特許 7568834 サイドエアバッグ装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-10-07

(45)【発行日】2024-10-16

(54)【発明の名称】サイドエアバッグ装置

(51)【国際特許分類】

   B60R 21/233 20060101AFI20241008BHJP

   B60R 21/207 20060101ALI20241008BHJP

   B60N 2/42 20060101ALI20241008BHJP

【ＦＩ】

B60R21/233

B60R21/207

B60N2/42

【請求項の数】 11

(21)【出願番号】P 2023515500

(86)(22)【出願日】2022-04-20

(86)【国際出願番号】 JP2022018303

(87)【国際公開番号】W WO2022224992

(87)【国際公開日】2022-10-27

【審査請求日】2023-09-12

(31)【優先権主張番号】P 2021071526

(32)【優先日】2021-04-21

(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP

(73)【特許権者】

【識別番号】503358097

【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー

(74)【代理人】

【識別番号】100124110

【弁理士】

【氏名又は名称】鈴木 大介

(74)【代理人】

【識別番号】100120400

【弁理士】

【氏名又は名称】飛田 高介

(72)【発明者】

【氏名】小林 優斗

(72)【発明者】

【氏名】桜井 努

【審査官】神田 泰貴

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１９－０３１２２０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１９－０３４７１０（ＪＰ，Ａ）

【文献】国際公開第２０２０／０３６０４８（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特開２００６－００８１０５（ＪＰ，Ａ）

【文献】国際公開第２０２０／２５５８１７（ＷＯ，Ａ１）

【文献】米国特許出願公開第２０１９／０１６１０５２（ＵＳ，Ａ１）

【文献】国際公開第２０１９／１１０７０５（ＷＯ，Ａ１）

【文献】韓国公開特許第１０－２０１７－００５１８２４（ＫＲ，Ａ）

【文献】特開２０１６－００７９０２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１３－１４７０４１（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許出願公開第２０１５／００６１２６７（ＵＳ，Ａ１）

【文献】特開２０２１－０６６４２６（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６０Ｒ ２１／１６ － ２１／３３

Ｂ６０Ｎ ２／４２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

インフレータと、車両用シートのシートバックの側部に設けられ、該インフレータから供給されるガスを利用して前記車両用シートの乗員の側方へ膨張展開する袋状のクッションとを備えるサイドエアバッグ装置において、
前記クッションは、
前記インフレータが内部に挿入されていて、前記車両用シートの乗員の側方へ膨張展開するメインチャンバと、
前記メインチャンバの乗員側の面から前記車両用シートに向かって突出するように設けられていて、該メインチャンバの膨張展開時に前記車両用シートの乗員に向かって突出し該乗員の頭部を受け止めるサブチャンバと、
前記メインチャンバと前記サブチャンバをつなぐパネルとを含み、
前記パネルは、
少なくとも前記サブチャンバの下端部分よりも上方で前記メインチャンバに接続され、前記メインチャンバの乗員側の面よりも乗員側で前記サブチャンバに接続されていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。

【請求項2】

前記パネルは、少なくとも３辺を有するパネルであって、
前記メインチャンバのうち前記サブチャンバの下端部分よりも上方に位置する第１箇所と、前記サブチャンバの前端のうち乗員側に位置する第２箇所と、前記メインチャンバのうち前記サブチャンバの下端部分の前方またはその付近の第３箇所とに接続されていることを特徴とする請求項１に記載のサイドエアバッグ装置。

【請求項3】

前記パネルは、前記クッションの膨張展開時に該クッションの前方に位置していることを特徴とする請求項１または２に記載のサイドエアバッグ装置。

【請求項4】

前記パネルは、前記クッションの前端に位置していることを特徴とする請求項３に記載のサイドエアバッグ装置。

【請求項5】

前記メインチャンバは、前記インフレータから供給されたガスを排気するベントホールを有し、
前記サブチャンバは、前記メインチャンバとは別体の基布で形成されていて、前記メインチャンバと前記サブチャンバの接続部分で前記ベントホールに連通し該ベントホールから排気されたガスを導入するガス導入口を有することを特徴とする請求項１から４のいずれか１項に記載のサイドエアバッグ装置。

【請求項6】

前記サブチャンバは、前記メインチャンバとは一体の基布で形成されていて、
前記クッションはさらに、前記メインチャンバと前記サブチャンバとの間に形成され、前記メインチャンバから前記サブチャンバへガスを導入するダクトを有することを特徴とする請求項１から４のいずれか１項に記載のサイドエアバッグ装置。

【請求項7】

前記サブチャンバは、前記車両用シートに着座した乗員の肩部よりも高く頭部よりも低い位置に設定されていることを特徴とする請求項１から６のいずれか１項に記載のサイドエアバッグ装置。

【請求項8】

前記メインチャンバは、膨張展開時に上方に隆起して、前記車両用シートの乗員の側方へ膨張展開する隆起部と、膨張展開時に該隆起部の下方に位置する基部とを含み、
前記サブチャンバは、前記基部から乗員側に膨張展開して、前記隆起部の乗員側の面よりも前記車両用シートに向かって突出し、乗員の頭部が下方に移動したとき頭部を受け止める支持部を含み、
前記パネルは、前記メインチャンバの前記隆起部と前記サブチャンバの前記支持部とをつなぐことを特徴とする請求項１に記載のサイドエアバッグ装置。

【請求項9】

前記クッションはさらに、前記基部から乗員側の反対側に膨張展開する他のサブチャンバを含み、
前記他のサブチャンバは、前記隆起部の乗員側の反対側の面よりも前記車両用シートに隣接する他の車両用シートに向かって突出し、該他の車両用シートの乗員の頭部が下方に移動したとき頭部を受け止める他の支持部を含むことを特徴とする請求項８に記載のサイドエアバッグ装置。

【請求項10】

前記クッションはさらに、前記メインチャンバの前記隆起部と前記他のサブチャンバの前記他の支持部とをつなぐ他のパネルを含むことを特徴とする請求項９に記載のサイドエアバッグ装置。

【請求項11】

前記パネルは、非膨張のパネルであることを特徴とする請求項１から１０のいずれか１項に記載のサイドエアバッグ装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、車両の側突時などに、車両用シートの乗員の側方へ膨張展開する袋状のクッションを備えたサイドエアバッグ装置に関するものである。

【背景技術】

【0002】

近年の車両にはエアバッグ装置がほぼ標準装備されている。エアバッグ装置は、車両衝突などの緊急時に作動する安全装置であって、ガス圧でクッションを膨張展開させて乗員を受け止めて保護する。一例としてサイドエアバッグ装置は、車両の側突時などに、車両用シートの乗員の側方へ膨張展開する袋状のクッションを備えている。

【0003】

通常、車両に横方向からの衝撃が加わった場合、乗員は、車幅方向に移動する。例えば、助手席側のサイドドアに他の車両や電柱などの物体（衝突物）が衝突する側突が生じた場合、乗員を保護するサイドエアバッグは２種類に大別される。１つ目はいわゆるニアサイドエアバッグである。ニアサイドエアバッグは、助手席とサイドドアとの間で膨張展開し、衝突物接触側の乗員（ニアサイド側乗員；この場合は助手席側乗員）がサイドドアに衝突するのを防ぐ。２つ目はいわゆるファーサイドエアバッグ（例えば特許文献１）である。ファーサイドエアバッグは、運転席と助手席との間で膨張展開し、横方向からの衝撃によって車両中央に移動する乗員（ファーサイド側乗員；この場合はドライバ側乗員）を保護する。

【0004】

特許文献１には、ファーサイドエアバッグと、ファーサイドエアバッグに連結されたテンションテザーとを備えた車両用安全装置が記載されている。テンションテザーは、その長手方向両端部がシートバックフレームに連結され、ファーサイドエアバッグの膨張展開状態で、シートバックフレームの上端部におけるヘッドレストよりも車両外側の部分から上方側へ延びて、さらにヘッドレストにシート後方側から引っ掛かる。そしてテンションテザーは、ヘッドレストの上面からファーサイドエアバッグの上面へ延び、さらにファーサイドエアバッグの車両内側を通ってシートバックフレームへ延びる。

【0005】

特許文献１では、テンションテザーによってファーサイドエアバッグが車幅方向内側から支持され、しかも、ファーサイドエアバッグが膨張展開する際に乗員とテンションテザーとを接触しないようにできるので、ファーサイドエアバッグの展開方向を安定させることができる、としている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0006】

【文献】特開２０１４－５１１３８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0007】

特許文献１の車両用安全装置では、テンションテザーによってファーサイドエアバッグを車幅方向内側から支持し、さらにファーサイドエアバッグが膨張展開する際に乗員とテンションテザーとが接触しないようにする必要がある。このため、テンションテザーの取付け位置に制約があり、取り付け作業も手間となる。また、ファーサイドエアバッグの膨張展開時にテンションテザーが所定位置からずれると、ファーサイドエアバッグの展開方向を安定させることが困難となる。

【0008】

本発明は、このような課題に鑑み、乗員の保護性能を向上させることができるサイドエアバッグ装置を提供することを目的としている。

【課題を解決するための手段】

【0009】

上記課題を解決するために、本発明にかかるサイドエアバッグ装置の代表的な構成は、インフレータと、車両用シートのシートバックの側部に設けられ、インフレータから供給されるガスを利用して車両用シートの乗員の側方へ膨張展開する袋状のクッションとを備えるサイドエアバッグ装置において、クッションは、インフレータが内部に挿入されていて、車両用シートの乗員の側方へ膨張展開するメインチャンバと、メインチャンバの乗員側の面から前記車両用シートに向かって突出するように設けられていて、メインチャンバの膨張展開時に車両用シートの乗員に向かって突出し乗員の頭部を受け止めるサブチャンバと、メインチャンバとサブチャンバをつなぐパネルとを含み、パネルは、少なくともサブチャンバの下端部分よりも上方でメインチャンバに接続され、メインチャンバの乗員側の面よりも乗員側でサブチャンバに接続されていることを特徴とする。

【0010】

上記構成では、クッションは、膨張展開した状態でメインチャンバが車両用シートの乗員の側方へ膨張展開し、サブチャンバが車両用シートの乗員に向かって突出し乗員の頭部を受け止める。さらに膨張展開した状態のクッションでは、メインチャンバとサブチャンバをつなぐパネルがメインチャンバとサブチャンバから引っ張られて、メインチャンバとサブチャンバの間で平面を形成する。このため、パネルは、クッションの膨張展開時にサブチャンバを支持することができる。

【0011】

したがって上記構成によれば、衝突時に乗員の頭部が車両下方に移動すると、サブチャンバに頭部が受け止められるだけでなく、パネルがサブチャンバを支持することで、乗員の頭部が下方に移動することを抑制できる。また、衝突時に乗員の頭部が車両前方に移動すると、平面を形成したパネルが乗員の頭部を受け止めることで、乗員の頭部が前方に移動することを抑制できる。このようにして上記構成によれば、乗員の保護性能を向上させることができる。

【0012】

上記のパネルは、少なくとも３辺を有するパネルであって、メインチャンバのうちサブチャンバの下端部分よりも上方に位置する第１箇所と、サブチャンバの前端のうち乗員側に位置する第２箇所と、メインチャンバのうちサブチャンバの下端部分の前方またはその付近の第３箇所とに接続されているとよい。

【0013】

これにより、膨張展開した状態のクッションでは、メインチャンバとサブチャンバをつなぐパネルが、メインチャンバに位置する第１箇所および第３箇所と、サブチャンバの第２箇所とから引っ張られる。このため、パネルは、クッションの膨張展開時にメインチャンバとサブチャンバの間で平面をより確実に形成して、サブチャンバを支持することができ、さらに乗員の頭部を受け止めることができる。

【0014】

上記のパネルは、クッションの膨張展開時にクッションの前方に位置しているとよい。さらに上記のパネルは、クッションの前端に位置しているとよい。

【0015】

これにより、パネルは、膨張展開した状態のクッションの前方または前端において、メインチャンバとサブチャンバの間で平面を形成することになる。このため、パネルは、衝突時に乗員の頭部が車両中央側の斜め前方に移動したとき、乗員の頭部を確実に受け止めることができる。なおパネルの前後方向の位置は、車両用シートに正規の姿勢で着座した乗員の正面方向を前とし、背面方向を後ろとする。

【0016】

上記のメインチャンバは、インフレータから供給されたガスを排気するベントホールを有し、サブチャンバは、メインチャンバとは別体の基布で形成されていて、メインチャンバとサブチャンバの接続部分でベントホールに連通しベントホールから排気されたガスを導入するガス導入口を有するとよい。

【0017】

これにより、膨張展開したクッションのメインチャンバのベントホールからサブチャンバのガス導入口を介して、サブチャンバにガスが導入される。このようにしてクッションのメインチャンバおよびサブチャンバが膨張展開する。さらに、サブチャンバは、メインチャンバとは別体であるため、メインチャンバとは別体の基布によって適宜の形状を設定し易い。

【0018】

上記のサブチャンバは、メインチャンバとは一体の基布で形成されていて、クッションはさらに、メインチャンバとサブチャンバとの間に形成され、メインチャンバからサブチャンバへガスを導入するダクトを有するとよい。

【0019】

これにより、クッションのメインチャンバが膨張展開した後、ダクトを介して、メインチャンバからサブチャンバにガスが導入される。このようにしてクッションのサブチャンバを、メインチャンバよりも遅れて膨張展開するディレイチャンバとして機能させることができる。このため、サブチャンバは、乗員から見て遠い側（ファーサイド）の衝突時の慣性によって、乗員が車幅方向中央（ファーサイド）に向かって移動する間に、ディレイチャンバとして膨張展開して、乗員の頭部をより確実に受け止めて保護することができる。

【0020】

上記のサブチャンバは、車両用シートに着座した乗員の肩部よりも高く頭部よりも低い位置に設定されているとよい。

【0021】

これにより、膨張展開した状態のクッションでは、衝突時に乗員の頭部が車両下方に移動するとき、サブチャンバで乗員の頭部をより確実に受け止めて、頭部の移動を抑制することができる。

【0022】

上記のメインチャンバは、膨張展開時に上方に隆起して、車両用シートの乗員の側方へ膨張展開する隆起部と、膨張展開時に隆起部の下方に位置する基部とを含み、サブチャンバは、基部から乗員側に膨張展開して、隆起部の乗員側の面よりも車両用シートに向かって突出し、乗員の頭部が下方に移動したとき頭部を受け止める支持部を含み、パネルは、メインチャンバの隆起部とサブチャンバの支持部とをつなぐとよい。

【0023】

上記構成では、メインチャンバは、隆起部と基部とを含み、隆起部が上方に隆起して、車両用シートの乗員の側方へ膨張展開し、基部が隆起部の下方に膨張展開する。そしてサブチャンバは、基部から乗員側に膨張展開して、支持部が車両用シートの乗員に向かって突出し乗員の頭部を受け止める。さらに膨張展開した状態のクッションでは、メインチャンバの隆起部とサブチャンバの支持部とをつなぐパネルが、隆起部と支持部から引っ張られて、隆起部と支持部の間で平面を形成する。このため、パネルは、クッションの膨張展開時にサブチャンバの支持部を支持することができる。

【0024】

したがって上記構成によれば、衝突時に乗員の頭部が車両下方に移動すると、サブチャンバの支持部に頭部が受け止められるだけでなく、パネルがサブチャンバの支持部を支持することで、乗員の頭部が下方に移動することを抑制できる。また、衝突時に乗員の頭部が車両前方に移動すると、平面を形成したパネルが乗員の頭部を受け止めることで、乗員の頭部が前方に移動することを抑制できる。このようにして上記構成によれば、乗員の保護性能を向上させることができる。

【0025】

上記のクッションはさらに、基部から乗員側の反対側に膨張展開する他のサブチャンバを含み、他のサブチャンバは、隆起部の乗員側の反対側の面よりも車両用シートに隣接する他の車両用シートに向かって突出し、他の車両用シートの乗員の頭部が下方に移動したとき頭部を受け止める他の支持部を含むとよい。

【0026】

これにより、他のサブチャンバは、基部から乗員側の反対側に膨張展開して、支持部が、車両用シートに隣接する他の車両用シートの乗員に向かって突出し乗員の頭部を受け止める。したがって、衝突時に他の車両用シートの乗員の頭部が車両下方に移動すると、他のサブチャンバの支持部によって頭部を受け止めることができる。

【0027】

上記のクッションはさらに、メインチャンバの隆起部と他のサブチャンバの他の支持部とをつなぐ他のパネルを含むとよい。

【0028】

これにより、膨張展開した状態のクッションでは、他のパネルが、メインチャンバの隆起部と他のサブチャンバの他の支持部から引っ張られて、隆起部と他の支持部の間で平面を形成する。このため、他のパネルは、クッションの膨張展開時に他のサブチャンバの他の支持部を支持することができる。

【0029】

したがって上記構成によれば、衝突時に乗員の頭部が車両下方に移動すると、他のサブチャンバの他の支持部に頭部が受け止められるだけでなく、他のパネルが他の支持部を支持することで、乗員の頭部が下方に移動することを抑制できる。また、衝突時に乗員の頭部が車両前方に移動すると、平面を形成した他のパネルが乗員の頭部を受け止めることで、乗員の頭部が前方に移動することを抑制できる。このようにして上記構成によれば、乗員の保護性能を向上させることができる。

【0030】

上記のパネルは、非膨張のパネルであるとよい。このように、非膨張のパネルがメインチャンバとサブチャンバをつなぐことで、サブチャンバを確実に支持して、乗員の頭部が下方に移動することを抑制できる。また、衝突時に乗員の頭部が車両前方に移動すると、平面を形成した非膨張のパネルが乗員の頭部を受け止めることで、乗員の頭部が前方に移動することを確実に抑制できる。

【発明の効果】

【0031】

本発明によれば、乗員の保護性能を向上させることができるサイドエアバッグ装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0032】

【図1】本発明の実施形態におけるサイドエアバッグ装置の概要を例示する図である。

【図2】図１（ｂ）の車両用シートに乗員が着座しているときのサイドエアバッグ装置を例示する図である。

【図3】図１（ｂ）のクッションを形成する過程を例示した図である。

【図4】図１（ｂ）のクッションの変形例およびその形成過程を例示する図である。

【図5】図１（ｂ）のクッションの他の変形例を例示する図である。

【図6】図５のクッションの変形例を例示する図である。

【発明を実施するための形態】

【0033】

以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。

【0034】

図１は、本発明の実施形態におけるサイドエアバッグ装置１００の概要を例示する図である。図１（ａ）は、車両１０２内の一部を示す斜視図である。図１（ｂ）は、図１（ａ）のサイドエアバッグ装置１００を車両用シート１０４とともに示す図である。

【0035】

本実施形態においては、乗員が正規の姿勢で座席に着座した際に、乗員が向いている方向を前方、その反対方向を後方と称する。また乗員が正規の姿勢で座席に着座した際に、乗員の右側を右方向、乗員の左側を左方向と称する。更に、乗員が正規の姿勢で着座した際に、乗員の頭部方向を上方、乗員の腰部方向を下方と称する。そして、以下の説明において用いる図面では、必要に応じて、上述した乗員を基準とした前後左右上下方向を、Ｆｒｏｎｔ、Ｂａｃｋ、Ｌｅｆｔ、Ｒｉｇｈｔ、Ｕｐ、Ｄｏｗｎと示す。

【0036】

サイドエアバッグ装置１００は、図１（ａ）に点線で示すように、車両用シート１０４のシートバック１０６の車両中央側の側部に埋設されている。車両用シート１０４は、車両１０２内の右側前部座席（例えば、運転席）であり、シートバック１０６に加え、乗員が着座するシートクッション１０８を有する。

【0037】

車両１０２には、車両用シート１０４に隣接する車両用シート１１０が配置されている。車両用シート１１０は、左側前部座席（例えば、助手席）であり、シートバック１１２およびシートクッション１１４を有している。また、車両用シート１１０の車両外側には、サイドドア１１６が位置している。

【0038】

なお上記サイドエアバッグ装置１００は、車両用シート１１０のシートバック１１２の車両中央側の側面に埋設してもよく、あるいは、シートバック１１２の車両外側の側面すなわちサイドドア１１６に面する側に埋設してもよい。

【0039】

サイドエアバッグ装置１００は、図１（ｂ）に示すように、袋状のクッション１１８を備える。クッション１１８は、ガス発生装置であるインフレータ１２０から供給されるガスを利用して、車両用シート１０４の乗員１２２（図２参照）の側方へ膨張展開する。クッション１１８は、例えば、その表面を構成する基布を表裏で縫製したり、ＯＰＷ（One-Piece Woven）を用いて紡織したりすることにより袋状に形成される。

【0040】

図２は、図１（ｂ）の車両用シート１０４に乗員１２２が着座しているときのサイドエアバッグ装置１００を例示する図である。図２（ａ）、図２（ｂ）は、クッション１１８が膨張展開した状態のサイドエアバッグ装置１００を車両前側、車幅方向外側から見た状態をそれぞれ例示している。

【0041】

クッション１１８は、図１（ｂ）に示すようにメインチャンバ１２４と、サブチャンバ１２６と、非膨張のパネル１２８とを含む。メインチャンバ１２４は、インフレータ１２０が内部に挿入されていて、図２（ａ）に示す車両用シート１０４の乗員１２２の側方へ膨張展開する。

【0042】

サブチャンバ１２６は、メインチャンバ１２４とは別体の基布で形成されたチャンバであって、接続部分１３０を介してメインチャンバ１２４に接続されている。またサブチャンバ１２６は、メインチャンバ１２４の乗員側の面１２７から車両用シート１０４に向かって突出するように設けられていて、メインチャンバ１２４の膨張展開時に図２（ａ）に示すように車両用シート１０４の乗員１２２に向かって突出する。

【0043】

非膨張のパネル１２８は、メインチャンバ１２４とサブチャンバ１２６をつなぐ３辺を有する別体のパネルであって、第１箇所１３２、第２箇所１３４および第３箇所１３６に接続されている。なお非膨張のパネル１２８は、別体のパネルに限らず、メインチャンバ１２４またはサブチャンバ１２６と一体であってもよい。第１箇所１３２は、メインチャンバ１２４に位置していて、サブチャンバ１２６の下端部分１３７よりも上方に位置している。

【0044】

第２箇所１３４は、図１（ｂ）および図２（ａ）に示すようにサブチャンバ１２６に位置していて、メインチャンバ１２４の乗員側の面１２７よりも乗員側に位置し、サブチャンバ１２６の前端１３８のうち乗員側に位置している。第３箇所１３６は、図１（ｂ）および図２（ｂ）に示すようにメインチャンバ１２４に位置していて、サブチャンバ１２６の下端部分１３７の前方またはその付近、あるいは、接続部分１３０の前端１４０よりも前方またはその付近に位置している。

【0045】

また図２（ａ）では、側突に伴う横方向の衝撃（矢印Ａ参照）を車両１０２が受け、乗員１２２が慣性によって車両中央側に向かう横方向の衝撃（矢印Ｂ参照）を受けて車両中央側に移動する状態を示している。つまり、側突に伴う乗員１２２の動線軸は、これら矢印Ａ、Ｂで示される横方向（すなわち車幅方向）となる。

【0046】

サイドエアバッグ装置１００は、図２（ａ）に示すように、矢印Ｂで示される方向に移動した乗員１２２の例えば頭部１４２を、膨張展開したクッション１１８によって受け止める。

【0047】

具体的には、膨張展開した状態のクッション１１８では、メインチャンバ１２４とサブチャンバ１２６をつなぐ非膨張のパネル１２８が、メインチャンバ１２４に位置する第１箇所１３２および第３箇所１３６と、サブチャンバ１２６の第２箇所１３４とから引っ張られる。このため、非膨張のパネル１２８は、クッション１１８の膨張展開時にメインチャンバ１２４とサブチャンバ１２６の間で平面Ｃをより確実に形成して、サブチャンバ１２６を支持することができる。

【0048】

また図２（ｂ）に示すようにクッション１１８では、膨張展開した状態でサブチャンバ１２６が、乗員１２２の肩部１４４よりも高く頭部１４２よりも低い位置に設定されている。

【0049】

ここで側突時に図２（ａ）の矢印Ｂで示す方向に乗員１２２の頭部１４２が移動し、さらに図２（ｂ）の矢印Ｄに示すように頭部１４２が車両下方に移動する場合を想定する。この場合、クッション１１８では、サブチャンバ１２６が車両用シート１０４の乗員１２２に向かって突出することにより、乗員１２２の頭部１４２を受け止めて、さらに非膨張のパネル１２８がサブチャンバ１２６を支持することで、頭部１４２が下方に移動することを抑制できる。

【0050】

また側突時に図２（ａ）の矢印Ｂで示す方向に乗員１２２の頭部１４２が移動し、さらに図２（ｂ）の矢印Ｅに示すように頭部１４２が車両前方に移動した場合を想定する。この場合、クッション１１８では、平面Ｃを形成した非膨張のパネル１２８が乗員１２２の頭部１４２を受け止めることで、頭部１４２が前方に移動することを抑制できる。このようにしてサイドエアバッグ装置１００によれば、乗員１２２の保護性能を向上させることができる。

【0051】

ここでクッション１１８は、図２（ｂ）に示す膨張展開した状態で前後方向において、サブチャンバ１２６のうち第２箇所１３４すなわちサブチャンバ１２６の前端１３８よりも、メインチャンバ１２４のうち第３箇所１３６すなわちメインチャンバ１２４の前端に相当する箇所の方が前方に位置している。ただしクッション１１８において接続部分１３０をより前方に設定したり、メインチャンバ１２４やサブチャンバ１２６の形状を変更したりすれば、クッション１１８の膨張展開時に、サブチャンバ１２６の前端１３８の方が、メインチャンバ１２４の第３箇所１３６よりも前方に位置する場合もあり得る。このようなクッション１１８において、非膨張のパネル１２８は、膨張展開した状態のクッション１１８の前端、すなわちサブチャンバ１２６の前端１３８やメインチャンバ１２４の前端となる第３箇所１３６、あるいは、これらの前端付近を含むクッション１１８の前方に位置している。

【0052】

これにより、非膨張のパネル１２８は、膨張展開した状態のクッション１１８の前方または前端において、メインチャンバ１２４とサブチャンバ１２６の間で平面Ｃを形成することになる。このため、非膨張のパネル１２８は、衝突時に乗員１２２の頭部１４２が車両中央側の斜め前方に移動したとき、乗員１２２の頭部１４２を確実に受け止めることができる。なお非膨張のパネル１２８の前後方向の位置は、車両用シート１０４に正規の姿勢で着座した乗員１２２の正面方向を前とし、背面方向を後ろとする。

【0053】

なお非膨張のパネル１２８は、ここでは三角形としたが、これに限らず、台形などの多角形としてもよい。非膨張のパネルを多角形にした場合には、クッション１１８の膨張展開時に生じる、図２（ａ）に点線で示すテンションラインＦの近傍に非膨張のパネルの上端辺１４６を位置させることにより、平面Ｃをより確実に形成することができる。

【0054】

図３は、図１（ｂ）のクッション１１８を形成する過程を例示した図である。図３（ａ）に示すようにメインチャンバ１２４は、乗員側の面１２７に複数（ここでは４つ）のベントホール１４８を有する。サブチャンバ１２６は、メインチャンバ１２４とは別体の基布で形成されていて、複数（ここでは４つ）のガス導入口１５０を有する。

【0055】

そして図３（ａ）の矢印Ｇに示すように、サブチャンバ１２６をメインチャンバ１２４に接近させて、ガス導入口１５０とベントホール１４８を重ねてその周囲を縫製するなどして、図３（ｂ）に示す接続部分１３０を形成する。

【0056】

図３（ｂ）に示すように接続部分１３０では、サブチャンバ１２６のガス導入口１５０が、メインチャンバ１２４のベントホール１４８に連通し、ベントホール１４８から排気されたガスをサブチャンバ１２６に導入することができる。

【0057】

さらに、図３（ｂ）の矢印Ｈに示すように非膨張のパネル１２８を、サブチャンバ１２６の前端１３８と、接続部分１３０の前端１４０と、メインチャンバ１２４とに接近させる。続いて、図３（ｃ）に示すように非膨張のパネル１２８を、メインチャンバ１２４に位置する第１箇所１３２および第３箇所１３６と、サブチャンバ１２６に位置する第２箇所１３４とに接続して、メインチャンバ１２４とサブチャンバ１２６をつなぐようにする。このようにして、図１（ｂ）に示すクッション１１８を形成することができる。

【0058】

膨張展開したクッション１１８のメインチャンバ１２４のベントホール１４８からサブチャンバ１２６のガス導入口１５０を介して、サブチャンバ１２６にガスが導入される。そのため、メインチャンバ１２４およびサブチャンバ１２６をより確実に膨張展開させることができる。また、サブチャンバ１２６は、メインチャンバ１２４とは別体であるため、メインチャンバ１２４とは別体の基布によって適宜の形状を設定し易い。

【0059】

なおサブチャンバ１２６は、その前端１３８が乗員側に向かうほど、すなわちメインチャンバ１２４から遠ざかるほど厚みが小さく先細りになるような形状を形成している。これにより、乗員１２２の頭部１４２がメインチャンバ１２４側に移動した場合に厚みのある部分で頭部１４２をより確実に保護することができる。

【0060】

図４は、図１（ｂ）のクッション１１８の変形例およびその縫製過程を例示する図である。変形例のクッション１１８Ａでは、図４（ａ）に示すように、メインチャンバ１２４Ａとサブチャンバ１２６Ａとが一体の基布で形成されている。

【0061】

クッション１１８Ａはさらに、ダクト１５２を有する。ダクト１５２は、メインチャンバ１２４Ａとサブチャンバ１２６Ａとの間に形成され、メインチャンバ１２４Ａからサブチャンバ１２６Ａへガスを導入する。なおメインチャンバ１２４Ａの内部には、インフレータ１２０Ａの一部が挿入されている。インフレータ１２０Ａは、本体１５４から突出したスタッドボルト１５６、１５８により、車両用シート１０４のシートバック１０６の側部に設置することができる。

【0062】

またメインチャンバ１２４Ａは、シーム部１６０、１６２を有する。サブチャンバ１２６Ａは、縫製しろ１６４を有する。そして、図４（ａ）の矢印Ｉに示すように、メインチャンバ１２４Ａとサブチャンバ１２６Ａとの間に形成されたダクト１５２の位置などを基準にして、サブチャンバ１２６Ａをメインチャンバ１２４Ａの乗員側の面１２７Ａに折り重ねる。これにより、サブチャンバ１２６Ａに形成された縫製しろ１６４は、図４（ｂ）に示すようにメインチャンバ１２４Ａのシーム部１６０、１６２に重なる。

【0063】

さらに、縫製しろ１６４とシーム部１６０、１６２とを重ねた状態で縫製して、図４（ｂ）の矢印Ｊに示すようにサブチャンバ１２６Ａを上方に折り返す。続いて、図４（ｃ）に示すように非膨張のパネル１２８Ａを、メインチャンバ１２４Ａに位置する第１箇所１３２Ａおよび第３箇所１３６Ａと、サブチャンバ１２６Ａに位置する第２箇所１３４Ａとに接続して、メインチャンバ１２４Ａとサブチャンバ１２６Ａをつなぐようにする。このようにして、変形例のクッション１１８Ａを形成することができる。なお第１箇所１３２Ａおよび第３箇所１３６Ａは、サブチャンバ１２６Ａの下端部分１３７Ａよりも上方に位置している。また第２箇所１３４Ａは、メインチャンバ１２４Ａの乗員側の面１２７Ａよりも乗員側に位置している。

【0064】

膨張展開した状態のクッション１１８Ａでは、メインチャンバ１２４Ａが膨張展開した後、ダクト１５２を介して、メインチャンバ１２４Ａからサブチャンバ１２６Ａにガスが導入される。このようにしてクッション１１８Ａでは、膨張展開時にサブチャンバ１２６Ａをメインチャンバ１２４Ａよりも遅れて膨張展開するディレイチャンバとして機能させることができる。

【0065】

このため、クッション１１８Ａでは、乗員１２２から見て遠い側（ファーサイド）の衝突時の慣性によって、乗員１２２が車幅方向中央（ファーサイド）に向かって移動する間に、サブチャンバ１２６Ａがディレイチャンバとして膨張展開して、乗員１２２の頭部１４２をより確実に受け止めて保護することができる。

【0066】

図５は、図１（ｂ）のクッション１１８の他の変形例を例示する図である。図５（ａ）は、変形例のクッション１１８Ｂが膨張展開した状態を示している。図５（ｂ）は、図５（ａ）のクッション１１８Ｂを上方から見た状態を示している。図５（ｃ）は、車両用シート１０４のシートバック１０６の車両中央側の側部に装着されたクッション１１８Ｂが膨張展開した状態を示している。

【0067】

変形例のクッション１１８Ｂは、インフレータ１２０Ｂから供給されるガスを利用して膨張展開する一体のチャンバであって、メインチャンバ１２４Ｂと、サブチャンバ１２６Ｂ、１２６Ｃとを含む。メインチャンバ１２４Ｂは、図５（ａ）に示すように隆起部１６６と基部１６８とを含む。隆起部１６６は、膨張展開時に上方に隆起して、乗員１２２の側方に膨張展開する。基部１６８は、隆起部１６６の下方に膨張展開する。

【0068】

サブチャンバ１２６Ｂは、基部１６８から乗員側に膨張展開し、支持部１７０を含む。支持部１７０は、図５（ｂ）および図５（ｃ）に示すように、隆起部１６６の乗員側の面１２７Ｂよりも車両用シート１０４に向かって突出し、乗員１２２の頭部１４２（図２参照）が下方に移動したとき頭部１４２を受け止める位置に設定されている。

【0069】

他のサブチャンバ１２６Ｃは、基部１６８から乗員側の反対側に膨張展開し、支持部１７２を含む。支持部１７２は、隆起部１６６の乗員側の反対側の面１２７Ｃよりも車両用シート１０４に隣接する他の車両用シート１１０に向かって突出し（図５（ｃ）参照）、他の車両用シート１１０の乗員の頭部が下方に移動したとき頭部を受け止める位置に設定されている。

【0070】

クッション１１８Ｂはさらに、非膨張のパネル１２８Ｂ、１２８Ｃを含む。非膨張のパネル１２８Ｂは、図５（ｃ）に示す隆起部１６６に位置する第１箇所１３２Ｂおよび第３箇所１３６Ｂと、支持部１７０に位置する第２箇所１３４Ｂとに接続されていて、メインチャンバ１２４Ｂの隆起部１６６とサブチャンバ１２６Ｂの支持部１７０をつないでいる。なお第１箇所１３２Ｂは、サブチャンバ１２６Ｂの支持部１７０よりも上方に位置している。第２箇所１３４Ｂは、隆起部１６６の乗員側の面１２７Ｂよりも乗員側に位置している。第３箇所１３６Ｂは、サブチャンバ１２６Ｂの支持部１７０と同程度の高さに位置しているが、支持部１７０の上方に位置させてもよい。

【0071】

また、非膨張のパネル１２８Ｃは、図５（ｃ）に示す隆起部１６６に位置する第１箇所１３２Ｃおよび第３箇所１３６Ｃと、支持部１７２に位置する第２箇所１３４Ｃとに接続されていて、メインチャンバ１２４Ｂの隆起部１６６とサブチャンバ１２６Ｃの支持部１７２をつないでいる。なお第１箇所１３２Ｃは、サブチャンバ１２６Ｃの支持部１７２よりも上方に位置している。第２箇所１３４Ｃは、隆起部１６６の乗員側の反対側の面１２７Ｃよりも他の車両用シート１１０側に位置している。第３箇所１３６Ｃは、サブチャンバ１２６Ｃの支持部１７２と同程度の高さに位置しているが、支持部１７２の上方に位置させてもよい。このようにして、変形例のクッション１１８Ｂを形成することができる。

【0072】

このようなクッション１１８Ｂによれば、衝突時に乗員１２２の頭部１４２が車両下方に移動した場合、サブチャンバ１２６Ｂの支持部１７０が車両用シート１０４の乗員１２２に向かって突出し頭部１４２を受け止めることができる。さらに、非膨張のパネル１２８Ｂは、隆起部１６６と支持部１７０から引っ張られて、隆起部１６６と支持部１７０の間で平面を形成する。このため、クッション１１８Ｂでは、非膨張のパネル１２８Ｂが支持部１７０を支持することができるため、頭部１４２が下方に移動することを抑制できる。

【0073】

また、クッション１１８Ｂでは、乗員１２２の頭部１４２が車両前方に移動した場合、平面を形成した非膨張のパネル１２８Ｂが頭部１４２を受け止めることで、頭部１４２が前方に移動することを抑制できる。

【0074】

さらにクッション１１８Ｂによれば、衝突時に他の車両用シート１１０に着座した乗員の頭部が車両下方に移動した場合、サブチャンバ１２６Ｃの支持部１７２が車両用シート１１０の乗員に向かって突出し頭部を受け止めることができる。さらに、非膨張のパネル１２８Ｃは、隆起部１６６と支持部１７２から引っ張られて、隆起部１６６と支持部１７２の間で平面を形成する。このため、クッション１１８Ｂでは、非膨張のパネル１２８Ｃが支持部１７２を支持することができるため、頭部が下方に移動することを抑制できる。

【0075】

また、クッション１１８Ｂでは、車両用シート１１０の乗員の頭部が車両前方に移動した場合、平面を形成した非膨張のパネル１２８Ｃが頭部を受け止めることで、頭部が前方に移動することを抑制できる。このようにしてクッション１１８Ｂによれば、乗員の保護性能を向上させることができる。

【0076】

図６は、図５のクッション１１８Ｂの変形例を例示する図である。図６（ａ）、図６（ｂ）は、膨張展開した変形例のクッション１１８Ｃを上方、側方からそれぞれ見た状態を示す図である。クッション１１８Ｃは、メインチャンバ１２４Ｂの隆起部１６６Ａが、膨張展開時に上方かつ前方に隆起している点で、上記クッション１１８Ｂと異なる。

【0077】

このようなクッション１１８Ｃでは、図６（ａ）および図６（ｂ）に示すように、隆起部１６６Ａが前方に突き出している。このため、図６（ａ）に示す隆起部１６６Ａの乗員側の面１２７Ｄおよび乗員側の反対側の面１２７Ｅは、車両前後方向の長さが、図５（ｂ）に示すクッション１１８Ｂの隆起部１６６の乗員側の面１２７Ｂおよび乗員側の反対側の面１２７Ｃよりも長くなっている。

【0078】

したがってクッション１１８Ｃでは、サブチャンバ１２６Ｂ、１２６Ｃの支持部１７０、１７２やパネル１２８Ｂ、１２８Ｃによって乗員の頭部を受け止めるだけでなく、隆起部１６６Ａの面１２７Ｄ、１２７Ｅによっても乗員の頭部を十分に受け止めることができる。このようにしてクッション１１８Ｃによれば、乗員の保護性能を向上させることができる。

【0079】

なおクッション１１８Ｂ、１１８Ｃでは、パネル１２８Ｂ、１２８Ｃによって、メインチャンバ１２４Ｂの隆起部１６６、１６６Ａとサブチャンバ１２６Ｂ、１２６Ｃの支持部１７０、１７２とをそれぞれつなぐようにしたが、これに限られず、パネル１２８Ｃを設けず、パネル１２８Ｂのみを設けるようにしてもよい。

【0080】

またパネル１２８、１２８Ａ、１２８Ｂ、１２８Ｃはいずれも非膨張のパネルとしたが、これに限られず、膨張展開時に、メインチャンバ１２４、１２４Ａ、１２４Ｂと、サブチャンバ１２６、１２６Ａ、１２６Ｂ、１２６Ｃとをつなぐことが可能であれば、非膨張でないパネルであってもよい。

【0081】

以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

【0082】

また、上記実施形態においては本発明にかかるサイドエアバッグ装置１００を自動車に適用した例を説明したが、自動車以外にも航空機や船舶などに適用することも可能であり、同様の作用効果を得ることができる。

【産業上の利用可能性】

【0083】

本発明は、車両の側突時などに、車両用シートの乗員の側方へ膨張展開する袋状のクッションを備えたサイドエアバッグ装置に利用することができる。

【符号の説明】

【0084】

１００…サイドエアバッグ装置、１０２…車両、１０４、１１０…車両用シート、１０６、１１２…シートバック、１０８、１１４…シートクッション、１１６…サイドドア、１１８、１１８Ａ、１１８Ｂ、１１８Ｃ…クッション、１２０、１２０Ａ…インフレータ、１２２…乗員、１２４、１２４Ａ、１２４Ｂ…メインチャンバ、１２６、１２６Ａ、１２６Ｂ、１２６Ｃ…サブチャンバ、１２７、１２７Ａ…メインチャンバの乗員側の面、１２７Ｂ、１２７Ｄ…隆起部の乗員側の面、１２７Ｃ、１２７Ｅ…隆起部の乗員側の反対側の面、１２８、１２８Ａ、１２８Ｂ、１２８Ｃ…非膨張のパネル、１３０…接続部分、１３２、１３２Ａ、１３２Ｂ、１３２Ｃ…第１箇所、１３４、１３４Ａ、１３４Ｂ、１３４Ｃ…第２箇所、１３６、１３６Ａ、１３６Ｂ、１３６Ｃ…第３箇所、１３７、１３７Ａ…サブチャンバの下端部分、１３８…サブチャンバの前端、１４０…接続部分の前端、１４２…乗員の頭部、１４４…乗員の肩部、１４６…非膨張のパネルの上端辺、１４８…ベントホール、１５０…ガス導入口、１５２…ダクト、１５４…インフレータの本体、１５６、１５８…スタッドボルト、１６０、１６２…シーム部、１６４…縫製しろ、１６６、１６６Ａ…隆起部、１６８…基部、１７０、１７２…支持部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】