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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】多層膜及びバッテリー
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/457 20210101AFI20241008BHJP
   H01G 11/52 20130101ALI20241008BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20241008BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/431 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20241008BHJP
【FI】
H01M50/457
H01G11/52
H01G11/84
H01M50/403 B
H01M50/417
H01M50/431
H01M50/443 M
H01M50/489
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021514502
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 US2019051210
(87)【国際公開番号】W WO2020060886
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】62/732,089
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,エリック アール.
(72)【発明者】
【氏名】ステップ,ブライアン アール.
(72)【発明者】
【氏名】タイス,ジェオフリー エイ.
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-083537(JP,A)
【文献】特開平11-250888(JP,A)
【文献】国際公開第2017/023720(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/083633(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/457
H01G 11/52
H01G 11/84
H01M 50/403
H01M 50/417
H01M 50/431
H01M 50/443
H01M 50/489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微多孔膜であって、前記微多孔膜は:
2つの外層であって、各外層はポリオレフィンを含む、2つの外層と;
複数の内層であって、各内層はポリオレフィンを含む、複数の内層と、
を含み、
前記外層の各々は、内層へ積層されており、前記複数の内層の各々は、少なくとももう一つの内層へ積層されており、
前記微多孔膜は、第一外層、第一内層、第二内(または中間)層、第三内層、および第二外層を備える五層膜であり、
前記第一および第二外層ならびに前記第二内(または中間)層は、ポリプロピレン、ポリプロピレン配合物、ポリプロピレン共重合体、またはこれらのいずれかの組合せを含み、前記ポリプロピレン、ポリプロピレン配合物、ポリプロピレン共重合体、またはこれらのいずれかの組合せは、延伸前の状態で0.90~0.92g/cmの密度を有し、
前記第一および第三内層は、ポリエチレン、ポリエチレン配合物、ポリエチレン共重合体、またはこれらのいずれかの組合せを含み、前記ポリエチレン、ポリエチレン配合物、ポリエチレン共重合体、またはこれらのいずれかの組合せは、延伸前の状態で0.95~0.97g/cmの密度を有する、微多孔膜。
【請求項2】
前記五層膜の5つの層の各々は、これらのそれぞれの隣接する層へ積層されている、請求項1に記載の微多孔膜。
【請求項3】
前記第一および第二外層ならびに前記第二内(または中間)層は、0.02~0.06μmの範囲の平均ポリプロピレン細孔径を有するか;または、
前記第一および第三内層は、0.03~1.0μmの範囲の平均ポリエチレン細孔径を有する、請求項1又は2に記載の微多孔膜。
【請求項4】
電気化学セル、バッテリー、コンデンサ、超コンデンサ、二層超コンデンサ、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池および/またはリチウムイオン二次電池において、請求項1~3に記載のいずれか一項に記載の微多孔膜を備えることを特徴とする、電気化学セル、バッテリー、コンデンサ、超コンデンサ、二層超コンデンサ、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池および/またはリチウムイオン二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2018年9月17日に出願された米国特許仮出願第62/732,089号(参照することにより本明細書に組み入れられるものとする)の優先権を主張する。
【0002】
技術分野
少なくとも選択された実施形態によれば、本願、本開示または本発明は、改良された膜、セパレータ膜、セパレータ、バッテリーセパレータ、リチウム二次電池セパレータ、多層膜、多層セパレータ膜、多層セパレータ、多層バッテリーセパレータ、多層リチウム二次電池セパレータ、多層バッテリーセパレータ、バッテリー、コンデンサ、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池および/もしくはリチウムイオン二次電池、ならびに/またはかかる膜、セパレータ膜、セパレータ、バッテリーセパレータ、リチウム二次電池セパレータ、バッテリー、コンデンサ、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池および/もしくはリチウムイオン二次電池の製造方法および/もしくは使用方法、ならびに/またはこれらを備えるデバイス、乗り物もしくは製品、ならびに/またはかかる膜、セパレータ膜、セパレータ、バッテリーセパレータ、および同様のものの試験方法、定量方法、特性決定方法、および/もしくは分析方法に関する。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、かかる膜を備える膜層、膜もしくはセパレータ膜、バッテリーセパレータ、および/または関連方法に関する。少なくとも特定の選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、かかる膜を備える多孔質高分子膜もしくはセパレータ膜、バッテリーセパレータ、および/または関連方法に関する。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、微多孔質ポリオレフィン膜もしくはセパレータ膜、ミクロ層膜、1つ以上のミクロ層もしくはナノ層膜を備える多層膜、かかる膜を備えるバッテリーセパレータ、ならびに/または関連方法に関する。少なくともかなり特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、1つ以上の外層および/もしくは内層を有する微多孔質延伸高分子膜またはセパレータ膜、ミクロ層膜、外層および/もしくは内層を有する多層微多孔膜またはセパレータ膜に関し、これらの層もしくは副層いくつかは、共押出により製造され、次いで、積層されて、膜またはセパレータ膜を形成する。いくつかの実施形態では、特定の層、ミクロ層またはナノ層は、ホモ重合体、共重合体、ブロック共重合体、エラストマー、および/またはポリマー配合物を含むことができる。選択された実施形態では、少なくとも特定の層、ミクロ層またはナノ層は、異なるまたは別々の重合体、ホモ重合体、共重合体、ブロック共重合体、エラストマー、および/またはポリマー配合物を含むことができる。本開示又は本発明は、かかる膜、セパレータ膜、もしくはセパレータの製造方法、および/または、例えば、リチウム電池セパレータとして、かかる膜、セパレータ膜、もしくはセパレータの使用方法も関連する。少なくとも選択された実施形態によれば、本願または本発明は、多層および/もしくはミクロ層多孔質もしくは微多孔質の膜、セパレータ膜、セパレータ、複合材、電気化学デバイス、および/もしくはバッテリー、ならびに/またはかかる膜、セパレータ、複合材、デバイス、および/もしくはバッテリーの製造方法および/もしくは使用方法を対象とする。少なくとも特定の選択された実施形態によれば、本願または本発明は、多層構造物の1つ以上の層が、複数の押出機を用いた多層もしくはミクロ層共押出ダイにおいて製造される多層のセパレータ膜を対象とする。膜、セパレータ膜、またはセパレータは、改良されたシャットダウン、改良された強度、改良された絶縁破壊強さ、および/または低減された分割傾向を実証することができる。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池などの多くのバッテリーは、電極を分離、電解液を保持、電荷移動を向上するため、および他の役割のために単層または多層(2+層)膜セパレータを組み込む。1つの従来のセパレータ膜設計は、米国ノースカロライナ州シャーロットのCelgard,LLCによる三層ポリオレフィン系セパレータである。これらの従来の三層設計は、多くのリチウムおよび他のバッテリー、特に、リチウムイオン二次電池において効果的であったが、これらは、特定のバッテリー技術ではリチウムイオン充電式電池などの特定の一次および/もしくは二次電池のより新しい用途のため強度および/もしくは性能特性のバランスを完全には最適化していない場合があるので、特定のより新しいバッテリー設計においては効果的に機能しない場合がある。このことは、顧客がより薄くより強いバッテリーセパレータを望むとき、バッテリーセパレータの要件がより厳しい要求になる際に特に当てはまる。例えば、三層を共押出により形成された微多孔質三層膜は、場合によっては、より薄い規格で製造される場合に強度低下し得る。単層の積層により形成されるセパレータは、場合によっては、特定の新しい用途において新しいより薄くより強いセパレータの、とめどもなく続く要求を満足することができない可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、以前のまたは典型的な膜、ベースフィルム、またはバッテリーセパレータを超える様々な改良を有する新規な改良された多層微多孔膜、ベースフィルム、またはバッテリーセパレータに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくとも選択された実施形態によれば、本願、本開示または本発明は、以前の必要性、課題もしくは問題に取り組み得、新規もしくは改良された膜、セパレータ膜、セパレータ、バッテリーセパレータ、リチウム二次電池セパレータ、多層(または複数の層)膜、多層セパレータ膜、多層セパレータ、多層バッテリーセパレータ、多層リチウム二次電池セパレータ、多層バッテリーセパレータ、バッテリー、コンデンサ、超コンデンサ、二層超コンデンサ、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池および/もしくはリチウムイオン二次電池、ならびに/またはかかる膜、セパレータ膜、セパレータ、バッテリーセパレータ、リチウム二次電池セパレータ、バッテリー、コンデンサ、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池および/もしくはリチウムイオン二次電池の製造方法および/もしくは使用方法、ならびに/またはこれらを備えるデバイス、乗り物もしくは製品、ならびに/またはかかる膜、セパレータ膜、セパレータ、バッテリーセパレータ、および同様のものの試験方法、定量方法、特性決定方法、および/もしくは分析方法を提供し得る。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、かかる膜を備える膜層、膜もしくはセパレータ膜、バッテリーセパレータ、および/または関連方法に関する。少なくとも特定の選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、かかる膜を備える多孔質高分子膜もしくはセパレータ膜、バッテリーセパレータ、および/または関連方法に関する。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、微多孔質ポリオレフィン膜もしくはセパレータ膜、ミクロ層膜、1つ以上のミクロ層もしくはナノ層膜を備える多層膜、かかる膜を備えるバッテリーセパレータ、ならびに/または関連方法に関する。少なくともかなり特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、1つ以上の外層および/もしくは内層を有する微多孔質延伸高分子膜またはセパレータ膜、ミクロ層膜、外層および/もしくは内層を有する多層微多孔膜またはセパレータ膜に関し、これらの層もしくは副層いくつかは、共押出により製造され、次いで、積層されて、膜またはセパレータ膜を形成する。いくつかの実施形態では、特定の層、ミクロ層またはナノ層は、ホモ重合体、共重合体、ブロック共重合体、エラストマー、および/またはポリマー配合物を含むことができる。選択された実施形態では、少なくとも特定の層、ミクロ層またはナノ層は、異なるまたは別々の重合体、ホモ重合体、共重合体、ブロック共重合体、エラストマー、および/またはポリマー配合物を含むことができる。本開示又は本発明は、かかる膜、セパレータ膜、もしくはセパレータの製造方法、および/または、例えば、リチウム電池セパレータとして、かかる膜、セパレータ膜、もしくはセパレータの使用方法も関連する。少なくとも選択された実施形態によれば、本願または本発明は、多層および/もしくはミクロ層多孔質もしくは微多孔質の膜、セパレータ膜、セパレータ、複合材、電気化学デバイス、および/もしくはバッテリー、ならびに/またはかかる膜、セパレータ、複合材、デバイス、および/もしくはバッテリーの製造方法および/もしくは使用方法を対象とする。少なくとも特定の選択された実施形態によれば、本願または本発明は、多層構造物の1つ以上の層が多層もしくはミクロ層共押出ダイ、例えば、複数の押出機を用いた共押出ダイにおいて製造される多層のセパレータ膜を対象とする。膜、セパレータ膜、またはセパレータは、改良されたシャットダウン、改良された強度、改良された絶縁破壊強さ、および/または低減された分割傾向を実証することができる。
【0006】
態様では、本明細書に記載されている膜は、多層膜である。いくつかの実施形態では、多層膜は、各外層がポリオレフィンを含む2つの外層;および各内層がポリオレフィンを含む2つ以上の内層を備え;外層の各々は1つの内層へ積層され、2つ以上の内層の各々は他の内層の少なくとも1つへ積層されている。外層の各々のポリオレフィン組成物は、ポリプロピレン、ポリプロピレン配合物、ポリプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリエチレン配合物、ポリエチレン共重合体、またはこれらのいずれかの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、外層のポリオレフィン組成物は、ポリプロピレン、ポリプロピレン配合物、ポリプロピレン共重合体、またはこれらのいずれかの組合せを含む。いくつかの実施形態では、内層の各々のポリオレフィン組成物は、ポリプロピレン、ポリプロピレン配合物、ポリプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリエチレン配合物、ポリエチレン共重合体、またはこれらのいずれかの組合せを含むことができる。
【0007】
場合によっては、2つ以上の内層は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはより多い内層などの複数の内層を備える。場合によっては、複数の内層は、2つ、3つ、またはより多い層を備える。1つの特定の実施形態では、複数の内層は、3つの層を備える。別の実施形態では、4つの内層、または5つの内層、または6つの内層、または7つの内層、または8つの内層、または9つの内層、または10の内層がある。好ましい実施形態では、内層および外層が積層されて微多孔膜を製造する場合に3つ以上または4つ以上の積層界面が形成されるように、2つ以上、または3つ以上の内層がある。
【0008】
いくつかの新規かつ改良された多層微多孔膜は、例えば、国際公開第2017/083633号に開示されているが、製造工業がより要求が厳しくなったときに、これらよりさらに優れた製品を必要とする可能性がある。国際公開第2017/083633号の開示は、その全文を参照することにより本明細書に組み入れられる。
【0009】
場合によっては、微多孔膜は、第一外層、第一内層、第二内(または中間)層、第三内層、および第二外層を備える五層膜であり得る。第一外層を第一内層へ積層することができ、第一内層を第二内(または中間)層へ積層することができ、第二内(または中間)層を第三内層へ積層することができ、第三内層を第二外層へ積層して、この5つの層間に4つの積層界面を形成することができる。第一および第二外層ならびに第二内(または中間)層の構成物は、ポリプロピレン、ポリプロピレン配合物、ポリプロピレン共重合体、またはこれらのいずれかの組合せを含むことができる。第一および第二内層の構成物は、ポリエチレン、ポリエチレン配合物、ポリエチレン共重合体、またはこれらのいずれかの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、これらの層は、ポリエチレン、ポリエチレン配合物、ポリエチレン共重合体、またはこれらのいずれかの組合せを含んでよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている多層膜は、PP/PE/PP/PE/PPの構造を含む五層膜であって、PPはポリプロピレン、ポリプロピレン配合物、ポリプロピレン共重合体、またはこれらのいずれかの組合せであり、PEはポリエチレン、ポリエチレン配合物、ポリエチレン共重合体、またはこれらのいずれかの組合せである、五層膜を備える。場合によっては、これらの五層の各々を、これらのそれぞれの隣接層へ積層する。
【0011】
いくつかの実施形態では、多層膜の層の各々は、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ、または7つ、または8つ、または9つ、またはより多い副層を備えることができる。いくつかの好ましい場合、各層は、2つ、3つ、またはより多い副層を備え、いくつかの好ましい場合、各層は3つの副層を備える。いくつかの好ましい実施形態では、層の副層の各々を、一緒に共押出することができる。各副層は、6μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下、または2μm以下、または1μm以下の最大平均厚さを有することができる。
【0012】
場合によっては、多層膜中の各層は、延伸前に最大平均厚さを有することができる。例えば、場合によっては、多層膜中の各層は、延伸前に、1.2ミル以下、1.1ミル以下、1ミル以下、または0.9ミル以下、0.8ミル以下、0.75ミル以下、0.5ミル以下、0.4ミル以下、0.3ミル以下、または0.2ミル以下の最大平均厚さを有することができる。多層膜中の層の数に基づいて、膜は、1~50ミクロンの範囲の最大平均厚さを有する。多層膜中の各層は、33%以下、32%以下、31%以下、30%以下、29%以下、28%以下、27%以下、26%以下、25%以下、24%以下、23%以下、22%以下、21%以下、20%以下、19%以下、18%以下、または17%以下または該膜の総平均厚さ未満の最大平均厚さを有することができる。
【0013】
積層された多層膜を、場合によっては、一軸または二軸延伸することができる。いくつかの実施形態では、多層膜を、縦方向(MD)に延伸、横方向(TD)に延伸、またはMDとTDの両方に延伸することができる。多層膜をMDとTDの両方に延伸する場合、延伸は、順次であっても同時であってもよい。さらに、場合によっては、多層膜を、TD延伸後に圧延するなど、延伸後に圧延することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、多層膜は、機能性高分子、イオノマー、セルロースナノファイバー、無機粒子、平滑剤、核形成剤、空洞化促進剤、フッ化ポリマー、架橋剤、X線検出可能材料、高分子加工剤、高温メルトインデックス(HTMI)重合体、電解液添加剤、エネルギー散逸非混和添加剤、もしくはこれらのいずれかの組合せなどの添加剤を含むことができる。添加剤は、第一外層、第二外層、または両方の層上の被膜の一部であり得る。いくつかの実施形態では、添加剤を、外層の1つ以上に組み込んでよい。外層が2つ以上の副層を備える場合、添加剤を副層のいずれか1つ、いくつか、または全てに組み込んでよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、多層膜は、微多孔質多層膜である。場合によっては、第一および第二外層ならびに第二内(または中間)層は、0.01~1.0ミクロン、場合によっては、0.02~0.06μmの平均ポリプロピレン細孔径を有することができる。場合によっては、第一および第三内層は、0.01~1.0ミクロン、場合によっては、0.03~0.1μmの平均ポリエチレン細孔径を有することができる。細孔径を、例えば、Aquaporeまたは水もしくは水銀圧入法を使用して測定してよい。
【0016】
多層膜は、同様な三層膜と比較して、改良された物理的特性を示すことができる。例えば、場合によっては、多層膜は、例えば、PP/PE/PP三層微多孔膜または該膜と同じ厚さ、ガーレー、空隙率、および/もしくは層成分構成を有する(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)多層「三層」微多孔膜と比較して、150℃以上における増大もしくは改良された弾性を有することができる。いくつかの実施形態では、多層膜は、例えば、PP/PE/PP三層微多孔膜または該膜と同じ厚さ、ガーレー、空隙率、および/もしくは層成分構成を有する(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)多層「三層」微多孔膜と比較して、増大もしくは改良された穿刺抵抗を有することができる。膜は、例えば、PP/PE/PP三層微多孔膜または該膜と同じ厚さ、ガーレー、空隙率、および/もしくは層成分構成を有する(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)多層「三層」微多孔膜と比較して、増大もしくは改良された縦方向の破断時引張強さを有する。場合によっては、多層膜は、例えば、PP/PE/PP三層微多孔膜または該膜と同じ厚さ、ガーレー、空隙率、および/もしくは層成分構成を有する(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)多層「三層」微多孔膜と比較して、増大もしくは改良されたTD伸びを有する。
【0017】
リチウムイオン電池に関して、場合によっては、改良物は、本明細書に記載されている多層膜を含む。デバイスにおいて、いくつかの例における改良物は、本明細書に記載されている多層膜を含む。織物において、いくつかの例における改良物は、本明細書に記載されている多層膜を含む。
【0018】
別の実施形態では、多層微多孔膜の製造方法は、本明細書に記載されている。方法は、複数の副層を備える非多孔質ポリプロピレン前駆体を押出すること;複数の副層を備える非多孔質ポリエチレン前駆体を押出すること;押出されたポリプロピレン前駆体層を押出されたポリエチレン前駆体層と積層して、ポリエチレン層および/またはポリプロピレン層を有する第一中間前駆体を製造すること、いくつかの実施形態では、ポリエチレン層とポリプロピレン層を交互に配置する;同時または単独に/順次、押出されたポリプロピレンまたはポリエチレン前駆体を、好ましい実施形態では、ポリプロピレン前駆体を含む第一外層を、中間前駆体の第一面へ積層し、押出されたポリプロピレン前駆体またはポリエチレン前駆体、好ましい実施形態ではポリプロピレン前駆体を含む第二外層を、第一面と反対の第一中間前駆体の第二面へ積層して、第二中間前駆体を製造すること;第二中間前駆体を焼き鈍して焼き鈍された多層膜を製造すること;焼き鈍された多層膜を一軸もしくは二軸延伸して、微多孔質多層膜を製造すること;ならびに必要に応じて、微多孔質多層膜を圧延すること、を含む。いくつかの好ましい実施形態では、圧延を行う。
【0019】
いくつかの実施形態では、押出されたポリプロピレン前駆体は、過半数のポリプロピレンを含む構造物であり、押出されたポリエチレン前駆体は、過半数のポリエチレンを含む構造物である。例えば、ポリプロピレン前駆体は、過半数のポリプロピレンを含む限り、構造「PP」または(PP/PP)または(PP/PE),または(PP/PE/PP)または(PP/PE/PP/PP),または(PP/PP/PE/PP/PP)または(PP/PE/PE/PP)を有してよい。ポリエチレン前駆体は、過半数のポリエチレンを含む限り、構造PE(PE/PE)、(PP/PE)、(PE/PP/PE)、(PE/PP/PP/PE)、(PE/PE/PP/PP)、その他を有してよい。例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレン前駆体は構造(PP/PE)を有してよいが、ポリプロピレン前駆体に関して、PP副層はPE副層より厚くてよく、ポリエチレン前駆体に関して、PE副層はPP副層より厚くてよい。前駆体の各層の厚さは異なってよい。例えば、いくつかの実施形態では、外層は内層より薄くてよく、内層は外層より薄くてよく、層厚さは厚い層と薄い層と交互に配置してよく、または全層は異なる厚さを有してよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、第一中間前駆体は、PE/PP/PEの構造を有する三層多層膜を含む。場合によっては、第二中間前駆体は、PP/PE/PP/PE/PPの構造を有する五層膜を含む。どの場合も、三層多層構造物の各層は、好ましくは、2つ以上の副層を有する。例えば、PPは、(PP/PP/PP)、(PP/PE/PP)、(PP/PP)、または(PP/PE)であり、「PP」はより厚いか、または3つの副層を備える層である。
【0021】
一軸延伸は、縦方向または横方向であり得、二軸延伸は、縦方向または横方向であり得る。二軸延伸の場合、縦方向および横方向延伸は、順次または同時であり得る。好ましい実施形態では、少なくともMD延伸を行って、細孔を形成する。
【0022】
押出された前駆体は、場合によっては、複数の副層を含むことができる。例えば、押出されたポリプロピレン前駆体は、場合によっては、2つ、3つ、4つ、またはより多い副層を含むことができ、押出されたポリエチレン前駆体は、2つ、3つ、4つ、またはより多い副層を含むことができる。いくつかの実施形態では、第二中間前駆体は、各層が3つの副層を備える、PP/PE/PP/PE/PPの構造を有する五層膜を含むことができる。この構造物は、(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)または(PP/PE/PP)/(PE/PP/PE)/(PP/PE/PP)/(PE/PP/PE)/(PP/PE/PP)または、例えば、(PP/PP/PE)/(PE/PP/PE)/(PE/PP/PE)/(PE/PP/PE)/(PE/PP/PP)により表される。第二構造物または第三構造物では、PPまたはPEは、(PP/PE/PP)もしくは(PE/PP/PE)または(PP/PE/PE)もしくは(PE/PE/PP)のいずれかにおける大半の重合体であってよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、押出されたポリプロピレン前駆体およびポリエチレン前駆体は非多孔質である。場合によっては、ミクロ細孔を、一軸または二軸延伸工程において形成することができる。好ましい実施形態では、細孔またはミクロ細孔を、一軸または二軸過程の少なくともMD延伸工程において形成してよい。場合によっては、方法は、第一外層および第二外層の1つ以上を被覆する工程をさらに含むことができる。
【0024】
別の態様では、五層微多孔膜の製造方法が本明細書に記載されており、該方法は、複数のポリプロピレン膜およびポリエチレン膜を押出すること;ポリエチレン膜の1つをポリプロピレン膜の第一面およびポリエチレン膜のもう1つをポリプロピレン膜の反対の第二面へ積層してPE/PP/PEまたは(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)の構造を有する反転三層多層膜を製造すること;ポリプロピレン層の1つを反転三層多層膜中のポリエチレン膜の1つへ、およびポリプロピレン層のもう1つを反転三層多層膜中のポリエチレン膜のもう1つへ積層してPP/PE/PP/PE/PPまたは(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)の構造を有する五層多層膜を製造すること;五層多層膜を焼き鈍すこと;焼き鈍された多層膜を一軸または二軸延伸して微多孔質多層膜を製造すること;ならびに必要に応じて微多孔質多層膜を圧延すること、を含む。いくつかの好ましい実施形態では、延伸は、二軸である。いくつかの好ましい実施形態では、
実施形態では、本明細書に記載されている方法によって製造される微多孔膜は、バッテリーセパレータを含む。場合によっては、本明細書に記載されている方法によって製造される微多孔膜は、リチウムイオン電池セパレータを含む。場合によっては、本明細書に記載されている方法によって製造される微多孔膜は、デバイスを含む。場合によっては、本明細書に記載されている方法によって製造される微多孔膜は、織物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本明細書に記載されているいくつかの実施形態による第二の五層膜のSEMである。
図2A】本明細書に記載されているいくつかの実施形態による第二の五層膜のSEMである。
図2B】本明細書に記載されているいくつかの実施形態による第二の五層膜のSEMである。
図2C】本明細書に記載されているいくつかの実施形態による第二の五層膜のSEMである。
図3図3の(a)は本明細書に記載されているいくつかの実施形態による三層膜の概略図、(b)本明細書に記載されているいくつかの実施形態による五層膜の概略図、および(c)本明細書に記載されているいくつかの実施形態による三層膜の概略図である。
図4】本明細書に記載されているいくつかの実施形態による三層の概略図である。
図5】本明細書に記載されているいくつかの実施形態による三層の概略図である。
図6】本明細書に記載されているいくつかの実施形態による五層の概略図である。
図7】様々な加工工程五の本明細書に記載されている第一の五層のSEM画像を示す。
図8】本明細書に記載されている例示的膜のためのln(BW*厚さ)の関数としての穿刺強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次の詳細な明細書及び実施例を参照することによって本明細書に記載されている実施形態をより容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に記載されている要素、装置及び方法は詳細な明細書及び実施例に示されている特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態は単に本開示の原理の例証にすぎないことを認識すべきである。多くの修正及び適応は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく当業者には容易に明らかになるだろう。
【0027】
加えて、本明細書に開示されている全ての範囲はその中に包含されているいずれか及び全ての部分範囲を包含すると理解されるものとする。例えば、「1.0~10.0」の定められた範囲は、1.0~5.3、又は4.7~10.0、又は3.6~7.9など、最小値1.0以上で始まり、最大値10.0以下で終わるいずれか及び全ての部分範囲を含むと見做されるべきである。
【0028】
本明細書に開示されている全範囲は、明示的に別段に定められない限り、範囲の端点を含むと見做されるものとする。例えば、「5~10(between 5 and 10))」、「5~10(from 5 to 10)」、又は「5~10(5-10)」の範囲は、端点5及び10を含むと概して見做されるべきである。
【0029】
更に、言い回し「以下(up to)」は、量(amount)又は量(quantity)との関連で使用され、量は少なくとも検出可能な量(amount又はquantity)であると理解されるものとする。例えば、特定の量「以下(up to)」の量で示される材料は、検出可能な量から特定の量を含んでそれ以下で存在し得る。
【0030】
I.多層膜(または膜セパレータ)
態様では、改良された多層膜、膜、またはセパレータを開示する。いくつかの実施形態では、多層微多孔膜、膜、またはセパレータを開示する。用語「膜」を、単純化する目的のために本明細書全体を通して使用するが、該用語は、「膜」または「セパレータ」を表していると理解されるべきである。
【0031】
いくつかの実施形態では、多層膜は、2つの外層および複数の内層を備える。複数の内層は、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上、25以上、26以上、27以上、28以上、29以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、または100以上の層を含み得る。用語「層」は、延伸される前に、0.01~2.0、25、または3.0ミルの最大平均厚さを有する層を含む。いくつかの実施形態では、最大平均厚さは、延伸される前に0.1~1.5、2.0、2.5、もしくは3.0ミル、または延伸される前に0.2~1.5、2.0、2.5、もしくは3.0ミル、または延伸される前に0.2~1.2、1.5、2.0、2.5、もしくは3.0ミルである。
いくつかの好ましい実施形態では、層の最大平均厚さは、延伸される前に0.1~0.5、1.0、1.5、2.0、25、または3.0ミルである。
【0032】
各層をモノ押出することができ、副層がなく、層は、それ自体押出される。あるいは、各層は、複数の共押出副層を備えることができる。好ましい実施形態では、各層は、複数、または2つ以上の共押出副層を備える。例えば、共押出二層(2つの副層を有する)、三層(3つの副層を有する)、または多層(2つ以上、3つ以上、または4つ以上の副層を有する)膜は、各々、「層」であると集合的に見做される。共押出二層中の副層数は2つ、共押出三層中の層数は3つ、共押出多層膜中の層数は2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上などであろう。共押出層中の副層の正確な数は第設計により決まり、共押出層を製造する共押出される材料により必ずしも決まらない。例えば、共押出二、三、または多副層膜を、2つ、3つ、または4つ以上の副層の各々中の同じ材料を使用して製造することができ、これらの副層は、たとえ各副層が同じ材料から製造されても、別々の副層であるとなお見做されるだろう。共押出二、三、または多副層膜を含む各槽は、延伸前に3.0ミル以下、2.5ミル以下、2.0ミル以下、1.5ミル以下、1.2ミル以下、1.1ミル以下、1ミル以下、または0.9ミル以下、0.8ミル以下、0.75ミル以下、0.5ミル以下、0.4ミル以下、0.3ミル以下、または0.2ミル以下の延伸前厚さを有することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、多層微多孔膜または本明細書に開示されている多層微多孔膜は、2つ、3つ、4つ、または5つ以上の共押出層を備える。共押出層は、共押出法によって製造された層である。場合によっては、層を、同じまたは別々の共押出法によって製造することができる。連続層を同じ共押出法によって製造することができ、または2つ以上の層を1つ方法によって共押出することができる。2つ以上の層を別々の方法によって共押出することができ、1つ方法によって製造された2つ以上の層を、組み合わせて4つ以上の連続共押出層になるように、別々の方法によって製造された2つ以上の層へ積層することができる。いくつかの実施形態では、共押出層を、同じ共押出法によって製造する。例えば、2つ以上、または3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、55以上または60以上の共押出層を、同じ共押出法によって製造することができる。溶媒があってもなくても、同じでも異なっていてもよい2つ以上のポリマー混合物を押出することによって、押出法を行うこともできる。場合によっては、共押出法は、溶媒を使用しないCelgard(登録商標)ドライプロセスなどのドライプロセスである。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている多層膜を、共押出二層(2つの共押出された層)、三層(3つの共押出された層)、または多層(2つ、3つ、または4つ以上の共押出された層)膜を形成し、次いで、二層、三層、または多層膜を少なくとも1つまたは少なくとも2つの他の膜へ積層することによって製造する。他の膜は、不織布もしくは織布膜、モノ押出膜、または共押出膜であり得る。いくつかの好ましい実施形態では、他の膜は共押出膜であり、共押出二層、三層、または多層膜と同じ数の共押出層を有する共押出膜が挙げられる。さらに、共押出層の各々は、上記本明細書に記載されているように、2つ、3つ、4つ、またはより多い副層を備えることができる。
【0035】
二層、三層、または多層共押出膜を、少なくとも1つの他の単層膜または二層、三層、もしくは多層膜へ積層することは、熱、圧、または熱と圧の使用を含むことができる。
【0036】
本バッテリーセパレータで使用することができる重合体または共重合体は、押出可能なものである。かかる重合体は、通常、熱可塑性ポリマーと呼ばれる。
【0037】
いくつかの実施形態では、多層微多孔膜または多層膜の層のうち1つ以上は、重合体もしくは共重合体またはポリマー配合物もしくは共重合体配合物、ポリオレフィンもしくはポリオレフィン配合物を含む。当業者により理解されているように、ポリオレフィン配合物としては、ポリエチレン及びポリプロピレンなどの2つ以上の異種ポリオレフィンの混合物、2つ以上の同種のポリオレフィンの配合物を挙げることができ、各ポリオレフィンは、超高分子量ポリオレフィン及び低分子量若しくは超低分子量ポリオレフィン、又はポリオレフィン及び別種の重合体若しくは共重合体の混合物などの異なる特性を有する。添加剤、薬剤、フィラー、および/または同様のものを、本明細書に記載されている重合体またはポリマー配合物へ添加してもよい。例えば、エラストマー、潤滑剤、酸化防止剤、着色料、架橋剤、および/または同様のもの。
【0038】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、これらの共重合体、およびこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンは、超低分子量、低分子量、中間分子量、高分子量、又は超高分子量ポリオレフィン、例えば、中間分子量又は高分子量ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)などであり得る。例えば、超高分子量ポリオレフィンは、450,000(450k)以上、例えば、500k以上、650k以上、700k以上、800k以上、1百万以上、2百万以上、3百万以上、4百万以上、5百万以上、6百万以上などの分子量を有することができる。高分子量ポリオレフィンは、250k~400k、250k~350k、又は250k~300kなど、250k~450kの範囲の分子量を有することができる。中分子量ポリオレフィンは、例えば、100k、125k、130k、140k、150~225k、150k~200k、150k~200kなどの150k~250kの分子量を有することができる。低分子量ポリオレフィンは、100k~125kなどの100k~150kの範囲の分子量を有することができる。超低分子量ポリオレフィンは、100k未満の分子量を有することができる。前述の値は重量平均分子量である。いくつかの実施形態では、より高分子量のポリオレフィンを使用して、本明細書に記載されている微多孔質多層膜又はこれを備えるバッテリーの強度又は他の特性を向上することができる。いくつかの実施形態では、中間分子量、低分子量、又は超低分子量重合体などのより低分子量の重合体は有益であり得る。特定の理論に束縛されることを望まないが、例えば、より低分子量のポリオレフィンの結晶化挙動は、細孔を形成するMD延伸処理から得られるより小さい細孔を有する微多孔質多層膜をもたらすことができると考えられる。
【0039】
ポリオレフィン重合体、配合物、または混合物以外の例示的熱可塑性ポリマー、配合物、混合物または共重合体としては、ポリアセタール(又はポリオキシメチレン)などの熱可塑性重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ(フッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン)(PVDF:HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)ポリアクリロニトリル(PAN)などのポリビニリデンを含むことができるが、これらに限定されない。ポリアミド(ナイロン)としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ナイロン10,10、ポリフタルアミド(PPA)、これらの共重合体、及びこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエステルとしては、ポリテレフタル酸エステル、ポリテレフタル酸ブチル、これらの共重合体、及びこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリスルフィドとしては、ポリフェニルスルフィド、これらの共重合体、及びこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリビニルアルコールとしては、エチレン-ビニルアルコール、これらの共重合体、及びこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリビニルエステルとしては、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル、これらの共重合体、及びこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリビニリデンとしては、フッ化ポリビニリデン(ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンなど)、これらの共重合体、及びこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。様々な材料を、重合体に添加することができる。場合によっては、これらの材料を添加して、個別の層または膜全体の性能または特性を改質または増強する。かかる材料としては、重合体の融点を低下させる材料が挙げられるが、これに限定されない。例えば、多層膜がバッテリーセパレータである場合、多層セパレータは、バッテリーの電極間のイオン流を遮断する所定温度においてその細孔を閉じるように設計された層を備える。この機能は、通常、シャットダウンと呼ぶ。
【0040】
いくつかの実施形態では、多層膜の各層の各層または副層は、異なる重合体もしくは共重合体またはポリマー配合物もしくは共重合体配合物を含む、から成る、またはから本質的に成る。いくつかの実施形態では、各層は、同じ重合体もしくは共重合体またはポリマー配合物もしくは共重合体配合物を含む、から成る、またはから本質的に成る。いくつかの実施形態では、多層微多孔膜または多層膜の交互層は、同じ重合体もしくは共重合体またはポリマー配合物もしくは共重合体配合物を含む、から成る、またはから本質的に成る。他の実施形態では、多層膜または微多孔質多層膜の層および/または副層のいくつかは、同じ重合体またはポリマー配合物を含み、から成り、またはから本質的に成り、いくつかは同じ重合体またはポリマー配合物を含まない、から成らない、またはから本質的に成らない。
【0041】
いくつかの実施形態では、多層膜の層または副層は、PPもしくはPEもしくはPE+PP配合物、混合物、共重合体、もしくは同様のものなどポリオレフィン(PO)を含み、から成り、またはから本質的に成り、他の重合体(PY)をさらに含み、添加剤、薬剤、材料、フィラー、および/もしくは粒子(M)および/もしくは同様のものを添加もしくは使用することができ、PP+PY、PE+PY、PP+M、PE+M、PP+PE+PY、PE+PP+M、PP+PY+M、PE+PY+M、PP+PE+PY+M、もしくはこれらの配合物、混合物、共重合体、および/もしくは同様のものなどの層もしくはミクロ層を形成することができる。
【0042】
同じ、同様、別々の、または異なるPPもしくはPEまたはPE+PP重合体、ホモ重合体、共重合体、分子量、配合物、混合物、共重合体、または同様のものを使用することもできる。例えば、同じ、同様、別々の、または異なる分子量PPもしくはPEまたはPE+PP重合体、ホモ重合体、共重合体、多元ポリマー、配合物、混合物、および/または同様のものを、各層もしくは副層に使用することができる。そうであるから、構成としては、PP、PE、PP+PE、PP1、PP2、PP3、PE1、PE2、PE3、PP1+PP2、PE1+PE2、PP1+PP2+PP3、PE1+PE2+PE3、PP1+PP2+PE、PP+PE1+PE2、PP1/PP2、PP1/PP2/PP1、PE1/PE2、PE1/PE2/PP1、PE1/PE2/PE3、PP1+PE/PP2、または他の組合せもしくは構成の様々な組合せおよびサブコンビネーションを挙げることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤を多層微多孔膜または多層膜の最外層へ添加して、この特性またはバッテリーセパレータもしくはこれを備えるバッテリーの特性を改良することができる。最外層の、最外副層を含む最外層またはいずれかの最外副層は、添加剤に加えて、PE、PP、またはPE+PPを含むことができる。例えば、ピン除去の改良(すなわち、該膜または膜の摩擦係数を低下させる)のため、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、PEビーズ、シロキサン、およびポリシロキサンを添加することができる。
【0044】
加えて、特定の重合体、共重合体またはポリマー配合物もしくは共重合体配合物を、多層膜の最外層(第一最外層および第二最外層または最外副層もしくはこれらの第一および第二最外層のいずれかの他の副層など)に使用して、この特性またはバッテリーセパレータもしくはこれを備えるバッテリーの特性を改良することができる。例えば、超高分子量重合体または共重合体を最外層へ添加することは、穿刺強度を改良することができる。
【0045】
さらなる実施形態では、耐酸化性を改良するための添加剤を、多層微多孔膜または膜の最外層へ添加することができる。添加剤は、有機もしくは無機添加剤または高分子もしくは非高分子添加剤であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、多層膜もしくは膜の最外層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらの混合物を含む、から成る、またはから本質的に成る。
【0047】
上記のように、多層膜は、2つの外層(第一外層および第二外層)および複数の内層を備えることができる。複数の内層は、モノ押出層または共押出層であり得る。内層の各々の間にならびに/または外層および内層の1つの各々の間に、積層バリアまたは界面を形成することができる。熱、圧、または熱と圧を使用して異なる膜または層の2つの面などの2つの面を積層する場合、積層バリアまたは界面が形成される。いくつかの実施形態では、膜領域の層は、次の非限定的構成を有する:PP、PE、PP/PP、PP/PE、PE/PP、PE/PE、PP/PP/PP、PP/PP/PE、PP/PE/PE、PP/PE/PP、PE/PP/PE、PE/PE/PP、PP/PP/PP/PP、PP/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PE、PP/PE/PP/PP、PE/PE/PP/PP、PE/PP/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PE、PP/PP/PE/PP/PP、PE/PE/PP/PP/PE/PE、PP/PE/PP/PE/PP、PP/PP/PE/PE/PP/PP、PE/PE/PP/PP/PE/PE、PE/PP/PE/PP/PE/PP、PP/PE/PP/PE/PP/PE、PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP、PE/PE/PE/PP/PE/PE/PE、PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP、PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE、PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP、PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE、PP/PP/PE/PE/PP/PP/PE/PE、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PE、PP/PP/PE/PE/PEPE/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE、PP/PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP/PP、PE/PE/PE/PE/PP/PE/PE/PE/PE、PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP、PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE、PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE、PP/PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE、PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP、PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE、PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PE、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PE/PP/PP/PE/PE/PP/PP、PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PE/PE、PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PE、PE/PE/PE/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PP。本明細書において表す目的のため、PEは、PEを含む、から成る、またはから本質的に成る多層膜内の単層(好ましい実施形態では、副層を含む)を意味する。同様に、PPは、PPを含む、から成る、またはから本質的に成る多層膜内の単層(好ましい実施形態では、副層を含む)を意味する。
【0048】
異なる層の各々におけるPEまたはPP組成物は、他の層におけるPEまたはPP組成物の同じタイプであってもよく、異なるタイプであってもよい。例えば、共押出前駆体は、構造(PP1/PP2/PP3)、(PP3/PP2/PP1)、(PP3/PP3/PP2/PP1/PP1)、(PP3/PP3/PP2/PP2/PP1/PP1)、(PP3/PP3/PP3/PP2/PP2/PP2/PP1/PP1/PP1)などを有することができる。PP1は、ホモ重合体PPおよびポリシロキサンまたはシロキサンの様ないずれかのスリップ防止またはブロック防止添加剤を含む表面摩擦係数を改質する添加剤から製造され得る。PP2を、PP1と同じでも異なっていてもよいPPホモ重合体およびPPの共重合体から製造することができ、該PP共重合体は、いずれかのプロピレン-エチレンまたはエチレン-プロピレンランダム共重合体、ブロック共重合体、またはエラストマーであり得る。PP3を、PP1およびPP2と同じでも異なっていてもよいPPホモ重合体から製造することができ、PP1で使用されたものと同じでも異なっていてもよい表面摩擦係数を改質する添加剤も含む。別の言い方をすれば、PP/PE/PP/PE/PPの一般的構造を有する多層膜は、PP1/PE1/PP2/PE2/PP3を含むことができ、PP層の各々は、他の2つのPP層と異なるポリプロピレン組成物を有し、2つのPE層についても同様である。
【0049】
別の実施形態では、共押出前駆体は、構造(PP1/PP2/PP3)、(PP3/PP2/PP1)、(PP3/PP3/PP2/PP1/PP1)、(PP3/PP3/PP2/PP2/PP1/PP1)、(PP3/PP3/PP3/PP2/PP2/PP2/PP1/PP1/PP1)などを有することができる。PP1は、いずれかのポリプロピレン配合物であり得る。PP2を、本明細書に記載されているものを含むいずれかのポリプロピレンブロック共重合体から製造することができる。PP3を、PP2で使用されたものと異なるいずれかのポリプロピレンブロック共重合体から製造することができる。
【0050】
多層膜における個別の層は、個別のモノ押出副層を共押出または貼合せ、例えば、積層により形成して多層膜の個別の層を製造することができる複数の副層を備えることができる。PP/PE/PP/PE/PPの構造を有する多層膜を使用して、各個別のPPまたはPE層は、2つ以上の共押出副層を備えることができる。例えば、各個別のPPまたはPE層が3つの副層を備える場合、各個別のPP層はPP=(PP1、PP2、PP3)と表すことができ、各個別のPE層はPE=(PE1、PE2、PE3)と表すことができる。したがって、PP/PE/PP/PE/PPの構造は、(PP1,PP2,PP3)/(PE1,PE2,PE3)/(PP1,PP2,PP3)/(PE1,PE2,PE3)/(PP1,PP2,PP3)または(PP1/PP2/PP3)/(PE1/PE2/PE3)/(PP1/PP2/PP3)/(PE1/PE2/PE3)/(PP1/PP2/PP3)と表すことができる。PP1、PP2、およびPP3副層の各々の組成物は同じであり得るか、または各副層は他のポリプロピレン副層の1つもしくは両方と異なるポリプロピレン組成物を有することができる。同様に、PE1、PE2、およびPE3副層の各々の組成物は同じであり得るか、または各副層は他のポリエチレン副層の1つもしくは両方と異なるポリエチレン組成物を有することができる。この原理は、おおよそ上記例示的五層膜の層を有する他の多層膜にも当てはまる。上記改良されたまたは本発明の五層多層膜は、4つの積層界面を有する。同様な六層多層膜は、5つの積層界面を有するだろうし、同様な四層多層膜は3つの積層面を有するだろう。本明細書において、3つ以上、いくつかの好ましい実施形態では、4つ以上の積層界面を有する多層膜は改良された特性を有するだろうことが仮定される。例えば、これらは、2つだけの積層界面しか有しない特定のミクロ層3つの層(または三層)の多層膜と比較して、または従来の三層と比較して改良された特性を有するだろう。
【0051】
層中の各副層の最大平均厚さは、50ミクロン未満、40ミクロン未満、30ミクロン未満、25ミクロン未満、20ミクロン未満、19ミクロン未満、18ミクロン未満、17ミクロン未満、16ミクロン未満、15ミクロン未満、14ミクロン未満、13ミクロン未満、12ミクロン未満、11ミクロン未満、10ミクロン未満、9ミクロン未満、8ミクロン未満、7ミクロン未満、6ミクロン未満、5ミクロン未満、4ミクロン未満、3ミクロン未満、2ミクロン未満,または1ミクロン未満であり得る。微多孔膜中の各層の厚さは、50ミクロン未満、40ミクロン未満、30ミクロン未満、25ミクロン未満、20ミクロン未満、19ミクロン未満、18ミクロン未満、17ミクロン未満、16ミクロン未満、15ミクロン未満、14ミクロン未満、13ミクロン未満、12ミクロン未満、11ミクロン未満、10ミクロン未満、9ミクロン未満、8ミクロン未満、7ミクロン未満、6ミクロン未満、5ミクロン未満、4ミクロン未満、3ミクロン未満、2ミクロン未満,または1ミクロン未満であり得る。微多孔膜の厚さは、50ミクロン未満、40ミクロン未満、30ミクロン未満、25ミクロン未満、20ミクロン未満、19ミクロン未満、18ミクロン未満、17ミクロン未満、16ミクロン未満、15ミクロン未満、14ミクロン未満、13ミクロン未満、12ミクロン未満、11ミクロン未満、10ミクロン未満、9ミクロン未満、8ミクロン未満、7ミクロン未満、6ミクロン未満、5ミクロン未満、4ミクロン未満、3ミクロン未満、2ミクロン未満,または1ミクロン未満であり得る。これは、これにいずれものコーティングまたは処理を適用する前の多層膜または膜の厚さである。
【0052】
本明細書で使用されるとき、微多孔質は、膜、または被膜の平均細孔径が2ミクロン以下、1ミクロン以下、0.9ミクロン以下、0.8ミクロン以下、0.7ミクロン以下、0.6ミクロン以下、0.5ミクロン以下、0.4ミクロン以下、0.3ミクロン以下、0.2ミクロン以下、0.1ミクロン以下、0.09ミクロン以下、0.08ミクロン以下、0.07ミクロン以下、0.06ミクロン以下、0.05ミクロン以下、0.04ミクロン以下、0.03ミクロン以下、0.02ミクロン以下、または0.01ミクロン以下であることを意味する。いくつかの実施形態では、例えば、Celgard(登録商標)ドライプロセスで行うように、例えば、前駆体膜に対する延伸処理を行うことによって細孔を形成することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、多層膜の1つ以上の層は、微多孔質PEを含み、から成り、またはから本質的に成り、PE層の平均細孔径は、0.03~0.1、0.05~0.09、0.05~0.08、0.05~0.07、または0.05~0.06である。
【0054】
いくつかの実施形態では、多層膜の1つ以上の層は、微多孔質PP含み、から成り、またはから本質的に成り、PP層の平均細孔径は、0.02~0.06、0.03~0.05、およびさらに0.04~0.05、または0.03~0.04である。
【0055】
多層微多孔膜または膜は、PPを含む、から成る、またはから本質的に成る層を備え、PEを含む、から成る、またはから本質的に成る他の層を備え、PP層の平均細孔径は、PE層の平均細孔径より小さい。
【0056】
微多孔質多層膜は、バッテリーセパレータとして使用するために許容可能なガーレーなど、本開示の目的と矛盾しないガーレーを有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている微多孔質多層膜または膜は、150以上、160以上、170以上、180以上、190以上、200以上、210以上、220以上、230以上、240以上、250以上、260以上、270以上、280以上、290以上、300以上、310以上、320以上、330以上、340以上、または350以上のJISガーレー(秒/100cc)を有する。ガーレーは、150秒/100cc未満である場合もあり、500秒/100cc以上ほど高い場合もある。ガーレーは膜がバッテリーセパレータとして機能する限り、ガーレーは限定されない。
【0057】
微多孔質多層膜の空隙率は、本開示の目標と矛盾しない空隙率であり得る。例えば、許容可能なバッテリーセパレータを製造することができる空隙率が許容可能である。いくつかの実施形態では、該膜または膜の空隙率は、10~60%、20~60%、30~60%、または40~60%であり得る。膜の空隙率は、65%以上または70%以上である場合もある。膜がバッテリーセパレータとして機能する限り、膜の空隙率は限定されない。
【0058】
微多孔質多層膜または膜は、非被覆、200gf以上、210gf以上、220gf以上、230gf以上、240gf以上、250gf以上、260gf以上、270gf以上、280gf以上、290gf以上、300gf以上、310gf以上、320gf以上、330gf以上、340gf以上、350gf以上、または400gf以上ほど高い穿刺強度を有することができる。いくつかの実施形態では、穿刺強度は、特により薄い膜のために200gf未満であってよく、いくつかの実施形態では、穿刺は500gf以上ほど高くあってよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている多層微多孔膜は、多層微多孔膜の少なくとも1つの層中に1つ以上の添加剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、多層微多孔膜の少なくとも1つの層または副層は、2つ、3つ、4つ、5つ、またはより多いなど1つより多い添加剤を含む。添加剤は、多層微多孔膜の最外層の1つまたは両方、1つ以上の内層、内層の全て、または内層の全てと最外層の両方において、存在することができる。いくつかの実施形態では、添加剤は、1つ以上の最外層および1つ以上の最内層に存在することができる。かかる実施形態では、添加剤を最外層または両最外層から放出することができ、最外層または両最外層の添加剤供給を、内層から最外層への添加剤のマイグレーションによって補充することができる。いくつかの実施形態では、多層微多孔膜の各層は、該多層微多孔膜の隣接層または各層と異なる添加剤または添加剤の組合せを含むことができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、添加剤は、機能性高分子である、これを含む、から成る、またはから本質的に成る。当業者により理解されるように、機能性高分子は、高分子骨格からぶらさがる官能基を有する重合体である。例示的官能基としては:いくつかの実施形態では、機能性高分子は、無水マレイン酸機能性高分子である。いくつかの実施形態では、無水マレイン酸修飾重合体は、無水マレイン酸ホモ重合体ポリプロピレン、共重合体ポリプロピレン、高密度ポリプロピレン、低密度ポリプロピレン、超高密度ポリプロピレン、超低密度ポリプロピレン、ホモ重合体ポリエチレン、共重合体ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンである。
いくつかの実施形態では、添加剤は、イオノマーを含む、から成る、またはから本質的に成る。当業者により理解されるように、イオノマーは、イオン含有および非イオン性反復基の両方を含む共重合体である。イオン含有反復基は、25%未満、20%未満、または15%未満のイオノマーを構成することができる。いくつかの実施形態では、イオノマーは、Liベース、Naベース、またはZnベースのイオノマーであり得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、添加剤は、セルロースナノファイバーを含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、添加剤は、狭い粒度分布を有する無機粒子を含む。例えば、分布におけるD10とD90との差は、100ナノメートル未満、90ナノメートル未満、80ナノメートル未満、70ナノメートル未満、60ナノメートル未満、50ナノメートル未満、40ナノメートル未満、30ナノメートル未満、20ナノメートル未満、または10ナノメートル未満である。いくつかの実施形態では、無機粒子は、SiO2、TiO2、またはこれらの組合せのうち少なくとも1つから選択される。
【0063】
いくつかの実施形態では、添加剤は、平滑剤を含む、から成る、またはから本質的に成ることができる。本明細書に記載されている平滑剤または潤滑剤は限定されない。当業者に理解されているように、潤滑剤は、次のもの:ポリマー:ポリマー;ポリマー:金属;ポリマー:有機材料;およびポリマー:無機材料を含む様々な異なる表面間の摩擦力を低下させる働きをする化合物である。本明細書に記載されている平滑剤または潤滑剤の特定の例は、シロキサンおよびポリシロキサンを含むシロキシ官能基を含む化合物、およびステアリン酸金属塩を含む脂肪酸塩である。
【0064】
2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10以上のシロキシ基を含む化合物を、本明細書に記載されている潤滑剤として使用することができる。当業者に理解されているように、シロキサンは、交互にあるシリコン原子(Si)および酸素(O)原子の骨格を有する分子の分類であり、各シリコン原子は結合している水素(H)または-CH3もしくは-C25などの飽和もしくは不飽和有機基を有することができる。ポリシロキサンは、通常より高分子量である重合したシロキサンである。本明細書に記載されているいくつかの実施形態では、ポリシロキサンは、超高分子量ポリシロキサンなどの高分子量であり得る。いくつかの実施形態では、高分子量および超高分子量ポリシロキサンは、500,000~1,000,000の範囲の重量平均分子量を有することができる。
【0065】
本明細書に記載されている脂肪酸塩は限定されないが、潤滑剤として働くいずれもの脂肪酸塩であり得る。脂肪酸塩の脂肪酸は、12~22個の炭素原子を有する脂肪酸であり得る。例えば、金属脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸、およびアラキン酸からなる群から選択され得る。金属は、本開示の目的と矛盾しないいずれかの金属であり得る。場合によっては、金属は、Li、Be、Na、Mg、K、Ca、Rb、Sr、Cs、Ba、Fr、およびRaなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属である。いくつかの実施形態では、金属は、Li、Be、Na、Mg、K、またはCaである。
【0066】
脂肪酸塩は、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸リチウム、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸リチウム、ステアリン酸カリウム、またはオレイン酸カリウムであり得る。
【0067】
本明細書に記載されている脂肪酸塩を含む潤滑剤は、200℃以上、210℃以上、220℃以上、230℃以上、または240℃以上の融点を有し得る。ステアリン酸リチウム(220℃の融点)またはステアリン酸ナトリウム(融点245~255℃)などの脂肪酸塩は、このような融点を有する。ステアリン酸カルシウム(融点155℃)などの脂肪酸塩は、このような融点を有しない。本願の発明者らは、方法の観点から、ステアリン酸カルシウムが、より高融点を有するステアリン酸金属塩などの他の脂肪酸金属塩より、理想的でないことを見出した。特に、ステアリン酸カルシウムは、ワックスが分離し、加熱押出方法の間に至る所に出る「粉吹き効果」と呼ばれるものの発生なしで、800ppm超の量で添加することができるとは考えられないことを見出した。いずれの特定の理論に束縛されることを望まないが、上記融点を有する脂肪酸金属塩を用いて、加熱押出温度は、この「粉吹き」問題を解決すると考えられる。ステアリン酸カルシウムより高融点を有する脂肪酸塩、特に、200℃超の融点を有するものを、「粉吹き」なしで、1%超または1,000ppm超の量で混和し得る。1%以上の量は、湿潤性改良およびピン除去改良などの所望の特性を得るのに重要であることが見出された。
【0068】
いくつかの実施形態では、添加剤は、1つ以上の核形成剤を含む、から成る、またはから本質的に成ることができる。当業者により理解されているように、いくつかの実施形態では、核形成剤は、半結晶ポリマーを含むポリマーの結晶化を助ける、増大する、または促進する材料、無機材料である。
【0069】
いくつかの実施形態では、添加剤は、空洞化促進剤を含む、から成る、またはから本質的に成ることができる。当業者により理解されているように、空洞化促進剤は、ポリマー中の気泡または空隙を形成する、形成を助ける、形成を増大する、または形成を促進する材料である。
【0070】
いくつかの実施形態では、添加剤は、フッ化ポリマーを含む、から成る、またはから本質的に成ることができる。フッ化ポリマーはそのように限定されないが、いくつかの実施形態では、PVDFである。
【0071】
いくつかの実施形態では、添加剤は、架橋剤を含む、から成る、またはから本質的に成ることができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、添加剤は、X線検出可能材料を含む、から成る、またはから本質的に成ることができる。X線検出可能材料はそのように限定されないが、いずれかの材料、例えば、米国特許第7,662,510号(その全文を参照することにより本明細書に組み入れられる)に開示されているものであり得る。X線検出可能材料または元素の適切な両は、’510特許にも開示されているが、いくつかの実施形態では、微多孔膜または膜の総重量に対して、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、または1重量%以下を使用することができる。実施形態では、添加剤は、硫酸バリウムである。
【0073】
いくつかの実施形態では、添加剤は、リチウムハロゲン化物を含む、から成る、またはから本質的に成ることができる。リチウムハロゲン化物は、塩化リチウム、フッ化リチウム、臭化リチウム、またはヨウ化リチウムであり得る。リチウムハロゲン化物は、ヨウ化リチウムであり得、これは、イオン導電性および電気絶縁性の両方である。場合によっては、イオン導電性および電気絶縁性の両方である材料を、バッテリーセパレータの一部として使用することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、添加剤は、高分子加工剤を含む、から成る、またはから本質的に成ることができる。当業者により理解されているように、高分子加工剤または添加剤を添加して、高分子化合物の加工効率および品質を改良する。いくつかの実施形態では、高分子加工剤は、酸化防止剤、安定剤、潤滑剤、加工助剤、核形成剤、着色料、帯電防止剤、可塑剤、またはフィラーであり得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、添加剤は、高温メルトインデックス(HTMI)重合体を含む、から成る、またはから本質的に成ることができる。HTMI重合体は、そのように限定されないが、PMP、PMMA、PET、PVDF、アラミド、シンジオタクチックポリスチレン、およびこれらの組合せから成る群から選択される少なくとも1つであり得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、添加剤は、電解液添加剤を含む、から成る、またはから本質的に成ることができる。本明細書に記載されているような電解液添加剤は、該電解液が本明細書に掲げた目標と矛盾しない限り、限定されない。電解液添加剤は、通常、電池性能を改良するために電池製造者、特にリチウム電池製造者により添加されるいずれもの添加剤であり得る。電解液添加剤は、好ましくは、配合することができるべきであり、例えば、高分子微多孔膜用に使用されるポリマーと混和またはコーティングスラリーと相溶性であるべきである。添加剤の混和性は、添加剤を被覆または部分的に被覆することによっても補助または改善し得る。例えば、例となる電解液添加剤は、A Review of Electrolyte Additives for Lithium-Ion Batteries, J. of Power Sources, vol. 162, issue 2, 2006 pp. 1379-1394に開示されており、この内容は参照することにより本明細書に組み入れられるものとする。いくつかの好ましい実施形態では、電解液添加剤は、固体電解液界面相(SEI)改質剤、カソード保護剤、難燃添加剤、LiPF6塩安定剤、過充電防止剤、アルミニウム腐食防止剤、リチウム析出剤もしくは析出調整剤、または溶媒和促進剤、アルミニウム腐食防止剤、湿潤剤、および粘度調整剤からなる群から選択される少なくとも1つである。いくつかの実施形態では、添加剤は、1つより多い特性を有し得る、例えば、湿潤剤かつ粘度調整剤であり得る。
【0077】
例となるSEI改質剤としては、VEC(ビニルエチレンカーボネート)、VC(ビニレンカーボネート)、FEC(フルオロエチレンカーボネート)、LiBOB(リチウムビス(オキサラト)ボレート)が挙げられる。例となるカソード保護剤としては、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N-ジエチルアミノトリメチルシラン、LiBOBが挙げられる。例となる難燃添加剤としては、TTFP(リン酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル))、フッ素化炭酸プロピレン、MFE(メチルノナフルオロブチルエーテル)が挙げられる。例となるLiPF6塩安定剤としては、LiF、TTFP(リン酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル))、1-メチル-2-ピロリジノン、フッ素化カルバメート、ヘキサメチルホスホラミドが挙げられる。例となる過充電防止剤としては、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、2,2-ジフェニルプロパン、炭酸フェニルtert-ブチルが挙げられる。例となるLi析出調整剤としては、AlI3、SnI2、塩化セチルトリメチルアンモニウム、パーフルオロポリエーテル、長鎖アルキルを有するテトラアルキルアンモニウムクロリドが挙げられる。例となるイオン性溶媒和促進剤としては、12-クラウン-4、TPFPB(トリス(ペンタフルオロフェニル))が挙げられる。例となるAl腐食防止剤としては、ホウ酸塩など、LiBOB、LiODFBが挙げられる。例となる湿潤剤および粘度希釈剤としては、シクロヘキサンおよびP25が挙げられる。
【0078】
いくつかの実施形態では、電解液添加剤は、空気中で安定または酸化耐性がある。本明細書に開示されている電解液添加剤を含むバッテリーセパレータは、数週間~数ヶ月、例えば、1週間~11か月の寿命を有することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、添加剤は、エネルギー散逸非混和添加剤を含む、から成る、またはから本質的に成ることができる。非混和は、添加剤が、該添加剤を含む多層微多孔膜または膜の層を製造するために使用される重合体と混和しないことを意味する。
【0080】
いくつかの実施形態では、該膜または膜は、三層微多孔膜または3つの層(三層)の多層微多孔膜と比較して、増大されたまたは改良された穿刺強度を有するまたは示す。例えば、穿刺強度は、250g超、260g超、270g超、280g超、290g超、300g超、または310g超であってよい。好ましい実施形態では、穿刺は、300g以上または310g以上である。本明細書に記載されている多層膜は、三層微多孔膜または3つの層(三層)の多層微多孔膜と比較して、改良された、120℃、1時間におけるMD収縮率を有してもよい。例えば、120℃、1時間におけるMD収縮率は、25%未満、24%未満、23%未満、22%未満、21%未満、または20%未満であってよい。好ましい実施形態では、120℃、1時間におけるMD収縮率は、24%未満または20%未満である。120℃、1時間におけるMD収縮率は、15%未満であり得る。本明細書に記載されている多層膜は、改良されたMD破断時引張強さを有することもできる。例えば、MD破断時引張強さは、900kg/cm2超、または1,000kg/cm2超、または1,100kg/cm2超、であってよい。これらの特性は、膜それ自体、すなわち、被覆も他の処理もない膜である。いくつかの実施形態では、これらの特性は、TD延伸製品において示される場合がある。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている多層膜または膜の少なくとも1つの層は、高分子添加剤を含む。高分子添加剤を、膜を構成する主要重合体より少ない量で添加する。例えば、いくつかの実施形態では、主要重合体は、ポリオレフィンであり得る。これは、本明細書に記載されている多層膜または膜の少なくとも1つの層がポリマー配合物を含むまたはから構成されることの別の言い方である。いくつかの実施形態では、層は、高分子配合物またはポリマー配合物および本明細書に記載されている他の添加剤のうちの1つ以上を含むことができる、またはから構成され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、ポリマー配合物を含む層は、第一外層または反対の第二外層などの外層である。いくつかの実施形態では、第一外層および第二外層の両方は、ポリマー配合物を含む。いくつかの実施形態では、内層は、ポリマー配合物を含む。場合によっては、少なくとも1つの内層および少なくとも1つの外層は、ポリマー配合物を含み、いくつかの実施形態では、内層の全ておよび外層の全ては、ポリマー配合物を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、ポリマー配合物は、少なくとも2つの異なるポリエチレン、少なくとも2つの異なるポリプロピレン、または少なくとも1つのポリエチレンと1つのポリプロピレンの組合せなど、少なくとも2つの異なるポリオレフィンを含む、から成る、またはから本質的に成る。いくつかの実施形態では、ポリマー配合物は、ポリオレフィンおよび非ポリオレフィン、すなわち、ポリオレフィンでない重合体を含む、から成る、またはから本質的に成る。
【0084】
いくつかの実施形態では、多層膜または膜の各層は、これらと隣接する層と異なる組成物を有する。例えば、1つの層は、2つの異なるポリオレフィンのポリマー配合物を含むことができ、1つの隣接する層は、ポリオレフィンおよび非ポリオレフィンのポリマー配合物を含むことができ、他の隣接する層は、ポリマー配合物を含まない。
【0085】
多層膜を縦方向(MD)に延伸して、微多孔質多層膜を製造することができる。場合によっては、微多孔質多層膜を、MD延伸された微多孔質多層膜を横方向(TD)に延伸することによって製造する。順次MD-TD延伸に加えて、多層膜を、二軸MD-TD延伸を同時に行うこともできる。さらに、同時または順次MD-TD延伸微多孔質多層膜は、その後に圧延工程が続いて、膜厚さを低減、粗度を低減、空隙率%を低減、TD引張強さを増強、均一性を増大、および/またはTD割裂性を低減することができる。いくつかの実施形態では、多層膜は、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、または10倍超にTD延伸する。
【0086】
実施形態では、多層膜を、かかる延伸膜の厚さを減少させる方法として、縦方向延伸、次いで横方向延伸(縦方向緩和の有る無し)およびその後の圧延工程などの延伸およびその後の圧延工程を含む例示的方法を使用して製造することができ、例えば、多層多孔質膜を制御された方法でかかる延伸膜の空隙率%を低減する、例えば、多層多孔質膜を制御された方法でかかる延伸膜の強度、特性、および/もしくは性能を改良する、例えば、多層多孔質膜を制御された方法でかかる延伸膜の穿刺強度、縦方向および/もしくは横方向引張強さ、均一性、湿潤性、塗布性、操業性、圧縮、戻り、曲路率、透過性、厚さ、ピン除去力、機械的強度、表面粗度、ホットチップホール伝播、および/もしくはこれらの組合せを改良する、ならびに/または、例えば、多層多孔質膜を制御された方法で固有の構造物、細孔構造物、材料、膜、ベース薄膜、および/もしくはセパレータを製造する。
【0087】
場合によっては、多層膜のTD引張強さを、TD延伸後の圧延工程を追加することによってさらに改良することができる。圧延方法は、通常、多孔質膜の厚さを低減することができる熱および圧を含む。圧延工程段階は、TD延伸を原因とするMDおよびTD引張強さの低下を回復することができる。さらに、圧延によるMDおよびTD引張強さにおいて観察される増強は、多層膜の機械的性能全体に対して有益となることができるよりバランスのとれたMDおよびTD引張強さの比を創り出すことができる。
【0088】
圧延方法は、感熱性材料の選択的高密度化するため、均一若しくは不均一な圧延条件(滑面ロール、粗面ロール、パターン化ロール、ミクロパターン化ロール、ナノパターン化ロール、速度変化、温度変化、圧変化、湿度変化、ダブルロール工程、複数ロール工程、又はこれらの組合せの使用によってなど)の提供するため、改良された、所望の若しくは唯一の構造、特性、及び/又は性能を得るため、得られた構造、特性、及び/又は性能を得る若しくは制御するためなどの均一若しくは不均一な熱、圧、及び/又は速度を使用することができる。実施形態では、50~200psiの圧延圧と共に、50℃~70℃の圧延温度および40~80ft/分のライン速度を使用することができる。場合によっては、より高い圧は、より薄いセパレータを提供す、より低い圧は、より厚いセパレータを提供する。これらの例示的処理条件は、全て、非限定的である。
【0089】
いくつかの実施形態では、1つ以上の被覆層を、多層膜の片面または両面に適用することができる。いくつかの実施形態では、コーティングの1つ以上は、高分子バインダーおよび有機および/または無機粒子を含む、から成る、またはから本質的に成るセラミックコーティングであり得る。いくつかの実施形態では、セラミックコーティングのみを、微多孔膜の片面または両面に塗布する。他の実施形態では、セラミックコーティングの塗布前または塗布後に、異なるコーティングを、微多孔膜に塗布することができる。異なるさらなるコーティングを、膜または薄膜の片面または両面に塗布することができる。いくつかの実施形態では、異なる高分子被覆層は、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)又はポリカーボネート(PC)の少なくとも1つを含む、から成る、又はから本質的に成ることができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、被覆層の厚さは、約12μm未満、時々10μm未満、時々9μm未満、時々8μm未満、時々7μm未満、および時々5μm未満である。少なくとも特定の選択された実施形態では、被覆層は、4μm未満、2μm未満、または1μm未満である。
【0091】
被覆方法は限定されず、本明細書に記載されている被覆層を、次の被覆方法:押出コーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、印刷、ナイフコーティング、エアナイフコーティング、噴霧コーティング、ディップコーティング、またはカーテンコーティングの少なくとも1つにより多孔質基板上に被覆することができる。コーティング方法を、室温又は高温で行うことができる。
【0092】
被覆層は、非多孔質、ナノポーラス、微孔性、メソポーラス又はマクロポーラスのいずれか1つであり得る。被覆層は、700以下、時々600以下、500以下、400以下、300以下、200以下、又は100以下のJISガーレーを有することができる。
【0093】
1つ以上の層、処理、材料、もしくは被膜(CT)および/またはネット、メッシュ、マット、織布、もしくは不織布(NW)を、本明細書に記載されている多層薄膜もしくは膜(M)の片面もしくは両面上に、または多層薄膜もしくは膜(M)内に追加することができ、CT/M、CT/M/CT、NW/M、NW/M/NW、CT/M/NW、CT/NW/M/NW/CT、CT/M/NW/CTなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0094】
II.バッテリーセパレータ
いくつかの実施形態では、本明細書におけるバッテリーセパレータは、(a(すなわち、1つ以上の))多層膜または多層微多孔膜、および必要に応じて膜の片面または両面上に被覆層を含む、から成る、又はから本質的に成る。膜それ自体、すなわち、被膜も他の追加の構成要素もない膜は、上記改良された特性を示す。被膜または、被膜の有る無しにかかわらず片面もしくは両面上の不織布、ネット、メッシュなどの他の追加の構成要素の追加により、ならびに/または記載されているMD、MD-TDもしくはMD-TD-C延伸および圧延により、膜の性能をさらに増強することができる。
【0095】
III.複合材、乗り物、またはデバイス
態様では、複合材は、セクションIおよびIIに記載されている多層膜またはバッテリーセパレータ、ならびに1つ以上の電極、例えば、直接これらと接して提供されるアノード、カソード、もしくはアノードとカソードを備える。
電極の種類は限定されない。例えば、電極は、リチウムイオン二次電池における使用に適するものであり得る。
【0096】
適切なアノードは、372mAh/gより大きいかまたは同等、好ましくは≧700mAh/g、最も好ましくは≧1000mAh/gのエネルギー容量を有することができる。アノードは、リチウム金属箔もしくはリチウム合金箔(例えば、リチウムアルミニウム合金)、またはリチウム金属および/もしくはリチウム合金の混合物ならびに炭素(例えば、コークス、黒鉛)、ニッケル、銅などの材料から作製する。アノードは、リチウム含有層間化合物またはリチウム含有挿入化合物から単独で製造されない。
【0097】
適切なカソードはアノードと互換性いずれものカソードであり得、層間化合物、挿入化合物、又は電気化学的に活性な重合体を挙げることができる。適切なインターカレーション物質としては、例えば、MoS2、FeS2、MnO2、TiS2、NbSe3、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、V613、V25、及びCuCl2が挙げられる。適切なポリマーとしては、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、およびポリチオペン(polythiopene)が挙げられる。
【0098】
上記本明細書に記載されているいずれかのセパレータを、いずれかの乗り物またはデバイス、例えば、e-ビークル、またはデバイス、例えば、完全もしくは部分的にバッテリー駆動の携帯電話もしくはラップトップに組込むことができる。
【0099】
IV.織物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている多層微多孔膜または薄膜を含む、から成る、またはから本質的に成る織物を記載している。いくつかの好ましい実施形態では、織物は、本明細書に記載されている多層微多孔膜または薄膜および不織布もしくは織布材料を含む。不織布は、ステープル不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布、フラッシュ紡糸不織布、ニアレイド不織布、またはいずれかの他の方法により製造された不織布であり得る。いくつかの好ましい実施形態では、不織布または織布を、多層微多孔膜または薄膜に付着させる。いくつかの実施形態では、織物は、本明細書に記載されている織布または不織布多層微多孔膜または薄膜、および別の織布または不織布を、この順で含む、から成る、またはから本質的に成る。いくつかの実施形態では、織物は、本明細書に記載されている多層微多孔膜または薄膜、不織布または織布、および本明細書に記載されている多層微多孔膜または薄膜を、この順で含む、から成る、またはから本質的に成る。
【0100】
V.多層膜の製造方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている多層膜の物理的特性は、少なくとも部分的に、多層膜を製造する方法の結果である。
【0101】
態様では、方法は、少なくとも2つ以上のポリマー混合物を共押出して第一共押出二層、三層、または多層膜を製造し、2つ以上の他のポリマー混合物を共押出して第二共押出二層、三層、または多層膜を製造し、および2つ以上のさらなるポリマー混合物を共押出して第三共押出二層、三層、または多層膜を製造することを含む。第一、第二、および第三の二層、三層、または多層膜の各層を製造するために使用されるポリマー混合物は、同じであっても異なっていてもよい。混合物は、1つのポリマー、またはポリマー配合物などの1つより多いポリマーのみ含むことができる。また、3つより多い二層、三層、または多層膜を製造することができる。第一、第二、および第三の二層、三層、または多層膜を製造した後、膜の1つの反対面上に形成された膜の2つと膜を積層し、本明細書に記載の微多孔質バッテリーセパレータを製造する。積層された多層膜を、一軸または二軸延伸して、場合によっては、圧延することができる。
【0102】
多層膜の各層は、押出または共押出により製造された1つ以上の副層、ミクロ層、またはプライを備えることができる。共押出は、通常、ダイを供給する1つ以上の押出機(通常、二層、三層、または多層膜の層毎に1つの押出機)と共に共押出ダイの使用を含む。例示的共押出方法を図4に示し、共押出ダイを図5に示す。
【0103】
いくつかの実施形態では、ダイを供給する1つ以上の押出機で共押出ダイを用いて共押出工程を行う。通常、最終的に製造された共押出薄膜の各所望の層またはミクロ層のための1つの押出機がある。例えば、所望の共押出薄膜が3つのミクロ層を備える場合、3つの押出機を共押出ダイを用いて使用する。少なくとも1つの実施形態では、多層膜を、多くの副層、ミクロ層、またはナノ層から構築することができ、最終製品は、多層膜中に層を合わせて含む個別の副層、ミクロ層、またはナノ層の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはより多い層を含むことができる。少なくとも特定の実施形態では、副層技術は、キャスト薄膜またはブロー薄膜ダイに入る前にプレカプセル化フィードブロックにより製造することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、共押出は、エアーバブル共押出法であり、ブローアップ比を、0.5~2.0、0.7~1.8、または0.9~1.5の間で変更することができる。このブローアップ比を使用する共押出後、下記により詳細に記載しているように、薄膜を、MD延伸、MD延伸してからTD延伸(MD緩和があってもなくても)、または同時にMDおよびTD延伸することができる。次いで、薄膜を、必要に応じて圧延して、空隙率をさらに制御することができる。
【0105】
共押出の利点としては、いずれの特定の理論に束縛されることを望まないが、穿刺強度を改良すると考えられる層(界面)数の増加が挙げられるが、これに限定されない。いずれの特定の理論に束縛されることを望まないが、共押出は、DB改良が観察されると考えられる。詳細には、DB改良は、共押出法を使用する場合に観察されるPP細孔径減少に関連し得る。共押出は、ミクロ層内に配合物を組み込むことにより、より多くの材料選択を可能とする。共押出は、三層薄膜または多層薄膜(共押出薄膜)の形成も可能とする。例えば、8もしくは10ミクロンまたはより薄い厚さを有する三層共押出薄膜を製造することができる。共押出は、より高いMD伸び、種々の細孔構造物(より小さいPP、より大きいPE)を可能とする。共押出を積層と組み合わせて本発明の多層構造物を製造することができる。例えば、実施例で製造された構造物。
【0106】
積層工程は、共押出された薄膜の面を少なくとも1つの他の薄膜の面と合わせること、ならびに熱、圧、および/または熱と圧を使用して2つの面を固定することを含む。例えば、共押出膜及び少なくとも1つの他の薄膜のいずれか若しくは両方の面の粘着性を増加する、2つの面を固着させる、又はより充分に接着するために熱を使用して、積層を容易にすることができる。積層工程数はそのように限定されない。例えば、膜の層の全てを積層してもよく、2つの層を一度に積層してもよい。例えば、2つの層を積層して積層物を製造し、次いで、別の層をこの積層物と積層して第二積層物を製造し、次いで、別の層をこの第二積層物と積層して第三積層物を製造してよい、など。
【0107】
いくつかの実施形態では、共押出された薄膜を少なくとも1つの他の薄膜と積層することによって製造された積層物は、その後の緩和の有る無しのMDおよび/またはTD延伸工程のための前駆体である。いくつかの実施形態では、共押出薄膜を積層前に延伸する。
【0108】
追加工程は、MD、TD、または順次または同時MDおよびTD延伸工程を含む、から成る、又はから本質的に成ることができる。延伸工程は、積層工程の前または後に行うことができる。MDおよび/またはTD緩和があってもなくても延伸を行うことができる。同時係属中の、所有者が共通する、2017年3月23日に公開された米国特許出願公開第2017/0084898(A1)号は、参照することにより本明細書に完全に組み入れられる。
【0109】
他の追加工程としては、圧延を挙げることができる。例えば、いくつかの実施形態では、多孔質二軸延伸膜前駆体の厚さを低減するための手段として、細孔径および/もしくは空隙率を低減する、ならびに/または横方向(TD)引張強さおよび/もしくは穿刺強度をさらに改良する手段として、圧延工程を行うことができる。圧延は、強度、湿潤性、及び/又は均一性も向上し、製造プロセス中、例えば、MD及びTD延伸加工中に取り込まれた表面層欠陥を低減することもできる。圧延された薄膜または膜は、改良された被覆性を有することができる(平滑圧延ロールまたは複数のロールを使用して)。加えて、表面粗面化(texturized)圧延ロールの使用は、薄膜または膜へ改良された被膜接着性に役立つことができる。
【0110】
圧延は、冷(室温未満)、環境(室温)、若しくは熱(例えば、90℃)であり得、制御された方法で膜または薄膜の厚さを低減するために圧の印加若しくは熱及び圧の印加を含むことができる。1つ以上の工程において、圧延は、例えば、低圧圧延、次いで、より高圧圧延であり、コールドカレンダー処理、次いでホットカレンダー処理、などであり得る。加えて、圧延方法は、熱、圧及び感熱性材料の高密度化速度の少なくとも1つを使用することができる。加えて、圧延方法は、感熱性材料の選択的高密度化するため、均一若しくは不均一な圧延条件(滑面ロール、粗面ロール、パターン化ロール、ミクロパターン化ロール、ナノパターン化ロール、速度変化、温度変化、圧変化、湿度変化、ダブルロール工程、複数ロール工程、又はこれらの組合せの使用によってなど)の提供するため、改良された、所望の若しくは唯一の構造、特性、及び/又は性能を得るため、得られた構造、特性、及び/又は性能を得る若しくは制御するためなどの均一若しくは不均一な熱、圧、及び/又は速度を使用することができる。
【0111】
多層微多孔膜の別の例示的製造方法は、複数の副層を備える非多孔質ポリプロピレン前駆体を共押出する工程;複数の副層を備える非多孔質ポリエチレン前駆体を共押出する工程;複数の共押出されたポリプロピレン前駆体層を押出されたポリエチレン前駆体層と積層して交互に配置されたポリエチレン層とポリプロピレン層を有する第一中間前駆体を製造する工程;共押出されたポリプロピレン前駆体を含む第一外層を中間前駆体の第一面へ、および共押出されたポリプロピレン前駆体を含む第二外層を該第一面と反対の第一中間前駆体の第二面へ同時に積層して第二中間前駆体を製造する工程;第二中間前駆体を焼き鈍して焼き鈍された多層膜を製造する工程;焼き鈍された多層膜を一軸または二軸延伸して微多孔質多層膜を製造する工程;ならびに必要に応じて微多孔質多層膜を圧延する工程を含む。いくつかの好ましい実施形態では、圧延を行う。この方法は、限定されない。例えば、第一中間前駆体は、全てのポリエチレンまたは全てのポリプロピレン前駆体を含んでよい。
【0112】
場合によっては、第一中間前駆体は、PE/PP/PEまたは(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)の構造を有する三層膜を備え、第二中間前駆体は、PP/PE/PP/PE/PPまたは(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)の構造を有する五層膜を備える。
【0113】
共押出されたポリプロピレン前駆体層の各々は、1つの単層または2つ、3つ、4つ、もしくはより多い副層を備えることができ、押出ポリエチレン前駆体の各々は、1つの単層または2つ、3つ、4つ、もしくはより多い副層を備えることができる。1つの実施形態では、第二中間前駆体は、PP/PE/PP/PE/PPの構造を有する五層膜を備え、各層は3つの副層を備える。例えば、構造は、(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)である。
【0114】
共押出されたポリプロピレン前駆体およびポリエチレン前駆体は非多孔質であり、延伸工程により微多孔性になるように製造することができる。一軸延伸は、縦方向または横方向であり得、二軸延伸は、縦方向または横方向であり得る。二軸縦方向および横方向延伸は、順次または同時であり得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、圧延工程がある。圧延は、熱、圧、または熱と圧の応用を含んでよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、方法は、例として、膜がバッテリーセパレータである場合、第一外層および第二外層の1つ以上を被覆する工程をさらに含む。
【0117】
各層が3つの副層もしくはプライを備える場合にPP/PE/PP/PE/PPまたは(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)の一般構造および、いくつかの実施形態では、(PP1,PP2,PP3)/(PE1,PE2,PE3)/(PP1,PP2,PP3)/(PE1,PE2,PE3)/(PP1,PP2,PP3)の特定の構造を有する五層膜の製造方法の別の実施形態では、方法は、図1に示されている工程1および工程2を含む。
【0118】
図1は、PP/PE/PP/PE/PPまたは(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)の一般的構造を有する五層膜の例示的製造方法を示す。三層構成要素は、構造PE/PP/PEまたは(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)を有してよい。これは、2工程方法であるが、五層を、全ての5つの層を積層する一段階工程で製造してよい。2工程より多い工程を使用する方法も可能である。
【0119】
工程1では、反転三層膜を、ポリエチレンの第一層を中間ポリプロピレンの第一面へ積層し、ポリエチレンの第二層を中間ポリプロピレン層の第二面へ積層して、PE/PP/PEの構造を有する三層を得ることによって製造する。非反転三層PP/PE/PPを製造してもよい。第一および第二ポリエチレン層および三層の中間ポリプロピレンは、各々、単一な単層であり得、または上記セクション1に記載されているように複数の副層を有することもできる。好ましい実施形態では、各層は、副層を備えてよい。工程2では、三層を中間層として使用し、第一ポリプロピレン外層(またはポリエチレン)をポリエチレンの第一層または三層の1つの面へ積層し、第二ポリプロピレン外層(またはポリエチレン)をポリエチレンの第二層または三層の反対の面へ積層して、PP/PE/PP/PE/PPの構造を有する五層膜を得る。さらに、ポリプロピレン(またはポリエチレン)の第一および第二外層は、各々、単一な単層であり得、または上記セクションIに記載されているように複数の副層を有することもできる。第一および第二外層が複数の副層(2以上)を有する場合、最外層および露出した副層の厚さは副内層より厚くてもよく、薄くてもよく、副内層と同じでもよい。1つの実施形態では、五層膜の層の各々は、合計15副層に対して、3つの副層を備える。構造は、(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)である。
【0120】
五層微多孔膜のさらに別の例示的製造方法では、方法は、複数のポリプロピレン膜およびポリエチレン膜を押出する工程;ポリエチレン膜の1つをポリプロピレン膜の第一面へ、およびポリエチレン膜のもう1つをポリプロピレン膜の反対の第二面へ積層してPE/PP/PEまたは(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)の構造を有する反転三層膜を製造する工程;ポリプロピレン層の1つを三層膜中のポリエチレン膜の1つへ、ポリプロピレン層のもう1つを三層膜中の他のポリエチレン膜へ積層してPP/PE/PP/PE/PPまたは(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)の構造を有する五層膜を製造する工程;焼き鈍された多層膜を一軸または二軸延伸して微多孔質多層膜を製造する工程;ならびに必要に応じて微多孔質多層膜を圧延する工程を含む。いくつかの実施形態では、三層は、PP/PE/PPまたは(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)であり得、五層構造は、(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)であってよい。三層は、全てPPまたは全てPEであってもよく、例えば、PP/PP/PPもしくはPE/PE/PEまたは(PP/PP/PP)/(PP/PP/PP)/(PP/PP/PP)もしくは(PE/PE/PE)/(PE/PE/PE)/(PE/PE/PE)である。五層は、PE/PP/PP/PP/PEもしくはPP/PE/PE/PE/PPまたは(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PP/PP/PP)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)もしくは(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PE/PE/PE)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)であってよい。
【実施例
【0121】
実施例1
実験用五層の組成物
実験用五層膜の組成物は、(PP1/PP1/PP1)/(PE1/PE1/PE1)/(PP1/PP1/PP1)/(PE1/PE1/PE1)/(PP1/PP1/PP1)であり、PP1はホモ重合体PP、0.90~0.92g/cm3の密度範囲、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。全PE1層は、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分のメルトインデックス、ならびに0.95~0.97g/cm3の密度範囲を有する高密度ポリエチレンである。
【0122】
五層:(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)の製造方法
(PP1/PP1/PP2)/(PE2/PE2/PE2)/(PP1/PP2/PP1)/(PE2/PE2/PE2)/(PP2/PP1/PP1)の構造を有する実施例9の五層膜を、構造(PP1/PP1/PP2)を有する層、構造(PE2/PE2/PE2)を有する層、構造(PP1/PP2/PP1)を有する層および構造(PP2/PP1/PP1)を有する層を共押出することによって製造した。次いで、これらの共押出層を積層して、(PP1/PP1/PP2)/(PE2/PE2/PE2)/(PP1/PP2/PP1)/(PE2/PE2/PE2)/(PP2/PP1/PP1)の構造を有する中間製品を製造し、該中間製品をMDおよびTD方向に延伸してから圧延した。
【0123】
五層を、図6および図3(b)に模式的に示す。PP1:PP2:PP1比は、1:1:1である。PP1:PP1:PP2比は、1:1:1である。PP:PE:PP:PE:PP比は、15:10:15:10:15である。総PE量は、30%である。
【0124】
MD、TD、およびTDCのSEM画像
図7は、PP/PE/PP/PE/PPの一般構造を有する五層膜の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示し、各層(例えば、構造PP/PE/PP/PE/PPのPPは層と見做される)は3つの副層を有する(合わせた合計15副層)。例えば、図3(b)および図6参照。「MD」と記された図7のSEM顕微鏡写真は、MD方向に一軸延伸された後の五層膜のものである。細孔は、四角形のスリット状である。「TD」と記された図7のSEM顕微鏡写真は、順次MD-TD方向に延伸後の五層膜のものである。「TD」と記された図7のSEM顕微鏡写真に示されているように、PP微多孔質層の間に挟まれたPE微多孔質層のより大きく開口された多孔質構造があり、細孔はおおよそ円形状の外観を有する。図7に「TDC」と記されたSEM顕微鏡写真は、「MD」と記された図7のSEM顕微鏡写真におけるMD延伸膜のTD延伸とその後の圧延の組合せ(TDC)の後の五層膜のものである。圧延方法は、熱および圧を含み、膜の厚さを制御して低減することができる。
【0125】
実施例2(三層1)
第一の三層の組成物(三層1):PP1/PE1/PP1
全てのPP1層は、0.90~0.92g/cm3の密度範囲、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRを有するホモ重合体PPから成る。全PE1層は、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分のメルトインデックス、ならびに0.95~0.97g/cm3の密度範囲を有する高密度ポリエチレンである。
【0126】
三層1:PP1/PE1/PP1の製造方法
実施例5の第一層を、2つのPP単層およびPE単層を押出することによって製造した。次に、2つのPP単層をPE単層の一方の面上に積層して中間製品を製造するように単層を積層して、次いで、これをMDおよびTD方向に延伸してから圧延した。単層を全て一緒に積層してもよく、1つのPP層をPE単層に積層してから他のPP層を積層してもよい。PP:PE:PP比は2:1:2であり、PEの全量は20%である。
【0127】
第一の三層を、図4および図3(c)に模式的に示す。
【0128】
実施例3(三層2)
三層2の組成物
第二の五層の組成物は、(PP1/PP2/PP1)/(PE2/PE2/PE2)/(PP1/PP2/PP1)であり、PP1はホモ重合体PPであり、0.90~0.92g/cm3の密度範囲、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRを有する。PP2は、90%のPP1のホモ重合体PPおよび10%のプロピレン-エチレンエラストマーから成る配合物である。PE1は、2.16Kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分のメルトインデックスならびに0.95~0.97g/cm3の密度範囲を有する95%の高密度ポリエチレン、ならびに5%のmLLDPEの配合物から成る。
【0129】
三層2の製造方法
三層2を、上記実施例7に記載されている組成(すなわち、PP1/PP2/PP1)を有するPP含有層および上記実施例7に記載されている組成(すなわち、PE2/PE2/PE2)を有するPE含有層を共押出することによって製造し、PP含有層およびPE含有層の各々は図3(a)に示されているように3つの副層を有する。次いで、2つのPP含有層を、PE含有層の一方の面に積層して中間製品を製造した。次いで、この中間製品をMDおよびTD延伸してから圧延した。
【0130】
三層2を、図5および図3(a)に模式的に示す。PP1:PP2:PP1比は、1:1:1である。PP:PE:PP比は、2:1:2である。総PEは、20%である。
【0131】
実施例4(第二の五層)
第二の五層の組成物
第二の五層は、構造PP1/PE1/PP1/PE1/PP1を有し、PP1およびPE1は本明細書に記載されている通りである。
【0132】
第二の五層の製造方法
第二の五層を、それぞれ、PP1およびPE1から成る単層を押出して、次いで、これらの単層を積層して、構造物PP1/PE1/PP1/PE1/PP1を形成することによって製造する。この積層物をMDおよびTD延伸してから圧延した。
【0133】
実施例5(崩壊された気泡共押出)
組成物
実施例5の組成物は、構造PP1/PP2/PE1/PE1/PP2/PP1を有し、PP1、PP2およびPE1は本明細書に記載されている通りである。
【0134】
製造方法
実施例5を、気泡押出法を使用し、気泡を崩壊して気泡の一方の面上のPE1層をもう1つへ積層させる三層PP1/PP2/PE1の共押出によって製造した。次いで、この積層物をMDおよびTD延伸してから圧延した。この実施形態は、1つの積層界面を有し、これは、PE/PE積層界面である。
【0135】
実施例6(マルチラミネート)
実施例5の組成物
実施例6は、構造PP1/PP2/PE1/PE1/PP2/PP1を有し、PP1、PP2、およびPE1は本明細書に記載されている通りである。
【0136】
実施例6の製造方法
6つの単層を共押出(2つのPP1単層、2つのPP2単層、および2つのPE1単層)して、これらを積層して5つの積層界面(2つだけのPP/PE積層界面)を有する実施例6の構造物を製造した。次いで、この積層物をMDおよびTD延伸してから圧延した。
【0137】
実施例7(マルチラミネート)
組成物
実施例7は、構造PP1/PE1/PP2/PP2/PE1/PP1を有し、PP、PP2、およびPE1は本明細書に記載されている通りである。
【0138】
実施例7の製造方法
6つの単層(2つのPP1単層、2つのPE1単層、および2つのPP2単層)を押出し、積層して上記構造物を製造した。次いで、この積層物をMDおよびTD延伸してから圧延した。この積層物は、5つの積層界面を有する。これは、4つのPP/PE積層界面を有する。
【0139】
結果
実施例1のMD延伸五層膜の比較
下表1は、図3(c)に示されている組成および構造(PP/PE/PP)を有するMD延伸第一の三層膜(実施例2)および図3(a)に示されている組成および構造(PP/PE/PP)を有する第二の三層膜(実施例3)と比較すれば、図3(b)に示されている組成および構造(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)を有する一軸MD延伸五層膜1(実施例1)の比較での特性を示す。下記に示すように、図3(b)の層の各々は、3つの副層を備え、図3(a)の第二の三層の層も副層を備える。なお、図3(a)~3(c)は、正確な縮尺で図示されていないが、むしろ、第一および第二の三層が五層膜の一部に相当することを示すように図示されている。表1~3に示されているように、第一および第二の三層の全体的厚さは、五層膜の全体的厚さとおおよそ同等(表1~3に開示されているいくらかの差異を含む)である。したがって、五層膜における各副層は、第一および第二の三層における対応する副層の平均厚さより小さい平均厚さを有する。五層膜および第二の三層膜で使用されるPP材料およびPE材料は同じである。
【0140】
【表1】
【0141】
下表2は、図3(c)に示されている組成および構造(PP/PE/PP)を有するTD延伸第一の三層膜および図3(a)に示されている組成および構造(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)を有する第二の三層膜と比較すれば、図3(b)に示されている組成および構造(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)を有するTD延伸五層膜の比較での特性を示す。
【0142】
【表2】
【0143】
下表3は、図3(c)に示されている組成および構造(PP/PE/PP)を有するTD延伸および圧延三層膜および図3(a)に示されている組成および構造(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)を有する第二の三層膜と比較すれば、図3(b)に示されている組成および構造(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)を有するTD延伸および圧延五層膜の比較での特性を示す。
【0144】
【表3】
【0145】
五層の実施形態(実施例1)と2つの三層の実施形態(実施例2および実施例3)との比較により分かるように、五層の実施形態は、例えば、改良された穿刺を示す。これは、第一の三層と比較して、少なくとも部分的に積層界面が原因であると考えられ、2つの積層界面を有する第二の三層と比較して、積層界面を有しないおよび/または増加された積層界面数を有する。3つ以上の積層界面は、微多孔膜の特性を改良すると仮定される。4つの積層界面は、微多孔薄膜の特性を改良することが分かった。
【0146】
【表4】
【0147】
【表5】
【0148】
【表6】
【0149】
したがって、表4~6は、2つの積層界面を有する製品(三層1、実施例2)と比較して、4つの積層界面を有する製品(第二の五層、実施例4)の改良を示す。これらの実施例では、積層界面の各々は、界面における層または副層が界面の1つの面上のPPおよび他の面上のPEであるPP/PE積層界面である。
【0150】
実施例1~7についての正規化された穿刺強度を、図8に示す。図8では、「a」値は、図に示されているように算出された正規化された穿刺強度値である。図8における結果から、いくつかの結論は、PP/PE界面の数は、実施例の得られた強度に対して強い影響を与えることである。2つのPP/PE積層界面を有する実施例2を、4つのPP/PE積層界面を有する実施例4と比較する。4つの積層界面を有する実施例4を、5つの積層界面を有する実施例7と比較する。実施例2を、実施例6と比較する。これらは、それぞれ、2つおよび5つの積層界面を有するが、同じ数のPP/PE積層界面を有する。
【0151】
少なくとも別の実施形態では、多孔質膜は、被覆、浸漬または含浸するためのベース薄膜、例えば、勾配または制御された含浸または被覆(例えば、部分的に前以て湿らした膜をPO浸漬溶液で被覆した)のためのベース薄膜であり得る。この場合、コーティングは、膜を部分的にのみ含浸するだろう。例えば、制御された含浸があり得、浸漬物質は2つのポリマー樹脂の配合物であり、1つは他より膜を容易に浸透する。
【0152】
膜またはセパレータは、切断片、スリット、リーフ、スリーブ、ポケット、エンベロープ、ラップ、Z折り、ジグザグ、および/または同様のものであってよい。膜またはセパレータは、平坦なシート、テープ、スリット、不織布、織布、メッシュ、ニット、中空繊維、および/または同様のものであってよい。膜またはセパレータは、電気化学デバイス、バッテリー、セル、ESS、UPS、コンデンサ、超コンデンサ、二層コンデンサ、燃料電池(PEM、調湿膜、・・・)、触媒担体、担体、パンケーキ(アノード、セパレータ、カソード)、ベース薄膜、被覆ベース薄膜、織物、織物におけるバリア層、防護服、防護服におけるバリア層、血液関門、遮水、ろ過媒体、血液、血液成分、血液酸素付加装置、ディスポーザブルライター、および/または同様のものにおいて使用するために適用され得る。
【0153】
本バッテリーセパレータは、共押出された多層バッテリーセパレータであってよい。共押出は、重合体が押出ダイにおいて同時に一緒になって形状、例えば、概して平面構造でダイから出る方法であって、別々の層の界面を形成する重合体を混合することにより別々の層の界面において結合された少なくとも2つの別々の層を有する、方法を表す。押出ダイは、平面シート(またはスロット)ダイまたはブロー薄膜(または環状)ダイのいずれかであってよい。共押出法は、下記により詳細に説明する。多層は、少なくとも2つの層を有するセパレータを表す。多層は、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはより多い層を有する構造物を表し得る。各層を、押出ダイ中への別々のポリマー供給流により形成する。層は、異なる厚さであってよい。しばしばほとんど、少なくとも2つの供給流は、異なる重合体である。異なる重合体は:異なる化学的性質を有する重合体(例えば、PEおよびPP、またはPEおよびPEの共重合体は異なる化学的性質を有する重合体である);および/または同じ化学的性質を有するが、異なる特性を有する重合体(例えば、異なる特性(例えば、密度、分子量、分子量分布、レオロジー、添加剤(組成および/またはパーセンテージ)、その他)を有する2つのPE)を表す。しかしながら、重合体は、同じでもよく、同一でもよい。
【0154】
本バッテリーセパレータで使用してよい重合体は、押出可能なものである。かかる重合体は、通常、熱可塑性ポリマーと呼ばれる。例示的熱可塑性重合体としては:ポリオレフィン累、ポリアセタール類(またはポリオキシメチレン類)、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリスルフィド類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルエステル類、およびポリビニリデン類が挙げられるが、これらに限定されない。ポリオレフィン類としては、ポリエチレン(例えば、LDPE、LLDPE、HDPE、UHDPEを含む)、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンタン、これらの共重合体、およびこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリアミド(ナイロン)としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ナイロン10,10、ポリフタルアミド(PPA)、これらの共重合体、及びこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエステルとしては、ポリテレフタル酸エステル、ポリテレフタル酸ブチル、これらの共重合体、及びこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリスルフィドとしては、ポリフェニルスルフィド、これらの共重合体、及びこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリビニルアルコールとしては、エチレン-ビニルアルコール、これらの共重合体、及びこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリビニルエステルとしては、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル、これらの共重合体、及びこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリビニリデンとしては、フッ化ポリビニリデン(例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン)、これらの共重合体、及びこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
様々な材料を、重合体に添加してよい。これらの材料を添加して、個別の層またはセパレータ全体の性能または特性を改質または増強する。
重合体の融点を低下させる材料を添加してよい。通常、多層セパレータは、バッテリーの電極間のイオン流を遮断する所定温度においてその細孔を閉じるように設計された層を備える。この機能は、通常、「シャットダウン」と呼ばれる。1つの実施形態では、三層セパレータは、中央シャットダウン層を有する。層のシャットダウン温度を低下させるため、これらを混合する重合体より低い融点を有する材料を重合体に添加してよい。かかる材料としては:125℃より低い融点を有する材料、例えば、ポリオレフィンまたはポリオレフィンオリゴマーが挙げられるが、これらに限定されない。かかる材料としては:ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス、およびこれらの配合物)が、これらに限定されない。これらの材料を、重合体の5~50重量%の比率で重合体に投入してよい。140℃より低いシャットダウン温度を1つの実施形態で得ることができる。130℃より低いシャットダウン温度を他の実施形態で得ることができる。
【0156】
膜の溶融完全性を改良するための材料を添加してよい。溶融完全性は、電極が物理的に分離したままであるように高温においてその物理的寸法のその損失または低下を制限する膜の性能を表す。かかる材料としては、無機フィラーが挙げられる。無機フィラーとしては:タルク、青リン、合成シリカ、珪藻土、雲母、ナノ粘土、窒化ホウ素、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよび同様のもの、ならびにこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。かかる材料としては、微細繊維も挙げることができるが、これに限定されない。微細繊維としては、ガラス繊維および細断ポリマー繊維が挙げられる。投入比率は、層の重合体の1~60重量%の範囲である。かかる材料としては、高融点または高粘度有機材料、例えば、PTFEおよびUHMWPEも挙げることができる。かかる材料としては、架橋剤またはカップリング剤も挙げることができる。
【0157】
膜の強度または靱性を改良するための材料を添加してよい。かかる材料としては、エラストマーが挙げられる。エラストマーとしては:エチレン-プロピレン(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエン(EPDM)、スチレン-ブタジエン(SBR)、スチレンイソプレン(SIR)、エチリデンノルボルネン(ENB)、エポキシ、およびポリウレタンならびにこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。かかる材料としては、微細繊維も挙げることができるが、これに限定されない。微細繊維としては、ガラス繊維および細断ポリマー繊維が挙げられる。投入比率は、層の重合体の2~30重量%の範囲である。かかる材料としては、架橋剤もしくはカップリング剤または高粘度もしくは高融点材料を挙げることもできる。膜の帯電防止特性を改良するための材料を添加してよい。
かかる材料としては、例えば、帯電防止剤が挙げられる。帯電防止剤としては、グリセロールモノステアレート、エトキシル化アミン類、ポリエーテル(例えば、Pelestat300、三洋化成工業(日本)から市販))が挙げられるが、これらに限定されない。投入比率は、層の重合体の0.001~10重量%の範囲である。
【0158】
セパレータの表面湿潤性を改良するための材料を添加してよい。かかる材料としては、例えば、湿潤剤が挙げられる。湿潤剤としては:エトキシル化アルコール類、一次重合体カルボン酸類、グリコール類(例えば、ポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール)、無水マレイン酸で官能化されたポリオレフィン、アクリル酸、グリシジルメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。投入比率は、層の重合体の0.01~10重量%の範囲である。
【0159】
セパレータの表面トライボロジー性能を改良するための材料を添加してよい。かかる材料としては、潤滑剤が挙げられる。潤滑剤としては、例えば、フッ化ポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、低分子量フッ化ポリマー)、スリップ剤(例えば、オレアミド、ステアラミド、エルカ酸アミド、Kemamide(登録商標)、ステアリン酸カルシウム、シリコーンが挙げられる。投入比率は、層の重合体の0.001~10重量%の範囲である。
【0160】
高分子加工性を改良するための材料を添加してよい。かかる材料としては、例えば、フッ化ポリマー、窒化ホウ素、ポリオレフィンワックスが挙げられる。投入比率は、層の重合体の100ppm~10重量%の範囲である。
【0161】
膜の難燃性を改良するための材料を添加してよい。かかる材料としては、例えば、臭素化難燃剤、リン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、アルミナ三水和物、およびリン酸エステルが挙げられる。
【0162】
重合体の核形成を促進させる材料を添加してよい。かかる材料としては、核形成剤が挙げられる。核形成剤としては、安息香酸ナトリウム、ジベンジリデンソルビトール(DBS)およびその化学誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。投入比率は、従来のものである。
【0163】
層を着色する材料を添加してよい。かかる着色料は、従来のものである。
【0164】
本バッテリーセパレータの製造では、重合体を共押出して、多層非多孔質前駆体を製造し、次いで、前駆体を加工してミクロ細孔を形成する。ミクロ細孔を、「ウェット」プロセスまたは「ドライ」プロセスによって形成してよい。ウェットプロセス(溶媒抽出、転相、熱誘起相分離(TIPS)、またはゲル抽出とも呼ぶ)は、概して、前駆体の生成前に除去可能な材料の添加、その後、例えば、抽出処理によってこの材料を除去して細孔を形成することを含む。ドライプロセス(Celgardプロセスとも呼ぶ)は、概して、前駆体を抽出すること(細孔形成のための除去材料を含まない);前駆体を焼き鈍し、前駆体を押出してミクロ細孔を形成することを含む。以後、本発明をドライプロセスに関して述べる。
【0165】
可能性がある好ましい五層構造物を説明する1つの方法は、2つのポリプロピレン層間に積層された反転三層(PE/PP/PE)である。
【0166】
その上の例示的追加データ
少なくとも選択された実施形態、態様又は目的によれば、本応用、本開示または本発明は、改良された膜、セパレータ膜、セパレータ、バッテリーセパレータ、リチウム二次電池セパレータ、多層膜、多層セパレータ膜、多層セパレータ、多層バッテリーセパレータ、多層リチウム二次電池セパレータ、多層バッテリーセパレータ、バッテリー、コンデンサ、超コンデンサ、二層超コンデンサ、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池および/もしくはリチウムイオン二次電池、ならびに/またはかかる膜、セパレータ膜、セパレータ、バッテリーセパレータ、リチウム二次電池セパレータ、バッテリー、コンデンサ、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池および/もしくはリチウムイオン二次電池の製造方法および/もしくは使用方法、ならびに/またはこれらを備えるデバイス、乗り物もしくは製品、ならびに/または同様のものに関する。
【0167】
少なくとも選択された実施形態によれば、本応用、本開示または本発明は、改良された膜、セパレータ膜、セパレータ、バッテリーセパレータ、リチウム二次電池セパレータ、多層膜、多層セパレータ膜、多層セパレータ、多層バッテリーセパレータ、多層リチウム二次電池セパレータ、多層バッテリーセパレータ、電気化学セル、バッテリー、コンデンサ、超コンデンサ、二層超コンデンサ、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池および/もしくはリチウムイオン二次電池、ならびに/またはかかる膜、セパレータ膜、セパレータ、バッテリーセパレータ、リチウム二次電池セパレータ、電気化学セル、バッテリー、コンデンサ、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池および/もしくはリチウムイオン二次電池の製造方法および/もしくは使用方法、ならびに/またはこれらを備えるデバイス、乗り物もしくは製品、ならびに/または同様のものに関する。
【0168】
本発明の様々な実施形態を、本発明の様々な目的の実現として記説明した。これらの実施形態は単に本発明の原理の例証にすぎないことを認識すべきである。多くの修正および適応は、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく当業者に容易に明らかになるだろう。
【0169】
本明細書および付属の特許請求の範囲で使用されるとき、文脈上明らかに別段の指示がない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は複数形を含む。範囲は、本明細書において、「約(about)」もしくは「約(approximately)」1つ特定値から、および/または「約(about)」もしくは「約(approximately)」別の特定値までとして表され得る。かかる範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定値から、および/または他の特定値までを含む。同様に、先行詞「約(about)」の使用により値が近似値として表される場合、特定値は別の実施形態を構成することが理解されよう。それぞれの範囲の端点は、他方の端点との関係でも、他方の端点と無関係でも、その両方において重要であることがさらに理解されよう。「必要に応じた」または「必要に応じて」は、順次記載されているイベントまたは環境が起こってもよく、起こらなくてもよいこと、ならびに記載が前記イベントまたは環境が起こる事例および起こらない事例を含むことを意味する。
【0170】
本明細書の明細および特許請求の範囲全体にわたって、語「含む(comprise)」ならびに「含む(comprising)」および「含む(comprises)」などのこの語の変化形は「含むがこれに限定されない」を意味し、例えば、他の添加剤、構成要素、整数、またはステップを排除しないものとする。用語「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」を、「含む(comprising)」および「含む(including)」の代わりに使用して本発明のより多くの特定の実施形態を提供することができ、開示も行う。「例となる(exemplary)」または「例えば(for example)」は、「の例」を意味し、好ましいまたは理想的実施形態の指標を伝えることを意図していない。同様に、「などの(such as)」は限定的意味では使用されないが、説明的または例となる目的で使用される。
【0171】
特記された場合以外、本明細書および特許請求の範囲で使用される形状、寸法、および以下同様に表される全ての数字は、最低限でも理解されるべきであり、特許請求の範囲の範囲との均等物の原則の適用を限定する試行としてではなく、有効数字の数および通常の四捨五入の手法に照らして解釈されるべきである。
【0172】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、開示された発明が属する分野の当業者により共通に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に引用された文献およびこれらが引用された材料は参照することにより本明細書に組み入れられる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8