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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/48 20060101AFI20241008BHJP
   H01R 9/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01R4/48 Z
H01R9/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023536232
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 JP2021026975
(87)【国際公開番号】W WO2023002530
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2024-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】姉川 哲朗
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6089902(US,A)
【文献】特開2018-181607(JP,A)
【文献】特開2010-262854(JP,A)
【文献】特開平8-130080(JP,A)
【文献】特開2010-283990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R4/48-4/56
H01R9/00
H01R9/15-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線部材と、前記配線部材が着脱可能に接続されるコネクタと、を備えるコネクタ装置であって、
前記配線部材は、
線状の電線部と、
前記電線部の先端側に配置される被係合部としての端子部と、を有し、
前記コネクタは、
前記端子部が挿抜可能に係合する電極部と、
前記電極部を収容する収容部を含むハウジングと、
前記ハウジングに設けられた接続案内部と、を有し、
前記ハウジングは、前記収容部に収容された前記電極部に対する前記端子部の出入り口、及び前記電線部が前記収容部から当該ハウジングの外部に引き出される引き出し口を含み、
前記接続案内部は、前記端子部を前記出入り口の側に配置するとともに、前記電線部を前記引き出し口の側に配置して、前記ハウジングから引き出された前記電線部の引き出し部が形成された状態とし、前記引き出し部を前記端子部とは反対方向に引っ張ることにより、前記端子部を前記出入り口から前記電極部に導入して係合可能とする、コネクタ装置。
【請求項2】
前記接続案内部は、スリットを含み、
前記スリットは、前記電線部を当該電線部の断面中央方向に沿って外部から前記収容部に挿通可能とし、かつ、前記端子部を前記出入り口の側に配置可能にするとともに前記引き出し部を前記引き出し口から前記ハウジングの外部に引き出された状態とする、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記端子部が前記電極部に係合された状態で、前記端子部を中心に前記電線部を前記スリットに沿って旋回させることで、前記引き出し部が前記出入り口の側に配置される、請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記電線部が前記引き出し口の側から前記出入り口の側へ旋回する途中位置において、前記端子部を当該ハウジングの外部に抜き出し可能とする抜き出し孔を有する、請求項3に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記電極部は、前記端子部が弾性的に係合するばね電極を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記出入り口の内面は、前記収容部から離間するにつれて開口断面積が広がるテーパ状に形成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記コネクタは、所定の機器に着脱可能に装着され、
前記ハウジングの前記出入り口と前記機器との間には、前記端子部が配置され得る空間が設けられる、請求項1~6のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配線部材をコネクタ等の接続部材を介して各種の機器に配線することが行われている。配線部材を接続部材に接続する構造としては、配線部材の先端部を板ばねと端子との間に押し込んで接続状態を保持する一方、マイナスドライバー等の工具で板ばねを端子から離間するように変形させて配線部材を引き抜くようにした構造が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-056076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線部材を板ばねと端子との間に押し込んで接続する構造においては、配線部材が剛性を備えずに柔軟である場合、配線部材が変形して押し込み難くなるため、作業性が劣る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るコネクタ装置は、配線部材と、前記配線部材が着脱可能に接続されるコネクタと、を備えるコネクタ装置であって、前記配線部材は、線状の電線部と、前記電線部の先端側に配置される被係合部としての端子部と、を有し、前記コネクタは、前記端子部が挿抜可能に係合する電極部と、前記電極部を収容する収容部を含むハウジングと、前記ハウジングに設けられた接続案内部と、を有し、前記ハウジングは、前記収容部に収容された前記電極部に対する前記端子部の出入り口、及び前記電線部が前記収容部から当該ハウジングの外部に引き出される引き出し口を含み、前記接続案内部は、前記端子部を前記出入り口の側に配置するとともに、前記電線部を前記引き出し口の側に配置して、前記ハウジングから引き出された前記電線部の引き出し部が形成された状態とし、前記引き出し部を前記端子部とは反対方向に引っ張ることにより、前記端子部を前記出入り口から前記電極部に導入して係合可能とする。
【発明の効果】
【0006】
一態様によれば、配線部材が柔軟なものであってもコネクタへの接続が容易であり、作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施形態に係るコネクタ装置及び当該コネクタ装置が接続される制御機器を示す斜視図である。
図2】本開示の実施形態に係る配線部材の斜視図である。
図3】本開示の実施形態に係る配線部材の一部断面側面図である。
図4】本開示の実施形態に係るコネクタの斜視図である。
図5】本開示の実施形態に係るコネクタの平面図である。
図6】本開示の実施形態に係るコネクタの一部を構成する接続部の斜視図である。
図7】上記接続部の平面図である。
図8図6のVIII-VIII断面図である。
図9図7のIX-IX断面図である。
図10A】本開示の実施形態に係る配線部材がコネクタの電極部に接続される作用の第1段階を示す平面図である。
図10B】本開示の実施形態に係る配線部材がコネクタの電極部に接続される作用の第2段階を示す平面図である。
図10C】本開示の実施形態に係る配線部材がコネクタの電極部に接続される作用の第3段階を示す平面図である。
図11A】本開示の実施形態に係る配線部材をコネクタに接続する手順の第1段階を示す斜視図である。
図11B】本開示の実施形態に係る配線部材をコネクタに接続する手順の第2段階を示す斜視図である。
図12A】本開示の実施形態に係る配線部材をコネクタから外す手順の第1段階を示す斜視図である。
図12B】本開示の実施形態に係る配線部材をコネクタから外す手順の第2段階を示す斜視図である。
図12C】本開示の実施形態に係る配線部材をコネクタから外す手順の第3段階を示す斜視図である。
図13】本開示の実施形態に基づく変形例のコネクタの一部を示す平面図である。
図14図13のXIV-XIV断面図である。
図15】変形例に係るコネクタの一部を構成する接続部の斜視図である。
図16】変形例に係るコネクタに端子部の抜き出し孔を設けた場合を示す側断面図である。
図17図16に示すコネクタの一部を構成する接続部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本明細書での「略」は厳密にその状態、大きさ、方向、向き、形状等を特定するものではなく、それらの機能や効果を達成可能な範囲で近似する状態を含むという意味である。
【0009】
図1は、実施形態に係るコネクタ装置1及びコネクタ装置1が接続される機器としての制御機器2を示している。制御機器2は、コネクタ装置1を介して所定の外部機器(図示せず)に電気的に接続される。外部機器としては、例えばCNC(Computerized Numerical Control)装置及び当該CNC装置を操作するための操作盤等が挙げられる。
【0010】
コネクタ装置1は、外部機器から制御機器2に入力信号を送信する入力側のコネクタ装置1Aと、制御機器2から外部機器に出力信号を送信する出力側のコネクタ装置1Bと、に区別される。入力側のコネクタ装置1Aと出力側のコネクタ装置1Bとは実質的に同一の構成を有する。したがって以下の説明では、入力側のコネクタ装置1Aと出力側のコネクタ装置1Bとを区別せずに、単にコネクタ装置1として説明する。
【0011】
コネクタ装置1は、配線部材10と、配線部材10が着脱可能に接続されるコネクタ20と、を備える。コネクタ20は、制御機器2に着脱可能に装着される。
【0012】
図2及び図3に示すように、配線部材10は、柔軟性を有する線状の電線部11と、電線部11の先端側に配置される被係合部としての端子部15と、を備える。なお、電線部11の先端は、端子部15よりも先に延びていてもよい。図3に示すように、電線部11は、金属製の導線12と、導線を被覆する絶縁性のカバー13と、を含む。
【0013】
端子部15は、導線12の一端に配置され、導線12に電気的に接続されている。端子部15は、導電性を有する。端子部15は、電線部11全体の外径よりも大きな瘤状の部分であり、例えば電線部11の外径の2~10倍程度の大きさを有する。端子部15は、例えば導線12を瘤状に加工して導線12と一体的に形成される。端子部15は、導電性材料からなる別部材のチップ状の塊を導線12の先端側に溶接するなどして設けてもよい。実施形態の端子部15は、略球状である。端子部15は、電線部11の中心から少なくとも一つの径方向の両側へ出っ張った形状であればよく、直方体状、鍔状、板状等の形状であってもよい。
【0014】
図4及び図5に示すように、コネクタ20は、体積的な主体となるハウジング21を有する。ハウジング21は細長い直方体形状を有する樹脂製のブロックである。図4及び図5において矢印L、矢印W、矢印Tは、ハウジング21及びコネクタ20の長さ方向、幅方向、高さ方向をそれぞれ示している。なお、図6以降、全ての図面においても同様である。以下の説明でいう長さ(L)方向、幅(W)方向、高さ(T)方向のそれぞれは、上記の矢印L、矢印W、矢印Tで示す方向をいう。幅(W)方向のうち、ハウジング21の出入り口27の方向を第1幅方向W1といい、引き出し口28の方向を第2幅方向W2という。高さ(T)方向のうち、接続案内部50が解放する方向を上方向T1といい、接続案内部50が解放していない方向を下方向T2という。ハウジング21の各方向の呼称は、実施形態の説明における便宜上のものである。
【0015】
ハウジング21は、1本の配線部材10が接続される接続部22を複数有する。1つの接続部22はハウジング21の一部であり、複数の接続部22は、長さ(L)方向に並列している。図4及び図5の二点鎖線は、隣接する2つの接続部22の仮想的な境界を示している。隣接する接続部22の間に隙間が空いていてもよい。その場合、例えば板状のベースの上に複数の接続部22が間隔をおいて配置されて、ハウジング21が構成される。図示例のハウジング21は8個の接続部22が一体的に並列しているが、接続部22の数はこれに限定されない。
【0016】
図6図9は、1つの接続部22を示している。図6は接続部22の斜視図、図7は接続部22の平面図(図6のVII矢視図)、図8図6のVIII-VIII断面図、図9図7のIX-IX断面図である。
【0017】
接続部22は、ハウジング21における第1幅方向W1の側に、切欠き部22aを有する。切欠き部22aは、高さ(T)方向に視たときに三角形状の2辺となるような凹みである。図7図9に示すように、接続部22は、配線部材10の端子部15が挿抜可能に係合する電極部30と、電極部30を収容する収容部40と、接続案内部50と、を有する。
【0018】
図7図9に示すように、収容部40は接続部22の内部に形成されている。収容部40は、接続部22が備える天板部23、底板部24、一対の側板部25及び奥板部26に囲まれた空間である。天板部23及び底板部24のそれぞれは、高さ(T)方向に離間して互いに対向している。一対の側板部25のそれぞれは、長さ(L)方向に離間して互いに対向している。奥板部26は、収容部40の第2幅方向W2の側(図8で右側)の端部に配置されている。
【0019】
図8に示すように、収容部40は平面視(図6のVII矢視方向で見た場合)が略楕円状の形状を有する。接続部22は、切欠き部22aの側(第1幅方向W1の側)に収容部40への出入り口27を有し、幅(W)方向において出入り口27とは反対側(第2幅方向W2の側)に引き出し口28を有する。出入り口27は、収容部40に収容された電極部30に対して配線部材10の端子部15が出入りする開口である。図8に示すように、出入り口27を形成する一対の側板部25のそれぞれの端部内面は、切欠き部22aにより、収容部40から第1幅方向W1の側に離間するにつれて開口断面積が広がるテーパ状に形成されている。引き出し口28は、奥板部26に形成されている。引き出し口28は、後述するように収容部40から電線部11がハウジング21の外部に(第2幅方向W2の側に)引き出される開口である。
【0020】
図8に示すように、電極部30は、長さ(L)方向に離間し、かつ互いに対向して配置されたばね電極としての一対の板ばね31を含む。板ばね31は、弾性を有する導電性の金属板である。電極部30は、接続部22の出入り口27側から引き出し口28側にわたって、開口部32、狭隘部33及び係合部34を含む。一対の板ばね31のそれぞれにおける係合部34側(第2幅方向W2の側)の端部は、ハウジング21に固定されている。一対の板ばね31の間に、配線部材10の端子部15が配置可能となっている。
【0021】
開口部32は、狭隘部33から出入り口27側(第1幅方向W1の側)に向かうにつれて一対の板ばね31のそれぞれが次第に離間するように、開いている。開口部32は、端子部15が収容部40に導入される部分である。狭隘部33は、一対の板ばね31が互いに近接しており、係合部34に端子部15を保持する部分である。係合部34は、一対の板ばね31が長さ(L)方向それぞれに膨出することによって略楕円状に形成された部分であり、その内部に端子部15を保持する。係合部34において、一対の板ばね31が、端子部15に弾性的に接触して電気的に接続する。
【0022】
端子部15は、電極部30に対し、開口部32から係合部34側(第2幅方向W2の側)に挿入され、係合部34に入り込んで係合する。図10A図10Cは、端子部15が電極部30に接続される作用を示す遷移図である。図10A図10Bに示すように、端子部15が開口部32から電極部30に挿入されるにつれて各板ばね31は弾性変形して開き、端子部15は、狭隘部33を通り過ぎると図10Cに示すように、係合部34に入り込む。これにより、各板ばね31が端子部15を弾性的に挟み込み、端子部15は電極部30に係合した状態に保持される。
【0023】
一方、これと逆の動作により、端子部15は電極部30から抜き出し可能である。すなわち、係合部34に係合する端子部15を出入り口27の側(第1幅方向W1の側)に動かすと、各板ばね31は弾性変形して開き、端子部15は狭隘部33を脱して外部に出る。このようにして端子部15は電極部30に挿抜可能に係合する。
【0024】
図9に示すように、電極部30には端子板35が接続されている。端子板35は、電極部30の少なくとも一方の板ばね31に接続されている。端子板35は、接続部22の底板部24の中を通って出入り口27側の外部に引き出されている。端子板35は、板ばね31と一体でもよく、別体でもよい。コネクタ20が制御機器2に装着されると、端子板35が制御機器2の端子に接続されるようになっている。なお、端子板35に関しては、一部の図面において図示を省略している。
【0025】
接続案内部50は、接続部22に設けられたスリット53を含む。図6に示すように、スリット53は、接続部22の長さ(L)方向の中央部において幅(W)方向に延在する。図9に示すように、スリット53は、接続部22の天板部23から奥板部26にわたって形成されている。すなわちスリット53は、天板部23に形成された幅(W)方向に延びる第1スリット部51と、奥板部26に形成された高さ(T)方向に延びる第2スリット部52と、を含む。第1スリット部51と第2スリット部52とは連続している。第1スリット部51は、収容部40及び出入り口27に連通している。第2スリット部52は、収容部40に連通している。図9に示すように、第2スリット部52の末端の部分(図9で下端部)が、引き出し口28を構成している。
【0026】
スリット53は、配線部材10の電線部11の外径よりも大きな幅を有する。したがって、ハウジング21の外部から下方向T2に、真っ直ぐに伸ばした電線部11をその径方向すなわち断面中央方向に沿ってスリット53に挿通させると、電線部11の一部を収容部40に配置させることができる。電線部11を、天板部23の外部側において、端子部15を出入り口27側に配置した状態からスリット53に挿通させると、図10Aに示すように、端子部15が出入り口27の側に配置され、電線部11の一部が収容部40内において一対の板ばね31の間に配置される。このとき、電線部11は引き出し口28から接続部22の外部に引き出された状態となる。これにより、電線部11には、接続部22の引き出し口28から引き出された引き出し部11Bが形成される。
【0027】
スリット53を含む接続案内部50によれば、ハウジング21の接続部22に対して配線部材10を次のような状態になることを可能とする。すなわち、図10A及び図11Aに示すように、端子部15を出入り口27の側に配置するとともに、電線部11を引き出し口28の側に配置して、電線部11を収容部40まで下方向T2にスリット53に挿通すると、ハウジング21から引き出された電線部11の引き出し部11Bが形成される。図11Bに示すように、この状態から、手指で摘まんだ引き出し部11Bを電線部11の延在方向において端子部15とは反対方向(矢印E1で示す引き出し口28の方向)、すなわち第2幅方向W2の側に引っ張ると、端子部15は出入り口27から電極部30に導入され、図10Cに示すように電極部30の係合部34に入って係合する。これにより、配線部材10はコネクタ20に電気的に接続される。
【0028】
配線部材10は、上記の接続状態から、図12Aに示すように、引き出し部11Bを手指で摘まみ、端子部15を中心にして電線部11をスリット53に沿って出入り口27側に旋回させる(矢印E2で示す)ことができる。図12Bに示すように、電線部11を略180°旋回させる(矢印E3で示す)と、引き出し部11Bが出入り口27の側に転換して配置される。この状態から図12Cに示すように引き出し部11Bを出入り口27の側(第1幅方向W1の側)に引っ張る(矢印E4で示す)と、端子部15がハウジング21の外部に出る。これにより、配線部材10はコネクタ20から取り外される。
【0029】
以上説明した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
実施形態に係るコネクタ装置1は、配線部材10と、配線部材10が着脱可能に接続されるコネクタ20と、を備え、配線部材10は、線状の電線部11と、電線部11の先端側に配置される被係合部としての端子部15と、を有し、コネクタ20は、端子部15が挿抜可能に係合する電極部30と、電極部30を収容する収容部40を含むハウジング21と、ハウジング21に設けられた接続案内部50と、を有し、ハウジング21は、収容部40に収容された電極部30に対する端子部15の出入り口27、及び電線部11が収容部40から当該ハウジング21の外部に引き出される引き出し口28を含み、接続案内部50は、端子部15を出入り口27の側に配置するとともに、電線部11を引き出し口28の側に配置して、ハウジング21から引き出された電線部11の引き出し部11Bが形成された状態とし、引き出し部11Bを端子部15とは反対方向に引っ張ることにより、端子部15を出入り口27から電極部30に導入して係合可能とする。
【0030】
実施形態によれば、電線部11を摘まんで端子部15を電極部30に押し込むのではなく、電線部11を引っ張ることにより、配線部材10をコネクタ20に接続させることができる。したがって電線部11が剛性を備えずに柔軟性を有していても配線部材10をコネクタ20に容易に接続することができ、作業性の向上を図ることができる。
【0031】
実施形態に係るコネクタ装置1において、接続案内部50は、スリット53を含み、スリット53は、電線部11を当該電線部11の断面中央方向に沿って外部から収容部40に挿通可能とし、かつ、端子部15を出入り口27の側に配置可能にするとともに引き出し部11Bを引き出し口28からハウジング21の外部に引き出された状態とする。
【0032】
これにより、スリット53を設けることで容易に接続案内部50を構成することができ、コネクタ20を簡素な構成とすることができる。
【0033】
実施形態に係るコネクタ装置1は、端子部15が電極部30に係合された状態で、端子部15を中心に電線部11をスリット53に沿って旋回させることで、引き出し部11Bが出入り口27の側に配置される。
【0034】
これにより、電線部11をスリット53に沿って旋回させて引き出し部11Bを出入り口27側に配置し、この状態から電線部11を引っ張ることにより、配線部材10をコネクタ20から外すことができる。したがって、コネクタ20に対して配線部材10を、工具を用いることなく容易、かつ確実に接続したり外したりすることができる。
【0035】
実施形態に係るコネクタ装置1において、電極部30は、端子部15が弾性的に係合するばね電極としての一対の板ばね31を含むことが好ましい。
【0036】
これにより、端子部15は電極部30に対して挿抜しやすく、かつ接続の状態が確実に保持される。
【0037】
実施形態に係るコネクタ装置1において、出入り口27の内面は、収容部40から離間するにつれて開口断面積が広がるテーパ状に形成されていることが好ましい。
【0038】
これにより、配線部材10の端子部15が収容部40内の電極部30に円滑に導入されやすく、作業性がより向上する。
【0039】
続いて、図13図15を参照して上記実施形態の一部を変更した変形例を説明する。
この変形例は、コネクタ20の一部が上記実施形態と異なっており、他の構成は同じである。したがって、実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0040】
図13は、制御機器2に装着された変形例のコネクタ20の一部を示す平面図である。図14は、図13のXIV-XIV断面図である。図15は、出入り口27側から見た接続部22の斜視図である。
【0041】
コネクタ20のハウジング21は、制御機器2が備える取り付け面2bに接合する接合面29を有する。接続部22の出入り口27側には、上記切欠き部22aは形成されていない。出入り口27は、接合面29から幅(W)方向に距離Gをおいて離間しており、出入り口27と制御機器2の取り付け面2bとの間には距離Gに対応する空間60が空く。この空間60は、配線部材10の端子部15が配置され得る大きさを有する。図15に示すように、接続部22の出入り口27は、収容部40から第1幅方向W1の側に離間するにつれて開口断面積が広がる円錐テーパ状に形成されている。
【0042】
この変形例では、電線部11をスリット53に挿通させて空間60に端子部15を配置するとともに引き出し部11Bを引き出し口28から外部に引き出す。この状態から引き出し部11Bを引っ張って端子部15を電極部30に係合させて配線部材10をコネクタ20に接続する。この接続状態から、端子部15を中心にして電線部11をスリット53に沿って出入り口27側に旋回させ、引き出し部11Bを出入り口27の側に引っ張ると、端子部15がハウジング21から空間60に出る。これにより、配線部材10はコネクタ20から取り外すことができる。
【0043】
変形例においては、コネクタ20は制御機器2に着脱可能に装着され、ハウジング21の接続部22の出入り口27と制御機器2との間には、端子部15が配置され得る空間60が設けられる。
【0044】
これにより、コネクタ20を制御機器2に装着した状態であっても、配線部材10をコネクタ20に対して接続したり外したりすることができる。
【0045】
変形例のコネクタ20にあっては、図16及び図17に示すように、ハウジング21の天板部23に(上方向T1の側に)抜き出し孔23aを有する構成であってよい。抜き出し孔23aは天板部23の電極部30に対応する位置、すなわち図16において電極部30における係合部34の直上の位置に配置されている。抜き出し孔23aは端子部15が通過可能な大きさを有する。
【0046】
コネクタ20に接続した配線部材10の引き出し部11Bを摘まみ、端子部15を中心として電線部11を引き出し部11B側へ旋回させていく途中位置において、90°程度旋回させると、電線部11は抜き出し孔23aに挿通して天板部23の外部に引き出される。この状態から電線部11を端子部15とは反対方向に引っ張ると、端子部15は抜き出し孔23aを通ってハウジング21の外部に抜き出される。これによりコネクタ20から配線部材10を外すことができる。抜き出し孔23aが配置される天板部23の外部は広い空間であるため、電線部11を引っ張る操作がしやすく、配線部材10をコネクタ20から外しやすい。
【0047】
このように、本開示においては、ハウジング21は、電線部11が引き出し口28の側から出入り口27の側へ旋回する途中位置において、端子部15をハウジング21の外部に抜き出し可能とする抜き出し孔23aを有してもよい。
【0048】
これにより、配線部材10を出入り口27側の方向のみならず抜き出し孔23aの方向にもコネクタ20から外すことができ、制御機器2にコネクタ20を装着した状態で配線部材10をコネクタ20から外しやすい。
【0049】
本開示は、上記実施形態に制限されることはなく、適宜変更が可能である。
例えば、接続案内部50は配線部材10の端子部15が出入り口27の側に配置されるとともに電線部11が引き出し口28の側に配置され、引き出し部11Bを端子部15とは反対方向に引っ張ると端子部15が電極部30に係合可能とする態様であれば、スリット53に限定されない。また、ここでいう反対方向は、実施形態では電線部11の延びる方向であって端子部15に対して略180°逆側であったが、略180°の方向には限定されず、端子部15が電極部30に係合する方向であればよい。
電線部11の先端側に配置される被係合部としての端子部は、実施形態のように電線部11の外径よりも大きい瘤状の端子部15に限定されず、電極部に挿抜可能に係合すればいかなる態様であってよい。
【符号の説明】
【0050】
1 コネクタ装置
2 制御機器(機器)
10 配線部材
11 電線部
11B 引き出し部
15 端子部
20 コネクタ
21 ハウジング
23a 抜き出し孔
27 出入り口
28 引き出し口
30 電極部
31 板ばね(ばね電極)
40 収容部
50 接続案内部
53 スリット
60 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16
図17