(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】コネクタ及びコネクタ付き電線
(51)【国際特許分類】
H01R 4/2433 20180101AFI20241008BHJP
【FI】
H01R4/2433
(21)【出願番号】P 2021082867
(22)【出願日】2021-05-17
【審査請求日】2024-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 真史
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-079782(JP,A)
【文献】特開平10-144363(JP,A)
【文献】特開2004-165056(JP,A)
【文献】特開2020-087562(JP,A)
【文献】特開2012-134055(JP,A)
【文献】米国特許第04193201(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/2416-4/2433
H01R 13/6463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線における被圧接部の芯線に圧接させる一対の圧接体が設けられた端子金具と、
前記電線毎の前記端子金具が収容され、かつ、2本の電線を撚り合わせた撚り対線が収容されるハウジングと、
前記ハウジングに組み付けられ、前記ハウジングの中で前記撚り対線を保持する保持部材と、
を備え、
前記ハウジングは、前記撚り対線のそれぞれの前記電線毎の前記端子金具が前記一対の圧接体を突出させた状態で並べて収容される第1ハウジングと、前記第1ハウジングに組み付けられ、前記一対の圧接体に圧接された折返し点の前記電線を起点にして前記撚り対線が第1撚り線部側と第2撚り線部側とに折り返されて前記一対の圧接体と共に収容される第2ハウジングと、を有し、
前記第2ハウジングは、互いに向かい合わせた相互間の組付け完了位置で前記撚り対線と前記一対の圧接体の収容室が形成される第1電線収容部と第2電線収容部とを有し、
前記保持部材は、前記組付け完了位置の前記第1電線収容部に収容された前記第1撚り線部側を前記第1電線収容部の内壁との間に挟み込む第1電線押さえ部と、前記組付け完了位置の前記第2電線収容部に収容された前記第2撚り線部側を前記第2電線収容部の内壁との間に挟み込む第2電線押さえ部と、を有することを特徴としたコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記第1ハウジング及び前記第1電線収容部の間に設けた第1ヒンジ部と、前記第1ハウジング及び前記第2電線収容部の間に設けた第2ヒンジ部と、を有し、
前記第1ヒンジ部は、前記撚り対線における折返し後に前記第1撚り線部側の一部になる第1配索撚り線部が前記第1電線収容部に対して配索される前記第1電線収容部の開位置と、前記組付け完了位置としての前記第1電線収容部の閉位置と、の間で、前記第1電線収容部を前記第1配索撚り線部と共に前記第1ハウジングに対して相対回転させ得るものとして形成され、
前記第2ヒンジ部は、前記撚り対線における折返し後に前記第2撚り線部側の一部になる第2配索撚り線部が前記第2電線収容部に対して配索される前記第2電線収容部の開位置と、前記組付け完了位置としての前記第2電線収容部の閉位置と、の間で、前記第2電線収容部を前記第2配索撚り線部と共に前記第1ハウジングに対して相対回転させ得るものとして形成されることを特徴とした請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部は、各々、前記撚り対線における前記第1撚り線部側及び前記第2撚り線部側の対向配置方向と前記第1撚り線部側及び前記第2撚り線部側の引出方向とに対する直交方向を回転軸の軸線とすることを特徴とした請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記保持部材は、前記一対の圧接体と前記第1撚り線部側との間に前記第1電線押さえ部を介在させ、かつ、前記一対の圧接体と前記第2撚り線部側との間に前記第2電線押さえ部を介在させることを特徴とした請求項1,2又は3に記載のコネクタ。
【請求項5】
電線における被圧接部の芯線に圧接させる一対の圧接体が設けられた端子金具と、
2本の電線を撚り合わせた撚り対線と、
前記電線毎の前記端子金具が収容され、かつ、前記撚り対線が収容されるハウジングと、
前記ハウジングに組み付けられ、前記ハウジングの中で前記撚り対線を保持する保持部材と、
を備え、
前記ハウジングは、前記撚り対線のそれぞれの前記電線毎の前記端子金具が前記一対の圧接体を突出させた状態で並べて収容される第1ハウジングと、前記第1ハウジングに組み付けられ、前記一対の圧接体に圧接された折返し点の前記電線を起点にして前記撚り対線が第1撚り線部側と第2撚り線部側とに折り返されて前記一対の圧接体と共に収容される第2ハウジングと、を有し、
前記第2ハウジングは、互いに向かい合わせた相互間の組付け完了位置で前記撚り対線と前記一対の圧接体の収容室が形成される第1電線収容部と第2電線収容部とを有し、
前記保持部材は、前記組付け完了位置の前記第1電線収容部に収容された前記第1撚り線部側を前記第1電線収容部の内壁との間に挟み込む第1電線押さえ部と、前記組付け完了位置の前記第2電線収容部に収容された前記第2撚り線部側を前記第2電線収容部の内壁との間に挟み込む第2電線押さえ部と、を有することを特徴としたコネクタ付き電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及びコネクタ付き電線に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタ及びコネクタ付き電線においては、電線に撚り対線(2本の電線を撚り合わせた所謂ツイストペア電線)を用いたものが知られている。例えば、この種のコネクタ及びコネクタ付き電線については、下記の特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撚り対線においては、2本の電線の撚りが解かれると、その撚り戻しの発生した場所でノイズ耐性が低下するなど、通信性能を低下させてしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、通信性能の低下を抑え得るコネクタ及びコネクタ付き電線を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本発明に係るコネクタは、電線における被圧接部の芯線に圧接させる一対の圧接体が設けられた端子金具と、前記電線毎の前記端子金具が収容され、かつ、2本の電線を撚り合わせた撚り対線が収容されるハウジングと、前記ハウジングに組み付けられ、前記ハウジングの中で前記撚り対線を保持する保持部材と、を備え、前記ハウジングは、前記撚り対線のそれぞれの前記電線毎の前記端子金具が前記一対の圧接体を突出させた状態で並べて収容される第1ハウジングと、前記第1ハウジングに組み付けられ、前記一対の圧接体に圧接された折返し点の前記電線を起点にして前記撚り対線が第1撚り線部側と第2撚り線部側とに折り返されて前記一対の圧接体と共に収容される第2ハウジングと、を有し、前記第2ハウジングは、互いに向かい合わせた相互間の組付け完了位置で前記撚り対線と前記一対の圧接体の収容室が形成される第1電線収容部と第2電線収容部とを有し、前記保持部材は、前記組付け完了位置の前記第1電線収容部に収容された前記第1撚り線部側を前記第1電線収容部の内壁との間に挟み込む第1電線押さえ部と、前記組付け完了位置の前記第2電線収容部に収容された前記第2撚り線部側を前記第2電線収容部の内壁との間に挟み込む第2電線押さえ部と、を有することを特徴としている。
【0007】
また、上記目的を達成する為、本発明に係るコネクタ付き電線は、電線における被圧接部の芯線に圧接させる一対の圧接体が設けられた端子金具と、2本の電線を撚り合わせた撚り対線と、前記電線毎の前記端子金具が収容され、かつ、前記撚り対線が収容されるハウジングと、前記ハウジングに組み付けられ、前記ハウジングの中で前記撚り対線を保持する保持部材と、を備え、前記ハウジングは、前記撚り対線のそれぞれの前記電線毎の前記端子金具が前記一対の圧接体を突出させた状態で並べて収容される第1ハウジングと、前記第1ハウジングに組み付けられ、前記一対の圧接体に圧接された折返し点の前記電線を起点にして前記撚り対線が第1撚り線部側と第2撚り線部側とに折り返されて前記一対の圧接体と共に収容される第2ハウジングと、を有し、前記第2ハウジングは、互いに向かい合わせた相互間の組付け完了位置で前記撚り対線と前記一対の圧接体の収容室が形成される第1電線収容部と第2電線収容部とを有し、前記保持部材は、前記組付け完了位置の前記第1電線収容部に収容された前記第1撚り線部側を前記第1電線収容部の内壁との間に挟み込む第1電線押さえ部と、前記組付け完了位置の前記第2電線収容部に収容された前記第2撚り線部側を前記第2電線収容部の内壁との間に挟み込む第2電線押さえ部と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るコネクタ及びコネクタ付き電線においては、第1電線収容部と第2電線収容部によって折返し形状が保たれたまま撚り対線がハウジングの中に収容される。よって、このコネクタ及びコネクタ付き電線は、その撚り対線の2本の電線の撚りが解かれ難くなっており、通信性能の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態のコネクタ付き電線を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のX-X線断面を模式的に表した説明図である。
【
図3】
図3は、撚り対線接続前のコネクタ付き電線の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3のX-X線断面(電線除く)を模式的に表した説明図である。
【
図5】
図5は、撚り対線接続後のコネクタ付き電線の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5のX-X線断面を模式的に表した説明図である。
【
図7】
図7は、保持部材組付け後のコネクタ付き電線の斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7のX-X線断面を模式的に表した説明図である。
【
図9】
図9は、実施形態のコネクタ付き電線の適用例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、変形例のコネクタ付き電線を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、変形例のコネクタ付き電線の分解斜視図である。
【
図12】
図12は、撚り対線と保持部材を組み付けた後のコネクタ付き電線の分解斜視図である。
【
図13】
図13は、電線収容部を閉じる前のコネクタ付き電線の斜視図である。
【
図14】
図14は、
図11のY-Y線断の部分拡大図であり、撚り対線の組付け工程を表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係るコネクタ及びコネクタ付き電線の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
[実施形態]
本発明に係るコネクタ及びコネクタ付き電線の実施形態の1つを
図1から
図9に基づいて説明する。
【0012】
図1から
図8の符号1は、本実施形態のコネクタ付き電線を示す。このコネクタ付き電線1は、複数本の電線10(
図1から
図3及び
図5から
図8)と、この複数本の電線10に取り付けられたコネクタ20(
図1から
図8)と、を備える。
【0013】
このコネクタ付き電線1は、2本の電線10を撚り合わせた撚り対線10Aを少なくとも備える(
図1から
図3及び
図5から
図8)。このコネクタ付き電線1においては、その撚り対線10Aが第1撚り線部側10A
1と第2撚り線部側10A
2とに折返し点10A
3を起点に折り返されており、その折返し点10A
3にコネクタ20が取り付けられる(
図2)。例えば、コネクタ付き電線1は、幹線10X(
図9)から引き出された1本の撚り対線10Aの折返し点10A
3にコネクタ20を取り付けたものであり、その幹線10Xと共にワイヤハーネスWHを構成する。そのコネクタ20は、例えば、電子機器EPの相手方コネクタ(図示略)に嵌合接続される(
図9)。
【0014】
電線10は、図中で明示しないが、導体たる芯線と、この芯線を覆う被覆と、を備える。
【0015】
コネクタ20は、端子金具30とハウジング40を備える(
図2から
図8)。このコネクタ20においては、電線10毎の端子金具30がハウジング40に収容される。ここでは、撚り対線10Aのそれぞれの電線10毎に端子金具30が設けられている。更に、このコネクタ20は、そのハウジング40に組み付けられ、このハウジング40の中で撚り対線10Aを保持する保持部材50を備える(
図2、
図3、
図5、
図7及び
図8)。
【0016】
端子金具30は、金属等の導電性材料で成形される。この端子金具30は、例えば、母材となる金属板に対する折曲げ加工や切断加工等のプレス成形によって所定形状に成形される。
【0017】
この端子金具30は、電線10の芯線に対して物理的且つ電気的に接続させる電線接続部として、この電線10における被圧接部10aの芯線に圧接させる一対の圧接体31,31を有する(
図2から
図8)。この一対の圧接体31,31は、それぞれの端部が互いに間隔を空けて対向配置され、その端部間に差し入れられた電線10に対して、それぞれの端部で被覆を切り裂いて、それぞれの端部を芯線に圧接させる。この一対の圧接体31,31に圧接された電線10は、それぞれの圧接体31,31の対向配置方向とそれぞれの圧接体31,31の間への電線10の差し込み方向とに対する直交方向にその間から引き出される。この圧接体31は、片体として形成されている。この圧接体31の端部は、刃形の圧接刃として形成されたものであってもよく、母材の板厚分の厚さを有する平面として形成されたものであってもよい。
【0018】
この端子金具30は、相手方端子金具に対して物理的且つ電気的に接続させる接続端子として構成されており、1組の一対の圧接体31,31と1つの端子接続部32とを有している(
図2、
図4、
図6及び
図8)。その端子接続部32と相手方端子金具の相手方端子接続部は、相互間の嵌合接続によって互いに物理的且つ電気的に接続させるものであり、その内の一方が雌端子形状に形成され、その内の他方が雄端子形状に形成される。ここで示す端子接続部32は、雌端子形状に形成されている。
【0019】
ここで示す端子金具30においては、相手方端子接続部への嵌合接続方向に一対の圧接体31,31と端子接続部32とが並べられる。そして、この端子金具30においては、その嵌合接続方向に向けて電線10が一対の圧接体31,31の間に差し込まれるように、この一対の圧接体31,31が形成される。
【0020】
このコネクタ付き電線1においては、撚り対線10Aにおける折返し点10A3のそれぞれの電線10が当該電線10毎に端子金具30の一対の圧接体31,31に圧接され、この撚り対線10Aの第1撚り線部側10A1と第2撚り線部側10A2とを端子接続部32の嵌合接続方向とは逆向きでハウジング40の外に引き出させる。
【0021】
ハウジング40は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。
【0022】
このハウジング40には、電線10毎の端子金具30が収容され、かつ、撚り対線10Aが収容される。このハウジング40においては、その撚り対線10Aが折返し点10A3を起点にして第1撚り線部側10A1と第2撚り線部側10A2とに折り返されて収容され、かつ、その折り返された先で第1撚り線部側10A1と第2撚り線部側10A2がハウジング40の外に引き出される。
【0023】
このハウジング40は、第1ハウジング40Aと、この第1ハウジング40Aに組み付けられる第2ハウジング40Bと、を有する(
図1から
図8)。
【0024】
第1ハウジング40Aは、撚り対線10Aのそれぞれの電線10毎の端子金具30が一対の圧接体31,31を突出させた状態で並べて収容される当該端子金具30毎の端子収容室40aを有する(
図2、
図4、
図6及び
図8)。つまり、この第1ハウジング40Aにおいては、端子接続部32を収容させる端子収容室40aが端子金具30毎に設けられている。この第1ハウジング40Aにおいては、複数の端子金具30がそれぞれの圧接体31を1列に並べた状態で収容される。このため、この第1ハウジング40Aにおいては、複数の端子金具30におけるそれぞれの圧接体31の並び方向に当該複数の端子金具30の端子収容室40aが並べて配置される。ここで示す第1ハウジング40Aには、2つの端子収容室40aが形成されている。
【0025】
更に、この第1ハウジング40Aは、端子収容室40aにおける一方の開口であり、相手方端子接続部を端子収容室40aに挿入させる端子挿入口40bと、端子収容室40aにおける他方の開口であり、一対の圧接体31,31を端子収容室40aの外に引き出させる端子引出口40cと、を有する(
図2、
図4、
図6及び
図8)。ここで示す第1ハウジング40Aは、その外観が方体状に形成されている。
【0026】
第2ハウジング40Bにおいては、一対の圧接体31,31に圧接された折返し点10A3の電線10を起点にして撚り対線10Aが第1撚り線部側10A1と第2撚り線部側10A2とに折り返されて収容される。この第2ハウジング40Bにおいては、その折り返された撚り対線10Aが一対の圧接体31,31と共に収容される。そして、この第2ハウジング40Bにおいては、その折り返された先で第1撚り線部側10A1及び第2撚り線部側10A2を外に引き出させる。ここで示す第2ハウジング40Bには、1本の撚り対線10Aと当該撚り対線10Aの電線10毎の一対の圧接体31,31とが収容される。
【0027】
この第2ハウジング40Bは、互いに組み付けられる第1電線収容部41と第2電線収容部42とを有する(
図1から
図8)。この第1電線収容部41と第2電線収容部42は、互いに向かい合わせた相互間の組付け完了位置で撚り対線10Aと一対の圧接体31,31の収容室40dを形成するものである(
図1及び
図2)。そして、この第1電線収容部41と第2電線収容部42は、その組付け完了位置で撚り対線10Aの第1撚り線部側10A
1と第2撚り線部側10A
2を外に引き出させる電線引出口40eを形成する(
図1及び
図2)。この第1電線収容部41と第2電線収容部42は、それぞれが第1ハウジング40Aに組み付けられる。
【0028】
ここで示す第1電線収容部41は、矩形の平板状の主壁体41aと、互いに対向配置させ、かつ、主壁体41aの2つの辺部から同じ向きに各々突出させた矩形の平板状の片持ちの側壁体41b,41bと、を有する(
図1及び
図3から
図8)。この第1電線収容部41においては、主壁体41aと2つの側壁体41b,41bのそれぞれの内壁で囲まれた空間内に撚り対線10Aも一部が収容される。また、ここで示す第2電線収容部42は、矩形の平板状の主壁体42aと、互いに対向配置させ、かつ、主壁体42aの2つの辺部から同じ向きに各々突出させた矩形の平板状の片持ちの側壁体42b,42bと、を有する(
図1及び
図3から
図8)。この第2電線収容部42においては、主壁体42aと2つの側壁体42b,42bのそれぞれの内壁で囲まれた空間内に撚り対線10Aも一部が収容される。尚、
図3、
図5及び
図7においては、図示の便宜上、一方の側壁体42bの一部を後述する第2係止部43bと共に省略している。
【0029】
ここでは、第1電線収容部41と第2電線収容部42がそれぞれ同等の形状に形成されている。第2ハウジング40Bにおいては、第1電線収容部41と第2電線収容部42が組付け完了位置のときに、それぞれの主壁体41a,42aを対向配置させ、かつ、一方の側壁体41b,42bにおける自由端同士を突き合わせ、かつ、他方の側壁体41b,42bにおける自由端同士を突き合わせる。よって、ここで示す第2ハウジング40Bは、組付け完了位置で第1撚り線部側10A1と第2撚り線部側10A2の外への引出方向が筒軸となる角筒状を成す。この第2ハウジング40Bにおいては、その内方の方体状の空間が収容室40dとなり、この収容室40dを間に挟んで第1ハウジング40Aと向かい合う開口が電線引出口40eとなる。
【0030】
この第2ハウジング40Bは、第1電線収容部41と第2電線収容部42の組付け状態を保つためのロック機構43を有している(
図1、
図3、
図5及び
図7)。例えば、このロック機構43は、第1電線収容部41に設けた第1係止部43aと、第2電線収容部42に設けた第2係止部43bと、を備える(
図3、
図5及び
図7)。このロック機構43においては、第1電線収容部41と第2電線収容部42の組付け状態を保つことが可能な位置関係に第1係止部43aと第2係止部43bを配置する。ここでは、第1電線収容部41のそれぞれの側壁体41bの自由端に第1係止部43aを設け、第2電線収容部42のそれぞれの側壁体42bの自由端に第2係止部43bを設けている。このロック機構43においては、第1電線収容部41と第2電線収容部42とが後述する閉位置に向けて移動して組付け完了位置となったときに、この第1電線収容部41と第2電線収容部42の後述する開位置に向けた動きを抑止するべく、互いに突き合わされた自由端の間で第1係止部43aと第2係止部43bとが互いに係止可能な状態に配置される。例えば、第1係止部43aと第2係止部43bは、その内の一方が爪部を有し、その内の他方が第1電線収容部41と第2電線収容部42の開位置に向けた動きに伴い爪部に引っ掛かる引っ掛け部を有している。
【0031】
このコネクタ20及びコネクタ付き電線1においては、折返し前の撚り対線10Aの電線10を第1ハウジング40A側で一対の圧接体31,31に圧接させた後、この第1ハウジング40Aに第2ハウジング40Bを組み付ける。例えば、このコネクタ20及びコネクタ付き電線1においては、一対の圧接体31,31に圧接されている折返し前の撚り対線10Aを当該一対の圧接体31,31の前後で第1電線収容部41と第2電線収容部42とに配策する。そして、このコネクタ20及びコネクタ付き電線1においては、撚り対線10Aを第1電線収容部41と第2電線収容部42で押し動かしながら折り返し、かつ、その第1電線収容部41と第2電線収容部42をロック機構43で組み付けて、この第1電線収容部41と第2電線収容部42を第1ハウジング40Aに組み付ける。
【0032】
ここで示す第2ハウジング40Bにおいては、折り返す前の撚り対線10Aの一部が組付け前の第1電線収容部41と第2電線収容部42との間に亘って配索され、かつ、その第1電線収容部41と第2電線収容部42の間に介在する一対の圧接体31,31の間に折返し前の撚り対線10Aの電線10を差し込ませる。そして、この第2ハウジング40Bにおいては、その第1電線収容部41と第2電線収容部42の組付け動作に連動して、撚り対線10Aが折り返される。ここでは、第1電線収容部41と第2電線収容部42をそれぞれ第1ハウジング40Aに対して相対回転させながら組付け完了位置まで組み付けていくことによって、この第1電線収容部41と第2電線収容部42で撚り対線10Aを押し動かしながら折り返していく。このハウジング40は、第1ハウジング40A及び第1電線収容部41の間に設けた第1ヒンジ部40Cと、第1ハウジング40A及び第2電線収容部42の間に設けた第2ヒンジ部40Dと、を有する(
図2、
図4、
図6及び
図8)。
【0033】
第1ヒンジ部40Cは、撚り対線10Aにおける折返し後に第1撚り線部側10A1の一部になる部分(以下、「第1配索撚り線部」という。)が第1電線収容部41に対して配索される第1電線収容部41の開位置と、組付け完了位置としての第1電線収容部41の閉位置と、の間で、第1電線収容部41を第1配索撚り線部と共に第1ハウジング40Aに対して相対回転させ得るものとして形成される。つまり、この第1ヒンジ部40Cは、撚り対線10Aが折り返されていない第1電線収容部41の開位置と撚り対線10Aが折り返された第1電線収容部41の閉位置との間で第1電線収容部41を第1ハウジング40Aに対して相対回転させ得るものとして形成される。
【0034】
第2ヒンジ部40Dは、撚り対線10Aにおける折返し後に第2撚り線部側10A2の一部になる部分(以下、「第2配索撚り線部」という。)が第2電線収容部42に対して配索される第2電線収容部42の開位置と、組付け完了位置としての第2電線収容部42の閉位置と、の間で、第2電線収容部42を第2配索撚り線部と共に第1ハウジング40Aに対して相対回転させ得るものとして形成される。つまり、この第2ヒンジ部40Dは、撚り対線10Aが折り返されていない第2電線収容部42の開位置と撚り対線10Aが折り返された第2電線収容部42の閉位置との間で第2電線収容部42を第1ハウジング40Aに対して相対回転させ得るものとして形成される。
【0035】
第1ヒンジ部40Cは、第1電線収容部41と第2電線収容部42との間に亘って撚り対線10Aの一部を配索したまま、閉位置と開位置との間で第1電線収容部41を第1ハウジング40Aに対して相対回転させ得る位置に設ける。そして、第2ヒンジ部40Dは、第1電線収容部41と第2電線収容部42との間に亘って撚り対線10Aの一部を配索したまま、閉位置と開位置との間で第2電線収容部42を第1ハウジング40Aに対して相対回転させ得る位置に設ける。ここで示す第1ヒンジ部40Cと第2ヒンジ部40Dは、各々、撚り対線10Aにおける第1撚り線部側10A1及び第2撚り線部側10A2の対向配置方向と第1撚り線部側10A1及び第2撚り線部側10A2の引出方向とに対する直交方向を回転軸の軸線とするものである。ここで示すハウジング40においては、第1ヒンジ部40Cと第2ヒンジ部40Dにリビングヒンジを適用し、第1ハウジング40Aと第1電線収容部41と第2電線収容部42と第1ヒンジ部40Cと第2ヒンジ部40Dとが一体になって成形されている。
【0036】
保持部材50は、この第2ハウジング40Bの収容室40dに配置され、この収容室40dで折返し後の撚り対線10Aを保持するものである。この保持部材50は、組付け完了位置の第1電線収容部41に収容された第1撚り線部側10A
1を第1電線収容部41の内壁との間に挟み込む第1電線押さえ部51と、組付け完了位置の第2電線収容部42に収容された第2撚り線部側10A
2を第2電線収容部42の内壁との間に挟み込む第2電線押さえ部52と、を有する(
図2、
図3、
図5、
図7及び
図8)。この保持部材50においては、一対の圧接体31,31と第1撚り線部側10A
1との間に第1電線押さえ部51を介在させ、かつ、一対の圧接体31,31と第2撚り線部側10A
2との間に第2電線押さえ部52を介在させる。
【0037】
第1電線押さえ部51は、一対の圧接体31,31に対して当該一対の圧接体31,31の間からの電線10の一方の引出方向で対向配置させ、かつ、その一方の引出方向に引き出された電線10に対して組付け完了位置の電線引出口40e側で対向配置させる。更に、この第1電線押さえ部51は、組付け完了位置の第1電線収容部41における主壁体41aの内壁に対して間隔を空けて対向配置させる。その間隔は、電線10の電線径と同等の大きさにしている。これにより、このハウジング40においては、第1電線収容部41を第1ハウジング40Aに対して閉位置から開位置へと相対回転させることによって、この第1電線収容部41が組付け完了位置のときに主壁体41aの内壁と第1電線押さえ部51との間で第1撚り線部側10A1の電線10が挟持される。ここで示す第1電線押さえ部51は、第1撚り線部側10A1における折返し点10A3側の端部の電線10を主壁体41aの内壁との間に挟み込んでいる。
【0038】
一方、第2電線押さえ部52は、一対の圧接体31,31に対して当該一対の圧接体31,31の間からの電線10の他方の引出方向で対向配置させ、かつ、その他方の引出方向に引き出された電線10に対して組付け完了位置の電線引出口40e側で対向配置させる。更に、この第2電線押さえ部52は、組付け完了位置の第2電線収容部42における主壁体42aの内壁に対して間隔を空けて対向配置させる。その間隔は、電線10の電線径と同等の大きさにしている。これにより、このハウジング40においては、第2電線収容部42を第1ハウジング40Aに対して閉位置から開位置へと相対回転させることによって、この第2電線収容部42が組付け完了位置のときに主壁体42aの内壁と第2電線押さえ部52との間で第2撚り線部側10A2の電線10が挟持される。ここで示す第2電線押さえ部52は、第2撚り線部側10A2における折返し点10A3側の端部の電線10を主壁体42aの内壁との間に挟み込んでいる。
【0039】
例えば、ここで示す保持部材50は、矩形の平板状の基部53を有しており、この基部53の一方の平面から第1電線押さえ部51と第2電線押さえ部52を垂設させている(
図3、
図5及び
図7)。ここでは、保持部材50のハウジング40に対する組付け完了位置で、その第1電線押さえ部51と第2電線押さえ部52の垂設方向をそれぞれの圧接体31の配列方向に一致させる。
【0040】
ここで示す第1電線押さえ部51は、複数の端子金具30のそれぞれの一対の圧接体31,31に対して対向配置させ、そのそれぞれの一対の圧接体31,31の間から一方の引出方向に引き出されたそれぞれの電線10(撚り対線10Aにおける第1撚り線部側10A1のそれぞれの電線10)を主壁体41aの内壁との間に挟み込むものとして形成されている。そして、ここで示す第2電線押さえ部52は、複数の端子金具30のそれぞれの一対の圧接体31,31に対して対向配置させ、そのそれぞれの一対の圧接体31,31の間から他方の引出方向に引き出されたそれぞれの電線10(撚り対線10Aにおける第2撚り線部側10A2のそれぞれの電線10)を主壁体42aの内壁との間に挟み込むものとして形成されている。例えば、この第1電線押さえ部51と第2電線押さえ部52は、それぞれの一対の圧接体31,31に対して対向配置させるべく基部53から延在させた軸状に形成されている。
【0041】
更に、ここで示す第1電線押さえ部51と第2電線押さえ部52は、各々、折返し後の電線10を周方向に沿わせる弧状面51a,52aを有している(
図2及び
図8)。その弧状面51a,52aは、折返し後の電線10に過剰な曲げ応力を発生させない大きさの曲率を持つものとして形成される。その過剰な曲げ応力とは、例えば、撚り対線10Aの耐久性を低下させてしまう大きさの曲げ応力や、撚り対線10Aの撚り戻しを発生させ得る大きさの曲げ応力などのことである。よって、このコネクタ20及びコネクタ付き電線1は、耐久性や通信性能の低下を抑えることができる。
【0042】
更に、ここで示す保持部材50には、端子収容室40aから抜け出させぬように端子金具30(端子接続部32)を係止して、この端子金具30(端子接続部32)を端子収容室40aの中に保持させる端子係止部54が設けられている(
図2、
図3、
図5、
図7及び
図8)。この端子係止部54は、一対の圧接体31,31の間から引き出された電線10よりも端子収容室40a側で端子引出口40cに対向配置させる。ここで示す端子係止部54は、第1電線押さえ部51や第2電線押さえ部52と同じように、端子金具30毎のそれぞれの端子引出口40cに対向配置させるべく、基部53から延在させた軸状に形成される。更に、ここで示す端子係止部54は、第2電線押さえ部52よりも端子引出口40c側に配置される。
【0043】
ハウジング40には、この保持部材50を保持する保持部40Eが設けられている(
図2から
図8)。ここでは、その保持部40Eを2箇所に設け、それぞれの保持部40Eに保持部材50を保持させる。その2つの保持部40Eは、複数の端子金具30のそれぞれの圧接体31の配列方向で当該複数の端子金具30のそれぞれの一対の圧接体31,31を間に介在させる場所に配置する。そして、この2つの保持部40Eには、各々、第1電線押さえ部51を嵌入させる第1嵌合部44aと、第2電線押さえ部52を嵌入させる第2嵌合部44bと、端子係止部54を嵌入させる第3嵌合部44cと、が設けられている(
図2、
図4、
図6及び
図8)。
【0044】
例えば、この2つの保持部40Eは、矩形の平板状に形成され、かつ、第1ハウジング40Aにおける端子引出口40c側の壁面から突出させる。第1嵌合部44aは、第1電線押さえ部51の軸線に対する直交断面と同形状に形成される。第2嵌合部44bは、第2電線押さえ部52の軸線に対する直交断面と同形状に形成される。第3嵌合部44cは、端子係止部54の軸線に対する直交断面と同形状に形成される。保持部材50は、2つの保持部40Eの第1嵌合部44aに第1電線押さえ部51を嵌入させ、かつ、2つの保持部40Eの第2嵌合部44bに第2電線押さえ部52を嵌入させ、かつ、2つの保持部40Eの第3嵌合部44cに端子係止部54を嵌入させることによって、この2つの保持部40Eに保持させる。
【0045】
このコネクタ20及びコネクタ付き電線1においては、第1電線収容部41と第2電線収容部42が開位置のときに、折返し後に撚り対線10Aの折返し点10A
3となる部分のそれぞれの電線10に一対の圧接体31,31を圧接させると共に、折返し後に撚り対線10Aの第1撚り線部側10A
1となる第1配索撚り線部を第1電線収容部41に収容し、かつ、折返し後に撚り対線10Aの第2撚り線部側10A
2となる第2配索撚り線部を第2電線収容部42に収容して、この撚り対線10Aの一部を第1電線収容部41と第2電線収容部42との間に亘って配索する(
図5及び
図6)。しかる後、このコネクタ20及びコネクタ付き電線1においては、保持部材50を2つの保持部40Eに組み付けて、一対の圧接体31,31の間から一方の引出方向に引き出された電線10を第1電線押さえ部51よりも端子引出口40c側に配置させ、かつ、一対の圧接体31,31の間から他方の引出方向に引き出された電線10を第2電線収容部42と端子係止部54との間に配置させる(
図7及び
図8)。そして、このコネクタ20及びコネクタ付き電線1においては、第1ヒンジ部40Cと第2ヒンジ部40Dをそれぞれ回転中心にして、第1電線収容部41を第1ハウジング40Aに対して閉位置まで相対回転させ、かつ、第2電線収容部42を第1ハウジング40Aに対して閉位置まで相対回転させる(
図1及び
図2)。これにより、このコネクタ20及びコネクタ付き電線1においては、第1撚り線部側10A
1となる第1配索撚り線部の電線10が第1電線収容部41の主壁体41aの内壁に押し動かされて折り返され、かつ、第2撚り線部側10A
2となる第2配索撚り線部の電線10が第2電線収容部42の主壁体42aの内壁に押し動かされて折り返される。そして、このコネクタ20及びコネクタ付き電線1においては、第1電線収容部41と第2電線収容部42が閉位置になってロック機構43で保持されたときに、主壁体41aの内壁と第1電線収容部41との間に第1撚り線部側10A
1が挟持され、かつ、主壁体42aの内壁と第2電線収容部42との間に第2撚り線部側10A
2が挟持される。
【0046】
以上示したように、本実施形態のコネクタ20及びコネクタ付き電線1においては、第1電線収容部41と第2電線収容部42によって折返し形状が保たれたまま撚り対線10Aがハウジング40の中に収容される。よって、このコネクタ20及びコネクタ付き電線1は、その撚り対線10Aの2本の電線10の撚りが解かれ難くなっており、通信性能の低下を抑えることができる。
【0047】
ここで、本実施形態のコネクタ20及びコネクタ付き電線1においては、撚り対線10Aの第1撚り線部側10A1と第2撚り線部側10A2とが電線引出口40eからハウジング40の外に引き出されている。このため、その引出方向に向けた力がハウジング40の外の第1撚り線部側10A1や第2撚り線部側10A2に作用してしまう可能性がある。しかしながら、このコネクタ20及びコネクタ付き電線1においては、その力を第1電線収容部41や第2電線収容部42で受けることができ、これに伴い、折返し点10A3の電線10が一対の圧接体31,31の間から抜け出てしまうことを抑止できる。従って、このコネクタ20及びコネクタ付き電線1は、この点からも通信性能の低下を抑えることができる。
【0048】
[変形例]
図10から
図13の符号2は、本変形例のコネクタ付き電線を示す。本変形例のコネクタ付き電線2は、前述した実施形態のコネクタ付き電線1において、コネクタ20を下記のコネクタ120に置き換えたものである。そして、本変形例のコネクタ120は、前述した実施形態のコネクタ20において、ハウジング40と保持部材50を各々ハウジング140と保持部材150に置き換えたものである。このことから、以下においては、実施形態のコネクタ20及びコネクタ付き電線1と同等の部位などに関して、この実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0049】
本変形例のハウジング140は、実施形態のハウジング40と同様のものとして形成された第1ハウジング140Aと、この第1ハウジング140Aに組み付けられる第2ハウジング140Bと、を有する(
図10から
図13)。その第2ハウジング140Bは、実施形態の第2ハウジング40Bと同様の第1電線収容部141と第2電線収容部142とを有している。この第2ハウジング140Bにおいては、実施形態の第2ハウジング40Bと同じように、第1電線収容部141を第1ヒンジ部140Cによって第1ハウジング140Aに対して相対回転させ、かつ、第2電線収容部142を第2ヒンジ部140Dによって第1ハウジング140Aに対して相対回転させる。そして、本変形例の第1電線収容部141は、実施形態の第1電線収容部41と同様の主壁体141aと2つの側壁体141b,141bとを有する。これと同じように、本変形例の第2電線収容部142は、実施形態の第2電線収容部42と同様の主壁体142aと2つの側壁体142b,142bとを有する。
【0050】
このため、本変形例のハウジング140においては、撚り対線10Aのそれぞれの電線10毎の端子金具30が各々一対の圧接体31,31を突出させた状態で並べて第1ハウジング140Aの端子収容室40aに収容される(
図11及び
図12)。更に、このハウジング140においては、第1電線収容部141と第2電線収容部142が組付け完了位置のときに、第2ハウジング140Bに収容室40dと電線引出口40eが形成される(
図10)。このため、その収容室40dには、折返し点10A
3の電線10に対して一対の圧接体31,31を圧接させた撚り対線10Aが収容される。そして、この撚り対線10Aにおいては、その電線引出口40eから第1撚り線部側10A
1と第2撚り線部側10A
2が外に引き出される。
【0051】
尚、本変形例の第2ハウジング140Bは、図示しないが、実施形態と同じロック機構43で第1電線収容部141と第2電線収容部142を組付け状態のままに保っている。
【0052】
本変形例の保持部材150は、実施形態の保持部材50と同様の第1電線押さえ部151と第2電線押さえ部152とを有する(
図11から
図13)。このため、第2ハウジング140Bの収容室40dにおいては、第1電線収容部141に収容された第1撚り線部側10A
1が第1電線収容部141の主壁体141aの内壁と第1電線押さえ部151との間に挟み込まれる。その第1電線押さえ部151と第2電線押さえ部152は、実施形態の第1電線押さえ部51及び第2電線押さえ部52と同じように基部153から垂設させている(
図11及び
図12)。また、この第1電線押さえ部151と第2電線押さえ部152には、図示しないが、各々、実施形態の第1電線押さえ部51と第2電線押さえ部52の弧状面51a,52aと同じ弧状面を設けてもよい。
【0053】
更に、本変形例の保持部材150は、実施形態の保持部材50と同様の端子係止部154を有する(
図11から
図13)。このため、第2ハウジング140Bの収容室40dにおいては、その端子係止部154が端子金具30(端子接続部32)を係止して、この端子金具30(端子接続部32)を端子収容室40aの中に保持させる。
【0054】
ここで、本変形例の保持部材150は、予め撚り対線10Aを組み付けておき、この撚り対線10Aと共にハウジング140に組み付けることによって、その撚り対線10Aのそれぞれの電線10に一対の圧接体31,31を圧接させる。そこで、この保持部材150においては、第2電線押さえ部152と端子係止部154とをその間隔が電線10の電線径と同等の大きさとなるように配置して、この第2電線押さえ部152と端子係止部154との間で、複数の端子金具30のそれぞれの一対の圧接体31,31の配列方向に撚り対線10Aのそれぞれの電線10を整列させる。
【0055】
この保持部材150には、その端子係止部154と同様の電線整列機能を担う電線整列部155が第1電線押さえ部151側にも設けられている(
図11から
図13)。この電線整列部155は、端子係止部154と同形状に形成され、第1電線押さえ部151側で第2電線押さえ部152に対する端子係止部154の配置と同じように第1電線押さえ部151に対して配置される。このため、この保持部材150においては、第1電線押さえ部151と電線整列部155についてもその間隔が電線10の電線径と同等の大きさとなるように配置される。
【0056】
また、この保持部材150において、撚り対線10Aのそれぞれの電線10は、第1電線押さえ部151と電線整列部155の間におけるそれぞれの自由端側の開口から差し込まれ、かつ、第2電線押さえ部152と端子係止部154の間におけるそれぞれの自由端側の開口から差し込まれる。この保持部材150においては、撚り対線10Aを組み付ける際の作業性を高めるべく、そのそれぞれの開口を第1電線押さえ部151と電線整列部155の間隔及び第2電線押さえ部152と端子係止部154の間隔よりも拡げる。
【0057】
この保持部材150においては、そのそれぞれの開口から挿入された撚り対線10Aのそれぞれの電線10を1本ずつ第1電線押さえ部151と電線整列部155の間及び第2電線押さえ部152と端子係止部154の間に案内しながら差し入れていく。このため、この保持部材150においては、第1電線押さえ部151と電線整列部155におけるそれぞれの自由端側の端部間に、開口に向かうほど間隔が広がるテーパ部156aを設け、かつ、第2電線押さえ部152と端子係止部154におけるそれぞれの自由端側の端部間に、開口に向かうほど間隔が広がるテーパ部156bを設ける(
図11から
図13)。これにより、この保持部材150においては、それぞれの開口から挿入された撚り対線10Aのそれぞれの電線10を各テーパ部156a,156bで案内しながら1本ずつ第1電線押さえ部151と電線整列部155の間及び第2電線押さえ部152と端子係止部154の間に差し入れていくことができる(
図14)。
【0058】
従って、この保持部材150においては、ハウジング140へと組み付ける際に、複数の端子金具30のそれぞれの一対の圧接体31,31に対するその間からの電線10の一方の引出方向側にて、第1電線押さえ部151と電線整列部155との間で、それぞれの一対の圧接体31,31の配列方向に沿って撚り対線10Aのそれぞれの電線10が整列されている。更に、この保持部材150においては、ハウジング140へと組み付ける際に、そのそれぞれの一対の圧接体31,31に対するその間からの電線10の他方の引出方向側にて、第2電線押さえ部152と端子係止部154との間で、それぞれの一対の圧接体31,31の配列方向に沿って撚り対線10Aのそれぞれの電線10が整列されている。
【0059】
本変形例のコネクタ120及びコネクタ付き電線2においては、先ず、保持部材150に撚り対線10Aを組み付ける(
図11及び
図12)。続いて、このコネクタ120及びコネクタ付き電線2においては、第1電線収容部141と第2電線収容部142が開位置のハウジング140に対して、その保持部材150を撚り対線10Aと共に組み付ける(
図12及び
図13)。この組付けに伴い、このコネクタ120及びコネクタ付き電線2においては、折返し後に撚り対線10Aの折返し点10A
3となる部分のそれぞれの電線10に一対の圧接体31,31を圧接させると共に、折返し後に撚り対線10Aの第1撚り線部側10A
1となる第1配索撚り線部を第1電線収容部141に収容し、かつ、折返し後に撚り対線10Aの第2撚り線部側10A
2となる第2配索撚り線部を第2電線収容部142に収容して、この撚り対線10Aの一部を第1電線収容部141と第2電線収容部142との間に亘って配索する(
図13)。しかる後、このコネクタ120及びコネクタ付き電線2においては、第1ヒンジ部140Cと第2ヒンジ部140Dをそれぞれ回転中心にして、第1電線収容部141を第1ハウジング140Aに対して閉位置まで相対回転させ、かつ、第2電線収容部142を第1ハウジング140Aに対して閉位置まで相対回転させる(
図13及び
図10)。これにより、このコネクタ120及びコネクタ付き電線2においては、第1撚り線部側10A
1となる第1配索撚り線部の電線10が第1電線収容部141の主壁体141aの内壁に押し動かされて折り返され、かつ、第2撚り線部側10A
2となる第2配索撚り線部の電線10が第2電線収容部142の主壁体142aの内壁に押し動かされて折り返される。そして、このコネクタ120及びコネクタ付き電線2においては、第1電線収容部141と第2電線収容部142が閉位置になったときに、主壁体141aの内壁と第1電線収容部141との間に第1撚り線部側10A
1が挟持され、かつ、主壁体142aの内壁と第2電線収容部142との間に第2撚り線部側10A
2が挟持される。
【0060】
以上示したように、本変形例のコネクタ120及びコネクタ付き電線2においては、実施形態のコネクタ20及びコネクタ付き電線1と同じように、第1電線収容部141と第2電線収容部142によって折返し形状が保たれたまま撚り対線10Aがハウジング140の中に収容される。よって、このコネクタ120及びコネクタ付き電線2は、その撚り対線10Aの2本の電線10の撚りが解かれ難くなっており、通信性能の低下を抑えることができる。
【0061】
ここで、本変形例のコネクタ120及びコネクタ付き電線2においては、実施形態のコネクタ20及びコネクタ付き電線1と同じように、撚り対線10Aの第1撚り線部側10A1と第2撚り線部側10A2とが電線引出口40eからハウジング140の外に引き出されている。このため、本変形例においても、その引出方向に向けた力がハウジング140の外の第1撚り線部側10A1や第2撚り線部側10A2に作用してしまう可能性がある。しかしながら、このコネクタ120及びコネクタ付き電線2においては、その力を第1電線収容部141や第2電線収容部142で受けることができ、これに伴い、折返し点10A3の電線10が一対の圧接体31,31の間から抜け出てしまうことを抑止できる。従って、このコネクタ120及びコネクタ付き電線2は、この点からも通信性能の低下を抑えることができる。
【符号の説明】
【0062】
1,2 コネクタ付き電線
10 電線
10a 被圧接部
10A 撚り対線
10A1 第1撚り線部側
10A2 第2撚り線部側
10A3 折返し点
20,120 コネクタ
30 端子金具
31 圧接体
40,140 ハウジング
40d 収容室
40A,140A 第1ハウジング
40B,140B 第2ハウジング
40C,140C 第1ヒンジ部
40D,140D 第2ヒンジ部
41,141 第1電線収容部
42,142 第2電線収容部
50,150 保持部材
51,151 第1電線押さえ部
52,152 第2電線押さえ部