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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】嵌合式建材パネルの連結構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/365 20060101AFI20241008BHJP
   E04D 3/362 20060101ALI20241008BHJP
   E04D 3/363 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
E04D3/365 E
E04D3/362 C
E04D3/363 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023109694
(22)【出願日】2023-07-04
(62)【分割の表示】P 2019107649の分割
【原出願日】2019-06-10
(65)【公開番号】P2023118829
(43)【公開日】2023-08-25
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000200323
【氏名又は名称】JFE鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 克也
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-331813(JP,A)
【文献】特開平5-65749(JP,A)
【文献】特開平11-343706(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0272060(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 3/36
E04D 3/362
E04D 3/363
E04D 3/365
E04D 3/366
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁間方向に隣接配置される嵌合式建材パネルを、連結用補助金具を用いて連結固定する嵌合式建材パネルの連結構造において、
前記嵌合式建材パネルは、
長手方向に沿って伸延する一対の長尺縁部と、これら各長尺縁部を挟み込み幅方向に沿って伸延する一対の短尺縁部と、によって区画された輪郭形状を有するパネル本体と、
前記一対の短尺縁部の一方に設けられるとともに、前記パネル本体の水上側に向けて前記パネル本体の表面側に折り返される第一の引っ掛け片を有する下継手と、
一対の短尺縁部の他方に設けられるとともに、前記パネル本体の水下側に向けて前記パネル本体の裏面側に折り返される引っ掛け片を有する上継手と、
を有し、
前記連結用補助金具は、
前記嵌合式建材パネルの下継手の上面に覆い被さる板状体と、
前記板状体に一体的につながり、締結手段を介して下地材に固定されるベースと、
を有し、
前記連結用補助金具は、当該連結用補助金具の前記下地材への固定時に、前記梁間方向に隣接配置される嵌合式建材パネルのうち、水下側に位置する嵌合式建材パネルの下継手に覆い被されて、前記連結用補助金具の前記板状体が前記第一の引っ掛け片の上面に面接触され、
前記梁間方向に隣接配置される嵌合式建材パネルのうち、水上側に位置する嵌合式建材パネルは、当該嵌合式建材パネルの前記下地材への固定時に、前記水上側に位置する嵌合式建材パネルの上継手に設けた引っ掛け片を、前記板状体が上面に面接触された前記第一の引っ掛け片に引っ掛けることで、前記水下側に位置する嵌合式建材パネルの下継手に、前記水上側に位置する嵌合式建材パネルの上継手が重ね合わされた状態で繋ぎ合わされる
ことを特徴とする嵌合式建材パネルの連結構造。
【請求項2】
前記嵌合式建材パネルは、
前記一対の長尺縁部の一方に沿って設けられる上ハゼと、
前記一対の長尺縁部の他方に沿って設けられる下ハゼと、
前記下継手に設けられるとともに、前記上ハゼにつながる第一のハゼと、
前記下継手に設けられるとともに、前記下ハゼにつながる第二のハゼと、
前記上継手に設けられるとともに、前記上ハゼにつながる第三のハゼと、
前記上継手に設けられるとともに、前記下ハゼにつながる第四のハゼと、
をさらに有し、
前記嵌合式建材パネルのうち、水上側に位置する嵌合式建材パネルは、嵌合式建材パネルの前記下地材への固定時に、前記水下側に位置する嵌合式建材パネルが有する前記第一及び第二のハゼの各々に、前記水上側に位置する嵌合式建材パネルが有する第三及び第四のハゼの各々が嵌合する
ことを特徴とする請求項1に記載の嵌合式建材パネルの連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅や事務所、マンション、福祉施設、リゾート施設等の屋根や壁を構築するのに用いられる嵌合式建材パネルの連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
嵌合式の建材パネルは、従来、屋根材として広く用いられており、パネル本体の幅方向の端部に設けられた上ハゼ、下ハゼを、隣接配置する他の建材パネルの下ハゼ、上ハゼにそれぞれ嵌合させることによりパネル同士をつなぎ合わせる施工が行われてきている。しかし、近年では、さらに、パネル本体の長手方向に上継手、下継手を設け、水下側、水上側に隣接配置される建材パネルとの相互間で上継手、下継手をそれぞれ相互に嵌合させてパネル同士をつなぎ合わせる構造の建材パネルも開発されてきており、この点に関する先行技術としては、例えば、特許文献1が参照される。
【0003】
ところで、上記従来の建材パネルは、強風の吹き込みや過大な負圧が作用した場合に、パネルのつなぎ合わせ部分で変形を引き起こすことがないとはいえず未だ改善の余地が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-205120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、建材パネルの、つなぎ合わせ部分での変形を回避し得る嵌合式建材パネルの連結構造を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の嵌合式建材パネルの連結構造は、梁間方向に隣接配置される嵌合式建材パネルを、連結用補助金具を用いて連結固定する嵌合式建材パネルの連結構造において、前記嵌合式建材パネルは、長手方向に沿って伸延する一対の長尺縁部と、これら各長尺縁部を挟み込み幅方向に沿って伸延する一対の短尺縁部と、によって区画された輪郭形状を有するパネル本体と、前記一対の短尺縁部の一方に設けられるとともに、前記パネル本体の水上側に向けて前記パネル本体の表面側に折り返される第一の引っ掛け片を有する下継手と、一対の短尺縁部の他方に設けられるとともに、前記パネル本体の水下側に向けて前記パネル本体の裏面側に折り返される引っ掛け片を有する上継手と、を有し、前記連結用補助金具は、前記嵌合式建材パネルの下継手の上面に覆い被さる板状体と、前記板状体に一体的につながり、締結手段を介して下地材に固定されるベースと、を有し、前記連結用補助金具は、当該連結用補助金具の前記下地材への固定時に、前記梁間方向に隣接配置される嵌合式建材パネルのうち、水下側に位置する嵌合式建材パネルの下継手に覆い被されて、前記連結用補助金具の前記板状体が前記第一の引っ掛け片の上面に面接触され、前記梁間方向に隣接配置される嵌合式建材パネルのうち、水上側に位置する嵌合式建材パネルは、当該嵌合式建材パネルの前記下地材への固定時に、前記水上側に位置する嵌合式建材パネルの上継手に設けた引っ掛け片を、前記板状体が上面に面接触された前記第一の引っ掛け片に引っ掛けることで、前記水下側に位置する嵌合式建材パネルの下継手に、前記水上側に位置する嵌合式建材パネルの上継手が重ね合わされた状態で繋ぎ合わされることを特徴としている。
【0007】
また、本発明は、前記嵌合式建材パネルは、前記一対の長尺縁部の一方に沿って設けられる上ハゼと、前記一対の長尺縁部の他方に沿って設けられる下ハゼと、前記下継手に設けられるとともに、前記上ハゼにつながる第一のハゼと、前記下継手に設けられるとともに、前記下ハゼにつながる第二のハゼと、前記上継手に設けられるとともに、前記上ハゼにつながる第三のハゼと、前記上継手に設けられるとともに、前記下ハゼにつながる第四のハゼと、をさらに有し、前記嵌合式建材パネルのうち、水上側に位置する嵌合式建材パネルは、嵌合式建材パネルの前記下地材への固定時に、前記水下側に位置する嵌合式建材パネルが有する前記第一及び第二のハゼの各々に、前記水上側に位置する嵌合式建材パネルが有する第三及び第四のハゼの各々が嵌合することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、板状体が、下継手の上面に位置してその補強部材として機能することから、強風が吹き込んだり、過大な負圧が作用してもつなぎ合わせ部分が簡単に変形することがない。
【0009】
また、本発明によれば、湾曲片が、下継手の外表面に位置してその補強部材として機能することから、強風が吹き込んだり、過大な負圧が作用してもつなぎ合わせ部分が簡単に変形することがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明にしたがう嵌合式建材パネルの連結用補助金具の実施の形態をその全体について示した外観斜視図である。
図2】本発明にしたがう連結用補助金具を用いて好適な嵌合式建材パネルを示した外観斜視図である。
図3】(a)は、図2のA-A断面を拡大して示した図であり、(b)は、図2のB-B断面を示した図である。
図4図2のC-C断面を示した図である。
図5】本発明にしたがう連結用補助金具の配置要領の説明図である。
図6】本発明にしたがう連結用補助金具の使用状態を示した図である。
図7】嵌合式建材パネルのつなぎ合わせ状況の説明図である。
図8】嵌合式建材パネルのつなぎ合わせ状況の説明図である。
図9】本発明にしたがう連結用補助金具の他の実施の形態を示した外観斜視図である。
図10図9に示した連結用補助金具の使用状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。図1は、本発明にしたがう嵌合式建材パネルの連結用補助金具を模式的に示した外観斜視図である。なお連結用補助金具としては、厚さ1.0~3.2mm程度の亜鉛めっき鋼板等が用いられる。
【0012】
図1における符号1は、連結用補助金具の板状体である。板状体1は、嵌合式建材パネルの下継手の上面に覆い被さるものであって、これにより嵌合式建材パネルのつなぎ合わせ部分での下継手、上継手の変形を防止するようになっている。また、2は、板状体1に一体的につながり、ビスやねじ等の締結手段を介して屋根あるいは壁の下地材に固定されるベースである。板状体1、ベース2は、一枚の板材をプレス成形することによって製造することができる。
【0013】
図2は、上記連結用金具を用いるのに好適な嵌合式建材パネルを示した外観斜視図であり、図3(a)(b)は、図2のA-A断面、B-B断面をそれぞれ拡大して示した図であり、図4は、図2のC-C断面を示した図である。
【0014】
嵌合式建材パネルは、屋根を葺きあげる場合、壁を構築する場合のいずれにおいても、下継手が設けられた側を水上側に向け、上継手が設けられた側を水下側に向けて配置されるものであって、建築構造物の屋根、壁を構築するにあたっては、同じ構成からなる嵌合式建材パネルを複数枚用いる。
【0015】
嵌合式建材パネルを構成する素材としては、厚さ0.2~1.0mm程度になる亜鉛めっき鋼板、アルミニウム亜鉛合金めっき鋼板、銅板、アルミニウム板、ステンレス鋼板あるいは、それらの塗装または被覆鋼板等が用いられる。
【0016】
図2~4における符号3は、パネル本体である。パネル本体3は、長手方向に沿って伸延する一対の長尺縁部3a、3bと、これら長尺縁部3a、3bを挟み込み、幅方向に沿って伸延する一対の短尺縁部3c、3dによって区画された、全体として矩形状をなす輪郭形状を有している。
【0017】
また、符号4は、パネル本体3の長尺縁部3aに一体連結するとともに、隣接配置する別の嵌合式建材パネルの下ハゼに嵌合してパネル同士を接続する上ハゼである。
【0018】
上ハゼ4は、長尺縁部3aから立ち上がる傾斜側板4aと、この傾斜側板4aの上端に係止顎部t1を介してつながるとともに、桁方向に隣接配置する別の嵌合式建材パネルの下ハゼに嵌合可能な内部空間を有する先端先細り形状をなすドーム型の頭部4bと、この頭部4bに係止顎部t2を介して垂下、保持され、傾斜側板4aとの相互間にて下開き開口を形成する傾斜側板4cとから構成されている。上ハゼ4は、頭部4bの側壁に長尺縁部3aに沿って延伸する凹部を設けることが可能であり、これにより、桁方向に隣接配置する別の嵌合式建材パネルの下ハゼに嵌合させた際に、その相互間で面接触するのを避けて雨水の侵入を防止することができるようになっている。
【0019】
また、符号5は、パネル本体3の長尺縁部3bに一体連結するとともに、もう一方に隣接配置する別の嵌合式建材パネルの下ハゼに嵌合してパネル同士を接続する下ハゼである。
【0020】
この下ハゼ5は、長尺縁部3bから立ち上がる側板5aと、この側板5aの上端に係止顎部t3を介してつながるとともに、隣接配置する別の嵌合式建材パネルの上ハゼに嵌合可能な先端先細り形状をなすドーム型の頭部5bと、この頭部5bに係止顎部t4介して垂下、保持され、側板5aとの相互間にて下開き開口を形成する側板5cと、この側板5cの下端に水平姿勢でもって一体的につながるビス止め片5dから構成されている。
【0021】
係止顎部t1と係止顎部t2とは相互に逆向きに突出していて、両者でもって嵌合させたハゼの引き抜けを防止する。また、係止顎部t3と係止顎部t4とは、上記の係止顎部t1、係止顎部t2と同様に、相互に逆向きになっており、両者でもって嵌合させたハゼの引き抜けを防止する。
【0022】
符号6は、パネル本体3の短尺縁部3cに設けられた下継手である。下継手6は、水上側に隣接配置する他の嵌合式建材パネルの上継手の下側において重ね合わさるものであって、パネル本体3の短尺縁部3cの全域にわたって面一状態でつながる板状体6aと、該板状体6aの後端部でパネル本体3の水下側に向けて折り返され、水上側に隣接配置する他の建材パネルの上継手に引っ掛け可能な引っ掛け片6bと、該板状体6aの幅方向の端縁および上ハゼ4の端部につながるとともに水上側に隣接配置する他の嵌合式建材パネルの上ハゼ(上継手の第三のハゼに相当するもの)に嵌合可能な第一のハゼ6cと、該板状体6aのもう一方の幅方向の縁部および下ハゼ5の端部においてつながるとともに水上側に隣接配置する他の建材パネルの下ハゼ(上継手の第四のハゼに相当するもの)に嵌合可能な第二のハゼ6dとから構成されている。第二のハゼ6dの下端には、下ハゼ5のビス止め片5dに同一平面でつながる舌片6eが設けられている。
【0023】
下継手6は、ロール成形によりパネル本体3、上ハゼ4、下ハゼ5と同一断面形状に形成したのち、プレス成形による絞り加工を施すことによって成形される。
【0024】
下継手6の幅寸法は、水上側に隣接配置する他の嵌合式建材パネルとのつなぎ合わせに際して相互に確実に重ね合わせることができるように、水上側に隣接配置する他の嵌合式建材パネルのパネル本体の幅寸法(実際には上継手の幅寸法)よりも若干広くなっている。
【0025】
また、符号7は、パネル本体3のもう一方の短尺縁部3dに設けられた上継手(パネルの水下側に配置される)である。この上継手7は、パネル本体3と面一状態でつながり、水下側に隣接配置する他の嵌合式建材パネルの短尺縁部(下継手に相当する部分)の上側において重ね合わさるものである。
【0026】
上継手7は、パネル本体3に面一状態で一体連結する第一の板状体7aと、この第一の板状体7aの先端部でパネル本体3の水上側に向けて折り返され、水下側に隣接配置する他の嵌合式建材パネルの下継手に引っ掛け可能な第一の引っ掛け片7bと、第一の板状体7aの幅方向の各端部および上ハゼ4、下ハゼ5にそれぞれ面一状態で一体連結する第三のハゼ7c、第四のハゼ7dとから構成されている。
【0027】
第一の引っ掛け片7bは、第一の板状体7aに対して180°曲げとなるように折り返しておくことができるものである。
【0028】
上記の構成からなる嵌合式建材パネルは、基本的には、下ハゼ5のビス止め片5dの複数個所にビスを打ち込むことにより屋根や壁の下地材に固定されるものであるが、図5に示すように建材パネルの下継手6に本発明にしたがう連結用補助金具を配置してビスやねじ等の締結手段を介して該連結用補助金具を下地材に固定することにより建材パネルを補助的に固定する。
【0029】
図6は、嵌合式建材パネルのつなぎ合わせ状況を要部について模式的に示した断面図である。本発明にしたがう連結用補助金具を使用することにより、つなぎ合わせ部分の強度が高まるため、強風の吹き込みや過大な負圧が作用してもその部位が簡単に変形するのを回避することができる。
【0030】
上掲図2に示したような嵌合式建材パネルを用いて屋根を葺きあげるべく、嵌合式建材パネルを梁間方向、すなわち、縦方向につなぎ合わせるには、図7に示すように、下継手6に水上側において隣接配置する他の嵌合式建材パネルの上継手7′の第一の引っ掛け片7b′を下継手6の引っ掛け片6bに引っ掛けるとともに、下継手6の第一のハゼ6cを、水上側において隣接配置する他の嵌合式建材パネルの上継手7′の第三のハゼ7c′に、また、下継手6の第二のハゼ6dを、該水上側において隣接配置する他の嵌合式建材パネルの上継手7′の第四のハゼ7d′にそれぞれ嵌合させる一方、上継手7第三のハゼ7cを、水下側において隣接配置する他の嵌合式建材パネルの下継手6′の第一のハゼ6c′に、また、上継手7の第四のハゼ7dを、水下側において隣接配置する他の嵌合式建材パネルの下継手6′の第二のハゼ6d′に嵌合させればよい。
【0031】
また、かかる嵌合式建材パネルを桁方向、すなわち、横方向につなぎ合わせるには、図8に示すように、下ハゼ5を、隣接配置する別の建材パネルの上ハゼ4′′に嵌合させ、上ハゼ4を、隣接配置する別の嵌合式建材パネルの下ハゼ5′′に嵌合させればよく、この作業を、縦方向のつなぎ合わせ作業と並行して行うことにより建築構造物の屋根を葺きあげることができる。
【0032】
なお、図7、8においては、本発明にしたがう連結用補助金具は図示していないが、実際には全ての嵌合式建材パネルに適用される。
【0033】
上記の構成からなる嵌合式建材パネルを用いて建築構造物の壁を構築するに際しても、屋根を葺きあげる場合と同じ手順で嵌合式建材パネルをつなぎ合わせればよい。
【0034】
図9は、本発明にしたがう連結用補助金具の他の実施の形態を示した外観斜視図である。かかる連結用補助金具は、U字形断面をなす湾曲片8から構成されるものであって、図10に示すように、その内側凹所8aに下継手6を嵌合させて該下継手6の外表面を覆うことにより、つなぎ合わせ部分における耐風圧強度、耐風圧性能を高めることができ、強風の吹き込みや過大な負圧が作用してもその部位が簡単に変形するのを回避し得る。湾曲片8は、屋根や壁の下地材への固定は不要であり、一枚の板材に180°曲げを施すことにより成形することができる。なお、湾曲片8は、該湾曲片8を下継手6に嵌合させたとき、その先端が下継手6からわずかに突出する長さに設定しておき、その先端に内側凹所8a側へと向かう折り返し片、突起、あるいは切り起し片等を形成しておくことも可能であり、これにより下継手6からの連結用補助金具の脱落を防止することができる。
【0035】
<付記>
本発明は、長手方向に沿って伸延する一対の長尺縁部とこれら各長尺縁部を挟み込み幅方向に沿って伸延する一対の短尺縁部とによって区画された輪郭形状を有するパネル本体と、該パネル本体の各短尺縁部にそれぞれ設けられた下継手、上継手と、該パネル本体の各長尺縁部のそれぞれに沿って一体連結する上ハゼ、下ハゼとを備えた嵌合式建材パネルにつき、その嵌合式建材パネル同士を該下継手、該上継手において相互につなぎ合わせる連結用補助金具であって、前記下継手の引っ掛け片の上面に位置して該引っ掛け片の補強部材として機能する板状体と、該板状体につながり屋根または壁の下地材に固定されるベースからなることを特徴とする嵌合式建材パネルの連結用補助金具。
【0036】
また、本発明は、長手方向に沿って伸延する一対の長尺縁部とこれら各長尺縁部を挟み込み幅方向に沿って伸延する一対の短尺縁部とによって区画された輪郭形状を有するパネル本体と、該パネル本体の各短尺縁部にそれぞれ設けられた下継手、上継手と、該パネル本体の各長尺縁部のそれぞれに沿って一体連結する上ハゼ、下ハゼとを備えた嵌合式建材パネルにつき、その嵌合式建材パネル同士を該下継手、該上継手において相互につなぎ合わせる連結用補助金具であって、内側凹所を有し該内側凹所に前記下継手を嵌合させる湾曲片からなることを特徴とする嵌合式建材パネルの連結用補助金具である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、嵌合式建材パネルのつなぎ合わせ部分の強度を高めることが可能な連結用補助金具が提供できる。
【符号の説明】
【0038】
1 板状体
2 ベース
3 パネル本体
3a 長尺縁部
3b 長尺縁部
3c 短尺縁部
3d 短尺縁部
4 上ハゼ
4a 傾斜側板
4b 頭部
4c 傾斜側板
5 下ハゼ
5a 側板
5b 頭部
5c 側板
5d ビス止め片
6 下継手
6a 板状体
6b 引っ掛け片
6c 第一のハゼ
6d 第二のハゼ
6e 舌片
7 上継手
7a 第一の板状体
7b 第一の引っ掛け片
7c 第三のハゼ
7d 第四のハゼ
8 湾曲片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10