(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】生成システム、プログラム、及び波形評価モデルの生成方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/36 20060101AFI20241008BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20241008BHJP
【FI】
G06F11/36 184
G06N20/00
(21)【出願番号】P 2023032308
(22)【出願日】2023-03-02
【審査請求日】2023-11-10
(32)【優先日】2022-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良平
(72)【発明者】
【氏名】株丹 亮
(72)【発明者】
【氏名】角谷 拓也
【審査官】西間木 祐紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/196293(WO,A1)
【文献】特許第7015405(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第112240964(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0263839(US,A1)
【文献】特開2020-064367(JP,A)
【文献】特開2022-038659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/36
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形データを取得する波形取得部と、
ユーザの意図を特定する意図特定部と、
前記意図特定部によって特定された前記ユーザの意図を反映させた方法で、前記波形取得部が取得した前記波形データから疑似波形データを生成する疑似波形生成部と
、
前記疑似波形生成部によって前記波形データから生成された前記疑似波形データと、当該疑似波形データを生成する元となった前記波形データとの類似性を示す表示データを、前記ユーザに対して表示するよう制御する類似性表示制御部と
を備える生成システム。
【請求項2】
前記疑似波形生成部は、複数のアルゴリズム、複数のパラメータ設定、及び乱数の少なくともいずれかを用いることによって、前記波形データから、複数の前記疑似波形データを生成し、
前記類似性表示制御部は、前記疑似波形生成部によって前記波形データから生成された前記複数の疑似波形データと、当該複数の疑似波形データを生成する元となった前記波形データとの類似性を示す前記表示データを前記ユーザに対して表示するよう制御する、請求項
1に記載の生成システム。
【請求項3】
前記意図特定部は、前記ユーザの指示に従ってアルゴリズムとパラメータ設定との複数の組み合わせを特定し、
前記疑似波形生成部は、前記意図特定部によって特定された前記複数の組み合わせそれぞれについて、前記アルゴリズム及び前記パラメータ設定を用いて前記波形データから前記複数の疑似波形データを含む疑似波形データセットを生成し、
前記類似性表示制御部は、前記疑似波形生成部によって生成された複数の前記疑似波形データセットのそれぞれの、生成する元となった前記波形データとの類似性を示す前記表示データを、前記ユーザに対して表示するよう制御する、請求項
2に記載の生成システム。
【請求項4】
前記疑似波形生成部によって生成された複数の前記疑似波形データセットのそれぞれに、前記疑似波形データセットの生成に用いられた前記アルゴリズムと前記パラメータ設定との組み合わせを識別可能なレシピ情報を対応付けて、前記複数の疑似波形データセットを記憶する疑似波形記憶部
を備える、請求項
3に記載の生成システム。
【請求項5】
前記疑似波形生成部によって生成された複数の前記疑似波形データセットのそれぞれに、前記疑似波形データセットを生成する元となった前記波形データを識別可能な元波形識別情報を対応付けて、前記複数の疑似波形データセットを記憶する疑似波形記憶部
を備える、請求項
3に記載の生成システム。
【請求項6】
前記類似性表示制御部によって表示された前記表示データに対する、前記ユーザによる前記類似性の範囲の指定を受け付ける範囲指定受付部と、
前記範囲指定受付部が前記指定を受け付けた前記類似性の範囲に対応する複数の前記疑似波形データを選択する範囲内波形選択部と、
前記範囲内波形選択部によって選択された前記複数の疑似波形データを含む疑似波形データセットを記憶する疑似波形記憶部と
を備える、請求項
2に記載の生成システム。
【請求項7】
前記類似性表示制御部は、前記疑似波形データと前記疑似波形データを生成する元となった前記波形データとの類似性を示す前記表示データ、及び、前記疑似波形データと前記波形データとは異なる他の波形データとの類似性を示す他の表示データを、前記ユーザに対して表示するよう制御する、請求項
1に記載の生成システム。
【請求項8】
波形データを取得する波形取得部と、
ユーザの意図を特定する意図特定部と、
前記波形データに対して複数の前処理の少なくともいずれかを施す前処理部と、
前記意図特定部によって特定された前記ユーザの意図を反映させた方法で、前記前処理部によって前記前処理が施された前記波形データから疑似波形データを生成する疑似波形生成部と、
前記疑似波形生成部によって生成された複数の前記疑似波形データを含む疑似波形データセットに対して、前記前処理を識別可能な前処理識別情報を対応付けて、前記疑似波形データセットを記憶する疑似波形記憶部と
を備える
、生成システム。
【請求項9】
波形データを取得する波形取得部と、
ユーザの意図を特定する意図特定部と、
前記波形データに対して複数の前処理の少なくともいずれかを施す前処理部と、
前記意図特定部によって特定された前記ユーザの意図を反映させた方法で、前記前処理部によって前記前処理が施された前記波形データから疑似波形データを生成する疑似波形生成部と、
前記疑似波形生成部によって生成された前記疑似波形データを用いた機械学習を実行することによって、入力された波形データの評価結果を出力する波形評価モデルを生成する学習実行部と、
前記学習実行部によって生成された前記波形評価モデルに対して、前記前処理を識別可能な前処理識別情報を対応付けて、前記波形評価モデルを記憶する波形評価モデル記憶部と
を備える、生成システム。
【請求項10】
前記波形評価モデル記憶部に記憶されている前記前処理識別情報が対応付けられた前記波形評価モデルを取得するモデル取得部と、
入力波形データに対して、前記前処理識別情報が示す前処理を施して、前記波形評価モデルに入力する波形入力部と、
前記波形評価モデルから出力された前記入力波形データの評価結果を出力するよう制御する評価結果出力制御部と
を備える、請求項
9に記載の生成システム。
【請求項11】
前記疑似波形生成部によって生成された前記疑似波形データに、前記疑似波形データが前記波形データから生成されたデータであることを示す疑似識別情報を対応付けて、前記疑似波形データを記憶する疑似波形記憶部と、
前記疑似波形生成部によって生成された前記疑似波形データを用いた機械学習を実行することによって、入力された波形データの評価結果を出力する波形評価モデルを生成し、前記疑似波形データを用いずに、前記波形評価モデルの評価を行う学習実行部と
を備える、請求項1に記載の生成システム。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1から
11のいずれか一項に記載の生成システムとして機能させるためのプログラム。
【請求項13】
コンピュータによって実行される波形評価モデルの生成方法であって、
波形データを取得する波形データ取得段階と、
ユーザの意図を特定する意図特定段階と、
前記意図特定段階において特定された前記ユーザの意図を反映させた方法で、前記波形データ取得段階において取得された前記波形データから疑似波形データを生成する疑似波形生成段階と
、
前記疑似波形生成段階において生成された前記疑似波形データを用いた機械学習を実行することによって、入力された波形データの評価結果を出力とする波形評価モデルを生成する学習実行段階と
を備え、
前記疑似波形生成段階において前記波形データから生成された前記疑似波形データと、当該疑似波形データを生成する元となった前記波形データとの類似性を示す表示データを、前記ユーザに対して表示するよう制御する類似性表示制御段階
を更に備える、波形評価モデルの生成方法。
【請求項14】
コンピュータによって実行される波形評価モデルの生成方法であって、
波形データを取得する波形データ取得段階と、
ユーザの意図を特定する意図特定段階と、
前記波形データに対して複数の前処理の少なくともいずれかを施す前処理段階と、
前記意図特定段階において特定された前記ユーザの意図を反映させた方法で、前記前処理段階において前記前処理が施された前記波形データから疑似波形データを生成する疑似波形生成段階と、
前記疑似波形生成段階において生成された複数の前記疑似波形データを含む疑似波形データセットに対して、前記前処理を識別可能な前処理識別情報を対応付けて、前記疑似波形データセットを記憶する疑似波形記憶段階と、
前記疑似波形生成段階において生成された前記疑似波形データを用いた機械学習を実行することによって、入力された波形データの評価結果を出力とする波形評価モデルを生成する学習実行段階と
を備える、波形評価モデルの生成方法。
【請求項15】
コンピュータによって実行される波形評価モデルの生成方法であって、
波形データを取得する波形データ取得段階と、
ユーザの意図を特定する意図特定段階と、
前記波形データに対して複数の前処理の少なくともいずれかを施す前処理段階と、
前記意図特定段階において特定された前記ユーザの意図を反映させた方法で、前記前処理段階において前記前処理が施された前記波形データから疑似波形データを生成する疑似波形生成段階と、
前記疑似波形生成段階において生成された前記疑似波形データを用いた機械学習を実行することによって、入力された波形データの評価結果を出力とする波形評価モデルを生成する学習実行段階と、
前記学習実行段階において生成された前記波形評価モデルに対して、前記前処理を識別可能な前処理識別情報を対応付けて、前記波形評価モデルを記憶する波形評価モデル記憶段階と
を備える、波形評価モデルの生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生成システム、プログラム、及び波形評価モデルの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1及び非特許文献2には、既存のデータから新たなデータを生成するデータ拡張という技術について記載されている。
[先行技術文献]
[非特許文献]
[非特許文献1]Zhao, Zhengli, Zizhao, Zhang, Ting, Chen, Sameer, Singh, and Han, Zhang. "Image Augmentations for GAN Training." (2020).
[非特許文献2]Brian Kenji Iwana, and Seiichi Uchida. "An empirical survey of data augmentation for time series classification with neural networks".PLOS ONE 16, no.7 (2021): e0254841.
【発明の概要】
【0003】
本発明の一実施態様によれば、生成システムが提供される。前記生成システムは、波形データを取得する波形取得部を備えてよい。前記生成システムは、ユーザの意図を特定する意図特定部を備えてよい。前記生成システムは、前記意図特定部によって特定された前記ユーザの意図を反映させた方法で、前記波形データ取得部が取得した前記波形データから疑似波形データを生成する疑似波形生成部を備えてよい。
【0004】
前記生成システムは、前記疑似波形生成部によって前記波形データから生成された前記疑似波形データと、当該疑似波形データを生成する元となった前記波形データとの類似性を示す表示データを、前記ユーザに対して表示するよう制御する類似性表示制御部を備えてよい。前記疑似波形生成部は、複数のアルゴリズム、複数のパラメータ設定、及び乱数の少なくともいずれかを用いることによって、前記波形データから、複数の前記疑似波形データを生成してよく、前記類似性表示制御部は、前記疑似波形生成部によって前記波形データから生成された前記複数の疑似波形データと、当該複数の疑似波形データを生成する元となった前記波形データとの類似性を示す前記表示データを前記ユーザに対して表示するよう制御してよい。前記意図特定部は、前記ユーザの指示に従ってアルゴリズムとパラメータ設定との複数の組み合わせを特定してよく、前記疑似波形生成部は、前記意図特定部によって特定された前記複数の組み合わせそれぞれについて、前記アルゴリズム及び前記パラメータ設定を用いて前記波形データから前記複数の疑似波形データを含む疑似波形データセットを生成してよく、前記類似性表示制御部は、前記疑似波形生成部によって生成された複数の前記疑似波形データセットのそれぞれの、生成する元となった前記波形データとの類似性を示す前記表示データを、前記ユーザに対して表示するよう制御してよい。前記生成システムは、前記疑似波形生成部によって生成された複数の前記疑似波形データセットのそれぞれに、前記疑似波形データセットの生成に用いられた前記アルゴリズムと前記パラメータ設定との組み合わせを識別可能なレシピ情報を対応付けて、前記複数の疑似波形データセットを記憶する疑似波形記憶部を備えてよい。
【0005】
前記いずれかの生成システムは、前記疑似波形生成部によって生成された複数の前記疑似波形データセットのそれぞれに、前記疑似波形データセットを生成する元となった前記波形データを識別可能な元波形識別情報を対応付けて、前記複数の疑似波形データセットを記憶する疑似波形記憶部を備えてよい。
【0006】
前記いずれかの生成システムは、前記類似性表示制御部によって表示された前記表示データに対する、前記ユーザによる前記類似性の範囲の指定を受け付ける範囲指定受付部と、前記範囲指定受付部が前記指定を受け付けた前記類似性の範囲に対応する複数の前記疑似波形データを選択する範囲内波形選択部と、前記範囲内波形選択部によって選択された前記複数の疑似波形データを含む疑似波形データセットを記憶する疑似波形記憶部とを備えてよい。
【0007】
前記いずれかの生成システムは、前記類似性表示制御部は、前記疑似波形データと前記疑似波形データを生成する元となった前記波形データとの類似性を示す前記表示データ、及び、前記疑似波形データと前記波形データとは異なる他の波形データとの類似性を示す他の表示データを、前記ユーザに対して表示するよう制御してよい。
【0008】
前記いずれかの生成システムは、前記波形データに対して複数の前処理の少なくともいずれかを施す前処理部と、前記前処理部によって前記前処理が施された前記波形データから前記疑似波形生成部によって生成された複数の前記疑似波形データを含む疑似波形データセットに対して、前記前処理を識別可能な前処理識別情報を対応付けて、前記疑似波形データセットを記憶する疑似波形記憶部とを備えてよい。
【0009】
前記いずれかの生成システムは、前記波形データに対して複数の前処理の少なくともいずれかを施す前処理部と、前記前処理部によって前記前処理が施された前記波形データから前記疑似波形生成部によって生成された前記疑似波形データを用いた機械学習を実行することによって、入力された波形データの評価結果を出力する波形評価モデルを生成する学習実行部と、前記学習実行部によって生成された前記波形評価モデルに対して、前記前処理を識別可能な前処理識別情報を対応付けて、前記波形評価モデルを記憶する波形評価モデル記憶部とを備えてよい。前記生成システムは、前記波形評価モデル記憶部に記憶されている前記前処理識別情報が対応付けられた前記波形評価モデルを取得するモデル取得部と、入力波形データに対して、前記前処理識別情報が示す前処理を施して、前記波形評価モデルに入力する波形入力部と、前記波形評価モデルから出力された前記入力波形データの評価結果を出力するよう制御する評価結果出力制御部とを備えてよい。
【0010】
前記いずれかの生成システムは、前記疑似波形生成部によって生成された前記疑似波形データに、前記疑似波形データが前記波形データから生成されたデータであることを示す疑似識別情報を対応付けて、前記疑似波形データを記憶する疑似波形記憶部と、前記疑似波形生成部によって生成された前記疑似波形データを用いた機械学習を実行することによって、入力された波形データの評価結果を出力する波形評価モデルを生成し、前記疑似波形データを用いずに、前記波形評価モデルの評価を行う学習実行部とを備えてよい。
【0011】
本発明の一実施態様によれば、コンピュータを、前記生成システムとして機能させるためのプログラムが提供される。本発明の一実施態様によれば、前記プログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0012】
本発明の一実施態様によれば、コンピュータによって実行される波形評価モデルの生成方法が提供される。前記生成方法は、波形データを取得する波形データ取得段階を備えてよい。前記生成方法は、ユーザの意図を特定する意図特定段階を備えてよい。前記生成方法は、前記意図特定段階において特定された前記ユーザの意図を反映させた方法で、前記波形データ取得段階において取得された前記波形データから疑似波形データを生成する疑似波形生成段階を備えてよい。前記生成方法は、前記疑似波形生成段階において生成された前記疑似波形データを用いた機械学習を実行することによって、入力された波形データの評価結果を出力とする波形評価モデルを生成する学習実行段階を備えてよい。
【0013】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴のすべてを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】システム10における処理について説明するための説明図である。
【
図3】疑似波形確認処理に関する表示の一例を示す。
【
図4】疑似波形確認処理に関する表示の一例を示す。
【
図5】システム10の機能構成の一例を概略的に示す。
【
図6】システム10による波形評価モデルの生成処理の流れの一例を概略的に示す。
【
図8】膨張処理アルゴリズムについて説明するための説明図である。
【
図9】膨張収縮処理アルゴリズムについて説明するための説明図である。
【
図10】スケールランダム変形アルゴリズムについて説明するための説明図である。
【
図11】類似性表示制御部170によって表示された表示データ400の一例を概略的に示す。
【
図12】システム10又はシステム10の一部として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、システム10における処理について説明するための説明図である。システム10は、1つの装置によって実現されてよい。システム10は、複数の装置によって実現されてもよい。システム10は、生成システムの一例であってよい。
【0017】
システム10は、既存の波形から疑似波形を生成する。システム10は、例えば、疑似異常波形を生成する機能を有することによって、少ない異常データでもAIの学習を可能とする。システム10は、疑似異常波形を生成し出力する疑似異常波形生成機能を有する。システム10は、疑似異常波形を用いて判別器を学習する判別器学習機能を有してよい。
【0018】
例えば、立ち上げ前の工程では異常データが十分に計測できていない場合が多い。この状況下で、検査工程における自動化(正常、異常を自動で判定する)を実現するためにAIのモデルを生成したとしても十分な性能が得られない場合が多い。これは、少ない異常データに過学習しやすく、判定の精度が十分に得られないことに起因する。
【0019】
それに対して、システム10は、異常波形を、物理的意味を大きく損なわないように加工して、疑似異常波形として生成する。システム10は、少量の異常波形から、さまざまに加工した疑似異常波形を大量に生成する。
【0020】
例えば、製品製造システムにおいて、製造した製品に不具合がないかを検査したいが、製造工程が立ち上がったばかりで異常データの数が少ない、という状況は数多く存在する。正常、異常を精度よく判定するためには、ある程度の数の異常データが必要となるが、必要数まで収集を続けると、工程能力を3σ(規格を外れる可能性が約0.3%)とした製造工程では、異常データが出現するのは1000個中3個であり、仮に100個の異常データを収集しようとした場合、33000個製造しなければならない。これでは、検査用のAIの立ち上げに時間がかかってしまう。
【0021】
本実施形態に係るシステム10によれば、少量の異常データが収集できた段階で、大量の疑似異常データを生成することによって、十分な精度のAI判別器を生成することができ、早期の自動検査工程の立ち上げに貢献することができる。
【0022】
システム10は、異常波形に限らず、正常波形から疑似正常波形を生成してもよい。システム10は、異常波形、正常波形に限らず、任意の波形から疑似波形を生成してもよい。
【0023】
システム10は、例えば、繰り返し動作を行うモータ等により、周期的に取得される固定長の波形データを処理対象とする。システム10は、例えば、波形に周期性があり、周波数領域へ変換後、特徴が現れるデータを処理対象とする。
【0024】
システム10は、波形記憶部102を備える。波形記憶部102は、疑似波形データを生成する元となる波形データを記憶する。波形データは、時系列データであってよい。例えば、波形記憶部102は、対象システムを観測したり測定したりすることによって生成された波形データを記憶する。
【0025】
波形記憶部102は、対象システム自体に異常が発生している状態で、対象システムを観測したり測定したりして生成された異常波形データを記憶してよい。波形記憶部102は、例えば、対象システムにあえて異常を生じさせている状態で、対象システムを観測したり測定したりして生成された異常波形データを記憶してよい。波形記憶部102は、対象システムが製造物を製造するシステムである場合に、製造物に異常が発生しているときに対象システムを観測したり測定したりして生成された異常波形データや、当該製造物を観測したり測定したりして生成された異常波形データを記憶してよい。
【0026】
波形記憶部102は、正常波形と異常波形とを判別するAIを生成するために使用する、正常波形データを記憶してよい。波形記憶部102は、対象システムが正常に動作している状態で、対象システムを観測したり測定したりして生成された正常波形データを記憶してよい。波形記憶部102は、対象システムが製造物を製造するシステムである場合に、製造物が正常であるときに対象システムを観測したり測定したりして生成された正常波形データや、当該製造物を観測したり測定したりして生成された正常波形データを記憶してよい。
【0027】
なお、波形記憶部102は、正常波形データ及び異常波形データに関わらず、任意の波形データを記憶してもよい。
【0028】
システム10は、波形記憶部102に記憶されている波形データに対して、水増し処理104を実行してよい。水増し処理104は、システム10が備える疑似波形生成部によって実行されてよい。
【0029】
疑似波形生成部は、例えば、波形記憶部102に記憶されている異常波形データから、疑似的に様々な疑似異常波形データを生成する。疑似波形生成部は、例えば、異常波形データに対してノイズを付加したり、グラフ縦軸方向に膨張したり、グラフ縦軸方向に縮小したり、グラフ横軸方向に膨張したり、グラフ横軸方向に縮小したりすること等によって、疑似異常波形データを生成する。具体例として、疑似波形生成部は、
図2に示すように、異常波形データ202を、グラフ横軸方向に膨張することによって疑似異常波形データ204を生成したり、異常波形データ202を、グラフ縦軸方向に膨張することによって疑似異常波形データ206を生成したりする。
【0030】
具体例として、疑似波形生成部は、10件程度の異常波形データから、100件程度の疑似異常波形データを生成する。
【0031】
疑似波形生成部は、同様に、正常波形データから、疑似的に様々な疑似正常波形データを生成してもよい。疑似波形生成部は、同様に、任意の波形データから、疑似的に様々な疑似波形データを生成してもよい。
【0032】
学習データ記憶部106は、正常波形と異常波形とを判別するAIを学習するための学習データを記憶する。学習データ記憶部106は、波形記憶部102に記憶されている波形データと、疑似波形生成部によって生成された疑似波形データとを学習データとして記憶してよい。例えば、学習データ記憶部106は、波形記憶部102に記憶されている正常波形データ及び少量の異常波形データと、疑似波形生成部によって、当該少量の異常波形データから生成された疑似異常波形データとを記憶する。
【0033】
システム10は、システム10のユーザによるユーザ入力108を受け付ける入力受付部を備えてよい。また、システム10は、元の波形データから疑似波形データを生成する複数のアルゴリズムを記憶するアルゴリズム記憶部110を備えてよい。
【0034】
疑似波形生成部は、入力受付部が受け付けたユーザ入力108に応じて、アルゴリズム記憶部110に記憶されている複数のアルゴリズムから、1又は複数のアルゴリズムを選択する選択処理112を実行してよい。
【0035】
疑似波形生成部は、疑似波形データを生成するためのパラメータを設定するパラメータ設定処理114を実行してよい。疑似波形生成部は、例えば、1つのアルゴリズムについて、パラメータ振り幅大、パラメータ振り幅中、パラメータ振り幅小のように、複数のパラメータを設定してよい。疑似波形生成部は、入力受付部が受け付けたユーザ入力108に応じて、パラメータ設定処理114を実行してよい。疑似波形生成部は、自動的にパラメータ設定処理114を実行してもよい。疑似波形生成部は、例えば、正常波形データと異常波形データとの差に基づいて、パラメータ設定処理114を実行する。
【0036】
疑似波形生成部は、選択処理112によって選択したアルゴリズムに、パラメータ設定処理114によって設定されたパラメータを適用して、疑似波形データを生成する生成処理116を実行する。疑似波形生成部は、例えば、選択処理112において選択した1つのアルゴリズムに、パラメータ設定処理114において設定した複数のパラメータを順に適用して、疑似波形データを生成する。例えば、疑似波形生成部は、ノイズ付加のアルゴリズムについて、振り幅大のパラメータを設定して疑似波形データを生成し、振り幅中のパラメータを設定して疑似波形データを生成し、振り幅小のパラメータを設定して疑似波形データを生成する。疑似波形生成部は、生成した疑似波形データをデータ記憶部118に記憶させる。
【0037】
具体例として、疑似波形生成部は、波形データに対して、平均0、標準偏差σの正規分布に基づくランダムな数値を加算することによって、疑似波形データを生成する。また、具体例として、疑似波形生成部は、波形データに対して、平均1、標準偏差σの正規分布に基づくランダムな数値を積算することによって、疑似波形データを生成する。疑似波形生成部は、パラメータ設定処理114によって、標準偏差σを設定してよい。疑似波形生成部は、例えば、ユーザ指示に従って、1又は複数の標準偏差σを設定する。疑似波形生成部は、疑似異常波形データを生成する場合に、例えば、正常波形データと異常波形データとの差に基づいて、標準偏差σを設定する。例えば、疑似波形生成部は、正常波形データと異常波形データとの差が大きいほど、標準偏差σを大きくする。
【0038】
システム10は、データ記憶部118に記憶された疑似波形データの全てを学習データとしてもよく、システム10のユーザの意向によって、データ記憶部118に記憶されている疑似波形データの一部のみを学習データとしてもよい。
【0039】
システム10は、疑似波形確認処理部を備えてよい。疑似波形確認処理部は、データ記憶部118に記憶されている疑似波形データに対するユーザ意向・反映処理120を実行する。
【0040】
疑似波形確認処理部は、アルゴリズムとパラメータ設定との組み合わせ毎に、生成された疑似波形データの特徴を表す分布をユーザに対して表示する分布表示処理122を実行してよい。例えば、疑似波形確認処理部は、疑似波形データを生成する元となった波形データに対して、アルゴリズムとパラメータ設定との組み合わせ毎の疑似波形データが、どの程度のばらつきをもって生成されているかを視覚的に表示するヒストグラム又はグラフをユーザに対して表示する。具体例として、疑似波形確認処理部は、一のアルゴリズムに対して、第1のパラメータを設定して生成した複数の疑似波形データと元の波形データとの相関を示すヒストグラムと、第2のパラメータを設定して生成した複数の疑似波形データと元の波形データとの相関を示すヒストグラムと、第3のパラメータを設定して生成した複数の疑似波形データと元の波形データとの相関を示すヒストグラムとを合わせて表示する。疑似波形確認処理部は、他のアルゴリズムについても同様に、複数のパラメータのそれぞれを設定して生成した複数の疑似波形データのヒストグラムを表示してよい。ユーザは、当該表示を閲覧することによって、複数のアルゴリズムとパラメータ設定との組み合わせのうち、いずれを採用するかを検討できる。
【0041】
例えば、疑似波形確認処理部は、疑似異常波形データを生成する元となった異常波形データに対する、アルゴリズムとパラメータ設定との組み合わせ毎の疑似異常波形データのばらつきを視覚的に表示するヒストグラム又はグラフをユーザに対して表示する。疑似波形確認処理部は、異常波形データの平均波形と、アルゴリズムとパラメータ設定との組み合わせ毎の疑似異常波形データの平均波形とを合わせて表示してもよい。疑似波形確認処理部は、様々な観点で、異常波形データと、アルゴリズムとパラメータ設定との組み合わせ毎の疑似異常波形データとの統計的な相違を表すヒストグラム又はグラフをユーザに対して表示してよい。
【0042】
例えば、疑似波形確認処理部は、正常波形データに対する、異常波形データ、及びアルゴリズムとパラメータ設定との組み合わせ毎の疑似異常波形データのばらつきを視覚的に表示するヒストグラム又はグラフをユーザに対して表示してもよい。疑似波形確認処理部は、正常波形データの平均波形と、異常波形データの平均波形と、アルゴリズムとパラメータ設定との組み合わせ毎の疑似異常波形データの平均波形とを合わせて表示してもよい。疑似波形確認処理部は、様々な観点で、正常波形データと、異常波形データ及びアルゴリズムとパラメータ設定との組み合わせ毎の疑似異常波形データとの統計的な相違を表すヒストグラム又はグラフをユーザに対して表示してよい。具体例として、疑似波形確認処理部は、
図3に例示するようなヒストグラム212及び波形214をユーザに対して表示してよい。
【0043】
疑似波形確認処理部は、分布表示処理122によって分布を表示した疑似波形データから、ユーザの指示に従って、少なくとも一部を選択する選択処理124を実行してよい。疑似波形確認処理部は、選択処理124によって選択した疑似波形データを個別に表示する個別表示処理126を実行してよい。ユーザは、当該表示を閲覧することによって、疑似波形データを個別に確認することができ、複数のアルゴリズムとパラメータ設定との組み合わせのうち、いずれを採用するかを判断する材料とすることができる。疑似波形確認処理部は、具体例として、
図4のような表示220をユーザに提供してよい。
【0044】
疑似波形確認処理部は、分布表示処理122及び個別表示処理126による表示を閲覧したユーザの指示に従って、分布のうちの採用する範囲、又は分布のうちの採用しない範囲を選択する範囲選択処理128を実行する。疑似波形確認処理部は、範囲選択処理128による選択結果を、ユーザの意向とし、採用する範囲のデータを、学習データとして反映する。疑似波形確認処理部は、採用する範囲のデータを、学習データ記憶部130に記憶させてよい。
【0045】
システム10は、機械学習によって正常波形と異常波形とを判別するAI142を生成する学習実行部140を備えてよい。学習実行部140は、学習データ記憶部106に記憶されている学習データを用いた機械学習を実行することによって、AI142を生成してよい。学習実行部140は、学習データ記憶部106に記憶されている、正常波形データと、異常波形データ及び疑似異常波形データとを用いた機械学習を実行してよい。学習実行部140は、ユーザの指示等に応じて、学習に使用する疑似異常波形データの数を変更してもよい。学習実行部140は、ユーザの指示等に応じて、異常波形データに対して、疑似異常波形データの重みを低減させた機械学習を実行してよい。
【0046】
学習実行部140は、学習データ記憶部130に記憶されている学習データを用いた機械学習を実行することによって、AI142を生成してよい。学習実行部140は、学習データ記憶部106に記憶されている、正常波形データと、異常波形データ及び疑似異常波形データとを用いた機械学習を実行してよい。学習実行部140は、ユーザの指示等に応じて、学習に使用する疑似異常波形データの数を変更してもよい。学習実行部140は、ユーザの指示等に応じて、異常波形データに対して、疑似異常波形データの重みを低減させた機械学習を実行してよい。
【0047】
システム10は、複数の学習アルゴリズムを記憶したアルゴリズム記憶部144を備えてもよい。学習実行部140は、アルゴリズム記憶部144に記憶されている複数の学習アルゴリズムのうちのいずれかを用いて、AI142を学習してよい。学習実行部140は、例えば、アルゴリズム記憶部110に記憶されているアルゴリズムのうちの疑似波形データの生成に用いられたアルゴリズムに対応する学習アルゴリズムを用いる。学習実行部140は、例えば、疑似波形データの生成に用いられたパラメータ設定に対応する学習アルゴリズムを用いる。学習実行部140は、例えば、アルゴリズム記憶部110に記憶されているアルゴリズムのうちの疑似波形データの生成に用いられたアルゴリズムと、疑似波形データの生成に用いられたパラメータ設定とに対応する学習アルゴリズムを用いる。学習実行部140は、システム10のユーザによる指示に従って選択した学習アルゴリズムを用いてもよい。
【0048】
AI142を有するアプリ150が、例えば、正常波形と異常波形とを判別する判別処理を実行する装置に提供され、当該装置は、アプリ150を実行することによって、対象システムの異常検知を実行する。AI142を有するアプリ150は、故障予測を実行する装置等の、他の任意の用途の装置に提供されてもよい。
【0049】
上述したように、システム10は、波形データから疑似波形データを生成する疑似波形生成部を備えてよい。疑似波形生成部は、ユーザの意図を反映させた方法で、波形データから疑似波形データを生成してよい。疑似波形生成部は、複数のアルゴリズムのうち、ユーザの意図に応じたアルゴリズムを用いて、波形データから疑似波形データを生成してよい。例えば、疑似波形生成部は、ユーザによって選択された1又は複数のアルゴリズムを用いて波形データから疑似波形データを生成する。疑似波形生成部は、ユーザの意図に応じたパラメータ設定に従って、波形データから疑似波形データを生成してよい。例えば、疑似波形生成部は、ユーザによって選択された1又は複数のパラメータ設定に従って、波形データから疑似波形データを生成する。疑似波形生成部は、異常波形データから疑似異常波形データを生成してよい。疑似波形生成部は、少量の異常波形データを、物理的意味を大きく損なわないように加工して、大量の異常波形データを生成してよい。
【0050】
上述したように、システム10は、疑似波形確認処理部を備えてよい。疑似波形確認処理部は、疑似波形生成部によって、アルゴリズムとパラメータ設定との組み合わせ毎に生成された疑似波形データの特徴を表す分布をユーザに対して表示してよい。例えば、疑似波形確認処理部は、疑似波形データを生成する元となった波形データに対して、アルゴリズムとパラメータ設定との組み合わせ毎の疑似波形データが、どの程度のばらつきをもって生成されているかを視覚的に表示するヒストグラム又はグラフをユーザに対して表示する。疑似波形確認処理部は、ユーザに対して表示したヒストグラムのうち、ユーザによって選択された範囲に対応する疑似波形データを、学習に用いるデータとして選択してよい。疑似波形確認処理部は、ユーザに対して表示したヒストグラムのうち、ユーザによって選択された範囲に対応する疑似波形データと、元の波形データとを1つ1つ比較可能に表示してよい。疑似波形確認処理部は、ユーザによって選択された範囲に対応する疑似波形データのばらつきと、元の波形データのばらつきとを並べて表示してよい。
【0051】
上述したように、システム10は、疑似波形生成部によって生成された疑似波形データを用いた機械学習を実行する学習実行部を備えてよい。学習実行部は、正常波形データと、異常波形データと、疑似波形生成部によって異常波形データから生成された疑似異常波形データとを用いた機械学習によって、正常波形と異常波形とを判別するAIを生成してよい。
【0052】
図5は、システム10の機能構成の一例を概略的に示す。システム10は、記憶部11、登録部12、生成部13、疑似波形確認処理部14、学習部15、及び評価実行部16を備える。なお、システム10がこれらの全てを備えることは必須とは限らない。
【0053】
記憶部11は、波形記憶部102、アルゴリズム記憶部110、及び疑似波形記憶部168を含んでよい。波形記憶部102は、波形データを記憶する。波形データは、時系列データであってよい。波形データは、任意の形式であってよい。例えば、波形データは、連続する数値によって表現されるデータであってよい。波形記憶部102は、疑似波形データを生成する元となる波形データを記憶してよい。波形記憶部102は、波形評価モデルを評価するための評価用波形データを記憶してよい。
【0054】
アルゴリズム記憶部110は、波形データから疑似波形データを生成するアルゴリズムを記憶する。アルゴリズム記憶部110は、複数のアルゴリズムを記憶してよい。
【0055】
疑似波形記憶部168は、生成部13によって生成された疑似波形データを記憶する。疑似波形記憶部168は、データ記憶部118として機能してよい。
【0056】
登録部12は、各種登録を実行する。例えば、登録部12は、波形データを登録する。登録部12は、登録した波形データを波形記憶部102に記憶させる。
【0057】
登録部12は、疑似波形データを生成する元となる波形データを登録してよい。登録部12は、例えば、いわゆる生の波形データを登録する。登録部12は、例えば、任意の対象システムを観測したり測定したりすることによって生成された波形データを登録する。
【0058】
登録部12は、対象システム自体に異常が発生している状態で、対象システムを観測したり測定したりして生成された異常波形データを登録してよい。登録部12は、例えば、対象システムにあえて異常を生じさせている状態で、対象システムを観測したり測定したりして生成された異常波形データを登録してよい。登録部12は、対象システムが製造物を製造するシステムである場合に、製造物に異常が発生しているときに対象システムを観測したり測定したりして生成された異常波形データや、当該製造物を観測したり測定したりして生成された異常波形データを登録してよい。
【0059】
登録部12は、対象システムが正常に動作している状態で、対象システムを観測したり測定したりして生成された正常波形データを登録してよい。登録部12は、対象システムが製造物を製造するシステムである場合に、製造物が正常であるときに対象システムを観測したり測定したりして生成された正常波形データや、当該製造物を観測したり測定したりして生成された正常波形データを登録してよい。
【0060】
生成部13は、波形記憶部102に記憶されている波形データから疑似波形データを生成する。生成部13は、1つの波形データから1つの疑似波形データを生成してよい。生成部13は、1つの波形データから複数の疑似波形データを生成してよい。生成部13は、複数の波形データから複数の疑似波形データを生成してよい。生成部13は、複数の波形データから、波形データの数よりも多い数の疑似波形データを生成してよい。生成部13は、波形取得部160、意図特定部162、前処理部164、及び疑似波形生成部166を含んでよい。
【0061】
波形取得部160は、疑似波形データを生成する元となる波形データを取得する。波形取得部160は、波形記憶部102から波形データを取得してよい。
【0062】
意図特定部162は、ユーザの意図を特定する。ユーザとは、システム10を利用する者であってよい。意図特定部162は、波形データから疑似波形データを生成することに対するユーザの意図を特定してよい。
【0063】
意図特定部162は、例えば、波形データから疑似波形データを生成する際に用いるアルゴリズムを、ユーザの意図として特定する。意図特定部162は、ユーザの指示に従って、アルゴリズム記憶部110に記憶された複数のアルゴリズムのうちの1又は複数のアルゴリズムを特定してよい。意図特定部162は、ユーザの指示に従って、波形データに対して連続的に適用する複数のアルゴリズムと、適用する順番とを特定してもよい。
【0064】
意図特定部162は、例えば、波形データから疑似波形データを生成する際に用いるパラメータ設定を、ユーザの意図として特定する。意図特定部162は、ユーザの指示に従って、パラメータ設定を特定してよい。具体例として、意図特定部162は、複数のパラメータ設定に対するユーザによる選択を受け付けることによって、1又は複数のパラメータ設定を特定する。また、具体例として、意図特定部162は、ユーザによるパラメータ設定の入力を受け付けることによって、1又は複数のパラメータ設定を特定する。
【0065】
意図特定部162は、例えば、波形データから疑似波形データを生成する際に用いるアルゴリズムとパラメータ設定との組み合わせを、ユーザの意図として特定する。意図特定部162は、ユーザの指示に従って、アルゴリズムとパラメータ設定との1又は複数の組み合わせを特定してよい。
【0066】
意図特定部162は、例えば、波形データから疑似波形データを生成する際に、波形データに対して施す前処理を、ユーザの意図として特定する。前処理は、波形データから特徴を抽出する処理であってよい。前処理の例として、FFT(Fast Fourier Transform)、正規化、フィルタリング、スライシング、サンプリング周波数変換、及び次元変換等が挙げられる。意図特定部162は、ユーザの指示に従って、波形データに対して連続的に適用する前処理と、適用する順番とを特定してもよい。
【0067】
意図特定部162は、例えば、波形データから疑似波形データを生成する際に用いるアルゴリズム及びパラメータ設定の少なくともいずれかと、波形データに対して施す前処理との組み合わせを、ユーザの意図として特定する。
【0068】
前処理部164は、波形取得部160が取得した波形データに対して、複数の前処理の少なくともいずれかを施す。前処理部164は、意図特定部162によって特定された前処理を、波形取得部160が取得した波形データに対して施してよい。前処理部164は、意図特定部162によって、波形データに対して連続的に適用する複数の前処理と、適用する順番とが特定されている場合、当該順番に従って、複数の前処理を順番に波形データに施してよい。
【0069】
疑似波形生成部166は、波形取得部160が取得した波形データから疑似波形データを生成する。例えば、疑似波形生成部166は、異常波形データから疑似異常波形データを生成する。例えば、疑似波形生成部166は、正常波形データから疑似正常波形データを生成する。
【0070】
疑似波形生成部166は、1つの波形データから複数の疑似波形データを生成してよい。疑似波形生成部166は、複数のアルゴリズム、複数のパラメータ設定、及び乱数の少なくともいずれかを用いることによって、1つの波形データから複数の波形データを生成してよい。例えば、疑似波形生成部166は、1つの波形データに対して複数のアルゴリズムを用いることによって、複数の疑似波形データを生成する。例えば、疑似波形生成部166は、1つの波形データに対して複数のパラメータ設定を用いることによって、複数の疑似波形データを生成する。例えば、疑似波形生成部166は、1つの波形データに対して、乱数を用いることによって、複数の疑似波形データを生成する。複数のアルゴリズム、複数のパラメータ設定、及び乱数等を用いることによって、1つの波形データから、様々なバリエーションの疑似波形データを生成することができる。
【0071】
疑似波形生成部166は、意図特定部162によって特定されたユーザの意図を反映させた方法で、波形データから疑似波形データを生成してよい。疑似波形生成部166は、例えば、意図特定部162によって特定された1又は複数のアルゴリズムを用いて、波形データから疑似波形データを生成する。意図特定部162によって、波形データに対して連続的に適用する複数のアルゴリズムと、適用する順番とが特定されている場合、疑似波形生成部166は、当該順番に従って、複数のアルゴリズムを用いて、波形データから疑似波形データを生成してよい。疑似波形生成部166は、例えば、意図特定部162によって特定された1又は複数のパラメータ設定を用いて、波形データから疑似波形データを生成する。疑似波形生成部166は、例えば、意図特定部162によって特定されたアルゴリズムとパラメータ設定との複数の組み合わせそれぞれについて、アルゴリズム及びパラメータ設定を用いて、波形データから疑似波形データを生成する。疑似波形生成部166は、例えば、意図特定部162によって特定された1又は複数の前処理を前処理部164が施した後の波形データから、疑似波形データを生成する。波形データから学習に適した疑似波形データを生成することは難しい場合があるが、ユーザの意図を反映させた方法で、複数種類の疑似波形データを生成できるようにすることで、学習に適した疑似波形データが生成される可能性を高めることができる。
【0072】
疑似波形生成部166は、物理的意味を大きく損なわないように波形データを加工して、疑似波形データとして生成してよい。疑似波形生成部166は、波形データに対してノイズを付加したり、波形データの全体又は一部区間を加工したり、波形データを、グラフ縦軸方向に膨張したり、グラフ縦軸方向に縮小したり、グラフ横軸方向に膨張したり、グラフ横軸方向に縮小したりすること等によって、疑似波形データを生成してよい。
【0073】
疑似波形生成部166は、例えば、時系列の波形データに対して、平均0、標準偏差σの正規分布に基づくランダムな値を加えるアルゴリズム(ノイズ付加処理アルゴリズムと記載する場合がある。)を用いて、疑似波形データを生成する。疑似波形生成部166は、ノイズ付加処理アルゴリズムを用いる場合に、複数のランダムな値を用いることによって、1つの波形データから複数の疑似波形データを生成してよい。疑似波形生成部166は、ノイズ付加処理アルゴリズムを用いる場合に、複数の標準偏差σを用いる等、複数のパラメータ設定を用いることによって、1つの波形データから複数の疑似波形データを生成してよい。
【0074】
疑似波形生成部166は、例えば、時系列の波形データに対して、平均1、標準偏差σの正規分布に基づくランダムな値を積算するアルゴリズム(スケール変形アルゴリズムと記載する場合がある。)を用いて、疑似波形データを生成する。疑似波形生成部166は、スケール変形アルゴリズムを用いる場合に、複数のランダムな値を用いることによって、1つの波形データから複数の疑似波形データを生成してよい。疑似波形生成部166は、スケール変形アルゴリズムを用いる場合に、複数の標準偏差σを用いる等、複数のパラメータ設定を用いることによって、1つの波形データから複数の疑似波形データを生成してよい。
【0075】
疑似波形生成部166は、例えば、reduce_ratioを決定し、時系列の波形データの0から、「時系列データサイズ×(1-reduce_ratio)」の範囲内で開始点を決定し、決定した開始点から「時系列データサイズ×reduce_ratio」の分進んだ点を終了点とし、開始点から終了点の区間を切り出して、元のサイズとなるように切り出した部分を拡大するアルゴリズム(膨張処理アルゴリズムと記載する場合がある。)を用いて、疑似波形データを生成する。疑似波形生成部166は、膨張処理アルゴリズムを用いる場合に、複数の低減比を用いることによって、1つの波形データから複数の疑似波形データを生成してよい。
【0076】
疑似波形生成部166は、例えば、warp_scalesの候補を作成し、warp_scalesの候補からランダムに一つの値を決定し、window_ratioを決定し、「warp_size=window_ratio×時系列データサイズ」を計算し、1から「時系列方向のサイズ-warp_size-1」の範囲で、warp_size分の領域をランダムに確保し、「warp_size分の領域よりも前の波形」、「warp_size分の領域波形」、「warp_size分の領域よりも後の波形」の3つの領域を決定し、「warp_size分の領域波形」の領域に関して、「warp_size×warp_scales」のサイズに拡大又は縮小し、「warp_size分の領域よりも前の波形」、拡大又は縮小後の「warp_size分の領域波形」、「warp_size分の領域よりも後の波形」を再度結合し、元のサイズに戻すアルゴリズム(膨張収縮処理アルゴリズムと記載する場合がある。)を用いて、疑似波形データを生成する。疑似波形生成部166は、膨張収縮処理アルゴリズムを用いる場合に、warp_scalesの候補を複数作成して、warp_scalesの複数の候補を用いたり、複数のwindow_ratioを用いたりする等、複数のパラメータ設定を用いることによって、1つの波形データから複数の疑似波形データを生成してよい。
【0077】
疑似波形生成部166は、例えば、経由点の数を決定し、決定した経由点の数だけ、平均値1、標準偏差σの正規分布に基づいてランダムな値を決定し(y軸情報)、経由点の数で、時系列方向のサイズを割って、等間隔に経由点を配置し(x軸情報)、y軸情報及びx軸情報を用いて、波形データの時系列方向のサイズをx軸とするスプライン曲線を作成し、作成したスプライン曲線と、波形データとを積算するアルゴリズム(スケールランダム変形アルゴリズムと記載する場合がある。)を用いて、疑似波形データを生成する。疑似波形生成部166は、スケールランダム変形アルゴリズムを用いる場合に、複数のランダムな値を用いることによって、1つの波形データから複数の疑似波形データを生成してよい。疑似波形生成部166は、スケールランダム変形アルゴリズムを用いる場合に、複数のパターンの経由点の数を用いたり、複数の標準偏差σを用いたりする等、複数のパラメータ設定を用いることによって、1つの波形データから複数の疑似波形データを生成してよい。
【0078】
疑似波形生成部166は、1又は複数の波形データから、複数の疑似波形データを含む疑似波形データセットを生成してよい。疑似波形生成部166は、異なるアルゴリズムを用いたり、異なるパラメータ設定を用いたり、異なる前処理を用いたりすることによって、様々な疑似波形データセットを生成してよい。
【0079】
例えば、疑似波形生成部166は、複数の疑似異常波形データを含む疑似異常波形データセットを生成する。疑似波形生成部166は、複数の疑似異常波形データセットを生成してよい。例えば、疑似波形生成部166は、複数の疑似正常波形データを含む疑似正常波形データセットを生成する。
【0080】
疑似波形記憶部168は、疑似波形生成部166によって生成された疑似波形データを記憶する。疑似波形記憶部168は、疑似波形データに、疑似的に生成されたデータであることを示す疑似識別情報を対応付けて記憶してよい。疑似波形データに疑似識別情報を対応付けることによって、疑似波形データを、生の波形データと識別することを可能にできる。
【0081】
疑似波形記憶部168は、疑似波形データセットに、疑似識別情報を対応付けて記憶してよい。疑似波形記憶部168は、疑似異常波形データセットに、疑似識別情報と、異常データであることを示す異常識別情報とを対応付けて記憶してよい。疑似波形記憶部168は、疑似正常波形データセットに、疑似識別情報と、正常データであることを示す正常識別情報とを対応付けて記憶してよい。
【0082】
疑似波形記憶部168は、疑似波形生成部166によって生成された複数の疑似波形データセットのそれぞれに、当該疑似波形データセットを生成する際に用いたアルゴリズム、データセット、及び前処理を識別可能なレシピ情報を対応付けて記憶してよい。例えば、疑似波形生成部166が、アルゴリズムとパラメータ設定との複数の組み合わせそれぞれについて、アルゴリズム及びパラメータ設定を用いて波形データから疑似波形データセットを生成した場合に、疑似波形記憶部168は、複数の疑似波形データセットのそれぞれに、疑似波形データセットの生成に用いられたアルゴリズムとパラメータ設定との組み合わせを識別可能なレシピ情報を対応付けて、複数の疑似波形データセットを記憶する。これにより、レシピ情報を参照することによって、疑似波形データセットがどのような条件で生成されたかを把握可能にすることができる。また、レシピ情報によって、疑似波形データセットの管理をしやすくすることができる。
【0083】
疑似波形記憶部168は、疑似波形生成部166によって生成された複数の疑似波形データセットのそれぞれに、疑似波形データセットを生成する元となった波形データを識別可能な元波形識別情報を対応付けて、複数の疑似波形データセットを記憶してよい。疑似波形記憶部168は、疑似波形生成部166が1つの波形データから複数の疑似波形データセットを生成した場合、当該1つの波形データを識別可能な元波形識別情報を対応付けて複数の疑似波形データセットを記憶してよい。疑似波形記憶部168は、疑似波形生成部166が複数の波形データから複数の疑似波形データセットを生成した場合、当該複数の波形データのセットを識別可能な元波形識別情報を対応付けて複数の疑似波形データセットを記憶してよい。これにより、ある疑似波形データセットを、元の波形データと比較したい場合や、ある疑似波形データセットを学習に使用する場合に、元の波形データも合わせて使用したいような場合に、元の波形データを容易に特定可能にできる。
【0084】
疑似波形記憶部168は、疑似波形生成部166が前処理部164によって前処理が施された波形データから疑似波形データセットを生成した場合に、当該疑似波形データセットに対して、当該前処理を識別可能な前処理識別情報を対応付けて、当該疑似波形データセットを記憶してよい。これにより、ある疑似波形データセットについて、元の波形データに対してどのような前処理が施されたうえで生成されたのかを、容易に把握可能にできる。
【0085】
疑似波形確認処理部14は、疑似波形記憶部168に記憶されている疑似波形データをユーザに確認させる処理を実行する。疑似波形確認処理部14は、類似性表示制御部170、範囲指定受付部172、及び範囲内波形選択部174を含んでよい。
【0086】
類似性表示制御部170は、疑似波形生成部166によって波形データから生成された疑似波形データと、当該疑似波形データを生成する元となった当該波形データとの類似性を示す表示データをユーザに対して表示するよう制御する。類似性表示制御部170は、例えば、システム10が備えるディスプレイに表示データを表示させる。類似性表示制御部170は、任意の装置に対して表示データを送信して、当該装置に表示データを表示させてもよい。
【0087】
類似性表示制御部170は、疑似波形生成部166によって波形データから生成された複数の疑似波形データと、生成する元となった波形データとの類似性を示す表示データをユーザに対して表示するよう制御してよい。類似性表示制御部170は、複数の疑似波形データを生成する元となった波形データに対して、複数の疑似波形データが、どの程度のばらつきをもって生成されているかを示す表示データをユーザに対して表示するよう制御してよい。類似性表示制御部170は、例えば、複数の疑似波形データのそれぞれと、生成する元となった波形データとの類似度を計算し、類似度毎の疑似波形データの数を表すヒストグラム及びグラフの少なくともいずれかを含む表示データを表示させる。類似度は、例えば、1に近づくほど、元の波形データに類似しており、0に近づくほど、元の波形データと乖離していることを示す値であってよい。
【0088】
類似性表示制御部170は、例えば、波形データと疑似波形データとの相関係数を、波形データと疑似波形データとの類似度としてよい。類似性表示制御部170は、波形データと疑似波形データとの類似の度合を表すことができれば、どのような方法で波形データと疑似波形データとの類似度を計算してもよい。
【0089】
1つの波形データから複数の疑似波形データが生成された場合、類似性表示制御部170は、複数の疑似波形データの1つ1つと、波形データとの類似度を計算してよい。複数の波形データから複数の疑似波形データが生成された場合、類似性表示制御部170は、複数の疑似波形データの1つ1つについて、疑似波形データと複数の波形データのそれぞれとの類似度を計算して、その平均を、波形データと疑似波形データとの類似度としてよい。
【0090】
類似性表示制御部170は、疑似波形データと、疑似波形データを生成する元となった波形データとの類似性を示す表示データ、及び、疑似波形データと、疑似波形データを生成する元となった波形データとは異なる他の波形データとの類似性を示す他の表示データを、ユーザに対して表示するよう制御してよい。類似性表示制御部170は、例えば、異常波形データから生成された疑似異常波形データと、当該異常波形データとの類似性を示す表示データ、及び、当該疑似異常波形データと、正常波形データとの類似性を示す表示データを、ユーザに対して表示するよう制御する。これにより、生成された疑似異常波形データと、元の異常波形データとの関係性に加えて、生成された疑似異常波形データと、正常波形データとの関係性をユーザに把握させることができる。疑似異常波形データと正常波形データとの関係性も把握可能にすることによって、例えば、元の異常波形データとの類似度が同等の疑似異常波形データのうち、正常波形データとの類似度がより低い、学習に有効な可能性が高い疑似異常波形データを特定することを可能にできる。
【0091】
類似性表示制御部170は、疑似波形生成部166によって生成された複数の疑似波形データセットのそれぞれの、生成する元となった波形データとの類似性を示す表示データをユーザに対して表示するよう制御してよい。類似性表示制御部170は、例えば、複数の疑似波形データセットのそれぞれについて、疑似波形データセットに含まれる複数の疑似波形データと、生成する元となった波形データとの類似度を計算し、類似度毎の疑似波形データの数を表すヒストグラム及びグラフの少なくともいずれかを含む表示データを表示させる。これにより、例えば、複数の疑似波形データセットのそれぞれに対応するヒストグラムをユーザに提示することができ、どの疑似波形データセットを学習に用いるかを検討する材料とさせることができる。具体的には、複数の疑似波形データセットのうち、元の波形データとの類似度が高い疑似波形データセットのみを選択したり、元の波形データとの類似度があまり高くない疑似波形データセットを含めてみたり、等の検討を行うことを可能にできる。
【0092】
範囲指定受付部172は、類似性表示制御部170によって表示された表示データに対する、ユーザによる類似性の範囲の指定を受け付ける。例えば、範囲指定受付部172は、類似性表示制御部170によって表示された、元の波形データとの類似度毎の疑似波形データの数を示すヒストグラム又はグラフに対する、類似度の範囲の指定を受け付ける。範囲指定受付部172は、例えば、ユーザによる、類似度の上限及び下限の入力を受け付ける。範囲指定受付部172は、例えば、ユーザによる、表示データにおけるヒストグラム又はグラフに対する、類似度の範囲を選択する入力を受け付ける。
【0093】
範囲内波形選択部174は、範囲指定受付部172が指定を受け付けた類似性の範囲に対応する複数の疑似波形データを選択する。例えば、範囲内波形選択部174は、範囲指定受付部172が指定を受け付けた類似度の範囲内の、各類似度に対応する疑似波形データを選択する。
【0094】
疑似波形記憶部168は、範囲内波形選択部174によって選択された複数の疑似波形データを含む疑似波形データセットを記憶してよい。疑似波形記憶部168は、範囲内波形選択部174によって選択された複数の疑似波形データを含む疑似波形データセットを、学習に用いるデータセットとして記憶してよい。これらにより、ユーザが、1又は複数の疑似波形データセットに含まれる多数の疑似波形データのうち、どの範囲まで元の波形データに類似している疑似波形データを採用するか、どの範囲まで元の波形データに類似していない疑似波形データを不採用とするか、等を検討しやすくすることができる。
【0095】
類似性表示制御部170は、疑似波形データセットと、生成する元となった波形データとを、波形レベルで比較可能な表示データをユーザに対して表示するよう制御してもよい。例えば、1つの波形データから疑似波形データセットが生成された場合、類似性表示制御部170は、1つの波形データと、疑似波形データセットに含まれる複数の疑似波形データとを、グラフ上に配置した表示データを表示させる。例えば、複数の波形データから疑似波形データセットが生成された場合、類似性表示制御部170は、複数の波形データと、疑似波形データセットに含まれる複数の疑似波形データとを、グラフ上に配置した表示データを表示させる。例えば、複数の波形データから疑似波形データセットが生成された場合、類似性表示制御部170は、複数の波形データの平均波形と、疑似波形データセットに含まれる複数の疑似波形データとを、グラフ上に配置した表示データを表示させる。
【0096】
学習部15は、生成部13によって生成された疑似波形データを用いた機械学習を実行する。学習部15は、学習データ記憶部106、アルゴリズム記憶部144、学習実行部140、及び波形評価モデル記憶部146を含んでよい。
【0097】
学習データ記憶部106は、学習に用いる学習データを記憶する。学習データ記憶部106は、波形記憶部102に記憶されている波形データを波形記憶部102から取得して記憶してよい。学習データ記憶部106は、疑似波形記憶部168に記憶されている疑似波形データを疑似波形記憶部168から取得して記憶してよい。
【0098】
学習データ記憶部106は、疑似波形記憶部168に記憶されている複数の疑似波形データのうち、学習用のデータとして選択された疑似波形データを、疑似波形記憶部168から取得して記憶してよい。疑似波形記憶部168は、例えば、疑似波形記憶部168に記憶されている複数の疑似波形データセットのうち、学習用のデータセットとして選択された疑似波形データセットを、疑似波形記憶部168から取得して記憶する。学習データ記憶部106は、疑似波形記憶部168が学習に用いるデータセットとして記憶している疑似波形データセットを、疑似波形記憶部168から取得して記憶してよい。学習データ記憶部106は、疑似波形データセットとともに、疑似波形データセットに対応付けられている、レシピ情報、元波形識別情報、前処理識別情報、疑似識別情報、異常識別情報、及び正常識別情報等の情報を、疑似波形記憶部168から取得して記憶してよい。
【0099】
アルゴリズム記憶部144は、複数の学習アルゴリズムを記憶する。学習アルゴリズムの例として、NN(Neural Network)、VGG(Visual Geometry Group)、及びSVM(Support Vector Machine)等が挙げられるが、これらに限られず、任意のアルゴリズムを用いてよい。
【0100】
学習実行部140は、学習データ記憶部106に記憶されている学習データを用いた機械学習を実行することによって、入力された波形データの評価結果を出力する波形評価モデルを生成する。学習実行部140は、アルゴリズム記憶部144に記憶されている複数の学習アルゴリズムのうち、ユーザによって指定された学習アルゴリズムを用いて、波形評価モデルを生成してよい。
【0101】
学習実行部140は、生成した波形評価モデルの評価を行ってよい。学習実行部140は、例えば、予め登録部12によって登録され、波形記憶部102に記憶された、評価用の波形データを用いて、波形評価モデルの評価を行う。学習実行部140は、複数の評価用の波形データのうち、ユーザによって選択された評価用の波形データを用いて、波形評価モデルの評価を行ってよい。
【0102】
学習実行部140は、疑似波形データを用いずに、波形評価モデルの評価を行ってよい。例えば、学習実行部140は、評価用の波形データとして、疑似波形データ又は疑似波形データセットが選択された場合に、選択された疑似波形データを評価に用いないようにする。例えば、学習実行部140は、評価用の波形データをユーザが選択する際に、疑似波形データ及び疑似波形データセットを選択できないように制御する。これらにより、疑似的に生成した波形データを波形評価モデルの評価には用いないようにすることができ、波形評価モデルの評価の信ぴょう性が低くなる可能性を低減することができる。
【0103】
波形評価モデル記憶部146は、学習実行部140によって生成された波形評価モデルを記憶する。学習実行部140が、前処理識別情報が対応付けられている疑似波形データを用いた機械学習を実行することによって波形評価モデルを生成した場合、波形評価モデル記憶部146は、波形評価モデルに対して当該前処理識別情報を対応付けて、当該波形評価モデルを記憶してよい。
【0104】
評価実行部16は、学習部15によって生成された波形評価モデルを用いて、波形データの評価を実行する。評価実行部16は、モデル取得部180、入力波形取得部182、波形入力部184、及び評価結果出力制御部186を含んでよい。
【0105】
モデル取得部180は、波形評価モデル記憶部146に記憶されている波形評価モデルを取得する。モデル取得部180は、波形評価モデルに前処理識別情報が対応付けられている場合、波形評価モデル及び前処理識別情報を取得する。
【0106】
入力波形取得部182は、評価対象となる入力波形データを取得する。入力波形取得部182は、ユーザによって入力が指示された入力波形データを取得してよい。
【0107】
波形入力部184は、入力波形取得部182が取得した入力波形データを、モデル取得部180が取得した波形評価モデルに入力する。モデル取得部180が、波形評価モデル及び前処理識別情報を取得した場合、波形入力部184は、入力波形取得部182が取得した入力波形データに対して、前処理識別情報が示す前処理を施して、波形評価モデルに入力してよい。これにより、前処理識別情報が示す前処理を施さない場合と比較して、波形の評価精度を向上させることができる。また、評価実行部16による評価時に、モデル取得部180が取得した波形評価モデルが、どのような前処理を施して生成された疑似波形データによって生成されたのかを別途管理する負荷を、発生させないようにできる。
【0108】
評価結果出力制御部186は、波形評価モデルから出力された入力波形データの評価結果を出力するよう制御する。評価結果出力制御部186は、例えば、入力波形データの評価結果を、システム10のディスプレイに表示出力させる。評価結果出力制御部186は、任意の装置に、入力波形データの評価結果を送信して、当該装置に評価結果を表示させてもよい。
【0109】
システム10は、1つの装置によって構成されてよい。システム10は、複数の装置によって構成されてもよい。例えば、システム10は、記憶部11、登録部12、生成部13、疑似波形確認処理部14、及び学習部15を備える装置と、評価実行部16を備える装置とによって構成される。この場合、モデル取得部180は、波形評価モデル記憶部146に記憶されている波形評価モデルをシステム10から受信する。評価実行部16を備える装置は、既存の装置を評価実行部16として機能させるプログラムによって実現されてもよい。当該プログラムによって、装置に評価実行部16が実装され、当該装置は、波形評価モデル記憶部146に記憶されている波形評価モデルを取得して、当該波形評価モデルを用いた波形評価を実現可能となる。波形評価モデルに前処理識別情報が対応付けられている場合、波形入力部184が自動的に、入力波形取得部182が取得した入力波形データに対して前処理識別情報が示す前処理を施して、波形評価モデルに入力するので、評価実行部16のユーザ側で、波形評価モデルに入力波形データを入力する際に、特定の前処理を行うよう管理する手間を省くことができ、また、特定の前処理を施すことなく入力波形データを波形評価モデルに入力してしまうことによって、評価精度が低下してしまうことを防止できる。
【0110】
システム10は、記憶部11、登録部12、生成部13、及び疑似波形確認処理部14を備える装置と、学習部15を備える装置と、評価実行部16を備える装置とによって構成されてもよい。システム10は、これら以外の装置構成によって実現されてもよい。
【0111】
図6は、システム10による波形評価モデルの生成処理の流れの一例を概略的に示す。ここでは、システム10が、波形記憶部102に記憶された少量の異常波形データを用いて大量の疑似異常波形データを生成し、当該疑似異常波形データと、異常波形データと、正常波形データとを用いて、入力された波形データが正常波形であるか異常波形であるかを評価する正常異常評価モデルを生成する処理を例に挙げて説明する。
【0112】
ステップ(ステップをSと省略して記載する場合がある。)102では、意図特定部162が、ユーザの意図を特定する。意図特定部162は、ユーザの指示に従って、前処理、アルゴリズム、及びパラメータ設定の複数の組み合わせを特定してよい。
【0113】
S104では、前処理部164及び疑似波形生成部166が、複数の組み合わせのうちの一の組み合わせについて、少量の異常波形データに対して、前処理を施した後、アルゴリズム及びパラメータ設定を用いて疑似異常波形データセットを生成する。
【0114】
S106では、疑似波形記憶部168が、S104において生成された疑似異常波形データセットに対して、疑似識別情報、元波形識別情報、前処理識別情報、及びレシピ情報を対応付けて記憶する。
【0115】
S102において特定された複数の組み合わせの全てについて、疑似異常波形データセットの生成が終了していない場合(S108でNO)、S104に戻って、前処理部164及び疑似波形生成部166が、次の組み合わせについて、疑似異常波形データセットを生成し、終了したと判定した場合(S108でYES)、S110に進む。
【0116】
S110では、類似性表示制御部170が、複数の疑似異常波形データセットのそれぞれの、生成する元となった少量の異常波形データとの類似性を示す表示データをユーザに対して表示するよう制御する。S112では、範囲指定受付部172及び範囲内波形選択部174が、学習に用いる疑似異常波形データを選択する。範囲指定受付部172及び範囲内波形選択部174は、ユーザによる類似性の範囲の指定を受け付けた場合、指定を受け付けた類似性の範囲に対応する複数の疑似異常波形データを、学習に用いる疑似異常波形データとして選択する。範囲指定受付部172及び範囲内波形選択部174は、ユーザによってすべての疑似異常波形データセットが選択された場合、すべての疑似異常波形データセットに含まれるすべての疑似異常波形データを、学習用に用いる疑似異常波形データとして選択してよい。
【0117】
S114では、学習実行部140が、S112において範囲指定受付部172及び範囲内波形選択部174によって選択された疑似異常波形データと、正常波形データと、異常波形データとを用いた機械学習を実行することによって、正常異常評価モデルを生成する。なお、S102からS112を複数回実施した後、S114に進んでもよい。S116では、学習実行部140が、波形記憶部102に記憶されている評価用の波形データを用いて、S114において生成した正常異常評価モデルを評価する。
【0118】
ユーザによる正常異常評価モデルの登録指示を受け付けた場合(S118でYES)、S120に進み、登録指示を受け付けない場合(S118でNO)、処理を終了する。S120では、波形評価モデル記憶部146が、S114において生成された正常異常評価モデルに、前処理識別情報を対応付けて記憶する。そして、処理を終了する。
【0119】
システム10が
図6に示す処理を実行することによって、異常波形データが少量であっても、ユーザの意図が反映された多数の疑似異常波形データが生成され、ユーザが表示データを確認しながら選択した疑似異常波形データを用いて正常異常評価モデルを生成することができ、評価精度が高い正常異常評価モデルの生成に貢献することができる。
【0120】
図7は、疑似波形データを管理する管理データ190の一例を概略的に示す。システム10は、複数のプロジェクトを生成して、プロジェクト毎に各種データを管理してもよい。これにより、例えば、ボールねじの正常異常を評価するためのデータと、モータの正常異常を評価するためのデータのように、複数種類のデータを対象としたい場合に、その管理を容易にすることができる。
【0121】
例えば、登録部12が、ユーザの指示に従って、プロジェクトを生成して、波形データを登録する。登録部12は、異常波形データ、正常波形データ、及び評価用の波形データ等を登録してよい。波形記憶部102は、プロジェクトに対応付けて、波形データを記憶する。疑似波形生成部166によって、プロジェクトに対応する波形データを用いて疑似波形データセットが生成された場合、疑似波形記憶部168は、プロジェクトに対応付けて、疑似波形データセットと、関連する情報とを記憶する。関連する情報の例として、疑似波形データセットに含まれるデータ数、元波形識別情報、前処理識別情報、及びレシピ情報が挙げられる。
【0122】
図7では、「ボールねじの疑似波形」という名称のプロジェクトに、「ボールねじの異常データA」というデータセットと、「ボールねじの異常データB」というデータセットが登録されている状態を例示している。管理データ190によって、ユーザは、「ボールねじの異常データA」のデータ数が80であること、元波形が生異常データAであること、前処理が施されていないこと、標準偏差を0.0002としたノイズ付加処理アルゴリズムを用いて生成されたことや、「ボールねじの異常データB」のデータ数が80であること、元波形が生異常データAであること、サンプリング率を6としたダウンサンプリングが前処理として施されていること、warp_scalesを[0.5、2.0]、window_ratioを0.1とした膨張収縮処理アルゴリズムを用いて生成されたことを確認することができ、次にどのような前処理、アルゴリズム、パラメータ設定で疑似波形データを生成するかを検討する材料とすることができる。
【0123】
図8は、膨張処理アルゴリズムについて説明するための説明図である。ここでは、reduce_ratio=0.9として、波形データ300から疑似波形データ308を生成する場合を例に挙げて説明する。
【0124】
疑似波形生成部166は、波形データ300の時系列の開始点から波形データ300の時系列のデータサイズ301×(1-reduce_ratio)の範囲302の中で開始点303をランダムに決定する。疑似波形生成部166は、開始点303から、時系列のデータサイズ301×reduce_ratioの分進んだ点を終了点304とする。疑似波形生成部166は、開始点303から終了点304の区間305を切り出す。疑似波形生成部166は、切り出した区間305を元のサイズに拡大して、疑似波形データ308とする。
【0125】
reduce_ratioを固定にしていても、開始点303がランダムに決定されることによって、同じ波形データ300からでも毎回異なる疑似波形データ308が生成されることになる。reduce_ratioを変更することによって、さらに多くのバリエーションの疑似波形データ308を生成することができる。
【0126】
図9は、膨張収縮処理アルゴリズムについて説明するための説明図である。ここでは、warp_scales=[0.5、2]、window_ratio=0.1として、波形データ300から疑似波形データを生成する場合を例に挙げて説明する。
【0127】
疑似波形生成部166は、warp_scalesからランダムに1つの値を決定する。疑似波形生成部166は、warp_size=window_ratio×時系列のデータサイズ301を計算する。疑似波形生成部166は、1から「時系列のデータサイズ301-warp_size-1」の範囲311で、warp_size分の領域をランダムに確保し、warp_size分の領域よりも前の波形312、warp_size分の領域波形313、warp_size分の領域よりも後の波形314の3つの領域を決定する。疑似波形生成部166は、波形313の領域に関して、「warp_size×warp_scales」のサイズに拡大又は縮小し、波形312、拡大又は縮小後の波形313、波形314を再度結合し、元のサイズに戻すことにより、疑似波形データを生成する。
【0128】
warp_scalesからランダムに1つの値が決定されることによって、同じ波形データ300からでも毎回異なる疑似波形データが生成されることになる。warp_scalesの候補を数多く設定しておくことによって、さらに多くのバリエーションの疑似波形データを生成することができる。
【0129】
図10は、スケールランダム変形アルゴリズムについて説明するための説明図である。ここでは、経由点の数を5として、波形データ300から疑似波形データを生成する場合を例に挙げて説明する。
【0130】
疑似波形生成部166は、経由点の数だけ、平均値1、標準偏差σの正規分布に基づいてランダムな値を決定し(y軸情報)、経由点の数で、時系列方向のサイズを割って、等間隔に経由点321を配置する(x軸情報)。疑似波形生成部166は、y軸情報及びx軸情報を用いて、波形データの時系列のデータサイズ301をx軸とするスプライン曲線322を作成する。疑似波形生成部166は、作成したスプライン曲線322と、波形データとを積算することによって、疑似波形データを生成する。
【0131】
経由点の数を固定にしていても、y軸情報としてランダムな値が決定されることによって、同じ波形データ300からでも毎回異なる疑似波形データが生成されることになる。経由点の数を変更することによって、さらに多くのバリエーションの疑似波形データを生成することができる。
【0132】
図11は、類似性表示制御部170によって表示された表示データ400の一例を概略的に示す。表示データ400において、横軸は、疑似波形データを生成する元となった波形データと疑似波形データとの類似度を示し、縦軸は、疑似波形データの数である度数を示す。
【0133】
図11では、3つの疑似波形データセットのうちの第1の疑似波形データセットに対応するグラフ412及びヒストグラム414と、第2の疑似波形データセットに対応するグラフ422及びヒストグラム424と、第3の疑似波形データセットに対応するグラフ432及びヒストグラム424とを含む表示データ400を例示している。
【0134】
類似性表示制御部170は、ユーザの指示に従って、グラフ412、ヒストグラム414、グラフ422、ヒストグラム424、グラフ432、及びヒストグラム434のそれぞれの表示のオンオフを切り換えてよい。類似性表示制御部170は、グラフ412、ヒストグラム414、グラフ422、ヒストグラム424、グラフ432、及びヒストグラム434のそれぞれについて、半透明表示等を適用してもよい。
【0135】
表示データ400によって、各疑似波形データセットが、元の波形データとどの程度類似しているのか、どの程度のばらつきで生成されたのか等を把握しやすくすることができる。
【0136】
範囲指定受付部172は、複数の疑似波形データセットのうち、ユーザによって選択された疑似波形データセットについて、類似度の範囲の指定を受け付けてよい。例えば、範囲指定受付部172は、ユーザによってグラフ412及びヒストグラム414が選択された場合に、グラフ412及びヒストグラム414に対する類似度の範囲の指定を受け付ける。範囲内波形選択部174は、グラフ412及びヒストグラム414のうち、指定を受け付けた類似度の範囲に対応する疑似波形データを選択してよい。これにより、対象となる複数の疑似波形データセットのうち、いずれの疑似波形データセットを採用するかをまず決定した上で、さらに、その疑似波形データセットのうちどの範囲までを採用するかを選択する、という作業を実現することができる。
【0137】
範囲指定受付部172は、複数の疑似波形データセットに対する、類似度の範囲の指定を受け付けてもよい。例えば、範囲指定受付部172は、グラフ412、ヒストグラム414、グラフ422、ヒストグラム424、グラフ432、及びヒストグラム434を対象として、類似度の範囲の指定を受け付ける。範囲内波形選択部174は、グラフ412、ヒストグラム414、グラフ422、ヒストグラム424、グラフ432、及びヒストグラム434のうち、指定を受け付けた類似度の範囲に対応する疑似波形データを選択してよい。
【0138】
上記実施形態では、波形評価モデルの一例として、異常正常評価モデルを挙げたが、これに限られない。システム10は、例えば、対象システムの故障時期を評価する故障時期評価モデル等の、様々な種類の波形評価モデルを生成し得る。
【0139】
システム10は、波形データのような1次元データに限らず、画像のような2次元データを対象としてもよい。例えば、システム10は、2次元データから、疑似2次元データを生成してよい。システム10は、上述した疑似波形生成機能を、2次元データは横軸が時間、縦軸が周波数であることを前提に、2次元データに適用してよい。例えば、システム10は、2次元データを各列(時間毎)に切り出した周波数成分について、上述した疑似波形生成機能を適用する。同様の処理をすべての時間に対して実施し、その後結合することによって、疑似波形生成機能を2次元データに適用することができる。
【0140】
図12は、システム10、又はシステム10の一部として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。システム10の一部として機能するコンピュータ1200は、例えば、記憶部11、登録部12、生成部13、及び疑似波形確認処理部14を備える装置として機能する。システム10の一部として機能するコンピュータ1200は、例えば、記憶部11、登録部12、生成部13、疑似波形確認処理部14、及び学習部15を備える装置として機能する。システム10の一部として機能するコンピュータ1200は、例えば、学習部15を備える装置として機能する。システム10の一部として機能するコンピュータ1200は、例えば、評価実行部16を備える装置として機能する。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0141】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブは、DVD-ROMドライブ及びDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0142】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0143】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0144】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0145】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0146】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0147】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0148】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0149】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0150】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0151】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0152】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0153】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0154】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0155】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0156】
10 システム、11 記憶部、12 登録部、13 生成部、14 疑似波形確認処理部、15 学習部、16 評価実行部、102 波形記憶部、104 水増し処理、106 学習データ記憶部、108 ユーザ入力、110 アルゴリズム記憶部、112 選択処理、114 パラメータ設定処理、116 生成処理、118 データ記憶部、120 ユーザ意向・反映処理、122 分布表示処理、124 選択処理、126 個別表示処理、128 範囲選択処理、130 学習データ記憶部、140 学習実行部、142 AI、144 アルゴリズム記憶部、146 波形評価モデル記憶部、150 アプリ、160 波形取得部、162 意図特定部、164 前処理部、166 疑似波形生成部、168 疑似波形記憶部、170 類似性表示制御部、172 範囲指定受付部、174 範囲内波形選択部、180 モデル取得部、182 入力波形取得部、184 波形入力部、186 評価結果出力制御部、190 管理データ、202 異常波形データ、204 疑似異常波形データ、206 疑似異常波形データ、212 ヒストグラム、214 波形、220 表示、300 波形データ、301 データサイズ、302 範囲、303 開始点、304 終了点、305 区間、308 疑似波形データ、311 範囲、312 波形、313 波形、314 波形、321 経由点、322 スプライン曲線、400 表示データ、412 グラフ、414 ヒストグラム、422 グラフ、424 ヒストグラム、432 グラフ、434 ヒストグラム、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1230 ROM、1240 入出力チップ