(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】温度制御ユニット及び温度制御ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
F28D 9/00 20060101AFI20241008BHJP
F28F 21/08 20060101ALI20241008BHJP
F28F 21/06 20060101ALI20241008BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20241008BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
F28D9/00
F28F21/08 A
F28F21/08 E
F28F21/08 F
F28F21/08 G
F28F21/08 Z
F28F21/06
B29C45/14
H01L23/46
(21)【出願番号】P 2022566990
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2021044355
(87)【国際公開番号】W WO2022118936
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2020200637
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗谷川 瑞枝
(72)【発明者】
【氏名】木村 和樹
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 知記
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-200445(JP,A)
【文献】特開2016-009776(JP,A)
【文献】特開平06-029669(JP,A)
【文献】特開2020-088109(JP,A)
【文献】特開2019-204897(JP,A)
【文献】特開2015-193263(JP,A)
【文献】特開2004-293895(JP,A)
【文献】国際公開第2020/138211(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 9/00
F28F 21/08
F28F 21/06
B29C 45/14
H01L 23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属部材と、第2の金属部材と、
前記第1の金属部材及び
前記第2の金属部材の間に配置される第1の樹脂部材と、第2の樹脂部材と、を備え、
前記第1の樹脂部材は
前記第1の金属部材及び
前記第2の金属部材の間に流体を流通させるための空間に対応する形状を有
し、
前記第2の樹脂部材は前記第1の金属部材及び前記第2の金属部材のそれぞれの表面の少なくとも一部と接合した状態であり、
前記第1の金属部材及び前記第2の金属部材と前記第1の樹脂部材とは接合していない、温度制御ユニット。
【請求項2】
前記第1の樹脂部材は
前記第2の樹脂部材の表面の少なくとも一部と融着した状態である、請求項
1に記載の温度制御ユニット。
【請求項3】
第1の金属部材と、第2の金属部材と、前記第1の金属部材及び前記第2の金属部材の間に配置される第1の樹脂部材と、第2の樹脂部材と、を備え、
前記第1の樹脂部材は前記第1の金属部材及び前記第2の金属部材の間に流体を流通させるための空間に対応する形状を有し、
前記第2の樹脂部材は前記第1の金属部材及び前記第2の金属部材の少なくとも一方の表面の少なくとも一部と接合した状態であり、
前記第1の樹脂部材は前記第2の樹脂部材の表面の少なくとも一部と融着した状態である、温度制御ユニット。
【請求項4】
前記第1の金属部材及び
前記第2の金属部材の少なくとも一方と
前記第2の樹脂部材とが接合している界面と、
前記第1の樹脂部材と
前記第2の樹脂部材とが融着している界面とは隣接した状態である、請求項
2又は請求項3に記載の温度制御ユニット。
【請求項5】
前記第2の樹脂部材と接合している
前記第1の金属部材及び
前記第2の金属部材の少なくとも一方の表面は粗化処理されている、請求項1~請求項
4のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
【請求項6】
前記接合した状態は、
前記第2の樹脂部材の一部が
前記第1の金属部材及び
前記第2の金属部材の少なくとも一方の表面の凹凸構造に入り込んだ状態である、請求項1~請求項
5のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
【請求項7】
前記第1の金属部材及び
前記第2の金属部材は、それぞれ独立に、鉄、銅、ニッケル、金、銀、プラチナ、コバルト、亜鉛、鉛、スズ、チタン、クロム、アルミニウム、マグネシウム及びマンガンからなる群より選択される金属又は前記金属を含む合金を含む、請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
【請求項8】
前記第1の金属部材と
前記第2の金属部材とは同種又は異種の金属を含む、請求項1~請求項
7のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
【請求項9】
前記第1の樹脂部材と
前記第2の樹脂部材とは同種の樹脂を含む、請求項1~請求項
8のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
【請求項10】
前記第1の樹脂部材は、前記温度制御ユニットを周辺部品に組み付けるための組付け部を有する、請求項1~請求項
9のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
【請求項11】
前記組付け部は
前記第1の樹脂部材の本体と一体成形されている、請求項
10に記載の温度制御ユニット。
【請求項12】
前記第2の樹脂部材は、前記温度制御ユニットを周辺部品に組み付けるための組付け部を有する、請求項1~請求項
9のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
【請求項13】
前記組付け部は
前記第2の樹脂部材の本体と一体成形されている、請求項
12に記載の温度制御ユニット。
【請求項14】
前記第1の金属部材及び
前記第2の金属部材の少なくとも一方は、前記温度制御ユニットを周辺部品に組み付けるための組付け部を有する、請求項1~請求項
9のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
【請求項15】
前記第1の樹脂部材及び
前記第2の樹脂部材の少なくとも一方は、前記温度制御ユニットを周辺部品に組み付けるための組付け部を有する、請求項
14に記載の温度制御ユニット。
【請求項16】
前記組付け部は樹脂を含み、
前記第1の金属部材及び
前記第2の金属部材の少なくとも一方の表面と接合した状態である、請求項
14に記載の温度制御ユニット。
【請求項17】
前記第1の金属部材、
前記第2の金属部材、及び
前記第1の樹脂部材を金型に配置する工程と、前記金型に溶融した樹脂を供給
して前記第2の樹脂部材を形成する工程と、を含む、請求項1~請求項
16のいずれか1項に記載の温度制御ユニットの製造方法。
【請求項18】
第1の金属部材と、第2の金属部材と、前記第1の金属部材及び前記第2の金属部材の間に配置され、前記第1の金属部材及び前記第2の金属部材の間に流体を流通させるための空間に対応する形状を有する第1の樹脂部材と、第2の樹脂部材と、を備えた温度制御ユニットの製造方法であって、
前記第1の樹脂部材を成形する工程と、
前記成形する工程で成形された前記第1の樹脂部材が前記第1の金属部材と前記第2の金属部材との間に配置されるように、前記第1の金属部材、前記第2の金属部材、及び前記第1の樹脂部材を金型に配置する工程と、
前記金型に溶融した樹脂を供給して前記第2の樹脂部材を形成する工程と、を含む、温度制御ユニットの製造方法。
【請求項19】
前記第1の金属部材、
前記第2の金属部材、及び
前記第1の樹脂部材を金型に配置する工程の前に、
前記第1の金属部材及び
前記第2の金属部材の少なくとも一方の表面を粗化処理する工程を含む、請求項
17又は請求項18に記載の温度制御ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御ユニット及び温度制御ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータに搭載するCPU、電気自動車に搭載する二次電池のような作動時に発熱する物体(発熱体)を冷却するための手段として、水等の液状の冷媒を用いる冷却装置が種々提案されている。たとえば、金属等の放熱性に優れる材料からなる筐体の内部に冷媒を流通させるための流路を備える冷却装置が知られている。
【0003】
上記のような構成の冷却装置は、装置を構成する金属部材がろう付けにより接合されているのが一般的である。また、特開2015-210032号公報では、部位ごとに溶接とスポット溶接とを使い分けて製造される冷却装置が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の冷却装置は、装置を構成する部材同士をロウ付けにより接合した後、更に、ジョイントなどの部品をロウ付けにより筐体に接合する方法が採用される。このように、二段階のロウ付けとなるため、工程が複雑になることに加え、ロウ付けプロセスで受ける熱の影響により筐体の強度が低下してしまう問題があった。
さらに、特に液状の冷媒を用いる冷却装置では、冷媒の流路外への漏出が生じないように内部の密閉性が充分に確保される必要がある。
さらに、冷却装置の両面を発熱体の冷却に用いたり、冷却装置の特定の部分を発熱体の冷却に用いたりすることへの需要がある。
【0005】
本開示は上記事情に鑑み、内部の密閉性に優れる温度制御ユニット及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>第1の金属部材と、第2の金属部材と、第1の金属部材及び第2の金属部材の間に配置される第1の樹脂部材と、第2の樹脂部材と、を備え、
第1の樹脂部材は第1の金属部材及び第2の金属部材の間に流体を流通させるための空間に対応する形状を有し、
第2の樹脂部材は第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方の表面の少なくとも一部と接合した状態である、温度制御ユニット。
<2>第2の樹脂部材は第1の金属部材及び第2の金属部材のそれぞれの表面の少なくとも一部と接合した状態である、<1>に記載の温度制御ユニット。
<3>第1の金属部材及び第2の金属部材と第1の樹脂部材とは接合していない、<1>又は<2>に記載の温度制御ユニット。
<4>第1の樹脂部材は第2の樹脂部材の表面の少なくとも一部と融着した状態である、請求項1に記載の温度制御ユニット。
<5>第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方と第2の樹脂部材とが接合している界面と、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とが融着している界面とは隣接した状態である、<4>に記載の温度制御ユニット。
<6>第2の樹脂部材と接合している第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方の表面は粗化処理されている、<1>~<5>のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
<7>前記接合した状態は、第2の樹脂部材の一部が第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方の表面の凹凸構造に入り込んだ状態である、<1>~<6>のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
<8>第1の金属部材及び第2の金属部材は、それぞれ独立に、鉄、銅、ニッケル、金、銀、プラチナ、コバルト、亜鉛、鉛、スズ、チタン、クロム、アルミニウム、マグネシウム及びマンガンからなる群より選択される金属又は前記金属を含む合金を含む、<1>~<7>のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
<9>第1の金属部材と第2の金属部材とは同種又は異種の金属を含む、<1>~<8>のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
<10>第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とは同種の樹脂を含む、<1>~<9>のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
<11>第1の樹脂部材は、前記温度制御ユニットを周辺部品に組み付けるための組付け部を有する、<1>~<10>のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
<12>前記組付け部は第1の樹脂部材の本体と一体成形されている、<11>に記載の温度制御ユニット。
<13>第2の樹脂部材は、前記温度制御ユニットを周辺部品に組み付けるための組付け部を有する、<1>~<10>のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
<14>前記組付け部は第2の樹脂部材の本体と一体成形されている、<13>に記載の温度制御ユニット。
<15>第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方は、前記温度制御ユニットを周辺部品に組み付けるための組付け部を有する、<1>~<10>のいずれか1項に記載の温度制御ユニット。
<16>第1の樹脂部材及び第2の樹脂部材の少なくとも一方は、前記温度制御ユニットを周辺部品に組み付けるための組付け部を有する、<15>に記載の温度制御ユニット。
<17>前記組付け部は樹脂を含み、第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方の表面と接合した状態である、<15>又は<16>に記載の温度制御ユニット。
<18>第1の金属部材、第2の金属部材、及び第1の樹脂部材を金型に配置する工程と、前記金型に溶融した樹脂を供給する工程と、を含む、<1>~<17>のいずれか1項に記載の温度制御ユニットの製造方法。
<19>第1の金属部材、第2の金属部材、及び第1の樹脂部材を金型に配置する工程の前に、第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方の表面を粗化処理する工程を含む、<18>に記載の温度制御ユニットの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、内部の密閉性に優れる温度制御ユニット及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】温度制御ユニットの内部構造の一例を概略的に示す断面図である。
【
図2】温度制御ユニットの内部構造の一例を概略的に示す平面図である。
【
図3】温度制御ユニットの構造の一例を概略的に示す平面図である。
【
図4】温度制御ユニットの構造の一例を概略的に示す平面図である。
【
図5】温度制御ユニットの構造の一例を概略的に示す平面図である。
【
図6】温度制御ユニットの外観の一例を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよく、また、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、材料中の各成分の量は、材料中の各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、材料中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0010】
<温度制御ユニット>
本開示の温度制御ユニットは、第1の金属部材と、第2の金属部材と、第1の金属部材及び第2の金属部材の間に配置される第1の樹脂部材と、第2の樹脂部材と、を備え、
第1の樹脂部材は第1の金属部材及び第2の金属部材の間に流体を流通させるための空間に対応する形状を有し、
第2の樹脂部材は第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方の表面の少なくとも一部と接合した状態である、温度制御ユニットである。
【0011】
本開示において「温度制御ユニット」とは、内部に設けられる空間に流体を流通させることで、対象物の温度を制御する装置を意味する。「温度制御」には対象物の冷却、加温、保温、保冷等が含まれる。
温度制御ユニットの内部に設けられる空間を流通させる流体の種類は特に制限されず、温度制御ユニットの用途等に応じて選択できる。たとえば、水、有機溶媒、油等が挙げられる。
【0012】
本開示において、第1の金属部材及び第2の金属部材を区別せずに「金属部材」と称する場合があり、第1の樹脂部材及び第2の樹脂部材を区別せずに「樹脂部材」と称する場合がある。
【0013】
本開示の温度制御ユニットは、第1の金属部材と第2の金属部材との間に配置される第1の樹脂部材が、流体を流通させるための空間(以下、流路ともいう)に対応する形状を有する。このような第1の樹脂部材を第1の金属部材と第2の金属部材との間に配置することで、金属部材に流路を形成する工程を経なくても温度制御ユニットを製造することができる。
さらに、本開示の温度制御ユニットは内部構造の設計の自由度が高い。このため、本開示によれば、両面に発熱体を配置可能な温度制御ユニット、特定の部分に発熱体を配置可能な温度制御ユニット、発熱体の特定の箇所を選択的に冷却可能な、例えば、流路の設計を最適化することにより発熱量の多い部分を積極的に冷却可能な温度制御ユニットなどを提供することができる。
【0014】
本開示の温度制御ユニットは、第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方の表面の少なくとも一部と接合した状態である、第2の樹脂部材をさらに備える。
第2の樹脂部材は、第1の金属部材及び第2の金属部材のそれぞれの表面の少なくとも一部と接合した状態であってもよい。この場合、第2の樹脂部材は、第1の金属部材と第2の金属部材とを結合する手段として機能する。これにより、温度制御ユニットの内部の密閉性が充分に確保される。
【0015】
第1の樹脂部材は、第2の樹脂部材の表面の少なくとも一部と融着した状態であってもよい。この場合、第2の樹脂部材は、第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方と、第1の樹脂部材とを結合する手段として機能する。これにより、第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方と第1の樹脂部材とが接合していなくても、温度制御ユニットの内部の密閉性が充分に確保される。
【0016】
第2の樹脂部材が第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方の表面の少なくとも一部と接合した状態は、例えば、金型内に第1の金属部材、第2の金属部材及び第1の樹脂部材を配置した状態で、第2の樹脂部材を形成するための溶融した樹脂を金型内に射出して形成することができる。
溶融した樹脂は、第1の金属部材及び第2の金属部材の表面の微細な凹凸構造に入り込んだ状態で固化する。その結果、溶融した樹脂が固化して形成する第2の樹脂部材と、第1の金属部材及び第2の金属部材とが強固に固着される。
【0017】
第1の樹脂部材と第2の樹脂部材の表面の少なくとも一部とが融着した状態は、上記方法において溶融した樹脂を第1の樹脂部材と接触させることで形成できる。溶融した樹脂と接触した第1の樹脂部材の表面は、溶融した樹脂の熱により溶融する。その結果、溶融した樹脂が固化して形成する第2の樹脂部材と第1の樹脂部材とが融着した状態が形成される。
【0018】
第1の樹脂部材が第2の樹脂部材の表面の少なくとも一部と融着した状態である場合、温度制御ユニットの内部の密閉性を確保する観点からは、第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方と第2の樹脂部材とが接合している界面(以下、接合界面ともいう)と、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とが融着している界面(以下、融着界面ともいう)とは隣接した状態であることが好ましい。
本開示において「接合界面と融着界面とが隣接した状態」とは、接合界面の端部と融着界面の端部とが間隔を空けずに存在している状態を意味する。隣接した状態の接合界面と融着界面とは、同一平面上にあっても同一平面上になくてもよい。
【0019】
温度制御ユニットの内部構造において接合界面と融着界面とが隣接した状態の例を
図1に示す。
図1の(A)は、第1の金属部材1及び第2の金属部材2と第2の樹脂部材12との接合界面Xと、第1の樹脂部材11と第2の樹脂部材12との融着界面Yとが隣接した状態の一例であり、接合界面Xと融着界面Yとが同一平面上にある場合を示している。
図1の(B)は、第1の金属部材1及び第2の金属部材2と第2の樹脂部材12との接合界面Xと、第1の樹脂部材11と第2の樹脂部材12との融着界面Yが隣接した状態の一例であり、接合界面Xと融着界面Yとが同一平面上にない場合を示している。
【0020】
温度制御ユニットを構成する第1の金属部材及び第2の金属部材と第1の樹脂部材とは、接合されていない状態であってもよい。この場合、必要に応じ、第1の金属部材及び第2の金属部材と第1の樹脂部材とは接着剤、ねじ等を用いて接合以外の方法で固定された状態であってもよい。
【0021】
温度制御ユニットの内部構造の例について、図面に基づいて説明する。
図2は、温度制御ユニットの内部構造の一例を概略的に示す断面図である。
図2の(A)に示す温度制御ユニット100は、第1の金属部材1と、第2の金属部材2と、第1の金属部材及び第2の金属部材の間に配置される第1の樹脂部材11と、第2の樹脂部材12と、を備えている。
第1の樹脂部材11は、第1の金属部材1及び第2の金属部材2の間に配置され、流体を流通させるための空間に対応する形状を有している。
第2の樹脂部材12は、第1の金属部材1又は第2の金属部材2の表面の少なくとも一部と接合し、かつ第1の樹脂部材11の表面の少なくとも一部と融着した状態である。
【0022】
図2の(A)に示す温度制御ユニット100では、第1の金属部材1と第2の金属部材2とが温度制御ユニットの主面(面積が最大となる面)を構成しているが、本開示はこれに制限されない。例えば、第1の金属部材1と第2の金属部材2のいずれか一方が、温度制御ユニットの主面を構成するとともに、温度制御ユニットの側部の一部又は全部を構成してもよい。
【0023】
温度制御ユニット100に含まれる第1の樹脂部材11は、1つの連続した部材であっても、複数の部材に分かれていてもよい。第1の樹脂部材11が複数の部材に分かれている場合、温度制御ユニットの密閉性を確保する観点から、それぞれの部材の表面の少なくとも一部が第2の樹脂部材と融着した状態であることが好ましい。
【0024】
図2の(A)に示す温度制御ユニット100では、第2の樹脂部材12が温度制御ユニット100の側部と温度制御ユニット100の内部とに配置されている。
第2の樹脂部材12が温度制御ユニット100の内部に配置された構造は、たとえば、第1の金属部材1又は第2の金属部材2の表面に設けた貫通孔(ゲート)から溶融した樹脂を射出して形成することができる。
温度制御ユニット100に含まれる第2の樹脂部材12は、1つの連続した部材であっても、複数の部材に分かれていてもよい。
【0025】
図2の(B)に示す温度制御ユニット100は、温度制御ユニット100の内部に配置される第2の樹脂部材12が第1の金属部材1及び第2の金属部材2を貫通している点において(A)に示す温度制御ユニット100と異なっている。
【0026】
図2の(C)に示す温度制御ユニット100は、温度制御ユニット100の内部に配置される第2の樹脂部材12が第1の金属部材1及び第2の金属部材2を貫通している点、並びに金属部材1及び第2の金属部材2を貫通している第2の樹脂部材12の端面を被覆部材13で被覆している点において(A)に示す温度制御ユニット100と異なっている。
【0027】
図2の(D)に示す温度制御ユニット100は、第1の樹脂部材11が有する空間の形状が第1の金属部材1側の空間と第2の金属部材2側の空間とに分かれている点において(A)に示す温度制御ユニット100と異なっている。
【0028】
図2の(E)に示す温度制御ユニット100は、第1の樹脂部材11が有する空間の形状が第1の金属部材1側の空間と第2の金属部材2側の空間とに分かれている点、及び第2の樹脂部材12が温度制御ユニット100の内部に配置されていない点において(A)に示す温度制御ユニット100と異なっている。
【0029】
図2の(F)及び(G)に示す温度制御ユニット100は、第1の樹脂部材11と第2の樹脂部材12とが融着していない点において(A)~(E)に示す温度制御ユニット100と異なっている。
図2の(F)及び(G)に示す温度制御ユニット100において、第1の金属部材1と第2の金属部材とは、第2の樹脂部材12の一部が間に入り込んで接合されてもよく、接着剤等で接着されてもよく、単に接している状態であってもよい。第1の金属部材1と第2の金属部材2とは(F)に示すように対照的な形状であっても(G)に示すように非対称な形状であってもよい。
【0030】
図2の(H)に示す温度制御ユニット100は、第1の樹脂部材11が温度制御ユニット100の側部を形成している点において(A)に示す温度制御ユニット100と異なっている。
【0031】
本開示の温度制御ユニットは、温度制御ユニットを周辺部品に組み付けるための組付け部を有していてもよい。
温度制御ユニットが組付け部を有する場合、第1の樹脂部材、第2の樹脂部材、第1の金属部材又は第2の金属部材のうちいずれかが組付け部を有していてもよく、これらのうち2つ以上が組付け部を有していてもよい。
【0032】
図3は第1の樹脂部材が組付け部を有する温度制御ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
図3の(A)に示すように、第1の樹脂部材11は、本体11A(金属部材間に配置される部分)と、組付け部11Bと、を有している。
図3の(B)に示すように、本体11Aと組付け部11Bを有する第1の樹脂部材11を第1の金属部材1と第2の金属部材との間に配置する。次いで、
図3の(C)に示すように、流体を流通させるための空間の外側の領域に第2の樹脂部材12を配置することで、第1の樹脂部材が組付け部を有する温度制御ユニット100が形成される。
【0033】
第1の樹脂部材11の組付け部11Bは、本体11Aと一体成形されていてもよい。本体と一体成形された組付け部11Bを有する第1の樹脂部材11は、例えば、第1の樹脂部材11の本体11Aと組付け部11Bを射出成形で同時に成形して得ることができる。
【0034】
図4は第2の樹脂部材が組付け部を有する温度制御ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
図4の(A)に示すように、第1の樹脂部材11は、本体のみからなり組付け部は有していない。
図4の(B)に示すように、第1の樹脂部材11を第1の金属部材1と第2の金属部材との間に配置する。次いで、
図3の(C)に示すように、
図3の(C)に示すように、流体を流通させるための空間の外側の領域に第2の樹脂部材12を配置する。
第2の樹脂部材12は、本体12A(金属部材間に配置される部分)と、組付け部12Bと、を有している。
【0035】
第2の樹脂部材12の組付け部12Bは、本体12Aと一体成形されていてもよい。本体12Aと一体成形された組付け部12Bを有する第2の樹脂部材12は、例えば、第2の樹脂部材12の本体12Aと組付け部12Bを射出成形で同時に成形して得ることができる。
【0036】
図5は第1の金属部材が組付け部を有する温度制御ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
図5の(A)に示す第1の樹脂部材11は、
図3の(A)に示したように組付け部を有していても、
図4の(A)に示したように組付け部を有していなくてもよい。
図5の(B)に示すように、第1の樹脂部材11を第1の金属部材1と第2の金属部材2との間に配置する。第1の金属部材1は、表面に組付け部13を有している。次いで、
図5の(C)に示すように、流体を流通させるための空間の外側の領域に第2の樹脂部材12を配置する。
【0037】
第1の金属部材1の表面に組付け部13を配置する方法は、特に制限されない。例えば、組付け部は樹脂を含み、第1の金属部材の表面と接合した状態であってもよく、接着剤、ねじ等を用いて第1の金属部材1の表面に固定された状態であってもよい。
【0038】
図5では第1の金属部材1と第2の金属部材2の間に第2の樹脂部材12を配置する前に第1の金属部材1の表面に組付け部13が形成されているが、本開示はこれに限られない。
例えば、第2の樹脂部材12と組付け部13とを射出成形等で同時に配置してもよく(このとき、第2の樹脂部材12の材料と組付け部13の材料は同じであっても異なっていてもよい)、第2の樹脂部材12を配置した後に組付け部13を第1の金属部材1の表面に配置してもよい。
【0039】
(金属部材)
温度制御ユニットを構成する金属部材は、金属を含む。金属部材に含まれる金属の種類は特に制限されず、温度制御ユニットの用途等に応じて選択できる。たとえば、鉄、銅、ニッケル、金、銀、プラチナ、コバルト、亜鉛、鉛、スズ、チタン、クロム、アルミニウム、マグネシウム、マンガン及び前記金属を含む合金(ステンレス、真鍮、リン青銅等)からなる群から選択される少なくとも一種であってもよい。
熱伝導性の観点からは、金属としてはアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金が好ましく、銅及び銅合金がより好ましい。
軽量化及び強度確保の観点からは、金属としてはアルミニウム及びアルミニウム合金がより好ましい。
第1の金属部材及び第2の金属部材に含まれる金属は、同じであっても異なっていてもよい。
【0040】
金属部材と樹脂部材とを強固に接合させるためには、金属部材の樹脂部材と接合させる部分の表面が粗化処理されていることが好ましい。
金属部材の表面に粗化処理が施されていると、表面に形成される凹凸構造に樹脂部材の表面の組織が入り込むことで、強固な接合が得られる。
【0041】
金属部材の表面に粗化処理によって形成される凹凸構造の状態は、樹脂部材との接合強度が充分に得られるのであれば特に制限されない。
凹凸構造における凹部の平均孔径は、たとえば5nm~500μmであってよく、好ましくは10nm~150μmであり、より好ましくは15nm~100μmである。
凹凸構造における凹部の平均孔深さは、たとえば5nm~500μmであってよく、好ましくは10nm~150μmであり、より好ましくは15nm~100μmである。
凹凸構造における凹部の平均孔径又は平均孔深さのいずれか又は両方が上記数値範囲内であると、より強固な接合が得られる傾向にある。
【0042】
凹凸構造における凹部の平均孔径および平均孔深さは、電子顕微鏡又はレーザー顕微鏡を用いることによって求めることができる。具体的には、ベース部材およびカバー部材の表面および表面の断面を撮影する。得られた写真から、任意の凹部を50個選択し、それらの凹部の孔径および孔深さから、凹部の平均孔径および平均孔深さをそれぞれ算術平均値として算出することができる。
【0043】
金属部材の表面に粗化処理を施す方法は特に制限されず、様々な公知の方法を使用できる。たとえば、特許第4020957号に開示されているようなレーザーを用いる方法;NaOH等の無機塩基、又はHCl、HNO3等の無機酸の水溶液に浸漬する方法;特許第4541153号に開示されているような、陽極酸化により処理する方法;国際公開第2015-8847号に開示されているような、酸系エッチング剤(好ましくは、無機酸、第二鉄イオン又は第二銅イオン)および必要に応じてマンガンイオン、塩化アルミニウム六水和物、塩化ナトリウム等を含む酸系エッチング剤水溶液によってエッチングする置換晶析法;国際公開第2009/31632号に開示されているような、水和ヒドラジン、アンモニア、および水溶性アミン化合物から選ばれる1種以上の水溶液に浸漬する方法(以下、NMT法と呼ぶ場合がある);特開2008-162115号公報に開示されているような温水処理法;ブラスト処理等が挙げられる。粗化処理の方法は、金属部材の表面の材質、所望の凹凸構造の状態等に応じて使い分けることが可能である。
【0044】
金属部材の表面は、粗化処理に加え、官能基を付加する処理を施してもよい。金属部材の表面に官能基を付与することで、金属部材と樹脂部材との間の化学的な結合が増え、接合強度がより向上する傾向にある。
【0045】
金属部材の表面に官能基を付加する処理は、粗化処理と同時に、又は粗化処理の後に行うことが好ましい。
金属部材の表面に官能基を付加する方法は特に制限されず、様々な公知の方法を使用できる。たとえば、官能基を持つ化学物質を水又はメチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、アセトン、トルエン、エチルセルソルブ、ジメチルホルムアルデヒド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ベンゼン、酢酸エチルエーテル等の有機溶剤に溶解した溶液に浸漬する方法;官能基を持つ化学物質又はこれを含む溶液をコーティング又はスプレーする方法;官能基を持つ化学物質を含むフィルムを貼り付ける方法等が挙げられる。
官能基を付加する処理を粗化処理と同時に行う方法としては、たとえば、官能基を持つ化学物質を含む液体を用いてウェットエッチング処理、化成処理、陽極酸化処理等を行う方法が挙げられる。
【0046】
(樹脂部材)
樹脂部材に含まれる樹脂は特に制限されず、温度制御ユニットの用途等に応じて選択できる。たとえば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン系樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリケトン系樹脂等の熱可塑性樹脂(エラストマーを含む)、及びフェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
成形性の観点からは、樹脂部材に含まれる樹脂としては熱可塑性樹脂が好ましい。
【0047】
第1の樹脂部材に含まれる樹脂と第2の樹脂部材に含まれる樹脂とは、同じであっても異なっていてもよい。第1の樹脂部材に含まれる樹脂と第2の樹脂部材に含まれる樹脂とは、両方とも熱可塑性樹脂であるか、又は両方とも熱硬化性樹脂であることが好ましい。
第1の樹脂部材と第2の樹脂部材との間の相溶性を確保する観点からは、第1の樹脂部材及び第2の樹脂部材に含まれる樹脂は、同種の樹脂であることが好ましい。
本開示において「同種の樹脂」とは、同じ分類の中で、分子量やモノマー成分の相違があってもよい樹脂を意味する。例えば、ポリオレフィン系樹脂の分類の中に含まれる樹脂であって分子量、モノマー成分等が異なる樹脂同士は「同種の樹脂」に該当する。
また、異なる種類の樹脂の場合でも、化学的な相互作用が強い樹脂同士を選ぶことで、高い相溶性を得ることも可能である。
【0048】
第1の樹脂部材と第2の樹脂部材との境界を目視で判別困難な場合、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材との境界を判別する方法としては、例えば、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とが融着している部分の断面を光学顕微鏡、偏光顕微鏡などで観察する方法が挙げられる。具体的には、各樹脂部材に含まれる樹脂の結晶構造や各樹脂部材に含まれるフィラーの配向状態が変化している部分を第1の樹脂部材と第2の樹脂部材との境界として見極めることができる。
【0049】
樹脂部材に含まれる樹脂は、種々の配合剤を含んでもよい。配合剤としては、充填材、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、耐候剤、難燃剤、可塑剤、分散剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等が挙げられる。
【0050】
温度制御ユニットは、必要に応じ、温度制御ユニットの内部に配置される流路と外部の配管とを接続するジョイント部、温度制御ユニットの外部に設けられる補強用のリブ等の部品を有していてもよい。
ジョイント部、リブ等の部品は第1の樹脂部材又は第2の樹脂部材と一体的に形成されていてもよい。例えば、第1の樹脂部材とジョイント部とが一体的に形成されていてもよい。
【0051】
温度制御ユニットが部品を有する場合、これらの部品が樹脂を含み、金属部材の表面に接合された状態であってもよい。部品に含まれる樹脂は特に制限されず、樹脂部材に含まれる樹脂として例示したものから選択できる。
【0052】
温度制御ユニットおよび温度制御ユニットを構成する各部材の寸法は特に制限されず、温度制御ユニットの用途等に応じて選択できる。
【0053】
温度制御ユニットの主面の面積は、たとえば、50cm2~5,000cm2の範囲内であってもよい。
温度制御ユニットの厚み(厚みが一定でない場合は厚みの最小値)は、たとえば、1mm~150mm、好ましくは5mm~50mmの範囲内であってもよい。薄型化に対応する観点からは、温度制御ユニットの厚みは20mm以下であってもよい。
【0054】
金属部材の厚み(厚みが一定でない場合は厚みの最小値)は、第2の樹脂部材を射出成形する際の圧力に耐えられる(変形しない)程度の強度を確保できる観点から、たとえば、0.5mm~10mmであってよく、好ましくは1mm~5mmである。
【0055】
温度制御ユニットにおける流路の形状は特に制限されず、U字型、O字型、I字型、L字型等から選択できる。必要に応じ、流路の内部にヒートシンク等の部品が配置されてもよい。
【0056】
図6は、温度制御ユニットの外観の一例を概略的に示す斜視図である。
図6に示す温度制御ユニット10は、プレート状の筐体15と、一対のジョイント部14とを備えている。
筐体15は、筐体15の主面を構成する第1の金属部材a及び第2の金属部材bと、側部の一部を構成する第2の樹脂部材cと、筐体の内部に配置されて流路を形成する第1の樹脂部材(図示せず)とからなる。
ジョイント部14は、筐体15の内部に配置される流路に冷媒を流路に供給するためのジョイント部と、筐体15の内部から流体を排出するためのジョイント部とからなる。
【0057】
図6に示す温度制御ユニット10では、第1の金属部aの上にジョイント部14が配置されているが、本開示はこの構成に制限されない。例えば、筐体12の側部にジョイント部14が配置されてもよい。
【0058】
<温度制御ユニットの用途>
本開示の温度制御ユニットの用途は、特に制限されない。たとえば、コンピュータに搭載されるCPU、電気自動車に搭載される二次電池等の発熱体の冷却のために好適に用いられる。その他、空調設備、給湯設備、発電設備等の、温度管理が必要とされるあらゆる用途に好適に用いられる。
【0059】
<温度制御ユニットの製造方法>
第1実施形態の温度制御ユニットの製造方法は、第1の金属部材、第2の金属部材、及び第1の樹脂部材を金型に配置する工程と、前記金型に溶融した樹脂を供給する工程と、を含む、温度制御ユニットの製造方法である。
【0060】
上記方法では、金型に供給される溶融(軟化を含む)した樹脂が第1の金属部材及び第2の金属部材の表面の少なくとも一部と接触した状態で固化し、第2の樹脂部材を形成する。
上記方法では、溶融した樹脂を第1の樹脂部材と接触させてもよい。この場合、第1の樹脂部材と、溶融した樹脂が固化して形成される第2の樹脂部材とが融着した状態が形成される。
必要に応じ、第1の樹脂部材を溶融した樹脂と接触させる部分をヒーター等で加熱して第2の樹脂部材との融着性を高めてもよい。
【0061】
上記方法は、第1の金属部材、第2の金属部材、及び第1の樹脂部材を金型に配置する工程の前に、第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方の表面を粗化処理する工程を含んでもよい。
第1の金属部材及び第2の金属部材の少なくとも一方の表面を粗化処理することで、第2の金属部材との界面の接合強度を高めることができ、内部の密閉性により優れる温度制御ユニットを得ることができる。
【0062】
上記方法で使用する第1の金属部材及び第2の金属部材の詳細及び好ましい態様は、上述した温度制御ユニットに含まれる第1の金属部材及び第2の金属部材の詳細及び好ましい態様と同様である。
【0063】
上記方法で使用する樹脂の詳細及び好ましい態様は、上述した温度制御ユニットに含まれる樹脂部材に含まれる樹脂の詳細及び好ましい態様と同様である。
【0064】
必要に応じ、上記方法は、ジョイント部、リブ等の部品を設ける工程を備えてもよい。
ジョイント部、リブ等の部品は第1の樹脂部材又は第2の樹脂部材と一体的に形成されていてもよい。例えば、第1の樹脂部材とジョイント部とが一体的に形成されていてもよい。
【0065】
上記方法で製造される温度制御ユニットの詳細及び好ましい態様は、上述した温度制御ユニットの詳細及び好ましい態様と同様である。すなわち、上記方法は上述した温度制御ユニットを製造するためのものであってもよい。
【0066】
日本国特許出願第2020-200637号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に援用されて取り込まれる。