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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】クッション支持部材の構造
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/12 20060101AFI20241009BHJP
   B60N 2/68 20060101ALI20241009BHJP
   A47C 7/02 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
B62J1/12 B
B60N2/68
A47C7/02 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020195854
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2022084174
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 一泰
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 洋一
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0233020(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0069679(US,A1)
【文献】特開2017-197083(JP,A)
【文献】特開2014-46128(JP,A)
【文献】米国特許第6666507(US,B1)
【文献】特開2003-127737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/12
B60N 2/68
B60N 2/58
A47C 7/02
B68G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座するシートを構成し、上面にクッション材が設けられて当該クッション材を支持するクッション支持部材の構造であって、
前記クッション支持部材は、当該クッション支持部材を補強する複数の補強部と、前記複数の補強部同士が交差して接合される接合部と、を備え、
前記複数の補強部は、第一方向に伸びる第一補強部と、前記第一方向と交差する第二方向に伸びて前記第一補強部に隣り合う第二補強部と、前記第二方向と交差する第三方向に伸びて前記第二補強部に隣り合う第三補強部と、を有し、
前記接合部の表面に、前記第一補強部と前記第二補強部との接合箇所を示す第一接合線と、前記第二補強部と前記第三補強部との接合箇所を示す第二接合線と、が表れ、
前記第一接合線及び前記第二接合線は、前記クッション支持部材の厚さ方向一方側から他方側に向かって湾曲する曲線で構成され、
前記第一接合線の一端部と前記第二接合線の一端部は、前記厚さ方向一方側の同じ位置に集合していることを特徴とするクッション支持部材の構造。
【請求項2】
前記接合部の裏面に穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のクッション支持部材の構造。
【請求項3】
前記穴は真円状であって、かつ、ドーム状に形成されて前記接合部を貫通しないことを特徴とする請求項2に記載のクッション支持部材の構造。
【請求項4】
前記クッション支持部材は、乗員荷重を受ける荷重受け部を備えており、
前記接合部は前記シートの前後方向に複数設けられており、
前記荷重受け部は、複数の前記接合部よりも前記シートの左右方向外側に配置され、かつ、前記クッション支持部材を側面から投影視した場合において前記複数の接合部における前記前後方向の中間に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のクッション支持部材の構造。
【請求項5】
前記クッション支持部材は、当該クッション支持部材を補強するビードを備えており、
前記ビードは、前記複数の接合部よりも前記シートの左右方向外側に配置され、かつ、前記クッション支持部材を側面から投影視した場合において前記荷重受け部と前後方向に間隔を空けて並んで配置されていることを特徴とする請求項4に記載のクッション支持部材の構造。
【請求項6】
前記クッション支持部材は、前記複数の接合部のそれぞれから前記シートの左右方向に伸びる前記複数の補強部を備えており、
前記荷重受け部は、前記クッション支持部材の前後方向前側に位置する第一荷重受け部と、前記クッション支持部材の前後方向後側に位置する第三荷重受け部と、前記第一荷重受け部と前記第三荷重受け部の間に位置する第二荷重受け部と、を有しており、
前記ビードは複数であり、
複数の前記ビードのうち、前記第二荷重受け部よりも前方に配置されるとともに前記第二荷重受け部に最も近接するビードは前記クッション支持部材を側面から投影視した場合において、前記複数の接合部のそれぞれから前記シートの左右方向に伸びる前記複数の補強部における前記前後方向の中間に配置されていることを特徴とする請求項5に記載のクッション支持部材の構造。
【請求項7】
乗員が着座するシートを構成し、上面にクッション材が設けられて当該クッション材を支持するクッション支持部材の構造であって、
前記クッション支持部材は、上面側に凸形状とされて、当該クッション支持部材を補強する複数の補強部を備え、当該補強部のそれぞれは、前記クッション材に最も近い部分の表面が曲面とされ、かつ、上面視において円形状に形成されていることを特徴とするクッション支持部材の構造。
【請求項8】
前記クッション支持部材は、下面側に凸形状とされて、当該クッション支持部材を補強する複数の補強部を備え、当該補強部のそれぞれは、前記クッション材から最も遠い部分の表面が曲面とされ、かつ、下面視において円形状に形成されており、
上面側に凸形状とされた前記複数の補強部と、下面側に凸形状とされた前記複数の補強部は、上下方向に投影視した場合において異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のクッション支持部材の構造。
【請求項9】
前記クッション支持部材は、当該クッション支持部材を補強する線状部材を備え、
前記複数の補強部は、前記線状部材を避けて配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のクッション支持部材の構造。
【請求項10】
前記クッション支持部材は、乗員荷重を分散させるための複数の荷重分散孔を備え、
前記複数の補強部は、前記複数の荷重分散孔を避けて配置されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のクッション支持部材の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートのクッションを支持するクッション支持部材の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートのクッションを支持するクッション支持部材として、部分的に金属インサートを用い、表面に複数のビードが形成された樹脂フレームが知られている(特許文献1参照)。各ビードは、表面側に膨らむとともに裏面側に凹み、かつ、表面が曲面とされた畝状に形成されており、このようなビードが、左右方向に並んで複数配置されることで樹脂フレームを補強している。
【0003】
また、特許文献2には、幅方向中央部と交差し、少なくとも一部がシートの前後方向に対して斜めに配置される斜辺として構成された複数の補強部を有するクッション支持部材が開示されている。各補強部は、裏面側に突出するとともに表面側に凹んだ状態に形成されており、このような補強部が、シートの前後方向に亘って複数配置され、かつ、これら複数の補強部が交差して配置されることでクッション支持部材を補強している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実全昭51-138307号公報
【文献】特開2014-8807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数の補強部によってクッション支持部材を補強する場合に、複数の補強部を交差して配置すればクッション支持部材を補強させやすいが、複数の補強部同士が交差する接合部が角張った形状になっていると、その角張った部位に荷重が集中し、荷重を分散させにくい場合がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、荷重の集中を抑制し、複数の補強部によってクッション支持部材を補強しやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、乗員が着座するシートを構成し、上面にクッション材が設けられて当該クッション材を支持するクッション支持部材の構造であって、
乗員が着座するシートを構成し、上面にクッション材が設けられて当該クッション材を支持するクッション支持部材の構造であって、
前記クッション支持部材は、当該クッション支持部材を補強する複数の補強部と、前記複数の補強部同士が交差して接合される接合部と、を備え、
前記複数の補強部は、第一方向に伸びる第一補強部と、前記第一方向と交差する第二方向に伸びて前記第一補強部に隣り合う第二補強部と、前記第二方向と交差する第三方向に伸びて前記第二補強部に隣り合う第三補強部と、を有し、
前記接合部の表面に、前記第一補強部と前記第二補強部との接合箇所を示す第一接合線と、前記第二補強部と前記第三補強部との接合箇所を示す第二接合線と、が表れ、
前記第一接合線及び前記第二接合線は、前記クッション支持部材の厚さ方向一方側から他方側に向かって湾曲する曲線で構成され、
前記第一接合線の一端部と前記第二接合線の一端部は、前記厚さ方向一方側の同じ位置に集合していることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクッション支持部材の構造において、前記接合部の裏面に穴が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のクッション支持部材の構造において、
前記穴は真円状であって、かつ、ドーム状に形成されて前記接合部を貫通しないことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のクッション支持部材の構造において、
前記クッション支持部材は、乗員荷重を受ける荷重受け部を備えており、
前記接合部は前記シートの前後方向に複数設けられており、
前記荷重受け部は、複数の前記接合部よりも前記シートの左右方向外側に配置され、かつ、前記クッション支持部材を側面から投影視した場合において前記複数の接合部における前記前後方向の中間に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のクッション支持部材の構造において、
前記クッション支持部材は、当該クッション支持部材を補強するビードを備えており、
前記ビードは、前記複数の接合部よりも前記シートの左右方向外側に配置され、かつ、前記クッション支持部材を側面から投影視した場合において前記荷重受け部と前後方向に間隔を空けて並んで配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のクッション支持部材の構造において、
前記クッション支持部材は、前記複数の接合部のそれぞれから前記シートの左右方向に伸びる前記複数の補強部を備えており、
前記荷重受け部は、前記クッション支持部材の前後方向前側に位置する第一荷重受け部と、前記クッション支持部材の前後方向後側に位置する第三荷重受け部と、前記第一荷重受け部と前記第三荷重受け部の間に位置する第二荷重受け部と、を有しており、
前記ビードは複数であり、
複数の前記ビードのうち、前記第二荷重受け部よりも前方に配置されるとともに前記第二荷重受け部に最も近接するビードは前記クッション支持部材を側面から投影視した場合において、前記複数の接合部のそれぞれから前記シートの左右方向に伸びる前記複数の補強部における前記前後方向の中間に配置されていることを特徴とする。
【0013】
以上の課題を解決するため、請求項7に記載の発明は、乗員が着座するシートを構成し、上面にクッション材が設けられて当該クッション材を支持するクッション支持部材の構造であって、
前記クッション支持部材は、上面側に凸形状とされて、当該クッション支持部材を補強する複数の補強部を備え、当該補強部のそれぞれは、前記クッション材に最も近い部分の表面が曲面とされ、かつ、上面視において円形状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のクッション支持部材の構造において、
前記クッション支持部材は、下面側に凸形状とされて、当該クッション支持部材を補強する複数の補強部を備え、当該補強部のそれぞれは、前記クッション材から最も遠い部分の表面が曲面とされ、かつ、下面視において円形状に形成されており、
上面側に凸形状とされた前記複数の補強部と、下面側に凸形状とされた前記複数の補強部は、上下方向に投影視した場合において異なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載のクッション支持部材の構造において、
前記クッション支持部材は、当該クッション支持部材を補強する線状部材を備え、
前記複数の補強部は、前記線状部材を避けて配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載のクッション支持部材の構造において、
前記クッション支持部材は、乗員荷重を分散させるための複数の荷重分散孔を備え、
前記複数の補強部は、前記複数の荷重分散孔を避けて配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、曲線で構成された第一接合線と第二接合線に沿って荷重が分散しやすくなるので、複数の補強部同士が交差する接合部に荷重が集中することを抑制し、複数の補強部によってクッション支持部材を補強しやすくなる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、接合部の裏面に穴が形成されることで、接合部の肉厚が厚くなることを抑制するのでクッション支持部材の軽量化に貢献できる。また、接合部の肉厚が厚いと製造段階で熱が逃げにくくなるが、そのように熱が逃げにくくなることを防ぎやすくなる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、接合部に加わる圧力を分散しやすくなる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、クッション支持部材を側面から投影視した場合において、複数の接合部が、荷重受け部の前後方向に配置されることになるので、クッション支持部材の剛性を向上できる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、クッション支持部材を側面から投影視した場合において、ビードが、荷重受け部と前後方向に間隔を空けて並んで配置されることになるので、クッション支持部材の剛性を向上できる。
【0022】
クッション支持部材は、荷重受け部よりもシートの前方側が後方側よりも平面部分の面積が広く設定される場合が多く、そのような場合には、クッション支持部材のうち荷重受け部よりもシートの前方側における剛性が低下しやすい。
これに対し、請求項6に記載の発明によれば、クッション支持部材を側面から投影視した場合において荷重受け部に最も近接するビードが、複数の接合部のそれぞれからシートの左右方向に伸びる複数の補強部における前後方向の中間に配置されているので、クッション支持部材の剛性を向上できる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、クッション支持部材の上面側に角張った部分が生じにくく、曲面とされた補強部に沿って荷重が分散しやすくなるので、荷重が集中することを抑制し、複数の補強部によってクッション支持部材を補強しやすくなる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、クッション支持部材の下面側に角張った部分が生じにくく、曲面とされた補強部に沿って荷重が分散しやすくなるので、荷重が集中することを抑制し、複数の補強部によってクッション支持部材を補強しやすくなる。
さらに、上面側に凸形状とされた複数の補強部と、下面側に凸形状とされた複数の補強部は、上下方向に投影視した場合において異なる位置に配置されているのでクッション支持部材を軽量化できる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、クッション支持部材のうち線状部材のない比較的強度の低い部分を複数の補強部によって補強でき、クッション支持部材の剛性を向上できる。
【0026】
請求項10に記載の発明によれば、複数の補強部によってクッション支持部材の剛性を向上しながら、複数の荷重分散孔によってクッション支持部材を軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】クッション支持部材の第1実施形態を示す斜視図である。
図2】クッション支持部材を示す斜視図である。
図3】クッション支持部材を示す側面図である。
図4】クッション支持部材を示す上面図である。
図5】クッション支持部材の要部について説明する斜視図である。
図6図4におけるA-A線断面図である。
図7】クッション支持部材を示す下面図である。
図8】クッション支持部材の要部について説明する拡大断面図である。
図9】クッション支持部材の第2実施形態を示す斜視図である。
図10】クッション支持部材を示す側面図である。
図11】クッション支持部材を示す上面図である。
図12】クッション支持部材を示す下面図である。
図13図11におけるB-B線断面図である。
図14】クッション支持部材の要部を示す拡大斜視図である。
図15】クッション支持部材の第1変形例を示す上面図である。
図16】クッション支持部材の第2変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0029】
また、以下に説明するシートは、家具用シートや、船舶、飛行機、スノーモービル、水上バイク等の乗物用シートを含むが、主に車両用シートを指すものとし、車両は、自動二輪車や自動車(乗用車)だけでなく、自転車、原動機付自転車、建設車両、軍用車両、産業車両、鉄道車両、その他にも耕運機やトラクター等の農業用の車両等が挙げられる。そして、シートには乗員が着座する。
【0030】
さらに、シートは、車体に固定されるクッション支持部材と、クッション支持部材の上面に設けられて支持されるクッション材と、クッション支持部材及びクッション材を被覆する表皮材と、を備える。すなわち、シートは、クッション支持部材上にクッション材が支持されるとともに表皮材で被覆されて構成されている。
【0031】
クッション支持部材は、ポリプロピレンやポリ塩化ビニル等の樹脂材料を成形してなる樹脂成型品であり、車両における車体に対応した形状となるように成形され、車体に対して装着される。そのため、特に硬質とされている。また、クッション支持部材には、車体に固定するのに必要な金具等が取り付けられてもよいし、製造段階で金属がインサートされてもよい。
【0032】
クッション材は、柔軟フォーム材、例えばウレタンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリエチレンフォームから形成されており、クッション支持部材よりも軟質である。
また、クッション材は、クッション支持部材の上面に支持されるため、このクッション材の下面は、クッション支持部材の上面の形状に合致しやすい形状となっている。これにより、クッション材を、クッション支持部材の上面によって安定的に支持しやすくなる。
さらに、クッション支持部材とクッション材とが互いに接する面、すなわち、クッション支持部材の上面とクッション材の下面はそれぞれ基準面とされる。
【0033】
表皮材は、シートの座面を構成し、乗員に接触する部分であり、樹脂材料や合成皮革、布、本革等によるものが適宜採用される。
表皮材の端末は、クッション支持部材の裏面(下面)側へと折り込まれ、このクッション支持部材に固定される。なお、表皮材の端末とは、表皮材の全周縁を指している。したがって、この表皮材の端末は、クッション支持部材の全周縁にわたって固定される。
【0034】
〔第1実施形態〕
以下、クッション支持部材10の第1実施形態について詳細に説明する。
なお、本実施形態におけるクッション支持部材10は、自動二輪車のシートを構成するものである。自動二輪車のシートを構成するクッション支持部材10は、ボトムプレートとも称する。
【0035】
本実施形態におけるクッション支持部材10は、上記のように樹脂成型品であるため、ほとんどの部位が一体形成され、必要に応じて付属品が取り付けられる。換言すれば、クッション支持部材10は、本体プレート11を主体として構成されており、図1図8に示すように、この本体プレート11に対し、それぞれの機能を有する部位が一体形成された状態となっている。
【0036】
本体プレート11は、図1図3に示すように、乗員が座る部分が、側面視において他の部分よりも低くなるように形成されている。このように他の部分よりも低くなるように形成された部分の付近は、自動二輪車を運転する乗員の坐骨位置に対応する部分であり、シートのうちで最も乗員による荷重(乗員荷重)がかかる最大荷重部11aとされる。
【0037】
また、本体プレート11は、当該本体プレート11の周縁に沿って設けられる周縁補強部12を有する。つまり、このような周縁補強部12によって、本体プレート11の周縁の剛性を向上できるようになっている。
【0038】
周縁補強部12は、本体プレート11の周縁に一体形成されて、外方に向かって鍔状に張り出す部位を指しており、最大荷重部11a付近を境にして前方に位置する前方周縁補強部12aと、後方に位置する後方周縁補強部12bと、を有する。
前方周縁補強部12aは、本体プレート11の周縁のうち前側を補強し、後方周縁補強部12bは、本体プレート11の周縁のうち後側を補強している。
【0039】
また、本体プレート11は、当該本体プレート11の周縁に沿って設けられる側壁部13を有する。より詳細に説明すると、側壁部13は、本体プレート11の上面における左右の周縁から下方に伸びる側壁であり、前後方向の端部が、前方周縁補強部12aと後方周縁補強部12bに一体形成されている。
【0040】
さらに、本体プレート11は、当該本体プレート11の周縁に沿って設けられる後壁部14を有する。より詳細に説明すると、後壁部14は、本体プレート11の上面における後縁から下方に伸びる後壁であり、後方周縁補強部12bに一体形成されている。
【0041】
なお、周縁補強部12及び側壁部13には、表皮材の端末に設けられる係合部材が係合する係合孔部15が複数形成されている。
【0042】
クッション支持部材10は、上記の本体プレート11に一体形成される部位として、接合部20と、複数の補強部21~24と、複数の荷重受け部25~27と、複数のビード28~30と、複数の突出部32と、を備えている。
【0043】
複数の補強部21~24は、それぞれが、表面が曲面とされた畝状(かまぼこ型)のものであり、本体プレート11の中央部一帯に形成されてクッション支持部材10を補強している。
接合部20は、複数の補強部21~24同士が交差して接合される部位を指している。
本体プレート11の中央部一帯は、これら複数の補強部21~24及び接合部20が上方に突出して形成された分、その他の箇所は、窪み部11bとして下方に凹んだ状態となっている。
【0044】
複数の補強部21~24は、第一方向(右側)に伸びる第一補強部21と、第一方向に隣り合う第二方向(後側)に伸びる第二補強部22と、第二方向に隣り合う第三方向(左側)に伸びる第三補強部23と、第一方向及び第三方向に隣り合う第四方向(前側)に伸びる第四補強部24と、を有する。
すなわち、本実施形態における複数の補強部21~24は、図4に示すように、上面視において十字状(前後左右)に配置されており、左右方向と前後方向に垂直に交わる。
【0045】
接合部20は、上記のように複数の補強部21~24同士が交差して接合される部位であると同時に、複数の補強部21~24が各方向に向かって伸びる場合の基端部となる部位である。
このような接合部20は、本体プレート11に複数設けられている。これら複数の接合部20は、前後方向に間隔を空けて配置されるとともに左右方向に間隔を空けて配置されており、本実施形態においては6つの接合部20が設けられている。したがって、6つの接合部20の各々から複数の補強部21~24が伸びるようにして設けられている。
【0046】
隣り合う接合部20間における複数の補強部21~24同士は、本実施形態においては一体形成されている。
すなわち、第一方向である右側に伸びる第一補強部21と、第三方向である左側に伸びる第三補強部23は、左右に隣り合う接合部20間において一体形成されている。また、第二方向である後側に伸びる第二補強部22と、第四方向である前側に伸びる第四補強部24は、前後に隣り合う接合部20間において一体形成されている。
ただし、これに限られるものではなく、隣り合う接合部20間に配置された複数の補強部21~24同士は、一体形成されずに離間していてもよい。
【0047】
接合部20の表面には、図5に示すように、第一補強部21と第二補強部22との接合箇所を示す第一接合線201と、第二補強部22と第三補強部23との接合箇所を示す第二接合線202と、第三補強部23と第四補強部24との接合箇所を示す第三接合線203と、第四補強部24と第一補強部21との接合箇所を示す第四接合線204と、が表れている。
また、上記のように、複数の補強部21~24が畝状(かまぼこ型)に形成されているので、第一接合線201、第二接合線202、第三接合線203、第四接合線204は、クッション支持部材10(接合部20)の厚さ方向一方側から他方側に向かって湾曲する曲線で構成されている。
なお、図5等において、第一接合線201、第二接合線202、第三接合線203、第四接合線204は、説明の便宜上、くっきりとした実線で表現したが、実物においては明確な実線が表現されていなくてもよい。
【0048】
そして、これら第一接合線201の一端部と、第二接合線202の一端部と、第三接合線203の一端部と、第四接合線204の一端部は、クッション支持部材10(接合部20)の厚さ方向一方側の同じ位置に集合している。
上記のように、複数の補強部21~24は上方に突出して形成されているので、厚さ方向一方側の同じ位置とは、接合部20のうち最も上方に位置する箇所200(以下、頂点200)を指す。なお、厚さ方向の他方側には、本体プレート11の窪み部11bを構成する部位がある。
つまり、第一接合線201の一端部と、第二接合線202の一端部と、第三接合線203の一端部と、第四接合線204の一端部は、接合部20の頂点200に集合している。
第一接合線201、第二接合線202、第三接合線203、第四接合線204は、上面視において垂直に交差している。
【0049】
複数の補強部21~24は、接合部20において交差して接合され、各補強部21~24間における各接合線201~204は、接合部20における頂点200から窪み部11bに向かって湾曲する曲線で構成されている。したがって、複数の補強部21~24の接合部20における表面は丸みを帯びた状態となっており、角張った部分が生じない。
【0050】
接合部20の裏面には、図6図7に示すように、穴20aが形成されている。この穴20aは真円状であって、かつ、ドーム状に形成されて接合部20を貫通しないように形成されている。
【0051】
また、複数の補強部21~24は、図6図8に示すように、本体プレート11の裏面側においては凹んだ状態に形成されている。すなわち、複数の補強部21~24も、下面視した場合に、上下方向に貫通しない穴(以下、凹み部21a~24a)として形成されている。
複数の補強部21~24の凹み部21a~24aは、接合部20の穴20a側の端部が丸みを帯びた状態に形成されている。そして、複数の補強部21~24の凹み部21a~24aは、接合部20の穴20aと一体の状態になっていない。
そして、第一方向である右側に伸びる第一補強部21の凹み部21aと、第三方向である左側に伸びる第三補強部23の凹み部23aは、左右に隣り合う接合部20の穴20a間において一体形成されている。また、第二方向である後側に伸びる第二補強部22の凹み部22aと、第四方向である前側に伸びる第四補強部24の凹み部24aは、前後に隣り合う接合部20間において一体形成されている。
【0052】
複数の補強部21~24は、上記のように表面形状が畝状(かまぼこ型)に形成され、裏面側においては凹んだ状態に形成されている。そのため、これら複数の補強部21~24の断面は、図8に示すように、半円を描くような形状となっている。
また、このように半円状に形成された複数の補強部21~24のうち、窪み部11bを構成する部位側の根元部分Rtは肉厚になっている。すなわち、根元部分Rtは、その他の部分よりも厚さが厚く形成されている。根元部分Rtは補強部21~24のうち乗員荷重がかかりやすい。そのため、このように根元部分Rtが肉厚になっていれば、乗員荷重がかかりやすい部分を補強できるので、結果的に、乗員荷重を分散させやすくすることができる。
【0053】
また、本実施形態における複数の補強部21~24は、断面のサイズが全て同等に設定されているが、これに限られるものではなく、補強部21~24ごとにサイズを異なるものにしてもよい。
【0054】
なお、本実施形態においては、4本の補強部21~24が用いられているが、これに限られるものではなく、3本でもよいし、5本以上でもよい。
3本の補強部の場合はT字状又はY字状に交差することとなる。接合部は1つでもよいし、複数でもよい。
5本以上の補強部の場合も、接合部は1つでもよいし、複数でもよいが、接合部が複数の場合には、各接合部で交差する補強部の本数が必ずしも同じでなくてもよい。
【0055】
続いて、複数の荷重受け部25~27は、クッション支持部材10と車体との間に位置して乗員荷重を受ける部分であり、図1図4図6図8に示すように、複数の接合部20よりも左右方向外側の双方に配置されている。
複数の荷重受け部25~27は、前側に位置する第一荷重受け部25と、中央部側に位置する第二荷重受け部26と、後側に位置する第三荷重受け部27と、を有する。
【0056】
ここで、荷重受け部25~27とは、車体に固定される部位そのものを指すと同時に、当該部位に取り付けられるゴム等の弾性部材および当該弾性部材が取り付けられる部位を指すものとする。この弾性部材は、クッション支持部材10よりも軟質であり、クッション支持部材10の下面に対して、例えば溶着等により固定されている。もしくは、クッション支持部材10に差込孔を形成し、荷重受け部25~27の弾性部材に、前記差込孔に差し込める差込部を形成し、当該差込部を前記差込孔に差し込んで嵌合させることによって荷重受け部25~27の弾性部材をクッション支持部材10に固定してもよい。
【0057】
複数の荷重受け部25~27のうち、中央部側に位置する第二荷重受け部26は、本体プレート11の最大荷重部11aの近傍に配置されている。そのため、第二荷重受け部26には、第一荷重受け部25及び第三荷重受け部27よりも乗員荷重がかかる。
第二荷重受け部26は、クッション支持部材10を側面から投影視した場合において複数の接合部20における前後方向の中間に配置されている。すなわち、複数の接合部20は、クッション支持部材10を側面から投影視した場合において、2つの接合部20が前後方向に間隔を空けて配置されることになるが、第二荷重受け部26は、その中間に配置された状態となる。
【0058】
第一荷重受け部25は、本体プレート11の周縁補強部12における前方周縁補強部12aと、本体プレート11における前方の左右両側に位置する窪み部11bに対して一体形成されている。
第三荷重受け部27は、本体プレート11の周縁補強部12における後方周縁補強部12bと一体形成されている。
【0059】
また、複数の荷重受け部25~27の中央付近にはボルト孔が形成されており、このボルト孔から挿入されたボルトによってクッション支持部材10を車体に固定できるようになっている。
【0060】
続いて、複数のビード28~30は、クッション支持部材10を補強するための補強形状であり、図1図4図7に示すように、複数の接合部20よりも左右方向外側に配置されている。
複数のビード28~30は、前側に位置する第一ビード28と、中央部側に位置する第二ビード29と、後側に位置する第三ビード30と、を有する。
これら複数のビード28~30は、本体プレート11の最大荷重部11aの近傍に配置されており、本体プレート11の上面から側壁部13にかけて屈曲形成されている。すなわち、クッション支持部材10のうち最も乗員荷重のかかりやすい最大荷重部11aの近傍を、複数のビード28~30によって補強している。
【0061】
複数のビード28~30のうち、第二荷重受け部26よりも前方に配置されるとともに第二荷重受け部26に最も近接する第二ビード29は、最大荷重部11aの最も近傍に位置し、他のビード28,30よりも、上端部から下端部までの長さが長尺に形成されている。
第二ビード29は、クッション支持部材10を側面から投影視した場合において、複数の接合部20のそれぞれから左右方向に伸びる複数の補強部(第一補強部21又は第三補強部23)における前後方向の中間に配置されている。すなわち、複数の接合部20は、クッション支持部材10を側面から投影視した場合において、2つの接合部20が前後方向に間隔を空けて配置されることになるが、第二ビード29は、その中間に配置された状態となる。
【0062】
また、前側に位置する第一ビード28は、クッション支持部材10を側面から投影視した場合において、複数の接合部20のうち前側に位置する接合部20よりも前方に配置されている。
さらに、後側に位置する第三ビード30は、クッション支持部材10を側面から投影視した場合において、複数の接合部20のうち後側に位置する接合部20と重なる位置に配置されている。
【0063】
なお、周縁補強部12のうち前方周縁補強部12aには、当該前方周縁補強部12aを補強する第四ビード31が形成されている。
【0064】
続いて、複数の突出部32は、車体に固定される部分であり、図2図7に示すように、クッション支持部材10の前側に配置され、かつ、クッション支持部材10の裏面から前方に向かって突出している。また、これら複数の突出部32は、クッション支持部材10の左右方向両側に設けられた第一荷重受け部25の左右方向内側に隣接して配置されている。
また、各突出部32には、当該突出部32を上下方向に貫通する貫通孔32aが形成されている。
【0065】
これら複数の突出部32と、クッション支持部材10の左右方向両側に設けられた第二荷重受け部26との間には、クッション支持部材10を側面から投影視した場合において、少なくとも一つのビードが設けられている。
本実施形態においては、クッション支持部材10を側面から投影視した場合において、複数の突出部32と第二荷重受け部26との間に、第一ビード28と第二ビード29が設けられている、
【0066】
さらに、複数の突出部32における左右方向内側の内側端縁部は、第四補強部24の左右方向中心に設けられている。そして、突出部32は、第四補強部24の凹み部24aに対して一体形成されている。
【0067】
以上のような第1実施形態によれば、接合部20の表面に、第一補強部21と第二補強部22との接合箇所を示す第一接合線201と、第二補強部22と第三補強部23との接合箇所を示す第二接合線202と、が少なくとも表れ、第一接合線201及び第二接合線202は、クッション支持部材10の厚さ方向一方側(頂点200)から他方側(窪み部11bを構成する部位)に向かって湾曲する曲線で構成され、第一接合線201の一端部と第二接合線202の一端部は、厚さ方向一方側の同じ位置(頂点200)に集合しているので、曲線で構成された第一接合線201と第二接合線202に沿って荷重が分散しやすくなるので、複数の補強部21~23同士が交差する接合部20に荷重が集中することを抑制し、複数の補強部21~24によってクッション支持部材10を補強しやすくなる。
【0068】
また、接合部20の裏面に穴20aが形成されることで、接合部20の肉厚が厚くなることを抑制するのでクッション支持部材10の軽量化に貢献できる。さらに、接合部20の肉厚が厚いと製造段階で熱が逃げにくくなるが、そのように熱が逃げにくくなることを防ぎやすくなる。
【0069】
また、穴20aは真円状であって、かつ、ドーム状に形成されて接合部20を貫通しないため、接合部20に加わる圧力を分散しやすくなる。
【0070】
また、第二荷重受け部26は、複数の接合部20よりもシートの左右方向外側に配置され、かつ、クッション支持部材10を側面から投影視した場合において複数の接合部20における前後方向の中間に配置されているので、クッション支持部材10を側面から投影視した場合において、複数の接合部20が、第二荷重受け部26の前後方向に配置されることになるので、クッション支持部材10の剛性を向上できる。
【0071】
また、第二ビード29は、複数の接合部20よりもシートの左右方向外側に配置され、かつ、クッション支持部材10を側面から投影視した場合において第二荷重受け部26と前後方向に間隔を空けて並んで配置されているので、クッション支持部材10を側面から投影視した場合において、第二ビード29が、第二荷重受け部26と前後方向に間隔を空けて並んで配置されることになるので、クッション支持部材10の剛性を向上できる。
【0072】
クッション支持部材10は、第二荷重受け部26よりもシートの前方側が後方側よりも平面部分の面積が広く設定される場合が多く、そのような場合には、クッション支持部材10のうち第二荷重受け部26よりもシートの前方側における剛性が低下しやすい。
これに対し、クッション支持部材10を側面から投影視した場合において、他のビード28,30よりも長尺に形成された第二荷重受け部に最も近接する第二ビード29が、複数の接合部20のそれぞれからシートの左右方向に伸びる複数の補強部22,24における前後方向の中間に配置されているので、クッション支持部材10の剛性を向上できる。
【0073】
〔第2実施形態〕
以下、クッション支持部材40の第2実施形態について詳細に説明する。
なお、本実施形態におけるクッション支持部材40は、自動二輪車のシートを構成するものである。
なお、説明の便宜上、上記の第1実施形態との共通部分には同一符号を付し、上記の第1実施形態とは異なる構成部分に重点を置いて説明する。
【0074】
本実施形態におけるクッション支持部材40は、上記のように樹脂成型品であるため、ほとんどの部位が一体形成され、必要に応じて付属品が取り付けられる。換言すれば、クッション支持部材40は、本体プレート11を主体として構成されており、図9図14に示すように、この本体プレート11に対し、それぞれの機能を有する部位が一体形成された状態となっている。
【0075】
本体プレート11は、図9図10に示すように、乗員が座る部分が、側面視において他の部分よりも低くなるように形成されていて、最大荷重部11aとされる。
また、本体プレート11は、当該本体プレート11の周縁に沿って設けられる周縁補強部12を有する。周縁補強部12は、最大荷重部11a付近を境にして前方に位置する前方周縁補強部12aと、後方に位置する後方周縁補強部12bと、を有する。
また、本体プレート11は、当該本体プレート11の周縁に沿って設けられ、前後方向の端部が、前方周縁補強部12aと後方周縁補強部12bに一体形成された側壁部13を有する。
さらに、本体プレート11は、当該本体プレート11の周縁に沿って設けられる後壁部14を有する。
なお、周縁補強部12及び側壁部13には、表皮材の端末に設けられる係合部材が係合する係合孔部15が複数形成されている。
また、本体プレート11の前端部には、後述する複数の突出部43の上方に位置する箇所に貫通孔11cが形成されている。
【0076】
クッション支持部材40は、図9図14に示すように、上記の本体プレート11に一体形成される部位として、複数の補強部41,42と、複数の荷重受け部25~27と、複数の突出部43と、を備えている。
【0077】
複数の荷重受け部25~27は、本体プレート11における左右方向外側の双方に配置されている。複数の荷重受け部25~27は、前側に位置する第一荷重受け部25と、中央部側に位置する第二荷重受け部26と、後側に位置する第三荷重受け部27と、を有する。
複数の荷重受け部25~27のうち、中央部側に位置する第二荷重受け部26は、本体プレート11の最大荷重部11aの近傍に配置されている。
【0078】
複数の補強部41,42は、本体プレート11の中央部一帯に形成されてクッション支持部材10を補強している。
このような複数の補強部41,42は、上面側に凸形状とされた複数の第一補強部41と、下面側に凸形状とされた複数の第二補強部42と、を有する。
【0079】
複数の第一補強部41のそれぞれは、クッション材に最も近い部分の表面が曲面とされ、かつ、上面視において円形状に形成されている。
複数の第二補強部42のそれぞれは、クッション材から最も遠い部分の表面が曲面とされ、かつ、下面視において円形状に形成されている。
【0080】
これら複数の補強部41,42は、突出した部分の表面が曲面とされ、かつ、円形状に形成されているので、上面視又は下面視した場合に、あたかも球体又は半球体のように見受けられることとなる。
【0081】
また、複数の第一補強部41は、図13に示すように、本体プレート11の裏面側においては凹んだ状態に形成されている。すなわち、複数の第一補強部41は、下面視した場合に、上方に向かって貫通しない穴(以下、凹み部41a)として形成されている。
一方、複数の第二補強部42は、本体プレート11の裏面側においては凹んだ状態に形成されている。すなわち、複数の第二補強部42は、上面視した場合に、下方に向かって貫通しない穴(以下、凹み部42a)として形成されている。
凹み部41a,42aは、上面視又は下面視においてドーム状に形成されている。
【0082】
そして、上面側に凸形状とされた複数の第一補強部41と、下面側に凸形状とされた複数の第二補強部42は、クッション支持部材40を上下方向に投影視した場合において異なる位置に配置されている。
つまり、複数の補強部41,42は、本体プレート11の平面的な位置関係においても、上下方向の位置調整においても、互い違いとなるような位置関係で配列されている。より具体的には、複数の第一補強部41は千鳥状に配置され、複数の第二補強部42は、複数の第一補強部41における千鳥状の配列を避けた位置関係で千鳥状に配置されている。
【0083】
続いて、複数の突出部43は、車体に固定される部分であり、図9図12に示すように、クッション支持部材40の前側に配置され、かつ、クッション支持部材40の裏面から前方に向かって突出している。また、これら複数の突出部43は、クッション支持部材40の左右方向両側に設けられた第一荷重受け部25の左右方向内側に隣接して配置されている。
【0084】
以上のような第2実施形態によれば、クッション支持部材40は、上面側に凸形状とされて、当該クッション支持部材40を補強する複数の第一補強部41を備え、当該第一補強部41のそれぞれは、クッション材に最も近い部分の表面が曲面とされ、かつ、上面視において円形状に形成されているので、クッション支持部材40の上面側に角張った部分が生じにくく、曲面とされた第一補強部41に沿って荷重が分散しやすくなる。これにより、荷重が集中することを抑制し、複数の第一補強部41によってクッション支持部材40を補強しやすくなる。
【0085】
また、クッション支持部材40は、下面側に凸形状とされて、当該クッション支持部材40を補強する複数の第二補強部42を備え、当該第二補強部42のそれぞれは、クッション材から最も遠い部分の表面が曲面とされ、かつ、下面視において円形状に形成されているので、クッション支持部材40の下面側に角張った部分が生じにくく、曲面とされた第二補強部42に沿って荷重が分散しやすくなる。これにより、荷重が集中することを抑制し、複数の第二補強部42によってクッション支持部材40を補強しやすくなる。
【0086】
さらに、上面側に凸形状とされた複数の第一補強部41と、下面側に凸形状とされた複数の第二補強部42は、クッション支持部材40を上下方向に投影視した場合において異なる位置に配置されているので、クッション支持部材40の厚みが増すことを防ぎ、クッション支持部材40を軽量化できる。
【0087】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。
また、以下の各変形例において、上記の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0088】
〔変形例1〕
本変形例におけるクッション支持部材50は、乗用車のシートにおけるシートクッションを構成している。より詳細に説明すると、シートクッションは、クッションフレームにクッション支持部材50が取り付けられ、クッション支持部材50の上面にクッション材が設けられて、クッションフレーム、クッション支持部材50、クッションが表皮材で覆われることにより形成されている。
なお、乗用車のシートを構成するクッション支持部材50は、支持プレートや受圧部材とも称する。
【0089】
クッションフレームは、図示はしないが、左右一対のサイドフレームと、左右一対のサイドフレームの前端部を互いに接続する棒状の前部フレームと、左右一対のサイドフレームの後端部を互いに接続する棒状の後部フレームと、左右一対のサイドフレームの前端部に連結されるパンフレームとを有する。
クッション支持部材50は、クッションフレームのうち棒状の前部フレームと棒状の後部フレームとの間に架け渡されて設けられる。
【0090】
クッション支持部材50は、図15に示すように、クッションフレームに対して略平行に延在する本体プレート51と、本体プレート51の後部における左右の側縁から表側(上側)に傾斜して外方に延びる傾斜部52と、本体プレート51の前縁から前方に延出して前部フレームに係合する前部取付部53と、本体プレート51の後縁から斜め上後方に延出して後部フレームに係合する後部取付部54とを有する。
さらに、クッション支持部材50は、金属製のワイヤー55(線状部材)がインサート成形された樹脂によって形成され、乗員の荷重を受けて撓み、乗員を弾発的に支持する。
【0091】
本体プレート51の前部における左右方向の中央部の表側には、図示しない圧力センサが載置されるセンサ載置部56が形成されている。
圧力センサは、乗員がシートに着座しているか否かを判断するために、シートクッションにかかる圧力を検出する。本体プレート51の後部は、傾斜部52によって乗員の荷重が分散されるため、着座時に係る圧力が小さくなる。そこで、傾斜部52による圧力分散の影響を受けないように、圧力センサは、傾斜部52に対して前方にオフセットした位置に配置される。
【0092】
また、本体プレート51には、通気や部材の取り付けのために必要な開口部57,58が適宜形成されている。なお、これら開口部57,58は、乗員荷重を分散させる機能も有しているものとする。ワイヤー55は、これら開口部57,58を避けて配置されている。
【0093】
クッション支持部材50は、当該クッション支持部材50を補強するための複数の補強部41,42を備えている。また、これら複数の補強部41,42は、本体プレート51と一体形成されている。
そして、複数の補強部41,42は、本体プレート51のうち、ワイヤー55と、センサ載置部56と、開口部57,58を避けて配置されている。より具体的に説明すると、複数の補強部41,42は、本体プレート51の中央部と、左右の傾斜部52に一体形成されている。
【0094】
本変形例における複数の補強部41,42は、上面側に凸形状とされた複数の第一補強部41と、下面側に凸形状とされた複数の第二補強部42と、を有するものを採用しているが、これに限られるものではなく、第一方向に伸びる第一補強部21と、第二方向に伸びる第二補強部22と、第三方向に伸びる第三補強部23と、を有するものを採用してもよい。
【0095】
なお、センサ載置部56については、載置される圧力センサの精度を確保するため、複数の補強部41,42は、センサ載置部56の周辺も避けて配置されている。
また、センサ載置部56及び周辺の剛性を向上させる必要がある場合は、本体プレート51のうち、クッション材とは反対側(下面側)に、複数の補強部を一体形成して設けるようにすることが好ましい。これにより、センサへの影響を抑制できる。
【0096】
本変形例によれば、クッション支持部材50のうちワイヤー55のない比較的強度の低い部分を複数の補強部41,42によって補強でき、クッション支持部材50の剛性を向上できる。
さらに、複数の補強部41,42によってクッション支持部材50の剛性を向上しながら、荷重分散孔として機能する開口部57,58によってクッション支持部材50を軽量化できる。
【0097】
〔変形例2〕
本変形例におけるクッション支持部材60は、自動二輪車のシートを構成するものであり、上面にはクッション材が設けられ、表皮材によって被覆される。
このようなクッション支持部材60は、本体プレート61と、乗員荷重を分散させるための複数の荷重分散孔62と、を備える。
【0098】
本体プレート61における左右の側縁部には上方に突出するリブ部61aが一体形成されており、本体プレート61の剛性を向上させている。
複数の荷重分散孔62は、本体プレート61のうち左右のリブ部61a間に配置され、本体プレート61を貫通して形成されている。
なお、これら複数の荷重分散孔62は、開口面積や、座骨・尾骨の位置を考慮して本体プレート61に形成され、乗員荷重を効果的に分散できるようになっている。
【0099】
このように乗員荷重を効果的に分散できる一方で、本体プレート61には複数の孔が形成されるため、本体プレート61の補強が求められる。
そこで、本変形例においては、複数の補強部21,22,23が、本体プレート61に一体形成されて、複数の荷重分散孔62を避けて配置されている。
複数の補強部21,22,23同士が交差して接合される接合部20の表面には、曲線で構成された第一接合線201と第二接合線202と、が表れている。
【0100】
本変形例によれば、複数の補強部21,22,23によってクッション支持部材60の剛性を向上しながら、複数の荷重分散孔62によってクッション支持部材60を軽量化できる。
【符号の説明】
【0101】
10 クッション支持部材
11 本体プレート
11a 最大荷重部
11b 窪み部
20 接合部
20a 穴
200 頂点
201 第一接合線
202 第二接合線
203 第三接合線
204 第四接合線
21 第一補強部
21a 凹み部
22 第二補強部
22a 凹み部
23 第三補強部
23a 凹み部
24 第四補強部
24a 凹み部
Rt 根元部分
25 第一荷重受け部
26 第二荷重受け部
27 第三荷重受け部
28 第一ビード
29 第二ビード
30 第三ビード
31 第四ビード
32 突出部
32a 貫通孔
40 クッション支持部材
41 第一補強部
41a 凹み部
42 第二補強部
42a 凹み部
43 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16