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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】I/Oユニット、および通信システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
G05B19/05 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023509009
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2022010778
(87)【国際公開番号】W WO2022202391
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2021050056
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 正博
(72)【発明者】
【氏名】桑畑 眞一
(72)【発明者】
【氏名】前田 翌檜
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0333758(US,A1)
【文献】特開2018-157456(JP,A)
【文献】特開平09-244772(JP,A)
【文献】特開2016-110460(JP,A)
【文献】特開2019-114085(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0243793(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0297829(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスター処理回路を有するマスターユニットと機器とを接続し、前記マスターユニットと前記機器との間で信号を伝送するI/Oユニットであって、
前段に設けられる前記マスターユニットまたは前段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するための複数の前段側端子と、
後段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するために設けられ、互いに異なる前記前段側端子と接続される複数の後段側端子と、
複数の前記前段側端子のうちの一の前段側端子、前一の前段側端子と接続される前記後段側端子とに接続され、信号処理を行うスレーブ処理回路と、
を備え
前記一の前段側端子と、複数の前記前段側端子のうちの他の前端側端子とは、互いに異なるマスター処理回路に接続される、I/Oユニット。
【請求項2】
マスターユニットと機器とを接続し、前記マスターユニットと前記機器との間で信号を伝送するI/Oユニットであって、
前段に設けられる前記マスターユニットまたは前段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するための複数の前段側端子と、
後段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するために設けられ、互いに異なる前記前段側端子と接続される複数の後段側端子と、
複数の前記前段側端子のうちの1つと、その1つの前記前段側端子と接続される前記後段側端子とに接続され、信号処理を行うスレーブ処理回路と、
互いに接続される複数の前記前段側端子と複数の前記後段側端子との組み合わせを選択する選択回路と、
を備える、I/Oユニット。
【請求項3】
マスターユニットと機器とを接続し、前記マスターユニットと前記機器との間で信号を伝送するI/Oユニットであって、
前段に設けられる前記マスターユニットまたは前段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するための複数の前段側端子と、
後段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するために設けられ、互いに異なる前記前段側端子と接続される複数の後段側端子と、
複数の前記前段側端子のうちの1つと、その1つの前記前段側端子と接続される前記後段側端子とに接続され、信号処理を行うスレーブ処理回路と、
を備え、
前記マスターユニットは、複数のマスター処理回路を有し、
複数の前記前段側端子は、互いに異なる前記マスター処理回路に接続される、I/Oユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のI/Oユニットであって、
前記スレーブ処理回路に接続される前記前段側端子および前記後段側端子は、前記スレーブ処理回路を介して互いに接続されている、I/Oユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のI/Oユニットであって、
前記スレーブ処理回路と前記機器とを接続し、前記スレーブ処理回路が前記機器と信号の入出力を行うためのインターフェースをさらに備える、I/Oユニット。
【請求項6】
マスターユニットと、前記マスターユニットに接続され、前記マスターユニットと機器との間で信号を伝送する複数のI/Oユニットとを有する通信システムであって、
前記マスターユニットは、
信号処理を行う複数のマスター処理回路と、
互いに異なる前記マスター処理回路と接続された複数の支流端子と、
を備え、
複数の前記I/Oユニットの各々は、
前段に設けられる前記マスターユニットまたは前段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するための複数の前段側端子と、
後段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するために設けられ、互いに異なる前記前段側端子と接続された複数の後段側端子と、
複数の前記前段側端子のうちの1つと、その1つの前記前段側端子と接続された前記後段側端子とに接続され、信号処理を行うスレーブ処理回路と、
を備え、
複数の前記I/Oユニットは、
前記スレーブ処理回路が第1の前記マスター処理回路に接続された複数の第1のI/Oユニットと、
第1の前記マスター処理回路とは異なる第2の前記マスター処理回路に前記スレーブ処理回路が接続された複数の第2のI/Oユニットと、
を有する、通信システム。
【請求項7】
請求項6に記載の通信システムであって、
第1の前記マスター処理回路は、第2の前記マスター処理回路の冗長回路である、通信システム。
【請求項8】
請求項6または7に記載の通信システムであって、
複数の前記I/Oユニットの各々は、前記スレーブ処理回路と前記機器とを接続し、前記スレーブ処理回路が前記機器と信号の入出力を行うためのインターフェースをさらに備える、通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスターユニットと機器とを接続し、マスターユニットと機器との間で信号を伝送するI/Oユニットと、そのI/Oユニットを複数有する通信システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-110460号公報には、プログラマブル・ロジック・コントローラシステムが開示されている。このプログラマブル・ロジック・コントローラシステムは、基本ユニット(マスター)と、複数の拡張ユニット(スレーブ)とを有する。基本ユニットと、複数の拡張ユニットとは、マスターユニットを先頭にして、デイジーチェーン接続される。複数の拡張ユニットの各々は、例えばI/Oユニットである。基本ユニットは、複数の拡張ユニットを介して、被制御装置に信号を送受信する。被制御装置は、例えばセンサ、またはアクチュエータである。
【発明の概要】
【0003】
マスターユニットと複数のI/Oユニットとは、マスターユニットを先頭にして所定の設置方向に沿って並べられる。隣り合うマスターユニットの端子と、I/Oユニットの端子とが接続される。また、隣り合うI/Oユニット同士の端子が互いに接続される。これにより、ケーブル等を別途必要とすることなく、マスターユニットと、複数のI/Oユニットとは、通信可能に接続される。以下において、通信可能に接続されたマスターユニットと複数のI/Oユニットとからなる塊は、「ステーション」とも記載される。ステーションは、上記の通りケーブルを使わずに構成される。したがって、ステーションの周辺の配線状態は、煩雑になりにくい。また、ケーブルの誤接続が発生しない。
【0004】
マスターユニットは、所定の処理回路(マスター処理回路)を備える。マスター処理回路は、I/Oユニットとの通信において信号処理を担う回路である。ただし、マスター処理回路に接続可能なI/Oユニットの数は、設計に基づいて制限される。
【0005】
したがって、オペレータは、使用したいI/Oユニットの台数がマスター処理回路に接続可能なI/Oユニットの制限台数を超える場合、ステーションを別途設置しなければならなかった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【0007】
本発明の第1の態様は、マスターユニットと機器とを接続し、前記マスターユニットと前記機器との間で信号を伝送するI/Oユニットであって、前段に設けられる前記マスターユニットまたは前段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するための複数の前段側端子と、後段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するために設けられ、互いに異なる前記前段側端子と接続される複数の後段側端子と、複数の前記前段側端子のうちの1つと、その1つの前記前段側端子と接続される前記後段側端子とに接続され、信号処理を行うスレーブ処理回路と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様は、マスターユニットと、前記マスターユニットに接続され、前記マスターユニットと機器との間で信号を伝送する複数のI/Oユニットとを有する通信システムであって、前記マスターユニットは、信号処理を行う複数のマスター処理回路と、互いに異なる前記マスター処理回路と接続された複数の支流端子と、を備え、複数の前記I/Oユニットの各々は、前段に設けられる前記マスターユニットまたは前段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するための複数の前段側端子と、後段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するために設けられ、互いに異なる前記前段側端子と接続された複数の後段側端子と、複数の前記前段側端子のうちの1つと、その1つの前記前段側端子と接続された前記後段側端子とに接続され、信号処理を行うスレーブ処理回路と、を備え、複数の前記I/Oユニットは、前記スレーブ処理回路が第1の前記マスター処理回路に接続された複数の第1のI/Oユニットと、第1の前記マスター処理回路とは異なる第2の前記マスター処理回路に前記スレーブ処理回路が接続された複数の第2のI/Oユニットと、を有する。
【0009】
本発明の態様によれば、ステーション内での増設が容易なI/Oユニットと、そのI/Oユニットを複数有する通信システムとが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の参考例に係る通信システムを表す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る通信システムを表す図である。
図3図3Aは、変形例1に係るI/Oユニットを表す図である。図3Bは、第1の接続関係が選択された場合におけるI/Oユニットを表す図である。図3Cは、第2の接続関係が選択された場合におけるI/Oユニットを表す図である。
図4図4は、選択回路の配置を変更したI/Oユニットを表す図である。
図5図5は、変形例2に係るI/Oユニットを表す図である。
図6図6は、変形例2に係るI/Oユニットを有する通信システムを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のI/Oユニットと、通信システムとについて、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0012】
[実施の形態]
図1は、本発明の参考例に係る通信システム100を表す図である。
【0013】
通信システム100は、制御装置102と機器104との間で信号を伝送するシステムである。機器104は、機械装置に設けられる。機械装置は、例えば工作機械、またはロボットである。機器104は、出力機器104aと、入力機器104bとを含む。出力機器104aは、例えば、スイッチ等のアクチュエータである。制御装置102は、出力機器104aを駆動させる場合は、通信システム100を介して、出力機器104aに制御信号を送る。入力機器104bは、例えば押圧、電圧、または電流等を検出するセンサである。制御装置102は、入力機器104bからの検出信号を、通信システム100を介して取得する。
【0014】
通信システム100は、複数の通信カプラユニット106(106a、106b)と、複数のI/Oユニット108とを有する。複数のI/Oユニット108は、複数のI/Oユニット108aと、複数のI/Oユニット108bとからなる。
【0015】
制御装置102と、通信カプラユニット106aと、通信カプラユニット106bとは、この順序で順次接続される。これにより、制御装置102と、通信カプラユニット106aと、通信カプラユニット106bとをこの順序で辿る通信路(本流線La)が構成される。制御装置102と通信カプラユニット106aとの接続は、ケーブルを用いて行われる。また、通信カプラユニット106aと通信カプラユニット106bとの接続は、別のケーブルを用いて行われる。ケーブルは、オペレータが用意する。
【0016】
複数のI/Oユニット108aは、通信カプラユニット106aの後段に順次接続される。これにより、通信カプラユニット106aと、複数のI/Oユニット108aとは、1つのステーションを構成する。また、通信カプラユニット106aと、複数のI/Oユニット108aとを順に辿る通信路(支流線Lb1)が構成される。
【0017】
複数のI/Oユニット108bは、通信カプラユニット106bの後段に順次接続される。これにより、通信カプラユニット106bと、複数のI/Oユニット108bとは、1つのステーションを構成する。また、通信カプラユニット106bと、複数のI/Oユニット108bとを順に辿る通信路(支流線Lb2)が構成される。
【0018】
複数のI/Oユニット108は、複数の機器104と接続される。図1の複数のI/Oユニット108は、互いに異なる機器104と接続される。ただし、1つのI/Oユニット108に、複数の機器104が接続されてもよい。
【0019】
通信カプラユニット106aと、通信カプラユニット106bとの各々は、マスター処理回路16を有する。I/Oユニット108aと、I/Oユニット108bとの各々は、スレーブ処理回路26と、インターフェース28とを有する。スレーブ処理回路26は、マスター処理回路16と信号の入出力を行う回路である。マスター処理回路16とスレーブ処理回路26との各々は、例えばCPU(中央処理装置)を含む。ただし、マスター処理回路16とスレーブ処理回路26との各々は、例えばASIC(特定用途向け集積回路)、PLD(プログラマブルロジックデバイス)、または、FPGA(フィールドプログラマブルロジックゲートアレー)等を含んでもよい。インターフェース28は、スレーブ処理回路26と機器104との間で信号を伝送するハードウェア(回路、電子部品群)である。インターフェース28は、スレーブ処理回路26と機器104とを接続し、スレーブ処理回路26が機器104と信号の入出力を行う。なお、インターフェース28の具体的な構成は、機器104の種類に応じて異なる。
【0020】
通信カプラユニット106aのマスター処理回路16と、通信カプラユニット106bのマスター処理回路16とは、本流線Laによって、制御装置102を先頭にしてデイジーチェーン接続される。また、複数のI/Oユニット108aのスレーブ処理回路26は、支流線Lb1によって、通信カプラユニット106aのマスター処理回路16を先頭にしてデイジーチェーン接続される。さらに、複数のI/Oユニット108bのスレーブ処理回路26は、支流線Lb2によって、通信カプラユニット106bのマスター処理回路16を先頭にしてデイジーチェーン接続される。
【0021】
制御装置102が機器104に制御信号を送る場合、制御装置102は、自分から見て初段(1番目)に接続された通信カプラユニット106aに制御信号を出力する。この制御信号は、送り先の機器104が接続されたI/Oユニット108のアドレス情報等を含む。通信カプラユニット106aのマスター処理回路16は、制御信号に含まれるアドレス情報が、複数のI/Oユニット108aのいずれかを示しているかを判断する。アドレス情報が複数のI/Oユニット108aのいずれをも示さない場合、通信カプラユニット106aのマスター処理回路16は、通信カプラユニット106bのマスター処理回路16に制御信号を出力する。アドレス情報が複数のI/Oユニット108aのいずれかを示す場合、通信カプラユニット106aのマスター処理回路16は、自身の後段のI/Oユニット108aに制御信号を出力する。前段から制御信号を入力されたI/Oユニット108aのスレーブ処理回路26は、入力された制御信号に含まれるアドレス情報が自身を示すかを判断する。ここで、I/Oユニット108aのスレーブ処理回路26は、アドレス情報が自身を示す場合、自身に接続された機器104に制御信号を出力する。これにより、機器104が動作する。その一方で、I/Oユニット108aは、入力された制御信号に含まれるアドレス情報が自身を示さない場合は、自身の後段のI/Oユニット108aに制御信号を出力する。なお、I/Oユニット108は、制御信号に含まれるアドレス情報が自身を示す場合において、後段側のI/Oユニット108に制御信号を出力してもよい。また、通信カプラユニット106は、制御信号に含まれるアドレス情報が自身に接続されたI/Oユニット108を示す場合において、後段側の通信カプラユニット106に制御信号を出力してもよい。
【0022】
機器104が制御装置102に向けて信号を出力する場合がある。この場合、機器104の信号は、機器104が接続されたI/Oユニット108のスレーブ処理回路26に入力される。スレーブ処理回路26は、自身に接続された機器104から入力された信号を、制御装置102に送る。この場合、スレーブ処理回路26は、自身の前段に接続されたI/Oユニット108、または通信カプラユニット106に信号を出力する。ここで、スレーブ処理回路26は、機器104が出力した内容と、信号を出力したI/Oユニット108のアドレス情報とを出力信号に含める。通信カプラユニット106とI/Oユニット108との間の信号の入出力は周知技術なので、これ以上の説明は省略する。
【0023】
ところで、参考例では、上記の通り、通信カプラユニット106aを先頭にしたステーションと、通信カプラユニット106bを先頭にしたステーションとが構成されている。
【0024】
既に説明したように、マスター処理回路16にスレーブとして接続可能なI/Oユニット(スレーブ処理回路26)108の数には、制限台数が決められている。したがって、I/Oユニット108の数が上記制限台数を上回る場合、オペレータは、複数のステーションを設置し、別途用意するケーブルを用いて各ステーションを接続せざるを得ない。
【0025】
しかしながら、オペレータにしてみると、通信カプラユニット106と、必要なI/Oユニット108との全てが、できるだけまとめて設置される方が、好ましい。
【0026】
以上を踏まえ、以下において、実施の形態が説明される。なお、参考例で説明された構成要素と同様の構成要素には、同一の参照符号を付してその説明を省略し、参考例とは異なる部分を主に説明する。
【0027】
図2は、本発明の実施の形態に係る通信システム10を表す図である。通信システム10は、通信カプラユニット12と、複数のI/Oユニット14とを有する。複数のI/Oユニット14は、通信カプラユニット12の後段に順次接続される。
【0028】
通信カプラユニット12は、複数のマスター処理回路16と、電源18と、2つのコネクタ20(20a、20b)と、複数の支流端子22と、筐体24とを有する。複数のマスター処理回路16と、電源18と、2つのコネクタ20(20a、20b)と、複数の支流端子22とは、筐体24に収容される。
【0029】
通信カプラユニット12は、2つのマスター処理回路16(16a、16b)を備える。ただし、通信カプラユニット12は、3つ以上のマスター処理回路16を備えてもよい。なお、同じ通信カプラユニット12に備わる2つのマスター処理回路16のうち、一方のマスター処理回路16aは、以下の説明において、第1のマスター処理回路16aとも記載される。これに対し、他方のマスター処理回路16bは、以下の説明において、第2のマスター処理回路16bとも記載される。
【0030】
電源18は、2つのマスター処理回路16に電力を供給する。また、電源18は、I/Oユニット14のスレーブ処理回路26と、インターフェース28との少なくとも一方に電力を供給してもよい。
【0031】
コネクタ20aは、本流線Laに関して通信カプラユニット12の前段に設けられる機器と接続するためのコネクタである。本流線Laに関して通信カプラユニット12の前段に設けられる機器は、例えば制御装置102である(図2参照)。コネクタ20aと制御装置102との接続は、従前通りケーブルによって行われる。ただし、コネクタ20aは、本流線Laに関して通信カプラユニット12の前段に設けられる別の通信カプラユニット12、または通信カプラユニット106に接続されてもよい。コネクタ20bは、本流線Laに関して通信カプラユニット12の後段に設けられる別の通信カプラユニット12、または通信カプラユニット106と接続するためのコネクタである。ただし、コネクタ20bは、図2の例では開放されている。仮に、本流線Laに関して通信カプラユニット12の後段に別の通信カプラユニット12が設けられる場合、通信カプラユニット12のコネクタ20bと、別の通信カプラユニット12のコネクタ20aとが、ケーブルによって接続される。
【0032】
コネクタ20aは、マスター処理回路16aと接続される。また、マスター処理回路16aは、マスター処理回路16bと接続される。したがって、制御装置102と、マスター処理回路16aとマスター処理回路16bとは、本流線La上でデイジーチェーン接続される。
【0033】
複数の支流端子22の各々は、通信カプラユニット12の後段に設けられるI/Oユニット14と接続するための端子である。通信カプラユニット12に設けられる支流端子22の数は、その通信カプラユニット12に備えられたマスター処理回路16の数と同数である。すなわち、通信カプラユニット12は、2つの支流端子22を備える。この2つの支流端子22のうち、一方の支流端子22は、以下の説明において支流端子22aとも記載される。これに対し、他方の支流端子22は、支流端子22bとも記載される。
【0034】
支流端子22aはマスター処理回路16aに接続される。支流端子22bは、マスター処理回路16bに接続される。すなわち、複数の支流端子22は、互いに異なるマスター処理回路16に接続される。
【0035】
複数のI/Oユニット14の各々は、スレーブ処理回路26と、インターフェース28と、複数の前段側端子30と、複数の後段側端子32と、筐体38とを有する。スレーブ処理回路26と、インターフェース28と、複数の前段側端子30と、複数の後段側端子32とは、筐体38に収容される。
【0036】
複数の前段側端子30の各々は、前段に設けられる通信カプラユニット12、または前段に設けられる別のI/Oユニット14と接続するための端子である。前段側端子30の数は、通信カプラユニット12に備えられる支流端子22の数と同数である。すなわち、I/Oユニット14は、2つの前段側端子30を備える。この2つの前段側端子30のうち、一方の前段側端子30は、以下の説明において前段側端子30aとも記載される。これに対し、他方の前段側端子30は、前段側端子30bとも記載される。
【0037】
複数の後段側端子32の各々は、後段に設けられる別のI/Oユニット14と接続するための端子である。後段側端子32の数は、I/Oユニット14に備えられる前段側端子30の数と同数である。すなわち、I/Oユニット14は、2つの後段側端子32を備える。この2つの後段側端子32のうち、一方の後段側端子32は、以下の説明において後段側端子32aとも記載される。これに対し、他方の後段側端子32は、以下の説明において後段側端子32bとも記載される。
【0038】
前段側端子30aは、第1信号線34を通じて後段側端子32aと接続される。また、前段側端子30bは、第2信号線36を通じて後段側端子32bと接続される。すなわち、I/Oユニット14単体について、複数の前段側端子30は、互いに異なる後段側端子32と接続される。
【0039】
I/Oユニット14の前段に通信カプラユニット12が設置される場合、前段側端子30aは、通信カプラユニット12の支流端子22aに接続される。また、前段側端子30bは、通信カプラユニット12の支流端子22bに接続される。その一方で、I/Oユニット14の前段に別のI/Oユニット14が設置される場合、I/Oユニット14の前段側端子30aは、別のI/Oユニット14の後段側端子32aに接続される。また、I/Oユニット14の前段側端子30bは、別のI/Oユニット14の後段側端子32bに接続される。
【0040】
複数のI/Oユニット14の各々のスレーブ処理回路26は、複数の前段側端子30のうちの1つと、その前段側端子30と接続される後段側端子32とに接続される。例えば、スレーブ処理回路26は、前段側端子30aと後段側端子32aとに接続される。ただし、スレーブ処理回路26は、前段側端子30bと後段側端子32bとに接続されてもよい。
【0041】
複数のI/Oユニット14は、第1のI/Oユニット14Aと、第2のI/Oユニット14Bとに分類される。第1のI/Oユニット14Aは、第1信号線34上にスレーブ処理回路26が設けられたI/Oユニット14である。第2のI/Oユニット14Bは、第2信号線36上にスレーブ処理回路26が設けられたI/Oユニット14である。第1のI/Oユニット14Aのスレーブ処理回路26(26a)は、支流線Lb1上でマスター処理回路16aに接続される。一方、第2のI/Oユニット14Bのスレーブ処理回路26(26b)は、支流線Lb2上でマスター処理回路16bに接続される。
【0042】
第1のI/Oユニット14Aの前段側端子30bと、後段側端子32bとに入出力される信号は、第2信号線36を通じて、第1のI/Oユニット14A内を素通りする。一方、第2のI/Oユニット14Bの前段側端子30aと、後段側端子32aとに入出力される信号は、第1信号線34を通じて、第2のI/Oユニット14B内を素通りする。
【0043】
本実施の形態によれば、第1のI/Oユニット14Aは、マスター処理回路16aのスレーブとして動作する。また、第2のI/Oユニット14Bは、マスター処理回路16bのスレーブとして動作する。しかも、第1のI/Oユニット14Aと、第2のI/Oユニット14Bとは、1つのステーション内にまとめて一列に設置される。オペレータは、仮にマスター処理回路16aの制限台数を超えるI/Oユニット14が必要である場合、その超過分をマスター処理回路16bのスレーブとして設置することができる。
【0044】
このように、本実施の形態によれば、ステーション内での増設が容易なI/Oユニット14と、そのI/Oユニット14を複数有する通信システム10とが提供される。
【0045】
なお、図2の例では、複数の第1のI/Oユニット14Aが、複数の第2のI/Oユニット14Bよりも前段側に設けられている。通信システム10は、これに限定されない。例えば、複数の第2のI/Oユニット14Bが、複数の第1のI/Oユニット14Aよりも前段側に並べられてもよい。また、複数の第1のI/Oユニット14Aと複数の第2のI/Oユニット14Bとが、混在するように並べられてもよい。
【0046】
[変形例]
以上、本発明の一例として実施の形態が説明された。上記実施の形態には、多様な変更または改良を加えることが可能である。また、その様な変更または改良を加えた形態が本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、請求の範囲の記載から明らかである。
【0047】
以下には、上記実施形態に係る変形例が記載される。ただし、上記実施形態と重複する説明は、以下の説明では可能な限り省略される。上記実施形態で説明済みの構成要素には、特に断らない限り、上記実施形態と同一の参照符号が付される。
【0048】
(変形例1)
図3Aは、変形例1に係るI/Oユニット14’(14)を表す図である。
【0049】
I/Oユニット14’は、I/Oユニット14の構成要素(図2も参照)のみならず、選択回路40をさらに備える。選択回路40は、互いに接続される複数の前段側端子30と複数の後段側端子32との組み合わせを選択する回路である。なお、I/Oユニット14’は、2つの前段側端子30と、2つの後段側端子32とを備える。この場合、選択回路40は、2つの前段側端子30と、2つの後段側端子32との接続関係を、次の第1の接続関係と第2の接続関係とのうちから選択する。
【0050】
図3Bは、第1の接続関係が選択された場合におけるI/Oユニット14’を表す図である。
【0051】
例えば図3Bに示すように、選択回路40は、第1の接続関係を選択する場合には、前段側端子30aを後段側端子32aに接続し、前段側端子30bを後段側端子32bに接続する。
【0052】
図3Cは、第2の接続関係が選択された場合におけるI/Oユニット14’を表す図である。
【0053】
また、例えば図3Cに示すように、選択回路40は、第2の接続関係を選択する場合には、前段側端子30aを後段側端子32bに接続し、前段側端子30bを後段側端子32aに接続する。
【0054】
選択回路40は、例えば機械的スイッチ、電気的スイッチ、半導体スイッチ等のスイッチと、導体とを用いて適宜構成される。なお、選択回路40は、他の回路の一部として構成されてもよい。例えば、選択回路40は、ASICの一部として構成されてもよい。
【0055】
本変形例によれば、I/Oユニット14’における2つの前段側端子30と2つの後段側端子32との間の接続関係は、選択回路40によって容易に変更される。また、第1のI/Oユニット14Aと第2のI/Oユニット14Bとの相違点が、選択回路40の内部に集約される。すなわち、第1のI/Oユニット14Aと第2のI/Oユニット14Bとの構成が共通化される。接続関係の選択は常時可能である必要はなく、例えばI/Oユニット14の組み立て時にのみ選択可能としてもよい。
【0056】
図3A図3Cの例示において、選択回路40は、スレーブ処理回路26と2つの後段側端子32のうち一方との間に介在するように設けられている。この場合、選択回路40は、I/Oユニット14の後段に設けられる他のI/Oユニット14のスレーブ処理回路26について、接続相手となるマスター処理回路16を変更する。
【0057】
図4は、選択回路40の配置を変更したI/Oユニット14’を表す図である。
【0058】
図4に示すように、選択回路40は、スレーブ処理回路26と、2つの前段側端子30のうち一方との間に介在するように設けられてもよい。その場合、選択回路40は、自身と同じI/Oユニット14のスレーブ処理回路26について、接続相手となるマスター処理回路16を変更する。
【0059】
このように、選択回路40は、スレーブ処理回路26に対して後段側端子32側に設けられるか、前段側端子30側に設けられるかによって、その作用が異なる。これを踏まえ、I/Oユニット14’は、スレーブ処理回路26よりも後段側端子32側に設けられる選択回路40と、スレーブ処理回路26よりも前段側端子30側に設けられる別の選択回路40とを備えてもよい。
【0060】
(変形例2)
図5は、変形例2に係るI/Oユニット14’’(14)を表す図である。
【0061】
I/Oユニット14’’は、4つの前段側端子30と、4つの後段側端子32と、選択回路40’とを備える。
【0062】
選択回路40’は、変形例1と同様に、各種スイッチ等を適宜含む。選択回路40’は、互いに接続される複数の前段側端子30と複数の後段側端子32との組み合わせを、第1の接続関係(図5の実線)と第2の接続関係(図5の破線)とのうちから選択する。第1の接続関係は、複数の前段側端子30の各々が、自身について予め決められた2つの後段側端子32の一方と接続される接続関係である。第2の接続関係は、複数の前段側端子30の各々が、自身について予め決められた前述の2つの後段側端子32の他方と接続される接続関係である。第1の接続関係と第2の接続関係とのいずれの場合においても、複数の前段側端子30は、互いに異なる後段側端子32と接続される。
【0063】
選択回路40’は、I/Oユニット14’’のうち、スレーブ処理回路26よりも後段側端子32側に設けられてもよい。この場合、選択回路40’は、I/Oユニット14’’の後段に設けられる別のI/Oユニット14のスレーブ処理回路26の接続相手となるマスター処理回路16を変更する。また、選択回路40’は、I/Oユニット14’’のうち、スレーブ処理回路26よりも前段側端子30側に設けられてもよい。この場合、選択回路40’は、自身が備えられたI/Oユニット14’’のスレーブ処理回路26の接続相手となるマスター処理回路16を変更する。
【0064】
図6は、変形例2に係るI/Oユニット14’’を有する通信システム10’を表す図である。図6中、4つのマスター処理回路16のそれぞれに付した数字1~4と、4つのスレーブ処理回路26のそれぞれに付した数字1~4とは、マスター処理回路16と、そのマスター処理回路16に接続されたスレーブ処理回路26との対応関係を示す。
【0065】
本変形例によれば、図6に示すように、I/Oユニット14’’の全体的な構成が共通化される。また、選択回路40’の部分のみの変更(選択)により、複数のスレーブ処理回路26を互いに異なるマスター処理回路16に接続することが可能となる。
【0066】
(変形例3)
通信カプラユニット12がマスター処理回路16を2つ以上有する場合において、2つのマスター処理回路16のうち一方は、他方の冗長回路であってもよい。これにより、通信システム10の安全性と信頼性とが良好になる。
【0067】
[実施の形態から得られる発明]
上記実施の形態および変形例から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0068】
<第1の発明>
第1の発明は、マスターユニット(12)と機器(104)とを接続し、前記マスターユニットと前記機器との間で信号を伝送するI/Oユニット(14)であって、前段に設けられる前記マスターユニットまたは前段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するための複数の前段側端子(30)と、後段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するために設けられ、互いに異なる前記前段側端子と接続される複数の後段側端子(32)と、複数の前記前段側端子のうちの1つと、その1つの前記前段側端子と接続される前記後段側端子とに接続され、信号処理を行うスレーブ処理回路(26)と、を備える。
【0069】
これにより、ステーション内での増設が容易なI/Oユニットが提供される。
【0070】
第1の発明は、互いに接続される複数の前記前段側端子と複数の前記後段側端子との組み合わせを選択する選択回路(40)を備えてもよい。これにより、I/Oユニットの全体的な構成は維持しつつ、選択回路の部分のみの変更によって、複数の前記前段側端子と複数の前記後段側端子との組み合わせを変更することができる。
【0071】
前記マスターユニットは、複数のマスター処理回路(16)を有し、複数の前記前段側端子は、互いに異なる前記マスター処理回路に接続されてもよい。これにより、I/Oユニットには、複数のマスター処理回路から信号が入力される。複数あるうちの1つのマスター処理回路の信号はスレーブ処理回路で処理され、他のマスター処理回路の信号は後段側へと素通りする。
【0072】
前記スレーブ処理回路に接続される前記前段側端子および前記後段側端子は、前記スレーブ処理回路を介して互いに接続されてもよい。これにより、複数のI/Oユニットが順次接続されることで、複数のスレーブ処理回路がデイジーチェーン接続される。
【0073】
第1の発明は、前記スレーブ処理回路と前記機器とを接続し、前記スレーブ処理回路が前記機器と信号の入出力を行うためのインターフェース(28)をさらに備えてもよい。
【0074】
<第2の発明>
第2の発明は、マスターユニット(12)と、前記マスターユニットに接続され、前記マスターユニットと機器(104)との間で信号を伝送する複数のI/Oユニット(14)とを有する通信システム(10)であって、前記マスターユニットは、信号処理を行う複数のマスター処理回路(16)と、互いに異なる前記マスター処理回路に接続された複数の支流端子(22)と、を備え、複数の前記I/Oユニットの各々は、前段に設けられる前記マスターユニットまたは前段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するための複数の前段側端子(30)と、後段に設けられる他の前記I/Oユニットと接続するために設けられ、互いに異なる前記前段側端子と接続された複数の後段側端子(32)と、複数の前記前段側端子のうちの1つと、その1つの前記前段側端子と接続された前記後段側端子とに接続され、信号処理を行うスレーブ処理回路(26)と、を備え、複数の前記I/Oユニットは、前記スレーブ処理回路が第1の前記マスター処理回路に接続された複数の第1のI/Oユニット(14A)と、第1のマスター処理回路とは異なる第2の前記マスター処理回路に前記スレーブ処理回路が接続された複数の第2のI/Oユニット(14B)と、を有する。
【0075】
これにより、ステーション内でのI/Oユニットの増設が容易な通信システムが提供される。
【0076】
第1の前記マスター処理回路は、第2の前記マスター処理回路の冗長回路であってもよい。これにより、通信システムの安全性および信頼性が良好になる。
【0077】
複数の前記I/Oユニットの各々は、前記スレーブ処理回路と前記機器とを接続し、前記スレーブ処理回路が前記機器と信号の入出力を行うためのインターフェース(28)をさらに備えてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6