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▶ 齋藤 良裕の特許一覧

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  • 特許-スロットルトリガー 図1
  • 特許-スロットルトリガー 図2
  • 特許-スロットルトリガー 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】スロットルトリガー
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20241008BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B25F5/00 B
F16F15/02 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023032286
(22)【出願日】2023-02-13
(65)【公開番号】P2024114555
(43)【公開日】2024-08-23
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】523074744
【氏名又は名称】齋藤 良裕
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 良裕
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-047838(JP,U)
【文献】実開昭58-171305(JP,U)
【文献】特開2012-064409(JP,A)
【文献】実開昭63-042839(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
F16F 15/02
F02D 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
内燃機関内蔵工具に使用されているスロットルトリガーの、トリガー(1)の操作手指接触部分から手指に伝わる振動を低減させることを目的とした防振材(2)であって、発泡体、シリコーン樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ゲル、ゴム、ポリ塩化ビニルの少なくとも一種が原料であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスロットルトリガーの有する防振材(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関内蔵工具のスロットルトリガーから手指や腕に伝わる内燃機関の振動を低減させる為に好適なスロットルトリガーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスロットルトリガーとして、本出願人の提案に係るスロットルトリガーが公知である。そこでは図1に示すように、3(グリップ)を手で握り、1(トリガー)に手指(人差し指や中指)をかけて、トリガーを引き、エンジンアクセルの操作を行う。また、1(トリガー)、3(グリップ)、4(エンジンスイッチ)、5(ブロアーチューブ)は主にプラスチックからできているものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-255537
【文献】特開2012-21639
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
産業技術発展に伴い、エンジン式チェーンソー、エンジンブロアー、エンジン式り払い機に代表される機械的な振動を発生する内燃機関内蔵工具が普及するようになり、作業能率が大幅に改善されるようになった。しかし、内燃機関内蔵工具の普及に伴って、振動障害が大きな問題となった。振動障害とは、エンジン式チェーンソー、エンジンブロアー等の振動工具を取り扱うことにより手腕に振動暴露を受けた作業者に発生する疾病である。振動障害には、例えば、主として寒冷時に発作的に現れる手指の白色化現象(レイノー現象)を代表とする抹消循環障害や、手指のしびれ、感覚鈍麻を主体とする末梢神経障害、または、肘関節より抹消の関節症状(疼痛、可動域制限)や握力の低下等による運動機器障害等が挙げられる。
【0005】
この問題に対して、できるだけ振動の小さな工具を使用したり、作業時間を短くしたり、防振手袋を着用する等、様々な対策が採られるようになり、一時期、振動障害は下火になっていた。しかし、近年の経済環境の変化に伴い、作業者が不足し、労働時間が徐々に長時間化し始めると、下火になっていた振動障害が再び大きな問題となり、抜本的な対策が求められるようになった。
【0006】
現在、振動を伴う内燃機関内蔵工具には様々な防振対策がなされている。例えば、エンジン式チェーンソーでは、手で握るグリップ部にゴム製の防振材を備えているものが多い。エンジン式り払い機のグリップ部も同様に、ゴム製、或いはウレタン製の防振材を備えているものが多い。背負い式のエンジンブロアーでは、背中に伝わる振動を軽減する為にウレタン製の背あてを備えている。また、防振手袋も様々なものが市販されている。しかし防振手袋は、防振性の良いゴム製のものはスキー手袋のように分厚いものが多く、振動を抑えるという効果の一方で、物を掴むといった振動工具の操作以外での作業性が悪いという欠点があった。このように振動を伴う内燃機関内蔵工具には様々な防振対策がなされているが、アクセル操作を行うスロットルトリガーという部品に防振対策を施した工具は、いまだ市販されていない。
【0007】
多くの内燃機関内蔵工具のエンジン回転速度は、作業者がスロットルトリガーを操作してスロットル開度を変更することによって自由に調整することができるようになっている。内燃機関内蔵工具のスロットルトリガーの多くは軽量かつ耐久性があり、アクセルワイヤーを引く為に十分な硬度も必要なことから、プラスチックでできている。しかし耐久性や硬度がある反面、スロットルトリガーを操作する手指に伝わる振動は強く、分厚い防振手袋を装着して操作をしていても手指に伝わる振動を抑えきることはできず、手指(特にスロットルトリガーと接触する人差し指や中指)へ大きな負荷がかかり、手指の痺れや、疼痛を引き起こしてしまっていた。これは特に手指の関節というのは筋肉が少なく、神経や腱に振動がとても伝わりやすい為である。また同時に手指への振動は腕へも伝わる為、腕や肘への負荷ともなっていた。そうした手指や腕への負荷は、痺れや疼痛だけでなく、腱鞘炎等の怪我を引き起こしてしまう現状があった。
【0008】
特開2004-255537は、エアー式バフ機のような振動工具の振動取手に取付け、使用者の手に伝わる振動を緩和することのできる防振具を提供することを目的として考案されたものである。特開2004-255537によると、振動工具1の振動取手2に取付け、使用者の手に伝わる振動を緩和する防振具であって、少なくとも、振動取手2の上面と側面を覆う立体形状を展開した平面形状の上シート12、下シート13および防振材14を、上シート12と下シート13の間に防振材14を挟み、固着手段15によって固定して防振本体11を構成し、防振本体11を、振動取手2の上から被せた後、防振本体11の周端部を、絞り手段16によって絞り、少なくとも、振動取手2の上面と側面を覆った状態で固定するとある。しかし、この形態によって内燃機関内蔵工具のスロットルトリガーからの振動を軽減させようとすると、取付方法と、内燃機関内蔵工具の操作に問題が生じてしまう。
【0009】
特開2004-255537の防振具によって内燃機関内蔵工具のスロットルトリガーからの振動を軽減させようとすると、内燃機関内蔵工具のグリップ部を覆うように前記防振具を装着することになる。しかし、このような装着ではスロットルトリガーと防振具との間に空間が生じてしまい、スロットルトリガーの操作手指接触面に防振具を密着固定をさせることができない。その為、内燃機関内蔵工具の作業動作や、スロットルトリガーの操作に伴い前記防振具の固定位置にずれが生じ、スロットルトリガーの操作手指接触面に常に適正な位置で防振材を当てることができないという問題が生じてしまう。
【0010】
また、特開2004-255537の防振具を前述のように内燃機関内蔵工具のグリップ部を覆うように装着すると、スロットルトリガーと前記防振具の間に空間ができてしまうことにより、スロットルトリガーの開度を適正に操作できなくなるという問題も生じてしまう。スロットルトリガーの開度を適正に操作できなければ、エンジンアクセルを適正にコントロールできない為、作業能率、燃費効率の悪化に繋がってしまう。また、内燃機関内蔵工具のグリップにはエンジンスイッチが設置されているものが多いので、グリップ部を覆うように前記防振具を装着することで、エンジンスイッチを完全に覆い隠してしまうことになる。この状態ではエンジンスイッチの操作ができないという問題も生じてしまう。
【0011】
特開2012-21639は、作業性の良い防振手袋、防振グリップおよび防振機能付き防振工具と、作業性向上に貢献し得る防振弾性体とある。その防振弾性体は、JIS規格による硬度の互いに異なる弾性体10、20が互いに重ね合わされていて、弾性体10は、弾性体20側の表面に凹凸構造10Aを有しており、弾性体20は、弾性体10側の表面に凹凸構造20Aを有している。凹凸構造10A、20Aは、互いに噛み合っており、凹凸構造10Aと凹凸構造20Aとの間には、間隙Gが存在している。特開2012-21639の防振弾性体はそれぞれ独立した弾性体10、20を凹凸構造を噛合わせるように重ね合わせて1つの防振弾性体を成しているが、弾性体10、20は接着されておらず、独立した弾性体である為、前記防振弾性体を用いて防振手袋や防振グリップおよび防振機能付き防振工具を製造する際に、製造工程が多くなる、難しくなる問題が生じてしまう。
【0012】
特開2012-21639の防振弾性体はそれぞれ独立した弾性体10、20を凹凸構造を噛合わせるように重ね合わせて1つの防振弾性体を成しているが、この防振弾性体を製造する段階で硬度の異なり、かつ凹凸構造をもった弾性体を2種類、つまり弾性体10、20を用意しなければならない。また、弾性体10、20は接着されておらず、独立した弾性体である為、前記防振弾性体を用いるときは、弾性体10、20を凹凸構造を噛合わせて重ねるという製造工程が生じる。防振手袋や防振グリップおよび防振機能付き防振工具に前記防振弾性体を備えつけるには、備えつける物の形状に応じて前記防振弾性体を切断加工しなければならない。弾性体10、20が噛み合わさった状態で接着されていれば切断加工がしやすくなるかもしれないが、前記防振弾性体はJIS規格による硬度の互いに異なる弾性体10、20が互いに重ね合わされていて、弾性体10は、弾性体20側の表面に凹凸構造10Aを有しており、弾性体20は、弾性体10側の表面に凹凸構造20Aを有し、凹凸構造10A、20Aは、互いに噛み合っており、凹凸構造10Aと凹凸構造20Aとの間には、間隙Gが存在していることを特徴としているので、接着剤を用いて弾性体10、20の凹凸構造を接着させてしまったり、間隙Gを埋めてしまっては、前記防振弾性体の防振性能を損ねてしまうことになる。その為、弾性体10、20を接着せずに切断加工することが望ましいが、加工する形状は大きさも様々で、形状も複雑な物が多くなるので、弾性体10、20を接着せずに重ねあわせた状態で同じ形状に切断加工することは防振手袋や防振グリップおよび防振機能付き防振工具を製造する上で難しさを伴う課題となってくる。
【0013】
また、特開2012-21639の防振手袋の実施形態を見ると、手のひら部分が外皮部31と内皮部31の2層構造になっており、前記防振弾性体を外皮部31と内皮部31の間に挟み、防振弾性体の周縁部を縫製して防振弾性体を固定しているが、この工程においても弾性体10、20が接着されずに凹凸構造を噛み合わせた状態で製造をしなければならないので、大量製造をする上で、弾性体10、20を接着せずに凹凸構造を噛み合わせた状態を維持することは、製造を難しくする課題だといえる。
【0014】
本発明はかかる問題点を鑑みてなされたもので、内燃機関内蔵工具のスロットルトリガーの操作手指接触部分から伝わる防振手袋を装着していても抑えきれなかった振動を低減し、かつ、スロットルトリガーの開度を適正に操作でき、作業性を損なわないスロットルトリガーを提供することを目的としている。また、製造がしやすく、多くの内燃機関内蔵工具の使用者の手指や腕への負担軽減に貢献し得るスロットルトリガーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
内燃機関内蔵工具に使用されているスロットルトリガーであって、トリガー(1)の操作手指接触部分に防振材(2)を有し、前記防振材(2)は、コーティング材(2a)、防振材(2b)、両面テープ(2c)又は接着剤からなる多層構造であることを特徴とするスロットルトリガー。
【0016】
前記防振材(2)は発泡体、シリコーン樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ゲル、ゴム、ポリ塩化ビニルの少なくとも一種が原料であることを特徴とする請求項1に記載のスロットルトリガー。
【0017】
内燃機関内蔵工具に使用されているスロットルトリガーの、トリガー(1)の操作手指接触部分から手指に伝わる振動を低減させることを目的とした防振材(2)であって、発泡体、シリコーン樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ゲル、ゴム、ポリ塩化ビニルの少なくとも一種が原料であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスロットルトリガーの有する防振材(2)。
【発明の効果】
【0018】
本発明においては、プラスチック製のトリガー(1)から手指に伝わる振動を、手指接触部分に備えた防振材(2)で低減することで、操作中の手指にかかる負荷を軽減させることができる。また、手指から腕や肘に伝わる振動も低減するので、操作中の腕や肘にかかる負荷も大幅に軽減させることができる
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】 本発明に係るスロットルトリガーの側面図である。
図2】 トリガー(1)の側面図および、トリガー(1)に備えた防振材(2)におけるA-A線断面図と防振材の構造図である。
図3】 本発明に係るスロットルトリガーを前方から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、エンジンブロアー、エンジン式刈り払い機、エンジン式チェーンソー、に代表される内燃機関内蔵工具に使用されているスロットルトリガー((1)、(3)、(4)全体の機構を指す)(図1図2図3はエンジンブロアーのスロットルトリガー)の、トリガー(1)の操作手指接触部分に防振材(2)を備えさせ、プラスチック製のトリガー(1)から接触する手指に伝わる振動を低減させる。
【0021】
図1図2図3は本発明に係るスロットルトリガーの実施形態を示す。図3において、トリガー(1)の手指接触面の形状に合わせて成形された防振材(2)を、トリガー(1)の手指接触面に接着する。
【0022】
図2において、実施形態の防振材(2)は3層構造となっており、防振材(2b)をトリガー(1)に両面テープ(2c)で接着し、その上から防振材(2b)の摩耗防止と接着強度の増加の為にコーティング材(2a)を塗布、成形し、トリガー(1)に接着させる。コーティング(2a)はシリコーン樹脂、ゴム、ポリ塩化ビニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
実施形態では防振材に発泡ポリエチレンを使用した。発泡ポリエチレンはポリエチレン樹脂を原料とし発泡させたもので、割れにくい、潰れにくい、柔軟性があるといった特徴がある。製造業で製品の緩衝材に使われることが多く、緩衝性に優れる特徴を持っている。また切断も容易なので、加工性にも優れている。発泡倍率を変えることにより硬さを変えることもできる。
【0024】
防振材として用いられる素材には熱可塑性エラストマーも考えられる。実施例では使用しなかったが、熱可塑性エラストマーは弾性、柔軟性に優れており、ゲルクッション等の緩衝材に使用されている。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
実施形態では発泡ポリエチレン製防振材(2b)をトリガー(1)の手指接触面に接着させる為に両面テープ(2c)を使用した。接着剤には発泡ポリエチレンを溶かしてしまう溶剤が入ったものがあるので、発泡ポリエチレン製防振材(2b)を溶かさない接着方法として両面テープ(2c)を選択した。接着方法として発泡ポリエチレンに使用できる接着剤もある。発泡ポリエチレンに使用できる接着剤にはシアノアクリレート、変成シリコーン樹脂、アルコール系溶剤を用いた接着剤、無溶剤の接着剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
実施形態では発泡ポリエチレン製防振材(2b)を接着、コーティングする為にシリコーン樹脂(2a)を使用した。シリコーン樹脂(2a)でコーティングすることにより、発泡ポリエチレン製防振材(2b)を接着する両面テープ(2c)がスロットルトリガーの使用に伴ってずれたり、剥がれたりすることを防ぐことができる。また、シリコーン樹脂(2a)の接着力により接着強度を強くすることができる。発泡ポリエチレン製防振材(2b)は摩擦に弱い為、シリコーン樹脂(2a)でコーティングすることにより、スロットルトリガーの使用に伴う劣化を防ぐことができる。シリコーン樹脂(2a)は柔軟性があり、撥水性や耐候性に優れており、コーティング材として適した素材といえる。今回の実施形態では、シリコーン樹脂(2a)をコーティング材として使用した。コーティング材は他にウレタン樹脂、アクリル樹脂、ゴム、ポリ塩化ビニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
図2図3において、トリガー(1)の手指接触面の形状に合わせて成形された発泡ポリエチレン製防振材(2b)を、トリガー(1)の手指接触面に両面テープ(2c)を用いて接着する。その上からシリコーン樹脂(2a)を発泡ポリエチレン製防振材(2b)を覆うように塗布、成形し、コーティングすると同時にトリガー(1)に接着させる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
エンジン式チェーンソーやエンジンブロアー等の内燃機関内蔵工具は、林業や農業、インフラの管理、土木業、造園業やゴルフ場管理等様々な場面で使用されている。そうした中で、作業範囲が広い、作業時間が長い、エンジンを高回転で使用する時間が長い等、作業者の手指や腕への負荷が大きくなってしまうことが少なくない。本発明はこうした作業者の手指や腕の負荷を低減させることが期待される。また、エンジンブロアーはトリガーを固定しエンジン回転を一定にすることができるが、作業能率や燃費性を考慮すると、トリガーを細かく操作し、エンジン回転をコントロールする必要があるため、トリガーに手指が接触する時間が長くなってしまうことが多い。そうした状況にある作業者の手指や腕の負荷を低減させることも本発明では期待されている。それに加え、エンジン式チェーンソーやエンジンブロアー、エンジン式刈り払い機に代表される内燃機関内蔵工具を使用する際、必ずしも防振手袋を装着して作業をしているとは限らない。その理由は林業や農業、インフラの管理、土木業、造園業やゴルフ場管理等様々な場面で内燃機関内蔵工具を使用する際は、それ以外の作業も並行して行うことが多いからである。例えばエンジンブロアーで落ち葉を吹き飛ばした後に作業車を運転することを繰り返したり、落ち葉を集める手作業の清掃をしたり、エンジン式チェーンソーを使用して樹を伐採する際は切り落とした枝の片付けも並行して行わなければならない等、防振手袋とそれ以外の手袋をその都度付け替えている余裕がなかったり、防振手袋とそれ以外の手袋の両方を常時携帯できなかったりすることがとても多い。そうした作業者が常に防振手袋を携帯していなくとも、内燃機関内蔵工具のスロットルトリガーの手指接触部分から操作手指に伝わる振動を低減し、作業者の手指や腕への負担を低減させることも本発明では期待されている。
【符号の説明】
【0029】
1 トリガー
2 防振材
2a シリコーン樹脂
2b 発泡ポリエチレン製防振材
2c 両面テープ
3 グリップ
4 エンジンスイッチ
5 ブロアーチューブ
図1
図2
図3