(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】主電源プラグ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/66 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
H01R13/66
(21)【出願番号】P 2023114845
(22)【出願日】2023-07-13
(62)【分割の表示】P 2020540675の分割
【原出願日】2018-10-02
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】202017106035.7
(32)【優先日】2017-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520121647
【氏名又は名称】ティーエムシー センサーテクニック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】TMC SENSORTECHNIK GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲンゲンバッハ ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】ブュヒャー ミヒャエル
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-115264(JP,A)
【文献】実開昭54-088694(JP,U)
【文献】特開2002-216924(JP,A)
【文献】特開平05-036335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのコンタクトピン(3)が、本体(1)の第1の側で前記本体(1)から互いに平行に突出し、且つ、前記本体(1)の内側で電気導体(4)に接続され、前記電気導体(4)は、前記本体(1)の第2の側で前記本体(1)から引き出され、または引き出すことができ、
更に、センサが設けられ、このセンサが温度センサ、すなわち、2つの前記コンタクトピン(3)の少なくとも1つに関連付けられたサーマルバイメタルスイッチ(7)の構成部分であるサーマルバイメタル素子であり、
2つのコンタクトピン(3)は電気絶縁材料製の分離キャリア(2)に取り付けられ、前記分離キャリア(2)は、前記本体(1)内に配置された主電源プラグであって、
前記主電源プラグの前記本体(1)内に電気的な絶縁カバー(16)が設けられ、且つ、分離キャリア(2)に取り付けられ、
前記絶縁カバー(16)の下に前記コンタクトピン(3)が設けられ、これらは、前記本体(1)の第2の側から導出される前記電気導体(4)に接続され、または、接続することができるようにされ、
前記絶縁カバー(16)は、前記サーマルバイメタルスイッチ(7)のためのマウント(6)を備えるように形成されていて、
前記マウント(6)が、前記絶縁カバー(16)の上側から前記絶縁カバー(16)の下側に位置するスペースに突出していて、
前記サーマルバイメタルスイッチ(7)が上部から前記絶縁カバー(16)の下の空間に押し込まれることができるように、前記マウント(6)が上部に向かって開いていて、
前記サーマルバイメタルスイッチ(7)が、前記絶縁カバー(16)から上方に向かって突き出る接続線(8)を備えていることを特徴とする主電源プラグ。
【請求項2】
請求項1の主電源プラグにおいて、
前記本体(1)に2つの前記サーマルバイメタルスイッチ(7)が設けられていて、これには、前記マウント(6)が2つの前記サーマルバイメタルスイッチ(7)毎に形成されていることを特徴とする主電源プラグ。
【請求項3】
請求項2の主電源プラグにおいて、
2つの前記サーマルバイメタルスイッチ(7)の1つが、2つのコンタクトピン(3)の2番目よりも2つのコンタクトピン(3)の1番目に近く、2つの前記サーマルバイメタルスイッチ(7)の他のサーマルバイメタルスイッチ(7)が1番目の前記コンタクトピン(3)よりも2番目の前記コンタクトピン(3)に近いことを特徴とする主電源プラグ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの主電源プラグにおいて、
1つまたは2つの前記サーマルバイメタルスイッチ(7)が2つの前記コンタクトピン(3)の少なくとも一方に隣接して、又は2つの前記コンタクトピン(3)間に配置されていることを特徴とする主電源プラグ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの主電源プラグにおいて、
前記サーマルバイメタルスイッチ(7)は、少なくとも部分的に前記絶縁カバー(16)の下に配置されていることを特徴とする主電源プラグ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの主電源プラグにおいて、
前記サーマルバイメタルスイッチ(7)は、最寄りの2つの前記コンタクトピン(3)に接触しない金属製のハウジングを備えていることを特徴とする主電源プラグ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかの主電源プラグにおいて、
スナップ式に取り付けることができることによって、前記絶縁カバー(16)も取り付けることができることを特徴とする主電源プラグ。
【請求項8】
上記請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の主電源プラグが取付けられ、前記コンタクトピン(3)に接続される前記電気導体(4)と、保護導体(24)とに加えて、前記サーマルバイメタルスイッチ(7)に接続される信号線(10)が延在する、電気的な接続ケーブル(11)。
【請求項9】
請求項8に記載の前記接続ケーブル(11)を用いて電源に接続することができ、前記サーマルバイメタルスイッチ(7)が開いているか閉じているかを監視する電気監視装置(21)を有することを特徴とする電気装置。
【請求項10】
請求項9の電気装置において、前記
電気監視装置(21)が、その切替温度を超えたことによる前記サーマルバイメタルスイッチ(7)の位置を検出した後、装置(19、20)の消費電力を一時的に減少ないし停止させるように設計されていることを特徴とする電気装置。
【請求項11】
請求項10の電気装置において、コントローラを含み、このコントローラは、前記
電気監視装置(21)によって前記サーマルバイメタルスイッチ(7)のスイッチング温度の超過を検出し、それによって駆動され、前記サーマルバイメタルスイッチ(7)のいずれも、スイッチング温度を超過しないスイッチング位置になるまで、電力消費を低減するように設計された、コントローラを含むことを特徴とする電気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気絶縁材料から形成された本体を備えた主電源プラグに関し、2つのコンタクトピンが互いに平行に配置され、その各々が本体の第1の側及び本体の内側に突出し、電気導体に接続され、又は接続されることができ、電気導体は本体の第2の側で本体から引き出され、又は引き出されることができ、センサが設けられる。
【背景技術】
【0002】
このような主電源プラグは、特許文献1から知られている。周知の主電源プラグは、電気自動車またはハイブリッド自動車のアキュムレータをAC電源で充電するための充電装置に属する。充電ケーブルは、主電源プラグを充電装置に接続している。過熱保護のために、主電源プラグは例えば鉄製の2つのコンタクトピンから成り、例えば銅ニッケル合金製の鉄以外の金属製の4本のワイヤから成るセンサを含む。これらの銅ニッケルワイヤのそれぞれは、コンタクトピンの長手方向に互いに離間している各コンタクトピンの2つの点にはんだ付けされる。離間した接続点では、ゼーベック効果により電位差が形成され、これは2つの接続点間の温度差に依存する。このようにして、各コンタクトピンに沿った温度勾配を決定し、そのサイズを測定することができる。しかしながら、そのような主電源プラグの製造は複雑であり、主電源プラグは、銅ニッケルワイヤに全電源電圧をかけ、主電源プラグ内の絶対温度の測定を実行することはできず、単に温度勾配があるか否かの指標を提供するに過ぎない。これは、目立たない温度勾配があっても過度に高い温度が存在する可能性があるので、信頼性のある温度監視を可能にしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】DE 10 2015 206 840 A1
【文献】DE 10 2008 031 389 B3
【文献】DE 10 2004 036 117 B4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
主電源プラグのコンタクトピンの温度を監視することができ、従来の主電源プラグよりも組み立てが容易な主電源プラグを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は、請求項1に記載の特徴を有する主電源プラグによって達成される。本発明の有利なさらなる実施形態は、従属請求項の目的である。請求項8の目的は、本発明による主電源プラグが取り付けられる電気ケーブルである。請求項9~11の目的は主電源プラグに設けられた少なくとも1つのサーマルバイメタルスイッチを監視し、特定の閾値温度を超えた場合に電気装置の電力消費を制限又は制限することができる電気装置である。電気装置は少なくとも1つのサーマルバイメタルスイッチがそのスイッチング温度に達するか、またはそれを超え、その結果、そのスイッチ位置が「開」から「閉」に、または「閉」から「開」に変化するという事実によって、温度閾値の超過を検出することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、かなりの利点を有する。
【0007】
サーマルバイメタルスイッチの設置はサーマルバイメタルスイッチがコンタクトピンに割り当てられている場合に、コンタクトピンの温度の尺度で主電源プラグ内の温度の信頼性のある監視が実行されることを可能にする。
【0008】
サーマルバイメタルスイッチは開放設計でも、閉鎖設計でも、このような小型サイズで入手可能であり、これは、スイッチギヤがハウジングによって包囲されていることを意味し、市販の主電源プラグに容易に収容することができる。閉鎖設計を有する適切なサーマルバイメタルスイッチは例えば、特許文献2および特許文献3に開示されている。
【0009】
サーマルバイメタルスイッチの可能な小さな寸法により、各コンタクトピンは、それに関連するそれ自体のサーマルバイメタルスイッチを有することができる。これにより、監視のセキュリティが向上する。
【0010】
いずれの場合も、サーマルバイメタルスイッチは、非導電性ハウジングを有する場合にはコンタクトピンと直接接触して配置することができる。
【0011】
コンタクトピン上を流れる電流は、サーマルバイメタルスイッチに印加されない。
【0012】
サーマルバイメタルスイッチは特定のスイッチング温度を有し、これは、サーマルバイメタルの材料の選択およびスイッチの機械的構造によって決定され、それぞれの用途に適合させることができる。
【0013】
指定された温度閾値を超えるか下回るかは、サーマルバイメタルスイッチのスイッチング位置を「開」から「閉」へ、または「閉」から「開」へ変化させることによって簡単に決定することができる。
【0014】
サーマルバイメタルスイッチのスイッチング位置は例えば、サーマルバイメタルスイッチの接続部に電気的試験電圧を印加することによって決定することができ、その結果、スイッチが閉じているときにサーマルバイメタルスイッチを介して電流が流れるだけであり、その電流は容易に測定することができる。電気試験電圧は例えば、主電源プラグを介して主電源に接続された電気装置から供給することができる。
【0015】
サーマルバイメタル素子をスナップディスクに成形することによって、スイッチング温度に達したときにサーマルバイメタル素子の曲率が急激に変化し、スイッチング温度が狭い限界内に設定されることを保証することができる。
【0016】
サーマルバイメタルスイッチは銅または銅合金で作られた接点ばねを有することができ、この接点ばねは、接点ばね上に保持されたサーマルバイメタルスナップディスクによって作動される。しかしながら、接点ばね自体をサーマルバイメタル素子から製造することも可能であり、その結果、接点ばねを作動させるために別個のサーマルバイメタル素子を必要としない。従って、特に、本線電流がサーマルバイメタルスイッチの接点ばね上を流れないので、サーマルバイメタルスイッチのこの簡略化された実施形態が可能である。
【0017】
サーマルバイメタルスイッチは安価であり、長い耐用年数を有する。
【0018】
サーマルバイメタルスイッチはあらかじめ製作しておき、主電源プラグ内のマウントに挿入することができる。
【0019】
そのようなマウントは例えば、そのハウジングまたはその内部構造を形成するときに、追加の製造努力なしに、射出成形によって、主電源プラグの製造の過程で形成され得る。
【0020】
本発明による主電源プラグでは、主電源プラグ自体の過熱だけでなく、主電源プラグが位置するソケットの過熱も検出することができる。ソケットは、過熱のリスク、特にソケットのソケット接点の腐食、したがって接触伝達抵抗の増加、およびソケットのソケット接点の機械的変形によって、主電源プラグよりも影響を受けやすい。したがって、本発明による主電源プラグはソケット内の過熱を防止し、それによって、例えば火災などの結果的な損傷を防止するのにも特に適している。
【0021】
1つのサーマルバイメタルスイッチのみが主電源プラグに設けられる場合、それは、両方のコンタクトピンの温度に等しく良好に応答するように配置され得る。この目的のために、サーマルバイメタルスイッチは、主電源プラグの2つのコンタクトピンの間の中央に並列に配置することができる。あるいは、サーマルバイメタルスイッチが2つのコンタクトピンに対して横方向に配置することもできる。サーマルバイメタルスイッチが電気絶縁ハウジングまたは電気絶縁キャリアを有する場合、これを介して2つのコンタクトピンと接触することもでき、これはコンタクトピンからサーマルバイメタルスイッチへの熱伝達を促進する。しかしながら、個々のサーマルバイメタルスイッチを、一方のコンタクトピンから他方のコンタクトピンに近づけて配置することも可能である。これは、最も近いコンタクトピンの過度の温度に対するより速い応答につながる。
【0022】
好ましくは、2つのサーマルバイメタルスイッチが主電源プラグに設けられ、その各々が2つのコンタクトピンのうちの1つの隣に位置する。これにより、コンタクトピンの隣に、好ましくは一方が一方のコンタクトピンの隣に、他方が他方のコンタクトピンの隣に配置され得るので、コンタクトピンからサーマルバイメタルスイッチへの最適な熱伝達が可能になる。また、1つのサーマルバイメタルスイッチが故障した場合にも監視できるため、2つのコンタクトピンの一方だけで過度に高い温度を確実に検出することができ、監視の信頼性が向上する。
【0023】
2つのサーマルバイメタルスイッチが提供される場合、それらは両方とも、好ましくはそれぞれのコンタクトピンと直接接触して、主電源プラグの2つのコンタクトピンの間に配置されることが好ましい。しかしながら、両方のバイメタル接点スイッチをコンタクトピンに対して横方向に、好ましくはコンタクトピンと直接接触して配置することも可能である。
【0024】
主電源プラグの各サーマルバイメタルスイッチには、個別のマウントを形成することができる。これは、特に、主電源プラグが合成材料から射出成形によって製造された2つの相補部品からなるハウジングを有し、これらの部品がコンタクトピンを所定の位置に保持するための構造を有する場合に可能である。この構造は射出成形プロセスによる追加の作業プロセスなしに、サーマルバイメタルスイッチ用のマウントを既に形成することができ、サーマルバイメタルスイッチは、所定の位置をとるために挿入される必要があるだけである。
【0025】
しかしながら、本発明はまた、内部構成要素が本体の合成材料でオーバーモールドされ、それによって特に単一部品の本体を形成する、主電源プラグにも適している。
【0026】
主電源プラグが知られており、その本体には電気絶縁カバーが設けられており、その下にコンタクトピンの接点が配置され、これらの接点は本体の第2の側から引き出された電気導体に接続されるか、または接続することができる。
【0027】
カバーは例えば、その内部構成要素をオーバーモールドすることによって主電源プラグの本体を形成するために使用される合成材料に対して、接点を遮蔽する。サーマルバイメタルスイッチは、好ましくは少なくとも部分的にカバーの下に配置される。サーマルバイメタルスイッチへの射出成形コンパウンドのアクセスがカバーによって防止される場合、開放型サーマルバイメタルスイッチはそのような主電源プラグにも使用することができる。つまり、封入されたスイッチのように、高温に対してより速く応答することができるハウジングのないスイッチである。
【0028】
各サーマルバイメタルスイッチのために、カバーの下に別個のマウントを配置することができる。好ましくは、カバー自体がマウントを構成するように形成される。そのようなカバーは合成材料からの射出成形によって好都合に製造されるので、カバーはサーマルバイメタルスイッチのための適切なマウントを有する射出成形型を適切に成形することによって、追加の労力なしに形成することができ、サーマルバイメタルスイッチはその中に挿入される必要があるだけであり、特に、押し込まれるか、または差し込まれる必要があるだけである。サーマルバイメタルスイッチのマウントはカバーの上側からカバーの下の空間に突出していることが好ましく、これは、コンタクトピンの後端が配置されている空間であり、カバーによってシールドされている。
【0029】
サーマルバイメタルスイッチをそれぞれのマウントに挿入するために、カバーの上側からカバーの下の空間に突出するマウントは、上部、すなわちカバーの上側で開いていることが好ましい。次いで、サーマルバイメタルスイッチは好ましくはコンタクトピンのために設けられた電気絶縁材料で作られたキャリアにカバーを適用する前または後に、任意選択で、それぞれのマウントに挿入することができる。このようなキャリアと、主電源プラグの合理的な製造のためのその利点とを以下に説明する。
【0030】
好ましくは、マウントがコンタクトピンからサーマルバイメタルスイッチへの熱伝達を容易にするために、最も近いコンタクトピンに面する側で開いている。ハウジングを有するサーマルバイメタルスイッチが使用される場合、これは合成材料よりも熱を良く伝導するので、好ましくはセラミック、例えば、酸化アルミニウムセラミックから成る。ハウジングが最も近いコンタクトピンと接触しないことが保証される場合、熱を良く伝導する利点を有する金属で作ることもできる。
【0031】
2つのサーマルバイメタルスイッチが主電源プラグに設けられる場合、これらは、好ましくは機械的および電気的レベルで共通の回路基板に接続される。共通回路基板及び2つのサーマルバイメタルスイッチはモジュールを形成し、モジュールは例えばサーマルバイメタルスイッチの製造業者によってプレハブ化することができるので、本発明による主電源プラグの製造を容易にし、その結果、主電源プラグを製造業者によってサーマルバイメタルスイッチ用に設けられたマウントに差し込むだけでよい。小型回路基板上に、信号線の接続点を設けることができ、これを介してサーマルバイメタルスイッチを外部監視装置に接続することができる。しかしながら、サーマルバイメタルスイッチの接続ワイヤは、回路基板の孔を通して挿入され、はんだ付けによって固定され、後に信号線にはんだ付けされることができる。
【0032】
2つのサーマルバイメタルスイッチが提供される場合、合計2、3、または4つの信号線をそれらのために提供することができる。2つのサーマルバイメタルスイッチが直列に接続され、それらのスイッチング温度未満で閉じられる場合、2つの信号線で十分である。4本の信号線を使用すると、2つのサーマルバイメタルスイッチを互いに独立して動作させることができ、2つのコンタクトピンを互いに独立して監視することができる。ただし、各サーマルバイメタルスイッチからの1つの接続が共通の信号線に接続されている場合、3本の信号線のみを使用することもできる。
【0033】
信号線は、主電源電流をシースケーブルに導く電気導体と一緒に組み合わせることができる。このようなケーブルは、本発明による主電源プラグに使用することができるサーマルバイメタルスイッチとまさに同じ状態である。
【0034】
特に、本体が合成材料からの射出成形によって単一部品として形成される主電源プラグの場合、コンタクトピンに電気絶縁材料の別個のキャリアを設けることが知られている。このようなキャリアは、プラグ製造業者によって「ブリッジ」とも呼ばれる。キャリアは、射出成形によって製造することができる。また、そのようなキャリアにカバーを取り付けること、特に、それをスナップマウントすることも知られており、その下には、コンタクトピンの接続部が配置されている。このキャリアとそれに取り付けられたカバーはプラグ本体を射出成形する際に、下にあるプラグ部品をシールドする。キャリア、それに取り付けられたコンタクトピン、それに接続されたケーブル、およびカバーはモジュールとしてプレハブ化することができ、モジュールを合成材料でオーバーモールドすることによって、またはプレハブ化されたプラグ本体に挿入するために、プラグ本体を形成するために供給することができる。また、このモジュールは、サーマルバイメタルスイッチと、信号線の端部が取り付けられる接続回路基板とを含むことができる。サーマルバイメタルスイッチのためのマウントはこのモジュールにおいて、キャリア上に、またはキャリア上に取り付けられたカバー上に形成することができる。このようなモジュール化によって、本発明による主電源プラグは、1つまたは2つのサーマルバイメタルスイッチを用いて効率的に製造することができる。信号線の端部をサーマルバイメタルスイッチに接触する回路基板に取り付ける代わりに、サーマルバイメタルスイッチの電気接続部に直接取り付けることもできる。これは、回路基板が不要であるという利点を有する。これを可能にするために、
図3および
図4に示されるように、サーマルバイメタルスイッチが、カバーから上方に突出する接続ワイヤを有する場合、有利である。
【0035】
本発明による主電源プラグが取り付けられる電気接続ケーブルは主電流を導くその導体を介して、また、サーマルバイメタルスイッチから来る信号導体を用いて、直接に、またはデバイスプラグによって、幹線から電力を供給される電気デバイスに接続することができる。このような装置は、サーマルバイメタルスイッチのスイッチング位置が開いているか閉じているかを監視する電気監視装置を有することが好ましい。この目的のために、電気デバイス内の信号線に試験電圧を印加することができ、この試験電圧はサーマルバイメタルスイッチが閉じているときにはサーマルバイメタルスイッチを介して電流を流すが、サーマルバイメタルスイッチが開いているときには遮断される。このようにして、電気デバイス内の監視デバイスはサーマルバイメタルスイッチの位置を検出することができ、検出されたスイッチング位置がサーマルバイメタルスイッチのスイッチング温度の超過を意味する場合、デバイスの電力消費を一時的に低減または中断し、したがって過熱を防止または打ち消すことができる。好ましくはそのような場合、主電流は完全に遮断されないが、デバイスの電力消費はサーマルバイメタルスイッチがその代わりにそのスイッチング温度を下回る値に低減される。この目的のために、電気装置は、適切な電力消費調整を実行するコントローラを含むことが好ましい。
【0036】
本発明の例示的な実施形態は、添付の図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明による主電源プラグの第1の例示的な実施形態を示す分解図。
【
図2】
図1の主電源プラグの内部構造を示す斜視図。
【
図3】本発明による主電源プラグの第2の例示的な実施形態を示す分解図。
【
図4】
図3の主電源プラグの内部構造を示す斜視図。
【
図5】主電源プラグ内の温度を監視し、主電源プラグおよび主電源プラグが差し込まれるソケット内に過熱がないことを確実にするための基本手順を説明するためのブロック図。
【
図6】本発明による主電源プラグの第3の例示的な実施形態を示す分解図
【発明を実施するための形態】
【0038】
例示的な実施形態では、同一または対応する部分には一致する参照番号が付されている。
【0039】
図1に示す主電源プラグは「2ピン接地プラグ」(「Schukoプラグ」)タイプであり、本体1を有し、これは、合成物質材料から射出成形によって製造することができ、主電源プラグの他の構成要素を収容するのに役立つ。これらの構成要素は電気絶縁性の合成材料からなるキャリア2を含み、このキャリアでは互いに平行な2つのコンタクトピン3が差し込まれ、各コンタクトピン3の後端には主電流を導く電気導体4が取り付けられている。さらに、2ピン接地プラグの場合のように、2つの保護接点5がキャリア2に取り付けられ、これらの接点は保護導体24に接続される。キャリア2は本体1の内側に面するキャリア2の側に、2つのマウント6を備えるように形成され、これらのマウントは、コンタクトピン3の間にこれらに平行に配置される。それらはそれぞれ、1つのサーマルバイメタルスイッチ7を受け入れるために使用され、そのスイッチギアはハウジング内に配置され、ハウジングは板金で作られた深絞り部品、またはセラミックまたは合成材料で作られた成形部品とすることができる。サーマルバイメタルスイッチ7のハウジングからは、それぞれ2本の接続線8が導出されている。サーマルバイメタルスイッチ7はマウント6内に押し込まれ、接続線8はマウント6から上方に突出する(
図1の表示に基づく)。マウント6はこれから隣接するサーマルバイメタルスイッチ7へ可能な限り最良の熱伝達を達成するために、最も近いコンタクトピン3から可能な限り小さい距離を有するように配置される。さらに、この目的のために、開口部9が、それぞれのマウント6に面するそれぞれの隣接するコンタクトピン3に設けられることができる。
【0040】
2つのサーマルバイメタルスイッチ7の合計4つの接続線8は4つの電気信号線10に接続されており、そのうち、明確にするために、2つの信号線10のみが示されており、これらは、主電源を運ぶ電気導体4と、共通ケーブル11を形成する保護導体24と一緒にまとめられている。
【0041】
サーマルバイメタルスイッチ7の取付け及び接続を容易にするために、それらの接続線8は、小さな回路基板12の孔に固着され、その上の導体経路とはんだ付けされる。回路基板12の孔および回路基板上の導体経路は
図1には示されていないが、2つのサーマルバイメタルスイッチ7および回路基板12はハンドリングに快適なモジュールを形成し、このモジュールはモジュールとしてマウント6にサーマルバイメタルスイッチ7と共にプレハブ加工および押し込むことができる。その後、信号線10を、回路基板12から突出する接続線8に、または接続線8に通じる回路基板12上に形成された導体経路にはんだ付けすることができ、導体4をコンタクトピン3に接続することができ、保護導体24を保護接点5に接続することができる。
【0042】
ケーブル11をコンタクトピン3、保護接点5及びサーマルバイメタルスイッチ7に接続した後、
図2に示す半完成品の組立体が得られる。
図2には、
図1に示されていない孔の位置が示されており、この孔をサーマルバイメタルスイッチ7の接続線8が貫通している。半製品アセンブリはカバー16で完成し、このカバーはキャリア2に取り付けられ、そこに吸着されることで取り付けられる。
図1参照。キャリア2と、サーマルバイメタルスイッチ7、回路基板12、カバー16、及び接続ケーブル11の端部からなる、それに取り付けられた主電源プラグの他の構成要素とからなるアセンブリは、合成材料でオーバーモールドされて本体1を形成することができる。結果として生じる主電源プラグでは、本体1はアセンブリを包囲する。コンタクトピン3及び保護接点は、本体1の第1面13から出ている。本体1の第2面15には、グロメット14が形成され、そこからケーブル11が引き出される。
【0043】
図1aは、コンタクトピン3とそれに取り付けられた保護接点5とを有するキャリア2の変形実施形態を示す。
【0044】
この場合、後者の要素は、導電性ブリッジ23を介して、主電源プラグの外側を向いている側で互いに接続されている。
【0045】
図3及び
図4に示す実施例は
図1及び
図2に示す実施例と異なり、サーマルバイメタルスイッチ7用のマウント6は、キャリア2上ではなく、カバー16上に形成されている。したがって、サーマルバイメタルスイッチ7は、まずカバー16に取り付けられ、次にキャリア2に一緒に取り付けられるか、またはカバー16がキャリア2にスナップ嵌めされた後にマウント6に押し込まれる。この場合、回路基板12はカバー16上に位置し、カバー16を上部に向かって閉じる。サーマルバイメタルスイッチ7のためのマウント6はカバー16の上側からキャリア2とカバー16との間の空間内に突出し、ここで、第1の例示的な実施形態のように、それらは、それぞれ最も近いコンタクトピン3にできるだけ近い2つのコンタクトピン3の間に延在する。
【0046】
サーマルバイメタルスイッチ7の接続線8はカバー16から上方に突出し、第1の例示的な実施形態と同様に、カバー16の上方、好ましくはその上に位置する回路基板12に接続される。
【0047】
コンタクトピン3と保護接点5を備えたキャリア2と、サーマルバイメタルスイッチ7が挿入され回路基板12によって接続された状態でキャリア2にスナップ嵌めされたカバー16とからなるアセンブリは、プレハブ加工され、ケーブル11に接続され、次いで合成材料でオーバーモールド成形されて本体1を形成することができる。ケーブル11の、主電源プラグとは反対側の端部は、電気装置に直接接続するか、または装置プラグを設けることができる。
【0048】
図1、
図2、
図3、および
図4の例示的な実施形態では、明確にするために、2つのサーマルバイメタルスイッチ7のための4つの信号線10のうちの2つのみが示されている。
【0049】
図6に示す例示的な実施形態は、回路基板12が省略されている点で、
図3および
図4に示す実施形態とは異なる。
【0050】
4つの信号線の代わりに、2つの信号線10のみが設けられ、そのうちの1つがサーマルバイメタルスイッチ7に接続される。2つのサーマルバイメタルスイッチ7は、金属バー25によって電気的に直列に接続されている。このことから、2つの信号線10を介して、一方のサーマルバイメタルスイッチ、他方のサーマルバイメタルスイッチ、または両方のサーマルバイメタルスイッチ7のスイッチング温度の超過が例えば、サーマルバイメタルスイッチ7がそれらのスイッチング温度未満で閉じられたときに信号線を通って低い静止電流が流れ、スイッチング温度を超過したときに一方または両方のサーマルバイメタルスイッチ7が開き、静止電流が遮断されるという事実によって報告されることができる。
【0051】
本体1に挿入されるか、または合成材料でオーバーモールドされて本体1を形成するアセンブリは、非常に合理的に製造することができる。サーマルバイメタルスイッチ7のためのマウント6は成形中、特に絶縁カバー16の射出成形中に、追加の操作なしに形成することができる。サーマルバイメタルスイッチ7はカバー16をキャリア2に接続する前または後にマウント6に挿入することができ、カバー16および接続されたサーマルバイメタルスイッチ7の構成を事前に製作し、モジュールとして使用することができるように、マウント6に挿入する前または後にバー25を介して導電的に接続することができる。最終的に、カバー16内に固着されたサーマルバイメタルスイッチ7はカバー16をキャリア2に適用する前または適用後に、信号線10に接続することができる。
【0052】
したがって、本発明による主電源プラグの構造は、異なる組み立て方法を使用して柔軟に組み立てることができる。
【0053】
主電源プラグ内の温度を監視する方法は、
図5のブロック図に基づいて説明することができる。
図5は、主電源ソケット18に差し込まれた主電源プラグ17を概略的に示す。ケーブル11は主電源プラグから、幹線電力が供給される消費先である電気装置19に通じている。
【0054】
図示の例では、それは消費先20の上流にある。装置19は、2つのサーマルバイメタルスイッチ7に試験電圧を印加する監視装置21を含む。サーマルバイメタルスイッチ7がそれらのスイッチング温度未満で開き、スイッチング温度を超えて閉じるように設計されていると仮定すると、監視装置はサーマルバイメタルスイッチ7が開いている限り、それらの温度がそれらのスイッチング温度未満であるため、信号線上の電流の流れを検出しない。しかし、温度がそのスイッチング温度を超えて上昇すると、少なくとも1つのサーマルバイメタルスイッチが閉じ、監視装置は、信号線を流れる電流によって検出する。これに続いて、監視装置21は例えば、現在の電流ゲート22を引き起こし、それは、主電源プラグ17のサーマルバイメタルスイッチの温度が再びその(それらの)スイッチング温度より下になるまで、消費先20に流れる電気現状を減少又は中断する。好ましくは、消費先20の電源は完全にスイッチオフされず、サーマルバイメタルスイッチ7の温度が再びその(それらの)スイッチング温度より低くなるまで低下される。従って、電流ゲート22と監視装置21とは、制御回路を形成するように相互接続されている。
【符号の説明】
【0055】
1…本体
2…キャリア
3…コンタクトピン
4…導体
5…保護接点
6…マウント
7…サーマルバイメタルスイッチ
8…接続線
9…6の開口部
10…信号線
11…ケーブル
12…回路基板
13…1の第1面
14…グロメット
15…1の第2面
16…カバー
17…主電源プラグ
18…主電源ソケット
19…電気装置
20…消費先
21…監視装置
22…電流ゲート
23…ブリッジ
24…保護導体
25…バー