(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】容器搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 21/20 20060101AFI20241009BHJP
B65G 47/30 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
B65G21/20 A
B65G47/30 L
(21)【出願番号】P 2020138476
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】西村 登
(72)【発明者】
【氏名】木谷 友祐
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-210998(JP,A)
【文献】特開平05-338789(JP,A)
【文献】特開2015-134676(JP,A)
【文献】特開平11-263439(JP,A)
【文献】特開2012-240842(JP,A)
【文献】米国特許第05553698(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 21/20-47/22
B65G 33/00-33/38
B65G 47/22-47/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部の下方にフランジが形成された樹脂製の容器を一列で搬送する供給コンベヤと、外表面に形成されたらせん状の溝によって前記供給コンベヤ上を搬送される前記容器を案内するスクリューと、
前記スクリューの上流側に隣接して配置され、前記供給コンベヤ上を搬送される前記容器を前記スクリューへと案内する導入ガイドとを備え、
前記導入ガイドが、
搬送方向に沿って前記供給コンベヤの両側に配置され、前記容器の胴部を案内する
ための1対の胴部ガイドと、
搬送方向に沿って前記供給コンベヤの両側に配置され、前記容器のフランジを案内する
ための1対の上部ガイドとを備えるとともに、
正立状態の前記容器のフランジが前記1対の上部ガイドのうちの一方側に設けられた上部ガイドと当接する際、当該容器の胴部と前記1対の胴部ガイドのうちの前記一方側に設けられた胴部ガイドとの間に隙間が生じるように、前記上部ガイドと前記胴部ガイドとが配置されたことを特徴とする容器搬送装置。
【請求項2】
前記胴部ガイドの間隔および前記上部ガイドの間隔が、上流側から下流側に向けて狭くなることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。
【請求項3】
前記供給コンベヤの上流側に配置されるとともに、前記供給コンベヤの上流部に所定区間に亘り隣接して平行に配置される搬送コンベヤと、
前記搬送コンベヤの前記容器が前記供給コンベヤへ乗り移る際に、前記容器を案内する受渡ガイドとを備え、
前記搬送コンベヤの搬送速度が、前記供給コンベヤの搬送速度よりも遅い
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の容器搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口部の下方にフランジが形成された樹脂製容器を搬送する容器搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベラ等のロータリー式容器処理装置へ容器を搬送する容器搬送装置では、供給コンベヤ上を一列で密集状態で搬送される容器をインフィードスクリューによってピッチを所定ピッチに広げ、供給ホイールを介して容器を処理装置へと供給している。供給コンベヤ上の容器は、胴部の両側をガイドにより支持され案内される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年では、樹脂製容器の軽量化が図られ、胴部の肉厚が薄くなっている。そのため、容器処理装置を高速にし、容器供給速度を上げると、胴部を案内するガイドに接触する容器が変形して摩擦抵抗が大きくなり、供給コンベヤで搬送される容器が減速してしまう。その結果、インフィードスクリューに供給される容器間に隙間が生じ、噛み込など問題が発生することがある。また、容器とガイドの摩擦が大きいと、非常停止後の再稼働時などに、容器の動き出しにも遅れが生じ得る。
【0005】
本発明は、高速搬送される樹脂製容器を安定してスクリューに供給することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である容器搬送装置は、口部の下方にフランジが形成された樹脂製の容器を一列で搬送する供給コンベヤと、外表面に形成されたらせん状の溝によって前記供給コンベヤ上を搬送される前記容器を案内するスクリューと、前記スクリューの上流側に隣接して配置され、前記供給コンベヤ上を搬送される前記容器を前記スクリューへと案内する導入ガイドとを備え、前記導入ガイドが、搬送方向に沿って前記供給コンベヤの両側に配置され、前記容器の胴部を案内するための1対の胴部ガイドと、搬送方向に沿って前記供給コンベヤの両側に配置され、前記容器のフランジを案内するための1対の上部ガイドとを備えるとともに、正立状態の前記容器のフランジが前記1対の上部ガイドのうちの一方側に設けられた上部ガイドと当接する際、当該容器の胴部と前記1対の胴部ガイドのうちの前記一方側に設けられた胴部ガイドとの間に隙間が生じるように、前記上部ガイドと前記胴部ガイドとが配置されたことを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である容器搬送装置は、第1の発明において、前記胴部ガイドの間隔および前記上部ガイドの間隔は、上流側から下流側に向けて狭くなることを特徴としている。
【0008】
本発明の第3の発明である容器搬送装置は、第1または第2の発明において、前記供給コンベヤの上流側に配置されるとともに、前記供給コンベヤの上流部に所定区間に亘り隣接して平行に配置される搬送コンベヤと、前記搬送コンベヤの前記容器が前記供給コンベヤへ乗り移る際に、前記容器を案内する受渡ガイドとを備え、前記搬送コンベヤの搬送速度は、前記供給コンベヤの搬送速度よりも遅いことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高速搬送される樹脂製容器を安定してスクリューに供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態である容器搬送装置の配置を示す平面図である。
【
図2】供給コンベヤを中心とする拡大平面図である。
【
図3】導入ガイドのコンベヤ幅方向に切断した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である容器搬送装置の配置を示す平面図である。
【0012】
本実施形態の容器搬送装置10は、上流側の搬送コンベヤ12から1列に搬送されてくる容器Vを受け取り、1列で搬送する供給コンベヤ14を備える。供給コンベヤ14の下流部にはインフィードスクリュー(スクリュー)16が配置され、供給コンベヤ14を搬送される容器Vは、インフィードスクリュー16の外表面に形成されているらせん状の溝16a(
図2参照)により案内されながら所定の搬送ピッチにされた後、例えば供給ホイール18を介して、ラベラ20などのロータリー式容器処理装置に受け渡される。ラベラ20で処理された容器Vは、排出ホイール22を介して排出コンベヤ24へと受け渡され、下流の処理装置へと搬送される。なお、搬送コンベヤ12の搬送速度は、供給コンベヤ14の搬送速度よりも遅く設定される。
【0013】
図2は、供給コンベヤ14を中心とする拡大平面図である。
図1、
図2に示されるように、搬送コンベヤ12の下流部と供給コンベヤ14の上流部は、所定受渡区間Aに亘り隣接して平行に配置される。搬送コンベヤ12において、受渡区間Aの上流側には、1列に搬送される容器Vの胴部を両側から支持する一対の胴部ガイド12Aが設けられる。胴部ガイド12Aの間隔は、容器Vの胴部の外径よりも広い一定の間隔であり、搬送コンベヤ12において、胴部ガイド12Aは平行に配置される。
【0014】
供給コンベヤ14の上流側にあって、受渡区間Aよりも下流側には、一対の平行な胴部ガイド14Aが設けられる。搬送コンベヤ12から供給コンベヤ14へと容器Vを移載する区間Aには、搬送コンベヤ12の胴部ガイド12Aの下流端と、供給コンベヤ14の胴部ガイド14Aの上流端の間を連絡する一対の受渡ガイド26が配置される。受渡ガイド26は、湾曲または屈曲したガイド部材からなり、受渡区間Aにおいて、搬送コンベヤ12上から供給コンベヤ14へと容器Vを案内する。
【0015】
なお、胴部ガイド12A、受渡ガイド26、胴部ガイド14Aにおけるガイド部材間の間隔は同じでもよいが、胴部ガイド14Aの間隔は、搬送される容器Vを千鳥状態で受け入れ可能な間隔とされる。すなわち、胴部ガイド14Aの間隔は、胴部Vbの直径よりも大きく、その2倍よりも小さい間隔に設定される。また、胴部ガイド12A、受渡ガイド26、胴部ガイド14Aの順で広くなっていてもよい。更に、胴部ガイド12Aと受渡ガイド26の接続部、受渡ガイド26と胴部ガイド14Aの接続部は、受渡区間A内にあってもよいし、その上流側や下流側にあってもよい。
【0016】
一方、供給コンベヤ14上において、胴部ガイド14Aの下流側、かつインフィードスクリュー16の上流側には、導入ガイド28が設けられる。
図3は、導入ガイド28のコンベヤ幅方向に切断した縦断面図である。
【0017】
容器Vは、胴部Vbの肉厚が薄く形成された樹脂製の容器であり、口部の下にフランジVfを備える。導入ガイド28は、容器Vの胴部Vbを両側から支持する一対の胴部ガイド28Aと、容器VのフランジVfを両側から支持する上部ガイド28Bを備える。なお、フランジVfは、容器Vの口部に装着されるキャップCよりも僅かに外側に延出する。
【0018】
胴部ガイド28Aおよび上部ガイド28Bは、供給コンベヤ14の両側辺に沿って、上流側の間隔が広く、下流側に向かって徐々に間隔が狭くなるように配置される。
図2に示されるように、上流端において、導入ガイド28は容器Vを千鳥状態で受け入れ可能な間隔とされ、下流端では容器Vが略直列される間隔とされる。すなわち、導入ガイド28の上流端では、胴部ガイド28Aは胴部Vbの直径よりも大きく、その2倍よりも小さい間隔に設定され、下流端では胴部Vbの直径よりも僅かに広い間隔に設定される。また、導入ガイド28の上流端では、上部ガイド28BはフランジVfの直径よりも大きく、その2倍よりも小さい間隔に設定され、下流端では胴部Vbの直径よりも僅かに広い間隔に設定される。
【0019】
図3に示されるように、本実施形態では、胴部ガイド28Aの内側面には、それぞれ胴部Vbとの摩擦を低減するように搬送方向に沿った複数の凸条30が設けられる。本実施形態において、凸条30の断面形状は楔形とされ、胴部Vbの上下をそれぞれ5個(各胴部ガイド28Aにおいて10個)の凸条30で案内する。なお、凸条30の断面形状は、楔形に限定されるものではなく、半円形や楕円形など、胴部Vbとの摩擦を低減できる形状であればよい。また、凸条30の数や配置も
図3の形態に限るものではなく、上下に3個であっても良いし、胴部ガイド28Aの全域に15個以上設けてもよい。さらに、凸条30自体を設けずに胴部ガイド28Aの内側面をフラットにしてもよい。胴部ガイド28Aおよび上部ガイド28Bは、ガイド支持部材32により、供給コンベヤ14上に保持される。
【0020】
なお、上部ガイド28Bと供給コンベヤ14上を搬送される容器VのフランジVfとの間に形成される隙間(間隔)は、胴部ガイド28Aと胴部Vbとの間に形成される隙間(間隔)より狭い。すなわち、供給コンベヤ14上を搬送される容器VのフランジVfが供給コンベヤ14の両側に配置されている上部ガイド28Bのうち一方の側の上部ガイド28Bに当接した際に、その容器Vの胴部Vbと胴部ガイド28Aの凸条30との間に隙間が生じ、胴部Vbが一方の側の胴部ガイド28Aの凸条30と当接しないように、上部ガイド28Bおよび胴部ガイド28Aが配置される。そのため、導入ガイド28によって案内される容器VのフランジVfは、胴部Vbが胴部ガイド28Aの凸条30に当接するよりも先に上部ガイド28Bに当接する。
【0021】
次に、
図2を参照して、容器搬送装置10からラベラ20への容器Vの搬送動作について説明する。
【0022】
本実施形態の容器搬送装置10では、搬送コンベヤ12の胴部ガイド12Aの間隔は、容器Vの胴部Vbの外径よりも僅かに広く設定され、搬送コンベヤ12上において、容器Vは密集した状態で略直列して搬送される。受渡区間Aの受渡ガイド26により、供給コンベヤ14上へと移載された容器Vは、供給コンベヤ14の搬送速度が搬送コンベヤ12の搬送速度よりも速いことから、それぞれ間隔を空けて供給コンベヤ14の上流側を搬送される。
【0023】
インフィードスクリュー16が供給コンベヤ14から容器Vを取り込む速度は、供給コンベヤ14の容器Vを供給する速度よりも遅く設定される。そのため、供給コンベヤ14上へと移載された容器Vは、
図2のようにインフィードスクリュー16の手前から導入ガイド28、そして胴部ガイド14Aの途中まで密集している最後尾の容器Vに追いつき、それからはインフィードスクリュー16が供給コンベヤ14から容器Vを取り込む速度で搬送されることになる。また受渡ガイド26の下流に配置されている胴部ガイド14Aの間隔を広くしているため、受渡ガイド26から排出された容器Vは、胴部Vbが胴部ガイド14Aとあまり接触することなく搬送される。密集して搬送される容器Vは、上流側の胴部ガイド14Aおよび導入ガイド28の上流側の間隔が広いことから、前後の容器Vの中心が搬送方向の幅方向にずれるとともに、前後の容器Vの中心の搬送方向の距離が短くなるような千鳥状に密接されることになる。そのため、導入ガイドの幅を容器胴部の幅よりも少しだけ広く設定した従来よりも、同じ区間内により多くの本数の容器Vを搬送させることができる。
【0024】
供給コンベヤ14上を搬送される容器Vは導入ガイド28の間に供給され、千鳥状に密集した状態で導入ガイド28に沿って搬送される。導入ガイド28の間を搬送される容器Vは、導入ガイド28の幅が狭くなるにつれて徐々に整列される。そして導入ガイド28の下流端において、インフィードスクリュー16に取り込まれ、所定のピッチで搬送された後、供給ホイール18を介してラベラ20へと供給される。
【0025】
以上のように、本実施形態の容器搬送装置によれば、インフィードスクリューの手前の導入ガイドに、胴部ガイドに加えより強度の高いフランジを案内する上部ガイドを設けるとともに、胴部が胴部ガイドに当接するよりも先にフランジが上部ガイドに当接するように、上部ガイドと胴部ガイドとを取り付けることで、肉厚が薄い樹脂製容器の搬送においても、強度の高いフランジによって容器をガイドすることにより、胴部の変形による摩擦の増大を防ぐことができる。これにより、高速で安定した状態で容器をインフィードスクリューに供給することができる。
【0026】
また、導入ガイドの上流側の間隔を容器を千鳥状態で受け入れ可能な間隔にし、下流側に向けて狭くなる構成としたことで、従来よりも同じ区間内により多くの本数の容器Vを搬送して処理することができるので、より多くの容器を搬送することが可能となる。
【0027】
また、本実施形態では、導入ガイドの胴部ガイドの内側面に凸条を設けることで、胴部に掛かる摩擦力がより低減される。
【0028】
なお、本実施形態では、搬送コンベヤの搬送速度を供給コンベヤの搬送速度よりも遅くすることで容器間の間隔を空けたが、供給コンベヤの上流側搬送経路に、ロータリーホイールなどの装置を配置し、容器に制動をかけることで間隔を空ける構成としてもよい。
【0029】
本実施形態では、導入ガイド28(胴部ガイド28Aおよび上部ガイド28B)の上流端の間隔を広くするとともに、下流端に向かって狭くするようにしているが、上流端の間隔を下流端の間隔と同じにし、上流端から下流端までを同じ間隔に設定してもよい。ただし、その場合であっても本実施形態と同様に、上部ガイド28BとフランジVfが、胴部ガイド28Aと胴部Vbが当接するタイミングより先に当接するように胴部ガイド28Aと上部ガイド28Bが配置される。
【符号の説明】
【0030】
10 容器搬送装置
12 搬送コンベヤ
14 供給コンベヤ
16 インフィードスクリュー(スクリューコンベヤ)
26 受渡ガイド
28 導入ガイド
28A 胴部ガイド
28B 上部ガイド
A 受渡区間