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特許7568569制御装置および制御装置を備えるシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】制御装置および制御装置を備えるシステム
(51)【国際特許分類】
   B62H 5/00 20060101AFI20241008BHJP
   B60L 15/00 20060101ALI20241008BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20241008BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20241008BHJP
   B62J 50/22 20200101ALI20241008BHJP
   B62M 6/40 20100101ALI20241008BHJP
   B62M 25/08 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B62H5/00
B60L15/00 Z
B60L15/20 K
B62J45/00
B62J50/22
B62M6/40
B62M25/08
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021065476
(22)【出願日】2021-04-07
(62)【分割の表示】P 2018047298の分割
【原出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2021107220
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-04-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】臼井 真
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇史
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】高橋 学
【審判官】草野 顕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-289668(JP,A)
【文献】特開2001-132300(JP,A)
【文献】特表2016-523203(JP,A)
【文献】特開2005-22583(JP,A)
【文献】特開2008-137424(JP,A)
【文献】特開平9-188282(JP,A)
【文献】特表2015-519252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 1/00- 7/00
B62J45/00-45/423
B62M 1/00-29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネントの電気的な接続状態の変化として、前記少なくとも1つのコンポーネントに繋がれるケーブルの接続状態の変化を含み、
前記制御部は、前記少なくとも1つのコンポーネントが所定条件を満たすことによって、前記少なくとも1つのコンポーネントの状態を、前記動作制限状態に変更するように構成される、制御装置。
【請求項2】
人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネントの電気的な接続状態の変化と、前記少なくとも1つのコンポーネントとは異なる他のコンポーネントの少なくとも1つの電気的な接続状態の変化とを含む、制御装置。
【請求項3】
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネントに繋がれるケーブルの接続状態の変化と、ユーザによって操作される操作部の動作変化に基づいて前記他のコンポーネントが形成する信号の変化と、を含む、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネントの電気的な接続状態の変化を含み、
前記制御部は、変更情報を受け付け、受け付けた前記変更情報に基づいて前記所定パターンを変更するように構成される、制御装置。
【請求項5】
人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネントの電気的な接続状態の変化を含み、
前記制御部は、前記少なくとも1つのコンポーネントの主電源がオン状態になってから所定時間以内に、前記人力駆動車に前記所定パターンが入力されると、前記少なくとも1つのコンポーネントの前記動作制限状態を解除するように構成される、制御装置。
【請求項6】
人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネントの電気的な接続状態の変化を含み、
前記制御部は、前記少なくとも1つのコンポーネントの主電源がオフ状態のとき、前記所定パターンの入力を受け付けないように構成される、制御装置。
【請求項7】
人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネントの電気的な接続状態の変化を含み、
前記動作制限状態は、前記少なくとも1つのコンポーネントが前記少なくとも1つのコンポーネントの動作範囲を制限する状態を含み、
前記制御部は、前記少なくとも1つのコンポーネントが所定条件を満たすことによって、前記少なくとも1つのコンポーネントの状態を、前記動作制限状態に変更するように構成される、制御装置。
【請求項8】
人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネント、および、前記少なくとも1つのコンポーネントとは異なる他のコンポーネントの少なくとも1つの電気的な接続状態の変化を含み、
前記動作制限状態は、前記少なくとも1つのコンポーネントが前記少なくとも1つのコンポーネントの動作範囲を制限する状態を含む、制御装置。
【請求項9】
人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネントの電気的な接続状態の変化を含み、
前記動作制限状態は、前記少なくとも1つのコンポーネントが他のコンポーネントの動作を制限する状態を含み、
前記制御部は、前記少なくとも1つのコンポーネントが所定条件を満たすことによって、前記少なくとも1つのコンポーネントの状態を、前記動作制限状態に変更するように構成される、制御装置。
【請求項10】
人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネントの電気的な接続状態の変化を含み、
前記動作制限状態は、前記人力駆動車の盗難防止に寄与する状態であり、
前記制御部は、前記少なくとも1つのコンポーネントが所定条件を満たすことによって、前記少なくとも1つのコンポーネントの状態を、前記動作制限状態に変更するように構成される、制御装置。
【請求項11】
人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネントの電気的な接続状態の変化を含み、
前記少なくとも1つのコンポーネントは、前記動作制限状態において、前記人力駆動車の移動を困難にさせるように構成され、
前記制御部は、前記少なくとも1つのコンポーネントが所定条件を満たすことによって、前記少なくとも1つのコンポーネントの状態を、前記動作制限状態に変更するように構成される、制御装置。
【請求項12】
人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネントの電気的な接続状態の変化を含み、
前記少なくとも1つのコンポーネントは、前記動作制限状態に移行したことに基づいて、前記少なくとも1つのコンポーネントの主電源をオフ状態にするように構成される、制御装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのコンポーネントは、前記オフ状態において、前記制御部からの情報を受信可能に構成される、請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネント、および、前記少なくとも1つのコンポーネントとは異なる他のコンポーネントの少なくとも1つの電気的な接続状態の変化を含み、
前記少なくとも1つのコンポーネントは、前記動作制限状態に移行したことに基づいて、前記少なくとも1つのコンポーネントの主電源をオフ状態にするように構成され、
前記少なくとも1つのコンポーネントは、前記オフ状態において、前記制御部からの情報を受信可能に構成される、制御装置。
【請求項15】
人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネントの電気的な接続状態の変化を含み、
前記少なくとも1つのコンポーネントは、前記動作制限状態に移行すると、前記少なくとも1つのコンポーネントの動作を停止させるように構成され、
前記制御部は、前記少なくとも1つのコンポーネントが所定条件を満たすことによって、前記少なくとも1つのコンポーネントの状態を、前記動作制限状態に変更するように構成される、制御装置。
【請求項16】
人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、
前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネントの電気的な接続状態の変化を含み、
前記少なくとも1つのコンポーネントは、変速装置および制動装置の少なくとも1つを含む、制御装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つのコンポーネントは、前記変速装置を含み、
前記変速装置は、前記動作制限状態において、中間の変速比よりも高い変速比をとるように構成される、請求項16に記載の制御装置。
【請求項18】
前記変速装置は、前記動作制限状態において、前記高い変速比とは異なる他の変速比をとる状態に移行するのを抑制するように構成される、請求項17に記載の制御装置。
【請求項19】
前記変速装置は、前記動作制限状態が解除された状態において、前記動作制限状態における変速比よりも低い変速比をとるように構成される、請求項17または18に記載の制御装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つのコンポーネントは、前記制動装置を含み、
前記制動装置は、前記動作制限状態において、制動対象の回転体を制動可能な制動姿勢をとるように構成される、請求項16から19のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項21】
前記制動装置は、前記動作制限状態において、前記制動姿勢とは異なる他の姿勢に移行し難い状態になるように構成される、請求項20に記載の制御装置。
【請求項22】
前記制動装置は、前記動作制限状態が解除された状態において、前記制動対象の回転体の回転を許容するように構成される、請求項20または21に記載の制御装置。
【請求項23】
前記制御部は、前記少なくとも1つのコンポーネントが所定条件を満たすことによって、前記少なくとも1つのコンポーネントの状態を、前記動作制限状態に変更するように構成される、請求項2から6、8、12から14、16から22のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項24】
前記所定条件は、前記人力駆動車の盗難防止に関連する条件を含み、
前記制御部は、前記少なくとも1つのコンポーネントが前記人力駆動車の盗難防止に関連する前記所定条件を満たすことによって、前記少なくとも1つのコンポーネントの状態を、前記動作制限状態に変更するように構成される、請求項23に記載の制御装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つのコンポーネントと、
請求項1から24のいずれか一項に記載の制御装置と、を含むシステム。
【請求項26】
前記人力駆動車の盗難防止のための盗難防止システムである、請求項25に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車について、制御装置および制御装置を備えるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリーの残存容量を監視し、アシスト走行可能距離を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-304502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、利便性の向上に寄与する制御装置およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う制御装置は、蓄電装置が人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントに電力を供給可能な推定限界に関する推定情報を報知するよう報知装置を制御するように構成される制御部を備え、前記少なくとも1つのコンポーネントは、走行補助装置を除く。
この構成によれば、電力を使うコンポーネントにおいて、後に、コンポーネントをどのくらい使うことが出来るのかに関する情報をユーザに与えることが出来るので、利便性が向上する。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記推定情報は、前記少なくとも1つのコンポーネントを駆動可能な残り駆動距離、前記少なくとも1つのコンポーネントを駆動可能な残り駆動時間、および、前記少なくとも1つのコンポーネントを駆動可能な残り駆動回数のいずれか1つを含む。
この構成によれば、電力を使うコンポーネントにおいて、後に、コンポーネントをどのくらい使うことが出来るのかに関する情報をユーザに与えることが出来るので、利便性が向上する。
【0007】
前記第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記制御部は、前記蓄電装置の残量に関する残量情報と、前記少なくとも1つのコンポーネントの使用履歴と、に基づき、前記推定情報として前記残り駆動距離および前記残り駆動時間の少なくともいずれか1つを報知するよう前記報知装置を制御する。
この構成によれば、電力を使うコンポーネントにおいて、後に、コンポーネントをどのくらい使うことが出来るのかに関する情報をユーザに与えることが出来るので、利便性が向上する。
【0008】
前記第3側面に従う第4側面の制御装置において、前記制御部は、前記残量情報と、前記使用履歴と、前記蓄電装置の劣化状態に関する劣化情報とに基づき、前記推定情報として前記残り駆動距離および前記残り駆動時間の少なくともいずれか1つを報知するよう前記報知装置を制御する。
この構成によれば、蓄電装置の劣化状態が推定情報に反映されるので、推定情報の正確性がより増す。
【0009】
前記第3または第4側面に従う第5側面の制御装置において、前記制御部は、前記残量情報と、前記使用履歴と、前記少なくとも1つのコンポーネントとは異なる追加のコンポーネントの動作時間と、に基づき、前記推定情報として前記残り駆動距離および前記残り駆動時間の少なくともいずれか1つを報知するよう前記報知装置を制御し、前記追加のコンポーネントは、動作中に所定の電力を常時消費するように構成される。
この構成によれば、継続的に所定の電力を消費するような追加のコンポーネントが搭載されている場合でも、追加のコンポーネントの動作時間が推定情報に反映されるので、推定情報の正確性がより増す。
【0010】
前記第2側面に従う第6側面の制御装置において、前記制御部は、前記蓄電装置の残量に関する残量情報と、前記少なくとも1つのコンポーネントの消費電力に関する消費電力情報と、に基づき、前記推定情報として前記残り駆動回数を報知するよう前記報知装置を制御する。
この構成によれば、電力を使うコンポーネントにおいて、後に、コンポーネントをどのくらい使うことが出来るのかに関する情報をユーザに与えることが出来るので、利便性が向上する。
【0011】
前記第6側面に従う第7側面の制御装置において、前記制御部は、前記残量情報と、前記消費電力情報と、前記蓄電装置の劣化状態に関する劣化情報とに基づき、前記推定情報として前記残り駆動回数を報知するよう前記報知装置を制御する。
この構成によれば、蓄電装置の劣化状態が推定情報に反映されるので、推定情報の正確性がより増す。
【0012】
前記第6または第7側面に従う第8側面の制御装置において、前記制御部は、前記残量情報と、前記消費電力情報と、前記少なくとも1つのコンポーネントとは異なる追加のコンポーネントの動作時間と、に基づき、前記推定情報として前記残り駆動回数を報知するよう前記報知装置を制御し、前記追加のコンポーネントは、動作中に所定の電力を常時消費するように構成される。
この構成によれば、継続的に所定の電力を消費するような追加のコンポーネントが搭載されている場合でも、追加のコンポーネントの動作時間が推定情報に反映されるので、推定情報の正確性がより増す。
【0013】
前記第5または第8側面に従う第9側面の制御装置において、前記追加のコンポーネントは、ランプ、スピードセンサ、ケイデンスセンサ、および、駆動力センサの少なくとも1つを含む。
この構成によれば、継続的に所定の電力を消費するデバイスである、ランプ、スピードセンサ、ケイデンスセンサ、および、駆動力センサの少なくとも1つが搭載されている場合でも、追加のコンポーネントの動作時間が推定情報に反映されるので、推定情報の正確性がより増す。
【0014】
前記第1~第9側面のいずれか1つに従う第10側面の制御装置において、前記少なくとも1つのコンポーネントは、変速装置、制動装置、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、および操作装置から選択される。
このため、使用の都度、電力を使用するコンポーネントにおいて、後に、コンポーネントをどのくらい使うことが出来るのかに関する情報をユーザに与えることが出来るので、利便性が向上する。
【0015】
本発明の第11側面に従う蓄電システムは、前記第1~第10側面のいずれか1つに従う制御装置と、前記蓄電装置とを備える。
この構成によれば、電力を使うコンポーネントにおいて、後に、コンポーネントをどのくらい使うことが出来るのかに関する情報をユーザに与えることが出来るので、利便性が向上する。
【0016】
前記第11側面に従う第12側面の蓄電システムにおいて、前記蓄電装置は、キャパシタおよびバッテリーの少なくとも1つを含む。
この構成によれば、電力を使うコンポーネントにおいて、後に、コンポーネントをどのくらい使うことが出来るのかに関する情報をユーザに与えることが出来るので、利便性が向上する。
【0017】
前記第11または第12側面に従う第13側面の蓄電システムにおいて、前記報知装置をさらに備える。
この構成によれば、電力を使うコンポーネントにおいて、後に、コンポーネントをどのくらい使うことが出来るのかに関する情報をユーザに与えることが出来るので、利便性が向上する。
【0018】
本発明の第14側面に従う制御装置は、人力駆動車に所定パターンが入力されると、人力駆動車の少なくとも1つのコンポーネントの動作制限状態を解除するように構成される制御部を備え、前記所定パターンは、前記少なくとも1つのコンポーネントおよび前記少なくとも1つのコンポーネントとは異なる他のコンポーネントの少なくとも1つの電気的な接続状態の変化を含む。
この構成によれば、使用者以外の者には解読し難く、使用者にとって記憶し易い要素を含むパターンによって動作制限状態を解除できるため、セキュリティと利便性の両方を向上させることができる。
【0019】
前記第14側面に従う第15側面の制御装置において、前記制御部は、前記少なくとも1つのコンポーネントが所定条件を満たすことによって、前記コンポーネントの状態を、前記動作制限状態に変更するように構成される。
この構成によれば、制御部がコンポーネントの状態を動作制限状態に変更させるので、コンポーネントを動作制限状態に変更する手間を省くことができる。
【0020】
前記第14または第15側面に従う第16側面の制御装置において、前記制御部は、変更情報を受け付け、受け付けた前記変更情報に基づいて前記所定パターンを変更するように構成される。
このため、所有者は、所定パターンを自身の好みのパターンに変更できるので、ユーザビリティが向上する。
【0021】
前記第14~第16側面のいずれか1つに従う第17側面の制御装置において、前記所定パターンは、前記コンポーネントに繋がれるケーブルの接続状態の変化と、前記他のコンポーネントに対する操作に基づく信号入力変化と、を含む。
このため、パターンを複雑にすることができ、セキュリティが向上する。
【0022】
前記第14~第17側面のいずれか1つに従う第18側面の制御装置において、前記制御部は、前記コンポーネントの主電源がオン状態になってから所定時間以内に、前記人力駆動車に所定パターンが入力されると、前記コンポーネントの前記動作制限状態を解除するように構成される。
このため、解除時間が制限されているので、セキュリティが向上する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の制御装置および制御装置を備えるシステムによれば、利便性の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態の人力駆動車の側面図。
図2】制御装置、蓄電装置、電気装置、および報知装置の関係を示すブロック図。
図3】制御装置、蓄電装置、電気装置、および報知装置の接続関係を示す配線図。
図4】推定情報を示す表示画面の図。
図5】蓄電装置の残量と変速可能回数との関係を示すチャート。
図6】第7実施形態の所定パターンを変更するための操作画面の図。
図7】第7実施形態のコンポーネントの動作制限状態の解除を判定する判定処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
図1を参照して、人力駆動車10について説明する。
図1は、人力駆動車10の側面図を示す。ここで、人力駆動車10は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、電動で人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車10には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車10には含まれない。通常、人力駆動車10には、小型軽車両が想定され、公道での運転に免許を要しない車両が想定される。図示される人力駆動車10は、自転車を含む。例えば、人力駆動車10は、シティサイクルである。人力駆動車10は、フレームF、フロントフォークFF、前輪WF、後輪WR、操舵装置ST、および、ドライブトレインDTを含む。フレームFは、操舵装置STを支持する支持部分SPを含む。支持部分SPは、フレームFのヘッドチューブHTを含む。
【0026】
ドライブトレインDTは、クランクアセンブリCW、フロントスプロケットFS、リアスプロケットRS、および、チェーンCNを含む。クランクアセンブリCWは、クランクシャフト(図示略)、一対のクランクアームCA、および一対のペダルPDを含む。一対のクランクアームCAは、クランクシャフトに取り付けられる。一対のペダルPDは、一対のクランクアームCAのそれぞれの先端に回転可能に取り付けられる。
【0027】
フロントスプロケットFSは、クランクアセンブリCWに設けられる。リアスプロケットRSは、後輪WRのハブHAに設けられる。一例では、チェーンCNは、フロントスプロケットFSおよびリアスプロケットRSに巻き掛けられる。人力駆動車10に搭乗する搭乗者によってペダルPDに加えられる駆動力は、フロントスプロケットFS、チェーンCN、および、リアスプロケットRSを介して後輪WRに伝達される。
【0028】
人力駆動車10は、少なくとも1つの電動装置、電気機器、および電気デバイス(以下、「電気装置12」)をさらに含む。
【0029】
電気装置12は、変速装置16、制動装置18、サスペンション20、アジャスタブルシートポスト22、操作装置24、ランプ26、スピードセンサ28、ケイデンスセンサ30、および、駆動力センサ32を含む。
【0030】
変速装置16は、例えばリアディレーラ16Aを含む。リアディレーラ16Aは、フレームFのリアエンドREに設けられる。変速装置16は、フロントディレーラ(図示略)を含んでいてもよい。
【0031】
制動装置18は、人力駆動車10の回転体RBを制動するディスクブレーキ装置である。回転体RBは、ディスクブレーキロータである。制動装置18は、前輪WFおよび後輪WRのそれぞれに設けられる。制動装置18は、操舵装置STに取り付けられた制動操作装置BLに入力される操作に応じて回転体RBを制動する。
【0032】
サスペンション20は、フロントサスペンション20Aを含む。フロントサスペンション20Aは、前輪WFが地面から受ける衝撃が緩和されるように動作する。サスペンション20は、後輪WRが地面から受ける衝撃が緩和されるように動作するリアサスペンション(図示略)を含んでいてもよい。
【0033】
アジャスタブルシートポスト22は、フレームFに対するサドルSDの高さを変更するように動作する。アジャスタブルシートポスト22は、駆動機構(図示略)を含む。
【0034】
操作装置24は、少なくとも1つのスイッチを含む。スイッチは、回転構造を有するスイッチであってもよく、押圧構造を有するスイッチであってもよく、レバー構造を有するスイッチであってもよい。操作装置24は、変速装置16、制動装置18、サスペンション20、およびアジャスタブルシートポスト22の少なくとも1つを操作可能に構成される。
【0035】
ランプ26は、電球、LED(light emitting diode)を含む。本実施形態では、ランプ26は、フロントフォークFFに取り付けられる。ランプ26は、操舵装置ST、またはフレームFに取り付けられてもよい。ランプ26は、動作スイッチのオンによって、所定の電力を消費する。
【0036】
スピードセンサ28は、前輪WFまたは後輪WRの回転速度を検出する。スピードセンサ28は、例えば、ホールセンサ(図示略)を有する。スピードセンサ28は、動作時において所定の電力を消費する。
【0037】
ケイデンスセンサ30は、クランクの回転速度を検出する。ケイデンスセンサ30は、たとえばクランクシャフトに設けられる磁石を検出する。ケイデンスセンサ30は、リードスイッチまたはホール素子などの磁気検出センサを含む。ケイデンスセンサ30は、動作時において所定の電力を消費する。
【0038】
駆動力センサ32は、クランクアセンブリCWのクランクシャフトのトルクを検出する。駆動力センサ32は、例えば、歪ゲージ、半導体歪センサ、または、磁歪センサである。駆動力センサ32は、クランクシャフトの周辺に設けられる。駆動力センサ32は、所定の電力を消費する。
【0039】
人力駆動車10は、蓄電システム40を備える。蓄電システム40は、制御装置41と蓄電装置42を備える。蓄電システム40は報知装置43をさらに備える。
【0040】
制御装置41は、蓄電装置42が人力駆動車10の少なくとも1つのコンポーネント44に電力を供給可能な推定限界に関する推定情報を報知するよう報知装置43を制御するように構成される制御部41Aを備える。ここで、少なくとも1つのコンポーネント44は、走行補助装置を除く。制御部41Aは、CPU(Central Processing Unit)を含む。走行補助装置は、電気エネルギーを用いて人力駆動車10の推進を補助する。少なくとも1つのコンポーネント44は、変速装置16、制動装置18、サスペンション20、アジャスタブルシートポスト22、および操作装置24から選択される。
【0041】
「少なくとも1つのコンポーネント44に電力を供給可能な推定限界に関する推定情報を報知するよう報知装置43を制御する」とは、コンポーネント44の情報として推定情報を報知装置43に送信して、当該推定情報を報知装置43が報知することを意味する。
【0042】
「蓄電装置42が人力駆動車10の少なくとも1つのコンポーネント44に電力を供給可能な推定限界」とは、制御装置41が推定情報を導出する時点から、当該少なくとも1つのコンポーネント44が十分に動作できるだけの電力を蓄電装置42が供給することが出来なくなる時点までにおいて、少なくとも1つのコンポーネント44が動作できる動作量の推定限界量を意味する。
【0043】
例えば、推定情報は、少なくとも1つのコンポーネント44を駆動可能な残り駆動距離、少なくとも1つのコンポーネント44を駆動可能な残り駆動時間、および、少なくとも1つのコンポーネント44を駆動可能な残り駆動回数のいずれか1つを含む。
【0044】
本実施形態では、制御部41Aは、蓄電装置42の残量に関する残量情報と、少なくとも1つのコンポーネント44の使用履歴と、に基づき、推定情報として残り駆動距離および残り駆動時間の少なくともいずれか1つを報知するよう報知装置43を制御する。
【0045】
制御装置41は、蓄電装置42の残量と、少なくとも1つのコンポーネント44の動作可能量との関係を示す関係データを記憶する記憶部41Bをさらに備える。記憶部41Bは、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。関係データは、蓄電装置42の「残量」から、少なくとも1つのコンポーネント44が動作可能な動作可能量を導き出すものである。関係データは、予め測定またはシミュレーションで決められる。関係データは、チャートであってもよく、数式であってもよく、または、表データであってもよい。動作可能量は、例えば、駆動可能回数および駆動可能時間を含む。
【0046】
蓄電装置42は、キャパシタおよびバッテリーの少なくとも1つを含む。バッテリーは、2次電池を含む。蓄電装置42は、電気装置12に電力を供給する。蓄電装置42は、外部装置から充電可能である。
【0047】
報知装置43は、サイクルコンピュータ43Aを含む。サイクルコンピュータ43Aは、例えば操舵装置STに着脱可能に取り付けられる。報知装置43は、情報を表示する表示部および情報を音声で報知するスピーカの少なくとも1つを備える。報知装置43は、モバイルビューアーを含む。モバイルビューアーは、ユーザのヘッドの装着可能であり、1または2のレンズを有し、情報をユーザの視線の先に映し出す。
【0048】
図2は、制御装置41、蓄電装置42、報知装置43、および各電気装置12の接続関係を示す図である。制御装置41は、報知装置43から送信される情報および各電気装置12から送信される情報を受信する。制御装置41は、報知装置43および各電気装置12に情報を送信する。
【0049】
図3に示されるように、制御装置41、蓄電装置42、報知装置43、および電気装置12は、ケーブル38で接続される。制御装置41は、蓄電装置42、報知装置43、および電気装置12、と通信する。通信は、有線または無線で行われる。電力系と通信系は、独立した系統で構成されてもよく、共通の系統で構成されてもよい。本実施形態では、制御装置41、蓄電装置42、報知装置43、および電気装置12は、電力線通信(Power Line Communication:PLC)で通信する。
【0050】
以下に、コンポーネント44の一例として変速装置16を挙げて、変速装置16の推定情報を導出する場合を説明する。この例の場合、蓄電装置42は、主として、変速装置16に電力を供給する。蓄電装置42は、制御装置41にも電力を供給するが、制御装置41の消費電力は変速装置16の消費電力に比べて少ない。本実施形態のモデルでは、制御装置41の消費電力を「0」とみなす。
【0051】
図4は、推定情報を示す表示画面の一例である。図4に示されるように、報知装置43は、推定情報として、今後において変速装置16の駆動可能状態で走行できる走行可能距離を意味する「残り駆動距離」と、今後において変速装置16を駆動できる時間を意味する「残り駆動時間」と、今後において変速装置16を駆動できる回数を意味する「残り駆動回数」とを表示する。
【0052】
「残り駆動距離」、「残り駆動時間」および「残り駆動回数」は、関係データを用いて次のように求められる。本実施形態では、関係データは、蓄電装置42の残量と変速可能回数との関係を示す変速可能回数チャートである。
【0053】
図5に示されるように、変速可能回数チャートでは、蓄電装置42の残量の減少とともに変速可能回数が減少する。蓄電装置42の残量と変速可能回数との関係を示す変速可能回数チャートは、測定またはシミュレーションによって決定される。記憶部41Bは、変速可能回数チャートを記憶している。制御部41Aは、蓄電装置42の残量を蓄電装置42から得て、記憶部41Bに記憶される変速可能回数チャートを参照して、変速可能回数を導き出す。そして、制御部41Aは、変速可能回数を報知装置43に出力し、報知装置43は、「残り駆動回数」を報知する。
【0054】
また、制御部41Aは、変速装置16の使用履歴を走行中に随時更新する。人力駆動車10の走行開始によって、履歴の記録が開始され、変速装置16の使用履歴が形成される。
例えば、制御部41Aは、走行開始からの走行時間と、走行開始から走行時間経過までの変速装置16の使用回数とをペアにして、使用履歴として記憶部41Bに記憶する。制御部41Aは、走行時間と変速装置16の使用回数とに基づいて、単位走行時間あたりの変速装置16の使用回数を求める。単位走行時間あたりの変速装置16の使用回数は、走行時間の経過とともに随時更新される。さらに、制御部41Aは、履歴更新時に、上述の「残り駆動回数」を求める。そして、制御部41Aは、上述の「残り駆動回数」/「単位走行時間あたりの変速装置16の使用回数」を演算することによって、上述の「残り駆動時間」を導出する。
【0055】
また、制御部41Aは、走行開始からの走行距離と、走行開始から当該走行距離を走行するまでの変速装置16の使用回数とをペアにして、使用履歴として記憶部41Bに記憶する。制御部41Aは、走行距離と変速装置16の使用回数とに基づいて、単位走行距離あたりの変速装置16の使用回数を求める。単位走行距離あたりの変速装置16の使用回数は、走行距離の増大とともに随時更新される。さらに、制御部41Aは、履歴更新時に、上述の「残り駆動回数」を求める。そして、制御部41Aは、上述の「残り駆動回数」/「単位走行距離あたりの変速装置16の使用回数」を演算することによって、上述の「残り駆動距離」を導出する。
【0056】
次に、複数のコンポーネント44が動作する場合を挙げる。この場合、制御部41Aは、複数のコンポーネント44それぞれについて、使用履歴を形成する。
例えば、制御部41Aは、第1のコンポーネント44について、走行開始からの走行時間と、走行開始から走行時間経過までの変速装置16の使用回数とをペアにして、第1の使用履歴として記憶部41Bに記憶する。制御部41Aは、第1のコンポーネント44について、単位走行時間あたりの変速装置16の使用回数を求め、当該使用回数と第1のコンポーネント44の消費電力から、単位走行時間あたりの消費電力を求める。
【0057】
また、制御部41Aは、第2のコンポーネント44について、走行開始からの走行時間と、走行開始から走行時間経過までの変速装置16の使用回数とをペアにして、第2の使用履歴として記憶部41Bに記憶する。制御部41Aは、第2のコンポーネント44について、単位走行時間あたりの変速装置16の使用回数を求め、当該使用回数と第2のコンポーネント44の消費電力から、単位走行時間あたりの消費電力を求める。
【0058】
さらに、制御部41Aは、第1のコンポーネント44の単位走行時間あたりの消費電力と、第2のコンポーネント44の単位走行時間あたりの消費電力との比に基づいて、蓄電装置42の残量を、第1のコンポーネント44に割り当てる残量と、第2のコンポーネント44に割り当てる残量を求める。
【0059】
制御部41Aは、第1のコンポーネント44に割り当てる残量と、第1のコンポーネント44の使用履歴とに基づき、第1のコンポーネント44の推定情報として残り駆動距離および残り駆動時間の少なくともいずれか1つを報知するよう報知装置43を制御する。また、制御部41Aは、第2のコンポーネント44に割り当てる残量と、第2のコンポーネント44の使用履歴とに基づき、第2のコンポーネント44の推定情報として残り駆動距離および残り駆動時間の少なくともいずれか1つを報知するよう報知装置43を制御する。
【0060】
本実施形態の作用を説明する。制御部41Aは、コンポーネント44に電力を供給可能な推定限界に関する推定情報を求める。上述のように、「推定限界」は、当該少なくとも1つのコンポーネント44が十分に動作できるだけの電力を蓄電装置42が供給できなくなるまでに、少なくとも1つのコンポーネント44が動作できる動作量の推定限界量を意味する。このような推定情報は、報知装置43から報知される。蓄電装置42の残量に基づいて、コンポーネント44が動作できる動作量の推定限界量を推し量ることは難しいことから、コンポーネント44が動作できる動作量の推定限界量が報知されることは、ユーザにとってメリットがある。例えば、ユーザは、推定限界量と、目的地までの距離または目的地までの時間とを比較できる。ユーザは、コンポーネント44の使用頻度を検討できたり、充電のタイミングを図ったりできる。
【0061】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る制御装置41を説明する。第2実施形態の制御装置41と、電気装置12、蓄電装置42および報知装置43との間の関係は第1実施形態の制御装置41と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。第2実施形態に係る制御装置41は、第1実施形態に係る制御装置41の構成に加えて、次の構成を含む。
【0062】
制御部41Aは、残量情報と、使用履歴と、蓄電装置42の劣化状態に関する劣化情報とに基づき、推定情報として残り駆動距離および残り駆動時間の少なくともいずれか1つを報知するよう報知装置43を制御する。「蓄電装置42の劣化状態に関する劣化情報」は、蓄電装置42の累積使用時間、累積充放電回数、および蓄電装置42の電圧、を含む。累積使用時間は、人力駆動車10の出荷時点から推定情報の演算時までの蓄電装置42の放電時間の総和を示す。累積充放電回数は、人力駆動車10の出荷時点から推定情報の演算時までの蓄電装置42の充放電回数を示す。
【0063】
以下に、コンポーネント44の一例として変速装置16を挙げて、変速装置16の推定情報を導出する場合を説明する。本実施形態のモデルは、第1実施形態と同様に、制御装置41の消費電力を「0」と看做すモデルである。
【0064】
制御部41Aは、蓄電装置42の劣化状態に関する劣化情報に基づいて、変速可能回数チャートを更新する。例えば、蓄電装置42の累積使用時間または累積充放電回数の増大、または蓄電装置42の電圧の低下の大きさに応じて、変速可能回数チャートにおいて、各残量における変速可能回数を減少させる。制御部41Aは、更新後の変速可能回数チャートを参照して、第1実施形態と同様に、「残り駆動距離」、「残り駆動時間」、および「残り駆動回数」を求める。
【0065】
制御部41Aは、所定時間毎に、変速可能回数チャートを更新してもよいし、「残り駆動距離」、「残り駆動時間」、および「残り駆動回数」の演算の都度、変速可能回数チャートを更新してもよい。また、制御部41Aは、変速可能回数チャート全体を更新するのではなく、「残り駆動距離」、「残り駆動時間」、および「残り駆動回数」の演算時における蓄電装置42の残量に対応する変速可能回数だけを更新してもよい。
【0066】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る制御装置41を説明する。第3実施形態の制御装置41と、電気装置12、蓄電装置42および報知装置43との間の関係は第1実施形態の制御装置41と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。第3実施形態に係る制御装置41は、第1実施形態に係る制御装置41の構成に加えて、次の構成を含む。
【0067】
制御部41Aは、残量情報と、使用履歴と、少なくとも1つのコンポーネント44とは異なる追加のコンポーネント46の動作時間と、に基づき、推定情報として残り駆動距離および残り駆動時間の少なくともいずれか1つを報知装置43に報知させるように構成され、追加のコンポーネント46は、動作中に所定の電力を常時消費するように構成される。ここで、「使用履歴」とは、第1実施形態と同様に、コンポーネント44の使用履歴を意味する。追加のコンポーネント46は、ランプ26、スピードセンサ28、ケイデンスセンサ30、および、駆動力センサ32の少なくとも1つを含む。これら追加のコンポーネント46は、動作中の消費電力の変化が少なく、連続的に継続して使用される。
【0068】
以下に、コンポーネント44として変速装置16を備え、追加のコンポーネント46としてスピードセンサ28、ケイデンスセンサ30、および、駆動力センサ32を備える人力駆動車10の制御装置41について説明する。本実施形態のモデルは、第1実施形態と同様に、制御装置41の消費電力を「0」と看做すモデルである。
【0069】
スピードセンサ28、ケイデンスセンサ30、および、駆動力センサ32は、人力駆動車10の走行中、動作と非動作を繰り返す。スピードセンサ28、ケイデンスセンサ30、および、駆動力センサ32の消費電力は、制御装置41の記憶部41Bに予め記憶される。スピードセンサ28、ケイデンスセンサ30、および、駆動力センサ32それぞれの動作時間は、記憶部41Bに履歴として記憶される。単位時間における動作時間が長いほど電力消費が大きい。
【0070】
制御部41Aは、スピードセンサ28、ケイデンスセンサ30、および、駆動力センサ32の単位時間あたりの動作時間に応じて、変速可能回数チャートを更新する。単位時間あたりの動作時間として、例えば、スピードセンサの単位時間あたりの動作時間、ケイデンスセンサ30の単位時間あたりの動作時間、および、駆動力センサ32の単位時間あたりの動作時間の総和が用いられる。制御部41Aは、更新後の変速可能回数チャートを参照して、第1実施形態と同様に、「残り駆動距離」、「残り駆動時間」、および「残り駆動回数」とを求める。
【0071】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る制御装置41を説明する。第4実施形態の制御装置41と、電気装置12、蓄電装置42および報知装置43との間の関係は第1実施形態の制御装置41と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0072】
制御装置41は、蓄電装置42が人力駆動車10の少なくとも1つのコンポーネント44に電力を供給可能な推定限界に関する推定情報を報知するよう報知装置43を制御するように構成される。ここで、少なくとも1つのコンポーネント44は、走行補助装置を除く。また、推定情報は、少なくとも1つのコンポーネント44を駆動可能な残り駆動距離、少なくとも1つのコンポーネント44を駆動可能な残り駆動時間、および、少なくとも1つのコンポーネント44を駆動可能な残り駆動回数のいずれか1つを含む。
【0073】
本実施形態は、第1実施形態と次の点で相違する。第1実施形態では、制御部41Aは、蓄電装置42の残量に関する残量情報と、少なくとも1つのコンポーネント44の使用履歴と、に基づき、推定情報として残り駆動距離および残り駆動時間の少なくともいずれか1つを報知するよう報知装置43を制御するように構成される。これに対して、本実施形態では、制御部41Aは、蓄電装置42の残量に関する残量情報と、少なくとも1つのコンポーネント44の消費電力に関する消費電力情報と、に基づき、推定情報として残り駆動回数を報知するよう報知装置43を制御する。
【0074】
以下に、コンポーネント44の一例として変速装置16を挙げて、変速装置16の推定情報を導出する場合を説明する。この例の場合、蓄電装置42は、主として、変速装置16に電力を供給する。蓄電装置42は、制御装置41にも電力を供給するが、制御装置41の消費電力は変速装置16の消費電力に比べて少ない。本実施形態のモデルでは、制御装置41の消費電力を「0」と看做す。
【0075】
制御部41Aは、変速装置16の1回あたりの動作における消費電力を記憶部41Bに格納している。制御部41Aは、蓄電装置42の残量に基づいて蓄電装置42が供給可能な「残り電力量」を求める。そして、制御部41Aは、「残り電力量」/「変速装置16の1回あたりの動作における消費電力」を演算することによって、変速装置16の「残り駆動回数」を導出する。
【0076】
また、第1実施形態に準じて、制御部41Aは、変速装置16の使用履歴を走行中に随時更新する。すなわち、制御部41Aは、走行時間と変速装置16の使用回数とを一対のデータとして記憶部41Bに記憶する。そして、制御部41Aは、走行時間と変速装置16の使用回数とに基づいて、単位走行時間あたりの変速装置16の使用回数を求める。制御部41Aは、「残り駆動回数」/「単位走行時間あたりの変速装置16の使用回数」を演算することによって、「残り駆動時間」を導出する。また、制御部41Aは、走行距離と変速装置16の使用回数とを一対のデータとして記憶する。そして、制御部41Aは、走行距離と変速装置16の使用回数とに基づいて、単位走行距離あたりの変速装置16の使用回数を求める。制御部41Aは、「残り駆動回数」/「単位走行距離あたりの変速装置16の使用回数」を演算することによって、「残り駆動距離」を導出する。
【0077】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る制御装置41を説明する。第5実施形態の制御装置41と、電気装置12、蓄電装置42および報知装置43との間の関係は第4実施形態の制御装置41と同様であるので、第4実施形態と共通する構成については、第4実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。第5実施形態に係る制御装置41は、第4実施形態に係る制御装置41の構成に加えて、次の構成を含む。
【0078】
制御部41Aは、残量情報と、消費電力情報と、蓄電装置42の劣化状態に関する劣化情報とに基づき、推定情報として残り駆動回数を報知するよう報知装置43を制御する。「蓄電装置42の劣化状態に関する劣化情報」は、蓄電装置42の累積使用時間、累積充放電回数、および蓄電装置42の電圧、を含む。
【0079】
以下に、コンポーネント44の一例として変速装置16を挙げて、変速装置16の推定情報を導出する場合を説明する。本実施形態のモデルは、第4実施形態と同様に、制御装置41の消費電力を「0」と看做すモデルである。
【0080】
制御部41Aは、変速装置16の1回あたりの動作における消費電力を記憶部41Bに格納している。制御部41Aは、蓄電装置42の残量に基づいて蓄電装置42が供給可能な「残り電力量」を求める。さらに、制御部41Aは、蓄電装置42の劣化状態に関する劣化情報に基づいて、「残り電力量」を更新する。例えば、蓄電装置42の累積使用時間または累積充放電回数の増大、または蓄電装置42の電圧の低下の大きさに応じて、「残り電力量」を減少させる。そして、制御部41Aは、更新後の「残り電力量」/「変速装置16の1回あたりの動作における消費電力」を演算することによって、変速装置16の「残り駆動回数」を導出する。さらに、制御部41Aは、第4実施形態に準じて、使用履歴と「残り駆動回数」とを用いて、「残り駆動距離」および「残り駆動時間」を求める。
【0081】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る制御装置41を説明する。第6実施形態の制御装置41と、電気装置12、蓄電装置42および報知装置43との間の関係は第4実施形態の制御装置41と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第4実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。第6実施形態に係る制御装置41は、第4実施形態に係る制御装置41の構成に加えて、次の構成を含む。
【0082】
制御部41Aは、残量情報と、消費電力情報と、少なくとも1つのコンポーネント44とは異なる追加のコンポーネント46の動作時間と、に基づき、推定情報として残り駆動回数を報知するよう報知装置43を制御し、追加のコンポーネント46は、動作中に所定の電力を常時消費するように構成される。追加のコンポーネント46は、ランプ26、スピードセンサ28、ケイデンスセンサ30、および、駆動力センサ32の少なくとも1つを含む。これら追加のコンポーネント46は、動作中の消費電力の変化が少なく、連続的に継続して使用される。
【0083】
以下に、コンポーネント44として変速装置16を備え、追加のコンポーネント46としてスピードセンサ28、ケイデンスセンサ30、および、駆動力センサ32を備える人力駆動車10の制御装置41について説明する。本実施形態のモデルは、第4実施形態と同様に、制御装置41の消費電力を「0」と看做すモデルである。
【0084】
スピードセンサ28、ケイデンスセンサ30、および、駆動力センサ32は、人力駆動車10の走行中、動作と非動作を繰り返す。スピードセンサ28、ケイデンスセンサ30、および、駆動力センサ32の消費電力は、制御部41Aの記憶部41Bに予め記憶される。スピードセンサ28、ケイデンスセンサ30、および、駆動力センサ32それぞれの動作時間は、記憶部41Bに履歴として記憶される。単位時間における動作時間が長いほど電力消費が大きい。
【0085】
制御部41Aは、蓄電装置42の残量に基づいて蓄電装置42が供給可能な「残り電力量」を求める。さらに、制御部41Aは、スピードセンサ28、ケイデンスセンサ30、および、駆動力センサ32それぞれの単位時間あたりの動作時間に応じて、「残り電力量」を更新する。例えば、スピードセンサ28の単位時間あたりの動作時間、ケイデンスセンサ30の単位時間あたりの動作時間、および、駆動力センサ32の単位時間あたりの動作時間の総動作時間に応じて、「残り電力量」を減少させる。そして、制御部41Aは、更新後の「残り電力量」/「変速装置16の1回あたりの動作における消費電力」を演算することによって、変速装置16の「残り駆動回数」を導出する。さらに、制御部41Aは、第4実施形態に準じて、使用履歴と「残り駆動回数」とを用いて、「残り駆動距離」および「残り駆動時間」を求める。
【0086】
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う人力駆動車10の制御装置41が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う人力駆動車10の制御装置41は、例えば以下に示される上記実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0087】
・上記第1実施形態において、人力駆動車10は、走行補助装置(ドライブユニット)を備えないが、走行補助装置を備えてもよい。この場合、走行補助装置は、本実施形態に係るコンポーネント44,46に電力を供給する蓄電装置42とは別の蓄電装置の電力で駆動されてもよい。この場合、走行補助装置の電力消費は、コンポーネント44,46の推定情報の推定精度に影響を与えない。
【0088】
(第7実施形態)
第7実施形態に係る制御装置41を説明する。本実施形態の技術は、電気装置12の動作制限解除に関する技術である。なお、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。制御装置41は、上記第1実施形態~第6実施形態の機能を備えてもよく、また、上記第1実施形態~第6実施形態の機能を備えていなくてもよい。
【0089】
自転車の盗難防止のための自転車盗難防止システムが知られている。自転車盗難防止システムは、操作ボタンの操作による暗証番号の入力によって、ロック解除する。ところで、暗証番号は、数字の羅列であることから、記憶し難い。人力駆動車10の動作制限の解除の方法は、記憶し易いことが好ましい。以下、人力駆動車10の動作制限の解除に関する技術を説明する。
【0090】
さらに、少なくとも1つのコンポーネント44は、動作制限状態を有するコンポーネントを含む。動作制限状態とは、コンポーネント自体が動作範囲を制限する状態またはコンポーネントが他のコンポーネントの動作を制限する状態を含む。動作制限状態を有するコンポーネントは、動作制限状態において、人力駆動車10の移動を困難にさせるものであることが好ましい。例えば、動作制限状態を有するコンポーネントは、変速装置16および制動装置18を含む。
【0091】
変速装置16は、所定条件を満たすことによって、動作制限状態に移行する。変速装置16は、動作制限状態において、中間の変速比よりも高い変速比をとり、他の変速比をとる状態に移行し難い姿勢となる。制御部41Aの制限解除信号によって、変速装置16の動作制限状態が解除される。変速装置16は、動作制限解除状態において、動作制限状態における変速比よりも低い変速比をとる。
【0092】
制動装置18は、所定条件を満たすことによって、動作制限状態に移行する。制動装置18は、動作制限状態において、制動対象の回転体RBを制動可能な制動姿勢をとり、他の姿勢に移行し難い状態になる。制御部41Aの動作制限解除信号によって、制動装置18の動作制限状態が解除される。制動装置18は、動作制限解除状態において、制動対象の回転体RBの動作を許容する許容姿勢をとる。
【0093】
制御装置41は、人力駆動車10に所定パターンが入力されると、人力駆動車10の少なくとも1つのコンポーネント44の動作制限状態を解除するように構成される制御部41Aを備え、所定パターンは、少なくとも1つのコンポーネント44および少なくとも1つのコンポーネント44とは異なる他のコンポーネントの少なくとも1つの電気的な接続状態の変化を含む。他のコンポーネントは、人力駆動車10のコンポーネント44のうち、制御装置41の指令によって動作制限状態にされる変速装置16および制動装置18以外のコンポーネントを含みうる。
【0094】
コンポーネント44は、手動または制御部41Aの指令によって、動作制限状態に移行する。本実施形態では、コンポーネント44は、制御部41Aの指令で制限状態に移行する。具体的には、制御部41Aは、少なくとも1つのコンポーネント44が所定条件を満たすことによって、少なくとも1つのコンポーネント44の状態を、動作制限状態に変更するように構成される。例えば、制御部41Aは、所定の周期でケイデンスセンサ30からケイデンスを取得する。制御部41Aは、ケイデンスに基づいて、人力駆動車10の走行状態を判定する。走行状態は、人力駆動車10が止まっている停車状態を含む。さらに、制御部41Aは、人力駆動車10の停車時間を測定する。制御部41Aは、停車時間が所定時間よりも長くなることに基づいて、コンポーネント44の状態を動作制限状態に変更する。コンポーネント44の状態を動作制限状態に変更する所定条件は、これに限らない。例えば、所定条件は、操作装置24に対する所定の操作を含む。
【0095】
制御装置41およびコンポーネント44は、ケーブル38で接続される。制御装置41は、コンポーネント44と通信する。通信は、有線で行われる。電力系と通信系は、独立した系統で構成されてもよく、共通の系統で構成されてもよい。本実施形態では、制御装置41、蓄電装置42、報知装置43、および電気装置12は、電力線通信(Power Line Communication:PLC)で通信する。制御装置41の制御部41Aは、電力線通信によって、ケーブル38に繋がれる各装置の接続状態を監視する。接続状態とは、ケーブル38に電気的に接続されているか否かを示す。電気的に接続されているか否かは、通信可能か否かの概念を含む。
【0096】
制御装置41の制御部41Aは、コンポーネント44の状態が動作制限状態である場合において、人力駆動車10に所定パターンが入力されると、コンポーネント44の動作制限状態を解除するように構成される。
【0097】
好ましくは、コンポーネント44が動作制限状態に移行したことに基づいて、コンポーネント44は、コンポーネント44の主電源をオフ状態にする。コンポーネント44は、オフ状態において、制御部41Aからの情報を受信可能である。動作制限状態に移行すると、コンポーネント44は、動作制限状態に移行する直前の姿勢を維持する。具体的には、コンポーネント44が変形するような力が加えられなければ崩れない程度に、姿勢が維持される。好ましくは、コンポーネント44の姿勢を維持するための構造は、機械的な係合を含むことが好ましい。
【0098】
制御部41Aは、「人力駆動車10に所定パターンが入力される」ことを検出する。例えば、制御部41Aは、所定パターンの入力の検出によって、コンポーネント44に動作制限解除指令を出力する。
好ましくは、制御部41Aは、コンポーネント44の主電源がオン状態になってから所定時間以内に、人力駆動車10に所定パターンが入力されると、コンポーネント44の動作制限状態を解除するように構成される。
具体的には、制御部41Aは、コンポーネント44がオフ状態のとき、所定パターンの入力を受け付けない。制御部41Aは、コンポーネント44の主電源がオン状態となってから所定時間以内の期間、所定パターンの入力を受け付ける。また、制御部41Aは、コンポーネント44の主電源がオン状態となってから所定時間が経過すると、所定パターンの入力を受け付けない。このように、制御部41Aは、コンポーネント44の主電源がオン状態となった時点から所定時間の経過までの所定期間だけ、所定パターンの入力を受け付ける。
【0099】
所定パターンは、コンポーネント44に繋がれるケーブル38の接続状態の変化と、他のコンポーネントに対する操作に基づく信号入力変化と、を含む。ここで、ケーブル38は、電力線通信および電力供給に使用されるものを含む。「コンポーネント44に繋がれるケーブル38の接続状態の変化」は、コンポーネント44からケーブル38を抜き差しすることに基づく接続状態の変化、および、コンポーネント44とケーブル38とが接続された状態でコンポーネント44とケーブル38との接続を切り替えるスイッチに基づく接続状態の変化を含む。コンポーネント44が変速装置16である場合、「コンポーネント44に繋がれるケーブル38の接続状態の変化」の一例として、「変速装置16に対するケーブル38の抜き差し」が挙げられる。
【0100】
「他のコンポーネントに対する操作に基づく信号入力変化」は、ユーザによって操作される操作部の動作変化に基づいて他のコンポーネントが形成する信号の変化を含む。他のコンポーネントが操作装置24である場合、「他のコンポーネントに対する操作に基づく信号入力変化」の一例として、「操作装置24のスイッチ操作に基づく信号入力変化」が挙げられる。
【0101】
所定パターンは、「コンポーネント44に繋がれるケーブル38の接続状態の変化」を少なくとも1つと、「他のコンポーネントに対する操作に基づく信号入力変化」を少なくとも1つ含む。
【0102】
所定パターンの一例として、次のコンポーネント群に対して行われるパターンを説明する。操作装置24は、右スイッチ24Rと左スイッチ24Lを有する。右スイッチ24Rは、例えば、操舵装置STの右側に取り付けられる。左スイッチ24Lは、例えば、操舵装置STの左側に取り付けられる。右スイッチ24Rおよび左スイッチ24Lの一方は、変速装置16をシフトアップさせるスイッチであり、他方は、変速装置16をシフトダウンさせるスイッチである。
【0103】
このようなコンポーネント群において、所定パターンは、4つの要素を含む。「第1番目」~「第4番目」は、人力駆動車10に対する入力順序を示す。第1番目の要素は、右スイッチ24Rが押されることによる制御部41Aに入力される入力信号の変化である。第2番目の要素は、左スイッチ24Lが押されることによる制御部41Aに入力される入力信号の変化である。第3番目の要素は、変速装置16からケーブル38が抜かれることに伴って、変速装置16とケーブル38との接続状態が非接続状態になる変化である。第4番目の要素は、変速装置16からケーブル38が差し込まれることに伴って、変速装置16とケーブル38との非接続状態が接続状態になる変化である。制御部41Aは、所定パターンを検出することに基づいて、上述の制限解除信号を形成する。
【0104】
好ましくは、制御部41Aは、変更情報を受け付け、受け付けた前記変更情報に基づいて所定パターンを変更するように構成される。例えば、所定パターンの変更は、報知装置43を介して行われる。報知装置43は、表示画面を有するサイクルコンピュータ43Aを含む。報知装置43は、制御部41Aと通信可能であることが好ましい。報知装置43は、ケーブル38に接続され得る。例えば、報知装置43は、電力線通信によって制御装置41と通信する。本実施形態では、報知装置43は、タッチパネルを有する。
【0105】
報知装置43は、制御部41Aから所定パターンを読み取り、表示画面に所定パターンを表示する。報知装置43は、所定パターンを変更するためのアプリケーションを有する。アプリケーションは、所定パターンの順序毎に、所定パターンを構成する複数の要素を表示する。アプリケーションは、変更情報としてユーザの選択操作を受け付けて、所定パターンの各順序の要素を確定する。
【0106】
図6は、アプリケーションの操作画面60の一例である。図6に示される表示画像は、所定パターンの第1番目を変更するための操作画像である。この例では、8個の要素が選択可能の要素として表示されている。第1の要素は、「操作装置24の右スイッチ24Rを押下する」である。第2の要素は、「操作装置24の左スイッチ24Lを押下する」である。第3の要素は、「右側ブレーキレバーを操作する」である。第4の要素は、「左側ブレーキレバーを操作する」である。第5の要素は、「変速装置16のケーブル38を接続状態から非接続状態にする」である。第6の要素は、「変速装置16のケーブル38を非接続状態から接続状態にする」である。第7の要素は、「サイクルコンピュータ43Aを非接続状態から接続状態にする」である。第8の要素は、「サドルSDを所定位置(高さ)にする」である。さらに、操作画像には、「変更」および「キャンセル」が示される。「変更」がタッチされることによって、第1番目の要素は、変更前の要素が選択された要素に変更される。「キャンセル」がタッチされることによって、第1番目の要素は、変更前の要素が変更されずに、そのままに維持される。
【0107】
図7を参照して、人力駆動車10に所定パターンが入力されるときの制御部41Aの動作を説明する。制御部41Aは、上述のように、コンポーネント44が動作制限状態にあり、かつコンポーネント44の主電源がオン状態になった時点から所定時間までの受付期間、所定パターンを受け付ける。受付期間において、制御部41Aは、所定周期で、図7に示されるフローチャートを実行する。制御部41Aは、所定周期の最初のタイミングで、図7に示すフローチャートのステップS11に移行し、フローを開始する。
【0108】
ステップS11で、制御部41Aは、操作装置24の右スイッチ24Rが押されるか否かを判定する。ステップS11で、制御部41Aは、右スイッチ24Rが押されたと判定すると(YES判定)、制御部41Aは、次のステップS12に移行し、これ以外の判定(NO判定)のとき、制御部41Aはフローを終了し、次の周期の開始時点まで待機する。
【0109】
ステップS12で、制御部41Aは、操作装置24の左スイッチ24Lが押されるか否かを判定する。ステップS12で、制御部41Aは、左スイッチ24Lが押されたと判定すると、制御部41Aは、次のステップS13に移行し、これ以外の判定(NO判定)のとき、制御部41Aはフローを終了し、次のフローの開始まで待機する。
【0110】
ステップS13で、制御部41Aは、変速装置16のケーブル38が接続状態から非接続状態になるか否かを判定する。ステップS13で、制御部41Aは、変速装置16のケーブル38が接続状態から非接続状態になったと判定すると、制御部41Aは、次のステップS14に移行し、これ以外の判定(NO判定)のとき、制御部41Aはフローを終了し、次の周期の開始時点まで待機する。
【0111】
ステップS14で、制御部41Aは、変速装置16のケーブル38が非接続状態から接続状態になるか否かを判定する。ステップS14で、制御部41Aは、変速装置16のケーブル38が非接続状態から接続状態になったと判定すると、制御部41Aは、次のステップS15に移行し、制御部41Aは、動作制限解除信号を生成し、コンポーネント44の動作制限状態を解除する。これ以外の判定(NO判定)のとき、制御部41Aはフローを終了し、次の周期の開始時点まで待機する。
【0112】
上記実施形態の作用を説明する。コンポーネント44の動作制限状態の解除のための所定パターンは、上述のように、コンポーネント44および他のコンポーネントのうちの少なくとも1つの電気的な接続状態の変化を含む。電気的な接続状態の変化は、ケーブル38の抜き差しやスイッチ操作等の人の動作(手先だけの操作以外の動作)を伴うものであるため、人に記憶され易く、忘れられ難い。また、所定パターンの入力は、人の動作を伴うものであることから、乱数入力による解読を抑制でき、防犯性が高い。
【0113】
(変形例)
上記実施形態に関する説明は、本発明に従う人力駆動車10の制御装置41が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う人力駆動車10の制御装置41は、例えば以下に示される上記実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0114】
・上記第7実施形態において、人力駆動車10は、走行補助装置(ドライブユニット)を備えていてもよい。この場合、走行補助装置は、本実施形態に係るコンポーネント44に属する。制御部41Aは、走行補助装置の動作制限状態において、走行補助装置の主電源がオン状態になってから所定時間以内に人力駆動車10に所定パターンが入力されることによって、走行補助装置の動作制限状態を解除するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0115】
10…人力駆動車、16…変速装置、18…制動装置、20…サスペンション、22…アジャスタブルシートポスト、24…操作装置、26…ランプ、26…ランプ、28…スピードセンサ、30…ケイデンスセンサ、32…駆動力センサ、38…ケーブル、40…蓄電システム、41…制御装置、41A…制御部、42…蓄電装置、43…報知装置、44…コンポーネント、46…追加のコンポーネント。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7