(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】防災文字表示機システム
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20241008BHJP
G08B 21/10 20060101ALI20241008BHJP
H04B 1/16 20060101ALI20241008BHJP
H04H 20/59 20080101ALI20241008BHJP
H04H 60/13 20080101ALI20241008BHJP
【FI】
G08B27/00 C
G08B21/10
H04B1/16 M
H04H20/59
H04H60/13
(21)【出願番号】P 2021208823
(22)【出願日】2021-12-23
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2021095051
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江頭 道雄
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-297242(JP,A)
【文献】特開2019-174932(JP,A)
【文献】特開2004-178241(JP,A)
【文献】特開2003-272073(JP,A)
【文献】特開2002-109671(JP,A)
【文献】特開2014-164418(JP,A)
【文献】特開2012-063545(JP,A)
【文献】特開2008-160789(JP,A)
【文献】特開2018-032399(JP,A)
【文献】特開2014-026562(JP,A)
【文献】特開2017-123590(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0207771(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 27/00
G08B 21/10
G08B 25/04
G08B 23/00
G08B 25/10
H04B 1/16
H04H 20/59
H04H 60/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字情報を含む報知情報をLPWA(Low Power Wide Area)の無線通信技術を用いて発信可能に形成される通信部を備える配信端末と、
前記配信端末からLPWAの無線通信技術を用いて発信された前記報知情報を受信可能に形成される通信部、及び、前記通信部で受信した前記報知情報における前記文字情報を表示する表示部を備える受信端末と、
を有
し、
前記報知情報は、前記受信端末を制御するコマンドを備えることを特徴とする防災文字表示機システム。
【請求項2】
前記報知情報は、電子メールを用いて前記配信端末に入力されることを特徴とする請求項1に記載の防災文字表示機システム。
【請求項3】
前記配信端末は、前記電子メールを受信したメールサーバの受信通知をPub/Sub型通信により受信可能に形成されることを特徴とする請求項2に記載の防災文字表示機システム。
【請求項4】
前記配信端末は、PC(パーソナルコンピュータ)と有線接続可能に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか記載の防災文字表示機システム。
【請求項5】
前記受信端末は、放送信号を受信する放送受信部を有し、
前記コマンドには、前記放送受信部が特定の前記放送信号を受信するよう起動する放送受信コマンドが含まれることを特徴とする
請求項1乃至請求項4の何れか記載の防災文字表示機システム。
【請求項6】
前記受信端末は、前記配信端末より受信した放送受信コマンドをトリガーに防災行政無線放送に切り替えることのできることを特徴とする
請求項5に記載の防災文字表示機システム。
【請求項7】
前記受信端末は、音声を発音する音声出力部を有し、
前記コマンドには、種別に応じた音声を発音するよう前記音声出力部を制御する種別コマンドが含まれることを特徴とする
請求項1乃至
請求項6の何れかに記載の防災文字表示機システム。
【請求項8】
前記報知情報は、件名欄に前記コマンドが記入された電子メールを用いて前記配信端末に入力されることを特徴とする
請求項1乃至
請求項7の何れかに記載の防災文字表示機システム。
【請求項9】
前記コマンドは、所定の定型文に対応する番号を指定する定型文コマンドを備え、前記受信端末は、前記定型文コマンドで指定された前記番号に応じて前記受信端末に登録された言語で前記定型文を前記表示部に表示及び/又は前記受信端末が備える音声出力部により音声で読み上げることを特徴とする
請求項1乃至
請求項8の何れかに記載の防災文字表示機システム。
【請求項10】
前記受信端末の前記通信部は、前記報知情報をLPWAの無線通信技術を用いて発信可能に形成されることを特徴とする請求項1乃至
請求項8の何れかに記載の防災文字表示機システム。
【請求項11】
前記配信端末が自己診断で異常検知した情報をメールAPIを通じて、予め登録されたメールアドレスに通知することができることを特徴とする請求項1乃至
請求項10の何れかに記載の防災文字表示機システム。
【請求項12】
前記報知情報は、音声情報を前記文字情報に変換する音声認識システムを用いて生成されることを特徴とする請求項1乃至
請求項11の何れかに記載の防災文字表示機システム。
【請求項13】
前記音声認識システムは、インターネット上に設けられる音声認識部と、前記配信端末に設けられるパターンマッチング処理部と、を有し、
前記パターンマッチング処理部は、前記音声認識部が出力するテキストデータのうちの2文節を比較対象として、記憶部に記憶されてワイルドカードを含む2文節パターンと比較して、両者が合致する場合には、前記2文節パターンの前記ワイルドカードと特定文字情報を置換して2文節文字情報を生成し、比較対象とした前記音声認識部が出力したテキストデータのうちの前記2文節と前記2文節文字情報とを置換する、
ことを特徴とする
請求項12に記載の防災文字表示機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災文字表示機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、市町村等の行政機関等が報知する防災無線放送や、放送局が発信する緊急警報放送を受信する受信機が提案されている。例えば、特許文献1には、放送信号を受信する放送受信回路と、緊急警報信号を受信する緊急警報受信回路と、防災無線信号を受信する防災無線受信回路と、を有して、所定条件で各回路を切替て出力する切り替えスイッチを備えた受信機が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、送信局から緊急地震情報を受信する受信部を備えて、緊急地震情報に含まれる地域名に対応した定型文からなる文字データを表示可能な受信機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4745281号公報
【文献】特許第6427437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
行政からのお知らせや災害等の情報については、耳の不自由な方への対応や、騒音等で音声を聞き取りにくい環境における対応を考慮すると、文字情報として得られる受信機であることが望まれる。文字情報として受信することができれば、当該文字情報を自動読み上げ等することで目の不自由な方に対応したり、通知された情報の履歴を保存したり、容易に応用することができる。
【0006】
そして、災害時の利用も考慮すると、大規模な停電が発生してインターネットや携帯電話による通信網が利用できないことも想定する必要がある。
【0007】
本発明は、文字情報を伝達することができ、災害時にも利用し易い防災文字表示機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の防災文字表示機システムは、文字情報を含む報知情報をLPWA(Low Power Wide Area)の無線通信技術を用いて発信可能に形成される通信部を備える配信端末と、前記配信端末からLPWAの無線通信技術を用いて発信された前記報知情報を受信可能に形成される通信部、及び、前記通信部で受信した前記報知情報における前記文字情報を表示する表示部を備える受信端末と、を有し、前記報知情報は、前記受信端末を制御するコマンドを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、文字情報を伝達することができ、災害時にも利用し易い防災文字表示機システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る防災文字表示機システムを示すシステム構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る防災文字表示機システムの配信端末を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る防災文字表示機システムの受信端末を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る防災文字表示機システムの受信端末の外観を示す正面模式図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る防災文字表示機システムの防災基地局、メールAPI、Pub/SubAPI及び配信端末間におけるシーケンスフロー図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る防災文字表示機システムにおいて防災基地局から発信される電子メールの一例を示す模式図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る防災文字表示機システムにおける報知レベル、種別、コマンド、音声通知の対応関係を示す一覧表である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る防災文字表示機システムを示すシステム構成図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る防災文字表示機システムの配信端末を示すブロック図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る防災文字表示機システムの音声認識システムの処理の流れを示すフロー図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る防災文字表示機システムの音声の入力状態を示す図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る防災文字表示機システムの音声認識システムの処理内容を示す図であり、(a)は2文節パターンの例を示し、(b)は音声認識部の出力に対するパターンマッチング処理部の処理の様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、図に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1に示すように、防災文字表示機システム1は、配信端末10と、複数の受信端末20とを有する。配信端末10は、インターネット40と接続される。インターネット40には、メールサーバ41やタイムサーバ42が接続されている。メールサーバ41は、メールAPI411と、Pub/SubAPI412を有する。一方、配信端末10と複数の受信端末20は、LPWA(Low Power Wide Area)の無線通信技術で通信可能とされている。本実施形態においては、LPWAのうち、機器の設置が容易で発信距離も比較的長距離であるLoRa(登録商標)変調方式の無線通信が採用されているが、他の方式のLPWAを採用することもできる。防災基地局30は、例えば市役所等であり、防災や地域に関する連絡事項等の各種情報を文字で表した文字情報を含む報知情報を発信する基地局とされる。
【0012】
防災文字表示機システム1の動作の概略を説明する。防災基地局30は、地域のお知らせや防災情報を記載した文字情報を含む報知情報を電子メールにより所定の宛先に送信する(
図1中の矢印EM1、以下、
図1中の矢印の符号は単に括弧書きにて表記する)。配信端末10は、防災基地局30から送信された電子メールを、インターネット40を介してメールサーバ41にアクセスして取得する(EM2)。メールサーバ41のPub/SubAPI412は、Pub/Sub型通信を行うことができる。配信端末10における電子メールの取得は、Pub/SubAPI412による変化通知(PS1)をトリガーとしている。配信端末10は、電子メールにより取得した報知情報を、LPWAの無線通信技術を用いて発信する(LW1)。
【0013】
受信端末20は、配信端末10からLPWAの無線通信技術を用いて発信された報知情報を受信して、当該報知情報に含まれる文字情報を表示する。また、受信端末20は、受信した報知情報を、LPWAの無線通信技術を用いて発信する(LW2,LW3)。すると、配信端末10から発信された報知情報(LW1)を受信できていなかった受信端末20も、報知情報を受信することができる(LW2,LW3)。
【0014】
配信端末10は、例えば、市区町村の学校や公民館等の公的機関に設置する。配信端末10は、同一の防災文字表示機システム1内に複数設けることもできる。一方、受信端末20は、各家庭や職場等に設置する。ここで、一般に、LPWAの無線通信技術はビルや地形に影響され易い。しかしながら、防災文字表示機システム1では、受信端末20が報知情報を受信しつつ発信も行うことで、配信端末10からのLPWAによる発信(LW1)が届かない受信端末20であっても報知情報を受信することができる(LW2,LW3)。
【0015】
図2は、配信端末10の構成を示すブロック図である。配信端末10は、制御部100と、通信部110と、記憶部120と、クロック部140と、を有する。制御部100は、各部を制御するCPU(コンピュータ又はプロセッサともいう)である。記憶部120は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等から構成される。制御部100は、記憶部120のROMに記憶されたアプリケーションプログラムをRAMに展開して実行する。
【0016】
制御部100は、取得した電子メールを記憶部120に保存して蓄積することができる。また、制御部100は、電子メールで取得した報知情報を、LPWAの無線通信技術で発信できるようにデータ変換を行う。制御部100は、このデータ変換の際に、宛先に全国地方公共団体コードを付加する。これにより、地域を限定した報知情報の発信を行うことができる。
【0017】
クロック部140は、RTC(リアルタイムクロック)のICチップ等を実装し、現在時刻を出力する機能を有する。制御部100は、通信部110からインターネット40を介してタイムサーバ42から時刻を取得して、この取得した時刻にクロック部140の時刻を同期させることができる。正確な時刻は配信端末10内のログ管理などに利用される。また、タイムサーバ42と時刻を同期させることにより、そのアクセス履歴から配信端末10の死活確認を行うこともできる。
【0018】
通信部110は、インターネット接続部111と、LPWA接続部112と、保守端末接続部113を有する。インターネット接続部111はインターネット40と接続する。防災基地局30からの電子メールの取得やタイムサーバ42からの時刻の取得、時刻取得の受信確認の送信は、インターネット接続部111を介して行われる。LPWA接続部112は、制御部100によりデータ変換された報知情報をLPWAの無線通信技術を用いて発信する。LPWAを用いた発信は、暗号化して通信傍受・ハッキングを防止することができる。
【0019】
保守端末接続部113は、PC(パーソナルコンピュータ)と有線接続可能に形成される。有線接続したPCを用いて配信端末10の保守点検を行ったり、PCから直接に配信端末10に報知情報を入力することができる。
【0020】
図3は、受信端末20を示すブロック図である。受信端末20は、制御部200と、通信部210と、記憶部220と、表示部230と、音声出力部240と、操作部250と、放送信号を受信する放送受信部としてのFMラジオチューナー260と、を有する。制御部200は、各部を制御するCPU(コンピュータ又はプロセッサともいう)である。記憶部220は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等から構成される。
【0021】
制御部200は、LPWAにより取得した報知情報に含まれる文字情報を表示部230(液晶パネル231)で表示可能とするようデータ変換する。そして、制御部200は、データ変換した報知情報を、記憶部220に記憶して蓄積することができる。また、受信端末20は、デバイスアドレスが設定されて、記憶部220に記憶される。デバイスアドレスは、総務省で定められた全国地方公共団体コードを用いることができる。これにより、他の地域の配信端末10から発信された報知情報は受信せず、対象となる地域の配信端末10からの報知情報のみを受信することができる。
【0022】
図4の受信端末20の外観模式図に示すように、操作部250は、具体的には、キースイッチ251により構成される。キースイッチ251は、上下左右の矢印キー252と、矢印キー252の中央に配置される決定ボタン253を備える。表示部230は、液晶パネル231及びLED232を備える。操作部250のキースイッチ251の操作により、表示部230の液晶パネル231に表示される操作画面を操作することができる。例えば、記憶部220に記憶して蓄積された報知情報のうち、任意の報知情報を選択して表示することができる。また、表示部230が備えるLED232は、報知情報を受信したタイミング等の適宜のタイミングで発光する。
【0023】
また、制御部200は、取得した報知情報に含まれるコマンドに基づいて各部を制御することができる。例えば、FMラジオチューナー260を所定の周波数に設定して起動したり、音声出力部240が備えるスピーカーを介して音声を発音させることができる。
【0024】
通信部210は、LPWA接続部211を有する。LPWA接続部211は、LPWAの無線通信技術を用いて配信端末10から発信された報知情報を受信することができると共に、受信した報知情報をLPWAの無線通信技術を用いて発信することができる。受信端末20から発信された報知情報は、未だ報知情報を受信していない他の受信端末20で受信される。
【0025】
次に、
図5のシーケンスフロー図を用いて、防災基地局30から発信された電子メールを配信端末10が受信するまでの動作を説明する。先ず、配信端末10は、起動時にはメールサーバ41のメールボックスに変化(受信)があったことの通知トピックを受信するためにPub/SubAPI412に通知トピックを登録する(ST01)。なお、本実施形態においては、メールサーバ41をPublisherとし、配信端末10をSubscriberと設定して、応答を持続的に待ち受けることが可能な非同期型のPullリクエストを用いることで頻繁にPub/SubAPI412にPullリクエストを送ることなくほぼリアルタイムにメッセージを取得することを可能にしている。よって、配信端末10は、定期的に、メールサーバ41のPub/SubAPI412に配信要求(非同期型Pullリクエスト)を行っている(ST02)。
【0026】
市役所等の防災基地局30が住民等に報知情報を発信する場合には、先ず、防災基地局30から電子メールを用いて報知情報を所定のメールアドレス(メールサーバ41)に送信する(ST03)。メールサーバ41のメールボックスの変化を検出したメールAPI411は、通知トピックをPub/SubAPI412に送信する(ST04)。すると、Pub/SubAPI412は、配信端末10に通知トピックを送信する(ST05)。
【0027】
メールサーバ41のメールボックスに変化(受信)があったことの通知トピックを受け取った配信端末10は、所定の認証情報をメールAPI411に送信して(ST06)、防災基地局30が送った電子メールを取得する(ST07)。
【0028】
このようにして電子メールにより報知情報が入力された配信端末10は、制御部100により、報知情報をLPWAにより発信できるようにデータ変換を行う。データ変換された報知情報は、LPWA接続部112を介して発信される。
【0029】
防災基地局30が報知情報として送信する電子メールの例として、電子メールの作成画面300を
図6に示す。電子メールは、一般的に使用されるメーラー等を使用することができ、
図6の例では、電子メールは、差出人のメールアドレスを表示する差出人表示欄301、送信先のメールアドレスが入力できる宛先入力欄302、件名を入力できる件名入力欄303、メール本文を入力できる本文入力欄304及び送信ボタン305を備える。本文入力欄304には、受信端末20の表示部230(液晶パネル231)に表示させたい内容の文字(防災文字情報)を入力する。
【0030】
ここで、件名入力欄303には件名の他、「%」で囲った所定の書式でコマンドを記載することができる。このコマンドにより、受信端末20を制御することができる。このコマンドは、
図7に示す一覧表に記載の通り、「報知レベル」及び「種別」に対応している。「報知レベル」は、報知情報の内容(防災文字情報)のレベルを数値で表している。「種別」は、「報知レベル」の種別を表している。「種別」のうち、「一般情報」は、地域の生活情報等の地域に関するお知らせに関する情報である。「防災情報」は災害、防災に関する情報である。「緊急警報」は、生命・身体の危険を伴う緊急の警報である。「非常事態警報」は、所定の機関から発せられた非常事態警報に基づいて発せられる警報である。
【0031】
コマンドにおける「INFO」、「NOTICE」、「WARN」、「ALERT」は、報知レベル(種別)に応じて設定し、受信端末20が種別に応じた音声を発音するように制御部200が音声出力部240を制御する種別コマンドである。これらの種別コマンドに応じて、一覧表の「通知音声」で示す音声が発音される。
【0032】
また、コマンドのうち、「FMS」は、放送受信部であるFMラジオチューナー260を起動する放送受信コマンドでもある。FMラジオの周波数を指定する場合は、コマンド「FMS」に続けて、所定のFMラジオの周波数(例えば、79.5MHzを受信する場合には0795)と記入しておく。受信端末20は、「FMS」コマンドが含まれる報知情報を受信すると、「FMS」コマンドに続けて入力されている周波数(数値)の放送信号を受信するようにFMラジオチューナー260を起動する。なお、「FMS0000」で指定された場合は、コマンドで起動されたFMラジオをオフにする。また、受信端末20は、配信端末10より受信した放送受信コマンドをトリガーに防災行政無線放送に切り替えることもできる。従って、FMラジオチューナー260は、シングルチューナーで対応可能である。
【0033】
コマンド「MFS」(定型文コマンド)は防災文字情報を定型文で指定するコマンドであり、コマンド「MFS」を未指定の場合は、
図6の本文入力欄304に入力した任意の文字列がそのまま受信端末20の表示部230(液晶パネル231)に表示される。「MFS」コマンドに続けて2桁の数字を指定することで定型文を指定することができ、この場合は
図6の本文入力欄304に入力した任意の文字列は無視される。定型文は予め受信端末20の記憶部220に登録されており、「MFS18」のようにコマンド+番号で指定することにより「急な気温の上昇が、予想されます。こまめに水分をとり、熱中症に注意しましょう。」といった定型文を受信端末20の表示部230(液晶パネル231)に表示させることができる。また、「MFS」コマンドに「#」で囲った文字を入力すれば、定型文の所定箇所に「#」で囲った文字を入れ込むこともできる。
【0034】
また、定型文は個々の受信端末20に異なる言語で記憶部220に登録しておくことができる。これにより中国籍の住民に対しては中国語で、ブラジル籍の住民に対してはポルトガル語で定型文を表示及び又は自動読み上げさせることができ、報知情報の多言語化に対応することができる。
【0035】
また、「LANG」は言語を指定するコマンド(言語指定コマンド)であり、予め記憶部220に言語設定された個々の受信端末20とコマンド「LANG」で指定した言語が一致した受信端末20のみ報知情報の受信を可能にするコマンドである。例えば中国籍の住民に対してのみアナウンスしたい報知情報がある場合は、「LANG03」のようにコマンド+番号で指定することにより、
図6の本文入力欄304に中国語で入力した防災文字情報を中国語で言語設定された受信端末20のみに配信することができる。コマンド未指定の場合は、言語設定に依らず全ての受信端末20に対する報知情報として扱われる。
【0036】
図7に示す一覧表は、受信端末20の記憶部220に記憶される。少なくとも、報知レベル及びコマンドを含む報知情報を受信した受信端末20は、「通知音声」に示す所定のチャイム音やサイレンと、所定の音声を音声出力部240のスピーカーから発音する。
【0037】
本実施形態においては、防災基地局30からインターネット40を介した電子メールを用いて配信端末10に報知情報を入力したが、配信端末10の保守端末接続部113を介してPCと配信端末10を有線接続して、PCから直接配信端末10に報知情報を入力することもできる。この場合には、地震や停電によりインターネット40の通信網がダウンした場合でも、各受信端末20に報知情報を配信することができる。
【0038】
また、停電等に備えて、配信端末10には無停電電源装置を別途備えるようにしても良く、受信端末20はバッテリー駆動可能に形成しておくと好ましい。これにより、災害により停電が発生しても、的確に報知情報を地域住民等に伝達することができる。
【0039】
以上の実施形態によれば、防災文字表示機システム1は、配信端末10によりLPWAの無線通信技術を用いて文字情報を含む報知情報を発信し、受信端末20で当該文字情報が表示される。そして、インターネット40や電話回線等を用いずに、省電力で駆動するLPWAを用いて配信端末10から複数の受信端末20に報知情報を伝達できるので、災害時に停電等が発生しても、文字情報を伝達することができ、災害時にも利用し易い防災文字表示機システム1とすることができる。
【0040】
受信端末20が得られる報知情報に係る防災文字情報は、文字情報(すなわちテキストデータ)であるため、目の不自由な方には表示部230により情報を表示すると共に、別途記憶部220に備えるアプリケーションプログラムによる自動読み上げ等により容易に発音させることもできる。そして、報知情報にコマンド(種別コマンド)を含むことで、報知情報を受信し始めた早いタイミングで報知情報を受信していることを音声で使用者に知らせることができる。
【0041】
また、報知情報は、使い慣れた電子メールを用いて配信端末10に入力することができるので、PCだけでなく、スマートフォン等の携帯端末を利用して報知情報を発信することができる。そして、配信端末10は、Pub/Sub型通信によりメールサーバ41の変化通知を受け取って電子メールを受信するので、ほぼリアルタイムに配信端末10に報知情報を入力することができる。本実施例では配信端末10とのPub/Sub通信に非同期型のPullを使用しているが、Push型のPub/Sub通信を用いても良いことは自明である。
【0042】
また防災基地局30から配信端末10への報知情報の入力手段として使用されるメールシステムは、配信端末10で何等かの異常が発生した場合に、予め記憶部120に登録しておいたメールアドレス宛にメールAPI411を通じて異常を知らせる手段としても使用できる。それにより、防災文字表示機システム1のダウンタイムを短くし、システムを安定的に稼働させることができる。
【0043】
また、受信端末20は、LPWAを用いて受信した報知情報を、再度LPWAを用いて発信することができるので、配信端末10から届き難い場所に設置された受信端末20であっても、リレー形式で報知情報を伝達していくことができる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を
図8~
図12に基づいて説明する。本実施形態の防災文字表示機システム1Aは、音声認識システムを備えて、入力された防災放送に係る音声情報を文字情報に変換して報知情報とするものである。以下の説明においては、第1実施形態と同じ装置や部位、箇所については同じ符号を用いて、その説明は省略又は簡略化する。
【0045】
図8に示す防災文字表示機システム1Aは、第1実施形態の防災文字表示機システム1(
図1)に対して、配信端末10に換えて配信端末10Aとし、防災基地局30からの電子メールの送受信(EM1,EM2)に換えて、市役所等からの防災無線放送を受信する防災無線受信機31から配信端末10Aに音声入力されるよう構成した。また、インターネット40には、入力された音声を解析し、テキストデータを出力する音声認識部43が接続されている。
【0046】
図9に示すように、配信端末10Aは、通信部110に音声入力部114が設けられている。音声入力部114は、防災無線受信機31と接続し、音声情報が入力される。制御部100は、音声入力部114を介して入力された音声情報(すなわち、市役所等から放送された防災放送等の放送に係る音声情報)をインターネット接続部111からインターネット40を介して、
図8に示す音声認識部43に入力する。音声認識部43により出力されたテキストデータは、インターネット40及びインターネット接続部111を介して、配信端末10Aに入力され、制御部100のパターンマッチング処理部により処理される。防災文字表示機システム1Aの音声認識システムは、音声認識部43と、配信端末10Aに設けられるパターンマッチング処理部とを有する。
【0047】
次に、
図10~
図12に基づいて、音声認識システムの処理内容を説明する。
音声認識部43は、
図11に示す音声入力トリガ信号310の入力を待機し(ステップS02)、インターネット40を介して配信端末10Aから音声認識部43に音声情報が入力されると、入力された音声情報の認識処理が行われる(ステップS03)。音声認識部43は、入力された音声情報をテキストデータ(認識テキスト)として出力する(ステップS04)。音声認識部43が出力した認識テキストは、インターネット40を介して配信端末10Aに入力され、記憶部120に記憶される(ステップS04)。
【0048】
ステップS03の音声認識処理は、文節毎に行われる。従って、ステップS04において、音声認識部43から出力されて、配信端末10Aに記憶される認識テキストも文節毎となる。記憶部120に記憶された認識テキストは、配信端末10Aのパターンマッチング処理部により処理される(ステップS05~S07)。
【0049】
図11で示す例では、先ず、音声情報320として「羽村市役所から」が音声認識部43に入力され、音声認識処理がなされる(ステップS03)。すると、認識テキスト(テキストデータ)としてtext1「羽村市役所から」が出力され、配信端末10Aに入力される。
【0050】
ここで、パターンマッチング処理部の処理(<2文節ワードパターン一致?>処理(ステップS05))は、音声認識部43が出力する認識テキスト(テキストデータ)のうち、前回と今回の2文節を比較対象とする。従って、この時点では未だ1文節のみであるので、<2文節ワードパターン一致?>処理(ステップS05)は「N」に進み、認識テキストであるtext1「羽村市役所から」が記憶部120に保存される(ステップS07)。
【0051】
次に、音声情報320として「お知らせします」が音声認識部43に入力されると、認識テキスト(テキストデータ)としてtext2「お知らせします」が出力され、配信端末10Aに入力される(ステップS04)。すると、パターンマッチング処理部は、音声認識部43が出力した認識テキスト(テキストデータ)のうちの前回と今回の2文節を比較対象として、記憶部120に記憶されてワイルドカードを含む2文節パターン330(
図12(a)参照)と比較する。
【0052】
ここで、記憶部120には、予め、
図12(a)に示す2文節パターン330が記憶されている。2文節パターン330は、2文節からなるパターンとして記憶されている。2文節パターン330のパターン1(符号331)は、「****市役所から/お知らせします」の2文節からなる。ここで、「****」は、ワイルドカードであり、音声認識部43が出力したテキストデータとの比較の際には比較の対象としない部分である。
【0053】
2文節パターン330のパターン2(符号332)は、「こちらは/防災****です」の2文節からなる。「****」については、上記と同様のワイルドカードである。
【0054】
パターンマッチング処理部は、<2文節ワードパターン一致?>処理(ステップS05)において、前回認識したtext1「羽村市役所から」と、今回認識したtext2「お知らせします」の2文節「羽村市役所から/お知らせします」と、2文節パターン330とを比較する。パターンマッチング処理部は、両者は合致すると判定する。すると、パターンマッチング処理部は、パターン1(符号331)におけるワイルドカード(「****」)を、別途に記憶部120に記憶している特定文字情報である「羽村」に置換して2文節文字情報「羽村市役所から/お知らせします」を生成する。パターンマッチング処理部は、生成した2文節文字情報を、比較対象とした前回と今回の2文節(text1「羽村市役所から」とtext2「お知らせします」)と置換して、記憶部120に記憶する(ステップS07)。
【0055】
なお、特定文字情報は、配信端末10Aが設置される地域の地域名(市区町村名)としておくことができる。
【0056】
このようにパターンマッチング処理部は、音声認識部43が出力する認識テキスト(テキストデータ)のうちの2文節(前回と今回の文節)を比較対象として、記憶部120に記憶されてワイルドカード「****」を含む2文節パターン330と比較して、両者が合致する場合には、2文節パターン330のワイルドカード「****」と特定文字情報を置換して2文節文字情報を生成し、比較対象とした音声認識部43が出力した認識テキスト(テキストデータ)のうちの2文節(前回と今回の文節)と生成した2文節文字情報とを置換する。
【0057】
従って、防災無線放送をタイプして電子メールで送信する本発明の第1実施形態に比べて、タイプする必要なく文字化して住民等に報知することができる。そして、重要な情報である、どの地域の防災情報かを特定する地域名等の特定情報を間違いなく住民等に伝達することができる。
【0058】
例えば、音声認識部43からの出力が「防災田村です」(
図12(b)のtext15部分)であった場合には、パターンマッチング処理部は、パターン2(符号332)とtext14「こちらは」及びtext15「防災田村です」の2文節とを比較して、上記処理にて「田村」を「羽村」に置換して、text14に「こちらは」、text15に「防災羽村です」を置換して記憶させることができる。
【0059】
このように、文節毎に
図10のフローを繰り返し処理し、報知情報の生成後、配信端末10Aは、LPWAの無線通信技術を用いて各受信端末20に報知情報を発信する。
【0060】
以上、本発明の本実施形態を説明したが、本発明は本実施形態により限定されることは無く、種々の変更を加えて実施することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 防災文字表示機システム 10 配信端末
20 受信端末 30 防災基地局
40 インターネット 41 メールサーバ
42 タイムサーバ 100 制御部
110 通信部 111 インターネット接続部
112 LPWA接続部 113 保守端末接続部
120 記憶部 140 クロック部
200 制御部 210 通信部
211 LPWA接続部 220 記憶部
230 表示部 231 液晶パネル
232 LED 240 音声出力部
250 操作部 251 キースイッチ
252 矢印キー 253 決定ボタン
260 FMラジオチューナー 300 作成画面
301 差出人表示欄 302 宛先入力欄
303 件名入力欄 304 本文入力欄
305 送信ボタン 411 メールAPI
412 Pub/SubAPI
1A 防災文字表示機システム 10A 配信端末
31 防災無線受信機 43 音声認識部
114 音声入力部 310 音声入力トリガ信号
320 音声情報 330 2文節パターン
331 パターン1 332 パターン2