(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】粘着シート
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20241008BHJP
C09J 7/25 20180101ALI20241008BHJP
C09J 133/04 20060101ALI20241008BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241008BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/25
C09J133/04
B32B27/00 M
B32B27/30 A
(21)【出願番号】P 2023503373
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(86)【国際出願番号】 JP2021040263
(87)【国際公開番号】W WO2022185611
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2021035436
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】平山 高正
(72)【発明者】
【氏名】西尾 昭徳
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-168711(JP,A)
【文献】特開2012-102229(JP,A)
【文献】特開2020-117677(JP,A)
【文献】特開2018-016701(JP,A)
【文献】国際公開第2016/063802(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/142193(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 1/00-43/00
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材の少なくとも片側に配置された粘着剤層とを備える粘着シートであって、
該粘着剤層をポリエチレンテレフタレートに貼着した際の23℃における粘着力が、0.1N/20mm~8N/20mmであり、
該粘着剤層が、ベースポリマーを含む粘着剤から構成され、該ベースポリマーのsp値が7(cal/cm
3)
1/2~10(cal/cm
3)
1/2であり、
該粘着剤層の水の接触角が70°~120°である、
該粘着シートの含水率が、
0.5重量%~6重量%である、
粘着シート。
【請求項2】
前記基材が、ガラス転移温度(Tg)が60℃~450℃の樹脂から構成される樹脂シートである、請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
前記基材が、芳香族性ポリイミド系樹脂から構成される、請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項4】
前記粘着剤層の厚みが、2μm~15μmである、請求項1から3のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項5】
前記粘着剤層のゲル分率が、60%~100%である、請求項1から4のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項6】
前記ベースポリマーが、アクリル系ポリマーであり、
該アクリル系ポリマーが、水酸基含有モノマー由来の構成単位を含み、
該水酸基含有モノマー由来の構成単位の含有量が、該アクリル系ポリマーを構成する全構成単位100重量部に対して、0.1重量部~20重量部である、請求項1から5のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項7】
前記基材の前記粘着剤層とは反対側に、第2の粘着剤層をさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項8】
CSP(Chip Size/Scale Package)またはWLP(Wafer Level Package)の製造の際に、半導体チップを仮固定するシートとして用いられる、請求項1から7のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項9】
前記半導体チップは、封止樹脂により封止され、該樹脂封止の際の加工温度が100℃以上である、請求項8に記載の粘着シート。
【請求項10】
基材上に粘着剤を含む組成物の塗工層を形成する工程と、
該塗工層面上にライナーを配置して積層体を形成する工程と、
該積層体を、加湿熱時間、温度および湿度が管理された環境下に置く加湿熱工程とを含み、
加湿熱工程における、加湿熱時間と温度と湿度との積が、100~300000℃・RH%・hである、
請求項1から9のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体チップを含む半導体部品の製造において、半導体チップの傷つき防止、金属配線の拡張等のために、当該半導体チップを樹脂封止することが行われることがある。樹脂封止工程では、作業性等の観点から、粘着シート上で、半導体チップを樹脂封止することが行われることがある。例えば、半導体チップの移動を防止するために、複数の半導体チップを所定の仮固定材としての粘着シート上に配置し、当該粘着シート上で、半導体チップを一括に封止する。
【0003】
樹脂封止の工程においては、流動性を有する封止樹脂前駆体を塗布して半導体チップを覆い、その後、当該前駆体の流動性を減ずることにより、半導体チップが封止される。このときの当該前駆体の流動性は、封止品質(特に、作業時間、封止の均一性)に影響する一因である。一般に、上記前駆体の流動性は、封止樹脂が塗工される面(すなわち、粘着シートの粘着剤層表面)と、封止樹脂との親和性に依存する。しかしながら、粘着剤層および封止樹脂の組成に変化がないにもかかわらず、上記前駆体の流動性が一定となはならないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-308116号公報
【文献】特開2001-313350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、その表面で、半導体チップ等を封止する封止樹脂がバラツキ少なく流動し得る粘着剤層を備える粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の粘着シートは、基材と、該基材の少なくとも片側に配置された粘着剤層とを備える粘着シートであって、該粘着剤層をポリエチレンテレフタレートに貼着した際の23℃における粘着力が、0.1N/20mm~8N/20mmであり、該粘着剤層が、ベースポリマーを含む粘着剤から構成され、該ベースポリマーのsp値が7(cal/cm3)1/2~10(cal/cm3)1/2であり、該粘着シートの含水率が、0.05重量%~6重量%である。
1つの実施形態においては、上記基材が、ガラス転移温度(Tg)が60℃~450℃の樹脂から構成される樹脂シートである。
1つの実施形態においては、上記基材が、芳香族性ポリイミド系樹脂から構成される。
1つの実施形態においては、上記粘着剤層の厚みが、2μm~15μmである。
1つの実施形態においては、上記粘着剤層のゲル分率が、60%~100%である。
1つの実施形態においては、上記ベースポリマーが、アクリル系ポリマーであり、該アクリル系ポリマーが、水酸基含有モノマー由来の構成単位を含み、該水酸基含有モノマー由来の構成単位の含有量が、該アクリル系ポリマーを構成する全構成単位100重量部に対して、0.1重量部~20重量部である。
1つの実施形態においては、上記粘着シートは、上記基材の前記粘着剤層とは反対側に、第2の粘着剤層をさらに備える。
1つの実施形態においては、上記粘着シートは、CSP(Chip Size/Scale Package)またはWLP(Wafer Level Package)の製造の際に、半導体チップを仮固定するシートとして用いられる。
1つの実施形態においては、上記半導体チップは、封止樹脂により封止され、該樹脂封止の際の加工温度が100℃以上である。
本発明の別の局面よれば、上記粘着シートの製造方法が提供される。この製造方法は、 基材上に粘着剤を含む組成物の塗工層を形成する工程と、該塗工層面上にライナーを配置して積層体を形成する工程と、該積層体を、所定の加湿熱時間(例えば、2時間~7日)、温度および湿度が管理された環境下に置く加湿熱工程とを含み、加湿熱工程における、加湿熱時間と温度と湿度との積が、100~300000℃・RH%・hである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、その表面で、半導体チップ等を封止する封止樹脂がバラツキ少なく流動し得る粘着剤層を備える粘着シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の1つの実施形態による粘着シートの概略断面図である。
【
図2】本発明の別の実施形態による粘着シートの概略断面図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態によるライナー付両面粘着シートの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.粘着シートの概要
図1は、本発明の1つの実施形態による粘着シートの概略断面図である。粘着シート100は、基材10と、基材10の少なくとも片側に配置された粘着剤層(第1の粘着剤層)20とを備える。
【0010】
本発明の粘着シートは、粘着剤層をポリエチレンテレフタレートに貼着した際の23℃における粘着力が、0.1N/20mm~8N/20mmである。また、上記粘着剤層は、ベースポリマーを含む粘着剤から構成され、当該ベースポリマーのsp値が7(cal/cm3)1/2~10(cal/cm3)1/2である。また、上記粘着シートは、含水率が、0.05重量%~6重量%である。
【0011】
本発明の粘着シートは、半導体チップを樹脂封止する際の仮固定材として、好適に用いられ得る。より詳細には、本発明の粘着シートは、当該粘着シートの粘着剤層上に半導体チップを配列し、当該半導体チップを封止樹脂(通常、エポキシ系樹脂)前駆体で覆い、当該封止樹脂前駆体を硬化することによって半導体チップを樹脂封止する際の、当該半導体チップの仮固定材として用いられ得る。半導体チップを樹脂封止した後、所定の後工程(例えば、封止樹脂の裏面研削、パターン形成、バンプ形成、チップ化(切断))の際には、上記粘着シートは、封止樹脂と半導体チップとから構成される構造体から剥離され得る。封止樹脂のエポキシ当量は、例えば、50g/eq~500g/eqである。
【0012】
本発明の粘着シートにおいては、上記のように、粘着剤層が含有するベースポリマーのsp値を特定し、かつ、粘着シート含水率を特定することにより、上記粘着剤層上で、封止樹脂前駆体が好ましく流動し得る。また、封止樹脂前駆体の流動性のバラツキが抑制されるため、半導体チップの量産工程において、封止工程の時間を短縮でき、均一性に優れた樹脂封止を安定的に行うことができる。このように、本発明の粘着シートは、粘着性と剥離性のバランスに優れ(すなわち、仮固定性に優れ)、かつ、封止品質向上に寄与し得ることを特徴とする。また、本発明の粘着シートは、高温下においても、封止品質向上に寄与し得る点で特に有用である。
【0013】
図2は、本発明の別の実施形態による粘着シートの概略断面図である。粘着シート200は、両面粘着シートであり、基材10の粘着剤層20と反対側に、第2の粘着剤層30をさらに備える。すなわち、粘着シート200は、粘着剤層20と、基材10と、第2の粘着剤層30とをこの順に備える。第2の粘着剤層30を備えることにより、台座上で樹脂封止をする際に、第2の粘着剤層30側を当該台座に貼着して、固定性よく粘着シート200を使用することができる。
【0014】
1つの実施形態においては、第2の粘着剤層は、熱膨張性微小球を含む。該熱膨張性微小球は所定温度で膨張し得る。このような熱膨張性微小球を含む粘着剤層は、所定温度以上に加熱することよって熱膨張性微小球が膨張し、粘着面(すなわち第2の粘着剤層表面)に凹凸が生じて、粘着力が低下または消失する。熱膨張性微小球を含む第2の粘着剤層を形成すれば、粘着シートを固定する際(例えば、台座に固定する際)には必要な粘着性が発現され、粘着シートを剥離する際(例えば、台座から剥離する際)には、加熱により粘着力が低下または消失して、良好な剥離性が発現される。
【0015】
本発明の粘着シートは、粘着剤層をポリエチレンテレフタレートに貼着した際の23℃における粘着力は、上記のとおり、0.1N/20mm~8N/20mmであり、好ましくは0.2N/20mm~7.5N/20mmであり、より好ましくは0.5N/20mm~6N/20mmであり、さらに好ましくは0.8N/20mm~5N/20mmであり、最も好ましくは0.8N/20mm~3N/20mmである。このような範囲であれば、被着体(例えば、半導体チップ)を好ましく固定し得、かつ、剥離時の糊残りの少ない粘着シートを得ることができる。なお、本明細書において、「粘着剤層をポリエチレンテレフタレートに貼着した際の23℃における粘着力」とは、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み25μm)に、粘着シート(幅20mm×長さ140mm)の粘着剤層を貼り合わせ(貼り合わせ条件:2kgローラー1往復)、23℃の環境温度下で30分間放置した後、該試料を引っ張り試験(剥離速度:300mm/min、剥離角度180°)に供して測定される粘着力をいう。
【0016】
上記のとおり、粘着シートの含水率は、0.05重量%~6重量%である。粘着シートの含水率は、好ましくは0.1重量%~5重量%であり、さらに好ましくは0.5重量%~4重量%であり、さらに好ましくは1重量%~3重量%である。このような範囲であれば、封止樹脂前駆体との親和性が適度に調整され、樹脂封止品質の向上に寄与し得る粘着剤層を形成することができる。また、封止樹脂の変質を防止することができる。上記含水率は、カールフィッシャー滴定法で測定され得る。粘着シートの含水率は、任意の適切な方法により調整され得る。例えば、粘着剤層形成時(粘着剤塗工時)の粘着剤の含水率の調整、粘着剤に含まれるベースポリマーの構成、加湿熱工程の実施(後述)等により、調整することができる。
【0017】
本発明の粘着シートの厚みは、好ましくは3μm~300μmであり、より好ましくは5μm~150μmであり、さらに好ましくは10μm~100μmである。
【0018】
B.粘着剤層
上記粘着剤層は、ベースポリマーを含む粘着剤から構成される。なお、「ベースポリマー」とは、粘着剤に含まれるポリマーの主成分をいう。また、この明細書において「主成分」とは、特記しない場合、50重量%を超えて含まれる成分を指す。
【0019】
上記粘着剤層の厚みは、好ましくは1μm~50μmであり、より好ましくは3μm~30μmであり、さらに好ましくは5μm~20μmである。このような範囲であれば、封止工程時の加圧によっても、半導体チップの樹脂への埋まり込みがたい粘着シートを得ることができる。1つの実施形態においては、上記粘着剤層の厚みは、2μm~15μmである。このような範囲であれば、粘着剤層からの水分の放散が適度に調整され、封止樹脂前駆体の流動性を好ましいものとすることができる。
【0020】
上記のとおり、上記ベースポリマーのsp値は、7(cal/cm3)1/2~10(cal/cm3)1/2であり、上記ベースポリマーのsp値は、好ましくは7.5(cal/cm3)1/2~9.5(cal/cm3)1/2であり、より好ましくは8(cal/cm3)1/2~9(cal/cm3)1/2である。このような範囲であれば、封止樹脂対する親和性が適度に調整され、樹脂封止品質の向上に寄与し得る粘着剤層を形成することができる。sp値は、フェドーズ(Fedors)の方法(山本秀樹著、「sp値 基礎・応用と計算方法」、株式会社情報機構出版、2006年4月3日発行、66~67ページ)により、求められる。具体的には、該sp値は、ポリマーを形成する各原子または原子団の25℃における蒸発エネルギーΔe(cal)と、ポリマーを形成する各原子または原子団の25℃におけるモル容積ΔV(cm3)とから、以下の式により算出される。ポリマーが共重合体である場合、そのsp値は、その共重合体を構成する各構成単位のそれぞれの単独共重合体のsp値を算出し、これらのsp値のそれぞれに各構成単位のモル分率を乗じたものを合算して算出される。
sp値=(ΣΔe/ΣΔv)1/2
【0021】
上記粘着剤層の水の接触角は、好ましくは70°~120°であり、より好ましくは80°~110°であり、さらに好ましくは90°~105°である。このような範囲であれば、封止樹脂前駆体との親和性が適度に調整され、樹脂封止品質の向上に寄与し得る粘着剤層を形成することができる。水の接触角は、接触角計(例えば、協和界面社製、商品名「CX-A型」)を用いて、23℃/50%RH環境下、純水を粘着剤層表面に2μl滴下し、滴下して5秒後に液滴の接触角を測定することを5回繰り返し、その平均値から求めることができる。
【0022】
上記粘着剤層のゲル分率は、好ましくは60%~100%であり、より好ましくは70%~99%であり、さらに好ましくは75%~98%であり、特に好ましくは80%~95%である。このような範囲であれば、粘着剤層からの水分の放散が適度に調整され、封止樹脂前駆体の流動性を好ましいものとすることができる。また、適度な粘着性を有し、剥離時の糊残り等なく被着体を汚染し難い粘着剤層を形成することができる。ゲル分率の測定方法は、後述する。
【0023】
上記粘着剤層の25℃におけるナノインデンテーション法による弾性率は、好ましくは100MPa未満であり、より好ましくは0.1MPa~50MPaであり、さらに好ましくは0.1MPa~10MPaである。このような範囲であれば、適切な粘着力を有する粘着シートを得ることができる。ナノインデンテーション法による弾性率とは、圧子を試料に押し込んだときの、圧子への負荷荷重と押し込み深さとを負荷時、除荷時にわたり連続的に測定し、得られた負荷荷重-押し込み深さ曲線から求められる弾性率をいう。本明細書において、ナノインデンテーション法による弾性率とは、測定条件を荷重:1mN、負荷・除荷速度:0.1mN/s、保持時間:1sとして上記のように測定した弾性率をいう。
【0024】
(アクリル系粘着剤)
1つの実施形態においては、粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤である。上記アクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)をプレポリマーとし、該プレポリマーの架橋体をベースポリマーとするアクリル系粘着剤等が挙げられる。なお、本明細書において、粘着剤層中のアクリル系粘着剤に含まれる「ベースポリマー」とは、プレポリマー(未架橋ポリマー)を架橋させて形成されたポリマーを意味する。1つの実施形態においては、上記ベースポリマーは、アクリル系ポリマーとエポキシ架橋剤による架橋体構造を有する。
【0025】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルが挙げられる。なかでも好ましくは、炭素数が4~20(より好ましくは6~20、特に好ましくは8~18)の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルである。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
【0026】
上記アクリル系ポリマー(プレポリマー)は、凝集力、耐熱性、架橋性等の改質を目的として、必要に応じて、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単量体成分に対応する単位を含んでいてもよい。このような単量体成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イコタン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等の(N-置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N-シクロヘキシルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド、N-ブチルイタコンイミド、N-オクチルイタコンイミド、N-2-エチルヘキシルイタコンイミド、N-シクロヘキシルイタコンイミド、N-ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクルロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N-ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N-ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α-メチルスチレン、N-ビニルカプロラクタム等のビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等の多官能モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;ビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。これらの単量体成分は、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0027】
1つの実施形態においては、上記アクリル系ポリマー(プレポリマー)は、水酸基含有モノマー由来の構成単位をさらに含む。水酸基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、アクリル系ポリマーを構成する全構成単位100重量部に対して、好ましくは0.1重量部~20重量部であり、より好ましくは0.1重量部~10重量部である。より好ましくは0.5重量部~10重量部である。このような範囲であれば、粘着剤層からの水分の放散が適度に調整され、含水率が好ましく調整された粘着剤層を形成することができる。また、適度な凝集性を有して、糊残りの少ない粘着剤層を形成することができる。水酸基は、アルコール性水酸基であってもよく、カルボキシル基等の酸性水酸基であってもよい。
【0028】
上記アクリル系粘着剤は、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含み得る。該添加剤としては、例えば、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤(例えば、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤等)、顔料、染料、充填剤、老化防止剤、導電材、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、剥離調整剤、軟化剤、界面活性剤、難燃剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0029】
上記アクリル系粘着剤に含まれる架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。
【0030】
1つの実施形態においては、アクリル系ポリマー(プレポリマー)のカルボキシル基に対する、架橋剤の配合量は、好ましくは0.08モル当量~2モル当量であり、より好ましくは0.1モル当量~1モル当量である。このような範囲であれば、架橋密度が高いアクリル系粘着剤を形成することができ、粘着剤層/封止樹脂間における成分移行が好ましく防止される。ここでの架橋剤の配合量とは、アクリル系ポリマーが架橋する前の架橋剤の含有量を意味する。
【0031】
上記アクリル系粘着剤に含まれる上記イソシアネート系架橋剤の具体例としては、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロン ジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートL」)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートHL」)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートHX」)等のイソシアネート付加物;等が挙げられる。イソシアネート系架橋剤の配合量は、所望とする粘着力に応じて、任意の適切な量に設定され得、アクリル系ポリマー100重量部に対して、代表的には0.1重量部~20重量部であり、より好ましくは1重量部~10重量部である。このような範囲であれば、粘着剤層中の成分の残存カルボキシル基が少ない粘着シートを得ることができる。ここでの架橋剤の配合量とは、アクリル系ポリマーが架橋する前の架橋剤の含有量を意味する。
【0032】
上記アクリル系粘着剤に含まれる前記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製、商品名「テトラッドC」)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト1600」)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト1500NP」)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト40E」)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト70P」)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(日本油脂社製、商品名「エピオールE-400」)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(日本油脂社製、商品名「エピオールP-200」)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコール EX-611」)、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコール EX-314」)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコール EX-512」)、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテル、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる。エポキシ系架橋剤の配合量は、所望とする粘着力に応じて、任意の適切な量に設定され得、アクリル系ポリマー100重量部に対して、代表的には0.01重量部~50重量部であり、より好ましくは0.6重量部~15重量部であり、さらに好ましくは2重量部~13重量部であり、特に好ましくは3重量部~10重量部である。このような範囲であれば、粘着剤層中の成分の残存カルボキシル基が少ない粘着シートを得ることができる。ここでの架橋剤の配合量とは、アクリル系ポリマーが架橋する前の架橋剤の含有量を意味する。
【0033】
C.基材
上記基材としては、例えば、樹脂シート、不織布、紙、金属箔、織布、ゴムシート、発泡シート、これらの積層体(特に、樹脂シートを含む積層体)等が挙げられる。樹脂シートを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フッ素系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。不織布としては、マニラ麻を含む不織布等の耐熱性を有する天然繊維による不織布;ポリプロピレン樹脂不織布、ポリエチレン樹脂不織布、エステル系樹脂不織布等の合成樹脂不織布等が挙げられる。金属箔としては、銅箔、ステンレス箔、アルミニウム箔等が挙げられる。紙としては、和紙、クラフト紙等が挙げられる。
【0034】
1つの実施形態においては、ガラス転移温度(Tg)が60℃~450℃(好ましくは、65℃~430℃、より好ましくは80℃~420℃)の樹脂から構成される樹脂シートが、基材として好ましく用いられる。このような樹脂シートを用いれば、加熱時(例えば、封止工程時の加熱)においても、基材を構成する分子の分子運動が激しくなりすぎず、水分の放散性が適度に抑制され得る。また、柔軟性に優れた粘着シートを得ることができる。このような樹脂シートを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
【0035】
1つの実施形態においては、上記基材は、芳香族性ポリイミド系樹脂から構成される。芳香族性ポリイミド系樹脂はイミド基が極性官能基であること、また、アミノ基の電子供与性とカルボニル基の電子吸引性により、水分率を調整しやすく、樹脂封止工程に必要な高い加工温度の幅広い領域で蒸気放散能を維持できるため好ましい。また、芳香族官能基(フェニル基、フェニレン基、ナフチル基、ナフチレン基など)を多く含むためポリマー分子の分子運動性が低く、テープ表面形状が平滑であることを維持する。このことから樹脂流動も一様に起こりやすく、このため本発明の課題解決にとても好ましい。芳香族性ポリイミドとしては、主鎖骨格にエーテル結合を有するエーテル系ポリフタルイミド類、同ケトン結合を有すケトン系ポリフタルイミド類、同ビスフェノール由来の骨格を有するビスフェノール系ポリフタルイミド類等が挙げられる。宇部興産社製「ユーピレックス」、三井化学社製「LARC-TPI」、GE社製「ウルテム」等の市販品を用いてもよい。特に主鎖骨格にエーテル結合を有するエーテル系ピロメリトイミドは、繰り返しモノマー残基の重量当たりのイミド基存在数が大きくなるので、好ましく用いられ得る。このような樹脂としては、デュポン社製「カプトン」、カネカ社製「アピカル」、三井化学社製「オーラム」等の市販品を用いてもよい。
【0036】
上記基材の厚さは、所望とする強度または柔軟性、ならびに使用目的等に応じて、任意の適切な厚みに設定され得る。基材の厚みは、好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは25μm~1000μmであり、さらに好ましくは40μm~500μmである。
【0037】
上記基材は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理、下塗り剤によるコーティング処理等が挙げられる。
【0038】
上記有機コーティング材料としては、例えば、プラスチックハードコート材料II(CMC出版、(2004))に記載される材料が挙げられる。好ましくはウレタン系ポリマー、より好ましくはポリアクリルウレタン、ポリエステルウレタンまたはこれらの前駆体が用いられる。基材への塗工・塗布が簡便であり、かつ、工業的に多種のものが選択でき安価に入手できるからである。該ウレタン系ポリマーは、例えば、イソシアナートモノマーとアルコール性水酸基含有モノマー(例えば、水酸基含有アクリル化合物又は水酸基含有エステル化合物)との反応混合物からなるポリマーである。有機コーティング材料は、任意の添加剤として、ポリアミンなどの鎖延長剤、老化防止剤、酸化安定剤等を含んでいてもよい。有機コーティング層の厚みは特に限定されないが、例えば、0.1μm~10μm程度が適しており、0.1μm~5μm程度が好ましく、0.5μm~5μm程度がより好ましい。
【0039】
D.第2の粘着剤層
上記第2の粘着剤層は、任意の適切な粘着剤から構成される粘着剤層であり得る。1つの実施形態においては、上記のとおり、第2の粘着剤層は、熱膨張性微小球をさらに含む。
【0040】
上記第2の粘着剤層に含まれる粘着剤は、硬化型粘着剤(例えば、活性エネルギー線硬化型粘着剤)であってもよく、感圧型粘着剤であってもよい。感圧型粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。第2の粘着剤層に含まれる粘着剤の詳細は、例えば特開2018-009050号公報の記載を参照することができる。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。1つの実施形態においては、第2の粘着剤層に含まれる粘着剤は、上記B項で説明したアクリル系粘着剤であり得る。1つの実施形態においては、上記B項で説明したように、アクリル系粘着剤に含まれるアクリル系ポリマー(プレポリマー)は、水酸基含有モノマー由来の構成単位を含む。水酸基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、アクリル系ポリマーを構成する全構成単位100重量部に対して、好ましくは0.1重量部~20重量部であり、より好ましくは0.1重量部~10重量部である。より好ましくは0.5重量部~10重量部である。
【0041】
上記熱膨張性微小球としては、加熱により膨張または発泡し得る微小球である限りにおいて、任意の適切な熱膨張性微小球を用いることができる。上記熱膨張性微小球としては、例えば、加熱により容易に膨張する物質(有機溶媒等の揮発性物質)を、弾性を有する殻内に内包させた微小球が用いられ得る。このような熱膨張性微小球は、任意の適切な方法、例えば、コアセルベーション法、界面重合法等により製造できる。
【0042】
加熱により容易に膨張する物質としては、例えば、プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、メタンのハロゲン化物、テトラアルキルシラン等の低沸点液体;熱分解によりガス化するアゾジカルボンアミド;等が挙げられる。
【0043】
上記殻を構成する物質としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリル、α-エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル等のニトリル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等のカルボン酸単量体;塩化ビニリデン;酢酸ビニル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレンモノマー;アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド等のアミド単量体;等から構成されるポリマーが挙げられる。これらの単量体から構成されるポリマーは、ホモポリマーであってもよく、コポリマーであってもよい。該コポリマーとしては、例えば、塩化ビニリデン‐メタクリル酸メチル-アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル-アクリロニトリル-メタクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-メタクリロニトリル-イタコン酸共重合体等が挙げられる。
【0044】
上記殻を構成するポリマー中、カルボキシル基含有モノマー由来の構成単位は、殻を構成するポリマー100重量部に対して、好ましくは80重量部以下であり、より好ましくは70重量部以下である。このような範囲であれば、含水率が適度に調整された第2の粘着剤層を形成することができる。
【0045】
熱膨張性微小球を構成する「加熱により容易に膨張する物質」および「殻」の詳細は、例えば、特開2018-141086号公報にも記載される。当該文献は、本明細書に参考として援用される。
【0046】
上記熱膨張性微小球として、無機系発泡剤または有機系発泡剤を用いてもよい。無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水酸化ホウ素ナトリウム、各種アジド類等が挙げられる。また、有機系発泡剤としては、例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン等の塩フッ化アルカン系化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ系化合物;パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン-3,3´-ジスルホニルヒドラジド、4,4´-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)等のヒドラジン系化合物;p-トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4´-オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等のセミカルバジド系化合物;5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾール等のトリアゾール系化合物;N,N´-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N´-ジメチル-N,N´-ジニトロソテレフタルアミド;等のN-ニトロソ系化合物などが挙げられる。
【0047】
上記熱膨張性微小球は市販品を用いてもよい。市販品の熱膨張性微小球の具体例としては、松本油脂製薬社製の商品名「マツモトマイクロスフェアー」(グレード:F-30、F-30D、F-36D、F-36LV、F-50、F-50D、F-65、F-65D、FN-100SS、FN-100SSD、FN-180SS、FN-180SSD、F-190D、F-260D、F-2800D)、日本フィライト社製の商品名「エクスパンセル」(グレード:053-40、031-40、920-40、909-80、930-120)、呉羽化学工業社製「ダイフォーム」(グレード:H750、H850、H1100、S2320D、S2640D、M330、M430、M520)、積水化学工業社製「アドバンセル」(グレード:EML101、EMH204、EHM301、EHM302、EHM303、EM304、EHM401、EM403、EM501)等が挙げられる。
【0048】
上記熱膨張性微小球の加熱前の平均粒子径(数基準)は、好ましくは1μm~40μmであり、より好ましくは5μm~40μmであり、さらに好ましくは10μm~40μmである。上記の粒子径と平均粒子径はレーザー散乱法における粒度分布測定法によって求められる値である。
【0049】
上記熱膨張性微小球は、体積膨張率が好ましくは5倍以上、より好ましくは7倍以上、さらに好ましくは10倍以上となるまで破裂しない適度な強度を有することが好ましい。このような熱膨張性微小球を用いる場合、加熱処理により粘着力を効率よく低下させることができる。
【0050】
上記第2の粘着剤層における熱膨張性微小球の含有割合は、所望とする粘着力の低下性等に応じて適切に設定し得る。熱膨張性微小球の含有割合は、第2の粘着剤層を形成するベースポリマー100重量部に対して、例えば1重量部~150重量部であり、好ましくは10重量部~130重量部であり、さらに好ましくは25重量部~100重量部である。
【0051】
熱膨張性微小球が膨張する前(すなわち、加熱前)の第2の粘着剤層の算術表面粗さRaは、好ましくは500nm以下であり、より好ましくは400nm以下であり、さらに好ましくは300nm以下である。このような範囲であれば、被着体に対する密着性に優れる粘着シートを得ることができる。
【0052】
(下塗り層)
上記粘着シートが、第2の粘着剤層を備える場合、基材と第2の粘着層との間には下塗り層が設けられていてもよい。上記下塗り層は、任意の適切な粘着剤を含む。下塗り層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。なかでも、アクリル系粘着剤が好ましく用いられ得る。また、粘着剤として、活性エネルギー線硬化型のアクリル系粘着剤(以下、活性エネルギー線硬化型粘着剤)を用いてもよい。好ましくは、下塗り層を構成する粘着剤として、上記第2の粘着剤層を構成する粘着剤と同様の粘着剤が用いられる。
【0053】
上記下塗り層の厚みは、好ましくは1μm~40μmであり、より好ましくは5μm~35μmであり、さらに好ましくは10μm~30μmである。
【0054】
E.粘着シートの製造方法
本発明の粘着シートは、任意の適切な方法により製造することができる。本発明の粘着シートを得る方法としては、例えば、基材上に直接、粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤)を含む組成物を塗工する方法、または任意の適切な基体上に粘着剤を含む組成物を塗工し形成された塗工層を基材に転写する方法等が挙げられる。アクリル系粘着剤を含む組成物は、任意の適切な溶媒を含み得る。
【0055】
上記粘着剤を含む組成物は、任意の適切な溶剤を含む。当該溶剤中の水分率は、好ましくは0.003重量%~0.3重量%である。
【0056】
熱膨張性微小球を含む粘着剤層(第2の粘着剤層)を形成する場合、熱膨張性微小球と粘着剤と任意の適切な溶媒とを含む組成物を基材に塗工して、該粘着剤層を形成することができる。あるいは、粘着剤塗工層に、熱膨張性微小球を振りかけた後、ラミネーター等を用いて、該熱膨張性微小球を粘着剤中に埋め込んで、熱膨張性微小球を含む粘着剤層を形成してもよい。
【0057】
上記粘着剤および各組成物の塗工方法としては、任意の適切な塗工方法が採用され得る。例えば、塗布した後に乾燥して各層を形成することができる。塗布方法としては、例えば、マルチコーター、ダイコーター、グラビアコーター、アプリケーター等を用いた塗布方法が挙げられる。乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥等が挙げられる。加熱乾燥する場合の加熱温度は、乾燥対象となる物質の特性に応じて、任意の適切な温度に設定され得る。
【0058】
1つの実施形態においては、基材上に粘着剤を含む組成物の塗工層を形成した後、当該塗工層面上にライナーを配置して積層体(ライナー付粘着シート前駆体)を得、当該積層体(ライナー付粘着シート前駆体)を所定の加湿熱時間(例えば、2時間~7日)、温度および湿度が管理された環境下に置く工程(加湿熱工程)を経て、粘着シートを得ることができる。加湿熱工程を行うことにより、粘着シートの含水率を好ましく調整することができる。当該工程における温度は、例えば、40℃~120℃である。また、湿度は、例えば、1%RH~100%RHである。なお、粘着シートが両面粘着シートである場合、粘着剤の塗工層面両面(すなわち、粘着剤層を形成する粘着剤の塗工層面、および、第2の粘着剤層を形成する粘着剤の塗工層面)にライナー(第1のライナーおよび第2のライナー)を配置して得られた積層体が、上記加湿熱工程に供され得る。ライナーの詳細は後述する。
【0059】
加湿熱工程における、加湿熱時間と温度と湿度との積は、好ましくは100~300000℃・RH%・hであり、より好ましくは180~265000℃・RH%・hである。このような範囲であれば、粘着シートの含水率が好ましく調整することができる。
【0060】
F.ライナー付両面粘着シート
図3は、本発明の1つの実施形態によるライナー付両面粘着シートの概略断面図である。ライナー付両面粘着シート110は、両面粘着シート200と、粘着シート200の一方の面に、剥離可能に直接配置された第1のライナー40と、両面粘着シート200の他方の面に、剥離可能に直接配置された第2のライナー50とを備える。第1のライナー40および第2のライナー50を配置することにより、粘着剤層を汚染などから保護したり、ロール状またはシート状の両面粘着シートブロッキングを防止することができる。代表的には、上記第1のライナーおよび第2のライナーは、ライナー基材と、ライナー基材の少なくとも片面に配置された剥離処理層とを備える。第1のライナーおよび第2のライナーは、上記剥離処理層が両面粘着シート側となるようにして配置される。
【0061】
両面粘着シート200は、上記の粘着シート、すなわち、粘着剤層20と、基材10と、第2の粘着剤層30とを備える粘着シートであり得る。
【0062】
第1のライナー20と第2のライナー30とは異質であり得る。「異質」であるとは、例えば、厚みが異なる(例えば、厚みの差の絶対値が1μm以上(好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上))、色が異なる、構成材料が異なる等の態様であり得る。なお、第1のライナー20と第2のライナー30との厚みの差は、70μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることがさらに好ましい。
【0063】
1つの実施形態においては、上記ライナー付両面粘着シートを使用する際、第1のライナーが先に剥離される。より詳細には、上記ライナー付両面粘着シートは、第1のライナーを先に剥離して、露出した粘着面(例えば、第1の粘着剤層表面)に被着体(例えば、電子部品)を貼着し、その後、第2のライナーを剥離して、第2の粘着剤層表面を別の被着体(例えば、台座)にて貼着するようにして用いられ得る。このような実施形態においては、粘着シートを介して、台座に被着体(例えば、電子部品)を仮固定し;当該被着体を所定の加工に供し;その後、加熱することにより第2の粘着剤層の粘着力を低下させて、被着体付の粘着シートが台座から剥離される。上記のように、第1のライナーと第2のライナーとが異質であれば、所定のタイミングで剥離すべきライナーの識別が容易となる。
【0064】
第1のライナーの両面粘着シートに対する剥離力は、好ましくは0.001N/50mm~2N/50mmであり、より好ましくは0.01N/50mm~1.5N/50mmであり、さらに好ましくは0.05N/50mm~1N/50mmであり、特に好ましくは0.1N/50mm~0.8N/50mmである。第1のライナーの両面粘着シートに対する剥離力(および、第2のライナーの両面粘着シートに対する剥離力)は、23℃の環境下で、ライナー付両面粘着シートの両面粘着シートからライナーを剥離(剥離角度:180°、剥離速度(引張速度):300mm/min)して測定される粘着力を意味する。ライナーの両面粘着シートに対する剥離力は、粘着剤層の組成、ライナーの種類、ライナーに施される表面処理等、任意の適切な方法により調整することができる。
【0065】
第2のライナーの両面粘着シートに対する剥離力は、好ましくは0.001N/50mm~2N/50mmであり、より好ましくは0.01N/50mm~1.5N/50mmであり、さらに好ましくは0.05N/50mm~1N/50mmであり、特に好ましくは0.1N/50mm~0.8N/50mmである。
【0066】
上記第1のライナーの厚みは、好ましくは5μm~250μmであり、より好ましくは10μm~200μmであり、さらに好ましくは、20~150μm、最も好ましくは30~100μmである。上記第2のライナーの厚みは、好ましくは5μm~250μmであり、より好ましくは10μm~200μmであり、さらに好ましくは、20~150μm、最も好ましくは30~100μmである。
【0067】
上記ライナー基材は、任意の適切な材料から構成され得る。ライナー基材は、例えば、プラスチックフィルム、プラスチックシートの他、紙、布、不織布、金属箔、あるいはそれらのプラスチックラミネート体、プラスチック同士の積層体など、様々なシート状物を用いることが可能である。中でも、取り扱い性やコストの観点から、プラスチックフィルムやプラスチックシート(以下、プラスチックフィルムという)が最も好ましい。プラスチックフィルムの素材としては、強度、耐熱性などの観点から、必要に応じて選択できる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα-オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリ塩化ビニル(PVC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、アクリル樹脂などが挙げられる。これらの素材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、プラスチックフィルムとしては、未延伸フィルム、1軸配向フィルム、2軸配向フィルムのいずれを用いてもよい。また、これらのフィルムは2層以上のフィルム層からなる積層フィルムでもよいし、取り扱い性の観点から、適宜、不活性粒子などの滑剤を添加したフィルムを用いてもよい。
【0068】
上記剥離処理層を形成するための処理としては、任意の適切な処理が採用され得る。1つの実施形態においては、剥離処理層は、シリコーン処理層である。シリコーンとしては、主成分がジメチルポリシロキサン類で架橋(硬化)に必要な官能基を有する反応性シリコーン系化合物が好ましく用いられ得る。低分子状態でフィルムへの塗布が可能であり、塗布後に硬化させることで擦過などに強い剥離処理層にできるからである。反応性シリコーン化合物の官能基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、アルコキシ基、イソシアナト基等が挙げられる。
【0069】
シリコーン処理層は、例えば、上記反応性シリコーン系化合物を溶媒等に希釈して濃度調整を行い、グラビアコーター等で塗布・加熱することで形成される。加熱することにより、溶剤乾燥と硬化反応を促す。ここで硬化反応を促進する触媒を併用することが好ましい。触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム、ジルコニウム、スズ等の金属錯体やアミンなどの有機塩基、酢酸などの有機酸が利用できる。
【0070】
1つの実施形態においては、上記第1のライナーおよび/または第2のライナー(実質的には、各ライナーの剥離処理層)は、蛍光X線分析によるSi-Kα線の強度が、0.01~500kcps(好ましくは0.5~250kcps、より好ましくは1.0~150kcps、さらに好ましくは、1.05~100kcps、特に好ましくは10~30kcpsである)である。このような範囲であれば、粘着剤層からライナーを、小さい力で剥離することができる。また、ライナー/粘着剤層間との密着性が十分となり、ライナーの不要な剥離を防止することができる。上記蛍光X線分析によるSi-Kα線の強度は、蛍光X線分析にて、剥離処理剤層と非剥離処理剤層のSi強度をそれぞれ測定し、剥離処理剤層の強度から非剥離処理剤層の強度を減じて求めた値である。なお、強度は、例えば、剥離処理剤の塗布量、濃度、塗工速度、乾燥など剥離処理層形成条件を制御することで、調整が可能である。
【0071】
1つの実施形態においては、上記第1のライナーと第2のライナーとは異なる色である。このように構成されたライナー付両面粘着シートは、例えば、いずれか一方のライナー(例えば、ライナー基材)を着色することにより、得ることができる。両ライナーを異なる色とすれば、ライナー付両面粘着シートの表裏が明確になり、剥離すべきライナーの識別が容易となる。
【0072】
G.用途
上記粘着シートおよび上記ライナー付両面粘着シートは、任意の適切な部材(例えば、半導体チップ等の電子部品)を加工する際の仮固定用シートとして好ましく用いられ得る。1つの実施形態においては、上記ライナー付両面粘着シートは、CSP(Chip Size/Scale Package)またはWLP(Wafer Level Package)の製造の際に、半導体チップを仮固定するシートとして用いられ得る。1つの実施形態においては、上記ライナー付両面粘着シートは、上記第2のライナーが先に剥離される工程を含む加工に用いられる。1つの実施形態においては、上記半導体チップは、上記封止樹脂により封止され、樹脂封止の際の加工温度は100℃以上である。
【0073】
1つの実施形態においては、上記ライナー付両面粘着シートは、ロール状である。
【実施例】
【0074】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例において、特に明記しない限り、「部」および「%」は重量基準である。
【0075】
[製造例1]アクリル系ポリマー1の調製
トルエン中に、エチルアクリレート70部と、ブチルアクリレート3部と、2-エチルヘキシルアクリレート30部と、メチルメタクリレート5部と、2-ヒドロキシエチルアクリレート3.5部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.2部とを加えた後、加熱して、アクリル系ポリマー1のトルエン溶液を得た。なお、ここでのアクリル系ポリマー1を構成するモノマー由来の繰り返し単位のうち3.1重量%が活性水素基を有すモノマー由来の繰り返し単位である。
【0076】
[製造例2]アクリル系ポリマー2の調製
トルエン中に、ブチルアクリレート50部と、エチルアクリレート50部と、アクリル酸0.5部と、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.1部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.2部とを加えた後、加熱して、アクリル系ポリマー2のトルエン溶液を得た。なお、ここでのアクリル系ポリマー2を構成するモノマー由来の繰り返し単位のうち0.60重量%が活性水素基を有すモノマー由来の繰り返し単位である。
【0077】
[製造例3]アクリル系ポリマー3の調製
酢酸エチル中に、メチルアクリレート70部と、ブチルアクリレート2部と、2-エチルヘキシルアクリレート30部と、アクリル酸10部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.2部とを加えた後、加熱して、アクリル系ポリマー3の酢酸エチル溶液を得た。なお、ここでのアクリル系ポリマー3を構成するモノマー由来の繰り返し単位のうち8.9重量%が活性水素基を有すモノマー由来の繰り返し単位である。
【0078】
[実施例1]
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部、可塑剤(DIC社製、商品名「モノサイザーW700」10重量部とを混合して、粘着剤を調製した。
ライナー(PETフィルム、厚み:38μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-38」)の剥離処理面に、上記粘着剤を塗工(塗布・乾燥)して、粘着剤層(厚み:10μm)を形成した。
基材(ポリエステルフィルム、東レ社製、商品名「ルミラーS10」、厚み:50μm)に、上記粘着剤層付ライナーを貼り合わせ、ライナー付粘着シート前駆体を得た。なお、ライナー(商品名「MRF-38」)のSi-Kα線の強度は18(kcps)であった。Si-Kα線の強度の測定方法は下記のとおりである。
ライナー付粘着シート前駆体を、温度40℃、湿度20%の環境下で5日間放置して(加湿熱工程)、ライナー/粘着剤層(第1の粘着剤層)/基材からなるライナー付粘着シートを得た。
・ライナーのSi-Kα線強度測定
ライナー表面(剥離処理面)で無作為に抽出した100点について、蛍光X線分析を行った。より詳細には、ライナーの粘接着剤層に接する面(剥離処理剤を塗布した面)のSi-Kα線の強度(i)および粘接着剤層と接しない面(剥離処理剤を塗布していない面)のSi-Kα線の強度(ii)を測定し、(i)の値から(ii)の値を引いた値の絶対値を求め、当該値の100点測定の平均値をライナーのSi-Kα線強度とした。
なお、Si-Kα線の強度とは下記装置での測定で波長7.125オングストロームにおける強度である。
装置 : Rigaku製 ZSX100e
分析面積 : 30mmφ
分析元素 : Si
分析結晶 : RX4
出力 : 50kV、70mA
【0079】
[実施例2]
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部、可塑剤(DIC社製、商品名「モノサイザーW700」)10重量部とを混合して、粘着剤を調製した。
ライナー(PETフィルム、厚み:38μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-38」)の剥離処理面に、上記粘着剤を塗工して、粘着剤層(厚み:10μm)を形成した。
基材(ポリエチレンナフタレートフィルム、帝人デュポンフィルム社製、商品名「テオネックスQ51」、厚み:50μm)に、上記粘着剤層付ライナーを貼り合わせ、ライナー付粘着シート前駆体を得た。
ライナー付粘着シート前駆体を、温度40℃、湿度20%の環境下で5日間放置して、ライナー/粘着剤層(第1の粘着剤層)/基材からなるライナー付粘着シートを得た。
【0080】
[実施例3]
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部、可塑剤(DIC社製、商品名「モノサイザーW700」)10重量部とを混合して、粘着剤を調製した。
ライナー(PETフィルム、厚み:38μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-38」)の剥離処理面に、上記粘着剤を塗工して、粘着剤層(厚み:10μm)を形成した。
基材(芳香族性ポリイミドフィルム、宇部興産社製、商品名「ユーピレックス-R」、厚み:50μm)に、上記粘着剤層付ライナーを貼り合わせ、ライナー付粘着シート前駆体を得た。
ライナー付粘着シート前駆体を、温度40℃、湿度20%の環境下で5日間放置して、ライナー/粘着剤層(第1の粘着剤層)/基材からなるライナー付粘着シートを得た。
【0081】
[実施例4]
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部、可塑剤(DIC社製、商品名「モノサイザーW700」)10重量部とを混合して、粘着剤a1を調製した。
ライナー(PETフィルム、厚み:38μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-38」)の剥離処理面に、上記粘着剤a1を塗工して、粘着剤層(厚み:7μm)を形成した。
基材(芳香族性ポリイミドフィルム、デュポン社製、商品名「カプトン200H」、厚み:50μm)に、上記粘着剤層付ライナーを貼り合わせ、ライナー付粘着シート前駆体を得た。
ライナー付粘着シート前駆体を、温度40℃、湿度20%の環境下で5日間放置して、ライナー/粘着剤層(第1の粘着剤層)/基材からなるライナー付粘着シートを得た。
【0082】
[実施例5]
粘着剤層の厚みを2μmとしたこと以外は、実施例4と同様にしてライナー付粘着シートを得た。
【0083】
[実施例6]
粘着剤層の厚みを15μmとしたこと以外は、実施例4と同様にしてライナー付粘着シートを得た。
【0084】
[実施例7]
(ライナー付粘着シートa2)
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部、可塑剤(DIC社製、商品名「モノサイザーW700」)10重量部とを混合して、粘着剤a1を調製した。
ライナー(PETフィルム、厚み:38μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-38」)の剥離処理面に、上記粘着剤a1を塗工して、粘着剤層(厚み:7μm)を形成した。
基材(芳香族性ポリイミドフィルム、デュポン社製、商品名「カプトン200H」、厚み:50μm)に、上記粘着剤層付ライナーを貼り合わせ、ライナー(第1のライナー)/粘着剤層(第1の粘着剤層)/基材からなるライナー付粘着シートa2を得た。
(ライナー付粘着シートa2/下塗り層積層体)
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部とを混合して、粘着剤bを調製した。
ライナー付粘着シートa2の基材に、粘着剤bを塗工して、ライナー付粘着シートa2/下塗り層(厚み:13μm)からなる積層体を形成した。
(ライナー付両面粘着シートb)
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)1.5重量部、粘着付与樹脂(住友ベークライト社製、商品名「スミライトPR12603」)10重量部、熱膨張性微小球(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーFN-180SSD」)30重量部、着色剤(大日精化社製、商品名「DYMICS SZ7510 グリーン」)0.5重量部を混合して、第2の粘着剤層形成用組成物を調製した。
当該第2の粘着剤層形成用組成物を、ライナー(PETフィルム、厚み:50μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-50」)の剥離処理面に、塗工して、第2の粘着剤層(厚み:35μm)を形成した。なお、ライナー(商品名「MRF-50」)のSi-Kα線の強度は28(kcps)であった。
第2の粘着剤層付ライナーと、ライナー付粘着シートa2/下塗り層からなる積層体とを貼り合わせ、ライナー付両面粘着シート前駆体を得た。
ライナー付両面粘着シート前駆体を、温度40℃、湿度20%の環境下で5日間放置して、第1のライナー/第1の粘着剤層/基材/下塗り層/第2の粘着剤層/第2のライナーからなる、ライナー付両面粘着シートを得た。
【0085】
[実施例8]
(ライナー付粘着シートa2)
実施例7と同様にしてライナー付粘着シートa2(ライナー(第1のライナー)/粘着剤層(第1の粘着剤層)/基材)を得た。
(ライナー付粘着シートa2/下塗り層積層体)
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部とを混合して、粘着剤bを調製した。
ライナー付粘着シートa2の基材に、粘着剤bを塗工して、ライナー付粘着シートa2/下塗り層(厚み:13μm)からなる積層体を形成した。
(ライナー付両面粘着シートb’)
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)1.5重量部、粘着付与樹脂(住友ベークライト社製、商品名「スミライトPR12603」)10重量部、熱膨張性微小球(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーFN-180SSD」)30重量部、着色剤(大日精化社製、商品名「DYMICS SZ7510 グリーン」)0.5重量部を混合して、第2の粘着剤層形成用組成物を調製した。
当該第2の粘着剤層形成用組成物を、ライナー(PETフィルム、厚み:50μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-50」)の剥離処理面に、塗工して、第2の粘着剤層(厚み:35μm)を形成した。
第2の粘着剤層付ライナーと、ライナー付粘着シートa2/下塗り層からなる積層体とを貼り合わせ、ライナー付両面粘着シート前駆体を得た。
ライナー付両面粘着シート前駆体を、温度90℃、湿度1%RHの環境下で2時間放置して、第1のライナー/第1の粘着剤層/基材/下塗り層/第2の粘着剤層/第2のライナーからなる、ライナー付両面粘着シートを得た。
【0086】
[実施例9]
(ライナー付粘着シートa2)
実施例7と同様にしてライナー付粘着シートa2(ライナー(第1のライナー)/粘着剤層(第1の粘着剤層)/基材)を得た。
(ライナー付粘着シートa2/下塗り層積層体)
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部とを混合して、粘着剤bを調製した。
ライナー付粘着シートa2の基材に、粘着剤bを塗工して、ライナー付粘着シートa2/下塗り層(厚み:13μm)からなる積層体を形成した。
(ライナー付両面粘着シートb’’)
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)1.5重量部、粘着付与樹脂(住友ベークライト社製、商品名「スミライトPR12603」)10重量部、熱膨張性微小球(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーFN-180SSD」)60重量部、着色剤(大日精化社製、商品名「DYMICS SZ7510 グリーン」)0.5重量部を混合して、第2の粘着剤層形成用組成物を調製した。
当該第2の粘着剤層形成用組成物を、ライナー(PETフィルム、厚み:50μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-50」)の剥離処理面に、塗工して、第2の粘着剤層(厚み:35μm)を形成した。
第2の粘着剤層付ライナーと、ライナー付粘着シートa/下塗り層からなる積層体とを貼り合わせ、ライナー付両面粘着シート前駆体を得た。
ライナー付両面粘着シート前駆体を、温度40℃、湿度92%RHの環境下で3日間放置して、第1のライナー/第1の粘着剤層/基材/下塗り層/第2の粘着剤層/第2のライナーからなる、ライナー付両面粘着シートを得た。
【0087】
[実施例10]
(ライナー付粘着シートa3)
上記アクリル系ポリマー2のトルエン溶液(アクリル系ポリマー2:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部、粘着付与樹脂(荒川化学工業社製、商品名「タマノル200N」)15重量部とを混合して、粘着剤a’を調製した。
ライナー(PETフィルム、厚み:38μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-38」)の剥離処理面に、上記粘着剤a’を塗工して、粘着剤層(厚み:5μm)を形成した。
基材(芳香族性ポリイミドフィルム、デュポン社製、商品名「カプトン200H」、厚み:50μm)に、上記粘着剤層付ライナーを貼り合せ、ライナー(第1のライナー)/粘着剤層(第1の粘着剤層)/基材からなるライナー付粘着シートa3を得た。
(ライナー付粘着シートa3/下塗り層積層体)
上記アクリル系ポリマー2のトルエン溶液(アクリル系ポリマー2:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部を混合して、粘着剤b’を調製した。
ライナー付粘着シートa3の基材に、粘着剤b’を塗工して、ライナー付粘着シートa3/下塗り層(厚み:13μm)からなる積層体を形成した。
(ライナー付両面粘着シートb2)
上記アクリル系ポリマー2のトルエン溶液(アクリル系ポリマー2:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)1.5重量部、粘着付与樹脂(住友ベークライト社製、商品名「スミライトPR12603」)10重量部、熱膨張性微小球(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーFN-180SSD」)30重量部、着色剤(大日精化社製、商品名「DYMICS SZ7510 グリーン」)0.5重量部を混合して、第2の粘着剤層形成用組成物を調製した。
当該第2の粘着剤層形成用組成物を、ライナー(PETフィルム、厚み:50μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-50」)の剥離処理面に、塗工して、第2の粘着剤層(厚み:35μm)を形成した。
第2の粘着剤層付ライナーと、ライナー付粘着シートa3/下塗り層からなる積層体とを貼り合わせ、ライナー付両面粘着シート前駆体を得た。
ライナー付両面粘着シート前駆体を、温度40℃、湿度20%RHの環境下で5日間放置して、第1のライナー/第1の粘着剤層/基材/下塗り層/第2の粘着剤層/第2のライナーからなる、ライナー付両面粘着シートを得た。
【0088】
[実施例11]
(ライナー付粘着シートa4)
上記アクリル系ポリマー3のトルエン溶液(アクリル系ポリマー3:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部、粘着付与樹脂(荒川化学工業社製、商品名「タマノル200N」)15重量部とを混合して、粘着剤a’’を調製した。
ライナー(PETフィルム、厚み:38μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-38」)の剥離処理面に、上記粘着剤a’を塗工して、粘着剤層(厚み:5μm)を形成した。
基材(芳香族性ポリイミドフィルム、デュポン社製、商品名「カプトン200H」、厚み:50μm)に、上記粘着剤層付ライナーを貼り合せ、ライナー(第1のライナー)/粘着剤層(第1の粘着剤層)/基材からなるライナー付粘着シートa4を得た。
(ライナー付粘着シートa4/下塗り層積層体)
上記アクリル系ポリマー3のトルエン溶液(アクリル系ポリマー3:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部を混合して、粘着剤b’’を調製した。
ライナー付粘着シートa4の基材に、粘着剤b’’を塗工して、ライナー付粘着シートa4/下塗り層(厚み:13μm)からなる積層体を形成した。
(ライナー付両面粘着シートb3)
上記アクリル系ポリマー3のトルエン溶液(アクリル系ポリマー3:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)1.5重量部、粘着付与樹脂(住友ベークライト社製、商品名「スミライトPR12603」)10重量部、熱膨張性微小球(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーFN-180SSD」)30重量部、着色剤(大日精化社製、商品名「DYMICS SZ7510 グリーン」)0.5重量部を混合して、第2の粘着剤層形成用組成物を調製した。
当該第2の粘着剤層形成用組成物を、ライナー(PETフィルム、厚み:50μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-50」)の剥離処理面に、塗工して、第2の粘着剤層(厚み:35μm)を形成した。
第2の粘着剤層付ライナーと、ライナー付粘着シートa4/下塗り層からなる積層体とを貼り合わせ、ライナー付両面粘着シート前駆体を得た。
ライナー付両面粘着シート前駆体を、温度40℃、湿度20%RHの環境下で5日間放置して、第1のライナー/第1の粘着剤層/基材/下塗り層/第2の粘着剤層/第2のライナーからなる、ライナー付両面粘着シートを得た。
【0089】
[比較例1]
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部、可塑剤(DIC社製、商品名「モノサイザーW700」)10重量部とを混合して、粘着剤a1を調製した。
ライナー(PETフィルム、厚み:38μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-38」)の剥離処理面に、上記粘着剤aを塗工して、粘着剤層(厚み:7μm)を形成した。
基材(芳香族性ポリイミドフィルム、デュポン社製、商品名「カプトン200H」、厚み:50μm)に、上記粘着剤層付ライナーを貼り合わせ、ライナー付粘着シート前駆体を得た。
ライナー付粘着シート前駆体を、温度200℃、湿度0.1%RHの環境下で4時間間放置して、ライナー/粘着剤層(第1の粘着剤層)/基材からなるライナー付粘着シートを得た。
【0090】
[比較例2]
(ライナー付粘着シートa2)
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部、可塑剤(DIC社製、商品名「モノサイザーW700」)10重量部とを混合して、粘着剤a1を調製した。
ライナー(PETフィルム、厚み:38μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-38」)の剥離処理面に、上記粘着剤aを塗工して、粘着剤層(厚み:7μm)を形成した。
基材(芳香族性ポリイミドフィルム、デュポン社製、商品名「カプトン200H」、厚み:50μm)に、上記粘着剤層付ライナーを貼り合わせ、ライナー(第1のライナー)/粘着剤層(第1の粘着剤層)/基材からなるライナー付粘着シートa2を得た。
(ライナー付粘着シートa2/下塗り層積層体)
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3重量部とを混合して、粘着剤bを調製した。
ライナー付粘着シートa2の基材に、粘着剤bを塗工して、ライナー付粘着シートa2/下塗り層(厚み:13μm)からなる積層体を形成した。
(ライナー付粘着シート)
上記アクリル系ポリマー1のトルエン溶液(アクリル系ポリマー1:100重量部)、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)1.5重量部、粘着付与樹脂(住友ベークライト社製、商品名「スミライトPR12603」)10重量部、熱膨張性微小球(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーFN-180SSD」)30重量部、着色剤(大日精化社製、商品名「DYMICS SZ7510 グリーン」)0.5重量部を混合して、第2の粘着剤層形成用組成物を調製した。
当該第2の粘着剤層形成用組成物を、ライナー(PETフィルム、厚み:50μm、シリコーン系剥離処理品、三菱樹脂社製、商品名「MRF-50」)の剥離処理面に、塗工して、第2の粘着剤層(厚み:35μm)を形成した。
第2の粘着剤層付ライナーと、ライナー付粘着シートa2/下塗り層からなる積層体とを貼り合わせ、ライナー付両面粘着シート前駆体を得た。
ライナー付両面粘着シート前駆体を、温度85℃、湿度92%RHの環境下で7日間放置して、第1のライナー/第1の粘着剤層/基材/下塗り層/第2の粘着剤層/第2のライナーからなる、ライナー付両面粘着シートを得た。
【0091】
[評価]
実施例および比較例で得られた粘着シートを以下の評価に供した。結果を表1に示す。
(1)粘着力
実施例および比較例で得られたライナー付粘着シートから第1のライナーを剥離し、粘着シートを幅:20mm、長さ:140mmのサイズに切断し、第1の粘着剤層に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商品名「ルミラーS-10」、厚さ:25μm、幅:20mm)を、JIS Z 0237(2000年)に準じ、温度:23℃および湿度:65RHの雰囲気下で、2kgのローラーを1往復させて圧着して貼り合わせて、評価サンプルを作製した。
当該評価サンプルを、23℃に設定された恒温槽付き引張試験機(島津製作所社製、商品名「島津オートグラ フAG-120kN」)にセットし、30分間放置した。
放置後、23℃の温度下で、ポリエチレンテレフタレートを、剥離角度:180°、剥離速度(引張速度):300mm/minの条件で、粘着シートから引き剥がした時の荷重を測定し、その際の最大荷重(測定初期のピークトップを除いた荷重の最大値)を求め、この最大荷重を粘着力(N/20mm)とした。
(2)含水率
実施例および比較例で得られたライナー付粘着シートからライナーを剥離し、粘着シートの含水率をカールフィッシャー滴定法により測定した。測定装置および測定条件の詳細は以下のとおりである。
測定装置:電量滴定式水分測定装置(三菱化学社製、CA-06)、加熱気化装置(三菱化学社製、VA-06)
測定条件:加熱気化法(150℃加熱)
陽極液:アクアミクロンAKX(エーピーアイコーポレーション社製)
陰極液:アクアミクロンCXU(エーピーアイコーポレーション社製)
(3)接触角
実施例および比較例で得られたライナー付粘着シートから第1のライナーを剥離し、第1の粘着剤層における水の接触角を測定した。
接触角計(協和界面社製、商品名「CX-A型」)を用いて、23℃/50%RH環境下、純水を第1の粘着剤層の表面に2μl滴下し、滴下して5秒後に液滴の接触角を測定することを5回繰り返し、その平均値を求めた。
(4)ゲル分率
第1の粘着剤層0.1gを、メッシュ状シートで包み、トルエン50ml中、室温下で1週間静置して、該サンプルにトルエンを浸漬させた。その後、トルエン不溶分を取り出し、70℃で2時間かけて乾燥させた後、乾燥後のトルエン不溶分を秤量した。
トルエン浸漬前のサンプル重量とトルエン不溶分の重量とから、次式により樹脂層のゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=[(トルエン不溶分の重量)/(トルエン浸漬前のサンプル重量)]×100
(5)封止樹脂前駆体の流動性評価
実施例および比較例で得られたライナー付粘着シートからライナーを剥離し、第2の粘着剤層側を板ガラスに貼着した。
第1の粘着剤層上に、直径3mmの孔をあけた厚み130μmポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを置いた。このPTFEシートの孔に封止樹脂前駆体(エポキシ樹脂、ナガセケムテックス社製、商品名「R4212」)を流し込み、直径3mm、厚み130μmの封止樹脂前駆体の柱状体を形成した。
PTFEシートを取り除き、封止樹脂前駆体の柱状体付の粘着シートを、ホットステージ付き光学顕微鏡に試料を設置し、23℃で1分間放置後、130℃に加熱した。
加熱により流動する封止樹脂前駆体について、上記柱状体形成位置の外縁と、流動後の封止樹脂前駆体外縁との最短距離が30μmとなる時間を計測した。
上記計測を10回を行い、最長時間と最短時間との差により、封止樹脂前駆体の流動性のバラツキを以下の基準により評価した。
優(表中〇):上記差が60秒未満
可(表中△):上記差が60秒~180秒
不可(表中×):上記差が180秒を超える
【0092】
【符号の説明】
【0093】
10 基材
20 粘着剤層
30 第2の粘着剤層
100、200 粘着シート