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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20241008BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20241008BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20241008BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20241008BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20241008BHJP
   F28F 25/02 20060101ALI20241008BHJP
   F25B 30/02 20060101ALI20241008BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20241008BHJP
   F25B 5/04 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B01D53/14 220
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/96
C01B32/50
F28F25/02
F25B30/02 Z
F25B1/00 321B
F25B5/04 Z
F25B1/00 331E
F25B1/00 331Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022073150
(22)【出願日】2022-04-27
(65)【公開番号】P2023162661
(43)【公開日】2023-11-09
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松尾 毅
(72)【発明者】
【氏名】米川 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】中根 雅晴
(72)【発明者】
【氏名】新屋 謙治
(72)【発明者】
【氏名】乾 正幸
(72)【発明者】
【氏名】長安 弘貢
(72)【発明者】
【氏名】上地 英之
(72)【発明者】
【氏名】香月 紀人
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-114489(JP,A)
【文献】特開2015-051382(JP,A)
【文献】特開2012-000539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14 - 53/18
B01D 53/34 - 53/73
B01D 53/74 - 53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
C01B 32/00 - 32/991
F28F 25/02
F25B 30/02
F25B 1/00
F25B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を含むガスを冷却水に接触させることによって前記ガスを冷却する冷却塔と、
前記冷却塔で冷却された前記ガスと吸収液とを接触させることによって二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収塔と、
前記吸収塔において二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱して前記吸収液から二酸化炭素を放散させる再生塔と、
前記冷却水の熱によって前記再生塔内の前記吸収液を直接的もしくは間接的に加熱するヒートポンプと
を備える二酸化炭素回収システム。
【請求項2】
前記冷却塔は、前記冷却塔内の前記冷却水を水質調整する水質改善装置を含む、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
前記再生塔内の前記吸収液と蒸気とを熱交換することにより前記吸収液を加熱するリボイラを備え、
前記ヒートポンプ又は前記リボイラの少なくとも一方によって前記再生塔内の前記吸収液を加熱するように構成されている、請求項1または2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
前記冷却塔から前記ヒートポンプに供給される前記冷却水と前記冷却塔に供給される前記ガスとを熱交換する熱交換器を備える、請求項1または2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項5】
前記ヒートポンプは、
冷媒が循環可能な冷媒循環ラインと、
前記冷却塔から供給された前記冷却水と前記冷媒とが熱交換する蒸発器と、
前記蒸発器から流出した前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された前記冷媒と前記再生塔内の前記吸収液とが熱交換する凝縮器と、
前記凝縮器から流出した前記冷媒を減圧する減圧器と
を備え、
前記減圧器によって減圧された前記冷媒が前記蒸発器に供給されるように構成されており、
前記ヒートポンプは、前記減圧器と前記蒸発器との間で前記冷媒と加熱媒体とを熱交換することにより前記冷媒を加熱する加熱器をさらに備え、
前記加熱媒体は、前記吸収塔、前記再生塔、又は前記ヒートポンプの少なくとも1つから発生する熱を含む、請求項1または2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項6】
前記ヒートポンプは、
冷媒が循環可能な冷媒循環ラインと、
前記冷却塔から供給された前記冷却水と前記冷媒とが熱交換する蒸発器と、
前記蒸発器から流出した前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された前記冷媒と前記再生塔内の前記吸収液とが熱交換する凝縮器と、
前記凝縮器から流出した前記冷媒を減圧する減圧器と
を備え、
前記減圧器によって減圧された前記冷媒が前記蒸発器に供給されるように構成されており、
前記ヒートポンプは、前記蒸発器と前記圧縮機との間で前記冷媒と加熱媒体とを熱交換することにより前記冷媒を加熱する第2蒸発器をさらに備え、
前記加熱媒体は、前記ガスを排出した排出源から発生する熱を含む、請求項1または2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項7】
前記再生塔内の前記吸収液を加熱することで蒸気を発生させるリクレーマと、
前記リクレーマで発生した前記蒸気を前記再生塔に供給する蒸気供給ラインと
を備え、
前記ヒートポンプは、
冷媒が循環可能な冷媒循環ラインと、
前記冷却塔から供給された前記冷却水と前記冷媒とが熱交換する蒸発器と、
前記蒸発器から流出した前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された前記冷媒と前記再生塔内の前記吸収液とが熱交換する凝縮器と、
前記凝縮器から流出した前記冷媒を減圧する減圧器と
を備え、
前記リクレーマ内の前記吸収液は、前記冷媒循環ラインを循環する前記冷媒の熱により直接的又は間接的に加熱されるように構成されている、請求項1または2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項8】
前記ヒートポンプは、
冷媒が循環可能な冷媒循環ラインと、
前記冷却塔から供給された前記冷却水と前記冷媒とが熱交換する蒸発器と、
前記蒸発器から流出した前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された前記冷媒と前記再生塔内の前記吸収液とが熱交換する凝縮器と、
前記凝縮器から流出した前記冷媒を減圧する減圧器と
を備え、
前記二酸化炭素回収システムは、
前記冷却塔に供給される前記ガスの流量及び前記ガス中の二酸化炭素を検出するセンサと、
前記ガスの排出源の負荷を検出するとともに前記センサによる検出値を受信するように構成された制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記負荷及び前記センサによる前記検出値に基づいて前記圧縮機の運転条件を制御するように構成されている、請求項1または2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項9】
前記ヒートポンプは、
冷媒が循環可能な冷媒循環ラインと、
前記冷却塔から供給された前記冷却水と前記冷媒とが熱交換する蒸発器と、
前記蒸発器から流出した前記冷媒を圧縮する2つ以上の圧縮機と、
前記2つ以上の圧縮機で圧縮された前記冷媒と前記再生塔内の前記吸収液とが熱交換する凝縮器と、
前記凝縮器から流出した前記冷媒を減圧する減圧器と
を備える、請求項1または2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項10】
前記凝縮器から流出した前記冷媒の一部を、前記2つ以上の圧縮機のうちの隣り合う2つの圧縮機間に戻す冷媒リサイクルラインと、
前記冷媒リサイクルラインに設けられた減圧器と、
前記減圧器によって断熱膨張された冷媒と前記凝縮器から流出した前記冷媒の残部とを熱交換するエコノマイザと
を備える、請求項9に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項11】
前記ヒートポンプは、
冷媒が循環可能な冷媒循環ラインと、
前記冷却塔から供給された前記冷却水と前記冷媒とが熱交換する蒸発器と、
前記蒸発器から流出した前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された前記冷媒と前記再生塔内の前記吸収液とが熱交換する凝縮器と、
前記凝縮器から流出した前記冷媒を減圧する減圧器と、
前記蒸発器から流出した前記冷媒と前記凝縮器から流出した冷媒とを熱交換する内部熱交換器と
を備える、請求項1または2に記載の二酸化炭素回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガスタービンの排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システムが記載されている。この二酸化炭素回収システムは、排ガス中の二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素を放散させる再生塔と、排熱回収装置において排ガスから回収した熱で再生塔内の吸収液を加熱するためのヒートポンプとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-190359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の二酸化炭素回収システムでは、再生塔内の吸収液を、ボイラ等の装置で化石燃料を燃やして生成した水蒸気を用いて加熱している。このため二酸化炭素回収装置でありながら、吸収液再生用の熱を得るために二酸化炭素を発生させる点が課題となっている。このような二酸化炭素を発生させずに吸収液を再生するための熱源を得るためには、ヒートポンプの導入が有効である。この例として例えば、特許文献1に記載される二酸化炭素回収システムでは、排熱回収装置において排ガスから熱回収し、ヒートポンプを用いて回収した熱によって再生塔内の吸収液を加熱する点でプラント全体の熱効率を向上させることができる。しかしながらこのシステムは、大規模な発電プラントにあるガスタービンとヒートポンプとを組み合わせているので、このシステムを工場やビルなど任意な場所に設置された点源からの二酸化炭素排出源を対象とした二酸化炭素回収システムに適用しようとすると、必ずガスタービンと組み合わせる必要があるため高コストな点が課題である。また、排熱回収装置から流出した排ガスをそのまま吸収塔に供給すると、吸収塔において吸収液への二酸化炭素の吸収効率が低下するので、排熱回収装置と吸収塔との間に排ガスを冷却するための冷却塔を設ける必要がある。しかし、特許文献1では、吸収塔の前に冷却塔がないので、二酸化炭素の吸収効率が低い点も課題である。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも1つの実施形態は、任意の場所すなわち点源の二酸化炭素排出源であっても、熱源を得るために発生する二酸化炭素の排出を抑制しながら熱効率良く二酸化炭素を回収可能な二酸化炭素回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る二酸化炭素回収システムは、二酸化炭素を含むガスを冷却水に接触させることによって前記ガスを冷却する冷却塔と、前記冷却塔で冷却された前記ガスと吸収液とを接触させることによって二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収塔と、前記吸収塔において二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱して前記吸収液から二酸化炭素を放散させる再生塔と、前記冷却水の熱によって前記再生塔内の前記吸収液を直接的もしくは間接的に加熱するヒートポンプとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の二酸化炭素回収システムによれば、二酸化炭素を含むガスの温度が高温であっても、冷却塔においてガスを冷却した冷却水を熱源とするヒートポンプによって再生塔内の吸収液を直接的もしくは間接的に加熱するので、任意の場所すなわち点源の排出源であっても、熱源を得るために発生する二酸化炭素の排出を抑制しながら熱効率良く二酸化炭素を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの構成模式図である。
図2】本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの変形例1の構成模式図である。
図3】本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの変形例2の構成模式図である。
図4】本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの変形例2で使用されるマップの模式的な一例である。
図5】本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの変形例3におけるヒートポンプの構成図である。
図6】本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの変形例4におけるヒートポンプの構成図である。
図7】本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システムの構成模式図である。
図8】本開示の実施形態3に係る二酸化炭素回収システムの構成模式図である。
図9】本開示の実施形態4に係る二酸化炭素回収システムの構成模式図である。
図10】本開示の実施形態5に係る二酸化炭素回収システムの構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態による二酸化炭素回収システムについて、図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
(実施形態1)
<本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの構成>
図1に示されるように、本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システム1は、任意の燃焼装置のような排出源2から排出される二酸化炭素を含むガス(例えば、燃焼排ガス)から二酸化炭素を除去して回収するためのものである。二酸化炭素回収システム1は、排出源2から排出されたガスを冷却する冷却塔3と、冷却塔3において冷却されたガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔4と、吸収塔4において二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱することにより二酸化炭素を放散させる再生塔5と、再生塔5内の吸収液を加熱するためのヒートポンプ6とを備える。冷却塔3は、冷却塔3内に冷却水を散布するためのスプレイ3aを備える。吸収塔4は、吸収塔4内に流入したガス中の二酸化炭素を吸収する吸収部4aと、吸収部4aの上方に設けられ、後述するように吸収塔4a内を上昇するガスを洗浄するための洗浄部4bと、吸収部4aと洗浄部4bとの間に設けられたチムニートレイ4cとを備えている。再生塔5は、二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素を放散させる放散部5aと、放散部5aの上方に設けられ、後述するように再生塔5内を上昇するガスを洗浄するための洗浄部5bとを備えている。吸収部4a、洗浄部4b及び5b、放散部5aは例えば、任意の材質の充填物が充填された充填層によって形成することができる。
【0011】
排出源2と冷却塔3とはガス流通ライン7によって連通されている。冷却塔3と吸収塔4とはガス流通ライン8によって連通されている。吸収塔4と再生塔5とは、吸収塔4の塔底と再生塔5における放散部5aよりも上方の位置とに接続するリッチ吸収液ライン9と、再生塔5の塔底と吸収塔4における吸収部4aよりも上方の位置とに接続するリーン吸収液ライン10とによって連通されている。後述するようにリッチ吸収液ライン9には、二酸化炭素を多く含んだ吸収液であるリッチ吸収液が流通し、リーン吸収液ライン10には、リッチ吸収液から二酸化炭素を放散し二酸化炭素含有率がリッチ吸収液よりも相対的に低い吸収液であるリーン吸収液が流通する。リッチ吸収液ライン9を流通するリッチ吸収液とリーン吸収液ライン10を流通するリーン吸収液とが熱交換する熱交換器11が設けられ、略90~120℃のリーン吸収液と略40~60℃のリッチ吸収液とを熱交換させて、プロセスの熱効率を向上させている。リッチ吸収液ライン9には、吸収塔4と熱交換器11との間にポンプ12が設けられている。リーン吸収液ライン10には、再生塔5と熱交換器11との間にポンプ14が設けられ、熱交換器11と吸収塔4との間には、熱交換器である冷却器15が設けられている。リーン吸収液の温度が低いほど二酸化炭素の吸収性能が向上するため、これを目的として冷却器15が設置される。
【0012】
吸収塔4には、リーン吸収液ライン10が接続される位置と塔頂との間で、吸収塔4内の冷却水を循環するための循環ライン16が設けられ、循環ライン16には、ポンプ17と熱交換器である冷却器18とが設けられている。冷却器18は、吸収塔4から流出する前にガスを冷却水で冷却するため、及び、冷却水がガス中の吸収液ミストを捕捉して、吸収塔4の外部に吸収液ミストが放散することを抑制するために設置される。吸収塔4の塔頂には、二酸化炭素の濃度が低減したガスがクリーンガスとして流出するためのクリーンガスライン19が接続されている。
【0013】
再生塔5の塔頂には、再生塔5内のガスが流出するための湿り回収ガスライン20が接続されている。湿り回収ガスライン20の下流端には、気水分離器21が接続されている。湿り回収ガスライン20には、再生塔5内で生じた二酸化炭素と水蒸気との混合ガスである湿り回収ガスから水蒸気を分離するための熱交換器である冷却器22が設けられている。気水分離器21の塔頂及び塔底のそれぞれには、乾き回収ガスライン23及び凝縮液ライン24の一端が接続されている。後述するが、気水分離器21の塔頂から流出するガスは、二酸化炭素を主成分とするガス(乾き回収ガス)であるので、乾き回収ガスライン23の他端は、二酸化炭素を消費又は貯蔵するための図示しない装置に接続されている。凝縮液ライン24の他端は、洗浄部5bよりも上方で再生塔5に接続され、凝縮液ライン24にはポンプ25が設けられている。
【0014】
ヒートポンプ6は、冷媒が循環する冷媒循環ライン26に、蒸発器27と、圧縮機28と、凝縮器29と、例えば膨張弁やスクリュエキスパンダ等である減圧器30とが設けられた構成を有している。蒸発器27は冷却塔3内の冷却水と冷媒とを熱交換するためのものであり、冷却塔3から蒸発器27へ冷却水を供給するための冷却水供給ライン31と、蒸発器27において冷媒と熱交換した冷却水を冷却塔3へ戻すための冷却水戻りライン32とが設けられている。冷却水供給ライン31にはポンプ33が設けられ、冷却水戻りライン32には、熱交換器である冷却器34が設けられている。凝縮器29は、再生塔5内のリーン吸収液と冷媒とを熱交換するためのものであり、再生塔5から凝縮器29へリーン吸収液を供給するためのリーン吸収液供給ライン35と、凝縮器29において冷媒と熱交換したリーン吸収液を再生塔5に戻すためのリーン吸収液戻りライン36とが設けられている。リーン吸収液供給ライン35にはポンプ37が設けられている。図1では、凝縮器29によりリーン吸収液を直接的に加熱する例を示しているが、本願はこの形態に限定されず、凝縮器29において冷媒と熱交換する別の水の循環系統を設け、凝縮器29により生成した水蒸気とリーン吸収液供給ライン35を流通するリーン吸収液とを熱交換させて、間接的にリーン吸収液を加熱する構成としてもよい。この場合、凝縮器29で水蒸気を生成するので、生成した水蒸気をリーン吸収液の加熱以外の用途にも適用可能である。
【0015】
ヒートポンプ6で使用する冷媒(クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、炭化水素系等)については特に限定しないが、凝縮器29の入口における冷媒最高温度よりも高温の臨界温度を有する冷媒を選定する必要がある。二酸化炭素回収システム1において使用される吸収液の特性により、再生塔5内の圧力を高める場合には、再生塔5内におけるリーン吸収液の再生温度を高くする必要がある。このような場合、より高温の臨界温度を有する冷媒を採用することにより、ヒートポンプ6の温度を高温側にシフトすることで対応可能である。
【0016】
実施形態1において必須の構成ではないが、冷却塔3内の冷却水を水質調整する水質改善装置38を設けてもよい。ここで、水質調整とは、冷却水から硫黄酸化物や窒素酸化物、燃焼により生じた灰等の固形物を取り除くこと、又は、冷却水接触前の排ガスから硫黄酸化物や窒素酸化物、燃焼により生じた灰等の固形物を取り除くことで、冷却水へのこれらの物質の混入を抑制することを意味している。実施形態1では、冷却塔3内に設けられる構成の水質改善装置38を例示する。このような水質改善装置38は、本開示の出願人が出願した特開2012-179533号公報において公知となっているように、吸収液を冷却塔3の塔床面に配置したノズルから吹き上げ、ガスと液ミストを接触させて、ガス中の不純物(硫黄酸化物や窒素酸化物、燃焼により生じた灰等の固形物)を吸収液に吸収させるものである。吸収液として、水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを吸収剤とする水溶液を用いてもよい。この他に、冷却水供給ライン31に設けられる装置、すなわち、冷却水供給ライン31を流通する冷却水を水質調整可能な装置を水質改善装置38として使用してもよい。水質改善装置38を冷却塔3に設置する場合、硫黄酸化物や窒素酸化物、燃焼により生じた灰等の固形物を除いた冷却水を得るために、水質改善装置38の周囲にトレイ3bを設け、冷却水供給ライン31の取り出し口をトレイ3bよりも上方に設けてもよい。
【0017】
<本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの動作>
次に、本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システム1の動作について説明する。排出源2から排出された二酸化炭素を含むガスは、ガス流通ライン7を介して冷却塔3内に流入する。冷却塔3内に流入したガスは、冷却塔3内の冷却水ミスト内に吹き込まれる。すなわち、冷却塔3内でガスと冷却水とが接触する。この際、ガスに不純物が含まれていれば、不純物が冷却水に捕捉されるとともにガスが冷却される。不純物が除去されるとともに冷却されたガスは、冷却塔3から流出する。一方、ガスと接触した冷却水は、不純物が混入した状態になるとともに温度が上昇する。
【0018】
冷却塔3から流出したガスは、ガス流通ライン8を介して吸収塔4に流入する。吸収塔4に流入したガスは吸収塔4内を上昇する。後述するようにリーン吸収液ライン10を介してリーン吸収液が吸収塔4に流入し、吸収塔4内を落下する。吸収部4aにおいて、上昇するガスと落下するリーン吸収液とが気液接触することにより、ガスに含まれる二酸化炭素がリーン吸収液に吸収されて、ガスから二酸化炭素の少なくとも一部が除去される。このような動作で二酸化炭素を吸収した吸収液がリッチ吸収液として吸収塔4の底部に滞留する。冷却水がポンプ17によって吸収塔4から流出して循環ライン16を流通し、冷却器18によって冷却されて再び吸収塔4内に戻され、洗浄部4b内を落下する。冷却水は、洗浄部4b内を落下する際に、二酸化炭素の少なくとも一部が除去されガスと気液接触することにより、ガスに含まれる吸収液ミストを回収する。洗浄部4bから落下した冷却水はチムニートレイ4c上に滞留し、ポンプ17によって再び循環ライン16を流通する。洗浄部4bから流出したガスはクリーンガスとして、クリーンガスライン19を介して吸収塔4から流出する。このようにして、吸収塔4から流出するクリーンガスに含まれる吸収液ミストの排出が抑制される。
【0019】
ポンプ12によって吸収塔4内のリッチ吸収液が吸収塔4の塔底から抜き出され、リッチ吸収液ライン9を流通する。リッチ吸収液ライン9を流通するリッチ吸収液は、後述するようにリーン吸収液ライン10を流通するリーン吸収液と熱交換器11において熱交換することによって加熱された後、再生塔5に流入する。再生塔5に流入したリッチ吸収液は再生塔5内を落下する。リッチ吸収液は、放散部5a内を落下する際に、後述する動作で生成して放散部5a内を上昇する飽和蒸気と接触することにより加熱される。これにより、リッチ吸収液から二酸化炭素の少なくとも一部が放散され、リッチ吸収液はリーン吸収液となって、再生塔5の塔底に滞留する。ポンプ37によって再生塔5内のリーン吸収液が再生塔5の塔底から抜き出され、リーン吸収液供給ライン35を介してヒートポンプ6に供給される。後述する動作でリーン吸収液は直接的もしくは間接的に加熱され、加熱されたリーン吸収液はリーン吸収液戻りライン36を介して再生塔5に戻される。これにより、再生塔5内の吸収液の温度が上昇するので、リーン吸収液から二酸化炭素が放散されるとともに水が蒸発し、主に二酸化炭素及び水蒸気を含む飽和蒸気が再生塔5a内を上昇する。
【0020】
上述した動作でリッチ吸収液から放散された二酸化炭素及び飽和蒸気を含む湿り回収ガスは再生塔5内を上昇し、再生塔5の塔頂から流出する。再生塔5の塔頂から流出した湿り回収ガスは湿り回収ガスライン20を流通し、冷却器22によって冷却される。冷却された湿り回収ガスは気水分離器21に流入する。湿り回収ガスが冷却されると、沸点の低い成分(主に水)は凝縮する一方、二酸化炭素はガスのままである。このため、気水分離器21内では、凝縮液とガスとが気液分離した状態となる。主に二酸化炭素である乾き回収ガスは、気水分離器21の塔頂から流出して、乾き回収ガスライン23を介して図示しない装置に供給される。一方、凝縮液は、ポンプ25によって気水分離器21の塔底から抜き出されて、凝縮液ライン24を介して再生塔5に戻され、再生塔5内を落下する。凝縮液は、再生塔5内を落下する際に、洗浄部5b内で湿り回収ガスと接触し、湿り回収ガスを洗浄する。
【0021】
再生塔5内のリーン吸収液は、ポンプ14によっても再生塔5の塔底から抜き出され、リーン吸収液ライン10を流通する。リーン吸収液ライン10を流通するリーン吸収液は、リッチ吸収液ライン9を流通するリッチ吸収液と熱交換器11において熱交換することにより冷却される。熱交換器11において冷却されたリーン吸収液は、冷却器15においてさらに冷却され、上述したように吸収塔4内に流入し、吸収塔4内を落下する。
【0022】
ヒートポンプ6では、冷媒循環ライン26を冷媒が循環している。冷却塔3内の冷却水がポンプ33によって冷却水供給ライン31を介して蒸発器27に供給される。蒸発器27では、冷却水と冷媒とが熱交換することにより、冷媒が加熱されて蒸発する。蒸発器27から流出した冷却水は冷却水戻りライン32を流通し、その際に冷却器34で冷却されて、冷却塔3に戻される。
【0023】
蒸発器27において蒸発したガス状の冷媒は、圧縮機28で圧縮されて温度が上昇した状態で凝縮器29に流入する。凝縮器29では、再生塔5の塔底から抜き出されたリーン吸収液と直接的もしくは間接的に熱交換することにより、リーン吸収液は加熱される一方、冷媒は冷却されて凝縮する。加熱されたリーン吸収液は、上述したようにリーン吸収液戻りライン36を介して再生塔5に戻される。凝縮された冷媒は、凝縮器29から流出した後、減圧器30により減圧されて温度が低下する。減圧器30から流出した冷媒は再び蒸発器27に流入する。
【0024】
このように、二酸化炭素を含むガスの温度が高温であっても、冷却塔3においてガスを冷却した冷却水の熱によって再生塔5内のリーン吸収液を直接的もしくは間接的に加熱するので、任意な点源の排出源であっても、熱源を得るために発生する二酸化炭素の排出を抑制しながら熱効率良く二酸化炭素を回収することができる。
【0025】
冷却塔3に供給されるガスに硫黄酸化物や窒素酸化物、燃焼により生じた灰等の固形物が含まれていると、ガスと冷却水との接触によりこれらが冷却水に含まれるようになる。これらが含まれる冷却水がヒートポンプ6に供給されると、配管(冷却水供給ライン31及び冷却水戻りライン32)やヒートポンプ6の蒸発器27を腐食するおそれがある。これに対し、水質改善装置38が設けられていれば、水質改善装置38によって水質調整された冷却水がヒートポンプ6に供給されるようになるので、配管やヒートポンプ6の蒸発器27が腐食するおそれを低減することができる。
【0026】
特開2012-179533号公報において公知となっている装置を水質改善装置38として冷却塔3内に設けた場合の冷却塔3内における動作は次の通りである。排出源2から排出された二酸化炭素を含むガスは、ガス流通ライン7を介して、トレイ3bよりも下方の位置から冷却塔3内に流入する。冷却塔3内に流入したガスに含まれる不純物は、水質改善装置38によって除去される。不純物が除去されたガスは、水質改善装置38から流出すると、トレイ3bよりも上方で、スプレイ3aから散布された冷却水と向流接触することにより冷却される。ガスを冷却した冷却水はトレイ3b上に溜まる。水質改善装置38によって不純物が除去されたガスと冷却水とが接触するので、トレイ3b上に溜まった冷却水には不純物が含まれていない、又は、冷却水中の不純物の濃度が低い。トレイ3b上の冷却水が冷却水供給ライン31を介してヒートポンプ6に供給される。
【0027】
<本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの変形例>
[変形例1]
吸収塔4においてリーン吸収液は繰り返し再利用されることにより、リーン吸収液には、吸収塔4内で気液接触するガスからの混入物や吸収液劣化物等の不揮発性物質が蓄積する。このような不揮発性蓄積物をリーン吸収液から除去する目的で、リクレーマを設ける場合がある。実施形態1では、例えば図2に示されるように、ポンプ14と熱交換器11との間でリーン吸収液ライン10から分岐する分岐ライン40を設け、分岐ライン40の下流端をリクレーマ41に接続させることにより、リーン吸収液の一部を抜き出してリクレーマ41に供給する。後述する動作によりリクレーマ41内で蒸気が発生するが、この蒸気を再生塔5に供給するために、リクレーマ41と再生塔5とを連通する蒸気供給ライン48が設けられている。このようなリクレーマ41が設けられている場合には、冷媒循環ライン26がリクレーマ41を通過するようにして、ヒートポンプ6から供給される熱の一部をリクレーマ41に供給するようにしてもよく、ヒートポンプ6の凝縮器29で水蒸気を生成する場合は、この水蒸気をリクレーマ41の熱源として供給してもよい。リクレーマ41において、冷媒循環ライン26を循環する冷媒又は水蒸気によって吸収液が加熱されて、すなわち、冷媒の熱により直接的又は間接的に吸収液が加熱されて蒸気が発生し、この蒸気が再生塔5に供給される。これにより、不揮発性蓄積物が除去されたリーン吸収液が再生塔5に供給されるので、リーン吸収液中の不揮発性蓄積物の濃度を低下することができる。
【0028】
[変形例2]
排出源2の負荷の変動により、排出源2から排出されるガス中の二酸化炭素の濃度が変わり得る。排出されるガス中の二酸化炭素の濃度が排出源2の負荷に関わらずに一定であれば、排出されるガス量に応じて吸収塔4及び再生塔5のそれぞれの運転条件を制御すればよい。しかしながら一般的には、排出源2の負荷の変動により、排出源2から排出されるガス中の二酸化炭素の濃度は変動するので、例えば、ガス量が増えてもガス中の二酸化炭素濃度が低下するために、実際に処理される二酸化炭素の総量は変化しない場合などを想定することができる。
【0029】
このような場合に対処すべく、例えば図3に示されるように、ガス流通ライン7を流通するガスの流量及びガス中の二酸化炭素を検出するセンサ42と、制御装置43とを設けてもよい。制御装置43、センサ42による検出値が伝送されるようにセンサ42と電気的に又は無線通信を介して接続されている。また、制御装置43は、排出源2の負荷を検出するようにも構成されている。例えば排出源2がガスエンジンの場合、制御装置43がガスエンジンの発電量などの運転データを検知するようにしておけば、制御装置43はガスエンジンの負荷を推算可能である。さらに、制御装置43は、ヒートポンプ6の圧縮機28の運転条件(例えば回転数等)を制御可能に構成されている。
【0030】
制御装置43は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。尚、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0031】
このような制御装置43に、排出源2の負荷及びセンサ42による検出値に基づいて圧縮機28の運転条件を制御するためのマップを記憶させておく。このマップの一例を図4に示す。このマップは、吸収塔4及び再生塔5のそれぞれにおけるリーン吸収液の温度と塔内圧力との関係で構成されている。吸収塔4では、塔内圧力が高いほど、かつ、リーン吸収液の温度が低いほど、二酸化炭素の吸収能力が高くなる傾向がある。再生塔5では、塔内圧力が高いほど、かつ、リーン吸収液の温度が高いほど、エネルギー原単位が低くなる。これら2つのマップを満足するように、制御装置43は、排出源2の負荷及びセンサ42による検出値に基づいて圧縮機28の運転条件を制御する。
【0032】
[変形例3]
実施形態1では、ヒートポンプ6に1台の圧縮機28が設けられていたが、この形態に限定するものではなく、複数台の圧縮機を設けてもよい。図5には、2つの圧縮機28a及び28bを設けたヒートポンプ6の構成図を示す。複数段の圧縮機を設けることで、蒸発器27で回収可能な熱量(エンタルピー差)を増大させることができる。また、2つの圧縮機28a及び28bを設けた構成では、凝縮器29と減圧器30との間にエコノマイザ44を設けてもよい。この場合、圧縮機28a及び28b間と凝縮器29及びエコノマイザ44間とを接続する冷媒リサイクルライン45が設けられ、冷媒リサイクルライン45に、圧力調整のための減圧器46が設けられている。凝縮器29から流出した冷媒の一部、すなわち冷媒リサイクルライン45を流通する冷媒を減圧器46によって断熱膨張させた冷媒と、凝縮器29から流出した冷媒の残部とがエコノマイザ44で熱交換される。エコノマイザ44におけるこのような熱交換により、低圧側の冷媒を冷却することが可能になり、ヒートポンプ6の性能を向上することができる。また、圧縮機28aの出口温度が低下するため、冷媒ガスの最高温度の抑制が可能となり、ヒートポンプ6の信頼性を向上させることもできる。
【0033】
[変形例4]
図6に示されるように、蒸発器27と圧縮機28との間に内部熱交換器47を設けてもよい。内部熱交換器47は、蒸発器27から流出した冷媒と凝縮器29から流出した冷媒とを熱交換するものである。内部熱交換器47における熱交換により、圧縮機28に流入する冷媒ガスが過熱度を有するようになり、圧縮機28に流入する冷媒ガス中に液滴が混入するおそれを低減できるので、圧縮機28のインペラの損傷のおそれを低減することができる。
【0034】
上述した変形例1~4はそれぞれ単独に実施形態1に適用することに限定されず、技術的な問題又は矛盾がない限り、変形例1~4のうちの2つ、3つ、又は全ての構成を実施形態1に適用することもできる。
【0035】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。実施形態2に係る二酸化炭素回収システムは、実施形態1に対して、再生塔5内の吸収液を加熱するための熱源を切り替え可能にしたものである。尚、実施形態2において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0036】
<本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システムの構成>
図7に示されるように、実施形態2に係る二酸化炭素回収システム1では、リーン吸収液供給ライン35にリボイラ50が設けられている。リボイラ50は、リーン吸収液供給ライン35を流通するリーン吸収液と蒸気とが熱交換することによりリーン吸収液を加熱する熱交換器であり、蒸気は例えばボイラ51から供給することができる。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0037】
<本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システムの動作>
実施形態2は、再生塔5内のリーン吸収液をヒートポンプ6又はリボイラ50のいずれか一方もしくは両方によって加熱できる点のみが実施形態1と異なり、その他の動作は実施形態1と同じである。リーン吸収液をヒートポンプ6によって加熱する場合は、リボイラ50に蒸気の供給を停止すれば、リーン吸収液供給ライン35を流通するリーン吸収液がリボイラ50で加熱されずに凝縮器29に流入するので、実施形態1の動作と同じになる。これに対し、リーン吸収液をリボイラ50によって加熱する場合は、ヒートポンプ6の稼働を停止し、リボイラ50に蒸気を供給することにより、リーン吸収液はリボイラ50によって加熱されるが、凝縮器29では加熱されることなく通過し、リーン吸収液戻りライン36を介して再生塔5に戻る。
【0038】
二酸化炭素回収システム1の起動時には二酸化炭素を含むガスの温度が低く、冷却水の温度も低いため、ヒートポンプ6による加熱のみでは熱量が不足する場合がある。また、ヒートポンプ6において電気モータで圧縮機28を駆動する場合、電気エネルギーが必要になるので、電気料金が高い場合にはヒートポンプ6による加熱では、リボイラ50での蒸気による加熱に比べて、二酸化炭素回収システム1の運転コストが高くなる場合がある。これに対し、実施形態2では、ヒートポンプ6及びリボイラ50の負荷を最適制御したハイブリッド運転により、二酸化炭素回収システム1の円滑な起動動作及び低運転コストを考慮した二酸化炭素回収システム1の運転が可能になる。
【0039】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。実施形態3に係る二酸化炭素回収システムは、実施形態1または2に対して、冷却塔3から蒸発器27に冷却水を供給する前に冷却水を加熱するようにしたものである。以下では、実施形態1に対して上述の変更をした構成で実施形態3を説明するが、実施形態2に対して上述の変更をすることにより実施形態3を構成してもよい。尚、実施形態3において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
<本開示の実施形態3に係る二酸化炭素回収システムの構成>
図8に示されるように、実施形態3に係る二酸化炭素回収システム1では、ガス流通ライン7に熱交換器60が設けられている。熱交換器60は、排出源2から冷却塔3へ供給されるガスと冷却塔3から蒸発器27へ供給される冷却水とを熱交換することにより冷却水を加熱するためのものであり、冷却水供給ライン31が熱交換器60を通過するように構成されている。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0041】
<本開示の実施形態3に係る二酸化炭素回収システムの動作>
実施形態3では、冷却塔3から蒸発器27へ冷却水が供給される際に、熱交換器60において、排出源2からのガスと熱交換することにより加熱される。加熱された冷却水が蒸発器27へ流入する。その他の動作は実施形態1と同じである。
【0042】
実施形態3では、熱交換器60がない場合に比べて、蒸発器27から流出した冷媒の温度が上昇するので、ヒートポンプ6の性能を向上することができる。
【0043】
熱交換器60において冷却水は加熱される一方でガスは冷却される。この際にガス中に含まれる酸性ガスの露点以下まで冷却されると、熱交換器60の伝熱管やガス流通ライン7を腐食させてしまうので、熱交換器60に流入するガスの温度が低い場合には、冷却水の流量を調整したり、熱交換器60をバイパスするバイパスラインを設けることにより熱交換器60をバイパスしたりすることが好ましい。
【0044】
(実施形態4)
次に、実施形態4に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。実施形態4に係る二酸化炭素回収システムは、実施形態1~3のいずれかに対して、ヒートポンプ6において冷媒が蒸発器27に流入する前に冷媒を加熱するようにしたものである。以下では、実施形態1に対して上述の変更をした構成で実施形態4を説明するが、実施形態2または3に対して上述の変更をすることにより実施形態4を構成してもよい。尚、実施形態4において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0045】
<本開示の実施形態4に係る二酸化炭素回収システムの構成>
図9に示されるように、実施形態4に係る二酸化炭素回収システム1では、ヒートポンプ6において減圧器30と蒸発器27との間に、冷媒と加熱媒体とが熱交換することにより冷媒を加熱するための加熱器70が設けられている。加熱媒体は特に限定するものではなく、任意の加熱媒体を使用できるが、二酸化炭素回収システム1において再利用されることなく排熱される熱を回収した加熱媒体を使用することが好ましい。例えば、冷却器15,18,22,34において冷却対象流体を冷却することにより加熱された流体のいずれか又は2つ以上の流体を混合させた混合流体を加熱媒体として加熱器70に供給することができる。また、ヒートポンプ6の圧縮機28に、圧縮機28の出口ガスの温度を調節するための冷却器72が設けられていれば、冷却器72における熱交換により加熱された流体を、上述の流体又は混合流体に代えて若しくはそれと共に、加熱媒体として加熱器70に供給することができる。このため、加熱器70に加熱媒体を供給するための加熱媒体供給ライン71は、冷却器15,18,22,34,72の少なくとも1つに連通している。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0046】
<本開示の実施形態4に係る二酸化炭素回収システムの動作>
実施形態4では、減圧器30によって減圧された冷媒は、加熱器70において加熱された後に蒸発器27に流入する。その他の動作は実施形態1と同じである。実施形態4では、吸収塔4、再生塔5、又はヒートポンプ6の少なくとも1つから発生する熱をヒートポンプ6で使用するので、二酸化炭素回収システム1全体の熱効率を向上することができる。
【0047】
(実施形態5)
次に、実施形態5に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。実施形態5に係る二酸化炭素回収システムは、実施形態1~4のいずれかに対して、ヒートポンプ6に複数の蒸発器を設けるようにしたものである。以下では、実施形態1に対して上述の変更をした構成で実施形態5を説明するが、実施形態2~4のいずれかに対して上述の変更をすることにより実施形態5を構成してもよい。尚、実施形態5において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0048】
<本開示の実施形態5に係る二酸化炭素回収システムの構成>
図10に示されるように、実施形態5に係る二酸化炭素回収システム1では、ヒートポンプ6において蒸発器27と圧縮機28との間に第2蒸発器80が設けられている。第2蒸発器80の個数は1つに限定されず2つ以上であってもよいが、以下では1つの第2蒸発器80が設けられる構成で説明する。第2蒸発器80は、蒸発器27から流出した冷媒と排出源から発生する熱を含む加熱媒体とを熱交換することにより冷媒を加熱するためのものである。
【0049】
例えば排出源2がガスエンジンであるとすると、ガスエンジンを冷却するために冷却水が流通する流路(ジャケット等)があるため、この流路を流通する際にガスエンジンを冷却することにより加熱された冷却水を加熱媒体として使用することができる。このような加熱媒体を第2蒸発器80に供給するための加熱媒体供給ライン81と、第2蒸発器80において冷媒と熱交換した加熱媒体を排出源2に戻すための加熱媒体戻りライン82とが設けられている。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0050】
<本開示の実施形態5に係る二酸化炭素回収システムの動作>
実施形態5では、ヒートポンプ6において、冷却塔3からの冷却水と排出源2からの加熱媒体とによって冷媒が加熱されて蒸発する点のみが実施形態1の動作と異なり、その他の動作は実施形態1と同じである。実施形態5では、排出源2から発生する熱をヒートポンプ6で使用するので、二酸化炭素回収システム1全体の熱効率を向上することができる。
【0051】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0052】
[1]一の態様に係る二酸化炭素回収システムは、
二酸化炭素を含むガスを冷却水に接触させることによって前記ガスを冷却する冷却塔(3)と、
前記冷却塔(3)で冷却された前記ガスと吸収液とを接触させることによって二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収塔(4)と、
前記吸収塔(4)において二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱して前記吸収液から二酸化炭素を放散させる再生塔(5)と、
前記冷却水の熱によって前記再生塔(5)内の前記吸収液を直接的もしくは間接的に加熱するヒートポンプ(6)と
を備える。
【0053】
本開示の二酸化炭素回収システムによれば、二酸化炭素を含むガスの温度が高温であっても、冷却塔においてガスを冷却した冷却水を熱源とするヒートポンプによって再生塔内の吸収液を直接的もしくは間接的に加熱するので、任意の場所すなわち点源の排出源であっても、熱源を得るために発生する二酸化炭素の排出を抑制しながら熱効率良く二酸化炭素を回収することができる。
【0054】
[2]別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]の二酸化炭素回収システムであって、
前記冷却塔(3)は、前記冷却塔(3)内の前記冷却水を水質調整する水質改善装置(38)を含む。
【0055】
冷却塔に供給されるガスに硫黄酸化物や窒素酸化物、燃焼により生じた灰等の固形物が含まれていると、ガスと冷却水との接触によりこれらが冷却水に含まれるようになる。これらが含まれる冷却水がヒートポンプに供給されると、配管やヒートポンプの蒸発器を腐食するおそれがある。これに対し、上記[2]の構成によれば、水質改善装置によって水質調整された冷却水がヒートポンプに供給されるようになるので、配管やヒートポンプの蒸発器が腐食するおそれを低減することができる。
【0056】
[3]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]または[2]の二酸化炭素回収システムであって、
前記再生塔(5)内の前記吸収液と蒸気とを熱交換することにより前記吸収液を加熱するリボイラ(50)を備え、
前記ヒートポンプ(6)又は前記リボイラ(50)の少なくとも一方によって前記再生塔(5)内の前記吸収液を加熱するように構成されている。
【0057】
二酸化炭素回収システムの起動時にはヒートポンプによる加熱では熱量が不足する場合があり、又、電気料金が高い場合にはヒートポンプによる加熱では二酸化炭素回収システムの運転コストが高くなる場合がある。これに対し、上記[3]の構成によれば、ヒートポンプ及びリボイラの負荷を最適制御したハイブリッド運転により、二酸化炭素回収システムの円滑な起動動作及び低運転コストを考慮した二酸化炭素回収システムの運転が可能になる。
【0058】
[4]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]~[3]のいずれかの二酸化炭素回収システムであって、
前記冷却塔(3)から前記ヒートポンプ(6)に供給される前記冷却水と前記冷却塔(3)に供給される前記ガスとを熱交換する熱交換器(60)を備える。
【0059】
このような構成によれば、このような熱交換器がない場合に比べて、蒸発器から流出した冷媒の温度が上昇するので、ヒートポンプの性能を向上することができる。
【0060】
[5]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]~[4]のいずれかの二酸化炭素回収システムであって、
前記ヒートポンプ(6)は、
冷媒が循環可能な冷媒循環ライン(26)と、
前記冷却塔(3)から供給された前記冷却水と前記冷媒とが熱交換する蒸発器(27)と、
前記蒸発器(27)から流出した前記冷媒を圧縮する圧縮機(28)と、
前記圧縮機(28)で圧縮された前記冷媒と前記再生塔(5)内の前記吸収液とが熱交換する凝縮器(29)と、
前記凝縮器(29)から流出した前記冷媒を減圧する減圧器(30)と
を備え、
前記減圧器(30)によって減圧された前記冷媒が前記蒸発器(27)に供給されるように構成されており、
前記ヒートポンプ(6)は、前記減圧器(30)と前記蒸発器(27)との間で前記冷媒と加熱媒体とを熱交換することにより前記冷媒を加熱する加熱器(70)をさらに備え、
前記加熱媒体は、前記吸収塔(4)、前記再生塔(5)、又は前記ヒートポンプ(6)の少なくとも1つから発生する熱を含む。
【0061】
このような構成によれば、吸収塔、再生塔、又はヒートポンプの少なくとも1つから発生する熱をヒートポンプで使用するので、二酸化炭素回収システム全体の熱効率を向上することができる。
【0062】
[6]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]~[5]のいずれかの二酸化炭素回収システムであって、
前記ヒートポンプ(6)は、
冷媒が循環可能な冷媒循環ライン(26)と、
前記冷却塔(3)から供給された前記冷却水と前記冷媒とが熱交換する蒸発器(27)と、
前記蒸発器(27)から流出した前記冷媒を圧縮する圧縮機(28)と、
前記圧縮機(28)で圧縮された前記冷媒と前記再生塔(5)内の前記吸収液とが熱交換する凝縮器(29)と、
前記凝縮器(29)から流出した前記冷媒を減圧する減圧器(30)と
を備え、
前記減圧器(30)によって減圧された前記冷媒が前記蒸発器(27)に供給されるように構成されており、
前記ヒートポンプ(6)は、前記蒸発器(27)と前記圧縮機(28)との間で前記冷媒と加熱媒体とを熱交換することにより前記冷媒を加熱する第2蒸発器(80)をさらに備え、
前記加熱媒体は、前記ガスを排出した排出源(2)から発生する熱を含む。
【0063】
このような構成によれば、二酸化炭素を含むガスを排出した排出源から発生する熱をヒートポンプで使用するので、二酸化炭素回収システム全体の熱効率を向上することができる。
【0064】
[7]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]~[6]のいずれかの二酸化炭素回収システムであって、
前記再生塔(5)内の前記吸収液を加熱することで蒸気を発生させるリクレーマ(41)と、
前記リクレーマ(41)で発生した前記蒸気を前記再生塔(5)に供給する蒸気供給ライン(48)と
を備え、
前記ヒートポンプ(6)は、
冷媒が循環可能な冷媒循環ライン(26)と、
前記冷却塔(3)から供給された前記冷却水と前記冷媒とが熱交換する蒸発器(27)と、
前記蒸発器(27)から流出した前記冷媒を圧縮する圧縮機(28)と、
前記圧縮機(28)で圧縮された前記冷媒と前記再生塔(5)内の前記吸収液とが熱交換する凝縮器(29)と、
前記凝縮器(29)から流出した前記冷媒を減圧する減圧器(30)と
を備え、
前記リクレーマ(41)内の前記吸収液は、前記冷媒循環ライン(26)を循環する前記冷媒の熱により直接的又は間接的に加熱されるように構成されている。
【0065】
このような構成によれば、再生塔内の吸収液中の不揮発性蓄積物の濃度が低下するので、吸収塔における吸収液と二酸化炭素との反応性の低下を抑制することができる。
【0066】
[8]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]~[7]のいずれかの二酸化炭素回収システムであって、
前記ヒートポンプ(6)は、
冷媒が循環可能な冷媒循環ライン(26)と、
前記冷却塔(3)から供給された前記冷却水と前記冷媒とが熱交換する蒸発器(27)と、
前記蒸発器(27)から流出した前記冷媒を圧縮する圧縮機(28)と、
前記圧縮機(28)で圧縮された前記冷媒と前記再生塔(5)内の前記吸収液とが熱交換する凝縮器(29)と、
前記凝縮器(29)から流出した前記冷媒を減圧する減圧器(30)と
を備え、
前記二酸化炭素回収システム(1)は、
前記冷却塔(4)に供給される前記ガスの流量及び前記ガス中の二酸化炭素を検出するセンサ(42)と、
前記ガスの排出源(2)の負荷を検出するとともに前記センサ(42)による検出値を受信するように構成された制御装置(43)と
を備え、
前記制御装置(43)は、前記負荷及び前記センサ(42)による前記検出値に基づいて前記圧縮機(28)の運転条件を制御するように構成されている。
【0067】
このような構成によれば、二酸化炭素回収システムに供給される二酸化炭素の量に応じて二酸化炭素回収システムの運転条件を適切に制御することができる。
【0068】
[9]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]~[8]のいずれかの二酸化炭素回収システムであって、
前記ヒートポンプ(6)は、
冷媒が循環可能な冷媒循環ライン(26)と、
前記冷却塔(3)から供給された前記冷却水と前記冷媒とが熱交換する蒸発器(27)と、
前記蒸発器(27)から流出した前記冷媒を圧縮する2つ以上の圧縮機(28a,28b)と、
前記2つ以上の圧縮機(28a,28b)で圧縮された前記冷媒と前記再生塔(5)内の前記吸収液とが熱交換する凝縮器(29)と、
前記凝縮器(29)から流出した前記冷媒を減圧する減圧器(30)と
を備える。
【0069】
このような構成によれば、蒸発器で回収可能な熱量(エンタルピー差)を増大させることができる。
【0070】
[10]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[9]の二酸化炭素回収システムであって、
前記凝縮器(29)から流出した前記冷媒の一部を、前記2つ以上の圧縮機(28a,28b)のうちの隣り合う2つの圧縮機(28a,28b)間に戻す冷媒リサイクルライン(45)と、
前記冷媒リサイクルライン(45)に設けられた減圧器(46)と、
前記減圧器(46)によって断熱膨張された冷媒と前記凝縮器(29)から流出した前記冷媒の残部とを熱交換するエコノマイザ(44)と
を備える。
【0071】
このような構成によれば、低圧側の冷媒を冷却することが可能になり、ヒートポンプの性能を向上することができる。また、上流側の圧縮機の出口温度が低下するため、冷媒ガスの最高温度の抑制が可能となり、ヒートポンプの信頼性を向上させることもできる。
【0072】
[11]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]~[10]のいずれかの二酸化炭素回収システムであって、
前記ヒートポンプ(6)は、
冷媒が循環可能な冷媒循環ライン(26)と、
前記冷却塔(3)から供給された前記冷却水と前記冷媒とが熱交換する蒸発器(27)と、
前記蒸発器(27)から流出した前記冷媒を圧縮する圧縮機(28)と、
前記圧縮機(28)で圧縮された前記冷媒と前記再生塔(5)内の前記吸収液とが熱交換する凝縮器(29)と、
前記凝縮器(29)から流出した前記冷媒を減圧する減圧器(30)と、
前記蒸発器(27)から流出した前記冷媒と前記凝縮器(29)から流出した冷媒とを熱交換する内部熱交換器(47)と
を備える。
【0073】
このような構成によれば、内部熱交換器における熱交換により、圧縮機に流入する冷媒ガスが過熱度を有するようになり、圧縮機に流入する冷媒ガス中に液滴が混入するおそれを低減できるので、圧縮機のインペラの損傷のおそれを低減することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 二酸化炭素回収システム
2 排出源
3 冷却塔
4 吸収塔
5 再生塔
6 ヒートポンプ
26 冷媒循環ライン
27 蒸発器
28 圧縮機
28a 圧縮機
28b 圧縮機
29 凝縮器
30 減圧器
38 水質改善装置
41 リクレーマ
42 センサ
43 制御装置
44 エコノマイザ
45 冷媒リサイクルライン
46 減圧器
47 内部熱交換器
48 蒸気供給ライン
50 リボイラ
60 熱交換器
70 加熱器
80 第2蒸発器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10