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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】送信機システム
(51)【国際特許分類】
   H04H 20/12 20080101AFI20241008BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H04H20/12
H04B1/04 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023542225
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 JP2022020023
(87)【国際公開番号】W WO2023021798
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2021132589
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】若林 佑
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103326745(CN,A)
【文献】特開2002-198831(JP,A)
【文献】特開2005-277475(JP,A)
【文献】特開2002-064410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04H 20/00-60/98
H04B 1/02-1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現用の送信機と予備の送信機とを切替可能な送信機システムであって、
現用又は予備となる第1の送信機と、
予備又は現用となる第2の送信機と、
保守用の第3の送信機と、
前記第1~3の送信機のいずれかの出力を選択して出力する第1の同軸切替器と、
前記第2の送信機又は前記第3の送信機の出力を選択して出力する第2の同軸切替器と、
前記第1の同軸切替器の出力を入力し、前記第2の同軸切替器の出力を入力し、いずれかの入力を切替可能に選択して出力する無停波切替器と、
前記無停波切替器への2つの入力の位相差を検出し、位相差制御信号を出力する位相差検出部と、
前記位相差検出部からの位相差制御信号を予備及び保守用の送信機に分配する分配部と、を有することを特徴とする送信機システム。
【請求項2】
第1の同軸切替器は、2つの入力端子のうち、一方の入力端子に第1の送信機の出力が入力され、他方の入力端子に第2の同軸切替器からの出力が入力され、2つの出力端子のうち、一方の出力端子が無停波切替器の一方の入力端子に接続され、他方の出力端子がダミーロードに接続し、
前記第2の同軸切替器は、2つの入力端子のうち、一方の入力端子に第2の送信機の出力が入力され、他方の入力端子に第3の送信機の出力が入力され、2つの出力端子のうち、一方の出力端子が前記無停波切替器の他方の入力端子に接続され、他方の出力端子が前記第1の同軸切替器の他方の入力端子に接続され、
前記無停波切替器は、一方の出力端子が外部に送信信号を出力し、他方の出力端子がダミーロードに接続していることを特徴とする請求項1記載の送信機システム。
【請求項3】
分配部は、
第1の送信機と第3の送信機に位相差制御信号を分配する第1の2分配器と、
第2の送信機と前記第3の送信機に位相差制御信号を分配する第2の2分配器と、
前記第1の送信機を保守する場合に、前記第1の2分配器から前記第3の送信機に出力された位相差制御信号を選択し、前記第2の送信機を保守する場合、前記第2の2分配器から前記第3の送信機に出力された位相差制御信号を選択する選択部と、を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の送信機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号の無停波切替を行う送信機システムに係り、特に、保守作業を容易にし、設置時のコスト低減、設置場所の省スペース化を実現できる送信機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
テレビやラジオの放送では、放送を維持することが最も重要であり、現用/予備の2台構成から成る放送システムが採用されている。
現用の送信機に異常が発生した場合は、予備の送信機に切り替えることで放送を維持することが可能である。
【0003】
[従来の2台構成の送信機システム:図2
従来の2台構成の送信機システムについて図2を参照しながら説明する。図2は、従来の2台構成の送信機システムの構成ブロック図である。
従来の送信機システムは、図2に示すように、2台の送信機1,2と、同軸切替器3,4と、無停波切替器5と、位相差検出部6と、ダミーロード7とを備えている。
【0004】
図2の送信機システムの動作を説明する。
送信機1,2の出力は、それぞれ同軸切替器3,4を経由して無停波切替器5に入力される。無停波切替器5は、現用の送信機1の出力を選択して外部に出力し、予備の送信機2の出力は同軸切替機4を介して同軸切替器3に入力され、ダミーロード7に出力される。
【0005】
また、位相検出部6は、無停波切替器5に入力される信号の位相差を検出し、予備に選択されている送信機に対して位相差制御信号を出力する。
位相差制御信号を受け取った予備の送信機は、位相制御を行い、現用の送信機との位相差が解消されると、無停波切替器5によるシームレスな切り替えが実行可能となる。
【0006】
無停波切替器5は、入出力ポートのアイソレーションを確保するのが難しいため、送信機の保守を行う際は、同軸切替器3,4により経路を切り替えて、保守用の送信機の出力をダミーロード7に接続する。
保守作業中は、予備の送信機への切替ができなくなるので、2台構成の場合、保守作業は番組放送が終了した深夜に行われることがほとんどである。
【0007】
[3台構成の送信機システム:図3
また、日中の保守作業を考慮した現用/予備/保守用の3台構成から成る放送システムも本出願人は検討している。
日中でも保守作業ができるように、3台構成の送信機システムを検討してる、3台構成の送信機システムの一例について図3を参照しながら説明する。図3は、本出願人が検討した3台構成の送信機システムの構成ブロック図である。
3台構成の送信機システムは、図3に示すように、図2の構成に、保守用の送信機8と、同軸切替器9と、無停波切替器10と、位相検出部11と、ダミーロード12と、2分配器13と、選択部14a,14bとが追加されたものである。
【0008】
図3の送信機システムの動作を説明する。尚、図2で説明した動作については省略する。
無停波切替器10には、無停波切替器5の出力(送信機1又は送信機2の出力)と同軸切替器9の出力(送信機8の出力)を入力し、送信機1,2のいずれかを現用としている場合には、無停波切替器5の出力を選択して外部に出力する。
また、送信機8からの出力は、無停波切替器10から同軸切替器9を介してダミーロード12に出力される。
【0009】
そして、位相差検出部11で無停波切替器10の2入力について位相差を検出し、位相差制御信号を送信機8に出力して位相差を解消し、無停波切替器10でシームレスに保守用の送信機8に切り替える。
【0010】
送信機8の出力を無停波切替器10が選択して外部に出力している場合には、位相差検出部11で位相差制御信号を2分配器13に出力し、2分配されて選択部14a,14bに出力され、選択部14a,14bを介して送信機1,2の位相差の調整が行われる。
【0011】
送信機8と送信機1,2との位相差が解消されると、無停波切替器10で同軸切替器9の出力(送信機8の出力)から無停波切替器5の出力(送信機1,2のいずれかの出力)にシームレスに切り替えることが可能である。
【0012】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2002-198831号公報「無停波送信システム、及びその電力供給系統切替器とその切替方法」(特許文献1)、特許第2818490号公報「レーダー送信装置無停波切替方式」(特許文献2)がある。
【0013】
特許文献1には、現用2台、予備1台の3台の送信機を備え、無停電電源装置による経済的な無停波送信を行う無停波送信システムが示されている。
特許文献2には、3台の送信機を備え、電波の放射を停止させずに予備送信機に切替を行うレーダー送信装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2002-198831号公報
【文献】特許第2818490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、3台の送信機により、現用、予備用、保守用を備える送信機システムでは、同軸切替器が3台、無停波切替器が2台、位相差検出部が2台と構成部品が多くなり、設置時のコストが高くなり、設置場所のスペースが増大するという問題点があった。
【0016】
尚、特許文献1,2には、構成部品を少なくしてコストを低減して、省スペース化を実現するための構成についての記載がない。
【0017】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、保守作業を容易にし、設置時のコストを低減して、設置場所の省スペース化を実現する送信機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、現用の送信機と予備の送信機とを切替可能な送信機システムであって、現用又は予備となる第1の送信機と、予備又は現用となる第2の送信機と、保守用の第3の送信機と、第1~3の送信機のいずれかの出力を選択して出力する第1の同軸切替器と、第2の送信機又は第3の送信機の出力を選択して出力する第2の同軸切替器と、第1の同軸切替器の出力を入力し、第2の同軸切替器の出力を入力し、いずれかの入力を切替可能に選択して出力する無停波切替器と、無停波切替器への2つの入力の位相差を検出し、位相差制御信号を出力する位相差検出部と、位相差検出部からの位相差制御信号を予備及び保守用の送信機に分配する分配部と、を有することを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記送信機システムにおいて、第1の同軸切替器が、2つの入力端子のうち、一方の入力端子に第1の送信機の出力が入力され、他方の入力端子に第2の同軸切替器からの出力が入力され、2つの出力端子のうち、一方の出力端子が無停波切替器の一方の入力端子に接続され、他方の出力端子がダミーロードに接続し、第2の同軸切替器が、2つの入力端子のうち、一方の入力端子に第2の送信機の出力が入力され、他方の入力端子に第3の送信機の出力が入力され、2つの出力端子のうち、一方の出力端子が無停波切替器の他方の入力端子に接続され、他方の出力端子が第1の同軸切替器の他方の入力端子に接続され、無停波切替器が、一方の出力端子が外部に送信信号を出力し、他方の出力端子がダミーロードに接続していることを特徴とする。
【0020】
本発明は、上記送信機システムにおいて、分配部が、第1の送信機と第3の送信機に位相差制御信号を分配する第1の2分配器と、第2の送信機と前記第3の送信機に位相差制御信号を分配する第2の2分配器と、第1の送信機を保守する場合に、第1の2分配器から第3の送信機に出力された位相差制御信号を選択し、第2の送信機を保守する場合、第2の2分配器から第3の送信機に出力された位相差制御信号を選択する選択部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、現用又は予備となる第1の送信機と、予備又は現用となる第2の送信機と、保守用の第3の送信機と、第1~3の送信機のいずれかの出力を選択して出力する第1の同軸切替器と、第2の送信機又は第3の送信機の出力を選択して出力する第2の同軸切替器と、第1の同軸切替器の出力を入力し、第2の同軸切替器の出力を入力し、いずれかの入力を切替可能に選択して出力する無停波切替器と、無停波切替器への2つの入力の位相差を検出し、位相差制御信号を出力する位相差検出部と、位相差検出部からの位相差制御信号を予備及び保守用の送信機に分配する分配部と、を有する送信機システムとしているので、良好なアイソレーションを確保しつつ、出力切替をシームレスに行うことができ、更に簡易な構成でコストを低減して省スペース化を実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本送信機システムの構成ブロック図である。
図2】従来の2台構成の送信機システムの構成ブロック図である。
図3】3台構成の送信機システムの構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る送信機システム(本送信機システム)は、現用又は予備となる第1の送信機と、予備又は現用となる第2の送信機と、保守用の第3の送信機と、第1~3の送信機のいずれかの出力を選択して出力する第1の同軸切替器と、第2の送信機又は第3の送信機の出力を選択して出力する第2の同軸切替器と、第1の同軸切替器の出力を入力し、第2の同軸切替器の出力を入力し、いずれかの入力を切替可能に選択して出力する無停波切替器と、無停波切替器への2つの入力の位相差を検出し、位相差制御信号を出力する位相差検出部と、位相差検出部からの位相差制御信号を予備及び保守用の送信機に分配する分配部と、を有するものであり、これにより、保守時も第1,2の同軸切替器で良好なアイソレーションを確保しつつ、位相差検出部により無停波切替器への入力信号の位相差を制御して、無停波切替器により出力切替をシームレスに行うことができ、更に簡易な構成でコストを低減して省スペース化を実現できるものである。
【0024】
[本送信機システム:図1
本送信機システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本送信機システムの構成ブロック図である。
本送信機システムは、図1に示すように、3台の送信機1,2,8と、同軸切替器3,4と、無停波切替器5と、位相差検出部6と、ダミーロード7と、分配切替部15とを備えている。
尚、本送信機システムは、例えば、テレビやラジオの放送機の無停波切替に用いられる。
また、送信機1,2のいずれか一方を現用とし、他方を予備用とし、送信機8を保守用としている。なお、送信機1、2、8は何れかを現用、何れかを予備用、何れかを保守用とすることができる。
【0025】
[本送信機システムにおける経路選択]
本送信機システムの各部の説明の前に、経路選択を簡単に説明する。
送信機1を現用、送信機2を予備、送信機8を保守用と運用者が設定した場合には、送信機1の出力は、同軸切替器3、無停波切替器5で選択されて外部に出力される。
この場合、予備の送信機2の出力は、同軸切替器4を介して無停波切替器5に出力されるが、選択されずにダミーロード12に出力される。
また、保守用の送信機8の出力は、同軸切替器4を介して同軸切替器3に出力されるが、選択されずにダミーロード7に出力される。
【0026】
また、送信機2を現用、送信機1を予備、送信機8を保守用と運用者が設定した場合には、送信機2の出力は、同軸切替器4、無停波切替器5で選択されて外部に出力される。
この場合、予備の送信機1の出力は、同軸切替器3を介して無停波切替器5に出力されるが、選択されずにダミーロード12に出力される。
また、保守用の送信機8の出力は、同軸切替器4を介して同軸切替器3に出力されるが、選択されずにダミーロード7に出力される。
【0027】
[本送信機システムの各部]
本送信機システムの各部について具体的に説明する。
[送信機1,2,8]
送信機1は、出力信号(RF信号)を同軸切替器3の一方の入力端子に出力し、分配切替部15からの位相差制御信号を入力する。
また、送信機1は、その位相差制御信号により位相を進めるか遅らせるかの制御(調整)を行う。
【0028】
送信機2は、出力信号(RF信号)を同軸切替器4の一方の入力端子に出力し、分配切替部15からの位相差制御信号を入力する。
また、送信機2は、その位相差制御信号により位相の制御を行う。
【0029】
送信機8は、出力信号(RF信号)を同軸切替器4の他方の入力端子に出力し、分配切替部15からの位相差制御信号を入力する。
また、送信機8は、その位相差制御信号により位相の制御を行う。
【0030】
[同軸切替器3,4]
同軸切替器3は、一方の入力端子に送信機1からの出力信号を入力し、他方の入力端子に同軸切替器4の他方の出力端子からの出力信号を入力する。
また、同軸切替器3は、2つの入力端子に入力された出力信号を経路選択し、選択した出力信号を一方の出力端子から無停波切替器5の一方の入力端子に出力し、選択しなかった出力信号を他方の出力端子からダミーロード7に出力する。
具体的には、同軸切替器3では、送信機1からの出力信号か、送信機2又は送信機3からの出力信号のいずれかが選択されて無停波切替器5に出力される。
【0031】
同軸切替器4は、一方の入力端子に送信機2からの出力信号を入力し、他方の入力端子に送信機8からの出力信号を入力する。
また、同軸切替器3は、2つの入力端子に入力された出力信号を経路選択し、選択した出力信号を一方の出力端子から無停波切替器5の他方の入力端子に出力し、選択しなかった出力信号を他方の出力端子から同軸切替器3の他方の入力端子に出力する。
具体的には、同軸切替器4では、送信機2からの出力信号又は送信機8からの出力信号が選択されて無停波切替器5に出力される。
【0032】
[無停波切替器5]
無停波切替器5は、一方の入力端子に同軸切替器3の一方の出力端子からの出力信号を入力し、他方の入力端子に同軸切替器4の一方の出力端子からの出力信号を入力する。
また、無停波切替器5は、2つの入力端子に入力された信号のいずれかを選択し、選択した信号を一方の出力端子から外部に出力し、選択しなかった信号を他方の出力端子からダミーロード12に出力する。
【0033】
[位相差検出部6]
位相差検出部6は、無停波切替器5に入力される2つの信号の位相差を検出し、現用として選択している信号を基準として他方の信号の位相の進み又は遅れの位相差を制御する位相差制御信号を出力する。
【0034】
具体的には、図1における位相差検出部6の左側の上部端子は、送信機2が現用として選択されている場合に、予備の送信機1と保守用の送信機8に位相差制御信号を出力するものである。
また、位相差検出部6の左側の下部端子は、送信機1が現用として選択されている場合に、予備の送信機2と保守用の送信機8に位相差制御信号を出力するものである。
【0035】
[分配切替部15]
分配切替部15は、第1の2分配器15aと、第2の2分配器15bと、選択部15cとを備えている。
第1の2分配器15aは、位相差検出部6からの位相差制御信号を2分配し、一方を送信機1に、他方を選択部15cに出力する。
【0036】
第2の2分配器15bは、位相差検出部6からの位相差制御信号を2分配し、一方を送信機2に、他方を選択部15cに出力する。
選択部15cは、第1の2分配器15a又は第2の2分配器15bのいずれかを選択して送信機8に出力する。
【0037】
選択部15cが第1の2分配器15aを選択するのは、送信機2が現用となっている場合で、位相差制御の対象が送信機1と送信機8となる。
また、選択部15cが第2の2分配器15bを選択するのは、送信機1が現用となっている場合で、位相差制御の対象が送信機2と送信機8となる。
【0038】
[切替制御]
本送信機システムにおける送信機の切替制御について説明する。
切替制御としては、現用から予備への切替と、現用から保守用への切替を説明する。
尚、切替制御は、予備及び保守用の送信機に対して位相差制御が為されていることが前提である。
【0039】
[現用から予備への切替制御]
送信機1が現用で、送信機2が予備である場合に、現用の送信機1の不具合を検知部が検知すると予備の送信機2に切り替える制御を指示するものであり、送信機2を現用に切り替える制御は、無停波切替器5で送信機1からの出力信号を外部に出力し、送信機2からの出力信号をダミーロード12に出力していたのを、送信機2からの出力信号を外部に出力し、送信機1からの出力信号をダミーロード12に出力するよう切り替える。
【0040】
送信機2が現用で、送信機1が予備である場合に、送信機2を現用に切り替える制御は、無停波切替器5で送信機2からの出力信号を外部に出力し、送信機1からの出力信号をダミーロード12に出力していたのを、送信機1からの出力信号を外部に出力し、送信機2からの出力信号をダミーロード12に出力するよう切り替える。
【0041】
[現用から保守用への切替制御]
送信機1が現用で、送信機2が予備で、送信機8が保守用である場合に、保守作業員から保守用の送信機8に切り替える指示が為されると、送信機8を現用に切り替える制御は、同軸切替器4で送信機8の出力を選択する切替を行い、無停波切替器5に予備の送信機2の代わりに保守用の送信機8の出力信号を出力する。
そして、無停波切替器5で送信機1からの出力信号を外部に出力し、送信機8からの出力信号をダミーロード12に出力していたのを、送信機8からの出力信号を外部に出力し、送信機1からの出力信号をダミーロード12に出力するよう切り替える。
【0042】
送信機2が現用で、送信機1が予備で、送信機8が保守用である場合に、送信機8を現用に切り替える制御は、同軸切替器3で同軸切替器4からの出力(送信機8の出力)を選択し、送信機1の出力信号をダミーロード7に出力する切替を行い、無停波切替器5に予備の送信機1の代わりに保守用の送信機8の出力信号を出力する。
そして、無停波切替器5で送信機2からの出力信号を外部に出力し、送信機8からの出力信号をダミーロード12に出力していたのを、送信機8からの出力信号を外部に出力し、送信機2からの出力信号をダミーロード12に出力するよう切り替える。
【0043】
[実施の形態の効果]
本送信機システムによれば、保守時も同軸切替器3,4により良好なアイソレーションを確保しつつ、位相差検出部6により無停波切替器5への入力信号の位相差を制御して、無停波切替器5における現用の送信機から予備の送信機への出力切替、更に現用の送信機から保守用の送信機への出力切替をシームレスに行うことができ、更に、分配切替部15によって1台の無停波切替器5と2台の同軸切替器3,4という少ない構成で実現でき、設置時のコストを低減し、設置場所の省スペース化を図ることができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、保守作業を容易にし、設置時のコストを低減して、設置場所の省スペース化を実現する送信機システムに好適である。この出願は、2021年8月17日に出願された日本出願特願2021-132589を基礎として優先権の利益を主張するものであり、その開示の全てを引用によってここに取り込む。
【符号の説明】
【0045】
1,2,8…送信機、 3,4,9…同軸切替器、 5,10…無停波切替器、 6,11…位相差検出部、 7,12…ダミーロード、 13…2分配器、 14a,14b…選択部、 15…分配切替部、 15a…第1の2分配器、 15b…第2の2分配器、 15c…選択部
図1
図2
図3