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特許7568580経路表示装置、経路表示方法及び経路表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】経路表示装置、経路表示方法及び経路表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20241008BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241008BHJP
   G06Q 90/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G06Q50/10
G06Q90/00 300
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021088280
(22)【出願日】2021-05-26
(65)【公開番号】P2022181366
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勤
(72)【発明者】
【氏名】金山 真莉子
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-17616(JP,A)
【文献】特開2020-46254(JP,A)
【文献】特開2017-67527(JP,A)
【文献】特開2020-3377(JP,A)
【文献】特開2014-142758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 99/00
G09B 29/00 - 29/14
G08G 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の各スポットに設けられたアクセスポイントと通信接続可能な通信手段と、
撮像手段と、
を備えた経路表示装置であって、
前記各スポットの位置情報と、当該各スポットに設けられたアクセスポイントとの通信状況と、に基づいて、自装置の現在位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された前記現在位置を初期位置として当該初期位置から目的地までの経路を作成する経路作成手段と、
前記撮像手段により撮影された前記施設内の空間の向きに合わせた前記経路を当該空間の画像に重ねて表示させる経路表示制御手段と、
を備え、
前記経路作成手段は、
前記初期位置に近接した所定のスポットと当該スポットから前記目的地に向かう方向において最も近接したスポットとを結ぶ基準線分と、前記初期位置から前記目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が所定の角度を超える場合、前記経路として前記初期位置に最も近接したスポットから各スポットを経由して前記目的地へ向かうスポット経由経路を作成し、
前記基準線分と、前記初期位置から前記目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が所定の角度以内である場合、前記経路として前記初期位置から前記目的地へ一直線で向かうダイレクト経路を作成する、
ことを特徴とする経路表示装置。
【請求項2】
前記経路表示制御手段は、前記測位手段により測位された直近の測位位置が直前の測位位置から所定の距離以上離れている場合であって、且つ、当該直近の測位位置が前記経路上に位置していない場合、当該直近の測位位置から当該直近の測位位置に最も近接した前記経路に垂線を下したときの交点が当該直近の測位位置と重なるように当該経路をスライド表示させる、ことを特徴とする請求項1に記載の経路表示装置。
【請求項3】
前記スポット経由経路を補正する補正手段を備え、
前記補正手段は、前記初期位置が前記スポット経由経路上に位置していない場合、前記初期位置に最も近接したスポットと当該スポットから前記目的地に向かう方向において最も近接したスポットとを結ぶ線分の代わりとして当該目的地に向かう方向において最も近接したスポットと前記初期位置とを結ぶ線分を当該スポット経由経路における初期の経路とする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の経路表示装置。
【請求項4】
前記撮像手段により撮影された前記空間に含まれるPOI(Point Of Interest)情報を取得する取得手段を備え、
前記経路表示制御手段は、前記取得手段により取得された前記空間に含まれる前記POI情報を表示させる、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の経路表示装置。
【請求項5】
施設内の各スポットに設けられたアクセスポイントと通信接続可能な通信手段と、
撮像手段と、
を備えた経路表示装置における経路表示方法であって、
前記各スポットの位置情報と、当該各スポットに設けられたアクセスポイントとの通信状況と、に基づいて、自装置の現在位置を測位する測位ステップと、
前記測位ステップにより測位された前記現在位置を初期位置として当該初期位置から目的地までの経路を作成する経路作成ステップと、
前記撮像手段により撮影された前記施設内の空間の向きに合わせた前記経路を当該空間の画像に重ねて表示させる経路表示制御ステップと、
を含み、
前記経路作成ステップは、
前記初期位置に近接した所定のスポットと当該スポットから前記目的地に向かう方向において最も近接したスポットとを結ぶ基準線分と、前記初期位置から前記目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が所定の角度を超える場合、前記経路として前記初期位置に最も近接したスポットから各スポットを経由して前記目的地へ向かうスポット経由経路を作成し、
前記基準線分と、前記初期位置から前記目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が所定の角度以内である場合、前記経路として前記初期位置から前記目的地へ一直線で向かうダイレクト経路を作成する、
ことを特徴とする経路表示方法。
【請求項6】
施設内の各スポットに設けられたアクセスポイントと通信接続可能な通信手段と、
撮像手段と、
を備えた経路表示装置のコンピュータを、
前記各スポットの位置情報と、当該各スポットに設けられたアクセスポイントとの通信状況と、に基づいて、自装置の現在位置を測位する測位手段、
前記測位手段により測位された前記現在位置を初期位置として当該初期位置から目的地までの経路を作成する経路作成手段、
前記撮像手段により撮影された前記施設内の空間の向きに合わせた前記経路を当該空間の画像に重ねて表示させる経路表示制御手段、
として機能させ、
前記経路作成手段は、
前記初期位置に近接した所定のスポットと当該スポットから前記目的地に向かう方向において最も近接したスポットとを結ぶ基準線分と、前記初期位置から前記目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が所定の角度を超える場合、前記経路として前記初期位置に最も近接したスポットから各スポットを経由して前記目的地へ向かうスポット経由経路を作成し、
前記基準線分と、前記初期位置から前記目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が所定の角度以内である場合、前記経路として前記初期位置から前記目的地へ一直線で向かうダイレクト経路を作成する、
ことを特徴とする経路表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路表示装置、経路表示方法及び経路表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、位置情報と地図情報とを組み合わせたナビゲーションに関する技術が数多く提案されている。近年では、スマートフォンなどのカメラを搭載した携帯端末の普及もあり、カメラによって撮影された画像を更に組み合わせた拡張現実(Augmented Reality(AR))によるナビゲーションに関する技術が提案されている。この拡張現実によるナビゲーションに関する技術としては、例えば、建物の外部へ避難するための避難経路への誘導方向を示す矢印画像をカメラにより生成された画像上に表示することで、避難すべき向きを直感的に理解させる携帯端末が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-142758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている携帯端末では、現在地から目的地である建物の外部まで一直線で進むのか角を曲がりながら進むのかを把握し難い。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、現在地から目的地まで一直線で進むのか角を曲がりながら進むのかを把握し易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の経路表示装置は、
施設内の各スポットに設けられたアクセスポイントと通信接続可能な通信手段と、
撮像手段と、
を備えた経路表示装置であって、
前記各スポットの位置情報と、当該各スポットに設けられたアクセスポイントとの通信状況と、に基づいて、自装置の現在位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された前記現在位置を初期位置として当該初期位置から目的地までの経路を作成する経路作成手段と、
前記撮像手段により撮影された前記施設内の空間の向きに合わせた前記経路を当該空間の画像に重ねて表示させる経路表示制御手段と、
を備え、
前記経路作成手段は、
前記初期位置に近接した所定のスポットと当該スポットから前記目的地に向かう方向において最も近接したスポットとを結ぶ基準線分と、前記初期位置から前記目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が所定の角度を超える場合、前記経路として前記初期位置に最も近接したスポットから各スポットを経由して前記目的地へ向かうスポット経由経路を作成し、
前記基準線分と、前記初期位置から前記目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が所定の角度以内である場合、前記経路として前記初期位置から前記目的地へ一直線で向かうダイレクト経路を作成する、
ことを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、目的地に応じてスポット経由経路とダイレクト経路とのうちのいずれかの経路を作成し、撮像手段により撮影された施設内の空間の向きに合わせた上記経路を当該空間の画像に重ねて表示させることによって、現在位置から目的地まで一直線で進むのか角を曲がりながら進むのかを把握し易くすることができる。
【0008】
また、好ましくは、前記経路表示制御手段は、前記測位手段により測位された直近の測位位置が直前の測位位置から所定の距離以上離れている場合であって、且つ、当該直近の測位位置が前記経路上に位置していない場合、当該直近の測位位置から当該直近の測位位置に最も近接した前記経路に垂線を下したときの交点が当該直近の測位位置と重なるように当該経路をスライド表示させるようにするとよい。
この構成によれば、自装置が目的地までの経路から逸脱してしまった場合に、当該経路を上述のようにスライド表示させることで、表示部において経路表示が表示部外となることを防ぎ、ユーザーが当該経路を見失ってしまうことを抑制することができる。
【0009】
また、好ましくは、前記スポット経由経路を補正する補正手段を備え、
前記補正手段は、前記初期位置が前記スポット経由経路上に位置していない場合、前記初期位置に最も近接したスポットと当該スポットから前記目的地に向かう方向において最も近接したスポットとを結ぶ線分の代わりとして当該目的地に向かう方向において最も近接したスポットと前記初期位置とを結ぶ線分を当該スポット経由経路における初期の経路とするとよい。
この構成によれば、初期位置がスポット経由経路上から外れている場合、スポット経由経路を補正することで、初期位置から始まるスポット経由経路SRを表示することができるので、当該スポット経由経路を視覚的に把握し易くすることができる。
【0010】
また、好ましくは、前記撮像手段により撮影された前記空間に含まれるPOI(Point Of Interest)情報を取得する取得手段を備え、
前記経路表示制御手段は、前記取得手段により取得された前記空間に含まれる前記POI情報を表示させるとよい。
この構成によれば、撮像手段により撮影された空間に含まれるPOI情報だけを表示するようにすることで、経路を当該空間の画像に重ねて表示した画面の視認性を高めることができる。
【0011】
また、上記課題を解決するため、本発明の経路表示方法は、
施設内の各スポットに設けられたアクセスポイントと通信接続可能な通信手段と、
撮像手段と、
を備えた経路表示装置における経路表示方法であって、
前記各スポットの位置情報と、当該各スポットに設けられたアクセスポイントとの通信状況と、に基づいて、自装置の現在位置を測位する測位ステップと、
前記測位ステップにより測位された前記現在位置を初期位置として当該初期位置から目的地までの経路を作成する経路作成ステップと、
前記撮像手段により撮影された前記施設内の空間の向きに合わせた前記経路を当該空間の画像に重ねて表示させる経路表示制御ステップと、
を含み、
前記経路作成ステップは、
前記初期位置に近接した所定のスポットと当該スポットから前記目的地に向かう方向において最も近接したスポットとを結ぶ基準線分と、前記初期位置から前記目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が所定の角度を超える場合、前記経路として前記初期位置に最も近接したスポットから各スポットを経由して前記目的地へ向かうスポット経由経路を作成し、
前記基準線分と、前記初期位置から前記目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が所定の角度以内である場合、前記経路として前記初期位置から前記目的地へ一直線で向かうダイレクト経路を作成する、
ことを特徴としている。
【0012】
また、上記課題を解決するため、本発明の経路表示プログラムは、
施設内の各スポットに設けられたアクセスポイントと通信接続可能な通信手段と、
撮像手段と、
を備えた経路表示装置のコンピュータを、
前記各スポットの位置情報と、当該各スポットに設けられたアクセスポイントとの通信状況と、に基づいて、自装置の現在位置を測位する測位手段、
前記測位手段により測位された前記現在位置を初期位置として当該初期位置から目的地までの経路を作成する経路作成手段、
前記撮像手段により撮影された前記施設内の空間の向きに合わせた前記経路を当該空間の画像に重ねて表示させる経路表示制御手段、
として機能させ、
前記経路作成手段は、
前記初期位置に近接した所定のスポットと当該スポットから前記目的地に向かう方向において最も近接したスポットとを結ぶ基準線分と、前記初期位置から前記目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が所定の角度を超える場合、前記経路として前記初期位置に最も近接したスポットから各スポットを経由して前記目的地へ向かうスポット経由経路を作成し、
前記基準線分と、前記初期位置から前記目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が所定の角度以内である場合、前記経路として前記初期位置から前記目的地へ一直線で向かうダイレクト経路を作成する、
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現在地から目的地まで一直線で進むのか角を曲がりながら進むのかを把握し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】経路表示装置の機能構成を示すブロック図である。
図2】経路案内処理の制御手順を示すフローチャートである。
図3】経路表示補正処理の制御手順を示すフローチャートである。
図4】POI表示制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図5】ダイレクト経路の作成を説明する図である。
図6】スポット経由経路の作成を説明する図である。
図7】ダイレクト経路の一例を示す図である。
図8】スポット経由経路の一例を示す図である。
図9】スポット経由経路の補正方法を示す図である。
図10図7に示されているダイレクト経路を駅構内の空間の画像に重ねて表示したARナビ画面の一例を示す図である。
図11図9に示されているスポット経由経路を駅構内の空間の画像に重ねて表示したARナビ画面の一例を示す図である。
図12】(a)~(c)は、経路のスライド表示を説明する図である。
図13】POI情報の取得方法を示す図である。
図14】POI情報を重ねて表示させたARナビ画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0016】
<経路表示装置の構成>
図1は、経路表示装置10の機能構成を示すブロック図である。
経路表示装置10は、目的地までの経路(進行経路)を検索し検索結果である経路を表示する携帯端末装置(例えば、スマートフォン等)である。図1に示すように、経路表示装置10は、制御部11と、記憶部12と、操作部13と、表示部14と、通信部15と、撮影部16と、を備える。
【0017】
制御部(測位手段、経路作成手段、経路表示制御手段、補正手段、取得手段)11は、記憶部12に記憶されている各種のプログラムを実行して所定の演算や各部の制御を行うCPU(Central Processing Unit)とプログラム実行時の作業領域となるメモリとを備えている(いずれも図示省略)。制御部11は、記憶部12に記憶されているプログラムとの協働により、各種の処理を実行する。
【0018】
記憶部12は、不揮発性の半導体メモリ等により構成される。記憶部12には、制御部11で実行されるシステムプログラムやアプリケーションプログラム(例えば、ARナビアプリ(ARナビゲーションアプリ)等)、これらのプログラムの実行に必要なデータ等が記憶されている。
【0019】
操作部13は、各種機能キーを備え、ユーザーによる各キーの押下入力を受け付けてその操作情報を制御部11に出力する。また、操作部13は、表示部14の表面を覆うように透明電極を格子状に配置したタッチパネル等を有し、手指やタッチペン等で押下された位置を検出し、その位置情報を操作情報として制御部11に出力する。
【0020】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、制御部11からの表示制御信号に従って、画面上に各種表示を行う。
【0021】
通信部(通信手段)15は、モバイル通信又はWi-Fi(登録商標)の通信方式により通信ネットワーク上の基地局又はアクセスポイントを介して無線通信を行う。
【0022】
撮影部(撮像手段)16は、ユーザー操作に基づいて風景を撮影し、その風景の画像データを生成して制御部11に出力する。
【0023】
<経路案内処理>
次に、経路表示装置10により行われる経路案内処理について、図2を参照して説明する。この経路案内処理は、経路表示装置10にインストールされているARナビアプリの起動を契機として実行される処理である。
【0024】
以下では、或る駅構内においてユーザーが上記ARナビアプリを起動させた場合を想定して経路案内処理の説明を行う。なお、経路案内処理が実行されている間、経路表示装置10は、図5に示すように、駅構内の各スポットSPに設けられているアクセスポイントの位置情報と、当該各スポットSPに設けられているアクセスポイントとの通信状況と、に基づいて、自装置の現在位置を逐次測位しているものとする。
【0025】
図2は、経路案内処理の制御手順を示すフローチャートである。
図2に示すように、経路案内処理が開始されると、先ず、経路表示装置10の制御部11は、操作部13を介してユーザーから目的地の指定を受け付ける(ステップS1)。
【0026】
次いで、制御部11は、操作部13を介してユーザーから経路検索開始の指示を受け付ける(ステップS2)。
【0027】
次いで、制御部11は、測位された現在位置を初期位置とし、当該初期位置と目的地とを一直線で結ぶ線分と、基準線分と、の成す角度が±15°以内であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0028】
ここで、基準線分とは、初期位置に最も近接したスポットSPから目的地に向かう方向において最も近接したスポットSPと、このスポットSPから目的地に向かう方向において最も近接したスポットSPと、を結ぶ線分である。
例えば、図5に示すように、初期位置P0が図中の星印の位置であり、目的地がABC中央口である場合、初期位置P0に最も近接したスポットSP1からABC中央口(目的地)に向かう方向において最も近接したスポットSP2と、このスポットSP2からABC中央口に向かう方向において最も近接したスポットSP3と、を結ぶ線分が基準線分Lsとなる。また、図6に示すように、初期位置P0が図中の星印の位置であり、目的地がXYZマートである場合、上述の目的地がABC中央口である場合と同様に、スポットSP2とスポットSP3とを結ぶ線分が基準線分Lsとなる。
【0029】
ステップS3において、初期位置と目的地とを一直線で結ぶ線分と、基準線分と、の成す角度が±15°以内であると判定された場合(ステップS3;YES)、制御部11は、初期位置と目的地とを一直線で結ぶダイレクト経路を作成する(ステップS4)。
例えば、図5に示したように、初期位置P0と目的地であるABC中央口とを一直線で結ぶ線分と、基準線分Lsと、の成す角度が±15°以内であると判定された場合、制御部11は、図7に示すように、初期位置P0と目的地であるABC中央口とを一直線で結ぶダイレクト経路DRを作成する。
【0030】
また、ステップS3において、初期位置と目的地とを一直線で結ぶ線分と、基準線分と、の成す角度が±15°以内ではないと判定された場合(ステップS3;NO)、制御部11は、初期位置に最も近接したスポットSPから各スポットSPを経由して目的地へ向かうスポット経由経路を作成する(ステップS5)。
例えば、図6に示したように、初期位置P0と目的地であるXYZマートとを一直線で結ぶ線分と、基準線分Lsと、の成す角度が±15°以内ではないと判定された場合、制御部11は、図8に示すように、初期位置P0に最も近接したスポットSP1から各スポットSP2~SP4を経由して目的地であるXYZマートへ向かうスポット経由経路SRを作成する。
【0031】
次いで、制御部11は、初期位置がステップS5で作成されたスポット経由経路上にあるか否かを判定する(ステップS6)。
【0032】
ステップS6において、初期位置がステップS5で作成されたスポット経由経路上にはないと判定された場合(ステップS6;NO)、制御部11は、スポット経由経路を補正する(ステップS7)。具体的には、図8に示すように、初期位置P0がスポット経由経路SR上にはないと判定された場合、制御部11は、図9に示すように、当該スポット経由経路SRのうち、初期の経路であるスポットSP1とスポットSP2とを結ぶ区間を削除し、初期位置P0とスポットSP2とを結ぶ区間を当該スポット経由経路SRの初期の経路として補正する。
【0033】
また、ステップS6において、初期位置がステップS5で作成されたスポット経由経路上にあると判定された場合(ステップS6;YES)、制御部11は、ステップS7をスキップして、処理をステップS8に進める。
【0034】
次いで、制御部11は、ステップS4で作成されたダイレクト経路、又は、ステップS5で作成されたスポット経由経路若しくはステップS7で補正されたスポット経由経路を表示部14に表示させる(ステップS8)。具体的には、ダイレクト経路又はスポット経由経路を表示部14に表示させる際、経路表示装置10は撮影モードに切り替えられており、制御部11は、撮影部16により撮影された駅構内の空間の向きに合わせたダイレクト経路又はスポット経由経路を当該空間の画像に重ねて表示させる。
【0035】
図10は、図7に示されているダイレクト経路DRを駅構内の空間の画像に重ねて表示したARナビ画面141の一例を示す図である。
図10に示すように、ARナビ画面141では、ARナビの表示態様に対応させたダイレクト経路DRが表示されるとともに、画面上部には、目的地の名称“ABC中央口”、目的地までの距離を示す“目的地まで80m”、及び、目的地までの所要時間を示す“所要時間1分”の文字情報がそれぞれ表示されている。また、ARナビ画面141では、目的地を表す記号M(例えば、丸囲みのGのマーク)が目的地であるABC中央口の画像(図示省略)に重ねて表示されている。
【0036】
図11は、図9に示されているスポット経由経路SRを駅構内の空間の画像に重ねて表示したARナビ画面142の一例を示す図である。
図11に示すように、ARナビ画面142では、ARナビの表示態様に対応させたスポット経由経路SRが表示されるとともに、画面上部には、目的地の名称“XYZマート”、目的地までの距離を示す“目的地まで120m”、及び、目的地までの所要時間を示す“所要時間1分30秒”の文字情報がそれぞれ表示されている。
【0037】
次いで、制御部11は、経路表示補正処理を行う(ステップS9)。経路表示補正処理の詳細については後述する。
【0038】
次いで、制御部11は、POI(Point Of Interest)表示制御処理を行う(ステップS10)。POI表示制御処理の詳細については後述する。
【0039】
次いで、制御部11は、測位された現在位置に基づいて、目的地に到着したか否かを判定する(ステップS11)。
【0040】
ステップS11において、目的地に到着したと判定された場合(ステップS11;YES)、制御部11は、目的地への到着を報知し(ステップS12)、経路案内処理を終了する。
【0041】
また、ステップS11において、目的地に到着していないと判定された場合(ステップS11;NO)、制御部11は、処理をステップS8に戻し、それ以降の処理を繰り返し行う。
【0042】
<経路表示補正処理>
次に、経路表示補正処理について、図3を参照して説明する。図3は、経路表示補正処理の制御手順を示すフローチャートである。
【0043】
図3に示すように、経路表示補正処理が開始されると、制御部11は、直近の測位位置がARナビ画面に表示されている経路(ダイレクト経路又はスポット経由経路)上にあるか否かを判定する(ステップS101)。
【0044】
ステップS101において、直近の測位位置がARナビ画面に表示されている経路上にあると判定された場合(ステップS101;YES)、制御部11は、処理を経路案内処理(図2参照)に戻す。
【0045】
また、ステップS101において、直近の測位位置がARナビ画面に表示されている経路上にはないと判定された場合(ステップS101;NO)、制御部11は、直近の測位位置が直前の測位位置から所定の距離以上離れているか否かを判定する(ステップS102)。
【0046】
ステップS102において、直近の測位位置が直前の測位位置から所定の距離以上離れていないと判定された場合(ステップS102;NO)、制御部11は、処理を経路案内処理(図2参照)に戻す。
【0047】
また、ステップS102において、直近の測位位置が直前の測位位置から所定の距離以上離れていると判定された場合(ステップS102;YES)、制御部11は、直近の測位位置から当該直近の測位位置に最も近接した経路に垂線を下したときの交点が当該直近の測位位置と重なるように当該経路をスライド表示させ(ステップS103)、処理を経路案内処理(図2参照)に戻す。
【0048】
図12(a)~図12(c)は、上述した経路のスライド表示を説明する図である。
図12(a)に示すように、直近の測位位置P1が直前の測位位置P0から所定の距離以上離れていると判定された場合、制御部11は、図12(b)及び同図(c)に示すように、直近の測位位置P1から当該直近の測位位置P1に最も近接したダイレクト経路DRに垂線を下したときの交点CPが当該直近の測位位置P1と重なるようにダイレクト経路DRをスライド表示させる。なお、上述の説明では、ダイレクト経路DRを対象として説明を行っているが、スポット経由経路SRについてもスライド表示の対象となり得る。
【0049】
<POI表示制御処理>
次に、POI表示制御処理について、図4を参照して説明する。図4は、POI表示制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【0050】
図4に示すように、POI表示制御処理が開始されると、制御部11は、例えば、通信部15を介して、POI情報を管理する外部サーバ(図示省略)のPOIデータベースを参照することで、撮影部16により撮影された空間内に含まれるPOI情報があるか否かを判定する(ステップS111)。
【0051】
ステップS111において、撮影部16により撮影された空間内に含まれるPOI情報が無いと判定された場合(ステップS111;NO)、制御部11は、処理を経路案内処理(図2参照)に戻す。
【0052】
また、ステップS111において、撮影部16により撮影された空間内に含まれるPOI情報があると判定された場合(ステップS111;YES)、制御部11は、通信部15を介して上述したPOIを管理する外部サーバから当該空間内に含まれるPOI情報を取得する(ステップS112)。例えば、図13に示すように、撮影部16により撮影された空間V内にPOI情報I1,I2があると判定された場合、制御部11は、通信部15を介して上述の外部サーバから当該空間V内に含まれるPOI情報I1,I2を取得する。
【0053】
次いで、制御部11は、ステップS112で取得されたPOI情報を、撮影部16により撮影された空間の画像に重ねて表示させる(ステップS113)。例えば、上述したPOI情報I1,I2が取得された場合、例えば、図14に示すように、ARナビ画面141(撮影部16により撮影された空間Vの画像を表示した画面)に当該POI情報I1,I2を重ねて表示させる。そして、制御部11は、処理を経路案内処理(図2参照)に戻す。
【0054】
以上のように、本実施形態の経路表示装置10は、各スポットSPの位置情報と、当該各スポットSPに設けられたアクセスポイントとの通信状況と、に基づいて、自装置10の現在位置を測位し、測位された現在位置を初期位置P0として当該初期位置P0から目的地までの経路を作成し、撮影部16により撮影された駅構内(施設内)の空間の向きに合わせた経路を当該空間の画像(ARナビ画面141,142)に重ねて表示させる。また、経路表示装置10は、初期位置P0に近接した所定のスポットSPと当該スポットSPから目的地に向かう方向において最も近接したスポットSPとを結ぶ基準線分Lsと、初期位置P0から目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が±15°を超える場合、上記経路として初期位置P0に最も近接したスポットSP1から各スポットSP2~4を経由して目的地へ向かうスポット経由経路SRを作成する。また、経路表示装置10は、基準線分Lsと、初期位置P0から目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が±15°以内である場合、上記経路として初期位置P0から目的地へ一直線で向かうダイレクト経路DRを作成する。
したがって、本実施形態の経路表示装置10によれば、目的地に応じてスポット経由経路SRとダイレクト経路DRとのうちのいずれかの経路を作成し、撮影部16により撮影された施設内の空間の向きに合わせた上記経路を当該空間の画像に重ねて表示させることによって、現在位置から目的地まで一直線で進むのか角を曲がりながら進むのかを把握し易くすることができる。
【0055】
また、本実施形態の経路表示装置10は、測位された直近の測位位置が直前の測位位置から所定の距離以上離れている場合であって、且つ、当該直近の測位位置が前記経路上に位置していない場合、当該直近の測位位置から当該直近の測位位置に最も近接した前記経路に垂線を下したときの交点CPが当該直近の測位位置と重なるように当該経路をスライド表示させる。
したがって、本実施形態の経路表示装置10によれば、自装置10が目的地までの経路から逸脱してしまった場合に、当該経路を上述のようにスライド表示させることで、表示部14において経路表示が表示部外となることを防ぎ、ユーザーが当該経路を見失ってしまうことを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態の経路表示装置10は、初期位置P0がスポット経由経路SR上に位置していない場合、初期位置P0に最も近接したスポットSP1と当該スポットSP1から目的地に向かう方向において最も近接したスポットSP2とを結ぶ線分の代わりとして当該目的地に向かう方向において最も近接したスポットSP2と初期位置P0とを結ぶ線分を当該スポット経由経路SRにおける初期の経路とする。
したがって、本実施形態の経路表示装置10によれば、初期位置P0がスポット経由経路SR上から外れている場合、スポット経由経路SRを補正することで、初期位置P0から始まるスポット経由経路SRを表示することができるので、当該スポット経由経路SRを視覚的に把握し易くすることができる。
【0057】
また、本実施形態の経路表示装置10は、撮影部16により撮影された空間Vに含まれるPOI(Point Of Interest)情報を取得し、取得された当該空間Vに含まれるPOI情報I1,I2を表示させる。
したがって、本実施形態の経路表示装置10によれば、ARナビ画面141,142に表示されている空間V内に含まれるPOI情報I1,I2だけを表示することで、ARナビ画面141,142の視認性を高めることができる。
【0058】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態では、基準線分Lsと、初期位置P0から目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が±15°を超える場合、スポット経由経路SRを作成する一方で、基準線分Lsと、初期位置P0から目的地までを一直線で結ぶ線分と、の成す角度が±15°以内である場合、ダイレクト経路DRを作成するようにしたが、いずれの経路を作成するかを判断する際の基準となる上記角度は±15°に限定されるものではなく、例えば、ユーザー操作に基づいて当該角度を適宜設定変更できるようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、駅構内の階段、エスカレーター、エレベーター、スロープ等の各スポットに対応させてアクセスポイントを設置することにより、例えば、階段やエスカレーターを利用して目的地へ進行する通常の経路と、階段やエスカレーターを利用せずに当該目的地へ進行するバリアフリー経路と、のいずれかをユーザー操作に基づいて選択させて作成するようにしてもよい。かかる場合、通常の経路及びバリアフリー経路は、それぞれの経路を識別可能な態様で表示(例えば、通常の経路を赤色で表示、バリアフリー経路を黄色で表示等)させることが好ましい。
【0060】
また、上記実施形態では、自装置10が目的地までの経路から逸脱してしまった場合に、当該経路をスライド表示させるようにしたが、かかる場合、スライド表示させた後のゴール地点は当初のゴール地点(目的地)からずれてしまう。そこで、例えば、ARナビ画面141,142において再検索ボタンを設け、当該再検索ボタンをユーザーが操作することによって、経路案内処理(図2参照)のステップS1で受け付けられた目的地までの経路を再検索(再作成)できるようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、ARナビ画面141,142に表示されている空間V内に含まれるPOI情報I1,I2だけを表示する構成としているが、この空間V内に含まれるPOI情報の数が所定数(例えば、10)を超える場合、例えば、現在位置に近接した所定数までのPOI情報を表示させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 経路表示装置
11 制御部(測位手段、経路作成手段、経路表示制御手段、補正手段、取得手段)
12 記憶部
13 操作部
14 表示部
15 通信部(通信手段)
16 撮影部(撮像手段)
図1
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