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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】車両用室内照明灯
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/74 20170101AFI20241008BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20241008BHJP
   G01S 13/52 20060101ALI20241008BHJP
   B60Q 3/80 20170101ALI20241008BHJP
【FI】
B60Q3/74
G01S7/03 240
G01S13/52
B60Q3/80
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022117999
(22)【出願日】2022-07-25
(65)【公開番号】P2024015729
(43)【公開日】2024-02-06
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】池田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】若杉 崇
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-117202(JP,A)
【文献】特開2018-2118(JP,A)
【文献】特開2014-216731(JP,A)
【文献】特開2022-12257(JP,A)
【文献】特開2022-53186(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0402429(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/74
G01S 7/03
G01S 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダー波が透過するレーダー波透過部位を備え、車両の室内に設置される筐体と、
前記筐体内に設けられ、可視光を発し、この発した可視光が前記レーダー波透過部位のうちのクリア部を通って前記筐体に外に出てくることで前記車両の室内の照明をする発光部と、
前記筐体内に設けられ、レーダー波が前記レーダー波透過部位を透過することで、前記車両の室内における人の存在を探知するレーダーと
前記筐体内に設けられているメイン基板と、
前記筐体内に設けられているレーダーの基板と、
前記メイン基板と前記レーダーの基板とを連結し、前記メイン基板から前記レーダーの前記基板への電力の供給及び前記メイン基板と前記レーダーの前記基板との間での信号の授受の少なくともいずれかを行うバスバーと、
を有する車両用室内照明灯。
【請求項2】
前記レーダーは、人の皮膚の表面の形態の変化を探知する請求項1に記載の車両用室内照明灯。
【請求項3】
前記レーダーのアンテナは、平板状に形成されており、前記アンテナの厚さ方向の一方の平面で、レーダー波を発射するとともに、この発射されたレーダーの反射波をとらえるように構成されており、
前記車両の室内に設置された状態で、前記アンテナの厚さ方向の一方の平面の法線ベクトルが、前記車両の室内の中央を向くようになっている請求項1に記載の車両用室内照明灯。
【請求項4】
前記筐体内には、第2のバスバーが設けられており、
前記レーダーの探知範囲を狭めるために、前記第2のバスバーの一部が前記レーダーに係合している請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用室内照明灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用室内照明灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、赤外線カメラで運転者の顔を撮影し、運転者の注視する方向を判別する車室内照明装置が知られている(特許文献1参照)。この車室内照明装置は、判別した運転者の注視する方向が、照明装置群の少なくとも1つの照明装置の照明範囲である場合、該当する照明装置を点灯するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008―81053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の車室内照明装置では、赤外線カメラの検知範囲が狭く、また、死角となる箇所を検知することが出来ないため、上述した照明装置の点灯等、用途が限られてしまう。
【0005】
本発明は、車両の室内において死角となる箇所がほぼ無くして、車室内の人等を検知することができる車両用室内照明灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る車両用室内照明灯は、レーダー波が透過するレーダー波透過部位を備え、車両の室内に設置される筐体と、前記筐体内に設けられ、可視光を発し、この発した可視光が前記レーダー波透過部位のうちのクリア部を通って前記筐体に外に出てくることで前記車両の室内の照明をする発光部と、前記筐体内に設けられ、レーダー波が前記レーダー波透過部位を透過することで、前記車両の室内における人の存在を探知するレーダーとを有する車両用室内照明灯である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る車両用室内照明灯が設置されている車両を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両用室内照明灯が設置されている箇所の拡大図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両用室内照明灯の斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る車両用室内照明灯の分解斜視図である。
図5図3におけるV-V断面を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る車両用室内照明灯におけるバスバーの設置態様を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る車両用室内照明灯におけるバスバーの別の設置態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態に係る車両用室内照明灯(レーダー付き車両の室内照明装置)1は、図1図2で示すように、車両3の室内5に設置されて使用されるものである。車両用室内照明灯1は、図4図5で示すように、筐体7と発光部9とレーダー(レーダーモジュール)11とを備えて構成されている。なお、図1図2では、見やすくするために、破線で示すべきレーダー11を実線で示している。
【0009】
ここで説明の便宜のために水平な所定の一方向を前後方向とし、水平な所定の他の一方向であって前後方向に対して直交する方向を左右方向とし、前後方向と左右方向とに対して直交する方向を上下方向とする。
【0010】
筐体7は、レーダー波が透過するレーダー波透過部位を少なくとも一部に備えており、車両3の室内5に設置されるようになっている。筐体7の少なくとも一部(たとえば総て)は、合成樹脂で構成されており、この合成樹脂をレーダー波が透過するようになっている。また、筐体7の合成樹脂の少なくとも一部は、可視光が透過する透明もしくは半透明であるクリア部13(図3参照)になっている。
【0011】
発光部9は、筐体内7に設けられており、可視光を発するようになっている。発光部9が発した可視光が、レーダー波透過部位のうちのクリア部13を通って筐体7の外に出てくることで車両3の室内5の照明がされるようになっている。
【0012】
レーダー11も、筐体7内に設けられている。レーダー11は、車両3の室内5に存在する人17を探知するために設けられている。レーダー11が発したレーダー波、および、レーダー11が発したレーダー波の反射波がレーダー波透過部位を透過することで、車両3の室内5における人17の存在を探知できるようになっている。
【0013】
レーダー11として、たとえば、フェーズドアレイレーダーが採用されている。また、レーダー11の探知範囲は、車両3の室内5のほぼ全体におよんでいるが、車両3の室内5の外部は、レーダー11の探知範囲から外れている。
【0014】
さらに説明すると、レーダー11は、車両3のシート15に着座している総ての人17のほぼ全体(全身)を探知できるようになっている。
【0015】
レーダー11は、人17の皮膚の表面の形態(形状)の変化を探知するようになっている。さらに説明すると、レーダー11は、若干の水分で湿っている人17の肌(皮膚)を探知することで、車両3の室内5における人17の存在を探知するようになっている。また、レーダー11は、人以外の動物の皮膚を探知することで、車両3の室内5に存在する動物(たとえば、犬、猫等のペット)も探知できるようになっている。
【0016】
なお、レーダー11が発するレーダー波として周波数が60GHzである電磁波が使用されているが、40GHzから70GHzのうちの所定の周波数のレーダー波を使用してもよい。
【0017】
レーダー11は、アンテナ19を備えて構成されている。アンテナ19は、平板状に形成されており、アンテナ19の厚さ方向の一方の平面21で、レーダー波を発射するとともに、この発射されたレーダーの反射波をとらえるように構成されている。
【0018】
車両用室内照明灯1が車両3の室内5のたとえば天井23に一体的に設置された状態では、図1図2で示すように、法線ベクトル25が、車両3の室内5の中央を向くようになっている。法線ベクトル25は、アンテナ19の厚さ方向の一方の平面21の法線ベクトルである。また、法線ベクトル25は、アンテナ19の厚さ方向の一方の平面21の中央部を始点とする法線ベクトルである。
【0019】
なお、法線ベクトル25は、図示してはいないが、前後方向で見て車両3の室内5の中央に位置している。一方、左右方向で見ると、前後方向での車両用室内照明灯1の設置位置に応じて、法線ベクトル25の向きが異なる。車両用室内照明灯1の設置位置、設置姿勢について様々な形態があるが、いずれの設置形態をとっても、法線ベクトル25が、車両3の室内5の中央を向くようになっている。
【0020】
車両3の室内5の前側で車両3の室内5の天井23に車両用室内照明灯1が設置された状態を例に掲げて説明する。この状態では、法線ベクトル25が、前後方向で見て、アンテナ19の厚さ方向の一方の平面21から下方向(真下方向)に延びている。また、アンテナ19の厚さ方向の一方の平面21の法線ベクトル25が、左右方向で見て、図1で示すように、斜め下後方向に延びている。さらに説明すると、法線ベクトル25は、左右方向で見て、上下方向に対して所定の交差角度で交差しているとともに、始点が前側に位置し終点が後側に位置している。
【0021】
なお、レーダー11のアンテナ19は、筐体7に対して移動しないように、また、筐体7に対する姿勢が変化しないように、筐体7に固定されている。したがって、車両3の室内5の前側で車両3の室内5の天井23に車両用室内照明灯1が一体的に設置された状態では、レーダー11のアンテナ19が車両3の天井23に固定されている。すなわち、アンテナ19が車両3に対して移動しないように、また、車両3に対する姿勢が変化しないように、車両3の天井23に固定されている。
【0022】
ここで、車両用室内照明灯1についてさらに詳しく説明する。
【0023】
筐体7は、図4で示すように、カバー33とパネル47とを備えて構成されている。カバー33は、概ね矩形な平板状に形成されており厚さ方向が上下方向になっている底板部35と、この底板部35の外周部から下側に起立している側板部37とを備えており、深さの浅い枡状に形成されている。
【0024】
また、カバー33には、図4図5で示すように、レーダー設置部39が設けられている。レーダー設置部39は、突出部41と基板押え突起45とを備えて構成されている。レーダー設置部39は、上下方向では、底板部35の下面に設けられており、左右方向では、底板部35の中央部に設けられており、前後方向では、底板部35の後端の近くに設けられている。
【0025】
突出部41は、レーダー設置部39のメインの構成要素となるものであり、小さい三角な平板状に形成されている。突出部41は、厚さ方向が左右方向になっており、上下方向では、底板部35の下面から下側に、側板部37の起立高さと同じくらい僅かに突出している。また、突出部41は、左右方向では、底板部35の中央部に設けられており、前後方向では、底板部35の後端の近くに設けられている。
【0026】
さらに、突出部41は、一対で設けられており、一対の突出部41は、互いが左右方向で僅かに離れている。また、図5で示すように、突出部41の上端(三角形の斜辺に相当する箇所)が斜面43になっている。斜面43は、斜面43の前端が斜面43の後端よりも下側に位置するような傾斜をしている。基板押え突起45は、突出部41の斜面43の後端部で、斜面43から下側に僅かに突出している。
【0027】
レーダー11は、図4等で示すように、アンテナ19とレーダーの基板31とを備えて構成されている。アンテナ19は、矩形な平板状に形成されている。レーダーの基板31は、アンテナ19よりもやや大きい矩形な平板状に形成されている。
【0028】
アンテナ19は、この厚さ方向とレーダーの基板31の厚さ方向とが互いに一致するようにして、レーダーの基板31に一体的に設置されている。また、レーダー11では、アンテナ19の平面21とは反対側の平面が、レーダーの基板31の厚さ方向の一方の面(第1の面)に接している。アンテナ19およびレーダーの基板31の厚さ方向で見ると、レーダーの基板31の中央にアンテナ19が位置している。
【0029】
アンテナ19は、レーダーの基板31の厚さ方向の他方の面(第2の面;図5では上側の面)が、突出部41の斜面43に接している。また、アンテナ19は、レーダーの基板31の後端部が、突出部41と基板押え突起45とで挟まれている。これにより、レーダー11がカバー33に一体的に設置されている。なお、レーダー11がカバー33に設置されている状態では、アンテナ19と基板押え突起45とは互いが僅かに離れている。
【0030】
パネル47は、図4で示すように、概ね矩形な平板状に形成されており厚さ方向が上下方向になっている底板部49と、この底板部49の外周部から上側に起立している側板部51とを備えて、深さの浅い枡状に形成されている。なお、パネル47の枡の深さの値は、カバー33の枡の深さの値よりも大きくなっている。また、カバー33とパネル47とを上下方向で見ると、パネル47のほうがカバー33よりも若干大きくなっている。
【0031】
パネル47にカバー33を設置し終えたことで筐体7が得られる。筐体7を上下方向で見ると、パネル47の内側にカバー33が収まっている。また、筐体7を左右方向、前後方向で見ても、パネル47の内側にカバー33が収まっている。
【0032】
カバー33の底板部35と側板部37、および、パネル47の底板部49と側板部51で、発光部9とレーダー11とが入っている筐体7の内部空間が形成されている。
【0033】
発光部9は、メイン基板29とLED等の発光体53とを備えて構成されている。メイン基板29は、レーダーの基板31よりも大きい矩形な平板状に形成されている。メイン基板29は、厚さ方向が上下方向になるようにして、また、図5で示すようにスペーサ75とボルト77とを用いて、カバー33に一体的に設置されている。
【0034】
カバー33に設置されているメイン基板29は、上下方向ではカバー33の底板部35に近くに位置している。メイン基板29の左右方向および前後方向の寸法の値は、カバー33の底板部35の左右方向および前後方向の寸法の値よりも僅かに小さくなっている。
【0035】
上下方向で見ると、カバー33に設置されているメイン基板29は、カバー33の環状の側板部37の内側に収まっている。なお、カバー33に設置されているメイン基板29には、レーダー設置部39との干渉を避けるための矩形状の切り欠き73(図4参照)が設けられている。
【0036】
また、車両用室内照明灯1には、図4で示すように、導光用プリズム55とリフレクタ57と発光用ブリズム59とが設けられている。導光用プリズム55とリフレクタ57と発光用ブリズム59とは、筐体7の内部空間で筐体7に一体的に設置されている。
【0037】
発光体53が発した光(可視光)が導光用プリズム55に入り、導光用プリズム55から出射されるようになっている。導光用プリズム55から出射された光の一部は、直接、発光用ブリズム59に至り、発光用ブリズム59を透過するようになっている。導光用プリズム55から出射された光の残りは、リフレクタ57で反射されて発光用ブリズム59に至り、発光用ブリズム59を透過するようになっている。
【0038】
発光用ブリズム59を透過した光は、筐体7のパネル47のクリア部13を通って筐体7の外に出てくるようになっている。なお、パネル47のクリア部13以外の部位は、可視光を通さないブラック部になっている。
【0039】
導光用プリズム55は細長い棒状に形成されており、前後方向に長くなっている。発光体53は、導光用プリズム55の後端に設置されている。なお、発光体53と導光用プリズム55とリフレクタ57と発光用ブリズム59とは、上下方向では、メイン基板29とパネル47の底板部49との間に位置している。
【0040】
発光体53と導光用プリズム55とリフレクタ57と発光用ブリズム59とクリア部13とは、一対で設けられており、一対の発光体53等のそれぞれは、筐体7の左右端の近くに位置している。
【0041】
車両3の室内5には、図1図2で示すように、人17が座るシート15とバックミラー61とハンドル63とが設けられている。たとえば、車両用室内照明灯1は、室内5の天井23に設置されている。また、車両用室内照明灯1は、バックミラー61の後側であってバックミラー61近傍に設置されている。さらに、車両用室内照明灯1は、左右方向では、車両3の室内5の中央に設置されている。
【0042】
左右方向で見ると、車両用室内照明灯1のレーダー11の探知範囲は、図1図2で示すように、角度θ1で示す範囲になっている。法線ベクトル25は、角度θ1で示す範囲の中央に位置している。すなわち、法線ベクトル25は、角度θ1を2等分するところに位置している。車両用室内照明灯1のレーダー11の探知範囲が角度θ1で示す範囲になっていることで、レーダー11で車両3の室内5のほぼ全体を探知することができるようになっている。また、図示してはいないが、前後方向で見たときのレーダー11の探知範囲も、車両3の室内5のほぼ全体を探知することができる範囲になっている。
【0043】
たとえば、メイン基板29には、メモリとCPUとを備えて構成されている制御部が設けられている。そして、制御部によって、レーダーの反射波を適宜処理することで、人17の皮膚の表面の形態(形状)の変化を探知するようになっている。
【0044】
具体例を掲げて説明すると、人17の胸の皮膚の形状を所定の短い時間間隔で複数回検知し、これらの検知によって、人17の胸の皮膚の形状の変化(心臓の鼓動、呼吸による変化)をもとめる。そして、車両3の室内5での人17の心肺の状態の検知などをおこなうようになっている。また、レーダー11による人17の皮膚の表面の探知結果は、表示装置(図示せず)で表示されるようになっている。
【0045】
車両用室内照明灯1の発光部9は、従来の車両のルームライトと同様に、図示しないスイッチが人17によって操作されたとき、もしくは、車両のドアの開閉によって、点灯しまた消灯する。
【0046】
車両用室内照明灯1のレーダー11は、たとえば、車両の電源がオンされたときから探知を開始する。なお、レーダー11が、車両の電源のオン、オフにかかわらず探知をするようなっていてもよい。もしくは、車両の電源がオンされる前であって車両のドアが開いたときから、レーダー11が、探知を開始するようなっていてもよい。もしくは、車両の電源がオフされている状態で、図示しない加速度センサーによって、車両3に所定の大きさを超える加速度がかかったときに、レーダー11が、探知を開始するようなっていてもよい。
【0047】
車両用室内照明灯1は、発した可視光が筐体7のクリア部13を通って筐体7の外に出ることで車両3の室内5を照明する発光部9を備えている。また、車両用室内照明灯1は、レーダー波が筐体7のレーダー波透過部位を透過することで、車両3の室内5における人の存在を探知するレーダー11を備えている。
【0048】
レーダー11の探知範囲は、赤外線カメラの探知範囲に比べて広くなる。これにより、車両3の室内5において死角となる箇所をほぼ無くして、車両3の室内5の人17等を検知することができる。
【0049】
また、発光部9とレーダー11が、1つの筐体7内に設けられている。これにより、発光部9とレーダー11とへの電力の供給を別個にする必要が無くなり、1つの筐体7内に電力の供給をするだけでよく、車両用室内照明灯1の構成の簡素化と小型化をはかることができる。
【0050】
また、レーダー波として周波数が60GHzである電磁波を使用しているので、車両3の室内5の樹脂等の障害物(シート15、人17の衣服等)を透過して、人17等の検知をすることが可能になる。
【0051】
また、レーダー11が内蔵されている筐体(意匠部品である筐体)7に、センサー検知用の開口(レーダー波が透過する開口)を設ける必要が無いので、車両用室内照明灯1の意匠性の自由度が向上する。
【0052】
さらに、レーダー11を照明灯としての車両用室内照明灯1に搭載することにより、車両3の室内5の様々なセンシングをすることができる。
【0053】
たとえば、車両3の室内5での子供の置き去り検知、車両3の室内5への侵入者の検知、車両3の室内5での人のジェスチャーの検知、車両3の室内5での着座検知、車両3の室内5での人17の心肺検知などを行うことができる。
【0054】
車両用室内照明灯1では、レーダー11が、人17の皮膚の表面の形態(形状)の変化を探知するようになっている。これにより、車両3の室内5にいる人17の露出している部位(顔、頭、手等)だけでなく、人17の皮膚のほぼ全身を検知することができる。そして、車両3の室内5に存在する人の動作、健康状態を正確に検知することができる。
【0055】
また、レーダー11が、人17の肌(皮膚)を探知することで、車両3の室内5における人17の存在を探知する。これにより、車両3の室内5で衣服を着ている人17の胸の皮膚の動きを確実にとらえることができ、人17の心肺が正常であるか否かの検知を的確にすることができる。
【0056】
車両用室内照明灯1が車両3の室内5の前側で車両3の室内5の天井23に設置された状態で、アンテナ19の厚さ方向の一方の平面21の法線ベクトル25が、車両3の室内5の中央を向くようになっている。これにより、無理の無い形態でレーダー11による車両3の室内5全体の探知をすることができる。
【0057】
ところで、図6で示すように、車両用室内照明灯1の筐体7内に、バスバー(金属製のバスバー)27が設けられていてもよい。上述したように、車両用室内照明灯1の筐体7内には、平板状のメイン基板29が設けられている。メイン基板29は、たとえば発光部9の基板になっている。
【0058】
レーダー11は、メイン基板29とは別体になっている平板状のレーダーの基板31を備えて構成されている。レーダーのアンテナ19は、レーダー11の基板31の厚さ方向の一方の面に一体的に設けられている。バスバー27は、メイン基板29とレーダー11の基板29とを連結(接続)している。
【0059】
バスバー27は、メイン基板29からレーダー11(レーダーの基板31)への電力の供給、メイン基板29とレーダー11(レーダーの基板31)との間での信号の授受の少なくともいずれかのために設けられている。
【0060】
さらに、詳しく説明すると、バスバー27は、板状の素材が適宜曲がった状態になっていることで形成されている。バスバー27はメイン基板29に接している基板当接部65とレーダーの基板31に接している基板当接部67とバスバー本体部69とを備えて構成されている。
【0061】
基板当接部65はバスバー本体部69の前端から前側に延出している。基板当接部67はバスバー本体部69の後端から後側に延出している。バスバー本体部69の中央部は、姿勢調整部71になっている。姿勢調整部71が設けられていることで、バスバー本体部69が弾性変形しやすくなっている。
【0062】
バスバー27は、たとえば、筐体7に支持されていることで筐体7と一体化しているが、バスバー27が、メイン基板29、レーダーの基板31に支持されていてもよい。
【0063】
また、バスバー27として、たとえば、上側のバスバー27Aと下側のバスバー27Bとが設けられている。そして、上側のバスバー27Aと下側のバスバー27Bとで、メイン基板29とレーダーの基板31とを挟み込んでいる。
【0064】
仮に、メイン基板29とレーダーの基板31とがたとえば1つの基板になって一体化しており、発光部9とレーダー11のアンテナ19とが上記1つの基板に搭載されているとする。すると、車両用室内照明灯の設置位置、設置角度(設置の姿勢)によってはレーダー11が照射されない場所が発生し、レーダー11の検知精度が落ちてしまう。
【0065】
しかしながら、図6に示す構成では、メイン基板29とレーダーの基板31とが別体になっておりバスバー27で連結されている。これにより、レーダーの基板31に搭載されているレーダー11のアンテナ19の姿勢を調整することができる。また、発光部9の設置姿勢にかかわらず、レーダー11のアンテナ19を検知したい方向に向けることが可能となる。
【0066】
また、メイン基板29とレーダーの基板31とが分離されており、バスバー27で連結されていることで、メイン基板29から発生する熱、レーダーの基板31から発生する熱が、バスバー27等から効率良く放射される。これにより、レーダー11が高温にさらされることがなくなり、レーダー11の検知精度が低下することが防止される。
【0067】
さらに、バスバー27として、上側のバスバー27Aと下側のバスバー27Bとが設けられていることで、メイン基板29から発生する熱、レーダーの基板31から発生する熱が、一層効率良く放射される。
【0068】
図7で示す構成では、レーダー11の探知範囲を狭めて制限するために(絞るために)、バスバー27(下側のバスバー27D)の一部がレーダー11に係合している。すなわち、バスバー27の一部が、レーダー11のアンテナ19の厚さ方向の一方の平面21の一部を覆っている。これにより、レーダー11の探知範囲が、角度θ2で示す範囲に制限される。
【0069】
そして、たとえば、車両3の室内5以外の箇所でのレーダーによる探知がされないようになっている。なお、図7で示す態様において、図6で示すものと同様にして、上側のバスバー27Cが設けられていてもよい。
【0070】
レーダー11の探知範囲を狭める場合について例を掲げてさらに説明する。車両用室内照明灯1を車両3の室内5の天井23に2つ設置する。1つ目の車両用室内照明灯1は、左右方向では中央で前後方向では前側に設置する。2つ目の車両用室内照明灯1は、左右方向では中央で前後方向では後側に設置する。
【0071】
前側の車両用室内照明灯1のレーダー11は、発射したレーダー波が室内5の後側に届かないようになっており、探知範囲が制限されている。後側の車両用室内照明灯1のレーダー11は、発射したレーダー波が室内5の前側に届かないようになっており、探知範囲が制限されている。
【0072】
図7に示す構成では、レーダー11の探知範囲を狭めるために、金属で構成されレーダー波を通さないバスバー27の一部がレーダー11に係合している。これにより、簡素な構成で、レーダー11による探知する必要がない箇所にレーダー波が照射されることが防止される。換言すれば、レーダー11が探知したら困る範囲(たとえば、車両3の室内5の外部)の探知をしないようになっている。
【0073】
また、バスバー27によってレーダー11の探知範囲が狭められているので、複数レーダーを設ける際に相互で電波の干渉が発生してしまうことが防止される。
【0074】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 車両用室内照明灯
3 車両
5 室内
7 筐体
9 発光部
11 レーダー
13 クリア部
17 人
19 アンテナ
21 平面
25 法線ベクトル
27 バスバー
29 メイン基板
31 レーダーの基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7