられている。後支持台318上に、操作部5の操作ボックス12が搭載されている。前部フレーム313および後部フレーム314の各フレームにおける左右の支柱部間、および前後のフレームの右側の支柱部間には、直線状または板状の支持部材が架設されている。
【0259】
以上のような構成を備えた野菜収穫機1の動作について説明する。野菜収穫機1は、連続条の圃場において、条植えのラインに沿って機体を前進させながら、6条分のタマネギ2を収穫していく。野菜収穫機1によるタマネギ2の収穫作業時は、補助操作部300の搭乗用ステップ311上に搭乗した作業者310による操作ボックス301の操作によって機体が操作される。機体後部にある操作部5は、主に圃場外における野菜収穫機1の移動走行時の機体の操作に用いられる。
【0260】
野菜収穫機1は、前進しながら、まず、分草装置21により、圃場に倒伏した状態のタマネギ2の茎葉部2bを上方に持ち上げることで条ごとに分草し、掻込み装置22により、茎葉部2bを掻き込んで引抜搬送装置24に受け渡す。掻込み装置22は、一対で1組となって機能し、1組で2条分の茎葉部2bを掻き込む。野菜収穫機1は、掻込み装置22による引抜搬送装置24への茎葉部2bの受け渡しに際し、掘起し装置23により、タマネギ2の下側の土をほぐす。
【0261】
図8に示すように、引抜搬送装置24は、上流側挟持搬送装置81の先端部において、2条分の茎葉部2bを取り込み、左右の搬送ベルト83により挟持搬送する。ここで、圃場の地面320に対する上流側挟持搬送装置81の先端の高さである搬送入口高さK1については、ある程度の高さが必要となる。従動プーリ85の径やタマネギ2の条間ピッチK2等との関係で、搬送入口高さK1が低いと、茎葉部2bの傾きが大きくなるため、茎葉部2bが千切れる等の不具合が生じ、茎葉部2bについて良好な取込み性が得られなくなる。
【0262】
引抜搬送装置24は、茎葉部2bを挟持してタマネギ2を圃場から引き抜いて後上方へと搬送する。引抜搬送装置24においては、上流側挟持搬送装置81から下流側挟持搬送装置82にタマネギ2が引き継がれ、下流側挟持搬送装置82における搬送にともなって、肩揃え装置25により鱗茎部2aの高さ位置が揃えられる。高さ位置が揃えられたタマネギ2は、茎葉切断装置26により、鱗茎部2aに対して茎葉部2bを所定の長さで残した位置で茎葉部2bの切断を受ける。
【0263】
茎葉切断装置26により茎葉部2bが切断されることで、鱗茎部2aは落下して、土落とし装置27上に落下する。ここで、左右の搬送切断ユニット構成80における肩揃え装置25から落下する鱗茎部2aは、それぞれガイド部材161によって案内されて土落とし装置27上に落下する。土落とし装置27上に落下した鱗茎部2aは、土落としホイル110による土落としの作用を受けながら後方へと搬送され、補助搬送装置140の作用を受けてコンベヤ7へと送られて、コンベヤ7により後上方へと搬送される。コンベヤ7により搬送された鱗茎部2aは、コンベヤ7の搬送終端部から収容部8の排出ホッパ171内に投入され、収穫ネット170内に収容される。なお、野菜収穫機1による収穫作業中においては、補助操作部300を操作する作業者に加え、機体の後方に、収穫ネット170の交換等を行う補助作業者が追従する。
【0264】
以上のような構成を備えた本実施形態に係る野菜収穫機1によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0265】
本実施形態に係る野菜収穫機1によれば、切断した茎葉部2bをクローラ走行装置4上に排出する構成において、連続条の圃場においても良好な収穫作業性を得ることができる。
【0266】
野菜収穫機1において、左右のクローラ走行装置4は、機体幅方向である左右方向について、引抜搬送装置24によるタマネギ2の収穫範囲の幅(
図4、収穫幅R1参照)の範囲内に位置している。このような構成によれば、畝の無い連続条の圃場において、収穫作業を行う機体の移動経路にかかわらず、機体の左右一側または左右両側に位置する未収穫の条部分をクローラ走行装置によって踏むことなく収穫作業を行うことができる。したがって、野菜収穫機1によれば、タマネギ2の収穫範囲の幅内に左右のクローラ走行装置4が位置し、これらのクローラ走行装置4上に茎葉部2bを落下させてクローラ走行装置4により敷き込んでいくことから、畝の無い連続条の圃場において、中割り収穫を行うことが可能となる。
【0267】
例えば、畝がある圃場の場合、畝間の溝である畝溝が、クローラ走行装置4の走行部分となり、茎葉部2bの排出部分となる。この点、野菜収穫機1によれば、畝溝の無い全面作付の連続条の圃場において、収穫範囲の幅内に位置するクローラ走行装置4により、機体から左右に排出された茎葉部2bが敷き込まれることになる。
【0268】
このため、
図4に示すように、収穫対象となる6条の作物の左右両側の未掘り作物の上に茎葉部2bが排出されたり、未掘り作物の領域がクローラ走行装置4により踏まれたりすることを防止することができる。これにより、未掘り作物の収穫を行う次工程の収穫作業への影響を無くすことができるため、収穫対象の左右両側に未掘りの作物がある状態での収穫作業、つまり中割り収穫を行うことが可能となる。
【0269】
中割り収穫が可能となることで、圃場において収穫作業を行う行程(走行経路)についての自由度を向上させることができるので、例えば圃場の中間部分からでも収穫作業を行うことが可能となり、良好な収穫作業性を得ることができる。また、中割り収穫が可能となることで、圃場において例えば作物の育成状態等に応じた部分的な収穫を容易に行うことが可能となる。
【0270】
また、野菜収穫機1は、左右両側および中央の3組の引抜搬送装置24を備えた構成において、左右の引抜搬送装置24からの茎葉部2bを排出するための放出ガイド装置240と、中央の引抜搬送装置24からの茎葉部2bを左右の片側から排出するための排葉搬送装置250とを備える。
【0271】
このような構成によれば、例えば野菜収穫機1のような6条用等の多条収穫機において、中央の引抜搬送装置24から排出される茎葉部2bを、機体の左右中央部に設けられたコンベヤ7を避けた経路で排出することが可能となる。これにより、多条収穫機において、中央部の引抜搬送装置24において鱗茎部2aから切り離された茎葉部2bを、左右のいずれかのクローラ走行装置4上に排出することができるので、次工程の収穫作業への影響を無くすことができ、良好な収穫作業性を得ることができる。
【0272】
また、野菜収穫機1は、左右方向について、排葉搬送装置250による茎葉部2bの排出側と反対側である左側に、機体の後部に設けられた操作部5を備えている。
【0273】
このような構成によれば、中央部の引抜搬送装置24からの茎葉部2bの排出経路と操作部5の配置位置とが左右に振り分けられるので、野菜収穫機1の機体の全長を短くすることができ、機体の軽量化を図ることができる。また、排葉搬送装置250が、左右方向について操作部5側と反対側に延設されているため、操作部5を操作する作業者から、コンベヤ7に対する良好な視認性を確保することができる。
【0274】
また、野菜収穫機1は、左右方向について、排葉搬送装置250による茎葉部2bの排出側と反対側である左側に、操作部5の前方に設けられた補助操作部300を備えている。
【0275】
このような構成によれば、収穫作業中において、補助操作部300から、引抜搬送装置24による茎葉部2bの引抜き状態や茎葉部2bの挟持位置、茎葉切断装置26による茎葉部2bのカット長さ、排出される茎葉部2bの流れ具合(詰まりの有無等)、コンベヤ7による鱗茎部2aの搬送状態等を直接的に確認することが可能となる。このように野菜収穫機1の各作業部の作業状態を確認しながら、補助操作部300において、機体の走行操作や車速の調整、掘取り深さ(作業部の高さ)の調整等を行うことができるので、最適な操作が可能となり、良好な作業性を得ることができる。
【0276】
また、補助操作部300は、左側のクローラ走行装置4の上方に設けられている。このような構成によれば、圃場におけるタマネギ2と引抜搬送装置24の位置関係を直接的に確認することができるので、走行機体3および作業部の最適な操作が可能となり、良好な作業性を得ることができる。ここで、圃場におけるタマネギ2と引抜搬送装置24の位置関係に関しては、左右方向の位置関係である条合わせの調整や、上下方向の位置関係である搬送入口高さK1(
図8参照)の調整が行われる。
【0277】
特に、本実施形態では、補助操作部300において、作業者310が乗る搭乗用ステップ311は、クローラ走行装置4よりも高い位置に設けられている。このため、作業者310は、高い位置から、作業部の前方において圃場に植わっているタマネギ2や、作業部の前端部に対する良好な視認性を得ることができる。
【0278】
また、補助操作部300は、機体フレーム9に対して設けられた搭乗用ステップ311上の作業者310によって操作されるため、例えば、トラックに対する野菜収穫機1の積み下ろしの際や、圃場間の移動の際などの非収穫作業中においては、安定した操作状態を得ることが難しい。これに対し、機体後部にある操作部5は、地面に立った状態の作業者によって操作される。このため、野菜収穫機1の積み下ろしの際などの非収穫作業中においては、操作部5を用いることで、安全性を確保することができる。
【0279】
また、野菜収穫機1は、左右の放出ガイド装置240および中央の排葉搬送装置250から放出された茎葉部2bをそれぞれ左右のクローラ走行装置4上に案内するガイド部として、左右の側方排葉シュータ261および後方排葉シュータ263を備える。
【0280】
このような構成によれば、茎葉部2bを確実にクローラ走行装置4上に落とすことができるので、クローラ走行装置4によって茎葉部2bを確実に敷き込むことができる。これにより、機体左右両側に排出される茎葉部2bが次工程の収穫作業に影響することを効果的に抑制することができる。
【0281】
また、茎葉部2bを機体の前後方向の中間部において左右両側に排出する構成により、機体の左右両側のスペースを有効に利用することができ、また、例えば茎葉部2bを機体の後方まで搬送して排出する構成と比べて機体の全長を短くすることができるので、機体をコンパクトに構成することができる。さらに、茎葉部2bを機体の前後方向の中間部において左右両側に排出する構成により、機体前端に近い位置に補助操作部300を設けることが可能となり、作業部に対する視認性の向上と機体の操作性の向上を容易に図ることができる。特に、排葉搬送装置250による茎葉部2bの排出側と反対側に補助操作部300を設けることで、補助操作部300を前側へと配置しやすくなり、視認性および操作性を効果的に向上することができる。
【0282】
また、野菜収穫機1は、走行装置としてクローラ走行装置4を備える。このような構成によれば、クローラ走行装置4上に落下する茎葉部2bを、履帯4dにより形成される上面4eにおいて受けることができるので、クローラ走行装置4による茎葉部2bの敷込みを安定して行うことができる。
【0283】
本実施形態に係る野菜収穫機1によれば、良好な土落とし性能を得ることができるとともに、機体をコンパクトにすることができる。
【0284】
野菜収穫機1は、3つの土落としホイル110を有する土落とし装置27と、土落とし装置27から鱗茎部2aを受け取って後上方に搬送するコンベヤ7とを備える。このように、土落とし装置27とは別に搬送装置としてのコンベヤ7を設けることにより、機体をコンパクトにしながら、鱗茎部2aを所定の収容部8へと搬送する構成を実現することが可能となる。
【0285】
すなわち、土落としの機能を有する土落とし装置27とは別にコンベヤ7を設けることにより、コンベヤ7の搬送方向をある程度急な勾配にすることが可能となるので、鱗茎部2aの搬送先についての高さを確保することができるとともに、コンベヤ7の前後方向の長さを短くすることができ、機体のコンパクト化を図ることができる。
【0286】
また、土落とし装置27とコンベヤ7を連続的な搬送経路をなすように配置することで、土落とし装置27とコンベヤ7を1つのユニットとして構成することが可能となる。これにより、装置構成をシンプルにすることができる。
【0287】
また、土落とし装置27は、土落としホイル110として、搬送上手側の2つの土落としホイル110(110A,110B)と、鱗茎部2aを土落とし装置27からコンベヤ7へと移送する第3土落としホイル110Cとを有する。
【0288】
このような構成によれば、搬送上手側の2つの土落としホイル110により、鱗茎部2aの根部や表面全体の土落としを行うことができるとともに、第3土落としホイル110Cにより、土落としの作用を得ながら、鱗茎部2aをコンベヤ7へと送り込むことができる。これにより、十分な土落としを行うことができるとともに、土落とし装置27からコンベヤ7への鱗茎部2aの受け継ぎをスムーズにすることができ、傷付きや土の付着が少ない精度の高い収穫を実現できる。
【0289】
また、土落とし装置27においては、第3土落としホイル110Cが、搬送上手側の2つの土落としホイル110よりも高い位置に設けられている。このような構成によれば、土落とし装置27からコンベヤ7への鱗茎部2aのスムーズな受け継ぎを可能としながら、例えば3つの土落としホイル110を同じ高さ位置に配置した構成と比べて、主に機体の前後方向についてコンパクト化を図ることができる。
【0290】
また、土落とし装置27とコンベヤ7との間には、櫛状案内体135が設けられている。このような構成によれば、第3土落としホイル110Cとコンベヤ7との間において、例えば突起バー121Aの通過前後で生じる隙間から鱗茎部2aが落下することを防止することができる。また、土落とし装置27からコンベヤ7への受け継ぎ部分において、櫛状案内体135により鱗茎部2aが下側から支持されることから、第3土落としホイル110Cによるコンベヤ7への鱗茎部2aのスムーズな受け継ぎが可能となる。
【0291】
また、野菜収穫機1において、土落とし装置27およびコンベヤ7は、収穫幅R1の範囲内に配置された左右のクローラ走行装置4に対し、左右方向について左右のクローラ走行装置4の間に設けられている。このような構成によれば、6条の全面掘りを可能としつつ、機体の全長・全高を短くすることができ、コンパクトな機体を実現することができる。
【0292】
すなわち、側面視において土落とし装置27およびコンベヤ7をクローラ走行装置4に重複しないように配置しようとした場合、土落とし装置27およびコンベヤ7の配置位置が高くなったりこれらの装置が前側または後側に張り出したりすることになり、機体の全長・全高が長くなってしまう。そこで、左右のクローラ走行装置4の間のスペースを土落とし装置27およびコンベヤ7の配置空間として利用することにより、機体のコンパクト化を図ることができる。
【0293】
また、土落とし装置27に対しては、左右両側の肩揃え装置25から落下する鱗茎部2aを土落とし装置27に案内する落下案内装置160が設けられている。このような構成によれば、収穫幅R1が広く、収穫幅R1よりも幅が狭い土落とし装置27を、収穫幅R1の内側に配置した左右のクローラ走行装置4の間に配置した構成において、土落とし装置27よりも左右外側の位置で落下する鱗茎部2aを、土落とし装置27上へと案内することができる。
【0294】
落下案内装置160を設けることにより、掘り取られたタマネギ2の鱗茎部2aをすべて土落とし装置27上に落下させることができるので、作付け条件等に合わせて土落とし装置27の位置を調整する必要がなく、装置構成を簡単にすることができ、良好な収穫作業性を得ることができる。また、落下案内装置160を設けることにより、土落とし装置27の作用幅を作物の落下位置よりも狭くすることができるため、土落とし装置27およびコンベヤ7をコンパクトにすることができる。
【0295】
本実施形態に係る野菜収穫機1によれば、タマネギ2の茎葉部2bを挟持した状態で搬送する挟持搬送装置としての引抜搬送装置24と、茎葉部2bを切断する茎葉切断装置26とを備えた構成において、引抜搬送装置24および茎葉切断装置26の駆動機構を簡単な構成にすることができるとともに、良好な収穫作業性を得ることができる。
【0296】
すなわち、野菜収穫機1は、引抜搬送装置24を、上流側挟持搬送装置81および下流側挟持搬送装置82による上下2段の構成とし、これらの挟持搬送装置の連結部分の下側から後側に向けて肩揃え装置25を配設し、その搬送終端部に茎葉切断装置26を設けている。このような構成によれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0297】
まず、上流側挟持搬送装置81および下流側挟持搬送装置82による上下2段の構成によれば、肩揃え装置25による肩揃え(位置揃え)に必要な茎葉部2bの長さを短くすることができる。
【0298】
上流側挟持搬送装置81から下流側挟持搬送装置82への茎葉部2bの受継ぎにより、茎葉部2bの挟持部位について、上流側挟持搬送装置81による当初の挟持部位よりも下側の部分が下流側挟持搬送装置82によって挟持し直されることになる。下流側挟持搬送装置82により茎葉部2bの挟持位置が下側にずれた後、肩揃え装置25によるタマネギ2の肩揃えが行われる。
【0299】
例えば、
図6に示すように、下流側挟持搬送装置82の代わりに、上流側挟持搬送装置81を下流側挟持搬送装置82の搬送長さ分、後上方に延設した構成(二点鎖線で示す搬送ラインM1参照)を想定する。このような構成の場合、肩揃え装置25の搬送終端部まで肩揃えの作用を受けるためには、上流側挟持搬送装置81による挟持状態を保持するため、茎葉部2bについて長さN1の長さが必要となる。
図6では、肩揃え装置25の搬送終端部に位置するタマネギ2をタマネギ2Xで示している。
【0300】
これに対し、上流側挟持搬送装置81および下流側挟持搬送装置82による上下2段の構成によれば、下流側挟持搬送装置82が上流側挟持搬送装置81に対して段下がり状に設けられていることから、肩揃え装置25の搬送終端部の位置において茎葉部2bの挟持位置が下がる分、肩揃えの作用を受けるために必要な茎葉部2bの長さを長さΔN分、短くすることができる。つまり、肩揃えに必要な茎葉部2bの長さを、長さN1よりも長さΔN短い長さN2とすることができる。
【0301】
このように肩揃えに必要な茎葉部2bの長さを短くできることは、言い換えると、肩揃えに必要な茎葉部2bの長さを変更することなく、肩揃え装置25による肩揃えの作用距離Z1を長くすることができることになる。肩揃えの作用距離Z1が長くなることで、茎葉切断装置26による茎葉部2bの切断長さを安定させることができる。ここで、肩揃えの作用距離Z1は、肩揃え装置25の搬送始端部から搬送終端部までの前後方向の距離である。
図6では、肩揃え装置25の搬送始端部に位置するタマネギ2をタマネギ2Yで示している。
【0302】
また、例えば、
図6に示すように、上流側挟持搬送装置81の代わりに、下流側挟持搬送装置82を上流側挟持搬送装置81の搬送長さ分、前下方に延設した構成(二点鎖線で示す搬送ラインM2参照)を想定する。このような構成の場合、搬送入口高さK1を確保することが困難となる。
【0303】
そこで、上流側挟持搬送装置81および下流側挟持搬送装置82による上下2段の構成によれば、2条を中央に集めて同時に収穫するために必要な搬送入口高さK1(
図8参照)を確保したまま、肩揃えの作用距離Z1を長くすることができる。
【0304】
また、野菜収穫機1は、下流側挟持搬送装置82の従動プーリ88を支持する支持軸91から、上流側挟持搬送装置81および肩揃え装置25の駆動力を取り出すように構成されている。
【0305】
このような構成によれば、エンジン10の動力を引抜搬送装置24に伝達するための駆動系を、肩揃え装置25に動力を伝達するための構成として共用することができるので、肩揃え装置25を駆動させるための構成を別途設ける必要がなく、構成を簡略化することができる。すなわち、上流側挟持搬送装置81と肩揃え装置25の駆動部分を下流側挟持搬送装置82の従動側に集約させることができ、駆動系を簡単・軽量・安価に構成することができる。
【0306】
また、本実施形態では、肩揃え装置25の左右の従動プーリ96の支持軸96aに茎葉切断装置26の回転刃100が設けられている。このような構成によれば、茎葉切断装置26を駆動させるための構成を別途設ける必要がなく、駆動系の構成を簡略化することができる。
【0307】
また、下流側挟持搬送装置82の従動プーリ88と、上流側挟持搬送装置81の駆動プーリ84は、同一の分配軸としての支持軸91に設けられている。このような構成によれば、簡単な構成により、下流側挟持搬送装置82から上流側挟持搬送装置81に対する動力伝達を行うことができる。これにより、下流側挟持搬送装置82の従動側に集約させた駆動部分の構成を簡略化することができる。
【0308】
また、肩揃え装置25の駆動プーリ95は、下流側挟持搬送装置82の従動プーリ88を支持する支持軸91に連動連結されており、支持軸91から駆動力の入力を受けるように構成されている。このような構成によれば、簡単な構成により、下流側挟持搬送装置82から肩揃え装置25に対する動力伝達を行うことができる。これにより、下流側挟持搬送装置82の従動側に集約させた駆動部分の構成を簡略化することができる。
【0309】
本実施形態に係る野菜収穫機1によれば、土落とし装置27の上後側に、鱗茎部2aに対してコンベヤ7への送り作用を与える補助搬送装置140が設けられていることから、良好な土落とし性能を得ることができるとともに、機体をコンパクトにすることができる。
【0310】
補助搬送装置140を備えることで、補助搬送ホイル141により、土落とし装置27からコンベヤ7への受継ぎ部分において鱗茎部2aの停滞や詰まり等を生じさせることなくスムーズな受継ぎを行うことができる。これにより、例えば土落とし装置27からコンベヤ7への鱗茎部2aの受継ぎのためにコンベヤ7の搬送始端部を第3土落としホイル110Cの下側に潜り込ませる必要がなくなるため、土落とし装置27およびコンベヤ7を平面視で重ならないように配置することができる。したがって、装置構成の上下方向についての長大化を招くことなく、機体のコンパクト化を図ることができる。また、2つの土落としホイル110に加えて補助搬送ホイル141によっても土落としの作用を得ることができるため、良好な土落とし性能を得ることができる。
【0311】
また、補助搬送装置140の補助搬送ホイル141は、複数の突起部143bの作用によって鱗茎部2aが後方に搬送される方向、つまり左側面視で左回りに回転駆動するように設けられている。このような構成によれば、鱗茎部2aの搬送状態が不安定になりがちなコンベヤ7への受継ぎ部分において、補助搬送ホイル141が鱗茎部2aに作用することで、土落とし装置27からコンベヤ7へと安定して鱗茎部2aを送り込むことが可能となる。
【0312】
また、補助搬送ホイル141は、コンベヤ7に対して回動軸線G1を中心に上下方向に回動可能に設けられている。このような構成によれば、搬送される鱗茎部2aの大きさや搬送量に応じて、補助搬送ホイル141を上下動させることができるので、補助搬送ホイル141による搬送作用を確実に得ることができる。
【0313】
特に、本実施形態では、補助搬送ホイル141は、回動軸線G1を中心とした回動動作について、左右の付勢バネ147,148によって下降向きに付勢された状態で弾性支持されている。このような構成によれば、補助搬送ホイル141の昇降動作について、搬送される鱗茎部2aの大きさや搬送量に応じた良好な動作性を得ることができる。これにより、補助搬送ホイル141による搬送作用を効果的に向上させることができる。
【0314】
また、補助搬送装置140は、動力取出軸151によってコンベヤ7から取り出された動力により駆動するように構成されており、動力取出軸151の軸回りに回動可能に支持されている。
【0315】
このような構成によれば、補助搬送ホイル141の回転動作をコンベヤ7の動作に連動させることができ、補助搬送ホイル141の回転速度をコンベヤ7の搬送速度に同調させることが可能となる。これにより、土落とし装置27からコンベヤ7への受継ぎ部分において鱗茎部2aの停滞や詰まり等を生じさせることなくスムーズな受継ぎを行うことができる。また、補助搬送ホイル141を回転駆動させるための専用の駆動源が不要となるため、部品点数の削減、コストの低減を図ることができる。
【0316】
また、補助搬送ホイル141は、回転軌跡H1を土落とし装置27からコンベヤ7への鱗茎部2aの移動経路に干渉させるように設けられている。このような構成によれば、補助搬送ホイル141による鱗茎部2aの搬送作用を、土落とし装置27とコンベヤ7の受継ぎ部分へと的確に作用させることができる。
【0317】
また、補助搬送ホイル141の下方においては、土落とし装置27とコンベヤ7との間に、タマネギ2の落下を防止するための櫛状案内体135が設けられている。このような構成によれば、カットされた茎葉部2b等が櫛状案内体135に挟まれたり、鱗茎部2aに残っている茎葉部2bの部分が櫛状案内体135の凹部137a,138aに差し込まれたりすること等によっても、補助搬送ホイル141による搬送作用により、鱗茎部2aの停滞や詰まり等を抑制することができる。
【0318】
また、櫛状案内体135の配置部位に関し、第3土落としホイル110Cの複数の突起部116bとコンベヤ7の突起バー121Aの複数の突起122とを互い違いに配置し、それらの間に櫛状案内体135が配置されている。このような構成によれば、第3土落としホイル110Cとコンベヤ7とを近付けて両者の間隔を小さくすることができるので、コンパクトな構成にすることができる。
【0319】
また、櫛状案内体135は、第3土落としホイル110Cの中心軸C3と、コンベヤ従動軸118の中心軸D1とを通る仮想平面E1に対して上側の位置に設けられている(
図11参照)。このような構成によれば、第3土落としホイル110Cのホイル本体116の中心より上側の部分を鱗茎部2aに作用させることができるので、鱗茎部2aの落下を防止しつつコンベヤ7へのスムーズな受継ぎを行うことができる。
【0320】
以上のような本実施形態の野菜収穫機1によれば、タマネギ2の掘取り→搬送→鱗茎部2aと茎葉部2bの分離→鱗茎部2aの土落としと搬送→鱗茎部2aの集荷と茎葉部2bの機外排出を1台で同時に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0321】
上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明に係る野菜収穫機は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0322】
上述した実施形態では、野菜収穫機1は、畝の無い連続条での適用例について説明したが、畝がある圃場でも使用できる。畝がある圃場での作業の場合、野菜収穫機1は、左右のクローラ走行装置4により畝を跨いだ状態で走行し、機外に排出される茎葉部2bは、畝間の畝溝に排出されることになる。
【0323】
また、上述した実施形態では、土落とし装置27は、3つの土落としホイル110を備えているが、土落としホイル110の個数は特に限定されない。例えば、土落としホイル110を5~7個に増やし、搬送下手側の土落としホイル110をコンベヤ7の搬送始端部の上方に配置した構成が採用されてもよい。このような構成によれば、土落とし装置27の搬送終端側の土落としホイル110から落下した鱗茎部2aは、確実にコンベヤ7に受け継がれて後上方へと搬送されることになる。
【0324】
また、上述した実施形態では、野菜収穫機1は走行装置としてクローラ走行装置4を備えるものであるが、走行装置は、駆動軸に車輪を連結したホイル式の構成のものであってもよい。
【符号の説明】
【0325】
1 野菜収穫機
2 タマネギ(野菜)
2a 鱗茎部(野菜本体部)
2b 茎葉部
3 走行機体
4 クローラ走行装置(走行装置)
4e 上面
5 操作部
7 コンベヤ(搬送装置)
8 収容部
24 引抜搬送装置
24X 外側引抜搬送装置
24Y 内側引抜搬送装置
25 肩揃え装置(位置揃え装置)
26 茎葉切断装置
27 土落とし装置
81 上流側挟持搬送装置
82 下流側挟持搬送装置
83 搬送ベルト(無端回動帯)
84 駆動プーリ(駆動輪)
85 従動プーリ(従動輪)
86 搬送ベルト(無端回動帯)
87 駆動プーリ(駆動輪)
88 従動プーリ(従動輪)
91 支持軸
94 搬送ベルト(無端回動帯)
95 駆動プーリ(駆動輪)
96 従動プーリ(従動輪)
110 土落としホイル(ローラ)
110A 第1土落としホイル(土落とし部、ローラ)
110B 第2土落としホイル(土落とし部、ローラ)
110C 第3土落としホイル(移送部、ローラ)
116b 突起部
135 櫛状案内体(案内部材)
140 補助搬送装置
141 補助搬送ホイル(ローラ)
143b 突起部
145 チェンケース
146 回動支持アーム
147 付勢バネ
148 付勢バネ
151 動力取出軸
160 落下案内装置
240 放出ガイド装置(第1の排葉装置)
250 排葉搬送装置(第2の排葉装置)
261 側方排葉シュータ(ガイド部)
263 後方排葉シュータ(ガイド部)
300 補助操作部