(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】通信ノード、通信システム、及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
H04B 7/022 20170101AFI20241008BHJP
H04W 92/12 20090101ALI20241008BHJP
H04W 56/00 20090101ALI20241008BHJP
H04W 74/08 20240101ALI20241008BHJP
【FI】
H04B7/022
H04W92/12
H04W56/00 110
H04W74/08
(21)【出願番号】P 2022528552
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 KR2020016476
(87)【国際公開番号】W WO2021107513
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】10-2019-0152580
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0156047
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517223668
【氏名又は名称】ソリッド インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】522191299
【氏名又は名称】インダストリー-ユニヴァーシティ コオペレーション ファウンデーション コリア エアロスペース ユニヴァーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョンチェ
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ウシク
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ナックウォン
(72)【発明者】
【氏名】チェー,ジフン
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0289497(US,A1)
【文献】特表2013-535126(JP,A)
【文献】特開2013-198114(JP,A)
【文献】特開2010-62856(JP,A)
【文献】特開2007-318462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/022
H04W 92/12
H04W 56/00
H04W 74/08
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1-4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理階層分割を使う通信システムの動作方法において、
前記通信システムの第1通信ノードの第1物理階層で、上向きリンク信号から初期ランダムアクセス信号を抽出するステップと、
前記第1物理階層で、抽出された前記初期ランダムアクセス信号のデータ量を低減させるステップと、
前記通信システムの第2通信ノードの第2物理階層で、前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を用いて時間同期誤差を計算するステップと、を含む、通信システムの動作方法。
【請求項2】
前記第1物理階層は、前記物理階層分割による下位物理階層であり、
前記第2物理階層は、前記物理階層分割による上位物理階層である、請求項1に記載の通信システムの動作方法。
【請求項3】
前記初期ランダムアクセス信号は、
PRACH(Physical Random Access Channel)信号である、請求項1に記載の通信システムの動作方法。
【請求項4】
前記第1通信ノードは、リモートユニットであり、
前記第2通信ノードは、分散ユニットである、請求項1に記載の通信システムの動作方法。
【請求項5】
前記上向きリンク信号から初期ランダムアクセス信号を抽出するステップは、
前記上向きリンク信号の周波数帯域を基底帯域にシフトするステップと、
周波数帯域がシフトされた前記上向きリンク信号を低域通過フィルタリングして、前記初期ランダムアクセス信号を抽出するステップと、を含む、請求項1に記載の通信システムの動作方法。
【請求項6】
前記抽出された前記初期ランダムアクセス信号のデータ量を低減させるステップは、
前記抽出された前記初期ランダムアクセス信号をダウンサンプリングして前記初期ランダムアクセス信号のデータ量を低減させる、請求項1に記載の通信システムの動作方法。
【請求項7】
前記通信システムの動作方法は、
前記第1通信ノードで前記第1物理階層のデータチャンネル処理を経った前記上向きリンク信号と、前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号とを結合して生成された結合信号を、前記第2通信ノードに伝送するステップをさらに含み、
前記時間同期誤差を計算するステップは、
前記結合信号から前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を分離するステップと、
分離された前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を用いて時間同期誤差を計算するステップと、を含む、請求項1に記載の通信システムの動作方法。
【請求項8】
前記時間同期誤差を計算するステップは、
前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を用いて第1時間オフセットを計算するステップと、
前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を用いて元のデータ量の初期ランダムアクセス信号を復元するステップと、
前記第1時間オフセット及び前記復元された初期ランダムアクセス信号を用いて第2時間オフセットを計算するステップと、を含む、請求項1に記載の通信システムの動作方法。
【請求項9】
前記第1時間オフセットを計算するステップは、
前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号と複数のランダムアクセスシーケンスとの相関値を計算するステップと、
前記複数のランダムアクセスシーケンスのうち最大相関値を持つランダムアクセスシーケンスを検索するステップと、
検索された前記最大相関値を持つランダムアクセスシーケンスを用いて前記第1時間オフセットを計算するステップと、を含む、請求項8に記載の通信システムの動作方法。
【請求項10】
前記元の初期ランダムアクセス信号を復元するステップは、
前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号をアップサンプリングするステップと、
アップサンプリングされた前記初期ランダムアクセス信号を補間するステップと、を含む、請求項9に記載の通信システムの動作方法。
【請求項11】
前記アップサンプリングされた前記初期ランダムアクセス信号を補間するステップは、
アップサンプリングされた前記初期ランダムアクセス信号を低域通過フィルタリングするステップを含む、請求項10に記載の通信システムの動作方法。
【請求項12】
前記第1時間オフセット及び前記復元された初期ランダムアクセス信号を用いて第2時間オフセットを計算するステップは、
前記第1時間オフセット、前記復元された初期ランダムアクセス信号、及び前記最大相関値を持つランダムアクセスシーケンスを用いて前記第2時間オフセットを計算する、請求項9に記載の通信システムの動作方法。
【請求項13】
前記第1時間オフセット、前記復元された初期ランダムアクセス信号、及び前記最大相関値を持つランダムアクセスシーケンスを用いて前記第2時間オフセットを計算するステップは、
前記第1時間オフセットから基準範囲内で、復元された前記初期ランダムアクセス信号と前記最大相関値を持つランダムアクセスシーケンスとの相関値が最大になる地点に基づいて、前記第2時間オフセットを計算する、請求項12に記載の通信システムの動作方法。
【請求項14】
メモリ及びプロセッサを備える通信ノードにおいて、
前記通信ノードは、
他の通信ノードの第1物理階層で上向きリンク信号から抽出されて、データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を、前記他の通信ノードから受信し、
前記通信ノードの第2物理階層で、前記データ量の減少した前記初期ランダムアクセス信号を用いて時間同期誤差を計算する、通信ノード。
【請求項15】
物理階層分割を使う通信システムにおいて、
第1物理階層で、上向きリンク信号から初期ランダムアクセス信号を抽出し、抽出された前記初期ランダムアクセス信号のデータ量を低減させる第1通信ノードと、
第2物理階層で、データ量の減少した前記初期ランダムアクセス信号を用いて時間同期誤差を計算する第2通信ノードと、を備える、通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ノード、通信システム、及びその動作方法に係り、さらに詳細には、第1物理階層で上向きリンク信号から抽出されてデータ量の減少した初期ランダムアクセス信号を他の通信ノードから受信し、第2物理階層でデータ量の減少した初期ランダムアクセス信号を用いて時間同期誤差を計算することができる通信ノード、通信システム、及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の移動通信システムでは、ビルや地下鉄などの基地局陰影地域に通信サービスを提供するために、遠隔無線装備を備えて分散アンテナ構造を構築し、遠隔無線装備と基地局のデジタル装備とを整合器を用いて連結する。
【0003】
特に、5G移動通信システムで分散アンテナシステムを具現する場合、5G通信のための専用ケーブルをさらに設けるには限界があるため、既存に3G/4G通信のために設けられたケーブルを共有する場合が多い。しかし、既存に3G/4G通信のために設けられたケーブルは、5G標準規格で定義した最大の伝送速度を支援するには容量が足りないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、第1物理階層で上向きリンク信号から抽出されてデータ量の減少した初期ランダムアクセス信号を他の通信ノードから受信し、第2物理階層でデータ量の減少した初期ランダムアクセス信号を用いて時間同期誤差を計算することができる通信ノード、通信システム、及びその動作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態による物理階層分割を使う通信システムの動作方法は、前記通信システムの第1通信ノードの第1物理階層で、上向きリンク信号から初期ランダムアクセス信号を抽出するステップと、前記第1物理階層で、抽出された前記初期ランダムアクセス信号のデータ量を低減させるステップと、前記通信システムの第2通信ノードの第2物理階層で、前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を用いて時間同期誤差を計算するステップと、を含む。
【0006】
実施形態によって、前記第1物理階層は、前記物理階層分割による下位物理階層であり、前記第2物理階層は、前記物理階層分割による上位物理階層である。
【0007】
実施形態によって、前記初期ランダムアクセス信号は、PRACH(Physical Random Access
Channel)信号である。
【0008】
実施形態によって、前記第1通信ノードは、リモートユニットであり、前記第2通信ノードは、分散ユニットである。
【0009】
実施形態によって、前記上向きリンク信号から初期ランダムアクセス信号を抽出するステップは、前記上向きリンク信号の周波数帯域を基底帯域にシフトするステップと、周波数帯域のシフトされた前記上向きリンク信号を低域通過フィルタリングして、前記初期ランダムアクセス信号を抽出するステップと、を含む。
【0010】
実施形態によって、前記抽出された前記初期ランダムアクセス信号のデータ量を低減させるステップは、前記抽出された前記初期ランダムアクセス信号をダウンサンプリングして、前記初期ランダムアクセス信号のデータ量を低減させる。
【0011】
実施形態によって、前記通信システムの動作方法は、前記第1通信ノードで前記第1物理階層のデータチャンネル処理を経った前記上向きリンク信号と、前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号とを結合して生成された結合信号を、前記第2通信ノードに伝送するステップをさらに含み、前記時間同期誤差を計算するステップは、前記結合信号から前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を分離するステップと、分離された前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を用いて時間同期誤差を計算するステップと、を含む。
【0012】
実施形態によって、前記時間同期誤差を計算するステップは、前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を用いて第1時間オフセットを計算するステップと、前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を用いて元のデータ量の初期ランダムアクセ7ス信号を復元するステップと、前記第1時間オフセット及び前記復元された初期ランダムアクセス信号を用いて第2時間オフセットを計算するステップと、を含む。
【0013】
実施形態によって、前記第1時間オフセットを計算するステップは、前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号と複数のランダムアクセスシーケンスとの相関値を計算するステップと、前記複数のランダムアクセスシーケンスのうち最大の相関値を持つランダムアクセスシーケンスを検索するステップと、検索された前記最大の相関値を持つランダムアクセスシーケンスを用いて前記第1時間オフセットを計算するステップと、を含む。
【0014】
実施形態によって、前記元の初期ランダムアクセス信号を復元するステップは、前記データ量の減少した初期ランダムアクセス信号をアップサンプリングするステップと、アップサンプリングされた前記初期ランダムアクセス信号を補間するステップと、を含む。
【0015】
実施形態によって、前記アップサンプリングされた前記初期ランダムアクセス信号を補間するステップは、アップサンプリングされた前記初期ランダムアクセス信号を低域通過フィルタリングするステップを含む。
【0016】
実施形態によって、前記第1時間オフセット及び前記復元された初期ランダムアクセス信号を用いて第2時間オフセットを計算するステップは、前記第1時間オフセット、前記復元された初期ランダムアクセス信号、及び前記最大の相関値を持つランダムアクセスシーケンスを用いて前記第2時間オフセットを計算する。
【0017】
実施形態によって、前記第1時間オフセット、前記復元された初期ランダムアクセス信号、及び前記最大の相関値を持つランダムアクセスシーケンスを用いて前記第2時間オフセットを計算するステップは、前記第1時間オフセットから基準範囲内で、復元された前記初期ランダムアクセス信号と前記最大の相関値を持つランダムアクセスシーケンスとの相関値が最大になる地点に基づいて、前記第2時間オフセットを計算する。
【0018】
本発明の実施形態によるメモリ及びプロセッサを備える通信ノードは、他の通信ノードの第1物理階層で、上向きリンク信号から抽出されてデータ量の減少した初期ランダムアクセス信号を、前記他の通信ノードから受信し、前記通信ノードの第2物理階層で、前記データ量の減少した前記初期ランダムアクセス信号を用いて時間同期誤差を計算する。
【0019】
本発明の実施形態による物理階層分割を使う通信システムは、第1物理階層で、上向きリンク信号から初期ランダムアクセス信号を抽出し、抽出された前記初期ランダムアクセス信号のデータ量を低減させる第1通信ノードと、第2物理階層で、データ量の減少した前記初期ランダムアクセス信号を用いて時間同期誤差を計算する第2通信ノードと、を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態による方法及び装置は、時間同期誤差を計算する過程で、通信ノードの間に伝送の必要なデータ(例えば、PRACH(Physical
Random Access Channel)信号)の容量を低減させると同時に、時間同期誤差を上位物理階層で推正するため、下位物理階層には時間同期誤差を計算するための情報(例えば、ランダムアクセスシーケンスに関する情報など)を共有しなくてもよいという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の詳細な説明で引用される図面をさらに十分に理解するために各図面の簡単な説明が提供される。
【
図1】本発明の一実施形態による通信システムの概念図である。
【
図2】
図1に示されている分散ユニットのブロック図である。
【
図3】
図1に示されている分散ユニットの第1物理階層処理部及びリモートユニットのブロック図である。
【
図4】
図3に示されている第2物理階層処理部に含まれている初期ランダムアクセス信号処理部の一実施形態である。
【
図5】上向きリンク信号に含まれている初期ランダムアクセス信号の一実施形態である。
【
図6】
図3に示されている第1物理階層処理部に含まれている時間同期誤差検出器の一実施形態である。
【
図7】本発明の一実施形態による通信システムの動作方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の技術的思想は、多様な変更を加えられ、かつ多様な実施形態を持つことができるところ、特定の実施形態を図面に例示し、これを詳細に説明する。しかし、これは、本発明の技術的思想を特定の実施形態によって限定しようとするものではなく、本発明の技術的思想の範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むと理解されねばならない。
【0023】
本発明の技術的思想を説明するに当って、係る公知技術についての具体的な説明が本発明の趣旨を不要に不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、本明細書の説明過程で用いられる数字(例えば、第1、第2など)は一つの構成要素を他の構成要素から区分するための識別記号に過ぎない。
【0024】
また、本明細書において、一構成要素が他の構成要素と「連結される」か、または「接続する」などと言及された時には、前記一構成要素が前記他の構成要素と直接連結されるか、または直接接続することもあるが、特に逆の記載が存在しない以上、中間にさらに他の構成要素を介して連結されるか、または接続することもあると理解されねばならない。
【0025】
また、本明細書に記載の「~部」、「~器」、「~子」、「~モジュール」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、CPU(Central
Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、APU(Accelerate Processor Unit)、DSP(Drive
Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable
Gate Array)などのハードウェアやソフトウェアまたはハードウェア及びソフトウェアの結合で具現され、少なくとも一つの機能や動作の処理に必要なデータを保存するメモリと結合される形態で具現されてもよい。
【0026】
そして、本明細書における構成部の区分は、各構成部が担当する主機能別に区分したことに過ぎないということを明らかにする。すなわち、以下で説明する二つ以上の構成部が一つの構成部に合わせられるか、または一つの構成部がさらに細分化した機能別に二つ以上に分化して備えられてもよい。そして、以下で説明する構成部それぞれは、自分の担当する主機能以外にも他の構成部が担当する機能のうち一部または全部の機能をさらに行ってもよく、構成部それぞれが担当する主機能のうち一部の機能が他の構成部によって専担されて行われてもよいということは言うまでもない。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による通信システムの概念図である。
【0028】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による通信システム10は、複数のリモートユニット(Remote
Units、RUs)100、分散ユニット(Distributed Unit、DU)200、集中ユニット(Centralized Unit、CU)300、及びコアネットワークを備える。
【0029】
複数のリモートユニット100は、分散ユニット200と連結されて基地局で送受信する信号を多くの陰影地域または密集地域の分散された位置で送受信するために分散配置される。
【0030】
本発明の実施形態による通信システム10は、複数のリモートユニット100と分散ユニット200との間で物理階層分割を使う。複数のリモートユニット100は、下位物理階層(Low-PHY)を処理し、分散ユニット200は、上位物理階層(High-PHY)を処理する。
【0031】
実施形態によって、複数のリモートユニット100と分散ユニット200とは、光ケーブル、高速ケーブル、またはマイクロウェーブケーブルなどの多様な通信媒体により連結されてもよい。
【0032】
実施形態によって、複数のリモートユニット100と分散ユニット200は、多様なフロントホール通信標準によることもある。例えば、複数のリモートユニット100と分散ユニット200との間には、5Gフロントホールインターフェース標準規格であるeCPRI(Ethernet-based
Common Public Radio Interface)を使う。
【0033】
基地局は、分散ユニット200と集中ユニット300とに分離され、分散ユニット200と集中ユニット300とは、多くの機能分離(function
split)オプション(例えば、3GPP TR38.801標準など)によって多様な形態に機能を分離して行う。
【0034】
実施形態によって、分散ユニット200及び集中ユニット300は、RRC、PDCP、High-RLC、Low-RLC、High-MAC、Low-MAC、High-PHYに階層を分けて処理してもよい。
【0035】
図1では、基地局が分散ユニット200と集中ユニット300とに分離された構造を例示しているが、これに限定されずに多様な変形が可能である。
【0036】
集中ユニット300は、コアネットワークと直接連動され、コアネットワークと基地局との間をインタフェースする。
【0037】
リモートユニット100及び分散ユニット200の詳細な構造及び動作については、
図2ないし
図7を参照して後述する。
【0038】
図2は、
図1に示されている分散ユニットのブロック図である。
【0039】
図1及び
図2を参照すれば、分散ユニット200は、電源供給器210、コントローラ220、伝送装置230、及び第1物理階層処理部240を備える。
【0040】
電源供給器210は、分散ユニット200内の構成(例えば、220ないし240)に電源を供給する。
【0041】
コントローラ220は、分散ユニット200内の構成(例えば、210、230、240)の全般的な動作を制御する。
【0042】
伝送装置230は、分散ユニット200と集中ユニット300との通信をインタフェースし、集中ユニット300との信号の送受信に必要な信号処理を行う。
【0043】
第1物理階層処理部240は、第1物理階層(例えば、上位物理階層(High-PHY))で支援する機能を処理する。
【0044】
第1物理階層処理部240の詳細な構造及び動作については、
図3及び
図5を参照して後述する。
【0045】
図3は、
図1に示されている分散ユニットの第1物理階層処理部及びリモートユニットのブロック図である。
図4は、
図3に示されている第2物理階層処理部に含まれている初期ランダムアクセス信号処理部の一実施形態である。
図5は、上向きリンク信号に含まれている初期ランダムアクセス信号の一実施形態である。
図6は、
図3に示されている第1物理階層処理部に含まれている時間同期誤差検出器の一実施形態である。
【0046】
図1ないし
図3を参照すれば、リモートユニット100は、RFフロント・エンド110、アナログ・デジタル変換器(ADC)120、及び第2物理階層処理部130を備える。
【0047】
リモートユニット100は、アンテナを通じて受信したRF帯域の上向きリンク信号を、RFフロント・エンド110を通じて基底帯域信号に変換する。
【0048】
アナログ・デジタル変換器120は、RFフロント・エンド110で変換されたアナログ基底帯域信号をデジタル信号に変換する。
【0049】
アナログ・デジタル変換器120は、変換されたデジタル信号を第2物理階層処理部130に伝送する。
【0050】
第2物理階層処理部130は、データチャンネルプロセッサ132、初期ランダムアクセス信号プロセッサ134、及びマルチプレクサ(MUX)136を備える。
【0051】
第2物理階層処理部130は、物理階層分割を使う通信システム10で分割された物理階層の一部(例えば、下位物理階層(low-PHY))を処理する。
【0052】
データチャンネル・プロセッサ132は、デジタル変換された上向きリンク信号のデータチャンネルについてのプロセッシングを行う。実施形態によって、データチャンネル・プロセッサ132は、上向きリンク信号についてCP(Cyclic
Prefix)除去、DFT(Discrete Fourier Transform)、データ圧縮などの処理を行ってもよい。
【0053】
初期ランダムアクセス信号プロセッサ134は、デジタル変換された上向きリンク信号から初期ランダムアクセス信号を抽出し、抽出された初期ランダムアクセス信号のデータ量を低減させる。
【0054】
実施形態によって、前記初期ランダムアクセス信号は、PRACH(Physical Random Access
Channel)信号でもある。
【0055】
図4を共に参照すれば、初期ランダムアクセス信号プロセッサ134は、ミキサ134-1、低域通過フィルタ134-2、及びダウンサンプラ134-3を備える。
【0056】
ミキサ134-1は、アナログ・デジタル変換器120によってデジタル変換されて伝送された上向きリンク信号x(n)を受信し、受信された上向きリンク信号x(n)の周波数帯域を基底帯域にシフトする。
【0057】
ミキサ134-1によって入出力される入力信号x(n)及び出力信号xb(n)は、下記の数式(1)の関係で表現される。
【0058】
【数1】
(前記Nは、直交周波数分割多重化(Orthgonal Frequency Division Multiplexing、OFDM)を使う場合のDFTサイズであり、前記nは、サンプルの時間インデックス)
図5を共に参照すれば、上向きリンク信号で初期ランダムアクセス信号(例えば、PRACH信号)が位置している周波数帯域が示されており、中心周波数がf
RAであり、中心周波数を基準として周波数帯域の両端までの帯域幅がWに表示される。
【0059】
ミキサ134-1は、初期ランダムアクセス信号(例えば、PRACH信号)の中心周波数が0になるように、上向きリンク信号を周波数シフトさせる。
【0060】
低域通過フィルタ134-2は、ミキサ134-1によって周波数帯域が基底帯域にシフトされた上向きリンク信号で、初期ランダムアクセス信号(例えば、PRACH信号)が存在する周波数帯域のみ通過するように、低域通過フィルタリングを行う。
【0061】
低域通過フィルタ134-2は、低域通過フィルタリングを通じて上向きリンク信号から初期ランダムアクセス信号(例えば、PRACH信号)のみを抽出して出力信号y(n)に出力する。
【0062】
この時、出力信号y(n)は下記の数式(2)のように表現される。
【0063】
【数2】
(前記h(n)は、低域通過フィルタ134-2のインパルス応答、前記N
LPFは、低域通過フィルタ134-2のタップ数)
実施形態によって、低域通過フィルタ134-2の通過帯域の範囲は、基底帯域にシフトされた初期ランダムアクセス信号(例えば、PRACH信号)の周波数範囲に合わせて設定されてもよい。
【0064】
図4に戻って、ダウンサンプラ134-3は、低域通過フィルタ134-2によってフィルタリングされて出力された出力信号y(n)をダウンサンプリングして、データ量の減少した初期ランダムアクセス信号y
D(m)を出力する。
【0065】
実施形態によって、ダウンサンプラ134-3は、低域通過フィルタ134-2によってフィルタリングされて出力された出力信号y(n)をL倍もダウンサンプリングして出力することもある。この時、出力信号は下記の数式(3)のように表現される。
【0066】
【数3】
(前記mは、ダウンサンプリング後に時間インデックスを示す定数であり、前記Lは、1≦L≦B/Wを満たす定数、前記αは、1≦α≦L-1を満たす定数値であって、ダウンサンプリング・オフセットである)
実施形態によって、ダウンサンプラ134-3は、多様な方式でデータ量を低減させるための構成(例えば、データを圧縮するための圧縮器など)に変形されてもよい。
【0067】
図3に戻って、マルチプレクサ136は、データチャンネル・プロセッサ132によって処理されて出力された上向きリンク信号と、初期ランダムアクセス信号プロセッサ134によって抽出されてデータ量の減少した初期ランダムアクセス信号とを結合して結合信号を生成し、生成された結合信号を出力する。
【0068】
実施形態によって、マルチプレクサ136は、データチャンネル・プロセッサ132によって処理されて出力された上向きリンク信号と、初期ランダムアクセス信号プロセッサ134によって抽出されてデータ量の減少した初期ランダムアクセス信号とを、単一データストリームに合わせてもよい。
【0069】
マルチプレクサ136は、結合信号を第1物理階層処理部240に伝送する。
【0070】
第1物理階層処理部240は、デマルチプレクサ(DEMUX)250、データチャンネル・プロセッサ260、及び時間同期誤差検出器270を備える。
【0071】
デマルチプレクサ250は、第2物理階層処理部130のマルチプレクサ136から伝送された結合信号から、データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を分離する。
【0072】
デマルチプレクサ250は、第2物理階層処理部130のデータチャンネル・プロセッサ132によって処理されて出力された上向きリンク信号を第1物理階層処理部240のデータチャンネル・プロセッサ260に伝送し、データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を時間同期誤差検出器270に伝送する。
【0073】
データチャンネル・プロセッサ260は、第2物理階層処理部130のデータチャンネル・プロセッサ132によって処理されて出力された上向きリンク信号を受信して、第1物理階層でのデータチャンネルプロセッシングを行う。
【0074】
実施形態によって、データチャンネル・プロセッサ260は、上向きリンク信号について復調、デマッピング、データ圧縮解除などの多様な処理を行ってもよい。
【0075】
時間同期誤差検出器270は、相関器271、ランダムアクセスシーケンス検出器272、第1時間オフセット推定器273、周波数オフセット補償器274、及び第2時間オフセット推定器275を備える。
【0076】
相関器271は、複数のデータ量の減少した初期ランダムアクセス信号と複数のランダムアクセスシーケンスとの相関値を計算する。
【0077】
ランダムアクセスシーケンス検出器272は、前記複数のランダムアクセスシーケンスのうち最大の相関値を持つランダムアクセスシーケンスを検索し、検索結果によって最大の相関値と、これに相応するランダムアクセスシーケンスに関する情報(例えば、インデックス)を出力する。
【0078】
第1時間オフセット推定器273は、最大の相関値を持つランダムアクセスシーケンスを用いて第1時間オフセットを計算する。
【0079】
周波数オフセット補償器274は、受信された初期ランダムアクセス信号の周波数オフセットを推正し、推定された周波数オフセットを補償して、周波数オフセットの補償された初期ランダムアクセス信号を出力する。
【0080】
第2時間オフセット推定器275は、第1時間オフセット推定器273によって出力された第1時間オフセット、データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を復元した、復元された初期ランダムアクセス信号、及び最大の相関値を持つランダムアクセスシーケンスを用いて第2時間オフセットを計算する。
【0081】
時間同期誤差検出器270の詳細な構造及び動作の説明のために、
図6を共に参照すれば、相関器271は、複数の相関器271-1ないし271-Jで構成される。
【0082】
複数の相関器271-1ないし271-J(前記Jは、2以上の定数)それぞれは、ランダムアクセスシーケンス生成器272-3によって生成された複数のランダムアクセスシーケンスそれぞれと、データ量の減少した初期ランダムアクセス信号yD(m)との相関値を計算して出力する。
【0083】
ランダムアクセスシーケンス検出器272は、複数の最大値検出器272-11ないし272-1J、ランダムアクセスシーケンスインデックス検出器272-2、ランダムアクセスシーケンス生成器272-3、及びランダムアクセスシーケンス選択器272-4を備える。
【0084】
複数の最大値検出器272-11ないし272-1Jそれぞれは、複数の相関器271-1ないし271-jそれぞれから出力された相関値から、最大相関値V1ないしVJを検出して出力される。
【0085】
複数の最大値検出器272-11ないし272-1Jそれぞれは、複数の相関器271-1ないし271-jそれぞれから出力された相関値から、最大相関値V1ないしVJに相応する地点に関する時間値τ1ないしτJを検出して出力する。
【0086】
ランダムアクセスシーケンスインデックス検出器272-2は、複数の最大値検出器272-11ないし272-1Jそれぞれから出力された最大相関値V1ないしVJを用いて、最大相関値V1ないしVJのうち最も大きい相関値Vmaxを検出し、最大相関値Vmaxに相応するランダムアクセスシーケンスのインデックス値IRAを出力する。
【0087】
ランダムアクセスシーケンス生成器272-3は、候補になる複数のランダムアクセスシーケンスを生成して出力する。
【0088】
ランダムアクセスシーケンス選択器272-4は、ランダムアクセスシーケンス生成器272-3で生成された複数のランダムアクセスシーケンスのうち、最大相関値Vmaxを持つランダムアクセスシーケンスのインデックス値IRAに相応するランダムアクセスシーケンスを選択して出力する。
【0089】
第1時間オフセット推定器273は、複数の最大値検出器272-11ないし272-1Jから時間値τ1ないしτJを受信し、ランダムアクセスシーケンスインデックス検出器272-2からインデックス値IRAを受信して、時間値τ1ないしτJのうちインデックス値IRAに相応する時間値τcを第1時間オフセットで計算または推正する。
【0090】
周波数オフセット補償器274は、第1時間オフセット推定器273によって計算された第1時間オフセットτcと、時間領域での初期ランダムアクセス信号(例えば、PRACH信号)の繰り返し特性を用いて、周波数オフセットを推正して補償する。
【0091】
第2時間オフセット推定器275は、信号復元器275-1、相関器275-2、及び最大値検出器275-3を備える。
【0092】
信号復元器275-1は、アップサンプラ275-1A及び低域通過フィルタ275-1Bを備える。
【0093】
アップサンプラ275-1Aは、データ量の減少した初期ランダムアクセス信号をアップサンプリングする。
【0094】
実施形態によって、アップサンプラ275-1Bは、第2物理階層で初期ランダムアクセス信号のデータ量を低減させる時の倍数に相応してL倍のアップサンプリングを行ってもよい。
【0095】
低域通過フィルタ275-1Bは、アップサンプリングされた初期ランダムアクセス信号を低域通過フィルタリングすることで、アップサンプリングされた初期ランダムアクセス信号を補間処理する。
【0096】
実施形態によって、低域通過フィルタ275-1Bの低域通過フィルタリングの前にN-pointDFTを用いて、アップサンプリングされた初期ランダムアクセス信号を周波数領域に変換した後、低域通過フィルタリングを行い、低域通過フィルタリングされた信号にN-point
IDFTを適用することで、時間領域で補間された信号を求めてもよい。
【0097】
実施形態によって、アップサンプリングされた初期ランダムアクセス信号の補間方式は、最近接信号補間、線形補間、二次補間、三次補間、区間別三次補間技法などの多様な変形が可能である。
【0098】
アップサンプラ275-1A及び低域通過フィルタ275-1Bの処理を通じてデータ量の減少した初期ランダムアクセス信号は、元のデータ量の初期ランダムアクセス信号に復元される。
【0099】
相関器275-2及び最大値検出器275-3は、第1時間オフセットτc、復元された初期ランダムアクセス信号z(n)、及び最大相関値を持つランダムアクセスシーケンスRAXに基づいて、第2時間オフセットを計算する。
【0100】
相関器275-2は、第1時間オフセットτcから基準範囲内で、復元された初期ランダムアクセス信号z(n)と最大相関値を持つランダムアクセスシーケンスRAXとの相関値を計算して出力する。
【0101】
実施形態によって、前記基準範囲は下記の数式(4)のように定義されてもよい。
【0102】
【数4】
(前記T
Lは、左側方向の時間変動の基準範囲、前記T
Rは、右側方向の時間変動の基準範囲である)
最大値検出器275-3は、基準範囲内で相関器275-2の相関値が最大になる地点に基づいて、第2時間オフセットを計算する。
【0103】
実施形態によって、第1時間オフセットは、データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を用いるため、概略的な時間同期誤差として意味を持ち、第2時間オフセットは、元のデータ量の復元された初期ランダムアクセス信号を用いるため、精密な時間同期誤差としての意味を持つこともある。実施形態によって、本明細書での時間同期誤差は、第1時間オフセットまたは第2時間オフセットでもある。
【0104】
図7は、本発明の一実施形態による通信システムの動作方法のフローチャートである。
【0105】
図1ないし
図7を参照すれば、通信システム10は、第1通信ノード(例えば、リモートユニット100)の第1物理階層(例えば、下位物理階層(low-PHY))で、上向きリンク信号から初期ランダムアクセス信号を抽出する(S710)。
【0106】
実施形態によって、通信システム10は、上向きリンク信号を周波数シフトした後、低域通過フィルタリング処理することで初期ランダムアクセス信号を抽出してもよい。
【0107】
実施形態によって、初期ランダムアクセス信号はPRACH信号でもある。
【0108】
通信システム10は、第1物理階層(例えば、下位物理階層(low-PHY))で、抽出された初期ランダムアクセス信号のデータ量を低減させる(S720)。
【0109】
実施形態によって、通信システム10は、抽出された初期ランダムアクセス信号をダウンサンプリング処理することでデータ量を低減させてもよい。
【0110】
通信システム10は、第2通信ノード(例えば、分散ユニット200)の第2物理階層(例えば、上位物理階層(high-PHY))で、データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を用いて時間同期誤差を計算する(S730)。
【0111】
実施形態によって、通信システム10は、データ量の減少した初期ランダムアクセス信号を用いて第1時間オフセットを求め、前記第1時間オフセットと、元のデータ量を復元した初期ランダムアクセス信号とを共に用いて第2時間オフセットを求めてもよい。
【0112】
実施形態によって、通信システム10で計算した時間同期誤差は、第1時間オフセットまたは第2時間オフセットを意味することもある。
【0113】
以上、本発明を望ましい実施形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されず、本発明の技術的思想及び範囲内で当業者によって様々な変形及び変更ができる。