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特許7568623リブを有する特定のプロファイルを有する封止ヘッドを使用して密封使い捨て食品容器を製造する製造プロセス
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  • 特許-リブを有する特定のプロファイルを有する封止ヘッドを使用して密封使い捨て食品容器を製造する製造プロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】リブを有する特定のプロファイルを有する封止ヘッドを使用して密封使い捨て食品容器を製造する製造プロセス
(51)【国際特許分類】
   B65B 7/28 20060101AFI20241008BHJP
   B65D 85/72 20060101ALI20241008BHJP
   B65B 7/16 20060101ALI20241008BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20241008BHJP
   B65D 1/28 20060101ALI20241008BHJP
   B65D 1/34 20060101ALI20241008BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20241008BHJP
   B31B 50/59 20170101ALI20241008BHJP
   B29C 53/34 20060101ALI20241008BHJP
   B29C 65/18 20060101ALI20241008BHJP
   B31B 100/00 20170101ALN20241008BHJP
   B31B 110/10 20170101ALN20241008BHJP
   B31B 110/20 20170101ALN20241008BHJP
【FI】
B65B7/28 A
B65D85/72 200
B65B7/16 A
B65D1/00 111
B65D1/00 120
B65D1/28
B65D1/34
B65D65/40 D
B31B50/59
B29C53/34
B29C65/18
B31B100:00
B31B110:10
B31B110:20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021532476
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2019085488
(87)【国際公開番号】W WO2020127149
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】18213847.9
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】グレス, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ヘイデル, クリストフ, セバスチャン, ポール
(72)【発明者】
【氏名】ネイレ, ピエール, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】コレップ, アレクサンドル
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許発明第01544071(FR,A)
【文献】国際公開第2017/144009(WO,A1)
【文献】特開2004-106369(JP,A)
【文献】スイス国特許発明第00652965(CH,A5)
【文献】米国特許第04991375(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 7/28
B65D 85/72
B65B 7/16
B65D 1/00
B65D 1/28
B65D 1/34
B65D 65/40
B31B 50/59
B29C 53/34
B29C 65/18
B31B 100/00
B31B 110/10
B31B 110/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料システムで使用されるコーヒーポッドである密封使い捨て食品容器を製造する製造プロセスであって、
周縁リム(31)を有する容器本体(30)を形成するステップであって、前記容器本体及び前記周縁リムは、円形部分を有する、形成するステップと、
第1のダイ(2)及び第2のダイ(8)を有する封止ヘッドに前記容器本体を配置するステップであって、前記第1のダイ(2)及び前記第2のダイ(8)のうち少なくとも一方は、移動可能であり、前記第1のダイ(2)及び前記第2のダイ(8)は、前記周縁リム(31)に面する協働する環状の封止面(4、10)を有する、配置するステップと、
閉鎖蓋(34)を前記容器本体(30)の上に適用するステップと、
前記第1のダイ(2)及び前記第2のダイ(8)を互いに対して適用することによって、前記閉鎖蓋(34)を前記容器本体の前記周縁リム(31)封止するステップと、
を含む、製造プロセスにおいて、
前記第1のダイ(2)は、前記第1のダイ(2)の前記封止面(4)に環状のリブ(6)を備え、前記リブは、前記容器本体の形成時に前記周縁リム上に現れ得るしわの最大深さに少なくとも等しい高さ(h)を有しており、それにより、前記閉鎖蓋(34)を前記容器本体(30)に封止する時に、封止溝(12)が前記周縁リムの面に、前記リブ(6)によって形成され、前記閉鎖蓋が前記封止溝の正面にて前記周縁リムに接合され
前記容器本体(30)は、紙/PLA積層体のシートから製造され、
前記第1のダイ(2)は、縦型プレス機の下部ダイであり、前記第2のダイ(8)は、上部ダイであり、それにより、前記封止溝(12)は、前記周縁リム(31)の下面に凹設される、
ことを特徴とする、製造プロセス。
【請求項2】
前記容器本体(30)は、130g/mの成形可能な紙積層された50μmのPLA-PVOH-PLAのシートから製造され、前記閉鎖蓋(34)は、30g/mの紙積層されたPLAを含むシートから製造される、請求項に記載の製造プロセス。
【請求項3】
前記第2のダイ(8)の前記封止面(10)は、平坦でありかつ剛性を有する、請求項1又は2に記載の製造プロセス。
【請求項4】
飲料システムで使用されるコーヒーポッドである密封使い捨て食品容器であって、周縁リム(31)を有する容器本体(30)と、前記容器本体を閉鎖する閉鎖蓋(34)とを含み、前記容器本体及び前記周縁リムは、円形部分を有する、密封使い捨て食品容器において、
前記容器本体は、紙積層材料で製造され、半径方向に延びるしわを少なくとも前記周縁リムに有しており、
前記密封使い捨て食品容器は、前記周縁リムの面に凹設された環状の封止溝(12)を示し、前記封止溝(12)は、前記周縁リムの周囲全てに円周方向に連続的に延び、前記しわの最大深さに少なくとも等しい深さを有しており、それにより、前記しわは、前記封止溝によって平坦化され、前記閉鎖蓋(34)は、少なくとも前記封止溝(12)の領域内で前記容器本体の前記周縁リムに接合され、
前記周縁リムに凹設された前記封止溝(12)は、前記周縁リムの下面に形成され、
前記容器本体は、紙/PLA積層体のシートから製造される、
ことを特徴とする、密封使い捨て食品容器。
【請求項5】
前記閉鎖蓋は、少なくとも前記周縁リムにおいて平坦である上面を有する、請求項に記載の密封使い捨て食品容器。
【請求項6】
前記周縁リムに凹設された前記封止溝(12)は、0.15mm~5mmの幅、及び0.05mm~3mmの高さを有する、請求項4又は5に記載の密封使い捨て食品容器。
【請求項7】
前記容器本体(30)は、130g/mの成形可能な紙積層された50μmのPLA-PVOH-PLAのシートから製造され、前記閉鎖蓋(34)は、30g/mの紙積層されたPLAを含むシートから製造される、請求項4又は5に記載の密封使い捨て食品容器。
【請求項8】
請求項のいずれか一項に記載の密封使い捨て食品容器を含むことを特徴とする、コーヒーポッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、より具体的には、容器内への気流又は蒸気流を最小限に抑えるように設計された蓋フィルム又は他の上部によって密封された使い捨て容器に関する。そのような容器は、飲料システムで使用されるコーヒーポッドなど、食品に使用される。
【0002】
蓋フィルムによって密封された使い捨て容器は、周知である。そのような容器は、通常、
1つの側壁又は複数の側壁と、側壁(単数又は複数)の上部から外向きに延びるリムとを有する容器本体と、
リムで封止されることによって容器本体の上部を閉鎖する蓋フィルム又は類似物と、
を含む。
【背景技術】
【0003】
いくつかの既知の容器本体は、プラスチックバリアを含む積層材料から製造される。
【0004】
一方で、市場に既にある使い捨てプラスチックバリア容器は、約600%であるプラスチックの伸縮性により、容器本体と蓋との間の良好な封止を呈する。プラスチック熱成形/射出された容器本体のリムは、平坦な表面及び一定の厚さを有する。したがって、そのような容器本体のリム上への蓋の封止は、強い。
【0005】
一方、消費者は、「自然な」訴求力のある側面を有する、より生態系に優しく、かつ環境に優しい包装材料を求めている。
【0006】
PLA積層体(PLA/PVOH/PLAなど)(PLAはポリ乳酸を意味し、PVOHはポリビニルアルコールを意味する)は、堆肥化可能であり、一方、紙は、「自然な」感触を提供する。したがって、紙/PLA積層体から製造された使い捨て容器本体は、消費者の懸念に答えるであろう。ヒートシールは、PLAプラスチック材料によって行われる。
【0007】
残念ながら、紙の伸縮性は、約10%である。したがって、そのような紙による材料から製造された容器本体では、平坦な紙が三次元形状に形成されると、しわ(最大1mm)が容器のリムの表面に現れる。したがって、容器本体と閉鎖蓋との間、又は紙積層材料の層の間に、チャネルが形成される。そのようなチャネルにより、ガス及び蒸気(水分)が容器に入ることが可能になり、これは、貯蔵期間後の内部に収容された原材料の品質に有害である。通常のヒートシールヘッドを用いたヒートシール中に、しわは、ある程度残り、封止は、しわにおいては確保されない。したがって、部分的に有効な封止を生成することができるとしても、それでも容器の内容物は、これらのしわを通って浸透するいくらかの量の外部空気及び水分に曝される。これにより、ひいては容器の内容物の腐敗が促進される。リムにおける酸素及び蒸気バリア特性は、十分に得られない。
【0008】
既知の解決策は、滑らかかつ均一なリム表面を確保するために、プラスチックリムを追加することである。カプセル化されたリム特徴部を有するそのような容器は、欧州特許第1485178号に開示されている。実際、欧州特許第1485178号は、完全若しくは部分的にカプセル化されたリム又はフランジを有する様々な容器本体を提案している。カプセル化材料は、一般に、ポリオレフィン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、又は他のエンジニアリング熱可塑性樹脂などのプラスチックで製造される。このカプセル化材料は、リム又はフランジの少なくとも一部分を覆い、リムの外縁部から一定距離延びることができる。カプセル化材料の外側は、それらの部分がリムの凹凸を充填又は覆っても、実質的に滑らかである。更に、カプセル化されたリムは、ガス及び水分に対する密封バリアを呈し、容器内部を完全に隔離するためにフィルム又は他の材料で封止されてもよい。
【0009】
しかし、カプセル化に使用されるポリマーは、高価であり、使用される量は、有用な容器本体を形成するために必要とされるサイクル時間を増加させる。更に、製造プロセスは、複雑になる。
【0010】
製造コスト及び時間に対するリムのカプセル化の影響を低減するために、欧州特許第1485178号は、リム又はフランジの一部分のみを密閉化することによってポリマーの量を低減することを提案している。例えば、リムの下面のみがカプセル化材料で覆われている。射出成形プロセス中にリムの下面又は裏面のみに樹脂を射出することにより、リムの上面に露出した板紙プリーツは、高温高圧の射出材料によって金属成形型の表面に対して上向きに押圧され、これにより、フランジの上面上のプリーツを圧縮又は「アイロンがけ」する。これにより、上側に改善された封止面が作り出され、これは、ここで平坦化されたプリーツにわたって密封封止が得られるのを確実にするのに役立つ。更に、リムのカプセル化された下面の滑らかな表面はまた、蓋が下向きに曲げられている間に蓋に接合することができる。
【0011】
それでもなお、この解決策は、依然としてカプセル化材料、及びこの材料の成形型への射出を使用する。そのため、製造コスト及び時間は、低減されるが、非常に僅かに過ぎない。更に、この解決策は、より自然かつ再生可能な製品に対する消費者の期待には達しない。
【0012】
Billerudの国際公開第2015/082268号特許出願に開示されている別の解決策では、容器本体の紙層の三次元変形によって作り出されるしわは、上部蓋がそこに封止される前に、しわを「充填する」ように材料を噴霧する、又は別の方法でコーティングすることによって再閉鎖される。この解決策は、ポッドの構造体に追加の構成要素(すなわち、リムコーティング材料)、並びにまたプロセスにコスト及び複雑さを追加する追加の噴霧ステップ及び設備を必要とするという欠点を有する。
【0013】
したがって、現在の製造技術を使用し、かつ任意の追加の容器要素を追加しない、紙/PLA積層体の適切な封止を確実にする方法を開発する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、コーヒーポッドなどの密封使い捨て食品容器を製造するための、より単純な、かつコストを削減する製造プロセスを提供することである。具体的には、本発明の目的は、ポッドのリムを部分的にでもカプセル化する必要性を回避することである。
【0015】
本発明の製造方法はまた、紙/PLA積層体から製造された容器本体であっても、効率的な酸素及び蒸気バリア特性によりカップ内品質及び適切な保存可能期間を確保するために、使い捨て食品容器のリム上の効率的な封止を得ることを目的とする。
【0016】
換言すれば、本発明の目的は、カプセル化されたリム特徴部を有さないが、少なくともカプセル化されたリム特徴部を有する従来のポッドと同様に密封である、新しい自然に優しいポッドを提供することである。
【0017】
この目的のために、本発明による密封使い捨て食品容器を製造する製造プロセスは、
周縁上部リムを有する容器本体を形成するステップと、
第1のダイ及び第2のダイを有する封止ヘッドに容器本体を配置するステップであって、第1のダイ及び第2のダイのうち少なくとも一方は移動可能であり、第1のダイ及び第2のダイは、リムに面する協働する環状の封止面を有する、ステップと、
蓋フィルムなどの閉鎖蓋を封止ヘッドに配置された容器本体の上に適用するステップと、
第1のダイ及び第2のダイを互いに対して適用することによって、閉鎖蓋を容器本体のリムで封止するステップと、
を含む。
【0018】
本発明によるプロセスは、封止ヘッドの第1のダイが、第1のダイの封止面に環状のリブを備え、リブが、実質的に封止面の周囲全てに円周方向に連続的に延び、容器本体の形成時にリム上に現れ得るしわの最大深さに少なくとも等しい高さを有しており、それにより、閉鎖蓋を容器本体に封止する時に、連続封止溝がリムの一面(リムの周囲全て)に、リブによって凹設され、閉鎖蓋がこの封止溝の正面にて周縁リムに接合される、ことを特徴とする。
【0019】
本発明によるプロセスにおける封止ステップは、ヒートシール又は超音波封止技術を使用することができ、それにより、封止ヘッドは、超音波振動を生成する加熱要素又は手段を備えることができることに留意されたい。他の種類の封止、例えば誘導封止も可能である。
【0020】
更に、全ての説明において、ダイの「封止面」は、封止中に蓋又は容器本体に接触する、又はより一般的に作用する、ダイの表面を指す。この表面は、リムと同じ寸法を有することができ、又はより小さくすることができる。更に、2つのダイの封止面は、異なる幅を有してもよい。
【0021】
封止中に、第1のダイのリブは、しわを平坦化し、2つの膜の間のチャネルを消去し、1つの連続封止ラインを生成する。
【0022】
好ましくは、リブの高さは、容器本体の厚さよりも小さい。
【0023】
本発明による封止ヘッドの第1のダイのリブにより、容器本体は、非常に単純な製造プロセスを使用して紙/PLA積層体のシートから製造することができ、このプロセスは、射出要素を有さない単なる加熱又は超音波プレス機である非常に基本的な封止ヘッドを用いた封止スタンピングステップに要約することができる。封止ヘッドの唯一の特異性は、リブを含むその封止部の設計であり、リブの高さは、リムにおけるしわの深さよりも高い。
【0024】
全ての説明において、用語「1つ(a)」は、特に言及しない限り、「少なくとも1つ」(だが、「1つ、かつ1つのみ」ではない)を意味することに留意されたい。したがって、第1のダイは、その封止面に2つ以上の同心リブを有してもよい。
【0025】
好ましくは、封止ヘッドは、縦型プレス機のヘッドであり、すなわち、封止ヘッドは、可動ダイが垂直方向に平行移動するように配置され(それで封止ラインは、水平平面内にある)、封止ヘッドは、上部ダイ及び下部ダイを有する。
【0026】
そのような構成では、第1のダイ(リブを有する)は、上部ダイであり、第2のダイは、下部ダイであってもよく、それにより、リブによって凹設された封止溝は、リムの上面に形成される。あるいは、第1のダイは、下部ダイであり、第2のダイは、上部ダイであり、封止溝は、リムの下面に形成される。
【0027】
第2のダイの封止面は、平坦であってもよく、より具体的には、平坦でありかつ剛性を有してもよい。あるいは、第2のダイの封止面は、第1のダイのリブの前に封止溝又はゴムシートを備えてもよい。
【0028】
好ましい実施形態では、第1のダイは、縦型プレス機の下部ダイであり(第2のダイは、上部ダイである)、第2のダイの封止面は、平坦でありかつ剛性を有する。したがって、封止溝は、リムの下面に、リブによって形成され、閉鎖蓋の上面は、リムの前で平坦なままである。したがって、リムでの閉鎖蓋の上面に参照コードが印刷される場合、この参照コードは、封止プロセスによって変形されず、リムの下面の封止溝は、この参照コードの読み取りを妨げない。
【0029】
好ましくは、容器本体、リム、及び封止ヘッドの封止面は、円形の部分を有する。その場合、第1のダイのリブもまた、好都合に円形である。
【0030】
本発明はまた、本発明による製造プロセスを実行するために使用される装置に関する。具体的には、本発明は、使い捨て食品容器の容器本体のリム上に閉鎖蓋を封止するための封止ヘッドに関し、封止ヘッドは、第1のダイ及び第2のダイを含み、第1のダイ及び第2のダイは、一方が移動可能であり、第1のダイ及び第2のダイは、容器本体が封止ヘッドに配置された時に、リムに面する協働する環状の封止面を有し、封止ヘッドは、第1のダイが、その封止面に環状のリブを備え、リブが、容器本体を形成する際にリムに現れ得るしわの最大深さに少なくとも等しい高さを有する、ことを特徴とする。
【0031】
コーヒーポッドなどのポッドを製造するように適合された好ましい実施形態では、ダイの環状の封止面及び第1のダイのリブは、全て円形である。
【0032】
紙/PLA積層体のシートから製造されたコーヒーポッドを製造するのに特に好適な好ましい実施形態では、リブの高さは、少なくとも0.7mmに等しく、好ましくは少なくとも1mmに等しい。
【0033】
より一般的には、リブの高さは、好ましくは0.1mm~4mmであり、リブの幅は、好ましくは0.15mm~6mmである。更に、リブの幅は、好ましくはリブの高さの3倍未満である。
【0034】
本発明はまた、本発明による製造プロセスによって得られる密封使い捨て食品容器に関する。具体的には、密封使い捨て食品容器は、周縁リムを有する容器本体と、容器本体を閉鎖する閉鎖蓋と、を含む。密封使い捨て食品容器は、
容器本体が、紙積層材料で製造され、実質的に半径方向に延びるしわを少なくともリムに有しており、
密封使い捨て容器が、リムの一面に凹設された環状の封止溝を示し、環状の封止溝が、実質的にリムの周囲全てに円周方向に連続的に延び、しわの最大深さに少なくとも等しい深さを有しており、それにより、しわが、封止溝によって平坦化され、閉鎖蓋が、少なくとも封止溝の領域内で容器本体の周縁リムに接合される、
ことを特徴とする。
【0035】
上記の第1の特徴点に関して、用語「紙積層材料」は、容器本体を構成する材料が、そのうちの1つが紙シートである、いくつかの層を含むことを意味する。更に、しわは、紙積層材料の2D(二次元)ブランクから(3D(三次元))容器本体を形成する結果である。
【0036】
第2の特徴点に関して、(しわを平坦化することによる)封止溝の直接的な結果は、容器本体のリムの上面が、溝の前で平坦であり、したがって、その領域内で閉鎖蓋に密封接合することができることである。
【0037】
好ましい実施形態では、閉鎖蓋は、少なくともリムにおいて平坦な上面を有する。
【0038】
好ましい実施形態では、封止溝は、リムの下面に凹設される。
【0039】
好ましくは、容器本体は、紙/PLA積層体のシートから製造される。
【0040】
より好ましい実施形態では、容器本体は、130g/mの成形可能な紙で積層された50μmのPLA-PVOH-PLAのシートから製造され、閉鎖蓋は、30g/mの紙で積層されたPLAバリアを含むシートから製造される。
【0041】
リムの一面に凹設された封止溝は、0.05mm~3mmの高さ、及び0.15mm~5mmの幅を有することができる。更に、封止溝の幅は、好ましくはリブの高さの3倍未満であり、より好ましくは、封止溝の幅及び高さは、同等である。
【0042】
本発明の更なる特徴及び利点は、図面を参照して以下に提示される現在好ましい実施形態の説明において説明されており、それらの説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明又は先行技術による容器本体の概略斜視図である。
図2】本発明による使い捨て食品容器の概略断面図である。
図3】本発明による製造プロセスで使用することができる成形装置の概略断面図である。
図4】本発明による封止ヘッドの一実施形態の一部分の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明による製造プロセスの第1のステップは、図3に示す2Dブランク10から、図1及び図2に示す容器本体100などの3D容器本体を製造することを目的とする。本発明による製造プロセスで使用される成形プロセスは、容器本体の所望の形状(具体的には所望の深さ)、ブランクの材料などに応じて、スタンピングプロセス又は深絞りプロセスなどの既知の摺動ブランクプロセス(ブランクの成形型への摺動及びブランクの横方向の収縮がブランクの微細折り畳みを生じさせる)から、又は空気成形/真空成形プロセス及び熱プレスプロセスなどの既知の固定ブランクプロセス(容器は、ブランクの歪みによって実質的に形成される)から選択することができる。
【0045】
例えば、容器本体の成形は、雄型ダイ20を備え、雌型成形型は欠如して、形状の下をエンボス加工するために図示又は使用されるように、カウンターホルダ21として存在することができる、図3に示すようなプレス機を用いて深絞りによって行われてもよい。2Dブランク10は、成形機に配置され、そこで所定の力Fでブランクホルダ24によってクランプされ、続いて、雄型ダイ20は、実際の成形が行われる成形キャビティ22に沿ってカウンターホルダ21に向かって下向きの移動を開始する。最後に、成形装置から形状が解放される。成形キャビティは、好ましくは、加熱要素23によって囲まれている。加熱要素23’を、雄型ダイ20内に設けることもできる。
【0046】
成形シーケンス全体は、数秒の長さとすることができる。ダイ力、ブランク保持力F、成形間隙又はクリアランス(成形キャビティの縁部と雄型ダイの縁部との間の横方向距離)などの成形パラメータの選択は、実験的に実行される。
【0047】
成形間隙に関しては、この距離は、とりわけブランクが製造される材料の厚さに従って、変化することに留意することができる。成形間隙が小さすぎると、面外及び面内剪断及び力が増加する。これは、成形された形状における材料の亀裂の形成及び最終的な破損を招くことがある。典型的には、間隙は、板紙の厚さの約0.7倍である(寸法及び比は、非常に概略的である図3では考慮されないことに留意することができる)。一方、成形間隙が大きすぎると、形状の外観が悪くなり、そのような形状のガス密封止の可能性を制限する空隙を作り出す著しいしわを招く。
【0048】
成形プロセスの負の結果として、容器本体100は、実質的にリム102において、並びにリム102と側壁101との間の接合部に、及び側壁101の大部分に、しわ103(図1参照)を呈する。
【0049】
このようにして得られた容器本体を閉鎖するために、閉鎖蓋(図1に示されていない)は、容器本体100が食品で充填された後に、後でリム102の上面上に封止される。しわ103は、閉鎖蓋とリムとの完全な封止を損ない、密封封止を得ることができない。具体的には、リムの表面に形成されたしわは、容器本体100の半径方向に向けられ、リムの正確な平坦性を損なう。したがって、上蓋がリム上に封止されると、半径方向チャネルがしわに沿って生成され、そのしわを通って、酸素及び水分が容器の外側から容器の内部区画内へと流通することができ、したがって、内部に収容された食品の品質を急速に劣化させる。
【0050】
この問題を解決するために、本発明は、その1つのダイが特定のプロファイルを有する封止面を有する、封止ヘッドを使用することを提案する。本発明による封止ヘッドの一実施例は、容器本体30及び閉鎖蓋34を内部に有した状態で、図4に部分的に表されている。封止ヘッドは、環状の上部封止面4を有する固定下部ダイ(第1のダイ)2と、底部封止面10を有する可動上部ダイ(第2のダイ)8とを含み、協働する封止面4及び10は、円形であり、容器本体30のリム31の幅に対応する幅を有する。
【0051】
第1のダイ2の封止面4は、円形リブ6を含み、第2のダイ8の封止面10は、平坦(平面)である。リブ6は、しわ(そのようなしわは、図4には表されていない)を消去する、リムの下面の封止溝12を生じさせる。より正確には、しわの方向と直交する方向の溝12の形成により、リムの材料を各しわの空の空間に押し戻すことによって、しわが「平坦化」され、したがって、再閉鎖される。結果として、リムの周縁の全てのしわは、少なくとも溝の領域内で、材料の変形によって除去される。本発明の非常に好ましい実施形態では、溝は、リムの下面に形成される(図4に示すように)が、しわ除去溝は、容器のリムの上面上に形成されてもよい。図4に示すようにリムの下面に溝を形成することにより、リムの上面は、保持され、それだけでなく、リムの全表面は、原則として完全に平坦に保たれる。結果として、後で上部蓋を封止して、結果として得られる容器の封止の完全性を維持することがはるかにより容易である。
【0052】
リブ6は、リムに凹設された封止溝12の高さが0.1mm~3mmであり、封止溝12の幅が0.15mm~5mmになるように選択される寸法h(高さ)及びw(幅)を有する。リブ6の寸法は、容器本体を構成する材料の弾性に応じて、所望の封止溝12の寸法よりも僅かに大きくてもよい。更に、リブ6の幅は、好ましくは、その高さの3倍未満である。いずれの場合も、本発明によれば、リブ6の高さ及び封止溝12の高さは、容器本体30のしわの最大深さよりも高くなければならず、しわの深さは、とりわけ容器本体の寸法、材料、及び成形条件に依存する。
【0053】
本明細書で説明されている現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び改変が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。そのような変更及び修正は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつその付随する利点を減じることなく、実施することができる。それゆえ、そのような変更及び改変は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4