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特許7568605インスリン投与量判定装置、インスリン投与量判定プログラム及びインスリン投与量判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】インスリン投与量判定装置、インスリン投与量判定プログラム及びインスリン投与量判定方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20241008BHJP
【FI】
G16H20/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021206883
(22)【出願日】2021-12-21
(65)【公開番号】P2023091969
(43)【公開日】2023-07-03
【審査請求日】2024-01-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
(73)【特許権者】
【識別番号】513319626
【氏名又は名称】キュアコード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100224270
【弁理士】
【氏名又は名称】児嶋 秀平
(72)【発明者】
【氏名】中條 大輔
(72)【発明者】
【氏名】土田 史高
(72)【発明者】
【氏名】荒子 貴明
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-149326(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112927802(CN,A)
【文献】特開2015-194967(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0187749(US,A1)
【文献】食事画像を用いたカーボカウントシステム 1型糖尿病患者のための糖質推定,電子情報通信学会技術研究報告,一般社団法人 電子情報通信学会,2018年03月01日,Vol.117 No.485,pp.53-57
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の食前血糖値及び食事による炭水化物摂取量を入力する入力部と、
前記入力部に入力された情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記情報に基づいて、対象者に食前に投与すべきインスリン量を判定する判定部と、
前記判定部において判定された前記インスリン量を表示する表示部と、
を備え、
前記判定部における前記インスリン量の判定は、予め設定された対象者のカーボ/インスリン比及びインスリン効果値を考慮して、カーボ/インスリン比と食事による炭水化物摂取量とを乗じた値に、食前血糖値から目標血糖値を減じた値をインスリン効果値で除した値を加えることによって、対象者の食後血糖値が予め設定された対象者の目標血糖値の範囲内となるように行う、
インスリン投与量判定装置。
【請求項2】
前記入力部に入力される食事による炭水化物摂取量の入力は、
撮影された前記食事の画像から炭水化物量を自動解析する装置により行う、
請求項1に記載のインスリン投与量判定装置。
【請求項3】
前記判定部における前記インスリン量の判定は、
複数の糖尿病患者から収集された基礎的身体情報、血液検査値、糖尿病関連情報、生活習慣情報、食前血糖値、食事による炭水化物摂取量、食前インスリン投与量及び食後血糖値からなる臨床データを教師データとする機械学習により得られるアルゴリズムにより補正される、
請求項1又は2に記載のインスリン投与量判定装置。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1~3のいずれか1項に記載のインスリン投与量判定装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項5】
コンピュータが、
対象者の食前血糖値及び食事による炭水化物摂取量を受け取る第1ステップと、
第1ステップで受け取った情報を記憶する第2ステップと、
第2ステップで記憶した情報に基づいて、対象者に食前に投与すべきインスリン量を判定する第3ステップと、
第3ステップで判定したインスリン量を表示する第4ステップと、
を含み、
前記第3ステップは、予め設定された対象者のカーボ/インスリン比及びインスリン効果
値を考慮して、カーボ/インスリン比と食事による炭水化物摂取量とを乗じた値に、食前血糖値から目標血糖値を減じた値をインスリン効果値で除した値を加えることによって、対象者の食後血糖値が予め設定された対象者の目標血糖値の範囲内となるように行う、
インスリン投与量判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病患者のインスリン療法に用いられるインスリン投与量判定装置、インスリン投与量判定プログラム及びインスリン投与量判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1型糖尿病患者は、内因性インスリン分泌の枯渇による不安定な血糖変動により、予期せぬ重度の高血糖又は低血糖を来して生命の危機に瀕する場合がある。これに対し、従来、患者の血糖値や炭水化物摂取状況等から医師がその経験則に基づいて、必要なインスリン量を推測し投与することが行われている。
【0003】
これを補助しうる方法として、患者の血糖値の変化予測に基づいて必要なインスリン投与量を算出する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6929673号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、糖尿病患者としては、毎回の食事ごとに事前に医師の判断を受けてインスリンを投与することは現実的に難しいため、結果として食事内容を常に同じものとせざるを得ないことが多い。かかる状況は糖尿病患者のQOL(生活の質)を著しく低下させているという問題がある。
【0006】
これに対し、従来技術は、患者の血糖値の過去の変化の傾向から将来の変化予測を行うというものであり、医師の経験則のみに基づくインスリン投与量の推測判断に比べれば有効であるものの、毎回の食事内容を変化させることには対応できないため、 上記の問題を解決することはできない。
【0007】
そこで、本発明は、糖尿病患者が毎回の食事内容を変化させることを前提として、医師の推測判断に頼らなくても、食前に投与することが必要なインスリン量を得るためのインスリン投与量判定装置、そのプログラム及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための第1の発明に係るインスリン投与量判定装置は、対象者の食前血糖値及び食事による炭水化物摂取量を入力する入力部と、前記入力部に入力された情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記情報に基づいて、対象者に食前に投与すべきインスリン量を判定する判定部と、前記判定部において判定された前記インスリン量を表示する表示部を備え、前記判定部における前記インスリン量の判定は、予め設定された対象者のカーボ/インスリン比及びインスリン効果値を考慮して、対象者の食後血糖値が予め設定された対象者の目標血糖値の範囲内となるように行う。
【0009】
上記の課題を解決するための第2の発明に係るインスリン投与量判定装置は、第1の発明に係るインスリン投与量判定装置において、前記入力部に入力される食事による炭水化物摂取量の入力は、撮影された前記食事の画像から炭水化物量を自動解析する装置により行う。
【0010】
上記の課題を解決するための第3の発明に係るインスリン投与量判定装置は、第1又は第2の発明に係るインスリン投与量判定装置において、前記判定部における前記インスリン量の判定は、複数の糖尿病患者から収集された基礎的身体情報、血液検査値、糖尿病関連情報、生活習慣情報、食前血糖値、食事による炭水化物摂取量、食前インスリン投与量及び食後血糖値からなる臨床データを教師データとする機械学習により得られるアルゴリズムにより補正される。
【0011】
上記の課題を解決するための第4の発明に係るインスリン投与量判定プログラムは、コンピュータを、請求項1~3のいずれか1項に記載のインスリン投与量判定装置として機能させる。
【0012】
上記の課題を解決するための第5の発明に係るインスリン投与量判定方法は、コンピュータが、対象者の食前血糖値及び食事による炭水化物摂取量を受け取る第1ステップと、第1ステップで受け取った情報を記憶する第2ステップと、第2ステップで記憶した情報に基づいて、対象者に食前に投与すべきインスリン量を判定する第3ステップと、第3ステップで判定したインスリン量を表示する第4ステップと、を含み、前記第3ステップは、予め設定された対象者のカーボ/インスリン比及びインスリン効果値を考慮して、カーボ/インスリン比と食事による炭水化物摂取量とを乗じた値に、食前血糖値から目標血糖値を減じた値をインスリン効果値で除した値を加えることによって、対象者の食後血糖値が予め設定された対象者の目標血糖値の範囲内となるように行う。
【発明の効果】
【0013】
上述した第1の発明に係るインスリン投与量判定装置によれば、対象者の食前血糖値及び食事による炭水化物摂取量を入力する入力部と、前記入力部に入力された情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記情報に基づいて、対象者に食前に投与すべきインスリン量を判定する判定部と、前記判定部において判定された前記インスリン量を表示する表示部備え、前記判定部における前記インスリン量の判定は、予め設定された対象者のカーボ/インスリン比及びインスリン効果値を考慮して、対象者の食後血糖値が予め設定された対象者の目標血糖値の範囲内となるように行うので、糖尿病患者が毎回の食事内容を変化させることを前提として、医師の推測判断に頼らなくても、食前に投与することが必要なインスリン量を得ることができる。
【0014】
上述した第2の発明に係るインスリン投与量判定装置によれば、第1の発明に係るインスリン投与量判定装置において、前記入力部に入力される食事による炭水化物摂取量の入力は、撮影された前記食事の画像から炭水化物量を自動解析する装置により行うので、対象者による毎回の炭水化物量の計算及び手入力の負担を軽減することができる。
【0015】
上述した第3の発明に係るインスリン投与量判定装置によれば、第1又は第2の発明に係るインスリン投与量判定装置において、前記判定部における前記インスリン量の判定は、複数の糖尿病患者から収集された基礎的身体情報、血液検査値、糖尿病関連情報、生活習慣情報、食前血糖値、食事による炭水化物摂取量、食前インスリン投与量及び食後血糖値からなる臨床データを教師データとする機械学習により得られるアルゴリズムにより補正されるので、対象者はより適切なインスリン投与量を得ることができる。
【0016】
上述した第4の発明に係るインスリン投与量判定プログラムは、コンピュータを、請求項1~3 のいずれか1項に記載のインスリン投与量判定装置として機能させるので、糖尿病患者が毎回の食事内容を変化させることを前提として、医師の推測判断に頼らなくても、食前に投与することが必要なインスリン量を得ることができる。
【0017】
上述した第5の発明に係るインスリン投与量判定方法によれば、対象者の食前血糖値及び食事による炭水化物摂取量を入力する第1ステップと、前記入力部に入力された情報を記憶する第2ステップと、を含み、前記第2ステップの、予め設定された対象者のカーボ/インスリン比及びインスリン効果値を考慮して、対象者の食後血糖値が予め設定された対象者の目標血糖値の範囲内となるように行うので、糖尿病患者が毎回の食事内容を変化させることを前提として、医師の推測判断に頼らなくても、食前に投与することが必要なインスリン量を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の全体の構成を示す概念図である。
図2】炭水化物量解析装置による入力を示す概念図である。
図3】機械学習による判定を示す概念図である。
図4】スマートフォンアプリの画面(ホーム画面)の例示である。
図5】スマートフォンアプリの画面(インスリン投与量表示画面)の例示である。
図6】スマートフォンアプリの画面(グラフ表示画面)の例示である。
図7】スマートフォンアプリの画面(インスリン投与量記録画面)の例示である。
図8】スマートフォンアプリの画面(運動記録画面)の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
[第1実施形態] 図1は、本発明の全体の構成を示す概念図である。図1に示すように、インスリン投与量判定装置11は、コンピュータにより制御される入力部12、記憶部13、判定部14及び表示部15から構成される。入力部12は記憶部13と、記憶部13は入力部12、判定部14及び表示部15と、判定部14は記憶部13及び表示部15と、表示部15は記憶部13及び判定部14と相互に接続されている。
【0021】
インスリン投与量判定装置11は、専用のアプリがインストールされたスマートフォンでも、タブレット端末でも、パソコンでも、あるいは専用の機械器具でもよい。以下の説明では、一例として、インスリン投与量判定装置は専用のアプリがインストールされたスマートフォンであるものとして説明する。なお、この場合におけるインスリン投与量判定プログラムは、当該アプリである。
【0022】
インスリン投与量判定装置11を使用する対象者は、主に1型糖尿病患者である。1型糖尿病患者は、2型糖尿病患者と異なり、本来は食事の内容を自由に選択することができる患者である。
【0023】
対象者は、毎回の食事前に、食前血糖値及び食事による炭水化物摂取量を、入力部12に入力する。また、対象者の予め設定した自己のカーボ/インスリン比、インスリン効果値及び目標血糖値の範囲を、入力部12に入力する。
【0024】
入力部12に入力された対象者情報は、記憶部13に記憶される。判定部14は、記憶部13に記憶された情報に基づいて、対象者に食前に投与すべきインスリン量を判定する。表示部15は、判定部14が判定したインスリン投与量を表示する。
【0025】
判定部における判定は、以下の算式により行われる。
カーボ/インスリン比)×(食事による炭水化物摂取量)+(食前血糖値―目標血糖値)÷(インスリン効果値)
本発明において、「カーボカウント」とは、摂取する炭水化物量に応じて食前のインスリン投与量を計算すること又はその計算手法又はその計算結果をいう。「カーボ/インスリン比」とは、インスリン1単位が処理できる炭水化物量をいう。「インスリン効果値」とは、インスリン1単位で低下させることのできる血糖値をいう。
【0026】
カーボ/インスリン比の設定方法には、500ルール(500÷カーボカウント導入前の1日総インスリン投与量で算出し、単位/日で表す)などがある。また、インスリン効果値の設定方法には、1800ルール(1800÷カーボカウント導入前の1日総インスリン投与量で算出し、単位/日 で表す)などが知られている。しかしながら、現実の医療現場では、これらの設定方法を意識しつつも医師の経験則に基づいて設定されることが多い。さらに、これらの設定方法を遵守してインスリンを投与したとしても予測し得ない血糖値の変動や低血糖発作が発生することも少なくないため、結果として患者QOLの損失につながっている。よって、本発明に係るインスリン投与量判定装置は、このような状況を大きく改善することができるのである。
【0027】
インスリン投与量判定装置による上記の処理により、対象者は食前に適切なインスリン量を投与することで食事による血糖値の上昇をあらかじめ抑制することが可能となる。したがって、対象者は毎食同じものを食べなければならない必要性から解放され、原則として好きな食事を選択できるようになるのである。
【0028】
図2は、炭水化物量測定装置による入力を示す概念図である。炭水化物量測定装置21は、撮影された食事の画像を人工知能により解析して栄養素を分析する、公知の装置である。図2に示すように、この炭水化物量測定装置21と、インスリン投与量判定装置23を、外部ネットワーク22を通じて接続することとしてもよい。これにより、対象者の毎回の食事において炭水化物量の計算をし、その結果を手入力する負担を軽減することができるのである。
【0029】
図3は、機械学習による判定を示す概念図である。図3に示すように、インスリン投与量判定装置11は、その記憶部13及び判定部14を、外部ネットワーク17を通じて外部サーバ16と接続してもよい。
【0030】
外部サーバ16には、複数の糖尿病患者から収集された基礎的身体情報、血液検査値、糖尿病関連情報、生活習慣情報、食前血糖値、食事による炭水化物摂取量、食前インスリン投与量及び食後血糖値からなる臨床データが入力される。
【0031】
外部サーバ16においては、この臨床データを教師データとする機械学習が行われ、その結果として得られるアルゴリズムが判定部14に伝えられ、判定部14による判定を補正することとしてもよい。外部サーバ16に入力する臨床データが増えれば増えるほど、機械学習により得られるアルゴリズムの精度は向上する。
【0032】
外部サーバ16に入力される臨床データは、血糖値の変動と因果関係を有し、血糖値の変動に影響を及ぼすことが医学的乃至経験的に知られている多様な要因である。すなわち、基礎的身体情報としての、年齢、性別、体重、BMI及び糖尿病の罹患時期が含まれる。
【0033】
また、血液検査値としては、肝機能に係るAST、ALT及びγ-GTPと、腎機能に係るCr及びeGFRと、内因性インスリン分泌能に係るCペプチド指数とが含まれる。さらに、赤血球数、Hb、Ht、血小板数、白血球数、好中球数、好酸球数、好塩基球数、単球数、リンパ球数、総蛋白、アルブミン、総ピリルピン、アミラーゼ、BUN、LDH、CK、Na、K、Cl、Ca、IP、LDL-C、HLD-C、TG、空腹時血糖、HbA1c、グリコアルブミン、空腹時ペプチドが含まれているとなお好ましい。
【0034】
また、糖尿病関連情報としては、目標血糖値、インスリン効果値及びインスリン/カーボ比を含むことが好ましい。インスリン効果値及びインスリン/カーボ比の定義については後述する。さらに、既往症の有無、糖尿病網膜症の有無及び程度、糖尿病腎症の有無及び程度、肝硬変の有無及び程度、家族の糖尿病の有無が含まれているとなお好ましい。
【0035】
また、生活習慣情報としては、喫煙、飲酒及び運動に関する習慣が含まれる。
【0036】
これらの臨床データをより多く確実に収集するために、インスリン投与量判定装置を専用のアプリがインストールされたスマートフォンの形で糖尿病患者にあらかじめ所持させて、毎日の臨床データ入力のために用いさせるようにしてもよい。
【0037】
判定部14による判定結果は、表示部15に送られるとともに、記憶部13にも送られて記憶される。記憶部17に記憶された当該判定結果及び当該判定結果に対応する対象者情報は、外部ネットワーク17を介して外部サーバ16に送信され、前記臨床データとあわせて、さらなる機械学習の教師データとして用いられる。これにより、対象者の現在の状態に即したより正確なインスリン投与量の出力が可能となる。
【0038】
図4は、スマートフォンアプリの画面(ホーム画面)の例示である。図4に示すように、アプリを起動すると最初に現れるホーム画面には、日付、歩数及び消費カロリーの表示と、カーボカウントボタン、体調記録ボタン、血糖値入力ボタン、インスリン投与記録ボタンが配置される。また、グラフ・運動記録画面に遷移するボタンも配置される。このような画面構成により、対象者は毎日のカーボカウントを煩雑に感じることなく無理なく行うことができる。なお、本図はあくまで例示であり、インスリン投与量判定装置の画面構成は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0039】
図5は、スマートフォンアプリの画面(インスリン投与量表示画面)の例示である。図5に示すように、インスリン投与量判定装置の判定結果として表示されるインスリン投与量表示画面には、対象者に食前に投与すべきインスリン量が、カーボカウントとして示される。カーボカウントは、図5に示すように「3.1単位」等の数字で表される。なお、本図は例示であり、画面構成はこれに限定されるものではない。
【0040】
[第2実施形態]
図6は、スマートフォンアプリの画面(グラフ表示画面)の例示である。インスリン投与量判定装置に対象者が入力した情報のうち重要なものを、一覧性をもって「見える化」することにより、対象者は日々の生活習慣、食事習慣及び運動習慣を顧みることができる。これにより、対象者の不測の血糖値変動リスクをさらに低減することができる。図6に示すように、前記ホーム画面から 遷移するグラフ表示画面には、1日サマリーと週間サマリーの切替ボタン、日付、血糖値とインスリン投与量の関係を端的に示すグラフ等が配置される。なお、本図は例示であり、画面構成はこれに限定されるものではない。
【0041】
図7は、スマートフォンアプリの画面(インスリン投与量記録画面)の例示である。この画面に入力する情報の一部は、前記グラフ表示画面に反映される。図7に示すように、インスリン投与量記録画面には、追加インスリンの種類、インスリン投与量、食事のタイミング及び投与日時を記録する欄が配置される。また、図7に示すように、当該画面から遷移する画面において、基礎インスリンの種類、インスリン投与量及び投与日時を記録することもできる。なお、本図は例示であり、画面構成はこれに限定されるものではない。
【0042】
図8は、スマートフォンアプリの画面(運動記録画面)の例示である。この画面に入力する情報の一部は、前記前記グラフ表示画面に反映される。図8に示すように、運動記録画面には、運動開始日時、運動の選択及び運動時間を記録する欄が配置される。なお、本図は例示であり、画面構成はこれに限定されるものではない。
【0043】
以上に説明してきた各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、糖尿病患者が使用する医療機器、健康管理機器、診療支援システム、健康管理システム及び当該機器・システムの作動方法を提供するものである。また、1型糖尿病患者は国内に10万人~14万人が存在すると推計されている。よって、本発明は産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0045】
11 インスリン投与量判定装置
12 入力部
13 記憶部
14 判定部
15 表示部
16 外部サーバ
17 外部ネットワーク
21 炭水化物量測定装置
22 外部ネットワーク
23 インスリン投与量判定装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8