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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】抑泡剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/28 20060101AFI20241008BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C11D1/28
C11D1/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021209317
(22)【出願日】2021-12-23
(65)【公開番号】P2023094079
(43)【公開日】2023-07-05
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】喜多 亜矢子
(72)【発明者】
【氏名】宗行 優奈
(72)【発明者】
【氏名】尾谷 佳則
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-523845(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01270711(EP,A1)
【文献】特開平05-311575(JP,A)
【文献】特開2007-169508(JP,A)
【文献】特開2007-169509(JP,A)
【文献】特開2008-260885(JP,A)
【文献】特開2017-119808(JP,A)
【文献】特開2012-140571(JP,A)
【文献】特開2012-140572(JP,A)
【文献】特開2013-082845(JP,A)
【文献】特開2013-082844(JP,A)
【文献】特開2016-145306(JP,A)
【文献】特開2016-145307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(a)成分及び(b)成分を含有する、繊維製品処理剤用の抑泡剤組成物。
(a)成分:下記一般式(a1)で表される化合物
【化1】

〔式中、R 及びR は、2-プロピルヘプチル基であり、A O、A Oは、それぞれ、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、x1、x2は、平均付加モル数であり、それぞれ、0以上10以下の数であり、Mは陽イオンである。〕
(b)成分:抑泡剤
【請求項2】
前記抑泡剤組成物中、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比(a)/(b)が、0.5以上50以下である、請求項1に記載の繊維製品処理剤用の抑泡剤組成物。
【請求項3】
更に、(c)溶剤を含有する、請求項1又は2に記載の繊維製品処理剤用の抑泡剤組成物。
【請求項4】
硬度成分を含有する水と混合して用いられる、請求項1~の何れか1項に記載の繊維製品処理剤用の抑泡剤組成物。
【請求項5】
(b)成分が脂肪酸、脂肪酸の塩及びシリコーンから選ばれる1種以上の化合物である、請求項1~の何れか1項に記載の繊維製品処理剤用の抑泡剤組成物。
【請求項6】
請求項1~の何れか1項に記載の繊維製品処理剤用の抑泡剤組成物と、界面活性剤(ただし、(a)成分及び(b)成分を除く)を含有する、繊維製品用洗浄剤組成物。
【請求項7】
請求項1~の何れか1項に記載の繊維製品処理剤用の抑泡剤組成物を、起泡性を有する繊維製品用洗浄剤組成物に混合して、前記繊維製品用洗浄剤組成物の起泡性を低減する、起泡性低減方法。
【請求項8】
請求項に記載の繊維製品用洗浄剤組成物を含む処理液と被処理物を接触させた後、被処理物を水ですすぐ、繊維製品の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抑泡剤組成物、洗浄剤組成物、起泡性低減方法及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄剤組成物の分野では、洗浄性能及び泡立ちに優れた組成物が好ましく用いられてきた。しかし、洗浄設備や洗浄方法によっては、洗浄中に形成された泡があふれ出さないよう、泡の制御も重要な要素である。例えば、ドラム式洗濯機では、節水により、洗剤が高濃度となると、泡が過剰に形成されないように泡制御が必要な場合がある。また、トラップ構造といった排水設備の構造によっても、泡が溢れないように、泡制御が必要な場合がある。洗浄剤組成物の分野に限らず、繊維の染色加工工程、食品製造又は加工工程、水処理工程、紙・パルプ製造工程、金属加工工程等では、泡立ちの抑制が求められる場合がある。
【0003】
特許文献1には、(A)アミドアミン型両性界面活性剤、(B)スルホコハク酸型界面活性剤及び(C)所定の不揮発性シリコーン誘導体、を含有する洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献2には、所定の変性シリコーン成分と、スルホコハク酸塩型界面活性剤と、アンモニウム塩とを含有するドライクリーニング用洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献3には、マレイン化脂肪酸、またはその塩とサルフェート系またはスルホネート系陰イオン性界面活性剤とを特定の重量比で含有する洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献4には、消泡成分(A)と、アニオン界面活性剤(B)、ノニオン界面活性剤(D)及びカチオン界面活性剤(E)から選ばれる少なくとも1種と、を含む泡消火薬剤用消泡剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平3-115498号公報
【文献】特開2003-221595号公報
【文献】特開平7-109482号公報
【文献】特開2018-122291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、起泡性組成物に対する抑泡性に優れる新規な抑泡剤組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の(a)成分及び(b)成分を含有する、抑泡剤組成物に関する。
(a)成分:炭素数が5以上18以下の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル又はその塩
(b)成分:抑泡剤
【0007】
また、本発明は、上記抑泡剤組成物及び界面活性剤(ただし、(a)成分及び(b)成分を除く)を含有する、洗浄剤組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、上記抑泡剤組成物を、起泡性を有する組成物に混合して、前記組成物の起泡性を低減する、起泡性低減方法に関する。
【0009】
また、本発明は、上記洗浄剤組成物を含む処理液と被処理物を接触させた後、被処理物を水ですすぐ、洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、起泡性組成物に対する抑泡性に優れる抑泡剤組成物が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の抑泡剤組成物により、起泡性組成物に対する抑泡性が向上する機構は定かではないが、次のように推察される。(a)成分が水中で水和固体を形成し、この水和固体が泡に作用して泡が破泡される、或いはこの水和固体により泡の形成が抑制されるものと考えられる。つまり、(a)成分は硬度成分がない状態においても特定濃度域においてベシクルという会合状態を形成し、この会合状態においては非常に疎水的であるため、抑泡効果或いは起泡性低減効果が発揮されると考えられる。また、(a)成分は、硬度成分存在下の条件において、効率良く水和固体を形成して泡の形成を抑制することができると考えられる。したがって、硬度成分の存在下では(a)成分の水和固体形成量が増加するため、本発明の抑泡剤組成物は、硬度成分の存在下でより高い抑泡効果或いは起泡性低減効果を発揮すると考えられる。そして、これら効果と、(a)成分により(b)成分の抑泡性能が促進される効果の相乗効果により、高い抑泡効果や起泡性低減効果が発揮されると考えられる。なお、本発明の抑泡剤組成物は、この作用機構に制限されるものではない。
【0012】
<抑泡剤組成物>
本発明の抑泡剤組成物は、下記の(a)成分及び(b)成分を含有する。
(a)成分:炭素数が5以上18以下の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル又はその塩
(b)成分:抑泡剤
本発明の抑泡剤組成物は、起泡性を有する組成物に混合され、該起泡性を有する組成物の泡立ちを抑制するものであってよい。
【0013】
<(a)成分>
(a)成分は、炭素数5以上18以下の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル又はその塩である。(a)成分は、スルホコハク酸モノエステルであっても、スルホコハク酸ジエステルであってもよく、スルホコハク酸ジエステル又はその塩が好ましい。
(a)成分の炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、抑泡性及び品質安定性の観点から、アルキル基が好ましい。(a)成分の炭化水素基の炭素数は、抑泡性及び品質安定性の観点から、それぞれ独立して、5以上、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上、そして、洗浄性の観点から、18以下、好ましくは15以下、より好ましくは12以下である。また、(a)成分の炭化水素基は、直鎖、分岐鎖の何れであってもよく、抑泡性及び品質安定性の観点から、分岐鎖を有することが好ましい。
【0014】
(a)成分は、抑泡性の観点から、炭素数5以上18以下の炭化水素基を2つ有するスルホコハク酸ジエステル又はその塩が好ましく、下記一般式(a1)で表される化合物が挙げられる。
なお、本発明における(a)成分の含有量は、ナトリウム塩として換算される。
【0015】
【化1】

〔式中、R、Rは、それぞれ、炭素数5以上18以下の炭化水素基であり、AO、AOは、それぞれ、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、x1、x2は、平均付加モル数であり、それぞれ、0以上10以下の数であり、Mは陽イオンである。〕
【0016】
一般式(a1)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ、炭素数5以上18以下の炭化水素基である。炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられる。抑泡性及び品質安定性の観点から、アルキル基が好ましい。
【0017】
一般式(a1)中、R及びRの炭化水素基の炭素数は、抑泡性及び品質安定性の観点から、それぞれ、5以上、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上、そして、洗浄性の観点から、18以下、好ましくは15以下、より好ましくは12以下である。
【0018】
一般式(a1)中、R及びRの合計炭素数は、抑泡性及び品質安定性の観点から、好ましくは12以上、より好ましくは16以上、更に好ましくは20以上、そして、好ましくは30以下、より好ましくは24以下である。ここで、(a1)成分として、R及びRの合計炭素数の異なる2種以上の化合物を含有する場合、(a1)成分全体としてのR及びRの合計炭素数は、それぞれの化合物のR及びRの合計炭素数のモル平均を表す。
【0019】
一般式(a1)中、R及びRの炭化水素基は、それぞれ、直鎖、分岐鎖の何れでもよいが、抑泡性及び品質安定性の観点から、分岐鎖を有することが好ましい。前記R及びRである分岐鎖の炭化水素基は、抑泡性の観点から、炭素数2以上の側鎖を有することが好ましく、炭素数3以上の側鎖を有することがより好ましい。側鎖の炭素数は8以下、更に6以下であってよい。なお、R及びRの炭化水素基のうち、式中の酸素原子(O)と結合している炭素を1番目の炭素として最も長い炭素の並びを主鎖と呼び、主鎖の炭素数をX(R及びRの炭素数5以上なのでXは3以上となる)とするときに、主鎖の1番目からX-1番目の何れかの炭素に結合している炭化水素基のことを、それぞれ、側鎖という。
一般式(a1)中、R及びRの炭化水素基は、飽和、不飽和の何れでもよい。
一般式(a1)中、R及びRの少なくとも1つが、分岐構造であることが好ましい。
一般式(a1)中、R及びRの炭化水素基は、抑泡性の観点から、飽和の分岐鎖炭化水素基が含まれることがより好ましい。
また、R及びRの炭化水素基は、抑泡性及び入手性の観点から、ゲルベアルコール由来の基であってよい。
【0020】
一般式(a1)中のR及びRは、抑泡性の観点から、それぞれ独立して、好ましくは炭素数8以上12以下の分岐鎖アルキル基、より好ましくは炭素数8以上10以下の分岐鎖アルキル基、更に好ましくは炭素数10の分岐鎖アルキル基である。
【0021】
本発明においては、第2級アルコールから水酸基を除去した炭化水素残基を、分岐鎖アルキル基など鎖式分岐炭化水素基に含める。
及びRが、それぞれ、炭素数8以上12以下の分岐鎖アルキル基である場合、側鎖を構成する炭素数の合計は、同一あるいは異なっていてもよく、抑泡性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは3である。
本発明において、側鎖を構成する炭素数の合計とは、一つの分岐鎖アルキル基において、主鎖以外の全側鎖の炭素数を合計したものであり、側鎖が複数ある場合は、それら全側鎖の炭素数の合計である。
【0022】
及びRの側鎖の数は、同一あるいは異なっていてもよく、抑泡性の観点から、1以上、そして、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。R及びRの側鎖の数は、抑泡性の観点から、それぞれ、1であることが好ましい。
本発明において、側鎖の数とは、主鎖から分岐する側鎖の数であり、側鎖が、更に当該側鎖から分岐する側鎖を有していても側鎖の数としては変わらない。ただし、側鎖が更に当該側鎖から分岐する側鎖を有していてもよいが、抑泡性及び品質安定性の観点から、側鎖は直鎖であることが好ましい。
【0023】
及びRが、それぞれ独立して、炭素数8以上12以下の分岐鎖アルキル基である場合、R及びRの分岐炭素の数は、同一あるいは異なっていてもよく、抑泡性の観点から、1以上、そして、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。R及びRの分岐炭素の数は、抑泡性の観点から、それぞれ、1であることが好ましい。本発明において、分岐炭素の数とは、分岐鎖アルキル基中の第3級炭素原子と第4級炭素原子の数の合計である。
【0024】
及びRのより好ましい態様は、抑泡性及び品質安定性の観点から、炭素数8以上12以下の分岐鎖アルキル基であって、主鎖の炭素数が、それぞれ独立して、6以上8以下であり、側鎖を構成する炭素数が、それぞれ独立して、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは3であり、側鎖の数が、それぞれ独立して、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1である分岐鎖アルキル基である。
及びRは、抑泡性の観点から、それぞれ、分岐鎖オクチル基、分岐鎖デシル基及び分岐鎖ドデシル基から選ばれる分岐鎖アルキル基が好ましく、抑泡性の観点から、分岐鎖デシル基がより好ましい。分岐鎖オクチル基は、2-エチルヘキシル基などが挙げられる。分岐鎖デシル基は、2-プロピルヘプチル基、KHネオケム株式会社製デシルアルコール由来の基などが挙げられ、2-プロピルヘプチル基が好ましい。分岐鎖ドデシル基は、2-ブチルオクチル基などが挙げられる。
【0025】
一般式(a1)中、Rの炭化水素基とRの炭化水素基は、同一でも異なっていてもよい。Rの炭化水素基とRの炭化水素基が異なる場合は、抑泡性の観点で好ましい。また、Rの炭化水素基とRの炭化水素基が同一である場合は、抑泡性、品質安定性の観点で好ましい。例えば、一般式(a1)中、Rの炭素数とRの炭素数は、同一でも異なっていてもよい。Rの炭素数とRの炭素数が異なる場合は、抑泡性の観点で好ましい。また、Rの炭素数とRの炭素数が同一である場合は、抑泡性、品質安定性の観点で好ましい。
【0026】
一般式(a1)中、R及びRの炭化水素基は、下記式で定義される分岐度が、抑泡性の観点から、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下、更に好ましくは0.1以下、より更に好ましくは0.08以下であり、そして、抑泡性の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.04以上である。
分岐度=〔(R及びRの末端メチル基の総数)-2〕/(R及びRの有する総炭素数)
なお、分岐度は、H-NMRを用いて測定することができる平均値である。
【0027】
一般式(a1)中、AO、AOは、それぞれ、炭素数2以上4以下、抑泡性の観点から好ましくは炭素数2又は3のアルキレンオキシ基である。一般式(a1)中、x1、x2は、AO、AOの平均付加モル数を表し、それぞれ、0以上10以下、抑泡性の観点から好ましくは6以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは2以下の数であり、0がより更に好ましい。
【0028】
一般式(a1)中、Mは陽イオンである。Mは水素イオン以外の陽イオンが好ましい。Mとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン、トリエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、モノメチルアンモニウムイオンなどの有機アンモニウムイオンなどが挙げられる。
Mは、抑泡性及び品質安定性の観点から、アルカリ金属イオン、アルカノールアンモニウムイオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオンがより好ましく、ナトリウムイオンが更に好ましい。
【0029】
<(b)成分>
(b)成分は、抑泡剤である。(b)成分は、抑泡性及び品質安定性の観点から、例えば、脂肪酸、脂肪酸の塩及びシリコーンから選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。(b)成分は、抑泡性の観点から、炭素数10以上20以下の脂肪酸又はその塩、及び消泡剤や抑泡剤として用いられるシリコーンが好ましい。
【0030】
(b)成分の脂肪酸としては、例えば、炭素数10以上20以下の脂肪酸が挙げられる。脂肪酸は、抑泡性及び品質安定性の観点から、炭素数10以上18以下の脂肪酸が好ましく、炭素数12以上16以下の脂肪酸がより好ましい。
脂肪酸としては、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸が挙げられる。また、ヤシ組成脂肪酸などの混合脂肪酸を用いることも可能である。
脂肪酸の塩としては、脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩から選ばれる無機塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩などの有機アミン塩が挙げられる。抑泡性及び品質安定性の観点から、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、モノエタノールアミン塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩、モノエタノールアミン塩がより好ましい。
また、これら以外に、脂肪酸は、金属石鹸(長鎖脂肪酸塩)等の非アルカリ金属塩であってよい。
【0031】
(b)成分のシリコーンは、液状または粉末状のものが用いられる。シリコーンは、シロキサン結合を主鎖とするポリマーであり、例えば、ポリジメチルシロキサンが挙げられる。(b)成分は、抑泡性の観点から、シリコーンとシリカ(SiO)を含むことが好ましい。(b)成分のシリコーンが、シリコーンとシリカ(SiO)を含む場合、(b)成分は、抑泡性の観点から、シリカを、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、そして、0質量%超含むシリコーンである。
(b)成分のシリコーンとしては、シリコーン単独で用いることもできるが、シリコーン単独系のほかに、疎水性のシリカなどのフィラー粒子を含んだコンパウンド型シリコーンや、乳化剤を含んだエマルジョン型シリコーン、ポリオルガノシロキサンを用いた自己乳化型シリコーンなどが挙げられ、これらはいずれも使用できる。
【0032】
シリコーンの例としては、オイル型、オイルコンパウンド型、溶液型、自己乳化型、エマルジョン型などが挙げられる。一般に、オイル型はシリコーンオイル単体で用いるものを指し、溶液型はシリコーンオイルを有機溶剤に希釈したものを指す。コンパウンド型はシリコーンオイルに微粉末シリカなどを配合したものを指し、エマルジョン型はシリコーンオイルを非イオン性界面活性剤などで乳化したものを指す。自己乳化型はシリコーンオイルの構造中にアルキレンオキシ基などを導入したものを指し、変性シリコーンオイルなどとも呼ばれるものを含む。粉末型はシリコーンオイルを吸油性の粉末に吸着させて粉体化したものである。(b)成分のシリコーンとして、これらはいずれも使用できる。
(b)成分のシリコーンは、抑泡性の観点から、コンパウンド型シリコーン及びエマルジョン型シリコーンから選択される1種以上のシリコーンが好ましく、コンパウンド型シリコーンがより好ましい。コンパウンド型シリコーンは、抑泡性の観点から、シリコーンとシリカを含むコンパウンド型シリコーンが好ましい。コンパウンド型シリコーンは、シリカを、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、そして、0質量%超含むシリコーンであってよい。コンパウンド型シリコーンは、例えば、ダウ・ケミカル社より入手可能なDOWSIL AC-8066 Antifoamなどを挙げることができる。
【0033】
<組成及びその他成分>
本発明の抑泡剤組成物は、(a)成分を、抑泡性の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは0.75質量%以上、より更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは2.5質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは7.5質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上、そして、品質安定性及び抑泡性の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、より更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは60質量%以下含有する。
【0034】
本発明の抑泡剤組成物は、(b)成分を、抑泡性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下含有する。
【0035】
本発明の抑泡剤組成物中、(a)成分と(b)成分の合計含有量は、抑泡性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2.5質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、そして、品質安定性及び抑泡性の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、より更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは60質量%以下である。
【0036】
本発明の(a)成分は、(b)成分と併用することで(b)成分の抑泡効果をより高めることができる。この観点、すなわち抑泡性の観点から、本発明の抑泡剤組成物中、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比(a)/(b)は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2.5以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7.5以上、より更に好ましくは10以上、より更に好ましくは15以上、そして、品質安定性及び抑泡性の観点から、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下である。
【0037】
本発明の抑泡剤組成物中、(a)成分と(b)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の質量比(a)/[(a)+(b)]は、抑泡性の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上、より更に好ましくは0.6以上、そして、品質安定性及び抑泡性の観点から、例えば、1未満、更には0.95以下、更には0.9以下であってよい。
【0038】
本発明の抑泡剤組成物は、水を含有できる。水は、例えば、水道水、イオン交換水、精製水が挙げられる。水は、不純物を含まず適度に精製されている水が好ましく使用される。井戸水、工業用水、緩衝液の使用も可能である。水は、水道水、精製水、イオン交換水が好ましい。
【0039】
本発明の抑泡剤組成物は、(c)溶剤〔以下、(c)成分という〕を含有できる。(c)成分は、有機溶剤であってよい。(c)成分は、例えば、水酸基を有する溶剤が挙げられる。(c)成分は、品質安定性及び本発明の抑泡剤組成物の抑泡性を更に高める観点から、下記の(c1)~(c4)成分から選ばれる1種以上の有機溶剤が好ましい。
(c1)成分:炭素数2以上6以下の1価のアルコール
(c2)成分:炭素数2以上12以下、且つ2価以上12価以下のアルコール
(c3)成分:炭素数1以上8以下の炭化水素基(部分的に置換していても良い芳香族基を除く)、エーテル基及び水酸基を有する有機溶剤
(c4)成分:部分的に置換していても良い芳香族基、エーテル基及び水酸基を有する有機溶剤
【0040】
(c1)成分としては、例えば、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、フェノールが挙げられる。
【0041】
(c2)成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリンが挙げられる。
【0042】
(c3)成分としては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコールとも呼称される)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-メチルグリセリンエーテル、2-メチルグリセリンエーテル、1,3-ジメチルグリセリンエーテル、1-エチルグリセリンエーテル、1,3-ジエチルグリセリンエーテル、1-ペンチルグリセリルエーテル、2-ペンチルグリセリルエーテル、1-オクチルグリセリルエーテル、2-エチルヘキシルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0043】
(c4)成分としては、例えば、2-フェノキシエタノール(フェニルグリコールとも呼称される)、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、2-ベンジルオキシエタノール、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルが挙げられる。
【0044】
(c)成分は、製剤化及び本発明の抑泡剤組成物の抑泡性を更に高める観点から、前記の(c2)成分及び(c3)成分から選ばれる1種以上の有機溶剤が好ましい。
【0045】
本発明の抑泡剤組成物は、(c)成分を、抑泡性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下含有することができる。
【0046】
本発明の抑泡剤組成物は、抑泡性の観点から、硬度成分を含有する水と混合して用いられることが好ましい。本発明の抑泡剤組成物は、抑泡性の観点から、硬度成分と水を含有する組成物に混合して用いられることが好ましい。硬度成分は、例えば、カルシウム及びマグネシウムであり、水に含まれる全硬度成分の量は、ドイツ硬度、アメリカ硬度等により、単位水量中のカルシウム化合物の濃度で表現される。ドイツ硬度は全硬度成分をCaOに換算した量をmg/水100mLで表し(単位:°DH)、アメリカ硬度は全硬度成分をCaCOに換算した量をmg/Lで表す(単位:ppm)ものである。両者には、アメリカ硬度(ppm)=ドイツ硬度(°DH)×17.85の関係がある。
【0047】
抑泡性の観点から、硬度成分はカルシウム、マグネシウムが挙げられ、カルシウムがより好ましい。
【0048】
抑泡性の観点から、硬度成分を含有する水の温度は、0℃以上が好ましく、より好ましくは5℃以上、そして、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下である。
【0049】
硬度成分を含有する水のpHは、本発明の抑泡剤組成物の抑泡性に影響しないので、硬度成分を含有する水、及び当該水と抑泡剤組成物を混合して得られる組成物は、pHが1~14の範囲で抑泡性を維持できる。
【0050】
本発明の抑泡剤組成物は、任意に、(a)成分及び(b)成分以外の界面活性剤、pH調整剤、香料、抗菌剤、漂白剤、漂白活性化剤、酵素、ポリマー、香料カプセル等を含んでもよい。pH調整剤としては、例えばモノエタノールアミンなどのアルカリ剤や、クエン酸などの酸剤を用いることができる。
【0051】
本発明の抑泡剤組成物は、繊維等の洗浄工程の処理液、繊維の染色加工工程の処理液、食品製造又は加工工程の混合物、水処理工程の処理液、紙・パルプ製造工程の処理液、金属加工工程の処理液等の、処理液又は混合物の泡立ちの抑制及び/又は起泡した泡の量の低減に使用できる。そして、本発明の抑泡剤組成物は、洗浄工程の処理液の泡立ち抑制及び/又は起泡した泡の低減に好ましく使用できる。
本発明の抑泡剤組成物は、該抑泡剤組成物を含む処理液の起泡性の低減及び/又は抑泡性の観点から、洗浄用途の処理液に用いられることが好ましい。
【0052】
本発明の抑泡剤組成物は、繊維製品処理剤用の抑泡剤組成物であってよい。また、本発明の抑泡剤組成物は、繊維製品洗浄剤用の抑泡剤組成物であってよい。
本発明の抑泡剤組成物は、起泡性組成物に用いられ当該起泡性組成物の泡立ちを抑制する、起泡性組成物用の起泡性低減剤であってよい。また、本発明の抑泡剤組成物は、起泡性組成物に用いられ当該起泡性組成物の泡立ちを低減する起泡性組成物用改質剤組成物であってよい。
本発明の抑泡剤組成物は、対象となる液体又は流動体に用いられ、対象となる液体若しくは流動体の起泡性を抑制する抑泡剤組成物、又は対象となる液体若しくは流動体により形成された泡の量を低減する抑泡剤組成物であってよい。
【0053】
<洗浄剤組成物>
本発明は、上記本発明の抑泡剤組成物と、界面活性剤(ただし、(a)成分及び(b)成分を除く)〔以下、(x)成分という〕を含有する、洗浄剤組成物(以下、本発明の洗浄剤組成物という)を提供する。
本発明の洗浄剤組成物は、上記(a)成分、(b)成分及び(x)成分を含有する、洗浄剤組成物であってよい。
本発明の洗浄剤組成物における、(a)成分、(b)成分等の好ましい態様や具体例は、上記本発明の抑泡剤組成物で述べた態様と同様である。
【0054】
(x)成分は、任意に配合してよく、従来、洗浄剤に用いられるものでよく、例えば、(x1)ノニオン界面活性剤〔以下、(x1)成分という〕、(x2)アニオン界面活性剤〔以下、(x2)成分という〕、(x3)カチオン界面活性剤〔以下、(x3)成分という〕、(x4)両性界面活性剤〔以下、(x4)成分という〕等が挙げられる。(x)成分は、(x1)~(x4)成分から選択される1種以上の化合物が好ましく、洗浄性及び抑泡性の観点から(x1)成分、(x2)成分から選ばれる1種以上の化合物が好ましく、(x1)成分がより好ましい。
【0055】
(x1)成分としては、HLBが10以上19以下のノニオン界面活性剤が好ましい。
本発明におけるノニオン界面活性剤がポリオキシエチレン基を有するノニオン界面活性剤である場合、該ポリオキシエチレン基を有するノニオン界面活性剤のHLBは、下記式で算出されるHLBを言う。
HLB=〔(ポリオキシエチレン基の平均分子量)/〔(x1)成分の平均分子量〕〕×20
この式において、ポリオキシエチレン基の平均分子量とは、オキシエチレン基の付加モル数が分布を有する場合は、平均付加モル数から算出された平均分子量を表す。また平均分子量とは、炭化水素基などの疎水基が分布を有する場合やポリオキシエチレン基の付加モル数が分布を有する場合は、平均値で算出される分子量である。
なお、以下に具体的なノニオン界面活性剤を例示するが、前記のオキシエチレン基をエチレンオキシ基と称する場合がある。
【0056】
また、本発明において、ノニオン界面活性剤がポリオキシエチレン基を有さない場合、ノニオン界面活性剤のHLBは、“Journal of Colloid and Interface Science,Vol.107.No.1,September1985”に記載された国枝らの方法に従って測定されたものを言う。この文献に記載されたHLBの測定方法は、特定の温度(THLB)とグリフィン(Griffin)によるHLB数とが線形関係にあるという知見に基づくHLBの測定法である。
【0057】
(x1)成分は、下記一般式(x1-1)で表されるノニオン界面活性剤が好適である。
1x (CO) O-(AO) -R2x (x1-1)
〔式中、R1x は炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R2 xは水素原子又はメチル基であり、COはカルボニル基であり、mは0又は1の数であり、AO基はエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上の基であり、AO基がエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基を含む場合は、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。nは平均付加モル数であって、1以上70以下の数であり、当該ノニオン界面活性剤のHLBが10以上19以下となる数である。〕
【0058】
式(x1-1)中、AOは、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基である。抑泡性の観点から、AOはプロピレンオキシ基を含むアルキレンオキシ基が好ましい。
【0059】
(x2)成分としては、以下の(x2-1)~(x2-11)から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。抑泡性の観点から、(x2-1)、(x2-5)、(x2-11)から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が好ましく、(x2-11)から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤がより好ましい。
(x2-1)炭素数8以上18以下のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)。
(x2-2)炭素数10以上20以下のアルカンスルホン酸塩。
(x2-3)炭素数10以上20以下のα-オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(x2-4)炭素数10以上20以下のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS) 。
(x2-5)炭素数2以上4以下のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9~9.9/0.1)を、平均0.5~10モル付加した炭素数10以上20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩(AES)。
(x2-6)炭素数2以上4以下のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9~9.9/0.1)を、平均3~30モル付加した炭素数10以上20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル硫酸塩。
(x2-7)炭素数2以上4以下のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9~9.9/0.1)を、平均0.5~10モル付加した炭素数10以上20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩。
(x2-8)炭素数10以上20以下のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸のようなアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(x2-9)長鎖モノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(x2-10)ポリオキシエチレンモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(x2-11)炭素数16以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩。
【0060】
上記(x2-1)成分~(x2-11)成分の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩から選ばれる無機塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩などの有機アミン塩が挙げられる。抑泡性の観点から、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、モノエタノールアミン塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩、モノエタノールアミン塩がより好ましい。
【0061】
なお、(x2-1)~(x2-10)成分の含有量は、ナトリウム塩として換算される。また、(x2-11)成分の含有量は、カリウム塩として換算される。
【0062】
(x3)成分としては、第3級アミン塩であるカチオン界面活性剤及び第4級アンモニウム塩であるカチオン界面活性剤が挙げられる。
【0063】
(x4)成分としては、ベタイン型両性界面活性剤、及びアミンオキサイド型両性界面活性剤が挙げられる。
ベタイン型両性界面活性剤としては、2-ラウリル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2-ミリスチル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルイミダゾリウムベタイン;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン;ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドプロピルベタイン;ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ヤシ油ヒドロキシスルホベタイン等のアルキルヒドロキシスルホベタイン及びラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等の脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等のヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
アミンオキサイド型両性活性剤としては、オクチルジメチルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ミリスチルジメチルアミンオキサイド等のアルキルジメチルアミンオキサイドが挙げられる。
【0064】
<組成及びその他成分>
本発明の洗浄剤組成物は、(a)成分を、抑泡性の観点から、好ましくは0.000001質量%以上、より好ましくは0.00001質量%以上、更に好ましくは0.00005質量%以上、より更に好ましくは0.0001質量%以上、より更に好ましくは0.00025質量%以上、より更に好ましくは0.0005質量%以上、より更に好ましくは0.001質量%以上、より更に好ましくは0.0025質量%以上、より更に好ましくは0.005質量%以上、より更に好ましくは0.01質量%以上、そして、品質安定性及び抑泡性の観点から、好ましくは9.5質量%以下、より好ましくは9質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、より更に好ましくは7質量%以下、より更に好ましくは6質量%以下含有する。
【0065】
本発明の洗浄剤組成物は、使用時における(a)成分の濃度が、抑泡性の観点から、好ましくは0.01ppm以上、より好ましくは0.1ppm以上、更に好ましくは1ppm以上、より更に好ましくは3ppm以上、そして、洗浄性の観点から、好ましくは500ppm以下、より好ましくは400ppm以下、更に好ましくは300ppm以下であってよい。なお、本発明では、ppmは、質量の割合を表す(以下のppmに関しても同様である)。
【0066】
本発明の洗浄剤組成物は、(b)成分を、抑泡性の観点から、好ましくは0.00001質量%以上、より好ましくは0.00005質量%以上、更に好ましくは0.0001質量%以上、より更に好ましくは0.0005質量%以上、より更に好ましくは0.001質量%以上、より更に好ましくは0.0025質量%以上、より更に好ましくは0.005質量%以上、より更に好ましくは0.01質量%以上、そして、好ましくは9質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは2.5質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下含有する。
【0067】
本発明の洗浄剤組成物は、使用時における(b)成分の濃度が、抑泡性の観点から、好ましくは0.01ppm以上、より好ましくは0.05ppm以上、更に好ましくは0.1ppm以上、より更に好ましくは0.2ppm以上、そして、洗浄性の観点から、好ましくは500ppm以下、より好ましくは400ppm以下、更に好ましくは300ppm以下であってよい。
【0068】
本発明の洗浄剤組成物中、(a)成分と(b)成分の合計含有量は、抑泡性の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.25質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、そして、品質安定性及び抑泡性の観点から、好ましくは9.5質量%以下、よりは9質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、より更に好ましくは7質量%以下、より更に好ましくは6質量%以下である。
【0069】
本発明の洗浄剤組成物は、使用時における(a)成分と(b)成分の合計濃度が、抑泡性の観点から、好ましくは0.01ppm以上、より好ましくは0.02ppm以上、更に好ましくは0.05ppm以上、より更に好ましくは0.1ppm以上、そして、洗浄性の観点から、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは800ppm以下、更に好ましくは600ppm以下であってよい。
【0070】
本発明の洗浄剤組成物は、(x)成分を、洗浄性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、そして、抑泡性及び品質安定性の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは60質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下、より更に好ましくは40質量%以下含有することができる。
【0071】
本発明の洗浄剤組成物は、使用時における(x)成分の濃度が、洗浄性の観点から、好ましくは20ppm以上、より好ましくは30ppm以上、更に好ましくは40ppm以上、より更に好ましくは50ppm以上、そして、抑泡性の観点から、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは800ppm以下、更に好ましくは600ppm以下であってよい。
【0072】
本発明の洗浄剤組成物中、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比(a)/(b)は、(a)成分と(b)成分との併用により(b)成分の抑泡性をより高める観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは 2.5以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7.5以上、より更に好ましくは10以上、より更に好ましくは15以上、そして、品質安定性及び洗浄性の観点から、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下である。
【0073】
本発明の洗浄剤組成物中、(a)成分と(b)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の質量比(a)/[(a)+(b)]は、抑泡性の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上、より更に好ましくは0.6以上、そして、品質安定性及び抑泡性の観点から、例えば、1未満、更には0.95以下、更には0.9以下であってよい。
【0074】
本発明の洗浄剤組成物中、(x)成分の含有量に対する(a)成分と(b)成分の合計含有量の質量比〔〔(a)+(b)〕/(x)〕は、抑泡性の観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上、そして、品質安定性及び洗浄性の観点から、好ましくは0.60以下、より好ましくは0.50以下、更に好ましくは0.40以下、より更に好ましくは0.35以下である。
【0075】
本発明の洗浄剤組成物は、任意に、pH調整剤、香料、抗菌剤、漂白剤、漂白活性化剤、酵素、ポリマー、香料カプセル等を含んでもよい。
【0076】
本発明の洗浄剤組成物は、水道水などの水と混合して、又は当該水で希釈した処理液として使用できる。本発明の洗浄剤組成物は、硬度成分を含有する水と混合して使用できる。
【0077】
<起泡性低減方法及び洗浄方法等>
本発明は、起泡性を有する組成物に、上記本発明の抑泡剤組成物を混合して、該起泡性を有する組成物の起泡性を低減する、起泡性低減方法を提供する。
また、本発明は、起泡性を有する組成物に、(a)成分と、(b)成分を混合し、起泡性が低減された起泡性組成物を得る、起泡性組成物の製造方法を提供する。
これら方法において、起泡性を有する組成物は、硬度成分と水を含有する組成物であってよい。
【0078】
また、本発明は、本発明の洗浄剤組成物を含む処理液と被処理物とを接触させる、洗浄方法を提供する。被処理物を前記処理液に接触させた後、被処理物を水ですすいでもよい。被処理物としては、例えば、繊維、繊維製品などが挙げられる。
本発明の洗浄方法は、本発明の洗浄剤組成物を含む処理液と繊維製品とを接触させる、繊維製品の洗浄方法であってよい。繊維製品を前記処理液に接触させた後、繊維製品を水ですすいでもよい。
【0079】
本発明の洗浄方法は、(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を混合して得た洗浄剤組成物と繊維製品とを接触させ、その後、該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の洗浄方法であってよい。
また、本発明の洗浄方法は、本発明の洗浄剤組成物と、硬度成分を含有する水を混合して得た処理液を繊維製品とを接触させ、その後、該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の洗浄方法であってよい。
本発明の繊維製品の洗浄方法では、上記本発明の洗浄剤組成物を使用時の濃度で好ましく用いることができる。
【0080】
硬度成分を含有する水は、例えば、水道水、飲料水(ミネラルウォーター)、温泉水、緩衝液である。硬度成分は、例えば、カルシウム及びマグネシウムであり、水に含まれる全硬度成分の量は、抑泡性及び洗浄性の観点から、例えば、0.1°DH以上、更に0.5°DH以上、更に1°DH以上、そして、洗浄性の観点から、例えば、50°DH以下、更に30°DH以下、更に20°DH以下、更に10°DH以下、更に5°DH以から選ぶことができる。
一般的に、硬度が低いほど硬度成分を含有する水は泡立ちやすいが、本発明の抑泡剤組成物は、そのような泡立ちやすい硬度領域でも、泡立ちを抑制できる。
【0081】
本発明の繊維製品の洗浄方法は、例えば、家庭用の洗濯機や業務用の洗濯機を用いて実施することができる。その際の条件は、通常行われる温度、洗浄時間、すすぎ回数、浴比、pHなどを採用することができる。
また、本発明の繊維製品の洗浄方法は、系中に皮脂などの油汚れや泥などの粒子汚れがある場合であっても、これらの汚れに対する洗浄性を維持し、且つ、処理液の抑泡性を維持できる。
【0082】
本発明の繊維製品の洗浄方法で用いられる硬度成分を含有する水の温度は、抑泡性の観点から、0℃以上が好ましく、より好ましくは5℃以上、そして、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下である。同様の観点から、本発明の抑泡剤組成物又は本発明の洗浄剤組成物を含む処理液の温度が、前記の好ましい範囲を満たすことが好ましい。
【0083】
本発明の抑泡剤組成物又は洗浄剤組成物を含む処理液で繊維製品を洗浄する洗浄時間は、抑泡性及び洗浄性の観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上、そして、好ましくは30分以下である。
【0084】
本発明の繊維製品の洗浄方法では、繊維製品の洗浄後に行う、繊維製品をすすぐ回数は、抑泡性及び界面活性剤残留性の観点から、好ましくは1回以上、そして、好ましくは5回以下である。
【0085】
本発明の抑泡剤組成物又は本発明の洗浄剤組成物を含む処理液の浴比は、洗浄性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2.5以上、更に好ましくは5以上、そして、抑泡性の観点から、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは20以下である。
【0086】
本発明の抑泡剤組成物又は本発明の洗浄剤組成物を含む処理液は、pHが1~14の範囲で処理液の抑泡性を維持できる。
【0087】
本発明の繊維製品の洗浄方法は、各種繊維、例えば、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、を含む繊維製品を対象とすることができる。例えば、繊維は、布の繊維であってよい。
【0088】
本発明の繊維製品の洗浄方法は、例えば、衣類などの繊維製品の洗濯工程に取り込んで実施することができる。ここで、洗濯工程は、繊維製品の洗浄、すすぎ及び脱水を行う処理であってよい。本発明では、これらの洗濯工程のいずれかで、本発明の処理液を、(a)成分と(b)成分が所定の要件を満たすように、繊維製品に対して適用することができる。
【0089】
繊維は、疎水性繊維、親水性繊維のいずれでも良い。疎水性繊維としては、例えば、タンパク質系繊維(牛乳タンパクガゼイン繊維、プロミックスなど)、ポリアミド系繊維(ナイロンなど)、ポリエステル系繊維(ポリエステルなど)、ポリアクリロニトリル系繊維(アクリルなど)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロンなど)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデンなど)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン系繊維(ポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維(ポリクレラールなど)、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維(ベンゾエートなど)、ポリフルオロエチレン系繊維(ポリテトラフルオロエチレンなど)等が例示される。親水性繊維としては、例えば、種子毛繊維(木綿、カポックなど)、靭皮繊維(麻、亜麻、苧麻、大麻、黄麻など)、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻など)、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維(羊毛、モヘア、カシミヤ、らくだ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラなど)、絹繊維(家蚕絹、野蚕絹)、羽毛、セルロース系繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートなど)等が例示される。
【0090】
抑泡性の観点から、繊維は木綿繊維を含む繊維であることが好ましい。繊維中の木綿繊維の含有量は、抑泡性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
本発明において繊維製品とは、前記の疎水性繊維や親水性繊維を用いた織物、編物、不織布等の布帛及びそれを用いて得られたアンダーシャツ、Tシャツ、ワイシャツ、ブラウス、スラックス、帽子、ハンカチ、タオル、ニット、靴下、下着、タイツ、マスク等の製品を意味する。抑泡性の観点から、繊維製品は木綿繊維を含む繊維製品であることが好ましい。繊維製品中の木綿繊維の含有量の好ましい態様は、前記繊維中の木綿繊維の含有量と同様である。
【実施例
【0091】
実施例及び比較例の処理液及び洗浄剤組成物の調製には、以下の成分を用いた。
<(a)成分>
(a-1)ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム
(a-2)ジ-2-プロピルヘプチルスルホコハク酸ナトリウム
<(b)成分>
(b-1)ヤシ油脂肪酸(C12:57質量%、C14:22質量%、C16:10質量%)、商品名:ルナックL-55(花王株式会社製)
(b-2)ミリスチン酸(C14:98質量%)、商品名:ルナックMY-98(花王株式会社製)
(b-3)コンパウンドタイプのシリコーン(シリカ含有量:8質量%)、商品名:DOWSIL AC-8066 Antifoam(ダウ・ケミカル社製)
<(c)成分:溶剤>
(c-1)プロピレングリコール、ダウ・ケミカル社製
(c-2)ブチルジグリコール、ダウ・ケミカル社製
【0092】
<(x1)成分:ノニオン界面活性剤>
(x1-1)C12/14(EO)10、ポリオキシエチレン混合アルキルエーテル(混合アルキル基が炭素数12のアルキル基/炭素数14のアルキル基(7/3、質量比)の混合アルキル基に、ポリオキシエチレン基が結合しており、オキシエチレン基の平均付加モル数は10モルである。)
(x1-2)C12/14(EO)(PO)(EO)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン混合アルキルエーテル(炭素数12のアルキル基/炭素数14のアルキル基(7/3、質量比)の混合アルキル基に、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレン基の順に結合しており、オキシエチレン基の平均付加モル数は9モルと9モル、オキシプロピレン基の平均付加モル数は2モルである。)
【0093】
<(x2)成分:アニオン界面活性剤>
(x2-1-1)LAS、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アルキル組成:C10/C11/C12/C13=11/29/34/26(質量比)、化合物全体の質量平均炭素数=17.75)
(x2-5-1)APES、アルキル基がラウリルアルコール由来であって、プロピレンオキシ基の平均付加モル数が2モル、エチレンオキシ基の平均付加モル数が2モルである(ポリオキシプロピレン)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム塩である。
(x2-11-1)C18IOS、炭素数18の内部オレフィンスルホン酸カリウム塩。当該C18IOS中のオレフィン体(オレフィンスルホン酸カリウム)/ヒドロキシ体(ヒドロキシアルカンスルホン酸カリウム)の質量比は16/84である。当該C18IOS中のHAS体のスルホン酸基の位置分布の質量比は以下の通りである。1位/2位/3位/4位/5位/6~9位=1.5/22.1/17.2/21.8/13.5/23.9である。また、スルホン酸基が2位以上4位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量(IO-1S)と、スルホン酸基が5位以上8位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量(IO-2S)との質量比(IO-1S)/(IO-2S)は、1.6である。
【0094】
(x2-11-1)のC18IOS中に含まれるHAS体のスルホン酸基の位置分布は、液体クロマトグラフ質量分析計(以下、LC-MSと省略)により測定した。なお、二重結合が6位以上に存在する内部オレフィンスルホン酸塩は、ピークが重なり明確に分画出来なかった。測定に使用した装置及び分析条件は次の通りである。
〔測定機器〕
LC装置:「LC-20ASXR」((株)島津製作所製)
LC-MS装置:「LCMS-2020」((株)島津製作所製)
カラム:ODS Hypersil(長さ:250mm、内径:4.6mm、粒子径:3μm、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)検出器:ESI(-)、m/z=349.15(C18)
〔溶媒〕
溶媒A:10mM酢酸アンモニウム水溶液
溶媒B:10mMの酢酸アンモニウムを添加した、アセトニトリル/水=95/5溶液
〔溶出条件〕
グラジエント:溶媒A60%溶媒B40%(0~15分)→溶媒A30%溶媒B70%(15.1~20分)→溶媒A60%溶媒B40%(20.1~30分)
流速:0.5ml/min
カラム温度:40℃
インジェクション量:5μL
【0095】
[実施例1、2及び比較例1、2]
表1、2に示す抑泡剤組成物を以下の方法で調製し、抑泡剤組成物の抑泡性能の評価を行った。
<抑泡剤組成物の調製>
100mL容量のガラス製ビーカーに長さ5cmのテフロン(登録商標)製スターラーピースを投入し質量を測定した。次に、表1又は2に記載の割合で、(c)成分、(a)成分(又は(a’)成分)、(b)成分をこの順で投入し、さらにイオン交換水5gを入れてビーカーの上面をサランラップ(登録商標)で封をした。内容物が入ったビーカーをマグネチックスターラーに設置した60℃のウォーターバスに入れ、ウォーターバス内の水の温度が60±2℃の温度範囲内で、100r/minで30分間撹拌した。次に、ウォーターバス内の水を、5℃の水道水に替え、ビーカー内の該組成物の温度が20℃になるまで冷却した後、10分間攪拌した。次に、サランラップ(登録商標)を外し、内容物の質量が100gになるように、イオン交換水を入れ、再度、100r/minで5分間撹拌し、表1、2に記載の抑泡剤組成物を得た。
【0096】
<抑泡性能の評価方法>
(1)硬度水の調製
20℃に温度調節したイオン交換水に塩化カルシウム・2水和物(富士フイルム和光純薬株式会社)3.31g及び塩化マグネシウム・6水和物(富士フイルム和光純薬株式会社)1.11gを1Lのイオン交換水に溶解させ、濃厚硬度水を調製した。この濃厚硬度水は、カルシウムとマグネシウムのモル比(カルシウム/マグネシウム)が8/2であり、ドイツ硬度が150°DHであった。
この濃厚硬度水を用いてこれをイオン交換水により100倍希釈し、5℃に温度調節したものを硬度水とした(ドイツ硬度1.5°DH)。
【0097】
<水のドイツ硬度の測定方法>
ドイツ硬度の測定は、以下の方法で行った。
〔試薬〕
・0.01mol/L EDTA・2Na溶液:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの0.01mol/L水溶液(滴定用溶液、0.01MEDTA-Na2、シグマアルドリッチ(SIGMA-ALDRICH)社製)
・Universal BT指示薬(製品名:Universal BT、(株)同仁化学研究所製)
・硬度測定用アンモニア緩衝液(塩化アンモニウム67.5gを28w/v%アンモニア水570mLに溶解し、イオン交換水で全量を1000mLとした溶液)
〔硬度の測定方法〕
まず、試料となる水20mLをホールピペットでコニカルビーカーに採取し、硬度測定用アンモニア緩衝液2mL添加した。更に、UniversalBT指示薬を0.5mL添加し、添加後の溶液が赤紫色であることを確認した。
コニカルビーカーをよく振り混ぜながら、ビュレットから0.01mol/L EDTA・2Na溶液を滴下し、試料となる水が青色に変色した時点を滴定の終点とした。EDTA・2Na溶液の滴定量T(mL)より、試料中の全硬度を下記の算出式で求めた。
硬度(°DH)=(T×0.01×F×56.0774×100)/A
T:0.01mol/L EDTA・2Na溶液の滴定量(mL)
A:サンプル容量(20mL、試料となる水の容量)
F:0.01mol/L EDTA・2Na溶液のファクター
【0098】
(2)抑泡性能の評価
(1)で調製した硬度水を用いて界面活性剤(C1214(EO)10、エマルゲン110L、花王(株)製)の濃度が250ppmになるように希釈した。そして、界面活性剤を希釈した溶液をスクリュー管(No.8)に50mL入れ、この溶液に表1、2の抑泡剤組成物を測りとり、滴下した。このとき、スクリュー管中の溶液の容量に対する、抑泡剤組成物の添加量が、表1、2に記載の添加量(g/L)換算となるように、抑泡剤組成物を測りとった。その後、振とう機(STRONG SHAKER SR-2DW、TAITEC製)で300rpmにて3分間振とうし、振とう後5秒後における泡高さ(cm)をものさしにより測定した。表1では比較例1-2、表2では比較例2-2の泡高さを基準として抑泡性能は下記式により算出した。算出された抑泡性能の値が0.95未満であり、値が低いほど、抑泡剤組成物の抑泡性能が高いといえる。
抑泡性能=(抑泡剤組成物を用いた場合の泡高さ(cm))/(基準組成物を用いた場合の泡高さ(cm))
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
[実施例3及び比較例3]
表3に示す洗浄剤組成物を以下の方法で調製し、実施例1-8の抑泡剤組成物の抑泡性能の評価を行った。
<洗浄剤組成物の調製>
200mL容量のガラス製ビーカーに長さ5cmのテフロン(登録商標)製スターラーピースを投入し質量を測定した。次に25℃のイオン交換水20g、表3に示す割合で界面活性剤成分、次いで溶剤を投入し、ビーカーの上面をサランラップ(登録商標)で封をした。内容物が入ったビーカーをマグネチックスターラーに設置した60℃のウォーターバスに入れ、ウォーターバス内の水の温度が60±2℃の温度範囲内で、100r/minで30分間撹拌した。その後、表1の実施例1-8に示す抑泡剤組成物を、表3に示す割合で入れて、10分間攪拌した。その後内容物の温度を25℃に調整し、内容物のpHを、アルカリ剤(モノエタノールアミン)又は酸剤(クエン酸)により、pH7に調整した。pHの測定は、下記のpHの測定方法により行った。次に、サランラップ(登録商標)を外し、内容物の質量が200gになるように、イオン交換水を入れ、再度、100r/minで5分間撹拌し、表3に記載の洗浄剤組成物を得た。
【0102】
〔pHの測定方法〕
pHメーター(HORIBA製 pH/イオンメーターF-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製 ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を投入した。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33モル/L)を使用した。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬した。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行った。測定対象となるサンプル(表3の洗浄剤組成物)を25℃に調整し、前記のpHメーターの電極をサンプルに浸漬し、1分後のpHを測定した。
【0103】
<抑泡性能の評価方法>
(1)硬度水の調製
上記実施例1、2の(1)と同様の方法で、硬度水(ドイツ硬度1.5°DH)を調製した。
【0104】
(2)抑泡性能の評価
上記(1)で調製した硬度水をスクリュー管(No.8)に50mL入れて、これに表3の洗浄剤組成物を0.08g測りとり、滴下した。振とう機(STRONG SHAKERSR-2DW、TAITEC製)で300rpmにて3分間振とうし、振とう後5秒後における泡高さ(cm)をものさしにより測定した。表3では比較例3-1の泡高さを基準として抑泡性能を下記式により算出した。算出された抑泡性能の値が0.95未満であり、値が低いほど、洗浄剤組成物の抑泡性能が高いといえる。
抑泡性能=(洗浄剤組成物を用いた場合の泡高さ(cm))/(基準組成物を用いた場合の泡高さ(cm))
【0105】
【表3】