(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】スライド式ラップフィルムケース
(51)【国際特許分類】
B65D 25/52 20060101AFI20241008BHJP
B26D 1/04 20060101ALI20241008BHJP
B26D 5/10 20060101ALI20241008BHJP
B26D 7/22 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B65D25/52 C
B26D1/04 Z
B26D5/10
B26D7/22 A
(21)【出願番号】P 2024035379
(22)【出願日】2024-02-19
【審査請求日】2024-02-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524085891
【氏名又は名称】太田 寛人
(72)【発明者】
【氏名】太田 寛人
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-108855(JP,U)
【文献】特開平09-286440(JP,A)
【文献】米国特許第04509656(US,A)
【文献】特開2003-117880(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1138687(KR,B1)
【文献】特開2013-043697(JP,A)
【文献】実開昭58-102439(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/52
B26D 1/04
B26D 5/10
B26D 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外ケースおよび内ケースからなるケース本体と、安全カッターとを備えたラップケースであって、
外ケースは第1ロールを、内ケースは第2ロールをそれぞれ収容可能であり、
内ケースは、外ケースに対して入れ子式に収納可能でかつ外ケースから引き延ばし可能であり、
内ケースの側部外面には内ケースの移動を容易とするレバーを設けてなり、
外ケースは第1ロールからフィルムを引き出すための第1出口を、内ケースは第2ロールからフィルムを引き出すための第2出口をそれぞれ有し、
安全カッターは、ケース本体上で長手方向に摺動可能に取り付けられて、第1および第2ロールから引き出したフィルムを切断可能であ
り、
第1および第2ロールから引き出したフィルムの端部を巻き付け可能であると共に、端部を巻き付けたフィルムのケース本体からの引き出し長さを調節可能である、フィルム端保持棒をさらに備えた、
第1ロールのフィルム幅よりも大きな容器を一回の操作でラップすることが可能である、ラップケース。
【請求項9】
外ケースの底部外面にケース本体を固定するための滑り止めを設けてなる、請求項1記載のラップケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド式ラップフィルムケースに関する。
【背景技術】
【0002】
ラップフィルムケースの先行技術の例として、特許文献1では、ラップフィルムを引き出して上板に載せ、レールを上板上に当接した状態でカッターをレールの一端側から他端側に向かってスライドさせれば、ラップフィルムをカットすることができる発明を記載する。また、特許文献2では、容易にシートを切り取ることができる樹脂製シート用容器を提供することを目的として、金属製の刃を有し、レールに沿ってスライダー部をスライドさせることで、シートをカットすることが可能である発明を記載する。さらに、特許文献3では、シート材を任意の長さで容易にカットすることができるとともに、鋭利な刃部によって手が傷つけられることなく、安全にシート材を直線上にカットすることができる発明を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-033980号公報
【文献】特開2022-185532号公報
【文献】特開2023-045572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食品を保存する際、食品が入った皿などの容器をラップで覆う作業が行われる。そこでラップの幅よりも大きなサイズの容器にラップをかけようとした際に、一旦その容器にラップをかけてから、ラップと容器の隙間を覆うようにもう一度ラップをかけなければならないので手間がかかる。そこで、大きいサイズの容器にも一度でラップをかけることができるような新しいラップフィルムケースをつくりだすことを課題として、発明に取り組んだ。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明品は、入れ子式に重なった内ケースと外ケースを有し、それぞれのケースにはフィルムロールが回転可能に収容されている。ラップケースには、内ケースと外ケースの全長に応じて収縮可能なフィルム端保持棒と、フィルム幅方向に移動可能に取り付けられた安全カッターを有する。使用時には、まず、内ケースを引き延ばし、ラップする容器の大きさに応じてレバーを動かしてケースの全長を調整する。次に、それぞれのフィルムロールから引き出したフィルム端を必要な長さだけケースから前方に引き出してラップを容器にかける。最後に、カッターを移動させて二枚のラップを切断する。このように容器の大きさに応じて一回の操作でラップがかけられるため、ラップ作業を効率よく確実に行うことができる。
【0006】
より具体的には、本発明のラップフィルムケース(単に「ラップケース」ともいう)は、以下の構造を備える。
【0007】
すなわち本発明は、外ケースおよび内ケースからなるケース本体と、安全カッターとを備えたラップケースであって、外ケースは第1ロールを、内ケースは第2ロールをそれぞれ収容可能であり、内ケースは、外ケースに対して入れ子式に収納可能でかつ外ケースから引き延ばし可能であり、内ケースの側部外面には内ケースの移動を容易とするレバーを設けてなり、外ケースは第1ロールからフィルムを引き出すための第1出口を、内ケースは第2ロールからフィルムを引き出すための第2出口をそれぞれ有し、安全カッターは、ケース本体上で長手方向に摺動可能に取り付けられて、第1および第2ロールから引き出したフィルムを切断可能である、ラップケースを提供する。
【0008】
本発明のラップケースにおいては、第1および第2ロールから引き出したフィルムの端部を巻き付け可能であると共に、端部を巻き付けたフィルムのケース本体からの引き出し長さを調節可能である、フィルム端保持棒をさらに備えていることが好ましい。
【0009】
本発明のラップケースにおいては、外ケースは第1ロールを回転可能に支持するための第1ロール固定棒を、内ケースは第2ロールを回転可能に支持するための第2ロール固定棒をそれぞれ有することが好ましい。
【0010】
本発明のラップケースにおいては、内ケースの側部内面は第1ロール固定棒を着脱可能に固着するための磁石を、外ケースの側部内面は第2ロール固定棒を着脱可能に固着するための磁石をそれぞれ有することが好ましい。
【0011】
本発明のラップケースにおいては、外ケースは、第1ロールから引き出したフィルムが第2ロールまたは第2ロールから引き出したフィルムとケース本体内で接触することを防ぐためのフィルム軌道調整棒をさらに有することが好ましい。
【0012】
本発明のラップケースにおいては、フィルム軌道調整棒は第1ロールからのフィルムの引き出しに同期して回転可能な回転部を有することが好ましい。
【0013】
本発明のラップケースにおいては、内ケースが外ケースから脱離しないように、外ケースの内面の一部と内ケースの外面の一部に互いに突合する部分を設けてなることが好ましい。
【0014】
本発明のラップケースにおいては、第1出口および第2出口にはそれぞれ、引き出したフィルムの巻き戻りを防止するストッパーが設けてなることが好ましい。
【0015】
本発明のラップケースにおいては、安全カッターは、左右一対の切れ込み部を設けた本体と、それぞれの切れ込み部でのみ露出する一対の刃部とを有し、左右いずれの向きに摺動させても第1および第2ロールから引き出したフィルムを切断可能であることが好ましい。
【0016】
本発明のラップケースにおいては、外ケースの底部外面にケース本体を固定するための滑り止めを設けてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上記の構成を備えることにより、以下の効果を奏することができる。
【0018】
ケースの延長が可能なので、ケースに収容されている2本目のラップフィルムの芯が連動してスライドされることにより、ラップの幅を延長することができるので、大きな容器に対して1度の作業でラップをかけることができる。
【0019】
ロールは詰め替え式のため、ケースを使い続けることができ、環境にも配慮された作りになっている。
【0020】
フィルム端保持棒により、ラップ同士がケース外の意図しない箇所でくっついてしまう現象をなくし、より便利にラップをかけることができる。
【0021】
フィルム軌道調整棒により、ラップ同士がケース内の意図しない箇所でくっついてしまう現象をなくし、より便利にラップをかけることができる。
【0022】
安全カッターの刃を両側に付けることにより、左側からでも右側からでもラップをカットすることができるため、利き手に関係なく便利に使用することができる。
【0023】
安全カッターに切れ込み部を設けることにより、従来のラップフィルムケースとは異なり、怪我をする心配がなく、安全にラップフィルムをカットすることができる。
【0024】
外ケースの底面に吸盤等のケース本体を固定するための滑り止めを使用することにより、より快適にラップをかける作業ができる。
【0025】
ラップフィルムだけではなく、アルミホイルなど様々なものに応用が効く。
【図面の簡単な説明】
)
【0026】
【
図1】本発明のラップケースの実施形態において内ケースが外ケース内に完全に収容された状態を示す概略斜視図である。
【
図2】
図1の実施形態において内ケースが半分外に出ている状態を示す概略斜視図である。
【
図3】
図1の実施形態において内ケースを外ケースから最大幅までスライドさせた状態を示す概略斜視図である。
【
図4】
図1の実施形態におけるフィルム端保持棒の構造を示す説明図である。
【
図5】
図1の実施形態において内ケースが外ケース内に収容された状態の断面構造を示す概略断面図である。
【
図6】
図1の実施形態において内ケースの断面構造を示す概略断面図である。
【
図7】
図1の実施形態において、外ケースの内面の一部と突合する部分を含む内ケースの断面構造を示す概略断面図である。
【
図8】
図1の実施形態において、内ケースの外面の一部と突合する部分を含む外ケースの断面構造を示す概略断面図である。
【
図9】
図1の実施形態における外ケースの側部内面の構造を示す説明図である。
【
図10】
図1の実施形態における内ケースの側部内面の構造を示す説明図である。
【
図11】
図1の実施形態における第1ロール固定棒及び第2ロール固定棒の構造を示す説明図である。
【
図12】
図1の実施形態におけるフィルム軌道調整棒の構造を示す説明図である。
【
図13】
図1の実施形態におけるスライド補助棒の構造を示す説明図である。
【
図14】
図5の断面構造での、第1ロールから引き出した第1フィルムと、フィルム軌道調整棒と、第2ロールから引き出した第2フィルムとの関係を示す概略断面図である。
【
図15】
図1の実施形態における安全カッターの構造を示す概略斜視図である。
【
図16】
図1の実施形態における安全カッターのローラーと、カッター移動用レールの構造を示す概略断面図である。
【
図17】
図3の状態での、安全カッターの移動の様子を示す概略斜視図である。
【
図18】
図1の実施形態におけるケース本体を固定するための滑り止めの例としての吸盤を示す説明図である。
【
図19】
図1の実施形態を使用して、第1フィルムを第1出口から引き出し、第2フィルムを第2出口から引き出し、それぞれのフィルム端部をフィルム端保持棒に巻き付ける様子を示す説明図である。
【
図20】
図1の実施形態のラップケースを使用して、大きな容器(皿)を第1フィルム及び第2フィルムで覆う様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明のスライド式ラップフィルムケースの概要について、
図1~3及び
図5に示した実施形態を参照して説明する。
【0028】
図3に示すように、直方体状のラップケース本体は、外ケースとそれより一回り小さい内ケースを入れ子構造で有する。入れ子構造は、
図5の断面図の凹凸部に示すように、内ケースの外面に形成したガイド(凹部)と、そのガイドに嵌るように外ケースの内面に形成されたレール(凸部)とからなる。それらが嵌り合って、ラップケースの長さ方向に
図2及び3に示すようにスライド移動が可能となる。スライド移動を可能とする他の工夫としては、ノブのような装置を使用し、ノブの回転量や回転方向によりスライドの移動幅を調節できる機能が考えられる。通常時は、
図1に示すように、内ケースが外ケース内に完全に収容されている。
【0029】
内ケースの内側には、
図5に示すように、第1ロール(芯に巻かれたラップ)と第2ロール(芯に巻かれたラップ)が上下に収容されている。第1ロールは外ケースに回転可能に支持されており、第2ロールは内ケースに回転可能に支持されている。このため、
図3に示すように内ケースを外ケースから引き出すと、第2ロールもまたロールの長さ方向に離れるように引き出されることになる。外ケースと内ケースには、第1ロールと第2ロールのフィルムが引き出される第1出口と第2出口がそれぞれ形成されている。また、
図2に示すようにラップケースの前方両側には、フィルム端保持棒の両端を支持する一対のアームが取り付けられている。また、ラップケースの前方の上側には、外ケースと内ケースに渡って安全カッターを移動するためのカッター移動用レールが形成されている。
【0030】
各部の詳細については後述するが、第1ロールのフィルム幅よりも大きな容器をフィルムで覆う場合の、ラップケースを使用する方法を簡単に説明する。まず、
図1~3に示すようにして、内ケースを外ケースから最大幅までスライドさせ、第2出口から出る第2フィルム(
図19参照)を滑り止めシートから外す。このとき上述のように、内ケースに取り付けられた第2ロールも同様に外ケースから引き出される。次にレバーを使用してラップを覆う容器の大きさに対応するように内ケースをスライドさせラップケースの全長を調整する。この時、ラップを覆う容器の大きさよりも少し横幅が大きくなるように内ケースを外ケースから引き出す。そして、第1ロールから第1フィルムを上側の第1出口から引き出し、また第2ロールから第2フィルムを下側の第2出口から引き出し、それぞれのフィルム端部をフィルム端保持棒にわずかに巻き付ける(
図19参照)。次に、フィルム端保持棒を一対のアームから取り外して容器を覆うように前方に引き出して被せる(
図20参照)。最後に、安全カッターをカッター移動用レールに沿って移動させることによって二枚のフィルムを同時にカットする。こうして第1ロールのフィルム幅よりも大きな容器をラップするときに、内ケースの引き出しを調整して、フィルム端保持棒により二枚のフィルムを同時に引き出すことが可能となる。
【0031】
第1ロールのフィルム幅よりも小さい容器をフィルムで覆う場合は、内ケースを外ケースから引き出すことなく、第1ロールから第1フィルムだけを引き出せばよい。
【0032】
以下、ラップケース本体、フィルム端保持棒、安全カッターなどについてそれぞれ詳細に説明する。
【0033】
<ラップケース本体>
ラップケース本体は、上述のように入れ子構造の内ケースと外ケースから構成されている。外ケースには、
図9に示すように、第1ロール固定棒が長さ方向に取り付けられており、第1ロール固定棒に回転可能に第1ロールがロール固定部(
図11参照)に取り付けられる。第1ロールのフィルムが引っ張られると第1ロールが回転してフィルムは引き出される。
図10に示すように、内ケースにも同様に長さ方向に渡って第2ロール固定棒が取り付けられ、第1ロールと同様に、第2ロールが第2ロール固定棒のロール固定部に回転可能に取り付けられる。フィルムが第2ロールから引っ張られると第2ロールも回転することができる。また、ロール固定棒の端部の磁石を使用してケースの内壁に着脱可能に固着することでロール交換が可能になる。ロールを交換する際は、最大幅まで内ケースをスライドさせたのち、内ケース、外ケースの蓋を開けてケースの壁面に磁石でくっついているロール固定棒を外してロール交換を行う。なお、ロール固定棒を内壁に着脱可能に固着するための工夫として、磁石以外に、面ファスナーやネジとネジ受けのような構造を用いることが考えられる。
また、ケースの蓋が開けやすいように、指が一本分程度掛けられる取手が搭載されている。
【0034】
前述のように、本ラップケースは、
図1~3に示すように、内ケースのレバーを引くことによってケースの全長を延長することができる。この機能によって、ラップ一本で使用できる幅の最大約2倍の幅でラップを使用することができる。また、ラップを好みの幅にも設定することができる。
【0035】
ケースの中は
図5、
図6に示すように凹凸部が存在し、内ケースを外ケースに対してスライド移動を可能とする。また、
図7では、内側の斜線が内ケースの基本的な構造を示しており、外側の斜線の部分は、ケースの出っ張りを表している。また、
図8では、外側の斜線部が外ケースの基本的な構造を示しており、内側の斜線部はケースの出っ張りを示している。ケースを引き延ばしすぎて内ケースと外ケースの分裂(脱離)があってはいけないので、ケースを最大まで伸ばした後、
図7、
図8のお互いの赤い斜線部の出っ張り同士がぶつかる(突合する)ことで、最大までケースが引き延ばされるとスライドが止まる仕組みになっている。
【0036】
内ケースと外ケースには第1出口と第2出口が設けられているので(
図3参照)、それぞれからフィルムを引き出せる。また、
図5のように第1出口と第2出口にはゴム製ストッパーがついており、ラップがケースの中に入ってしまうことを防ぐことができる。また、カットする際にある程度ゴム製ストッパーがフィルムを固定するため、フィルムのカットを手際よく行うことができる。また、スライド時に第2フィルムが外ケースの第2出口に張り付いてしまい、スライドの作業を妨げてしまわないように、第2出口の面積(すなわち、第2出口の開口の高さ)が
図3で示す内ケースよりも外ケースの方が若干大きめに設定されている。
【0037】
また、ケースの外面の第1出口と第2出口の下に、ラップが粘着するような滑り止めシートを活用することで、未使用時にラップがケースの内側に入ってしまうことを防ぐ。
【0038】
次に、ケース内部にある部品について説明する。
図12で示すフィルム軌道調整棒は、ケース内で第1ロールのフィルム(第1フィルム)が垂れ下がり、第2ロールや第2フィルムが接触することで、ケース内でフィルム同士がくっついてしまうことを防ぐために、第1ロールの軌道を
図14のように調整する役割がある。また、フィルムが引き出される際に、同期してフィルム軌道調整棒が回転するように、回転部が搭載されている。また、
図13で示すスライド補助棒は、ケースのスライドや延長した際に、ケースを安定した状態を維持させるために取り付けられた棒である。これらは、
図5で示す接合部分に取り付けられる。
ラップケース本体の裏面に、
図18に示すような吸盤が、ケース本体を固定するための滑り止めとして取り付けられている。吸盤以外の滑り止め部材としては、粘着シートやゴム製のストッパー、錘の搭載が考えられる。これによりケースを押さえて作業をする必要がなく、より効率の良い作業が可能になる。
【0039】
<フィルム端保持棒>
フィルム端保持棒の構造を
図4に示す。金属の伸縮可能な棒と、アームに嵌め込むためのリング、持ちやすいようにゴム製のグリップから構成される。内ケースを外ケースから引き出す時に、その全長に応じて金属の棒も伸ばすことができる。フィルム端保持棒は、第1ロール及び第2ロールから引き出されたフィルムの端部を一時的に巻き付ける。こうすることにより、ラップ作業で起こりがちなラップ同士がくっついてしまうというストレスを無くすことができ、また、第1フィルムと第2フィルムを結合させた、より幅のあるラップフィルムを簡単に容器にかけることを可能にする(
図20参照)。
【0040】
ケース本体の両端部の前方には、
図1に示すように、フィルム端保持棒を支える一対のアームがついている。
【0041】
<安全カッター>
安全カッターは、
図15~17に示すように安全カッター本体と、カッター移動用レールを移動するためのローラーから構成されている。
図15で示すように、カッター部(刃)は安全カッター本体の小さなV字の切れ込みの内部に露出し、人の指が直接カッター部に触れることができないような構造をとっている。したがって、カッターは直接人間の肌に触れることがないため、従来のラップフィルムケースのように刃で怪我をしてしまうことを防ぐ。また、安全カッターは両端にカッターが取り付けられているため、利き手に関係なくスライドさせやすい方向からラップのカットが可能である。使用方法は安全カッターのつまみを持ってカッター移動用レールに沿って移動させる。
【0042】
安全カッターの裏側に
図16に示すローラー部を取り付けることによって安全カッターのスムーズな移動を可能にする。また
図3のカッター移動用レールが外ケースと内ケースの二つのケースをまたぐため、ローラーを4つ搭載し、
図7、8、16に示すような形でカッター移動用レールを作ることによって(斜線はケース断面を示す)、
図17で示すように、延長した状態でも、内ケース、外ケース双方への安全カッターの移動を可能にした。実際に外ケースのみを移動する場合はローラーを4つ使用して安全カッターを移動させるが、内ケースを移動する場合は、2つのローラーは移動用レールから外れ(
図7参照)、その他2つのローラーを使用して安全カッターを移動させる。
【0043】
また、ケース本体と安全カッターとの距離が近すぎると、切った後のラップが短く、次に使用するときに不便であるため、あえてケース本体と安全カッターの距離を所定距離、具体的には10~30mm程度だけ離すようにする。
【0044】
<使用方法>
次に、本発明のラップケースの使い方について説明する。
【0045】
まず、
図3のようにレバーを引いて内ケースを最大幅までスライドさせ、第2出口から出る第2シートを滑り止めシートから剥がす。次に、
図2のようにレバーを動かしてラップをかけたい容器の大きさに合わせてケース本体の全長を調整する。次に、各ロールのフィルム端を引き出し、
図19のようにフィルム端保持棒にラップを乗せ、少し回転させながら僅かにラップを棒に巻きつける。そのまま
図20のようにフィルム端保持棒を持って対象の皿にラップをかけ、再度フィルム端保持棒を回転させラップを絡めとる。このようにすることで、作業中にラップ同士がくっついてしまうことを防ぐことができる。使用したフィルム端保持棒は元の場所に戻す。
【0046】
フィルムをカットするには、
図15の安全カッターのつまみをもち、ラップをある程度張った状態で安全カッターを横方向にスライドさせる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のラップフィルムケースは、特に飲食店業界への導入が採用できると考える。飲食店では仕込みをした食品を保存する際に、ラップフィルムの使用が必要不可欠である。また、家庭とは異なり一度に大量に食品を保存する必要があるため、比較的幅のあるラップフィルムが必要になってくる。一方で、幅の狭いラップフィルムも使用することも少なくない。したがって、ラップフィルムの幅の調整に適した本発明品は、飲食店業界への導入に適しているのではないかと考えられる。
【符号の説明】
【0048】
ラップケース本体 10
外ケース 20
内ケース 30
(外ケースの)蓋 20a
(内ケースの)蓋 30a
(外ケースの)開閉用取手 20b
(内ケースの)開閉用取手 30b
(外ケースの蓋の)ストッパー 20c
(内ケースの蓋の)ストッパー 30c
第1出口 22
第2出口 32
第1出口のゴム製ストッパー 22a
第2出口のゴム製ストッパー 32a
(第1出口外方の)滑り止めシート 24
(第2出口外方の)滑り止めシート 34
外ケースの内面に形成されたレール(凸部) 26
内ケースの外面に形成したガイド(凹部) 36
内ケースの出っ張り(突合部) 28
外ケースの出っ張り(突合部) 38
第1ロール 40
第2ロール 50
第1フィルム 40a
第2フィルム 50a
第1ロール固定棒 42
第2ロール固定棒 52
第1ロール固定棒の端部の磁石 42a
第2ロール固定棒の端部の磁石 52a
内ケース内側面の磁石 42b
外ケース内側面の磁石 52b
(第1ロール固定棒の)ロール固定部 42c
(第2ロール固定棒の)ロール固定部 52c
フィルム軌道調整棒 44
フィルム軌道調整棒の接合部分 44a
フィルム軌道調整棒の回転部 44b
スライド補助棒 46
スライド補助棒の接合部分 46a
レバー60
フィルム端保持棒 70
(フィルム端保持棒の)棒 70a
フィルム端保持棒のリング 72
フィルム端保持棒のゴム製のグリップ 74
アーム76
安全カッター80
カッター部(刃) 80a
安全カッターのつまみ 82
(外ケースの)カッター移動用レール 84
(内ケースの)カッター移動用レール 86
カッター移動用レールを移動するためのローラー 88
(本体裏面の)滑り止め 90
【要約】
【課題】大きいサイズの容器にも一度でラップをかけることができるような新しいラップフィルムケースをつくりだすこと。
【解決手段】外ケース(20)および内ケース(30)からなるケース本体(10)と、安全カッター(80)とを備えたラップケースであって、外ケースは第1ロール(40)を、内ケースは第2ロール(50)をそれぞれ収容可能であり、内ケースは、外ケースに対して入れ子式に収納可能でかつ外ケースから引き延ばし可能であり、内ケースの側部外面には内ケースの移動を容易とするレバー(60)を設けてなり、外ケースは第1ロールからフィルムを引き出すための第1出口(22)を、内ケースは第2ロールからフィルムを引き出すための第2出口(32)をそれぞれ有し、安全カッターは、ケース本体上で長手方向に摺動可能に取り付けられて、第1および第2ロールから引き出したフィルムを切断可能である、ラップケース。
【選択図】
図2