(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】プローブカード
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241008BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20241008BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/26 J
(21)【出願番号】P 2023506376
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2021010294
(87)【国際公開番号】W WO2022195648
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000232405
【氏名又は名称】日本電子材料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004196
【氏名又は名称】弁理士法人ナビジョン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】羽坂 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】山中 寛士
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-346875(JP,A)
【文献】特表2002-532822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のプローブを支持する配線基板と、
前記配線基板に形成された発熱被膜と、
前記発熱被膜に電流を供給する一対の電極端子と、を備え、
前記発熱被膜は、微細炭素粒子及びバインダーを含む発熱コーティング材を塗布することにより前記配線基板の表面上に形成され
、
前記配線基板の側面に前記発熱被膜の少なくとも一部が形成されることを特徴とするプローブカード。
【請求項2】
前記一対の電極端子の一方が、前記配線基板の一方の主面に形成され、前記一対の電極端子の他方が、前記配線基板の他方の主面に形成されることを特徴とする請求項
1に記載のプローブカード。
【請求項3】
前記一対の電極端子は、周方向において対向する前記発熱被膜の一対の端辺の近傍にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項
1又は2に記載のプローブカード。
【請求項4】
多数のプローブを支持する配線基板と、
前記配線基板に形成された発熱被膜と、
前記発熱被膜に電流を供給する一対の電極端子と、を備え、
前記配線基板は、主面と平行な面内において、回路パターンが形成される回路領域と、前記回路領域を取り囲み、前記配線基板の外周縁と隣接する領域であって、回路パターンが形成されていない、非回路領域とに区分され、
前記発熱被膜は、
微細炭素粒子及びバインダーを含む発熱コーティング材を塗布することにより前記非回路領域の主面上の領域に形成されることを特徴と
するプローブカード。
【請求項5】
前記配線基板の外周縁から離間した領域にヒーター回路を備えること特徴とする請求項
4に記載のプローブカード。
【請求項6】
前記配線基板の前記回路領域内にヒーター回路を備えること特徴とする請求項
4に記載のプローブカード。
【請求項7】
前記一対の電極端子は、前記回路領域に形成されることを特徴とする請求項
4又は6に記載のプローブカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブカードに係り、更に詳しくは、多数のプローブを支持する配線基板を備えたプローブカードの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
プローブカードは、半導体ウエハ上に形成された半導体デバイスの電気的特性を検査する際に使用される検査装置であり、半導体ウエハ上の電極パッドにそれぞれ接触させる多数のプローブが配線基板上に設けられている。
【0003】
半導体デバイスの検査は、プローブカードに半導体ウエハを近づけてプローブの先端を半導体ウエハ上の電極パッドに接触させ、プローブ及び配線基板を介して、テスター装置を半導体デバイスと導通させることにより行われる。このため、プローブの先端が電極パッドに接触するように、検査前に、プローブカードと半導体ウエハとの位置合わせ(アライメント)が行われる。
【0004】
高温試験は、半導体ウエハに熱ストレスを印加して電気的特性を測定する試験であり、半導体ウエハが載置されるステージに埋め込まれたヒーターを用いて、半導体ウエハが高温に維持されている。このような高温試験において、プローブカードと半導体ウエハの温度差が大きければ、半導体ウエハの熱がプローブカードに伝わり、検査中にプローブカードが熱膨張し、プローブと電極パッドの相対位置が変動するという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、プローブカードの配線基板にヒーターを内蔵し、検査前及び検査中に配線基板を加熱する方法や、検査前にプローブカードを外部ヒーターと対向させて予め加熱する方法(プレヒーティング)が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
内蔵ヒーターにより加熱する場合、配線基板にヒーター用の配線層を追加する必要があり、製造コストを増大させるという問題があった。また、線幅が狭い配線パターンに電流を流して発熱させることから、ヒーター用電熱線の配線パターンは断線しやすいという問題があった。特に、ヒーターを用いて広い領域を加熱しようとすれば、当該領域内を蛇行する長い配線パターンを形成する必要があり、さらに断線しやすくなり、プローブカードの信頼性を低下させるという問題があった。
【0008】
また、外部ヒーターによりプレヒーティングを行う場合、プレヒーティング後に行われる半導体ウエハのアライメント中にプローブの温度が低下するという問題があった。また、プローブカードは、中央部に比べて外周縁部の温度が低くなりやすく、主面上に温度勾配が生じやすいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、高温検査用のプローブカードを安価に提供することを目的とする。また、高温検査用のプローブカードの信頼性を向上させることを目的とする。さらに、高温検査用のプローブカードの主面上において温度勾配が生じるのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明の実施態様によるプローブカードは、多数のプローブを支持する配線基板と、前記配線基板に形成された発熱被膜と、前記発熱被膜に電流を供給する一対の電極端子と、を備え、前記発熱被膜が、微細炭素粒子及びバインダーを含む発熱コーティング材を塗布することにより前記配線基板の表面上に形成される。
【0011】
このような構成を採用することにより、配線基板の表面の任意の領域に発熱被膜を形成し、配線基板を加熱することができる。このため、電熱線を形成して配線基板を加熱する従来の方法に比べて、プローブカードを効果的に加熱することができる。
【0012】
第2の本発明の実施態様によるプローブカードは、上記構成に加えて、前記発熱被膜が、前記配線基板の側面に少なくとも一部が形成されるように構成される。
【0013】
このような構成を採用することにより、配線基板を側面から加熱することができる。このため、主面上のスペースを占有することなく配線基板を加熱することができるため、主面上における回路パターン、プローブなどの配置を制約することなく、加熱することができる。また、従来の加熱方法では温まりにくい水平面上の外側から加熱することができるため、配線基板の主面上における温度勾配の発生を抑制することができる。
【0014】
第3の本発明の実施態様によるプローブカードは、上記構成に加えて、前記一対の電極端子の一方が、前記配線基板の一方の主面に形成され、前記一対の電極端子の他方が、前記配線基板の他方の主面に形成される。
【0015】
このような構成を採用することにより、発熱被膜のうち、より広い面積部分において発熱させることができ、効果的に発熱させることができる。
【0016】
第4の本発明の実施態様によるプローブカードは、上記構成に加えて、前記一対の電極端子が、周方向において対向する前記発熱被膜の一対の端辺の近傍にそれぞれ形成される。
【0017】
このような構成を採用することにより、発熱被膜のうち、より広い面積部分において発熱させることができ、効果的に発熱させることができる。
【0018】
第5の本発明の実施態様によるプローブカードは、上記構成に加えて、前記発熱被膜が、前記配線基板の側面と隣接する主面上の領域に形成される。
【0019】
このような構成を採用することにより、側面と隣接する主面上の領域に発熱被膜を形成することができ、主面上の外周縁部近傍の空きスペースを効率的に利用して、配線基板を加熱することができる。また、従来の加熱方法では温まりにくい水平面内における外側から加熱することができるため、配線基板の水平面内における温度勾配の発生を抑制することができる。
【0020】
第6の本発明の実施態様によるプローブカードは、上記構成に加えて、前記配線基板の側面から離間した主面上の領域にヒーター回路を備える。
【0021】
このような構成を採用することにより、配線基板の主面上において、より内側をヒーター回路により加熱し、より外側を発熱被膜により加熱することができる。このため、配線基板の水平面内における温度勾配の発生を抑制することができる。
【0022】
第7の本発明の実施態様によるプローブカードは、上記構成に加えて、前記配線基板が、主面と平行な面内において、回路パターンが形成される回路領域と、前記回路領域を取り囲む非回路領域とに区分され、前記発熱被膜が、前記非回路領域に少なくとも一部が形成される。
【0023】
このような構成を採用することにより、非回路領域を効率的に利用して、配線基板を加熱することができる。また、従来の加熱方法では温まりにくい水平面内における外側から加熱することができるため、配線基板の水平面内における温度勾配の発生を抑制することができる。
【0024】
第8の本発明の実施態様によるプローブカードは、上記構成に加えて、前記配線基板の前記回路領域内にヒーター回路を備える。
【0025】
このような構成を採用することにより、配線基板の主面上において、より内側をヒーター回路により加熱し、より外側を発熱被膜により加熱することができる。このため、配線基板の水平面内における温度勾配の発生を抑制することができる。
【0026】
第9の本発明の実施態様によるプローブカードは、上記構成に加えて、前記一対の電極端子が、前記回路領域に形成される。
【0027】
このような構成を採用することにより、回路領域の回路パターンを用いて、発熱被膜に電流を供給することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、配線基板に発熱被膜を形成することにより、高温検査用のプローブカードを安価に提供することができる。また、高温検査用のプローブカードの信頼性を向上させることができる。さらに、高温検査用のプローブカードの主面上において温度勾配が生じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施の形態1によるプローブカード10の概略構成の一例を示した図である。
【
図2】本発明の実施の形態2によるプローブカード10の要部を示した図であり、ST基板130の正面図及び底面図である。
【
図3】
図2に示したST基板130の平面図及びA-A断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態3によるプローブカード10の要部を示した図であり、ST基板130の正面図及び底面図である。
【
図5】
図4に示したST基板130の平面図及びB-B断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態4によるプローブカード10の要部を示した図であり、ST基板130の正面図及び底面図である。
【
図7】
図6に示したST基板130の平面図及びC-C断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態5によるプローブカード10の要部を示した図であり、ST基板130の正面図及び底面図である。
【
図9】
図8に示したST基板130の平面図及びD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施の形態1.
(1)プローブカード10
図1は、本発明の実施の形態1によるプローブカード10の概略構成の一例を示した図である。プローブカード10は、プローブ設置面を下に向けた状態でウエハプローバーに取り付けられ、ステージ200上に載置された半導体ウエハ20と対向し、ステージ200を上下動することにより、プローブ15を半導体ウエハ20上の電極パッド21に接触させることができる。
【0031】
プローブカード10は、メイン基板100、補強板110、インターポーザー120、ST(Space Transformer)基板130及び2以上のプローブ15により構成される。
【0032】
メイン基板100は、ウエハプローバーに着脱可能に取り付けられる配線基板であり、例えば、円板状のガラスエポキシ基板が用いられる。メイン基板100は、下面の周縁部がウエハプローバーのカードホルダ210により支持され、略水平に配置される。メイン基板100の上面の中央部には、メイン基板100の歪みを抑制するための補強板110が取り付けられている。また、メイン基板100の上面には、テスター装置(不図示)の信号端子が接続される2以上の外部端子11が設けられている。
【0033】
インターポーザー120は、メイン基板100及びST基板130間に配置され、メイン基板100の配線及びST基板130の配線を導通させる基板間の接続手段であり、例えば、多数のポゴピン12を備えている。
【0034】
ST基板130は、絶縁性の多層配線基板、例えば、2以上のセラミック板を貼り合わせた積層板であり、電極ピッチを変換するために使用される。ST基板130は、基板ホルダ16によりメイン基板100に取り付けられ、略水平に配置される。基板ホルダ16は、一端がメイン基板100の下面に固定され、他端がST基板130の下面の周縁部を支持する。
【0035】
ST基板130の下面には、プローブ15を取り付けるための2以上のプローブ用電極13が形成されている。また、ST基板130の上面には、インターポーザー120のポゴピン12を当接させるための2以上のポゴピン用電極14が形成されている。プローブ用電極13は、ST基板130内の配線パターン及びスルーホールを介して、ポゴピン用電極14と導通し、プローブ15をメイン基板100と導通させている。プローブ用電極13及びポゴピン用電極14は、電気めっき法又はエッチング法を用いたフォトリソグラフィ処理により形成される金属膜である。また、ST基板130の表面には、発熱被膜3が形成されている。
【0036】
プローブ15は、弾性変形可能な導電性金属、例えば、NiCo(ニッケルコバルト合金)からなり、電極パッド21に接触させるための先端を有する。
【0037】
ステージ200は、半導体ウエハ20の載置台であり、水平面内における移動及び回転、並びに、上下方向の移動が可能である。ヒーター201は、ステージ200に内蔵された高温検査用のヒーターであり、半導体ウエハ20を加熱することができる。
【0038】
(2)発熱被膜3
発熱被膜3は、微細炭素粒子をバインダーと混合させた組成を有し、通電することにより発熱する被膜である。発熱被膜3は、発熱コーティング材を塗布することにより、ST基板130の表面上に形成される。検査前又は検査中に発熱被膜3に通電することにより、高温検査時におけるST基板130の温度を所定の検査温度に維持することができる。
【0039】
発熱被膜3は、ST基板130の下面、上面又は側面に形成することができる。また、発熱被膜3は、プローブ用電極13及びポゴピン用電極14が形成されていない領域に形成される。例えば、ST基板130の下面に発熱被膜3を形成する場合であれば、プローブ用電極13が形成されないST基板130の周縁部や、互いに隣接するプローブ用電極13間に形成される。ST基板の上面に発熱被膜3を形成する場合であれば、ポゴピン用電極14が形成されないST基板130の周縁部や、互いに隣接するポゴピン用電極14間に形成される。
【0040】
発熱被膜3は、一対の被膜用電極(不図示)が接続され、発熱被膜3に流れる電流が供給される。発熱被膜3の全体に電流が流れるように一対の被膜用電極を配置することにより、発熱被膜3を効率的に発熱させることができる。例えば、発熱被膜3の形成領域が矩形であれば、対向する一対の頂点又はその近傍に接続電極をそれぞれ設け、あるいは、対向する一対の辺又はその近傍に接続電極をそれぞれ設けることが望ましい。
【0041】
発熱コーティング材は、バインダーを含む溶剤又は水を分散媒とし、微細炭素粒子を分散質とする懸濁液であり、ST基板130の表面に塗布される。バインダーには、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系ゴム、シリコンゴム、その他の合成樹脂を用いることができる。分散媒は、このような樹脂を溶剤に溶解又は分散させ、あるいは、水に乳化させた液体である。微細炭素粒子は、炭素を主成分とする粉末であり、例えば、グラファイト及びカーボンナノチューブの混合物を用いることができる。グラファイトは、粒径30μm以下、カーボンナノチューブは、外径1μm以下、長さ50μm以下であることが望ましい。
【0042】
例えば、フッ素系ゴムを溶解した溶剤にグラファイト及びカーボンナノチューブの混合物を分散させることにより、発熱コーティング材が得られる。このような発熱コーティング剤をST基板130の所定領域に塗布した後、溶剤又は水を蒸発させて除去すれば、発熱被膜3が形成される。
【0043】
発熱コーティング材は、スプレーコーティング、刷毛塗り、流動浸漬法、その他の任意の方法により、ST基板130の表面に塗布することができる。発熱コーティング材の塗布時には、発熱被膜3を形成しない領域をマスクしておくことが望ましい。例えば、発熱被膜3を形成しない領域にフォトレジストを予め形成し、発熱被膜3の形成後に除去することにより、任意の領域に発熱被膜3を形成することができる。また、導電性部材上に発熱被膜3を形成する場合には、絶縁性被膜を介在させて形成される。
【0044】
発熱被膜3は、発熱コーティング材を塗布することにより形成されるため、従来のヒーターを構成する電熱線を形成することができない領域にも容易に形成することができる。例えば、凹凸を有する表面、湾曲又は屈曲する表面、狭い領域などには電熱線のパターンを形成することができず、従来のヒーターを設けることができない。しかし、発熱被膜3は、塗布により形成されるため、このよう領域であっても発熱皮膜3を形成することができる。
【0045】
例えば、ST基板130の周縁部や側面には、電熱線を形成することができない。周縁部は、基板ホルダ16により支持され、また、製造プロセス上の理由により、回路を形成することができない。また、ST基板130の側面も回路を形成することができない。しかし、発熱被膜3であれば、このような領域にも形成することができる。
【0046】
また、発熱被膜3は、広い領域及び狭い領域のいずれにも形成することができる。広い領域に形成した場合、従来のヒータ(抵抗線)と比べて、当該領域内を均一に加熱することができる。また、広い領域の一部に貫通孔を設けたとしても発熱体として使用することができる。このため、抵抗線を蛇行させて広い領域をカバーする従来のヒーターに比べて断線により故障する可能性が低く、信頼性を向上させることができる。
【0047】
また、プローブカード10は、水平面内において中心部は温まりやすく、周縁部は温まりにくい。このため、ST基板130の上下面の周縁部又は側面に発熱被膜3を形成することにより、ST基板130の水平面内において温度勾配が生じるのを抑制することができる。
【0048】
本実施の形態では、ST基板130に発熱被膜3を形成する場合の例について説明したが、本発明は、このような場合のみに限定されない。例えば、ST基板130及び基板ホルダ16を介してプローブ15を支持するメイン基板100に発熱被膜3を形成することもできる。また、補強板110に発熱被膜3を形成することもできる。
【0049】
実施の形態2.
本実施の形態では、発熱被膜3の具体的構成の一例について説明する。
【0050】
図2及び
図3の(a)~(d)は、本発明の実施の形態2によるプローブカード10の要部を示した図であり、
図1のST基板130の詳細構成の一例が示されている。図中の(a)~(c)には、ST基板130の正面図、底面図及び平面図がそれぞれ示されている。また、図中の(d)には、(c)のA-A切断線を通る鉛直面で切断したときの断面(A-A切断面)が示されている。
【0051】
ST基板130は、水平面内において、回路パターンが形成される回路領域131と、回路パターンが形成されない非回路領域132とに区分される。回路領域131は、ST基板130の中央部を含む領域であり、ST基板130の外周縁134から離間して形成される。非回路領域132は、外周縁134に隣接する領域であり、回路領域131を取り囲むように回路領域131よりも外側に形成された環状領域である。回路領域131及び非回路領域132の境界線133は、ST基板130の外周縁134に沿って延び、境界線133よりも内側が回路領域131であり、境界線133よりも外側が非回路領域132である。
【0052】
プローブ用電極13、ポゴピン用電極14、図示しないスルーホールや配線パターンなどの回路パターンは、いずれも回路領域131内に形成され、非回路領域132内には形成されない。図中のプローブ領域15Aは、1又は2以上のプローブ用電極13が形成される領域であり、下面の回路領域131内には、多数のプローブ領域15Aが形成されている。また、図中のポゴピン領域12Aは、1又は2以上のポゴピン用電極14が形成される領域であり、上面の回路領域131内には、多数のポゴピン領域12Aが形成されている。
【0053】
非回路領域132内には、4つの発熱被膜3が形成されている。各発熱被膜3は、非回路領域132を周方向に分割した領域にそれぞれ形成されている。つまり、2以上の発熱被膜3が周方向に隣接して配置され、各発熱被膜3は、外周縁134に沿って延びる細長い形状を有する。
【0054】
発熱被膜3は、発熱させるための本体被膜30と、電流を供給するための一対のリード被膜31とを備える。本体被膜30は、発熱被膜3の大部分を占める広い面積を有し、非回路領域132内に形成される。一対のリード被膜31は、本体被膜30の周方向において対向する一対の辺又はその近傍にそれぞれ接続され、境界線133を横切って回路領域131へ延び、被膜用電極4に接続される。
【0055】
被膜用電極4は、発熱被膜3に電流を供給するための電極端子であり、回路領域131内に形成される。被膜用電極4は、インターポーザー120を介してメイン基板100上の外部端子11と導通している。
【0056】
ヒーター5は、周知の加熱手段であり、ST基板130の下面、上面又は内層の回路領域131内に形成された電熱線により構成される。ヒーター5を用いて回路領域131を加熱し、発熱被膜3を用いて非回路領域132を加熱することにより、ST基板130の水平面内において温度勾配が生じるのを抑制することができる。
【0057】
本実施の形態では、発熱被膜3が、ST基板130の上下の両面にそれぞれ形成される場合について説明したが、本発明は、このような場合のみに限定されない。例えば、下面のみ又は上面のみに形成することもできる。
【0058】
また、本実施の形態では、ST基板130がヒーター5を有する場合について説明したが、本発明は、このような場合のみに限定されず、ヒーター5を省略することもできる。ST基板130は、中央部に比べて周縁部の温度が低くなり易い。このため、外周縁134に隣接する非回路領域132に発熱被膜3を形成することにより、ST基板130の水平面内において温度勾配が生じるのを抑制することができる。
【0059】
また、本実施の形態では、外周縁134に沿って4つの発熱被膜3が形成される場合について説明したが、本発明は、このような場合のみに限定されない。例えば、外周縁134に沿って1又は2以上の発熱被膜3を形成することもできる。外周縁134に沿って1つの発熱被膜3のみが形成される場合、周方向の一部が分離されたC字形に形成される。
【0060】
また、本実施の形態では、発熱被膜3が、外周縁134に隣接する領域に形成される場合について説明したが、本発明は、このような場合のみに限定されない。例えば、非回路領域132内であって外周縁134から離間した領域に発熱被膜3を形成することもできる。
【0061】
実施の形態3.
実施の形態2では、ST基板130の非回路領域132に発熱被膜3を形成する場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、非回路領域132に加えて、回路領域131にも発熱被膜3を形成する場合について説明する。
【0062】
図4及び
図5の(a)~(d)は、本発明の実施の形態3によるプローブカード10の要部を示した図であり、
図1のST基板130の詳細構成の一例が示されている。図中の(a)~(c)には、ST基板130の正面図、底面図及び平面図がそれぞれ示されている。また、図中の(d)には、(c)のB-B切断線を通る鉛直面で切断したときの断面(B-B切断面)が示されている。なお、
図2及び
図3に示された構成要素に対応する構成要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0063】
図2及び
図3のST基板130(実施の形態2)と比較すれば、本体被膜30が、境界線133を跨いで形成され、非回路領域132だけでなく、回路領域131にも形成されている点で異なる。これに伴って、リード被膜31を備えていない点でも異なる。また、外周縁134に沿って2つ発熱被膜3が形成されている点でも異なる。
【0064】
周方向に沿って延びる発熱被膜3が、ST基板130の非回路領域132だけでなく回路領域131にも形成されることにより、ST基板130の主面上の領域を効率的に利用することができる。このため、発熱被膜3をより広い領域に形成し、効果的に加熱することができる。
【0065】
実施の形態4.
実施の形態2及び3では、ST基板130の下面又は上面に発熱被膜3を形成する場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、ST基板130の側面に発熱被膜3を形成する場合について説明する。
【0066】
図6及び
図7の(a)~(d)は、本発明の実施の形態4によるプローブカード10の要部を示した図であり、
図1のST基板130の詳細構成の一例が示されている。図中の(a)~(c)には、ST基板130の正面図、底面図及び平面図がそれぞれ示されている。また、図中の(d)には、(c)のC-C切断線を通る鉛直面で切断したときの断面(C-C切断面)が示されている。なお、
図2~
図5に示された構成要素に対応する構成要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0067】
発熱被膜3は、発熱させるための本体被膜30と、電流を供給するための一対のリード被膜31とを備える。本体被膜30は、発熱被膜3の大部分を占める広い面積を有し、ST基板130の側面に形成される。一対のリード被膜31は、ST基板130の主面上に形成され、その一端は、本体被膜30の周方向において対向する一対の辺又はその近傍にそれぞれ接続され、他端は、境界線133を横切って回路領域131へ延び、被膜用電極4に接続される。
【0068】
また、一対の被膜用電極4は、一方が下面に形成され、他方が上面に形成される。このため、一対のリード被膜31も、一方が下面に形成され、他方が上面に形成される。このような構成を採用することにより、略矩形の形状からなる本体被膜30の対角線方向において対向する一対の頂点又は近傍に一対のリード被膜31をそれぞれ接続することができ、本体被膜30のおおむね全体を利用して効果的に発熱させることができる。
【0069】
実施の形態5.
実施の形態4では、ST基板130の側面に発熱被膜3を形成する場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、ST基板130の側面に加えて、ST基板130の主面上の非回路領域132にも発熱被膜3を形成する場合について説明する。
【0070】
図8及び
図9の(a)~(d)は、本発明の実施の形態5によるプローブカード10の要部を示した図であり、
図1のST基板130の詳細構成の一例が示されている。図中の(a)~(c)には、ST基板130の正面図、底面図及び平面図がそれぞれ示されている。また、図中の(d)には、(c)のD-D切断線を通る鉛直面で切断したときの断面(D-D切断面)が示されている。なお、
図2~
図7に示された構成要素に対応する構成要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0071】
図6及び
図7のST基板130(実施の形態4)と比較すれば、発熱被膜3が、下面の外周縁134及び上面の外周縁134を跨いで形成され、ST基板130の側面だけでなく、下面及び上面においても周方向に沿って延びるように形成されている点で異なる。さらに、上面及び下面に形成された発熱被膜3は、境界線133を跨いで形成され、非回路領域132だけでなく回路領域131においても周方向に延びるように形成されている。このため、発熱被膜3は、リード被膜31を備えることなく、被膜用電極4に接続される点でも異なる。
【0072】
発熱被膜3をST基板130の側面だけでなく、主面上の非回路領域132にも形成し、側面及び非回路領域132をともに加熱することにより、ST基板130上の空きスペースを有効に活用して加熱することができる。また、非回路領域132だけでなく、回路領域131にも形成し、回路領域131も加熱することにより、ST基板130上の空きスペースをさらに有効に活用して加熱することができる。このため、発熱被膜3をより広い領域に形成し、ST基板130を効果的に加熱することができる。
【0073】
一対の被膜用電極4は、発熱被膜3の対角線方向に対向する頂点又はその近傍に配置されている。つまり、一方の被膜用電極4は、ST基板130の下面の回路領域131に形成され、他方の被膜用電極4は、ST基板130の上面の回路領域131に形成されている。また、これらの被膜用電極4は、発熱被膜3の周方向において対向する一対の辺の近傍に接続される。このため、発熱被膜3のおおむね全体を利用して効果的に発熱させることができる。
【符号の説明】
【0074】
3 発熱被膜
4 被膜用電極(電極端子)
5 ヒーター
10 プローブカード
11 外部端子
12 ポゴピン
12A ポゴピン領域
13 プローブ用電極
14 ポゴピン用電極
15 プローブ
15A プローブ領域
16 基板ホルダ
20 半導体ウエハ
21 電極パッド
30 本体被膜
31 リード被膜
100 メイン基板
110 補強板
120 インターポーザー
130 ST基板
131 回路領域
132 非回路領域
133 境界線
134 外周縁部
200 ステージ
201 ヒーター
210 カードホルダ