(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】軍用航空機操縱桿
(51)【国際特許分類】
B64C 13/04 20060101AFI20241008BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20241008BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B64C13/04
A61B5/0245 Z
A61B5/0245 100D
A61B5/01 100
(21)【出願番号】P 2023521618
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(86)【国際出願番号】 KR2020013920
(87)【国際公開番号】W WO2022080512
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0131778
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521495699
【氏名又は名称】ディフェンス・エージェンシー・フォー・テクノロジー・アンド・クオリティ
【氏名又は名称原語表記】DEFENSE AGENCY FOR TECHNOLOGY AND QUALITY
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム テファン
(72)【発明者】
【氏名】ノ サンウ
(72)【発明者】
【氏名】アン ジンウ
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0094553(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0123055(KR,A)
【文献】中国実用新案第204950933(CN,U)
【文献】特開平07-096897(JP,A)
【文献】米国特許第07145477(US,B1)
【文献】特開平04-166499(JP,A)
【文献】特開2018-100473(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0071243(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0123139(KR,A)
【文献】Hands-On Throttle and Stick,Falconpedia(https://falcon4.sikidot.com/avionics:hotas),2011年09月14日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/04
A61B 5/0245
A61B 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
姿勢操縦部およびエンジン推力操縦部を含む軍用航空機操縱桿において、
前記姿勢操縦部またはエンジン推力操縦部は、操縱士の生体情報を検出する検出モジュールと、
前記検出モジュールで検出された生体情報を受信する受信モジュールと、
前記受信モジュールから受信した生体情報を飛行記録装置に送信する送信モジュールと、を含む軍用航空機操縱桿
であって、
前記姿勢操縦部は、心拍数および圧力からなる生体情報を検出する検出モジュールを含み、
前記圧力は、手で前記操縱桿を握る握力である、
軍用航空機操縱桿。
【請求項2】
前記姿勢操縦部は、トリムスイッチ、カメラ操縦スイッチ、武装発射投下スイッチ、ミサイルステップノーズホイールスイッチ、画面表示制御スイッチ、パドルスイッチ、ピンキースイッチ、目標物指定または選択スイッチ、およびトリガーを含む請求項1に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項3】
前記姿勢操縦部は、前記心拍数を検出する検出モジュールが操縱士に隣接する側面の反対側面の下端に備えられる請求項
1に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項4】
前記姿勢操縦部は、前記圧力を検出する検出モジュールが操縱士に隣接する側面の反対側面の中央に備えられる請求項
1に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項5】
前記姿勢操縦部は、心電図および温度からなる群から選択された1つ以上の生体情報を検出する検出モジュールをさらに含む請求項
2に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項6】
前記姿勢操縦部は、前記心電図を検出する検出モジュールが前記トリガーおよび前記操縱士に隣接する側面の下端のうち、いずれか1つ以上に備えられる請求項
5に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項7】
前記姿勢操縦部は、前記温度を検出するモジュールが操縱士に隣接する側面の上端に備えられる請求項
5に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項8】
前記エンジン推力操縦部は、アンテナエレベーションスイッチ、コミュニケーションスイッチ、スピードブレーキスイッチ、マニュアルレンジまたはアンケージスイッチ、およびドッグファイトまたはミサイルスイッチを含む請求項1に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項9】
前記エンジン推力操縦部は、心電図、温度、圧力および心拍数からなる群から選択された1つ以上の生体情報を検出する検出モジュールを含む請求項1に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項10】
前記エンジン推力操縦部は、前記心電図、温度および圧力を検出する検出モジュールが前記操縱士に隣接する側面に順次に備えられる請求項
9に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項11】
前記エンジン推力操縦部は、前記心拍数を検出する検出モジュールが前記操縱士に隣接する側面の反対側面の下端に備えられる請求項
9に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項12】
前記受信モジュールは、姿勢操縦部またはエンジン推力操縦部に備えられた心電図を検出する検出モジュールに隣接するように備えられる請求項
6または請求項1
0に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項13】
前記受信モジュールは、前記検出モジュールで生成された信号を他の信号に変換せずにそのまま受信する請求項1に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項14】
前記送信モジュールは、軍用航空機操縱桿を前記飛行記録装置に接続する接続ケーブルを含む請求項1に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項15】
前記送信モジュールは、前記受信した生体情報を1553通信規約に従って飛行記録装置に送信する請求項1に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項16】
前記検出モジュール、受信モジュール、および送信モジュールに電源を印加する電源モジュールをさらに含む請求項1に記載の軍用航空機操縱桿。
【請求項17】
請求項1に記載の軍用航空機操縱桿を用いた操縱士の健康情報管理システム。
【請求項18】
操縱士の手が前記軍用航空機操縱桿と直接接触することを可能にする操縱手袋をさらに含む請求項1
7に記載の操縱士の健康情報管理システム。
【請求項19】
前記操縦手袋は、皮膚の微小電流を伝達するために、手のひら面と前記手のひら面に隣接する指節面に導電性繊維パッドを付着する請求項1
8に記載の操縱士の健康情報管理システム。
【請求項20】
前記操縦手袋は、指の血流量を用いて心拍数を測定するために指の末節面に透明パッドをさらに付着する請求項
19に記載の操縱士の健康情報管理システム。
【請求項21】
請求項1に記載の軍用航空機操縦桿を含む軍用航空機。
【請求項22】
請求項1に記載の軍用航空機操縱桿を含む軍用航空機シミュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、軍用航空機操縱桿、操縱士の健康情報管理システム、軍用航空機および軍用航空機シミュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
操縱士、特に戦闘機操縱士は、状況によって激しい環境に置かれる場合が多い。これにより、操縱士の心身が安定しなければ、自身だけでなく高価な航空機にも深刻な被害を与える恐れがある。
【0003】
従来は、カメラを用いて入力される映像を管理者のディスプレイ装置に提供し、管理者が提供された映像に基づいて操縱士の状態を把握することができた。しかし、管理者の主観的な判断によってのみ操縱士の状態を判断するしかないという問題点が発生した。
【0004】
また、従来は、ブラックボックスなどのみで事故発生後の状況のみを判断することができ、操縱士の状態を事前に知ることができないという問題が発生した。
【0005】
したがって、これを解決するために操縱士の健康状態を持続的にモニタリングできるように、操縱士が常時使用する装備である操縱桿を用いた健康情報管理システムが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の課題は、操縱士の健康情報を持続的にモニタリングし、健康情報の収集を通じて人的被害や物的被害などの航空事故を防止できる軍用航空機操縱桿、操縱士の健康情報管理システム、軍用航空機および軍用航空機シミュレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本出願の軍用航空機操縱桿は、姿勢操縦部およびエンジン推力操縦部を含み、前記姿勢操縦部またはエンジン推力操縦部は、操縦士の生体情報を検出する検出モジュールと、前記検出モジュールで検出された生体情報を受信する受信モジュールと、前記受信モジュールから受信した生体情報を飛行記録装置に送信する送信モジュールと、を含む。
【0008】
また、前記姿勢操縦部は、トリムスイッチと、カメラ操縦スイッチと、武装発射投下スイッチと、ミサイルステップノーズホイールスイッチと、画面表示制御スイッチと、パドルスイッチと、ピンキースイッチと、目標物指定または選択スイッチと、トリガーを含み得る。
【0009】
また、前記姿勢操縦部は、心拍数および圧力からなる生体情報を検出する検出モジュールを含み得る。
【0010】
また、前記姿勢操縦部は、前記心拍数を検出する検出モジュールが操縱士に隣接する側面の反対側面の下端に備えられ得る。
【0011】
また、前記姿勢操縦部は、前記圧力を検出する検出モジュールが操縱士に隣接する側面の反対側面の中央に備えられ得る。
【0012】
また、前記姿勢操縦部は、心電図および温度からなる群から選択された1つ以上の生体情報を検出する検出モジュールをさらに含み得る。
【0013】
また、前記姿勢操縦部は、前記心電図を検出する検出モジュールが前記トリガーおよび前記操縱士に隣接する側面の下端のうち、いずれか1つ以上に備えられ得る。
【0014】
また、前記姿勢操縦部は、前記温度を検出するモジュールが操縱士に隣接する側面の上端に備えられ得る。
【0015】
また、前記エンジン推力操縦部は、アンテナエレベーションスイッチ、コミュニケーションスイッチ、スピードブレーキスイッチ、マニュアルレンジまたはアンケージスイッチ、ドッグファイトまたはミサイルスイッチを含み得る。
【0016】
また、前記エンジン推力操縦部は、心電図、温度、圧力、および心拍数からなる群から選択された1つ以上の生体情報を検出する検出モジュールを含み得る。
【0017】
また、前記エンジン推力操縦部は、前記心電図、温度、および圧力を検出する検出モジュールが前記操縱士に隣接する側面に順次に備えられ得る。
【0018】
また、前記エンジン推力操縦部は、前記心拍数を検出する検出モジュールが前記操縱士に隣接する側面の反対側面の下端に備えられ得る。
【0019】
また、前記受信モジュールは、姿勢操縦部またはエンジン推力操縦部に備えられた心電図を検出する検出モジュールに隣接するように備えられ得る。
【0020】
また、前記受信モジュールは、前記検出モジュールで生成された信号を他の信号に変換せずにそのまま受信し得る。
【0021】
また、前記送信モジュールは、軍用航空機操縱桿を前記飛行記録装置に接続する接続ケーブルを含み得る。
【0022】
また、前記送信モジュールは、前記受信した生体情報を1553通信規約に従って飛行記録装置に送信し得る。
【0023】
また、前記軍用航空機操縱桿は、前記検出モジュール、受信モジュール、および送信モジュールに電源を印加する電源モジュールをさらに含み得る。
【0024】
また、本出願の操縱士の健康情報管理システムは、前記軍用航空機操縱桿を用いる。
【0025】
また、前記操縱士の健康情報管理システムは、操縱士の手が前記軍用航空機操縱桿と直接接触することを可能にする操縱手袋をさらに含み得る。
【0026】
また、前記操縦手袋は、皮膚の微小電流を伝達するために、手のひら面および前記手のひら面に隣接する指節面に導電性繊維パッドを付着できる。
【0027】
また、前記操縦手袋は、指の血流量を用いて心拍数を測定するために、指の末節面に透明パッドをさらに付着できる。
【0028】
また、本出願の軍用航空機は、前記軍用航空機操縱桿を含む。
【0029】
また、本出願の軍用航空機シミュレータは、前記軍用航空機操縱桿を含む。
【発明の効果】
【0030】
本出願の軍用航空機操縱桿、操縱士の健康情報管理システム、軍用航空機および軍用航空機シミュレータによると、操縱士の健康情報を持続的にモニタリングし、健康情報の収集を通じて人的被害や物的被害などの航空事故を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】飛行記録装置に操縱士の生体情報を送信するための本出願の一実施形態による軍用航空機操縱桿の構成図を示す図である。
【
図2】本出願の一実施形態による姿勢操縦部の操縱士に隣接する側面の反対側面を示す図である。
【
図3】本出願の一実施形態による姿勢操縦部の操縱士に隣接する側面を示す図である。
【
図4】本出願の一実施形態による姿勢操縦部の把持時に操縦士の手と接触する検出モジュールを説明するために撮影されたイメージである。
【
図5】本出願の一実施形態によるエンジン推力操縦部の操縱士に隣接する側面の反対側面を示す図である。
【
図6】本出願の一実施形態によるエンジン推力操縦部の把持時に操縦士の手に接触する検出モジュールを説明するために撮影されたイメージである。
【
図7】本出願の一実施形態による操縦手袋を示す図である。
【
図8】本出願の一実施形態による軍用航空機の操縦席の内部を示す図である。
【
図9】本出願の一実施形態による軍用航空機シミュレータの操縦席の内部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して本出願の軍用航空機操縱桿を説明し、添付図面は、例示的なものであり、本出願の軍用航空機操縱桿が添付図面に限定されるものではない。
【0033】
図1は、飛行記録装置に操縱士の生体情報を送信するための本出願の一実施形態による軍用航空機操縱桿の構成図を示す図である。
図1に示すように、飛行記録装置1200に送信するための本出願の軍用航空機操縱桿1100は、ホータス(HOTAS)方式の操縱桿であって、エンジン推力操縦部(図示せず)および姿勢操縦部(図示せず)を含み、前記エンジン推力操縦部または姿勢操縦部は、検出モジュール1110、受信モジュール1120、および送信モジュール1130を含む。本出願の軍用航空機操縱桿は、操縱士の健康情報を持続的にモニタリングし、健康情報の収集を通じて人的被害や物的被害などの航空事故を防止できる。
【0034】
前記姿勢操縦部は、軍用航空機の飛行方向と運動方向を操縦する棒状の装置である。
図2は、本出願の一実施形態による姿勢操縦部の操縱士に隣接する側面の反対側面を示す図である。
図3は、本出願の一実施形態による姿勢操縦部の操縱士に隣接する側面を示す図である。
図2および
図3に示すように、前記姿勢操縦部2100は、トリムスイッチ2140、カメラ操縦スイッチ2150、武装発射投下スイッチ2160、ミサイルステップノーズホイールスイッチ2170、画面表示制御スイッチ2180、パドルスイッチ2190、ピンキースイッチ2200、目標物指定または選択スイッチ2210、およびトリガー2220を含み得る。
【0035】
前記トリムスイッチは、4方向プッシュスイッチであり、軍用航空機のピッチ姿勢とロール姿勢を調整できる。また、前記4方向プッシュスイッチは、上、下、左、または右に押して操作し、手を離すと自動的に復帰できる。
【0036】
また、前記カメラ操縦スイッチは、曲芸する軍用航空機のカメラを操縦するトリム式スイッチであり、カメラを物理的に回転して撮影方向を切り替えることができる。
【0037】
また、前記武装発射投下スイッチは、武装投下制御スイッチであり、空対地武装任務時にミサイルを投下することができる。
【0038】
また、前記ミサイルステップノーズホイールスイッチは、軍用航空機の前輪操舵装置とミサイル選択スイッチであって、飛行前の地上で前記スイッチを押す場合、前輪操舵装置を操縦することができ、飛行中の空中で前記スイッチを押す場合、ミサイル発射機能を行い得る。
【0039】
また、前記画面表示制御スイッチは、操縦席内の多機能画面表示器コントロールスイッチであって、各種表示オプションと表示選択ができる。
【0040】
また、前記トリガーは、機銃発射スイッチであり、クリック時に機銃を作動させることができる。
【0041】
前記検出モジュール1110、2110は、航空機操縱士の生体情報を検出する構成要素である。前記検出モジュールを前記軍用航空機操縱桿、例えば、姿勢操縦部および/またはエンジン推力操縦部に備えることによって、操縱士の生体情報を取得し得る。
【0042】
一例において、前記姿勢操縦部は、心拍数および圧力からなる生体情報を検出する検出モジュールを含み得る。
【0043】
前記心拍数は、心臓の拍動数を意味する。前記心拍数は、操縱士の指の血流量を用いて測定できる。例えば、前記姿勢操縦部は、前記心拍数を検出する検出モジュール1111、2111が操縱士に隣接する側面の反対側面の下端に備えられ得る。
図4は、本出願の一実施形態による姿勢操縦部の把持時に操縦士の手と接触する検出モジュールを説明するために撮影されたイメージである。
図4に示すように、心拍数を検出するモジュール2111は、操縱桿の把持時に操縦士の薬指が位置する部分に備えられ得る。これにより、操縱士の健康情報を持続的にモニタリングかつ健康情報を収集することができ、人的被害や物的被害などの航空事故を防止できる。
【0044】
前記圧力は、手で前述の操縱桿を握る力を意味し、握力で表現できる。前記圧力は、前述の操縱桿の把持時に測定できる。例えば、前記姿勢操縦部は、前記圧力を検出する検出モジュール1112、2112が操縱士に隣接する側面の反対側面の中央に備えられ得る。具体的に、
図4に示すように、圧力を検出するモジュール2112は、操縱桿の把持時に操縦士の薬指が位置する部分に備えられ得る。これにより、操縱士の健康情報を持続的にモニタリングかつ健康情報を収集することができ、人的被害や物的被害などの航空事故を防止できる。
【0045】
他の例において、前記姿勢操縦部は、心電図および温度からなる群から選択された1つ以上の生体情報を検出する検出モジュールをさらに含み得る。
【0046】
前記心電図は、心臓の収縮による活動電流を曲線で記録したことを意味する。前記心電図は、前記操縱士の皮膚伝導度および脈拍を用いて測定できる。例えば、前記姿勢操縦部は、前記心電図を検出する検出モジュール1113、2113が前記トリガー、および前記操縱士に隣接する側面の下端のうち、いずれか1つ以上に備えられ得る。具体的に、
図4に示すように、心電図を検出するモジュール2113は、操縱桿の把持時に操縱士の人差し指が位置するトリガーおよび操縱士の手のひらが位置する部分の最下端のうち、いずれか1つ以上に備えられ得る。これにより、操縱士の健康情報を持続的にモニタリングかつ健康情報を収集することができ、人的被害や物的被害などの航空事故を防止できる。
【0047】
前記温度は、操縱士の体温を意味する。前記温度は、前記操縱士の皮膚温度を用いて測定できる。例えば、前記姿勢操縦部は、前記温度を検出する検出モジュール1114、2114が前記操縱士に隣接する側面の上端に備えられ得る。具体的に、
図4に示すように、温度を検出するモジュール2114は、操縱桿の把持時に操縦士の手のひらが位置する部分のうち、前記心電図を検出する検出モジュールの上部に備えられ得る。これにより、操縱士の健康情報を持続的にモニタリングかつ健康情報を収集することができ、人的被害や物的被害などの航空事故を防止できる。
【0048】
前記エンジン推力操縦部は、軍用航空機の推力調整、抗戦、および飛行制御機能を操縦する棒状の装置である。
図5は、本出願の一実施形態によるエンジン推力操縦部の操縱士に隣接する側面の反対側面を示す図である。
図5に示すように、前記エンジン推力操縦部3100は、アンテナエレベーションスイッチ3140、コミュニケーションスイッチ3150、スピードブレーキスイッチ(図示せず)、マニュアルレンジまたはアンケージスイッチ3160、およびドッグファイトまたはミサイルスイッチ3170を含み得る。
【0049】
前記アンテナエレベーション(Antenna Elevation)スイッチは、レーダーコントロールスイッチであって、望む方向の目標物を走査するために機械式レーダーの姿勢を物理的に上、下、左または右に調整できる。
【0050】
また、前記コミュニケーションスイッチは、送信チャンネル操作スイッチであって、UHF/VHFチャンネルを選択して通信することができる。前記UHF(Ultra High Frequency)チャンネルは、波長範囲が1mm~1mであり、周波数が300MHz~3.0GHzの間に割り当てられた無線電磁波を用いた極超短波チャンネルを意味する。前記VHF(Very High Frequency)チャンネルは、波長範囲が1m~10mであり、周波数が30MHz~300MHzの間に割り当てられた無線電磁波を用いた超短波チャンネルを意味する。
【0051】
また、前記スピードブレーキスイッチは、減速機作動スイッチであり、滑走速度減速および飛行中の速度急減を行い得る。
【0052】
また、前記マニュアルレンジ/アンケージスイッチは、レーダー範囲の手動設定および誘導弾ビデオ活性化作動スイッチであって、空対空機銃モードでレーダー範囲を手動で設定したり、誘導弾のドームカバーを除去して追跡カメラを動作させることができる。
【0053】
また、前記ドッグファイト/ミサイルスイッチは、空中戦またはミサイルオーバーライドモード選択スイッチであって、機銃発射または空対空ミサイル発射モードを選択し得る。
【0054】
一例において、前記エンジン推力操縦部は、心電図、温度、圧力、および心拍数からなる群から選択された1つ以上の生体情報を検出する検出モジュール3110を含み得る。
【0055】
前記心電図、温度、圧力および心拍数の定義および測定方法は、前記姿勢操縦部で説明したものと同じであるため省略する。一例において、前記エンジン推力操縦部は、前記心電図、温度および圧力を検出する検出モジュール3113、3114、3112が操縱士に隣接する側面に順次に備えられ得る。また、前記心拍数を検出する検出モジュール(図示せず)は、前記操縱士に隣接する側面の反対側面の下端に備えられ得る。具体的に、
図6は、本出願の一実施形態によるエンジン推力操縦部の把持時に操縦士の手に接触する検出モジュールを説明するために撮影されたイメージである。
図6に示すように、前記心電図、温度、および圧力を検出する検出モジュール3113、3114、3112は、操縱桿の把持時に操縦士の手のひらが位置する部分に順次に備えられ得る。また、前記心拍数を検出する検出モジュール3111は、操縱桿の把持時に操縦士の親指が位置する部分に備えられ得る。これにより、操縱士の健康情報を持続的にモニタリングかつ健康情報を収集することができ、人的被害や物的被害などの航空事故を防止できる。
【0056】
前記受信モジュール1120、2120、3120は、前記検出モジュールで検出された生体情報を受信する構成要素である。前記受信モジュールは、前記軍用航空機操縱桿、例えば、姿勢操縦部および/またはエンジン推力操縦部に備えられた検出モジュールから取得された操縱士の生体情報を受信して信号を検出し、前記送信モジュールを介して前記飛行記録装置に送信するための生体情報を生成し得る。
【0057】
例えば、
図2、
図3および
図5に示すように、前記受信モジュールは、姿勢操縦部またはエンジン推力操縦部に備えられた心電図を検出する検出モジュールに隣接するように備えられ得る。
【0058】
一例において、前記受信モジュールは、前記検出モジュールで生成された信号を他の信号に変換せずにそのまま受信し得る。前記受信モジュールを介して前記検出モジュールで生成された信号を他の信号に変換せずにそのまま受信することによって、別の信号変換部、具体的には、アナログ信号をデジタル信号に変換させるA/D変換部の追加が不要であるため、体積増大を避けられ、操縱士の健康情報をリアルタイムで収集することができ、飛行後のアナログデータを地上からダウンロードして地上に存在する健康管理者が前記操縱士の健康情報を持続的にモニタリングできる。また、A/D変換部を軍用航空機操縱桿に装着しようとする場合、体積が増加することになり、既存の軍用航空機に装着が不可能になり得る。
【0059】
前記送信モジュール1130、2130、3130は、前記受信モジュールから受信した生体情報を飛行記録装置に送信する構成要素である。前記送信モジュールは、前記受信モジュールで検出された信号を前記飛行記録装置に送信し得る。これにより、操縱士の健康情報を持続的にモニタリングかつ健康情報を収集することができ、人的被害や物的被害などの航空事故を防止できる。
【0060】
一例において、前記送信モジュールは、軍用航空機操縱桿を前記飛行記録装置に接続する接続ケーブルを含み得る。前記接続ケーブルとしては、当技術分野で知られているあらゆる種類のケーブルを使用できる。前記送信モジュールに接続ケーブルを含むことによって、操縱士の生体情報を飛行記録装置に送信し得、これにより、前記操縱士の健康情報を持続的にモニタリングかつ健康情報を収集することができ、人的被害および物的被害などの航空事故を防止できる。
【0061】
例えば、前記送信モジュールは、前記受信した生体情報を1553通信規約に従って飛行記録装置に送信し得る。前記1533通信規約は、MIL-STD-1553B規格であって、軍用航空電子システム内でデータ通信として使用する通信プロトコルを意味する。すなわち、既存のデータ通信インターフェースに前記検出モジュールのセンサを追加し、前記受信モジュールから受信した生体情報を1553マルチフレックスバス(Multiflex Bus)を介して飛行記録装置に送信し得る。これにより、既存のデータ通信インターフェースに前記検出モジュールのセンサを追加する際にユーザが別に再設計しないように互換性を提供し得る。
【0062】
前記飛行記録装置は、飛行中の航空機に関するすべてのデータを自動的に記録する装置であって、フライトデータレコーダまたはブラックボックスと呼ばれることがある。例えば、前記飛行記録装置は、
図1に示すように、送信された操縱士の生体情報を記録する生体情報記録モジュール1210を含み得る。
【0063】
前記軍用航空機操縱桿は、
図1に示すように、電源モジュール1140をさらに含み得る。前記電源モジュールは、前記検出モジュール、受信モジュール、および送信モジュールに電源を印加する構成要素である。前記電源モジュールは、前記検出モジュール、受信モジュール、および送信モジュールに電源を印加することによってそれぞれのモジュールを駆動することができる。
【0064】
本出願は、また、操縱士の健康情報管理システムに関する。前記操縱士の健康情報管理システムは、前述した軍用航空機操縱桿を用いた健康情報管理システムに関するものであって、後述する軍用航空機操縱桿についての具体的な事項は、前記軍用航空機操縱桿で説明した内容が同様に適用できるためこれを省略する。
【0065】
本出願の操縱士の健康情報管理システムは、前記軍用航空機操縱桿を用いる。前記軍用航空機操縱桿についての具体的な内容は、前述の内容と同じであるためこれを省略する。
【0066】
前記操縱士の健康情報管理システムは、操縱手袋をさらに含み得る。前記軍用航空機は、民間航空機とは異なり、操縱士が義務的に前記操縦手袋を着用する必要がある。前記操縦手袋は、航法装備や電子機器を操作する過程で操縱士の汗や静電気の発生を防ぎ、有事の際に手を保護する役割を行い得る。前記操縱士の健康情報管理システムは、操縦手袋をさらに含むことによって、操縱士が操縦手袋を着用しても、操縱桿の接触を通じた操縱士の生体情報を伝達し得る。
【0067】
図7は、本出願の一実施形態による操縦手袋を示す図である。
図7に示すように、前記操縦手袋4000は、導電性繊維パッド4100が付着できる。具体的に、前記導電性繊維パッドは、操縱手袋の手のひら面と前記手のひら面に隣接する指節面に付着できる。前記導電性繊維パッドを操縦手袋の前述の位置に付着することによって、皮膚の微小電流伝達が可能になり、操縦士の生体情報が軍用航空機操縱桿の検出モジュールに情報を伝達し得る。
【0068】
他の例において、前記操縦手袋は、透明パッド4200をさらに付着できる。具体的に、前記透明パッドは、操縦手袋の指の末節面にさらに付着できる。前記指の末節は、手のひらに最も隣接していない指節を意味し得る。前記透明パッドを操縦手袋の前述の位置に付着することによって、指の血流量を用いて心拍数を測定できる。
【0069】
本出願は、また、軍用航空機に関する。前記軍用航空機は、前述した軍用航空機操縱桿を含む軍用航空機に関するものであって、後述する軍用航空機操縱桿についての具体的な事項は、前記軍用航空機操縱桿で説明した内容が同様に適用できるためこれを省略する。
【0070】
図8は、本出願の一実施形態による軍用航空機の操縦席の内部を示す図である。
図8に示すように、前記軍用航空機は、前述の軍用航空機操縦桿5100を含む。前記軍用航空機操縱桿は、前記姿勢操縦部2100およびエンジン推力操縦部3100を含み得る。軍用航空機操縱桿に関する具体的な内容は、前述の内容と同じであるためこれを省略する。前記軍用航空機は、前述した軍用航空機操縱桿を含むことによって、軍用航空機の操縦時に操縱士の健康情報を取得し得、軍用航空機シミュレータの操縦時に取得された操縱士の健康情報と比較して操縱士の健康状態を持続的にモニタリングかつ収集することができ、人的被害や物的被害などの航空事故を防止できる。
【0071】
本出願は、また、軍用航空機シミュレータに関する。前記軍用航空機シミュレータは、前述した軍用航空機操縱桿を含む軍用航空機シミュレータに関するものであって、後述する軍用航空機操縱桿についての具体的な事項は、前記軍用航空機操縱桿で説明した内容が同様に適用できるためこれを省略する。
【0072】
図9は、本出願の一実施形態による軍用航空機シミュレータの操縦席の内部を示す図である。
図9に示すように、前記軍用航空機シミュレータは、前述の軍用航空機操縦桿6100を含む。前記軍用航空機操縱桿は、前記姿勢操縦部2100およびエンジン推力操縦部3100を含み得る。軍用航空機操縱桿に関する具体的な内容は、前述の内容と同じであるためこれを省略する。前記軍用航空機シミュレータは、前述した軍用航空機操縱桿を含むことによって、軍用航空機シミュレータの操縦時に操縱士の健康情報を取得し得、軍用航空機の操縦時に取得された操縱士の健康情報と比較して操縱士の健康状態を持続的にモニタリングかつ収集することができ、人的被害や物的被害などの航空事故を防止できる。
【0073】
<符号の説明>
1100、5100、6100:軍用航空機操縱桿
1110、2110、3110:検出モジュール
1111、2111、3111:心拍数を検出する検出モジュール
1112、2112、3112:圧力を検出する検出モジュール
1113、2113、3113:心電図を検出する検出モジュール
1114、2114、3114:温度を検出する検出モジュール
1120、2120、3120:受信モジュール
1130、2130、3130:送信モジュール
1140: 電源モジュール
1200: 飛行記録装置
1210:生体情報記録モジュール
2100: 姿勢操縦部
2140: トリムスイッチ
2150: カメラ操縦スイッチ
2160:武装発射投下スイッチ
2170:ミサイルステップノーズホイールスイッチ
2180:画面表示制御スイッチ
2190: パドルスイッチ
2200: ピンキースイッチ
2210:目標物指定または選択スイッチ
2220: トリガー
3100: エンジン推力操縦部
3140:アンテナエレベーションスイッチ
3150: コミュニケーションスイッチ
3160: マニュアルレンジまたはアンケージスイッチ
3170: ドッグファイトまたはミサイルスイッチ
4000: 操縦手袋
4100:導電性繊維パッド
4200: 透明パッド