(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】MRAM磁気トンネル接合のエッチング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/302 20060101AFI20241008BHJP
H10B 61/00 20230101ALI20241008BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241008BHJP
H10N 50/01 20230101ALI20241008BHJP
【FI】
H01L21/302 201B
H10B61/00
H01L21/302 301S
H01L21/302 101B
H10N50/01
(21)【出願番号】P 2023519989
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 CN2021100599
(87)【国際公開番号】W WO2022105218
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202011318813.7
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519453825
【氏名又は名称】江蘇魯▲もん▼儀器股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU LEUVEN INSTRUMENTS CO. LTD
【住所又は居所原語表記】Liaohe West Road 8, Pizhou Economic Development Zone Xuzhou, Jiangsu 221300, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】李 佳鶴
(72)【発明者】
【氏名】楊 宇新
(72)【発明者】
【氏名】彭 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】許 開東
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/176640(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/082716(WO,A1)
【文献】特開2015-173231(JP,A)
【文献】特開2014-112664(JP,A)
【文献】特開2020-043104(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0075847(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0069834(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H10B 61/00
H01L 21/3065
H10N 50/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MRAM磁気トンネル接合のエッチング方法であって、
イオンビームエッチング及び/又は反応性イオンエッチングを利用して、エッチング量がt1である条件で、磁気トンネル接合をエッチングする磁気トンネル接合のメインエッチングステップであって、イオンビームの入射角が10~60°であり、反応性イオンエッチングのバイアス電圧が400~1000Vであるステップ1と、
前記メインエッチングステップを行って得られた磁気トンネル接合を、エッチング量がt2である条件で、エッチングする磁気トンネル接合の洗浄ステップであって、t1
/t2が0.5以上であり、前記洗浄ステップにおけるエッチングは連続モード又はパルスモードの反応性イオンエッチングを含むステップ2と、を含み、
前記
ステップ2の反応性イオンエッチングのバイアス電圧が50V~400Vであり、パルスデューティー比が5%~50%であり、前記洗浄ステップにおけるエッチングが行われた後、下部電極又は下部絶縁層で形成されたエッチング形状は、矩形トレンチであることを特徴とするMRAM磁気トンネル接合のエッチング方法。
【請求項2】
前記ステップ2において、前記洗浄ステップにおけるエッチングは、イオンビームエッチングと反応性イオンエッチングとの組み合せを利用し、前記イオンビームエッチングのビーム電圧が50V~200Vであることを特徴とする請求項1に記載のMRAM磁気トンネル接合のエッチング方法。
【請求項3】
化学気相成長法を利用して、前記洗浄ステップにおけるエッチングを行って得られた磁気トンネル接合の周囲に絶縁層を成長させ、インサイチュ保護を行う磁気トンネル接合のインサイチュ保護ステップであるステップ3をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のMRAM磁気トンネル接合のエッチング方法。
【請求項4】
前記洗浄ステップにおけるエッチングのエッチング量t2は5~100nmであることを特徴とする請求項1に記載のMRAM磁気トンネル接合のエッチング方法。
【請求項5】
前記ステップ1において、前記イオンビームエッチングは、大きい入射角によるイオンビームエッチングと小さい入射角によるイオンビームエッチングを含むことを特徴とする請求項1に記載のMRAM磁気トンネル接合のエッチング方法。
【請求項6】
前記大きい入射角によるイオンビームエッチングは、イオンビームの入射角が30~60°であり、前記小さい入射角によるイオンビームエッチングは、イオンビームの入射角が10~30°であり、前記大きい入射角によるイオンビームエッチングの時間をT1、前記小さい入射角によるイオンビームエッチングの時間をT2とすると、T1≧1.5T2となることを特徴とする請求項5に記載のMRAM磁気トンネル接合のエッチング方法。
【請求項7】
前記メインエッチングステップ及び前記洗浄ステップにおいて、イオンビームエッチングを利用する場合、イオンビームチャンバーで使用されるガスは、不活性ガス、窒素ガス、酸素ガス、フッ素系ガス、アミノ基ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、およびアルコールの一又は任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1又は2に記載のMRAM磁気トンネル接合のエッチング方法。
【請求項8】
前記メインエッチングステップ及び前記洗浄ステップにおいて、反応性イオンエッチングを利用する場合、反応性イオンチャンバー内のイオン源パワーが50~1000Wであり、チャンバー内圧力が0.5~10mTであり、ガス流量が10~500sccmであり、ガスが、不活性ガス、窒素ガス、酸素ガス、フッ素系ガス、アミノ基ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、およびアルコールの一又は任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1又は2に記載のMRAM磁気トンネル接合のエッチング方法。
【請求項9】
矩形トレンチの下底の長さをL1、矩形トレンチの上底の長さをL2、矩形トレンチの高さをH1、矩形トレンチの下底と側辺とのなす角をαとすると、L1
/L2=0.3~1.0、H1
/L2=0.1~2.0、α=90~130°となることを特徴とする請求項1に記載のMRAM磁気トンネル接合のエッチング方法。
【請求項10】
イオンビームエッチングを利用して、エッチング量t1が35nmである条件で、磁気トンネル接合をエッチングする磁気トンネル接合のメインエッチングステップであって、イオンビームエッチングは、磁気トンネル接合の試料をイオンビームエッチング用チャンバーに入れて、イオンビームの入射角が25°であり、エネルギーが600Vであり、シールドガスがアルゴンガスである条件でエッチングするように行われ、磁気トンネル接合の試料は、上から順にマスク層、キャップ層、磁気トンネル接合、下部電極金属層、下部絶縁層で構成されており、下部絶縁層において、マスク層におけるマスク数と同じのメタル下部電極が、マスクの位置に対応しながら等間隔に嵌められており、イオンビームエッチングは、下部電極金属層の残り5nmの位置で停止し、このとき、イオンビームエッチング量は35nmであるステップ1と、
反応性イオンエッチングを利用して、メインエッチングステップを行って得られた磁気トンネル接合を、エッチング量t2が30nmである条件でエッチングする磁気トンネル接合の洗浄ステップであって、反応性イオンエッチングは、真空チャンバーで、ステップ1であるイオンビームエッチングを行って得られた磁気トンネル接合の試料を、イオンビームエッチング用チャンバーから反応性イオンエッチング用チャンバーに移動させることにより行われ、反応性イオンエッチングのパラメータは、反応性イオンパルスデューティー比が20%であり、イオン源パワーが700Wであり、バイアス電圧が400Vであり、チャンバー内圧力が5mTであり、アルゴンガス流量が100sccmであり、反応性イオンエッチング量が30nmであり、洗浄ステップにおけるエッチングが行われた後、下部絶縁層で形成されたエッチング形状は、矩形トレンチであるステップ2と、
真空輸送チャンバーで、洗浄ステップにおけるエッチングを行って得られた磁気トンネル接合の試料を、プラズマ促進化学蒸着チャンバーに移動させ、インサイチュ保護のために35nmのSiN膜を成膜する磁気トンネル接合のインサイチュ保護ステップであるステップ3と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のMRAM磁気トンネル接合のエッチング方法。
【請求項11】
反応性イオンエッチングを利用して、エッチング量t1が20nmである条件で、磁気トンネル接合をエッチングする磁気トンネル接合のメインエッチングステップであって、反応性イオンエッチングは、磁気トンネル接合の試料を反応性イオンエッチング用チャンバーに入れて、反応性イオンエッチングのイオン源パワーが600Wであり、バイアス電圧が600Vであり、チャンバー内圧力が3mTであり、アルゴンガス流量が150sccmである条件でエッチングするように行われ、エッチング対象である磁気トンネル接合の試料は、上から順にマスク層、キャップ層、磁気トンネル接合、下部電極層、下部絶縁層で構成されており、反応性イオンエッチングは、下部電極層が3nm消耗された位置で停止し、このとき、反応性イオンエッチング量は20nmであるステップ1と、
反応性イオンエッチングを利用して、メインエッチングステップを行って得られた磁気トンネル接合を、エッチング量t2が15nmである条件でエッチングする磁気トンネル接合の洗浄ステップであって、反応性イオンエッチングのエッチングパラメータは、反応性イオンパルスデューティー比が5%であり、イオン源パワーが300Wであり、バイアス電圧が600Vであり、チャンバー内圧力が1.5mTであり、アルゴンガス流量が200sccmであり、反応性イオンエッチング量t2が15nmであり、洗浄ステップにおけるエッチングが行われた後、下部絶縁層で形成されたエッチング形状は、矩形トレンチであるステップ2と、
真空チャンバーで、洗浄ステップにおけるエッチングを行って得られた磁気トンネル接合の試料を、イオンビームエッチング用チャンバーに移動させて、イオンビームの入射角が45°であり、イオンビームエネルギーが100Vであり、エッチング深さが3nmである条件でアルゴン雰囲気で下部電極層で停止するようにエッチングするイオンビーム洗浄ステップであるステップ2Aと、
真空輸送チャンバーで、イオンビーム洗浄ステップを行って得られた磁気トンネル接合の試料を、プラズマ促進化学蒸着チャンバーに移動させ、インサイチュ保護のために10nmのSIN膜を成膜する磁気トンネル接合のインサイチュ保護ステップであるステップ3と
を含むことを特徴とする請求項1に記載のMRAM磁気トンネル接合のエッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ランダムアクセスメモリの分野に関し、特に、MRAM磁気トンネル接合のエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、広く応用されているメモリとして、主にSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、Flash(Flash Memory)などがある。SRAMは、リフレッシュ回路を必要とせず記憶データを保持でき、高性能をもつものである。しかしながら、その集積度が低い。DRAMは、集積度が高く、消費電力が低いが、データを保持するためにリフレッシュ回路が必要である。これらに対して、磁気抵抗メモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)は、SRAMの高読み書き速度とDRAMの高集積度の特徴を持ち、ほぼ無制限に書き換え可能であるので、大量のデータの高速記憶が要求される他、停電後もデータを保持し、素早く復旧できることが求められるシステムに用いることができる。現在、「不揮発性」の特徴としては、MRAMとFlashのみがこれを有するが、Flashには「ランダムアクセス」の機能が欠けている。したがって、MRAMは、その将来性が大きく、特に自動車、工業、軍事、宇宙などの分野で重要な役割を果たすことができる。
【0003】
MRAMは、従来の電荷をデータ記憶に用いるメモリと異なり、磁化によってデータ記憶を行う。
図1は、MRAMのメモリセルの基本構造である磁気トンネル接合を示す。磁気トンネル接合(Magnetic Tunnel Junctions)は、磁化方向が固定されていない自由層である最上層と、トンネル障壁層である中間層と、磁化方向が固定された固定層である最下層とからなる。自由層と固定層との磁化方向が平行状態になるとき、メモリセルの電気抵抗が低くなり、磁化方向が反平行状態になるとき、電気抵抗が高くなる。MRAMは、メモリセルの電気抵抗の大きさを検出することによって、記憶データが0か又は1かを判断する。
【0004】
MRAMの製造プロセスにおいて、磁気トンネル接合のエッチングは極めて重要な一環である。エッチング装置は、主に、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)とイオンビームエッチング(IBE:Ion Beam Etching)を用いる。RIEは、化学反応およびイオン種の衝突によるエッチング方法である。IBEは、一定のエネルギーを持つイオンビームを材料表面に衝突させることでエッチングする方法であり、指向性が強い。現在、磁気トンネル接合のエッチング方法として、RIEおよびIBEが主流となっている。IBEとRIEのいずれの場合も、以下の要求を満たす必要がある。
【0005】
1.トンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel Magnetoresistance Resistance)の性能と寿命を向上させるために、エッチングにおける磁気トンネル接合のプロファイル(Profile)を高く維持する。
2.短絡を防ぐために、磁気トンネル接合における酸化マグネシウム層において、側壁への再付着(Re―dep)がないようにする。
3.後続のプロセスにおける製品の良品率を向上させるために、より多くのマスク(HM)が残るとともに残渣(Residue)が少ないようにする。
【0006】
図2に示すように、従来のIBEは、選択性が高いが、酸化マグネシウム層への損傷が大きく、残渣が多い。また、従来のRIEは、選択比が低く、プロファイルが悪い。したがって、上記の3つのエッチング要求を同時に満たすことは困難である。
【0007】
また、磁気メモリの体積が小さくなるにつれて、書き込みや変換操作に注入するスピン偏極電流も小さくなる。したがって、より小型で高密度の磁気トンネル接合パターンを作成し、制御に起因した磁気トンネル接合を含むメモリの寿命の短縮を低減することが望まれる。しかしながら、より小型で高密度の磁気トンネル接合について、従来のIBEやRIEにより上記の3つのエッチング要求を満たすことはより困難である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、上記の従来技術の不足を鑑みてなされるものであり、従来のRIEとIBEを組み合わせて、エッチング順番の設定及び各エッチングパラメータの選択により、小型で高密度の磁気トンネル接合に対するエッチングの効果を大幅に向上させると同時に、非高密度の磁気トンネル接合に対するエッチングにも適用できるMRAM磁気トンネル接合のエッチング方法を提供する。
【0009】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の技術案は、
MRAM磁気トンネル接合のエッチング方法に関し、以下のステップを含む。
【0010】
ステップ1は、イオンビームエッチング及び/又は反応性イオンエッチングを利用して、エッチング量がt1である条件で、磁気トンネル接合をエッチングする磁気トンネル接合のメインエッチングステップである。そのうち、イオンビームの入射角が10~60°であり、反応性イオンエッチングのバイアス電圧が400~1000Vである。
【0011】
ステップ2は、磁メインエッチングステップを行って得られた磁気トンネル接合を、エッチング量がt2である条件でエッチングする気トンネル接合の洗浄ステップである。t1:t2が0.5以上であり、洗浄ステップにおけるエッチングは、連続モード又はパルスモードの反応性イオンエッチングを含む。反応性イオンエッチングのバイアス電圧が50V~400Vであり、パルスデューティー比が5%~50%である。洗浄ステップにおけるエッチングが行われた後、下部電極又は下部絶縁層で形成されたエッチング形状は、矩形トレンチである。
【0012】
ステップ2において、洗浄ステップにおけるエッチングは、イオンビームエッチングと反応性イオンエッチングの組み合せを利用する。イオンビームエッチングのビーム電圧は50V~200Vである。
【0013】
さらに、化学気相成長法を利用して、洗浄ステップにおけるエッチングを行って得られた磁気トンネル接合の周囲に絶縁層を成長させ、インサイチュ保護を行う磁気トンネル接合のインサイチュ保護ステップであるステップ3を含む。
【0014】
洗浄ステップにおけるエッチングのエッチング量t2は、5~100nmである。
【0015】
ステップ1において、イオンビームエッチングは、大きい入射角によるイオンビームエッチングと小さい入射角によるイオンビームエッチングを含む。
【0016】
大きい入射角によるイオンビームエッチングは、イオンビームの入射角が30~60°であり、小さい入射角によるイオンビームエッチングは、イオンビームの入射角が10~30°である。大きい入射角によるイオンビームエッチングの時間をT1、小さい入射角によるイオンビームエッチングの時間をT2とすると、T1≧1.5T2となる。
【0017】
メインエッチングステップ及び洗浄ステップにおいて、イオンビームエッチングを利用する場合、イオンビームチャンバーで使用されるガスは、不活性ガス、窒素ガス、酸素ガス、フッ素系ガス、アミノ基ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、およびアルコールの一又は任意の組み合わせである。
【0018】
メインエッチングステップ及び洗浄ステップにおいて、反応性イオンエッチングを利用する場合、反応性イオンチャンバー内のイオン源パワーが50~1000Wであり、チャンバー内圧力が0.5~10mTであり、ガス流量が10~500sccmであり、ガスが、不活性ガス、窒素ガス、酸素ガス、フッ素系ガス、アミノ基ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、およびアルコールの一又は任意の組み合わせである。
【0019】
矩形トレンチの下底の長さをL1、矩形トレンチの上底の長さをL2、矩形トレンチの高さをH1、矩形トレンチの下底と側辺とのなす角をαとすると、L1:L2=0.3~1.0、H1:L2=0.1~2.0、α=90~130°となる。
【0020】
MRAM磁気トンネル接合のエッチング方法は、以下のステップを含む。
ステップ1は、イオンビームエッチングを利用して、エッチング量t1が35nmである条件で、磁気トンネル接合をエッチングする磁気トンネル接合のメインエッチングステップである。イオンビームエッチングは、磁気トンネル接合の試料をイオンビームエッチング用チャンバーに入れて、イオンビームの入射角が25°であり、エネルギーが600Vであり、シールドガスがアルゴンガスである条件でエッチングするように行われる。また、磁気トンネル接合の試料は、上から順にマスク層、キャップ層、磁気トンネル接合、下部電極金属層、下部絶縁層で構成されている。下部絶縁層において、マスク層におけるマスク数と同じのメタル下部電極が、マスクの位置に対応しながら等間隔に嵌められている。イオンビームエッチングは、下部電極金属層の残り5nmの位置で停止する。この場合、イオンビームエッチング量は35nmである。
ステップ2は、反応性イオンエッチングを利用して、メインエッチングステップを行って得られた磁気トンネル接合を、エッチング量t2が30nmである条件でエッチングする磁気トンネル接合の洗浄ステップである。反応性イオンエッチングは、真空チャンバーで、ステップ1であるイオンビームエッチングを行って得られた磁気トンネル接合の試料を、イオンビームエッチング用チャンバーから反応性イオンエッチング用チャンバーに移動させることにより行われる。反応性イオンエッチングのパラメータは、反応性イオンパルスデューティー比が20%であり、イオン源パワーが700Wであり、バイアス電圧が400Vであり、チャンバー内圧力が5mTであり、アルゴンガス流量が100sccmであり、反応性イオンエッチング量が30nmである。洗浄ステップにおけるエッチングが行われた後、下部絶縁層で形成されたエッチング形状は、矩形トレンチである。
ステップ3は、真空輸送チャンバーで、洗浄ステップにおけるエッチングを行って得られた磁気トンネル接合の試料を、プラズマ促進化学蒸着チャンバーに移動させ、インサイチュ保護のために35nmのSiN膜を成膜する磁気トンネル接合のインサイチュ保護ステップである。
【0021】
MRAM磁気トンネル接合のエッチング方法は、以下のステップを含む。
【0022】
ステップ1は、反応性イオンエッチングを利用して、エッチング量t1が20nmである条件で、磁気トンネル接合をエッチングする磁気トンネル接合のメインエッチングステップである。反応性イオンエッチングは、磁気トンネル接合の試料を反応性イオンエッチングチャンバーに入れて、反応性イオンエッチングのイオン源パワーが600Wであり、バイアス電圧が600Vであり、チャンバー内圧力が10mTであり、アルゴンガス流量が150sccmである条件でエッチングするように行われる。エッチング対象である磁気トンネル接合の試料は、上から順にマスク層、キャップ層、磁気トンネル接合、下部電極層、下部絶縁層で構成されている。反応性イオンエッチングは、下部電極層が3nm消耗された位置で停止する。この場合、反応性イオンエッチング量は20nmである。
【0023】
ステップ2は、反応性イオンエッチングを利用して、メインエッチングステップを行って得られた磁気トンネル接合を、エッチング量t2が15nmである条件でエッチングする磁気トンネル接合の洗浄ステップである。反応性イオンエッチングのエッチングパラメータは、反応性イオンパルスデューティー比が30%であり、イオン源パワーが300Wであり、バイアス電圧が600Vであり、チャンバー内圧力が1.5mTであり、アルゴンガス流量が200sccmであり、反応性イオンエッチング量t2が15nmである。洗浄ステップにおけるエッチングが行われた後、下部絶縁層で形成されたエッチング形状は、矩形トレンチである。
【0024】
ステップ2Aは、真空チャンバーで、洗浄ステップにおけるエッチングを行って得られた磁気トンネル接合の試料を、イオンビームエッチング用チャンバーに移動させて、イオンビームの入射角が45°であり、イオンビームエネルギーが100Vであり、エッチング深さが3nmである条件でアルゴン雰囲気で下部電極層上で停止するようにエッチングするイオンビーム洗浄ステップである。
【0025】
ステップ3は、真空輸送チャンバーで、イオンビーム洗浄ステップを行って得られた磁気トンネル接合の試料を、プラズマ促進化学蒸着チャンバーに移動させ、インサイチュ保護のために10nmのSiN膜を成膜する磁気トンネル接合のインサイチュ保護ステップである。
【0026】
本発明は、以下の有益な効果を有する。本発明は、従来のRIEとIBEを組み合わせて、エッチング順番の設定及び各エッチングパラメータの選択により、小型で高密度の磁気トンネル接合に対するエッチング効果を大幅に向上させると同時に、非高密度磁気トンネル接合に対するエッチングにも適用できる。したがって、高密度パターンのエッチングにおいて、選択比が低く、プロファイルが低いという問題を解決する。さらに、本発明の最も重要な特徴は、底部に矩形のエッチングトレンチを形成できることにある。これにより、磁気トンネル接合のTMRと製品寿命を大幅に向上させるとともに、底部の堆積を除去可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】本発明のエッチング効果と従来のRIE又はIBEの効果との対比図であり、エッチングが絶縁体SiO2で停止する。
【
図3】本発明のエッチングによって形成された試料の積層形状の模式図である。
【
図4】本発明のエッチング効果と従来のRIE又はIBEの効果との対比図であり、エッチングが下部電極金属で停止する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面と好ましい具体的な実施形態を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。
【0029】
本発明の説明において、「左側」、「右側」、「上部」、「下部」などの用語で表された方向又は位置関係は、図面に基づくものであり、本発明を便宜に及び簡略に説明するためのものにすぎず、該当装置又は要素が、必ずしも特定の方向を有したり、特定の方向に構成、操作されたり、することを明示又は暗示するものではない。「第1」、「第2」などは部品の重要度を示すものではないため、本発明を限定するものではないと理解すべきである。本実施例で使用される具体的な寸法は、技術案を説明するための例にすぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0030】
図1に示すように、MRAM磁気トンネル接合のエッチング方法は、以下のステップを含む。
【0031】
メインエッチングステップであるステップ1:反応性イオンエッチング(RIE)又はイオンビームエッチング(IBE)。
【0032】
ウェハーを対応する反応チャンバーに入れて、エッチング対象である磁気トンネル接合の試料に対して1次エッチングを行う。
【0033】
図2に示すように、エッチング対象である磁気トンネル接合の試料は、上から順にマスク層、金属層(キャップ層又はカバー層とも称する)、磁気トンネル接合、金属層(シード層とも称する)、下部絶縁層で構成されている。
【0034】
マスク層は、キャップ層に等間隔で配置されたいくつかのマスクを含む。下部絶縁層において、マスクの数と同じの下部電極は、マスクに対応する位置に等間隔で嵌められている。さらに、好ましくは、下部絶縁層が二酸化ケイ素などからなる。
【0035】
図4に示すように、エッチング対象である磁気トンネル接合の試料は、上から順にマスク層、金属層(キャップ層又はカバー層とも称する)、磁気トンネル接合(MTJ)、金属層(シード層とも称する)、下部電極、下部絶縁層で構成されている。マスク層におけるマスクの配置は
図2と同様である。好ましくは、下部絶縁層が二酸化ケイ素などからなる。
【0036】
好ましくは、イオンビームエッチング(IBE)のプロセス条件は、イオンビームの入射角が10~60°(イオンビームとウェハー法線とのなす角)であり、エネルギーが200~1000Vであり、シールドガスが不活性ガス、窒素ガス、酸素ガス、フッ素系ガス、アミノ基ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、アルコールなどの一又は任意の組み合わせである。さらに、好ましくは、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガスなどの不活性ガスを利用する。
【0037】
好ましくは、反応性イオンエッチング(RIE)のプロセス条件は、イオン源パワーが50~1000Wであり、チャンバー内圧力が0.5~30mTであり、ガス流量が10~500sccmであり、ガスが不活性ガス、窒素ガス、酸素ガス、フッ素系ガス、アミノ基ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、アルコールの一又は任意の組み合わせである。
【0038】
ステップ1において、メインエッチングステップのエッチング量はt1である。
【0039】
ステップ1においてイオンビームエッチング(IBE)又は反応性イオンエッチング(RIE)を利用することで、以下の有益な効果をもたらす。
【0040】
1.イオンビームの入射角の設定により、1次エッチングのプロファイルを効果的に保障し、CD(磁気トンネル接合における酸化マグネシウム層の寸法)の消耗を抑えることができる。RIEによるメインエッチングステップにより、金属層に対するエッチングが高速に行われ、酸化マグネシウム層の側壁に対する損傷が少なくなる。
【0041】
本実施例のIBEにおいて、好ましくは、イオンビームの入射角が可変である。IBEは、大きい入射角によるIBEと小さい入射角によるIBEを含む。また、大きい入射角は、通常、30~60°のイオンビームの入射角を指し、小さい入射角は、通常、10~30°のイオンビームの入射角を指す。大きい入射角によるIBEの時間をT1、小さい入射角によるIBEの時間をT2とすると、T1≧1.5T2であることが好ましい。
【0042】
2.不活性ガスを利用してエッチングを行うので、高いプロファイルを有するクリーンな側壁を形成することができる。
【0043】
3.メインエッチングステップのエッチング量t1の割合を大きくすることで、リセス(recess)量やプロファイルを向上させることができる。
【0044】
ステップ2は、洗浄ステップである。真空チャンバーで、ステップ1であるメインエッチングステップを行って得られた磁気トンネル接合の試料を、対応する洗浄ステップを行うチャンバーに移動させて、洗浄ステップを行うチャンバー内で、洗浄ステップにおける2次エッチングを行う。
【0045】
洗浄ステップにおけるエッチングは、以下の2つの好ましい実施例を有する。
【0046】
第1の実施例:反応性イオンエッチングの連続モード又はパルスモード。
【0047】
第2の実施例:反応性イオンエッチングの連続モード又はパルスモード、及び低エネルギーのイオンビームエッチング。
【0048】
好ましくは、反応性イオンエッチング(RIE)のプロセス条件は、反応性イオンパルス(Pulsing)デューティー比が5%~50%であり 、イオン源パワー(Source)が50~1000Wであり、バイアス電圧が10~1000Vであり、チャンバー内圧力が0.5~10mTであり、ガス流量が10~500sccmであり、不活性ガス、窒素ガス、酸素ガス、フッ素系ガス、アミノ基ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、アルコールなどの一又は任意の組み合わせを利用する。さらに、好ましくは、アルゴンガスなどの不活性ガス又は酸素含有ガスを利用する。
【0049】
好ましくは、イオンビームエッチング(IBE)のプロセス条件は、入射角が30~60°(イオンビームとウェハー法線とのなす角)であり、エネルギーが50~200Vであり、シールドガスが不活性ガス、窒素ガス、酸素ガス、フッ素系ガス、アミノ基ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、アルコールなどの一又は任意の組み合わせである。さらに、好ましくは、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガスなどの不活性ガスを利用する。
【0050】
ステップ2において、洗浄ステップにおけるエッチング量はt2である。好ましくは、t2は5~40nmであり、t1:t2が0.5以上である。好ましくは、2回のエッチングのエッチング量の比がt1:t2=1.5~4.0である。
【0051】
2次エッチングが行われた後、下部電極及び/又は下部絶縁層のエッチング形状は、
図3と
図4に示された矩形トレンチになる。
【0052】
底部に形成されるMRAM磁気トンネル接合の矩形のエッチングトレンチは、下部電極又は下部絶縁層に形成されたものであり、その形状が略矩形に形成されている。
図2に示すように、矩形トレンチは、下部絶縁層に形成される。
図4に示すように、矩形トレンチは、下部電極に形成される。或いは、矩形トレンチは、
図4における下部電極及び/又は下部絶縁層の両方に形成されてもよい。
【0053】
矩形トレンチの下底の長さ(
図3におけるSquare trench lengthに対応)をL1、矩形トレンチの上底の長さ(
図3におけるSpaceに対応)をL2、矩形トレンチの高さ(
図3におけるRecessに対応)をH1、矩形トレンチの下底と側辺とのなす角をαとすると、α=90~130°となり、つまり略L字形となるので、略矩形に形成される。好ましくは、L1:L2=0.3~1.0、H1:L2=0.1~2.0である。
【0054】
電荷蓄積効果や選択比などの要因により、サイズが小さい密集パターンは、従来のパターンよりも矩形のエッチングトレンチに形成されることが難い。本発明により、パターンの密度が80~100nmピッチ(pitch)の場合でも、エッチングで矩形トレンチを形成することが可能である。
【0055】
ステップ2において、低エネルギーのイオンビームエッチング又は反応性イオンエッチングの連続モード又はパルスモードを利用することで、以下の有益な効果をもたらす。
【0056】
1.低エネルギー、低圧により、残渣を除去する能力が改善され、適切なプロセスウィンドウでは側壁への再付着がないことを保証できる。
【0057】
2.低エネルギーであるので、酸化マグネシウム層の側壁に対する損傷を低減できる。
【0058】
3.アルゴンなどの不活性ガスを利用してエッチングを行うことによりも、高いプロファイルを有するクリーンな側壁が得られる。また、酸素含有ガスを利用してエッチングを行う場合、側壁を酸化するので、反応ガスを利用してエッチングを行うと、選択比を高めることができる。
【0059】
4.メインエッチングステップで形成されたプロファイルを保つことができるので、最終的なプロファイルは75~90°になる。2つのユニットの中心距離(Pitch)が100nm以下であっても、プロファイルは85°以上となることが可能である。
【0060】
5.従来の単一のエッチング方法と比べて、選択比を大幅に向上させる。
【0061】
6.底部に矩形のエッチングトレンチを形成し得る。矩形トレンチの底部は、平坦なものであり、残渣がないか、又は少ない残渣だけ残られる。矩形のエッチングトレンチは、絶縁層に形成されてもよく、下電極層に形成されてもよい。矩形トレンチの底部の隅角はL字形に形成されてもよい。エッチングして成膜した後も、成膜はL字形のままである。
【0062】
7.得られた矩形トレンチの角度は90~130°である。矩形トレンチの下底の長さL1は、矩形トレンチの上底の長さL2の0.5~1.0倍である。Recess:Spaceが0.5~2となり、深さと幅の比(総高さ:Space)が1.0~5.0となる場合、良好な矩形トレンチの形状が得られる。
【0063】
ステップ3は、成膜である。成膜は、エッチングして得られた磁気トンネル接合の試料に対して成膜することである。成膜層は、窒化シリコン又は二酸化ケイ素、あるいはその組み合わせからなる。成膜層の厚さが10~100nmであり、成膜温度が150~350℃である。このようなインサイチュ保護膜により、磁気トンネル接合のメタル積層が空気中の水蒸気などに腐食され、デバイスが短絡することを避けることができる。
【0064】
以下の4つの 具体的な好ましい実施例を利用して、本発明をさらに詳細に説明する。
【0065】
実施例1
ステップ1は、反応性イオンエッチングを利用するメインエッチングステップである。
図2に示す磁気トンネル接合の試料をRIE用チャンバーに入れてメインエッチングを行った。メインエッチングステップでは、エネルギーであるイオン源パワーが500Wであり、バイアス電圧のパワーが600Wであり、チャンバー内圧力が20mTorrであり、エッチングガスがKrである。
【0066】
反応性イオンエッチングは、最下層金属層の残り10nmから下部絶縁層の深さ40nmまでの位置で停止する。実施例1において、好ましくは、1次エッチングが最下層金属層の残り5nmの位置で停止し、エッチング量t1が35nmである。
【0067】
ステップ2は、反応性イオンエッチング(RIE)とイオンビームエッチング(IBE)の組み合わせを利用する洗浄ステップである。
【0068】
ステップ21は、反応性イオンエッチング(RIE)である。真空チャンバーで、ステップ1であるメインエッチングステップを行って得られた磁気トンネル接合の試料を、2次反応性イオンエッチングを行った。2次反応性イオンエッチングのパラメータは、イオン源パワーが700Wであり、バイアス電圧が400Vであり、チャンバー内圧力が5mTであり、アルゴンガス流量が100sccmである。
【0069】
ステップ22は、イオンビームエッチングである。真空チャンバーで、ステップ21である2次反応性イオンエッチングを行って得られた磁気トンネル接合の試料を、RIE用チャンバーからIBE用チャンバー に移動させ、イオンビームエッチングを行った。好ましくは、イオンビームエッチングのプロセス条件は、BMVが100Vであり、入射角が60°であり、エッチングガスがArである。エッチングの深さ、つまりイオンビームエッチング量t2は30nmである。2次エッチングが行われた後、下部絶縁層の上に形成されたエッチング形状は矩形トレンチである。
【0070】
ステップ3は、成膜である。真空輸送チャンバーで、イオンビームエッチングを行って得られた試料を、プラズマ促進化学蒸着チャンバーに移動させて、インサイチュ保護のために30nmのSiN膜を成膜した。
【0071】
本実施例で得られた矩形トレンチは、下底の長さ(
図3におけるSquare trench lengthに対応)をL1、上底の長さ(
図3におけるSpaceに対応)をL2、高さ(
図3におけるRecessに対応)をH1、下底と側辺とのなす角をαとすると、α=120°となり、つまり略L字形となるので、略矩形に形成された。また、L1:L2=0.5、H1:L2=0.5となる。
【0072】
実施例2
ステップ1は、反応性イオンエッチングを利用するメインエッチングステップである。
図4に示す磁気トンネル接合の試料を反応性イオンチャンバーに入れた。反応性イオンエッチングにおいて、イオン源パワーが600Wであり、バイアス電圧が600Vであり、チャンバー内圧力が10mTであり、アルゴンガス流量が150sccmである。また、エッチング対象である磁気トンネル接合の試料は、上から順にマスク層、キャップ層、磁気トンネル接合、下部電極層、下部絶縁層で構成されている。反応性イオンエッチングは、下部電極層が3nm消耗された位置で停止する。この場合、反応性イオンエッチング量は20nmである。
【0073】
ステップ2は、反応性イオンエッチングを利用する洗浄ステップである。好ましくは、2次エッチングのプロセス条件は、反応性イオンパルス(Pulsing)デューティー比が5%であり、反応性イオン源パワー(Source)が300Wであり、バイアス電圧が600Vであり、チャンバー内圧力が1.5mTであり、アルゴンガス流量が200sccmであり、シード層まで30nmエッチングし、すなわち反応性イオンエッチング量t2が15nmである。2次エッチングが行われた後、下部電極の上に形成されたエッチング形状は矩形トレンチである。
【0074】
ステップ2Aは、イオンビーム洗浄である。真空チャンバーで、2次エッチング試料を、IBE用チャンバーに移動させ、イオンビーム角度が45°であり、イオンビームエネルギーが100Vであり、アルゴンガス雰囲気の条件でエッチングした。エッチングは、深さが3nmであり、下部電極層で停止した。
図4は、形状の対比図を示す。
【0075】
ステップ3は、磁気トンネル接合に対するインサイチュ保護である。真空輸送チャンバーで、イオンビーム洗浄後の磁気トンネル接合の試料を、プラズマ促進化学蒸着チャンバーに移動させ、インサイチュ保護のために10nmのSiN膜を成膜した。
【0076】
本実施例で得られた矩形トレンチは、下底の長さ(
図3におけるSquare trench lengthに対応)をL1、上底の長さ(
図3におけるSpaceに対応)をL2、高さ(
図3におけるRecessに対応)をH1、下底と側辺とのなす角をαとすると、α=110°となり、つまり略L字形となるので、略矩形に形成された。また、L1:L2=0.6、H1:L2=0.8となる。
【0077】
実施例3
ステップ1は、イオンビームエッチングを利用するメインエッチングステップである。磁気トンネル接合の試料をイオンビームエッチング用チャンバーに入れ、イオンビームの入射角が25°であり、エネルギーが600Vであり、シールドガスがアルゴンガスである条件でエッチングを行った。また、磁気トンネル接合の試料は、上から順にマスク層、キャップ層、磁気トンネル接合、下部電極金属層、下部絶縁層で構成されている。下部絶縁層において、マスク層におけるマスク数と同じのメタル下部電極が、マスクの位置に対応しながら等間隔に嵌められている。イオンビームエッチングは、最下層金属層の残り5nmの位置で停止し、すなわちイオンビームエッチング量t1は35nmである。
【0078】
ステップ2は、反応性イオンエッチングを利用する洗浄ステップである。真空チャンバーで、ステップ1であるイオンビームエッチングを行って得られた磁気トンネル接合の試料を、イオンビームエッチング用チャンバーから反応性イオンエッチング用チャンバーに移動させ、2次エッチングを行った。2次エッチングのパラメータは、反応性イオンパルスデューティー比が20%であり、イオン源パワーが700Wであり、バイアス電圧が400Vであり、チャンバー内圧力が5mTであり、アルゴンガス流量が100sccmであり、反応性イオンエッチング量t2が30nmである。2次エッチングが行われた後、下部絶縁層の上に形成されたエッチング形状は矩形トレンチである。
【0079】
ステップ3は、成膜である。真空輸送チャンバーで、2次エッチングを行って得られた試料を、プラズマ促進化学蒸着チャンバーに移動させ、インサイチュ保護のために35nmのSiN膜を成膜した。
【0080】
本実施例で得られた矩形トレンチは、下底の長さ(
図3におけるSquare trench lengthに対応)をL1、上底の長さ(
図3におけるSpaceに対応)をL2、高さ(
図3におけるRecessに対応)をH1、下底と側辺とのなす角をαとすると、α=100°となり、つまり略L字形となるので、略矩形に形成された。また、L1:L2=0.8、H1:L2=1.0となる。
【0081】
実施例4
ステップ1は、反応性イオンエッチングを利用するメインエッチングステップである。
図2に示す磁気トンネル接合の試料をRIE用チャンバーに入れて、メインエッチングを行った。メインエッチングステップでは、エネルギーであるイオン源パワーが700Wであり、バイアス電圧のパワーが400Wであり、チャンバー内圧力が15mTorrであり、チャンバー内圧力が10mTorrであり、エッチングガスがエタノールである。
【0082】
反応性イオンエッチングは、最下層金属層の残り5nmから下部絶縁層の深さ40nmまでの位置で停止する。本実施例において、好ましくは、1次エッチングが金属と絶縁体との境界面で停止し、エッチング量t1が20nmである。
【0083】
ステップ2は、反応性イオンエッチングを利用する洗浄ステップである。反応性イオンエッチング用チャンバーで引き続き2次エッチングを行った。好ましくは、2次エッチングのプロセス条件は、反応性イオンパルス(Pulsing)デューティー比が30%であり、反応性イオン源パワー(Source)が300Wであり、バイアス電圧が100V、チャンバー内圧力が5mT、アルゴンガス流量が200sccmであり、シード層まで30nmエッチングして、すなわちエッチング量t2が15nmである。2次エッチングが行われた後、下部電極の上に形成されたエッチング形状は矩形トレンチである。
【0084】
ステップ3は、成膜である。真空輸送チャンバーで、2次エッチングを行って得られた試料を、プラズマ促進化学蒸着チャンバーに移動させ、インサイチュ保護のために25nmのSiN膜を成膜した。
【0085】
本実施例で得られた矩形トレンチは、下底の長さ(
図3におけるSquare trench lengthに対応)をL1、上底の長さ(
図3におけるSpaceに対応)をL2、高さ(
図3におけるRecessに対応)をH1、下底と側辺とのなす角をαとすると、α=95°となり、つまり略L字形となるので、略矩形に形成された。また、L1:L2=1.0、H1:L2=1.5となる。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態における具体的な内容に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で本発明の技術案に対してさまざまな均等変換を行うことができる。これらの均等変換は、いずれも本発明の保護範囲に属するものである。