(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 9/04 20060101AFI20241008BHJP
H01H 9/02 20060101ALI20241008BHJP
H01H 13/06 20060101ALI20241008BHJP
H01H 21/08 20060101ALI20241008BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01H9/04 E
H01H9/02 L
H01H13/06 B
H01H21/08
H01R13/52 A
H01R13/52 301A
(21)【出願番号】P 2024511296
(86)(22)【出願日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 JP2023001998
(87)【国際公開番号】W WO2023188738
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2022053508
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆貴
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-015141(JP,A)
【文献】実開昭60-003515(JP,U)
【文献】国際公開第2015/034047(WO,A1)
【文献】特開2008-027765(JP,A)
【文献】特開2017-130277(JP,A)
【文献】特開2020-020109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/04
H01H 9/02
H01H 13/06
H01H 21/08
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に開く開口部を有する外ケースと、
前記開口部から前記外ケース内に配置される内ケースと、
前記内ケースに設けられるスイッチ部と、
シール部材と、
を備えるスイッチ装置であって、
前記外ケースは、
前記開口部の周囲に設けられた凹部と、
前記凹部の周囲にフランジ状に延設された取付部と、を有し、
前記内ケースは、
前記開口部から前記外ケース内に配置され、前記スイッチ部が配置される挿入部分と、
前記挿入部分に連設された板状の鍔部と、
前記鍔部における前記挿入部分が設けられた側とは反対側に設けられ前記第1方向に突出する接続端子と、を有し、
前記シール部材は、前記鍔部における前記接続端子が設けられた側の面および前記取付部の前記凹部の周囲の面である取付面を跨ぐように配置され、
前記第1方向からみたときに前記鍔部の周囲に位置する前記凹部の露出部分を覆う、スイッチ装置。
【請求項2】
前記シール部材は、独立発泡のスポンジ材からなる部分を有する、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記シール部材の前記取付部および前記鍔部に対向する面には接着層が設けられる、請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記取付部は、前記シール部材が対向していない部分に、相手部材との固定のための固定部を有する、
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記鍔部は、相手部材への取付時に前記シール部材を介して前記相手部材に対向する対向部分を有し、
前記対向部分は、前記相手部材への取付前の状態で、前記凹部から前記第1方向に沿って突出している突出部分を有する、
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記シール部材は、前記第1方向に貫通する貫通孔を有し、前記接続端子は当該貫通孔に挿通される、
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記貫通孔の側面は、前記接続端子の突出側面に接する、請求項6に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記シール部材の相手部材に対向する側の面は、前記相手部材に接触しない非接触部分を、前記第1方向からみて前記貫通孔の周囲に有する、請求項6または請求項7に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記第1方向からみて、前記非接触部分の全体が前記鍔部に重複する、請求項8に記載のスイッチ装置。
【請求項10】
前記第1方向からみて、前記鍔部の全体が前記非接触部分に重複する、請求項8に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スイッチ装置に関し、カバー部材の操作部を押圧して、ケースによって回動可能に支持された駆動部材を回動させることにより、駆動部材によってスイッチを駆動する構成が開示されている。
【0003】
特許文献2には、スイッチノブの位置ずれや、スイッチノブがアウターカバーと接触して組み付けを阻害することを防止できるバックドアハンドル装置およびその製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-130277号公報
【文献】特開2020-020109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スイッチ装置を相手部材に取り付ける際、スイッチ装置と相手部材との間の防水性、防滴性や防塵性の確保が重要である。このため、ケース内に配置されたスイッチ素子をケース外から操作するため、ケースの開口部分に弾性を有するエラストマ材を設け、エラストマ材の弾性を利用してケース内のスイッチ素子を操作できるようにしている。
【0006】
硬質のプラスチック材料からなるケースに弾性を有するエラストマ材を設ける場合、二色成型が行われる。この二色成型を行う際、外郭であるケースの相手部材との取り付け面に、弾性のエラストマ材でリブを形成している。ケースを相手部材に取り付ける際、このリブが圧縮されることで取付け面の防水性を確保している。
【0007】
このようなケースと相手部材との間でのシールにおいては、シール面全範囲に渡る安定したシール性の確保が要求される。また、ケースとして外ケースと内ケースとの二重構造になっている場合、外ケースと内ケースとの合わせ目でのシール性の確保が重要となる。また、二色成型によってエラストマ材でリブを形成する構成では、ショットサイクルなど部品の加工時間が伸びることから、製造容易性や品質安定性を高めることが望まれる。
【0008】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、製造容易で品質の安定化を図ることができ、十分な防水性、防滴性および防塵性を確保することができるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、第1方向に開く開口部を有する外ケースと、開口部から外ケース内に配置される内ケースと、内ケースに設けられるスイッチ部と、シール部材と、を備えるスイッチ装置であって、外ケースは、開口部の周囲に設けられた凹部と、凹部の周囲にフランジ状に延設された取付部と、を有し、内ケースは、開口部から外ケース内に配置され、スイッチ部が配置される挿入部分と、挿入部分に連設された板状の鍔部と、鍔部における挿入部分が設けられた側とは反対側に設けられ第1方向に突出する接続端子と、を有し、シール部材は、鍔部における接続端子が設けられた側の面および取付部の凹部の周囲の面である取付面を跨ぐように配置され、第1方向からみたときに鍔部の周囲に位置する凹部の露出部分を覆う構成となっている。
【0010】
このような構成によれば、取付部に設けられ相手部材との間の水密を保つシール部材を、外ケースと内ケースとの間の水密部材としても用いることにより、スイッチ装置の構成部材を削減して、スイッチ装置の製造容易性や品質安定性を高めることができる。
【0011】
上記スイッチ装置において、シール部材は、独立発泡のスポンジ材からなる部分を有する構成であってもよい。シール部材における独立発泡のスポンジ材からなる部分によって水密を確保することができ、発泡部が圧縮されることにより、非発泡の部材よりも圧縮量を高めることができる。これにより、相手部材に取り付けられたときに振動環境で使用されても、高い水密性が維持されやすい。
【0012】
上記スイッチ装置において、シール部材の取付部および鍔部に対向する面には接着層が設けられる構成であってもよい。この接着層が設けられていることにより、シール部材を外ケースや内ケースに対して固定することができる。また、接着層が水密性を高めることに寄与することにもなる。接着層が有する接着剤は、感圧性接着剤(粘着剤)であってもよい。
【0013】
上記スイッチ装置において、取付部は、シール部材が対向していない部分に、相手部材との固定のための固定部を有する構成であってもよい。固定部は相手部材に直接接触することもあるが、シール部材は取付部と相手部材との間に確実に介在する。これにより、シール部材の水密性が維持されやすい。
【0014】
上記スイッチ装置において、鍔部は、相手部材への取付時にシール部材を介して相手部材に対向する対向部分を有し、対向部分は、相手部材への取付前の状態で、凹部から第1方向に沿って突出している突出部分を有する構成であってもよい。突出部分は、取付の際に相手部材によって押圧される。このため、シール部材において突出部分に対向する部分は、他の部分よりも圧縮され、水密性が高まる。それゆえ、相手部材の内部に水が浸入する可能性を低下させることができる。高い水密性を確保する観点から、突出部分は、第1方向からみて鍔部の全周に設けられていることが好ましい。
【0015】
上記スイッチ装置において、シール部材は、第1方向に貫通する貫通孔を有し、接続端子は当該貫通孔に挿通される構成であってもよい。接続端子がシール部材の貫通孔に挿通されることで、接続端子の周囲をシール部材が囲むようになり、接続端子の周囲での水密性を確保しやすくなる。
【0016】
上記スイッチ装置において、貫通孔の側面は、接続端子の突出側面に接する構成であってもよい。貫通孔の側面と接続端子の突出側面とが接触することにより、シール部材のシール面における外側端部と内側端部との最短距離(絶縁の沿面距離に相当する。)を長くすることができ、水密性が向上する。
【0017】
上記スイッチ装置において、シール部材の相手部材に対向する側の面は、相手部材に接触しない非接触部分を、第1方向からみて貫通孔の周囲に有する構成であってもよい。シール部材においてこのような非接触部分を有するということは、相手部材は貫通孔よりも広い開口を有することを示しており、この開口の端部(エッジ部)がシール部材に接触することで接触面圧が高くなる。このため、使用時に、シール部材と相手部材との間から水が浸入することがあっても、この接触面圧が高い端部(エッジ部)で相手部材の接続端子が突出する側への浸水を食い止めることができる。
【0018】
上記スイッチ装置において、第1方向からみて、非接触部分の全体が鍔部に重複する構成であってもよい。このような構成により、相手部材の開口の端部(エッジ部)はシール部を介して鍔部を押圧する。この端部(エッジ部)はシール部への接触面圧が最大となるため、内ケースと外ケースとの接触面圧を高めることができ、水密性が向上する。
【0019】
上記スイッチ装置において、第1方向からみて、鍔部の全体が非接触部分に重複する構成であってもよい。このような構成により、相手部材の開口の端部(エッジ部)はシール部材を介して取付面を押圧する。シール部材は、この端部(エッジ部)と接触する部分において最も圧縮される場合があり、この場合には、この部分が最も水密性が高くなる。それゆえ、この最も水密性が高い部分を、第1方向からみて鍔部の周囲に配置することにより、凹部内に水が浸入する可能性を低下させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、簡単な構造であっても十分な防水性および防滴性を確保することができるスイッチ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する分解斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図である。
【
図5】第1実施形態に係るスイッチ装置の一部拡大断面図である。
【
図6】スイッチ装置の固定部について例示する断面図である。
【
図7A】スイッチ装置の取り付け前の状態を例示する部分断面図である。
【
図7B】スイッチ装置の取り付け後の状態を例示する部分断面図である。
【
図8】第2実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図である。
【
図9】第2実施形態に係るスイッチ装置の一部拡大断面図である。
【
図10】第3実施形態に係るスイッチ装置を例示する斜視図である。
【
図11】第3実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面斜視図である。
【
図12】第3実施形態に係るスイッチ装置の一部拡大断面斜視図である。
【
図13】X方向にみた鍔部、シール部材および相手部材の位置関係を例示する模式図である。
【
図14】X方向にみた鍔部、シール部材および相手部材の位置関係を例示する模式図である。
【
図15】第4実施形態に係るスイッチ装置を例示する斜視図である。
【
図16】第4実施形態に係るスイッチ装置にコネクタを接続した状態を例示する斜視図である。
【
図17】第4実施形態に係るスイッチ装置にコネクタを接続した状態を例示する断面斜視図である。
【
図18】第4実施形態に係るスイッチ装置の一部拡大断面斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する斜視図である。
図2は、第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する分解斜視図である。
図3は、第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面斜視図である。
図4は、第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図である。
本実施形態に係るスイッチ装置1は、例えば車両の荷室ドア(トランクドア)を開く際に操作されるものである。スイッチ装置1をオン状態にすることでラッチが解除され、荷室ドアを開けることができるようになる。
【0024】
スイッチ装置1は、外ケース10、内ケース20、スイッチ部30およびシール部材40を備える。外ケース10は、第1方向に開く開口部10hを有する。実施形態の説明では、第1方向をX方向、X方向と直交する方向の一つをY方向、X方向およびY方向と直交する方向をZ方向とする。また、X方向のうち一方の向きをX1向き、他方の向きをX2向き、Y方向のうち一方の向きをY1向き、他方の向きをY2向き、Z方向のうち一方の向きをZ1向き、他方の向きをZ2向き、ともいうことにする。
【0025】
外ケース10は、例えば樹脂によって箱型に形成された部材である。外ケース10の開口部10hは略矩形に設けられ、X1向きに開口している。外ケース10の内部には開口部10hと連通する収容空間10sが設けられる。外ケース10は、開口部10hの周囲に設けられた凹部11と、凹部11の周囲にフランジ状に延設された取付部12とを有する。凹部11は、取付部12と開口部10hの縁との間に設けられた段差部である。取付部12のY方向両側には固定部13が設けられる。固定部13には、スイッチ装置1を相手部材100(例えば、車両のドアパネル)に締結固定する際のボルト300などを挿通する貫通孔13hが設けられる。
【0026】
外ケース10は、硬質樹脂部101と、軟質樹脂部102とを有する。硬質樹脂部101は、硬質な樹脂素材が用いられて形成され、外ケース10の上部(Z1側)を構成する。軟質樹脂部102は、エラストマ等の軟質な樹脂素材が用いられて形成され、外ケース10の下部(Z2側)を構成する。外ケース10は、硬質樹脂部101と、軟質樹脂部102とが二色成型によって一体的に形成される。
【0027】
外ケース10の底面部(Z2側)には、下方(Z2向き)に隆起した例えば矩形状(横長の長方形状)の操作部103が設けられている。操作部103は、収容空間10sに配置されているレバー33の下方(Z2向き)にZ方向に重ねて設けられる。すなわち、操作部103の収容空間10s側の表面は、レバー33の下面に密着している(
図3、
図4参照)。これにより、操作部103を押圧することによって操作部103が弾性変形し、レバー33を上方(Z1向き)へ押し込むことができるようになっている。
【0028】
内ケース20は、外ケース10の開口部10hから外ケース10内の収容空間10sに配置される。内ケース20は、例えば樹脂によって略箱型に形成された部材である。内ケース20は、開口部10hから外ケース10内の収容空間10sに配置される挿入部分21を有する。挿入部分21にはスイッチ部30が配置される。
【0029】
また、内ケース20は、挿入部分21に連接された板状の鍔部22を有する。鍔部22はYZ面に沿った平板状に設けられ、内ケース20を外ケース10の開口部10hから収容空間10sに配置した際、外ケース10の凹部11に嵌め込まれる。凹部11に平板状の鍔部22が嵌め込まれると、開口部10hが鍔部22によって塞がれる。
【0030】
また、内ケース20は接続端子23を有する。接続端子23は、鍔部22における挿入部分21が設けられた側とは反対側に設けられ、第1方向(X1向き)に突出する。接続端子23は鍔部22の略中央に四角柱状に設けられる。接続端子23の内部にはスイッチ部30のスイッチ素子32と導通する電極が設けられる。接続端子23に外部のコネクタ200(
図4参照)を嵌合することで、コネクタ200の電極と接続端子23の電極とが接触して、スイッチ素子32と外部との導通が行われる。
【0031】
スイッチ部30は、内ケース20の挿入部分21に設けられる。スイッチ部30は、回路基板31と、回路基板31に実装されるスイッチ素子32と、内ケース20に揺動可能に取り付けられるレバー33と、を有する。レバー33はY方向に延在する略長方形の部材であり、例えばX2側の端部がY方向に軸支される。外ケース10に内ケース20が収容された状態で、レバー33は操作部103とスイッチ素子32との間に配置される。これにより、外ケース10の外側から操作部103をZ1向きに押し込むことで、弾性変形した操作部103を介して外ケース10の内部のレバー33がスイッチ素子32側に揺動し、スイッチ素子32を押すことができる。
【0032】
シール部材40は、内ケース20の鍔部22における接続端子23が設けられた側の面22aおよび外ケース10の取付部12における凹部11の周囲の面である取付面12aを跨ぐように配置される。さらに、シール部材40は、X方向からみたときに鍔部22の周囲に位置する凹部11の露出部分を覆う構成となっている。
【0033】
シール部材40は、X方向に貫通する貫通孔40hを有する。すなわち、シール部材40は、中央部に貫通孔40hを有し、所定の幅を持った環状の部材である。シール部材40は、この貫通孔40hに接続端子23を挿通した状態で凹部11に嵌合した内ケース20の鍔部22の縁と、取付面12a側の凹部11の縁との隙間を塞ぐように取り付けられる。シール部材40には、例えば独立発泡のスポンジ材が用いられる。独立発泡のスポンジ材はシール部材40の一部に設けられている構成でもよい。
【0034】
このような構成を有するスイッチ装置1は、相手部材100に取り付けられる。相手部材100にはスイッチ装置1の内ケース20からX1向きに突出する接続端子23を挿通する孔100hが設けられる。スイッチ装置1は、相手部材100のX2側の面に取り付けられ、スイッチ装置1の接続端子23が相手部材100の孔100hからX1向きに突出するように挿入される。そして、この接続端子23にコネクタ200が嵌め込まれる。
【0035】
図5は、第1実施形態に係るスイッチ装置の一部拡大断面図である。
図5には、
図4に示すA部の拡大断面図が示される。
シール部材40の取付部12および鍔部22に対向する面40aには接着層45が設けられる。接着層45が有する接着剤は、感圧性接着剤(粘着材)であってもよい。スイッチ装置1を相手部材100に取り付けると、シール部材40は取付部12および鍔部22と相手部材100との間に介在し、相手部材100とスイッチ装置1との間の水密を保つ役目を果たす。
【0036】
また、シール部材40は、外ケース10と内ケース20との間の水密部材としても機能することになる。すなわち、シール部材40は鍔部22の面22aおよび取付部12の取付面12aを跨ぐように配置され、X方向にみて凹部11の露出部分を覆うように環状に設けられていることから、外ケース10の凹部11に内ケース20を嵌め込んだ際の両者間の隙間を塞ぐようになる。
【0037】
このように、取付部12に設けられ相手部材100との間の水密を保つシール部材40を、外ケース10と内ケース20との間の水密部材としても用いることにより、スイッチ装置1の構成部材を削減して、スイッチ装置1の製造容易性や品質安定性を高めることができる。また、二色成型によって外ケース10を製造する際、シールの役目を果たすリブを設ける必要がなくなり、ショットサイクルなど部品の加工時間の増加が抑制される。
【0038】
また、シール部材40における独立発泡のスポンジ材からなる部分によって水密を確保することができ、発泡部が圧縮されることにより、非発泡の部材よりも圧縮量を高めることができる。これにより、スイッチ装置1を相手部材100に取り付けられたときに振動環境で使用されても、高い水密性が維持されやすい。
【0039】
また、シール部材40の面40aに接着層45を設けることで、シール部材40を外ケース10や内ケース20に対して密着固定させることができ、シール部材40と外ケース10および内ケース20との間の水密性をより高めることができる。
【0040】
図6は、スイッチ装置の固定部について例示する断面図である。
図7Aは、スイッチ装置の取り付け前の状態を例示する部分断面図である。
図7Bは、スイッチ装置の取り付け後の状態を例示する部分断面図である。
固定部13は、外ケース10の取付部12における取付面12aからX1向きに突出する突出面13aを有する。
図7Aに示すように、スイッチ装置1を相手部材100に取り付ける前の状態では、固定部13の突出面13aは、シール部材40の鍔部22に対向する面40aよりもX1向きに突出しているが、シール部材40の相手部材100との対向面40bよりもX1向きに突出していない(X2向きに後退している)。すなわち、固定部13の突出高さh1は、シール部材40の厚さt1よりも低い。
【0041】
図7Bに示すように、スイッチ装置1を相手部材100に取り付ける場合、固定部13の貫通孔13hにボルト300を通して相手部材100に締結する。このボルト300による締結とともにシール部材40が圧縮され、外ケース10および内ケース20と相手部材100との間でシール部材40の密着性が高まる。
【0042】
ボルト300による締結によってシール部材40が圧縮されると、固定部13の突出面13aが相手部材100に当接する位置で締結が完了する。この際、シール部材40の厚さt2は、固定部13の突出高さh1と同じとなる。すなわち、固定部13の突出面13aが相手部材100に当接することで、ボルト300による締結のストッパとなって、シール部材40の過度な圧縮を防止することができる。また、固定部13の突出高さh1とシール部材40の厚さt1との設定によって、シール部材40の圧縮率を安定して設定することができ、シール部材40による水密性の安定化を図ることができる。
【0043】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図である。
図9は、第2実施形態に係るスイッチ装置の一部拡大断面図である。
図9には、
図8に示すB部の拡大断面図が示される。
第2実施形態に係るスイッチ装置1Bにおいて、内ケース20の鍔部22は、相手部材100への取付時にシール部材40を介して相手部材100に対向する対向部分25を有する。対向部分25は、スイッチ装置1Bを相手部材100に取付前の状態で、凹部11からX1向きに突出している突出部分25aを有している。すなわち、内ケース20の鍔部22を外ケース10の凹部11に嵌め込んだ状態で、突出部分25aは外ケース10の取付部12の取付面12aよりもX1向きに突出している。
【0044】
このように突出部分25aが突出することで、スイッチ装置1を相手部材100に取り付けた際、突出部分25aは取付部12よりも相手部材100によって強く押圧される。このため、シール部材40において突出部分25aに対向する部分40cは、他の部分よりも圧縮され、水密性が高まる。それゆえ、相手部材100の内部に水が浸入する可能性を低下させることができる。
【0045】
特に、シール部材40の部分40cは、相手部材100の孔100hに近位である。このため、孔100hに近位な部分40cでの水密性を高めることで、孔100hから相手部材100の内側へ水滴などが浸入することを効果的に抑制することができる。なお、高い水密性を確保する観点から、突出部分25aは、X方向からみて鍔部22の全周に設けられていることが好ましい。
【0046】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係るスイッチ装置を例示する斜視図である。
図11は、第3実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面斜視図である。
図12は、第3実施形態に係るスイッチ装置の一部拡大断面斜視図である。
図12には、
図11に示すC部の拡大断面斜視図が示される。
図13および
図14は、X方向にみた鍔部と相手部材との位置関係を例示する模式図である。
なお、説明の便宜上、
図10には本実施形態に係るスイッチ装置1Cを相手部材100に取り付ける前の状態が示され、
図11および
図12にはスイッチ装置1Cを相手部材100に取り付けた後の状態が示される。
【0047】
本実施形態にスイッチ装置1Cにおいて、シール部材40の相手部材100に対向する側の面(対向面40b)は、相手部材100に接触しない非接触部分41を有する。この非接触部分41は、X方向からみて貫通孔40hの周囲に設けられる。
【0048】
シール部材40においてこのような非接触部分41を有するということは、相手部材100は貫通孔40hよりも広い開口(孔100h)を有することを示している。このため、スイッチ装置1Cを相手部材100に取り付けた際、相手部材100の孔100hの端部(エッジ部100a)がシール部材40に接触することで接触面圧が高くなる。
【0049】
また、シール部材40の相手部材100との接触部分42は押圧され、非接触部分41は押圧されない。すなわち、非接触部分41は圧縮されないことから、非接触部分41は接触部分42に対して相対的に盛り上がるようになり、結果として接触部分42によって孔100hのエッジ部100aにおける縁を覆う状態となる。
【0050】
このように、シール部材40が相手部材100の孔100hのエッジ部100aによって高い接触面圧で押圧され、非接触部分41で孔100hのエッジ部100aの縁を覆うようになることで、シール部材40と相手部材100との間から水が浸入することがあっても、相手部材100のX1向きの側への浸水を食い止めることができる。
【0051】
なお、
図14に示すように、X方向からみて、鍔部22の全体が非接触部分41に重複する構成であってもよい。相手部材100がシール部材40を押圧する際、相手部材100の孔100hにおけるエッジ部100aが、最も押圧力が強い。一方、シール部材40は、外ケース10の開口端(凹部11の周縁)と、内ケース20の鍔部22の周縁との隙間を覆うように設けられ、この隙間を覆った部分で耐水性(外ケース10の収容空間10sへの浸水防止)を確保している。そこで、上記のシール部材40の押圧力が最大となる部分が隙間を覆う部分よりも外側に位置するように配置することで、耐水性を確保している部分に水が近づきにくくなる。それゆえ、この最も水密性が高い部分を、X方向からみて鍔部22の周囲に配置することにより、凹部11内に水が浸入する可能性を低下させることができる。
【0052】
(第4実施形態)
図15は、第4実施形態に係るスイッチ装置を例示する斜視図である。
図16は、第4実施形態に係るスイッチ装置にコネクタを接続した状態を例示する斜視図である。
図17は、第4実施形態に係るスイッチ装置にコネクタを接続した状態を例示する断面斜視図である。
図18は、第4実施形態に係るスイッチ装置の一部拡大断面斜視図である。
図18には、
図17に示すD部の拡大断面斜視図が示される。
なお、説明の便宜上、
図15には本実施形態に係るスイッチ装置1Dを相手部材100に取り付ける前の状態が示され、
図16、
図17および
図18にはスイッチ装置1Dを相手部材100に取り付けた後の状態が示される。
【0053】
本実施形態に係るスイッチ装置1Dにおいて、シール部材40の貫通孔40hの側面40sは、接続端子23の突出側面23sに接する構成となっている。すなわち、X方向にみた貫通孔40hの大きさが、接続端子23の外周の大きさとほぼ等しくなっており、貫通孔40hに接続端子23が挿通されると、貫通孔40hの側面40sと接続端子23の突出側面23sとが接触することになる。これにより、シール部材40のシール面における外側端部と内側端部との最短距離(絶縁の沿面距離に相当する。)を長くすることができ、水密性が向上する。
【0054】
また、本実施形態に係るスイッチ装置1Dにおいて、シール部材40の非接触部分41がコネクタ200の先端部200aと対向する位置まで設けられている。これにより、接続端子23にコネクタ200を嵌合すると、コネクタ200の先端部200aがシール部材40の非接触部分41と当接し、非接触部分41を押圧する状態となる。非接触部分41は相手部材100とは当接しないものの、コネクタ200の先端部200aとは当接して、先端部200aと当接した部分で圧縮されることになる。
【0055】
これにより、シール部材40は、接触部分42と非接触部分41のコネクタ200の先端部200aとの当接部分とで圧縮され、孔100hの端部(エッジ部100a)とコネクタ200との間の部分だけ圧縮されないことになる。したがって、シール部材40における相手部材100側の沿面距離の増加によって、水密性を高めることができる。
【0056】
このように、本実施形態に係るスイッチ装置1、1B、1Cおよび1Dによれば、簡単な構造であっても十分な防水性、防滴性および防塵性を確保することが可能となる。
【0057】
なお、上記に本実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の構成例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0058】
1,1B,1C,1D…スイッチ装置
10…外ケース
10h…開口部
10s…収容空間
11…凹部
12…取付部
12a…取付面
13…固定部
13a…突出面
13h…貫通孔
20…内ケース
21…挿入部分
22…鍔部
22a…面
23…接続端子
23s…突出側面
25…対向部分
25a…突出部分
30…スイッチ部
31…回路基板
32…スイッチ素子
33…レバー
40…シール部材
40a…面
40b…対向面
40c…部分
40h…貫通孔
40s…側面
41…非接触部分
42…接触部分
45…接着層
100…相手部材
100a…エッジ部
100h…孔
101…硬質樹脂部
102…軟質樹脂部
103…操作部
200…コネクタ
200a…先端部
300…ボルト
h1…突出高さ
t1,t2…厚さ