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特許7568682端子金具、コネクタ、及び、端子金具の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】端子金具、コネクタ、及び、端子金具の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 31/08 20060101AFI20241008BHJP
   H01R 43/16 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01R31/08 P
H01R43/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022129008
(22)【出願日】2022-08-12
(65)【公開番号】P2024025507
(43)【公開日】2024-02-26
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 真輝
(72)【発明者】
【氏名】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0098904(US,A1)
【文献】実開昭48-043989(JP,U)
【文献】特開2018-125155(JP,A)
【文献】特開2013-026155(JP,A)
【文献】特開2010-040263(JP,A)
【文献】特開2014-165048(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113497387(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/64
H01R 31/08
H01R 43/027-43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1タブ部が間隔をあけて並ぶように第1タブ連設部から延出した第1端子部と、複数の第2タブ部が間隔をあけて並ぶように第2タブ連設部から延出した第2端子部と、前記第1端子部と前記第2端子部とを繋ぐ連結部と、外部端子に接続されることになる接点部と、を備え、前記第1端子部、前記第2端子部、前記連結部、及び、前記接点部が一繋がりの導体板から構成される、端子金具であって、
当該端子金具は、
平板状の予備形状を有する当該端子金具が前記連結部にて屈曲された立体形状を有し、
前記立体形状では、
前記複数の前記第1タブ部及び前記複数の前記第2タブ部が所定の配列方向に並び、且つ、前記第1タブ連設部と前記第2タブ連設部とが前記配列方向に交差する交差方向に間隔をあけて並ぶように、前記第1端子部及び前記第2端子部が立体的に配置されて前記連結部で繋がれ、
前記予備形状では、
隣り合う前記第1タブ部の間の隙間に前記第2タブ部が収容され、且つ、隣り合う前記第2タブ部の間の隙間に前記第1タブ部が収容されるように、且つ、隣り合う前記第1タブ部と前記第2タブ部との間に前記配列方向の第1隙間が存在し、前記第1タブ部の延出端と前記第2タブ連設部との間に前記第1隙間より大きい前記第1タブ部の延出方向の第2隙間が存在し、前記第2タブ部の延出端と前記第1タブ連設部との間に前記第1隙間より大きい前記第2タブ部の延出方向の第3隙間が存在するように、前記第1端子部と前記第2端子部とが嵌め合わされて配置され、前記第1タブ連設部と前記第2タブ連設部とが前記連結部で繋がれる、
端子金具。
【請求項2】
請求項1に記載の端子金具において、
前記第1端子部と前記第2端子部とが、複数の前記連結部で繋がれる、
端子金具。
【請求項3】
請求項1に記載の端子金具において、
前記立体形状において、
前記第1端子部及び前記第2端子部の一方が、他方に向けて延びる固定片を有し、
前記第1端子部及び前記第2端子部の他方が、前記固定片に係合する、
端子金具。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の端子金具と、
前記複数の前記第1タブ部及び前記複数の前記第2タブ部を収容する複数の端子収容室を有し、前記端子金具が取り付けられるハウジングと、を備える、
コネクタ。
【請求項5】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の端子金具を製造するための、端子金具の製造方法であって、
平板状の導体板に打ち抜き加工を施すことにより、隣り合う前記第1タブ部の間の隙間に前記第2タブ部が収容され、且つ、隣り合う前記第2タブ部の間の隙間に前記第1タブ部が収容されるように、且つ、隣り合う前記第1タブ部と前記第2タブ部との間に前記配列方向の第1隙間が存在し、前記第1タブ部の延出端と前記第2タブ連設部との間に前記第1隙間より大きい前記第1タブ部の延出方向の第2隙間が存在し、前記第2タブ部の延出端と前記第1タブ連設部との間に前記第1隙間より大きい前記第2タブ部の延出方向の第3隙間が存在するように、前記第1端子部と前記第2端子部とが嵌め合わされて前記連結部で繋がれた、予備成形体を製造する工程と、
前記予備成形体を前記連結部にて屈曲させる加工を施すことにより、前記複数の前記第1タブ部及び前記複数の前記第2タブ部が前記配列方向に並び、且つ、前記第1タブ連設部と前記第2タブ連設部とが前記配列方向に交差する交差方向に間隔をあけて並ぶように、前記第1端子部及び前記第2端子部を立体的に配置する工程と、を備える、
端子金具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のタブ部が立体的に配置された端子金具、その端子金具をハウジングに取り付けたコネクタ、及び、その端子金具の製造方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、平板状の導体板(原板)に打ち抜き加工を施して平板状の予備形状を有する予備成形体を準備し、その予備成形体を屈曲させるように加工して立体的な最終形状を有するように製造される、端子金具が提案されている。このような端子金具は、一繋がりの導体板で構成されることから、例えば、複数の回路を接続するジョイント端子や、複数の回路を接地接続するアース端子として、用いられる。
【0003】
従来のコネクタの一つでは、この種の端子金具がアース端子として用いられる。具体的には、この端子金具は、予備形状では、矩形状の本体部と、本体部の一の縁部から延出する複数の第1タブ部と、本体部の他の縁部から第1タブ部とは逆向きに延出する複数の第2タブ部と、を有し、最終形状では、本体部を屈曲させて第1タブ部及び第2タブ部が同じ向きに延出するようになっている。そして、第1タブ部及び第2タブ部がハウジングの端子収容室に収容されるように、端子金具がハウジングに取り付けられる。端子金具は所定のアースポイント(例えば、自動車の車体フレーム)に電気的に接続され、第1タブ部及び第2タブ部に接続される相手側端子に繋がる複数の回路を、一括して接地接続するようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-065931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のコネクタに用いられる端子金具は、予備形状では、第1タブ部と第2タブ部とが本体部から互いに逆向きに延出している。そのため、実際に平板状の導体板(原板)を打ち抜き加工する際、隣り合う第1タブ部の間や隣り合う第2タブ部の間に位置する導体板(原板)は、通常、捨て部分として廃棄される。このように廃棄される捨て部分の量を出来る限り低減することで、端子金具を製造する際の材料の歩留まりを改善することができる。
【0006】
本発明の目的の一つは、製造時の材料の歩留まりを改善可能な端子金具、その端子金具をハウジングに取り付けたコネクタ、及び、その端子金具の製造方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る端子金具、コネクタ、及び、端子金具の製造方法は、下記を特徴としている。
【0008】
複数の第1タブ部が間隔をあけて並ぶように第1タブ連設部から延出した第1端子部と、複数の第2タブ部が間隔をあけて並ぶように第2タブ連設部から延出した第2端子部と、前記第1端子部と前記第2端子部とを繋ぐ連結部と、外部端子に接続されることになる接点部と、を備え、前記第1端子部、前記第2端子部、前記連結部、及び、前記接点部が一繋がりの導体板から構成される、端子金具であって、
当該端子金具は、
平板状の予備形状を有する当該端子金具が前記連結部にて屈曲された立体形状を有し、
前記立体形状では、
前記複数の前記第1タブ部及び前記複数の前記第2タブ部が所定の配列方向に並び、且つ、前記第1タブ連設部と前記第2タブ連設部とが前記配列方向に交差する交差方向に間隔をあけて並ぶように、前記第1端子部及び前記第2端子部が立体的に配置されて前記連結部で繋がれ、
前記予備形状では、
隣り合う前記第1タブ部の間の隙間に前記第2タブ部が収容され、且つ、隣り合う前記第2タブ部の間の隙間に前記第1タブ部が収容されるように、且つ、隣り合う前記第1タブ部と前記第2タブ部との間に前記配列方向の第1隙間が存在し、前記第1タブ部の延出端と前記第2タブ連設部との間に前記第1隙間より大きい前記第1タブ部の延出方向の第2隙間が存在し、前記第2タブ部の延出端と前記第1タブ連設部との間に前記第1隙間より大きい前記第2タブ部の延出方向の第3隙間が存在するように、前記第1端子部と前記第2端子部とが嵌め合わされて配置され、前記第1タブ連設部と前記第2タブ連設部とが前記連結部で繋がれる、
端子金具であること。
【0009】
上述した端子金具と、
前記複数の前記第1タブ部及び前記複数の前記第2タブ部を収容する複数の端子収容室を有し、前記端子金具が取り付けられるハウジングと、を備える、
コネクタであること。
【0010】
上述した端子金具を製造するための、端子金具の製造方法であって、
平板状の導体板に打ち抜き加工を施すことにより、隣り合う前記第1タブ部の間の隙間に前記第2タブ部が収容され、且つ、隣り合う前記第2タブ部の間の隙間に前記第1タブ部が収容されるように、且つ、隣り合う前記第1タブ部と前記第2タブ部との間に前記配列方向の第1隙間が存在し、前記第1タブ部の延出端と前記第2タブ連設部との間に前記第1隙間より大きい前記第1タブ部の延出方向の第2隙間が存在し、前記第2タブ部の延出端と前記第1タブ連設部との間に前記第1隙間より大きい前記第2タブ部の延出方向の第3隙間が存在するように、前記第1端子部と前記第2端子部とが嵌め合わされて前記連結部で繋がれた、予備成形体を製造する工程と、
前記予備成形体を前記連結部にて屈曲させる加工を施すことにより、前記複数の前記第1タブ部及び前記複数の前記第2タブ部が前記配列方向に並び、且つ、前記第1タブ連設部と前記第2タブ連設部とが前記配列方向に交差する交差方向に間隔をあけて並ぶように、前記第1端子部及び前記第2端子部を立体的に配置する工程と、を備える、
端子金具の製造方法であること。
【発明の効果】
【0011】
本発明の端子金具、コネクタ、及び、端子金具の製造方法によれば、端子金具は、その予備形状において、隣り合う第1タブ部の間の隙間に第2タブ部が収容され、且つ、隣り合う第2タブ部の間の隙間に第1タブ部が収容されるように、第1端子部と第2端子部とが嵌め合わされて配置される。そして、端子金具は、最終的な立体形状では、予備形状を有する予備成形体を連結部で屈曲することで、第1タブ部及び第2タブ部が所定の配列方向に並び、且つ、第1タブ連設部と第2タブ連設部とが配列方向に交差する交差方向に間隔をあけて並ぶように、第1端子部及び第2端子部が立体的に配置される。これにより、上述した従来のコネクタの端子金具に比べ、第1タブ部同士の間や第2タブ部同士の間にある導体板(原板)をそのまま捨て部分としない分、製造時の導体板(原板)の廃棄量が少なくなる。したがって、本構成の端子金具、コネクタ、及び、端子金具の製造方法は、端子金具の製造時の材料の歩留まりを改善することができる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る端子金具を有するコネクタを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すコネクタを構成する端子金具及びハウジングと、電線に接続された相手側端子と、を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示す端子金具を前方からみた斜視図である。
図4図4は、図2に示す端子金具の製造に使用される予備成形体を示す平面図である。
図5図5は、第2実施形態に係る図4に対応する図である。
図6図6は、第2実施形態に係る図3に対応する図である。
図7図7は、第2実施形態に係る図4に対応する図である。
図8図8は、第2実施形態に係る図3に対応する図である。
図9図9は、図8のA部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る端子金具2をハウジング3に取り付けたコネクタ1について説明する。以下、説明の便宜上、図1図9に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、端子金具2のハウジング3への取付方向、及び、電線5の端末に接続された相手側端子4(図2参照)のハウジング3への挿入方向と、一致している。左右方向及び上下方向はそれぞれ、本発明の「配列方向」及び「交差方向」に対応している。
【0015】
コネクタ1は、図1及び図2に示すように、端子金具2と、端子金具2が後側から取り付けられるハウジング3と、を備える。端子金具2が所定のアースポイント6(図1参照。例えば、自動車の車体フレーム)に電気的に接続され、且つ、複数の電線5の端末に接続された複数の相手側端子4が前側からハウジング3に挿入されることで、コネクタ1は、端子金具2に導通接続される複数の相手側端子4に繋がる複数の電線5(即ち、複数の回路)を、一括して接地接続(アース)する機能を果たす。以下、コネクタ1を構成する各部材について説明する。
【0016】
まず、端子金具2について説明する。端子金具2は、平板状の導体板に打ち抜き加工を施して得られる後述する予備成形体2A(図4参照)に対して、所定の曲げ加工を施すことで、形成される。端子金具2は、図2及び図3に示すように、左右方向に長い略矩形平板状の本体部11と、本体部11の前側に位置して左右方向に延びる第1端子部12と、第1端子部12の左端部から上向きに延びる連結部13と、連結部13の上端部から右向きに延びる第2端子部14と、本体部11の後端縁から下向きに延び且つ左右方向に長い略矩形平板状の段差部15と、段差部15の下端縁から後向きに延びる平板状の固定部16と、を一体に備えた、立体形状を有している。固定部16には、板厚方向(上下方向)に貫通する貫通孔22が形成されている。
【0017】
第1端子部12及び第2端子部14は、両者の左端部同士が連結部13により連結されることで、上下方向に間隔T(図3参照)を空けて互いに対向し且つ左右方向に互いに平行に延びるように、立体的に配置されている。第1端子部12及び第2端子部14の右端同士は互いに連結されておらず、各々が自由端となっている。
【0018】
第1端子部12は、図2及び図3に示すように、本体部11の前側に位置して左右方向に長い略矩形平板状の第1タブ連設部17と、第1タブ連設部17の左右方向に延びる前端縁から左右方向に一定の間隔を空けて前方に延出する複数の第1タブ部(オス端子部)18と、で構成されている。同様に、第2端子部14は、第1タブ連設部17の上側に位置して左右方向に長い略矩形平板状の第2タブ連設部19と、第2タブ連設部19の左右方向に延びる前端縁から左右方向に一定の間隔を空けて前方に延出する複数の第2タブ部(オス端子部)21と、で構成されている。複数の第1タブ部18と複数の第2タブ部21とは、上下方向において間隔T(図3参照)を空けて左右方向に互いに平行に並ぶように配置され、複数の第1タブ部18の先端と複数の第2タブ部21の先端とは、前後方向において同じ位置に配置されている。左右方向において、第1タブ部18は左右方向に隣り合う第2タブ部21の間に位置し、第2タブ部21は左右方向に隣り合う第1タブ部18の間に位置している。
【0019】
以上説明した立体形状を有する端子金具2は、以下の手順により製造される。まず、平板状の導体板(原板)に打ち抜き加工を施して、図4に示す略平板状の予備成形体2Aが準備される。次いで、予備成形体2Aに対して、固定部16及び段差部15の境界線L1に沿う谷折り(但し、図4における上方(紙面手前側)から見たときの谷折り。以下同様。)、段差部15及び本体部11の境界線L2に沿う山折り、第1タブ連設部17及び連結部13の境界線L3に沿う谷折り、連結部13及び第2タブ連設部19の境界線L4に沿う谷折り、を含む90度の曲げ加工が施される。これにより、図2及び図3に示す立体形状を有する端子金具2が得られる。
【0020】
ここで、予備成形体2Aでは、図4に示すように、左右方向に隣り合う第1タブ部18の間の隙間S1に第2タブ部21が収容され、且つ、左右方向に隣り合う第2タブ部21の間の隙間S2に第1タブ部18が収容されるように、第1端子部12と第2端子部14とが嵌め合わされて配置されている。これにより、上述した従来のコネクタの端子金具に比べ、第1タブ部18同士の間や第2タブ部21同士の間にある導体板(原板)をそのまま捨て部分としない分、製造時の導体板(原板)の廃棄量が少なくなる。
【0021】
次いで、ハウジング3について説明する。ハウジング3は、樹脂成形体であり、図2に示すように、上下方向に偏平な前後方向に延びる略矩形筒状の形状を有している。ハウジング3の中空部には、端子金具2の第1端子部12(複数の第1タブ部18)を収容するための第1端子収容室31、端子金具2の第2端子部14(複数の第2タブ部21)を収容するための第2端子収容室32、及び、端子金具2の連結部13を収容するための連結部収容室33が画成されている。以上、コネクタ1を構成する各部材について説明した。
【0022】
図1に示すコネクタ1は、ハウジング3に、後側から端子金具2が挿入されることで得られる。ハウジング3への端子金具2の挿入完了状態(コネクタ1の組付完了状態)では、端子金具2の第1端子部12(複数の第1タブ部18)がハウジング3の第1端子収容室31に収容され、端子金具2の第2端子部14(複数の第2タブ部21)がハウジング3の第2端子収容室32に収容され、端子金具2の連結部13がハウジング3の連結部収容室33に収容されている。
【0023】
コネクタ1には、図1及び図2に示すように、複数の電線5の端末に接続された上下2段で左右方向に並ぶ複数の相手側端子(メス端子)4が、前側からハウジング3に挿入されて収容される。相手側端子4は、図2に示すように、端子金具2の第1タブ部18又は第2タブ部21が挿入されることになる箱状のメス端子部41と、電線5の端末に接続された電線接続部42と、を一体に有する。下段に並ぶ複数の相手側端子4は、第1端子収容室31に収容されて複数の第1タブ部18とそれぞれ電気的に接続され、上段に並ぶ複数の相手側端子4は、第2端子収容室32に収容されて複数の第2タブ部21とそれぞれ電気的に接続される。
【0024】
このように複数の電線5が接続されたコネクタ1は、図1に示すように、端子金具2の固定部16が所定のアースポイント6(自動車の車体フレーム等)に締結されることで、アースポイント6に固定される。固定部16のアースポイント6への締結は、例えば、図1に示すように、アースポイント6に設けられたスタッドボルト7を固定部16の貫通孔22に挿通してスタッドボルト7にナット8を締め付けることで、なされる。これにより、端子金具2に導通接続される複数の相手側端子4に繋がる複数の電線5(即ち、複数の回路)が、一括して接地接続(アース)される。
【0025】
以上、第1実施形態に係る端子金具2によれば、端子金具2は、その予備形状において、隣り合う第1タブ部18の間の隙間S1に第2タブ部21が収容され、且つ、隣り合う第2タブ部21の間の隙間S2に第1タブ部18が収容されるように、第1端子部12と第2端子部14とが嵌め合わされて配置される。そして、端子金具2は、最終的な立体形状では、予備形状を有する予備成形体2Aを連結部13で屈曲することで、第1タブ部18及び第2タブ部21が所定の配列方向(左右方向)に並び、且つ、第1タブ連設部17と第2タブ連設部19とが配列方向に交差する交差方向(上下方向)に間隔Tをあけて並ぶように、第1端子部12及び第2端子部14が立体的に配置される。これにより、上述した従来のコネクタの端子金具に比べ、第1タブ部18同士の間や第2タブ部21同士の間にある導体板(原板)をそのまま捨て部分としない分、製造時の導体板(原板)の廃棄量が少なくなる。したがって、第1実施形態に係る端子金具2は、端子金具2の製造時の材料の歩留まりを改善することができる。
【0026】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、第1端子部12及び第2端子部14は、両者の左端部同士が連結部13により連結される一方で、第1端子部12及び第2端子部14の右端同士は互いに連結されておらず、各々が自由端となっている。これに対し、第2実施形態に係る端子金具2では、図6に示すように、第1端子部12及び第2端子部14は、両者の左端部同士が連結部13により連結され、且つ、両者の右端部同士が連結部23により連結されている。
【0027】
図6に示す端子金具2は、図5に示す略平板状の予備成形体2Aに対して、上述した境界線L1~L4に沿う山折り又は谷折り(但し、図5における上方(紙面手前側)から見たときの谷折り。以下同様。)に加えて、第1タブ連設部17及び連結部23の境界線L5に沿う谷折り、連結部23及び第2タブ連設部19の境界線L6に沿う谷折り、を含む90度の曲げ加工が施されることで、得られる。
【0028】
図6に示す端子金具2によれば、第1端子部12及び第2端子部14の左端部同士が連結部13により連結され、第1端子部12及び第2端子部14の右端部同士が連結部23により連結されている。これにより、第1端子部12及び第2端子部14、並びに、連結部13及び連結部23が、前後方向からみて矩形状に閉じた枠体を構成している。このため、第1実施形態のように単一の連結部13のみで第1端子部12と第2端子部14を繋ぐ場合に比べ、端子金具2の立体形状において、上下方向における第1端子部12及び第2端子部14との間の間隔Tが、より強固に保たれる。よって、例えば、端子金具2をハウジング3に取り付ける作業を行う際の作業性を向上させることができる。
【0029】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る端子金具2では、図8に示すように、第1端子部12及び第2端子部14は、両者の左端部同士が連結部13により連結され、且つ、両者の右端部同士が「連結構造」により連結されている。
【0030】
上記「連結構造」は、図8及び図9に示すように、第1端子部12の右端部から上向きに延びる連結片24と、連結片24の上端の左側領域から前向きに延びる固定片25と、第2端子部14(第2タブ連設部19)の右端部にて後向きに突出する凸片26と、を有している。「連結構造」は、連結片24の上端の右側領域が凸片26の下面に重ねられ、且つ、固定片25が凸片26の左側に隣接する第2端子部14(第2タブ連設部19)の後端縁の上面に係止されることで、第1端子部12及び第2端子部14の右端部同士を連結している。
【0031】
図8に示す端子金具2は、図7に示す略平板状の予備成形体2Aに対して、上述した境界線L1~L4に沿う山折り又は谷折り(但し、図7における上方(紙面手前側)から見たときの谷折り。以下同様。)に加えて、第1タブ連設部17及び連結片24の境界線L7に沿う谷折り、連結片24及び固定片25の境界線L8に沿う谷折り、を含む90度の曲げ加工が施され、次いで、連結片24の上端の右側領域を凸片26の下面に重ね、且つ、固定片25を凸片26の左側に隣接する第2端子部14の後端縁の上面に係止することで、得られる。
【0032】
図8に示す端子金具2によれば、図6に示す第2実施形態に係る端子金具2と同様、第1端子部12及び第2端子部14、並びに、連結部13及び「連結構造」が、前後方向からみて矩形状に閉じた枠体を構成している。このため、第1実施形態のように単一の連結部13のみで第1端子部12と第2端子部14を繋ぐ場合に比べ、端子金具2の立体形状において、上下方向における第1端子部12及び第2端子部14との間の間隔Tが、より強固に保たれる。よって、例えば、端子金具2をハウジング3に取り付ける作業を行う際の作業性を向上させることができる。
【0033】
<他の態様>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0034】
ここで、上述した本発明に係る端子金具、コネクタ、及び、端子金具の製造方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
【0035】
[1]
複数の第1タブ部(18)が間隔をあけて並ぶように第1タブ連設部(17)から延出した第1端子部(12)と、複数の第2タブ部(21)が間隔をあけて並ぶように第2タブ連設部(19)から延出した第2端子部(14)と、前記第1端子部(12)と前記第2端子部(14)とを繋ぐ連結部(13)と、外部端子(6)に接続されることになる接点部(16)と、を備え、前記第1端子部(12)、前記第2端子部(14)、前記連結部(13)、及び、前記接点部(16)が一繋がりの導体板から構成される、端子金具(2)であって、
当該端子金具(2)は、
平板状の予備形状を有する当該端子金具(2)が前記連結部(13)にて屈曲された立体形状を有し、
前記立体形状では、
前記複数の前記第1タブ部(18)及び前記複数の前記第2タブ部(21)が所定の配列方向に並び、且つ、前記第1タブ連設部(17)と前記第2タブ連設部(19)とが前記配列方向に交差する交差方向に間隔をあけて並ぶように、前記第1端子部(12)及び前記第2端子部(14)が立体的に配置されて前記連結部(13)で繋がれ、
前記予備形状では、
隣り合う前記第1タブ部(18)の間の隙間(S1)に前記第2タブ部(21)が収容され、且つ、隣り合う前記第2タブ部(21)の間の隙間(S2)に前記第1タブ部(18)が収容されるように、前記第1端子部(12)と前記第2端子部(14)とが嵌め合わされて配置され、前記第1タブ連設部(17)と前記第2タブ連設部(19)とが前記連結部(13)で繋がれる、
端子金具(2)。
【0036】
上記[1]の構成の端子金具によれば、端子金具は、その予備形状において、隣り合う第1タブ部の間の隙間に第2タブ部が収容され、且つ、隣り合う第2タブ部の間の隙間に第1タブ部が収容されるように、第1端子部と第2端子部とが嵌め合わされて配置される。そして、端子金具は、最終的な立体形状では、予備形状を有する予備成形体を連結部で屈曲することで、第1タブ部及び第2タブ部が所定の配列方向に並び、且つ、第1タブ連設部と第2タブ連設部とが配列方向に交差する交差方向に間隔をあけて並ぶように、第1端子部及び第2端子部が立体的に配置される。これにより、上述した従来のコネクタの端子金具に比べ、第1タブ部同士の間や第2タブ部同士の間にある導体板(原板)をそのまま捨て部分としない分、製造時の導体板(原板)の廃棄量が少なくなる。したがって、本構成の端子金具は、端子金具の製造時の材料の歩留まりを改善することができる。
【0037】
[2]
上記[1]に記載の端子金具(2)において、
前記第1端子部(12)と前記第2端子部(14)とが、複数の前記連結部(13,23)で繋がれる、
端子金具(2)。
【0038】
上記[2]の構成の端子金具によれば、第1端子部と第2端子部とが、複数の連結部で繋がれる。これにより、単一の連結部で第1端子部と第2端子部を繋ぐ場合に比べ、端子金具の立体形状において、交差方向における第1端子部及び第2端子部との間の間隔が、より強固に保たれる。よって、例えば、端子金具をハウジングに取り付ける作業を行う際の作業性を向上させることができる。
【0039】
[3]
上記[1]に記載の端子金具(2)において、
前記立体形状において、
前記第1端子部(12)及び前記第2端子部(14)の一方が、他方に向けて延びる固定片(24,25)を有し、
前記第1端子部(12)及び前記第2端子部(14)の他方が、前記固定片(24,25)に係合する、
端子金具(2)。
【0040】
上記[3]の構成の端子金具によれば、端子金具は、立体形状において、第1端子部及び第2端子部の一方が他方に向けて延びる固定片を有し、第1端子部及び第2端子部の他方が固定片に係合する。これにより、単一の連結部のみで第1端子部と第2端子部を繋ぐ場合に比べ、端子金具の立体形状において、交差方向における第1端子部及び第2端子部との間の間隔が、より強固に保たれる。よって、例えば、端子金具をハウジングに取り付ける作業を行う際の作業性を向上させることができる。
【0041】
[4]
上記[1]~[3]の何れか一つに記載の端子金具(2)と、
前記複数の前記第1タブ部(18)及び前記複数の前記第2タブ部(21)を収容する複数の端子収容室(31,32)を有し、前記端子金具(2)が取り付けられるハウジング(3)と、を備える、
コネクタ(1)。
【0042】
上記[4]の構成のコネクタによれば、端子金具は、その予備形状において、隣り合う第1タブ部の間の隙間に第2タブ部が収容され、且つ、隣り合う第2タブ部の間の隙間に第1タブ部が収容されるように、第1端子部と第2端子部とが嵌め合わされて配置される。そして、端子金具は、最終的な立体形状では、予備形状を有する予備成形体を連結部で屈曲することで、第1タブ部及び第2タブ部が所定の配列方向に並び、且つ、第1タブ連設部と第2タブ連設部とが配列方向に交差する交差方向に間隔をあけて並ぶように、第1端子部及び第2端子部が立体的に配置される。これにより、上述した従来のコネクタの端子金具に比べ、第1タブ部同士の間や第2タブ部同士の間にある導体板(原板)をそのまま捨て部分としない分、製造時の導体板(原板)の廃棄量が少なくなる。その結果、端子金具の製造時の材料の歩留まりを改善することができる。したがって、本構成のコネクタは、端子金具の製造時の材料の歩留まりを改善可能である。
【0043】
[5]
上記[1]~[3]の何れか一つに記載の端子金具(2)を製造するための、端子金具の製造方法であって、
平板状の導体板に打ち抜き加工を施すことにより、隣り合う前記第1タブ部(18)の間の隙間(S1)に前記第2タブ部(21)が収容され、且つ、隣り合う前記第2タブ部(21)の間の隙間(S2)に前記第1タブ部(18)が収容されるように、前記第1端子部(12)と前記第2端子部(14)とが嵌め合わされて前記連結部(13)で繋がれた、予備成形体(2A)を製造する工程と、
前記予備成形体(2A)を前記連結部(13)にて屈曲させる加工を施すことにより、前記複数の前記第1タブ部(18)及び前記複数の前記第2タブ部(21)が前記配列方向に並び、且つ、前記第1タブ連設部(17)と前記第2タブ連設部(19)とが前記配列方向に交差する交差方向に間隔をあけて並ぶように、前記第1端子部(12)及び前記第2端子部(14)を立体的に配置する工程と、を備える、
端子金具の製造方法。
【0044】
上記[5]の構成の端子金具の製造方法によれば、端子金具は、その予備形状において、隣り合う第1タブ部の間の隙間に第2タブ部が収容され、且つ、隣り合う第2タブ部の間の隙間に第1タブ部が収容されるように、第1端子部と第2端子部とが嵌め合わされて配置される。そして、端子金具は、最終的な立体形状では、予備形状を有する予備成形体を連結部で屈曲することで、第1タブ部及び第2タブ部が所定の配列方向に並び、且つ、第1タブ連設部と第2タブ連設部とが配列方向に交差する交差方向に間隔をあけて並ぶように、第1端子部及び第2端子部が立体的に配置される。これにより、上述した従来のコネクタの端子金具に比べ、第1タブ部同士の間や第2タブ部同士の間にある導体板(原板)をそのまま捨て部分としない分、製造時の導体板(原板)の廃棄量が少なくなる。その結果、端子金具の製造時の材料の歩留まりを改善することができる。したがって、本構成の製造方法は、端子金具の製造時の材料の歩留まりを改善可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 コネクタ
2 端子金具
2A 予備成形体
3 ハウジング
6 アースポイント(外部端子)
12 第1端子部
13 連結部
14 第2端子部
16 固定部(接点部)
17 第1タブ連設部
18 第1タブ部
19 第2タブ連設部
21 第2タブ部
23 連結部
24 連結片(固定片)
25 固定片
31 第1端子収容室(端子収容室)
32 第2端子収容室(端子収容室)
S1 隙間
S2 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9