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  • 特許-音声再生プログラムおよび音声再生装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】音声再生プログラムおよび音声再生装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/54 20140101AFI20241009BHJP
   A63F 13/55 20140101ALI20241009BHJP
   H04S 7/00 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
A63F13/54
A63F13/55
H04S7/00 300
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020137821
(22)【出願日】2020-08-18
(65)【公開番号】P2022034160
(43)【公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】康 貞蘭
(72)【発明者】
【氏名】中山 穂香
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/088306(WO,A1)
【文献】特開2006-230578(JP,A)
【文献】特開平09-046797(JP,A)
【文献】特開2000-350299(JP,A)
【文献】特開2010-218195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
三次元の仮想空間を形成する仮想空間形成手段と、
ユーザからの操作に応じて、前記仮想空間上に配置されたキャラクタを動作させるキャラクタ動作手段と、
立体音場を形成するために生成された立体音場情報に基づいて、音声を再生する音声再生手段と
として機能させ、
前記立体音場は、前記キャラクタの音像定位を基準として形成された、三次元の立体音場であり、
前記音声再生手段は、前記仮想空間に対して前記キャラクタが相対的に回転したことに応じて、前記立体音場を回転させ
前記音声再生手段は、前記仮想空間に対して前記キャラクタが相対的に回転をしたときの回転角度よりも前記立体音場の回転角度が大きくなるように、前記立体音場を回転させることを特徴とする音声再生プログラム。
【請求項2】
コンピュータを、
三次元の仮想空間を形成する仮想空間形成手段と、
ユーザからの操作に応じて、前記仮想空間上に配置されたキャラクタを動作させるキャラクタ動作手段と、
立体音場を形成するために生成された立体音場情報に基づいて、音声を再生する音声再生手段と
として機能させ、
前記立体音場は、前記キャラクタの音像定位を基準として形成された、三次元の立体音場であり、
前記音声再生手段は、前記仮想空間に対して前記キャラクタが相対的に回転したことに応じて、前記立体音場を回転させ、
前記音声再生手段は、前記仮想空間に対して前記キャラクタが相対的に回転をした後、前記立体音場を基準位置に戻すように、前記立体音場を回転させ、
前記基準位置は、前記仮想空間上の絶対座標または前記仮想空間に対するキャラクタの回転開始位置である
ことを特徴とする音声再生プログラム。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記音声再生手段は、前記キャラクタが他のオブジェクトと干渉した場合、前記立体音場を回転させることを特徴とする音声再生プログラム。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1つの音声再生プログラムを記憶した記憶部と、
前記音声再生プログラムを実行する制御部と
を備えたことを特徴とする音声再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声再生プログラムおよび音声再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のスピーカを備えたゲーム装置が知られている(特許文献1参照)。このゲーム装置では、複数のスピーカにより立体音響を生成することで、ゲームの臨場感を増大させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-181569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
立体音響による演出を改良することにより、ゲームや映画などのコンテンツにおいて没入感をさらに向上させることができる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ゲームや映画などのコンテンツにおいて没入感を向上させた音声再生プログラムおよび音声再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、コンピュータを、
三次元の仮想空間を形成する仮想空間形成手段と、
ユーザからの操作に応じて、前記仮想空間上に配置されたキャラクタを動作させるキャラクタ動作手段と、
立体音場を形成するために生成された立体音場情報に基づいて、音声を再生する音声再生手段と
として機能させ、
前記立体音場は、前記キャラクタの音像定位を基準として形成された、三次元の立体音場であり、
前記音声再生手段は、前記仮想空間に対して前記キャラクタが相対的に回転したことに応じて、前記立体音場を回転させることを特徴とすることを特徴とする音声再生プログラムである。
【0007】
また、第1の発明では、前記音声再生手段は、前記仮想空間に対して前記キャラクタが相対的に回転をしたときの回転角度よりも前記立体音場の回転角度が大きくなるように、前記立体音場を回転させてもよい。
【0008】
また、第1の発明では、前記音声再生手段は、前記仮想空間に対して前記キャラクタが相対的に回転をした後、前記立体音場を基準位置に戻すように、前記立体音場を回転させ、
前記基準位置は、前記仮想空間上の絶対座標または前記仮想空間に対するキャラクタの回転開始位置であってよい。
【0009】
第2の発明は、コンピュータを、
三次元の仮想空間を形成する仮想空間形成手段と、
立体音場を形成するために生成された立体音場情報に基づいて、音声を再生する音声再生手段と
を備え、
前記立体音場は、前記仮想空間における所定の座標系を基準として形成された、三次元の立体音場であり、
前記音声再生手段は、前記仮想空間に対して前記仮想空間に配置されたオブジェクトが相対的に回転したことに応じて、前記立体音場を回転させることを特徴とすることを特徴とする音声再生プログラム前記音声再生手段は、前記キャラクタが他のオブジェクトと干渉した場合、前記立体音場を回転させることを特徴とする音声再生プログラムである。
【0010】
また、第3の発明は、前記第1の発明および前記第2の発明の何れかの音声再生プログラムを記憶した記憶部と、前記音声再生プログラムを実行する制御部と、を備えたことを特徴とする音声再生装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ゲームや映画などのコンテンツにおいて没入感を向上させた音声再生プログラムおよび音声再生装置を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態におけるゲーム装置の構成を示すブロック図。
図2】本実施形態における立体音場の概念図を説明するための図。
図3】本実施形態におけるゲーム画面の一例を示す図。
図4】本実施形態におけるゲームプログラムにおける動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態にかかる音声再生プログラムおよび音声再生装置について、図面を参照して説明する。本発明の音声再生プログラムは、ゲームプログラムの一機能として実装されている。音声再生装置は、ゲーム装置として実現されている。
【0014】
本実施形態で説明するゲームプログラムは、例えば、パーソナルコンピュータ、プレイステーション(登録商標)、XBox(登録商標)、PlayStation Vita(登録商標)などのゲーム装置において実行される。
【0015】
このゲームプログラムによるゲームでは、ユーザの操作を受けて、プレイヤキャラクタを三次元の仮想ゲーム空間(以下、単に仮想空間という)で活動させたり、プレイヤキャラクタの仲間に対して様々なアクションを行わせたりする。
【0016】
このゲームでは、プレイヤキャラクタ等の移動過程やアクション等において、所定のトリガ条件を満たすとサウンドが流れる。所定のトリガ条件とは、例えば、プレイヤキャラクタの所定場所への移動、敵キャラクタの出現、敵キャラクタを倒したあと、アイテムの発見などである。
【0017】
また、このゲームでは、プレイヤに、音の方向、距離、拡がりなどを立体的に認識させることができる立体音響方式に対応している。立体音響方式では、プレイヤの周辺に複数のスピーカが配置されており、各スピーカから再生される音の出力を適宜調整することにより、プレイヤキャラクタの周囲の状況(他のキャラクタの移動など)をプレイヤに認識させることができる。
【0018】
このゲームでは、立体音響方式の一つである、アンビソニックス(Ambisonics)と呼ばれる立体音響方式を用いて、音声を再生する。アンビソニックスでは、複数のスピーカを環状(または球状)に配置することにより、プレイヤの周囲に球状の立体音場を生成する。このアンビソニックスでは、立体音場を自由に回転させることができるため、VR(Virtual Reality)やAR(Augmented Reality)などのコンテンツに対して使用されることが多い。
【0019】
このゲームでは、アンビソニックスを利用した立体音響において、ゲームへの没入感を向上させるための各種処理が行われている。
【0020】
<ゲーム装置の構成>
ゲーム装置5は、ユーザの操作に基づいて、所定のゲームを実行する。図1は、本実施形態のゲーム装置5の構成を示すブロック図である。ゲーム装置5には、ディスプレイ61、スピーカ62およびコントローラ63が外部接続または内蔵される。ゲーム装置5では、インストールされたゲームプログラムおよびゲームデータに基づいてゲームが進行する。なお、ゲーム装置5同士も、通信ネットワーク(図示を省略)または近距離無線通信装置(図示を省略)を用いて、互いにデータ通信を行うことができる。
【0021】
ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55および制御部56を有する。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54および記憶部55は、バス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0022】
ネットワークインターフェース51は、例えば、ゲーム装置5や外部のサーバ装置(図示を省略)との間で各種データを送受信するために、前記通信ネットワークに通信可能に接続される。
【0023】
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報にしたがって、プレイヤキャラクタおよびゲーム空間に関する各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。グラフィック処理部52はディスプレイ61と接続されており、動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ61上に表示される。
【0024】
オーディオ処理部53は、制御部56の指示にしたがってデジタルのゲーム音声を再生および合成する。オーディオ処理部53はスピーカ62と接続されており、再生および合成されたゲーム音声は、スピーカ62から出力される。
【0025】
オーディオ処理部53は、制御部56から出力されたゲーム音声を示す信号に基づいて、アンビソニックスの形式に従った音声情報(立体音場情報)を生成する。オーディオ処理部53は、生成した立体音場情報に応じて、スピーカ62の出力を制御する。
【0026】
図2に示すように、プレイヤPの周囲には、複数のスピーカ62が球状(または環状)に配置されている。オーディオ処理部53は、スピーカ62の各出力を制御することにより、プレイヤPの周囲に立体音場SFを形成する。これにより、プレイヤキャラクタの周囲の状況(他のキャラクタの移動など)をプレイヤに認識させることができる。
【0027】
操作部54は、コントローラ63と接続され、操作入力に関するデータをコントローラ63との間で送受信する。例えば、ユーザは、コントローラ63に設けられたボタン等の操作子(図示を省略)を操作することにより、ゲーム装置5に操作信号を入力する。
【0028】
記憶部55は、HDD、RAMおよびROM等で構成される。記憶部55は、ゲームプログラムおよびゲームデータを記憶することができる。また、記憶部55には、他のゲーム装置5から受信した他アカウント情報なども記憶される。
【0029】
制御部56は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、ゲーム装置5自身の動作を制御する。例えば、制御部56は、前記ゲームプログラムを実行することにより、グラフィック処理部52およびオーディオ処理部53を動作させる。
【0030】
<制御部の機能的構成>
制御部56は、ゲームプログラムを実行することにより、ゲーム進行手段561(仮想空間形成手段およびキャラクタ動作手段)および指示手段562として機能する。
【0031】
ゲーム進行手段561は、ユーザの操作に従って、ゲームデータに含まれるゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどのデータを記憶部55から読み出すかまたはサーバ装置から受信したデータを用いて、ゲームプログラムを実行しつつ、2次元または三次元のゲーム画像情報を生成する。ゲーム画像情報がグラフィック処理部52によって処理されることにより、ディスプレイ61には処理後のゲーム画像が逐次表示される。
【0032】
ゲーム進行手段561は、図3に示すようなゲーム画像をディスプレイ61に表示させる。具体的に、ゲーム進行手段561は、プレイヤPのコントローラ63に対する操作に応じて、キャラクタC1(プレイヤキャラクタ)を三次元の仮想空間内で動作させる。
【0033】
ここで、ゲーム装置5によって実行されるゲームは、例えば、TPS(Third Person shooter)やステルスゲームなど、プレイヤキャラクタを見下ろす第三者視点(カメラ)でゲーム画面が生成されるゲームである。このゲームでは、プレイヤは第三者視点によって仮想空間内の状況を把握する。すなわち、本ゲームは、ゲーム画面が、プレイヤキャラクタの視点に基づいて生成されるのではなく、プレイヤキャラクタとは異なる視点に基づいて生成される。
【0034】
特に、ゲーム進行手段561は、コントローラ63に対する所定操作に応じて、キャラクタC1に回転動作をさせる。キャラクタC1の回転動作には、例えば、キャラクタC1の前転や後転、上下左右方向の振り向きなど、仮想空間に対してキャラクタC1の頭部が回転する動作が含まれる。すなわち、キャラクタC1の回転動作とは、仮想空間に対して、キャラクタC1が相対的に回転する動作をいう。
【0035】
指示手段562は、キャラクタC1が回転動作を行った場合、キャラクタC1の回転角度を算出する。具体的には、指示手段562は、キャラクタC1の頭部の回転開始位置と回転停止位置を検出し、キャラクタC1の回転開始位置から回転停止位置までの角度をキャラクタC1の回転角度と算出する。
【0036】
図3に示すように、キャラクタC1の回転角度は、所定の座標系である直交座標系(X軸、Y軸およびZ軸)を基準に算出される。この例では、Z軸が、仮想空間における重力方向Gと一致するように定められている。
【0037】
例えば、キャラクタC1が回転動作を行うと、指示手段562は、X軸方向にx(°)、Y軸方向にy(°)、Z軸方向にz(°)といったように、キャラクタC1の回転角度を算出する。
【0038】
<オーディオ処理部の機能的構成>
オーディオ処理部53は、ゲーム音声の再生や合成の機能を発揮する、いわゆるミドルウエアを実行する。ここで、ゲーム音声とは、ゲーム中にスピーカ62から流れる音声であり、例えば、BGM、環境音、ユーザの操作に応じて流れる効果音などの様々な音声を含む。
【0039】
オーディオ処理部53は、前記ミドルウエアを実行することにより、再生手段531(音声再生手段)として機能する。
【0040】
再生手段531は、球状(または環状)に配置された複数のスピーカ62の出力を制御することにより、プレイヤPの周囲に立体音場SFを形成する(音声を再生する)。具体的に、再生手段531は、オーディオ処理部53によって生成された立体音場情報に基づいて、スピーカ62を制御し、プレイヤPの周囲に三次元の立体音場SFを形成する。
【0041】
この立体音場SFは、キャラクタC1の音像定位を基準として形成されている。例えば、図3では、キャラクタC1の前方(X方向)に敵キャラクタC2が存在しているため、プレイヤPの前方(X方向)から敵キャラクタC2の音声が聞こえるように、スピーカ62の出力を制御する。
【0042】
また、再生手段531は、指示手段562が算出したキャラクタC1の回転角度に応じて、立体音場SFを回転させる。
【0043】
本ゲームでは、BGM(background music)や環境音などの音源が、立体音場SFの所定位置に配置される。例えば、プレイヤPの後方(図2では図面右側)に、音源E1が配置されているとする。再生手段531は、指示手段562によりキャラクタC1の回転角度が算出されると、音源E1を含む立体音場SFを回転させる。すなわち、再生手段531は、仮想空間に対してキャラクタC1が相対的に回転したことに応じて、立体音場SFを回転させる。
【0044】
プレイヤPの操作対象となるキャラクタC1と異なる視点でゲーム画面が生成されるゲームでは、キャラクタC1(プレイヤキャラクタ)の回転動作に応じてゲーム画面が回転するとは限らない。このため、プレイヤPにキャラクタC1の回転動作を認識させることができない場合がある。
【0045】
これに対して、本ゲームでは、プレイヤPの周囲に形成された立体音場SFを、キャラクタC1の回転動作に応じて回転させる。これにより、プレイヤPに対して、キャラクタC1の回転動作を認識させることができる。したがって、プレイヤPのゲームへの没入感を向上させることができる。
【0046】
<ゲームシステムの動作について>
図1図4を用いて、ゲームプログラムの一連の流れを説明する。図4はゲームプログラムにおける動作を示すフローチャートである。
【0047】
ゲーム進行手段561は、コントローラ63に対して、キャラクタC1に回転動作を行わせるための操作が行われた場合、キャラクタC1の回転動作を行う(ステップS1)。
【0048】
指示手段562は、キャラクタC1の回転動作に応じた、キャラクタC1の回転角度を算出する(ステップS2)。図3では、指示手段562は、Z軸が重力方向Gと一致するように定められた直交座標系(所定の座標系)に基づいて、キャラクタC1の回転角度が算出する。
【0049】
再生手段531は、キャラクタC1の回転角度に応じて、立体音場SFを回転させる(ステップS3)。例えば、再生手段531は、キャラクタC1(の頭部)がX軸方向に90°回転した場合、立体音場SFをX軸方向に90°回転させる。
【0050】
ステップS3の後、ステップS3から所定時間経過するまで(ステップS4のNo)ステップS4で待機する。すなわち、再生手段531は、立体音場SFを回転させた位置に留める。
【0051】
ステップS3から所定時間経過した後(ステップS4のYes)、再生手段531は、立体音場SFを基準位置に戻すように、立体音場SFを回転させる。このときの基準位置は、キャラクタC1の回転開始位置である。
【0052】
以上をまとめると、本実施形態のゲームプログラムは、ゲーム装置5(コンピュータ)を、三次元の仮想空間を形成し、プレイヤP(ユーザ)からの操作に応じて、仮想空間上に配置されたキャラクタC1を動作させるゲーム進行手段561(仮想空間形成手段、キャラクタ動作手段)と、オーディオ処理部53によって生成された立体音場情報(立体音場SFを形成するために生成された立体音場情報)に基づいて、音声を再生する再生手段531として機能させ、立体音場SFは、キャラクタC1の音像定位を基準として形成された、三次元の立体音場であり、再生手段531は、仮想空間に対してキャラクタC1が相対的に回転したことに応じて、立体音場SFを回転させるものである。
【0053】
<発明の効果>
以上のように、再生手段531は、仮想空間に対してキャラクタC1が相対的に回転したことに応じて、キャラクタC1の音像定位を基準として形成された立体音場SFを回転させる。これにより、プレイヤPの操作対象となるキャラクタC1と異なる視点でゲーム画面が生成されるゲームにおいて、プレイヤPに対して、キャラクタC1の回転動作を認識させることができる。したがって、プレイヤPのゲームへの没入感を向上させることができる。
【0054】
また、再生手段531(音声再生手段)は、仮想空間に対してキャラクタC1が相対的に回転をした後、立体音場SFを仮想空間に対するキャラクタC1の回転開始位置(基準位置)に戻すように、立体音場SFを回転させる。これにより、キャラクタC1が回転動作を行った後に立体音場SFが基準位置に戻るため、立体音場を回転させる処理が複雑となることを防止できる。
【0055】
[その他の実施形態]
なお、ステップS3において、再生手段531は、仮想空間に対してキャラクタC1が相対的に回転をしたときの回転角度よりも立体音場SFの回転角度が大きくなるように、立体音場SFを回転させてもよい。例えば、再生手段531は、仮想空間に対してキャラクタC1が相対的に回転をしたときの立体音場SFの回転角度を、キャラクタC1の回転角度の2倍としてもよいし、キャラクタC1の回転角度に360°加えた角度(すなわち、キャラクタC1の回転方向に余分に1回転させる)としてもよい。これにより、プレイヤPがキャラクタC1の回転動作をより認識しやすくなる。この場合、ステップS5における立体音場SFの基準位置を、キャラクタC1の回転停止位置としてもよい。
【0056】
また、ステップS4において、所定時間経過する前に、キャラクタC1の回転動作が行われた場合、再生手段531は、当該回転動作に応じて立体音場SFをさらに回転させてもよい。
【0057】
この場合、ステップS5において、再生手段531は、後の回転動作の回転停止位置から前の回転動作の回転開始位置までの最短経路で立体音場SFを回転させて(立体音場SFを戻して)もよい。また、再生手段531は、後の回転動作の回転停止位置から回転開始位置(前の回転動作の回転停止位置)まで、立体音場SFを回転させた後に、前の回転動作の回転開始位置まで立体音場SFを回転させて(立体音場SFを戻して)もよい。
【0058】
すなわち、短時間に複数回の回転動作が行われた場合、再生手段531は、最後の回転動作の回転停止位置から最初の回転開始位置まで最短経路で立体音場SFを戻してもよいし、回転動作が行われた順序に従って、立体音場SFを戻してもよい。
【0059】
また、再生手段531は、キャラクタC1が他のオブジェクトから攻撃を受けた場合、立体音場SFを揺らしてもよい。例えば、再生手段531は、キャラクタC1が敵キャラクタC2から攻撃を受けた場合、攻撃の大きさに応じた回転角度で立体音場SFを揺らしてもよい。
【0060】
すなわち、再生手段531は、キャラクタC1が他のオブジェクトと干渉した場合、立体音場SFを回転させてもよい。これにより、プレイヤPに対して、キャラクタC1が衝撃(ダメージなど)を受けたことを認識させることができる。
【0061】
また、ステップS5における基準位置は、回転動作の回転開始位置であってもよいし、仮想空間上の絶対座標に基づいて定められていてもよい。
【0062】
また、立体音場SFは、キャラクタC1の音像定位に限られず、所定の座標系(例えば、仮想空間の重力方向G)を基準として形成されてもよい。
【0063】
また、プレイヤPの操作対象は、キャラクタC1以外のオブジェクトであってもよい。この場合、再生手段531は、当該オブジェクトの回転に応じて、立体音場SFを回転させてもよい。
【0064】
また、本ゲームは、プレイヤキャラクタとは異なる視点に基づいて、ゲームが進行されるものである。本ゲームには、例えば、TPS(Third Person shooter)やステルスゲームなどのゲームや、プレイヤキャラクタを見下ろす第三者視点でゲームが進行されるアドベンチャーゲームやアクションゲームなどが含まれる。
【0065】
また、本ゲームシステムは、FPS(First Person shooter)、レースゲーム、スポーツゲーム、RPG(ロールプレインゲーム)、シューティングゲームなど、他のゲームにも適用可能である。
【0066】
また、ゲームプログラムは、いわゆるオンラインゲーム用のゲームプログラムとして実装してもよい。ゲームプログラムがオンラインゲーム用である場合には、制御部56で行っていた処理をそれらに代わってサーバ側で行ってもよいし、サーバ側とクライアント(ゲーム装置5)側とで分担してもよい。
【0067】
また、ゲーム装置5を、映画やアニメーションなどの動画コンテンツを再生する再生装置に適用可能である。この場合、再生手段531は、キャラクタC1に代えて、映画(動画)に登場する主人公などのオブジェクト(仮想空間内のオブジェクト)の回転に応じて、立体音場SFを回転させればよい。
【0068】
上記実施形態では、ゲーム装置5が、パーソナルコンピュータおよびプレイステーション等の装置である場合について説明したが、ゲーム装置5の種類は、これに限定されない。例えば、ゲーム装置5は、スマートフォンやタブレット、ゲームセンターに提供されるアーケードゲームの筐体などであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
5 ゲーム装置
53 オーディオ処理部
531 再生手段
55 記憶部
56 制御部
561 ゲーム進行手段(仮想空間形成手段、キャラクタ動作手段)
562 指示手段
SF 立体音場
C1 キャラクタ(プレイヤキャラクタ)
図1
図2
図3
図4