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特許7568796フォトレジスト組成物及びパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】フォトレジスト組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/039 20060101AFI20241008BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20241008BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G03F7/039 601
G03F7/004 503A
G03F7/004 501
G03F7/20 521
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023125434
(22)【出願日】2023-08-01
(62)【分割の表示】P 2021116072の分割
【原出願日】2021-07-14
(65)【公開番号】P2023159129
(43)【公開日】2023-10-31
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】63/052,172
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/339,522
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニック マテリアルズ インターナショナル,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DUPONT ELECTRONIC MATERIALS INTERNATIONAL,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エマド・アカド
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン、ウェニング
(72)【発明者】
【氏名】チョン-ボン・リー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ダブリュー・サッカレイ
(72)【発明者】
【氏名】コー・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エフ.・キャメロン
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-263487(JP,A)
【文献】特開2008-203452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00-7/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトレジスト組成物であって、
繰り返し単位を含む第1のポリマーであって、前記繰り返し単位が、6.656~9.731のpKaを有するC6~12ヒドロキシ-アリール基を含む第1の繰り返し単位及び酸不安定基を含む1つ以上の第2の繰り返し単位のみから成る第1のポリマーと、
(a)酸不安定基を含む第1の繰り返し単位、(b)ラクトン基を含む第2の繰り返し単位及び(c)塩基可溶基を含む第3の繰り返し単位を含む第2のポリマーであって、前記塩基可溶基は、12以下のpKaを有し、前記塩基可溶基は、ヒドロキシ-アリール基を含まず、及び前記塩基可溶基は-C(O)-OH,フッ素化アルコール、アミド、イミド、又は-NH-S(O)-Y(ここで、YはF又はC1~4パーフルオロアルキルである)から選択される、第2のポリマーと、
光酸発生剤と、
溶媒と
を含み、
前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとは、互いに異なり、
但し、前記第2のポリマーの前記第3の繰り返し単位は、下記化合物:
【化1】
のモノマーに由来せず、
前記第1のポリマーの前記1つ以上の第2の繰り返し単位及び前記第2のポリマーの前記第1の繰り返し単位は、それぞれ独立して、式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e):
【化2】
(式中、
、R及びRは、それぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換のC1~10アルキル又は置換若しくは無置換のC1~10フルオロアルキルであり;
~Rは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1~20アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のC2~20アルケニル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換のC6~20アリール又は置換若しくは無置換のC4~20ヘテロアリールであり;
但し、R~Rの1つのみは、水素であり得、及びR~Rの1つのみは、水素であり得;
~Rのいずれか2つは、一緒に、任意選択的に環を形成し、及びR~Rのそれぞれは、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-N(R42)-、-S-又は-S(O)-から選択される1つ以上の基を含み得、ここで、R42は、水素、直鎖若しくは分岐のC1~20アルキル、単環式若しくは多環式のC3~20シクロアルキル又は単環式若しくは多環式のC3~20ヘテロシクロアルキルであり;
~Rのいずれか2つは、一緒に、任意選択的に環を形成し、及びR~Rのそれぞれは、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-N(R43)-、-S-又は-S(O)-から選択される1つ以上の基を含み得、ここで、R43は、水素、直鎖若しくは分岐のC1~20アルキル、単環式若しくは多環式のC3~20シクロアルキル又は単環式若しくは多環式のC3~20ヘテロシクロアルキルであり;
は、二価の連結基であり;
~Rは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1~20アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のC6~20アリール又は置換若しくは無置換のC4~20ヘテロアリールであり、
は、置換若しくは無置換のC1~20アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル又は置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキルであり、ここで、R又はRの1つは、任意選択的に、Rと共にヘテロ環を形成し;
10~R12は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC1~20アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のC6~20アリール又は置換若しくは無置換のC4~20ヘテロアリールであり;
10~R12のいずれか2つは、一緒に、任意選択的に環を形成し、及びR10~R12のそれぞれは、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-N(R44)-、-S-又は-S(O)-から選択される1つ以上の基を含み、ここで、R44は、水素、直鎖若しくは分岐のC1~20アルキル、単環式若しくは多環式のC3~20シクロアルキル又は単環式若しくは多環式のC3~20ヘテロシクロアルキルであり;
は、ノルボルニル又はビニルから選択される重合性基であり;
nは、0又は1であり;及び
は、単結合又は2価の連結基であり、但し、Xがビニル基である場合、Lは、単結合ではない)
のモノマーに由来し、及び
前記第2のポリマーの前記第3の繰り返し単位は、式(5)のモノマー:
【化3】
(式(5)において、
は、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換のC1~10アルキル又は置換若しくは無置換のC1~10フルオロアルキルであり;
は、置換若しくは無置換のC1~30アルキレン、置換若しくは無置換のC3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換のC6~30アリーレン、置換若しくは無置換の二価のC7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロアリーレン又は置換若しくは無置換の二価のC3~30ヘテロアリールアルキル或いは-C(O)-O-の1つ以上であり;
Wは、-C(O)-OH;-C(CFOH;アミド;イミド;又は-NH-S(O)-Yを含む前記塩基可溶基であり、ここで、Yは、F又はC1~4パーフルオロアルキルであり;及び
aは、1~3の整数である)
に由来する、フォトレジスト組成物。
【請求項2】
前記第1のポリマーの前記第1の繰り返し単位は、式(1a):
【化4】
(式中、
は、水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換のC1~10アルキル又は置換若しくは無置換のC1~10フルオロアルキルであり;
は、水素、Lと共に環を形成する-C(O)-又はArと共に環を形成する単結合であり;
は、単結合或いは置換若しくは無置換のC1~30アルキレン、置換若しくは無置換のC3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換のC6~30アリーレン、置換若しくは無置換の2価のC7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロアリーレン又は置換若しくは無置換の2価のC3~30ヘテロアリールアルキル、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-、-C(O)-N(R2a)-、-S-、-S(O)-、-N(R2a)-S(O)-、-C1~12ヒドロカルビレン-、-O-(C1~12ヒドロカルビレン)-、-C(O)-O-(C1~12ヒドロカルビレン)-又は-C(O)-O-(C1~12ヒドロカルビレン)-O-の1つ以上を含む2価の連結基であり、ここで、R2aは、水素、C1~6アルキル又はRと環を形成する単結合であり;
但し、Rが、Rと環を形成する前記単結合である場合、Rは、Lと環を形成する-C(O)-であり;
Arは、任意選択的に置換若しくは無置換のC1~30アルキル、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換のC3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のC2~30アルケニル、置換若しくは無置換のC2~30アルキニル、置換若しくは無置換のC6~30アリール、置換若しくは無置換のC7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換のC7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換のC3~30ヘテロアリール又は置換若しくは無置換のC4~30ヘテロアリールアルキル、-OR21或いは-NR2223の1つ以上でさらに置換される、ヒドロキシで置換されたC6~12アリール基を含み、ここで、R21~R23は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC1~30アルキル、置換若しくは無置換のC3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換のC2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のC6~30アリール、置換若しくは無置換のC7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換のC3~30ヘテロアリール又は置換若しくは無置換のC4~30ヘテロアリールアルキルである)
のものである、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
前記第2のポリマーの前記第2の繰り返し単位は、式(4)のモノマー:
【化5】
(式(4)において、
は、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換のC1~10アルキル又は置換若しくは無置換のC1~10フルオロアルキルであり;
は、単結合又は二価の連結基であり;及び
14は、単環式、多環式又は縮合多環式のC4~20ラクトン含有基である)
に由来する、請求項1又は2に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
前記第1のポリマー又は前記第2のポリマーは、光酸発生剤を含む繰り返し単位を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
非多量体型光酸発生剤を更に含む、請求項4に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
光分解性失活剤を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
1つ以上の塩基不安定基を含む塩基不安定物質を更に含み、前記塩基不安定物質は、前記第1のポリマー及び前記第2のポリマーと異なる、請求項1~6のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
前記第2のポリマーに対する前記第1のポリマーの重量比は、1:4~4:1である、請求項1~7のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
パターン形成方法であって、
(a)請求項1~8のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物の層を基板に塗布する工程と、
(b)前記フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン状に露光する工程と、
(c)前記露光されたフォトレジスト組成物層を現像して、レジストレリーフ画像を提供する工程と
を含むパターン形成方法。
【請求項10】
前記第1のポリマーの前記第1の繰り返し単位が
【化6】
から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光活性成分及び2つの異なるポリマーのブレンド物を含有するフォトレジスト組成物並びにそのようなフォトレジスト組成物を用いるパターン形成方法に関する。本発明は、半導体製造業界におけるリソグラフィ用途に特に適用性を見出す。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト材料は、典型的には、半導体基板に配置された金属、半導体又は誘電体層などの1つ以上の下層に像を転写するために使用される感光性組成物である。半導体デバイスの集積密度を高め、ナノメートル範囲の寸法を有する構造の形成を可能にするために、高解像度性能を有するフォトレジスト及びフォトリソグラフィ処理ツールが開発され続けてきた。
【0003】
ポジ型の化学増幅フォトレジストは、従来、高解像度処理に使用されている。このようなレジストは、典型的には、酸不安定基を有するポリマー及び光酸発生剤を使用する。フォトマスクを通して活性化放射線にパターン状に露光すると、酸発生剤が酸を形成し、露光後ベーク中にポリマーの露光領域の酸不安定基が開裂する。これは、現像液中のレジストの露光領域と非露光領域との間の溶解度特性の違いをもたらす。ポジ型現像(PTD)プロセスでは、フォトレジスト層の露光領域は、現像液に可溶となり、基板表面から除去されるが、非露光領域は、現像液に不溶であり、現像後に残ってポジ像を形成する。得られるレリーフ像により、基板の選択的な処理が可能となる。例えば、(非特許文献1)及び(非特許文献2)を参照されたい。
【0004】
半導体デバイスにおいてナノメートルスケールの形状を達成するための1つのアプローチは、化学増幅フォトレジストの露光中に短波長、例えば193ナノメートル(nm)以下の光を使用することである。リソグラフィ特性を更に改良するために、イメージングデバイス、例えばKrF(248nm)又はArF(193nm)光源を有するスキャナのレンズの開口数(NA)を効果的に増加させる液浸リソグラフィツールが開発されている。このツールは、イメージングデバイスの最終面と、半導体ウエハの上面との間において、比較的屈折率の高い流体、典型的には水を使用することで達成される。ArF液浸ツールは、多重(二重又はより高次の)パターン形成を使用することで、現在、16nmノード及び14nmノードまでリソグラフィの限界を押し上げている。しかしながら、単一ステップの直接画像化するパターン形成と比較して、多重パターン形成の使用は、材料の使用が増加し、多くの処理ステップが必要となるため、一般的にコストが高い。これにより、極端紫外線(EUV)リソグラフィ及び電子ビームリソグラフィ等の次世代の技術の開発の動機付けが提供される。しかしながら、リソグラフィの解像度が一層高くなるにつれて、高忠実度のパターンを形成する際におけるフォトレジストパターンの線幅粗さ(LWR)及び限界寸法均一性(CDU)の重要性も高まっている。
【0005】
EUV及び電子ビームフォトレジスト組成物並びにその使用は、文献に記載されている。例えば、(特許文献1)は、芳香族環に結合したヒドロキシ基を含む繰り返し単位を有する単一のポリマー又はポリマーのブレンド物を含む電子ビームフォトレジスト組成物を開示している。得られた電子ビームリソグラフィ像は、100nmのライン/スペース1/1パターンについてLWR値が16~19nmであり、コンタクトホールの直径が100nmであるコンタクトホールパターンについてCDUが6~9nmのラフパターンであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2019/0243244号明細書
【文献】米国特許第8,431,325号明細書
【文献】米国特許第4,189,323号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0284605号明細書
【非特許文献】
【0007】
【文献】Uzodinma Okoroanyanwu,Chemistry and Lithography,SPIE Press and John Wiley and Sons,Inc.,2010
【文献】Chris Mack,Fundamental Principles of Optical Lithography,John Wiley and Sons,Inc.,2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
レジスト技術が進化しているにも関わらず、従来技術に関連する1つ以上の課題に対処するフォトレジスト組成物に対する必要性が依然として存在する。特に、ライン/スペースパターンに対して低いLWRを達成でき、コンタクトホールパターンに対して低いCDUを達成できるフォトレジスト組成物を含む、良好な感度を有するフォトレジスト組成物が継続的に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
フォトレジスト組成物であって、ヒドロキシ-アリール基を含む第1の繰り返し単位及び酸不安定基を含む第2の繰り返し単位を含む第1のポリマーと、酸不安定基を含む第1の繰り返し単位、ラクトン基を含む第2の繰り返し単位及び塩基可溶基を含む第3の繰り返し単位を含む第2のポリマーであって、塩基可溶基は、12以下のpKaを有し、塩基可溶基は、ヒドロキシ-アリール基を含まない、第2のポリマーと、光酸発生剤と、溶媒とを含み、第1のポリマーと第2のポリマーとは、互いに異なる、フォトレジスト組成物が提供される。
【0010】
パターン形成方法であって、(a)本明細書に記載されるフォトレジスト組成物の層を基板上に塗布する工程と、(b)フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン状に露光する工程と、(c)露光されたフォトレジスト組成物層を現像して、レジストレリーフ像を提供する工程とを含むパターン形成方法も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、その例が本明細書で示される例示的な実施形態を詳細に参照する。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。従って、例示的な実施形態は、本記載の態様を説明するために、図に言及することによって以下に記載されるにすぎない。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上のあらゆる組み合わせを包含する。「少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先立つ場合、要素のリスト全体を修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。
【0012】
本明細書で用いる場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。量に関連して用いられる修飾語句「約」は、表示値を含み、前後関係(例えば、特定の量の測定と関連する誤差の程度を含む)によって決定される意味を有する。本明細書で開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに合体できる。接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を含み、それによってその用語の少なくとも1つを含むことを意図する。「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、その後、記載される事象又は状況が起き得るか又は起き得ないこと並びに事象が起こる場合及び事象が起こらない場合をその記載が含むことを意味する。用語「第1」、「第2」等は、本明細書では、順番、量又は重要性を意味せず、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために用いられる。要素が別の要素「上」にあると言われる場合、それは、他の要素と直接に接触し得るか、又は介在要素がそれらの間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あると言われる場合、介在要素は、存在しない。態様の記載される成分、要素、制限及び/又は特徴は、様々な態様において任意の好適な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【0013】
別に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書で定義されるものなどの用語は、関連する技術分野及び本開示に関連してそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0014】
本明細書で用いる場合、用語「炭化水素基」は、示される場合に1つ以上の置換基で任意選択的に置換された、少なくとも1つの炭素原子及び少なくとも1つの水素原子を有する有機化合物を意味し;「アルキル基」は、明記された数の炭素原子を有し、且つ1の価数を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素を意味し;「アルキレン基」は、2の価数を有するアルキル基を意味し;「ヒドロキシアルキル基」は、少なくとも1つのヒドロキシル基(-OH)で置換されたアルキル基を意味し;「アルコキシ基」は、「アルキル-O-」を意味し;「カルボン酸基」は、式「-C(=O)-OH」を有する基を意味し;「シクロアルキル基」は、全ての環員が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価基を意味し;「シクロアルキレン基」は、2の価数を有するシクロアルキル基を意味し;「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を意味し;「アルケノキシ基」は、「アルケニル-O-」を意味し;「アルケニレン基」は、2の価数を有するアルケニル基を意味し;「シクロアルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、少なくとも3つの炭素原子を有する非芳香族環状の二価炭化水素基を意味し;「アルキニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する一価炭化水素基を意味し;「芳香族基」という用語は、Huckel則を満足し、環内に炭素を有し、環内の炭素の代わりに、N、O及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択的に含み得る単環式又は多環式環系を意味し;「アリール基」は、環員が全て炭素である一価の芳香族単環式又は多環式環系を意味し、少なくとも1つのシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香環を有する基を含み得;「アリーレン基」は、2の価数を有するアリール基を意味し;「アルキルアリール基」は、アルキル基で置換されているアリール基を意味し;「アリールアルキル基」は、アリール基で置換されているアルキル基を意味し;「アリールオキシ基」は、「アリール-O-」を意味し;「アリールチオ基」は、「アリール-S-」を意味する。
【0015】
接頭辞「ヘテロ」は、化合物又は基が、炭素原子の代わりに、ヘテロ原子である少なくとも1つのメンバー(例えば、1、2、3又は4つ以上のヘテロ原子)を含むことを意味し、ここで、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、S、Si又はPであり;「ヘテロ原子含有基」は、少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換基を意味し;「ヘテロアルキル基」は、炭素の代わりに1~4つのヘテロ原子を有するアルキル基を意味し;「ヘテロシクロアルキル基」は、炭素の代わりに、環員として1~4つのヘテロ原子を有するシクロアルキル基を意味し;「ヘテロシクロアルキレン基」は、2の価数を有するヘテロシクロアルキル基を意味し;「ヘテロアリール基」は、炭素の代わりに、環員として1~4つのヘテロ原子を有するアリール基を意味し;「ヘテロアリーレン基」は、2価のヘテロアリール基を意味する。
【0016】
用語「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)又はヨウ素(ヨード)である一価置換基を意味する。接頭辞「ハロ」は、水素原子の代わりにフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード置換基のもう1つを含む基を意味する。ハロ基の組み合わせ(例えば、ブロモ及びフルオロ)又はフルオロ基のみが存在し得る。
【0017】
「フッ素化」は、基中に組み込まれた1つ以上のフッ素原子を有することを意味すると理解されるものとする。例えば、C1~18フルオロアルキル基が示されている場合、そのフルオロアルキルは、1つ以上のフッ素原子、例えば単一のフッ素原子、2つのフッ素原子(例えば、1,1-ジフルオロエチル基等)、3つのフッ素原子(例えば、2,2,2-トリフルオロエチル基等)又は炭素の各自由原子価におけるフッ素原子(-CF、-C-、-C又は-C等の過フッ素化基等)を含み得る。「置換フルオロアルキル基」は、更に別の置換基によって置換されたフルオロアルキル基を意味すると理解されるものとする。
【0018】
本明細書で用いる場合、「ヒドロキシ-アリール基」及び「ヒドロキシで置換されたアリール基」は、ヒドロキシ基が芳香族環の炭素に直接結合した芳香族基を意味する。「ヒドロキシ」は、基中に組み込まれた1つ以上のヒドロキシ基を有することを意味すると理解されるものとする。例えば、C6~12ヒドロキシ-アリール基が示されている場合、そのヒドロキシ-アリール基は、1つ以上のヒドロキシ基、例えば単一のヒドロキシ基、2つのヒドロキシ基、3つ以上のヒドロキシ基等を含み得る。「置換ヒドロキシ-アリール基」は、更に別の置換基によって置換されたヒドロキシ-アリール基を意味すると理解されるものとする。
【0019】
本明細書で用いる場合、「酸不安定基」は、酸の触媒的作用により、任意選択的に且つ典型的には熱処理を伴うことにより、結合が開裂し、その結果、カルボン酸基又はアルコール基などの極性基が生じる基を意味し、ポリマー上に形成され、任意選択的に且つ典型的には、開裂した結合に接続した部分がポリマーから切断される。そのような酸は、典型的には、露光後のベーキング中に生じる結合開裂を伴う、光によって生成する酸である。好適な酸不安定基には、例えば、第3級アルキルエステル基、第2級又は第3級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組み合わせを有する第2級又は第3級エステル基、第3級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が含まれる。酸不安定基は、当技術分野において一般に「酸開裂性基」、「酸開裂性保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」、「酸分解性基」及び「酸感受性基」とも呼ばれている。
【0020】
「置換された」は、指定された原子の通常の価数を超えないという条件で、基上の少なくとも1つの水素原子が別の基で置き換えられていることを意味する。置換基がオキソ(即ち=O)である場合、炭素原子上の2つの水素が置き換えられている。置換基又は変数の組み合わせが許容される。「置換」位置に存在し得る例示的な基には、ニトロ(-NO)、シアノ(-CN)、ヒドロキシ(-OH)、オキソ(=O)、アミノ(-NH)、モノ-又はジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(=O)H)、カルボン酸又はそのアルカリ金属又はアンモニウム塩;C2~6アルキルエステル(-C(=O)O-アルキル又は-OC(=O)-アルキル)、C7~13アリールエステル(-C(=O)O-アリール又は-OC(=O)-アリール)等のエステル類(アクリレート、メタクリレート及びラクトンを含む);アミド(-C(=O)NR、ここで、Rは、水素又はC1~6アルキルである)、カルボキサミド(-CHC(=O)NR、ここで、Rは、水素又はC1~6アルキルである)、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど、それぞれの環は、置換又は非置換芳香族である)を有するC6~12アリール、1~3つの分離環又は縮合環と6~18の環炭素原子とを有するC7~19アリールアルキル、1~3つの分離環又は縮合環と6~18の環炭素原子とを有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C4~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(=O)-アルキル)、C6~12アリールスルホニル(-S(=O)-アリール)又はトシル(CHSO-)が含まれるが、これらに限定されない。基が置換されている場合、炭素原子の示されている数は、任意の置換基の炭素原子を除いた、基における炭素原子の総数である。例えば、基-CHCHCNは、シアノ基で置換されたCアルキル基である。
【0021】
本発明は、第1のポリマー、第2のポリマー、光酸発生剤、溶媒を含有し、且つ付加的な任意選択的成分を含み得るフォトレジスト組成物に関する。本発明者らは、驚くべきことに、本発明の特定のフォトレジスト組成物が、解像パターンのより良好なコンストラスト、より高い解像度及び低減された粗さなど、著しく改良されたリソグラフィ特性を達成し得ることを見出した。
【0022】
第1のポリマーは、ヒドロキシ-アリール基を含む第1の繰り返し単位と、露光後ベーク条件で光により発生する酸によって開裂し得る酸不安定基を含む第2の繰り返し単位とを含む。第1のポリマーの第1の繰り返し単位は、式(1)のモノマーに由来し得る。
【化1】
【0023】
式(1)において、Rは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換のC1~10アルキル又は置換若しくは無置換のC1~10フルオロアルキルである。好ましくは、Rは、水素、フッ素又は置換若しくは無置換のC1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。Rは、水素、Lと共に環を形成する-C(O)-又はArと共に環を形成する単結合である。好ましくは、Rは、水素である。
【0024】
式(1)において、Lは、単結合或いは置換若しくは無置換のC1~30アルキレン、置換若しくは無置換のC3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換のC6~30アリーレン、置換若しくは無置換のC7~30アリールアルキレン、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロアリーレン又は置換若しくは無置換のC3~30ヘテロアリールアルキレン、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-、-C(O)-N(R2a)、S-、-S(O)-、-N(R2a)-S(O)-、-C1~12ヒドロカルビレン-、-O-(C1~12ヒドロカルビレン)-、-C(O)-O-(C1~12ヒドロカルビレン)-又は-C(O)-O-(C1~12ヒドロカルビレン)-O-の1つ以上を含む2価の連結基であり、ここで、R2aは、水素、C1~6アルキル又はRと共に環を形成する単結合であり;但し、Rが、Rと共に環を形成する単結合である場合、Rは、Lと共に環を形成する-C(O)-である。好ましくは、Lは、単結合、-C(O)-O-、-C(O)-O-(C1~12ヒドロカルビレン)-、-C(O)-O-(C1~12ヒドロカルビレン)-O-又はその組み合わせである。
【0025】
が、Rと共に環を形成する単結合であり、Rが、Lと共に環を形成する-C(O)-である場合、R及びLによって形成される環は、R及びRによって形成される環と同一であると理解される。例えば、L、R及びRを含む構造単位は、以下の構造であり得る。
【化2】
式中、Arは、式(1)で定義される通りである。
【0026】
式(1)において、Arは、任意選択的に置換若しくは無置換のC1~30アルキル、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換のC3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のC2~30アルケニル、置換若しくは無置換のC2~30アルキニル、置換若しくは無置換のC6~30アリール、置換若しくは無置換のC7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換のC7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換のC3~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換のC4~30ヘテロアリールアルキル、-OR21、-NH、-NHR22又は-NR2324の1つ以上で更に置換される、ヒドロキシで置換されたC6~60アリール基、ヒドロキシで置換されたC5~60ヘテロアリール基又はその組み合わせを含み、ここで、R21~R24は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC1~30アルキル、置換若しくは無置換のC3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換のC2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のC6~30アリール、置換若しくは無置換のC7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換のC3~30ヘテロアリール又は置換若しくは無置換のC4~30ヘテロアリールアルキルである。Arは、単一のヒドロキシル基又は複数のヒドロキシル基を含むことが好ましい場合もある(例えば、Arは、それぞれ独立して任意選択的にヒドロキシル基で更に置換される、ヒドロキシで置換されたC6~60アリール基、ヒドロキシで置換されたC5~60ヘテロアリール基又はその組み合わせであり得る、)。
【0027】
式(1)のモノマーの非限定的な例には、以下が含まれる。
【化3】
【0028】
第1の繰り返し単位は、第1のポリマー中の総繰り返し単位を基準として20~70モルパーセント(mol%)、典型的には30~50mol%、より典型的には30~45mol%の量で典型的には第1のポリマー中に存在する。
【0029】
第1のポリマーの第2の繰り返し単位は、式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)又は(2e)の1つ以上のモノマーに由来し得る。
【化4】
【0030】
式(2a)及び(2b)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換のC1~10アルキル又は置換若しくは無置換のC1~10フルオロアルキルである。好ましくは、Rは、水素、フッ素又は置換若しくは無置換のC1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。
【0031】
式(2a)において、Lは、連結基である。例えば、Lは、少なくとも1つの炭素原子、少なくとも1つのヘテロ原子又はその組み合わせを含む2価の連結基であり得る。例えば、Lは、1~10の炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子を含み得る。典型的な例では、Lは、-OCH-、-OCHCHO-又は-N(R41)-(ここで、R41は、水素又はC1~6アルキルである)であり得る。
【0032】
式(2a)及び(2b)において、R~Rは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1~20アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のC2~20アルケニル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換のC6~20アリール又は置換若しくは無置換のC4~20ヘテロアリールであり、但し、R~Rの1つのみは、水素であり得、及びR~Rの1つのみは、水素であり得る。
【0033】
式(2a)において、R~Rのいずれか2つは、一緒に、任意選択的に環を形成し、及びR~Rのそれぞれは、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-N(R42)-、-S-又は-S(O)-から選択される1つ以上の基を含み得、ここで、R42は、水素、直鎖若しくは分岐のC1~20アルキル、単環式若しくは多環式のC3~20シクロアルキル又は単環式若しくは多環式のC3~20ヘテロシクロアルキルである。式(2b)において、R~Rのいずれか2つは、一緒に、任意選択的に環を形成し、及びR~Rのそれぞれは、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-N(R42)-、-S-又は-S(O)-から選択される1つ以上の基を含み得、ここで、R42は、水素、直鎖若しくは分岐のC1~20アルキル、単環式若しくは多環式のC3~20シクロアルキル又は単環式若しくは多環式のC3~20ヘテロシクロアルキルである。例えば、R~Rのいずれか1つ以上は、独立して、式-CHC(=O)CH(3-n)の基であり得、ここで、各Yは、独立して、置換又は無置換のC3~10ヘテロシクロアルキルであり、及びnは、1又は2である。例えば、各Yは、独立して、式-O(Ca1)(Ca2)O-の基を含む置換又は無置換のC3~10ヘテロシクロアルキルであり得、ここで、Ca1及びCa2は、それぞれ独立して、水素又は置換若しくは無置換のC1~10アルキルであり、Ca1及びCa2は、一緒に、任意選択的に環を形成する。
【0034】
式(2c)において、R~Rは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1~20アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のC6~20アリール又は置換若しくは無置換のC4~20ヘテロアリールであり、及びRは、置換若しくは無置換のC1~20アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル又は置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキルであり得る。任意選択的に、R又はRの1つは、Rと共にヘテロ環を形成する。好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1~20アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル又は置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキルであり得る。
【0035】
式(2d)において、R10~R12は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC1~20アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のC6~20アリール又は置換若しくは無置換のC4~20ヘテロアリールであり得、R10~R12のいずれか2つは、一緒に、任意選択的に環を形成し、及びR10~R12のそれぞれは、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-N(R44)-、-S-又は-S(O)-から選択される1つ以上の基を含み得、ここで、R44は、水素、直鎖若しくは分岐のC1~20アルキル、単環式若しくは多環式のC3~20シクロアルキル又は単環式若しくは多環式のC3~20ヘテロシクロアルキルであり得;Xは、ビニル又はノルボルニルから選択される重合性基であり;及びLは、単結合又は2価の連結基であり、但し、Xがビニルである場合、Lは、単結合ではない。好ましくは、Lは、置換若しくは無置換のC6~30アリーレン又は置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキレンである。式(2d)において、nは、0又は1である。nが0である場合、L基は、酸素原子に直接結合していることが理解される。
【0036】
モノマー(2a)の非限定的な例には、以下が含まれる。
【化5】
【0037】
式(2b)のモノマーの非限定的な例には、以下が含まれる。
【化6】
【化7】
式中、Rは、上記で定義した通りであり;R及びR’’は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC1~20アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のC2~20アルケニル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換のC6~20アリール又は置換若しくは無置換のC4~20ヘテロアリールである。
【0038】
式(2c)のモノマーの非限定的な例には、以下が含まれる。
【化8】
式中、Rは、上記で定義した通りである。
【0039】
モノマー(2d)の非限定的な例には、以下が含まれる。
【化9】
【0040】
モノマー(2e)の非限定的な例には、以下が含まれる。
【化10】
【0041】
更に別の例では、第1のポリマーの第2の繰り返し単位は、環状アセタール又は環状ケタール基、例えば式:
【化11】
【化12】
(式中、Rは、上記で定義した通りである)
の基を有するモノマーに由来し得る。
【0042】
更に別の例では、第1のポリマーの第2の繰り返し単位は、第3級アルコキシ基、例えば式:
【化13】
の基を有するモノマーに由来し得る。
【0043】
第2の繰り返し単位は、第1のポリマー中の総繰り返し単位を基準として25~65モルパーセント(mol%)、典型的には30~50mol%、より典型的には30~45mol%の量で典型的には第1のポリマー中に存在する。
【0044】
例えば、第1のポリマーは、式:
【化14】
【化15】
(式中、a、b及び任意選択的にcは、それぞれ対応する繰り返し単位のモル分率を表し、及びnは、10~1,000の整数である)
を有するポリマーであり得る。
【0045】
フォトレジスト組成物は、光酸発生剤(PAG)を更に含む。好適なPAGは、露光後ベーク(PEB)中、フォトレジスト組成物のポリマー上に存在する酸不安定基の開裂を引き起こす酸を生成することができる。PAGは、非重合性PAG化合物(後述)として、重合性PAG化合物に由来するPAG部分を有するポリマーの繰り返し単位として又はその組み合わせで含まれ得る。例えば、第1のポリマーは、PAGを含む繰り返し単位、例えば式(3)の1つ以上のモノマーに由来する繰り返し単位を任意選択的に含み得る。
【化16】
【0046】
式(3)において、Rは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換のC1~10アルキル又は置換若しくは無置換のC1~10フルオロアルキルである。好ましくは、Rは、水素、フッ素又は置換若しくは無置換のC1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。Qは、単結合又はヘテロ原子、置換若しくは無置換のC1~30アルキレン、置換若しくは無置換のC3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換のC6~30アリーレン、置換若しくは無置換の2価のC7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロアリーレン又は置換若しくは無置換の2価のC3~30ヘテロアリールアルキルから選択される1つ以上の2価の連結基或いはその組み合わせである。好ましくは、Qは、1~10の炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子を含み得、より好ましくは-C(O)-O-である。
【0047】
式(3)において、Aは、置換若しくは無置換のC1~30アルキレン、置換若しくは無置換のC3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換のC6~30アリーレン、置換若しくは無置換の二価のC7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロアリーレン又は置換若しくは無置換の二価のC3~30ヘテロアリールアルキルの1つ以上である。好ましくは、Aは、任意選択的に置換される2価のC1~30パーフルオロアルキル基である。
【0048】
式(3)において、Zは、スルホネート、スルホンアミドのアニオン、スルホンイミドのアニオン又はメチドアニオンを含むアニオン性部分である。Gは、後述の有機カチオンである。
【0049】
例示的な式(3)のモノマーは、以下を含む。
【化17】
式中、Gは、有機カチオンである。有機カチオンには、例えば、2つのアルキル基、アリール基若しくはアルキル及びアリール基の組み合わせで置換されたヨードニウムカチオン及び3つのアルキル基、アリール基若しくはアルキル及びアリール基の組み合わせで置換されたスルホニウムカチオンが含まれる。一部の実施形態では、Gは、2つのアルキル基、アリール基若しくはアルキル及びアリール基の組み合わせで置換されたヨードニウムカチオン又は3つのアルキル基、アリール基若しくはアルキル及びアリール基の組み合わせで置換されたスルホニウムカチオンである。一部の実施形態では、Gは、式(3A)を有する置換スルホニウムカチオン又は式(3B)を有するヨードニウムカチオンである。
【化18】
式中、各Raaは、独立して、C1~20アルキル基、C1~20フルオロアルキル基、C3~20シクロアルキル基、C3~20フルオロシクロアルキル基、C2~20アルケニル基、C2~20フルオロアルケニル基、C6~30アリール基、C6~30フルオロアリール基、C6~30ヨードアリール基、C1~30ヘテロアリール基、C7~20アリールアルキル基、C7~20フルオロアリールアルキル基、C2~20ヘテロアリールアルキル基又はC2~20フルオロヘテロアリールアルキル基であり、これらは、それぞれ置換又は無置換であり、各Raaは、他のRaa基と離れているか、又は単結合若しくは2価の連結基を介して連結して環を形成する。各Raaは、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-又は-C1~12ヒドロカルビレン-から選択される1つ以上の基を含み得る。各Raaは、独立して、例えば第3級アルキルエステル基、第2級若しくは第3級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組み合わせを有する第2級若しくは第3級エステル基、第3級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基から選択される酸不安定基を任意選択的に含み得る。Raa基の連結に好適な2価の連結基には、例えば、-O-、-S-、-Te-、-Se-、-C(O)-、-C(S)-、-C(Te)-、-C(Se)-、S(O)-、S(O)-又は-N(R)-が含まれ、ここで、Rは、水素、直鎖若しくは分岐のC1~20アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキル、又は置換若しくは無置換のC1~5アルキレンである。
【0050】
例示的な式(3A)のスルホニウムカチオンには、以下が含まれる。
【化19】
【0051】
式(3B)の例示的なヨードニウムカチオンには、以下が含まれる。
【化20】
【0052】
第1のポリマーは、光酸発生剤を有する繰り返し単位を含み得る。第1のポリマー中で使用された場合、そのような単位は、第1のポリマーの総繰り返し単位を基準として1~10mol%、典型的には1~8mol%、より典型的には2~6mol%の量で典型的には存在し得る。
【0053】
第1のポリマーは、任意選択的に、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位及び存在する場合には光酸発生剤を含む繰り返し単位と異なる1つ以上の追加の繰り返し単位を含み得る。追加の繰り返し構造単位としては、例えば、エッチ速度及び溶解性など、フォトレジスト組成物の特性を調整する目的のための1つ以上の追加の単位が挙げられ得る。例示的な追加の単位は、(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、ビニルケトン及びビニルエステルの1つ以上を含み得る。第1のポリマー内に1つ以上の追加の繰り返し単位が存在する場合、第1のポリマーの総繰り返し単位を基準として70mol%以下、典型的には3~50mol%の量で追加の繰り返し単位を使用し得る。
【0054】
第1のポリマーの重量平均分子量(M)は、典型的には1,000~50,000ダルトン(Da)、具体的には2,000~30,000Da、より具体的には3,000~20,000Da、更により具体的には3,000~10,000Daである。Mの、数平均分子量に対する(M)比である、第1のポリマーの多分散度指数(PDI)は、典型的には1.1~3、より具体的には1.1~2である。分子量は、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって決定される。
【0055】
第2のポリマーは、酸不安定基を有する第1の繰り返し単位、ラクトン基を有する第2の繰り返し単位及び塩基可溶基を有する第3の繰り返し単位を含む。塩基可溶基は、12以下、好ましくは2~12、より好ましくは3~9、最も好ましくは4~8のpKaを有し、塩基可溶基は、ヒドロキシで置換されたアリール基を含まない。pKaは、典型的には25℃の水溶液中で測定され、且つ実験的に、例えばSirius Analytical Instruments Ltd.から入手可能な電位差測定pHメーターを使用するなどの電位差滴定によって測定され得るか、又は例えばAdvanced Chemistry Development(ACD)Labs Software Version 11.02を使用することによって計算され得る。比較的高いpKaを有する官能基(例えば、-C(CFOH基)の酸価を測定する場合、有機溶媒等の非水性滴定剤又は有機溶媒の混合物を使用し得る。
【0056】
第2のポリマーの第1の繰り返し単位は、第1のポリマーに対して開示するような式(2a)、(2b)、(2c)又は(2d)のモノマーに由来し得る。第1のポリマーの第1の繰り返し単位は、第2のポリマーの第2の繰り返し単位と同じであるか又は異なり得る。
【0057】
第2のポリマーの第2の繰り返し単位は、式(4)のモノマーに由来し得る。
【化21】
【0058】
式(4)では、Rは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換のC1~10アルキル又は置換又は無置換のC1~10フルオロアルキルである。好ましくは、Rは、水素、フッ素又は置換若しくは無置換のC1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。Lは、単結合又は2価の連結基であり得、例えば単結合或いは置換若しくは無置換のC1~30アルキレン、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロアルキレン、置換若しくは無置換のC3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換のC6~30アリーレン、置換若しくは無置換のC7~30アリールアルキレン、又は置換若しくは無置換のC1~30ヘテロアリーレン、又は置換若しくは無置換のC3~30ヘテロアリールアルキレンの1つ以上を含む2価の連結基であり、Lは、任意選択的に、例えば-O-、-C(O)-、-N(R44)-、-S-又は-S(O)-から選択される1つ以上の基を更に含み得、ここで、R44は、水素、直鎖若しくは分岐のC1~20アルキル、単環式若しくは多環式のC3~20シクロアルキル又は単環式若しくは多環式のC3~20ヘテロシクロアルキルであり得る。R14は、単環式、多環式又は縮合多環式のC4~20ラクトン含有基であり得る。
【0059】
式(4)のモノマーの非限定的な例には、以下が含まれる。
【化22】
式中、Rは、本明細書に開示したものである。
【0060】
第2のポリマーの第3の繰り返し単位は、12以下のpKaを有する塩基可溶基を含み、且つヒドロキシ-アリール基を構造の一部として含まない。例えば、第3の繰り返し単位は、式(5)のモノマーに由来し得る。
【化23】
但し、第3の繰り返し単位は、12以下のpKaを有し、且つヒドロキシ-アリール基を含まない。
【0061】
式(5)では、Rは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換のC1~10アルキル又は置換若しくは無置換のC1~10フルオロアルキルである。好ましくは、Rは、水素、フッ素又は置換若しくは無置換のC1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。Qは、置換若しくは無置換のC1~30アルキレン、置換若しくは無置換のC3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換のC6~30アリーレン、置換若しくは無置換の2価のC7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロアリーレン、置換若しくは無置換の2価のC3~30ヘテロアリールアルキル又は-C(O)-Oの1つ以上であり得る。Wは、塩基可溶基であり、例えば-C(O)-OH;-C(CFOH等のフッ素化アルコール;アミド;イミド;又は-NH-S(O)-Y(ここで、Yは、F又はC1~4パーフルオロアルキルである)から選択され得る。式(5)において、aは、1~3の整数である。
【0062】
式(5)のモノマーの非限定的な例には、以下が含まれる。
【化24】
式中、R及びYは、上述の通りである。
【0063】
典型的には、第2のポリマーは、それぞれ第2のポリマー中の総繰り返し単位を基準として、第1の繰り返し単位を20~60mol%、典型的には25~55mol%、より典型的には30~50mol%の量で含み、第2の繰り返し単位を30~55mol%、典型的には35~55mol%、より典型的には35~50mol%の量で含み、且つ第3の繰り返し単位を1~50mol%、典型的には2~25mol%、より典型的には2~20mol%の量で含む。
【0064】
第2のポリマーは、任意選択的に、第1の繰り返し単位、第2の繰り返し単位及び第3の繰り返し単位以外の1つ以上の追加の繰り返し単位を含み得る。例えば、第2のポリマーは、第1のポリマーの任意選択的な追加の繰り返し単位のために上述したような1つ以上の追加の繰り返し単位を任意選択的に含み得る。第2のポリマー中に1つ以上の追加の単位が存在する場合、第2のポリマーの総繰り返し単位を基準として70mol%以下、典型的には3~50mol%の量で用いることができる。
【0065】
第2のポリマーの非限定的な例には、以下が含まれる。
【化25】
式中、a、b、c及び任意選択的にdは、対応する繰り返し単位のモル分率を表す。
【0066】
第2のポリマーは、上で開示したような、式(3)のモノマーに由来するPAGを含む繰り返し単位を任意選択的に含み得る。第2のポリマーは、光酸発生剤を含む繰り返し単位を、第2のポリマーの総繰り返し単位を基準として1~10mol%、典型的には1~8mol%、より典型的には2~6mol%の量で含み得る。
【0067】
第2のポリマーのMは、典型的には1,000~50,000Da、具体的には2,000~30,000Da、より具体的には3,000~20,000Da、更により具体的には3,000~10,000Daである。Mの、Mに対する比であるポリマーのPDIは、典型的には、1.1~3、より具体的には1.1~2である。分子量は、ポリスチレン標準を使用してGPCにより決定される。
【0068】
第1及び第2のポリマーは、当技術分野における好適な方法を用いて調製され得る。例えば、本明細書で記載される繰り返し単位に対応する1つ以上のモノマーは、好適な溶媒及び開始剤を使用して組み合わされるか又は別々に供給され、反応器中で重合され得る。例えば、第1及び第2のポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での化学線による放射又はこれらの組み合わせなどの任意の適切な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得ることができる。
【0069】
フォトレジスト組成物は、典型的には、第1のポリマー及び第2のポリマーを1:4~4:1、例えば1:4~4:1、又は1:3~3:1、又は1:2~2:1の重量比で含む。
【0070】
本発明のフォトレジスト組成物において、第1のポリマー及び第2のポリマーは、フォトレジスト組成物中において、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として合わせて典型的には10~99.9重量%、典型的には25~99重量%、より典型的には50~95重量%の量で存在する。総固形分には、第1及び第2のポリマー、PAG及び他の非溶媒成分が含まれると理解されるであろう。
【0071】
一部の態様では、フォトレジスト組成物は、1つ以上の塩基不安定基(「塩基不安定物質」)を含む物質を更に含み得る。本明細書で言及するように、塩基不安定基は、露光ステップ及び露光後ベーキングステップ後、水性アルカリ性現像液の存在下において、開裂反応を経てヒドロキシル、カルボン酸、スルホン酸などの極性基を提供する官能基である。塩基不安定基は、塩基不安定基を含むフォトレジスト組成物の現像ステップ前に大きく反応しない(例えば、結合切断反応は、起こらない)。このように、例えば、塩基不安定基は、露光前ソフトベーク、露光ステップ及び露光後ベークステップ中、実質的に不活性であろう。「実質的に不活性な」とは、塩基不安定基(又は部分)のうち、露光前ソフトベーク、露光ステップ及び露光後ベークステップ中に分解、開裂又は反応するものが≦5%、好ましくは≦1%であることを意味する。塩基不安定基は、例えば、0.26規定(N)のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液などの水性アルカリ性フォトレジスト現像液を用いた典型的なフォトレジスト条件下で反応性を有する。例えば、TMAHの0.26N水溶液は、単一のパドル現像又は動的現像、例えば10~120秒の好適な時間にわたり、0.26NのTMAH現像液を、画像化したフォトレジスト層の上に分配するために使用され得る。例示的な塩基不安定基は、エステル基であり、典型的にはフッ素化エステル基である。好ましくは、塩基不安定物質は、第1及び第2のポリマー並びにフォトレジスト組成物の他の固形成分と実質的に混和せず、第1及び第2のポリマー並びにフォトレジスト組成物の他の固形成分よりも表面エネルギーが低い。基板上にコーティングされた場合、塩基不安定物質は、それによりフォトレジスト組成物の他の固形成分から、形成されたフォトレジスト層の上面に分離し得る。
【0072】
一部の態様では、塩基不安定物質は、多量体型物質であり、本明細書では塩基不安定ポリマーとも呼ばれる。塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基を有する1つ以上の繰り返し単位を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、同一又は異なる2以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含み得る。好ましい塩基不安定ポリマーは、2つ以上の塩基不安定基を有する少なくとも1つの繰り返し単位、例えば2つ又は3つの塩基不安定基を有する繰り返し単位を含む。
【0073】
塩基不安定ポリマーは、式(E1)のモノマーに由来する繰り返し単位を含むポリマーであり得る。
【化26】
式中、Xは、ビニル及びアクリルから選択される重合性基であり、Lは、1つ以上の置換若しくは無置換の直鎖若しくは分岐C1~20アルキレン、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキレン、-C(O)-又は-C(O)O-の1つ以上を含む2価の連結基であり;及びRfは、置換又は無置換のC1~20フルオロアルキル基であり、但し、式(E1)のカルボニル(C=O)に結合した炭素原子は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されている。
【0074】
例示的な式(E1)のモノマーは、以下を含む。
【化27】
【0075】
塩基不安定ポリマーは、2つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、式(E2)に由来する繰り返し単位を含み得る。
【化28】
式中、X及びRfは、式(E1)で定義した通りであり;Lは、置換若しくは無置換の直鎖若しくは分岐C1~20アルキレン、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキレン、-C(O)-又は-C(O)O-の1つ以上を含む多価連結基であり;及びnは、2以上の整数、例えば2又は3である。
【0076】
例示的な式(E2)のモノマーは、以下を含む。
【化29】
【0077】
塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、式(E3)のモノマーに由来する繰り返し単位を含み得る。
【化30】
式中、Xは、式(E1)において定義した通りであり;Lは、置換若しくは無置換の直鎖若しくは分岐C1~20アルキレン、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキレン、-C(O)-又は-C(O)O-の1つ以上を含有する2価の連結基であり;Lは、置換又は無置換のC1~20フルオロアルキレン基であり、式(E1)のカルボニル(C=O)に結合した炭素原子は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されており;及びRgは、置換若しくは無置換の直鎖若しくは分岐C1~20アルキル又は置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキルである。
【0078】
例示的な式(E3)のモノマーは、以下を含む。
【化31】
【0079】
本発明の更に別の態様では、塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基及び1つ以上の酸不安定基、例えば1つ以上の酸不安定エステル部分(例えば、t-ブチルエステル)又は酸不安定アセタール基を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、塩基不安定基及び酸不安定基を含む繰り返し単位、即ち塩基不安定基及び酸不安定基の両方が同一の繰り返し単位上に存在する繰り返し単位を含み得る。他の例では、塩基不安定ポリマーは、塩基不安定基を含む第1の繰り返し単位及び酸不安定基を含む第2の繰り返し単位を含み得る。本発明の好ましいフォトレジストは、フォトレジスト組成物から形成されたレジストレリーフ像に伴う欠陥を減少させることができる。
【0080】
塩基不安定ポリマーは、第1及び第2のポリマーに対して本明細書で述べたものを含む、当技術分野におけるいずれかの好適な方法を用いて調製され得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での化学線による放射又はこれらの組み合わせなどの任意の適切な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得ることができる。追加的に又は代わりに、1つ以上の塩基不安定基を、好適な方法を用いてポリマーの骨格にグラフト化し得る。
【0081】
塩基不安定ポリマーは、典型的には、Mが1,000~50,000Da、好ましくは2,000~30,000Da、より好ましくは3,000~20,000Da、更により好ましくは3,000~10,000Daである。ポリマーのPDIは、典型的には、1.1~3であり、より典型的には1.1~2.0である。分子量は、ポリスチレン標準を使用してGPCにより決定される。
【0082】
一部の態様では、塩基不安定物質は、1つ以上の塩基不安定エステル基を有する単一の分子、好ましくは1つ以上のフッ素化エステル基である。非多量体型である塩基不安定物質は、分子量が50~1,500Daであり得る。
【0083】
例示的な塩基不安定物質は、以下を含む。
【化32】
【0084】
塩基不安定ポリマーに加えて又はその代わりに、フォトレジスト組成物は、上述の第1及び第2のポリマーに加えて、第1及び第2のポリマーと異なる1つ以上のポリマーを更に含み得る。例えば、フォトレジスト組成物は、上記で説明した通りであるが、組成が異なる追加のポリマー又は上記で説明したものと類似しているが、必須繰り返し単位のそれぞれを含まないポリマーを含み得る。追加的に又は代わりに、1つ以上の追加のポリマーは、フォトレジスト技術分野で周知のもの、例えばポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリノルボルネン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェノール、ノボラック、スチレンポリマー、ポリビニルアルコール又はその組み合わせから選択されるものを含み得る。
【0085】
フォトレジスト組成物は、光酸発生剤(PAG)を更に含有し得る。PAGは、多量体型でもあり得、例えば上述の第1及び/又は第2のポリマーの重合された繰り返し単位内に存在し得るか、又は別のポリマーの一部として存在し得る。追加的に又は代わりに、PAGは、非重合型の形態でもあり得る。好適な非重合型の光酸発生剤化合物は、式Gを有し得、ここで、Gは、上で定義した式(3)と同じであり、及びAは、非重合型有機アニオンである。適切な非重合型PAGは、化学増幅フォトレジストの技術分野で知られており、例えば以下を含む:オニウム塩、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ジ-t-ブチルフェニルヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート及びジ-t-ブチルフェニルヨードニウムカンファースルホネート。ノニオン性スルホネート及びスルホニル化合物も光酸発生剤として機能することが知られており、例えばニトロベンジル誘導体、例えば2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、スルホン酸エステル、例えば1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン、ジアゾメタン誘導体、例えばビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、グリオキシム誘導体、例えばビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えばNvヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル及びハロゲン含有トリアジン化合物、例えば2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンが挙げられる。好適な非重合型酸発生剤は、Hashimotoらの(特許文献2)、37列、11~47行及び41~91列に更に記載されている。他の好適なスルホネートPAGSには、スルホネート化エステル及びスルホニルオキシケトン、ニトロベンジルエステル類、S-トリアジン誘導体、ベンゾイントシレート、t-ブチルフェニルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテート及びt-ブチルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテートが含まれる。これらは、(特許文献3)及び(特許文献2)記載されているものである。
【0086】
オニウム塩であるPAGは、典型的には、スルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基等のスルホネート基又は非スルホネート型基を有するアニオンを含む。
【0087】
例示的なスルホネート基を有するアニオンには、以下が含まれる。
【化33】
【0088】
例示的な非スルホネート化アニオンには、以下が含まれる。
【化34】
【0089】
フォトレジスト組成物は、任意選択的に、複数のPAGを含有し得る。複数のPAGは、多量体型であるか、非多量体型であるか、又は多量体型PAGと多量体型PAGとの両方を含み得る。好ましくは、複数のPAGのそれぞれは、非多量体型である。好ましくは、複数のPAGが用いられる場合、第1のPAGは、アニオン上にスルホネート基を有し、且つ第2のPAGは、スルホネート基を有していないアニオンを含み、そのようなアニオンは、例えば、上述したようなスルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基を含む。
【0090】
1つ以上の態様において、フォトレジスト組成物は、アニオン上にスルホネート基を含む第1の光酸発生剤を含み得、フォトレジスト組成物は、非多量体型の第2の光酸発生剤を含み得、第2の光酸発生剤は、スルホネート基を含まないアニオンを含み得る。
【0091】
典型的には、フォトレジスト組成物は、非多量体型光酸発生剤を、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として5~65重量%、より典型的には5~55重量%の量で含み得る。一部の実施形態では、フォトレジスト組成物は、2つ以上の異なる非多量体型光酸発生剤を、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として合わせて5~65重量%、より典型的には5~55重量%の量で含み得る。
【0092】
フォトレジスト組成物は、組成物の成分を溶解し、基板におけるそのコーティングを容易にするための溶媒を更に含む。好ましくは、溶媒は、電子デバイスの製造に従来使用される有機溶媒である。好適な溶媒には、例えば、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン及び1-クロロヘキサン等のハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソ-プロパノール、tert-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール及び4-メチル-2-ペンタノール等のアルコール;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン及びアニソール等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ-ブチルケトン、2-ヘプタノン及びシクロヘキサノン(CHO)等のケトン;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、ヒドロキシイソブチレートメチルエステル(HBM)及びアセト酢酸エチル等のエステル;γ-ブチロラクトン(GBL)及びε-カプロラクトン等のラクトン;N-メチルピロリドン等のラクタム;アセトニトリル及びプロピオニトリル等のニトリル;炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸エチレン及び炭酸ジフェニル等の環状又は非環状の炭酸エステル;ジメチルスルホキシド及びジメチルホルムアミド等の極性非プロトン性溶媒;水;及びその組み合わせが含まれる。これらのうち、好ましい溶媒は、PGME、PGMEA、EL、GBL、HBM、CHO及びこれらの組み合わせである。フォトレジスト組成物中の総溶媒含量(即ち全ての溶媒の累積溶媒含有量)は、フォトレジスト組成物の総重量を基準として典型的には40~99重量%、例えば70~99重量%又は85~99重量%である。所望の溶媒含有量は、例えば、コーティングされたフォトレジスト層の所望の厚さ及びコーティング条件に依存する。
【0093】
フォトレジスト組成物は、1つ以上の追加の任意選択的な添加剤を更に含み得る。例えば、任意選択的な添加剤としては、化学染料及び造影染料、ストリエーション防止剤、可塑剤、速度促進剤、増感剤、光分解性失活剤(光分解性塩基としても知られる)、塩基性失活剤、界面活性剤など、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。存在する場合、任意選択的な添加剤は、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形分を基準として0.01~10重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0094】
光分解性失活剤は、照射により弱酸を生成する。光分解性失活剤から生成する酸は、十分に弱いため、レジストマトリクス中に存在する酸不安定基と即座に反応しない。例示的な光分解性失活剤には、例えば、光分解性カチオン、好ましくは例えばC1~20カルボン酸又はC1~20スルホン酸等の強酸発生剤化合物であるが、弱酸(pKa>1)のアニオンと対になった強酸発生剤化合物を調製するためにも有用なものが含まれる。例示的なカルボン酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などが含まれる。例示的なカルボン酸には、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等が含まれる。好適な実施形態では、光分解性失活剤は、ジフェニルヨードニウム-2-カルボキシレート等の光分解性有機両性イオン化合物である。
【0095】
例示的な塩基性失活剤は、例えば、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソパノールアミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、n-tert-ブチルジエタノールアミン、トリス(2-アセトキシ-エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’-(エタン-1,2-ジイルビス(アザネトリイル))テトラエタノール、2-(ジブチルアミノ)エタノール及び2,2’,2’’-ニトリロトリエタノールなどの直鎖脂肪族アミン;1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン、tert-ブチル1-ピロリジンカルボキシレート、tert-ブチル2-エチル-1H-イミダゾール-1-カルボキシレート、ジ-tert-ブチルピペラジン-1,4-ジカルボキシレート及びN-(2-アセトキシ-エチル)モルホリンなどの環状脂肪族アミン;ピリジン、ジ-tert-ブチルピリジン及びピリジニウムなどの芳香族アミン;N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピバル酸アミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N,N,N-テトラブチルマロンアミド、1-メチルアゼパン-2-オン、1-アリルアゼパン-2-オン及びtert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメートなどの直鎖及び環状アミド並びにその誘導体;スルホネート、スルファメート、カルボキシレート及びホスホネートの第四級アンモニウム塩などのアンモニウム塩;第1級及び第2級アルジミン及びケチミンなどのイミン;任意選択的に置換されたピラジン、ピペラジン及びフェナジンなどのジアジン;任意選択的に置換されたピラゾール、チアジアゾール及びイミダゾールなどのジアゾール;並びに2-ピロリドン及びシクロヘキシルピロリジンなどの任意選択的に置換されたピロリドンが挙げられる。
【0096】
例示的な界面活性剤としては、フッ素化及び非フッ素化界面活性剤が挙げられ、イオン性又は非イオン性であり得、非イオン性界面活性剤が好ましい。例示的なフッ素化非イオン性界面活性剤には、3M Corporationから入手可能なFC-4430及びFC-4432界面活性剤などのペルフルオロC界面活性剤並びにOmnovaのPOLYFOX PF-636、PF-6320、PF-656及びPF-6520フルオロ界面活性剤などのフルオロジオールが含まれる。一態様では、フォトレジスト組成物は、フッ素含有繰り返し単位を含む界面活性剤ポリマーを更に含む。
【0097】
本発明のフォトレジスト組成物を用いるパターン形成方法について述べる。フォトレジスト組成物をその上にコーティングすることができる適切な基板は、電子デバイス基板を含む。本発明では、半導体ウエハ;多結晶シリコン基板;マルチチップモジュール等のパッケージング基板;フラットパネルディスプレイ基板;有機発光ダイオード(OLED)等の発光ダイオード(LED)のための基板等の多様な電子デバイス基板が使用され得、半導体ウエハが典型的である。このような基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、オキシ窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅及び金の1つ以上から構成される。適切な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレイ、光集積回路及びLEDの製造において使用されるものなどのウエハの形態であり得る。このような基板は、任意の適切なサイズであり得る。典型的なウエハ基板直径は、200mm~300mmであるが、より小さい及びより大きい直径を有するウエハが本発明に従って好適に用いられ得る。基板は、任意選択的に、形成されているデバイスのアクティブ又は操作可能な部分を含み得る1つ以上の層又は構造を含み得る。
【0098】
典型的には、ハードマスク層、例えばスピンオンカーボン(SOC)、無定形炭素若しくは金属ハードマスク層、窒化ケイ素(SiN)層、酸化ケイ素(SiO)層若しくはオキシ窒化ケイ素(SiON)層などのCVD層、有機若しくは無機下地層又はそれらの組み合わせなどの1つ以上のリソグラフィ層が、本発明のフォトレジスト組成物をコーティングする前に基板の上層上に提供される。そのような層は、上塗りフォトレジスト層と共にリソグラフィ材料スタックを形成する。
【0099】
任意選択的に、接着促進剤の層をフォトレジスト組成物のコーティング前に基板表面に塗布することができる。接着促進剤が望ましい場合、例えばシラン、典型的には、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのオルガノシラン又はγ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシランカップリング剤など、ポリマーフィルムのための任意の適切な接着促進剤が使用され得る。特に適切な接着促進剤は、DuPont Electronics&Imaging(Marlborough,Massachusetts)から入手可能なAP3000、AP8000及びAP9000Sの名称で販売されているものを含む。
【0100】
コーティングフォトレジスト組成物は、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディングなどを含む任意の適切な方法によって基板上にされ得る。例えば、フォトレジストの層の塗布は、コーティングトラックを使用して溶媒中でフォトレジストをスピンコーティングすることによって達成され得、この場合、フォトレジストは、回転するウエハ上に分配される。分配中、ウエハを典型的には毎分4,000回以下の回転数(rpm)の速度で回転させ、例えば200~3,000rpm、例えば1,000~2,500rpmで15~120秒にわたって回転させ、基板上にフォトレジスト組成物の層を得る。コートされる層の厚さが、スピン速度及び/又は組成物の固形分を変えることによって調整され得ることは、当業者によって十分理解されるであろう。本発明の組成物から形成されるフォトレジスト層は、典型的には、乾燥層厚みが10~200ナノメートル(nm)、好ましくは15~100nm、より好ましくは20~60nmである。
【0101】
フォトレジスト組成物は、典型的には、次に、層中の溶媒含有量を最小限にするためにソフトベークされ、それによって不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善する。ソフトベークは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。ソフトベークの温度及び時間は、例えば、特定のフォトレジスト組成物及び厚さに依存する。ソフトベーク温度は、典型的には、90~170℃、例えば110~150℃である。ソフトベーク時間は、典型的には、10秒~20分、例えば1分~10分又は1分~5分である。加熱時間は、組成物の成分に基づいて当業者により容易に決定され得る。
【0102】
フォトレジスト層は、次に、露光領域と非露光領域との間で溶解度の差を生じさせるために活性化放射線にパターン状に露光される。組成物のために活性化する放射線にフォトレジスト組成物を露光することへの本明細書での言及は、放射線がフォトレジスト組成物に潜像を形成できることを示す。露光は、典型的には、レジスト層の露光領域と非露光領域とにそれぞれ対応する、光学的に透明な領域と光学的に不透明な領域とを有するパターンフォトマスクを通して行われる。代わりに、そのような露光は、直接描画法、典型的には電子ビームリソグラフィに用いられる方法において、フォトマスクを用いずに行われ得る。活性化放射線は、典型的には、400nm未満、300nm未満又は200nm未満の波長を有し、248nm(KrF)、193nm(ArF)及び13.5nm(EUV)の波長であるか、又は電子ビームリソグラフィが好ましい。この方法は、液浸又は乾式(非液浸)リソグラフィ技術にも応用できる。露光エネルギーは、典型的には、1平方センチメートルあたり1~200ミリジュール(mJ/cm)、好ましくは10~100mJ/cm、より好ましくは20~50mJ/cmであるが、露光ツール及びフォトレジスト組成物にも依存する。
【0103】
フォトレジスト層の露光後、露光したフォトレジスト層の露光後ベーク(PEB)を行う。PEBは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。PEBの条件は、例えば、特定のフォトレジスト組成物及び層の厚さに依存するであろう。PEBは、典型的には、80~150℃の温度で30~120秒間行う。極性切り替え(露光領域)及び極性非切り替え領域(非露光領域)によって定義される潜像をフォトレジスト内に形成する。
【0104】
露光されたフォトレジスト層を、次に好適な現像液で現像して、現像液に可溶な層の領域を選択的に除去する一方、残った不溶領域は、結果として得られるフォトレジストパターンレリーフ像を形成する。ポジティブトーン現像(PTD)プロセスの場合、フォトレジスト層の露光領域が現像中に除去され、非露光領域が残る。逆に、ネガティブトーン現像(NTD)プロセスでは、フォトレジスト層の露光領域が残り、非露光領域が現像中に除去される。現像剤の塗布は、フォトレジスト組成物の塗布に関して上述したような任意の適切な方法によって行われ得、スピンコーティングが典型的である。現像時間は、フォトレジストの可溶領域を除去するのに効果的な時間であり、5~60秒間が典型的である。現像は、典型的には、室温で行われる。
【0105】
PTDプロセスの好適な現像剤には、水性塩基現像剤、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの第四級水酸化アンモニウム溶液、好ましくは0.26規定(N)のTMAH、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが含まれる。NTDプロセスに好適な現像液は、有機溶媒系であり、現像液の総重量を基準として、現像液における有機溶媒の累積含有量が50重量%以上、典型的には95重量%以上、95重量%以上、98重量%以上又は100重量%である。NTD現像液用に好適な有機溶媒には、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素及びその混合物から選択されるものが含まれる。現像液は、典型的には、2-ヘプタノン又は酢酸n-ブチルである。
【0106】
コーティングされた基板は、本発明のフォトレジスト組成物から形成され得る。このようなコーティングされた基板は、(a)その表面にパターン化される1つ以上の層を有する基板と、(b)パターン化される1つ以上の層に渡るフォトレジスト組成物の層とを含む。
【0107】
フォトレジストパターンは、例えば、エッチマスクとして使用して、公知のエッチング技術、典型的には反応性イオンエッチング等のドライ-エッチングにより、パターンを1つ以上の連続した下位の層に転写し得る。フォトレジストパターンは、例えば、下位層のハードマスク層へのパターン転写に使用され得、次にハードマスク層の下位の1つ以上の層へのパターン転写のためのエッチマスクとして使用される。フォトレジストパターンがパターン転写で消費されない場合、それは、公知の技術、例えば酸素プラズマ灰化によって基板から除去され得る。フォトレジスト組成物は、1つ以上のこうしたパターン形成プロセスで使用される場合、メモリデバイス、プロセッサチップ(CPU)、グラフィックチップ、オプトエレクトロニクスチップ、LED、OLEDなどの半導体デバイス及び他の電子デバイスを製造するために使用され得る。
【0108】
本発明を以下の実施例によって更に例証する。
【実施例
【0109】
実施例及び比較例で使用したポリマーの化学的構造を以下に示す。ポリマーP2及びP3の調製方法は、(特許文献4)に記載されている。ポリマーP1及びP4~P8は、当技術分野において一般的に利用されている方法を使用して調製した。
【化35】
【0110】
実施例で使用した光活性化合物A1~A5の化学的構造を以下に示す。
【化36】
【0111】
光酸発生剤A1は、スキーム1に示すような一段階合成によって調製された。
【化37】
【0112】
S1(20g、46.90ミリモル(mmol))及びS2(20g、44.21mmol)の混合物に125ミリリットル(mL)のジクロロメタン及び125mLの脱イオン水を加えた。その混合物を室温で6時間撹拌した。有機相を分離し、脱イオン水で洗浄した(5×150mL)。次に、有機相を分離し、約50~60mLに濃縮し、メチル=t-ブチルエーテル(0.5L)に注いだ。沈殿した生成物は、白色固体であった。生成物を濾過し、35℃の真空下で24時間(h)乾燥させた。収量は、28グラム(g)であった。UPLCによる純度は、>98%であった。
【0113】
光酸発生剤A2は、スキーム2に示すような一段階合成によって調製された。
【化38】
【0114】
S3(10g、18.37mmol)及びS2(8.50g、19.30mmol)の混合物を125mLのジクロロメタン及び125mLの脱イオン水中で混ぜ合わせた。この混合物を室温で6時間撹拌した。水相を分離し、有機相を脱イオン水(5×100mL)で洗浄した。有機溶媒を減圧下で除去して粗生成物を得た。粗生成物を30mLのアセトン中に溶解させ、メチルt-ブチルエーテル(500mL)中に注ぎ、生成物を固体として得た。生成物を濾過し、35℃の真空下で24時間乾燥させた。収量は、12.4gであった。UPLCによる純度は、>98%であった。
【0115】
光活性化合物A3及びA4、有機塩基トリ-n-オクチルアミン(Q1)、サリチル酸(O1)及び塩基失活剤Q2及びQ3を商業的な供給元から購入し、受領したまま使用した。
【化39】
【0116】
実施例1:コントラスト曲線測定
248nmでのコントラスト曲線を、Canon ES2スキャナを用いて生成させた。この実施例で使用した全組成物の溶媒は、PGMEA及びメチル2-ヒドロキシイソブチレートの50/50w/wブレンド物であった。各組成物の全固形分は、1.55重量%であった。得られた混合物をメカニカルシェーカー上で振盪し、その後、0.2μmの細孔径のPTFE円盤状フィルタを通して濾過した。TEL Clean Track ACT 8ウエハトラックにより、BARCスタックでオーバーコートした200mmのシリコンウエハ(厚さ80nmのAR(商標)40A反射防止材の上に厚さ60nmのAR(商標)3反射防止材を積層したもの、DuPont Electronics&Imaging)をそれぞれ各フォトレジスト組成物でスピンコートし、110℃で90秒間ソフトベークし、目的厚みが約40nmのフォトレジスト層を得た。レジストを248nmの放射線で、5~50mJ/cmから線量を増加させながら露光し、110℃で60秒露光後ベーク(PEB)を行い、TMAH現像液(MF(商標)-CD26、DuPont Electronics&Imaging)で60秒間現像し、脱イオン水で洗滌して、乾燥させた。各露光領域で厚みを測定し、且つ線量に対してプロットした。残留膜厚が当初のコーティング厚みの10%未満になる点のドーストゥクリア(E)を算出した。露光領域における正規化されたフォトレジスト層厚みを線量の対数に対してプロットすることにより、各ウエハに対する追加のコントラスト曲線を生成した。コントラスト(ガンマ、γ)を正規化コントラスト曲線から80%及び20%のフォトレジスト膜厚の点間のスロープとして求めた。200mmシリコンウエハ上の硬化BARC層上にスピンコートされた露光していないフォトレジスト膜上の10点の膜厚を測定し、コートされた膜の膜厚と、0.26NのTMAH溶液を用いて洗滌した後の10点の厚みの平均値との間の差を計算することにより、非露光膜厚損失(UFTL)を算出した。
【0117】
実施例1A:上述のコントラスト曲線法を用いて、ポリマーP1を含む比較組成物1と、ポリマーP2を含む比較組成物2とのγを測定した。発明組成物3は、ポリマーP1及びP2のブレンド物を含んでいた。表1は、組成(量は、組成物の重量%である)、E、UFTL及び248nmでのγを示す。
【0118】
【表1】
【0119】
表1に示すように、発明組成物3のγは、比較組成物1及び2のγよりも有意に高く、従って、発明組成物3は、より高いコントラストレジストである。
【0120】
実施例1B:上述のコントラスト曲線法を用いて、ポリマーP3を含む比較組成物4と、ポリマーP1及びP3のブレンド物を含む発明組成物5とのコントラストを測定した。表2は、組成(量は、組成物の重量%である)、E、UFTL及び248nmでのγを示す。
【0121】
【表2】
【0122】
表2に示すように、発明組成物5のγは、比較組成物4のγよりも有意に高く、従って、発明組成物5は、より高いコントラストレジストである。
【0123】
実施例1C:上述のコントラスト曲線法を用いて、ポリマーP2を含む比較組成物6と、ポリマーP1を含む比較組成物7とのコントラストを測定した。発明組成物8は、ポリマーP1及びP2のブレンド物を含んでいた。表3は、組成(量は、組成物の重量%である)、E、UFTL及び248nmでのγを示す。
【0124】
【表3】
【0125】
表3に示すように、発明組成物8のγは、比較組成物6及び7のγよりも有意に高く、これは、発明組成物8がよりデジタルでより高いコントラストレジストであることを示し、これは、リソグラフィ特性が改良されることと相関がある。
【0126】
実施例1D:上述のコントラスト曲線法を用いて、ポリマーP2を含む比較組成物9と、ポリマーP1及びP2のブレンド物を含む発明組成物10とのコントラストを測定した。表4は、組成(量は、組成物の重量%である)、E、UFTL及び248nmでのγを示す。
【0127】
【表4】
【0128】
表4に示すように、発明組成物10のγは、比較組成物9のγよりも有意に高く、これは、発明組成物10がよりデジタルでより高いコントラストレジストであることを示し、これは、リソグラフィ特性が改良されることと相関がある。
【0129】
実施例1F:上述のコントラスト曲線法を用いて、ポリマーP2を含む比較組成物11と、ポリマーP4を含む比較組成物12と、ポリマーP2及びP4のブレンド物を含む発明組成物13とのコントラストを測定した。表5は、組成(量は、組成物の重量%である)、E、UFTL及び248nmでのγを示す。
【0130】
【表5】
【0131】
表5に示すように、発明組成物13のγは、比較組成物12及び13のγよりも有意に高く、これは、発明組成物13がよりデジタルでより高いコントラストレジストであることを示し、これは、リソグラフィ特性が改良されることと相関がある。
【0132】
実施例2:電子ビーム高密度ラインスペースパターン形成
PGMEA及びメチル2-ヒドロキシイソブチレートの50/50(w/w)混合物中の列挙された成分を組み合わせることにより、表6~9に示す組成を有するコーティングレジスト組成物を調製した。各組成物の全固形分は、1.55重量%であった。200mmシリコンウエハ上の硬化有機底面反射コーティング(BARC)層上に各レジスト組成物をスピンコートし、110℃で90秒間ベークした(40nm厚のフォトレジスト膜を形成した)。
【0133】
電子ビーム(E-ビーム)リソグラフィツール(モデルJEOL JBX9500FS)を用いてリソグラフィックパターン形成を行い、異なるピッチサイズで1:1の比率の高密度ラインスペース(L/S)パターンを印刷した。露光後、100℃で60秒間露光後ベークを行い、その後、0.26NのTMAH溶液を用いて60秒の現像ステップを行った。走査電子顕微鏡観察(SEM)を行って像を収集し、プリントされたパターンを解析した。ナノメートル(nm)のラインスペースパターンの限界寸法(CD)を解析した。このとき、サイジングエネルギー「Esize」は、1平方センチメートルあたりのマイクロクーロンの単位(μC/cm)で表され、これは、特定のハーフピッチを有する1:1のラインスペースパターンを解像したときの照射エネルギーを表す。ナノメートルの単位で表される線幅粗さ(LWR)は、線幅測定の合計100の任意の点の分布から3シグマ値を得、その後、計測ノイズを除去する(MetroLERソフトウェア)ことによって決定した。
【0134】
実施例2A:上述の高密度ラインスペースパターン形成及び分析方法を用いて、ポリマーP1を含む比較組成物14と、ポリマーP2を含む比較組成物15と、ポリマーP1及びP2のブレンド物を含む発明組成物16とのリソグラフィ特性を評価した。表6は、組成(量は、組成物の重量%である)、Esize及びハーフピッチ(HP)が35nmの1:1L/Sパターンに対するLWRの結果を示す。
【0135】
【表6】
【0136】
表6に示すように、発明組成物16では、比較組成物14及び15と比較して低いLWRが達成された。
【0137】
実施例2B:上述の高密度ラインスペースパターン形成及び分析方法を用いて、ポリマーP1を含む比較組成物17と、ポリマーP2を含む比較組成物18と、ポリマーP1及びP2のブレンド物を含む発明組成物19とのリソグラフィ特性を評価した。表7は、組成(量は、組成物の重量%である)、Esize及びHPが35nm、30nm及び25nmの1:1L/Sパターンに対するLWRの結果を示す。
【0138】
【表7】
【0139】
表7に示すように、発明組成物19では、比較組成物17及び18と比較して、それぞれの印刷されたCDにおいて低いLWRが達成された。
【0140】
実施例2C:上述の高密度ラインスペースパターン形成及び分析方法を用いて、ポリマーP3を含む比較組成物20と、ポリマーP1及びP2のブレンド物を含む発明組成物21とのリソグラフィ特性を評価した。表8は、組成(量は、組成物の重量%である)、Esize及びHPが35nm及び30nmの1:1 L/Sパターンに対するLWRの結果を示す。
【0141】
【表8】
【0142】
表8に示すように、発明組成物21では、比較組成物20と比較して、それぞれの印刷されたCDにおいて低いLWRが達成された。
【0143】
実施例2D:上述の高密度ラインスペースパターン形成及び分析方法を用いて、ポリマーP1を含む比較組成物22と、ポリマーP1及びP2のブレンド物を含む発明組成物23とのリソグラフィ特性を評価した。表9は、組成(量は、組成物の重量%である)、Esize及びHPが35nmの1:1 L/Sパターンに対するLWRの結果を示す。
【0144】
【表9】
【0145】
表9に示すように、発明組成物23では、比較組成物20と比較して低いLWRが達成された。
【0146】
実施例3:電子ビームグリッドコンタクトホール(CH)パターン形成
PGMEA及びメチル2-ヒドロキシイソブチレートの50/50(w/w)混合物中において、表10及び11に示す組成を用いたコーティングレジスト組成物を調製した。各組成物の全固形分は、1.55重量%であった。200mmシリコンウエハ上の硬化有機底面反射コーティング(BARC)層上に各レジスト組成物をスピンコートし、110℃で90秒間ベークし、40nm厚のフォトレジスト膜を形成した。
【0147】
電子ビーム(E-ビーム)リソグラフィツール(モデルJEOL JBX9500FS)を用いてリソグラフィックパターン形成を行い、変化するピッチのグリッドコンタクトホール(CH)パターンを印刷した。露光後、100℃で60秒間露光後ベークを行い、その後、0.26NのTMAH溶液を用いて60秒の現像ステップを行った。走査電子顕微鏡観察を行って像を収集し、プリントされたパターンを解析した。コンタクトホールパターンの限界寸法(CD)を解析し、nmで表した。サイジングエネルギー「Esize」は、1平方センチメートルあたりのマイクロクーロンの単位(μC/cm)で表され、Fractilia MetroLER計測ツールを用いてノイズフィルターモードで35個のコンタクトホールのCDを測定することにより、nmで表される限界寸法均一性(CDU)を決定した。
【0148】
実施例3A:上述のCHパターン形成及び分析方法を用いて、ポリマーP3を含む比較組成物24と、ポリマーP1及びP3のブレンド物を含む発明組成物25とのリソグラフィ特性を評価した。表10は、組成(量は、組成物の重量%である)、Esize及び35nm、30nm及び25nmの穴に対するCDUの結果を示す。
【0149】
【表10】
【0150】
図10に示すように、発明組成物25では、比較組成物24と比較して、印刷されたCDにおいて低いCDUが達成された
【0151】
実施例3B:上述のCHパターン形成及び分析方法を用いて、ポリマーP1を含む比較組成物26と、ポリマーP1及びP2のブレンド物を含む発明組成物27とのリソグラフィ特性を評価した。表11は、組成(量は、組成物の重量%である)、Esize及び35nm、30nm及び25nmの穴に対するCDUの結果を示す。
【0152】
【表11】
【0153】
表11に示すように、発明組成物27では、比較組成物26と比較して、それぞれの印刷されたCDにおいて低いCDUが達成された。
【0154】
実施例4B:フォトレジスト組成物は、表12に示す材料及び比率を使用して、固体成分を溶媒に溶解することにより調製し、総固形分を1.55%とした。各フォトレジスト組成物を用いてウエハをスピンコートし、110℃で90秒間ソフトベークすることにより、厚み40nmのフォトレジスト層を得た。フォトレジストでコートした基板を、JEOL Ltd.JBX-9500FS電子ビームリソグラフィシステムを用いて電子ビーム放射に露光し、35nm直径/70nmピッチの1:1コンタクトホールパターンを印刷した。レジストを90℃で60秒間露光後ベークし、TMAH現像液(MF-CD26、DuPont Electronics&Imaging)で45秒間現像し、脱イオン水で洗滌し、乾燥させた。走査電子顕微鏡観察を行って像を収集し、プリントされたパターンを解析した。Fractilia MetroLER計測ソフトウェアを用いて、SEM画像に基づいてコンタクトホールパターンのCD測定を行った。サイジングエネルギー(Esize)及びCD均一性(3σ)(CDU)を測定に基づいて決定した。サイジングエネルギーは、目的の35nmの直径のコンタクトホールパターンを解像したときの照射エネルギーである。35個のコンタクトホールのCDに基づいてCDUを求めた。表12は、組成(量は、溶媒S1及びS2の1:1混合液中における総固形分に基づく重量%である)、Esize(μC/cm)及びCDU(nm)を示す。S1は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、S2は、メチル2-ヒドロキシイソブチレートである。
【0155】
【表12】
【0156】
表12に示すように、発明組成物26~29は、1.1~1.6の範囲の顕著に低いCDUを達成しており、これは、電子機器にとって望ましい値である。
【0157】
本開示は、実用的で例示的な実施形態であると現在考えられるものと併せて記載されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、むしろ添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び均等な構成を包含することを意図することが理解されるべきである。